(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】粉塵抑制剤およびこれを用いた粉塵抑制方法
(51)【国際特許分類】
C09K 3/22 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
C09K3/22 D
C09K3/22 G
(21)【出願番号】P 2022536682
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 KR2020018056
(87)【国際公開番号】W WO2021118258
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】10-2019-0164619
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコホールディングス インコーポレーティッド
(73)【特許権者】
【識別番号】522236084
【氏名又は名称】ミサン イーアンドシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウォンヒ
(72)【発明者】
【氏名】イ,クァン‐ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム,キ‐ハン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン‐ムン
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0065198(US,A1)
【文献】特開2000-096040(JP,A)
【文献】特開2000-096039(JP,A)
【文献】特開昭58-071995(JP,A)
【文献】特開昭57-098579(JP,A)
【文献】特開2016-199621(JP,A)
【文献】特開昭60-260675(JP,A)
【文献】特開平01-188580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰イオン系界面活性剤
25~
40重量%、非イオン系界面活性剤
5~
15重量%、グリコールエーテル
15~
20重量%、および溶媒
30~
40重量%を含
み、
前記陰イオン系界面活性剤は、ナトリウム2-エチルヘキシルスルフェート、ナトリウムヘキシルスルフェート、ナトリウムオクチルスルフェート、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、アンモニウム2-エチルヘキシルスルフェート、アンモニウムヘキシルスルフェート、アンモニウムオクチルスルフェート、およびアンモニウムジオクチルスルホサクシネートのうちの1種以上を含み、
前記非イオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、およびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのうちの1種以上を含み、
前記グリコールエーテルは、ジエチレングリコールジエチルエーテル(diethyleneglycol diethyl ether)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(diethyleneglycol dibutyl ether)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(dipropyleneglycol dimethyl ether)、ジプロピレングリコールジブチルエーテル(dipropyleneglycol dibutyl ether)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(triethylene glycol dimethyl ether)、トリエチレングリコールジエチルエーテル(triethylene glycol diethyl ether)、トリエチレングリコールジブチルエーテル(triethyleneglycol dibutyl ether)、エチレングリコールメチルエーテルアセテート(ethylene glycol methyl ether acetate)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(ethylene glycol monoethyl ether acetate)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ethylene glycol monobutyl ether acetate)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(diethyleneglycol monobutyl ether)、およびジプロピレングリコール(dipropyleneglycol)のうちの1種以上を含むことを特徴とする粉塵抑制剤。
【請求項2】
泡安定剤
3~
5重量%をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の粉塵抑制剤。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の粉塵抑制剤を泡原液形態(Foam Concentrate)で水圧によって水と共に噴射して気泡形態(Foaming)で石炭に噴射することを特徴とする粉塵抑制方法。
【請求項4】
前記粉塵抑制剤1~5重量%および前記水95~99重量%の比率で噴射することを特徴とする請求項
3に記載の粉塵抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉塵抑制剤およびこれを用いた粉塵抑制方法に係り、より詳しくは、バケットによる石炭荷役作業時に飛散する粉塵を吸着し、ホッパーとコンベヤベルトシステムなどの移送過程で追加的な粉塵の発生を抑制すると同時に、冷却作用によって石炭の自動酸化を抑制する多目的石炭粉塵抑制剤およびこれを用いた粉塵抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔性物質の石炭は一般に荷役および移送作業時に粉塵が発生する。
