(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ペットフード組成物
(51)【国際特許分類】
A23K 50/40 20160101AFI20240118BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20240118BHJP
A23K 10/37 20160101ALI20240118BHJP
A23K 20/111 20160101ALI20240118BHJP
【FI】
A23K50/40
A23K10/30
A23K10/37
A23K20/111
(21)【出願番号】P 2022539122
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(86)【国際出願番号】 US2020065277
(87)【国際公開番号】W WO2021133602
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-24
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ジュエル、デニス
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】チェコ国実用新案第33069(CZ,U1)
【文献】特開2004-8098(JP,A)
【文献】特表2019-500047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード組成物であって、
前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、
15%~25%の中性デタージェント繊維(NDF)および
10%~20%の粗繊維を含む繊維複合体
と、
15%~20%のタンパク質と、
10%~14%の脂肪と、
を含み、NDFと粗繊維の重量比が、少なくと
も3:2である、ペットフード組成物。
【請求項2】
前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、
21%のNDFを含む、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、
13%の粗繊維を含む、請求項1または請求項2に記載のペットフード組成物。
【請求項4】
前記繊維複合体が55%~65%のNDFを含む、請求項1~3のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項5】
前記繊維複合体がピーカン繊維、ビートパルプおよび/またはクランベリー搾りかすを含む、請求項1~4のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項6】
前記
ペットフード組成物が、前記ペットフード組成物の
総重量に基づいて
、25%超
の繊維複合体を含む、請求項1~
5のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項7】
抗炎症剤をさらに含み、前記抗炎症剤が、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、クローブ、ショウガ、ローズマリー、パプリカ、ベリー(例えば、ブルーベリー)、これらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項1~6のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項8】
前記繊維複合体が、満腹を誘発する、循環リポ多糖類を低減する、炎症を減少させる、または抗炎症性サイトカインを増加させ
る、請求項1~7のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項9】
前記抗炎症性サイトカインが、インターロイキン-1受容体拮抗薬(IL-1ra)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-11(IL-11)、インターロイキン-13(IL-13)、形質転換増殖因子-ベータ(TGF-β)、これらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項8に記載のペットフード組成物。
【請求項10】
前記サイトカインがIL-10である、請求項9に記載のペットフード組成物。
【請求項11】
コンパニオンアニマルにおいて肥満を伴う症状を治療、予防、または改善するための方法であって、請求項1~1
0のいずれかに記載のペットフード組成物を、これを必要とするコンパニオンアニマルに投与することを含み、前記肥満を伴う前記症状が、関節痛、炎症、嗜眠から選択される、方法。
【請求項12】
コンパニオンアニマルにおける膵臓ペプチドを増加させる方法であって、請求項1~1
