(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】生物汚損から表面を保護するのに使用するための誘導電力伝達を有する防汚システム。
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20240118BHJP
B63B 59/04 20060101ALI20240118BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240118BHJP
【FI】
H02J50/40
B63B59/04 A
H02J50/10
(21)【出願番号】P 2021510389
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(86)【国際出願番号】 EP2019075000
(87)【国際公開番号】W WO2020058332
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-07-21
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】レイッセン ヤコブス ヨセフス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ウデン マルテン ヘラルダ ラムベルトス ユスティヌス
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-339044(JP,A)
【文献】特開2003-070170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 - 50/90
B63B 1/00 - 85/00
B63J 1/00 - 99/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用中に汚損条件に曝されるオブジェクトの汚損を低減及び/又は防汚システムであって、当該防汚システムは、前記オブジェクトの少なくとも一部及び/又は当該防汚システムの少なくとも一部への防汚放射を提供するための複数の防汚装置を有し、当該防汚システムはさらに電力伝送システムを有し、
当該電力伝送システムは、
少なくとも1つの誘導放射素子を有する誘導電力放射器と、
少なくとも1つの誘導受信素子を各々が有する複数の誘導電力受信機と、
を有し、
前記誘導電力放射器及び前記複数の誘導電力受信機は、
前記オブジェクトの使用中に互いに対して
変位可能でない固定の構成で前記オブジェクトに取り付けられるためのものであり、それにより、前記電力伝送システムの使用中に電力が誘導的に伝送されることができるように、前記少なくとも1つの誘導受信素子の各々と前記少なくとも1つの誘導放射素子との間の誘導結合を提供し、
前記複数の防汚装置は、当該防汚システムの使用中に前記複数の誘導電力受信機からの伝送された電力を用いて駆動されるように構成される、防汚システム。
【請求項2】
前記誘導電力放射器を含む第1パネルと、前記第1パネルとは別個の複数の第2パネルとを有し、前記第2パネルの各々は、前記複数の誘導電力受信機のうちの少なくとも1つと前記複数の防汚装置のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の防汚システム。
【請求項3】
前記複数の防汚装置の各々が、前記防汚放射としてのUV光を提供するためのUV光源を有する、請求項1または請求項2に記載の防汚システム。
【請求項4】
前記誘導放射素子がそれぞれ電力放射コイルを有し、前記誘導受信素子がそれぞれ電力受信コイルを有し、前記防汚システムが前記オブジェクトに取り付けられたときに、前記電力受信コイルの各々が、前記電力放射コイルの少なくとも1つと少なくとも部分的に重なり合うように、前記誘導電力放射器及び前記誘導電力受信機が構成される、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の防汚システム。
【請求項5】
前記防汚システムが前記オブジェクトに取り付けられたときに、誘導電力受信機の前記少なくともの1つの電力受信素子が、前記少なくとも1つの電力放射素子と少なくとも部分的に重なり合うように、前記複数の誘導電力受信機の各々が構成され、前記複数の第2パネルの各々が、その少なくとも1つの電力受信素子が配置される1つ以上のエッジ領域を有する、請求項2に記載の防汚システム。
【請求項6】
前記誘導電力放射器が電力供給線と電力帰還線とを有し、前記少なくとも1つの誘導放射素子が複数の誘導放射素子を有し、前記複数の誘導放射素子の各々は、並列構成で前記電力供給線及び前記電力帰還線に電気的に接続され、前記誘導電力放射器内で互いに対して直列に配置され、前記複数の誘導放射素子の各々が、前記複数の誘導電力受信機のうちの1つの前記少なくとも1つの電力受信素子のうちの少なくとも1つに誘導結合するように構成される、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の防汚システム。
【請求項7】
前記誘導電力放射器が、前記複数の誘導電力受信機の各々の前記少なくとも1つの誘導受信素子の1つ以上に誘導結合するための少なくとも1つの誘導放射素子を有するか、または、
電力供給線及び電力帰還線を含み、前記1つ以上の誘導放射素子の各々が、前記電力供給線の一部及び前記電力帰還線の一部を有する、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の防汚システム。
【請求項8】
前記誘導電力放射器が、電力供給線及び電力帰還線を有し、前記1つ以上の誘導放射素子の各々が、前記電力供給線の一部及び前記電力帰還線の一部を有し、前記システムが、更なる誘導電力放射器及び少なくとも1つの接続部材を有し、前記誘導電力放射器の前記電力供給線が、前記接続部材を介して前記更なる誘導電力放射器の前記電力帰還線に接続される、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の防汚システム。
【請求項9】
前記誘導電力放射器が前記防汚システム内に配置されたフェライト材料を有し、前記防汚システムが前記オブジェクトに取り付けられたときに前記フェライト材料が前記オブジェクトと前記少なくとも1つの誘導放射素子及び/又は前記少なくとも1つの誘導電力受信機との間にある、請求項1から請求項8の何れか一項に記載の防汚システム。
【請求項10】
前記オブジェクトへの適用のためのコーティング材料を有し、前記コーティング材料が、20以上の比透磁率を有する、請求項1から請求項8の何れか一項に記載の防汚システム。
【請求項11】
前記誘導電力放射器及び/又は存在する場合に前記更なる誘導電力放射器に電力を供給するための電源を有する、請求項1から請求項10の何れか一項に記載の防汚システム。
【請求項12】
通常の使用中に汚損条件に曝されるオブジェクトであって、前記オブジェクトは、請求項1から請求項11の何れか一項に記載の防汚システムを有し、前記誘導電力放射器及び前記複数の誘導電力受信機が、互いに対して固定の構成で前記オブジェクトに取り付けられ、それにより前記誘導結合を提供する、オブジェクト。
【請求項13】
前記防汚システムが、前記誘導電力放射器を含む第1パネルと、前記第1パネルとは別個の複数の第2パネルとを有し、前記第2パネルの各々は、前記複数の誘導電力受信機のうちの少なくとも1つと前記複数の防汚装置のうちの少なくとも1つを有し、
前記複数の第2パネルのそれぞれが、少なくとも部分的に前記オブジェクトの異なる領域に取り付けられるように、前記第1パネル及び前記複数の第2パネルが前記オブジェクトに取り付けられる、請求項12に記載のオブジェクト。
【請求項14】
前記オブジェクトは通常の使用中に部分的に又は完全に水没し、前記第2パネルの各々が1つ以上の耐水性材料を含み、前記耐水性材料によって、その特定の第2パネル内に存在する前記複数の誘導電力受信機の何れか及び前記複数の防汚装置の何れかが、それらを水から保護するために、密閉され、
前記オブジェクトが水線を有し、前記オブジェクトが使用中に前記第1パネルの一部が前記水線上になるように取り付けられることにより、前記誘導電力放射器に電力を供給するための電源が、前記水線上に配置されたガルバニック接続を介して前記誘導電力放射器に接続されることができる、請求項13に記載のオブジェクト。
【請求項15】
前記オブジェクトが、
前記オブジェクトと前記少なくとも1つの誘導放射要素及び/若しくは前記少なくとも1つの誘導電力受信機との間
のフェライト材料、並びに/又は
前記オブジェクトに適用されるコーティング材料、
を有し、前記コーティング材料が、20以上の比透磁率を有する、請求項12から請求項14の何れか一項に記載のオブジェクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防汚システムの負荷に電力を供給するための誘導電力伝達システムを有する防汚システムに関する。本開示はさらに、使用時に汚損にさらされ、そのような汚損防止システムを有するオブジェクトに関する。
【背景技術】
【0002】
生物汚損または生物汚損は、表面、特に海、湖または河川のような湿ったまたは水の多い環境に曝される表面上への、微生物、植物、藻類および/または動物の蓄積である。生物汚損生物の間の多様性は非常に多様であり、フジツボや海藻の付着をはるかに超えて広がっている。いくつかの推定によれば、4000を超える生物を含む1700種を超える種が生物汚損の原因である。生物汚損は、バイオフィルム形成および細菌付着を含むマイクロファウリングと、より大きな生物の付着であるマクロファウリングとに分けられる。生物の定着を妨げるものを決定する異なる化学および生物学のために、これらの生物は、硬質または軟質汚損タイプとしても分類される。
【0003】
石灰質の(硬い)汚損生物には、フジツボ、外皮を形成するコケムシ、貝甲殻類、多毛類および他の管虫、ならびにゼブライガイが含まれる。非石灰質(軟質)汚損生物の例は、海藻、ハイドロイド、藻類およびバイオフィルム「粘菌」である。これらの生物は一緒になって汚損コミュニティを形成する。
【0004】
いくつかの状況において、生物付着は例えば、重大な問題を引き起こす。機械は作動を停止し、水の入口が詰まり、船体は抗力の増加に悩まされ、従って燃料消費が増加する。燃料消費の最大40%の増加は、生物汚損に起因し得ると推定される。大きいの石油タンカーやコンテナ輸送船は燃料を1日最大20万ユーロ消費する場合がある、効果的な防汚方法で大幅な節約が可能である。したがって、防汚、すなわち、汚損の除去または形成の防止のプロセスの話題は周知である。
【0005】
