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特許7422223基板製造システム、自律走行台車および基板製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】基板製造システム、自律走行台車および基板製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022527311
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(86)【国際出願番号】 JP2020020713
(87)【国際公開番号】W WO2021240638
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100172362
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 悠節
(72)【発明者】
【氏名】金子 康弘
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-054075(JP,A)
【文献】国際公開第2020/026931(WO,A1)
【文献】特開2018-050002(JP,A)
【文献】特開2017-216379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する部品実装装置を含む基板作業装置を複数含む実装ラインと、
前記実装ラインの前記基板作業装置において使用される物を搬送する自律走行台車と、
前記自律走行台車に設けられ、前記基板作業装置において使用される物を、前記基板作業装置の内部に搬送するロボットアームと、
前記部品実装装置において部品を供給する複数の部品供給装置を保持する部品供給台車と、を備え、
前記ロボットアームは、前記部品供給台車を前記部品実装装置から取り外したことにより生じる第1の開口を介して、前記基板作業装置において使用される物を、前記基板作業装置の内部に搬送するように構成されている、基板製造システム。
【請求項2】
前記基板作業装置において使用される物は、基板を支持するバックアップピン、部品を吸着するノズル、部品を廃棄する廃棄箱、および、前記基板作業装置の校正に用いる校正治具のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の基板製造システム。
【請求項3】
前記基板作業装置は、内部に通じる第2の開口を有し、
前記ロボットアームは、前記基板作業装置において使用される物を、前記基板作業装置の前記第2の開口を介して、前記基板作業装置の内部に搬送するように構成されている、請求項1または2に記載の基板製造システム。
【請求項4】
前記自律走行台車または前記ロボットアームに設けられ、前記基板作業装置の前記第2の開口の位置を検出するための検出部をさらに備える、請求項に記載の基板製造システム。
【請求項5】
前記基板作業装置の前記第2の開口は、前記基板作業装置の前方から前記基板作業装置の基板を搬送する基板搬送部に向けて前記ロボットアームが挿入されるように設けられている、請求項3または4に記載の基板製造システム。
【請求項6】
前記基板作業装置は、前記自律走行台車を連結して固定する連結部を有し、
前記ロボットアームは、前記自律走行台車が前記基板作業装置の前記連結部に連結した状態で、前記基板作業装置において使用される物を、前記基板作業装置の内部に搬送するように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の基板製造システム。
【請求項7】
前記ロボットアームは、水平方向に沿って伸縮する水平移動部を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の基板製造システム。
【請求項8】
前記ロボットアームは、上下方向に回動する回動軸を有する上下移動部と、前記上下移動部に接続された前記水平移動部と、前記水平移動部に接続され、水平方向に回動する水平回動部と、前記水平回動部に接続され、先端に異なる種類のハンドを着脱可能なハンド保持部と、を含む、請求項7に記載の基板製造システム。
【請求項9】
前記自律走行台車に設けられ、前記基板作業装置において使用される複数種類の物を載置する載置部をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の基板製造システム。
【請求項10】
前記ロボットアームは、前記自律走行台車の走行時において、動かないように前記自律走行台車に対して固定されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の基板製造システム。
【請求項11】
前記ロボットアームを、前記自律走行台車の走行時において、動かないように前記自律走行台車に対して固定する移動規制部材をさらに備える、請求項10に記載の基板製造システム。
【請求項12】
前記ロボットアームは、前記部品供給台車を前記部品実装装置から取り外すとともに、前記部品供給台車を前記部品供給装置から取り外したことにより生じる前記第1の開口を介して、前記基板作業装置において使用される物を、前記基板作業装置の内部に搬送するように構成されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の基板製造システム。
【請求項13】
基板に部品を実装する部品実装装置を含む基板作業装置を複数含む実装ラインの前記基板作業装置において使用される物を搬送する自律走行台車本体と、
前記自律走行台車本体に設けられ、前記基板作業装置において使用される物を、前記基板作業装置の内部に搬送するロボットアームと、を備え、
前記ロボットアームは、前記部品実装装置において部品を供給する複数の部品供給装置を保持する部品供給台車を前記部品実装装置から取り外したことにより生じる開口を介して、前記基板作業装置において使用される物を、前記基板作業装置の内部に搬送するように構成されている、自律走行台車。
【請求項14】
前記基板作業装置において使用される物は、基板を支持するバックアップピン、部品を吸着するノズル、部品を廃棄する廃棄箱、および、前記基板作業装置の校正に用いる校正治具のうち少なくとも1つを含む、請求項13に記載の自律走行台車。
【請求項15】
基板に部品を実装する部品実装装置を含む基板作業装置を複数含む実装ラインにおける基板製造方法であって、
前記実装ラインの前記基板作業装置において使用される物を自律走行台車により搬送し、
前記自律走行台車に設けられたロボットアームにより、前記基板作業装置において使用される物を、前記基板作業装置の内部に搬送し、
前記ロボットアームにより、前記部品実装装置において部品を供給する複数の部品供給装置を保持する部品供給台車を前記部品実装装置から取り外したことにより生じる開口を介して、前記基板作業装置において使用される物を、前記基板作業装置の内部に搬送する、基板製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板製造システム、自律走行台車および基板製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板製造システムが知られている。基板製造システムは、たとえば、特開2017-216379号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2017-216379号公報には、基板に部品を実装する部品実装装置と、部品実装装置において実装する部品を部品実装装置に対して補給する自走部品補給装置とを備える基板製造システムが開示されている。この特開2017-216379号公報の基板製造システムでは、自走部品供給装置は、部品実装装置に配置されてテープに保持された部品を供給するテープフィーダに対して、部品を保持したテープが巻き回されたリールを供給するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-216379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特開2017-216379号公報の基板製造装置では、部品実装装置に配置されたテープフィーダに対して、部品を保持したテープが巻き回されたリールを自走部品供給装置により供給するため、部品実装装置に対して作業者が部品を補給する作業を行う必要がない。