(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】乗物車両用の拘束システム、乗り物システムを動作するための方法、及び乗物車両システム
(51)【国際特許分類】
A63G 7/00 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A63G7/00
(21)【出願番号】P 2021533782
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019065174
(87)【国際公開番号】W WO2020123352
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-08
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】マラテック ギャレット
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス レイチェル
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-202166(JP,A)
【文献】特開2016-199066(JP,A)
【文献】特開2004-175294(JP,A)
【文献】特開平10-15250(JP,A)
【文献】特表2003-529418(JP,A)
【文献】特許第6382352(JP,B2)
【文献】特許第6261274(JP,B2)
【文献】特許第2622336(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0123570(US,A1)
【文献】米国特許第6237945(US,B1)
【文献】国際公開第2007/136245(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/019964(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第2182844(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00 - 33/00
A47C 1/00 - 1/46
A62B 35/00 - 35/04
A63F 13/00 - 13/98
A63J 1/00 - 99/00
B60B 2/00 - 2/90
B60R 22/00 - 22/48
B61D 33/00
B64D 11/00 - 11/06
E04H 3/00 - 3/30
G09B 9/00 - 9/56
G09B 19/00 - 19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物車両用の拘束システムであって、
前記乗物車両のシート内に乗客を固定するために前記乗客にわたって延びるように構成された柔軟拘束具であって、前記柔軟拘束具は、前記乗客の胴体
に合うように構成された曲げやすい材料を含む、柔軟拘束具と、
前記柔軟拘束具と一体化された膨張式ブラダーシステムであって、前記膨張式ブラダーシステムは、前記柔軟拘束具と前記乗客の胴体との間の接触を高めるためにガスで膨張するように構成され、前記膨張式ブラダーシステムは、前記柔軟拘束具の内部容積内に配置された膨張式ブラダーを含む、膨張式ブラダーシステムと、
前記柔軟拘束具と一体化された感覚刺激システムであって、前記感覚刺激システムは、感覚効果を生成し、前記感覚効果を前記乗客の胴体に与えるように構成され、前記感覚刺激システムは、前記柔軟拘束具が展開位置にあるときに、前記膨張式ブラダーと前記乗客の胴体との間に配置される効果生成要素を含む、感覚刺激システムと、
を含む、拘束システム。
【請求項2】
前記効果生成要素は、モーター、振動アクチュエータ、熱的構成要素、ファン、又はこれらの何れかの組み合わせを含む、請求項1に記載の拘束システム。
【請求項3】
前記膨張式ブラダーシステムは、ホースを介して前記膨張式ブラダーに結合されたポンプを含み、前記ポンプは、前記膨張式ブラダーにガスを供給するように構成される、請求項1に記載の拘束システム。
【請求項4】
前記ポンプは、前記シートに結合されるか、又は前記シート内に配置される、請求項3に記載の拘束システム。
【請求項5】
前記膨張式ブラダーシステムは、
前記乗客、前記膨張式ブラダーシステム、前記乗物車両、又はこれらの組み合わせに関連するフィードバックを収集するように構成されたセンサーと、
前記収集されたフィードバックに基づいて、前記膨張式ブラダーシステムの動作の調整を制御するように構成されたコントローラと、
を含む、請求項1に記載の拘束システム。
【請求項6】
前記センサーは、前記乗客の心拍数を検出するように構成された心拍数センサー、前記膨張式ブラダーシステムの前記膨張式ブラダー内のガスの圧力を検出するように構成された圧力センサー、又はこれらの両方を含む、請求項5に記載の拘束システム。
【請求項7】
前記乗物車両の前記シート内に前記乗客を固定するために前記乗客にわたって延びるように構成された剛性拘束具を含み、前記柔軟拘束具は前記剛性拘束具に結合されている、請求項1に記載の拘束システム。
【請求項8】
前記柔軟拘束具を前記乗物車両の前記シートに結合し且つ前記柔軟拘束具を前記乗客の胴体に対して固定するように構成された複数のストラップを含む、請求項1に記載の拘束システム。
【請求項9】
前記感覚刺激システムは、
前記乗客、前記感覚刺激システム、前記乗物車両、又はこれらの組み合わせに関連するフィードバックを収集するように構成されたセンサーと、
前記収集されたフィードバックに基づいて、前記感覚刺激システムの動作の調整を制御するように構成されたコントローラと、
を含む、請求項1に記載の拘束システム。
【請求項10】
前記感覚刺激システム、前記膨張式ブラダーシステム、又はその両方の動作の調整を制御するように構成されたコントローラと、
前記コントローラに通信可能に結合され、前記感覚刺激システム、前記膨張式ブラダーシステム、又はその両方の動作を前記乗客によって調整できるように構成される、入力デバイスと、
を含む、請求項1に記載の拘束システム。
【請求項11】
乗り物システムを動作するための方法であって、
乗物車両のシート内の乗客を、前記乗物車両の剛性拘束具で固定するステップと、
前記乗客の胴体に柔軟拘束具を適用するステップであって、前記柔軟拘束具は前記剛性拘束具に結合される、ステップと、
前記柔軟拘束具と前記乗客の胴体との間の接触を高めるために前記柔軟拘束具と一体化された膨張式ブラダーシステムの膨張式ブラダーを膨張させるステップと、
効果生成要素を前記乗客の胴体に対して付勢するステップであって、前記効果生成要素は、前記柔軟拘束具と一体化され、前記膨張式ブラダーと前記乗客の胴体との間に配置される、ステップと、
前記効果生成要素を用いて感覚効果を生成するステップと、
前記乗客の胴体に前記感覚効果を与えるステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記感覚効果を生成するステップは、振動、熱、空気の流れ、音、照明、又はこれらの組み合わせを生成するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記膨張式ブラダーを膨張させるステップは、ポンプ及びホースを介して前記膨張式ブラダーをガスで満たすステップを含み、前記膨張式ブラダーは、前記柔軟拘束具の内部容積内に配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記乗客、前記膨張式ブラダーシステム、前記乗物車両、又はこれらの組み合わせに関連するフィードバックを、センサーを介して収集するステップと、
