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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】エステルクォート組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20240118BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240118BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240118BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240118BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240118BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20240118BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240118BHJP
   D06M 13/148 20060101ALI20240118BHJP
   D06M 13/224 20060101ALI20240118BHJP
   D06M 13/463 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/92
A61Q5/12
C11D1/62
C11D3/20
D06M13/148
D06M13/224
D06M13/463
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021500674
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019041684
(87)【国際公開番号】W WO2020014659
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】62/697,235
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/839,081
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591066100
【氏名又は名称】ステパン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】フォーンス,ジェームス・アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ブティカス,レナータ
(72)【発明者】
【氏名】バーンハート,ランドール・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】コバッチ,エリザベス・サラ
(72)【発明者】
【氏名】ジャーメイン,テレサ
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ,パトリック・シェーン
(72)【発明者】
【氏名】ザポロフスキー,レオナード・フランク
(72)【発明者】
【氏名】ダメシェク,アナトリー・エイ
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-529390(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0002298(US,A1)
【文献】特表平09-510463(JP,A)
【文献】特表2002-500235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
D06M 13/00-13/535
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
(a)前記組成物の重量に基づいて30重量%~100重量%の混合物、及び
(b)前記組成物の0重量%~70重量%の溶媒、
を含み、
前記混合物が
i.前記混合物の55重量%~75重量%を成す1又は複数のエステルクォート、及び
ii.前記混合物の25重量%~45重量%を成す1又は複数のグリセリド、
を含み、
前記エステルクォートは、(a)少なくとも50重量%の不飽和脂肪酸基を有する脂肪酸源と(b)トリエタノールアミン(TEA)またはメチルジエタノールアミン(MDEA)であるアルカノールアミンとの、アルカノールアミン1モルあたり1.5~3モルのアシル基の比での4級化反応生成物であり、
前記グリセリドが、8~32個の炭素原子の炭素鎖長を有するモノグリセリド及び/又はジグリセリドであり、少なくとも50重量%の不飽和脂肪酸基を有する脂肪酸源から誘導される、
組成物。
【請求項2】
前記脂肪酸源が、ヒマワリ油、キャノーラ油、ダイズ油、クルミ油、ホホバ油、パーム油、ボリジ油、ナタネ油、ベニバナ油、及びこれらの混合物から成る群より選択される天然油である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記脂肪酸源が、225未満のけん化価、及び50以上のヨウ素価を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記4級化反応生成物が、硫酸ジメチル、塩化メチル、硫酸ジエチル、塩化ベンジル、エチル塩化ベンジル、臭化メチル、及びエピクロロヒドリンから成る群より選択されるアルキル化剤を用いることによって得られる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記グリセリドが、3:1~1:3の比のモノグリセリド及びジグリセリドである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記溶媒が、プロピレングリコール、グリセリルカプリレート/カプレート、グリコールエーテル、グリセリン、ヒマワリ油、ホホバ油、アルキルラクチルラクテート、イソプロピルアルコール、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記混合物が、1.5:1~2:1のアシル基対アミン比でのヒマワリ油とメチルジエタノールアミンとの直接エステル化反応生成物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
製剤であって、
(a)0.01重量%~30重量%の組成物活性成分であって、
i.前記組成物活性成分の重量に基づいて、55%~75重量%の量の1又は複数のエステルクォート、及び
ii.前記組成物活性成分の重量に基づいて、25重量%~45重量%の量の1又は複数のグリセリド、を含む、組成物活性成分、
(b)前記製剤を100%に合わせるための希釈剤、
を含み、
前記エステルクォートは、(a)少なくとも50重量%の不飽和脂肪酸基を有する脂肪酸源と(b)トリエタノールアミン(TEA)またはメチルジエタノールアミン(MDEA)であるアルカノールアミンとの、アルカノールアミン1モルあたり1.5~3モルのアシル基の比での4級化反応生成物であり、
前記グリセリドが、8~32個の炭素原子の炭素鎖長を有するモノグリセリド及び/又はジグリセリドであり、少なくとも50重量%の不飽和脂肪酸基を有する脂肪酸源から誘導される、
製剤。
【請求項9】
1又は複数の追加成分をさらに含む、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
前記製剤がヘアケア組成物であり、毛髪トレスに適用された場合、20gmf以下のウェットコーミングDia-Stron最大ピーク負荷を与える、請求項8または9に記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術は、ヘアケア組成物などの組成物に有用であるエステルクォート組成物に関する。詳細には、本発明の技術は、エステルクォート又はモノ-びジ-グリセリド単独のいずれかと比較して、より良好なウェット及びドライコーミング性を提供する少なくとも1つのエステルクォートとモノ-及びジ-グリセリドとの相乗作用性混合物を含むエステルクォート組成物に関する。本発明の技術はまた、エステルクォート組成物を含むヘアケア組成物、及びエステルクォート組成物を製造するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