しかしながら、部品実装装置および他の基板作業装の内部で用いられる物(たとえば、ノズル、バックアップピンなど)については、作業者が補給する必要があるため、作業者の作業負担を軽減することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、基板作業装置内において使用される物を基板作業装置に対して搬送する際の作業者の作業負担を軽減することが可能な基板製造システム、自律走行台車および基板製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による基板製造システムは、基板に部品を実装する部品実装装置を含む基板作業装置を複数含む実装ラインと、実装ラインの基板作業装置において使用される物を搬送する自律走行台車と、自律走行台車に設けられ、基板作業装置において使用される物を、基板作業装置の内部に搬送するロボットアームと、部品実装装置において部品を供給する複数の部品供給装置を保持する部品供給台車と、を備え、ロボットアームは、部品供給台車を部品実装装置から取り外したことにより生じる第の開口を介して、基板作業装置において使用される物を、基板作業装置の内部に搬送するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による基板製造システムでは、上記のように、基板作業装置において使用される物を、基板作業装置の内部に搬送するロボットアームを設ける。これにより、基板作業装置の内部において使用される物(たとえば、ノズル、バックアップピン、廃棄箱、校正治具など)をロボットアームにより搬送することができるので、作業者が基板作業装置に対して物を搬送する作業を行う必要がない。その結果、基板作業装置内において使用される物を基板作業装置に対して搬送する際の作業者の作業負担を軽減することができる。また、作業者により基板作業装置の内部に物を搬送する場合と異なり、基板作業装置の動作を完全に止める必要がない。これにより、基板作業装置による基板製造の効率(生産性)が低下するのを抑制することができる。また、基板作業装置において必要な場合に、ロボットアームにより物を搬送することができるので、基板作業装置内に使用する物を必要な場合に備えて、基板作業装置内に物を保管するための保管スペースを設ける必要がない。これにより、基板作業装置の小型化を図ることができる。また、自律走行台車およびロボットアームにより物を搬送することができるので、複数の基板作業装置において使用する物を共用することができる。
【0009】
上記第1の局面による基板製造システムにおいて、好ましくは、基板作業装置において使用される物は、基板を支持するバックアップピン、部品を吸着するノズル、部品を廃棄する廃棄箱、および、基板作業装置の校正に用いる校正治具のうち少なくとも1つを含む。このように構成すれば、基板作業装置にバックアップピン、ノズル、廃棄箱、校正治具を搬送する際の作業者の作業負担を軽減することができる。
【0010】
上記第1の局面による基板製造システムにおいて、好ましくは、基板作業装置は、内部に通じる第2の開口を有し、ロボットアームは、基板作業装置において使用される物を、基板作業装置の第2の開口を介して、基板作業装置の内部に搬送するように構成されている。このように構成すれば、ロボットアームを第2の開口を介して基板作業装置の内部に挿入することができるので、ロボットアームにより基板作業装置の内部に物を容易に搬送することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、自律走行台車またはロボットアームに設けられ、基板作業装置の第2の開口の位置を検出するための検出部をさらに備える。このように構成すれば、基板作業装置の第2の開口の位置を精度よく取得することができるので、基板作業装置の開口に対してロボットアームを精度よく挿入することができる。
【0012】
上記基板作業装置が内部に通じる第2の開口を有する構成の基板製造システムにおいて、好ましくは、基板作業装置の第2の開口は、基板作業装置の前方から基板作業装置の基板を搬送する基板搬送部に向けてロボットアームが挿入されるように設けられている。このように構成すれば、基板作業装置の前方に対して自律走行台車を位置させた状態で、ロボットアームを基板作業装置の前方から内部に対して挿入させて作業を行うことができる。
【0013】
上記第1の局面による基板製造システムにおいて、好ましくは、基板作業装置は、自律走行台車を連結して固定する連結部を有し、ロボットアームは、自律走行台車が基板作業装置の連結部に連結した状態で、基板作業装置において使用される物を、基板作業装置の内部に搬送するように構成されている。このように構成すれば、自律走行台車を基板作業装置に連結して位置決めすることができるので、ロボットアームを基板作業装置の内部に安定して挿入することができる。
【0014】
上記第1の局面による基板製造システムにおいて、好ましくは、ロボットアームは、水平方向に沿って伸縮する水平移動部を含む。このように構成すれば、水平移動部を回動することにより伸長する場合と比べて、伸長方向と直交する水平方向において、ロボットアームを回動させるためのスペースを設ける必要がない。これにより、基板作業装置の内部にロボットアームを挿入させるために必要なスペースが大きくなるのを抑制することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、ロボットアームは、上下方向に回動する回動軸を有する上下移動部と、上下移動部に接続された水平移動部と、水平移動部に接続され、水平方向に回動する水平回動部と、水平回動部に接続され、先端に異なる種類のハンドを着脱可能なハンド保持部と、を含む。このように構成すれば、ロボットアームのハンド保持部に保持されたハンドを、上下方向および水平方向に移動および回動させることができる。また、ロボットアームにより搬送する物に適したハンドをハンド保持部に取り付けた状態で物を搬送することができる。
【0016】
上記第1の局面による基板製造システムにおいて、好ましくは、自律走行台車に設けられ、基板作業装置において使用される複数種類の物を載置する載置部をさらに備える。このように構成すれば、自律走行台車により、複数種類の物を搬送して基板作業装置に供給することができる。
【0017】
上記第1の局面による基板製造システムにおいて、好ましくは、ロボットアームは、自律走行台車の走行時において、動かないように自律走行台車に対して固定されている。このように構成すれば、自律走行台車の走行時においてロボットアームが動くのを抑制することができる。
【0018】
この場合、好ましくは、ロボットアームを、自律走行台車の走行時において、動かないように自律走行台車に対して固定する移動規制部材をさらに備える。このように構成すれば、移動規制部材によりロボットアームを自律走行台車に安定して固定することができる。
【0019】
上記第1の局面による基板製造システムにおいて、好ましくは、ロボットアームは、部品供給台車を部品実装装置から取り外すとともに、部品供給台車を部品実装装置から取り外したことにより生じる第1の開口を介して、基板作業装置において使用される物を、基板作業装置の内部に搬送するように構成されている。このように構成すれば、部品供給台車を取り外したことにより生じる第1の開口からロボットアームを部品実装装置の内部に挿入することができるので、専用の開口を設ける必要がない。これにより、既存の部品実装装置に対して、ロボットアームにより物を供給することができる。
【0020】
この発明の第2の局面による自律走行台車は、基板に部品を実装する部品実装装置を含む基板作業装置を複数含む実装ラインの基板作業装置において使用される物を搬送する自律走行台車本体と、自律走行台車本体に設けられ、基板作業装置において使用される物を、基板作業装置の内部に搬送するロボットアームと、を備え、ロボットアームは、部品実装装置において部品を供給する複数の部品供給装置を保持する部品供給台車を部品実装装置から取り外したことにより生じる開口を介して、基板作業装置において使用される物を、基板作業装置の内部に搬送するように構成されている。
【0021】
この発明の第2の局面による自律走行台車では、上記のように、基板作業装置において使用される物を、基板作業装置の内部に搬送するロボットアームを設ける。これにより、基板作業装置の内部において使用される物をロボットアームにより搬送することができるので、作業者が基板作業装置に対して物を搬送する作業を行う必要がない。その結果、基板作業装置内において使用される物を基板作業装置に対して搬送する際の作業者の作業負担を軽減することが可能な自律走行台車を提供することができる。また、作業者により基板作業装置の内部に物を搬送する場合と異なり、基板作業装置の動作を完全に止める必要がない。これにより、基板作業装置による基板製造の効率(生産性)が低下するのを抑制することができる。また、基板作業装置において必要な場合に、ロボットアームにより物を搬送することができるので、基板作業装置内に使用する物を必要な場合に備えて、基板作業装置内に物を保管するための保管スペースを設ける必要がない。これにより、基板作業装置の小型化を図ることができる。また、自律走行台車およびロボットアームにより物を搬送することができるので、複数の基板作業装置において使用する物を共用することができる。
