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特許7422145非熱プラズマを発生させるための電極構成を検査する方法、及び、このような電極構成を備え、このような方法を実行するよう構成されたプラズマ源
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】非熱プラズマを発生させるための電極構成を検査する方法、及び、このような電極構成を備え、このような方法を実行するよう構成されたプラズマ源
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20240118BHJP
   A61N 1/44 20060101ALI20240118BHJP
   A61L 9/22 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H05H1/24
A61N1/44
A61L9/22
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021518996
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019065574
(87)【国際公開番号】W WO2019238866
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】102018209730.5
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518023924
【氏名又は名称】テッラプラズマ ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】520491975
【氏名又は名称】テッラプラズマ メディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン,ユリア
(72)【発明者】
【氏名】リンナー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】カンツラー,ジルヴィア
(72)【発明者】
【氏名】モーフィル,グレゴール
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイレマン,ハンネス
(72)【発明者】
【氏名】カンツラー,マキシミリアン
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-526951(JP,A)
【文献】国際公開第2015/049780(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/013211(WO,A1)
【文献】米国特許第06350960(US,B1)
【文献】特開平08-193271(JP,A)
【文献】特開2018-073606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00- 1/54
A61L 9/22
A61N 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非熱プラズマを発生させるための電極構成(1)を検査する方法であって、
前記電極構成(1)のプラズマパワーを特徴付ける少なくとも1つのパワーパラメータを決定する工程と、
前記少なくとも1つのパワーパラメータを少なくとも1つの所定の目標パラメータ値と比較して、比較結果を得る工程と、
前記比較結果を用いて前記電極構成(1)の機能性を評価する工程と、を含み、
前記電極構成の少なくとも1つの所定の目標パラメータ値は、少なくとも1つの使用パラメータに従って特性マップに格納され、当該特性マップから少なくとも1つの所定の目標パラメータ値を少なくとも1つの使用パラメータに従って読み出すことができ、
前記少なくとも1つの使用パラメータは、電極構成の周囲温度と、電極構成の環境における相対湿度と、から成る群から選択される、非熱プラズマを発生させるための電極構成(1)を検査する方法。
【請求項2】
さらに、前記比較結果に従って少なくとも1つのアクションを選択する工程を含み、
前記アクションが、「正常」信号の出力、「動作要求」信号の出力、「異常」信号の出力、前記電極構成(1)のオペレータへの現在のプラズマパワーの報知、前記比較結果に対する前記電極構成(1)の駆動時間の調整、前記電極構成(1)の駆動の終了、及び、更なる別の措置を取らない前記電極構成(1)の前記駆動の継続、から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、前記電極構成が駆動状態になった直後に実行されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのパワーパラメータが、前記電極構成(1)と直列に接続された電子的プロキシ構造(104)上で検出されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのパワーパラメータとして、前記電極構成(1)に印加される駆動制御電圧の特定の位相角において、前記電子的プロキシ構造(104)において降下するプロキシ電圧の少なくとも1つの値が測定されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのパワーパラメータとして、前記駆動制御電圧の複数の期間にわたって平均化された、前記駆動制御電圧の前記特定の位相角における前記プロキシ電圧の平均値が決定されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記電子的プロキシ構造(104)として、キャパシタ(105)が利用されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのパワーパラメータが、第1の上限目標パラメータ値、及び第2の下限目標パラメータ値と比較され、前記少なくとも1つのアクションは、前記少なくとも1つのパワーパラメータが前記第1の上限目標パラメータ値及び前記第2の下限目標パラメータ値により制限される目標パラメータ範囲内にあるかどうかに従って選択されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記電極構成(1)が、前記少なくとも1つのパワーパラメータの前記決定前に、所定の期間の間駆動されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記比較結果及び/又は前記少なくとも1つのパワーパラメータは、後の読み出しのために、前記電極構成(1)の電子記憶デバイスに記録されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
周囲空気中で表面マイクロ放電を発生させるよう構成された前記電極構成(1)が検査されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
第1の電極(3)と、第2の電極(5)と、誘電体(7)とを有する電極構成(1)が検査され、前記第1の電極(3)と前記第2の電極(5)とは、前記誘電体(7)によって互いに隔てられており、それぞれが前記誘電体(7)と直接的に機械的に接触して配置されていることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の電極(3)には高電圧が印加され、前記第2の電極(5)が、アースに接続され又は接地されていることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
非熱プラズマを発生させるための電極構成(1)であって、
第1の電極(3)、
第2の電極(5)、及び、
前記第1の電極(3)と前記第2の電極(5)とを互いに隔てる誘電体(7)であって、前記第1の電極(3)が前記誘電体(7)の第1の側面(9)に配置され、前記第2の電極(5)が前記第1の側面(9)とは反対側の、前記誘電体(7)の第2の側面(11)に配置される、誘電体(7)
を備える、電極構成(1)と、
前記電極構成を駆動制御するよう構成された制御装置(101)であって、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法を実行するよう構成された前記制御装置(101)と、
を備えた、プラズマ源(100)。
【請求項15】
前記制御装置(101)が、前記電極構成(1)と直列に接続可能であり又は接続された電子的プロキシ構造(104)を有し、前記制御装置(101)が、前記電極構成(1)と直列に接続された前記電子的プロキシ構造(104)において、前記少なくとも1つのパワーパラメータを検出するように構成されていることを特徴とする、請求項14に記載のプラズマ源(100)。
【請求項16】
前記電子的プロキシ構造(104)が、キャパシタ(105)であることを特徴とする、請求項15に記載のプラズマ源(100)。
【請求項17】
前記第2の電極(5)が周期的構造を有することを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載のプラズマ源(100)。
【請求項18】
a)前記第2の電極(5)は、辺(17)によって画定される少なくとも1つの凹部(19)を含む少なくとも1つの構造要素(15)を有し、各凹部(19)内の、前記凹部(19)を画定する前記辺(17)は、互いに対して最小0.5mm~最大10mmの間隔を有し、及び/又は、
b)前記第2の電極(5)は、複数の構造要素(15)を有し、個々の前記構造要素(15)は、互いに対して最小0.5mm~最大10mmの間隔を有し、及び/又は、
c)前記第2の電極(5)は、線形状、ジグザグ状、直線状、曲線状、波状、螺旋状、櫛状又は蛇行状に形成される
ことを特徴とする、請求項14から17のいずれか一項に記載のプラズマ源(100)。
【請求項19】
a)前記誘電体(7)及び前記第2の電極(5)は、前記電極構成(1)の積層方向に対して垂直に見て、全方向で前記第1の電極(3)より突出しており、又は、
b)前記誘電体(7)及び前記第1の電極(3)は、前記電極構成(1)の積層方向に対して垂直に見て、全方向で前記第2の電極(5)より突出しており、又は、
c)前記誘電体(7)は、前記電極構成(1)の積層方向に対して垂直に見て、全方向で第1の電極(3)及び第2の電極(5)より突出している
ことを特徴とする、請求項14から18のいずれか一項に記載のプラズマ源(100)。
【請求項20】
前記第1の電極(3)が絶縁層(13)で被覆され、及び/又は、封止コンパウンドで封止されていることを特徴とする、前記請求項14から19いずれか一項に記載のプラズマ源(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非熱プラズマを発生させるための電極構成を検査する方法、及び、このような電極構成を備えたプラズマ源であって、このような方法を実行するよう構成されたプラズマ源に関する。
【背景技術】
【0002】
非熱プラズマは、病原性細菌の数を低減するため、又はそのような細菌を除去するために幅広い用途で使用されており、例えば、創傷治療、皮膚疾患の治療、食品衛生、静脈内注射用の水の製造、飲料水の処理、汚染除去、対象物、特に医療機器の殺菌又は滅菌の分野において、及び/又は、軍事部門、民間部門、航空宇宙部門で、特に、表面処理、特に表面の滅菌又は殺菌、アレルゲンの不活性化、種子処理、植物保護、臭気低減の分野で、例えば織物又は織物製品、特に衣類又はマットレスをリフレッシュする際に、空気の浄化及び監視などの用途で使用されている。非熱プラズマはまた、治癒効果を有するため、その細菌負荷低減効果を超えて創傷治療のため及び皮膚疾患の治療のためにも使用される。上記の用途の数多くは、非熱プラズマが適用時に生成されず適用されない場合、又は十分な規模で生成されず適用されない場合には、適用者自身にとって、又は適用が実施される人、例えば、患者、この種の処理が施された飲料水の消費者、若しくは種子の利用者等にとって、重大な危険が迫る可能性があるという意味において、クリティカルである。さらに、安全性の理由から、特定種の最大投与量の制限を遵守しなければならないこともある。平面的又は幾何学的に線形的なプラズマ生成においては、プラズマが生成される表面又はラインに沿ってプラズマが均一に生成されるかについての情報を得ることも重要である。さもなければ、特定の平面領域又は線形領域が、低減された規模で処理され又は全く処理されない一方で、他の領域が、場合によっては過剰な規模でプラズマに曝露される危険性があるからである。
