(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ハイブリッド乗り物車両システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A63G 31/16 20060101AFI20240118BHJP
B61B 13/06 20060101ALI20240118BHJP
B60F 3/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A63G31/16
B61B13/06 C
B60F3/00 Z
(21)【出願番号】P 2021518769
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 US2019054506
(87)【国際公開番号】W WO2020072779
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-13
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】ブルームフィールド アンドリュー エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】プリム ケヴィン ブレイン
(72)【発明者】
【氏名】ブリスター マイケル キース
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンス エリック
(72)【発明者】
【氏名】ウォルトン ライアン デール
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-066385(JP,A)
【文献】特開平10-028778(JP,A)
【文献】特開平03-261494(JP,A)
【文献】特表2018-511402(JP,A)
【文献】実公平07-053670(JP,Y2)
【文献】蘭国特許発明第01009494(NL,C)
【文献】米国特許第05704294(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G1/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊園地システムであって、
経路に沿って移動するように構成された乗り物車両と、
水流経路によって定められる前記経路の水中部分であって、前記経路の水中部分は、前記水中部分の終点に配置された位置決めシステムを含み、前記位置決めシステムは、前記乗り物車両を支持して該乗り物車両を前記水中部分の前記終点の傾斜に配置するように構成されたコンベヤを含む、前記経路の水中部分と、
ボギー台車を支持するように構成された軌道によって定められる前記経路の空中部分と、
を備え、前記乗り物車両は、前記水流経路の流れに応答して前記水流経路に沿って自由に浮かんで移動するように構成され、
前記ボギー台車は、前記水中部分の前記終点に配置された前記傾斜の前記乗り物車両と結合し、前記軌道に沿って前記水中部分から先に前記乗り物車両を運ぶように構成されている、
ことを特徴とする遊園地システム。
【請求項2】
前記位置決めシステムは、前記乗り物車両に接触して該乗り物車両を前記終点に誘導するように構成されたトラフを含む、
請求項1に記載の遊園地システム。
【請求項3】
前記経路の前記水中部分は、該水中部分の前記終点に隣接して配置された滝を含む、
請求項1に記載の遊園地システム。
【請求項4】
前記コンベヤは、前記終点において前記乗り物車両を水平面に対して一定角度で支持して前記乗り物車両から液体を排出するように構成された傾斜面を含む、
請求項1に記載の遊園地システム。
【請求項5】
前記水中部分は、前記乗り物車両の前方部分が前記水流経路に対して上流を向くように前記乗り物車両を前記水流経路に対して回転させるように構成された回転システムを含む、
請求項1に記載の遊園地システム。
【請求項6】
前記ボギー台車を備え、該ボギー台車は、前記軌道に結合するように構成された車輪アセンブリを含み、前記ボギー台車は、前記乗り物車両に結合するように構成されたプロングを含む、
請求項1に記載の遊園地システム。
【請求項7】
前記ボギー台車は、前記プロングを前記車輪アセンブリに対して回転させるように構成された回転機構を含む、
請求項6に記載の遊園地システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2018年10月5日に出願された「ハイブリッド乗り物車両システム及び方法(HYBRID RIDE VEHICLE SYSTEMS AND METHODS)」という名称の米国仮特許出願第62/742,124号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この文献はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般に遊園地の分野に関する。具体的には、本開示の実施形態は、遊園地乗り物と共に使用される方法及び設備に関する。
【背景技術】
【0003】
本節は、以下で説明する本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介するためのものである。本考察は、読者に背景事情を示して本開示の様々な態様のより良い理解を促す上で役立つと考えられる。従って、これらの記載は、先行技術を認めるものとしてではなく、上記の観点から読むべきものであると理解されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遊園地(又はテーマパーク)は、20世紀初頭から大幅に人気が高まってきた。いくつかの遊園地乗り物は、水路のみに沿ってユーザを運ぶように構成されたウォーターライドを含むことができる。他の遊園地乗り物は、ボギー台車を備えた軌道のみに沿ってユーザを運ぶように構成されたローラーコースターライドを含むことができる。しかしながら、このような狭い乗車フォーマット(riding formats)は、ユーザの体験を制限することにつながる恐れがある。従って、現在では、ゲストの体験を強化するために、複数の輸送モードを有する改善された遊園地乗り物が望ましい場合もあると認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、本開示の範囲を限定するものではなく、むしろいくつかの開示する実施形態の概要を示すものにすぎない。実際には、本開示は、以下に示す実施形態と類似し得る又は異なり得る様々な形態を含むことができる。