前記フィードバックに基づいて前記膨張式ブラダーシステムの動作を調整するステップと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記乗客、前記効果生成要素、前記乗物車両、又はこれらの組み合わせに関連するフィードバックを、センサーを介して収集するステップと、
前記フィードバックに基づいて前記効果生成要素の動作を調整するステップと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
乗物車両システムであって、
乗客を収容するように構成されたシートを含む乗物車両と、
前記乗物車両の拘束システムと、
を含み、前記拘束システムは、
前記乗客を前記シート内に固定するように構成された剛性拘束具と、
前記剛性拘束具に結合された柔軟拘束具であって、前記乗客の胴体にわたって延びて胴体に合うように構成された曲げやすい材料を含む、柔軟拘束具と、
前記柔軟拘束具と一体化された感覚刺激システムであって、感覚効果を生成し、前記乗客の胴体に前記感覚効果を与えるように構成される、感覚刺激システムと、
前記柔軟拘束具の内部容積内に配置された膨張式ブラダーシステムであって、前記感覚刺激システムの効果生成要素を前記乗客の胴体に対して付勢するためにガスで膨張するように構成される、膨張式ブラダーシステムと、
を含み、
前記乗物車両システムは、
前記乗客、前記乗物車両、前記感覚刺激システム、前記膨張式ブラダーシステム、又はこれらの組み合わせに関連するセンサーフィードバックに基づいて、前記感覚刺激システム、前記膨張式ブラダーシステム、又はその両方の動作を調整するように構成されたコントローラを含む、
乗物車両システム。
【請求項17】
前記感覚刺激システムの前記効果生成要素は、モーター、振動アクチュエータ、熱的構成要素、ファン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の乗物車両システム。
【請求項18】
前記膨張式ブラダーシステムは、前記柔軟拘束具の内部容積内に配置された複数の膨張式ブラダーを含み、前記複数の膨張式ブラダーの各膨張式ブラダーは、前記ガスで膨張するように構成される、請求項16に記載の乗物車両システム。
【請求項19】
前記感覚刺激システムは、前記柔軟拘束具と一体化された複数のモジュールを含み、前記複数のモジュールの各モジュールは、少なくとも1つの前記感覚効果を生成するように構成される、請求項16に記載の乗物車両システム。
【請求項20】
前記複数のモジュールの第1のモジュールは、前記柔軟拘束具の内部容積内に配置され、前記複数のモジュールの第2のモジュールは、前記柔軟拘束具の内部容積の外部にある、請求項19に記載の乗物車両システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年12月14日に出願された「乗物車両の拘束システム(RIDE VEHICLE RESTRAINT SYSTEM)」という名称の米国仮特許出願シリアル第62/780,060号の優先権及び利益を主張するものであり、当該仮出願は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、遊園地スタイルの乗り物に関し、より具体的には、遊園地スタイルの乗り物の乗物車両内部の乗客を固定するためのシステムに関する。
【0003】
多くの遊園地スタイルの乗り物は、トラックのような乗り物パスに沿って乗客を運ぶ乗物車両を含む。乗物車両が乗り物パスに沿って走行する際、乗物車両は、乗り物パスの一部である、旋回、ループ、ツイストなどの種々な乗り物パスの特徴を受ける可能性がある。実際、乗物車両の動き又は移動は、乗り物パスの特徴の影響を受ける。乗物車両の移動が変化すると、乗物車両内部の乗客は、種々な力を受ける可能性がある。従って、乗物車両は、通常、乗物車両が乗り物パスに沿って走行する際に乗物車両内の乗客を固定する拘束システムを含む。
【0004】
乗物車両及び遊園地スタイルのアトラクションは、乗客に対して乗物車両体験を高める他の特徴を含むのが一般的である。例えば、乗物車両、乗り物パス、及び/又は乗り物システムの他の要素は、照明、スピーカー、対話型要素、特殊環境、及び/又は乗り物体験を高めるように乗物車両内の乗客に感覚刺激を提供する他の特徴を含むことができる。乗物車両体験を楽しむ乗客は、広範囲の様々な形状及びサイズを有する場合がある点を理解されたい。現在のところ、既存の乗物車両の特徴は、様々な身体型状又は人体比率の乗客に対して同等の感覚刺激を提供できない可能性があり、及び/又は遊園地スタイルの乗り物での特定の感覚刺激システムは、一部又は全ての乗客への影響が限定的である可能性があることが理解されるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最初に請求項に記載された本発明の主題の範囲内にある一部の実施形態について以下で要約する。これらの実施形態は、特許請求した本発明の主題の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろこれらの実施形態は、本発明の主題の実施可能な形態の簡潔な概要を示すことのみを意図している。当然のことながら、本発明の主題は、下記に説明した実施形態と同様のもの又は該実施形態と異なるものとすることができる様々な形態を含むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、乗物車両用の拘束システムは、乗物車両のシート内に乗客を固定するために乗客にわたって延びるように構成された柔軟拘束具(soft restraint)を含む。柔軟拘束具は、乗客の胴体のかなりの部分(substantial portion)に合う(conform)ように構成された曲げやすい材料(pliable material)を含む。柔軟拘束具はまた、柔軟拘束具と一体化された感覚刺激システムを含む。感覚刺激システムは、感覚効果を生成し、乗客の胴体に感覚効果を与えるように構成されている。柔軟拘束具は更に、柔軟拘束具と一体化された膨張式ブラダーシステム(inflatable bladder system)を含み、このブラダーシステムは、柔軟拘束具と乗客の胴体との間の接触を高めるためにガスで膨張するように構成されている。
【0007】
一実施形態では、乗り物システムを動作するための方法は、乗物車両のシート内の乗客を乗物車両の剛性拘束具(rigid restraint)で固定するステップと、剛性拘束具に結合された柔軟拘束具を乗客の胴体に適用するステップとを含む。本方法はまた、柔軟拘束具と乗客の胴体との間の接触を高めるために柔軟拘束具と一体化された膨張式ブラダーシステムの膨張式ブラダーを膨張させるステップを含む。本方法は更に、柔軟拘束具と一体化された感覚刺激システムを用いて感覚効果を生成するステップと、感覚効果を乗客の胴体に与えるステップと、を含む。
【0008】
