(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】腎疾患の診断および治療のための方法、キット、および組成物
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20240118BHJP
G01N 33/493 20060101ALI20240118BHJP
A23K 20/142 20160101ALI20240118BHJP
A23K 20/147 20160101ALI20240118BHJP
A23K 20/158 20160101ALI20240118BHJP
A23K 20/20 20160101ALI20240118BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/493 A
A23K20/142
A23K20/147
A23K20/158
A23K20/20
G01N33/53 D
(21)【出願番号】P 2022536608
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(86)【国際出願番号】 US2019066608
(87)【国際公開番号】W WO2021126158
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】バドリ、ダヤカール
(72)【発明者】
【氏名】ジュエル、デニス
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/125029(WO,A1)
【文献】特表2017-500844(JP,A)
【文献】GAO, S. et al.,Metabolomics analysis for hydroxy-L-Proline-induced calcium oxalate nephrolithiasis in rats based on ultra-high performance liquid chromatography quadrupole time-of-flight mass spectrometry,SCIENTIFIC REPORTS,2016年07月22日,Vol.6/No.30142,p.1-12,DOI: 10.1038/srep30142
【文献】FILDES, R.D.,Hereditary xanthinuria with severe urolithiasis occuring in infancy as renal tubular acidosis and hypercalciuria,JOURNAL OF PEDIATRICS,1989年08月,Vol.115/No.2,p.277-280,DOI: 10.1016/S0022-3476(89)80083-6
【文献】KARIO, K & TANKAWA, H.,Xanthine Urolithiasis: Ultrastructure Analysis of Renal and Bladder Calculi,INTERNATIONAL UROLOGY NEPHROLOGY,1991年,Vol.23/No.4,p.317-323,DOI: 10.1007/BF02549601
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿路結石症を発症する高い可能性にある
ネコを特定する方法であって、
トリプトファン/キヌレニン経路代謝物、アミノ糖経路代謝物、ホスファチジルコリン経路代謝物、スフィンゴ脂質経路代謝物、および/またはプリン経路代謝物の存在について、前記
ネコから得た
尿試料を分析することを含み、
高いレベルの前記トリプトファン/キヌレニン経路代謝物、前記アミノ糖経路代謝物、前記ホスファチジルコリン経路代謝物、前記スフィンゴ脂質経路代謝物、および/または前記プリン経路代謝物が、尿路結石症を発症する高い可能性を前記
ネコが有することを示す、方法。
【請求項2】
前記トリプトファン/キヌレニン経路代謝物が、C-グリコシルトリプトファン、キヌレニン、キヌレン酸(kyurenate)、アントラニル酸、3-ヒドキシキヌレニン、ピコリン酸、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トリプトファン/キヌレニン経路代謝物が、3-ヒドキシキヌレニンを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アミノ糖経路代謝物が、グルクロン酸(glucoronate)、ジアセチルキトビオース、N-アセチルグルコサミン6-硫酸、N-アセチルノイラミン酸、3’-a-シアリル-N-アセチルラクトサミン、6-シアリル-N-アセチルラクトサミン、N-アセチルグルコサミンアスパラギン、エリトロナート、N-グリコリルノイラミナート、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ホスファチジルコリン経路代謝物が、1,2-ジパルミトイル(16:0/16:0)、1-パルミトイル-2-オレオイル(16:0/18:1)、1-ステアロイル-2-オレオイル(18:0/18:1)、1-ステアロイル-2-リノレオイル(18:0/18:2)、1-ステアロイル-2-アラキドノイル(18:0/20:4)、1-ステアロイル-2-ドコサヘキサエノイル(18:0/22:6)、1-オレオイル-2-リノレオイル(18:1/18:2)、1,2-ジリノレオイル(18:2/18:2)、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記スフィンゴ脂質経路代謝物が、パルミトイルジヒドロスフィンゴミエリン(d18:0/16:0)、パルミトイルスフィンゴミエリン(d18:1/16:0);ステアロイルスフィンゴミエリン(d18:1/18:0)、ベヘノイルスフィンゴミエリン(d18:1/22:0)、リグノセロイルスフィンゴミエリン(d18:1/24:0)、スフィンゴミエリン(d17:1/16:0、d18:1/15:0、d16:1/17:0)、スフィンゴミエリン(d18:1/20:0、d16:1/22:0)、スフィンゴミエリン(d18:1/24:1、d18:2/24:0)、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記プリン経路代謝物が、イノシン、ヒポキサンチン、N1-メチルイノシン、アラントイン、アラントイン酸、1-メチルヒポキサンチン、アデニン、1-メチルアデニン、N1-メチルアデノシン(methylnadenosine)、N6-カルバモイルトレオニルアデノシン、N6-スクシニルアデノシン、3-アミノイソブチレート、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ネコにおける尿路結石症の発病および/または重症度を遅らせる方法であって、
ネコからの
尿試料において、トリプトファン/キヌレニン経路代謝物、アミノ糖経路代謝物、ホスファチジルコリン経路代謝物、スフィンゴ脂質経路代謝物、および/またはプリン経路代謝物の異常レベルを検出することと、
有効量の(1)アルギニン;(2)多価不飽和脂肪酸、制御されたミネラル、およびタンパク質;または(3)食味強化剤と粘性水を含む組成物を含む組成物を前記