4級アンモニウム化合物は、長年にわたってヘアコンディショニング剤として用いられてきた。最も一般的なヘアコンディショニング剤の2つは、塩化ベヘントリモニウム(BTAC)及び塩化セトリモニウム(CETAC)である。両活性成分共に、コンディショニング剤として良好に作用するものの、いくつかの欠点がある。BTAC及びCETACは、好ましくない環境プロファイルを有しており、それらのコンディショニング組成物での使用は、厳しく監視されてきた。2014年以来、欧州連合は、リーブオン製品及びリンスオフ製品の両方において、これらの剤を制限している。原材料として、BTAC及びCETACはいずれも、皮膚に触れた場合に刺激性及び/又は毒性であり、水生生物には非常に毒性であり、影響は長期間にわたる。別の欠点は、BTAC及びCETACの液体の形態は、典型的には、25~30%の活性成分という相当に低い活性成分濃度でしか入手可能ではない。より高い活性成分濃度の製品は、入手可能ではあるが、流動性を維持するためにイソプロピルアルコール(IPA)などの可燃性溶媒での希釈が必要であるか、又は加熱/溶融を必要とする錠剤若しくは固体の形態である。
【0003】
製造業者は、BTAC及びCETACの欠点を有することなくコンディショニング性能を提供することができる他の4級アンモニウム化合物を求めてきた。ヘアコンディショニング用活性成分として、エステルクォート4級アンモニウム化合物(エステルクォート)が用いられてきた。そのようなエステルクォートは、典型的には、脂肪酸を、トリエタノールアミン(TEA)又はメチルジエタノールアミン(MDEA)などのアミンと反応させ、続いて4級化することによって製造される。脂肪酸を用いることにより、アルカノールアミンと反応して、後にそのアミン部分が4級化されるエステルアミンを生成する脂肪酸鎖に対するより良好な制御が可能となり、トリグリセリドの形態の脂肪酸を含有する油を用いた場合と比較して、「純粋」な分子が得られる。エステルクォートは、環境の観点から、BTAC及びCETACよりも毒性は低いものの、ヘアコンディショニング剤としては、BTAC及びCETACほど良好には機能しない。エステルクォートはまた、通常は固体又はペーストの形態であり、加熱/溶融、又はIPA若しくはエタノールなどの溶媒による希釈が必要であり、このことは、揮発性有機化合物(VOC)を環境中へ排出し得る。
【発明の概要】
【0004】
本技術分野において、CETACよりも良好で、少なくともBTACと同等であるヘアケア性能を提供することができるが、同時にBTAC及びCETACよりも良好な環境プロファイルも有するエステルクォート組成物が求められている。また、50%以上の活性成分など、より高い活性成分レベルでの液体形態であるエステルクォート組成物も求められている。
【0005】
1つの態様では、本発明の技術は、組成物であって:
(a)組成物の重量に基づいて約30重量%~約100重量%の、1又は複数のエステルクォートと1又は複数のグリセリドとの混合物であって、エステルクォートは、混合物の約50重量%~約80重量%、好ましくは約55重量%~約75重量%を成し、グリセリドは、混合物の約20重量%~約50重量%、好ましくは約250重量%~約45重量%を成す、混合物;及び
(b)組成物の重量に基づいて0重量%~約70重量%の、パーソナルケアに適する溶媒、
を含む、組成物に関する。
【0006】
いくつかの実施形態では、組成物は、約30重量%~約95重量%の、別の選択肢として約30重量%~約90重量%の1又は複数のエステルクォートと1又は複数のグリセリドとの混合物、及び約5重量%~約70重量%の、別の選択肢として約10重量%~約70重量%の溶媒を含む。
【0007】
別の態様では、本発明の技術は、組成物であって、組成物の重量に基づいて0.01重量%~約30重量%の組成物活性成分であって、組成物活性成分の重量に基づいて約50重量%~約80重量%、好ましくは約55重量%~約75重量%の量の1又は複数のエステルクォートと、組成物活性成分の重量に基づいて約20重量%~約50重量%、好ましくは約25重量%~約45重量%の量の1又は複数のグリセリドとを含む、組成物活性成分;所望に応じて含まれてよい1又は複数の追加成分;並びに組成物を100%に合わせるための希釈剤、を含む、組成物に関する。1つの実施形態では、組成物は、ヘアコンディショニング組成物である。
【0008】
さらなる態様では、本発明の技術は、液体エステルクォート組成物を製造するための方法に関し、方法は、(a)天然油をアルカノールアミンと反応させて、モノエステルアミン、ジエステルアミン、モノグリセリド、ジグリセリド、グリセリン、及び遊離アミンを含む中間混合物を得ること;(b)中間混合物を、アルキル化剤、及び所望に応じて溶媒と組み合わせて、反応混合物を形成すること;並びに(c)中間混合物中のエステルアミンをアルキル化剤で4級化して、エステルクォートを形成すること、を含み、得られる組成物は、(i)組成物の重量に基づいて約30重量%~約100重量%の混合物であって、混合物の重量に基づいて、約50重量%~約80重量%のエステルクォートと約20重量%~約50重量%のグリセリドとの混合物、及び(ii)組成物の重量に基づいて0重量%~約70重量%の量の溶媒、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、中間混合物は、溶媒を含み、エステルアミンは、溶媒の存在下で4級化されて、得られる組成物を形成し、この組成物は、組成物の重量に基づいて約30重量%~約95重量%、別の選択肢として約30重量%~約90重量%の、約50重量%~約80重量%のエステルクォートと約20重量%~約50重量%のグリセリドとの混合物、及び組成物の重量に基づいて約5重量%~約70重量%、別の選択肢として約10重量%~約70重量%の量の溶媒、を含む。
【0010】
別の態様では、本発明の技術は、ヘアケア組成物であって、組成物の重量に基づいて0.01重量%~約30重量%の組成物活性成分を含む、ヘアケア組成物に関し、組成物活性成分は、(i)C8~C32の炭素鎖を有する脂肪酸源由来の少なくとも1つのエステルクォートと、(ii)所望に応じて、C8~C32の炭素鎖を有する脂肪酸源由来のグリセリド成分とを含み、グリセリド成分は、少なくとも1つのモノグリセリド、若しくはジグリセリド、又はこれらの組み合わせを含み、
組成物活性成分中の炭素鎖の少なくとも60%は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する。いくつかの実施形態では、炭素-炭素二重結合を有する炭素鎖の少なくとも50%は、少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の技術のエステルクォート組成物で製造したヘアコンディショニング組成物のウェット及びドライコーミング性の結果を、従来の4級アンモニウム化合物で製造した組成物に対して比較したグラフである。
図2図2は、本発明の技術のヘアコンディショニング組成物及び比較組成物で処理した髪の毛のSEM写真を示す。
図3図3は、ヒマワリ油ベースのエステルクォートの単独の場合、及びヘアコンディショニング組成物とした場合のウェットコーミング性の結果を比較したグラフである。
図4図4は、(1)ヘアコンディショニング組成物ブランク、(2)ヘアコンディショニング組成物としたヒマワリ油ベースのエステルクォート、及び(3)ヒマワリ油ベースのエステルクォート単独で処理した髪の毛のSEM写真を示す。
図5図5は、カチオン性界面活性剤としてさらにグリセリドを含む場合及び含まない場合での、エステルクォートを含むヘアコンディショニング組成物のウェットコーミング性の結果を比較したグラフである。
図6図6は、異なる量のグリセリドと組み合わせたエステルクォートを含むヘアコンディショニング組成物のウェットコーミング性の結果を比較したグラフである。
図7図7は、異なる油から製造したエステルクォートを含むヘアコンディショニング組成物のウェットコーミング性の結果を比較したグラフである。
図8図8は、異なるグリセリド、及び異なる比率のモノ-及びジグリセリドを含むヘアコンディショニング組成物のウェットコーミング性の結果を比較したグラフである。
図9図9は、異なるエステルと組み合わせたエステルクォートを含むヘアコンディショニング組成物のウェットコーミング性の結果を比較したグラフである。
図10図10は、異なる油/脂肪酸対アミン比で製造したエステルクォートを含むヘアコンディショニング組成物のウェットコーミング性の結果を比較したグラフである。
図11図11は、異なる量のヒマワリ油と組み合わせたパーム脂肪酸由来エステルクォートを含むヘアコンディショニング組成物のウェットコーミング性の結果を比較したグラフである。
図12図12は、他の添加剤を含む場合及び含まない場合での、エステルクォート/グリセリドを含むヘアコンディショニング組成物のウェットコーミング性の結果を比較したグラフである。
図13図13は、ヒマワリ油、ベニバナ油、又は共役リノール酸から製造したエステルクォートを含むヘアコンディショニング組成物のウェットコーミング性の結果を比較したグラフである。
