(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】薄型シリンダ取付具
(51)【国際特許分類】
F17C 13/08 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
F17C13/08 301Z
(21)【出願番号】P 2022151402
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2021175755の分割
【原出願日】2018-09-10
【審査請求日】2022-10-21
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511167010
【氏名又は名称】ヘキサゴン テクノロジー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イェギー ブライアン シー.
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-100515(JP,A)
【文献】米国特許第9388942(US,B2)
【文献】特表2008-518827(JP,A)
【文献】特開2003-127675(JP,A)
【文献】米国特許第6378832(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0122821(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器のネック部に装着されるように構成された取付具であって、前記圧力容器は
高さ及び幅を有す
る本体を備え、前記取付具は、
前記
圧力容器の前記本体の前記高さと略等しいかそれより小さい高さを有する中央プレートであって、前記中央プレートは前記
圧力容器の前記本体の前記幅と略等しいかそれより小さい幅を有し、前記中央プレートは貫通する開口部を有する、中央プレートと、
前記中央プレートの第1側に位置する第1フランジであって、前記第1フランジは前記中央プレートと略垂直に向けられ、前記本体に向かって延出するように構成された、第1フランジと、
前記第1側とは反対の前記中央プレートの第2側に位置する第2フランジであって、前記第2フランジは前記中央プレートと略垂直に、かつ
前記第1フランジと略平行に向けられ、前記第2フランジは前記本体に向かって延出するように構成された、第2フランジと、
を備え、
前記中央プレートは、前記第1フランジ及び前記第2フランジのうちの少なくとも1つに隣接する切欠部を備える、取付具。
【請求項2】
前記切欠部は前記開口部に隣接しない、請求項
1に記載の取付具。
【請求項3】
前記中央プレートは略平面状である、請求項1または2に記載の取付具。
【請求項4】
前記第1フランジは貫通する第2開口部を備える、請求項1
または2に記載の取付具。
【請求項5】
前記第2開口部において前記第1フランジに接続される
第1振動絶縁装置を備える、請求項4に記載の取付具。
【請求項6】
前記第1振動絶縁装置は、前記第2開口部と一致する第3開口部を備える、請求項5に記載の取付具。
【請求項7】
リテーナを備え、前記リテーナは環状である、請求項1または2に記載の取付具。
【請求項8】
前記リテーナは、前記ネック部と協働するように構成されたスナップ機構を備える、請求項
7に記載の取付具。
【請求項9】
請求項1または2に記載の前記圧力容器と前記取付具のアセンブリであって、
前記圧力容器の前記本体は長さを有し、
前記開口部は前記圧力容器の前記ネック部の一部を受容するように構成され、
前記アセンブリは、前記長さと、前記幅と、前記高さとにより定められる直方体のスペースを超えないスペースを占める、アセンブリ。
【請求項10】
前記第1フランジに配置された第1振動絶縁装置と、
前記第2フランジに配置された第2振動絶縁装置とを更に備える、請求項
9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記開口部に近接して配置され、前記アセンブリにおいて前記圧力容器及び
前記取付具を一緒に保持するように構成されたリテーナを更に備える、請求項