また、石炭は荷役と移送中に空気中の酸素を吸収して酸素と揮発分とが反応して熱が発生する自動酸化現象が発生する。石炭粒子の大きさが小さいほど、表面積が増加し酸素との接触面が拡大するため、粉塵は自動酸化を促進させる。このような自動酸化現象によって発熱し揮発分が揮発して有害ガスによる悪臭が発生する。
石炭を使用する実需要先は荷役と移送作業を経て石炭を貯蔵するが、バケットによる荷役作業時に飛散する粉塵を気泡を形成させて吸着することが第一の重要課題であり、気泡型飛散防止剤の主機能である。
【0003】
しかし、気泡型飛散防止剤は、水対比の表面積を極大化して飛散する粉塵を吸着する方式により飛散する粉塵を低減するが、バケット作業後にホッパーとコンベヤベルトシステムで貯蔵所まで移送時に浸透性の不足による追加的に粉塵の発生を抑制できず、揮発分の自動酸化現象による有害ガスの発生も抑制できない。そのため、粉塵を吸着した気泡が液状に迅速に還元されて石炭の内部に迅速に浸透して追加的な粉塵の発生を抑制させ、冷却作用で自動酸化を抑制して有害ガスの発生を抑制するように浸透性を備えることが第二の重要課題である。
最近、粉炭比率が高くて価格が安い石炭の輸入が増加しており、飛散埃に対する環境規制が強化され、荷役および移送作業時の粉塵を根本的に抑制する粉塵抑制剤の開発の必要性が提起されている。
【0004】
そのため、バケットによる荷役作業時に飛散する粉塵を吸着し、液状になり、迅速に還元されて石炭の内部に浸透して追加的な粉塵の発生を抑制できる多目的粉塵抑制剤の必要性が浮上している。これとともに、荷役および移送作業時に自動酸化で発生する揮発性有害ガスを抑制して悪臭を低減する技術も、石炭実需要先での使用前の石炭管理として必須に要求される技術である。
粉塵抑制剤として、ポリビニルアルコールと界面活性剤を活用して粉塵の飛散を防止する気泡型飛散防止剤が知られている。
【0005】
この飛散防止方法は、ポリビニルアルコール、界面活性剤、添加剤(へキシレングリコール)を主原料として水と混合して気泡形態で噴射して形成された膜が石炭の表面を被覆して粉塵を抑制する方式で、気泡発生により被覆面積を最大化し飛散防止剤の使用量を低減させるだけで、根本的に気泡の粉塵吸着機能に対する性能が考慮されていない。
このような飛散防止剤は、移送作業中に発生する粉塵に対する対応方法ではなく、野積みされた石炭の表面を硬化させて粉塵の発生を抑制するに過ぎない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的とするところは、粉塵抑制剤およびこれを用いた粉塵抑制方法を提供することにある。具体的には、バケットによる石炭荷役作業時に飛散する粉塵を吸着し、ホッパーとコンベヤベルトシステムなどの移送過程で追加的な粉塵の発生を抑制すると同時に、冷却作用によって石炭の自動酸化を抑制する多目的石炭粉塵抑制剤およびこれを用いた粉塵抑制方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粉塵抑制剤は、陰イオン系界面活性剤10~60重量%、非イオン系界面活性剤1~30重量%、グリコールエーテル10~30重量%、および溶媒20~50重量%を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の粉塵抑制剤は、泡安定剤0.1~10重量%をさらに含むことがよい。
陰イオン系界面活性剤は、ナトリウム2-エチルヘキシルスルフェート、ナトリウムヘキシルスルフェート、ナトリウムオクチルスルフェート、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、アンモニウム2-エチルヘキシルスルフェート、アンモニウムヘキシルスルフェート、アンモニウムオクチルスルフェート、およびアンモニウムジオクチルスルホサクシネートのうちの1種以上を含むことができる。
非イオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、およびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのうちの1種以上を含むことができる。
【0009】
グリコールエーテルは、ジエチレングリコールジエチルエーテル(diethyleneglycol diethyl ether)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(diethyleneglycol dibutyl ether)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(dipropyleneglycol dimethyl ether)、ジプロピレングリコールジブチルエーテル(dipropyleneglycol dibutyl ether)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(triethylene glycol dimethyl ether)、トリエチレングリコールジエチルエーテル(triethylene glycol diethyl ether)、トリエチレングリコールジブチルエーテル(triethyleneglycol dibutyl ether)、エチレングリコールメチルエーテルアセテート(ethylene glycol methyl ether acetate)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(ethylene glycol monoethyl ether acetate)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ethylene glycol monobutyl ether acetate)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(diethyleneglycol monobutyl ether)、およびジプロピレングリコール(dipropyleneglycol)のうちの1種以上を含むことが好ましい。
【0010】
本発明の粉塵抑制方法は、粉塵抑制剤を泡原液形態(Foam Concentrate)で水圧によって水と共に噴射して気泡形態(Foaming)で石炭に噴射することを特徴とする。
粉塵抑制剤1~5重量%および前記水95~99重量%の比率で噴射することがよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、少量の粉塵抑制剤でポンプの動力なしに水圧だけで気泡を形成して、飛散する粉塵を吸着することができる。