図14図14は、共役リノール酸から製造した異なる量のエステルクォートと組み合わせたパーム脂肪酸から製造したエステルクォートを含むヘアコンディショニング組成物のウェットコーミング性の結果を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の技術の組成物は、生分解性で、CETACよりも良好でBTACと同等であるコンディショニング性能を付与する有効なヘアコンディショニング剤を一緒になって提供する特定のエステルクォートとモノ-及びジグリセリドとを含む。いくつかの実施形態では、組成物はまた、1重量%~70重量%、別の選択肢として約5重量%~約70重量%、別の選択肢として約10重量%~約70重量%の、エステルクォートとグリセリドとを組み合わせた30重量%~99重量%を希釈して低粘度の液体製品を形成することができる適切な溶媒も含む。
【0013】
一般的に、本発明の技術のエステルクォートは、天然油又は他の脂肪酸源とアルカノールアミンとを、典型的には天然油又は脂肪酸源が液体又は溶融状態である出発温度で組み合わせ、所望に応じて触媒を添加し、続いてこの反応混合物を、酸価及びアルカリ価によって確認される所望される組成に達するまで加熱することによって製造される。いくつかの実施形態では、反応の過程で減圧が施されてもよい。次に、このエステルアミン中間体が、アルキル化剤を用いて4級化され、エステルクォート生成物が得られる。
【0014】
エステルクォートを製造するための脂肪酸源は、遊離脂肪酸、脂肪酸エステル、又は脂肪酸に対応する酸塩化物などの様々な出発物質であってよい。遊離脂肪酸は、単一の精製脂肪酸など単独であってよく、又は天然油中のグリセリドエステルの脂肪酸成分に特徴的である脂肪酸混合物などの組み合わせであってもよい。1つの実施形態では、脂肪酸源は、共役リノール酸(CLA)を含む。脂肪酸エステルは、モノ-、ジ-、及び/若しくはトリグリセリドなどのグリセリド、又は脂肪酸のメチルエステル若しくはエチルエステルなどの脂肪酸のアルキルエステルであってもよい。脂肪酸エステルは、単一の脂肪酸から誘導されてよく、又は天然脂肪酸フィードストック若しくは天然油から誘導されるなど、脂肪酸の混合物から誘導されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、エステルクォートは、アルカノールアミンを天然油中のトリグリセリドで直接エステル化することによって製造される。トリグリセリドが脂肪酸源である場合、得られるエステルアミン中間体は、ジエステルアミン、モノエステルアミン、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、グリセリン、及び遊離アミンを含む生成物の混合物を含む。トリグリセリドは、限定されないが、ヒマワリ油、キャノーラ油、ダイズ油、パーム油、パーム核油、ボリジ油、プラカシー油、クルミ油、ホホバ油、アボカド油、ヘンプシード油、ナタネ油、ベニバナ油、トウモロコシ油、綿実油、アマニ油、ブドウ種子油、落花生油、カンナビス油、メドウフォーム油、及びこれらの混合物などの様々な入手源から得られ得る。いくつかの実施形態では、不飽和の量が多い油を用いることが望ましい。そのような油の例としては、限定されないが、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、キャノーラ油、ダイズ油、クルミ油、ホホバ油、ボリジ油、パーム油、及びナタネ油、ベニバナ油、トウモロコシ油、綿実油、アマニ油、落花生油、メドウフォーム油、又はこれらの混合物が挙げられる。いくつかの好ましい天然油は、少なくとも50重量%の、別の選択肢として少なくとも60重量%の、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸基を含む天然油である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する脂肪酸基の少なくとも30重量%、別の選択肢として少なくとも40重量%、別の選択肢として少なくとも50重量%が、少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を有する。本発明での使用に好ましい天然油は、約225未満のけん化価、及び50以上のヨウ素価、別の選択肢として80以上のヨウ素価を有する。適切な不飽和油の例としては、約15重量%~約75重量%、典型的には約60重量%のリノール酸を含むヒマワリ油、約35重量%~約40重量%のリノール酸を含むボリジ油、及び約70重量%~約75重量%のリノール酸を含むベニバナ油が挙げられる。
【0016】
他の実施形態では、エステルクォートは、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、又は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物であるC8~32脂肪酸、又はこれらのアルキルエステル誘導体から製造されてよい。脂肪酸は、例えば、ヒマワリ、キャノーラ、トウモロコシ、綿実、亜麻仁、落花生、メドウフォーム、ダイズ、クルミ、ホホバ、パーム、ボリジ、ベニバナ、若しくはナタネ、又はこれらの混合物などの様々な入手源から誘導されてよい。好ましい脂肪酸は、少なくとも50重量%の、別の選択肢として少なくとも60重量%の、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸基を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する脂肪酸基の少なくとも30重量%、別の選択肢として少なくとも40重量%、別の選択肢として少なくとも50重量%が、少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を有する。好ましい脂肪酸はまた、16~20個の炭素原子の炭素鎖長、並びに/又は225未満のけん化価、及び50以上のヨウ素価、別の選択肢として80以上のヨウ素価を有する脂肪酸である。1つの実施形態では、脂肪酸は、CLAを含み、約75重量%~約90重量%の共役リノール酸(C18-2)基を有する。
【0017】
本発明の技術のエステルクォートの製造に有用であるアルカノールアミンは、以下の一般式に相当し:
【0018】
【化1】
【0019】
式中R、R、及びRは、独立して、C1-6アルキル又はヒドロキシアルキル基から選択される。アルカノールアミンの例としては、トリエタノールアミン(TEA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、エチルジエタノールアミン、ジメチルアミノ-N-(2,3-プロパンジオール)、ジエチルアミノ-N-(2,3-プロパンジオール)、メチルアミノ-N,N-ビス(2,3-プロパンジオール)、エチルアミノ-N,N-ビス(2,3-プロパンジオール)、及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、アルカノールアミンは、MDEAを含む。他の実施形態では、アルカノールアミンは、TEAを含む。アルカノールアミンに対するトリグリセリド/脂肪酸のモル比は、1モルのアミンに対して、約1.4~約3、別の選択肢として約1.5~3、別の選択肢として約1.4~約2モルのアシル基である。
【0020】
エステルクォートを製造するためのアルキル化剤は、本技術分野において公知であり、例えば、硫酸ジメチル、塩化メチル、硫酸ジエチル、塩化ベンジル、エチル塩化ベンジル、臭化メチル、及びエピクロロヒドリンが挙げられる。いくつかの実施形態では、アルキル化剤は、硫酸を含まないエステルクォートを製造するために、塩化メチルを含む。硫酸を含まない成分から製剤されたヘアコンディショニング組成物及び他のパーソナルケア組成物は、硫酸含有組成物よりも皮膚及び髪に対してよりマイルドでやさしいことから、より望ましい。
【0021】
エステルクォートに加えて、本発明の技術の組成物は、モノグリセリド、ジグリセリド、又はこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、モノ-及びジグリセリドは、アルカノールアミンと天然油トリグリセリドとの間の反応の副生物である。そのような実施形態では、モノ-及びジグリセリド中の脂肪酸カルボキシレート基は、天然油源由来である。少量のトリグリセリド、グリセロール、及び遊離アミンも存在し得ることは理解されたい。他の実施形態では、モノ-及びジグリセリドは、別個の成分としてエステルクォートに添加され、エステルクォート中の脂肪酸鎖長とは異なる炭素鎖長を有し得る。入手源に関わらず、モノ-及びジグリセリドは、約8~約32個の炭素原子を有する飽和脂肪酸カルボキシレート基、不飽和脂肪酸カルボキシレート基、又は不飽和脂肪酸カルボキシレート基と飽和脂肪酸カルボキシレート基との混合を含む。好ましくは、脂肪酸基は、少なくとも50重量%の、別の選択肢として少なくとも60重量%の、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸基を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸基は、オレイン酸由来である。典型的には、モノグリセリドのジグリセリドに対する比は、約1:1であるが、1:3~3:1のモノグリセリド対ジグリセリドなどの他の比も考慮される。いくつかの実施形態では、グリセリド成分は、100%モノグリセリドであってもよい。エステルクォートとグリセリドとの混合物の合わせた重量に基づいて、エステルクォートは、約50重量%~80重量%、別の選択肢として約55重量%~約75重量%を成し、モノ-及びジグリセリドは、約20重量%~約50重量%、別の選択肢として約25重量%~約45重量%を成す。
