IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジーイー−ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシーの特許一覧

特許7422211原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具
<>
  • 特許-原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具 図1
  • 特許-原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具 図2
  • 特許-原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具 図3
  • 特許-原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具 図4
  • 特許-原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具 図5
  • 特許-原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具 図6
  • 特許-原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具 図7
  • 特許-原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具 図8
  • 特許-原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具 図9
  • 特許-原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具 図10
  • 特許-原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具 図11
  • 特許-原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/02 20060101AFI20240118BHJP
   G21F 9/28 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G21C19/02 090
G21F9/28 522C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022209356
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2018159961の分割
【原出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2023024786
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】15/696,595
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・マーティン・ウェルシュ
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-289800(JP,A)
【文献】特開2003-194983(JP,A)
【文献】特開2003-270379(JP,A)
【文献】特開2004-219355(JP,A)
【文献】特開2006-292628(JP,A)
【文献】特開2012-202880(JP,A)
【文献】米国特許第05418824(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0085301(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/02
G21F 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具であって、
前面および背面を備えたスプレーヘッドであって、前記前面は前方開口を画定するとともに、前記背面は後方開口を画定するスプレーヘッドと、
前記前方開口および前記後方開口のそれぞれに係合される取り外し可能なオリフィス構造と、
前記スプレーヘッドの両端面に固着された側板であって、前記付着物の前記取り除いている間、前記ジェットポンプ組立体からのスタンドオフ距離を確立するように前記前面を越えて突出している側板と、を備える清掃器具。
【請求項2】
前記前面は凸面であり、前記背面は対向した凹面である、請求項1に記載の清掃器具。
【請求項3】
前記取り外し可能なオリフィス構造は、前記前方開口および前記後方開口のそれぞれとねじ込み可能に係合される、請求項1に記載の清掃器具。
【請求項4】