工業プロセスでは、バイオ分散剤を使用して生物汚損を制御することができる。あまり制御されていない環境では、生物がは、殺生物剤を使用したコーティング、熱処理、またはエネルギーのパルスで殺されるか、また撃退される。生物が付着するのを防ぐ無毒な機械的戦略には、滑りやすい表面を有する材料またはコーティングを選択すること、または十分なアンカーポイントを提供しないサメおよびイルカの皮膚に類似したナノスケールの表面トポロジーを作り出すことが含まれる。
【0006】
WO 2014/188347は、損からきれいに保たれるべき表面のすべて、またはかなりの量の表面(例えば、船の船体)が、殺菌光、特にUV光を発する層で覆われている、生物汚損を防ぐためのシステムを開示している。したがって、光に基づく方法を採用すること、特に汚損を低減または防止するために紫外線(UV)光を使用することが知られている。ほとんどの微生物は、十分なUV光によって殺され、不活性にされ、または繁殖できなくなることがよく知られている。この効果は、主にUV光の総線量によって支配される。特定の微生物の90%を死滅させるための典型的な線量は、1平方メートル当たり10mWhである。この点で特に有効なタイプの光は、約100乃至280nmの波長範囲の波長を有するUVC光である。WO2014/188347では、必要なUV光を提供するために、より低出力のUV LEDが使用されている。LEDは一般に、小型パッケージに含まれることができ、他のタイプの光源よりも消費電力が少ない。LEDは様々な所望の波長の(UV)光を放射するように製造することができ、その動作パラメータ、特に、出力電力は、高度に制御することができる。適切な殺菌線量は、既存のUV LEDを用いて容易に達成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既知のシステムでは、船舶に適用される層内に配置された光源に電力を送達する必要がある。これは、オブジェクト(例えば、船体)の大きな不規則な形状の表面への適用を可能にするようにシステムが設計される必要があり、腐食の問題と同様に、潜在的に電気的危険をもたらす可能性がある水中に少なくとも部分的に浸漬された状態で動作するという意味で問題がある。
【0008】
したがって、電気的に動力が供給される、改善された防汚システムが必要とされている。
【0009】
本発明の目的は、上記の必要性を少なくとも部分的に予測することである。
【0010】
本発明者らは、このようなシステムが適用され、動作しなければならない上記の条件は、このような条件に対処するために多数の設計選択を行う必要があることを認識した。保護されたガルバニック電力供給回路を備えた単一要素システムが好ましいであろう。しかし、このようなシステムは、設計し、大きなオブジェクトに取り付けることが非常に困難である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、特許請求の範囲に定義される防汚システムが提供される。
【0012】
本発明者らは、オブジェクトの表面の領域を覆うための複数の防汚パネルを含むモジュール式設計を有する防汚システムが、少なくとも部分的に前述の目的を満たすことを認識した。特に、このことは、防汚パネルをそのような表面の異なる領域に適用することによって、オブジェクト(例えば船体)の大きな表面を覆うことを可能にするのであろう。これにより、システムの取り付けが容易になるだけでなく、覆われることができる表面の形状(湾曲など)や大きさなどの点で、システムの柔軟性が向上する。そのようなシステムをロバストに動作するシステムにするために、電力供給戦略は、特許請求の範囲で定義されるような電力伝送システムによる無線電力伝送に部分的に基づくように選択された。このような伝送システムでは、複数の誘導電力受信機に電力を供給するために、中央誘導電力放射器を使用することができる。したがって、各パネルは、1つのそのような受信機を有することができ、したがって、中央誘導電力放射器によって電力を供給される。これは、広い面積にわたってひろがる負荷(複数の防汚装置)に電力を供給する効果的な方法を提供する。特に、広い面積をカバーするために、複数の受電パネルにそれぞれ1つずつ関連付けられる、少なくとも1つおよび好ましくは複数の電力供給送信機のグリッドが形成されてもよい。誘導電力受信機および送信機は、環境条件(例えば、水)から保護されるように、パネル内に封入されてもよい。したがって、必要に応じて電力を伝送しつつ、腐食の問題を軽減することができる。さらに、電源(例えば、船舶の発電機またはバッテリなど)から誘導電力放射器への中央電力供給は、オブジェクトの水線の上方に設置されてもよく、その結果、例えば腐食の問題を導入することなく、ガルバニック接続がこの目的のために使用されてもよく、一方、水線の下方の電力伝送は無線で行われることができる。コイルのような誘導素子を用いた無線電力伝送の使用は、環境への開口部のないカプセル封入による水密構造を簡単にするだけでなく、防汚システムの適用を容易にする。結局、オブジェクトの一般的に不規則な表面全体にわたる異なる放射器および受信素子のアライメントのわずかな差異は、電力伝送の差異につながるのであろうが、このような誘導設計ではある程度許容できる。
【0013】
電力伝送システムにより、防汚放射を提供するために駆動される電力を防汚装置に供給することができる。駆動は、防汚システムの使用中に連続的である必要はない。駆動は周期的であってもよい。いくつかの実施形態では、伝送された電力のすべてがこの駆動に使用される。他の実施形態ではこの電力の一部のみが、防汚装置を駆動するために使用される。したがって、このような場合、防汚装置の駆動に必要とされるよりも多くの電力が伝送され得る。従って、センサ又はデータ転送装置のような他のデバイスが、余剰電力を用いて駆動されることができる。これらの実施形態に対する変形例では、防汚装置を不連続に駆動するために、すなわち、或る期間の間は駆動し、当該或る期間とは異なる別の期間は駆動しない(又はより低い電力レベルで駆動する)ために電力が使用されることができる。この非駆動期間では、電力が伝送されなくなるか、またはセンサやデータ伝送システムなどの他の駆動されるデバイスに使用されてもよい。このようなものは、例えば、電力を必要とする全ての装置を同時に駆動するのに十分な電力が伝送されていない場合に便利である。
【0014】
好ましくは、防汚システムの防汚装置は、UV光源を含み、特にUVーC光源を含む。そのような場合、UVまたはUVーC光は、防汚放射線を提供する。
【0015】
防汚システムは、複数の受信機が1つの放射器によって電力を供給され得る、物理的に互いに分離された誘導電力放射器および誘導電力受信機からなるモジュラ・システムである。
【0016】
一実施形態では、防汚システムは、誘導電力放射器を含む第1パネル(電力供給パネル)と、第1のパネルとは別個の複数の第2パネル(防汚パネル)とを有し、各第2パネルは複数の誘導電力受信機のうちの少なくとも1つと、複数の防汚装置のうちの少なくとも1つとを備える。
【0017】
防汚パネルは、電力供給パネルよりも大きな領域をカバーすることができる。特に、各防汚パネルは、電力供給パネルから受け取った電力を防汚パネル内の防汚装置に分配する。2つ以上の装置がある場合、これらの装置は、好ましくは防汚パネルの領域にわたって分配される。
【0018】
複数の第2パネルの各々は、好ましくは1つ以上の耐水性材料を含み、それによって、複数の誘導電力受信機のいずれも、およびその特定の第2パネル内に存在する複数の防汚装置のいずれもが密閉される。密閉は、複数の誘導電力受信器および複数の防汚装置を少なくとも液体水から保護する役割を果たす。保護は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、海水のような環境水から完全に遮蔽することを必要とする。これは、電気機器がこのような劣化を起こしやすいため、システムが水中で使用された場合、受信機や防汚装置の腐食や短絡の問題を軽減することができる。耐水性材料の一例は、シリコーンポリマーを含む。別の例は、フルオロエチレンポリマー(FEP)を含む。密閉は多くの形態をとることができ、そのうちの1つは、これらの材料のうちの少なくとも1つに埋め込まれた装置含む。材料は、単一の種類の材料であってもよいが、混合形態または層状形態またはその両方の複合体であってもよい。したがって、例えば、シリコーンポリマーおよびFEPポリマーを有する層のシステムが存在し得る。次いで、装置がシリコーンポリマー中に埋め込まれ得、一方、FEPポリマーはシリコーンポリマーの上部のさらなるカバー層として機能する。
【0019】
防汚システムの一実施形態では、1つ以上の誘導放射素子は、それぞれ電力放射コイルを有し、1つまたは複数の誘導受信素子は、それぞれ電力受信コイルを有し、誘導電力放射器及び誘導電力受信機は、システムがオブジェクトに取り付けられたときに、1つ以上の電力受信コイルの各々が、1つ以上の電力放射コイルの少なくとも1つと少なくとも部分的に重なるように、構成されている。コイルは、誘導結合に使用されるように磁束が集中される内部の(囲まれた)断面積を提供する効率的な電力伝送素子としての役割を果たすことができる。コイルは、例えば、2つ以上、3つ以上、5つ以上の巻線のような1つ以上の巻線を有することができる。放射器コイルは、受信機コイルよりも少ない又は多い巻線を有することができる。コイル(放射器および/または受信機コイル)は、磁束をさらに集中させるためのコアを有する可能性があるが、それ自体は必要ではない。放射器コイルおよび受信機コイルは、同じ断面積または異なる断面積を有する可能性がある。例えば、放射器コイルは、受信機コイルよりも大きな断面積を有し得る。これは、例えば、複数の受信器コイルが1つの同じ放射器コイルから電力を引き出す必要がある場合に有利である。
【0020】
実施形態では、複数の誘導電力受信機のそれぞれは、システムがオブジェクトに取り付けられたときに、それぞれの誘導電力受信器の少なくとも1つの電力受信素子が、少なくとも1つの電力放射素子と少なくとも部分的に重なり合うように構成され、複数の第2パネルの各々は、その少なくとも1つの電力受信素子が配置される1つ以上のエッジ領域を有する。この重なり合いは、誘導結合を最適化するのに有利である。好ましくは、任意の放射素子または受信素子は、本明細書に開示されるようなコイルである。誘導電力受信機を備える第2パネルがある場合、複数の第2パネルの各々は、その少なくとも1つの電力受信機素子が配置される1つまたは複数のエッジ領域(22)を有する。第2パネルの各々は、例えば、誘導電力放射器の上に取り付けられる。誘導電力放射器は、例えば、オブジェクトの表面上に取り付けられ、誘導電力受信機パネルは、誘導電力放射器に重なる。従って、例えばコイルの形の電力受信機素子は、パネルの比較的小さな領域を占め、誘導電力送信機部品とのパネルの重複面積は、システム全体を一般に薄く保つことができるように小さくすればよい。また、誘導電力伝送装置が占める面積は、例えば一次側パネルの一部である場合など、二次側パネルがカバーする面積に対して、小さくすることができる。
【0021】