0のいずれか一項に記載のペットフード組成物を、これを必要とするコンパニオンアニマルに投与することを含む、方法。
【請求項13】
コンパニオンアニマルにおけるグレリンを減少させる方法であって、請求項1~1
0のいずれか一項に記載のペットフード組成物を、これを必要とするコンパニオンアニマルに投与することを含む、方法。
【請求項14】
代謝性エンドトキシン血症を治療、予防、または発症リスクを低減する方法であって、請求項1~1
0のいずれか一項に記載のペットフード組成物を、これを必要とするコンパニオンアニマルに投与することを含む、方法。
【請求項15】
前記コンパニオンアニマルが、イヌ科動物およびネコ科動物から選択される、請求項1
1~
14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
肥満は、ペットにおける問題のある状態であり、炎症および代謝性エンドトキシン血症などの多くの健康問題と関連している。肥満の一つの原因は、満腹の欠如による過食である。このような様態で引き起こされる肥満の治療は、困難であることが証明されている。ペットは、体重の減少と脂肪の喪失を達成し、肥満体からよりスリムで健康な体に移行するのに相当な時間を要する。この期間を短縮する治療計画は、特に治療が、ペットの全般的な満腹や、代謝性エンドトキシン血症および炎症などの肥満に関連する二次的状態を改善した場合に、ペットおよび飼い主にとって非常に有益であろう。
【0002】
現在の研究は、ペットとミクロビオームの関係の改善が、ペットの肥満および後続の肥満関連状態の改善を助けることを示し始めている。
【0003】
それ故に、当技術分野において、満腹を維持しながら脂肪の喪失を増加させることによって肥満の管理を支援し、また代謝性エンドトキシン血症を含む肥満関連状態を改善し、炎症を低減する、ペットフードのニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一部の実施形態は、NDFと粗繊維を重量比約2:1で含む、ペットフード組成物を提供する。他の実施形態において、NDFと粗繊維を重量比約4:1で含む、ペットフード組成物を提供する。ある特定の実施形態において、食物繊維は、ひき割りソバ、ひき割りオート麦、ピーカン繊維、オート麦ぬか、ビート、セルロースから成る群から選択される。ある特定の実施形態において、総食物繊維は30%超である。
【0005】
さらなる実施形態において、NDFは組成物の20重量%超であり、および/または粗繊維は組成物の約11重量%~約20重量%である。一部の実施形態において、ペットフード組成物は、約21%のNDFと約13%の粗繊維とを含む。本発明のさらにさらなる実施形態は、約15%~約20%のタンパク質、約10%~約14%の脂肪、および/または約6%~約12%の水分を含む。
【0006】
一部の実施形態において、本発明は動物飼料および繊維束を含む。繊維束は、ペットフード組成物の約10重量%~約50重量%の濃度であってもよい。一部の実施形態において、動物飼料は市販のペットフードである。本発明の組成物は、繊維束と動物飼料の重量比約1:1~約1:10を含んでもよい。
【0007】
本発明のある特定の実施形態は、脂肪喪失および満腹の増加と、代謝性エンドトキシン血症および炎症を含むがこれに限定されない肥満関連状態の減少とによって、動物における肥満を予防または治療する方法を提供しうる。本方法は、本明細書に記載の組成物のいずれか一つを、これを必要とするコンパニオンアニマルに投与することを含んでもよい。本発明の一部の実施形態において、ペットの食物摂取量は制限されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態による例示的なペットフード製剤を図示する。
【0009】
【
図2】
図2は、実施例1の時間制御を示すデータを図示する。
【0010】
【
図3】
図3は、実施例1の両方の相を通して炎症性アラキドン酸塩の減少を示すデータを図示する。
【0011】
【
図4】
図4は、本発明の例示的な組成物によって提供されるエンドトキシン血症状態の改善を示すデータを図示する。
【0012】
【
図5】
図5は、抗炎症性サイトカインIL-10の増加を示すデータを図示する。
【0013】
【
図6】
図6は、炎症誘発性サイトカインMCP-1の減少を示すデータを図示する。
【0014】
【
図7】
図7は、満腹ホルモン膵臓ペプチドの増加を示すデータを図示する。
【0015】
【
図8】
図8は、空腹ホルモングレリンの減少を示すデータを図示する。
【0016】
【
図9】
図9は、総体重の減少を示すデータを図示する。
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、例えば宿主循環中の腸内細菌性炎症性エンドトキシンの減少および/または宿主炎症の減少による、肥満および肥満関連状態の管理を支援する、ペットフードの組成物および後続の方法に部分的に関する。