一実施形態では、乗物車両システムは、乗客を収容するように構成されたシートを有し、拘束システムを有する乗物車両を含む。拘束システムは、シート内で乗客を固定するように構成された剛性拘束具と、剛性拘束具に結合された柔軟拘束具とを含む。柔軟拘束具は、乗客の胴体にわたって延びて胴体に合うように構成された曲げやすい材料を含む。拘束システムは更に、柔軟拘束具と一体化されて、感覚効果を生成して乗客の胴体に感覚効果を与えるように構成された感覚刺激システムを含む。拘束システムはまた、柔軟拘束具の内部容積内に配置された膨張式ブラダーシステムを含む。膨張式ブラダーシステムは、感覚刺激システムの構成要素を乗客の胴体に対して付勢する(bias)ためにガスで膨張するように構成されている。乗物車両システムは更に、乗客、乗物車両、感覚刺激システム、膨張式ブラダーシステム、又はこれらの組み合わせに関連するセンサーフィードバックに基づいて、感覚刺激システム、膨張式ブラダーシステム、又はその両方の動作(operation)を調節するように構成されたコントローラを含む。
【0009】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、図面全体を通じて同様の参照符号が同様の要素を示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むと更に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の態様による、乗り物システムの一実施形態の斜視図である。
【
図2】本開示の態様による、乗物車両シートの拘束システムと一体化された感覚刺激システム及び膨張式ブラダーシステムを示す、乗物車両の乗物車両シートの一実施形態の斜視図である。
【
図3】本開示の態様による、乗物車両シートの拘束システムと一体化された感覚刺激システム及び膨張式ブラダーシステムを示す、乗物車両シートの一実施形態の概略図である。
【
図4】本開示の態様による、乗物車両の乗客と係合する一体化された感覚刺激システム及び膨張式ブラダーシステムを有する拘束システムの一実施形態の概略側断面図である。
【
図5】本開示の態様による、乗物車両の乗物車両シートの構成要素を示す、乗り物システムの一実施形態の概略図である。
【
図6】本開示の態様による、感覚刺激システム及び膨張式ブラダーシステムを備えた別個の拘束システムを有する複数の乗物車両シートを示す、乗物車両の一部の一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、添付図面及び図に示された特定の実施形態について詳細に説明する。以下の詳細な説明において、様々な実施形態を十分に理解するために、多数の具体的な詳細事項が記載されている。しかしながら、これらの具体的な詳細なしで実施形態を実施することができることは、当業者には明らかであろう。実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように、場合によっては、公知の方法、手順、及び構成要素は詳細に説明していない。
【0012】
本明細書では、様々な要素を説明するために第1、第2、その他の用語を使用する場合があるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではない点は理解されるであろう。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の物体を第2の物体と呼ぶことができ、同様に、第2の物体を第1の物体と呼ぶことができる。
【0013】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のものに過ぎず、限定を意図したものではない。本明細書及び添付の特許請求の範囲にて使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに他の意味に解釈すべき場合を除き、複数形も同様に含むことが意図されている。本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、1又は2以上の関連するリストアップされた項目の何れかの可能な組み合わせを指しており、これを包含することも理解されるであろう。更に、本明細書で使用される際の用語「includes(含む)」、「including(含む)」、「comprises(含む)」及び/又は「comprising(含む)」は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1又は2以上の他の特徴、整数、動作、要素、構成要素、及び/又はこれらのグループの存在又は追加を除外しないことは理解されるであろう。更に、本明細書で使用される、“if(~する場合)”という用語は、文脈に応じて、「when(~するとき)」又は「upon(~すると)」、或いは「in response to determining(~を決定することに応答して)」又は「in response to detecting(~を検出することに応答して)」を意味するものと解釈することができる。
【0014】
遊園地は、利用客又は来園客にとってユニークで面白い体験を提供する多くの乗り物を含む。遊園地は、通常、様々な来園客のスリル感及び没入体験の要求に対応するため幅広い種類の乗り物を含む。多くの場合、遊園地の乗り物は、一連の特徴を通ってトラックのような乗り物パスを辿る1又は2以上の乗物車両を含む。このような機能には、ループ、ツイスト、旋回、降下、トンネル、及び同様のものを含むことができる。乗物車両は、乗り物パスに沿って高速で走行することができ、複数の非線形パスに沿って往来することができる。結果として、乗物車両の内部に乗っている乗客は、拘束されていなければ乗物車両内の乗客を移動させる可能性がある力を受ける可能性がある。従って、乗物車両は、乗物車両が動作している間及び乗り物体験の持続時間の間中ずっと、乗物車両内の乗客を固定するように構成された拘束システムを含むことが多い。理解されるであろうが、背の高い大人と小さな子供など、非常に様々なサイズ、形状、比率の乗客が、同じ乗り物体験を楽しみたいと願う可能性がある。従って、乗物車両が、幅広い種類の体型、形状、及びサイズの乗客に対応する拘束システムを含むことが望ましい。
【0015】
遊園地の乗り物はまた、遊園地の乗り物上の乗客により没入できるスリルのある体験を提供するように構成された、特殊効果などの他の特徴を含むことが多い。例えば、乗物車両、乗物車両シート、及び乗り物パスに沿った環境を含む、遊園地の乗り物は、様々な感覚刺激システムを含むことができる。これらのシステムは、発光デバイス、放音デバイス、振動システム、熱的システム、液体(例えば、水)スプレーシステム、又は乗り物乗客の1又は2以上の感覚を刺激するように構成された他のシステムを含むことができる。特定の既存のシステムでは、乗物車両は、乗物車両のシートに一体化された感覚刺激システムを含むことができる。例えば、乗物車両シートのシートクッション及び/又は背もたれは、乗物車両シートに座っている乗客の下又は後方に1又は2以上の力又は効果を出力するように構成された感覚刺激システムを含むことができる。しかしながら、このような感覚刺激システムは、乗物車両シートに座っている乗客に対するこれらの効果が著しく制限される可能性があり、乗客によって体験される効果は、体型又はサイズなどの様々な要因に基づいて著しく変化する可能性がある。
【0016】