【0006】
1つの実施形態によれば、遊園地乗り物システムが、経路に沿って移動するように構成された乗り物車両と、水流経路によって定められる経路の水中部分と、ボギー台車を支持するように構成された軌道によって定められる経路の空中部分とを含む。乗り物車両は、水流経路の流れに応答して水流経路に沿って自由に浮かんで移動するように構成される。乗り物車両は、ボギー台車によって軌道に沿って運ばれるように構成される。
【0007】
別の実施形態では、乗り物車両システムが、乗り物車両の船体の内部に配置されたスロットを有し、流路に沿って液体上に自由に浮かぶように構成された乗り物車両を含む。乗り物車両システムは、軌道に沿って移動して、スロットを介して乗り物車両に結合するように構成されたボギー台車をさらに含む。
【0008】
さらなる実施形態では、遊園地システムが、地理的経路に沿って移動するように構成された乗り物車両を含む。遊園地システムは、軌道に沿って移動し、乗り物車両に係合し、軌道に沿って乗り物車両を運び、乗り物車両から離脱するように構成されたボギー台車をさらに含む。
【0009】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示による乗り物アトラクションの実施形態の概略図である。
【
図2】本開示による、
図1の乗り物アトラクションの乗り物車両の実施形態の斜視図である。
【
図3】本開示による、
図1の乗り物アトラクションの乗り物車両の実施形態の部分的側面図である。
【
図4】本開示による、複数の輸送モードを有する乗り物アトラクションを動作させるプロセスの実施形態のフロー図である。
【
図5】本開示による、ボギー台車との係合プロセスにおける
図1の乗り物アトラクションの乗り物車両の実施形態の斜視図である。
【
図6】本開示による、乗車フォーマット間の移行プロセスにおける
図5の乗り物車両の実施形態の斜視図である。
【
図7】本開示による、互いに係合する前の
図1の乗り物アトラクションの乗り物車両及びボギー台車の実施形態の斜視図である。
【
図8】本開示による、互いに係合している間の
図7の乗り物車両及びボギー台車の実施形態の斜視図である。
【
図9】本開示による、
図1の乗り物アトラクションの乗り物車両の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、とりわけ水中乗り物部分及び空中乗り物部分の両方(例えば、複数の輸送モード)を有する乗り物システムの実施形態を提供する。例えば、乗り物システムは、水中部分の水流経路に沿って浮かぶボート及び空中部分の空中軌道に沿って移動するローラーコースタの両方として機能するように構成された乗り物車両を含むことができる。一般に、遊園地は、水路に沿って浮かぶように構成されたボートを有する乗り物アトラクションを含むことができる。遊園地は、軌道に沿って移動するように構成されたコースターを有する別の乗り物アトラクションを含むこともできる。しかしながら、これらのアトラクションの唯一の、時には予測可能な乗り物フォーマットは、ユーザの体験を制限することにつながる。遊園地乗り物の中には、空中部分及び水中部分を含むことができる軌道に沿って移動する乗り物車両を利用することによってこの問題を解決しようと目論むものもある。しかしながら、空中軌道と水中軌道との間を単純に移行するだけでは、相変わらず限られた体験しか提供されない。実際には、水中部分では乗り物車両が水中軌道に限定されるので、ユーザは、実際のボートに乗っていることに伴う完全に浮かんだ浮揚効果を得られない。実際のところ、単純に水に接触できる低速で予測可能なローラーコースタということになってしまう。従って、本明細書では、乗車フォーマット間の1又は2以上の移行を含むハイブリッド乗り物アトラクションを提供する。いくつかの実施形態では、乗車フォーマット間の移行が予想できないように、各乗車フォーマットを独立した異なるものとすることができる。実際には、乗車フォーマット間の移行が、ユーザを驚かしてその娯楽レベル高める働きをする。
【0012】
具体的には、本開示の実施形態は、水上に自由に浮かび、ボギー台車から延びる係合アセンブリ(例えば、プロング、フォークリフト)を介して軌道に結合するように構成された乗り物車両を含む。乗り物車両が乗り物の水中部分に浮かんでいる間は、ユーザがその後に起きる乗り物フォーマットの変化に気付かないようにすることができる。実際に、ユーザには、この乗り物車両が空中乗り物フォーマットに移行できない単なるボートのように見えると考えられる。乗り物車両がボギー台車に結合すると、ボギー台車は、乗り物車両を縦揺れ、偏揺れ及び/又は横揺れさせながら乗り物軌道に沿って乗り物車両を運ぶことによって、ユーザのスリル要素をさらに高めることができる。
【0013】
これらを踏まえて、
図1に、遊園地12の乗り物システム10(例えば、遊園地アトラクション)を示す。乗り物システム10は、乗り物システム10の経路16に沿って移動するように構成された複数の乗り物車両14を含む。経路16は、人工水路(flume)22によって定められる流路20を有する水中部分18を含む。経路16は、軌道26によって定められる空中部分24も含む。本明細書で説明するように、乗り物車両14は、水中部分18に沿って自由に浮かぶとともに、ボギー台車28によって空中部分24に沿って矢印29で示すような方向に運ばれるように構成される。乗り物車両14は、経路16に沿って移動する際に、アニマトロニックショー要素及び特殊効果などの様々なテーマ効果(thematic effects)の対象となることができる。
【0014】
説明すると、ユーザは、乗り物サイクルの開始時に、乗車ホーム32から乗り物車両14への乗船及び下船を行うことができる。いくつかの実施形態では、ユーザが乗車ホーム32から乗り物車両14への乗船/下船を行っている間、乗車ホーム32に隣接して配置されたコンベヤ34によって乗り物車両14を支持することができる。コンベヤ34は、ユーザが乗り物車両14に容易に乗船できるように、乗り物車両14を乗車ホーム32の前で一貫した速度及び高さで動かすことができる。いくつかの実施形態では、コンベヤ34が、ユーザが乗り物車両14に乗船できるように乗車ホーム32の前で乗り物車両14を瞬間的に停止させることができる。いくつかの実施形態では、コンベヤ34を流路20の水中に部分的に又は完全に沈めることができる。
【0015】