【0022】
エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物は、活性成分として単独で用いられてよく、又は特定の溶媒で希釈されて希釈エステルクォート組成物が形成されてもよい。いくつかの実施形態では、溶媒は、パーソナルケアに適する溶媒である。エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物を希釈するための溶媒の例としては、限定されないが、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、グリセリルエステル、グリセロールモノオレエート、グリコールエーテル、グリセリン、ソルビタンエステル、乳酸、ヒマワリ油、ホホバ油、アルキルラクチルラクテート、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、ジメチルアジペート、オレイルアルコール、ボリジ油、モリンガ油、アルガン油、1,2-イソプロピリジングリセロール、ベンジルアルコール、ジメチルラウラミドミリスタミド、N-ブチルラクテート、トリメチルシトレート、ジメチルラクチド、ラウレス-2ラクチド(laureth-2 lactide)、1,2-ブチレンカーボネート、共役リノール酸、ダイコン種子油、イソソルビドジメチルエーテル、プロピレンカーボネート、ヒマワリ油/MDEAエステルアミン、C-65エステル、シトレート、C12~15アルキルベンゾエート、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
用いられる場合、溶媒の量は、組成物の重量に基づいて、約1重量%~約70重量%、別の選択肢として約5重量%~約70重量%、別の選択肢として約10重量%~約60重量%、別の選択肢として約10重量%~約50重量%、別の選択肢として約10重量%~約40重量%、別の選択肢として約10重量%~約30重量%の範囲内であってよく、エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物の量は、組成物の重量に基づいて、約30重量%~約99重量%、別の選択肢として約30重量%~約95重量%、別の選択肢として約30重量%~90重量%、別の選択肢として約40重量%~約90重量%、別の選択肢として約50重量%~約90重量%、別の選択肢として約60重量%~約90重量%、別の選択肢として約70重量%~約90重量%の範囲内であってよい。いくつかの実施形態では、高固形分エステルクォート組成物を形成するために、溶媒の量は、約10重量%~約30重量%であり、エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物の量は、約70重量%~約90重量%である。驚くべきことに、高固形分、低粘度、淡着色の液体エステルクォート組成物を、エステルクォート/グリセリド混合物及び溶媒を合わせた重量に基づいて約85重量%のエステルクォート/グリセリド及び約15重量%のプロピレングリコール溶媒の量で、ヒマワリ油ベースのエステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物から得ることができることが見出された。別の実施形態では、高固形分、低粘度の液体エステルクォート組成物を、エステルクォート/グリセリド混合物及び溶媒を合わせた重量に基づいてエステルクォート/グリセリドの約80重量%及びアルキルラクチルラクテートとグリセリンとの組み合わせを含む溶媒の約20重量%の量で、ヒマワリ油ベースのエステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物から得ることができる。そのような結果は、BTAC及びCETACなどのヘアコンディショニングクォートが、典型的には、可燃性溶媒も含まれていない場合、固形分約20%~約30%の希釈率でのみ液体の形態で入手可能であることから、驚くべきことである。
【0024】
いくつかの実施形態では、エステルアミン/グリセリド中間体は、中間体を4級化する前に溶媒で希釈されてもよい。エステルクォート製造プロセスの過程で添加される場合、所望される溶媒は、エステルアミン/グリセリド中間体及びアルキル化剤と組み合わされ、4級化プロセスは、溶媒の存在下で行われる。添加される溶媒の量は、上記で列挙した範囲のいずれに含まれる量であってもよい。得られるエステルクォート組成物は、約30重量%~約99重量%、別の選択肢として約30重量%~約95重量%、別の選択肢として約30重量%~約90重量%、別の選択肢として約40重量%~約90重量%、別の選択肢として約50重量%~約90重量%、別の選択肢として約60重量%~約90重量%、別の選択肢として約70重量%~約90重量%のエステルクォート/グリセリド混合物、及び約1重量%~約70重量%、別の選択肢として約5重量%~約70重量%、別の選択肢として約10重量%~約70重量%、別の選択肢として約10重量%~約60重量%、別の選択肢として約10重量%~約50重量%、別の選択肢として約10重量%~約40重量%、別の選択肢として約10重量%~約30重量%の溶媒を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物を含む組成物は、液体組成物ではなく、希釈可能な濃縮物の形態、又はフレークとされた形態であってもよい。フレーク品の形態では、エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物は、典型的には、セテアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、若しくはこれらの組み合わせなどの長鎖脂肪族アルコール、及び/又はイソプロピルアルコール、エタノール、若しくはエステルなどの溶媒と組み合わされる。フレーク品の総重量に基づいて、エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物は、約10重量%~約90重量%、別の選択肢として約20重量%~約35重量%を成し、長鎖脂肪族アルコールは、0重量%~約90重量%、別の選択肢として約55重量%~約70重量%を成し、溶媒は、約10重量%~約20重量%を成す。長鎖アルコールが存在しない場合、フレーク品は、高カチオン負荷品(high cationic load product)とするために、80重量%~90重量%のエステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物、並びに10重量%~20重量%の溶媒を含んでよい。希釈可能な濃縮物は、エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物を、セテアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はこれらの組み合わせなどの少なくとも1つの長鎖脂肪族アルコール、所望に応じて1又は複数の追加成分、及び溶媒、水、又はこれらの組み合わせと組み合わせて含む。希釈可能な濃縮物のための典型的な溶媒としては、限定されないが、イソプロピルアルコール、エタノール、又はエステルが挙げられる。追加の成分としては、pH調節剤又は保存剤などの添加剤が挙げられ得る。エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物は、希釈可能な濃縮物の約2重量%~約30重量%を成してよく、長鎖脂肪族アルコールは、希釈可能な濃縮物の約5重量%~約25重量%を成してよく、溶媒は、約2%~約30%を成してよく、水は、希釈可能な濃縮物の約25重量%~約90重量%を成してよい。
【0026】
エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物を含む組成物は、様々な用途を有し、様々な最終用途製品に製剤することができる。例えば、エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物を含む組成物は、皮膚感触添加剤、スキンケア用カチオン性乳化剤、サンケア添加剤、テキスタイル処理剤、又はレザーコンディショナーとして用いることができる。エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物を有利に用いることができる最終用途品製剤の例としては、限定されないが、ヘアコンディショナー、ヘアリペア組成物、コンディショニング用パーソナルケアクレンジング品、織物用柔軟剤、織物用コンディショナー、ハード面クリーナー、及びスキンケア組成物が挙げられる。製品製剤は、製品製剤の約0.01重量%~約30重量%、別の選択肢として製品製剤の約0.01重量%~約20重量%、別の選択肢として約0.01重量%~約10重量%、別の選択肢として約0.05重量%~約7重量%、別の選択肢として約0.1重量%~約5重量%、別の選択肢として約0.5重量%~約5重量%、別の選択肢として約1重量%~約5重量%、別の選択肢として約1.5重量%~約5重量%、別の選択肢として約1.5重量%~約4重量%、別の選択肢として約2重量%~約4重量%の量でエステルクォートとグリセリドとの混合物を含んでよい。
【0027】
製品製剤は、用途に適する他の所望に応じて含まれていてよい成分を含有していてもよく、界面活性剤又は他の添加剤、及び水などの希釈剤、などである。界面活性剤の例としては、非イオン性、カチオン性、及び両性界面活性剤、又はこれらの組み合わせが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、限定されないが、脂肪族アルコールアルコキシレート、ポリアルキレングリコール、アミンオキシド、又はこれらの組み合わせが挙げられる。カチオン性の例としては、限定されないが、BTAC、CETAC、及びポリクォータニウム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。両性界面活性剤の例としては、限定されないが、ベタイン、アミドプロピルベタイン、スルタイン、アミドプロピルヒドロキシスルタイン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。他の考慮される成分としては、ステアラミドプロピルジメチルアミン(SAPDMA)などの長鎖アミドアミンが挙げられる。製品製剤中の界面活性剤の量は、製品製剤の約0.01重量%~約25重量%の範囲内であってよい。
【0028】
添加剤の例としては、レオロジー改質剤、皮膚軟化薬、スキンコンディショニング剤、乳化剤/懸濁剤、香料、着色剤、ハーブエキス、ビタミン、ビルダー、酵素、pH調節剤、保存剤、及び抗菌剤が挙げられる。そのような添加剤の特定の例としては、限定されないが、シリコーン、シロキサン、天然油、鉱油、天然若しくは合成ワックス、ポリグリセロールアルキルエステル、グリセリルエステル、グリコールエステル、脂肪酸とイソプロパノールを例とする低炭素数アルコールとのエステル、安息香酸エステル、ビタミンA、ビタミンE、若しくはパントテン酸などのビタミン、4級化グアー、セルロース若しくは4級化セルロース、又は上記のいずれかの組み合わせが挙げられる。製品製剤中の添加剤の合計は、製品製剤の約0.01重量%~約10重量%の範囲内であってよい。
【0029】
エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの混合物を含む本発明の技術の組成物は、いくつかの有益性を提供する。組成物は、CETACを含む組成物と比較してより良好なウェット及びドライヘアコーミング性を、並びにBTACを含む組成物と比較して同等のウェット及びドライコーミング性を提供する。しかし、BTAC及びCETACとは異なり、本発明の技術のエステルクォートは、BTAC及びCETACと比較して、皮膚への刺激が少なく、環境プロファイルの改善及び水生生物への毒性の低下をもたらす。驚くべきことに、本発明の技術の組成物は、脂肪酸エトキシレート、並びにアルキル及び/又はアルケニルオリゴグルコシドなどの追加の成分を必要とすることなく、改善されたウェット及びドライコーミング性を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の技術の組成物は、適切な溶媒で希釈された場合に、他の成分と容易に製剤されて最終製品組成物を形成する高固形分、低粘度の液体組成物を提供する。
【0030】
本発明の技術のエステルクォート/グリセリド及び溶媒を含むヘアコンディショニング組成物は、ヘアコンディショニング効果を得るのに適する量で毛髪に適用されてよい。毛髪に適用されるコンディショニング活性成分の適切な量は、乾いた毛髪に対して測定した場合、約0.001重量%~約5重量%、別の選択肢として約0.001重量%~約2重量%、別の選択肢として約0.002重量%~約1.5重量%、別の選択肢として約0.025重量%~約0.5重量%、別の選択肢として約0.025重量%~約0.25重量%の範囲内であってよい。ヘアコンディショニング組成物は、Dia-Stron MT1775装置で測定した場合、約50グラム力(gmf)以下、別の選択肢として約23gmf以下、別の選択肢として約20gmf以下、別の選択肢として約8~約20gmf、別の選択肢として約8~約15gmfのウェットコーミング最大ピーク負荷を与える。
【0031】
実施例
本発明で述べる技術及びその利点は、以下の例を参照することによってより良く理解される。これらの例は、本発明の技術の具体的な実施形態を記載するために提供される。本発明者らは、これらの例を提供することによって本発明の技術の範囲及び趣旨を限定するものではない。
【0032】
以下の試験方法を、本発明の技術の組成物の特性及び性能を特定するために用いる。
ウェット及びドライコーミング性のためのDia-Stron法
1.毛髪トレスを30秒間リンスする。
2.0.5mLのVO5(登録商標)ボリュームシャンプー(ノンコンディショニングシャンプー)を適用する。
3.毛髪トレス全体に広げる。
4.毛髪トレスを30秒間リンスする。
5.毛髪トレスを空気乾燥させる。
6.毛髪トレスを30秒間リンスする。
7.0.5mLの試験コンディショナーを適用する。
8.毛髪トレス全体に広げる。
9.毛髪トレスを30秒間リンスする。
10.毛髪トレスをDia-Stron MTT175装置に固定し、「ウェットコーミング」手順を作動させる。
11.工程8をさらに9回繰り返す。
12.工程1~10をさらに2つの毛髪トレスに対して繰り返す。
13.毛髪トレスを空気乾燥させる。
14.毛髪トレスをDia-Stron MTT175装置に固定し、「ドライコーミング」手順を作動させる。
15.工程12を、1つの毛髪トレスに対してさらに9回繰り返す。
16.工程12~13をさらに2つの毛髪トレスに対して繰り返す。
【0033】
例1A:天然油を用いたエステルクォートの製造
エステルアミン中間体
所望される量のヒマワリ油を、メカニカルスターラー、還流冷却管、熱電対、及び窒素ブランケットを備えた3リットルの四つ口ガラス反応器に投入した。モル比が脂肪酸基2対アミン1となる量のMDEAを反応器に添加し、炭酸カリウムをこの反応混合物に添加した。反応混合物を、遊離アミン含有量が2~3%の間で安定するまで、窒素下、300rpmで撹拌し、160℃に加熱した。次に、得られたエステルアミン混合物を、室温まで冷却した。得られたエステルアミン混合物が、約70重量%のエステルアミン、及びMDEAとヒマワリ油との反応からの副生物として約30重量%のグリセリド、主としてモノ-及びジグリセリドを含むことは理解されたい。
【0034】
4級化
次に、エステルアミン混合物を、メカニカルスターラー及び加熱を備えた1リットルの圧力反応器に添加した。温度を105℃に上げた。塩化メチルを用いて、反応器の20psigへの加圧及び0psigへの脱気を3回行った。塩化メチルを液面下で添加して、反応器圧力を40psigに維持した。反応条件を9時間維持して、反応器を85℃に冷却し、0psigへ脱気した。得られたエステルクォート混合物は、遊離アミン含有量0.05meq/g、全酸度0.01meq/g、及びカチオン性活性成分量0.95meq/gを有していた。固形分は、100%であった。
【0035】
希釈
実施形態1:エステルクォート混合物を、天然由来プロピレングリコールで15%希釈した。希釈品は、85重量%のエステルクォート混合物及び15重量%のプロピレングリコールを含む低粘度、淡着色の液体であった。
【0036】
実施形態2:エステルクォート混合物を、15重量%のラウリルラクチルラクテート及び5重量%のグリセリンの溶媒混合物で20%希釈した。希釈品は、80重量%のエステルクォート混合物及び20重量%のラウリルラクチルラクテート/グリセリン溶媒を含む低粘度液体であった。
【0037】
例1B:脂肪酸を用いたエステルクォートの製造
エステルアミン中間体
所望される量の脂肪酸を、メカニカルスターラー、熱電対、及び鉱油を満たしたバブラーに排気される単純蒸留装置を備えた適切なサイズの反応器に投入した。窒素スパージング管を反応器の残りの口に取り付け、次に、1時間以上にわたって撹拌しながら脂肪酸を窒素でスパージングした。モル比が1モルのアミンあたり1.7モルの脂肪酸となる量のMDEAを反応器に添加した。この反応液をゆっくり160℃に加熱し、酸価が0.06meq/g以下に達するまでこの温度で保持した。次に、得られたエステルアミンを、室温まで冷却した。天然油中のトリグリセリドではなく脂肪酸で製造された場合、得られるエステルアミンはグリセリドを含有しないことは理解されたい。