9または10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記リテーナは環状である、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記中央プレートは略平面状である、請求項9または10に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記第1フランジは貫通する第2開口部を備える、請求項
9に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記第2開口部において前記第1フランジに接続された振動絶縁装置を更に備える、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記振動絶縁装置は、前記第2開口部と一致する第3開口部を備える、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
請求項1または2に記載の前記圧力容器と前記取付具のアセンブリであって、前記アセンブリは、前記アセンブリ内で前記圧力容器と前記取付具とを一緒に保持するリテーナを備え、前記リテーナは、前記ネック部と協働するように構成されたスナップ機構を備える、アセンブリ。
【請求項18】
第2開口部において前記第1フランジに接続された振動絶縁装置を更に備える、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記振動絶縁装置は、前記第2開口部と一致する第3開口部を備える、請求項18に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景]
本開示は、一般的には流体貯蔵に関し、具体的には流体封入シリンダ用の取付ブラケット、及びボスを用いて流体封入シリンダを取り付ける方法に関する。特に適した流体封入シリンダは圧力容器である。典型的な圧力容器は、耐負荷外側シェルと流体不透過性内側ライナとを備える。
【0002】
適した圧力容器のシェル材料は、鋼等の金属又は複合材料を含み、複合材料は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂により結合された、巻かれたガラス繊維フィラメント又は他の合成フィラメントの積層体を含んでもよい。繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、あるいは他の一般に知られている繊維強化材であってもよい。樹脂材料は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱可塑性樹脂、あるいは繊維間結合、繊維層間結合、及び容器が使用される特定の用途のために求められる破砕耐性を提供することができる他の適切な樹脂材料であってもよい。例示的な圧力容器の形成に関する詳細は、「フィラメント巻回方法及び装置」と題する米国特許第4,838,971号に開示されており、当該特許は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
エラストマ系又は他の非金属の弾性ライナ又は弾性ブラダは、容器を密封して、内部の流体が複合材料に接触するのを防止するために、複合材料シェルの内部に配置されることが多い。ライナは、圧縮成形、ブロー成形、射出成形、又は他の一般に知られている手法により製造してもよい。あるいは、ライナは、鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、プラチナ、金、銀、ステンレス鋼、及びそれらの任意の合金を含む、他の材料で作られてもよい。これらの材料は、一般的に高い弾性率を有していると特徴づけることができる。一実施形態において、ライナは、ブロー成形された高密度ポリエチレン(HDPE)で形成されている。
【0004】
容器の複合構造は、例えば軽量性及び耐腐食性、耐疲労性、耐突発故障性など多くの利点を提供する。これらの属性は、少なくとも部分的には強化繊維又は強化フィラメントの高い比強度によるものである。このような複合容器は、例えば、水素、酸素、天然ガス、窒素、メタン、プロパン、及びロケット燃料又はその他の燃料など、加圧された種々の流体を収容するために広く用いられる。一般に、圧力容器は、どのような大きさ又は形状であってもよい。容器は、例えば、重い又は軽い、単回使用(つまり、使い捨て用)、再使用可能、高圧にさらされる(例えば、50psi超)、低圧にさらされる(例えば、50psi未満)、又は高温又は低温で流体を貯蔵するために使用されることなどが可能である。圧力容器に関する説明は、参照により本明細書に組み込まれる「損傷軽減システムを備えた圧力容器」と題する米国特許第5,476,189号に提示されている。