【発明の概要】
【0003】
したがって、非熱プラズマを発生させるための電極構成が意図されているような機能を有するかどうかを確実に確認することができる方法が必要とされている。
【0004】
本発明の課題は、非熱プラズマを発生させるための電極構成を検査する方法であって、上述の欠点を回避するために寄与し、特に、電極構成の意図された機能性を検査することを可能とする方法を提供することである。さらに、本発明の課題は、非熱プラズマを発生させるための電極構成を含むプラズマ源であって、上記の方法を実行するよう構成されたプラズマ源を創出することである。
【0005】
本課題は、独立請求項の発明の主題を創出することによって解決される。有利な構成が従属請求項から明らかとなろう。
【0006】
本課題は特に、非熱プラズマを発生させるための電極構成を検査する方法を創出することで解決される。上記方法は、以下の工程を有する。電極構成のプラズマパワーに特有の少なくとも1つのパワーパラメータが決定される。パワーパラメータは、特に、電極構成の駆動時に、しかし電極構成の利用前にも決定される。即ち、パワーパラメータは、特に、駆動中ではあるが利用前の、電極構成の現在のプラズマパワー特有のものである。少なくとも1つの特定のパワーパラメータが、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値と比較され、この比較から比較結果が得られる。この比較結果を用いて、電極構成の機能性が評価される。本明細書において提案される方法によって、特に初期に、電極構成が作動状態になった際に、その機能性を確実かつ正確に決定することができる。したがって、特に、電極構成の機能性が乏しく、当該機能性が低減されており、又は当該機能性が備わっていないことに伴う、電極構成のユーザにとって又は第三者にとっての危険を回避することができる。好適には、比較結果に従って少なくとも1つのアクションが選択される。このようにして、比較結果に応じて、及びこれにより、電極構成の確認された機能性にも応じて、これらに対して調整された動作を選択することができる。
【0007】
非熱プラズマとは、特に、プラズマの電子の運動エネルギーの分布を表す温度(電子温度とも呼ばれる)が同一ではなく、特に、プラズマ中に含まれるイオン、特に原子イオン及び/又は分子イオンの運動エネルギーの分布を表す温度(イオン温度とも呼ばれる)よりもはるかに高いプラズマとして理解される。電子温度はイオン温度よりもはるかに高く、イオン温度は、特に25℃~最大100℃の範囲内で選択できる。このようなプラズマは、イオン温度が比較的低いため、低温プラズマとも呼ばれる。
【0008】
プラズマとは、特に気相中に正負の電荷を持つ荷電粒子が共存している物質状態のことであり、特定の容積を平均してみると、対象容積に対して中性の電荷が得られる。さらにプラズマは、好適には、電子的、振動的及び/又は回転的励起状態にあり励起粒子とも称される非荷電原子及び/又は分子、及び/又は、フリーラジカル、特に、反応性粒子又は反応性種とも称される非荷電反応性原子及び/又は分子を含む。
【0009】
電極構成とは、本明細書において特に、当該電極構成に電圧、特に交流電圧が印加された場合に非熱プラズマを発生させるために構成された、互いに対して相対的な導電性電極の構成と理解される。プラズマ源とは、より狭い意味での電極構成を超えた、即ち互いに対して相対的な導電性電極の構成を超えた、電極に電力を印加するための手段、特に電圧源と、好適には、電極に印加される電流値、特に電圧及び/又は電流強度に影響を与え、予め設定し、測定し、評価し、制御及び/又は調整するための制御装置と、を有する装置として理解される。
【0010】
電極構成は、好適には、誘電体によって互いに隔てられている第1の電極及び第2の電極を有し、これにより、電圧、特に交流電圧が電極に印加された場合には、プラズマ放電、特に表面マイクロ放電が、2つの電極のうちの1つで生成されうる。これにより、電極構成は、当該電極構成の範囲外の表面に依存せずに、非熱プラズマを発生させるよう構成される。特に、電極構成は、SMD電極構成(SMD:Surface Micro Discharge、表面マイクロ放電)として構成される。特に、対電極として接続された処理すべき表面が必要ではない。電極構成の2つの電極は、好適には誘電体と物理的に接触している。上記2つの電極は、誘電体に埋め込まれており、又は、例えば、蒸着、スクリーン印刷、物理的若しくは化学的気相堆積によって、塗布若しくは押圧によって、接着によって、又は、他の適切な方法で誘電体上に配置することが可能であり、2つの電極は密に、特に空隙無しで誘電体に対して密に配置されている。これにより特に、電極構成の2つの電極が、処理される表面に対して共通の側に配置されている。特に、処理される表面は、電極構成の2つの電極の間には配置されていない。
【0011】
電極構成は、特に、空気中、特に周囲空気中で非熱プラズマを発生させるように構成される。したがって好適には、非熱プラズマを発生させるために特別なガスが使用されず、特に、そのような特別なガス、特にキャリアガスが電極構成に供給されない。
【0012】
本明細書で提案される方法は、このような電極構成を検査するために特に適している。特に、このような電極構成では、プラズマパワーが、プラズマがそれに沿って又はそこで生成される表面又はラインにも直接的に依存しており、プラズマ生成時に、及び/又は、例えば汚染によりプラズマが生成されない表面領域及び/又は線形領域において、何らかの不均一性によってプラズマパワーが直接的に低減される。これにより、パワーパラメータと少なくとも1つの所定の目標パラメータ値との比較を用いて、プラズマが均一に生成されるかどうかを確認することもできる。
【0013】
電極構成のプラズマパワーとは、電極構成によって消費される電力のうち、非熱プラズマを発生させるために直接的に使用される部分、特に、プラズマに含まれる反応性粒子の生成率と直接的に関係している部分として理解される。パワーパラメータとして、上記プラズマパワーに特有のパラメータが検出される場合には、電極構成の機能性は、特に確実で信頼性が高い方法で推測することができる。なぜならば、パワーパラメータはこの場合、電極構成によるプラズマ生成について直接的な情報を提供するからである。
【0014】
電極構成の機能性を評価することとは、特に、特定のアクションの選択によって間接的に、及び/又は、電極構成の機能性を説明し若しくは表すメッセージの出力によって直接的に、電極構成の機能性についての記述が導出されることとして理解される。機能性は、単純な2値決定の意味において、すなわち、電極構成が機能しているか否かを評価することが可能であるが、電極構成の機能性をより複雑な方法で評価することも可能であり、特に、現在のプラズマパワーの決定、及び場合によっては、決定された現在のプラズマパワーに従ったアクションの選択に鑑みて、評価することもできる。
【0015】
好適には、本方法の枠組みにおいて、プラズマパワーが、パワーパラメータとして又は少なくとも1つのパワーパラメータを用いて検出される。
【0016】
本発明の更なる発展形態によれば、アクションが、「正常」信号の出力、「動作要求」信号の出力、「異常」信号の出力、電極構成のオペレータへの現在のプラズマパワーの報知、比較結果に対する駆動時間又は処理時間の調整、適用の開始前の電極構成の駆動の終了、及び、更なる別の措置を取らずに、特に信号又はメッセージを出力せずに、適用のために電極構成の駆動を継続、から成る群から選択されることが提供される。「正常」信号は緑信号とも呼ばれ、「動作要求」信号は以下では黄色アラームとも呼ばれ、「異常」信号は、以下では赤アラームとも呼ばれる。緑信号は、電極構成が意図されるように機能していることを示す。
【0017】
緑信号は特に、少なくとも1つのパワーパラメータが、第1の所定の限界値を下回る分だけ、例えば15%未満の分だけ、所定の目標パラメータ値から外れている場合に出力することができる。黄色アラームは、電極構成を検査すべきであることを電極構成のオペレータに報知し、場合によっては更なる工程、例えば、電極構成の洗浄、接点のクリーニング、又は他のこの種の措置が必要となりうる。少なくとも1つの所定の目標パラメータ値からの少なくとも1つのパワーパラメータのずれが、第1の所定の限界値よりも大きくて、第2の所定の限界値よりも小さい場合には、このような黄色アラームが好適には出力される。第2の所定の限界値は、第1の所定の限界値よりも大きい。第2の所定の限界値は、例えば、所定の目標パラメータ値からの30%分のずれに相当しうる。黄色アラームは、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値からの少なくとも1つのパワーパラメータのずれが、第1の所定の限界値と等しい場合にも出力することができる。赤アラームは、特に、電極構成のさらなる駆動が、機能性の欠如のためもはや意味をなさず、又は電極構成自体にとって、(例えば、飲料水処理における)プラズマで処理された物品の後のユーザにとって、オペレータにとって、若しくは、電極構成によって治療される人物にとって危険である場合に出力されうる。赤アラームは、特に、少なくとも1つのパワーパラメータが、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値から、第2の所定の限界値分だけ又は第2の所定の限界値を超えて外れる場合に出力することができる。
【0018】
本方法の一実施形態によれば、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値は、目標値であってよく、この場合、パワーパラメータは、特に厳密に1つの目標値と比較され、電極構成の機能性が比較結果に基づいて評価される。特に、少なくとも、目標値に対して定義された特定の限界値を超えたときには、目標値からの上方及び下方の両方のずれは、電極構成の機能性の欠如の指標となる。
【0019】
本方法の他の実施形態によれば、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値を最小値とすることができる。この場合、パワーパラメータは最小値と比較され、これにより、パワーパラメータは、最小値より大きいか又は小さいかについて検査される。パワーパラメータが最小値以上である場合には電極構成は機能しており、パワーパラメータが最小値より小さい場合には電極構成は機能していない。黄色アラームの範囲も同様に定めることが可能であり、この場合、上記範囲は、最小値から、所定の数値又は所定の係数の分だけ最小値よりも小さい所定の限界値までである。赤アラームの範囲は、所定の限界値から、より小さい値までであり、黄色アラームの範囲は、所定の限界値と最小値との間にある。この場合、緑信号の範囲は最小値よりも上にある。
【0020】
本方法の更なる実施形態では、対応する(単に逆の)方法で、目標パラメータ値を最大値として定義することができる。この場合、電極構成は、パワーパラメータが最大値より大きい値をとる場合には機能せず、パワーパラメータが最大値を下回る値又は最大値までの値をとる場合には機能する。この場合、緑信号の範囲は、より小さい値、特にゼロから最大値までであり、黄色アラームの範囲は、最大値から、所定の数値又は所定の係数の分だけ所定の限界値よりも大きい所定の限界値までである。この場合、赤アラームの範囲は所定の限界値から、より高い値までである。
【0021】
本方法の更なる別の実施形態において、2つの所定の目標パラメータ値を設けることが可能であり、これらの2つの所定の目標パラメータ値と少なくとも1つのパワーパラメータが比較される。2つの所定の目標パラメータ値は、値の幅、又は値の範囲の限界値を定義し、電極構成は、上記値の幅で又は値の範囲内で機能するものとして評価される。特に、第1の所定の目標パラメータ値が、上記値の幅又は値の範囲の最小値として定義され、より大きな第2の目標パラメータ値が、上記値の幅又は値の範囲の最大値として定義される。この場合、黄色アラームの範囲は、最小値及び最大値について先に説明した意味において、一方が最大値に、他方が最小値にそれぞれ割り当てられる。
【0022】
代替的に、黄色アラームの範囲は、先に説明したように、所定の目標パラメータ値から始まって、赤アラームの範囲の方向に延びず、むしろ、緑信号の範囲へと延びることもできる。この場合に、例えば、最小値に割り当てられる所定の限界値は、最小値よりも大きくてもよく、最大値に割り当てられる所定の限界値は、最大値よりも小さくてもよい。代替的に、黄色アラーム範囲が所定の目標パラメータ値を挟み、好適には当該所定の目標パラメータ値を対称的に含むように、黄色アラーム範囲を定義することもできる。