【0022】
上記第2の局面による自律走行台車において、好ましくは、基板作業装置において使用される物は、基板を支持するバックアップピン、部品を吸着するノズル、部品を廃棄する廃棄箱、および、基板作業装置の校正に用いる校正治具のうち少なくとも1つを含む。このように構成すれば、基板作業装置にバックアップピン、ノズル、廃棄箱、校正治具を搬送する際の作業者の作業負担を軽減することができる。
【0023】
この発明の第3の局面による基板製造方法は、基板に部品を実装する部品実装装置を含む基板作業装置を複数含む実装ラインにおける基板製造方法であって、実装ラインの基板作業装置において使用される物を自律走行台車により搬送し、自律走行台車に設けられたロボットアームにより、基板作業装置において使用される物を、基板作業装置の内部に搬送し、ロボットアームにより、部品実装装置において部品を供給する複数の部品供給装置を保持する部品供給台車を部品実装装置から取り外したことにより生じる開口を介して、基板作業装置において使用される物を、基板作業装置の内部に搬送する。
【0024】
この発明の第3の局面による基板製造方法では、上記のように、ロボットアームにより、基板作業装置において使用される物を、基板作業装置の内部に搬送する。これにより、作業者が基板作業装置に対して物を搬送する作業を行う必要がない。その結果、基板作業装置内において使用される物を基板作業装置に対して搬送する際の作業者の作業負担を軽減することが可能な基板製造方法を提供することができる。また、作業者により基板作業装置の内部に物を搬送する場合と異なり、基板作業装置の動作を完全に止める必要がない。これにより、基板作業装置による基板製造の効率(生産性)が低下するのを抑制することができる。また、基板作業装置において必要な場合に、ロボットアームにより物を搬送することができるので、基板作業装置内に使用する物を必要な場合に備えて、基板作業装置内に物を保管するための保管スペースを設ける必要がない。これにより、基板作業装置の小型化を図ることができる。また、自律走行台車およびロボットアームにより物を搬送することができるので、複数の基板作業装置において使用する物を共用することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、上記のように、基板作業装置内において使用される物を基板作業装置に対して搬送する際の作業者の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態による基板製造システムの概略を示したブロック図である。
図2】本発明の実施形態による自律走行台車の概略を示したブロック図である。
図3】本発明の実施形態による自律走行台車を示した斜視図である。
図4】本発明の実施形態による部品実装装置の構成を示した平面図である。
図5】本発明の実施形態による部品実装装置の構成を示した正面図である。
図6】本発明の実施形態によるロボットアームを示した斜視図である。
図7】本発明の実施形態による部品実装装置の搬入口を示した正面図である。
図8】本発明の実施形態によるロボットアームにより搬送するツールを示した平面図である。
図9】本発明の実施形態によるサーバにより管理された自律走行台車の情報の一例を示した図である。
図10】本発明の実施形態によるサーバにより管理された自律走行台車のツールボックスの情報の一例を示した図である。
図11】本発明の実施形態によるサーバにより管理された部品実装装置の生産計画の情報の一例を示した図である。
図12】本発明の実施形態によるサーバにより管理された部品実装装置の位置情報の一例を示した図である。
図13】本発明の実施形態によるロボットアームのハンド保持部を示した斜視図である。
図14】本発明の実施形態によるロボットアームによるノズルストッカの保持を説明するための図である。
図15】本発明の実施形態によるロボットアームによるバックアップピンストッカの保持を説明するための図である。
図16】本発明の実施形態によるロボットアームの移動が規制された状態を示した側面図である。
図17】本発明の実施形態による自律走行台車の部品実装装置への連結を説明するための斜視図である。
図18】本発明の実施形態による自律走行台車の部品実装装置への連結を説明するための平面図である。
図19】本発明の実施形態による部品実装装置の搬入口へのロボットアームの挿入を説明するための側面図である。
図20】本発明の実施形態による部品実装装置の部品供給台車を取り外したことにより生じる開口へのロボットアームの挿入を説明するための側面図である。
図21】本発明の実施形態による部品実装装置の廃棄箱を示した正面図である。
図22】本発明の実施形態による部品実装装置の校正治具の設置を説明するための正面図である。
図23】本発明の実施形態によるツール供給処理を説明するための第1フローチャートである。
図24】本発明の実施形態によるツール供給処理を説明するための第2フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(基板製造システムの構成)
図1を参照して、本発明の実施形態による基板製造システム100の構成について説明する。
【0029】
本実施形態による基板製造システム100は、基板Sに部品Eを実装して、部品Eが実装された基板Sを製造するように構成されている。基板製造システム100は、図1に示すように、実装ライン10と、サーバ20と、複数の自律走行台車30と、を備えている。
【0030】
実装ライン10は、複数設けられている。また、実装ライン10は、ローダ11と、印刷機12と、印刷検査機13と、ディスペンサ装置14と、複数の部品実装装置15と、外観検査装置16と、リフロー装置17と、外観検査装置18と、アンローダ19と、を含んでいる。また、実装ライン10では、製造ラインに沿って上流側(左側)から下流側(右側)に向かって基板Sが搬送されるように構成されている。なお、ローダ11、印刷機12、印刷検査機13、ディスペンサ装置14、部品実装装置15、外観検査装置16、リフロー装置17、外観検査装置18、アンローダ19は、請求の範囲の「基板作業装置」の一例である。
【0031】
(実装ラインの構成)
次に、実装ライン10を構成する各装置の構成について説明する。
【0032】
ローダ11は、部品Eが実装される前の基板S(配線基板)を保持するとともに実装ライン10に基板を搬入する役割を有する。なお、部品は、LSI、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗器などの小片状の電子部品を含む。
【0033】
印刷機12は、スクリーン印刷機であり、クリーム半田を基板の実装面上に塗布する機能を有する。
【0034】
印刷検査機13は、印刷機12により印刷したクリーム半田の状態を検査する機能を有する。
【0035】
ディスペンサ装置14は、基板Sにクリーム半田や接着剤などを塗布する機能を有する。
【0036】
部品実装装置15は、クリーム半田が印刷された基板の所定の実装位置に部品Eを実装(搭載)する機能を有する。また、部品実装装置15は、基板の搬送方向に沿って複数配置されている。
【0037】
外観検査装置16は、複数の部品実装装置15の下流に設けられている。外観検査装置16は、部品実装装置15により部品Eが実装された基板Sの外観を検査する機能を有する。
【0038】
リフロー装置17は、加熱処理を行うことにより半田を溶融させて部品Eを基板Sの電極部に接合する機能を有する。リフロー装置17は、レーン上の基板を搬送しながら、加熱処理を行うように構成されている。
【0039】
外観検査装置18は、リフロー装置17の下流に設けられている。外観検査装置18は、リフロー装置17により加熱処理が行われた後の基板の外観を検査する機能を有する。
【0040】
アンローダ19は、部品Eが実装された後の基板Sを実装ライン10から排出する役割を有する。
【0041】
複数の実装ライン10の間には、作業者や自律走行台車30が通行したり作業を行うための通路が設けられている。
【0042】
サーバ20は、実装ライン10に関する情報を管理する。サーバ20は、実装ライン10により製造される基板の種類、枚数、実装する部品Eの種類、部品Eの在庫量、実装に関するデータを管理する。サーバ20は、実装ライン10の各装置(ローダ11、印刷機12、印刷検査機13、ディスペンサ装置14、部品実装装置15、外観検査装置16、リフロー装置17、外観検査装置18、アンローダ19)と通信可能に構成されている。また、サーバ20は、自律走行台車30と通信可能に構成されている。つまり、サーバ20は、自律走行台車30に対して指令を送信するように構成されている。また、サーバ20は、自律走行台車30から映像などの情報を受信するように構成されている。サーバ20は、CPUなどの制御部、記憶部、通信部を有するコンピュータにより構成されている。