【0005】
上記の特徴を有する複合圧力容器は、本来は、航空機及び航空宇宙での適用のために開発されたものであるが、それは、主としてそのような機体には厳しい重量制限があるためである。しかし、加圧天然ガス(CNG)がバス及び自動車等の地上車両においてより広く使用されるようになるに従って、複合圧力容器がより広く使用されるようになった。圧力容器の構造上の要件は、強度及び充填の効率の両方の観点から、丸みを帯びた端部を有する略円筒状の形状が非常に望ましい形状要素だということである。しかし、丸みを帯びた形状のため、このような圧力容器を車両に固定することが難しくなり得る。
【0006】
加圧ガスシリンダのネック部は、鍔部又は類似の手段による装着に適した構造上の凸部を提供する。幾つかの周知の設計は、ガスシリンダを固定するためにこの特徴を利用して
いる。しかし、このような設計は多くの欠点を有する。ある設計では、位置ずれへの対処が不十分であるため、位置ずれが生じた場合、ネック構造に大きな応力が加わり得る。他の設計では、ネック部の固定が不十分であるため、特定の条件下でシリンダが取付具から外れ得るという危険性がある。また、場合によっては、シリンダがシリンダの主軸を中心として回転することにより、接続ライン又は他の装着された機器に応力が加わる可能性がある。さらに、多くの設計は、流体封入シリンダの本体用の限られた領域内で利用可能な容積を結果的に減少させる空間的要求を有する。
[概要]
一つの局面において、取付具は、圧力容器のネック部に装着されるように構成され、圧力容器は、直径を有する略円筒状の本体を備える。取付具は、中央プレートと、第1フランジと、第2フランジと、第1振動絶縁装置と、第2振動絶縁装置と、リテーナとを備える。中央プレートは、直径と略等しいかそれより小さい高さと、直径と略等しいかそれより小さい幅と、貫通する開口部とを有する。第1フランジは、中央プレートの第1側に位置し、第1フランジは、中央プレートと略垂直に向けられ、また本体に向かって延出するように構成される。第2フランジは、第1側とは反対の中央プレートの第2側に位置し、第2フランジは、中央プレートと略垂直に、かつ第1フランジと略平行に向けられ、第2フランジは本体に向かって延出するように構成される。第1振動絶縁装置は、第1フランジに装着されるように構成される。第2振動絶縁装置は、第2フランジに装着されるように構成される。リテーナは、開口部に近接して装着されるように構成され、また圧力容器のネック部の一部を受容するように構成される。
【0007】
別の局面において、圧力容器と取付具のアセンブリが説明される。圧力容器は、直径及び長さを有する略円筒状の本体と、ネック部とを備える。取付具は、中央プレートと、第1フランジと、第2フランジとを備える。中央プレートは、圧力容器のネック部の一部を受容するように構成された、貫通する開口部を有する。第1フランジは、中央プレートの第1側に位置し、本体に向かって延出する。第2フランジは、第1側とは反対の中央プレートの第2側に位置し、本体に向かって延出する。アセンブリは、長さと、直径と等しい幅と、直径と等しい高さとにより定められる直方体のスペースを超えないスペースを占める。
【0008】
本開示は、装置の態様又は方法の態様における種々の組み合わせにおいて、以下の項目のリストにより特徴付けられてもよい。
1. 圧力容器のネック部に装着されるように構成された取付具であって、前記圧力容器は直径を有する略円筒状の本体を備え、前記取付具は、
前記直径と略等しいかそれより小さい高さを有する中央プレートであって、前記中央プレートは前記直径と略等しいかそれより小さい幅を有し、前記中央プレートは貫通する開口部を有する、中央プレートと、
前記中央プレートの第1側に位置する第1フランジであって、前記第1フランジは前記中央プレートと略垂直に向けられ、前記本体に向かって延出するように構成された、第1フランジと、