【0023】
少なくとも1つの所定の目標パラメータ値は、好適には、電極構成の所望の動作モードの関数として、特に所望のプラズマ化学、特にプラズマ中の特定の活性種の所望の濃度の関数として選択される。例えば、一方では、生成された非熱プラズマが実質的に酸素種、例えばオゾンを含むべき場合(酸素モード)、又は、非熱プラズマが実質的に窒素種、特に窒素酸化物を含む場合(窒素モード)には、様々な目標パラメータ値、特に、許容しうる値の範囲又は許容しうる値の範囲を制限する目標パラメータ値を予め設定することができる。これらの動作モード間の中間範囲を選択することもできる。プラズマ化学は、選択されるプラズマパワーに大きく依存し、これにより、このプラズマパワーによって予め設定することができる。その限りにおいて、電極構成の機能性を、選択された動作モードに従って、プラズマパワーを考慮して検査する必要もある。
【0024】
ここで説明する信号は、例えば、光信号として出力することができる。特に、緑信号を緑色光として、黄色アラームを黄色光として、赤アラームを赤色光として出力することができる。光信号を出力するために、特に発光ダイオードを利用することができる。
【0025】
しかしながら、代替的に又は追加的に、信号及び/又は通知は、テキスト形式で、特にディスプレイにおいて、音響的な信号又は通知として、振動によって、又は、他の適切な方法で出力することもできる。
【0026】
特に現在のプラズマパワーのオペレータへの通知によって、オペレータが、特定の処理期間の間、電極構成の処理結果を推定し、場合によっては、利用の開始前に、処理時間を現在のプラズマパワーに対して調整することが可能となる。例えば、電極構成が、公称プラズマパワーと比較して低減された現在のプラズマパワーを有する場合には、オペレータが、特定のプラズマ線量を印加するために、適切な方法で処理時間を延長することができる。しかしながら、処理時間のこのような調整は、特に比較結果に従って、好適には自動的に行うこともできる。この場合、オペレータには、好適には、自動的に変更された処理時間が通知され、又は、オペレータは、それが自動的に動作を終了するまで電極構成を駆動することを要求され、この場合、変更された処理期間が準自動的に考慮される。この場合、処理時間は、好適には電極構成の駆動時間に対応する。なぜならば、電極構成は、好適には、実際に行われる処理の間にのみ駆動されるからである。この場合、処理は、特に電極構成が駆動状態になるとともに始まって、電極構成の駆動の終了とともに終了する。
【0027】
電極構成のさらなる駆動が、電極構成自体、オペレータ、又は、電極構成で治療される人物にとってもはや意味がなく、又は危険である場合には、電極構成の駆動を特に終了し又は停止することができる。特に、赤アラームの出力と同時に、電極構成の動作を終了又は停止することができる。
【0028】
電極構成の機能性が低下していないことが確認された場合、好適には、電極構成のさらなる駆動が許可され、又は続けられる。特に、電極構成の駆動の許可又は継続は、検査方法が特に電極構成が駆動状態になった際に実行される場合には、緑信号の出力と同時に行われうる。
【0029】
本発明の更なる発展形態によれば、本方法は、電極構成が駆動状態となった直後に、しかし好適には電極構成の利用前にも、実行されることが提供される。特に、本方法は、電極構成が駆動状態となった度にその直後に、常に新たに、好適には自動的に実行されることが可能である。このようにして、電極構成を、好適には駆動状態となった際に直接的に検査することが可能であり、その際に、好適には、電極構成が完全に機能しているかについてのフィードバックが電極構成のオペレータに出力される。このようにして、電極構成の実際の使用前に常に、特に表面、液体、バルク料、又は人物に対して電極構成で処理を施す前に、電極構成が完全に機能しているかどうかを確認することが可能であり、場合によっては、電極構成の実際の使用は行われず、電極構成はむしろ検査され、洗浄され、又は修理に送られる。このことには、一方では、オペレータに、電極構成の問題が早い段階で報知され、これにより、誤った処理が回避され、又は、場合によっては気付かれずに処理が行われないということが回避され、その際に、電極構成の機能性を維持又は保証するために対策を直接的に講じることができるという利点がある。さらに、電極構成が駆動状態になった際に直ちに、電極構成が完全に機能していること又は電極構成が機能しているかどうかを記録できる場合には、場合によっては作成される治療プロトコルにとっても有利である。
【0030】
好適には、本方法は、特に電極構成の利用中にではなく、もっぱらその利用前に実行される。すなわち、本方法は特に、実際の使用前の予備的な機能検査として機能する。
【0031】
本方法の更なる発展形態によれば、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値が一定に予め設定されるということが提供される。このことは、特に、電極構成が検査される外部条件が常に少なくとも近似的に同一である場合、及び/又は少なくとも1つの所定の目標パラメータ値が、変化する外部条件に対して十分に鈍感である(左右されない)場合に当てはまる。この限りにおいて、好適には、電極構成の外部条件に応じて最大でも小さな規模でしか変化しないパワーパラメータが使用される。特に好適には、パワーパラメータは、電極構成の実際のプラズマパワーとの関係が、このような外部条件、特に温度、湿度、経年変化の影響(腐食、酸化、堆積物等)にごく小さな規模にしか依存せず、好適には依存しないように選択される。このようにして、パワーパラメータは、いかなる場合でも電極構成のプラズマパワーにのみ依存し、これにより常に、電極構成のプラズマパワーにのみ特有であることを保証することができる。
【0032】
代替的に、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値は、電極構成の少なくとも1つの使用パラメータの関数として格納されることができ、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値は、特に、少なくとも1つの使用パラメータの関数として呼び出され、又は活性化されることができる。好適には、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値は、少なくとも1つの使用パラメータに従って特性マップに格納され、この特性マップから、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値を少なくとも1つの使用パラメータに従って読み出すことができる。このことは、電極構成の使用条件、及び、これにより、少なくとも1つの使用パラメータの値が、時間の経過とともに変化しうる場合に特に有益である。少なくとも1つの使用パラメータは、好適には、電極構成の周囲温度と、電極構成の環境における相対湿度と、から成る群から選択される。このことは、例えば創傷治療又は水処理のために、湿った表面を処理する際には、又は湿った若しくは濡れた環境においては特に重要である。この場合、好適には、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値について、相対湿度の関数としての2つの異なる値、例えば、80%以上の相対湿度に対する第1の値、及び、80%未満の相対湿度に対する第2の値を格納することで充分である。
【0033】
少なくとも1つの使用パラメータは、電極構成、又は電極構成を有するプラズマ源によって測定することができる。このようにして、使用パラメータの現在の正確な値を常に直接的に獲得することができる。代替的に又は追加的に、少なくとも1つの使用パラメータは、電極構成又はプラズマ源によって、特に外部のソースから獲得することが可能であり、例えば、少なくとも1つの使用パラメータが、サービスプロバイダ又はコンピュータからダウンロードされ、ネットワークから取得され、又は、適切なインターフェースを介して電極構成のオペレータによって入力されることができる。
【0034】
プラズマは、電極構成によって、好適には周囲空気中で生成される。即ち、プラズマを発生させるための別のキャリアガスが電極構成に供給されない。したがって、電極構成の動作も、特定の形態で電極構成の環境における周囲温度及び/又は相対湿度から影響を受ける。
【0035】
電極構成は、好適には交流電圧で駆動され、特に、好適には最小2kHz~最大100kHzの周波数で駆動される。電極構成は、好適には、数キロボルトの電圧で駆動され、電圧は、好適には、最小1kVpp~最大5kVppで選択され、好適には3.5kVppに選択される。
【0036】
本発明の更なる発展形態によれば、パワーパラメータを定めるために電極構成が加熱されることが提供される。この目的のために、電極構成は、特に好適には、少なくとも50℃の温度に加熱される。このようにして、場合によっては、電極構成の表面に蓄積する水分を除去することが可能であり、さもなければ当該水分が測定に害を与える可能性がある。
【0037】
特に、プラズマパワーは、様々な方法で決定することができる。即ち、好適な選択肢は、フーリエ(又はパワースペクトル(Power Spektrum))分析であり、フーリエ分析では、スペクトルの高周波部分におけるパワーのみが決定される。プラズマ放電は、多くの小さな「スパイク」を発生させるため(実際にはデルタ関数のようである)、プラズマパワーを高周波範囲において測定できる。
【0038】
他の好適な測定方法において、プラズマパワーは、リサージュ図形の面積によって記述され、このリサージュ図形は、駆動中の電極構成での実際の電圧として定義されるプラズマ電圧に対して、電圧源によってプラズマ生成のために電極構成に印加される電圧として定義される駆動制御電圧の位相空間表現によって生成され、ここではしたがって、駆動制御電圧は、プラズマ源の、変更されていない駆動電圧であり、プラズマ電圧は、プラズマ放電によって変更/変形された、駆動制御電圧に対して位相シフトされた電圧であって、電極構成で降下する電圧である。この場合、好適には、電圧曲線における個々のマイクロ放電は考慮されず、むしろ適切な平均化が考慮される。位相空間表現では、囲まれた面積の周りに閉曲線が生成される。この囲まれた面積は、マイクロ放電による駆動制御電圧の変形と、駆動制御電圧とプラズマ電圧との間の位相シフトと、についての情報を含み、したがって、プラズマパワーのための尺度となる。
【0039】
実際には、さまざまな理由から、この位相空間表現を利用すること、及び/又は電圧曲線を直接的に測定することが常に可能なわけではない。この場合、駆動制御電圧とは、印加される高電圧、又は、印加される高電圧に形状、位相、及び振幅が対応している電圧を意味しており、プラズマ電圧の代わりに、電極構成と直列に接続された電子的プロキシ構造で降下するプロキシ(代理)電圧(Proxy-Spannung)が測定され(特に「プロキシ(代理)測定(Proxy-Messung)」とも呼ばれる)、プロキシ電圧が、(本来のプラズマパワーを含む)マイクロ放電によって引き起こされる2つの影響(変形及び位相シフト)を表す。この「プロキシ測定」の囲まれた面積が、又は、プロキシ電圧自体も同様に、プラズマパワーを記述する。
【0040】
プラズマパワーを表すこのような「プロキシ測定」を実行する様々な可能性が存在する。
1:駆動制御電圧対プロキシ電圧の位相空間曲線がプロットされ、このように囲まれた面積の積分が形成される。
2:駆動制御電圧の正弦曲線における所定の時点に、プロキシ電圧が測定される。駆動制御電圧の上記時点の位置は、リサージュ図形の最大幅及び/又は高さが満たされるように、最適に選択される。上記位置は、最適には、駆動制御電圧とプロキシ電圧との間の最大の時間勾配及び/又は位相差の領域に存在する。
【0041】
上記測定について容易に定められる点は、駆動制御電圧のゼロ交差である。この箇所でのプロキシ電圧は、リサージュ図形の最大幅又は最大高さに近い。このようにして検出されるプロキシ電圧は、プラズマパワーを表す容易に測定可能なパラメータである。このためには、特にリサージュ図形の囲まれた面積との比較によって決定可能な比例係数を適切に選択することがさらに必要である。
【0042】
測定の「離散化」に因り、このような「特異な」測定では、マイクロ放電が無作為に打たれてよく、又は打たれなくてもよい。したがって好適には、十分な数の測定値、好適には256個の測定値が、プラズマパワーについての信頼性の高い結果を得るために平均化される。
【0043】