前記前面は、約5から75の範囲のある数量の前方開口を定める、請求項1に記載の清掃器具。
【請求項5】
前記背面は、約5から75の範囲のある数量の後方開口を定める、請求項1に記載の清掃器具。
【請求項6】
前記側板は、前記付着物を前記取り除いている間、前記スタンドオフ距離が約0.5インチ以下であるように前記前面を越えて突出する、請求項1に記載の清掃器具。
【請求項7】
前記側板は、3以下のモース硬度を有する材料で形成されている、請求項1に記載の清掃器具。
【請求項8】
前記スプレーヘッドの前記前面が前記側板の間にある、請求項1に記載の清掃器具。
【請求項9】
原子炉のジェットポンプ組立体を清掃するシステムであって、
請求項1に記載の清掃器具と、
前記清掃器具に接続され、前記ジェットポンプ組立体内で前記清掃器具を位置決めするように構成されている屈曲した管状部材と
を備える前記原子炉の前記ジェットポンプ組立体を清掃するシステム。
【請求項10】
原子炉のジェットポンプ組立体を清掃するシステムであって、
請求項1に記載の清掃器具と、
前記清掃器具に接続されたホースと、
前記ジェットポンプ組立体に装備され、前記ジェットポンプ組立体内で前記清掃器具を位置決めするように前記ホースを曲げるように構成されているマニピュレーション器具と
を備える前記原子炉の前記ジェットポンプ組立体を清掃するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原子炉のジェットポンプ組立体を清掃する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、沸騰水型原子炉(BWR)の原子炉圧力容器内の従来のジェットポンプ組立体の破断図である。図1を参照すると、原動力となる流体(原子炉圧力容器の外側の液体冷却材)の駆動流102は、インレットライザ管104に入り、インレットエルボ106まで上方に流れる。駆動流102がノズル108を通じて下方へ放出されるとき、吸引流体(原子炉圧力容器の内側の液体冷却材)の同伴流110が、インレットミキサ114のスロートセクション112に引き込まれ、駆動流102と混合される。混合流は、ディフューザ116まで下方へ進み続け、そこで、混合流の運動エネルギーは、圧力に変換される。
【0003】
沸騰水型原子炉が保守のために運転停止されるとき、ジェットポンプ組立体は、駆動流102および同伴流110の液体をまだ収容している。結果として、ジェットポンプ組立体の清掃は、典型的には、清掃のために所望の表面に十分アクセスすることを可能にするためにジェットポンプ組立体の分解を伴う。ジェットポンプ組立体を分解することなくジェットポンプ組立体を清掃するための努力がなされているが、ジェットポンプ組立体を十分に清掃する能力は、そのような状況において課題のままである。
【発明の概要】
【0004】
原子炉のジェットポンプ組立体を清掃する方法は、ジェットポンプ組立体の中に清掃器具を挿入するステップであって、清掃器具の前面がジェットポンプ組立体の内面に隣接するとともにジェットポンプ組立体内の第1の液体の高さより下になるように清掃器具を挿入するステップを含むことができる。この方法は、清掃器具の前面に複数のフロントオリフィスからの第2の液体からなる複数のフロントジェットを向けるステップであって、第2の液体の複数のフロントジェットが、第1の液体を通じて移動するとともにジェットポンプ組立体の内面に突き当たるように複数のフロントジェットを向けるステップをさらに含むことができる。上記方法は、ジェットポンプ組立体の清掃の最中に清掃器具の前面とジェットポンプ組立体の内面との間のスタンドオフ距離を維持するステップをさらに含むことができる。
【0005】
清掃器具を挿入するステップは、清掃器具を屈曲した管状部材に接続するステップと、屈曲した管状部材を介して清掃器具をジェットポンプ組立体の副インレット開口の中に下げるステップとを含んでもよい。
【0006】
清掃器具を挿入するステップは、清掃器具をホースに接続するステップと、ジェットポンプ組立体のインレットミキサのリムにマニピュレーション器具を装備するステップと、マニピュレーション器具を介してホースを曲げたりジェットポンプ組立体の副インレット開口の中に清掃器具を下げたりするステップとを含むこともできる。
【0007】
複数のフロントジェットを向けるステップは、第2の液体をジェットポンプ組立体のインレットミキサのスロートセクションに仕向けることを含んでもよい。
【0008】
複数のフロントジェットを向けるステップは、少なくとも20,000ポンド毎平方インチの圧力で実行されることもできる。
【0009】
スタンドオフ距離を維持するステップは、清掃器具の前面をジェットポンプ組立体の内面に向けさせる反力を発生させる複数のリアジェットの形態で、清掃器具の背面にある複数のリアオリフィスからの第2の液体を駆動するステップを含んでもよい。
【0010】