ネコに投与することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記異常レベルが、健康な
ネコに見られる代謝物のレベルよりも高い、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記トリプトファン/キヌレニン経路代謝物が、C-グリコシルトリプトファン、キヌレニン、キヌレン酸(kyurenate)、アントラニル酸、3-ヒドキシキヌレニン、ピコリン酸、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記トリプトファン/キヌレニン経路代謝物が、3-ヒドキシキヌレニンを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アミノ糖経路代謝物が、グルクロン酸(glucoronate)、ジアセチルキトビオース、N-アセチルグルコサミン6-硫酸、N-アセチルノイラミン酸、3’-a-シアリル-N-アセチルラクトサミン、6-シアリル-N-アセチルラクトサミン、N-アセチルグルコサミンアスパラギン、エリトロナート、N-グリコリルノイラミナート、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ホスファチジルコリン経路代謝物が、1,2-ジパルミトイル(16:0/16:0)、1-パルミトイル-2-オレオイル(16:0/18:1)、1-ステアロイル-2-オレオイル(18:0/18:1)、1-ステアロイル-2-リノレオイル(18:0/18:2)、1-ステアロイル-2-アラキドノイル(18:0/20:4)、1-ステアロイル-2-ドコサヘキサエノイル(18:0/22:6)、1-オレオイル-2-リノレオイル(18:1/18:2)、1,2-ジリノレオイル(18:2/18:2)、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記スフィンゴ脂質経路代謝物が、パルミトイルジヒドロスフィンゴミエリン(d18:0/16:0)、パルミトイルスフィンゴミエリン(d18:1/16:0);ステアロイルスフィンゴミエリン(d18:1/18:0)、ベヘノイルスフィンゴミエリン(d18:1/22:0)、リグノセロイルスフィンゴミエリン(d18:1/24:0)、スフィンゴミエリン(d17:1/16:0、d18:1/15:0、d16:1/17:0)、スフィンゴミエリン(d18:1/20:0、d16:1/22:0)、スフィンゴミエリン(d18:1/24:1、d18:2/24:0)、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記プリン経路代謝物が、イノシン、ヒポキサンチン、N1-メチルイノシン、アラントイン、アラントイン酸、1-メチルヒポキサンチン、アデニン、1-メチルアデニン、N1-メチルアデノシン(methylnadenosine)、N6-カルバモイルトレオニルアデノシン、N6-スクシニルアデノシン、3-アミノイソブチレート、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記
ネコから得た前記
尿試料において、
(a)トリプトファン/キヌレニン経路代謝物、アミノ糖経路代謝物、ホスファチジルコリン経路代謝物、スフィンゴ脂質経路代謝物、および/またはプリン経路代謝物の存在を検出することと、
前記
ネコについて、
(b1)トリプトファン/キヌレニン経路代謝物、アミノ糖経路代謝物、ホスファチジルコリン経路代謝物、スフィンゴ脂質経路代謝物、および/またはプリン経路代謝物のレベルに従って、部分最小二乗判別分析(PLS-DA)を使用して、前記ネ
コを健康または結石患者として分類することと;
(b2)前記結石患者で見られる代謝物と健康なネ
コとの比を計算して、前記ネ
コの代謝プロファイルを決定することと、によって尿路結石症の代謝シグネチャを決定することと、
(c)前記ネ
コが有する尿路結石症のリスクを特定するために、
(b2)で計算された前記ネ
コの代謝プロファイルを基準代謝プロファイルと比較することであって、健康なネ
コおよびリスクの相対レベルに対応してカットオフ範囲が確立されている結石患者として診断されたネコを含むネコの母集団からのプロファイルの分布分析によって前記基準代謝プロファイルが決定される、比較することと、
(d)前記代謝プロファイルが尿路結石症のリスクの高いレベルに対応する時、前記ネ
コを尿路結石症の代謝シグネチャを有するとして特定することと、
をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
尿路結石症を発症する高いリスクを有する
ネコを特定するためのキットであって、
尿試料を採取するための容器と
、
テスト
ネコにおけるトリプトファン/キヌレニン経路代謝物、アミノ糖経路代謝物、ホスファチジルコリン経路代謝物、スフィンゴ脂質経路代謝物、および/またはプリン経路代謝物
からなる代謝物の群から選択される1つ以上を検出するための手段と、
使用説明書と、を備えるキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
腎疾患は、ペットにおける一般的な病気であり、食事、遺伝、代謝、育種、年齢、およびライフスタイルなどの様々な要因の結果である。尿路結石症、または腎結石は、尿過飽和、核形成、結晶成長、結晶凝集、結晶細胞相互作用、結晶付着または保持、および石形成を含む複雑な生化学的プロセスによって引き起こされる病的状態である。尿路結石は、シュウ酸、マグネシウム、アンモニウム、または尿酸などの組成物中に存在する無機物のタイプに基づいて分類され、治療される。尿結石の有機結石基質は、脂質、GAG、炭水化物、およびタンパク質を含有する場合がある一方で、結晶化および石形成につながる構成成分はごくわずかのみである。
【0002】
石形成のレベルは、石形成の阻害剤とプロモーターとの間の不均衡のレベルに依存する。阻害剤としては、ピロリン酸などの小さい有機アニオン、マグネシウムなどの多価金属カチオン、およびタンパク質(糖タンパク質、GAG)などの巨大分子が挙げられる。プロモーターとしては、リン脂質、糖脂質、カルシウム、シュウ酸、および低尿量が挙げられる。加えて、一部の脂質は結晶核形成を促進し、成長および凝集を調節し、かつ成長する石灰化の中に組み込まれるようになる可能性がある。
【0003】
様々な代謝物は、腎臓組織の炎症、酸化的ストレス、および損傷の増加を通して腎臓上皮細胞を損傷することによって、脂質、GAG、および他のストレス関連代謝物などの腎結石プロモーターの放出につながる場合がある。尿中のプロモーターの放出の増加は、阻害剤とプロモーターとの間の不均衡を引き起こし、それ故に石形成に有利な状態を作り出すことになる。
【0004】
イノシンおよびヒポキサンチンなどのプリン代謝副産物は、尿中で不溶性であり、またキサンチン尿症および腎結石形成を誘発するうえで大きい役割を果たす。適切な必須脂肪酸、限定されたミネラル、高アルギニン、低トリプトファン、および最適なタンパク質レベルを有する食事は、備えられた腎機能を有する個体において特に、腎結石形成を軽減することが可能である。効果的な治療計画には、定量的かつ定性的な分析に大きく依存することになる、多面的で方向性のある計画が必要とされる。
【0005】