本発明の更なる発展形態によれば、これに従って、少なくとも1つのパワーパラメータが、電極構成と直列に接続された電子的プロキシ構造、特に電極構成を有するプラズマ源の電子的プロキシ構造において、特にプロキシ測定として検出されることが提供される。これにより、それにもかかわらず電極構成のプラズマパワーに特有のパワーパラメータの、特に小型で携帯可能なハンドヘルド装置でも実行可能な簡単な測定が可能となる。
【0044】
ここで、電子的プロキシ構造とは、特に、1つの電子部品、又は、互いに電気的に直接的若しくは間接的に接続され互いに相互作用する複数の電子部品として理解され、当該電子的プロキシ構造は、少なくとも1つのパワーパラメータ及び最終的にはプラズマパフォーマンスを決定するために、そこでプロキシ測定を行うために特に適している。
【0045】
本発明の更なる発展形態によれば、電子的プロキシ構造としてキャパシタが使用されることが提供される。この文脈において、キャパシタとは一般に、少なくとも容量的にも振る舞い、好適には実質的に容量的に、好適には容量的にのみ振る舞う電子的構造として理解される。特に好適には、少なくとも1つのコンデンサ又はコンデンサ構成、特に好適には厳密に1つのコンデンサが電子的プロキシ構造として使用される。本明細書で提案される方法の枠組みにおいて、電子的プロキシ構造としてキャパシタを利用することにより、電極構成の実際のプラズマパワーについての特に信頼性の高い結果が得られることが見出された。
【0046】
電子的プロキシ構造のキャパシタンス(以下、プロキシキャパシタンスと呼ぶ)は、プラズマ駆動中の電極構成のキャパシタンス(以下、構成キャパシタンスと呼ぶ)よりも好適には大きく、特にはるかに大きく、好適には最小500~最大2000倍、好適には最小750~最大1500倍、好適には1000倍大きくなるよう選択される。
【0047】
プロキシ電圧Vproxyは、プラズマ電圧Vplasmaと以下のような関係にある。
【0048】
【数1】
【0049】
上記式において、Cはプロキシキャパシタンスであり、Cは構成キャパシタンスである。
【0050】
このことが、好適な例示的な実施形態を用いてより詳細に解説される。
(好適な実施形態の始まり)
構成キャパシタンスは、好適には、プラズマ生成が起こる電極構成の辺において、電極構成の構造化された電極の辺の全長L(全ての辺の長さの合計)に比例し、以下のようになる。
【0051】
【数2】
【0052】
上記式において、Cは比例係数である。
【0053】
構成キャパシタンスは、例えば109pFであり、プラズマ電圧は3.5kVpp(ピーク・ツー・ピーク)である。さらに、辺の全長Lは72cmである。これによりC=C/L=1.51であり、このような値はSMD電極構成には典型的であり、Cは、1<C<2の範囲内にある。
【0054】
測定技術の理由から、約3~5VPPのプロキシ電圧の値を有することが望ましい。これに基づいて、スケーリングが得られる(但し、C>>C)。
【0055】
【数3】
【0056】
プラズマ電圧の大きさは、駆動制御電圧(典型的には数kV)によって分かり、所望のプロキシ電圧も同様である。Cは、辺の全長Lによって実質的に予め定められる電極の構成及び電極の構造形態(例えばSMD、これがCを定める)について決定することができる。
【0057】
好適な電極構成について、式(3)から、プロキシキャパシタンスC=100nF(Vproxy=3.5Vpp、Vplasma=3.5kVpp)の目安値が得られる。
(好適な実施形態の終わり)
【0058】
本発明の更なる発展形態によれば、少なくとも1つのパワーパラメータとして、プロキシ電圧の少なくとも1つの値が、駆動制御電圧の特定の位相角において、特に駆動制御電圧がゼロと交差する場合において、測定されることが提供される。好適には、少なくとも1つのパワーパラメータとして、駆動制御電圧の特定の位相角におけるプロキシ電圧の平均値PMであって、駆動制御電圧の複数の、特に多数の周期にわたって平均化された平均値PMが決定される。
【0059】
【数4】
【0060】
但し、式(4)において、Vproxy,i(φ)は、周期iにおける駆動制御電圧の固定の位相角φにおける、特にゼロ交差におけるプロキシ電圧の値であり、nは、平均化が行われる駆動制御電圧の周期の数である。好適な構成によれば、n=256であり、他の好適な構成によれば、nは、異なる値又はより大きい値を取りうる。n=256の場合、xkHzの駆動制御電圧の周波数について、全ての測定が連続する周期において連続的に行われる場合には、各周期で連続的に一回測定されるプロキシ電圧の平均値の計算が、1/(4x)秒毎に行われる。特に高い周波数では、測定はまた、特定の周期(例えば、各第2の周期又は各第3の周期など)にのみ可能であり、又は、256周期ごとに連続して測定され、この場合、特定数の周期のギャップが残る。当然のことながら、プラズマ線量を決定するためには、対応する手順を考慮する必要がある。
【0061】
電極構成を駆動制御するための制御装置には、好適には、実際のプラズマパワーへのパワーパラメータの割り当てが格納されており、好適には、簡単な係数として、又は、より複雑な、好適には少なくとも単射関数として、より好ましくは全単射関数として格納されており、これにより、実際のプラズマパワーがパワーパラメータの測定値に対して一意に割り当てられる。
【0062】
本発明の更なる発展形態によれば、パワーパラメータが、第1の上限目標パラメータ値、及び第2の下限目標パラメータ値と比較される。第1の上限目標パラメータ値は、第2の下限目標パラメータ値よりも大きい。少なくとも1つのアクションが、第1の目標パラメータ値及び第2の目標パラメータ値によって制限される目標パラメータ範囲内にパワーパラメータ値があるかに従って選択される。即ち、第1の目標パラメータ値及び第2の目標パラメータ値が、パワーパラメータが入ることが意図される目標パラメータの範囲を定める。即ち、パワーパラメータが目標パラメータの範囲内に入る場合には、電極構成が正常に機能していることを意味する。これに対して、パワーパラメータが、第2の下限目標パラメータ値よりも小さく、又は第1の上限目標パラメータ値よりも大きい場合には、電極構成は正常には機能しておらず、使用できないか、又は限られた範囲でしか使用できない。少なくとも1つのアクションは、特に、パワーパラメータが目標パラメータ範囲の外で、第1の上限目標パラメータ値又は第2の下限目標パラメータ値からどのくらい離れているかに従っても、選択することができる。この場合特に、黄色アラームのための範囲と赤アラームのための範囲とを、対応する更なる別の限界値によって分離することができる。
【0063】
第1の上限目標パラメータ値は、プラズマ生成のためのパワー上限値を考慮し、例えば、電極構成の誘電体の腐食、誘電体上への堆積、漏れ電流の形成、又は、電極構成の電力消費を増加させる他の同様の効果によって、パワー上限値が超えられうる。第2の下限目標パラメータ値は、電極構成のパフォーマンス下限値を考慮し、例えば、電極構成の電極の導電性構成要素の汚染、堆積、及び/又は腐食によって、又は、電極構成の電力消費を低減する他の同様の影響によって、上記パワー下限値を下回りうる。
【0064】
好適には、各電極構成が、初期検査の枠組みにおいて特徴付けられ、第1及び第2の目標パラメータ値は、各電極構成及び適用タスク(例えば、酸素モード、窒素モード、又は中間モード)について個別に設定され、好適には、電極構成に割り当てられた電子記憶デバイス、例えば、RFIDチップ等に格納される。このようにして、個体内の製造上のばらつきを検出し、個々の電極構成及び適用タスクについて可能な限り厳密な意図された機能範囲を予め設定することができる。この場合、上記個々の閾値は、既存のプラズマ源において電極構成が交換される際にも、特に記憶デバイスを読み出すことによって、各電極構成について伝送可能である。記憶デバイス、例えばRFIDチップ又は他のデータキャリアが、好適には携帯可能に電極構成に接続されており、電極構成と共にプラズマ源に配置及び/又は交換される。
【0065】
本発明の更なる発展形態によれば、少なくとも1つのパワーパラメータの決定前に、電極構成が所定の期間の間駆動されることが提供される。このようにして、電極構成の駆動のための一定の駆動条件及び/又は平衡化が設定され、これにより、パワーパラメータが正しく検出されることを保証することができる。
【0066】
本発明の更なる発展形態によれば、比較結果及び/又は少なくとも1つのパワーパラメータは、後の読み出しのために電子記憶デバイスに記録されることが提供される。電子記憶デバイスを、プラズマ源の制御装置に直接組み込むことができるが、このために外部に設けることもできる。特に、有線又は無線のデータ接続、例えばWLAN及び/又はBluetooth(登録商標)を介して制御装置と動作可能に接続された外部のサービスプロバイダにおいて記録を取ることができる。特に好適には、比較結果及び/又は少なくとも1つのパワーパラメータが、自動的に記録され、及び/又は、特に好適には少なくとも1つのメタデータと結び付けられ、例えばタイムスタンプ、電極構成の使用場所についての情報、電極構成の使用目的若しくは使用形態についての情報、電極構成の動作の特定のパラメータについての情報等と結び付けられる。このようにして、あたかも、電極構成の駆動についてのログブックを作成することが可能であり、これにより、電極構成の機能性及び使用への準備態勢、及び/又は、電極構成の動作全般を経時的に追跡することができる。
【0067】
好適には、有線及び無線による作動的な接続を介して、特に無線接続を介して、好適にはWLAN及び/又はBluetoothを介して、特に好適にはインターネットアクセスを介して、及び/又はスマートフォンアプリを介して、電極構成を遠隔監視し、遠隔読み出し、及び/又は遠隔制御することもできる。
【0068】
本発明の更なる発展形態によれば、周囲空気中で表面マイクロ放電を発生させるよう構成された電極構成が検査されることが提供される。正にこのような電極を、本明細書で提案される方法を用いて検査することができる。プラズマ生成は、平面的に又はラインに沿って、特に電極構成の構造化された電極の辺において、周囲空気中で直接行われる。好適には、電極構成には、処理すべき表面から一定の間隔を確保するためにスペーサが割り当てられる。スペーサは、好適には、当該スペーサが電極構成の駆動中に、処理される表面と共に或る容積(Volume)を囲むように構成されており、これによりプラズマが電極構成によって、閉じられた容積内で生成される。
【0069】
本発明の更なる発展形態によれば、特に平面的な第1の電極と、好適には平面的な第2の電極とを有する電極構成が検査されることが提供される。電極構成はさらに、第1の電極及び第2の電極を互いに隔てる誘電体を有し、第1の電極及び第2の電極は、電極及び誘電体から成るスタックの積層方向に見て、誘電体の対向する側面においてそれぞれ、誘電体と機械的に接触している。第1の電極及び第2の電極は特に、誘電体の対向する表面上に配置され、又は、誘電体中に少なくとも部分的に領域単位で埋め込まれうる。特に好適には、第1の電極が、誘電体の第1の側面に対して近接して配置され、第2の電極が、誘電体の、第1の側面に対向する第2の側面に対して近接して配置され、例えば、蒸着、スクリーン印刷、物理気相堆積若しくは化学気相堆積によって、塗布若しくは押圧、接着によって、又は任意の他の適切な方法で配置される。
【0070】
このようにして、2つの電極のうちの一方で、誘電体の一方の側で、特に当該電極の辺において表面マイクロ放電を発生させるために適しており、したがって、電極間及び/又は電極と誘電体との間に、処理される表面を配置する必要がなく、さらに、処理される表面自体を対電極として接続する必要が無い、非熱プラズマを発生させるのに適した電極構成が創出される。さらに、表面マイクロ放電が点火される表面上に、少なくともほぼ均一に非熱プラズマを発生させることができ、これにより、当該表面上で均一かつ一定の条件及びプラズマパラメータを実現することができる。
【0071】
好適には、第2の電極は、誘電体の第2の側面に押し付けられ又は押圧され、すなわち、特に予圧又は接触圧力が掛かった状態で、誘電体の第2の側面と接触する。これにより、誘電体の第2の側面上に、空隙無く第2の電極を密にかつ安定的に配置することが可能であり、このことは、プラズマ源の効率及びプラズマ生成率のためには好都合である。同時に、電極構成は簡単な方法で製造することができる。特に、第2の電極を誘電体とは別に製造することが可能であり、その後誘電体に載置して、予圧下に置き又は押圧するだけでよいからである。さらに、第2の電極は、交換が非常に簡単である。
【0072】