複数のリアオリフィスからの第2の液体の駆動するステップは、清掃器具の前面がジェットポンプ組立体の内面から離間している一方で、清掃器具の側板がジェットポンプ組立体の内面に接触するように実行されてもよい。
【0011】
向けるステップおよび第2の液体を駆動するステップは、複数のフロントジェットと複数のリアジェットの比が約1:1から1:2までの範囲であるように実行されてもよい。
【0012】
挿入するステップおよび向けるステップは、ジェットポンプ組立体を分解することなく実行されてもよい。
【0013】
原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具は、前面および背面を備えたスプレーヘッドを備えることができる。前面は前方開口を画定するとともに、背面は後方開口を画定する。清掃器具は、前方開口および後方開口のそれぞれに係合される取り外し可能なオリフィス構造をさらに備えてもよい。清掃器具は、スプレーヘッドの両端面に固着された側板をさらに備えてもよい。側板は、付着物の取り除いている間、ジェットポンプ組立体からのスタンドオフ距離を確立するように前面を越えて突出している。
【0014】
前面は凸面であってもよく、背面は対向した凹面であってもよい。
【0015】
取り外し可能なオリフィス構造は、前方開口および後方開口のそれぞれとねじ込み可能に係合されてもよい。
【0016】
前面は、約5から75の範囲のある数量の前方開口を定めることができる。
【0017】
背面は、約5から75の範囲のある数量の後方開口を定めることができる。
【0018】
側板は、付着物の取り除いている間、スタンドオフ距離が約0.5インチ以下であるように前面を越えて突出してもよい。
【0019】
側板は、3以下のモース硬度を有する材料で形成されていてもよい。
【0020】
原子炉のジェットポンプ組立体を清掃するシステムは、清掃器具と、清掃器具に接続された屈曲した管状部材とを備えることができる。屈曲した管状部材は、ジェットポンプ組立体内で清掃器具を位置決めするように構成されている。
【0021】
原子炉のジェットポンプ組立体を清掃するシステムは、清掃器具と、清掃器具に接続されたホースと、ジェットポンプ組立体に装備し、ジェットポンプ組立体内で清掃器具を位置決めするようにホースを曲げるように構成されているマニピュレーション器具とを備えることもできる。
【0022】
本明細書中の非限定の実施形態の様々な特徴および利点は、添付図面と併せて詳細な説明を検討すると、より明らかになり得る。添付図面は、例示のために与えられるものにす
ぎず、特許請求の範囲を限定すると解釈されるべきではない。明示的に示されていない限り、添付図面は、原寸に比例して描かれているとみなされるべきではない。明確にするために、図面の様々な寸法は、誇張されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】沸騰水型原子炉(BWR)用の原子炉圧力容器内の従来のジェットポンプ組立体の破断図である。
図2】例示的な一実施形態によるジェットポンプ組立体用の清掃器具を含むシステムの斜視図である。
図3】清例示的な一実施形態によるジェットポンプ組立体用の掃器具のスプレーヘッドの正面図である。
図4】清例示的な一実施形態によるジェットポンプ組立体用の掃器具のスプレーヘッドの平面図である。
図5】清例示的な一実施形態によるジェットポンプ組立体用の掃器具のスプレーヘッドの背面図である。
図6】例示的な一実施形態による清掃する方法の最中のジェットポンプ組立体の透視図である。
図7】例示的な一実施形態による清掃する方法の最中のジェットポンプ組立体の別の透視図である。
図8】例示的な一実施形態による清掃する方法に使用されるマニピュレーション器具を含むシステムの斜視図である。
図9】例示的な一実施形態による清掃する方法に使用されるマニピュレーション器具を含むシステムの別の斜視図である。
図10】例示的な一実施形態によるマニピュレーション器具を用いて清掃する方法の最中のジェットポンプ組立体の斜視図である。
図11】例示的な一実施形態によるマニピュレーション器具を用いて清掃する方法の最中のジェットポンプ組立体の別の図である。
図12図12は、例示的な一実施形態による清掃する方法の後のジェットポンプ組立体のモックアップのスロートセクションの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
要素または層が、別の要素または層「の上に」、「に接続される」、「に結合される」、または「を覆う」と呼ばれるとき、要素または層は、他の要素または層の直接上にあっても、要素または層に直接接続されても、要素または層に直接結合されても、または要素または層を直接覆っていていてもよく、あるいは介在する要素または層が存在してもよいことを理解されたい。対照的に、要素が、別の要素または層「の直接上に」、「に直接接続される」、または「に直接結合される」と呼ばれるとき、介在する要素または層は存在しない。同様の参照符号は、明細書全体にわたって同様の要素について言及している。本明細書中で使用されるとき、用語「および/または」は、関連したリストされた項目のうちの1つまたは複数のいずれかおよび全部組み合わせを含む。