現在の診断方法は、臨床徴候(例えば、血尿、頻尿、有痛性排尿困難、および排尿障害)、白血球数などの血液検査、撮像、および尿検査の組み合わせを使用する。臨床徴候は、多くのペットが無症状である場合があり、臨床徴候が概して非特異的であると考えられるため、非効果的である。加えて、血液検査は、いかなる異常も明らかにしない場合がある。結晶形成およびpH分析のための尿の顕微鏡分析は効果的であるが、潜在的には時間がかかり、かつ採取後に短期間内で評価しなければならない。二重コントラスト膀胱造影や超音波などの撮像は効果的であるが、診断ではなく確認検査である。診断後でさえも、ペットには、決定的かつ特異的な尿路結石の診断および治療のために化学分析が必要とされる。
【0006】
それ故に、当技術分野において、尿路結石症、腎疾患、または膀胱疾患などの疾患をペットが発症する傾向を評価するための非侵襲的診断方法に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一部の実施形態は、尿路結石症、腎疾患、もしくは膀胱疾患の傾向を診断または特定するための方法を提供する。ある特定の実施形態において、診断方法は代謝物を分析することを含む。代謝物は、任意の体液から得られてもよく、また好ましい実施形態において、代謝物は尿から得られる。さらに、試験された代謝物としては、トリプトファン/キヌレニン(kyneurenine)、アミノ糖、ホスファチジルコリン、スフィンゴ脂質、および/またはプリン代謝経路に見られる代謝物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0008】
本発明のある特定の実施形態は、高レベルのアルギニン、低レベルのトリプトファン、および最適量のタンパク質、または強化されたレベルの必須脂肪酸、制御されたミネラル、および最適量のタンパク質のいずれかを含むペットフード組成物を投与することを含む、ペットにおける尿路結石症、腎疾患、または膀胱疾患の治療に向けられる。
【0009】
本発明のさらなる実施形態は、コンパニオンアニマルにおける尿路結石症、腎疾患、もしくは膀胱疾患の傾向を診断または特定するキットを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の発明は、ペットにおける尿路結石症、腎疾患、および膀胱疾患などの腎疾患の傾向を評価するための診断方法に部分的に関する。
【0011】
好ましい実施形態(複数可)の以下の記述は、本質的に単に例示的であり、またいかなる点においても本発明を限定するように意図されていない。例示的な実施形態の記述は、添付図面に関連して読まれることが意図されていて、該添付図面は、書かれた説明書全体の一部と考えられるべきである。好ましい実施形態(複数可)の以下の記述は、本質的に単に例示的であり、またいかなる点においても本発明を限定するように意図されていない。例示的な実施形態の記述は、添付図面に関連して読まれることが意図されていて、該添付図面は、書かれた説明書全体の一部と考えられるべきである。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その(the)」は、文脈が別様を規定しない限り、複数の参照を含む。成分の任意のクラスの単数形は、そのクラス内の一つの化学種を指すだけでなく、それらの化学種の混合物も指し、例えば単数形の「タンパク質」という用語は、その各々もまたタンパク質であると考えられる化合物の混合物を指す場合がある。「一つの(a)」(または「一つの(an)」)、「一つ以上の」、および「少なくとも一つの」という用語は、本明細書において互換的に使用される場合がある。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語は、互換的に使用される場合がある。「含む(include)」という用語は、「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきである。「含む(including)」という用語は、「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきである。
【0013】
全体を通して使用されている通り、範囲は、その範囲内にあるありとあらゆる値を記述するための省略表現として使用される。範囲内の任意の値を、その範囲の末端として選択することができる。加えて、本明細書で引用されるすべての参照文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示における定義と、引用された参照文献における定義に矛盾がある場合、本開示が支配する。
【0014】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語ならびに頭字語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、当然のことながら、本発明は、本明細書に記述されるいかなる特定の方法、プロトコル、試薬にも限定されない。記述される方法、プロトコル、試薬は単なる例であり、例示目的のみのためのものである。
【0015】
本明細書で使用される「ペット」という用語は、「コンパニオンアニマル」という用語と互換的に使用することが可能であり、またイヌ(Canis familiaris)およびネコ(Felis domesticus)を含む、ペットとして飼い主によって飼われる任意の種の動物、またはペットとして広く家畜化されてきた様々な種の任意の動物を指す。それ故に、ペットとしては、作業犬、ペットのイヌ、齧歯動物駆除のために飼われるネコ(すなわち、農場猫)、ペットのネコ、フェレット、鳥、爬虫類、ウサギ、魚が挙げられてもよいが、これらに限定されない。
【0016】
本発明の一部の実施形態は、ペットにおける腎疾患の傾向を診断または特定するための方法を提供する。好ましい一実施形態において、本発明は、ペットにおける尿路結石症、腎疾患、もしくは膀胱疾患の傾向を診断または特定するための方法を提供する。ある特定の実施形態において、診断方法は、生体試料を得ることと、生体試料内のバイオマーカーを定量化することとを含む。
【0017】
本明細書で使用される「IRIS」という用語は、国際獣医腎臓病研究グループのガイドラインを使用して一般的に区別される通りの慢性腎疾患(CKD)のステージまたは重症度を指すために使用される。このガイドラインではCKDについて、重症度が最も低いステージである「危険性がある(at risk)」から、重症度が最も高いステージ4またはIRIS4まで、5つの異なるステージを設けている。
【0018】
本明細書で使用される「生体試料」という用語は、「試料」、「標本」、「生体材料」、「生物学的材料」という用語と互換的に使用されてもよい。生体試料は、血液、唾液、尿などの体液、生検由来の、または毛皮などの組織試料、ならびに呼気凝縮物などのその他の臨床標本を含む、ペットから得られた任意の有機材料を指す。生体試料は、非侵襲的および/または侵襲的な様態で得ることが可能である。例えば、生体試料は、口を綿棒で拭うこと、毛皮の集まり、または尿を介してなど、非侵襲的なやり方で提供されてもよい。他の実施例において、生体試料は、針による血液の採取、または生検による組織の除去によってなど、侵襲的なやり方で提供されてもよい。
【0019】
ある特定の実施形態において、生体試料は一つ以上の賦形剤をさらに含んでもよい。賦形剤は任意の時点で生体試料に添加されてもよい。例えば、賦形剤は試料の採取中、輸送中、調製中、および/または分析中に生体試料に添加されてもよい。