【0043】
(自律走行台車の構成)
図2図3を参照して、本発明の実施形態による自律走行台車30の構成について説明する。
【0044】
自律走行台車30は、自律走行して、実装ライン10の各装置(ローダ11、印刷機12、印刷検査機13、ディスペンサ装置14、複数の部品実装装置15、外観検査装置16、リフロー装置17、外観検査装置18、アンローダ19)において使用される物を搬送するように構成されている。具体的には、自律走行台車30は、部品実装装置15により実装される部品Eを搬送して補給するように構成されている。自律走行台車30は、部品Eを実装するためのノズル62aや、バックアップピン61aなどの実装ライン10における機器で用いられるツール60を搬送する。また、自律走行台車30は、部品実装装置15に装着される部品供給台車153bを牽引して搬送することが可能である。部品供給台車153bには、複数の部品供給装置(テープフィーダ153a)を保持することが可能である。
【0045】
自律走行台車30は、図2に示すように、自律走行台車本体31と、ロボットアーム40とを含んでいる。自律走行台車本体31は、制御部32と、カメラ33と、モータ34と、バッテリ35と、通信部36と、移動規制部37と、を含んでいる。ロボットアーム40は、上下移動部41と、水平移動部42と、水平回動部43と、ハンド保持部44と、を含んでいる。なお、自律走行台車本体31は、請求の範囲の「自律走行台車」の一例である。また、カメラ33は、請求の範囲の「検出部」の一例である。
【0046】
制御部32は、自律走行台車本体31に設けられている。また、制御部32は、自律走行台車30の各部を制御するように構成されている。制御部32は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを含む。制御部32は、モータ34を制御して、自律走行台車本体31の自律走行を制御する。制御部32は、記憶または取得した位置情報に基づいて、自律走行台車本体31を目的地に向かって自走するように制御する。たとえば、制御部32は、床面に配置されたテープに基づいて位置情報を取得する。または、制御部32は、実装ライン10の配置データに基づいて位置情報を取得して記憶している。または、制御部32は、走行領域の特定の位置から受信する信号に基づいて位置情報を取得する。
【0047】
また、制御部32は、ロボットアーム40の駆動を制御するように構成されている。
【0048】
カメラ33は、自律走行台車30の周囲の状態を撮影するように構成されている。また、カメラ33は、自律走行台車本体31およびロボットアーム40の少なくとも一方に設けられている。カメラ33は、物を搬送する先の部品実装装置15の位置、物を搬送する先の部品実装装置15の開口の位置を検出するために用いられる。つまり、カメラ33により、開口の周辺を撮像して、撮像結果に基づいて、制御部32により、開口の位置が検出される。また、カメラ33は、自律走行台車本体31の自律走行に必要な情報を得るために撮影を行う。
【0049】
モータ34は、自律走行台車本体31を自律走行させるための車輪を駆動させる。モータ34は、車輪を駆動させて、自律走行台車本体31を、前進、後進、転回させるように構成されている。
【0050】
バッテリ35は、自律走行台車30の各部に電力を供給するように構成されている。バッテリ35は、充電可能な電池を含んでいる。バッテリ35の電力により、自律走行台車本体31は、自律走行する。また、バッテリ35の電力により、ロボットアーム40が駆動する。バッテリ35の電力が少なくなった場合、自律走行台車本体31は、自律走行して充電ステーションに行きバッテリ35が充電される。
【0051】
移動規制部37は、自律走行台車本体31の走行時において、ロボットアーム40が動かないように自律走行台車本体31に対してロボットアーム40を固定するように構成されている。
【0052】
図3に示すように、自律走行台車30は、部品実装装置15において使用される複数種類の物を載置する載置部50が設けられている。載置部50は、基板Sを支持するバックアップピン61aが複数配置されたバックアップピンストッカ61が載置されるバックアップピン載置部51と、部品Eを吸着するノズル62aが複数配置されたノズルストッカ62が載置されるノズル載置部52と、廃棄箱63内の廃棄物を収容する廃棄物載置部53とを含んでいる。
【0053】
図4および図5に示すように、部品実装装置15は、クリーム半田が印刷された基板Sの所定の実装位置に部品Eを実装(搭載)する機能を有する。部品実装装置15は、基台151と、一対のコンベア152と、部品供給部153と、ヘッドユニット154と、支持部155と、一対のレール部156と、部品認識撮像部157と、制御部158とを備えている。また、部品実装装置15は、図5に示すように、筐体15aと、筐体15aに設けられた搬入口15bとを備えている。
【0054】
一対のコンベア152は、基台151上に設置され、基板SをX方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア152は、搬送中の基板Sを実装作業位置で停止させた状態で保持するように構成されている。また、一対のコンベア152は、基板Sの寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。
【0055】
部品供給部153は、一対のコンベア152の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。また、部品供給部153には、部品供給台車153b(図20参照)に保持された複数のテープフィーダ153aが配置されている。
【0056】
テープフィーダ153aは、複数の部品Eを所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き付けられたリールを保持している。テープフィーダ153aは、リールを回転させて部品Eを保持するテープを送出することにより、テープフィーダ153aの先端から部品Eを供給するように構成されている。
【0057】
ヘッドユニット154は、一対のコンベア152の上方と部品供給部153の上方との間を移動するように設けられている。また、ヘッドユニット154は、ノズルが下端に取り付けられた複数(5つ)の実装ヘッド154aと、基板認識撮像部154bと、を含んでいる。
【0058】
実装ヘッド154aは、基板に対して作業を行うように構成されている。実装ヘッド154aは、基板Sに対して部品Eを実装するように構成されている。具体的には、実装ヘッド154aは、昇降可能(Z方向に移動可能)に構成され、空気圧発生部によりノズル62aの先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ153aから供給される部品Eを吸着して保持し、基板Sにおける実装位置に部品Eを装着(実装)するように構成されている。
【0059】
基板認識撮像部154bは、作業対象の基板Sの位置および姿勢を認識するために、基板SのフィデューシャルマークFを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークFの位置を撮像して認識することにより、基板Sにおける部品Eの実装位置を正確に取得することが可能である。基板認識撮像部154bは、上方(Z1方向側)から基板Sを撮像するように構成されている。また、基板認識撮像部154bは、実装ヘッド154aの可動範囲に、ロボットアーム40により搬入された物を撮像するように構成されている。
【0060】
支持部155は、X軸モータ155aを含んでいる。支持部155は、X軸モータ155aを駆動させることにより、支持部155に沿ってヘッドユニット154をX方向に移動させるように構成されている。支持部155は、両端部が一対のレール部156により支持されている。
【0061】
一対のレール部156は、基台151上に固定されている。X1側のレール部156は、Y軸モータ156aを含んでいる。レール部156は、Y軸モータ156aを駆動させることにより、支持部155を一対のレール部156に沿ってX方向と直交するY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット154が支持部155に沿ってX方向に移動可能であるとともに、支持部155がレール部156に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット154はXY方向に移動可能である。