【0019】
好ましい実施形態(複数可)の以下の記述は、本質的に単に例示的であり、またいかなる点においても本発明を限定するように意図されていない。例示的な実施形態の記述は、添付図面に関連して読まれることが意図されていて、該添付図面は、書かれた説明書全体の一部と考えられるべきである。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その(the)」は、文脈が別様を規定しない限り、複数の参照を含む。成分の任意のクラスの単数形は、そのクラス内の一つの化学種を指すだけでなく、それらの化学種の混合物も指し、例えば単数形の「タンパク質」という用語は、その各々もまたタンパク質であると考えられる化合物の混合物を指す場合がある。「一つの(a)」(または「一つの(an)」)、「一つ以上の」、「少なくとも一つの」という用語は、本明細書において互換的に使用される場合がある。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語は、互換的に使用される場合がある。「含む(include)」という用語は、「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきである。「含む(including)」という用語は、「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきである。
【0021】
全体を通して使用されている通り、範囲は、その範囲内にあるありとあらゆる値を記述するための省略表現として使用される。範囲内の任意の値を、その範囲の末端として選択することができる。加えて、本明細書で引用されるすべての参照文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示における定義と、引用された参照文献における定義に矛盾がある場合、本開示が支配する。
【0022】
本明細書で使用される「ペット」という用語は、「コンパニオンアニマル」という用語と互換的に使用することが可能であり、またイヌ(Canis familiaris)およびネコ(Felis domesticus)を含む、ペットとして飼い主によって飼われる任意の種の動物、またはペットとして広く家畜化されてきた様々な種の任意の動物を指す。それ故に、ペットとしては、作業犬、ペットのイヌ、齧歯動物駆除のために飼われるネコ(すなわち、農場猫)、ペットのネコ、フェレット、鳥、爬虫類、ウサギ、魚が挙げられてもよいが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書で使用される「繊維」という用語は、「食物繊維」または「総食物繊維」と互換的に使用することが可能であり、可溶性繊維、または不溶性繊維、またはその両方の組み合わせを指す場合がある。食物繊維とは、動物の消化酵素による消化に耐性を有する植物の構成要素を意味する。
【0024】
本明細書で使用される「可溶性繊維」という用語は、消化中に水を引き寄せ、栄養素吸収の速度を遅くする食物繊維を指す。可溶性繊維は、小腸での消化および吸収に対して耐性があり、かつ大腸で完全にまたは部分的に発酵されるものであり、オートブラン、種、マメ、ある特定の果物および野菜(ビートパルプ、グアーガム、チコリーの根、オオバコ、ペクチン、ブルーベリー、クランベリー、カボチャ、リンゴ、オート麦、マメ、柑橘類、大麦、エンドウなど)を含む、多様な植物源に典型的に見いだされる。用語は、当業者に明らかであるように、本明細書に開示される組成物に適した可溶性繊維の任意の源を包含する。
【0025】
不溶性繊維は、セルロース、全粒小麦製品、小麦、オート麦、トウモロコシふすま、亜麻仁、ブドウ、セロリ、インゲン豆、カリフラワー、ジャガイモの皮、果物の皮、野菜の皮、落花生殻、大豆繊維を含む任意の種々の源から供給されうる。
【0026】
粗繊維としては、穀物(例えば小麦、オート麦、コメ、トウモロコシ、マメなどの穀物の殻)などの植物の細胞壁および細胞含有物に含有される難消化性構成要素が挙げられる。
【0027】
繊維源の例としては、リンゴ、リンゴ搾りかす、大麦、マメ、ビート、ビートパルプ、乾燥ビート繊維(糖分を除去)、ベータグルカン、ブルーベリー、カリフラワー、カラゲナン、還元デンプン、セロリ、セルロース、a-セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヘミセルロース、チコリーの根、キチン、柑橘類、柑橘類パルプ、柑橘類繊維、柑橘類ペクチン、クランベリー、トウモロコシ、トウモロコシふすま、繊維抽出物、繊維誘導体、亜麻仁、ブドウ、アオマメ、グアールガム、キサンタンガムアルギン酸塩、アラビアゴム、タルハガム、イヌリン、リグニン、オート麦、オート麦繊維、小麦オート麦ペクチン、ピーナッツ殻、ピーカン殻、ジャガイモ、ジャガイモの皮、オオバコ、カボチャ、全粒小麦製品、大豆、大豆繊維、果物の皮、野菜の皮、ガラクトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ラクツロース、マンナンオリゴ糖、ポリデキストロース、ペクチンオリゴ糖、大豆オリゴ糖、オリゴデキストラン、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、デンプン由来のオリゴ誘導体、および/または非デンプン多糖類を含んでもよい。