誘導電力送信器は、少なくとも1つの電力放射素子に電気的に接続するための電力供給線および電力帰還線を備えることができる。電力供給線と電力帰還線の一対を送電線と呼ぶことがある。誘導電力放射器は、低損失につながる低AC伝送線路インピーダンスで設計されることができる。このような線は、部分的または完全な平衡伝送線と呼ばれる。このために、給電線と帰還線は、間にアイソレータを備えて線に沿った規定された一定の距離で並んで走行することができる。これらは単層多導体トラックセットアップにおいて並んで配置されてもよく、または多導体層セットアップにおいて、一方が他方の上になるように配置されてもよい。後者は、電力伝送線のほぼ完全な平衡を提供することができる。
【0022】
防汚システムの有利な実施形態では、少なくとも1つの誘導放射素子が給電線および電力帰還線にそれぞれ電気的に並列構成で接続され、誘導電力放射器内で互いに対して直列に配置される複数の誘導放射素子を含み、複数の誘導放射素子のそれぞれは、複数の誘導電力受信機のうちの1つのうちの少なくとも1つの誘導受信素子のうちの少なくとも1つに誘導結合するように配置される。ここでも、放射器素子および受信器素子は、好ましくは本明細書で定義されるようなコイルである。各誘導電力受信機は、誘導電力放射器の電力放射素子の少なくとも1つ、好ましくは1つに誘導結合されてもよい。
直列に配置されるとは、素子が、少なくともいくつかの重なり合わない部分が存在するように、互いに対して並んで空間的に分配されることを意味する。これは、電力受信機素子がオブジェクトの大きな表面を覆うための最適なアライメントにおいて並んで配置され得るように、効率的な方法で各電力受信機素子に電流を供給する方法である。このようなシステムは、電圧駆動されてもよい。(すべての点で同じ電流を意味する)直列で放射素子を使用すると、50Vrmsのような安全電圧制限内に全電圧を維持することがより困難になるであろう。
【0023】
誘導電力放射器は、誘導電力送信器の一端から少なくとも1つの誘導放射素子に延びる給電線と、前記少なくとも1つの誘導放射素子から誘導電力送信器の前記一端に延びる電力帰還線とを有することができ、給電線および電力帰還線は、前記少なくとも1つの誘導放射素子の一方の側に位置する。従って、複数の誘導放射素子の各々して、給電線及び電力帰還線は、そのような誘導電力放射器の片側に配置される。好ましくは、前記線は、前記複数の誘導電力送信機の同じ側に沿って延びる。このようにして、電力供給線および電力帰還線によって誘導放射素子の位置で引き起こされる磁場(これらの磁場は、並列電気構成による連続するコイルの電流のタップオフの結果として、これらの線の長さに沿って異なる強度である)は、少なくとも部分的に、または実質的に、相殺され、その結果、誘導電力放射器内の1つの誘導放射素子から別の誘導放射素子に向かう、より均一な磁場強度が達成される。
【0024】
防汚システムの別の構成では、誘導電力放射器が、複数の電力受信機素子に誘導結合するための少なくとも1つの誘導放射素子を備え、複数の受電素子は、複数の誘導電力受信機のうちの少なくとも2つの少なくとも1つの電力受信機素子を備える。前記誘導電力放射器は、前記複数の誘導電力受信機の電力受信機素子のそれぞれ1つに結合するための単一の誘導放射素子を備えることが好ましい。したがって、単一の電力放射素子を使用して、一セットの誘導電力受信機に誘導結合する。ここで、各誘導電力受信機への誘導結合およびそれによる電力伝送は、同一であっても、同一に近いものであってもよい。
【0025】
防汚システムの一実施形態では、誘導電力放射器が給電線と電力帰還線とを含み、少なくとも1つの誘導放射素子のそれぞれは、給電線のセクションと電力帰還線のセクションとを含む。ここで、実際のコイルは存在せず、電力受信機素子と誘導結合するために、互いに近接している線の一部のみが、間の合計磁界を提供するために使用されることができる。これは、より単純な設計である。
【0026】
防汚システムの一実施形態では、システムが、さらに1つの誘導電力放射器と、少なくとも1つの接続部材とを更に含み、誘導電力放射器の電力供給線が接続部材を介して更なる誘導電力放射器の電力帰還線に接続される。このような構成では、システムは、一組の誘導電力放射器を有し、各々がそれぞれ複数の誘導電力受信機に関連付けられる。誘導電力送信機の各々は、電力給電線および電力帰還線を備え、誘導電力放射器のうちの1つの電力給電線は、誘導電力送信機のうちの別の1つの電力帰還線に接続される。
【0027】
この設計では、個々の誘導電力送信機は閉じた電力伝送線を有していない。その代わりに、それらは、1つの電力放射コイルの1つの半分と、別の電力放射コイルの1つの半分とを画定する。再び、ストリップの全長にわたって延びる1つの電力放射コイルが存在する。
【0028】
次いで、接続部材は、好ましくは、例えば隣接して配置された誘導電力放射器の第2端部間に設けられ、一方の送信機の電力供給線を隣接する送信機の電力帰還線と共に一方の側に接続し、前記一方の送信機の電力帰還線を隣接するストリップの電力供給線と共に他方の側に接続する。
【0029】
誘導電力放射器は、例えば、誘導放射素子の下に、従って、システムがオブジェクトに取り付けられているときオブジェクトの表面と素子との間に、層又はシートの形態のフェライト材料を含むことができる。例えば、システムが取り付けられるべき表面が例えば船舶の金属船体の場合のように導電性である場合であっても、システム効率を、例えば50%に近くのように、高く保つことができる。フェライト材料は、表面を画定する導電層を通る渦電流を防止するために、例えば、船体のような表面と、誘導変圧器の一次巻線との間にある。このようなフェライト材料は、表面が木材又はプラスチックのような非導電性材料で作られている場合には省略することができる。
【0030】
このシステムがコーティングまたは塗料材料の層の上に取り付けられるように、コーティングまたは塗料材料が表面への適用のために提供され得、ここで、このコーティングまたは塗料材料は、20より大きい(例えば、100より大きい、例えば、200より大きい)比透磁率(μr)を有する。したがって、コーティングまたは塗料材料は、システムと表面との間に配置されることが好ましい。
【0031】
目的は、損失につながる船体内の渦電流の存在を防止または減衰させることである。値が高いほど、性能は良好である。これは、例えば、ポリエステル又はアルミニウム船体が使用される場合であっても、結合係数を改善する。
【0032】
例えば、高い比透磁率は、高い誘電体誘電率をもたらし得る。
【0033】
これにより、(損失を生じる)金属船体内の渦電流を低減する代替手段が提供され、フェライト材料の必要性を回避することができる。コーティングまたは塗料材料は例えば、埋め込まれた強磁性粒子を有する。
【0034】
誘導電力受信機は、例えば、5mm未満、例えば4mm未満、例えば3mm未満の厚さを有する。この厚さは、通常、プリント回路基板(PCB)を含む。
【0035】
誘導電力受信機を含む二次パネルは、2cm未満、例えば1.5cm未満、さらには1cm未満の厚さを有することができる。これは、本明細書において前に定義した密閉材料を含むことができる。
【0036】
複数の防汚装置は例えば、本明細書で前述したような防汚光を提供するための1つ以上の光源を含む。誘導電力伝送システムは、したがって、表面に適用される光ベースの防汚システムの一部であってもよい。光源は例えば、270nm~280nmの波長を有するUV光を放射するためのUVーC LEDのアレイを含む光源構成の一部であってもよい。
【0037】
防汚システムは、電力を誘導電力放射器に送るための電源を備えることができる。電源は例えば、50kHz乃至1MHz、例えば50kHz乃至200kHz、例えば60kHz乃至90kHzの共振周波数を有する共振回路を含む。
【0038】
誘導電力受信機および誘導電力送信機は、それぞれ第1および第2パネルに含まれていてもよく、これらの各パネルは、保護機能およびオプションで光学機能(例えば導光機能)を有するシリコーン材料を含む。
【0039】
第2パネルは、三角形または長方形などの多くの形状を有することができる。それらは0.5m2以上の面積をもつ可能性がある。好ましくは、それらは2.5m2以上の面積を有する。そのようなパネルの側面は、0.1または0.2メートルより大きい、好ましくは0.5メートルより大きい寸法(長さおよび幅)であってもよい。パネルの全ての側面、又はシステム内により多く存在する場合にはそれぞれのパネルの全ての側面が、同じ寸法を有する必要はない。
【0040】
第1パネルの形状およびサイズ(面積)または寸法(長さ、幅)は、表面を保護することができ、さらに覆うことができるように防汚システムでの使用に適している限り、任意であってよい。それらの形状およびサイズは、それらが適用される必要がある表面のサイズおよび形状に従って選択されてもよい。表面は、好ましくは船舶等のような海洋オブジェクトの1つであるので、そのような表面は概して、非常に大きく、すなわち、1m2
.より大きい。
【0041】
第1パネルおよびそれに伴う誘導電力送信器は、任意の形状を有することができ、好ましくは細長く、より好ましくは長方形である。それは、好ましくは0.2メートルより大きいか、または0.5メートルより大きい長さを有する。さらに好ましくは、1メートルより大きい長さである。第1パネルの幅は、その電気部品が収容され得る限り、任意の寸法であってもよい。例えば、0.5メートル以上のように、0.1メートル以上の幅を有することができる。
【0042】
本明細書で前述したシステムは、通常の使用条件下で汚損にさらされるオブジェクトに取り付けられることを意図されている。これは、一般に、システムも少なくとも部分的にそのような条件に曝されることを意味する。
【0043】
したがって、本発明のさらなる態様では、通常の使用時に汚損状態に曝されるオブジェクトであって、誘導電力放射器および複数の誘導電力受信機が互いに対して固定された構成でオブジェクト上に取り付けられ、それによって誘導結合を提供する、本明細書で前述した汚損防止システムを備えるオブジェクトが提供される。固定された構成は、オブジェクトの使用中、システムの部品が変位可能でないことを意味する。これは、例えば、システムの部品の修理又は交換中に生じるような。オブジェクトから取り外すことができないことを意味するものではない。固定は、例えば、ねじ、クランプ、または任意の種類の接着などの多くの方法で行うことができる。
【0044】
複数の防汚装置の各々は、好ましくは防汚放射線としてUV光を提供するためのUV光源を備える。UV光は、微生物のDNAレベルに作用し、このような源に基づくシステムは、従って、広範囲の防汚に作用し得る。
【0045】