従って、本開示の実施形態は、一体型感覚刺激システムを有する乗物車両拘束システムに向けられている。具体的には、開示された拘束システムは、様々な体型、形状、及びサイズに密接に合うように構成された要素を含む。言い換えれば、開示された拘束システムは、異なるサイズの乗り物乗客の収容を可能にするために、形状及び輪郭が適合可能及び調整可能である。例えば、拘束システムは、乗物車両内に乗客を固定するように構成された剛性拘束具と、乗客の身体に密接に合うように構成された柔軟拘束具とを含むことができる。特定の実施形態では、柔軟拘束具は、乗客の胴体の大半又はかなりの部分に合わせて調整するように構成されている。柔軟拘束具はまた、柔軟拘束具及びひいては感覚刺激システムの乗客の身体への密接な適合性(conformity)を更に促進するように構成された一体型膨張式ブラダーシステムを含むことができる。このようにして、感覚刺激システムを介した乗客の感覚刺激は、大幅に向上させることができる。実際、一体型膨張式ブラダーを有する柔軟拘束具を介した感覚刺激システムと乗り物乗客との間の改善された接触により、広範な強度及び量にわたって、並びに乗り物乗客の広範な身体区域(例えば、肩、胸、胴、肋骨、腰、胃及び同様のもの)にわたって様々なタイプの刺激効果の使用が可能になる。
【0017】
ここで各図面に移ると、
図1は、乗り物システム10の一実施形態の斜視図である。乗り物システム10は、1又は2以上の乗客12を収容できる1又は2以上の乗物車両14を含むことができる。一実施形態では、複数の乗物車両14は、(例えば、リンク機構によって)結合することができる。乗物車両14は、乗り物システム10の動作中に乗り物パス16に沿って走行する。乗り物パス16は、乗物車両14が走行する何れかの表面とすることができる。例えば、乗り物パス16は、トラックによって定めることができる。乗り物パス16は、乗物車両14によって走行される経路を決定付ける場合があり、そうでない場合もある。一実施形態では、乗り物パス16は、線路上の列車と同様に、乗り物パス16に沿って進む際に、乗物車両14の移動を制御(例えば、方向、速度、及び/又は向き)することができる。別の実施形態では、別のシステムが、乗り物システム10の動作中に乗物車両14により取られる経路を制御することができる。例えば、乗り物パス16は、乗物車両14のインターフェースシステムを介して、乗客12が乗物車両14の移動の特定の態様を制御することを可能にする開放面とすることができる。
【0018】
乗物車両14は、何れかの好適な数の乗客12を収容することができる。例えば、図示された実施形態は、それぞれ2人の乗客12を収容することができる5台の乗物車両14を含む。しかしながら、乗り物システム10は、何れかの数の乗物車両14を含むことができることを理解されたい。例えば、乗り物システム10は、2台、4台、10台、20台、又は他の何れかの数の乗物車両14を含むことができ、それぞれの乗物車両14は、何れかの数の乗客12を収容することができる。例えば、1台の乗物車両14は、2人の乗客を収容することができ、別の乗物車両14は、4人の乗客12を収容することができ、追加の乗物車両14は、6人の乗客12を収容することができ、更に何れかの乗物車両14は、何れかの数の乗客12を収容することができる。
【0019】
図示のように、乗物車両14はまた、乗物車両14内の乗客12を固定するように構成された拘束システム18を含む。各乗物車両14は、少なくとも1つの拘束システム18を含むが、幾つかの実施形態では、乗り物システム10は、各乗客12に対して別個の拘束システム18を含むことができる。言い換えれば、一実施形態では、各乗物車両14は、乗り物システム10の体験中に乗物車両14に乗車できる乗客12の総数に等しい数の拘束システム18を含むことができる。以下で詳細に説明するように、拘束システム18は、適合性があり、より具体的には、乗客12の身体、胴体、又は他の身体部分に合うように構成されている。実際、拘束システム18の本実施形態は、種々な体型、サイズ、及び形状の何れかに適応可能に合わせて調整するように構成されている。この目的で、拘束システム18は、乗客12の胴体前側などの身体のかなりの部分に合うように構成されている柔軟拘束具を含むことができる。以下で説明するように、柔軟拘束具は、乗客12に対して締め付け又は付勢することができる曲げやすい材料から形成することができ、これにより乗客12に対して密接に適合するように適応できる曲げやすい材料から形成することができる。
【0020】
上記のように、拘束システム18はまた、一体化された感覚刺激システム及び膨張式ブラダーシステムを含む。例えば、感覚刺激システム及び膨張式ブラダーシステムは、拘束システム18の柔軟拘束具と一体化することができ、拘束システム18が乗物車両14内の乗客12を固定するときに、膨張式ブラダーシステムは、感覚刺激システムの要素と乗客12の身体のかなりの部分との間の密接な接触を促進するために、膨張することができるようになる。感覚刺激システムと乗客12の身体との間の緊密且つ広範囲に及ぶ物理的接触は、以下で検討するように、乗り物システム10の体験を高めるための広範囲の感覚効果の利用を可能にする。
【0021】
図1に示される乗り物システム10の実施形態は、現在開示されている技術の背景を提供し、その考察を容易にすることを意図した簡略表現であることを理解されたい。乗物車両14、乗り物パス16、拘束システム18などを含む乗り物システム10の他の実施形態10は、同様の及び/又は異なる要素又は構成を含むことができる。例えば、図示の実施形態は、乗物車両14が、乗物車両14の下方に位置決めされた乗り物パス16に沿って走行することが描かれているが、乗り物システム10の他の実施形態は、乗物車両の上方に位置決めされた乗り物パス16から懸下された乗物車両14を含むことができる。更に、図示された拘束システム18は、乗客12の膝又は脚にわたって位置決めされたバー又は他の拘束具を含むものとして示されているが、拘束システム18の他の実施形態は、乗り物システム10の動作中に乗客12を乗物車両14に拘束するか又は別の方法で閉じ込めるように構成された追加又は代替の構成要素を含むことができる。
【0022】
図2は、乗客12の一人を収容できる乗物車両14のシート30の一実施形態の斜視図である。幾つかの実施形態では、シート30は、乗物車両14として機能し、他の乗物車両14及び/又はシート30から分離されているが、他の実施形態では、シート30は、共通の乗物車両14内の複数のシート30のうちの1つである。図示のように、シート30は、シート30内及び/又は乗物車両14内の乗客12を固定するように構成された拘束システム18の一実施形態を含む。図示のように、拘束システム18は、感覚刺激システム32(例えば、触覚フィードバックシステム)と、以下で更に詳細に説明される、一体化された膨張式ブラダーシステム33とを有する。
【0023】
拘束システム18は、剛性拘束具34及び柔軟拘束具36を含む。剛性拘束具34は、一般的に固定された、非弾性の、及び/又は柔軟性のない構成要素を含むことができる。言い換えれば、剛性拘束具34の構成要素は、一般的に、金属、プラスチック、複合材料、又は他の適切な剛性材料から作られた構成要素などの、固定の幾何形状を有することができる。拘束システム18がロック又は展開構成であるとき、剛性拘束具34の構成要素は、一般に固定のものとすることができ、これにより、シート30内及び/又は乗物車両14内での乗客12の望ましくない移動を阻止又は防止することができる。
【0024】