【0025】
第1の、第2の、第3のなどの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションを説明するために本明細書中で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきでないことを理解されたい。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、またはセクションを、別の領域、層、またはセクションと区別するために使用されるのにすぎない。したがって、以下に論じられる第1の要素、構成要素、領域、層、またはセクションは、例示の実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、またはセクションと称することができる。
【0026】
空間的に相対的な用語(例えば、「真下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」など)は、図に示されるようなある要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するために、説明を簡単にする目的で本明細書中に使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示した歯向に加えて、使用時または動作時の装置の異なる向きを含むことが意図されることを理解されたい。例えば、図中の装置がひっくり返される場合、他の要素または特徴の「下方」または「真下」として説明された要素は、そのとき他の要素または特徴の「上方」に向けられることになる。したがって、用語「下方」は、上方と下方の両方の向きを含むことができる。あるいは、この装置が、向き付けられ(90度または他の向きに回転され)、それに応じて、本明細書中で使用される空間的に相対的な説明が解釈されてもよい。
【0027】
本明細書中で使用される専門用語は、様々な実施形態を説明するためのものにすぎず、例示の実施形態の限定を意図するものではない。別段に文脈上明確に示されていない限り、本明細書中で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数形も含むことを意図する。用語「含む、備える(include)」、「含んでいる、備えている(including)」、「備える、含む(comprise)」、および/または「備えている、含んでいる(comprising)」は、本明細書中で使用されるとき、記述した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの組み合わせの存在または追加を除外しないことがさらに理解されよう。
【0028】
例示の実施形態は、例示の実施形態の理想化された実施形態(および中間構造)の概略図である断面図を参照して本明細書中で説明される。したがって、例えば、製造技法および/または公差の結果として、図示の形状からの変形が予期されるはずである。したがって、例示の実施形態は、本明細書中で示した領域の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、製造から結果的に得られる形状の変形を含むべきである。
【0029】
特段の定めがない限り、本明細書中で使用される(科学技術用語を含む)全ての用語は、例示の実施形態が属する分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。一般に使用される辞書に定義された用語などの用語は、関連技術の文脈における意味と一致している意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書中で特にそう定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解されよう。
【0030】
図2は、例示的な一実施形態によるジェットポンプ組立体用の清掃器具を含むシステムの斜視図である。図2を参照すると、このシステムは、コネクタ214を介して管状部材220に取り付けられる清掃器具202を含む。管状部材220は、ジェットポンプ組立体を清掃するために流体流を輸送するように構成された内部通路を画定する剛体の筒状構造である。清掃器具202は、コネクタ214を介して管状部材220からの流体流を受け入れるように構成されている内部空間を画定する。コネクタ214は、ねじ式コネクタ、バヨネットコネクタ、または他のタイプの着脱可能なコネクタであり得る。コネクタ214は、スプレーヘッドの上面208にあるものとして示されているが、例示の実施形態はこれに限定されないことを理解されたい。