また、第1の電極が、特に予圧又は接触圧力が掛かった状態で、誘電体の第1の側面に押し付けられ又は押圧されることもできる。但し、特に好適には、第1の電極は誘電体上にコーティングされ、特に蒸着される。
【0073】
第2の電極は、好適には、複数の同一の構造要素から成る周期的構造を有し、及び/又は、第2の電極は、辺により画定される少なくとも1つの凹部を含む少なくとも1つの構造要素を有する。したがって、第2の電極は、表面マイクロ放電が点火されうる辺を有する構造化された電極として構成される。
【0074】
凹部を画定する辺は、好適には各凹部内で、互いに対して最小0.5mm~最大10mm、好適には最小1mm~最大8mm、好適には最小2mm~最大7mm、好適には5mmの長さを有する。
【0075】
追加的に又は代替的に、第2の電極が複数の構造要素を有することが好適には提供され、個々の構造要素は、互いに対して最小0.5mm~最大10mm、好適には最小1mm~最大8mm、好適には最小2mm~最大7mm、好適には5mmの間隔を有する。
【0076】
第1の電極には、好適には、絶縁層及び/又は封止コンパウンドが備えられる。
【0077】
本発明の更なる発展形態によれば、電極構成の駆動時に、好適には最小1kVppから最大5kVppの振幅、及び/又は最小2kHzから最大100kHzの周波数を有する高電圧、特に交流電圧が第1の電極に印加されることが提供される。周波数は、好適には、特に、利用される高電圧源の特性に従って選択される。第2の電極は、好適には、アースに接続され又は接地される。
【0078】
表面を処理するために電極構成が駆動される際には、第1の電極は、好適には、処理される表面とは反対側を向いており、第2の電極が、処理される表面の方を向いている。第1の電極と、第2の電極と、誘電体とから成る電極構成のスタックの積層方向は、処理される表面に対して斜めに又は横方向に延び、好適には、処理される表面に対して垂直に延びている。これにより、処理される表面に鑑みて、電気的安全性が特に高い。なぜならば、対応して規定通りに適用された際には、処理される表面はせいぜい、アースと接続され又は接地された第2の電極にしか接触しえないからである。
【0079】
同時に、第2の電極は、表面マイクロ放電が点火されこれによりプラズマが生成される電極であり、その際第2の電極は、処理される表面に対して、妨げられることなく作用しうる。
【0080】
本明細書で提案される方法は、基本的に、複数の様々な、特に平面的又は線形状の電極構成に対して実行可能である。特に、誘電体バリア放電(DBD:Dielectric Barrier Discharge)の原理に従って、表面マイクロ放電(SMD:Surface Micro Discharge)の原理に従って、及び/又は、コーティングされたSMD電極として構成された電極構成のために実行することができる。本方法は、容量結合している電極構成に特に適している。
【0081】
しかしながら、本方法は、特に好適には、本明細書で提案されるプラズマ源に関連して以下においてより詳細に記載する電極構成に対して実行される。
【0082】
本課題は、特に、非熱プラズマを発生させるための電極構成を有するプラズマ源を創出することによって解決され、電極構成は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極とを互いに隔てる誘電体と、を有する。第1の電極は、誘電体の第1の側面に配置され、第2の電極は、誘電体の、第1の側面と対向する第2の側面に配置されている。プラズマ源はさらに、電極構成を駆動制御するよう構成された制御装置を有する。制御装置はさらに、本発明に係る方法、又は、上述の実施形態のうちの1つに係る方法を実行するよう構成される。プラズマ源と関連して、特に、本方法に関連して既に説明した利点が実現される。
【0083】
第1の電極が、好適には、誘電体の第1の側面に近接して配置される。代替的に又は追加的に、好適には、第2の電極が、誘電体の第2の側面に近接して配置される。第1の電極及び第2の電極から選択される少なくとも1つの電極を誘電体に埋め込むこともできる。さらに、両方の電極を誘電体に埋め込むこともできる。しかしながら、第1の電極及び第2の電極から選択される少なくとも1つの電極は、誘電体の、ここで割り当てられる側面に押し付けられることもできる。特に好適には、第2の電極は、誘電体の第2の側面に押し付けられる。
【0084】
プラズマ源の一構成によれば、第2の電極が、ステンレス鋼、チタン、タングステン、導電性プラスチック、及び接着剤からなる群から選択される材料を有することができる。第2の電極について本明細書で示される材料は良好な導電性を有するとともに、スパッタリングに対して強靭であり、これにより、疲労に強くて長期に亘り安定的であり、特にオゾンの作用下で、酸化に対して耐性がある。これにより上記材料は、特別な形態で長期間の適用のために、まさに医療分野においても、特に特にオゾンが発生される際にも特に適しており、さらに、安価に入手できる。
【0085】
第2の電極が誘電体の第2の側面に押し付けられていることは、特に、この場合に第2の電極が誘電体に埋め込まれておらず、誘電体と材料結合されていないことを意味している。むしろ、第2の電極は、好適には機械的な予圧が掛かった状態で誘電体の第2の側面上で保持されており、特に、誘電体の第2の側面に対して押し付けられ、又は誘電体の第2の側面上に押圧されている。このようにして、電極構成を非常に容易に安価で製造することが可能であり、同時に、第2の電極を誘電体に対して押し付ける予圧によって、第2の電極と誘電体との間の間隙から空気を効果的に押し出すことが可能であり、これにより、第2の電極と誘電体の第2の側面との可能な限り密な接触が実現される。損傷した際には、第2の電極は非常に容易に交換することができる。なぜならば、特に機械的な予圧を解消することで、第2の電極を問題無く、特に破壊せずに誘電体から外すことが可能だからである。特に、第2の電極は、予圧要素又は押圧要素によって誘電体の第2の側面に押し付けることができる。
【0086】
特に好適には、電極構成全体が予圧力によって一緒に保持され、電極構成は、特に一緒に押圧又は圧迫することができる。
【0087】
好適には、第1の電極が誘電体上にコーティングされ、特に蒸着されていてもよい。代替的又は追加的に、第2の電極が誘電体上にコーティンされ、特に蒸着されていてもよい。
【0088】
電極構成は、特に、表面マイクロ放電を発生させるよう構成されている。
【0089】
電位差、特に交流電圧が2つの電極、すなわち第1の電極及び第2の電極に印加されると、電極構成の活性表面に、特に第2の電極の領域において、特に第2の電極の辺の領域において、表面マイクロ放電(SMD)が形成され、この表面マイクロ放電(SMD)によって今度は、活性表面の領域に非熱プラズマが生成される。
【0090】
第1の電極及び第2の電極は、特にパワー電極として構成されている。
【0091】
導電性プラスチックとは、特に、導電性ポリマーとも呼ばれる本質的に導電性のポリマーとして理解される。導電性ポリマーは、その導電率が金属の導電率に匹敵するプラスチックを形成する。同時に、このようなプラスチックは非常に軽量である。このような導電性プラスチックの例としては、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT又はPEDT)、特に対イオンとしてのポリスチレンスルホン酸塩(PSS)との組み合わせ、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリピロール(PPy)、及びドープされたポリチオフェン(PT)が挙げられる。
【0092】
導電性接着剤とは、特に、電導性接着剤として理解される。これは、低重量と、良好な導電性及び簡単な適用可能性とを兼ね備えている。
【0093】
誘電体は、好適には、カプトン、石英、ガラス及びセラミック、特に酸化アルミニウムから成る群から選択される材料を有し又は当該材料で構成される。
【0094】
誘電体は、好適には、第1の電極、誘電体、及び第2の電極から形成されるスタックの積層方向に測定して、最小0.05mm~最大0.8mm、好適には最小0.1mm~最大で0.75mm、特に好適には0.25mmの厚さを有する。
【0095】
第1の電極は、好適には、積層方向に測定して、最小1μm~最大100μmの厚さ、特に最小2μm~最大6μmの厚さ、特に4μmの厚さを有する。
【0096】
第2の電極は、好適には、積層方向に測定して、最小5μm~最大1mmの厚さ、好適には0.5mmの厚さを有する。
【0097】
電極構成は、平らな形状を有することができるが、湾曲した形状も有することができる。電極構成は、剛性を備えるように構成することができる。しかしながら、電極構成は、好適には、柔軟性、特に可撓性を備えるようにも構成することができる。
【0098】
好適な例示的な実施形態では、第1の電極は、表面積が2cm~5cm、好適には3cm×2cm~5cm、好適には3cmであり、好適には方形に形成される。誘電体及び第2の電極も好適には同様に方形であり、及び/又は、表面積が3cm~6cm、好適には4cm×3cm~6cm、好適には4cmとなるように構成される。第1の電極は、好適には、誘電体及び第2の電極から成る構成に対して中央又は真ん中に配置されている。電極構成の特定の構成は、表面積が、第1の電極について3.4cm×3.4cmである。
【0099】
第1の電極の面積が第2の電極よりも小さい場合、すなわち、第2の電極が、側方で第1の電極より突出する場合には、第1の電極には、好適には、マイクロ放電が第1の電極の辺に沿って発生することを防止する絶縁層が備えられる。
【0100】
本発明の更なる発展形態によれば、制御装置が、電極構成と直列に接続可能な又は接続される電子プロキシ構造を有し、少なくとも1つのパワーパラメータが、制御装置によって電子プロキシ構造で検出されることが提供される。電子プロキシ構造は、好適には、本方法との関連で説明した電子プロキシ構造である。
【0101】
本発明の更なる発展形態によれば、電子プロキシ構造は、キャパシタとして、特にコンデンサ又はコンデンサ構成として構成される。
【0102】
本発明の更なる発展形態によれば、第2の電極が、複数の同一の又は異なる構造要素から形成される周期的構造を有することが提供される。上記構造要素は、個別に又は互いに組み合わさって、周期構造の単位セルを形成する。したがって、第2の電極は、特に構造化された電極として構成される。構造要素は、互いに電気的に接続されており、特に、同一の電位に設定することができる。構造要素は、例えば真っ直ぐな、又は、曲がった若しくは湾曲した、線形状又は波形状の部分電極として、ほぼ一次元的に構成可能であり、又は、例えば、蛇行構造のような二次元の連続構造として、二次元的に構成可能であり、又は、多角形として、特に、三角形、四角形、五角形、六角形、若しくはそれ以上の多角形として構成可能である。構造要素は、円形、楕円、又は長円としても構成することができる。プラズマ放電は、特に、構造要素の辺で形成される。
【0103】
第2の電極が、複数の同一の構造要素からなる周期構造を有する場合には、特にスケーラブルに(拡大縮小可能に)構成される。このことは、同じ特定の電力で電極構成によって生成されるプラズマ中の反応種の生成率が、電極構成の単位面積、又は、プラズマがそれに沿って生成される第2の電極の構造要素の辺の単位辺長に関連して、第2の電極の平面的又は幾何学的に線形的な伸長によって、特に、同一の構造要素の数、又は構造要素の辺の全長によって、線形的にスケーリングされることを意味している。これは、電極構成の電気的、化学的及び/又は細菌的(mikrobiell)な特性を調整するために特に好都合であることが分かっている。
【0104】
本発明の更なる発展形態によれば、第2の電極が、辺によって画定される少なくとも1つの凹部を含む少なくとも1つの構造要素を有し、各凹部内の、凹部を画定する辺は、最小0.5mm~最大10mm、好適には最小1mm~最大8mm、好適には最小2mm~最大7mm、好適には2mm、又は5mmの長さを互いに有することが提供される。このような構造要素は、特に多角形として、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形、又は、より大きな数の角を有する多角形として構成可能である。多角形の辺は、好適には、第2の電極の導電性材料から形成され、辺により画定される凹部内、すなわち特に多角形の内側には、導電性材料が形成されない。この場合、プラズマ放電は、構造要素の辺に沿って形成される。ここで、多角形の角においてぶつかる2つの辺から発せられる電界が、角の領域内で互いに干渉し合い、特に自己干渉が発生することが判明している。このことにより、損失が発生するため、電極構成の性能の低下、特にプラズマ生成率の低下が引き起こされる。構造要素がより大きい場合には、上記の損失が、電極構成のプラズマパワーに関してより小さく、すなわち特に、構造要素の辺の長さが長いほど、相対損失が小さくなる。特に本明細書で示した値では、非常に好適には、辺の長さが2mm以上の場合は、自己干渉に起因した性能を低下させる影響を受け入れ又は無視することができる。