また、粉塵を吸着した気泡が液状に還元されて石炭の内部に浸透して、追加的な粉塵の発生を抑制する効果がある。
また、粉塵抑制剤が石炭に迅速に浸透しながら冷却作用で揮発分の自動酸化を抑制できるため、移送作業時の悪臭の発生を低減する効果がある。
さらに、石炭の飛散する粉塵を抑制し、追加的な粉塵の発生を抑制すると同時に、自動酸化による悪臭の発生も低減できるため、粉炭比率が高くて価格が安い石炭を環境問題なしに使用することが可能で、経済的な石炭を購入して安全かつ環境に配慮した石炭の管理をすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで使用される専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。ここで使用される単数形態は、文言がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外させるわけではない。
ある部分が他の部分の「上に」あると言及する場合、これは、直に他の部分の上にあるか、その間に他の部分が伴ってもよい。対照的に、ある部分が他の部分の「真上に」あると言及する場合、その間に他の部分が介在しない。
【0013】
他に定義しないが、ここに使用される技術用語および科学用語を含むすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。通常使用される辞書に定義された用語は、関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を有すると追加解釈され、定義されない限り、理想的または非常に公式的な意味で解釈されない。
また、特に言及しない限り、%は、重量%を意味し、1ppmは、0.0001重量%である。
本発明の一実施例において、成分に追加元素をさらに含むとの意味は、追加元素の追加量だけ残部の元素を代替して含むことを意味する。
以下、本発明の実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0014】
本発明の一実施例による粉塵抑制剤は、陰イオン系界面活性剤10~60重量%、非イオン系界面活性剤1~30重量%、グリコールエーテル10~30重量%、および溶媒20~50重量%を含む。本発明の一実施例による粉塵抑制剤は、上記の成分構成および配合比率によって疎水性部分の炭素基が石炭表面に吸着し、親水性部分およびグリコール基が水酸基部分に親和して石炭表面の界面張力を低減させる。これは石炭と水との吸着力を高めて石炭が水を迅速に含侵させることによって、微細石炭分子の重量を高めて追加的な粉塵の発生を抑制する。また、前記浸透性による追加的な粉塵の発生抑制は、水分が蒸発された後も特有のかたまり現象(ケーキング)が起き、これが残存して、一定期間粉塵の発生を抑制する。
以下、各成分別に具体的に説明する。
【0015】
粉塵抑制剤は、陰イオン系界面活性剤を10~60重量%含む。
陰イオン系界面活性剤は、非イオン系界面活性剤と共に浸透性を向上させる。陰イオン系界面活性剤が過度に少なく含まれると、粉塵抑制剤の浸透性および起泡性を適切に確保できない。陰イオン系界面活性剤が過度に多く含まれると、粉塵抑制剤の粉塵吸着性が低下する。より具体的には、陰イオン系界面活性剤を20~40重量%含むことがよい。
【0016】
陰イオン系界面活性剤は、ナトリウム2-エチルヘキシルスルフェート、ナトリウムヘキシルスルフェート、ナトリウムオクチルスルフェート、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、アンモニウム2-エチルヘキシルスルフェート、アンモニウムヘキシルスルフェート、アンモニウムオクチルスルフェート、およびアンモニウムジオクチルスルホサクシネートのうちの1種以上を含むことができる。より具体的には、ナトリウムジオクチルスルホサクシネートを含むことが好ましい。
【0017】
粉塵抑制剤は、非イオン系界面活性剤を1~30重量%含む。非イオン系界面活性剤は、陰イオン系界面活性剤と共に浸透性を向上させる。非イオン系界面活性剤が過度に少なく含まれると、粉塵抑制剤の浸透性を適切に確保できない。非イオン系界面活性剤が過度に多く含まれると、粉塵抑制剤の粉塵吸着性が低下する。より具体的には、非イオン系界面活性剤を5~15重量%含むことがよい。
非イオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、およびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのうちの1種以上を含むことができる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含むことが好ましい。
【0018】
粉塵抑制剤は、グリコールエーテルを10~30重量%含む。グリコールエーテルは、粘度を低下させて組成物の構成成分間の結合力を高め、また、使用可能期間を増加させて水分乾燥効率を向上させる機能を果たす。グリコールエーテルが過度に少なく含まれると、上記の役割を適切に果たせない。グリコールエーテルが過度に多く含まれると、気泡形成に問題が発生する虞がある。より具体的には、グリコールエーテルを15~25重量%含むことが好ましい。
【0019】
グリコールエーテルは、ジエチレングリコールジエチルエーテル(diethyleneglycol diethyl ether)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(diethyleneglycol dibutyl ether)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(dipropyleneglycol dimethyl ether)、ジプロピレングリコールジブチルエーテル(dipropyleneglycol dibutyl ether)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(triethylene glycol dimethyl ether)、トリエチレングリコールジエチルエーテル(triethylene glycol diethyl ether)、トリエチレングリコールジブチルエーテル(triethyleneglycol dibutyl ether)、エチレングリコールメチルエーテルアセテート(ethylene glycol methyl ether acetate)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(ethylene glycol monoethyl ether acetate)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ethylene glycol monobutyl ether acetate)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(diethyleneglycol monobutyl ether)、およびジプロピレングリコール(dipropyleneglycol)のうちの1種以上を含むことができる。