本明細書で使用される「食味(嗜好;palatability)」という用語は、食感、味覚、匂いなど、動物によって感知される食物の様々な特徴のすべてを包含する。ある特定の実施形態において、組成物は対照組成物の食味と等しい食味を有する。
【0028】
「プロバイオティク」は、ペットが消費するのに適し、かつペットの胃腸管の微生物バランスを改善するのに有効であり、またはペットにとっての他の利益(例えば疾患もしくは病状の軽減または予防など)のための任意の微生物を指す場合がある。
【0029】
本明細書で使用される「キブル」という用語は典型的に、12重量%未満の水分または水を含有する、イヌおよびネコの飼料などの動物飼料の粒子状ペレット様成分を含む。キブルは硬質から軟質までの範囲の質感であってよく、および/または拡張構造から密集構造にいたる内部構造を有してよい。キブルは押出成形プロセスによって形成されうる。非限定的な実施例において、キブルは、コアおよびコーティングから形成されて、コーティングされたキブルを形成することができ、これはコーティングされたキブルとも呼ばれる。「キブル」という用語が使用される時、キブルはコーティングされていないキブルまたはコーティングされたキブルを指すことができることを理解するべきである。
【0030】
一部の実施形態において、ペットフード組成物はキブルの形態である。他の実施形態において、ペットフード組成物は、多層キブル、および/またはコーティングを含む多層キブルの形態である。さらに、コーティングはパラタントを含むことが可能である。ある特定の実施形態において、キブルは押出成形によって形作られる。他の実施形態において、組成物は、ローフ、シチュー、「肉およびグレービー」形態、粥、50%超の含水量を有するシュレッド、および注射器から押し出されることができる製品から選択される形態である。別の実施形態において、本発明は6重量%~約12重量%の水分を含む。
【0031】
一部の実施形態において、キブルは結合剤を含んでもよい。ある特定の実施形態において、結合剤としては、単糖類(グルコース、フルクトース、マンノース、アラビノースなど)、二糖および三糖類(スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ラクツロースなど)、トウモロコシおよびライスシロップ固形分、デキストリン(トウモロコシ、小麦、コメ、タピオカデキストリンなど)、マルトデキストリン、デンプン(コメ、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、タピオカデンプン、または化学変性によって変性されたこれらのデンプンなど)、アルギネート、キトサン、ガム(カラゲーン、アラビアゴムなど)、ポリオール(グリセロール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールなど)、ポリオールのエステル(スクロースエステル、ポリグリコールエステル、グリセロールエステル、ポリグリセロールエステル、ソルビタンエステルなど)、ソルビトール、糖蜜、ハチミツ、ゼラチン、ペプチド、タンパク質および変性タンパク質(ホエイ液、ホエイ粉末、濃縮ホエイ、ホエイ単離物、ホエイタンパク質単離物、高ラクトースホエイ副産物など)、肉ブロス固形物(鶏肉ブロス、鶏肉ブロス固形分など)、大豆タンパク質、卵白、またはこれらの組み合わせのいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
ある特定の実施形態において、結合剤は、脂質および/または脂質誘導体を含むが、これらに限定されない。脂質は、水および/または他の結合剤構成成分と組み合わせて使用することができる。脂質としては、植物性脂肪(大豆油、コーン油、なたね油、オリーブ油、サフラワー油、パーム油、ココナッツ油、パーム核油ならびに部分的および完全に水素化されたその誘導体など)、動物性脂肪ならびに部分的および完全に水素化されたその誘導体、ワックスを挙げることができる。
【0033】
ある特定の実施形態において、本発明は、添加物、ミネラル、ビタミン、炭水化物源、脂肪、タンパク質、追加的な繊維、アミノ酸、カロテノイド、抗酸化物質、脂肪酸、グルコース模倣体、プロバイオティクス、プレバイオティクス、その他を含むがこれらに限定されない、追加的な成分を含んでもよい。
【0034】
ペットフード組成物は当技術分野で周知の添加物を含有してもよい。こうした添加物は、本発明によって提供される目的および効果を損なわない量で存在するべきである。添加物の例としては、安定化効果を有する物質、感覚刺激物質、加工助剤、栄養利益を提供する物質が挙げられる。