【0105】
本明細書で記載する自己干渉はまた、電極構成の任意の洗練化、及びこれにより、電極構成の平面性能の向上にとっても障害になる。つまり例えば、第2の電極が、辺により画定される凹部を各々が有する複数の同一の構造要素から成る周期的構造を有する場合に、構造要素の特徴的な長さ、例えば方形の構造要素の辺の長さが半分にされたときには、理論的には、例えば生成率が、同じ総面積の第2の電極において2倍になる。これにより、一定の電極総面積での構造要素の数を4倍にすることが可能であり、これにより結果的に、辺の全長、すなわち、全ての構造要素の辺の長さの合計が2倍になる。これにより、自己干渉が発生しない場合には、生成率も2倍になる。しかしながら、構造要素が小さくなるほど、すなわち、構造要素の辺の長さが短くなるほど、角における自己干渉が性能を低下させるよう作用し、これにより、生成率がもはや、構造要素の数及び辺の全長によって線形的にスケーリングされなくなる。これにより、個々の構造要素の辺の長さについて有効な下限値が存在しており、構造要素の辺の長さのための適切な範囲が先に示されている。
【0106】
さらに、構造要素の、角でぶつかる二辺の間の角度が小さいほど、自己干渉がより強度な規模で発生することも分かっている。三角形の場合、例えば、辺同士が60°でぶつかる二等辺三角形の場合には、自己干渉が、例えば辺同士が90°でぶつかる正方形の場合よりも、強度に性能を低下させるよう作用する。対応して、角における自己干渉の、性能を低下させる作用は、多角形の構造要素が有する辺の数によって低下し、又は、より一般的に言えば、構造要素の二辺が角でぶつかる角度が大きくなるほど低下する。
【0107】
先に示した値の範囲は、特に方形の構造要素にとって最適であるが、他の多角形の構造要素にも、問題なく適用することができる。但し、構造要素が有する辺が多くなるほど、又は、角でぶつかる二辺の角度が互いに対して大きくほど、上記値を基本的により小さく選択することができる。
【0108】
代替的又は追加的に、好適には、第2の電極が複数の構造要素を有し、個々の構造要素が、互いに対して最小0.5mm~最大10mm、好適には最小1mm~最大8mm、好適には5mmの間隔を有することが提供される。個々の構造要素間の上記間隔も重要である。なぜならば、特により小さな間隔、すなわち、より細かなグリッドによって、干渉の影響による効率性の損失が生じうるからである。
【0109】
特に好適には、第2の電極は、方形の構造要素の周期的なグリッドを有し、方形の構造要素の辺は、その伸長に対して垂直に測定して、0.5mmの幅を有し、このような方形の構造要素の凹部は、好適には5mmの内側の辺の長さを有する。
【0110】
電極構成は、好適な実施形態によれば平面的に構成される。しかしながら、電極構成が半円柱状に構成されることも可能であり、その際には、好適には、第2の電極は、中央から、すなわち半円柱の頂点から外側に向かってその大きさが増大する構造要素を有する。これにより、生成されるプラズマを中央の領域、すなわち、半円柱状の電極構成の頂点又は極端に集中させることが可能である一方、縁端領域ではプラズマパワーがより小さくなり、又はより生成率がより低くなる。
【0111】
球状の電極構成又は半球状の電極構成も考えられる。この場合には、第2の電極は、好適には、五角形及び六角形が交互に形成されたサッカーボールのような構造を有する。
【0112】
第2の電極はまた、線形状、直線状、ジグザグ状、湾曲状、波状、螺旋状、櫛形状又は蛇行形状にも構成することができる。
【0113】
本発明の更なる発展形態によれば、第1の電極が銅及び/又はスズを含むことが提供される。第1の電極は、代替的に、銅、若しくは銅合金、及び/又は、スズ、若しくはスズ合金で構成される。特に好適には、第1の電極は、銅又は銅合金から成る第1の層と、第1の層上に配置された、スズ又はスズ合金から成る第2の層と、を有する。この場合、銅層は、好適には誘電体の方を向いており、スズを含む層は、銅を含む層上に配置され、誘電体とは反対側を向いている。スズを含む層は、特に、第1の電極のより良好な接触可能性のために寄与する。これに対して、銅を含む層は、特に高い導電性を有し、特に、スズよりも特に高い導電性を有する。銅を含む層は、好適には、積層方向に測定して3μmの厚さを有する。代替的又は追加的に、スズを含む層は、好適には、積層方向に測定して、1μmの厚さを有する。
【0114】
本発明の更なる発展形態によれば、誘電体及び第2の電極が、積層方向に対して垂直に見て、全方向で第1の電極より突出することが提供される。本構成は、第2の電極が誘電体上にしっかりと押され又は押圧された際に、特に機械的な利点を有する。但し、場合によっては、第1の電極の縁端を越えて突出する第2の電極の領域で、電界の電界増大が起こる可能性があり、これにより、例えば漏れ電流又はコロナ放電による、望まない放電経路が形成されることが問題となる。このことによって、電極構成の効率が下がる。
【0115】
代替的に、第1の電極及び誘電体は、積層方向に対して垂直に見て、全方向で第2の電極より突出することができる。この場合には、前述の電界増大を、特に第2の電極が接触している接触領域を除いて、少なくとも大幅に回避することが可能であり、これにより、電極構成の効率は高い。
【0116】
代替的に、誘電体は、積層方向に対して垂直に見て、全方向で第1の電極及び第2の電極より突出することもできる。この場合には、第1の電極から第2の電極への又はその逆方向の、誘電体の表面を介した可能な放電経路が特に長く、これにより、漏れ電流及び他の寄生放電、例えばコロナ放電が効果的に防止される。
【0117】
本発明の更なる発展形態によれば、第1の電極が電気絶縁層で被覆され、及び/又は封止コンパウンドで封止されることが提供される。このようにして、特に、電圧が適切に印加される電極を絶縁し、特に包み込むことが可能であり、これにより、電極構成の電気的安全性が向上する。絶縁層は、好適には、絶縁ワニス、特に、2成分絶縁ワニスを有する。絶縁ワニスは、第1の電極上に噴霧し又は塗布することが可能であり、又は、別の適切な方法で施すことができる。絶縁層及び/又は封止コンパウンドは、通常では、漏れ電流を回避するためにも役立つ。特に、噴霧可能な絶縁ワニスが、絶縁層を形成するために利用することができる。
【0118】
好適には、本方法の枠組みにおいて、非熱プラズマを発生させるよう構成されており、上述の実施例のうちの1つに係る電極構成を有するプラズマ源の電極構成が検査される。プラズマ源は、電極構成の他に、好適には、電極構成を駆動制御するための、特に電極構成に給電するための制御装置と、電子記憶デバイス、すなわち特に、上述した電極構成に割り当てられた電子記憶デバイスと、を有する。制御装置は特に、上述の実施形態のうちの1つに係る方法を実行するよう構成される。
【0119】
プラズマ源は、好適には、ユーザが好適には片手で持ち運ぶことが可能なハンドヘルド装置として構成される。プラズマ源は特に、片手で操作し持ち運ぶことが可能な大きさであり、例えば、電話の受信機又はシャワーヘッドの大きさである。
【0120】
プラズマ源はさらに、好適には、ユーザと通信するための手段を有し、上記手段は、好適には、音響的通信手段、特にスピーカ、光通信手段、特に光信号、好適には発光ダイオード、グラフィックス及び/又はテキストを表示するための表示手段、特に少なくとも1つのディスプレイ、及び、プラズマ源の振動を生成するための振動手段、から成る群から選択される。
【0121】
プラズマ源は、好適には、バッテリ駆動又はアキュムレータ駆動されるよう構成され、その限りにおいて無線で、特に、定置されたより大きな装置への接触無しで、駆動させることができる。プラズマは周囲空気中で生成されるため、プラズマ源は、好適には、キャリアガスを供給するためのガス供給源も有さない。
【0122】
プラズマ源はまた、より大きな、定置型の装置及び/又は有線接続された装置としても構成することができる。
【0123】
以下では、非熱プラズマを発生させるための電極構成を検査するための上述の方法についての、基本的な考察をより詳細に説明する。
【0124】
平面的又は線形的な電極構成(その外形に関係なく、例えばDBD、SMD、コーティングされたSMD)は、環境条件に従ってそのプラズマ性能が変わる。このことは特に、利用される材料、特に誘電体に依存した強い影響を及ぼしうる空気湿度に該当する。これは、部分的には、空気の化学的条件(例えば、励起確率、解離、イオン化)によって根拠付けられ、空気は、変化する湿度によって主に表われるが、電極上での結露、並びに、誘電体材料への吸収及び拡散によっても表される。後者は、例えば、各利用前に電極構成を「加熱処理する」ことによって低減される。前者は、環境条件の知識が無ければ補償しえない。さらに、電極構成は、長期間利用により劣化し、汚れる可能性があり、このことによっても機能性が損なわれる。「劣化の影響」という概念には、例えば腐食、堆積物、表面変化が集約されており、これらは、長期間の使用で発生する可能性があり、性能が損なわれることに繋がりうる。
【0125】
電極構成の機能性は、大抵のケースでは、電流が流れているかどうかを確認するだけの場合に、単純な「はい/いいえ」の決定によっては答えられない。例えば、衛生、表面処理、繊維処理、水処理、食品、種の処理、皮膚疾患及び創傷の治療のためには、病原体(細菌、ウイルス、胞子)を所望の程度に不活性化するために、プラズマ線量がそれぞれの適用のために十分であることが重要である。「プラズマ線量」とは、プラズマ生成率(プラズマパワー)に時間を掛けた積である。プラズマ化学も同様に重要であり、このプラズマ化学は制御可能であり、これにより適用領域を定める。プラズマ化学もまた、プラズマパワーに依存しうる(例えば、空気中では酸素化学若しくは窒素化学のいずれかを優勢的に選択することが可能であり、又は、中間の範囲、若しくは、連続的な可変的処理を選択することができる)。
【0126】
手順:
一般に、典型的な問題は以下の通りである。
【0127】
プラズマ源の決定的な特性は、所定の時間tにおける必要な対数の減少に至るまでの、病原体、主に細菌を不活性化、及び/又は、アレルゲン、臭気分子、若しくは、他の望ましくなく又は危険な分子の不活性化(汚染除去)である。
【0128】
所定の時間における細菌不活化の例:
【0129】
1.適切な細菌検査が、所望の処理時間の間行われる必要がある。この細菌検査によって、装置で予め調整されるプラズマパワーが規定される。
【0130】
2.このための重要な測定変数は、プラズマパワーPLであり、すなわち、非熱の、低温大気プラズマの生成に、どのくらいのエネルギーが毎秒投入されるかである。
【0131】
プラズマ生成は、SMD電極内で数百万のマイクロ放電において起こり、このことは、電流曲線において、各々のスパイクが数十ナノ秒の典型的な持続時間を有する狭い意味での「スパイク」として見られる。この高周波成分は、例えば、小型のハンドヘルド装置では直接測定することができず、コストが非常に大きい。より大きなシステムについては、コストが同様に高いが、より簡単で信頼性の高い方法が存在しない限り、より実行可能である。
【0132】
3.即ち、プラズマパワーPLについての直接的な帰納的推測を可能とする、簡単な測定によって実行可能な測定変数、即ちパワーパラメータPMを見つける必要がある。パワーパラメータPMとプラズマパワーPLとの間に線形的相関がある必要はなく、むしろ、これらの変数間の一義的な、好適には全単射的関係で十分である。しかしながら、線形的相関が特に簡単な構成であり、したがってここでは例示的に、線型的相関から出発する。
【0133】
このパワーパラメータPMは、すべての環境条件について有効であるべきである。即ち、PM/PLは、理想的には温度及び湿度に依存せずに一定であるべきである。その場合は、PMが、簡単な第1の「スケーリング係数」S1=PL/PMによって、各用途におけるプラズマ源のプラズマパワーPLを一意に識別するために利用可能である。
【0134】
4.電極構成は、効率性に影響を及ぼさないがプラズマパワーを変えうる「劣化の影響」を受けうる。
【0135】