図示の実施形態では、剛性拘束具34は、シート30の後部40から、シート30の背もたれ42を越えて、シート30に位置決めされた乗客12の前側にわたるオーバーショルダーバー38を含む。図示の展開構成と格納構成との間のオーバーショルダーバー38の移行を可能にするために、オーバーショルダーバー38は、背もたれ42、シート30の構成要素、又は乗物車両14の構成要素に枢動可能に結合することができる。拘束システム18は、シート30に対するオーバーショルダーバー38の選択的な回転(例えば、ロックシステムを介して)を可能にするように構成することができる。剛性拘束具34はまた、オーバーショルダーバー38の遠位端に結合されたラップバー44を含む。図示された展開構成では、オーバーショルダーバー38は、乗客12の脚部及び腰部に隣接してラップバー44を位置決めするように、乗客12の前側にわたって延びる。乗り物システム10の動作中、剛性拘束具34は、例示の構成でロック及び固定することができる。このようにして、剛性拘束具34は、シート30内の乗客12を固定することができる。詳細には、オーバーショルダーバー38は、背もたれ42に対して乗客12の胴体46を実質的に保持することができ、ラップバー44は、シート30のベース50に対して乗客12の脚部48を実質的に保持することができる。
【0025】
柔軟拘束具36は、種々な体型、形状、サイズ、幾何学的形状、及び/又は比率の何れかに適合するか、或いは別の方法で適応するように構成された曲げやすい材料から形成することができる。例えば、柔軟拘束具36は、布地、キャンバス、プラスチック、ナイロン、ウェビング、又は乗客12の身体などの別の物体に容易に適合する又は容易に別の物体の輪郭となることができる他の可撓性材料を含むことができる。図示の実施形態では、乗客12が、シート30及び/又は乗物車両14に座っているときに、柔軟拘束具36は、乗客12の胴体46の上方に及びこれに接して位置決めされるように構成されるベスト様又はU字形構成を有する。しかしながら、他の実施形態では、柔軟拘束具36は、ラップ、スリーブ、又は他の被覆など、胴体46及び/又は他の場合にシート30又は剛性拘束具34と接触していない乗客12の何れか他の身体部分(例えば、腕、脚、手、足)の大きな表面積を覆うことができる他の好適な構成を有することができる。
【0026】
更に、柔軟拘束具36は、柔軟拘束具36が乗客12の身体の比較的大きな表面積に接触するようなサイズとすることができる。例えば、柔軟拘束具36は、胴体46の前側52の少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも50パーセント、少なくとも60パーセント、又はそれ以上を覆うように構成することができる。胴体は、一般的に、頭部及び四肢を除く身体部分として定義することができる。種々な体の形状及びサイズに対する柔軟拘束具36の適応力を可能にするために、柔軟拘束具36は、大柄な成人の胴体46の前側52のかなりの部分(例えば、大部分)を覆うのに十分なサイズにすることができる。このようにして、柔軟拘束具36は、乗り物システム10の体験に参加する可能性のあるあらゆる又は実質的にあらゆる乗客12の胴体46の大きな表面積に接触することができる。以下でより詳細に述べるように、拘束システム18の特定の実施形態はまた、乗客12の胴体46又は身体への柔軟拘束具36の輪郭付け(contouring)及び/又は適合性を更に促進するように構成された、膨張式ブラダーシステム33を含む追加の特徴を有することができる。
【0027】
柔軟拘束具36はまた、ここで一体化された感覚刺激システム32も含む。感覚刺激システム32は、柔軟拘束具36によって固定された乗客12に対する様々な効果、力、要素、刺激、又は感覚を制御し生成するように構成された種々な構成要素を含むことができる。例えば、感覚刺激システム32は、振動モーター又はアクチュエータ、熱ジェネレータ又は要素、ファン、芳香要素、発光体、コントローラ、電源、センサー、又は知覚感覚を提供し乗客12からのフィードバックを収集するように構成された他の構成要素を含むことができる。構成要素は、感覚刺激システム32から乗客12(例えば、胴体46)への感覚効果の十二分且つ広範な生成及び移行を可能にするために、柔軟拘束具36にわたって全体的に配列又は別の方法で配列することができる。
【0028】
幾つかの実施形態では、感覚刺激システム32の構成要素は、柔軟拘束具36と一体化された1又は2以上のモジュール54にパッケージングすることができる。モジュール54は、柔軟拘束具36の材料と一体化され、柔軟拘束具36の内部キャビティ内に位置決され、膨張式ブラダーシステム33の要素に結合され、或いは別の方法で柔軟拘束具36の一体化された要素として組み込むことができる。一実施形態では、感覚刺激システム32のモジュール54及び/又は他の構成要素は、柔軟拘束具36上にオーバーモールドされる。しかしながら、特定の実施形態では、感覚刺激システム32の一部又は全ての構成要素が、モジュール54なしで柔軟拘束具36と一体化されていることを理解されたい。言い換えれば、感覚刺激システム32の一部又は全ての構成要素は、モジュール54のハウジングなどの追加のパッケージング要素なしに、柔軟拘束具36と直接一体化することができる。
【0029】
理解されるように、柔軟拘束具36の物理的なサイズは、感覚刺激システム32の複数の構成要素(例えば、モーター、アクチュエータ、センサーなど)を共に組み込むことを可能にする。実際、柔軟拘束具36のサイズは、従来の感覚刺激システムと比較して、感覚刺激システム32に比較的多くの感覚出力構成要素を包含することを可能にする。結果として、感覚刺激システム32は、既存のシステムよりもはるかに幅広い様々な感覚効果又は感覚を生成するように構成される。例えば、感覚刺激システム32によって生成される振動又は触覚効果、もしくは力は、持続時間、強度、量、パターン、乗客12の胴体46又は身体上の場所などにおいて広範囲に変化する可能性がある。別の実施形態では、感覚刺激システム32は、乗客12の胴体46又は身体の特定の区域に複雑な熱的効果を提供するように構成することができる。幾つかの実施形態では、感覚効果は、他の感覚の中でもとりわけ、乗物車両14の振動、動物との接触、電気ショック、銃の反動、地震又は他の自然現象、熱、寒さ、水又は他の液体との接触、乗客12への重力加速度の印加、風、共通する他の感覚をシミュレーションするように生成することができる。
【0030】
図3は、柔軟拘束具36と一体化された感覚刺激システム32及び膨張式ブラダーシステム33を有する拘束システム18を示す、乗物車両14のシート30の一実施形態の概略図である。明確にするために、剛性拘束具34のオーバーショルダーバー38は、図示の実施形態では省略されている。上記の柔軟拘束具36は、シート30に座っている乗客12の身体(例えば、胴体46の前側52)のかなりの部分(例えば、50%以上)に対して合うように構成されている。柔軟拘束具36のサイズは、多くの感覚刺激システム32の要素を柔軟拘束具36に包含することを可能にし、乗客12の身体に対して、柔軟拘束具36を調整することで、感覚刺激システム32と乗客12との間の密接な接触を可能にする。更に検討するように、柔軟拘束具36内の膨張式ブラダーシステム33の一体化は、感覚刺激システム32の要素を乗客12の身体に対して付勢又は押圧することによって、乗客12と感覚刺激システム32との間の接触の更なる改善を促進する。その結果、広範な感覚効果及び刺激は、乗客12に対する乗り物システム10の体験を高めるために利用することができる。
【0031】
感覚刺激システム32は、乗客12により体験する力又は効果を生成するように構成された様々な構成要素を含むことができる。例えば、感覚刺激システム32は、アクチュエータ60(例えば、ソレノイドアクチュエータ、電気アクチュエータ、線形共振アクチュエータなど)、熱的要素62(例えば、発熱体)、ファン64、モーター66(例えば、偏心回転質量モーター)、又は乗客12により感知又は感じる力又は効果を生成及び/又は出力するように構成された他の何れかの好適な要素を含むことができる。感覚刺激システム32はまた、柔軟拘束具36と一体化されない可能性がある要素を含めて、上記に記載された構成要素の動作を調節するように構成された他の要素を含むことができる。