前記第1側とは反対の前記中央プレートの第2側に位置する第2フランジであって、前記第2フランジは前記中央プレートと略垂直に、かつ第1フランジと略平行に向けられ、前記第2フランジは前記本体に向かって延出するように構成された、第2フランジと、
前記第1フランジに装着されるように構成された第1振動絶縁装置と、
前記第2フランジに装着されるように構成された第2振動絶縁装置と、
前記開口部に近接して装着されるように構成され、前記圧力容器の前記ネック部の一部を受容するように構成されたリテーナと、を備える取付具。
2. 前記中央プレートは、前記第1フランジ及び前記第2フランジのうちの少なくとも1つに隣接する切欠部を備える、項目1に記載の取付具。
3. 前記切欠部は前記開口部に隣接しない、項目2に記載の取付具。
4. 前記中央プレートは略平面状である、項目1から3のいずれか1項に記載の取付具。
5. 前記第1フランジは貫通する第2開口部を備える、項目1から4のいずれか1項に記載の取付具。
6. 前記第1振動絶縁装置は、前記第2開口部において前記第1フランジに接続される、項目5に記載の取付具。
7. 前記第1振動絶縁装置は、前記第2開口部と一致する第3開口部を備える、項目6に記載の取付具。
8. 前記リテーナは環状である、項目1から7のいずれか1項に記載の取付具。
9. 前記リテーナは、前記ネック部と協働するように構成されたスナップ機構を備える、項目1から8のいずれか1項に記載の取付具。
10. 圧力容器と取付具のアセンブリであって、前記アセンブリは、
前記圧力容器であって、
直径及び長さを有する略円筒状の本体と、
ネック部と、を備える圧力容器と、
前記取付具であって、
前記圧力容器の前記ネック部の一部を受容するように構成された貫通する開口部を有する、中央プレートと、
前記中央プレートの第1側に位置し、前記本体に向かって延出する第1フランジと、
前記第1側とは反対の前記中央プレートの第2側に位置し、前記本体に向かって延出する第2フランジと、を備える取付具と、を備え、
前記アセンブリは、前記長さと、前記直径と等しい幅と、前記直径と等しい高さとにより定められる直方体のスペースを超えないスペースを占める、圧力容器と取付具のアセンブリ。
11. 前記第1フランジに配置された第1振動絶縁装置と、
前記第2フランジに配置された第2振動絶縁装置とを更に備える、項目10に記載のアセンブリ。
12. 前記開口部に近接して配置され、前記アセンブリにおいて前記圧力容器及び取付具を一緒に保持するように構成されたリテーナを更に備える、項目10から11のいずれか1項に記載のアセンブリ。
13. 前記リテーナは環状である、項目12に記載のアセンブリ。
14. 前記リテーナは、前記ネック部と協働するように構成されたスナップ機構を備える、項目13に記載のアセンブリ。
15. 前記中央プレートは、前記第1フランジ及び前記第2フランジのうちの少なくとも1つに隣接する切欠部を備える、項目10から14のいずれか1項に記載のアセンブリ。
16. 前記切欠部は前記開口部に隣接しない、項目15に記載のアセンブリ。
17. 前記中央プレートは略平面状である、項目10から16のいずれか1項に記載のアセンブリ。
18. 前記第1フランジは貫通する第2開口部を備える、項目10から17のいずれか1項に記載のアセンブリ。
19. 前記第2開口部において前記第1フランジに接続された振動絶縁装置を更に備える、請求項18に記載のアセンブリ。
20. 前記振動絶縁装置は、第2開口部と一致する第3開口部を備える、項目19に記載のアセンブリ。
【0009】
本概要は、「詳細な説明」において以下で更に説明される概念を、簡略化された形で紹介するために提供されている。本概要は、開示又は特許請求された主題の重要な特徴又は必須の特徴を特定することを意図するものではなく、それぞれの開示された実施形態、又は開示又は特許請求された主題の全ての実施形態を説明することを意図するものでもない
。さらに、本概要は、特許請求された主題の範囲を決定するための補助として用いることも意図していない。他にも多くの新規の利点、特徴、及び関係性が、この説明が進むにつれて明らかになるであろう。後に続く図及び説明は、実施形態をより詳細に例示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の主題は添付の図を参照して更に説明されるが、複数の図を通して、同様の構成又は同様のシステム要素は同様の参照番号により示されている。