【0062】
部品認識撮像部157は、基台151の上面上に固定されている。部品認識撮像部157は、一対のコンベア152の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。部品認識撮像部157は、部品Eの実装に先立って部品Eの吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド154aのノズルに吸着された部品Eを下方(Z2方向側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド154aのノズルに吸着された部品Eの吸着状態を取得することが可能である。
【0063】
基台151の上面上には、廃棄箱63が配置されている。廃棄箱63は、ロボットアーム40により搬送可能に基台151上に載置されている。
【0064】
制御部158は、CPUを含んでおり、一対のコンベア152による基板Sの搬送動作、ヘッドユニット154による実装動作、部品認識撮像部157、基板認識撮像部154bによる撮像動作などの部品実装装置15の全体の動作を制御するように構成されている。また、制御部158は、サーバ20と通信可能に構成されている。制御部158は、サーバ20と、生産情報や部品情報などの情報を送受信するように構成されている。
【0065】
筐体15aは、部品実装装置15を覆うように設けられている。搬入口15bは、部品実装装置15の内部に通じる開口を含んでいる。搬入口15bは、ロボットアーム40が挿入されるように構成されている。搬入口15bは、ロボットアーム40が挿入されない場合には、カバー15d(図19参照)により覆われている。また、搬入口15bは、ロボットアーム40が挿入される場合には、カバー15dが移動して開放される。
【0066】
図3に示すように、ロボットアーム40は、自律走行台車本体31に設けられている。また、ロボットアーム40は、部品実装装置15において使用される物を、部品実装装置15に対して搬送するように構成されている。図6に示すように、ロボットアーム40は、上下方向に回動する回動軸を有する上下移動部41と、上下移動部41に接続され、水平方向に沿って伸縮する水平移動部42と、水平移動部42に接続され、水平方向に回動する水平回動部43と、水平回動部43に接続され、先端に異なる種類のハンド45を着脱可能なハンド保持部44と、を含んでいる。上下移動部41は、基台41aと、アーム41bと、アーム41cとを有している。水平移動部42は、スライダ42aと、スライダ42bとを有している。水平回動部43は、アーム43aと、接続部43bとを含んでいる。
【0067】
上下移動部41の基台41aは、自律走行台車本体31に固定されている。アーム41bは、基台41aに対して回動軸線A1を中心に回動可能に設けられている。アーム41cは、アーム41bに対して回動軸線A2を中心に回動可能に設けられている。
【0068】
水平移動部42のスライダ42aは、上下移動部41のアーム41cに対してB1方向(アーム41bおよび41cが回動していない場合の水平方向)にスライド移動可能に設けられている。スライダ42bは、スライダ42aに対してB2方向(アーム41bおよび41cが回動していない場合の水平方向)にスライド移動可能に設けられている。
【0069】
水平回動部43のアーム43aは、水平移動部42のスライダ42bに対して回動軸線C1を中心に回動可能に設けられている。接続部43bは、アーム43aに対して回動軸線C2を中心に回動可能に設けられている。
【0070】
ハンド保持部44は、水平回動部43の接続部43bに対して回動軸線D1を中心に回動可能に設けられている。ハンド保持部44は、先端にハンド45(図3参照)を着脱可能に保持するように構成されている。また、ハンド保持部44は、図15に示すように、バックアップピンストッカ61を着脱可能に保持するように構成されている。また、ハンド保持部44は、図20に示すように、部品供給台車153bに連結可能に構成されている。
【0071】
図7に示すように、搬入口15bには、複数のマーク15cが設けられている。マーク15cは、自律走行台車30のカメラ33により撮像されて認識されるために設けられている。自律走行台車30の制御部32は、カメラ33によるマーク15cの撮像結果に基づいて、搬入口15bの位置を取得するように構成されている。具体的には、制御部32は、サーバ20から搬送するツール60(バックアップピン61a、ノズル62a、廃棄箱63)の要求のあった部品実装装置15の情報を取得する。取得する情報には、部品実装装置15が要求しているツール60の種類、部品実装装置15の平面的な位置情報、部品実装装置15の搬入口15bの立体的な位置情報が含まれる。制御部32は、部品実装装置15の平面的な位置情報に基づいて、自律走行台車本体31を移動させる。制御部32は、自律走行台車本体31を目的の部品実装装置15の前まで移動させた後、搬入口15bの周辺をカメラ33により撮像する。制御部32は、撮像結果から搬入口15bに設けられたマーク15cを認識して、搬入口15bの位置を取得する。
【0072】
図8に示すように、ロボットアーム40により、部品実装装置15に搬入されるツール60には、複数のマーク60aが設けられている。マーク60aは、部品実装装置15の基板認識撮像部154bにより撮像されて認識されるために設けられている。部品実装装置15の制御部158は、基板認識撮像部154bによるマーク60aの撮像結果に基づいて、搬入されたツール60の位置を取得するように構成されている。つまり、制御部158は、基板認識撮像部154bにより実装ヘッド154aの可動範囲に搬入された物を撮像して、撮像結果に基づいて物を認識するように構成されている。具体的には、制御部158は、ロボットアーム40の位置決め完了通知を受信した場合に、通知とともに送信されたツール確認位置情報または事前に定義されたツール確認位置情報から基板認識撮像部154bを対応する位置に移動させる。そして、制御部158は、ツール60のマーク60aを基板認識撮像部154bにより撮像してツール60の位置を取得する。
【0073】
また、制御部158は、実装ヘッド154aの可動範囲に搬入された物を認識し、認識結果に基づいてロボットアーム40から実装ヘッド154aにより物を受け取るように構成されている。また、制御部158は、実装ヘッド154aの可動範囲に搬入された物の種類を認識するように構成されている。
【0074】
サーバ20は、部品実装装置15からツール60の要求があった場合に、図9図12に示す情報を用いて、自律走行台車30によりツール60を部品実装装置15に対して搬送する処理を行う。
【0075】
サーバ20は、図9に示すように、自律走行台車30(AGV)のシリアルNO.と、自律走行台車30(AGV)の名前と、自律走行台車30(AGV)のIPアドレスと、対応するサーバ20のIPアドレスと、載置部50(ツールボックス)に載置されたツール60の情報と、自律走行台車30(AGV)の現在位置情報とを管理している。また、サーバ20は、自律走行台車30(AGV)のツール保持情報(種類、高さ、配置情報)を管理している。
【0076】
また、サーバ20は、図10に示すように、載置部50(ツールボックス)に載置されたツール60のツールボックスNO.に対応したツール60の情報を管理している。ツール60の情報は、ツール60の複数のマーク60aの位置情報、ノズル62aのタイプ情報、バックアップピン61aのタイプ情報が含まれている。
【0077】
また、サーバ20は、図11に示すように、生産計画情報を管理している。生産計画情報は、機種名、ラインNO.生産開始予定時刻、生産終了要諦時刻、生産枚数が含まれている。サーバ20は、生産計画に基づいて、ツール60の搬送が必要な装置を予想し、自律走行台車30を向かわせることが可能なように、自律走行台車30を予め確保する管理を行うように構成されている。
【0078】
また、サーバ20は、図12に示すように、複数の部品実装装置15の位置情報を管理している。部品実装装置15の位置情報は、ライン情報、部品実装装置情報(実装装置名)、装置位置情報、部品実装装置15の搬入口15bの位置情報を含んでいる。
【0079】
図13に示すように、ロボットアーム40のハンド保持部44は、複数の爪44aを有している。複数の爪44aは、内側に移動することにより、ハンド45を固定するように構成されている。爪44aは、制御部32の制御により電動で駆動されるように構成されている。
【0080】