【0031】
清掃器具202は、スプレーヘッドの前面204に配設された複数のオリフィス構造216を備える。オリフィス構造216は、(清掃中に)前面204から出る流体流を複数の高圧フロントジェットに変えるように構成されている。各オリフィス構造216は、独立したかつ取り外し可能な構成要素であるように設計されている。この点で、オリフィス構造216は、清掃圧力を調整するために必要に応じて変更されてもよい。例えば、オリフィス構造216は、前面204内の雌ねじ付き開口と係合するように構成されている雄
ねじ付き面を有するように構築されてもよい。
【0032】
一対の側板218は、ジェットポンプ組立体の表面の清掃中にこの表面からの適切なスタンドオフ距離を与えるように清掃器具202のスプレーヘッドの両端面に固着される。例えば、側板218は、前面204と清掃される表面との間のスタンドオフ距離が約0.5インチ以下であるように前面204を越えて突出してもよい。側板218は、所望のスタンドオフ距離を比較的容易に得るために異なるサイズのプレートと取り替えられるように設計されている。加えて、前面204は、ジェットポンプ組立体のスロートセクションの曲面に対応するような寸法で作製されている凸面であってもよい。結果として、比較的均一なスタンドオフ距離が、清掃中に与えられ得る。さらに、側板218は、3以下のモース硬度を有する材料(例えば、アルミニウム)で形成されてもよい。そのような例では、(例えば、側板218によるこすりによって)清掃されるジェットポンプ組立体の表面の損傷の発生は、減少させるまたは防止することができる。
【0033】
ジェットポンプ組立体を清掃する方法の最中、管状部材220は、清掃器具202がジェットポンプ組立体の中に導入されるとともに、このジェットポンプ組立体内に位置決めされることを可能にする。この点で、管状部材220は、清掃器具202の操作を容易にするために、第1の角度の付いたセクションと第2の角度の付いたセクションとを備えることができるが、例示の実施形態は、これに限定されない。
【0034】
図3は、例示的な一実施形態によるジェットポンプ組立体用の掃器具のスプレーヘッドの正面図である。図2図3を参照すると、スプレーヘッド200は、その上面208にあるコネクタ214と、その前面204内の複数の前方開口206とを備える。17個の前方開口206が示されているが、異なる数量が設けられてもよい。例えば、前面204は、約5個から75個の範囲のある数量の前方開口206を定めることができる。加えて、直線状に配置されるのではなく、前方開口206は、ジグザグ状に配置されても、複数列で(例えば、アレイで)に配置されても、または別の適切なやり方で配置されてもよい。完全に組み立てられたとき、オリフィス構造216は、各前方開口206内に係合され、側板218は、スプレーヘッド200の両端面の各々に固着され、管状部材220は、コネクタ214を介してスプレーヘッド200に取り付けられる。
【0035】
図4は、例示的な一実施形態によるジェットポンプ組立体用の掃器具のスプレーヘッドの平面図である。図2図4を参照すると、前面204は凸面であり、背面は凹面である。前面204および背面の湾曲は、同じであってもよい。結果として、スプレーヘッド200は、環状構造のセクションに似ていてもよい。さらに、コネクタ214は、スプレーヘッド200の両端面の間の中央にあってもよい。
【0036】
図5は、清例示的な一実施形態によるジェットポンプ組立体用の掃器具のスプレーヘッドの背面図である。図2図5を参照すると、スプレーヘッド200の上面208にあるコネクタ214に加えて、背面210は、複数の後方開口212を備える。5個の後方開口212が示されているが、異なる数量が設けられてもよい。例えば、背面210は、約5個から75個の範囲のある数量の後方開口212を定めることができる。加えて、直線状に配置されるのではなく、後方開口212は、ジグザグ状に配置されても、複数列で(例えば、アレイで)に配置されても、または別の適切なやり方で配置されてもよい。さらに、各後方開口212は、(各前方開口206がオリフィス構造216を受け入れるように構成される仕方に類似するやり方で)オリフィス構造を受け入れるように構成されている。後方開口212内に係合されたオリフィス構造は、(清掃中に)背面210から出る流体流を複数の高圧リアジェットに変えるように構成されている。後方開口212内に係合されるオリフィス構造は、反力を調節するために必要に応じて変更されてもよい。
【0037】
図6は、例示的な一実施形態による清掃する方法の最中のジェットポンプ組立体の透視図である。図2図6を参照すると、清掃器具202は、スロートセクション312を清掃するために、管状部材220を介してジェットポンプ組立体の中に挿入することができる。ジェットポンプ組立体の内面へのアクセスは、ノズル308とスロートセクション312との間のインレット開口310(例えば、副インレット開口)の中に清掃器具202を挿入することによって実現することができる。清掃器具202は、インレット開口310のサイズに応じて様々なサイズに製造することができる。