ユーザが乗り物車両14に乗船し終わると、コンベヤ34は、矢印29で示すような水中部分18の流路20の流れ方向に対してコンベヤ34の下流の位置に乗り物車両14移動させることができる。その後、乗り物車両14は、水中部分18の長さに沿って自由に浮かぶことができる。すなわち、いくつかの実施形態では、乗り物車両14の動きを流路20の流れによって制御することができる。換言すれば、乗り物車両14は、乗り物車両14を水中部分18に沿って動かすように水中部分18内に配置されたいずれかの要素に結合するために使用される要素/特徴を一切含まないことができる。実際のところ、コンベヤ34は別にして、水中部分18は、乗り物車両14を流路20に沿って動かすための機械的要素を一切含まないことができる。例えば、乗り物車両14を経路16に沿って動かすために使用される水流は、人工水路22の傾斜によって、及び/又は流路20に沿って配置された水ジェット又はプロペラなどの機械的推進システム35によって引き起こすことができる。推進システム35は、経路16沿いの特定の地点に示しているが、経路16の水中部分18全体を通じて配置することができると理解されたい。一般に、水中部分18に存在している間の乗り物車両14の動きは、流路20の波紋、波及び流れなどの直接的な結果とすることができる。これにより、水上のボートの典型的な動きと同様のランダムな予測できない乗り物車両14の動きが生じ、これによってユーザのスリル要素を高めることができる。実際に、いくつかの実施形態では、乗り物車両14が、水中に軌道が存在する従来の水上乗り物とは異なり、水中部分18の水の浮力のみによって支持される。
【0016】
一般に、乗り物車両14は、前方部分40を概ね流路20の下流方向に向けた状態で、矢印29で示すように流路20の少なくとも一部に沿って移動することができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両14が、流路20に沿って移動している間にある程度揺れ動く(例えば、偏揺れする)こともあるが、一般には前方部分40を流路20の下流方向に向けた状態で向きを定めることができる。ボギー台車28は、乗り物車両14が水中部分18の長さを移動し終えて水中部分18の終点36(例えば、移行区域)に到着した後に乗り物車両14に結合するように構成される。すなわち、いくつかの実施形態では、乗り物車両14が終点36に近づいている間にボギー台車28を終点36に配置することができる。その後、以下でさらに詳細に説明するように、乗り物車両14をボギー台車28上に位置付けてボギー台車28に係合させ、又はこれと逆のことを行うことができる。いくつかの実施形態では、水中部分18の終点36に到達する前に、乗り物車両14を前方部分40が概ね流路20の上流に向くように(例えば、約180°)回転させることができる。具体的には、水中部分18が、流路20内で乗り物車両14を回転させるように構成された回転システム42(例えば、ターンテーブル)を含むことができる。いくつかの実施形態では、回転システム42が水を回転させ、及び/又は乗り物車両14を回転させるショー効果と組み合わせて乗り物車両14を動かす大型アニマトロニックを含むことができる。このようにして、乗り物車両14の前方部分40の方を向いたユーザが、水中部分18の終点36において乗り物車両14の下流に配置されたボギー台車28に気付かないようにすることができる。これにより、経路16の空中部分24への移行がユーザに予想外のこととして現れるので、乗り物システム10のスリル要素を高めるのに役立つ。ボギー台車28は、乗り物車両14に係合(例えば、結合)すると、経路16の空中部分24に沿って乗り物車両14を運ぶことができる。ボギー台車28及び軌道26は、乗り物車両14がボギー台車28によって空中部分24の軌道26に沿って運ばれる際に、協働して乗り物車両14の縦揺れ、偏揺れ及び横揺れを引き起こすように構成される。
【0017】
ボギー台車28及び乗り物車両14が空中部分24の長さを移動し終わった後に、ボギー台車28は、乗り物車両14を経路16の水中部分18に配置して乗り物車両14から離脱することができる。具体的には、図示のように、ボギー台車28は、乗り物車両14の前方部分40が流路20の下流を向くように、乗り物車両14を水中部分18の起点50に配置することができる。ボギー台車28が乗り物車両14から離脱すると、乗り物車両14は、流路20に沿ってコンベヤ34まで自由に浮かぶことができる。乗り物車両14がボギー台車28から先に移動すると、ボギー台車は、終点36から別の乗り物車両14を拾い上げるために、矢印51で示すように軌道26に沿って水中部分18の終点36に向かって移動することができる。いくつかの実施形態では、ボギー台車28が、矢印52で示すように流路20の流れ方向に対して逆向きの平行な方向に乗り物車両14から離れることができる。実際に、いくつかの実施形態では、ボギー台車28が、乗り物車両14が流路20の流れに応答してボギー台車28から離れて浮かぶことができるよりも速く乗り物車両14から離れることができる。従って、ボギー台車28は、単純に乗り物車両14がボギー台車28から離れて浮かぶようにするのとは対照的に、乗り物車両14から離れることによって時間を節約するとともに、水中部分18の終点36に素早く移動して別の乗り物車両14を拾い上げることができる。
【0018】
本明細書で説明するように、乗り物システム10の動作は、アトラクションコントローラ60を利用して制御することができる。コントローラ60は、特定用途向けプロセッサなどの(1又は2以上のプロセッサを表すことができる)プロセッサ62を採用するいずれかの装置とすることができる。コントローラ60は、本明細書で説明する乗り物システム10に関連する方法を実行して動作を制御するためにプロセッサ62が実行できる命令を記憶するメモリデバイス64を含むこともできる。プロセッサ62は1又は2以上の処理装置を含むことができ、メモリデバイス64は1又は2以上の有形の非一時的機械可読媒体を含むことができる。一例として、このような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM又はその他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気記憶装置、或いは所望のプログラムコードを機械実行可能命令又はデータ構造の形で保持又は記憶するために使用でき、プロセッサ62、又はプロセッサを含むいずれかの汎用又は専用コンピュータ又はその他の機械がアクセスできる他のいずれかの媒体を含むことができる。例えば、以下でさらに詳細に説明するように、アトラクションコントローラ60を利用してボギー台車28と乗り物車両14との係合を確実にし、乗り物車両14とボギー台車28と間の離脱を確実にし、乗り物車両14が空中部分24の軌道26に沿って移動する際に乗り物車両14の回転又は偏揺れを決定することができる。アトラクションコントローラ60は、乗り物車両14が乗り物システム10を進む際の乗り物車両14のタイミングに関連する側面をモニタして制御することもできる。