図14に示すように、ロボットアーム40は、自律走行台車30に設けられたノズル載置部52のノズルストッカ62を保持して搬送する。図14(A)に示すように、ロボットアーム40は、搬送するノズルストッカ62の側方にハンド45を移動させる。そして、図14(B)に示すように、ハンド45は、ハンド45の一対の把持部451を上下方向に沿って並ぶように回動する。つまり、ハンド45は、伸縮部452の先端の凸部が水平方向に突出するように回動する。なお、ハンド45は、ハンド保持部44に対して回転可能に構成されている。また、ハンド45は、一対の把持部451を開閉可能に構成されている。また、ハンド45は、伸縮部452を伸縮可能に構成されている。ハンド45は、ロボットアーム40のハンド保持部44に保持された場合に、端子が接続されて、ロボットアーム40から給電されるように構成されている。また、ハンド45は、ロボットアーム40から供給される電力により駆動するように構成されている。
【0081】
図14(C)に示すように、ハンド45は、伸縮部452を伸ばす。そして、図14(D)に示すように、ハンド45は、ハンド45の一対の把持部451を水平方向に沿って並ぶように回動する。つまり、ハンド45は、伸縮部452の先端の凸部が上方向に突出するように回動する。これにより、伸縮部452の先端の凸部が搬送するノズルストッカ62に引っ掛けられる。図14(E)に示すように、ハンド45は、伸縮部452を縮める。これにより、ノズルストッカ62が一対の把持部451側に引き寄せられる。その結果、ハンド45にノズルストッカ62が保持される。なお、ハンド45にノズルストッカ62を保持した状態において、伸縮部452によりノズルストッカ62の切替部を操作することが可能である。これにより、ハンド45により保持されたノズルストッカ62を、ノズル62aを保持する状態と、ノズル62aの保持を解除する状態とに切り替えることが可能である。
【0082】
図15に示すように、ロボットアーム40は、自律走行台車30に設けられたバックアップピン載置部51のバックアップピンストッカ61を保持して搬送する。ロボットアーム40は、ハンド45を取り外した状態で、搬送するバックアップピンストッカ61を下方から把持する。具体的には、ロボットアーム40は、ハンド保持部44により、バックアップピンストッカ61を保持する。なお、バックアップピンストッカ61の下方には、ハンド45と同様の形状を有する被把持部が設けられている。
【0083】
図16に示すように、自律走行台車30の移動規制部37は、自律走行台車本体31の走行時において、ロボットアーム40が動かないように自律走行台車本体31に対してロボットアーム40を固定するように構成されている。具体的には、自律走行台車本体31から上方に棒状の移動規制部材を伸ばして、ロボットアーム40の各部に設けられた貫通孔に移動規制部材を通すことにより、ロボットアーム40が自律走行台車本体31に対して固定される。
【0084】
図17および図18に示すように、自律走行台車本体31は、部品実装装置15に対して連結する。ここで、部品実装装置15は、実装ライン10と平行に延びる通路側に、自律走行台車本体31を連結して固定する連結部70を備えている。そして、ロボットアーム40は、自律走行台車本体31が部品実装装置15の連結部70に連結した状態で、部品実装装置15において使用される物を、部品実装装置15の内部に搬送するように構成されている。
【0085】
また、自律走行台車本体31は、上下方向に沿った回転軸線回りに回転可能な一対のローラ38aと、水平方向に沿った回転軸線回りに回転可能な複数のローラ38bとを有している。ローラ38aは、自律走行台車本体31の左右に1つずつ設けられている。ローラ38bは、自律走行台車本体31の左右に2つずつ設けられている。左右各々の一対のローラ38bは、ローラ38aを挟み込むように上下方向に間隔を隔てて配置されている。
【0086】
連結部70は、水平方向に沿って配置された一対のクランプ部71を有している。一対のクランプ部71は、各々、テーパ71aと、テーパ71bとを有している。テーパ71aは、図18に示すように、平面視において、部品実装装置15に向かうにしたがって、間隔が狭まるように形成されている。これにより、自律走行台車本体31がテーパ71aに沿って一対のクランプ部71の間に誘導される。また、この際、自律走行台車本体31のローラ38aは、クランプ部71に当接した場合に回転する。テーパ71bは、図17に示すように、一対のクランプ部71の各々に対して、上下に一対配置されている。テーパ71bは、部品実装装置15に向かうにしたがって、間隔が広がるように形成されている。これにより、自律走行台車本体31がクランプ部71に乗り上げるように誘導される。また、この際、自律走行台車本体31のローラ38bは、クランプ部71に当接した場合に回転する。連結部70のクランプ部71は、自律走行台車本体31が間に配置されると、間隔を狭めることにより、自律走行台車本体31をクランプして固定する。
【0087】
図19に示すように、ロボットアーム40は、部品実装装置15において使用される物を、部品実装装置15の開口を介して、部品実装装置15の内部に搬送するように構成されている。具体的には、ロボットアーム40は、部品実装装置15の搬入口15bから、部品実装装置15により使用されるツール60を搬入および搬出するように構成されている。また、部品実装装置15の開口(搬入口15b)は、部品実装装置15の前方から部品実装装置15の基板Sを搬送するコンベア152(基板搬送部)に向けてロボットアーム40が挿入されるように設けられている。また、部品実装装置15の開口(搬入口15b)は、図5に示すように、基板Sの搬送方向(X方向)における一方側の端部近傍に設けられている。ロボットアーム40は、搬入口15bから基板Sの高さ位置と略同じ高さ位置に、ツール60を搬送するように構成されている。
【0088】
また、制御部32は、部品実装装置15内の実装ヘッド154aの平面視における可動範囲において、部品実装装置15において使用される物を搬入および搬出するように、ロボットアーム40の駆動を制御する。具体的には、制御部32は、部品実装装置15内において、実装ヘッド154aに対して部品実装装置15において使用される物を授受するようにロボットアーム40の駆動を制御する。
【0089】
図19に示すように、搬入口15bには、カバー15dと、カバー15dを移動させる駆動部15eが設けられている。カバー15dは、駆動部15eにより、搬入口15bを開放する開状態と、搬入口15bを閉塞する閉状態とに切り替えられる。
【0090】
図19(A)に示すように、自律走行台車30が部品実装装置15の前に到着する。この際に、制御部32は、部品実装装置15にロボットアーム40を挿入する開口(搬入口15b)の位置を認識して、自律走行台車本体31を搬入口15bの位置まで移動させる。そして、図19(B)に示すように、カバー15dが開状態とされる。これにより、搬入口15bが開放される。そして、図19(C)に示すように、開放された搬入口15bからロボットアーム40を部品実装装置15の内部に挿入する。この際に、ロボットアーム40の上下移動部41により、搬送するツール60(バックアップピンストッカ61)の高さ位置を合わせた状態で、水平移動部42を伸ばすことにより、ツール60が部品実装装置15の内部に挿入される。また、ツール60が部品実装装置15の内部に挿入された状態で、水平回動部43を回動させることにより、ツール60の位置が調整される。
【0091】
ここで、制御部32は、部品実装装置15により指示された位置、または、部品実装装置15の予め設定された位置に、部品実装装置15において使用される物を搬送するように、ロボットアーム40の駆動を制御する。また、部品実装装置15は、ロボットアーム40が挿入される際に、実装ヘッド154aをロボットアーム40に干渉しないように退避させる。
【0092】
図20に示すように、ロボットアーム40は、部品供給台車153bを部品実装装置15から取り外すとともに、部品供給台車153bを部品実装装置15から取り外したことにより生じる開口を介して、部品実装装置15において使用される物を、部品実装装置15の内部に搬送するように構成されている。
【0093】
図20(A)に示すように、ロボットアーム40は、ハンド保持部44により、部品供給台車153bを把持する。なお、部品供給台車153bの外側には、ハンド45と同様の形状を有する被把持部が設けられている。図20(B)に示すように、ロボットアーム40により、部品供給台車153bが把持して連結された状態で、自律走行台車30は、部品供給台車153bを部品実装装置15から取り外すように移動する。
【0094】