【0038】
4級化
脂肪酸誘導エステルアミン中間体は、天然油中間体の4級化で用いた方法と同様にして4級化する。
【0039】
例1C:CLAを用いたエステルクォートの製造
エステルアミン中間体
所望される量のCLA(CLARINOL(登録商標)A-80、Stepan Company)を、熱電対、メカニカルスターラー、窒素源に接続したスパージング管、及び鉱油を満たしたバブラーに排気される短行程蒸留装置を備えた適切なサイズの反応器に投入した。この系を、200mL/分の液面下への窒素スパージング下に置き、室温で一晩撹拌した。
【0040】
スパージング管を液中から引き出したが、200mL/分のヘッドスペースへのパージは維持した。反応混合物を80℃に加熱し、モル比が1モルのアミンあたり1.7モルの脂肪酸となる量のMDEAを反応器に添加した。発熱によって反応温度は90.8℃に到達し、その後冷却を開始した。発熱の終了後、反応温度を125℃に調節し、窒素パージを300mL/分に調節し、反応液を1時間撹拌した。次に、温度を155℃に上昇させ、1時間撹拌した。反応温度を190℃に上昇させ、スパージング管を撹拌反応混合物中に挿入し、5.75時間にわたる300mL/分の窒素の液面下スパージング下、反応混合物の酸価が0.0515meq/gに到達するまで、反応液を250rpmで撹拌した。
【0041】
4級化
CLA誘導エステルアミン中間体は、天然油中間体の4級化で用いた方法と同様にして4級化する。
【0042】
エステルクォートを、ヒマワリ油、ヒマワリ脂肪酸、パーム油、パーム脂肪酸、ナタネ油、ナタネ脂肪酸、ベニバナ油、及びベニバナ脂肪酸からも、上記例1A又1Bの手順を用いて、しかし異なる4級化剤及び/又は異なる脂肪酸基対アミン比を用いて製造した。製造したエステルクォートを、以下の表1にまとめて示す。表中、「GMO」は、DREWMULSE(登録商標)GMOを意味し、モノ-オレエート/ジ-オレエート比が約1:1であるStepan Company,Northfield,Illinoisからのグリセリルオレエートである。
【0043】
【表1】
【0044】
例2:ヘアコンディショニング組成物の製造
本発明の技術のエステルクォート及び比較ヘアコンディショニング成分を、以下に示す一般手順に従ってヘアコンディショニング組成物に製剤した。表2は、ヘアコンディショニング組成物を製造するために用いた一般配合を示す。
【0045】
【表2】
【0046】
一般手順
1.水、Natrosol 250 HHR CSを投入し、均質となるまで混合する。
2.水酸化ナトリウムを用いて、目標をpH8~9としてpHを調節する。均質となるまで混合する。
3.混合し、70~75℃に加熱する。
4.カチオン性界面活性剤及びセチルアルコールを添加し、均質となるまで混合する。
5.45℃に冷却する。
6.塩化カリウムを投入し、均質となるまで混合する。
7.クエン酸を用いて、目標をpH3.5~4.5としてpHを調節する。
8.室温に冷却する。
9.保存剤を投入する。
【0047】
例3:機械によるウェット及びドライコーミング性評価
例1Aの未希釈のヒマワリ油ベースのエステルクォート組成物、及びプロピレングリコールで希釈したヒマワリ油ベースのエステルクォート組成物を、例2に従ってヘアコンディショニング組成物に製剤した。比較へアコンディショニング組成物も、例1Aのヒマワリ油ベースのエステルクォートに対して異なるカチオン性界面活性剤に置き換えたこと以外は、表2の配合に従い、一般手順に従って製造した。比較カチオン性界面活性剤は、BTAC、CETAC(AMMONYX(登録商標)-CETAC-30、Stepan Companyより)、及びSTEPANQUAT(登録商標)GA-90、Stepan Company,Northfield,Illinoisからのパーム及びTEAベースのエステルクォート、であった。本発明及び比較ヘアコンディショニング組成物を、Dia-Stron MTT175装置及び既に述べた手順を用いて、ウェット及びドライコーミング能力について試験した。また、従来のノンコンディショニングシャンプー、及びカチオン性界面活性剤を含まないこと以外は表2に従って製造したブランクコンディショナー製剤も試験した。試験の結果を図1に示す。本発明及び比較組成物で処理した髪の毛のSEM写真を図2に示す。
【0048】
図1のグラフは、未希釈及びプロピレングリコール希釈の両方の例1Aのヒマワリ油ベースのエステルクォートで製造した組成物が、BTACで製造した組成物と同等のウェット及びドライコーミング性を有し、CETACで製造した組成物よりも良好な性能を有していたことを示す。図1のグラフはまた、ヒマワリ油ベースの組成物が、パーム/TEAエステルクォートで製造した組成物よりも良好な性能を有していたことも示す。
【0049】
例4:ヒマワリ油ベースのエステルクォートあり及びなしのヘアコンディショナーのウェットコーミング性評価
ヘアコンディショニング組成物を、表2の配合を用い、及びカチオン性界面活性剤として15%プロピレングリコールで希釈した例1Aのヒマワリ油ベースのエステルクォートを用いて製剤した。ヘアコンディショニング組成物を、Dia-Stron MTT175装置及び上記で述べたウェットコーミング手順を用いて、ウェットコーミング能力について評価した。これらのヘアコンディショニング組成物を、ブランクコンディショナー(表1の配合でカチオン性界面活性剤を含ないもの)、及び希釈したヒマワリ油ベースのエステルクォート単独(コンディショナー配合なし)とも比較した。結果を図3に示す。処理した髪の毛のSEM写真を図4に示す。
【0050】
図3のグラフは、プロピレングリコール中85%のヒマワリ油ベースのエステルクォートが、単独で用いられた場合、及びヘアコンディショニング組成物として用いられた場合に、同様のウェットコーミング性能を呈したことを示す。これらの結果は、ウェットコーミング性能が、ヒマワリ油ベースのエステルクォートに帰することができるものであり、ブランクコンディショナー製剤中の他の成分に由来するものではないことを示している。
【0051】
例5:グリセリドあり及びなしでのエステルクォートのウェットコーミング性評価
この例では、異なるヘアコンディショニング組成物を製造して、モノ-及びジグリセリドをエステルクォートと組み合わせることが、エステルクォート単独を含有する組成物と比較して、ヘアケア組成物のウェットコーミング性を改善することができるかどうかを評価した。ヘアコンディショニング組成物を、表2の配合を用い、及び異なる組成物中にカチオン性成分として以下を用いて製剤した。
【0052】
組成物1:100%モノ-及びジグリセリド
組成物2:100%パーム脂肪酸エステルクォート
組成物3:70%パーム脂肪酸エステルクォート/30%モノ-及びジグリセリド
組成物4:100%ラウリル脂肪酸エステルクォート
組成物5:70%ラウリル脂肪酸エステルクォート/30%モノ-及びジグリセリド
ヘアコンディショニング組成物の各々を、Dia-Stron MTT175装置及びウェットコーミング手順を用いて、ウェットコーミング能力について評価した。結果を図5に示す。
【0053】
図5のグラフは、エステルクォートとグリセリドとの組み合わせを含む組成物が、エステルクォート単独又はグリセリド単独のいずれかを含む組成物と比較して、より良好なウェットコーミング性を有していたことを示している。70%のパーム脂肪酸エステルクォートと30%のモノ-及びジグリセリドとの組み合わせは、100%のパーム脂肪酸エステルクォートで製造した組成物と比較して、特に顕著な改善を呈した。これらの結果は、エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの組み合わせが、エステルクォート単独又はモノ-及びジグリセリド単独のいずれかと比較した場合に、ヘアコンディショニング組成物に対して改善された特性を付与する相乗作用性混合物を提供することを実証するものである。
【0054】
例6:様々な量のグリセリドによるウェット及びドライコーミング性評価
この例では、ヘアコンディショニング組成物を製造して、グリセリドとエステルクォートとの異なる比を用いることによる、ヘアコンディショニング組成物のウェット及びドライコーミング性に対する効果を評価した。ヘアコンディショニング組成物を、表2の配合を用い、及び異なる組成物中にカチオン性界面活性剤として以下を用いて製剤した。
【0055】
組成物1:100%パーム脂肪酸エステルクォート
組成物2:90%パーム脂肪酸エステルクォート及び10%グリセリド
組成物3:80%パーム脂肪酸エステルクォート及び20%グリセリド
組成物4:70%パーム脂肪酸エステルクォート及び30%グリセリド