【0032】
感覚刺激システム32に加えて、膨張式ブラダーシステム33はまた、柔軟拘束具36と一体化されている。上述のように、膨張式ブラダーシステム33は、柔軟拘束具36及びひいては感覚刺激システム32と乗客12との間の密接な接触を促進し且つ可能にするように構成された要素を含む。このため、膨張式ブラダーシステム33は、柔軟拘束具36の内部容積内に配置された1又は2以上の膨張式ブラダー67を含む。より具体的には、柔軟拘束具36は、膨張式ブラダー67を配置することができる1又は2以上の内部容積、ポーチ、又は他のキャビティを有する可撓性被覆とすることができる。拘束システム18は、乗客12がシート30内の所定位置にいる状態で展開又はロック構成で固定されると、膨張式ブラダー67は、柔軟拘束具36内で膨張式ブラダー67の膨張を達成するために、空気などのガスで充填することができる。膨張式ブラダー67が柔軟拘束具36の容積、ポーチ、又はキャビティ内で膨張すると、柔軟拘束具36もまた膨張し、柔軟拘束具36、感覚刺激システム32、及び乗客12の間の接触が高まることになる。上記の内容から理解されるように、接触が高まることにより、感覚刺激システム32から乗客12への感覚効果及び力の改善された伝達が可能になる。
【0033】
幾つかの実施形態では、膨張式ブラダー67の膨張は、ポンプ68を介して達成することができる。例えば、ポンプ68は、乗物車両14内のシート30に結合することができる。ポンプ68は、図示のように、シート30のベース50内に配置することができ、或いは、ポンプ68は、シート30の後面(例えば、乗客12に対向する背もたれ42の面)上の背もたれ42又は他の場所に結合された、乗物車両14のフレーム内など別の好適な場所に配置することができる。ホース69は、ポンプ68から柔軟拘束具36内に配置された膨張式ブラダー67まで延びて、ポンプ68から膨張式ブラダー67へのガス(例えば、加圧ガス)の移送を可能にすることができる。図示された実施形態では、ホース69は、乗客12との干渉を避けるために、柔軟拘束具36の上部から、背もたれ42を越えて、シート30の後方に延びている。膨張式ブラダーシステム33の追加要素(例えば、コントローラ、パワーサプライなど)は、柔軟拘束具36、シート30、及び/又は乗物車両14に組み込むことができ、以下で更に詳細に説明する。
【0034】
拘束システム18は、膨張式ブラダーシステム33に加えて、柔軟拘束具36の乗客12の身体への適合性を更に促進する他の特徴を含むことができる。例えば、図示の実施形態では、拘束システム18は、柔軟拘束具36とシート30の背もたれ42との間に結合された調節可能ストラップ70を含む。調節可能なストラップ70は、柔軟拘束具36をシート30に結合する可撓性ベルトであり、乗客12が乗物車両14から出入りする間などに、柔軟拘束具36を乗客12に対して調整(例えば、展開、格納、その他)するのを可能にする。一実施形態では、調節可能ベルト70は、ウェビング又は他の織物材料から形成される。
【0035】
調整可能なストラップ70は、シート30又は乗物車両14の別の部分に結合されたロックリトラクタ又は他の巻き取り機構に結合することができる。従って、リトラクタから選択的に展開及び/又は格納することができる調整可能なストラップ70は、シート30内の乗客12に対する柔軟拘束具36の位置調整を容易にするように構成される。実際、調整可能なストラップ70は、柔軟拘束具36の位置の初期調整を可能にし、その後、柔軟拘束具36の更なる調整をロック又は制限することによって、シートベルトと同様に機能することができる。例えば、柔軟拘束具36のベース72は、剛性拘束具34のラップバー44に(例えば、リベット、ストラップ、又は他の固定特徴74を介して)固定することができ、拘束システム18が乗客12の身体の上方並びに身体にわたって位置決めされると、調整可能なストラップ70は、ロックリトラクタに選択的に格納することができる。矢印76で示されるように、調整可能なストラップ70が格納されると、柔軟拘束具36とラップバー44との間の接続部が緊張状態になり、柔軟拘束具36を乗客12の身体(例えば、胴体46)とのより密接な接触に引き込むことができる。このようにして、調整可能なストラップ70は、乗客12の身体への柔軟拘束具36の適合性を可能且つ容易にする。上述のように、柔軟拘束具36と乗客12との間の密接な接触は、乗客12の改善又は強化された感覚的体験を生成するために、柔軟拘束具36と一体化された感覚刺激システム32の利用を可能にする。
【0036】
図4は、膨張式ブラダーシステム33が膨張構成にある、乗客12に対して展開された柔軟拘束具36の概略側断面図である。図示のように、膨張式ブラダー67は、柔軟拘束具36の内部容積80内に配置され、ガス82で充填されている。図示の実施形態は、3つの膨張式ブラダー67を示しているが、拘束システム18の他の実施形態は、何れかの他の好適な数の膨張式ブラダー67を含むことができる。各膨張式ブラダー67は、柔軟拘束具36の別個の容積又はポーチに配置することができ、或いは、膨張式ブラダー67は、内部容積80などの共通容積内に配置することができる。膨張式ブラダー67内のガス82は、加圧され、膨張式ブラダー67を膨張させ、これにより、乗客12の胴体46に対して柔軟拘束具36を付勢することができる。このようにして、感覚刺激システム32の要素と乗客12の身体との間の密接な接触を達成することができる。例えば、図示の実施形態では、感覚刺激システム32は、モジュール54を含み、モジュールの各々は、感覚的な力又は効果を出力するように構成された上述の1又は2以上の要素を含むことができる。幾つかのモジュール54は、柔軟拘束具36の内面84上、及び柔軟拘束具36の乗客に面する側面86上に位置決めされる。結果として、モジュール54は、膨張式ブラダー67と乗客12の胴体46との間に位置決めされ、膨張式ブラダー67がガス82で充填されるときに、モジュール54が膨張式ブラダー67と乗客12との間に捕捉又は「挟装」されるようになる。モジュール54が乗客12の胴体46に対して付勢又は押し付けられた状態では、乗客12は、局部的な、微かな、及び/又は僅かな効果又は力を含む、モジュール54(例えば、熱、振動、空気の流れなど)から放出される効果又は力をより容易に体験することができ、別の方法では乗客12によって知覚されない可能性がある。
【0037】
幾つかの実施形態では、柔軟拘束具36は、柔軟拘束具36の乗客に面する側面86及び/又は柔軟拘束具36の外側に面する側面90を含む、柔軟拘束具36の外面88上に配置されたモジュール54を含むことができる。実際、モジュール54は、柔軟拘束具36上又は柔軟拘束具内の何れかの好適な場所に位置決めし、乗客12に対する所望の感覚効果を可能にすることができる。上記のように、感覚刺激システム32の感覚要素(例えば、アクチュエータ60、熱的要素62、ファン64、モーター66、その他)は、モジュール54(例えば、ハウジング)なしで、柔軟拘束具36上又は柔軟拘束具36内に配置することができる。幾つかの実施形態では、感覚刺激システム32の1又は2以上の感覚要素は、膨張式ブラダー67に結合するか、膨張式ブラダー67と一体化することができる。
【0038】