【0020】
賦形剤の添加は当技術分野で周知である。こうした賦形剤は、本発明によって提供される目的および効果を損なわない量で存在するべきである。賦形剤は安定剤、防腐剤、加工助剤、pH緩衝剤、充填剤、希釈剤、色試薬、染料として含まれてもよい。例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は、生体試料を保存するために、採取中に生体試料に添加されてもよい。
【0021】
賦形剤の例としては、ホウ酸およびその誘導体、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール、ポリエチレングリコール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ギ酸およびその誘導体、プロテアーゼ阻害剤、クエン酸ナトリウムおよびメタ重硫酸ナトリウム(sodium metabisulfate)などのナトリウム塩、プロテアーゼ阻害剤が挙げられてもよい。
【0022】
生体試料によって疾患、障害、またはその他の状態を検出することは、疾患、障害、またはその他の状態についてのポイントオブケア診断を可能にする場合がある。生体試料内の一つ以上のバイオマーカーを定量化する方法は、当技術分野で周知である(例えば、比色分析報告、核磁気共鳴(NMR)分光法、赤外線(IR)分光法、質量分析法など)。本開示は、尿に関する数多くの実施例を提供しうるが、当然のことながらこうした実施例は例示的な目的のみのためのものである。実施例は、体液または生体組織を含む任意の生体試料に延長されてもよい。
【0023】
本明細書で使用される「バイオマーカー」という用語は、「生物学的マーカー」という用語と互換的に使用されてもよく、また臓器機能または任意の他の生物学的状態または状況を調べるために使用することが可能な任意の測定可能な物質を指すために使用される。ある特定の実施形態において、バイオマーカーとしては、イムノグロブリンなどのタンパク質、DNAおよびRNAなどのポリヌクレオチド、ならびに代謝物が挙げられてもよい。好ましい一実施形態において、バイオマーカーは代謝バイオマーカーである。
【0024】
試料(尿など)中のバイオマーカーの検出および定量は、採取後の任意の時点で実施されてもよい。例えば、生体試料内のバイオマーカーの定量化は、短期間内(例えば、2分以内、5分以内など)に、またはより長い貯蔵、輸送、保存、もしくはインキュベーション段階の後(例えば、6時間以内、72時間以内など)に実施されてもよい。ある特定の実施形態において、生体試料は、約-200℃~約30℃あたりの温度で貯蔵、輸送、または保存される。例えば、尿試料は、約22℃または4℃で貯蔵、輸送、保存されることが好ましい。別の例において、組織生検は、短期間の貯蔵の場合に-20℃、長期間の貯蔵の場合に-80℃で貯蔵することが好ましい。当然のことながら、これらの実施例は例示的な目的のみのためのものであり、また適正な温度は本発明で使用される生体試料のタイプに依存する。生体試料は、当業者によって一般的に理解される通りに、特定のタイプの生体試料にとって適正な温度で貯蔵されるべきである。
【0025】
試料内の一つ以上のバイオマーカーは、任意のタイプの疾患、障害、または他の状態の診断ツールとして使用されてもよい。例えば、一つ以上のバイオマーカーは、ペットが疾患、障害、および/または状態に対して有する傾向(例えば、発症の可能性)を示す場合がある。好ましい一実施形態において、一つ以上のバイオマーカーは、ペットにおける尿路結石症、腎疾患、または膀胱疾患の傾向を診断または特定するために使用される。なおより好ましい一実施形態において、ペットにおける尿路結石症、腎疾患、または膀胱疾患の傾向を診断または特定するために、30~60個のバイオマーカーが使用される。
【0026】
定量化される代謝物としては、トリプトファン/キヌレニン(kyneurenine)、アミノ糖、ホスファチジルコリン、スフィンゴ脂質、および/またはプリン代謝経路に見られる代謝物が挙げられてもよいが、これらに限定されない。
【0027】
トリプトファン/キヌレニン(kyneurenine)代謝経路由来の代謝物としては、トリプトファン、N-アセチルトリプトファン、C-グリコシルトリプトファン、キヌレニン(kynurenine)、N-アセチルキヌレニン、キヌレン酸(kyurenate)、アントラニル酸、3-ヒドキシキヌレニン、キサンツレン酸、およびピコリン酸が挙げられてもよい。
【0028】
アミノ糖代謝経路由来の代謝物としては、フコース、グルクロン酸(glucoronate)、ジアセチルキトビオース、N-アセチルグルコサミン6-硫酸、N-アセチルノイラミン酸、3’-a-シアリル-N-アセチルラクトサミン、6-シアリル-N-アセチルラクトサミン、N-アセチルグルコサミンアスパラギン、エリトロナート、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、およびN-グリコリルノイラミナートが挙げられてもよい。
【0029】
ホスファチジルコリン代謝経路由来の代謝物としては、1,2-ジパルミトイル、1-パルミトイル-2-パルミトレオイル、1-パルミトイル-2-オレオイル、1-パルミトイル-2-アラキドノイル、1-ステアロイル-2-オレオイル、1-ステアロイル-2-リノレオイル、1-ステアロイル-2-アラキドノイル、1-ステアロイル-2-ドコサヘキサエノイル、1-オレオイル-2-リノレオイル、1,2-ジリノレオイルが挙げられてもよい。
【0030】
スフィンゴ脂質代謝経路由来の代謝物としては、パルミトイルジヒドロスフィンゴミエリン、パルミトイルスフィンゴミエリン、ステアロイルスフィンゴミエリン、ベヘノイルスフィンゴミエリン、トリコサノイルスフィンゴミエリン、リグノセロイルスフィンゴミエリン、およびスフィンゴミエリンが挙げられてもよい。
【0031】
プリン代謝経路由来の代謝物としては、イノシン、ヒポキサンチン、キサンチン、キサントシン、N1-メチルイノシン(methlinosine)、尿酸、アラントイン、アラントイン酸、1-メチルヒポキサンチン、アデニン、1-メチルアデニン、アデノシン5’‐一リン酸、アデノシン3’,5’‐環状一リン酸、アデノシン、N1-メチルアデノシン(methylnadenosine)、N6-メチルアデノシン(methyladenosine)、N6-カルバモイルトレオニルアデノシン(carbamolthreonyladenosine)、2’デオキシアデノシン(desixtadenosine)、N6-スクシニルアデノシン、および3-アミノイソブチレートが挙げられてもよい。
【0032】
本発明の一部の実施形態は、尿路結石症を発症する可能性が高いコンパニオンアニマルを特定する方法を提供し、この方法は、トリプトファン/キヌレニン経路代謝物、アミノ糖経路代謝物、ホスファチジルコリン経路代謝物、スフィンゴ脂質経路代謝物および/またはプリン経路代謝物の存在について、コンパニオンアニマルから得られた生体試料を分析することを含み、トリプトファン/キヌレニン経路代謝物、アミノ糖経路代謝物、ホスファチジルコリン経路代謝物、スフィンゴ脂質経路代謝物および/またはプリン経路代謝物の高いレベルは、コンパニオンアニマルが尿路結石症を発症する高い可能性を有することを示す。一部の実施形態において、トリプトファン/キヌレニン経路代謝物は、C-グリコシルトリプトファン、キヌレニン、キヌレン酸(kyurenate)、アントラニル酸、3-ヒドキシキヌレニン、ピコリン酸、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される。他の実施形態において、トリプトファン/キヌレニン経路代謝物は、3-ヒドキシキヌレニンを含む。