【0038】
管状部材220は、清掃器具202を操作するプラント作業員によって手動で取り扱われ得る。清掃器具202の向きに関しては、前面204は、ジェットポンプ組立体のスロートセクション312の内面に面するように設計されている。さらに、前面204の外形は、スロートセクション312の内面の湾曲に対応するように構築されている。適切に位置決めされるとき、清掃器具202の側板218は、適切なスタンドオフ距離を与えるようにスロートセクション312の内面に接触する。このようにして、清掃器具202は、管状部材220を介してスロートセクション312の中に下げる(および持ち上げる)ことができる。
【0039】
図7は、例示的な一実施形態による清掃する方法の最中のジェットポンプ組立体の別の透視図である。図2図7を参照すると、清掃器具202は、管状部材220を介してジェットポンプ組立体のインレット開口310の中に挿入されているとともに、スロートセクション312の中に下げられている。この下げられた位置において、清掃器具202は、ジェットポンプ組立体内の第1の液体の高さよりも下に沈めることができる。
【0040】
清掃中、管状部材220を通じての第2の液体の流れは、第1の液体を通じて移動するとともにスロートセクション312の内面に突き当たるフロントジェットの形態で、清掃器具202の前面204内のオリフィス構造216から吐出される。さらに、第2の液体は、前面204をスロートセクション312の内面に向けさせる反力を発生させるリアジェットの形態で、清掃器具202の背面210内のオリフィス構造からも吐出される。したがって、清掃器具202の側板218は、スロートセクション312の内面に押し付けられる。清掃器具202の側板218は、清掃中に前面204とスロートセクション312の内面との間の適切なスタンドオフ距離が維持されることを可能にする。
【0041】
少なくとも20,000ポンド毎平方インチの圧力が、清掃器具202の前面204からの複数のフロントジェットおよび/または背面210からの複数のリアジェットを発生させるために使用され得る。要求される圧力は、ポンプシステムによって供給することができる。複数のフロントジェットと複数のリアジェットの比は、約1:1から1:2までの範囲とすることができる。例示的な一実施形態によれば、清掃する方法は、ジェットポンプ組立体を分解することなく実行することができ、それによって時間および費用を節約する。
【0042】
図8は、例示的な一実施形態による清掃する方法に使用されるマニピュレーション器具を含むシステムの斜視図である。図8を参照すると、清掃器具402は、ジェットポンプ組立体を清掃するシステムの一部としてホース420に接続される。ホース420は、ジェットポンプ組立体を清掃するために流体流を輸送するように構成された内部通路を画定する。清掃器具402は、ホース420からの流体流を受け入れるように構成されている内部空間を画定する。サイズおよび形状についてのいくらかの相違は別として、清掃器具402は、清掃器具202に関連して説明されるものであり得る。
【0043】
ホース420は、(例えば、図2の)管状部材220よりも可撓性があり得るが、ホース420は、まだ比較的硬く、手で操りにくい。したがって、ジェットポンプ組立体の内外で清掃器具402を操作するために、マニピュレーション器具が、ホース420を曲げたり移動させたりするために使用され得る。マニピュレーション器具は、ジェットポンプ組立体の一部に固定されるように構成されている基部404を備える。一対の本体プレート410は基部404に固着され、ローラの構成は、ホース420と相互作用するように本体プレート410間に設けられる。モータ418は、ローラのうちの少なくとも1つを駆動するように構成されている。アーム414も、マニピュレーション器具をジェットポンプ組立体にしっかり押さえ付けるのを助けるために、各本体プレート410に固着される。
【0044】
図9は、例示的な一実施形態による清掃する方法に使用されるマニピュレーション器具を含むシステムの別の斜視図である。図9を参照すると、ホース420と相互作用するように使用されるローラの構成を示すために、マニピュレーション器具の本体プレート410の一方が取り除かれている。ローラの構成は、清掃中にジェットポンプ組立体内で(図示された)持ち上げられた位置から下げられた位置へホース420およびしたがって清掃器具402を案内するように構成されている。
【0045】