関係S1=PL/PMは、劣化の兆候がある電極構成についても、理想的には一定であるべきであり、この関係は、最適な場合に、電極構成の使用年数に関係なく常に同じであるべきである。但し、このことは、電極構成が(例えば腐食、酸化、堆積物によって)変わる可能性があるため、期待されない。したがって、劣化の影響を長期検査で調査する必要があり、場合によっては、電極構成を、特定回数使用した後に交換する必要がある。
【0136】
5.測定が、最終的な駆動条件と異なる環境条件下で行われる場合には(使用前の機能検査では珍しくない)、環境から駆動条件へのスケーリングも同様に実験的に決定する必要がある。
【0137】
これは、例えば、機能検査が通常の室内環境で実施されるが、適用は、湿った閉じられた空間において行われる場合である(これは例えば、水処理、又は、場合によっては創傷治療に相当する)。このためには、実験的に決定される追加的な第2のスケーリング係数(S2)が必要である。この場合、パワーパラメータPMの「プロキシ(代理)測定」から、最終的な適用領域へのスケーリングが、積S1×S2=Sから、全スケーリング係数Sとして与えられる。
【0138】
6.電極構成の機能検査は、一般に、未知の環境条件(温度、相対湿度)下でも行うことができる。
【0139】
それにもかかわらず、適用領域へのスケーリングが利用できるために、PL/PMの関係が、湿度により大きく変動しないことが重要である。さらに、湿度のための(高確率で機能性が検査される)「標準範囲」を決定し、これに基づいてスケーリングを実行することが推奨される。
【0140】
7.利用前に、電極構成が最初に、(例えば結露による)堆積の影響を取り除くために、場合によっては「加熱処理される」。その後、パワーパラメータPMの測定が、その時々に支配的な(ほぼ既知の、又は未知でさえある)環境条件下で行われる。
【0141】
スケーリング係数Sが上記測定に適用されて、計算されたプロキシプラズマパワーが、動作条件下で獲得される。電極構成における個体内及び個体間の変動が、スケーリング係数の「帯域」として考慮される必要がある。
【0142】
8.更なる複雑さが存在する可能性があり、すなわち、電極が部分的に汚染される可能性があり、これにより、プラズマパワーが、より清浄な電極と比較して低減される。
【0143】
値PM及びPLが同じ方法で結び付けられることを担保する必要がある。すなわち、Slは理想的には汚染度に依存しない。第2のスケーリング係数S2についても同じことが当てはまる。上記の関係も実験的に検証する必要がある。
【0144】
9.本ケース(特に、医療用途又は水処理)では、更に別の複雑さが存在する。本来の「測定変数」は、プラズマパワーではなく、冒頭に述べたように、プラズマの殺菌作用である。これは、予め設定された動作モードにおける積分されたプラズマ線量によって記述される。必要とされる最小線量が追加的な安全係数を超過する適用時間が、適切な検査によって予め決定され、常に同じであるべきである。これにより、「プラズマ線量」は、上記の工程を経て決定することが可能な、適用範囲内のプラズマパワーによってのみ定められる。
【0145】
処理(治療)の成功を保証するために、適用ケースにおけるプラズマパワーについて下限閾値PSUを実験的に決定する必要がある。機能検査で検出される、PMのための閾値は、PU=PSU/Sである。プラズマパワーPLが閾値PSUを下回る場合には、電極構成は、必要とされる効果(例えば、3~4ログの殺菌効果)を実現するために十分に良好には機能しない。
【0146】
(未知の)環境条件に対して全ての製造公差及び予期される環境変化が機能検査で考慮されるように、全スケーリング係数S及び閾値PSUが十分な注意を払って選択された場合には、このようにして決定された値PM>PUによって、プラズマパワーが必要な目的を達成するために充分であることが保証される。
【0147】
機能性が有効であるための第1の条件は、即ち、PM>PUであり、但し、下限閾値PU=PSU/Sである。
【0148】
機能性が有効であるための第2の条件は、超えてはならない上限閾値PSOによって与えられる。様々な外乱(例えば、誘電体の経時的な腐食、誘電体上への導電性腐食生成物の堆積、漏れ電流の形成等)によって、プラズマパワーが、正常な動作値を超えて増大しうる。この場合、電極構成は原則的には依然として使用可能であるが、考慮すべき2つの重要な変化がある。
A.電極構成が損傷を受け及び/又は改変されており、これにより、(例えば、予備試験で、実験室で、又は前臨床検査で)基準測定として利用された電極構成には、もはや匹敵しない。
B.電極構成が、(十分な強度でパワーが増大した際に)酸素モードから窒素モードに入る可能性ある。このことは、殺菌効果も同様に変え、予備試験、実験室測定、又は前臨床検査とは適合しない。
【0149】
したがって、機能性が有効であるための第2の条件は、以下のとおりである。即ち、PM<PO、但し、上限閾値PO=PSO/Sである。
【0150】
この論理的な連鎖を検出して、これに基づいて、全ての環境条件にとってより確実な動作パラメータ/閾値「PSU及びPSM」を生成するためには、非常に多くの測定が必要である。
【0151】
プラズマパワーPLは、対応するコストに依存せずに測定する必要があり、PLとPMの両方が、全ての関連する環境条件について決定され、関係付けられる必要がある。このことは、電極構成の様々な汚染度及び劣化状態について、繰り返す必要がある。このようにして生成された全てのパラメータを、細菌検査によって、その殺菌作用BEと相関させる必要がある。これらのデータセットの全てが揃う場合には、許容可能な閾値PSを決定することができる。
【0152】
(例えば、製造公差による)個体内変動も同様に考慮されるように、上記測定が、代表的な量の電極構成について実施され、変動(典型的には3σ)が考慮される必要がある。
【0153】
例:汚染度4のための必要回数の測定(3個の温度値かつ温度値ごとに7個の湿度値でのPM及びPL、加えて細菌測定及び管理をそれぞれ3回ずつ)によって、装置当たり約700個の測定値、すなわち、必要な安全性統計のために7000回より多い測定が得られる。
【0154】
一連のこのような測定から、1分間の所与の処理時間に所望の殺菌効果を生じさせるために必要なプラズマパワーについての閾値が決定される。
【0155】
好適な電極構成では、閾値は1ワットと決定された。
【0156】
ここで、汚染度は重要でありうる。特定の例示的な実施形態による電極構成は、50%を超える汚染でも依然として機能する。80%の汚染でようやく、殺菌効果がもはやほとんど確認できない。
【0157】
すべての関連する環境条件ついて当てはまる信頼性の高い機能検査を可能とするために、あらゆる新しい電極構成を同様のコストを掛けて検査する必要があることがさらに言及される。
【0158】
当然のことながら、あらゆる新しいプラズマ源(電極構成、高電圧源、及び制御装置)を、前臨床研究及び臨床研究において、仕様に対応した安全性の観点から検査する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0159】
以下では、図面を用いて本発明を詳細に解説する。
図1】一実施形態による、電極構成を検査する方法のフローチャート形式の概略図である。
図2】一実施形態によるプラズマ源の概略図である。
図3】そのようなプラズマ源の、一実施形態による電極構成の概略的な断面図である。
図4】そのような電極構成の概略的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0160】
図1は、一実施形態による、非熱プラズマを発生させるための電極構成を検査する方法の概略図をフローチャート形式で示している。ここでは、第1の工程S1において、電極構成が起動され、特に、電極構成を有するプラズマ源が作動される。
【0161】
第2の工程S2において、電極構成のプラズマパワーを特徴付ける少なくとも1つのパワーパラメータが決定される。
【0162】
第3の工程S3において、少なくとも1つのパワーパラメータが、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値と比較され、そこから比較結果が得られる。
【0163】
第4の工程S4において、比較結果を用いて電極構成の機能性が評価される。
【0164】
好適には、第5の工程S5において、アクションが、比較結果に従って選択される。上記アクションは、比較結果に従って、好適には、「正常」信号の出力、「動作要求」信号の出力、「異常」信号の出力、電極構成のオペレータへの現在のプラズマパワーの報知、比較結果に対する電極構成の駆動時間の調整、電極構成の駆動の終了、又は、更なる別の措置を取らず、特に信号又はメッセージを出力することなく、電極構成の駆動の継続を、含む。信号の出力は、特に、光信号又は発光信号の形態で行うことが可能であり、例えば、緑色光、黄色光又は赤色光、特にLEDを作動させる形態で行うことができる。代替的に又は追加的に、テキスト、又はグラフィックシンボルをディスプレイに表示することができる。メッセージ又は警報の音響的な出力も可能であり、電極構成、特に電極構成を有するプラズマ源の合目的的な振動の生成による、メッセージ及び警報の出力も同様に可能である。アクションの選択のために、好適には、少なくとも1つのパワーパラメータと少なくとも1つの所定の目標パラメータ値との一致についての所定の範囲/少なくとも1つのパワーパラメータの、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値からの逸脱についての所定の範囲が定められ、アクションは、比較結果が上記所定の範囲のうちのどちらに入っているかに従って選択される。
【0165】
好適には、本方法は、電極構成が駆動状態になった直後に、特に好適には電極構成が駆動状態になった度に実行される。
【0166】
少なくとも1つの所定の目標パラメータ値が、好適には一定に予め設定される。代替的に、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値は、電極構成の少なくとも1つの使用パラメータに従って選択されることが可能であり、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値は、特に、数学的関係、特性曲線、又は特性マップの形式で格納することができる。少なくとも1つの使用パラメータは、好適には、電極構成の環境における、特に直接的な環境における、とりわけ処理環境における、すなわち、電極構成により発生させられる非熱プラズマを用いて処理、特に表面処理が実行される環境における、電極構成の周囲温度及び/又は相対湿度を含む。相対湿度に従って、少なくとも1つの所定の目標パラメータ値についての特に2つの異なる値、特に、80%未満の湿度についての第1の値、及び、80%を超える相対湿度についての、第1の値とは異なる第2の値を格納することができる。
【0167】
プラズマが、電極構成によって、特に周囲空気中で生成され、これにより、電極構成の環境の相対湿度は、プラズマ生成に関連する。
【0168】
電極構成は、好適には、パワーパラメータを決定するために少なくとも領域単位で加熱され、特に、少なくとも50℃の温度に加熱することができる。このようにして、電極構成の表面に蓄積した湿気を除去することが可能であり、さもなければ湿気は、場合によっては測定に害を及ぼす可能性がある。
【0169】
好適には、比較結果及び/又は少なくとも1つのパワーパラメータが、後の読み出しのために電子記憶デバイスに記録される。比較結果及び/又は少なくとも1つのパワーパラメータは、好適には、少なくとも1つのメタデータと共に、特に使用場所、使用目的、タイムスタンプ及び/又は更なる別のメタデータと一緒に、好適には自動的に格納される。上記パラメータはこの場合、電極構成の動作を監視してその機能性を経時的に評価するために、後の時点に読み出し及び/又はグラフィカルに表示することができる。
【0170】
電極構成は、好適には、周囲空気中に表面マイクロ放電を発生させるよう構成される。
【0171】
好適には、第1の電極及び第2の電極を有する電極構成が利用され、第1の電極と第2の電極とは、誘電体によって互いに隔てられており、特に、誘電体の異なる側面上で誘電体と機械的に接触した状態で設けられている。第1の電極及び第2の電極は、好適には平面的に構成される。第2の電極は、好適には、表面マイクロ放電が点火されうる複数の辺を有する構造電極又は構造化された電極として構成される。
【0172】
好適には、第1の電極には、高電圧、特に交流電圧が印加され、第2の電極は接地され、又はアースに接続されている。表面を処理するために電極構成が利用される際には、好適には第2の電極が、処理される表面の方を向いており、このことにより、電極構成の動作の電気的安全性が向上する。