【0033】
一部の実施形態において、アミノ糖経路代謝物は、グルクロン酸(glucoronate)、ジアセチルキトビオース、N-アセチルグルコサミン6-硫酸、N-アセチルノイラミン酸、3’-a-シアリル-N-アセチルラクトサミン、6-シアリル-N-アセチルラクトサミン、N-アセチルグルコサミンアスパラギン、エリトロナート、N-グリコリルノイラミナート、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される。
【0034】
一部の実施形態において、ホスファチジルコリン経路代謝物は、1,2-ジパルミトイル(16:0/16:0)、1-パルミトイル-2-オレオイル(16:0/18:1)、1-ステアロイル-2-オレオイル(18:0/18:1)、1-ステアロイル-2-リノレオイル(18:0/18:2)、1-ステアロイル-2-アラキドノイル(18:0/20:4)、1-ステアロイル-2-ドコサヘキサエノイル(18:0/22:6)、1-オレオイル-2-リノレオイル(18:1/18:2)、1,2-ジリノレオイル(18:2/18:2)、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される。
【0035】
他の実施形態において、スフィンゴ脂質経路代謝物は、パルミトイルジヒドロスフィンゴミエリン(d18:0/16:0)、パルミトイルスフィンゴミエリン(d18:1/16:0);ステアロイルスフィンゴミエリン(d18:1/18:0)、ベヘノイルスフィンゴミエリン(d18:1/22:0)、リグノセロイルスフィンゴミエリン(d18:1/24:0)、スフィンゴミエリン(d17:1/16:0、d18:1/15:0、d16:1/17:0)、スフィンゴミエリン(d18:1/20:0、d16:1/22:0)、スフィンゴミエリン(d18:1/24:1、d18:2/24:0)、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される。
【0036】
さらなる実施形態において、プリン経路代謝物は、イノシン、ヒポキサンチン、N1-メチルイノシン、アラントイン、アラントイン酸、1-メチルヒポキサンチン、アデニン、1-メチルアデニン、N1-メチルアデノシン(methylnadenosine)、N6-カルバモイルトレオニルアデノシン、N6-スクシニルアデノシン、3-アミノイソブチレート、およびこれらの二つ以上の組み合わせから選択される。
【0037】
本発明の他の実施形態は、コンパニオンアニマルにおける尿路結石症の発病および/または重症度を遅らせる方法を提供し、この方法は、コンパニオンアニマルからの生体試料において、トリプトファン/キヌレニン経路代謝物、アミノ糖経路代謝物、ホスファチジルコリン経路代謝物、スフィンゴ脂質経路代謝物、および/またはプリン経路代謝物の異常レベルを検出することと、有効量のアルギニンを含む組成物をコンパニオンアニマルに投与することとを含む。一部の実施形態において、異常レベルは、健康なコンパニオンアニマルに見られる代謝物のレベルよりも高い。
【0038】
一部の実施形態において、コンパニオンアニマルは、イヌ科動物およびネコ科動物から選択される。一部の実施形態において、コンパニオンアニマルはネコ科動物である。
【0039】
さらに他の実施形態は、尿路結石症を発症するリスクが高いネコ対象を特定するための方法を提供し、この方法は、(a)ネコ対象から得られた生体試料において、トリプトファン/キヌレニン経路代謝物、アミノ糖経路代謝物、ホスファチジルコリン経路代謝物、スフィンゴ脂質経路代謝物、および/またはプリン経路代謝物の存在を検出することと、(b)(b1)工程(a)で検出したトリプトファン/キヌレニン経路代謝物、アミノ糖経路代謝物、ホスファチジルコリン経路代謝物、スフィンゴ脂質経路代謝物、および/またはプリン経路代謝物のレベルに従って、部分最小二乗判別分析(PLS-DA)を使用して、ネコ対象を健康または結石患者に分類すること、および(b2)結石患者に見られる代謝物と健康なネコ対象の代謝物との比を計算して、ネコ対象の代謝プロファイルを決定することによって、ネコ対象の尿路結石症についての代謝シグネチャを決定することと、(c)ネコ対象が有する尿路結石症のリスクを特定するために、(b2)で計算されたネコ対象の代謝プロファイルを基準代謝プロファイルと比較することであって、健康なネコ対象およびリスクの相対レベルに対応してカットオフ範囲が確立されている結石患者として診断されたネコを含むネコの母集団からのプロファイルの分布分析によって基準代謝プロファイルが決定される、比較することと、(d)代謝プロファイルが尿路結石症のリスクの高いレベルに対応する時、ネコ対象を尿路結石症の代謝シグネチャを有するとして特定することと、を含む。
【0040】
一部の実施形態において、生体試料は尿、唾液、組織、汗、毛から選択される。
【0041】
なおさらなる実施形態は、尿路結石症を発症する高いリスクを有するコンパニオンアニマルを特定するためのキットを提供し、このキットは、生体試料を採取するための容器と、
【0042】
検出方法であって、ELISA、クロマトグラフィー分析(例えば、TLCおよびHPLC)、蛍光タグ、またはそれらの二つ以上の代謝物の組み合わせに特異的な染色から選択される方法と、本明細書に記述される一つまたは二つ以上の代謝物の組み合わせに特異的な予め装填された発色団/抗体を有するポイントオブケア試験装置と、使用説明書と、を含む。
【0043】
一部の実施形態において、検出方法は、試験動物におけるトリプトファン/キヌレニン経路代謝物、アミノ糖経路代謝物、ホスファチジルコリン経路代謝物、スフィンゴ脂質経路代謝物、および/またはプリン経路代謝物の存在を評価するように構成されている。他の実施形態において、使用説明書は、試験動物中の代謝物の存在を、基準動物中の代謝物の存在と比較するように臨床医に指示する。一部の実施形態において、基準動物は健康な動物である。さらなる実施形態において、動物はコンパニオンアニマルである。
【0044】
一部の実施形態において、基準動物における代謝物の存在と比較して、試験動物においてその代謝物のレベルがより高いことが検出される場合、試験動物は尿路結石症を発症する高い可能性を有する。
【0045】
一部の実施形態において、本発明は、本明細書に記述される病態または状態のいずれかを治療するために使用されるペットフード組成物である。好ましい一実施形態において、本発明は、ペットフード組成物を投与することを含む、ペットにおける尿路結石症、腎疾患、または膀胱疾患を治療するための方法である。ペットフード組成物は、高レベルのアルギニン、低レベルのトリプトファン、最適量のタンパク質を含むことが好ましい。
ペットフード組成物はキブルの形態であってもよい。他の実施形態において、ペットフード組成物は、多層キブル、および/またはコーティングを含む多層キブルの形態である。さらに、コーティングはパラタントを含むことが可能である。本明細書で使用される「食味」という用語は、食感、味覚、匂いなど、動物によって感知される食物の様々な特徴のすべてを包含する。ある特定の実施形態において、組成物は対照組成物の食味と等しい食味を有する。