【
図1】薄型シリンダ取付具の実施形態が装着された、圧力容器の部分斜視図である。
【
図2】
図1の圧力容器及び取付具を分解した構成の部分斜視図である。
【
図3】
図1の圧力容器と取付具のアセンブリの端面図である。
【
図3A】圧力容器と取付具のアセンブリの部分上面図である。
【
図3B】圧力容器と取付具のアセンブリの部分側面図である。
【0011】
上記の図は、開示された主題の1つ又は複数の実施形態を説明しているが、本開示において言及されているように、他の実施形態も考慮されている。いかなる場合も、本開示は、開示された主題を代表として提示するものであって、限定として提示するものではない。当業者であれば、本開示の原理の範囲内にある多くの他の変更及び実施形態に想到し得るものと解すべきである。
【0012】
図は、必ずしも正確な縮尺で描かれない。具体的には、明確化のため、ある特徴を他の特徴に対して拡大する場合もある。さらに、上方、下方、上、下、上部、下部、側方、右、左等の用語が用いられる場合、それらの用語は説明の理解を容易にするためにのみ用いられていると解されるべきである。構成は、異なるように向けられてもよいと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[詳細な説明]
Eihusenらによる「流体封入シリンダを取り付けるための方法及び装置」と題する米国特許第6,986,490号は、参照により本明細書に完全に組み込まれ、圧力容器の軸方向及び回転方向の移動に対抗する確実な固定を提供する、従来技術の容器固定方法及び装置を開示する。当該容器固定方法及び装置は、一方で、圧力容器取付構造が、圧力容器のネック部を過度に締め付けることなく、ある程度の位置ずれを許容することを可能にする。しかし圧力容器は、車両内部などのスペースが限られた場所にしばしば取り付けられる。そのような場所において、延出するネック部306、フレーム302、ベアリング310及び固定カラー320は貴重なスペースを必要とする。
【0014】
略円筒形状を有し、ドーム状の両端部を備える圧力容器は、流体の高圧封入に非常に適している。しかし、体積の利用の観点からは、この形状が最も効率的なわけではない。というのは、標準的な取付方法は、一般に、圧力容器の外周(例えば、シリンダ本体の周囲にストラップを用いる場合など)又はシリンダの両端(例えば、取付構造体が容器ボスに装着され、容器ボスの長さから延在するボス取付法を用いる場合など)で、スペースを消費するためである。圧力容器は一般に略矩形状には形成されないため、ドーム状の両端部が、シリンダの半球状の両端部に隣接する未使用のスペースを残す。
【0015】
現コンセプトは、この未使用のスペースの範囲内に実質上留められる取付構造体を使用する。本開示のブラケットは、市販の振動絶縁装置を用いて車両構造体に取り付けられる。これらの振動絶縁装置は、圧力容器を車両の振動から保護し、かつ圧力下でのシリンダの軸方向の伸びを吸収する。本取付ブラケットは、増大した軸方向運動を吸収するため、
さらにばね鋼で形成されてもよい。説明される実施形態において、ブラケットは、スナップイン保持リングを用いてボスの外周に装着される。しかし、例えば、ねじ付きナット及びフランジボルトなどの他の装着機構も用いることができる。さらに、例えば、キー付きボスとブラケットのアセンブリ、アセンブリ後に杭固定されるインターフェイス、圧縮式回転防止ワッシャ、ボルト-フランジ型、又は対応するドリル杭とボルト穴のアセンブリなどの回転防止機構を加えてもよい。
【0016】
本願の図は、円筒状圧力容器に組み付けるよう構成された薄型シリンダ取付具の実施形態を説明している。実施形態において、取付具と圧力容器のアセンブリは、長手軸12に沿った圧力容器10の両端部間に画定される長さを有する直方体のスペース又は体積を超えないスペース又は体積を占める。直方体の共通の幅及び高さは、円筒状の圧力容器10の直径により定められる。
図1~
図3Bに示すように、実施形態における取付具14は、ブラケット16と、振動絶縁装置18と、圧力容器10のネック部22(例えば、ボスのネック部など)に装着するように構成されたリテーナ20とを備える。
【0017】
図1及び
図2に示すように、取付具14のブラケット16は、圧力容器10のネック部22の少なくとも一部分をブラケット16の開口部24に通すことにより、圧力容器10に装着される。これにより、