オブジェクトの実施形態では、防汚システムが誘導電力放射器(10)を含む第1パネルと、第1パネルから分離される複数の第2パネルとを備え、各々の第2パネルは複数の誘導電力受信機(20)のうちの少なくとも1つと、複数の防汚装置のうちの少なくとも1つとを備え、第1パネルおよび複数の第2パネルは、複数の第2パネルのうちの異なるものが、オブジェクトの異なる領域に少なくとも部分的に取り付けられるように、オブジェクトに取り付けられる。システムのモジュール方式は、第1パネルによって複数の第2パネルに効率的に電力を供給することができる一方で、第1および第2パネルが互いに隣り合ってオブジェクトに固定されて広い面積をカバーするように、システムが取り付けられるオブジェクトの面積を第1および第2パネルがカバーすることを可能にする。第1パネルは、好ましくはこの目的のために細長い形状を有し、第2パネルは、長さ方向に沿ってこの細長い形状から横方向に延びて、ニシン骨のような配置を形成する。
【0046】
一実施形態では、オブジェクトは、通常の使用時に水中に部分的または完全に浸漬するためのものであり、複数の第2パネルの各々は、1つまたは複数の耐水性材料を含み、それによって、複数の誘導電力受信機のうちのいずれかおよびその特定の第2パネル内に存在する複数の防汚装置のうちのいずれかが、水からそれらを保護するために、密封される。オブジェクトは、好ましくは使用中に水、特に海水に曝されるオブジェクトである。このようなオブジェクトには、例えば、スルース、油掘削プラットフォーム、ポンプステーションまたはブイのような建造物、および船舶などが含まれる。海洋オブジェクトは例えば、船舶のような、上述又は以下に記載されるような任意のオブジェクトであってもよい。好ましくは、オブジェクトは船である。すべての場合において、システムは、少なくとも誘導電力受信機(またはそれらがその一部である第2パネル)がこの表面に取り付けられるように、オブジェクトの外面に取り付けられる。好ましくは、誘導電力放射器(またはそれらがその一部である第1パネル)も、外面に取り付けられる。
【0047】
一実施形態では、オブジェクトは水線を有し、第1パネルの一部はオブジェクトが使用されているときに水線の上に留まるように取り付けられ、その結果、誘導電力放射器に電力を供給するための電源が水線の上方に配置されたガルバニック接続を介して誘導電力送信器に接続され得る。電源は、海洋オブジェクトの水線の上方に配置されたガルバニック接続を介して誘導電力放射器に電力を供給するように構成することができる。誘導電力放射器は、好ましくは、上述したようなストリップの形で、水の外側の位置で電源にガルバニック接続することができるように、水線の上方に延在することができ、システムは、負荷に電力供給する際には、水線の下方では完全に囲まれて密封されることができる。
【0048】
したがって、オブジェクトは表面を含み、汚損防止システムは当該表面上に取り付けられる。
【0049】
オブジェクトは、その表面に、およびその表面と汚損防止システムとの間に塗布された、本明細書において上記で定義されたコーティング材料を有することができる。これは、金属船体を有する船舶、または、本明細書で定義するシステムが適用される、表面近くに金属部品を有する他の構造のような、表面近くの導電性材料で作られたオブジェクトに有利である。
【0050】
本発明はまた、開示された防汚システムをオブジェクトに取り付ける方法を提供する。防汚システムおよび/またはオブジェクトの特徴のいずれも、このような取り付け方法を規定するために使用され得る。例えば、システムの少なくとも一部、特に誘導電力放射器がオブジェクトの水線の上方に取り付けられる取り付け方法があり得る。一実施形態では、オブジェクトと少なくとも誘導電力送信機との間に、20より高い誘電率を有するフェライト材料および/またはコーティング材料を適用することができる。
【0051】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、これを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明をより良く理解し、本発明をどのように実施することができるかをより明確に示すために、ここで、単なる例として、添付の概略図を参照する。
【
図1】水と接触する船舶の表面、すなわち船体表面を保護するために船舶に適用される本発明の防汚システムを示す図。
【
図2】誘導電力放射器、パネル及び船の表面の一部を通る
図1のシステムの(水平面における)断面を示す図。
【
図5】一次コイルおよび電力受信機コイルの1つの可能な電気的成を示す図。
【
図6】誘導電力放射器内に電力放射コイル及び電力伝送線を配置する第1の態様を示す図。
【
図7】誘導電力放射器内に電力放射コイルおよび電力伝送線を配置する第2の態様を示す図。
【
図8】誘導電力放射器の給電線および電力帰還線を使用して電力放射コイルを配置する第3の態様を示す図。
【
図9】1つの誘導電力放射器の電力帰還線と別の誘導電力放射器の電力供給線とを、それらが共に誘導放射素子を形成するように配置する態様を示す図。
【
図10】誘導電力放射器および誘導電力受信機パネルが高透磁率塗料層の上に設けられる配置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
特許請求の範囲によって定義される防汚システムの例を、図面を参照して説明する。
【0054】
詳細な説明および特定の例は、装置、システムおよび方法の例示的な実施形態を示しているが、例示のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の装置、システムおよび方法のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面からより良く理解されるのであろう。図面は単に概略的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。また、同じ参照番号が、同じまたは類似の部分を示すために、図面全体にわたって使用されることを理解されたい。
【0055】
図1は、船1の形態のオブジェクトに取り付けられたこのような防汚システムを示す。このシステムは、船舶が使用されるときに、オブジェクトを汚損から保護するためのものである。これは、このシステムが、システムのない船舶と比較して、少なくとも汚損を低減することができることを意味する。この場合の表面とは、船舶の使用に伴い、船舶の水線30より下の部分が水没する可能性があり、それによって汚損にさらされる船舶の船体部分の外側の表面である。
【0056】
一般的に、水線とは、オブジェクトが通常の使用状態にあるときに、例えば船の船体などのオブジェクトの表面が水面に合う線のことである。
【0057】
防汚システムは、一組の(複数の)第1パネル10を含み、各パネルは、誘導電力放射器を含む(または最も単純な実施形態では、各パネルが誘導電力放射器である)。この場合、第1パネル(およびそれと共に電力送信機)は、幅よりも長い長さを有する細長い長方形の形状を有する。それらは、それらの長さ方向が船の水線30に対してゼロでない角度をなすように表面上に取り付けられる。図において、この角度は約90度であり、その結果、第1パネルは、船舶の高さにわたって垂直方向に延びる。それらは、船の長さ方向(船の水線に平行)に沿って空間的に分布している。
【0058】
誘導電力放射器は、従ってパネルは、電力供給線及び電力帰還線のような電力伝送線も含む。それらは、パネルの遠位端の一方からパネルの他方の遠位端まで少なくとも部分的に延びる。パネル10の上側の遠位端(この場合、水線30の上方にある)では、電力伝送線が1つ以上の電力源(図示せず)に接続される。このような電力源は、任意の種類の発電機または電池などであってもよい。
【0059】
誘導電力放射器はそれぞれ、1つまたは複数の組の誘導放射素子を含み、それにより、磁気誘導を介して電力を伝送することができる。この場合、これらの誘導放射素子は、各々1つから5つの巻線を有する電力放射コイルの形をとる。しかしながら、他のものを使用してもよい。
【0060】
一般に、誘導放射素子および誘導受信素子は、磁場を生成するか、または磁場を捕捉し、それによってエネルギーを伝送することができるように、交流を搬送することができる任意の導電性素子を含むことを意味する。このような導体をコイルに巻回し、それらを共通の軸上に近接させて配置することによって、2本のワイヤ間の結合を増大させることができ、一方のコイルの磁場は、他方のコイルを通過する。また、コイル内の鉄やフェライトのような強磁性材料の磁心によって結合を増加させることができ、これは磁束を増加させる。2つのコイルは、変圧器の一次巻線及び二次巻線のように、単一のユニット内に物理的に収容されてもよく、又は分離されてもよい。一組の一次巻線は、ワイヤの1つ以上の巻線を有することができる。一組の一次巻線は、本明細書では電力放射コイルと呼ばれる。したがって、誘導電力放射器は、1つまたは複数の電力放射コイルを含む。
【0061】
防汚システムは、防汚パネルと呼ぶことができる一組(複数)の第2パネル20をさらに含む。それらは、それぞれが船体の表面の異なる領域をカバーするように、空間的に分配された態様で表面上に取り付けられる。この場合には、それらの全てが水線30の下方に取り付けられるが、オブジェクトが使用されるときに波を考慮するために、それらの一部が水線の上方に取り付けられてもよい。この場合のパネル20は、水線に平行な長さ方向と、それに垂直な幅方向とを有する細長い矩形形状を有する。これらは、それぞれのパネルが、表面の少なくとも部分的に異なる領域を覆うように、表面に取り付けられる。この場合、それらは互いに全く重複しない。それらは、船舶に面する第1のパネル表面を有し、それによってそれらは船舶表面に取り付けられ、それに対向した水に面する第2のパネル表面を有する。
【0062】
これらの第2パネルは、それぞれ、それらが関連する第1パネル10のうちの1つまたは複数から電力を受け取るための少なくとも1つの誘導電力受信機を備える。パネル20の各々は、パネル20が関連付けられる1つ以上の誘導電力放射器によって送信され、1つ以上の誘導電力受信機によって受け取られる電力で駆動することによって防汚光を提供するための複数のUV光源を備える。この例における汚損防止光は、少なくとも、水に面するパネル表面に向けられ、その結果、船の使用中に汚損に曝されるこの表面において、汚損が低減または防止され得る。光源は、船舶の表面の一部を覆うパネル20の領域にわたって空間的に分散されるように、光源装置中に配置される。このような防汚システムでは、船の表面が実際には少なくとも部分的にパネル20の表面で構成される。後者が汚損から保護されるので、船体表面も間接的に保護される。パネル及び光源は、防汚光が、例えば船体表面に面する表面においてパネル20を出ることによって、船体表面にも提供されるように構成されてもよいことに留意されたい。したがって、次に、汚損を低減または防止するために、パネルが適用される船の表面、および/または汚損に曝される第2パネルの表面(水に曝されるのはこのパネル表面であるため)が照らされるように、光が提供される。
【0063】