【0035】
安定化物質は、組成物の貯蔵寿命を延ばす場合がある。適切な例としては、防腐剤、抗酸化剤、協力剤および捕捉剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、湿潤剤を挙げることができる。乳化剤および/または増粘剤の例としては、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、加工デンプンが挙げられる。
【0036】
着色、食味、栄養の目的のための添加物としては、着色剤、塩(塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、その他の食用塩類を含むがこれらに限定されない)、ビタミン、ミネラル、香料を挙げることができる。組成物中のこうした添加物の量は典型的に、(組成物の乾燥物質基準で)最高約5重量%である。他の添加物としては、抗酸化物質、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、植物抽出物、薬草抽出物などを挙げることができる。
【0037】
ある特定の実施形態において、ペットフード組成物は、欠乏を回避し、健康を維持するために必要とされる量でビタミンおよびミネラルを含む。これらの量は当技術分野において容易に入手可能である。アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)は、イヌおよびネコに推奨される、こうした成分の量を提供している(Association of American Feed Control Officials.Official Publication,pp.126-140(2003)を参照のこと)。
【0038】
ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンB1(チアミンまたは硝酸チアミンなどの関連源)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、 ビタミンB5(パントテン酸、またはパントテン酸カルシウムなどの関連源)、ビタミンB6(ピリドキシン、または塩酸ピリドキシンなどの関連源)、ビタミンB8(葉酸)、ビタミンB12、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(ビタミンD3サプリメントなど)、ビタミンE、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンK、酢酸塩、コリンおよびコリン関連源(塩化コリンなど)、イノシトールを例として挙げることが可能である。
【0039】
ミネラルおよび微量元素としては、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、銅、亜鉛、コリン、鉄塩を例として挙げることが可能である。ミネラル源としては、例えば亜セレン酸ナトリウム、モノナトリウムリン酸塩、炭酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸第一鉄、酸化亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、酸化マンガン、ヨウ化カリウム、および/または炭酸コバルトを挙げることができる。
【0040】
本明細書で使用される「炭水化物」という用語には、加水分解されるとエネルギーとして代謝される多糖類(例えば、デンプン、デキストリン)および糖類(例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、グルコース、フルクトース)が含まれる。本明細書に開示される組成物中に含めるのに適した炭水化物の例としては、トウモロコシ、グレインソルガム、小麦、大麦、コメが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
ある特定の実施形態において、炭水化物構成成分は、一つ以上の炭水化物源の混合物を含む。炭水化物または炭水化物成分の例としては、穀類、穀物、トウモロコシ、小麦、コメ、オート麦、ひき割りトウモロコシ、ソルガム、グレインソルガム/ミロ、小麦ブラン、オートブラン、アマランス、デュラム、および/またはセモリナを含んでもよい。
【0042】
炭水化物源のバランスを適切に取ることによって、当業者は最終製品の食感を操作することができる。例えば、短鎖多糖類は粘り気や糊気が出やすく、長鎖多糖類は短鎖よりも粘り気や糊気が出にくく、このハイブリッド食品の所望の食感は、長鎖多糖類および加工デンプン(天然または加工デンプン、セルロース、これに類するものなど)によって達成される。
【0043】
炭水化物混合物は、添加された塩、スパイス、調味料、ビタミン、ミネラル、風味剤、着色剤、これに類するものなどの任意の成分を追加的に含んでもよい。任意の添加物の量は、動物の異なるライフステージでの栄養要件に少なくとも部分的に依存する。