柔軟拘束具36は、一体化されたセンサー92も含むことができ、このセンサー92は、感覚刺激システム32及び/又は膨張式ブラダーシステム33の制御システムにフィードバックを提供するように構成することができる。例えば、センサー92は、感覚刺激システム32の動作パラメータ(例えば、力又は効果出力の強度)、膨張式ブラダーシステム33の動作パラメータ(例えば、膨張式ブラダー67内のガス82の圧力)を示すフィードバック及び/又は乗客12の状態(例えば、乗客の心拍数)に関連するフィードバックを提供するように構成することができる。制御システムは、一体化されたセンサー92によって提供されるフィードバックを利用して、感覚刺激システム32及び/又は膨張式ブラダーシステム33の動作を更に調節、改良、又は他の方法で制御することができる。
【0039】
図5は、乗物車両14の構成要素及び乗物車両14のシート30を示す、乗り物システム10の一実施形態の概略図である。上述のように、シート30は、一体化された感覚刺激システム32及び膨張式ブラダーシステム33を備えた剛性拘束具34及び柔軟拘束具36を有する拘束システム18を含む。シート30はまた、拘束システム18及び、より具体的には、感覚刺激システム32及び膨張式ブラダーシステム33の動作を容易にする他の要素を含むことができる。以下で論じられる構成要素は、柔軟拘束具36、拘束システム18の他の要素、シート30、乗物車両14、又はこれらの何れかの組み合わせと一体化することができることを理解されたい。
【0040】
例えば、感覚刺激システム32は、力又は効果生成構成要素に制御信号を送信し、感覚刺激システム32からのフィードバックを受信するように構成されたコントローラ100と通信することができる。同様に、コントローラ100は、膨張式ブラダーシステム33と通信して、膨張式ブラダーシステム33の動作を可能にするための制御信号を(例えば、ポンプ68に)送信し、膨張式ブラダーシステム33からのフィードバックを受信することができる。幾つかの実施形態では、コントローラ100は、感覚刺激システム32及び膨張式ブラダーシステム33に共通しているが、他の実施形態では、複数のコントローラ100を利用することができる。
【0041】
コントローラ100は、柔軟拘束具36、シート30、又は乗物車両14の別の構成要素と一体化することができる。コントローラ100は、プロセッサ102及びメモリ104を含む。例えば、プロセッサ102は、モーター(例えば、高周波モーター、ステッピングモーター)又は他の要素を制御するソフトウェアを実行し、場所、時間、乗り物の現在のシーン/画像、又はこれらの組み合わせに応じた感覚効果又は力を生成するマイクロプロセッサとすることができる。プロセッサ102は、複数のマイクロプロセッサ、1又は2以上の「汎用」マイクロプロセッサ、1又は2以上の専用マイクロプロセッサ、及び/又は1又は2以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はこれらの幾つかの組み合わせを含むことができる。例えば、プロセッサ102は、1又は2以上の縮小命令セット(RISC)プロセッサを含むことができる。
【0042】
メモリ104は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ、及び/又はリードオンリーメモリ(ROM)などの不揮発性メモリを含むことができる。メモリ104は、種々な情報を保存することができ、様々な目的に使用することができる。例えば、メモリ104は、プロセッサ102が実行するための、ファームウェアやソフトウェアなどのプロセッサ実行可能命令を保存することができる。メモリ104は、ROM、フラッシュメモリ、ハードドライブ、又は他の何れかの好適な光学的、磁気的、又は半導体記憶媒体、又はこれらの組み合わせを含むことができる。メモリ104は、データ、命令、及び他の何れかの好適なデータを保存することができる。動作中、プロセッサ102は、メモリ104上の命令を実行して、感覚刺激システム32及び膨張式ブラダーシステム33の構成要素に制御信号を生成及び/又は提供する。
【0043】
前述のように、感覚刺激システム32及び/又は膨張式ブラダーシステム33は、柔軟拘束具36と一体化されたセンサー92を含む、1又は2以上のセンサー106を含むことができる。しかしながら、他のセンサー106は、シート30内など、他の場所に位置決めすることができる。センサー106は、感覚刺激システム32及び/又は膨張式ブラダーシステム33の動作を更に制御するために使用することができるフィードバックを収集するように構成される。例えば、前述のように、センサー106は、乗客12の心拍数を検出又は測定するように構成された心拍数センサーを含むことができ、コントローラ100は、感覚刺激システム32及び/又は膨張式ブラダーシステム33の動作を調整するために、心拍数フィードバックを利用することができる。一実施形態では、拘束システム18によって固定された乗客12の心拍数が閾値を超えた場合、コントローラ100は、感覚刺激システム32によって生成される力又は効果の強度を低減するように動作を調整することができ、或いは感覚刺激システム32の動作を停止することができる。センサー106は、圧力センサー(例えば、シート30内の乗客12の存在を検出するため、膨張式ブラダー67内のガス82の圧力を検出するためなど)、温度センサー(例えば、乗客12の温度又は乗物車両14を取り囲んでいる環境の温度を検出するため)、位置センサー(例えば、乗り物パス16に沿った乗物車両14の位置を検出するため)、又は感覚刺激システム32及び/又は膨張式ブラダーシステム33の動作を調整する際に使用するためのフィードバックを収集して提供するように構成された何れかの他の好適なセンサーを含むことができる。
【0044】
更に、感覚刺激システム32及び膨張式ブラダーシステム33は、アクチュエータ60、熱的要素62、ファン64、コントローラ100などのような、感覚刺激システム32及び膨張式ブラダーシステム33の構成要素に電力を供給するように構成された、1又は2以上の電源108を含むことができる。電源108は、シート30又は乗物車両14もしくは乗り物システム10の別の部分に組み込むことができる。例えば、一実施形態では、電源108は、乗物車両14内に位置決めされたバッテリーである。別の実施形態では、電源108は、乗物車両14に外付けの別の電源への電気的接続とすることができる。例えば、電源108は、乗り物システム10のバスバーに電気的に結合することができる。
【0045】
感覚刺激システム32及び/又は膨張式ブラダーシステム33は、幾つかの実施形態では、1又は2以上の入力デバイス110も含むことができる。入力デバイス110は、感覚刺激システム32及び/又は膨張式ブラダーシステム33の動作を更に調整する際に使用するために、入力デバイス110との乗客12の相互作用を介して、フィードバックを受信するように構成される。例えば、一実施形態では、入力デバイス110は、感覚刺激システム32を作動及び非作動にするために乗客12が切り替えることができるボタン又はスイッチである。別の実施形態では、入力デバイス110は、感覚刺激システム32によって生成される振動力の強度など、感覚刺激システム32の設定を乗客12が調整できるように構成されたダイヤル、ボタン、タッチスクリーン、スライダ、又は他の構成要素を含む。幾つかの実施形態では、入力デバイス110は、膨張式ブラダー67の膨張及び/又は収縮を可能にするように構成されたボタン又はスイッチを含むことができる。
【0046】