組成物5:60%パーム脂肪酸エステルクォート及び40%グリセリド
組成物6:50%パーム脂肪酸エステルクォート及び50%グリセリド
組成物7:100%ヒマワリ油エステルクォート(70%エステルクォート及び製造からの30%グリセリド)
ヘアコンディショニング組成物の各々を、Dia-Stron MTT175装置、並びにウェット及びドライコーミング手順を用いて、ウェット及びドライコーミング能力について評価した。結果を図6に示す。
【0056】
図6のグラフは、エステルクォート単独と比較して、並びに90%/10%、80%/20%、60%/40%、及び50%/50%のエステルクォートとグリセリドとの比の場合と比較して、性能の著しい改善が、70%のエステルクォート及び30%のグリセリドの比で実現されることを示している。エステルクォート単独と比較して、又は90%/10%のエステルクォートとグリセリドとの比の場合と比較して、性能のある程度の改善は、80%/20%、60%/40%、及び50%/50%のエステルクォートとグリセリドとの比でも実現されている。
【0057】
例7:異なる油からのエステルクォートのウェット及びドライコーミング性評価
この例では、異なるヘアコンディショニング組成物を製剤して、異なる油から製造したエステルクォートを用いることによる、ヘアコンディショニング組成物のウェット及びドライコーミング性に対する効果を評価した。異なるヘアコンディショニング組成物を、表2の配合を用い、及び異なる組成物中にカチオン性界面活性剤として以下を用いて製剤した。
【0058】
組成物1:ヒマワリ油エステルクォート(グリセリド含有)
組成物2:パーム油エステルクォート(グリセリド含有)
組成物3:ホホバ油エステルクォート(グリセリド含有)
組成物4:プラカシー油エステルクォート(グリセリド含有)
組成物5:ボリジ油エステルクォート(グリセリド含有)
組成物6:ダイズ油エステルクォート(グリセリド含有)
組成物7:ベニバナ油エステルクォート(グリセリド含有)
ヘアコンディショニング組成物の各々を、Dia-Stron MTT175装置、並びにウェット及びドライコーミング手順を用いて、ウェット及びドライコーミング能力について評価した。結果を図7に示す。
【0059】
図7のグラフは、ヒマワリ油及びボリジ油から製造したエステルクォート/グリセリドで、より良好な結果が得られたことを示しており、出発油中の炭素鎖分布が、得られるエステルクォートの性能に対して影響を及ぼすことが示される。ヒマワリ油及びボリジ油は、相当量のリノール酸(それぞれ、60%及び40%)を有しており、このことから、出発油中の多価不飽和の量及び/又は不飽和C18の量が、得られるエステルクォートの性能に対して影響を及ぼすことが示され得る。
【0060】
例8:異なるグリセリド、並びに異なるモノ-及びジグリセリド比のウェットコーミング性評価
この例では、ヘアコンディショニング組成物を製剤して、不飽和グリセリド及び飽和グリセリドを用いること、並びにモノグリセリド対ジグリセリドの異なる比を用いることによる、ウェットコーミング性に対する効果を評価した。ヘアコンディショニング組成物を、表2の配合を用い、及び異なる組成物中にカチオン性成分として以下を用いて製剤した。
【0061】
組成物1:100%パーム脂肪酸エステルクォート
組成物2:100%DREWMULSE(登録商標)GMO
組成物3:70%パーム脂肪酸エステルクォート/30%DREWMULSE(登録商標)GMO
組成物4:100%LUMULSE(登録商標)GML(ラウリン酸ベースのモノグリセリド/ジグリセリド、Vantage Specialty Chemicalより)
組成物5:70%パーム脂肪酸エステルクォート/30%LUMULSE(登録商標)GML
組成物6:100%純モノグリセリド
組成物7:70%パーム脂肪酸エステルクォート/30%モノグリセリド
組成物8:50%モノグリセリド/50%DREWMULSE(登録商標)GMO
組成物9:70%パーム脂肪酸エステルクォート/15%モノグリセリド/15%DREWMULSE(登録商標)GMO
ヘアコンディショニング組成物の各々を、Dia-Stron MTT175装置及びウェットコーミング手順を用いて、ウェットコーミング能力について評価した。結果を図8に示す。
【0062】
図8のグラフは、70%のエステルクォート/30%のグリセリドを含む組成物が、エステルクォート単独又はグリセリド単独のいずれの場合よりも良好なウェットコーミング性を有していたことを示している。70%のエステルクォート及び30%のDREWMULSE(登録商標)GMO(不飽和脂肪酸グリセリド)を含む組成物3は、70%のエステルクォート及び30%のLUMULSE(登録商標)GML(飽和脂肪酸グリセリド)を含む組成物5よりも良好なウェットコーミング性を提供し、このことは、グリセリド成分中の不飽和が、ウェットコーミング性能の改善に寄与し得ることを示している。モノグリセリド対ジグリセリドの異なる比を含む組成物間では、性能の有意な差異は見られなかった。モノ対ジグリセリドの比が1:1である組成物3、100%のモノグリセリドを含む組成物7、及びモノ対ジグリセリドの比が3:1である組成物9は、比較的同等のウェットコーミング性を示した。
【0063】
例9:他のエステルを含むエステルクォートと比較したエステルクォート/グリセリド混合物のウェットコーミング性評価
この例では、異なるヘアコンディショニング組成物を製造して、70%エステルクォート/30%グリセリド混合物で製造した本発明の技術の組成物のウェットコーミング性を、グリセリド成分を他の一般的コンディショニング剤で置き換えることによって製造した組成物と比較して評価した。ヘアコンディショニング組成物を、表2の配合を用い、及び異なる組成物中にカチオン性成分として以下を用いて製剤した。
【0064】
組成物1:100%パーム脂肪酸エステルクォート
組成物2:70%パーム脂肪酸エステルクォート及び30%グリセリド
組成物3:70%パーム脂肪酸エステルクォート及び30%グリセリルカプリレート/カプレート(STEPAN-MILD(登録商標)GCC)
組成物4:70%パーム脂肪酸エステルクォート及び30%カプリル/カプリントリグリセリド(NEOBEE(登録商標)M-5)
組成物5:70%パーム脂肪酸エステルクォート及び30%イソプロピルミリステート
組成物6:70%パーム脂肪酸エステルクォート及び30%グリコールジステアレート
組成物7:70%パーム脂肪酸エステルクォート及び30%ビタミンE(トコフェリルアセテート)
組成物8:70%パーム脂肪酸エステルクォート及び30%C12~15アルキルベンゾエート
ヘアコンディショニング組成物の各々を、Dia-Stron MTT175装置及びウェットコーミング手順を用いて、ウェットコーミング能力について評価した。結果を図9に示す。
【0065】
図9のグラフは、70%のエステルクォート/30%のグリセリドを含む組成物が、他のエステルと組み合わせたエステルクォートを含む組成物のいずれよりも著しく良好なウェットコーミング性を有していたことを示している。これらの結果は、エステルクォートとモノ-及びジグリセリドとの組み合わせが、他のエステルと組み合わせたエステルクォートと比較した場合に、ヘアコンディショニング組成物に対して改善された特性を付与する相乗作用性混合物を提供することをさらに実証するものである。
【0066】
例10:異なる油又は脂肪酸/アミン比の評価
この例では、エステルクォート製造の過程で脂肪酸基のアミンに対する比を変化させることが、得られるエステルクォートで製剤した組成物のウェットコーミング性に対して影響を及ぼすかどうかを評価する。エステルクォートを、脂肪酸基のアミンに対するモル比を変化させた以外は、全体として例1A又は1Bの手順に従って製造した。以下のエステルクォートを製造した:
エステルクォート1:ヒマワリ油/MDEA(モル比2:1)
エステルクォート2:ヒマワリ油/MDEA(モル比1.75:1)
エステルクォート3:ヒマワリ油/MDEA(モル比1.5:1)
エステルクォート4:ヒマワリ脂肪酸/MDEA(モル比1.4:1)
エステルクォート5:70%ヒマワリ脂肪酸/MDEA(モル比1.4:1)及び30%モノ-及びジグリセリド
エステルクォート6:ヒマワリ脂肪酸/MDEA(モル比2:1)
エステルクォート7:70%ヒマワリ脂肪酸/MDEA(モル比2:1)及び30%モノ-及びジグリセリド
エステルクォート1~3が、反応の副生物として30重量%のグリセリドをさらに含むことは理解されたい。エステルクォート4及び6は、100%のエステルクォートを含有してグリセリドは含有せず、エステルクォート5及び7の場合は、グリセリドをエステルクォートと混合して、70%エステルクォート/30%グリセリド混合物を得た。エステルクォート/グリセリドの各々を、表2の配合に従い、カチオン性成分としてエステルクォート/グリセリドを用いて、ヘアコンディショニング組成物に製剤した。ヘアコンディショニング組成物を、Dia-Stron MTT175装置及びウェットコーミング手順を用いて、ウェットコーミング能力について評価した。結果を図10に示す。