このような防汚パネル20をどのように設計することができるか、および防汚光を提供するためにどのような光源を使用することができるかについてのさらなる詳細は当技術分野で知られており、例えば、WO 2014/188347に記載されている。そこには、汚損から清浄に保たれるべき表面(例えば、船の船体)のすべて、またはかなりの量の表面が殺菌光、特にUV C光などのUV光を放出する層を有するパネルで覆われる、生物汚損を防止するための方法およびシステムが開示されている。ほとんどの微生物は、十分なUV光で殺され、不活性にされ、または繁殖できないことがよく知られている。したがって、光源は、紫外(UV)防汚光を提供するためのものであってもよい。UV光とは、可視スペクトルの下限波長とX線放射帯に囲まれた電磁光の一部である。UV光のスペクトル範囲は定義上、100~400nmであり、人間の目には見えない。CIE分類を使用すると、UVスペクトルは以下の3つの帯域に細分化される:
315乃至400nmのUVA(長波)
280乃至315nmのUVB(中波)
100~乃至280nmのUVC(短波)
【0064】
低圧水銀放電ランプ、中圧水銀放電ランプ及び誘電体バリア放電ランプのような、UVを発生するための種々の光源が知られている。例えば、国際公開第2014/188347号に提案されているような好ましい選択肢は、低コスト、低電力のUV LEDである。LEDは一般に、他のタイプの光源よりも小さなパッケージに含まれ、消費電力が少ない。LEDは、様々な所望の波長の(UV)光を放射するように製造されることができ、その動作パラメータ、特に、出力電力は、高度に制御されることができる。適切な殺菌線量は、既存のUV LEDを用いて容易に達成することができる。
【0065】
パネル20の誘導電力受信機はそれぞれ、誘導電力放射器のコイルから電力を受け取るための1つまたは複数の誘導受信素子を含む。この場合、このような誘導受信素子は、例えば、1コイルあたり1乃至5の巻線の間の複数の巻線を有する電力受信機コイルの形をとる。
【0066】
これらの電力受信機コイルは、1つ以上の第1パネルの1つ以上の電力放射コイルと整列され、電力がそれらの間で誘導的に伝送され得るように、パネル20内に配置される。したがって、電力放射コイルは。変圧器の一方の側として見ることができ、一方、整列された電力受信器コイルは、変圧器の他方の側を形成する。あるいは、異なる表現では、一対の整列された一次および電力受信機コイルが電力伝送のための変圧器を形成してもよい。
【0067】
図1のシステムは、多くの船舶表面の形状およびサイズに対して覆うことができる、1つまたは複数のパネル10と、複数の(防汚)パネル20とを含むモジュール式システムを提供するので、有利である。同時に、効率的で信頼性のある電力伝送を、準中央電力供給パネルから、そのような電力供給パネルに関連する複数の防汚パネルに無線で提供することができる。このシステムおよび電力供給機構は、モジュラ配置を維持または可能にし、同時に、腐食の影響およびパネル間の開放電気接続による結果として起こり得る電気短絡を防止または低減する。モジュール方式はまた、各パネル20が電力供給パネルへの並列接続方式で電力供給されるので、システムに必要な堅牢性を提供する。さらに、システムの設計および機構によって、電力パネル10が水線の上方に伸びることが可能になり、その結果、準中央電力パネル10は、水線の上方の大電流ガルバニック接続を介して、電源に接続されることが可能になる。
【0068】
図示の例では、船の表面18は、少なくとも水線の下で防汚パネルによって実質的に完全に覆われている。防汚パネルは互いに重なり合わないが、必要に応じて隣接するものが重なり合ってもよい。この場合、パネルは、パネルと船舶の表面との間に水が存在しないように、表面に取り付けられる。この目的のために、それらは表面に耐水性接着剤で接着される。したがって、表面18は、パネルによって直接保護され、一方、汚損にさらされたパネルの表面は、その表面に防汚放射線が提供されるために保護される。したがって、パネルによって提供される汚損防止放射線は、汚損に曝されるパネルの表面上の汚損生物の形成を防止することを目的とする。これは、依然として、船体表面を生物付着から保護するためのシステムを形成することとして理解されるべきである(防汚システムがなければ、船体表面が生物汚損を被ることになる)。代替的に又は追加的に、水が船の表面とパネルとの間で船の表面に到達することができるように取り付けられたパネルがあってもよい。このような場合、パネルは、船舶表面および船舶表面に面するパネル表面にも防汚放射線を提供するように構成されてもよい。
【0069】
以下の説明から明らかなように、電力伝送線に複数のコイルが接続されている場合がある。そして、電力放出器コイルおよび電力受信器コイルを組み合わせる多くの構成を、それぞれがその特定の利点を有するように使用することができる。例えば、パネル毎に1つの電力放射コイルが存在し得るか、またはパネル毎に複数の電力放射コイルが存在し得る。各々の場合、各パネルは、パネル10の近くのその位置で利用可能な電力放出器コイルと整列されるように、1つ又は複数の電力受信器コイルを有することが可能である。
【0070】
図2は、船体16の一部および2つの第1パネル10と2つの第2パネル20を含むシステムの一部を通る(水平面における)断面を示す。船体の表面18は汚損から保護されるべき表面であり、この目的のために、第1パネル10および第2パネル20がこの表面18に対して取り付けられる。上述したように、これは、パネル20の表面23が今や、実質的に、防汚に露出された表面になっていることを意味する。システムと表面との間の水は、この例ではパネル20が実質的に水密な態様で表面に取り付けられているので、ここでは無視される。
【0071】
第1パネル10はそれぞれ誘導電力放射器10を有し、その各々は、少なくとも1つの電力放射コイル12を有し、その巻線は、図面に垂直な平面内に延在する。電力放射コイル12が接続されているパネル10内の誘導電力放射器の電力伝送線は図中には描かれていないが、この場合、図の平面に対して垂直に延在する。
【0072】
パネル20の各々は誘導電力受信器20を含み、その各々は、その巻線もまた図面の平面に対して垂直に延びる電力受信器コイルを含む。電力受信機コイルはパネル20のエッジ領域22内に配置され、第1および第2パネルは、電力放出器コイル12が電力受信器コイル24と重複するように、第2部分20のエッジ領域22が第2部分10と重複するように、表面に取り付けられる。これは、第1コイルと電力受信機コイルとの間の、それにより電力送信機と受信機との間の、良好な誘導電力伝送を与えることができる。
【0073】
この場合、船舶の表面から数えられると、パネル20は、エッジ領域においてパネル10の上に重なっている。これはまた、他の態様であってもよい。
【0074】
パネル20はそれぞれ、少なくとも表面23に防汚光を提供するように、光源装置26内に配置された1つ以上の光源を有する。パネル10によって無線で伝送された電力は、パネル20によって、装置26内の光源に電力を供給するために使用される。
【0075】
現在の例では、船体はスチール製であり、その中で電力伝送中にコイルの位置で渦電流が発生し得る。このような渦電流は電力伝送の効率を低下させる可能性がある。このような効率の損失を低減または防止するために、第2パネル10は、電力放射コイルと船の船体16の金属との間にフェライトシート14の形態のフェライト材料を有する。フェライト材料は、船体16の金属内の渦電流を減少させ、又は妨げることができ、それによって、エネルギー伝送の効率を高める。この目的のために、高誘電率材料を使用することもできる。渦電流が顕著に発生しない場合には、例えば、船体がプラスチック又は木材のような非導電性材料で作られている場合には、このようなフェライト材料または他のソリューションは必要でないことは明らかであろう。
【0076】
電力放射コイルは、プリント回路基板(PCB)上またはその内部に形成されてもよく、プリント回路基板(PCB)は次に、誘導電力放射器および/または電力伝送線の一部であってもよい。同様に、電力受信機コイルは、誘導電力受信機のPCB上またはPCB内に形成されてもよい。光源装置は、電力受信機コイルのPCBとは別個であっても同じであってもよいPCB上に形成されてもよい。図示される構造を簡単にするために、PCBは図に示されていない。したがって、PCBは、それぞれのパネルの一部でもある。
【0077】
パネル内に、例えば、コイルおよび光源ならびに電子電源供給回路の他の部分をパネル内に有する、単一の共有される可撓性PCBが存在してもよい。そのような可撓性パネルは、次いで、それらが搭載される表面の輪郭に適合することができる。その代わりに、パネル内に別々のPCBがあり、それらの間に電気接続が存在してもよい。
【0078】
PCBの形態の電気回路は便利であるが、使用する必要はない。電気回路を作る他の方法も同様に使用することができる。
【0079】
パネル回路の部分はPCBを使用して作られてもよいし、他の部分は異なる態様で作られてもよい。例えば、光源装置は、分散された光源を有するPCBの代わりに、ワイヤグリッド構造として形成されてもよい。これは、PCBが電力受信機コイルにのみ必要であるため、PCB面積を減少させる。さらなる変形例では、パネル回路全体がPCBを含まず、他の技術で作られる。
【0080】
誘導電力放射器10の電力放射コイルには、例えば、システムの動作中に100kHz乃至150kHzのAC電力(正弦波)を供給することができる。電力伝送線の位置における船体16への容量性漏れ電流を補償するために、これら(およびそれに伴う誘導電力放射器)に、ローパスフィルタを実装するためのコンデンサをさらに設けてもよい。これは、例えば、AC供給を生成するために高効率スイッチ増幅器が使用される場合に関心が持たれる。このような場合、ローパスフィルタは、増幅器の残差高周波高調波をフィルタリングするために使用される。
【0081】
代替案は、AC供給を生成するために共振回路を使用することである。例えば、各電力伝送線路(誘導電力放射器)は、60kHz乃至90kHzの範囲の共振を有する、容量性共振回路に基づく共振回路を含むことができる。
【0082】
一般に、動作周波数(共振または駆動)は、50kHz乃至1MHzの範囲、例えば50kHz乃至200kHz、例えば60kHz乃至90kHzであってもよい。
【0083】
図3は、パネルの例示的な配置およびそれらの重なりを示す。
【0084】
図2の例では、パネル10が一方の側面のエッジにおいて関連するパネル10と重なっている。