【0019】
これを踏まえた上で、
図2は、乗り物車両14及び/又はボギー台車28を含む乗り物車両システム69の斜視図である。具体的には、
図2には、水中部分18の終点36(例えば、移行区域)においてボギー台車28に係合した乗り物車両14の実施形態を示す。図示のように、ボギー台車28は、軌道26に結合するように構成された車輪アセンブリ70を含む。図示のボギー台車28は、車輪アセンブリ70から延びてプロング(prong)74(例えば、フォークリフト構造、取り付け延長部)を介して乗り物車両14に結合された取り付けアーム72も含む。図示のように、取り付けアーム72は、天蓋などの天井構造(overhead structure)79を含むことができる。天井構造79は、ボギー台車28の車輪アセンブリ70及びその他の要素からユーザの視界を遮ることによって、本格的(authentic)なユーザ体験にさらに寄与する役割を果たすことができる。乗り物車両14は、乗り物車両14の浮力に寄与するように構成されたいずれかの好適な材料で形成することができる。さらに、乗り物車両14の形状は、図示の実施形態に限定されるべきではない。例えば、いくつかの実施形態では、乗り物車両14を帆船の形状とすることもできる。
【0020】
上述したように、乗り物車両14は、矢印29で示すように水中部分18の流路20に沿って浮かぶように構成される。乗り物車両14は、流路20に沿って移動している間に、乗り物車両14の前方部分40が流路20の下流に向くように約180度回転することができる。従って、乗り物車両14は、回転した後に、終点36に配置できるボギー台車28に上流を向いた配向で近づいてボギー台車28のプロング74に結合することができる。ボギー台車28は、経路16とは別の第2の経路81から移動して乗り物車両14よりも前に終点36に到着しておくことができる。乗り物車両14がボギー台車28に近づくと、乗り物車両14を所定の位置78に接触させ、誘導し、中心に置いてボギー台車28に結合させるように構成されたトラフ(trough)76(例えば、チャネル、導管、漏斗)を含むことができる位置決めシステム75との相互作用に少なくとも部分的に起因して、乗り物車両14の移動方向を制御することができる。具体的に言えば、乗り物車両14は、乗り物車両14の外周に結合されて乗り物車両14から横方向外向きに延びてトラフ76の壁部と相互作用する車輪80又はその他の摩擦低減要素を含むことができる。このように、乗り物車両14の車輪80は、乗り物車両14を所定の位置78及びプロング74上にスムーズに誘導するようにトラフ76と相互作用することができる。図示のように、いくつかの実施形態では、トラフ76及び車輪80からユーザの視界を遮るように、トラフ76及び車輪80の両方を流路20の水中に完全に又は部分的に沈めることができる。
【0021】
ボギー台車28は、乗り物車両14に係合すると、経路16にさらに沿って乗り物車両14を運ぶことができる。いくつかの実施形態では、水中部分18の終点36及び空中部分24の開始点が滝82に隣接することができる。従って、ボギー台車28は、乗り物車両14に係合すると、軌道26に沿って滝82を越えて乗り物車両14を移動させ、経路16の空中部分24に沿って進み続けることができる。乗り物車両14は、経路16の空中部分24に沿って移動している間、縦揺れ、偏揺れ及び横揺れを生じるように構成される。具体的に言えば、乗り物車両14は、軌道26に結合された車輪アセンブリ70に対して偏揺れ(例えば、回転)するように構成される。例えば、車輪アセンブリ70は、回転機構84を介して取り付けアーム72に結合することができる。回転機構84は、取り付けアーム72を車輪アセンブリ70に対して回転させ、又は取り付けアーム72の回転を可能にすることにより、乗り物車両14がプロング74に結合されている間に乗り物車両14を回転(例えば、偏揺れ)させるように構成される。いくつかの実施形態では、乗り物車両14の縦揺れ及び横揺れを軌道26の配向によって制御することができる。すなわち、軌道26は、その配向及び曲率に応答してボギー台車28全体及び乗り物車両14の縦揺れ及び横揺れを引き起こすことができる。一方で、いくつかの実施形態では、ボギー台車28が、乗り物車両14が軌道26に沿って運ばれている間に乗り物車両14の縦揺れ及び/又は横揺れを引き起こすように構成された傾斜機構88を含むこともできる。さらに、乗り物車両14は、流路20に沿って移動する際に座席区域89内などに水が収集されることがある。従って、いくつかの実施形態では、ボギー台車28が、傾斜機構88を利用して乗り物車両14を傾けて(例えば、角度を変えて、斜めにして)乗り物車両14内のあらゆる貯留水を乗り物車両14から流出させることにより、乗り物車両14の重量を低減することができる。
【0022】
図3は、水中部分18の終点36において乗り物車両14に係合したボギー台車28の概略的側面断面図である。図示のように、ボギー台車28は、軌道26に結合された車輪アセンブリ70を含む。いくつかの実施形態では、軌道26が、ボギー台車28を軌道26に沿って移動させるように構成された駆動システム91を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、ボギー台車28が、ボギー台車28を軌道26に沿って駆動するように構成された駆動システム91を含むことができる。ボギー台車28は、車輪アセンブリ70からプロング74に延びて乗り物車両14に係合するように構成された取り付けアーム72も含む。乗り物車両14は、1又は2以上のユーザ87を保持して固定するように構成された1又は2以上の座席86を含む。乗り物車両14は、乗り物車両14の船体92(例えば、本体、シャーシ)内を延びるスロット90をさらに含む。スロット90は、ボギー台車28のプロング74を受け取るように構成される。実際には、いくつかの実施形態では、図示のようにスロット90が乗り物車両14の船体92の大部分の長さを貫通することができ、プロング74もほぼ同じ長さとすることができる。さらに、実施形態のいくつかの態様に焦点を当てると、