図1に示されるブラケット16と圧力容器10のアセンブリ構造がもたらされる。その後、ブラケット16をネック部22に装着するため、リテーナ20がネック部22上に配置される。実施形態において、リテーナ20は、環状の形状とネック部22及び/又は開口部24上の相補的構造と協働するように構成されたスナップ機構とを有する、弾性を有する高分子保持リングの形で設けられている。
【0018】
実施形態において、ブラケット16の中央開口部24は、長手軸12に略直交するように向けられた、略平面状のプレート26に設けられている。複数のフランジ28は、プレート26から略直角に、圧力容器10の本体に向かう方向に延出している。上部フランジは、符号28aで参照することができ、下部フランジは符号28bで参照することができる。実施形態において、フランジ28は、複数の振動絶縁装置18を取り付けるように構成された複数の装着機構30を備える。実施形態において、各装着機構30は、各振動絶縁装置18とスナップフィット嵌合するように構成された開口部である。図示実施形態において、ブラケット16は、プレート26及びフランジ28の一部から材料を取り除いた切欠部32を備える。これにより、ブラケット16の材料及び重量を低減させることができる。このような切欠部は、図示された以外の形状及び配置であってもよいことが考えられる。しかし、ブラケット16の強度とブラケット16を形成するために用いられる材料の構成及び量との間に、トレードオフが存在するであろうことが認識される。
【0019】
実施形態において、各振動絶縁装置18は、挿入軸36に沿ってフランジ28上の装着機構30と同位置にある開口部34を備える。したがって、圧力容器10と取付具14とが完全に接続されたアセンブリ38は、装着機構30を介して、例えば車両フレームなどの他の構造体に接続することができる。例えば、ボルト又は他の締め具を開口部30、34に挿通して、取付具14及びそれにより圧力容器10をフランジ28において他の構造体に装着することができる。図示されるように、アセンブリ38は、圧力容器10の長さと、幅及び高さ(例えば、直径D)により定められる直方体Rのスペースのみを占める。したがって、取付具14は、限られたスペースで圧力容器10を他の構造体に装着する薄型の手段を提供する。
【0020】
実施形態において、各振動絶縁装置18は、例えばゴム又はポリマなどの、弾性を有する圧縮可能な材料で形成される。実施形態において、振動絶縁装置18は、フランジ28が装着された車両の振動を吸収し、それにより当該振動を減衰させて圧力容器10を振動から絶縁する。さらに、その圧縮可能な性質のため、振動絶縁装置18は、長手軸12に
沿った圧力容器10の軸方向のある程度の伸び及び/又は変位、及び、長手軸12を中心とした僅かな回転変位を吸収することができる。
【0021】
実施形態において、ブラケット16は、例えば鋼又はアルミニウム等の、耐久性のある強固な金属材料で形成されている。取付具14が特に長い圧力容器10とともに使用されることが考えられる場合、ブラケット16は、ばね鋼で形成することにより、取付具がフランジ28の装着機構30において装着される構造体に対する圧力容器10の変位を、更に撓んで吸収するようにしてもよい。
【0022】
スナップイン保持リング20は、圧力容器10のネック部22にブラケット16を保持するためのものとして開示されているが、この装着を実現するために他の構成も使用可能であることが考えられる。他の適したリテーナは、例えば、ねじ付きナット、ネック部22の少なくとも一部分を通過する固定用フランジ、又は例えば締結ボルトを用いてネック部22の周りに締結し得る分割ブラケットを含む。
【0023】
図示実施形態において、圧力容器10の長手軸12を中心とするブラケット16の回転を防止するための回転防止機構は、明示されていない。しかし、こうした回転防止機構が所望される場合、適した構成は、例えば、ネック部22及びブラケット16の開口部24の非円形のキー付き構成、アセンブリ38用の杭固定機構又はロック機構、圧縮式回転防止ワッシャの使用、又はキー付きボルトの使用を含む。
【0024】