図10は、例示的な一実施形態によるマニピュレーション器具を用いて清掃する方法の最中のジェットポンプ組立体の斜視図である。図10を参照すると、マニピュレーション器具は、清掃されることになるジェットポンプ組立体に装備される。装備のために、基部404は、スロートセクション412のリム上へ固定することができる。加えて、アーム414は、(ノズル408およびスロートセクション412に接続されている)支持体416に対してマニピュレーション器具を押さえつけるのに役立ち得る。インレットエルボ406およびノズル408に隣接した本体プレート410の縁部は、マニピュレーション器具を装備するとき、干渉する可能性を減少させるまたは防ぐように外形に合わせて作製され得る。清掃器具402は、マニピュレーション器具が装備または移動されているときに(図示された)持ち上げられた位置にある。清掃中、モータ418は、ローラの構成を駆動してホース420を下方へ移動させ、それによって清掃器具402がインレット開口422からスロートセクション412内の下げられた位置へ降ろすことを可能にする。
【0046】
図11は、例示的な一実施形態によるマニピュレーション器具を用いて清掃する方法の最中のジェットポンプ組立体の別の図である。図11を参照すると、清掃器具402は、スロートセクション412内の第1の液体の高さより下にあり得る下げられた位置にある。清掃中、第2の液体は、ホース420を通じて供給されるとともに、(例えば、付着物を除去するために)スロートセクション412の内面に突き当たるフロントジェットと、適切なスタンドオフ距離を維持するために清掃器具402の側板をスロートセクション412に付勢するリアジェットとの形態で、清掃器具402から吐出される。モータ418は、スロートセクション412のターゲットにされた内面にアクセスしこれを清掃するために、ホース420を繰り出したり引き込んだりするようにローラの構成を駆動するように制御される。ジェットポンプ組立体のターゲットにされたセクションが清掃されると、清掃器具402は、持ち上げられた状態へ戻されてもよく、マニピュレーション器具は、他の清掃される表面にアクセスするためにスロートセクション412のリムの異なる部分に移動し装備することができる。したがって、要求される清掃は、ジェットポンプ組立体を分解することなく実行することができる。
【0047】
図12は、例示的な一実施形態による清掃する方法の後のジェットポンプ組立体のモックアップのスロートセクションの写真である。図12を参照すると、酸化物の付着物をシミュレートするために使用されたコーティングは、本明細書に論じられる清掃する方法を用いて実質的に取り除かれた。
【0048】
本明細書にいくつの例示の実施形態が開示されてきたが、他の変形例も可能であり得ることを理解されたい。そのような変形例は、本開示の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、当業者に明らかであるそのような全ての修正例は、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0049】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
原子炉のジェットポンプ組立体を清掃する方法であって、
前記ジェットポンプ組立体の中に清掃器具(202/402)を挿入するステップであって、前記清掃器具(202/402)の前面(204)が前記ジェットポンプ組立体の内面に隣接するとともに前記ジェットポンプ組立体内の第1の液体の高さより下になるように清掃器具(202/402)を挿入するステップと、
前記清掃器具(202/402)の前記前面(204)に複数のフロントオリフィスからの第2の液体からなる複数のフロントジェットを向けるステップであって、前記第2の液体の前記複数のフロントジェットが、前記第1の液体を通じて移動するとともに前記ジェットポンプ組立体の前記内面に突き当たるように複数のフロントジェットを向けるステップと、
前記ジェットポンプ組立体の前記清掃の最中に前記清掃器具(202/402)の前記前面(204)と前記ジェットポンプ組立体の前記内面との間のスタンドオフ距離を維持するステップと、を含む方法。
[実施態様2]
前記挿入するステップは、前記清掃器具(202)を屈曲した管状部材(220)に接続するステップと、前記屈曲した管状部材(220)を介して前記清掃器具(202)を前記ジェットポンプ組立体の副インレット開口(310)の中に下げるステップとを含む、実施態様1記載の方法。
[実施態様3]
前記挿入するステップは、前記清掃器具(402)をホース(420)に接続するステップと、前記ジェットポンプ組立体のインレットミキサ(114)のリムにマニピュレーション器具を装備するステップと、前記マニピュレーション器具を介して前記ホースを曲げたり前記ジェットポンプ組立体の副インレット開口(422)の中に前記清掃器具(402)を下げたりするステップとを含む、実施態様1記載の方法。
[実施態様4]