図3の図は、1つのスロット90及び1つのプロング74しか示さないように単純化したものである。しかしながら、ボギー台車28は1又は2以上のプロング74を含むことができ、乗り物車両14は、1又は2以上のプロング74を受け取るように構成された対応する数の1又は2以上のスロット90を含むことができると理解されたい。
【0023】
プロング74は、プロング74の遠位端96に配置されたテーパ状の(例えば、丸められた、尖った)先端部94を含むことができる。同様に、スロット90は、プロング74を受け取るように構成された裾広状の(flared)オリフィス98を含むことができる。このようにして、プロング74の遠位端96をスロット90の裾広状のオリフィス98に容易に挿入することができる。例えば、裾広状のオリフィス98の裾広形状及びテーパ状の先端部94のテーパ形状は、プロング74がその挿入中に完全にスロット90と整列していない場合でも、漏斗と同様の機能でプロング74の遠位端96をスロット90内に導く働きをする。さらに、図示のように、スロット90の裾広状のオリフィス98は、乗り物車両14の後部に配置することができる。また、裾広状のオリフィス98は、乗り物車両14のサイズと比べて比較的小さくすることもできる。このようにして、ユーザ87がスロット90の存在及び/又は目的に気付かないようにすることにより、ボギー台車28の係合によって驚かされるスリル要素をさらに加えることができる。プロング74がスロットに挿入されると、ボギー台車28は、ロックシステム100を利用して受動的に乗り物車両14に係合することができる。
【0024】
一般に、ロックシステム100は、一旦プロング74がスロット90に挿入されると、プロング74がスロット90から抜け出るのを防ぐように構成される。この目的のために、ロックシステム100は、プロング74に結合された1又は2以上の歯止め(pawls)102を含むことができる。ロックシステム100は、スロット90の内壁106内に配置された1又は2以上の凹部104も含む。歯止め102は、プロング74から外向きに付勢されることにより、プロングがスロット90に挿入された時に内壁106に接して後退して凹部104内に広がるように構成される。さらに、歯止め102は、凹部104と連動してプロング74がスロット90から抜け出るのを防ぐように構成される。いくつかの実施形態では、ばね機構を介して歯止め102を凹部に向けて外向きに付勢することができる。
【0025】
ロックシステム100は、歯止め102の位置を検出する(例えば、特定する)ように構成された1又は2以上のセンサ108をさらに含む。例えば、拡張した歯止め102の位置は、ボギー台車28が乗り物車両14に結合されていることを示すことができる。すなわち、歯止め102が外向きに拡張している場合には、歯止め102が凹部104内に配置されていることを示すことができる。同様に、後退した歯止め102の位置は、ボギー台車28が乗り物車両14に係合していないことを示すことができる。すなわち、歯止め102が内向きに後退している場合には、歯止め102が凹部104内に配置されていないことを示すことができる。いくつかの実施形態では、1又は2以上のセンサ108を、プロング74がスロット90に挿入されている距離を特定するように構成することができる。例えば、1又は2以上のセンサ108は、プロング74の遠位端96とスロット90の後壁110との間の距離を検出するように構成された近接センサを含む。いくつかの実施形態では、歯止め102が(スロット90の外部に配置されている間の)拡張位置から(プロング74がスロット90に挿入されている間の)後退位置に移行して再び(歯止め102が凹部104内に配置された時に)拡張位置に戻ったことをセンサ108が検出した場合に、コントローラ60が、ボギー台車28が乗り物車両14に係合したと判定することができる。
【0026】
ロックシステム100は、ボギー台車28を乗り物車両14から離脱させるように構成された1又は2以上のアクチュエータ112をさらに含むことができる。具体的には、アクチュエータ112は、歯止め102の外向きの付勢力に打ち勝って歯止め102を後退させるように構成される。歯止め102が後退位置にくると、プロング74をスロット90から引き抜いてボギー台車28を乗り物車両14から離脱させることができる。このように、プロング74は、(例えば、付勢された歯止め102を介して)受動的に乗り物車両14に係合し、(例えば、アクチュエータ112を介して)能動的に乗り物車両14から離脱できるように構成される。実際には、プロング74は、いずれかの好適な受動連結システム又は方法を利用して乗り物車両14に係合し、いずれかの好適な能動(例えば、電動)システムを利用して乗り物車両14から離脱することができる。
【0027】
さらに、上述したように、乗り物車両14は、経路16の水中部分18を移動する際に座席区域89に蓄積し得るあらゆる残留水を乗り物車両14から排出するように縦揺れすることができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両14が、上述したような傾斜機構88利用して縦揺れすることができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両14が、コンベヤ機構を利用できる位置決めシステム75の傾斜面114又は傾斜台(ramp)利用して縦揺れすることができる。例えば、乗り物車両14は、ボギー台車28との係合前に、トラフ76内に配置できる傾斜面114上に移動することができる。乗り物車両14が傾斜面114上に移動すると、乗り物車両14を一定の傾斜角で配置することができる。このようにして、乗り物車両14内に溜まった液体を、配水管115などを通じて乗り物車両14から流出させることができる。いくつかの実施形態では、同様に乗り物車両14を一定の傾斜角で配置して、配水管などを通じて乗り物車両14の後部から液体を排出することもできる。さらに、いくつかの実施形態では、傾斜面114上に配置されている間の乗り物車両14の傾斜位置が、乗り物車両14がボギー台車28に十分に係合していない場合に乗り物車両14が経路16の空中部分24に移動するのを防ぐことができる。説明すると、ボギー台車28との係合前には、図示のように乗り物車両14を傾斜面114上に一定角度で配置することができる。その後、ボギー台車28のプロング74を同様の角度で乗り物車両14のスロット90に挿入することができる。ボギー台車28は、乗り物車両14に挿入されると、スロット90の角度と平行な方向に引っ張ることによって乗り物車両14を持ち上げようと試みることができる。このようにして、プロング74が乗り物車両14に十分に係合していなければ、乗り物車両14は単純にプロング74から滑り落ち、ボギー台車28が離れていく間に傾斜面114上に留まることができる。いくつかの実施形態では、ボギー台車28がスロット90から離れる角度が、ボギー台車28が軌道26に沿って移動する際に軌道26が対応する角度にあることに起因することができる。いくつかの実施形態では、この角度を約10°~45°又は他のいずれかの好適な角度とすることができる。