開示される取付具14の非限定的な例は、圧力容器10のネック部22に装着するように構成され、圧力容器10は直径Dを有する略円筒状の本体を備える。取付具14は、ブラケット16と、振動絶縁装置18と、リテーナ20とを備える。実施形態において、ブラケット16は、直径Dと略等しいかそれより小さい高さHを有する中央プレート26で構成され、中央プレート26は直径Dと略等しいかそれより小さい幅Wを有し、中央プレート26は貫通する開口部24を有する。第1フランジ28aは中央プレート26の第1側に位置し、第1フランジ28aは中央プレート26と略垂直に向けられ、圧力容器10の本体に向かって延出している。第2フランジ28bは、第1側とは反対の中央プレート26の第2側に位置し、第2フランジ28bは中央プレート26と略垂直に、かつ第1フランジ28aと略平行に向けられ、第2フランジは圧力容器10の本体に向かって延出している。第1振動絶縁装置18は第1フランジ28a上に配置されている。第2振動絶縁装置18は第2フランジ28b上に配置されている。リテーナ20は、開口部24に近接して配置されており、圧力容器10のネック部22の少なくとも一部を受容するように構成されている。
【0025】
実施形態において、中央プレート26は、第1及び第2フランジ28のうち少なくとも1つに隣接する切欠部32を備える。実施形態において、切欠部32は開口部24に隣接していない。実施形態において、中央プレート26は略平面状である。実施形態において、切欠部32は、結果として中央プレート26上に脚部40を提供する。各脚部40はフランジ28を支持する。ある実施形態においては、中央プレート26の材質及び厚さに応じて、圧力容器10と、取付具14が装着される構造体との間における僅かな動きを許容するために、各脚部40が独立して屈曲してもよい。
【0026】
実施形態において、第1フランジ28aは、貫通する第2開口部30を有する。実施形態において、第1振動絶縁装置18は、第2開口部30において第1フランジ28aに接続される。実施形態において、第1振動絶縁装置18は、第2開口部30と一致する第3開口部34を備える。実施形態において、リテーナ20は環状である。実施形態において、リテーナ20は、ネック部22と協働するように構成されたスナップ機構を備える。
【0027】
開示されるアセンブリ38の非限定的な例は、圧力容器10と取付具14とを備える。圧力容器10は、直径D及び長さLを有する略円筒状の本体を備える。圧力容器10はまた、ネック部22を備える。取付具14は中央プレート26を備える。中央プレート26は、貫通する開口部24を備える。開口部24は、圧力容器10のネック部22の一部を受容するように構成される。取付具14はまた第1フランジ28aを備える。第1フランジ28aは、中央プレート26の第1側に位置し、本体に向かって延出する。取付具14はまた第2フランジ28bを備える。第2フランジ28bは、第1側とは反対の中央プレート26の第2側に位置し、本体に向かって延出する。アセンブリ38は、長さL、直径Dと等しい幅、及び直径Dと等しい高さにより定められる直方体のスペースRを超えないスペースを占める。
【0028】
実施形態において、アセンブリ38は、第1フランジ28a上に配置された第1振動絶縁装置18と、第2フランジ28b上に配置された第2振動絶縁装置18とを更に備える。実施形態において、アセンブリ38は、開口部24に近接して配置されるリテーナ20を更に備える。リテーナ20は、アセンブリ38内において圧力容器10と取付具14とを一緒に保持するように構成される。
【0029】
本開示の一態様によれば、取付具は、高さ及び幅を有する本体を備える圧力容器のネック部に装着されるように構成される。取付具は、中央プレートと、第1及び第2フランジを備える。中央プレートは高さ及び幅を有し、いずれも圧力容器の本体の高さ及び幅と略等しいかそれより小さく、また、中央プレートは開口部を有する。第1及び第2フランジは、中央プレートの反対側の第1側と第2側にそれぞれ位置し、中央プレートと略垂直に向けられ、本体に向かって延出するように構成される。中央プレートは、第1フランジ及び第2フランジのうちの少なくとも1つに隣接する切欠部を備える。
本開示の主題が幾つかの実施形態を参照して説明されたが、本開示の範囲を逸脱することなく態様及び詳細において変更を行い得ることは、当業者であれば理解するであろう。さらに、1つの実施形態に関連して開示されたいかなる特徴も他の実施形態に組み込むことができ、その逆もまた然りである。