【0046】
ある特定の実施形態において、キブルは押出成形によって形作られる。他の実施形態において、組成物は、ローフ、シチュー、「肉およびグレービー」形態、粥、50%超の含水量を有するシュレッド、および注射器から押し出されることができる製品から選択される形態である。別の実施形態において、本発明は6重量%~約12重量%の水分を含む。
【0047】
一部の実施形態において、キブルは結合剤を含んでもよい。ある特定の実施形態において、結合剤としては、単糖類(グルコース、フルクトース、マンノース、アラビノースなど)、二糖および三糖類(スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ラクツロースなど)、トウモロコシおよびライスシロップ固形分、デキストリン(トウモロコシ、小麦、コメ、タピオカデキストリンなど)、マルトデキストリン、デンプン(コメ、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、タピオカデンプン、または化学変性によって変性されたこれらのデンプンなど)、アルギネート、キトサン、ガム(カラゲーン、アラビアゴムなど)、ポリオール(グリセロール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールなど)、ポリオールのエステル(スクロースエステル、ポリグリコールエステル、グリセロールエステル、ポリグリセロールエステル、ソルビタンエステルなど)、ソルビトール、糖蜜、ハチミツ、ゼラチン、ペプチド、タンパク質および変性タンパク質(ホエイ液、ホエイ粉末、濃縮ホエイ、ホエイ単離物、ホエイタンパク質単離物、高ラクトースホエイ副産物など)、肉ブロス固形物(鶏肉ブロス、鶏肉ブロス固形分など)、大豆タンパク質、卵白、またはこれらの組み合わせのいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
ある特定の実施形態において、結合剤は、脂質および/または脂質誘導体を含むが、これらに限定されない。脂質は、水および/または他の結合剤構成成分と組み合わせて使用することができる。脂質としては、植物性脂肪(大豆油、コーン油、なたね油、オリーブ油、サフラワー油、パーム油、ココナッツ油、パーム核油ならびに部分的および完全に水素化されたその誘導体など)、動物性脂肪ならびに部分的および完全に水素化されたその誘導体、ワックスを挙げることができる。
【0049】
ある特定の実施形態において、本発明は、添加物、ミネラル、ビタミン、炭水化物源、脂肪、タンパク質、追加的な繊維、アミノ酸、カロテノイド、抗酸化物質、脂肪酸、グルコース模倣体、プロバイオティクス、プレバイオティクス、およびその他を含むが、これらに限定されない、追加的な成分を含んでもよい。
【0050】
ペットフード組成物は当技術分野で周知の添加物を含有してもよい。こうした添加物は、本発明によって提供される目的および効果を損なわない量で存在するべきである。添加物の例としては、安定化効果を有する物質、感覚刺激物質、加工助剤、栄養利益を提供する物質が挙げられる。
【0051】
安定化物質は、組成物の貯蔵寿命を延ばす場合がある。適切な例としては、防腐剤、抗酸化剤、協力剤および捕捉剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、湿潤剤を挙げることができる。乳化剤および/または増粘剤の例としては、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、加工デンプンが挙げられる。
【0052】
着色、食味、栄養の目的のための添加物としては、着色剤、塩(塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、その他の食用塩類を含むがこれらに限定されない)、ビタミン、ミネラル、香料を挙げることができる。組成物中のこうした添加物の量は典型的に、(組成物の乾燥物質基準で)最高約5重量%である。他の添加物としては、抗酸化物質、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、植物抽出物、薬草抽出物などを挙げることができる。
【0053】
ある特定の実施形態において、ペットフード組成物は、欠乏を回避し、健康を維持するために必要とされる量でビタミンおよびミネラルを含む。これらの量は当技術分野において容易に入手可能である。アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)は、イヌおよびネコに推奨される、こうした成分の量を提供している(Association of American Feed Control Officials.Official Publication,pp.126-140(2003)を参照のこと)。ミネラルは、石形成の発生率を低減するために、当業者に周知の最適なレベルで具体的に維持される場合がある。
【0054】
ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンB1(チアミンまたは硝酸チアミンなどの関連源)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸、またはパントテン酸カルシウムなどの関連源)、ビタミンB6(ピリドキシン、または塩酸ピリドキシンなどの関連源)、ビタミンB8(葉酸)、ビタミンB12、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(ビタミンD3サプリメントなど)、ビタミンE、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンK、酢酸塩、コリンおよびコリン関連源(塩化コリンなど)、イノシトールを例として挙げることが可能である。
【0055】
ミネラルおよび微量元素としては、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、銅、亜鉛、コリン、鉄塩を例として挙げることが可能である。ミネラル源としては、例えば亜セレン酸ナトリウム、モノナトリウムリン酸塩、炭酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸第一鉄、酸化亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、酸化マンガン、ヨウ化カリウム、および/または炭酸コバルトを挙げることができる。
【0056】
本明細書で使用される「炭水化物」という用語には、加水分解されるとエネルギーとして代謝される多糖類(例えば、デンプン、デキストリン)および糖類(例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、グルコース、フルクトース)が含まれる。本明細書に開示される組成物中に含めるのに適した高炭水化物成分の例としては、トウモロコシ、グレインソルガム、小麦、大麦、コメが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
ある特定の実施形態において、炭水化物構成成分は、一つ以上の炭水化物源の混合物を含む。炭水化物または炭水化物成分の例には、穀類、穀物、トウモロコシ、小麦、コメ、オート麦、ひき割りトウモロコシ、ソルガム、グレインソルガム/ミロ、小麦ブラン、オートブラン、アマランス、デュラム、および/またはセモリナが含まれてもよい。