図示のように、感覚刺激システム32及び膨張式ブラダーシステム33は、乗物車両14の外部にあるシステムとの通信を可能にする通信回路112も含むことができる。例えば、通信回路112は、有線接続又は無線接続を介するなど、乗り物システム10の乗り物システムコントローラ114(例えば、中央システムコントローラ)と通信するように構成することができる。通信回路112は、乗り物システム10の動作の調節に使用するために、様々なタイプの情報を乗り物システムコントローラ114に通信することができる。情報のタイプは、乗物車両14内の乗客12の数、乗物車両14のシート30に人がいるかいないかの識別、感覚刺激システム32の動作パラメータに関連するデータ、膨張式ブラダーシステム33の動作パラメータに関連するデータ、乗り物パス16に沿った乗物車両14の位置、乗物車両14の速度、拘束システム18の位置又は状態、又は何れかの他の好適な情報を含むことができる。
【0047】
乗り物システムコントローラ114は、上述したプロセッサ102と同様とすることができるプロセッサ116と、上述したメモリ104と同様とすることができるメモリ118とを含む。通信回路112から受信した情報に基づいて、乗り物システムコントローラ114は、乗り物システム10の動作を調節することができる。例えば、乗り物システムコントローラ114は、乗物車両14の体験の開始時間、乗物車両14の体験の終了時間、乗り物パス16上の乗物車両14の速度などを制御することができる。幾つかの実施形態では、乗り物システムコントローラ114及び通信回路112は、互いに通信して、感覚刺激システム32の動作を乗り物システム10の他の感覚システムと協働することができる。例えば、乗り物システムコントローラ114及び通信回路112は、感覚刺激システム32の動作を協働させ、乗物車両14が乗り物パス16に沿った特定の場所を通過するときに特定の振動パターン又は熱パターンを生成する、及び/又は乗り物システム10の照明/画像表示及び/又は音響出力の生成と一致する、ようにすることができる。一実施形態では、感覚刺激システム32は、電気ショックを表す振動力を発生させることができ、及び/又は乗物車両14が稲光を伴った嵐をシミュレーションした光ディスプレイに近づいたときに、ファン64を作動させて風をシミュレーションすることができる。別の実施形態では、感覚刺激システム32は、乗物車両14が乗り物パス16に沿ってシミュレーションされたジャングル又は草原環境に入ったときに、昆虫との接触をシミュレーションするために、乗客12の身体にわたって走行又は進行するように見える小さく集中的な振動力を生成することができる。別の実施形態では、感覚刺激システム32は、乗物車両14が乗り物パス16に沿ってシミュレーションした火事又は爆発を通過するときに、熱を生成することができる。
【0048】
図6は、乗物車両14の一実施形態の斜視図であり、それぞれの乗客12を有する複数のシート30及び拘束システム18を示している。図示のように、それぞれの拘束システム18は、現在の技術によれば、それぞれの拘束システム18の柔軟拘束具36内に一体化された感覚刺激システム32及び膨張式ブラダーシステム33を含む。
【0049】
上記に詳述されるように、感覚刺激システム32は、拘束システム18によって固定された乗客12に伝える力又は効果(例えば、振動、熱、空気の流れなど)の生成を介して、広範なユニークな感覚刺激を提供するように構成されている。実際、拘束システム18は、本明細書に開示された一体化されたセンサー刺激システム32及び膨張式ブラダーシステム33を有し、多くの感覚の何れかを表現又はシミュレーションするように選択、調整、又は別の方法でカスタマイズすることができる力又は効果の生成及び伝達を可能にし、これらは、乗客12に対する乗り物システム10の体験の一部である他の態様又は感覚刺激(例えば、照明、音、匂いなど)と協働することができる。
【0050】
各感覚刺激システム32の動作は、乗り物システム10の他のシステム(例えば、感覚システム)と協働することができるが、特定の実施形態では、感覚刺激システム32の動作は、同じ乗り物システム10内の他の感覚刺激システム32と協働することができる。例えば、乗り物システムコントローラ114又は乗物車両14の専用コントローラなどの別のコントローラは、乗物車両14内のシート30の列120内に含まれる感覚刺激システム32の動作を協働することができる。例えば、コントローラは、最初に第1の乗客122に与えられる特定のタイプの振動力又は熱的効果を生成するために、第1の乗客122と関連する感覚刺激システム32の動作を制御することができる。その後、コントローラは、第1の乗客122に伝えられた同じ特定のタイプの振動力又は熱的効果を生成するために、第2の乗客124に関連付けられた感覚刺激システム32の動作を制御することができる。コントローラは、列120内の様々な感覚刺激システム32の動作を調節し続けて、特定の振動又は熱的感覚を順次第3の乗客126に移行させ、次に第4の乗客128に移行させて、列120内の乗客12を横切って走行する要素又は現象(例えば、滑るように進む蛇、温水の流れ、電気ショック、銃の反動、延焼など)をシミュレーションすることができる。このようにして、感覚刺激システム32は、乗物車両14内の乗客12の間で共有される乗り物システム10の体験を高めることができる。或いは、少なくとも1人の乗客12は、他の乗客12とは異なる感覚的な体験を受けることができ、或いは感覚的な体験を受けないことを選択することができる。
【0051】
従って、本開示の実施形態は、一体化された感覚刺激システム及び一体化された膨張式ブラダーシステムを有する乗物車両拘束システムに向けられる。開示された拘束システムは、柔軟拘束具などの要素を含み、様々な体型、形状、及びサイズに密接に合う。言い換えれば、開示された拘束システムは、異なるサイズの乗物車両の乗客の収容を可能にするために、形状及び輪郭が適合可能及び調整可能である。感覚刺激システム及び膨張式ブラダーシステムは、柔軟拘束具と一体化することができる。柔軟拘束具は、乗り物乗客の身体の大部分に密接に合うように調整可能であるため、膨張式ブラダーシステムの動作は、既存の拘束システムと比較して、乗客の身体と密接に接触し、乗客の身体の大きな表面積にわたって感覚刺激システムの固定を促進する。このようにして、乗客の感覚刺激を高めることができる。実際、柔軟拘束具の膨張式ブラダーシステムを介して感覚刺激システムと乗客との間の接触が改善され、且つ高められることは、広範囲の力又は効果の強さ、パターン及び量にわたって、並びに広範囲の乗客の身体区域にわたって、感覚刺激(例えば、振動、熱、空気の流れなど)の使用を可能にする。
【0052】
本明細書では、本開示の特定の特徴のみについて例示し説明してきたが、当業者であれば多くの修正形態及び変更が想起されるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の技術的思想の範囲内にあるこのような修正形態及び変更全てを保護することを意図していることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0053】
12 乗客
14 乗物車両
18 拘束システム
30 シート
32 感覚刺激システム
33 膨張式ブラダーシステム
34 剛性拘束具
36 柔軟拘束具
38 オーバーショルダーバー
40 シートの後部
42 背もたれ
44 ラップバー
46 胴体
48 脚部
50 シートのベース
52 胴身体46の前側
54 モジュール
72 柔軟拘束具のベース