より具体的には、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(diethyleneglycol monobutyl ether)を含むことができる。
【0020】
グリコールエーテルのほか、グリコール化合物を追加的に含むことができる。具体的には、プロピレングリコールおよびブチルジグリコールのうちの1種以上を追加的に含むことができる。これらを追加的に含む場合、その合量で1~10重量%さらに含むことが好ましい。
粉塵抑制剤は、溶媒を20~50重量%含む。溶媒を含むことによって、安定的に水溶性と分散性に優れた形態で粉塵抑制剤を作ることができる。
【0021】
上記の成分のほか、粉塵抑制剤は、泡安定剤を0.1~10重量%含むことができる。泡安定剤の例としては、グリセリン(Glycerin)、グリセリルグルコシド(Glyceryl Glucoside)、ポリオキシエチレンメチルグルセス(Polyoxyethylene Methyl Gluceth)、ベタイン(Betaine)系両性界面活性剤およびアルキルアルコール(Alkyl Alcohol)のうちの1種以上からなることができる。泡安定剤を追加することによって、気泡をさらに安定的に形成することができる。
【0022】
本発明の一実施例による粉塵抑制方法は、粉塵抑制剤を泡原液形態(Foam Concentrate)として水圧によって水と共に噴射して気泡形態(Foaming)で石炭に噴射する。
泡原液は、水と混合して泡(バブル)を発生させる水溶性の機能性薬剤(製品)をいい、前記泡原液は、水溶性の泡原液形態に作られた粉塵抑制剤で、粉塵抑制剤と水との混合時に泡(バブル)を発生させる。本発明の一実施例による粉塵抑制剤は、水溶性泡原液形態の製品であって、水と混合して粉塵抑制剤水溶液を作ることができ、このようにしてはじめて、泡倍率だけ体積を拡大して泡形態で多量の石炭に均等に分散および塗布することができる。
このように、本発明の一実施例において、粉塵抑制剤を水溶性の泡原液形態に作ったのは、粉塵抑制剤の有効物質を適正な濃度(ppm)でできるたけすべての有煙炭に均等に分散および塗布するためである。
【0023】
ここで、本発明の一実施例による粉塵抑制剤は、水と混合して泡をよく発生させることが目的であるが、空気が共に混合されると泡はより良く発生し、これによって粉塵抑制剤を石炭に均等に分散および塗布することができる。
つまり、粉塵抑制剤に空気を人為的に混合させなくても、水の水圧によって空気が供給されるため、泡倍率の範囲内で空気が水と共に混合されるので、泡を発生させる。より良い泡をより多く発生させ、より永く維持させるためには、コンプレッサなどにより空気を混合することもできる。
【0024】
粉塵抑制剤1~5重量%および水95~99重量%の比率で噴射することが好ましい。粉塵抑制剤が少なすぎる場合、飛散する粉塵の吸着性が減少して、機能が低下する虞がある。粉塵抑制剤が多すぎる場合、経済性が低下する。より具体的には、粉塵抑制剤1~3重量%および水97~99重量%の比率で噴射することがよい。
本発明の実施例によれば、前記粉塵抑制剤を噴射された石炭には、湿気のない乾燥状態になっても特有のかたまり現象(ケーキング)が発生して、飛散する粉塵を最小化させる効果を示す。このような特徴は、既存の気泡型飛散防止剤には見られない本発明の特有の界面活性化合物の組み合わせによる現象で、実需要先での散水作業がなくても使用前の石炭を長期保管できる。
【0025】
以下、本発明の好ましい実施例および比較例について説明する。しかし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
実施例
下記表1に記載の成分を記載された比率で混合して粉塵抑制剤を製造した。容器に各粉塵抑制剤1重量%の水溶液を250mlずつ注いだ後に、100meshの粉末状の石炭2.5gを容器に入れて、石炭が水溶液に沈降する時間を測定して、下記表1にまとめた。
また、乾燥後の粉塵抑制性評価のために、皿状容器に石炭をそれぞれ50g置いた状態で、粉塵抑制剤1重量%の水溶液を各10mlずつ噴射し乾燥させた後の状態を測定して、下記表1にまとめた。
【0026】
【0027】
表1に示したとおり、陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、グリコールエーテルを適切に含む実施例1~3は、粉末状石炭の沈降時間が短く、かたまり現象が発生したことを確認された。
つまり、本発明の一実施例による粉塵抑制剤水溶液を噴射した石炭は、粉塵の発生が抑制されることが確認された。また、粉塵抑制剤が長期間粉塵の発生を抑制する特性を有することを確認された。
【0028】
これに対し、陰イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤が添加されなかった比較例1及び2は、粉末状石炭の沈降時間が長く、浸透性が実施例1~3に比べて劣ることを確認できた。
一方、商用のF500は、浸透性が実施例1~3に比べて劣るだけでなく、かたまり現象も発生せず、長期間粉塵の発生を抑制しにくいことが確認された。
【0029】
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造可能であり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。そのため、上記の実施例はあらゆる面で例示的であり、限定的ではないと理解しなければならない。