【0044】
一部の実施形態において、本発明は約10重量%~約14重量%の脂肪を含んでもよい。脂肪または脂肪成分源としては、鶏肉脂肪、鶏脂、七面鳥脂肪、豚脂、ラード、獣脂、牛脂、植物油、コーン油、大豆油、綿実油、パーム油、パーム核油、アマニ油、キャノーラ油、なたね油、魚油、ニシン油、アンチョビ油、および/またはオレストラを含んでもよい。
【0045】
一部の実施形態において、本発明は約15重量%~約20重量%のタンパク質を含んでもよい。「タンパク質」という用語は、アミノ酸のポリペプチド、ペプチド、またはポリマーを意味する。この用語は、自然発生的および非自然発生(合成)ポリマーと、人工化学模倣品が一つ以上のアミノ酸に対して置換されているポリマーとを包含する。この用語はまた、同じまたは実質的に同じ特性を有し、かつ元の配列と同じまたは実質的に同じ機能を実施する断片、バリアント、相同体を包含する。この用語は、約2~1000、4~800、6~600、8~400のアミノ酸を含有するポリマーを含む、任意の長さのポリマーを包含する。この用語は、合成された、ならびに天然源から単離および精製されたアミノ酸ポリマーを含む。一部の実施形態において、「ポリペプチド」、「ペプチド」、または「タンパク質」という用語は互換的に使用される。
【0046】
タンパク質は、植物源、動物源、またはその両方を含む、当業者に周知の任意の様々な源によって供給されてもよい。例えば、動物源としては、例えば肉、食肉副産物、海産物、乳製品、卵などが挙げられてもよい。肉としては、例えば鶏肉、魚、哺乳類(ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、これに類するものを含む)などの動物の肉が挙げられてもよい。食肉副産物としては、例えば肺、腎臓、脳、肝臓、胃、腸が挙げられてもよい。植物タンパク質としては、例えば大豆、トウモロコシ、コメ、綿実、ピーナッツが挙げられる。
【0047】
タンパク質、またはタンパク質成分の例としては、チキンミール、鶏肉、鶏肉副産物ミール、ラム肉、ラム肉ミール、七面鳥、七面鳥ミール、牛肉、牛肉副産物、内臓、魚粉、腸内物、カンガルー、白身魚、鹿肉、大豆ミール、大豆タンパク質単離物、大豆タンパク質濃縮物、コーングルテンミール、コーンタンパク質濃縮物、蒸留機乾燥穀物および/または蒸留機乾燥穀物溶液、単細胞タンパク質(例えば酵母、藻類、および/または細菌培養物)などを含んでもよい。
【0048】
タンパク質は無傷である、完全に加水分解する、または部分的に加水分解することができる。食品のタンパク質含有量は、当業者に周知の幾つかの方法、例えば公認分析化学者協会(Association of Official Analytical Chemists)がOfficial Methods of Analysis(「OMA」)において公表している988.05法などによって決定することができる。本明細書に開示される組成物中のタンパク質の量は、当業者に知られている方法に従った組成物の窒素の量に基づいて決定されてもよい。
【0049】
アミノ酸の例としては、1-トリプトファン、タウリン、ヒスチジン、カルノシン、アラニン、システイン、アルギニン、メチオニン、トリプトファン、リシン、アスパラギン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、バリン、スレオニン、イソロイシン、ヒスチジン、ロイシン、グリシン、グルタミン、タウリン、チロシン、ホモシステイン、オルニチン、シトルリン、グルタミン酸、プロリン、セリンおよび/またはベタインを含んでもよい。カロテノイド源としては、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ビキシン、リコピン、および/またはβカロチンを含んでもよい。抗酸化剤成分源としては、トコフェロール(ビタミンE)、ビタミンC、ビタミンA、リポ酸、植物由来の材料、カロテノイド(上述)、セレン、および/またはCoQ10(コエンザイムQ10)を含んでもよい。
【0050】
脂肪酸成分の例としては、アラキドン酸、アルファリノール酸、ガンマリノレン酸、リノール酸、エイコサペンタノン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、および/または魚油(EPAおよび/またはDHA源として)を含んでもよい。グルコース模倣体の源としては、グルコース代謝拮抗物質(2-デオキシ-D-グルコース、5-チオ-D-グルコース、3-O-メチルグルコースを含む)、アンヒドロ糖(1,5-アンヒドロ-D-グルシトール、2,5-アンヒドロ-D-グルシトール、2,5-アンヒドロ-D-マンニトールを含む)、マンノヘプツロース、および/またはマンノヘプツロースを含むアボカド抽出物を含んでもよい。
【0051】