【0173】
図2は、非熱プラズマを発生させるための概略的に示された電極構成1を含む、一実施形態によるプラズマ源100の概略図を示している。プラズマ源100はさらに、電極構成1を駆動制御するよう構成された制御装置101を有する。制御装置101は、ここでは特に電圧源103を有し、この電圧源103を用いて、交流電圧を駆動制御電圧として電極構成1に印加することができる。
【0174】
さらに、制御装置は、電極構成1と直列に接続可能であり、本実施形態では電極構成1と直列に接続されている電子的プロキシ構造104を有する。制御装置101は、電極構成1と直列に接続された電子的プロキシ構造104上で少なくとも1つのパワーパラメータを検出するよう構成される。電子的プロキシ構造104は、本実施形態では特にキャパシタ105として構成される。
【0175】
パワーパラメータとして、駆動制御電圧の特定の位相角において電子的プロキシ構造104で降下する交流電圧V(t)、即ちプロキシ電圧の少なくとも1つの値、特に上記の式(4)に従って、特に駆動制御電圧の複数の周期にわたって平均化された、特に平均値が測定される。好適には、プロキシ電圧は、電圧測定装置107によって時間の関数として検出される。
【0176】
パワーパラメータが、好適には、第1の上限目標パラメータ値、及び第2の下限目標パラメータ値と比較され、少なくとも1つのアクションは、少なくとも1つのパワーパラメータが第1の目標パラメータ値及び第2の目標パラメータ値により制限される目標パラメータ範囲内にあるかどうかに従って、選択される。
【0177】
図3は、非熱プラズマを発生させるよう構成された、一実施形態による電極構成1の抜粋による概略的な断面図を示している。電極構成1は、第1の電極3及び第2の電極5、並びに、誘電体7を有しており、誘電体7によって、第1の電極3と第2の電極5とが互いに隔てられている。特に、誘電体7は、積層方向に沿って見て、第1の電極3と第2の電極5との間に配置されている。積層方向は、図3では垂直方向に延びている。
【0178】
第1の電極3は、誘電体7の第1の側面9に近接して配置され、第2の電極5は、第1の側面9とは反対側の、誘電体7の第2の側面11に近接して配置されている。
【0179】
第2の電極5は、ステンレス鋼、チタン、タングステン、導電性プラスチック、及び導電性接着剤からなる群から選択される材料を有する。さらに、第2の電極5は、誘電体7の第2の側面に押し付けられ、特に第2の側面11に対して押されており、第2の側面11に押圧されており、又は一般に予圧下で誘電体7の第2の側面11で保持される。
【0180】
電極構成1は、簡単で安価な方法で製造することが可能であり、高効率であり、特に、オゾンによる酸化に対して高い耐性を有し、スパッタリングに対しても高い耐性を有する。
【0181】
第1の電極3は、好適には、銅及び/又はスズを有する。第1の電極3は、銅若しくは銅合金、及び/又は、スズ若しくはスズ合金から成ることも可能である。特に好適には、第1の電極3は、銅又は銅合金から成る第1の層と、第1の層上に配置されたスズ又はスズ合金から成る第2の層と、を有する。スズ又はスズ合金から成る第2の層は、特に、第1の電極3の、誘電体7とは反対を向いた側に、図3では第1の電極3の下側に配置される。
【0182】
積層方向に測定される第1の電極3の厚さは、好適には最小1μm~最大100μm、特に好適には4μmであり、第1の電極3の銅層は、好適には3μmの厚さを有し、第1の電極3のスズ層は1μmの厚さを有する。
【0183】
誘電体7は好適には、カプトン、石英、ガラス、セラミック、及び酸化アルミニウムから成る群から選択される材料を有し又は当該材料から成る。誘電体7は、好適には、積層方向に測定される厚さが、最小0.05mm~最大0.8mm、好適には最小0.1mm~最大0.75mm、好適には0.25mmである。
【0184】
第2の電極5は、好適には、積層方向に測定される厚さが、5μmから最大1mm、好適には0.5mmである。
【0185】
第2の電極5及び誘電体7は、好適には、表面積が4×4cmである。誘電体7上の好適には中央、すなわち特に真ん中に配置された第1の電極3は、好適には、表面積が3×3cmである。電極構成は、特にモジュール式に、特に好適にはスケーラブル(拡大縮小可能)に設計されているため、電極構成を他の大きさにすることもできる。
【0186】
図3に示される電極構成1は、特に平らに構成されており、好適には平坦である。しかしながら、電極構成を湾曲させて構成することもできる。電極構成1は、剛性及び/又は可撓性を備えて構成することができる。
【0187】
第1の電極3は、好適には、少なくともいくつかの領域において電気絶縁層13で被覆される。絶縁層13は、好適には、絶縁ワニスを有し、又は絶縁ワニスから成る。特に好適には、絶縁層13は第1の電極3上に噴霧される。特に、絶縁層13は、2成分絶縁ワニスから形成することができる。絶縁層13は、好適には、3μmを超える厚さを有する。代替的又は追加的に、第1の電極13は、封止コンパウンドで封止されていてもよい。
【0188】
第1の電極3は、好適には、誘電体7上にコーティングされ、特に蒸着される。その限りにおいて、第1の電極3は、好適には、予圧により誘電体7上で保持された第2の電極5、特に第2の側面11に対して押し付けられる第2の電極5とは異なっている。
【0189】
図3に示す例示的な実施形態では、誘電体7及び第2の電極5は、積層方向に対して垂直に見て、好適には、全方向で第1の電極3より突出している。代替的に、第1の電極3及び誘電体7は、積層方向に対して垂直に、全方向で第2の電極5より突出することもできる。さらに代替的に、誘電体7は、積層方向に対して垂直に、全方向で第1の電極3及び第2の電極5より突出することもできる。
【0190】
図4は、電極構成1、特に図3に係る実施形態の電極構成1の上面図を示している。同一及び機能的に同一の要素には同一の参照符号が付されているため、先の説明を参照されたい。観察者の視線は、第2の電極5、及び、誘電体7の第2の側面11に向けられている。第1の電極3及び絶縁層13は、第2の電極5及び誘電体7の下方に配置されているため、観察者からは見えない。
【0191】
第2の電極5は、好適には、複数の同一の構造要素15で構成される周期的構造を有し、上記同一の構造要素15のうちの1つにのみ、分かり易くするために、参照番号が付されている。構造要素15は、図4では方形として構成されている。しかしながら、このような構造要素15は一般に、多角形、三角形、四角形、五角形、六角形、若しくはより高次の多角形として、円若しくは楕円として、又は一次元的形状としても、例えば、線、特に直線、波線、他の曲線等として構成することができる。構造要素15について、1次元的構成と2次元的構成との間の移行範囲にある形態、例えば蛇行した構造も選択することができる。第2の電極5の周期的構成によって、特別な方法で、電極構成1の拡大縮小が可能となり、ここでは、非熱プラズマについての、電極構成1の生成率が、構造要素15の数によってほぼ線形的にスケーリングされる。
【0192】
第2の電極5が、複数の同一の構造要素15で構成される周期的構造を有するかどうかにかかわらず、又は、1つの構造要素15のみが設けられ、若しくは特に大きさ及び/又は形状に関して互いに異なって構成された複数の構造要素15が設けられているかどうかにかかわらず、第2の電極5は、好適には、辺17によって画定される少なくとも1つの凹部19を含む少なくとも1つの構造要素15を有する。図4では、より明確にするために、1つの辺17及び1つの凹部19にのみ参照記号が付されている。凹部19を画定する辺17は、凹部19内で測定されたとき、好適には、最小0.5mm~最大10mm、好適には最小1mm~最大8mm、好適には最小2mm~最大7mm、好適には5mmの辺の長さを有する。特に、図4では方形である凹部19は、好適には、5×5mmの平面的な面積を有する凹部である。本実施形態に記載された構成は、凹部19の角における電界の自己干渉の影響を有利に低減し、上記自己干渉は、さもなければ、電極構成1の効率を甚大な形で減少させる。
【0193】
積層方向に対して垂直に、かつ辺の長手方向の伸長方向に対して垂直に測定された、辺17のさん幅(web width)は、好適には0.5mmである。電極構成1の他の好適な構成では、第2の電極5が複数の構造要素15を有し、個々の構造要素15が互いに最小0.5mm~最大10mm、好適には最小1mm~最大8mm、好適には5mmの間隔を有することが好適には提供される。このことはまた、自己干渉の影響を低減するために役立つ。
【0194】
電極構成1は、好適には、最小2kVPP~最大5kVppの振幅、及び最小2kHz~最大60kHz、好適には4kHzの周波数を有する交流電圧を第1の電極3に印加することで、駆動される。第2の電極5は、好適にはアースに接続される。
【0195】
以下では、スペーサによって囲まれた約12.5cmの容積に関連する、様々な動作状態における電極構成1のパワー密度の値が例として挙げられる。他の囲まれた容積の場合は、同じ動作状態を得るために、これらの値は異なる方法で選択される。電極構成1は、好適には、第1の動作状態において、0.01W/cm未満のパワーにより駆動される。この第1の動作状態では、酸素種が、周囲空気中で電極構成1によって発生させられる非熱プラズマの組成において優勢的である。第3の動作状態において、電極構成1は、好適には0.05W/cmを超えるパワーで駆動される。この第3の動作状態では、窒素種が非熱プラズマの組成において優勢的である。第2の中間状態において、電極構成1は、好適には、最小0.01W/cm~最大0.05W/cmのパワーにより動作する。この中間状態では、活性酸素種と活性窒素種の双方が適切な濃度で非熱プラズマに含まれ、窒素種と酸素種との比は、電極構成1のパワー消費を変えることによって変化させることができる。
【0196】
電極構成1は、好適には、第1の動作状態において第1の所定の時間にわたって駆動され、所定の時間が経過した後に、第2の動作状態又は第3の動作状態において、第2の所定の時間にわたって駆動される。
【0197】
電極構成1は、好適には、病原性細菌、特に細菌、真菌感染症、特に皮膚及び/又は足の真菌、プリオン、バイオフィルム及び/又はウイルスを不活性化するために使用される。これらは、無生物の表面であれ、又は、生物、特に植物、動物及び/又は人間の表面であれ、特に表面上で不活性化することができる。このことは、殺菌又は滅菌、及び/又は創傷治療のために、特に皮膚表面上で当てはまる。
【0198】
「実プラズマパワー」と「プロキシ測定」との間の相関を、図2に示す回路図を用いて決定するために、環境チャンバ内で大規模な一連の測定が行われた。
【0199】
このような測定の数百の結果が、プラズマパワーの実際の決定とプロキシ決定との間に非常に良好な相関があり、同じ設計の様々なプラズマ源100及び/又は電極構成1の間の変動が非常に小さいことを示している。
【0200】
この良好な相関は、検査範囲内にある全ての環境条件について存在する。
【0201】
治療のためのより確実な治療域を決定するために、前臨床研究がプラズマ源5を用いて実施された。
【0202】
最初に、有効性試験が実施された。その際に、プラズマ源5によって、多耐性細菌を含む細菌及び真菌が非常に効果的に不活性化されることが示された。この場合わずか60秒の処理時間の間に、4~5桁の大幅な減少が達成される。
【0203】
更なる調査によって、細菌バイオフィルムも不活性化できることが示された。60秒の処理時間内に3桁の減少が達成された。10分の処理時間後に完全な削減を達成することができた。
【0204】
さらに、安全性試験、特に真核細胞(初代線維芽細胞及びケラチノサイト)の生存率試験、変異原性試験、創傷治癒試験(細胞増殖の分析)、生体外皮膚の(ex vivo)試験(組織学、アポトーシス又は壊死の分析)が実施された。
【0205】
これらの研究は、最悪と想定される場合においてさえ、3分までの処理期間で個々の真核細胞に損傷が起きないことを示している。変異原性試験では、どのようなプラズマ処理時間(5分まで試験)でも突然変異の誘発は認められず、また、生体外皮膚試験においても、どのようなプラズマ処理時間でも損傷は示されなかった。これは、本実施形態で特定されたよりもはるかに大きな治療域を示唆している。
【0206】
本明細書に記載された方法によって、特に、非熱プラズマを発生させるための電極構成の初期検査が可能であり、特に、電極構成自体の動作の安全性、及び、電極構成の各利用での安全性を著しく向上させる。
図1
図2
図3
図4