【0028】
さらに、上述したように、取り付けアーム72及び乗り物車両14は、ボギー台車28の車輪アセンブリ70に対して回転(例えば、偏揺れ)するように構成される。この目的のために、ボギー台車28は、取り付けアーム72を車輪アセンブリ70に対して回転させるように構成された回転機構84(例えば、モータ)を含むことができる。さらに、ボギー台車28の1又は2以上のセンサ108は、車輪アセンブリ70に対する取り付けアーム72の角度位置を検出するように構成された近接センサを含むことができる。後述するように、いくつかの実施形態では、回転機構84を、1又は2以上のセンサ108の近接センサからの測定された角度位置に基づいて取り付けアーム72を所望の位置に回転させるように制御することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、ボギー台車の1又は2以上の動作をボギー台車コントローラ120によって制御することができる。実際には、1又は2以上のセンサ108、アクチュエータ112、回転機構84及び傾斜機構88をボギー台車コントローラ120に通信可能に結合することができる。具体的には、以下でさらに詳細に説明するように、ボギー台車コントローラ120は、1又は2以上のセンサ108から取得されたデータを利用してアクチュエータ112、回転機構84及び傾斜機構88の動作を制御することができる。実際に、いくつかの実施形態では、乗り物システム10の各ボギー台車28がボギー台車コントローラ120を含むことができる。この目的のために、乗り物システム10のボギー台車28の各ボギー台車コントローラ120をアトラクションコントローラ60通信可能に結合して、各それぞれのボギー台車28を示すデータをアトラクションコントローラ60に伝えることができる。アトラクションコントローラ60は、各それぞれのボギー台車コントローラ120から取得されたデータを利用して、ユーザインターフェイス122などを通じて関連する乗り物車両情報をアトラクションオペレータに提供することもできる。関連する乗り物車両情報は、例えばボギー台車28が乗り物車両14に係合しているかどうか、経路16に沿ったボギー台車28の位置、及びボギー台車28の正常性状態などを含むことができる。
【0030】
この目的のために、1又は2以上のセンサ108、アクチュエータ112、回転機構84、傾斜機構88、ボギー台車コントローラ120及びアトラクションコントローラ60は、通信システム124を介して通信可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、通信システム124が、無線ローカルエリアネットワーク[WLAN]、無線ワイドエリアネットワーク[WWAN]、近距離通信[NFC]又はBluetoothなどの無線ネットワークを通じて通信することができる。これに加えて、又はこれとは別に、通信システム124は、ローカルエリアネットワーク[LAN]又はワイドエリアネットワーク[WAN]などの有線ネットワークを通じて通信することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、通信システム124が、センサ108、アクチュエータ112、傾斜機構88及び回転機構84をボギー台車コントローラ120に通信可能に結合する導電媒体126を含むことができる。通信システム124は、軌道26に結合されてボギー台車28(例えば、ボギー台車コントローラ120)とアトラクションコントローラ60と間の通信を容易にするように構成されたバスバーを含むことができる。例えば、ボギー台車28の車輪アセンブリ70は、ボギー台車28(例えば、ボギー台車コントローラ120)とアトラクションコントローラ60とを電気的に結合できる1又は2以上のブラシ(例えば、炭素ブラシ)を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、乗り物システム10が、上述したようなボギー台車コントローラ120及びアトラクションコントローラ60の両方の機能性を含むことができる単一のコントローラ(例えば、アトラクションコントローラ60)を含むことができる。
【0031】
図4は、ボギー台車28と乗り物車両14との係合及び離脱プロセス135のフロー図である。最初に、以下の
図4の説明は
図3に示す要素を参照できることに留意されたい。
【0032】
ブロック136において、ボギー台車28のプロング74を乗り物車両14のスロット90に挿入することができる。具体的には、上述したように、ボギー台車28を固定しておいて、乗り物車両14がプロング74上に移動することができる。一方で、いくつかの実施形態では、ブロック136によって表す動作の最中に、ボギー台車28、乗り物車両14、又はこれらの両方を移動可能とすることもできる。上述したように、プロング74は、スロット90に挿入されると、歯止め102及び対応する凹部104を介して受動的に乗り物車両14に係合することができる。やはり上述したように、乗り物車両14は、ボギー台車28に一定の傾斜角で係合することにより、正しい係合及び乗り物車両14の余剰水の排出を確実にすることができる。
【0033】