図3では、パネル20が両側のエッジでパネル10に重なり合い、各パネル10は、その長さに沿って配置された、例えば水平に隣接する12aおよび12bなどの、電力放出器コイルの対を有する(長さは図面の面において垂直である)。対の一方のコイル、例えば12aは、一方の側面で第2パネル20に給電するためのものであり、対の他方のコイル、例えば12bは、他方の側面で第2パネル20に給電するためのものである。このようにして、各第2パネル20は2つの側面から、従って2つの異なる第1パネルから、電力供給される。この原理は、およそ平行に延びる第1パネル10の組の代わりに、第1パネルのグリッドが使用されるとき、2つより多い側に拡張され得る。これにより、第1パネル10および/または第2パネル20の損傷に対してシステムをより冗長にすることができる。
【0085】
第1パネル10の全ての電力放出器コイルは同じ位相を有することができ、これは、システムの電気的冗長性に寄与する。光源装置26は、第1パネルの誘導電力放射器内の電力伝送線が破断された場合でも、その全体が機能することができる。その点において、誘導電力放射器及び電力伝送線は、通常レベルより2倍増加したレベルで電力を伝送するように設計されることができる
【0086】
したがって、パネル当たり1つのコイルアセンブリ(すなわち、電力放射コイルおよび電力受信機コイル)(
図2)、またはパネル当たり2つのコイルアセンブリ(
図3)が存在してもよい。パネルのさらに別の側面に2つを超えるコイルアセンブリを有してもよい(図示せず)。
【0087】
防汚システムの第1パネルおよび第2パネルは、部品、特にシステムの電力供給に関与するシステムの電気部品を保護するための密封材料を含む。すなわち、システムが使用されているときに通常水にさらされるシステムの全ての部分は密閉される。したがって、本明細書で上述した例では、パネルが電力を受け取り、光源を駆動する役割を果たすその電気回路を密閉するそのような密閉化を含む。この場合の密閉化は、例えばコイル、電力伝送線及びPCBを含む全ての電気部品のためのものである。例外は、おそらく、パネル内のセンサ装置、または少なくとも感覚機能を提供することができるように水とのガルバニック接触を必要とするセンサ装置の部分であり得る。しかしながら、好ましくは、システムにおいて、ガルバニック電気的接触を必要としないセンサ原理に基づいて動作するセンサが使用される(例えば、容量性など)。密閉化は、システムのこれらの電力供給部品および駆動回路に水が到達することを防止するか、または少なくとも低減する。密閉化は、全ての電気部品が埋め込まれる材料の形であることができる。この材料は、少なくとも低減された水浸透特性を有する水密材料と呼ばれる場合がある。したがって、このパネルは、水密パネルと呼ばれることがある。この目的のための適切な材料は本明細書において以下に記載されるが、1つのタイプはシリコーンポリマーに基づく。
【0088】
システムのパネル10はまた、コイル、電力伝送線およびPCBまたは他のものを含む誘導電力放射器を密閉するための密閉材料を含む。しかしながら、パネル10の外側にある電源に接続するためのガルバニックコネクタがあってもよい。その場合、そのようなコネクタまたは接続部は、好ましくは船舶の使用中に水中に沈まない表面部分、したがって、例えば、水線の上方に配置されるそのようなパネル10の位置にある。
【0089】
このような密閉されたモジュラーシステムでは、ストリップからパネルへ、またはその逆(必要であれば)に、あるいはパネル間で電力を供給するためのガルバニック電気的接触はない。したがって、密閉は腐食を低減または防止することができ、電力はモジュール式システムの異なる水密部分に都合良く供給され得る。同時に、船体のような保護すべき表面領域を効率的にカバーするための有利なセットアップを提供するために、システムのモジュール性が維持される。
【0090】
例えば
図1に示すように、防汚システムは、船舶の表面を覆うための複数の第1パネル10およびパネル20を有する。例えば、第1パネル10の誘導電力放射器に結合されたパネル20は、2個より多くても、5個より多くても、10個より多くても、20個より多くても、あるいは50個より多くてもよい。表面を覆う最も簡単な構成では、1つの第1パネル10と、そのパネルによって給電される、1つの第1パネル10にそれぞれ関連付けられる複数の第2パネル20とが存在する。しかしながら、
図1の例では、複数の第1パネル10が存在し、複数の第2パネル20がこれら複数の第1パネル10の各々に結合されている。
【0091】
このようなモジュラーシステムを用いて、表面へのシステムの適用は、単一要素システムに対して容易にされ得るか、またはより便利であり得る。また、(船の船体で起こり得る)湾曲した表面のような不規則な及び/又は平坦でない形状の表面も、より容易に覆うことができる。変圧器のコイルのアライメント(一次コイルと電力受信機コイルのアライメント)の自由度は、この点で有益であろう。しかしながら、このような自由度は、いったん適用されると(修理の状況とは別に)固定された位置または構成に保持されるべきであるので、表面またはオブジェクトへのシステムの適用中にのみ必要とされることに留意されたい。第1パネル10あたりの第2パネル20の数および/または表面積あたりのパネル10および20の数は、一方ではパネルの形状、面積よび寸法に基づいて、他方ではカバーされるべき表面の綿製および寸法に基づいて、必要に応じて選択されることができる。このシステムにより、防汚システムの柔軟な設計オプションを実現することができる。
【0092】
図示の例では、第1パネル10、従って誘導電力放射器10及び含まれる電力伝送線は、船舶の側面に沿って実質的に垂直な向きに延びている。第2パネル20は、このような第1パネル10の長さ方向に沿って連続的に配置され、この長さ方向に対して実質的に横方向に延びる。しかしながら、パネルの任意の適切な配置が可能である。第1のパネルは互いに平行であってもよいが、そうである必要はない。それらは、船の水線に対して90度未満の角度をなすことができる。それらは、船の水線に平行であってもよい。それらは、直線状である必要はなく、1つ以上の湾曲部または屈曲部を有することができる。これは、本質的に平坦でない表面への適用に有利であり得る。このような場合、パネルは、本質的に平坦でない表面の被覆というこの目的を果たすように適合された形状を有することもできる。パネル10は、例えば、溶接シーム及び/又は船体の他の表面凹凸を覆うことができる。すべての場合において、船舶が使用されているときに、船舶発電機のような一般的な電源への接点が非水中領域に位置することを可能にするために、第1パネルを水線の上方に延在させることが有利であり得る。
【0093】
図4は、本例では側面放射型のUV-C LEDである複数の光源40を有する第2パネル20の構造の一例の断面を示しており、光はLEDの側面から主として放射され、表面52におおよそ平行である。他の構成も機能し得る。光源40は密閉され、この場合、それ自体は必要ではないが、光源40から放射された光44の少なくとも一部を、光学媒体又は材料を通して全内部反射を介してガイドするために、光学媒体又は材料42に埋め込まれる。光は、少なくとも水に曝されるネルの表面52に向かってガイドされるが、表面52に対向する表面のような他の表面又は部品にガイドされてもよい。この媒体または材料は、本明細書で前述した水密封止材料と同じであってもよく、同じであることが好ましい。再び、適切な材料を以下に記載する。
【0094】
内部全反射を妨害し、光を散乱させ、次いで、散乱光48を光学媒体42から、生物汚損生物が存在する領域である光の標的に向かって導くために、光学構造46が設けられる。これらの光学構造は必ずしも必要ではない。
【0095】
表面52上の生物付着生物は、散乱光48を、それが水に入る前に直接受け取り、その結果、光は、当技術分野で記載されているように、生物の重要な生化学的成長メカニズムを破壊することによって、その防汚効果を発揮することができる。特に、UVーC光は、この点において有効であることが見出されている。
【0096】
光学媒体は比較的薄いので、パネルは、例えば3cm未満、好ましくは2cm未満、さらには1cm未満の厚さを有する二次元構造と見なすことができる。光を散乱させるための光学構造46は、光学媒体材料の1つ以上の部分に、おそらくはその全体にわたって分布してもよく、光出力は、概して均一であるか、さもなければ局所化されてもよい。
【0097】
異なる構造特性を有する内部散乱中心を組み合わせて、摩耗及び/又は衝撃に対する耐性等の光学的及び構造的特性を提供することができる。適切な散乱体は不透明なオブジェクトを含むが、大部分が半透明なオブジェクト、例えば、小さい気泡、ガラスおよび/またはシリカを使用することもでき、必要条件は単に、使用される波長に対して屈折率の変化が生じることである。
【0098】
光を導き、光を表面にわたって分散させる原理はよく知られており、様々な分野で広く応用されている。ここで、この原理が防汚の目的でUV光に適用される。
【0099】
内部全反射の条件を維持するために、導光材料の屈折率は、周囲の媒体の屈折率よりも高くなければならない。しかしながら、光ガイド上の(部分的な)反射コーティングの使用、および/または、保護される表面、例えば船の船体自体の反射特性の使用は、光を光学媒体を通して案内するための条件を確立するために使用することもできる。
【0100】
上の例では、パネルが、保護されるべき表面(この場合のオブジェクトの表面は船体の外表面である)の上に新しい表面を形成し、光は、保護されるべき表面から外向きに導かれる。しかしながら、代替案は、パネルが保護されるべき表面上に間隔を置いて配置され、保護されるべき表面に向かって光を戻すことである。パネルが、その一方が水に面し、一方が船体表面に面するその対向する表面にそれらの放射光を向けることができるという点で、これら2つの組み合わせが可能である。
【0101】
次いで、パネルの光源装置と保護されるべき表面との間に小さな空隙を導入することができる。この光学媒体が光導波材料として設計されている場合であっても、UV光は、光学媒体中よりも空気中において、より少ない吸収で、伝播することができる。
【0102】
ほとんどの材料は、UV光に対して(非常に)限られた透過率を有するので、光学媒体の設計において注意が払われなければならない。その結果、光が光媒体を伝播するのに必要な距離を最小限に抑えるために、比較的細かいピッチの低出力LEDを選択することができる。
【0103】
一例では、光学媒体42は、シリコーンベースの材料と、良好なUVーC透過性を有するように設計された材料とを含む。
【0104】
固体による密閉が使用されることができ、この場合、
図4に示すように、パネルの一部が封止材に埋め込まれる。しかしながら、代わりに、中空構造が使用されてもよく、例えば、保護される表面からわずかな距離を保つスペーサを備えたシリコンマットのようなものが使用される。 これにより、空気のチャネルが生成され、UV光がより高い効率で伝播できる。そのような構造によって提供される気体充填チャネルの使用は、さもなければ汚損防止に有用であるには強すぎるUV光を吸収するであろう材料の光学媒体中をかなりの距離にわたってUV光を分配することを可能にする。同様に、別個のポケットを形成してもよい。