その後、自律走行台車30は、部品供給台車153bを邪魔とならない位置まで移動させる。そして、ロボットアーム40は、ハンド保持部44による部品供給台車153bの把持を解除する。図20(C)に示すように、自律走行台車30は、部品供給台車153bを取り外した位置まで移動する。また、ロボットアーム40は、部品供給台車153bを部品実装装置15から取り外したことにより生じる開口を介して、部品実装装置15において使用される物を、部品実装装置15の内部に搬送する。
【0095】
図21に示すように、ロボットアーム40は、廃棄箱63に溜まった廃棄物E1を回収するように構成されている。廃棄物E1は、部品Eの不良品や、実装を失敗した部品Eなどである。廃棄物E1は、実装ヘッド154aにより、廃棄箱63に廃棄される。廃棄箱63には、スロープ63aと、ストッパ63bとが設けられている。また、廃棄箱63は、回収用容器63cが設けられている。
【0096】
実装ヘッド154aにより廃棄された廃棄物E1は、廃棄箱63に貯留される。ロボットアーム40は、回収用容器63cをストッパ63bに当接させて、スロープ63aを介して廃棄箱63から回収用容器63cに廃棄物E1を回収する。また、ロボットアーム40は、回収用容器63cの廃棄物E1を自律走行台車30の廃棄物載置部53に回収する。この際、ストッパ63bによりスロープ63aの下端が覆われて、廃棄物E1が流出するのが抑制される。
【0097】
図22に示すように、ロボットアーム40は、部品実装装置15の校正に用いる校正治具64を、部品実装装置15の内部に搬送する。校正治具64は、治具部品64aと、台座64bとを有している。また、校正治具64は、部品実装装置15の実装ヘッド154aにより治具部品64aが吸着されて、台座64bに載置される。そして、台座64bに載置された治具部品64aの位置を基板認識撮像部154bにより撮像し、撮像結果に基づいて、実装ヘッド154aの移動が校正(調整)される。台座64bには、負圧を供給するための空気通路64cが設けられている。空気通路64cは、バックアップピン61aが載置される板部61bを介して負圧が供給されるように構成されている。これにより、台座64bに対して負圧により治具部品64aを吸着して固定することができるので、台座64bに載置された治具部品64aが位置ずれするのを抑制することが可能である。なお、ロボットアーム40により、校正治具64を搬送する際には、ハンド45の爪により治具部品64aの上方を覆うことにより、台座64bから治具部品64aが落下することが抑制される。
【0098】
図23および図24に示すように、サーバ20は、自律走行台車30による部品実装装置15へのツール60の供給を制御するように構成されている。つまり、サーバ20は、部品実装装置15から必要な物の情報を受信し、対応する自律走行台車30に対して部品実装装置15に物を搬送する指示を送信するように構成されている。
【0099】
図23のステップS1において、部品実装装置15からツール60の要求がサーバ20に送信される。ステップS2において、ツール60の要求をサーバ20が受信する。ステップS3において、サーバ20は、要求するツール60を保持する自律走行台車30(AGV)が出動可能であるか否かを判断する。要求するツール60を保持する自律走行台車30が他の装置に出動するなどにより出動不可である場合は、ステップS4において、サーバ20は、部品実装装置15にエラーを通知する。
【0100】
要求するツール60を保持する自律走行台車30が出動可能であれば、ステップS5において、サーバ20は、移動先情報(部品実装装置15の情報)およびツール60の情報を、対応する自律走行台車30に通知する。ステップS6において、自律走行台車30は、移動先情報およびツール情報を受信し、指定された部品実装装置15への移動を開始する。
【0101】
ステップS7において、自律走行台車30は、指定された部品実装装置15の前に到着すると、部品実装装置15に対するツール60の搬送の承認を、サーバ20に依頼する。ステップS8において、サーバ20は、自律走行台車30から受信した承認依頼を部品実装装置15に対して通知する。
【0102】
ステップS9において、部品実装装置15は、承認するか否かを判断する。搬入口15bを開放することができないなどにより承認不可である場合は、ステップS10において、部品実装装置15は、サーバ20を介して、自律走行台車30にエラーを通知する。承認可能であれば、ステップS11において、部品実装装置15は、実装ヘッド154aを退避させる動作を行う。ステップS12において、部品実装装置15は、搬入口15bを開放する。そして、部品実装装置15は、搬入口15bを開放したことをサーバ20に通知する。
【0103】
ステップS13において、サーバ20は、ツール60の搬入許可およびツール60の情報を自律走行台車30に通知する。ステップS14において、自律走行台車30は、搬入許可およびツール情報を受信する。ステップS15において、自律走行台車30は、搬入口15bの位置を認識する。
【0104】
ステップS16において、自律走行台車30は、搬入口15bの位置を認識したか否かを判断する。搬入口15bの位置を認識できなかった場合、ステップS17において、自律走行台車30は、サーバ20にエラーを通知する。
【0105】
搬入口15bの位置を認識できた場合、図24のステップS18において、自律走行台車30は、ロボットアーム40により、ツール60の搬入を開始する。ステップS19において、自律走行台車30は、ロボットアーム40を所定位置まで移動させる。ステップS20において、自律走行台車30は、ロボットアーム40によるツール60の搬入が終了したことをサーバ20に通知する。
【0106】
ステップS21において、サーバ20は、自律走行台車30から受信した搬入が終了したことおよび搬入したツール60の情報を部品実装装置15に対して通知する。ステップS22において、部品実装装置15は、サーバ20から通知を受信し、基板認識撮像部154bによる撮像結果に基づいて、ツール60の位置を認識する。
【0107】
ステップS23において、部品実装装置15は、ツール60の位置を認識したか否かを判断する。ツール60の位置を認識できなかった場合、ステップS24において、部品実装装置15は、サーバ20にエラーを通知する。ツール60の位置を認識できた場合、ステップS25において、部品実装装置15は、実装ヘッド154aにより、ロボットアーム40により搬入されたツール60を受け取って交換する。ステップS26において、部品実装装置15は、ツール60の交換の終了をサーバ20に通知する。
【0108】
ステップS27において、サーバ20は、部品実装装置15からの交換終了の通知を受信し、自律走行台車30に対して、交換終了を通知する。ステップS28において、サーバ20は、供給するツール60がまだあるか否かを判断する。供給するツール60がある場合、サーバ20は、自律走行台車30に通知を行い、ステップS18に戻る。供給するツール60がない場合、サーバ20は、自律走行台車30にツール60の供給が終了したことを通知する。
【0109】
ステップS29において、自律走行台車30は、サーバからの終了通知を受信し、ロボットアーム40を、部品実装装置15から退避させる。ステップS30において、自律走行台車30は、ロボットアーム40の退避終了をサーバ20に通底する。
【0110】
ステップS31において、サーバ20は、自律走行台車30からの退避終了通知を受信し、退避終了通知を部品実装装置15に通知する。ステップS32において、部品実装装置15は、搬入口15bを閉塞する。ステップS33において、部品実装装置15は、搬入口15bの閉塞をサーバ20に送信する。ステップS34において、サーバ20は、搬入口15bの閉塞を受信し、自律走行台車30による部品実装装置15へのツール60の供給処理を終了する。
【0111】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0112】
本実施形態では、上記のように、部品実装装置15において使用される物を、部品実装装置15の内部に搬送するロボットアーム40を設ける。これにより、部品実装装置15の内部において使用される物をロボットアーム40により搬送することができるので、作業者が部品実装装置15に対して物を搬送する作業を行う必要がない。その結果、部品実装装置15において使用される物を部品実装装置15に対して搬送する際の作業者の作業負担を軽減することができる。また、作業者により部品実装装置15の内部に物を搬送する場合と異なり、部品実装装置15の動作を完全に止める必要がない。これにより、部品実装装置15による基板製造の効率が低下するのを抑制することができる。また、部品実装装置15において必要な場合に、ロボットアーム40により物を搬送することができるので、部品実装装置15内に使用する物を必要な場合に備えて、部品実装装置15内に物を保管するための保管スペースを設ける必要がない。これにより、部品実装装置15の小型化を図ることができる。また、自律走行台車本体31およびロボットアーム40により物を搬送することができるので、複数の部品実装装置15において使用する物を共用することができる。