ブロック138において、コントローラ(例えば、アトラクションコントローラ60、ボギー台車コントローラ120、又はこれらの両方)が、ボギー台車28と乗り物車両14との係合を検証することができる。具体的には、1又は2以上のセンサ108が、プロング74とスロット90との係合レベルを示すデータを収集し、このデータをコントローラに送信することができる。コントローラは、このデータを分析し、データに基づいて係合レベルを判定することができる。いくつかの実施形態では、係合レベルが、プロング74の歯止め102の測定された角度位置に基づくことができる。すなわち、歯止め102にプロング74から離れて外向きの角度が付いている場合には、歯止め102が凹部104内に配置されていることを示すことができ、これによってプロング74がスロット90から抜け出るのが防がれ、十分な係合であることが示される。さらに、いくつかの実施形態では、ボギー台車28がスロット90から抜け出るための力を加えることができ、1又は2以上のセンサ108を、この力を測定するように構成することができる。例えば、1又は2以上のセンサ108は、この力を測定するために、歯止め102が凹部104の表面に加えている圧力を測定することができる。この力が所定の閾値レベルを上回る場合、コントローラは、ボギー台車28が十分に乗り物車両14に係合していると判定することができる。いくつかの実施形態では、コントローラが、ボギー台車28が乗り物車両14に十分に係合していないと判定することがある。このような実施形態では、コントローラが、乗り物システム10に動作を中断させることができる。他の実施形態では、コントローラが、乗り物車両14がプロング74上に配置されてはいるがプロング74に係合していないと判定した場合、ボギー台車28が乗り物車両14を経路16とは別の補助位置に押し進めるようにするための1又は2以上の信号をボギー台車28に送信することができる。
【0034】
ブロック140において、コントローラが、乗り物車両14及びボギー台車28が十分に係合していると検証/判定すると、ボギー台車28は、軌道26の空中部分24に沿って乗り物車両14を運ぶことができる。ボギー台車28は、軌道26に沿って乗り物車両14を運んでいる間、乗り物車両14を車輪アセンブリ70に対して回転又は偏揺れさせるように構成される。具体的には、車輪アセンブリ70と取り付けアーム72との間に延びる回転機構84が、コントローラからの入力に応答して乗り物車両14を回転させるように構成される。ボギー台車28が経路16の空中部分24の終わり(例えば、水中部分18の起点50)に近づくと、1又は2以上のセンサ108は、取り付けアーム72及び乗り物車両14の角度位置を示すデータを収集することができる。1又は2以上のセンサ108は、このデータをコントローラに送信することができる。コントローラは、このデータを分析して、回転機構84が取り付けアーム72を回転させて乗り物車両14を中心に置くようにするための1又は2以上の信号を回転機構84に送信することができる。本明細書で使用する、乗り物車両14を中心に置くとの表現は、乗り物システム10の設計に依存し得る所望の角度位置に乗り物車両14を回転させることを意味することができる。すなわち、いくつかの実施形態では、乗り物車両14の中心位置を、乗り物車両14の前方部分40が経路16の方向に平行な方向又は乗り物車両14の移動方向に向いているようなものとすることができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両14の中心位置が、乗り物車両14の前方部分40が輸送方向(dispatch direction)又は水中部分18の流路20の方向に向いていることを意味することができる。
【0035】
ブロック141において、ボギー台車28は、乗り物車両14を経路16の水中部分18に配置して乗り物車両14から離脱することができる。具体的には、手短に上述したように、コントローラは、歯止め102をプロング74に向かって後退させることによってボギー台車28を乗り物車両14から離脱させるための1又は2以上の信号をアクチュエータ112に送信することができる。乗り物車両14は、ボギー台車28から離脱すると、流路20の水流に応答して水中部分18の流路20に沿って移動することができる。いくつかの実施形態では、上述したようにボギー台車28が乗り物車両14から離れることができる。ボギー台車28のプロング74が乗り物車両14の外部に配置されると、ボギー台車28は、別の乗り物車両14に係合するために終点36に移動することができる。
【0036】
図5は、水中部分18の終点36に近づいている時の乗り物車両14の実施形態の斜視図である。実際には、水中部分18の終点36は、滝82又は別の同様の特徴(例えば、断崖、溝)に隣接する流路20の区域によって定めることができる。この実施形態では、乗り物車両14が、その前方部分40を滝82に向けた状態で水中部分18の終点36に近づくことができる。このようにすると、乗り物車両14内に配置されたユーザは、乗り物システム10のスリル要素を高める働きをする滝82を見て興奮を覚えることができる。図示の実施形態では、ボギー台車28が、図示のように乗り物車両14の後部から乗り物車両14に近づくことができる。このようにして、乗り物車両14がまさにボギー台車28に結合されて持ち上げられようとしていることにユーザが気付かないようにすることができる。実際には、上述した実施形態と同様に、ボギー台車28が乗り物車両14に係合できる所定の位置78に乗り物車両14を誘導するように構成されたトラフ76によってある程度乗り物車両14を制御することができる。
【0037】
図6は、乗り物車両14がボギー台車28に結合された時点の乗り物車両14の実施形態の斜視図である。図示のように、いくつかの実施形態では、ボギー台車28が、乗り物車両14を一定期間にわたって滝82の停滞位置(stagnant position)に誘導することができる。図示の実施形態では、ボギー台車28が、滝82に近づく前に乗り物車両14に結合して乗り物車両14に係合した後に、乗り物車両14の一部が滝82の縁部130を越えた状態で乗り物車両14を滝82に保持することができる。このようにすると、ユーザは、まるで今にも乗り物車両14が滝82に落ちそうであるかのように感じることができる。上述したように、ボギー台車28は、乗り物車両14の偏揺れ及び縦揺れを引き起こすように構成される。いくつかの実施形態では、ボギー台車28が、矢印132で示すように滝82を越えて乗り物車両14を前方に縦揺れさせるように構成される。このようにして、乗り物車両14は、内部に溜まったあらゆる水を排出することによって乗り物車両14の重量を低減することができる。具体的には、ボギー台車28は、乗り物車両14の上方に配置された車輪アセンブリ70に対する乗り物車両14の角度位置を調整するように構成された傾斜機構88を介して乗り物車両14を前方に縦揺れさせるように構成される。上述したように、ボギー台車28は、乗り物車両14を車輪アセンブリ70に対して回転又は偏揺れさせるように構成された回転機構84も含む。乗り物車両14がボギー台車28に係合すると、ボギー台車28は、経路16の水中部分18から乗り物車両14を持ち上げ、経路16の空中部分24に沿って進み続けることができる。その後、乗り物車両14が空中部分24の長さを移動し終えると、ボギー台車28は、乗り物車両14を流路20の起点50に配置することができる。