【0058】
炭水化物源のバランスを適切に取ることによって、当業者は最終製品の食感を操作することができる。例えば、短鎖多糖類は粘り気や糊気が出やすく、長鎖多糖類は短鎖よりも粘り気や糊気が出にくく、このハイブリッド食品の所望の食感は、長鎖多糖類および加工デンプン(天然または加工デンプン、セルロース、これに類するものなど)によって達成される。
【0059】
炭水化物混合物は、添加された塩、スパイス、調味料、ビタミン、ミネラル、風味剤、着色剤、これに類するものなどの任意の成分を追加的に含んでもよい。任意の添加物の量は、動物の異なるライフステージでの栄養要件に少なくとも部分的に依存する。
【0060】
一部の実施形態において、本発明は約5重量%~約25重量%の脂肪を含んでもよい。脂肪または脂肪成分源は、鶏肉脂肪、鶏脂、七面鳥脂肪、豚脂、ラード、獣脂、牛脂、植物油、コーン油、大豆油、綿実油、パーム油、パーム核油、アマニ油、キャノーラ油、なたね油、魚油、ニシン油、アンチョビ油、および/またはオレストラを含んでもよい。
【0061】
一部の実施形態において、本発明は約5重量%~約30重量%のタンパク質を含んでもよい。「タンパク質」という用語は、アミノ酸のポリペプチド、ペプチド、またはポリマーを意味する。この用語は、自然発生的および非自然発生(合成)ポリマーと、人工化学模倣品が一つ以上のアミノ酸に対して置換されているポリマーとを包含する。この用語はまた、同じまたは実質的に同じ特性を有し、かつ元の配列と同じまたは実質的に同じ機能を実施する断片、バリアント、相同体を包含する。用語は、約2~1000、4~800、6~600、および8~400アミノ酸を含有するポリマーを含む、任意の長さのポリマーを包含する。この用語は、合成された、ならびに天然源から単離および精製されたアミノ酸ポリマーを含む。一部の実施形態の下で、「ポリペプチド」、「ペプチド」、または「タンパク質」という用語は互換的に使用される。
【0062】
タンパク質は、植物源、動物源、微生物源、またはこれらの組み合わせを含む、当業者に周知の任意の様々な源によって供給されてもよい。例えば、動物源としては、例えば肉、食肉副産物、海産物、乳製品、卵などが挙げられてもよい。肉としては、例えば鶏肉、魚、哺乳類(ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、これに類するものを含む)などの動物の肉が挙げられてもよい。食肉副産物としては、例えば肺、腎臓、脳、肝臓、胃、腸が挙げられてもよい。植物タンパク質としては、例えば大豆、綿実、ピーナッツが挙げられる。微生物源は、アミノ酸(例えば、リシン、スレオニン、トリプトファン、メチオニン)、または無傷のタンパク質(以下に列挙される源由来のタンパク質など)を合成するために使用されてもよい。
【0063】
タンパク質、またはタンパク質成分の例としては、チキンミール、鶏肉、鶏肉副産物ミール、ラム肉、ラム肉ミール、七面鳥、七面鳥ミール、牛肉、牛肉副産物、内臓、魚粉、腸内物、カンガルー、白身魚、鹿肉、大豆ミール、大豆タンパク質単離物、大豆タンパク質濃縮物、コーングルテンミール、コーンタンパク質濃縮物、蒸留機乾燥穀物および/または蒸留機乾燥穀物溶液、単細胞タンパク質(例えば酵母、藻類、および/または細菌培養物)などを含んでもよい。
【0064】
タンパク質は無傷である、完全に加水分解する、または部分的に加水分解することができる。食品のタンパク質含有量は、当業者に周知の幾つかの方法、例えば公認分析化学者協会(Association of Official Analytical Chemists)がOfficial Methods of Analysis(「OMA」)において公表している988.05法などによって決定することができる。本明細書に開示される組成物中のタンパク質の量は、当業者に知られている方法に従った組成物の窒素の量に基づいて決定されてもよい。
【0065】
アミノ酸の例としては、1-トリプトファン、タウリン、ヒスチジン、カルノシン、アラニン、システイン、アルギニン、メチオニン、トリプトファン、リシン、アスパラギン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、バリン、スレオニン、イソロイシン、ヒスチジン、ロイシン、グリシン、グルタミン、タウリン、チロシン、ホモシステイン、オルニチン、シトルリン、グルタミン酸、プロリン、および/またはセリンを含んでもよい。カロテノイド源としては、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ビキシン、リコピン、および/またはβカロチンが挙げられてもよい。抗酸化剤成分源としては、トコフェロール(ビタミンE)、ビタミンC、ビタミンA、植物由来の材料、カロテノイド(上述)、セレン、および/またはCoQ10(コエンザイムQ10)を含んでもよい。好ましい一実施形態において、ペットフード組成物は、高レベルのアルギニンとその誘導体、および/または低レベルのトリプトファンおよびその誘導体を含有する。別の好ましい実施形態において、ペットフード化合物は、高レベルの多価不飽和脂肪酸(例えば、アルファリノレン酸、アラキドン酸、EPA、DHA)を含有する。
【0066】
脂肪酸成分の例としては、アラキドン酸、アルファ-リノール酸、ガンマ-リノレン酸、リノール酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、および/または魚油(EPAおよび/またはDHA源として)を含んでもよい。グルコース模倣体の源としては、グルコース代謝拮抗物質(2-デオキシ-D-グルコース、5-チオ-D-グルコース、3-O-メチルグルコースを含む)、アンヒドロ糖(1,5-アンヒドロ-D-グルシトール、2,5-アンヒドロ-D-グルシトール、2,5-アンヒドロ-D-マンニトールを含む)、マンノヘプツロース、および/またはマンノヘプツロースを含むアボカド抽出物を含んでもよい。
【0067】
さらに他の成分としては、牛肉ブロス、ビール乾燥酵母、卵、卵製品、ひき割り亜麻、DLメチオニン、アミノ酸、ロイシン、リシン、アルギニン、システイン、シスチン、アスパラギン酸、ポリリン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム;塩化亜鉛、グルコン酸銅、塩化第一スズ、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、トリクロサン、グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸、ミドリイガイ、ムラサキイガイ(blue lipped mussel)、メチルスルホニルメタン(MSM)、ホウ素、ホウ酸、フィトエストロゲン、フィトアンドロゲン、ゲニステイン、ダイゼイン(diadzein)、L-カルニチン、ピコリン酸クロム、トリピコリン酸クロム、ニコチン酸クロム、酸/塩基改質剤、クエン酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、重硫酸ナトリウム;ユーカリ、ラベンダー、ペパーミント、可塑剤、着色剤、風味剤、甘味料、緩衝剤、滑り助剤、担体、pH調整剤、天然成分、安定剤、生物学添加物(酵素(プロテアーゼおよびリパーゼを含む)など)、化学添加物、冷却剤、キレート剤、変性剤、薬物収斂剤、乳化剤、外用沈痛剤、芳香性化合物、湿潤剤、不透明化剤(酸化亜鉛および二酸化チタンなど)、消泡剤(シリコーンなど)、防腐剤(ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、塩化ベンザルコニウム、EDTA、ベンジルアルコール、ソルビン酸カリウム、パラベンならびにこれらの混合物)、還元剤、溶媒、ハイドロトロープ剤、可溶化剤、懸濁剤(非界面活性剤)、溶媒、粘性増加剤(水性および非水性)、捕捉剤、および/または角質溶解剤が挙げられてもよい。