【0067】
図10のグラフは、エステルクォートとグリセリドとの混合物で製剤した組成物のウェットコーミング性を大きく変化させることなく、脂肪酸対アミン比を約1.4~約2:1まで変動させることができることを示している。
【0068】
例11:添加したトリグリセリドのウェットコーミング性評価
天然油トリグリセリドをアルカノールアミンと反応させると、少量の未反応トリグリセリドが、エステルクォート/グリセリド混合物中に残留する(最大約5重量%まで)。この例では、ヒマワリ油(トリグリセリド)をパーム脂肪酸由来エステルクォートに添加して、モノ-及び/又はジグリセリドではなく、トリグリセリドの添加によるエステルクォートに対する効果を評価した。ヘアコンディショニング組成物を、表2の配合に従い、異なる製剤中にカチオン性成分として以下を用いて製造した。
【0069】
組成物1:100%パーム脂肪酸/TEAエステルクォート
組成物2:90%パーム脂肪酸/TEAエステルクォート及び10%ヒマワリ油
組成物3:80%パーム脂肪酸/TEAエステルクォート及び20%ヒマワリ油
組成物4:70%パーム脂肪酸/TEAエステルクォート及び30%ヒマワリ油
組成物5:60%パーム脂肪酸/TEAエステルクォート及び40%ヒマワリ油
ヘアコンディショニング組成物の各々を、Dia-Stron MTT175装置及びウェットコーミング手順を用いて、ウェットコーミング能力について評価した。結果を図11に示す。
【0070】
図11のグラフは、パーム脂肪酸エステルクォートへの30重量%のヒマワリ油の添加が、パーム脂肪酸エステルクォート単独と比較して、ウェットコーミング性のある程度の改善を提供し得ることを示している。しかし、このウェットコーミング性は、30重量%のモノ-及びジグリセリドと組み合わせたパーム脂肪酸から得たものよりも依然として大きく劣っている。例えば、例6の組成物4、及び図6に示される70%エステルクォート/30%グリセリド混合物に対する結果を参照されたい。図11はまた、10重量%、20重量%、又は40重量%のヒマワリ油の添加は、エステルクォート単独の性能を改善することがなく、実際には、ヒマワリ油10%添加の場合が最も悪い結果を提供したことも示している。
【0071】
例12:他の添加剤と組み合わせたエステルクォート/グリセリドのウェットコーミング性評価
ヘアコンディショニング組成物を、例1A、実施形態2のグリセリン/アルキルラクチルラクテート溶媒混合物で希釈したヒマワリ油ベースのエステルクォート/グリセリド混合物を、単独で又はヘアコンディショニング組成物で典型的に用いられる他の添加剤との組み合わせのいずれかで用いて製造した。組成物は、組成物の総重量に基づいて、1重量%、1.5重量%、及び2重量%の量でヒマワリ油ベースのエステルクォート/グリセリド混合物を用いて製造した。別の添加剤と組み合わせたヒマワリ油ベースのエステルクォート/グリセリドで製造した組成物は、組成物の総重量に基づいて、1重量%のヒマワリ油ベースのエステルクォート/グリセリド及び0.5重量%の他の添加剤を含んでいた。組成物を、活性成分の量が少ないことを考慮して水で調節したこと以外は、表2の配合に従って製造した。試験した添加剤は、BTAC、CETAC、SAPDMA、ヒマワリ油MDEAエステルアンモニウムラクテート、シリコーン(ジメチコン)、カチオン性グアー(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)、ラウリルラクチルラクテート(STEPAN-MILD(登録商標)L3)、及びベニバナ油であった。サンプル組成物の各々を、Dia-Stron MTT175装置及びウェットコーミング手順を用いて、ウェットコーミング能力について評価した。結果を図12に示す。
【0072】
図12のグラフは、1.5重量%のヒマワリ油ベースのエステルクォート/グリセリド混合物単独を用いた場合、1重量%のヒマワリ油ベースのエステルクォート/グリセリド混合物と0.5重量%の添加剤との組み合わせの場合と比較して、同等又はより良好な結果が得られたことを示している。別のコンディショニング添加剤をヒマワリ油ベースのエステルクォート/グリセリド混合物と組み合わせたことによっては、同じ1.5重量%のコンディショニング活性成分濃度において、ヒマワリ油ベースのエステルクォート/グリセリド混合物単独と比較したウェットコーミング性能の改善は見られなかった。
【0073】
例13:異なる油及びCLAからのエステルクォートのウェットコーミング性評価
この例では、異なるヘアコンディショニング組成物を製剤して、ヒマワリ油、ベニバナ油、及びCLAから製造したエステルクォートを用いることによる、ヘアコンディショニング組成物のウェットコーミング性に対する効果を比較した。異なるヘアコンディショニング組成物を、表2の配合を用い、及び異なる組成物中にカチオン性界面活性剤として以下を用いて製剤した。
【0074】
組成物1:ヒマワリ油エステルクォート(グリセリド含有)
組成物2:ベニバナ油エステルクォート(グリセリド含有)
組成物3:CLAエステルクォート、グリセリドなし
ヘアコンディショニング組成物の各々を、Dia-Stron MTT175装置及びウェットコーミング手順を用いて、ウェットコーミング能力について評価した。結果を図13に示す。
【0075】
図13のグラフは、すべての組成物において非常に優れた結果が得られたことを示しており、このことから、炭素鎖分布及び/又は出発油若しくは脂肪酸中の不飽和の量が、得られるエステルクォートの性能に対して影響を及ぼし得ることが示される。ヒマワリ油及びベニバナ油は、相当量の(油の重量に基づいて80重量%超)不飽和C18脂肪酸(オレイン酸及びリノール酸)を有している。CLAは、CLAの重量に基づいて、90重量%超の不飽和C18脂肪酸、主としてリノール酸(CLAの重量に基づいて、70重量%超)、を含んでいる。これらの結果は、C18不飽和の量が多い油又は脂肪酸から製造したエステルクォートが、ヘアコンディショニング組成物に製剤された場合に、非常に優れたウェットコーミング性を提供し得ることを示している。驚くべきことに、グリセリドなしでCLAエステルクォートで製造した組成物は、ヒマワリ油エステルクォート及びベニバナ油エステルクォートで、いずれもグリセリドを含んで製造した組成物と同様の性能を示した。この結果は、表1のDia-Stronデータ、さらには例5及び6からの実験結果が、約30%のグリセリドの添加を行わない脂肪酸エステルクォートが20gmfを超えるDia-Stron最大ピーク負荷を有することを示していることから、驚くべきものである。
【0076】
例14:異なる量のCLAエステルクォートと組み合わせたパーム脂肪酸エステルクォートのウェットコーミング性評価
この例では、異なるヘアコンディショニング組成物を製剤して、パーム脂肪酸エステルクォートを異なる量のCLAエステルクォートと組み合わせることによってパーム脂肪酸エステルクォートに添加する多価不飽和を増加させることによる効果を評価した。異なるヘアコンディショニング組成物を、表2の配合を用い、及び異なる組成物中にカチオン性界面活性剤として以下を用いて製剤した。
【0077】
組成物1:100%パーム油脂肪酸エステルクォート
組成物2:75%パーム油脂肪酸エステルクォート/25%CLAエステルクォート
組成物3:50%パーム油脂肪酸エステルクォート/50%CLAエステルクォート
組成物4:25%パーム油脂肪酸エステルクォート/75%CLAエステルクォート
組成物5:100%CLAエステルクォート
ヘアコンディショニング組成物の各々を、Dia-Stron MTT175装置及びウェットコーミング手順を用いて、ウェットコーミング能力について評価した。結果を図14に示す。
【0078】
図14のグラフは、パーム脂肪酸エステルクォート/CLAエステルクォート混合物中のCLAエステルクォートの量を増加することで、より良好なウェットコーミング性能が実現されることを示している。最良のウェットコーミング性は、100%のCLAエステルクォートを含む組成物で実現された。CLAエステルクォート中の脂肪酸鎖の約80%は、リノール酸鎖であり、このことはさらに、エステルクォート中の多価不飽和脂肪酸鎖の量が、改善されたウェットコーミング性能に寄与し得ることを示している。
【0079】
ここでは、本発明の技術を、本発明が属する技術分野の当業者が本発明の技術を実践可能となるように、充分で明確かつ簡潔な言葉で記載している。上述の内容は、本発明の技術の好ましい実施形態を記載するものであること、及び添付の請求項に示される本発明の技術の趣旨又は範囲から逸脱することなく、そこに改変が成されてもよいことは理解されたい。さらに、例は、網羅的ではなく、請求項の範囲内に含まれるいくつかの実施形態を例示するために提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14