【0038】
また、乗り物車両14は、様々な地形に沿って移動するように構成することができる。例えば、
図7に示すように、乗り物車両14は、自動車と同様にコンクリート、草地及び土などの様々な地形上を移動するように構成された駆動輪139を含むことができる。実際に、乗り物システム10は、乗り物車両14が移動するように構成された経路16の地上部分142を含むことができる。この点において、本明細書で説明するように、乗り物車両14は、地上部分142及び/又は水中部分18などの様々な地理的経路に沿って移動するように構成することができる。経路16の地上部分142は、経路16の水中部分18及び/又は空中部分24の追加又は代替とすることができる。乗り物車両14は、乗り物車両14の屋根144に配置されたスロット90(例えば、ガイドレール)を介してボギー台車28に結合するように構成される。スロット90は、ボギー台車28の一連の係合車輪146を受け取ってこれらに結合するように構成される。すなわち、ボギー台車28は、車輪アセンブリ70を介して軌道26に沿って移動して係合車輪146をスロット90に挿入するように構成される。以下でさらに詳細に説明するように、係合車輪146がスロット90内に配置されると、スロット90は、係合車輪146に係合するように構成される。
【0039】
例えば、
図8は、乗り物車両14の頂部の斜視図である。図示の実施形態では、スロット90のロックシステム100を強調するためにスロット90の一部を除去している。ロックシステム100は、スロット90の内壁150から延びて乗り物車両14をボギー台車28に係合させる1又は2以上のロックピン148を含むことができる。例えば、上述したように、係合車輪146は、スロット90内に平行移動することができる。係合車輪146がスロット90内に配置されると、ロックピン148は、(例えば、アクチュエータ151を介して)内壁150から離れて横方向に延びることができる。このロックピン148の延びた配置は、図示のように係合車輪146がスロット90内に保持されることを確実にすることができる。解放中には、ロックピン148が(例えば、アクチュエータ151を介して)スロット90の内壁150内に後退することができる。ロックピン148が内壁150内に後退すると、ボギー台車28は、スロット90との係合から外れて平行移動できるようになる。さらに、図示のように、乗り物車両14は、係合車輪146及び乗り物車両14を車輪アセンブリ70に対して回転させるように構成された回転機構84を含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、乗り物車両14を、経路16外を移動するように構成することができる。例えば、乗り物車両14は、アトラクション、ホテル、駐車場及び店舗などの間で遊園地12全体を通じてユーザを輸送するように構成することができる。このような実施形態では、乗り物車両14をボギー台車28に結合するように構成し、ボギー台車28を、例えば徒歩での交通を避けるように遊園地12の部分全体にわたって乗り物車両14を運ぶように構成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、乗り物車両14を、経路16の地上部分142と経路16の水中部分18との間で移行するように構成することができる。この目的のために、乗り物車両14は駆動輪139を含むことができる。これに加えて、又はこれとは別に、乗り物車両14は、乗り物車両14が水中部分18に沿って自由に浮かぶことを可能にする(
図7に示す)浮揚システム200を含むこともできる。浮揚システム200は、乗り物車両14が水中部分18内に配置された時に車両14に浮力を与えるように構成された1又は2以上の材料/要素(例えば、空気充填要素)を含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、
図7及び
図8に示すように、乗り物車両14を、乗り物車両14の船体92を貫通するスロットを介してボギー台車28に結合するように構成することができる。例えば、
図9に示すように、乗り物車両14は、上述したように駆動輪139を介して様々な地形上を移動するように構成することも、
図3において上述したようにボギー台車14のプロング74を介してボギー台車28に係合するように構成することもできる。実際には、
図9に示す実施形態は、乗り物車両14のいくつかの態様を強調するために意図的に単純化したものである。従って、乗り物車両14及びボギー台車28は、本明細書で説明したが
図9には明確に示していない追加要素を含むこともできると理解されたい。例えば、図示の実施形態における乗り物車両14は、
図3を参照して上述したスロット90の特徴を全て含むことができるスロット90を含むことができる。さらに、ボギー台車28は、やはり
図3を参照して上述したようにプロング74を介してスロット90に結合(例えば、係合)するように構成することもできる。従って、本明細書で説明したように、ボギー台車28は、軌道26に沿って移動し、乗り物車両14に係合し、軌道26に沿って乗り物車両14を運び、乗り物車両14から離脱するように構成される。一般に、
図1~
図9に示すような乗り物車両14及びボギー台車28の実施形態は、あらゆる好適な形で組み合わせることができると理解されたい。
【0042】
本明細書では、いくつかの実施形態のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の実際の趣旨に該当するような全ての修正及び変更を含むように意図されていると理解されたい。
【0043】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のもの又は純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むあらゆる請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0044】
14 乗り物車両
18 水中部分
28 ボギー台車
36 終点
76 トラフ
78 所定の位置
82 滝