前記複数のフロントジェットを前記向けるステップは、前記第2の液体を前記ジェットポンプ組立体のインレットミキサ(114)のスロートセクション(312/412)に仕向けることを含む、実施態様1記載の方法。
[実施態様5]
前記複数のフロントジェットを前記向けるステップは、少なくとも20,000ポンド毎平方インチの圧力で実行される、実施態様1記載の方法。
[実施態様6]
前記スタンドオフ距離を前記維持するステップは、前記清掃器具(202/402)の前記前面(204)を前記ジェットポンプ組立体の前記内面に向けさせる反力を発生させる複数のリアジェットの形態で、前記清掃器具(202/402)の背面(210)にある複数のリアオリフィスからの前記第2の液体を駆動するステップを含む、実施態様1記載の方法。
[実施態様7]
前記複数のリアオリフィスからの前記第2の液体の前記駆動するステップは、前記清掃器具(202/402)の前記前面(204)が前記ジェットポンプ組立体の前記内面から離間している一方で、前記清掃器具(202/402)の側板(218)が前記ジェットポンプ組立体の前記内面に接触するように実行される、実施態様6記載の方法。
[実施態様8]
前記向けるステップおよび前記第2の液体を前記駆動するステップは、前記複数のフロントジェットと前記複数のリアジェットの比が約1:1から1:2までの範囲であるように実行される、実施態様6記載の方法。
[実施態様9]
前記挿入するステップおよび前記向けるステップは、前記ジェットポンプ組立体を分解することなく実行される、実施態様1記載の方法。
[実施態様10]
原子炉のジェットポンプ組立体から付着物を取り除くための清掃器具(202/402)であって、
前面(204)および背面(210)を備えたスプレーヘッド(200)であって、前記前面(204)は前方開口(206)を画定するとともに、前記背面(210)は後方開口(212)を画定するスプレーヘッド(200)と、
前記前方開口(206)および前記後方開口(212)のそれぞれに係合される取り外し可能なオリフィス構造(216)と、
前記スプレーヘッド(200)の両端面に固着された側板(218)であって、前記付着物の前記取り除いている間、前記ジェットポンプ組立体からのスタンドオフ距離を確立するように前記前面(204)を越えて突出している側板とを備える清掃器具。
[実施態様11]
前記前面(204)は凸面であり、前記背面(210)は対向した凹面である、実施態様10記載の清掃器具。
[実施態様12]
前記取り外し可能なオリフィス構造(216)は、前記前方開口(206)および前記後方開口(212)のそれぞれとねじ込み可能に係合される、実施態様10記載の清掃器具。
[実施態様13]
前記前面(204)は、約5から75の範囲のある数量の前方開口(206)を定める、実施態様10記載の清掃器具。
[実施態様14]
前記背面(210)は、約5から75の範囲のある数量の後方開口(212)を定める、実施態様10記載の清掃器具。
[実施態様15]
前記側板(218)は、前記付着物の前記取り除いている間、前記スタンドオフ距離が約0.5インチ以下であるように前記前面(204)を越えて突出する、実施態様10記載の清掃器具。
[実施態様16]
前記側板(218)は、3以下のモース硬度を有する材料で形成されている、実施態様10記載の清掃器具。
[実施態様17]
実施態様10記載の清掃器具(202/402)と、
前記清掃器具(202/402)に接続され、前記ジェットポンプ組立体内で前記清掃器具(202/402)を位置決めするように構成されている屈曲した管状部材(220)と
を備える前記原子炉の前記ジェットポンプ組立体を清掃するシステム。
[実施態様18]
実施態様10記載の前記清掃器具と、
前記清掃器具(202/402)に接続されたホース(420)と、
前記ジェットポンプ組立体に装備され、前記ジェットポンプ組立体内で前記清掃器具(202/402)を位置決めするように前記ホース(420)を曲げるように構成されているマニピュレーション器具と
を備える前記原子炉の前記ジェットポンプ組立体を清掃するシステム。
【符号の説明】
【0050】
102 駆動流
104 インレットライザ管
106 インレットエルボ
108 ノズル
110 同伴流
112 スロートセクション
114 インレットミキサ
116 ディフューザ
200 スプレーヘッド
202 清掃器具
204 前面
206 前方開口
208 上面
210 背面
212 後方開口
214 コネクタ
216 オリフィス構造
218 側板
220 管状部材
308 ノズル
310 インレット開口
312 スロートセクション
402 清掃器具
404 基部
406 インレットエルボ
408 ノズル
410 本体プレート
412 スロートセクション
414 アーム
416 支持体
418 モータ
420 ホース
422 インレット開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12