【0105】
図5は、防汚システム、例えば
図1のシステムの電気的構成を示す。
【0106】
システムは、電力を誘導電力放射器に供給するための電源を含む。電源は、ACドライバ60と、同調コイル62と、同調キャパシタ64とを含む。電源は、ケーブル66によってシステムの誘導電力放射器10に接続する。特に、ケーブルリードは、電力伝送線の電力供給線70及び電力帰還線72に接続する。電力伝送器と電源との間のこの接続は、現在ではガルバニックで、このようなガルバニック接続は、水のある状態での腐食を受けにくい船舶の水線の上で行うことができる。図示の構成では、誘導電力放射器10は、電力伝送線に沿って一列に物理的に配置されて電気的に並列接続された一組の電力放射コイル12(5つが示されている)を有する。
【0107】
パネル(そのうちの一つのみが明確さのために示されている)は、(一番上に示された)電力放射コイル12に位置合わせされ、したがって磁気的に結合された電力受信機コイル24を含む。コイルは、図面では互いに隣り合って示されており、これは実際には現実の状況であり得るが、好ましくは、コイルは、本明細書で前述したように、互いの上にあるように設計され、配置される。
【0108】
例えば10個を超えるような多くの第2パネルを駆動するための長い電力伝送線の場合、電力伝送線は、少なくとも部分的にバランスされ、より好ましくは完全にバランスされる。バランスされた伝送線は、同じタイプの2つの導体からなる伝送線であってもよく、その各々はその長さに沿って等しいインピーダンスを有し、接地および他の回路に対して等しいインピーダンスを有する。そして、この電力伝送線はバランスされた伝送線として挙動し、Hブリッジのようなバランスされたドライバで駆動することができる。これは、電磁両立性(EMC)およびドライバに対して利点を有しており、これは、例えば、PCBリード、すなわち電力伝送線の電力供給線リードおよび電力帰還線リードの両方が、船体および水に対して同じインピーダンス(例えば、同じ静電容量)を経験することができるからである。バランスの取れた状況では、駆動周波数での放射挙動を悪化させるEMC漂遊場がバランスする。これにより、アンテナの効率が向上する。
【0109】
バランスされた電力伝送線は、伝送線に沿って正確に一定の相互距離で保持された2つの導体ストリップを有し、導体ストリップ間に絶縁体を備えたツインリードの形で作ることができる。これは、単一金属層PCBの使用を可能にし、システムに薄いソリューションを提供することができる。代替的に、または追加的に、電力伝送線は、絶縁体層を間に挟んで互いに重なる2つの金属導体を含むツインリードとすることができる。この場合も、それらの間の距離は、導体長に沿って一定の値に保たれる。このような場合、電力供給線は、使用時にオブジェクト表面に取り付けられたシステムの表面に対して、電力伝送線の電力帰還線の上にあるか、またはその逆であってもよい。
【0110】
また、2層PCB設計を使用して、電力伝送線に接続される巻線が存在することになるので、導体内のクロスオーバーを、例えばコイルの近くに形成することを可能にしてもよい。
【0111】
図6は、電力供給線70が電力放射コイルの片側を下り、電力帰還線72が電力放射コイルの反対側を下る配置を示す。接続に必要な交差が少なくて済む。しかし、コイル内の磁場は、電力供給線と電力帰還線を通る電流が共に、コイルの内側の領域で加算される、すなわちコイルの磁束に加算される磁場を発生させるので、ここでは、電力供給線を通る電流に依存する。電流が電力供給線に沿って通過するとき、電流は各コイルで順番にタップオフされ(したがって、コイルC1はコイルC2よりも前にタップする)、その結果、流れる総電流は電力供給線に沿った位置に依存する。例えば、1つの位置では、電流はNI
COILであり、ここで、I
COILは各々の電力放射コイルによって引き出される電流であり、電流が依然として供給されるべきN個のコイルが存在する。次のコイルを過ぎると、電流は(Nー1)I
COILである。したがって、特定のコイルに磁界を生成させる電流は、コイルの位置の関数である。その結果、特定のコイル内の電力伝送は、誘導電力放射器(またはそれがその一部であるパネル)に沿ったその特定のコイルの位置の関数である。これは、異なる電力放出器コイルによって駆動される異なる電力受信器コイルが異なる電圧または電流に駆動され得ることを意味する。ある場合にはこれは利点であるが、他の場合には欠点であり得る。
【0112】
図7は、この欠点に対処するための第1のアプローチを示す。誘導電力放射器10は再び、電力伝送線の長さに沿って物理的に直列に配置された、電気的に並列な複数の電力放射コイル12(C1およびC2が示されている)を有する電力供給線70は、給電線の一端から複数の電力放射コイルに延び、電力帰還線72は、複数の電力放射コイルから給電線の前記一端に延びる。この場合の電力供給線と電力帰還線は並んでおり、この場合、電力放射コイルの片側である。この場合、複数の電力放射コイルの同じ側であるが、これはそれ自体必要ではない。このようにして、(コイル間の電流のタッピングオフの結果として、それらの長さに沿って異なる強度を有する)電力供給線および電力帰還線によって引き起こされる磁場は、電力放射コイル位置で実質的に相殺される。その結果、電力放射コイル内でより均一な磁場強度が達成される。
【0113】
この構成は、例えば、電圧が安全レベルを超えないことを確実にするために、電圧制御されたドライバで駆動されてもよい。
【0114】
図8は、
図6の不均一な電力伝送に対処するための第2のアプローチを示しており、誘導電力放出器10は、送信器またはパネルの長さに沿って延在する単一のコイルを備えている。コイルが給電線の機能も果たすかのようなものである。次いで、単一コイルは、この誘導電力放射器に関連付けられるか、またはそれにより駆動される複数の誘導電力受信機パネルの電力受信機器コイルに磁気結合するためのものである。従って、給電線の端部における接続ブリッジ74を備えた電力供給線70及び電力帰還線72から形成される単一の電力放射コイルが、一組の電力受信器コイルに磁気的に結合するために使用される。このようにして、各電力受信器コイルへの磁界結合は、同じかまたはほぼ同じである。
【0115】
単一のコイルの使用は、電力受信機コイルを電力放射コイルと整列させる必要がある垂直及び/又は角度の精度を緩和する。この構成は、例えば、電圧電流制御ドライバまたは電流制御ドライバで駆動されることができる。1つの電力放射コイルのみを使用することは、電流駆動もオプションであるように、電圧がより容易に制御されることを意味する。電力放射コイルは再び、1乃至5のような複数の巻線を有することができる。
【0116】
図9は、
図6の例に関連して上述した不均一な駆動の欠点に対処するための第3のアプローチを示す。この第3のアプローチでは、誘導電力放射器が電力伝送線10a、10bの形態の一組の導電性要素を含む。各給電線は、給電線に沿ったそれぞれの位置から横方向に各々が延びるそれぞれの複数の誘導電力受信器パネルと関連付けられる。給電線10aは、パネル20aおよび他の行(図示せず)を形成する他のパネルに関連付けられる(そしてそれらに電力を供給する)。供給ライン10bは、パネル20b及び他の行(図示せず)を形成する他のパネルに関連付けられる(そしてそれらに電力を供給する)。
【0117】
各給電線10a,10bは、電力供給線70a,70bと、電力帰還線72a,72bとを備えている。電力供給線および電力帰還線は、それぞれ、給電線の第1の端部(
図9の上部)から給電線の第2の端部(
図9の下部)まで延びている。任意の所与の電力伝送線の電力供給線および電力帰還線は、電力を伝達することができる導電性要素の部分を形成する。結局、それらの隣接する部分はそれらの間に磁場を生成し、それらは合計され得る。
【0118】
したがって、この実施形態では、個々の給電線はコイルを有していない。その代わりに、それらは、1つの電力放射コイルの1つの半分(例えば、供給部)と、別の電力放射コイルの1つの半分(例えば、帰還部)を定義する。再び、1つの準電力放射コイル(実際の巻線は形成されない)が存在し、これは、一対の給電線の全長にわたって延びる。
【0119】
隣接する給電線の第2端部間には、一方の給電線10aの電力供給線70a等と隣接する給電線10bの電力帰還線72b等とを一方側(
図9では右側)で接続し、するための接続部材76が設けられる。前記一方の給電線10aの電力帰還線72a等と隣接する給電線10bの電力供給線72b等とを他方側(
図9では左側、図示せず)で接続するための接続部材76が設けられている。連結部材はパネルから離れている。接続部材76によって生じる漏れインダクタンスは、給電線の第1(上部)端におけるキャパシタで同調させて、装置全体を抵抗負荷として機能させることができ、それによって、ブラインド電流を打ち消すことによって効率を改善することができる。
【0120】
第1の電流I1は、電力供給線70aを下に流れ、電力帰還線72bを経て帰還する。電力受信機コイル24は、一対の隣接する給電線および電力帰還線と、これらの給電線の磁場が加算される位置で、重なる。したがって、電流が大きなループで流れるが、電力受信機コイル24への磁気結合は、局所的な反対向きに流れる電流による。
【0121】
電力供給線の磁場を所望の位置で合算させるために反対方向に局所電流(例えばI0およびI1)が流れることを確実にするために、隣接する大きなループは互いに位相がずれて駆動される。
【0122】
この第3のオプションの構成は、表面への取り付けがより容易であり得る。
【0123】
上記の例では、電力受信機コイルが電力放射器コイルと重なるようにするために、第2パネル20は第1パネル10と重なる。これにより、水に曝される構造体と電源との間にガルバニック絶縁が提供される。パネルはまた、下にある給電線を保護する。その代わりに、またはそれに加えて、第1パネルを第2パネルの上に設けることができる。別個の電気絶縁を(例えば、給電線の上部に)設けることができる。その場合、ストリップの表面は、生物付着の影響を受けやすく、そのため、給電線を通る透過によって、またはパネル内の反射もしくは導波路伝播によって、または第1の部分に光源を追加することによって、光が給電線の表面に到達することが保証されるべきである。
【0124】
したがって、上記の例では、誘導電力放射器およびパネルは、ともに、いずれかの順序で、表面上に取り付けるためのものである。
【0125】
あるいは、パネルのみが表面の上に取り付けられる。ストリップは、依然として、電力放射器コイルが電力受信器コイルと整列するようにオブジェクトに適用されるが、同じ表面には適用されない。例えば、ストリップは船体の内側に適用され、そして、船体を通して電力が伝送される。木製またはプラスチック製の船体は、このように機能することができる。あるいは、船体が電力放射コイルを収容するための穴を有することができる。
【0126】