【0068】
プロバイオティック構成成分は、任意の適切な細菌、酵母、微生物、および/または任意のこれらの混合物を含んでもよい。様々なプロバイオティック微生物が当技術分野で周知である。ある特定の実施形態において、プロバイオティック構成成分は、ラクトバシラス目の細菌、バチルス属、バクテロイデス属、および/またはビフィズス菌属の細菌、サッカロミセレス族およびカンジダ属を含むサッカロミセタル目の酵母、および/またはこれらの任意の混合物を含んでもよい。プロバイオティックは胞子を形成してもよく、または形成しなくてもよい。
【0069】
ある特定の実施形態において、ペットフード組成物はポリフェノールを含んでもよい。一部の実施形態において、ポリフェノール源は、エラグ酸、没食子酸、プロトカテク酸、p-ヒドロキシ安息香酸、カテキン、これらの二つ以上の組み合わせから選択されるフェノール化合物を含む。一部の実施形態において、ポリフェノール源は、ピーカン殻、またはピーカンナッツの任意の他の構成要素を含む。ポリフェノールのさらなる源の例としては、茶抽出物、ローズマリー抽出物、ロズマリン酸、コーヒー抽出物、ピーカン殻、コーヒー酸、ターメリック抽出物、ブルーベリー抽出物、ブドウ抽出物、ブドウ種抽出物、および/または大豆抽出物を含んでもよい。
【0070】
ペットフード組成は、当業者に周知の飼料分析のための様々な方法のいずれかによって決定されてもよい。水分、タンパク質、繊維、炭水化物、エネルギー、ビタミン、ミネラル、エネルギー、脂肪、灰分含有量を含む、本明細書に列挙された栄養含有量のいずれかを測定するために、飼料分析を行ってもよい。
【0071】
タンパク質含有量は、当業者に周知の様々な方法のいずれかで測定され、報告されてもよい。タンパク質は、真のタンパク質含有量と非タンパク質窒素の両方を測定するために、粗タンパク質(CP)として報告されてもよい。粗タンパク質含有量は、分解性摂取タンパク質(DIP)と、非分解性摂取タンパク質(UIP)と、代謝性タンパク質(MP)との間でさらに分化されてもよい。ある特定の実施形態において、タンパク質含有量は、熱損傷したタンパク質または不溶性粗タンパク質(ICP)、調整粗タンパク質(ACP)、消化性タンパク質(DP)を含むように分化されてもよい。
【0072】
繊維含有量は、当業者に周知の様々な方法のいずれかで測定され、報告されてもよい。繊維含有量は、総食物繊維(TDF、可溶性および不溶性繊維の組み合わせ)粗繊維(CF)、中性デタージェント繊維(NDF)、酸性デタージェント繊維(ADF)および/または酸性デタージェントリグニン(ADL)として報告されてもよい。粗繊維は、ペットフード組成物に見られる植物材料の不可消化部分を推定することが一般的に知られている。ADFは、植物細胞壁の構成成分であるセルロースおよびリグニンを測定する。NDFは、植物細胞壁に見られる総材料を測定し、またADFとして測定された繊維含有量に加えてヘミセルロースを含む。ADLは、植物細胞壁のリグニン部分のみを測定する。
【0073】
エネルギー含有量は、当業者に周知の様々な方法のいずれかで測定され、報告されてもよい。エネルギー含有量は、可消化エネルギー(DE)、代謝エネルギー(ME)、正味エネルギー(NE)、可消化養分総量(TDN)、エーテル抽出物(EE)、相対飼料価値(RFV)、相対飼料品質(RFQ)として報告されてもよい。
【0074】
ここで、以下の非限定的な実施例によって本発明の実施形態をさらに記述する。
【実施例】
【0075】
43匹のネコから合計92個の尿試料を採取した。尿は、各ネコから60日の期間中に1~3回採取され、採取は30日の間隔を空けて行われた。尿試料をメタノールで分割し、得られた抽出物を5つのアリコートに分割した。
【0076】
43匹のネコのうち、9匹のネコが健康であり、7匹のネコが腎結石患者と診断され、27匹のネコが国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)の慢性腎疾患(CDK)ガイドラインに概説されている通り、ステージ1の腎疾患(IRIS1)と診断された。IRIS1指定の猫は、腎結石の診断を受けていなかった。ネコの診断は、血清クレアチニンおよび対称性ジメチルアルギニン(SDMA)レベルに基づいた。
【0077】
非標的メタボロミクス分析を、凍結尿試料で実施した。群比較は、所与の検体の群平均値を比較することによって行われた。60個の試験された代謝物の部分最小二乗判別分析(PLS-DA)を使用して、個体を「健康」または「結石患者」に分類した。60個の代謝物を使用したPLS-DA分析は、92.4%の分類精度を有した。
【0078】
尿メタボロミクス分析は、5個の異なる代謝経路の検体が、健康なネコおよびIRIS1ネコと比較して、結石患者において有意に増加したことを特定した。具体的に、表1~5(下記)に記述されるデータは、結石患者と健康なIRIS1ネコの間の尿中のトリプトファン/キヌレニン、アミノ糖、ホスファチジルコリン、プリン、スフィンゴ脂質代謝経路からの代謝物における臨床的に有意な差を例示する。
【表1】
【0079】
表1(上記)は、トリプトファン/キヌレニン代謝に伴う尿中の代謝物のレベルを記述する。数値は、示される群間の比(<1または>1)を示す。網掛けしたセルは、群間の臨床的に有意な差(p≦0.5)を示す。
【表2】
【0080】
表2(上記)は、アミノ糖代謝に伴う尿中の代謝物のレベルを記述する。数値は、示される群間の比(<1または>1)を示す。網掛けしたセルは、群間の臨床的に有意な差(p≦0.5)を示す。
【表3】
【0081】
表3(上記)は、ホスファチジルコリン代謝に伴う尿中の代謝物の倍数レベルを記述する。数値は、示される群間の比(<1または>1)を示す。網掛けしたセルは、群間の臨床的に有意な差(p≦0.5)を示す。
【表4】
【0082】
表4(上記)は、スフィンゴ脂質代謝に伴う尿中の代謝物のレベルを記述する。数値は、示される群間の比(<1または>1)を示す。網掛けしたセルは、群間の臨床的に有意な差(p≦0.5)を示す。
【表5】
【0083】
表5(上記)は、プリン代謝に伴う尿中の代謝物のレベルを記述する。数値は、示される群間の比(<1または>1)を示す。網掛けしたセルは、群間の臨床的に有意な差(p≦0.5)を示す。
【0084】
本発明は、本発明の完全な開示を行う目的でかなり詳細に説明されている幾つかの実施形態を参照しながら記述されているが、こうした実施形態は単に例示的であり、本発明のすべての態様の網羅的な列挙を限定または表すことを意図していない。本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲から決定されるべきである。さらに、本発明の精神および原理から逸脱することなく、こうした詳細において数多くの変更がなされうることが当業者に明白であろう。