【0113】
また、本実施形態では、上記のように、部品実装装置15において使用される物は、基板Sを支持するバックアップピン61a、部品Eを吸着するノズル62a、部品Eを廃棄する廃棄箱63、および、部品実装装置15の校正に用いる校正治具64を含む。これにより、部品実装装置15にバックアップピン61a、ノズル62a、廃棄箱63、校正治具64を搬送する際の作業者の作業負担を軽減することができる。
【0114】
また、本実施形態では、上記のように、ロボットアーム40を、部品実装装置15において使用される物を、部品実装装置15の開口を介して、部品実装装置15の内部に搬送するように構成する。これにより、ロボットアーム40を開口を介して部品実装装置15の内部に挿入することができるので、ロボットアーム40により部品実装装置15の内部に物を容易に搬送することができる。
【0115】
また、本実施形態では、上記のように、自律走行台車本体31に、部品実装装置15の開口の位置を検出するためのカメラ33を設ける。これにより、部品実装装置15の開口の位置を精度よく取得することができるので、部品実装装置15の開口に対してロボットアーム40を精度よく挿入することができる。
【0116】
また、本実施形態では、上記のように、部品実装装置15の開口を、部品実装装置15の前方から部品実装装置15の基板Sを搬送するコンベア152に向けてロボットアーム40が挿入されるように設ける。これにより、部品実装装置15の前方に対して自律走行台車本体31を位置させた状態で、ロボットアーム40を部品実装装置15の前方から内部に対して挿入させて作業を行うことができる。
【0117】
また、本実施形態では、上記のように、ロボットアーム40を、自律走行台車本体31が部品実装装置15の連結部70に連結した状態で、部品実装装置15において使用される物を、部品実装装置15の内部に搬送するように構成する。これにより、自律走行台車本体31を部品実装装置15に連結して位置決めすることができるので、ロボットアーム40を部品実装装置15の内部に安定して挿入することができる。
【0118】
また、本実施形態では、上記のように、ロボットアーム40は、水平方向に沿って伸縮する水平移動部42を含む。これにより、水平移動部42を回動することにより伸長する場合と比べて、伸長方向と直交する水平方向において、ロボットアーム40を回動させるためのスペースを設ける必要がない。これにより、部品実装装置15の内部にロボットアーム40を挿入させるために必要なスペースが大きくなるのを抑制することができる。
【0119】
また、本実施形態では、上記のように、ロボットアーム40は、上下方向に回動する回動軸を有する上下移動部41と、上下移動部41に接続された水平移動部42と、水平移動部42に接続され、水平方向に回動する水平回動部43と、水平回動部43に接続され、先端に異なる種類のハンド45を着脱可能なハンド保持部44と、を含む。これにより、ロボットアーム40のハンド保持部44に保持されたハンド45を、上下方向および水平方向に移動および回動させることができる。また、ロボットアーム40により搬送する物に適したハンド45をハンド保持部44に取り付けた状態で物を搬送することができる。
【0120】
また、本実施形態では、上記のように、自律走行台車本体31に、部品実装装置15において使用される複数種類の物を載置する載置部50を設ける。これにより、自律走行台車本体31により、複数種類の物を搬送して部品実装装置15に供給することができる。
【0121】
また、本実施形態では、上記のように、ロボットアーム40を、自律走行台車本体31の走行時において、動かないように自律走行台車本体31に対して固定する。これにより、自律走行台車本体31の走行時においてロボットアーム40が動くのを抑制することができる。
【0122】
また、本実施形態では、上記のように、ロボットアーム40を、自律走行台車本体31の走行時において、動かないように自律走行台車本体31に対して固定する移動規制部37を設ける。これにより、移動規制部37によりロボットアーム40を自律走行台車本体31に安定して固定することができる。
【0123】
また、本実施形態では、上記のように、ロボットアーム40を、部品供給台車153bを部品実装装置15から取り外すとともに、部品供給台車153bを部品実装装置15から取り外したことにより生じる開口を介して、部品実装装置15において使用される物を、部品実装装置15の内部に搬送するように構成する。これにより、部品供給台車153bを取り外したことにより生じる開口からロボットアーム40を部品実装装置15の内部に挿入することができるので、専用の開口を設ける必要がない。これにより、既存の部品実装装置15に対して、ロボットアーム40により物を供給することができる。
【0124】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0125】
たとえば、上記実施形態では、基板作業装置としての部品実装装置において使用される物は、基板を支持するバックアップピン、部品を吸着するノズル、部品を廃棄する廃棄箱、および、基板作業装置の校正に用いる校正治具を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板作業装置において使用される物は、基板を支持するバックアップピン、部品を吸着するノズル、部品を廃棄する廃棄箱、および、基板作業装置の校正に用いる校正治具のうち少なくとも1つを含んでいればよい。
【0126】
また、上記実施形態では、ロボットアームの駆動を制御する制御部が自律走行台車本体に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボットアームの駆動を制御する制御部は、ロボットアームに設けられていてもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、基板作業装置の開口の位置を検出するための検出部としてのカメラが自律走行台車本体に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板作業装置の開口の位置を検出するための検出部は、ロボットアームに設けられていてもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、基板製造システムに複数の実装ラインが設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板製造システムに1つの実装ラインが設けられていてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、ハンド保持部が複数の爪によりハンドを固定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ハンド保持部は、球を移動させる機構によりハンドを固定してもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、サーバを介する通信を行うことにより、基板作業装置としての部品実装装置に対して、自律走行台車が物を搬送する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板作業装置および自律走行台車が直接通信することにより、基板作業装置に対して、自律走行台車が物を搬送する構成でもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0132】
10 実装ライン
11 ローダ(基板作業装置)
12 印刷機(基板作業装置)
13 印刷検査機(基板作業装置)
14 ディスペンサ装置(基板作業装置)
15 部品実装装置(基板作業装置)
15b 搬入口(開口)
16 外観検査装置(基板作業装置)
17 リフロー装置(基板作業装置)
18 外観検査装置(基板作業装置)
19 アンローダ(基板作業装置)
20 サーバ
30 自律走行台車
31 自律走行台車本体(自律走行台車)
32 制御部
33 カメラ(検出部)
37 移動規制部(移動規制部材)
40 ロボットアーム
41 上下移動部
42 水平移動部
43 水平回動部
44 ハンド保持部
45 ハンド
50 載置部
61a バックアップピン
62a ノズル
63 廃棄箱
64 校正治具
70 連結部
100 基板製造システム
153b 部品供給台車
E 部品
S 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図24