上述のように、上記の例のいくつかは、渦電流を低減するために巻線の下のフェライトシート14を使用する。
図10に示す代替例は、表面上の塗料材料100の上に誘導電力放射器10および誘導電力受信器20を設ける。塗料材料は、20を超える、例えば100を超える、または200を超える比透磁率を有するように、強磁性または他の高透磁率粒子を含む。この渦電流を防止するための付加的な層は省略されてもよい。例えば、船体がそのような電流を提供する傾向が少ない場合。これは木製またはプラスチック製の船体の場合であろう。
【0127】
高透磁率塗料がフェライト層の代替として機能できる。それは良好な絶縁特性を有するが、磁場を伝導する。したがって、それは磁場を形作るように機能するが、船体のような下層の導電層における誘導電流を防止する。
【0128】
生物汚損防止システムへの本発明の適用のために、典型的な二次側電流は0.1Aであり、典型的な所望の二次側電圧は約40Vである。安全のために、(単なる一例として)50V rmsの最大電圧を考慮してもよい。システムは、誘導結合のすべての特性と電流の拡がりを考慮して、この最大電圧以下で設計されまたは動作する。所定の動作電圧に対して、必要な電流は必要な電力に依存する。電圧を高くすると電流が低くなり、逆も同様になる。
【0129】
例えば、給電線は、1mm未満、例えば、0.5mmの厚さのPCBを利用し、約3mmの成形構造の厚さを作成する。
【0130】
パネルは例えば、PCBの厚さが0.8mmであり、シリコーンが5mm未満、例えば、2mmから4mmの範囲の総厚さを有する。
【0131】
パネルは、三角形または長方形のような多くの形状を有することができる。それらは0.5m2以上の面積をもつ可能性がある。好ましくは、それらは2.5m2以上の面積を有する。そのようなパネルの側面は0.1または0.2メートルより大きい、好ましくは0.5メートルより大きい寸法(長さおよび幅)であってもよい。パネルの全ての側部、又はシステム内により多く存在する場合には異なるパネルの全ての側部が、同じ寸法を有する必要はない。パネルは例えば、(水平行方向に沿った)1m乃至5mの範囲の長さおよび(垂直列方向に沿った)50cm乃至150cmの範囲の高さを有する。例えば、小さなパネルの寸法は、600mm×1200mmであってもよく、大きなパネルの寸法は1m×4mであってもよい。カバーされるべき例示的な領域、例えば船体の側面は、長さ100m×高さ10mのオーダーであってもよい。しかし、これは全て、カバーされる表面のサイズ、従って、オブジェクトのサイズに依存し得る。
【0132】
ストリップおよびパネルの形状およびサイズ(面積)または寸法(長さ、幅)は、表面を保護または覆うカバーすることができるように防汚システムでの使用に適している限り、任意であってよい。それらの形状およびサイズは、それらが適用される必要がある表面のサイズおよび形状に従って選択されることができる。表面は、好ましくは船舶、船舶等のようなオブジェクトの1つので、そのような表面は概して、非常に大きく、すなわち、1m2
.より大きいか、または非常に大きい
【0133】
第1パネル10は任意の形状を有することができるが、好ましくは細長く、より好ましくは長方形でもある。それは、好ましくは0.2メートルより大きいか、または0.5メートルより大きい長さを有する。さらに好ましくは、1メートルより長いか、または5メートルより長い長さである。第1パネルの幅は、例えばコイル及び/又は電力伝送線のようなその電気部品を収容することができる限り、任意の寸法とすることができる。これらは、次の値のいずれかより幅を広くすることができる。0.1 メートル、0.2 メートル、0.3 メートル、0.4メートル、 0.5 メートルまたはそれ以上。
【0134】
汚損防止の実施は、少なくとも部分的に水中に沈められるオブジェクトに関心があり、ここで、水とは、河川、湖または海水などの生物汚損生物を含むことが知られている任意のタイプの水を意味する。海洋オブジェクトの例には、船および他の船舶、海洋ステーション、海上油またはガス設備、浮力装置、海上風力タービンの支持構造、波/潮力エネルギーを収穫するための構造、シーチェスト、水中工具など、およびこれらのすべての部分が含まれる。生物汚損防止のために、システムは、ロックドア、食品産業におけるサイロタンク、および飲料水容器に適用されてもよい。
【0135】
本発明の防汚用途は、広範囲の分野に適用されることができる。天然の水と接触するほとんどのオブジェクトは、時間の経過とともに生物汚損を受ける。これは、例えば、淡水化プラントの注水口、ポンプ場のブロック配管の妨げとなり得、又は屋外プールの壁及び底部を覆うことさえある。これらのアプリケーションの全ては、ここで提供される方法、照明モジュール及び/又はシステム、即ち、表面領域全体の生物付着を防止する有効な薄い追加の表面層から利益を得るであろう。
【0136】
好ましい例では、光源は上述したようにUV LEDである。UV LEDのグリッドは液密封入体内に封入することができ、そのシリコーンは一例に過ぎない。UV LEDは、直列および/または並列配置で電気的に接続されてもよい。UV LEDは例えば、パッケージ化された表面実装LEDであり、その場合、それらは、既に、広い放射角度にわたってLEDパッケージから発せられる光を分配するための光学素子を含んでもよい。他の実施形態では、UV LEDは、典型的には光学素子を含まないが、パッケージ化されたLEDよりも著しく薄いLEDダイであってもよい。一例として、LEDダイをピッキングし、光学媒体の表面上に配置することができる
【0137】
密閉材料および/または光学材料として使用することができるシリコーン材料は、他の材料と比較してほとんど損失なくUV光のための光透過を提供するように選択することができる。これは、特に、より短い波長の光、例えば300nm未満の波長を有するUV光の場合に当てはまる。シリコーン材料の特に効率的なグループは、一般化学式CH3[Si(CH3)2 O]n Si(CH3)3による、いわゆるメチルシリコーンであり、または少なくともそれを含み、「n」は任意の好適な整数を示す。
【0138】
シリコーン材料はまた、柔軟で弾力性があり、その結果、それらは、頑丈で、耐久性があり、表面に対するオブジェクトの衝突、衝突などによる圧縮、例えば、岸壁に対する船の衝突に耐えることができる。また、温度変動による変形、波打ち、うねり上での船の屈曲等に対応することができる。
【0139】
密閉化は、この新しい光ベースの防汚システム分野において現代技術で知られているように、層状にすることができる複数の材料を有することができる。
【0140】
1つ以上の光源によって放射される光の少なくとも一部は、保護されるべき表面に実質的に平行な成分を有する方向に広げられてもよい。これは、保護される表面、または箔の適用表面に沿って有意な距離にわたって光を分配することを容易にし、これは防汚光の適切な強度分布を得ることを補助する。
【0141】
波長変換材料が光学媒体に含まれてもよく、汚損防止光の少なくとも一部は、波長変換材料に別の波長で汚損防止光を放射させる第1の波長を有する光で波長変換材料を光励起することによって生成されてもよい。波長変換材料は、アップコンバージョン蛍光体、量子ドット、1つ以上のフォトニック結晶ファイバなどの非線形媒体として提供されてもよい。UV光とは異なる、大抵はより長い波長の光に対する光学媒体内の吸収損失および/または散乱損失は、光学媒体内ではあまり目立たない傾向があるので、非UV光を生成し、それを光学媒体を通して透過させ、その使用の所望の位置またはその近くでUV防汚光を生成する(すなわち、表面から液体環境へ放射する)ことが、よりエネルギー効率的であり得る。
【0142】
上述の一例は、側面放射LEDおよび光散乱部位を利用する。しかしながら、横向きの光を生成するために、光拡散配置が使用されてもよい。例えば、円錐が光学媒体内に配置され、光源の反対側に配置されてもよく、対向する円錐は、前記表面に垂直な光源によって放射された光を前記表面に実質的に平行な方向に反射するために、保護される表面に対して垂直から45°の角度を有する表面領域を有する。
【0143】
LEDは、DC駆動であってもよい。しかしながら、一対の背中合わせの並列LEDがAC駆動信号によって駆動されてもよい。
【0144】
上述のように、LEDは好ましくはPCB上に実装され、(PCB表面上、またはPCBの層内の内部の)PCBトラックが受信機コイルを形成する。しかしながら、代わりに、はんだ付け、接着、または任意の他の公知の電気接続技術によって、LEDを自立ワイヤ構造の接続ノードに接続することによってLEDグリッドが形成されてもよい。これは、より小さなPCB上の電力受信器コイルと組み合わせることができる。
【0145】
UV光が好ましい解決策であるが、他の波長も同様に想定される。非UV光(可視光)も生物付着に対して有効である。典型的な微生物はUV光に対するよりも非UV光に対する感受性が低いが、可視スペクトルにおいて、光源への単位入力電力当たりはるかに高い線量を生成することができる。
【0146】
UV LEDは、薄い光放射面に最適な光源である。しかし、LED以外のUVソース、例えば低圧水銀蒸気ランプを使用することもできる。これらの光源のフォームファクタは全く異なり、主に光源ははるかに大きい。これは、単一の光源から全ての光を広い面積にわたって分配するために、異なる光学設計をもたらす。さらに、所望の波長および/または波長の組み合わせにおける光の有意な寄与が生成され得る。生物付着を回避するために、保護される表面から離れる方向に外側にUV光を放射する薄い層を使用する代わりに、生物付着は、上述のように、保護される表面の方向に外側からUV光を適用することによって、潜在的に除去され得る。その代わりに、パネルは、保護されるべき表面に向かう方向および保護されるべき表面から離れる方向の両方に防汚光を放射してもよい。
【0147】
例示された防汚システムは、表面が水中に沈められている間に、表面を生物汚損から保護するために使用される防汚光を提供することに基づく。これは、システムがその意味深い利点を有することができる好ましい適用分野であるが、システムの使用は、生物汚損が大気環境に曝された表面上にも起こり得るので、必ずしも水中への浸水のような状況に限定されない。
【0148】
開示された実施形態に対する変形例は、図面、開示、および添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。特許請求の範囲において、「有する」という用語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。用語「適合される」が特許請求の範囲又は説明において使用される場合、「適合される」という用語は「構成される」という用語と同等であることが意図されることに留意されたい。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。