さらに他の成分としては、牛肉ブロス、ビール乾燥酵母、卵、卵製品、ひき割り亜麻、DLメチオニン、アミノ酸、ロイシン、リシン、アルギニン、システイン、シスチン、アスパラギン酸、ポリリン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム;塩化亜鉛、グルコン酸銅、塩化第一スズ、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、トリクロサン、グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸、ミドリイガイ、ムラサキイガイ(blue lipped mussel)、メチルスルホニルメタン(MSM)、ホウ素、ホウ酸、フィトエストロゲン、フィトアンドロゲン、ゲニステイン、ダイゼイン、L-カルニチン、ピコリン酸クロム、トリピコリン酸クロム、ニコチン酸クロム、酸/塩基改質剤、クエン酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、重硫酸ナトリウム;ユーカリ、ラベンダー、ペパーミント、可塑剤、着色剤、風味剤、甘味料、緩衝剤、滑り助剤、担体、pH調整剤、天然成分、安定剤、生物学添加物(酵素(プロテアーゼおよびリパーゼを含む)など)、化学添加物、冷却剤、キレート剤、変性剤、薬物収斂剤、乳化剤、外用沈痛剤、芳香性化合物、湿潤剤、不透明化剤(酸化亜鉛および二酸化チタンなど)、消泡剤(シリコーンなど)、防腐剤(ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、塩化ベンザルコニウム、EDTA、ベンジルアルコール、ソルビン酸カリウム、パラベンならびにこれらの混合物)、還元剤、溶媒、ハイドロトロープ剤、可溶化剤、懸濁剤(非界面活性剤)、溶媒、粘性増加剤(水性および非水性)、捕捉剤、および/または角質溶解剤が挙げられてもよい。
【0052】
プロバイオティック構成成分は、任意の適切な細菌、酵母、微生物、および/または任意のこれらの混合物を含んでもよい。様々なプロバイオティック微生物が当技術分野で周知である。ある特定の実施形態において、プロバイオティック構成成分は、ラクトバシラス目の細菌、バチルス属、バクテロイデス属、および/またはビフィドバクテリウム属の細菌、サッカロミケス族およびカンジダ属を含むサッカロミケス目の酵母、および/またはこれらの任意の混合物を含んでもよい。プロバイオティックは胞子を形成してもよく、または形成しなくてもよい。
【0053】
本明細書での使用に適したラクトバシラス目の細菌の非限定的な例としては、Streptococci属(Streptococcus lactis、Streptococcus cremoris、Streptococcus diacetylactis、および/またはStreptococcus thermophilusなど)、Enterococcus属(Enterococcus faeciumなど)、Pediococcus属(すなわち、Pediococcus cerevisiae)を含むLactobacillaceae科、Leuconostoc属、およびLactobacilli属(Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus bifidus、Lactobacillus casei、Lactobacillus lactis、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus delbrukii、Lactobacillus thermophilus、Lactobacillus fermentum、Lactobacillus salvarius、Lactobacillus reuteriなど)、および/またはこれらの任意の混合物が挙げられる。Bifidobacteria属の細菌の非限定的な例としては、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium animalis、および/またはBifidobacterium pseudolongum、および/またはこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
ある特定の実施形態において、ペットフード組成物はポリフェノールを含んでもよい。一部の実施形態において、ポリフェノール源は、エラグ酸、没食子酸、プロトカテク酸、p-ヒドロキシ安息香酸、カテキン、これらの二つ以上の組み合わせから選択されるフェノール化合物を含む。一部の実施形態において、ポリフェノール源は、ピーカン殻、またはピーカンナッツの任意の他の構成要素を含む。一部の実施形態において、ピーカン殻はまた、リグニン系繊維の源であってもよい。ポリフェノールのさらなる源の例としては、茶抽出物、ローズマリー抽出物、ロズマリン酸、コーヒー抽出物、ピーカン殻、コーヒー酸、ターメリック抽出物、ブルーベリー抽出物、ブドウ抽出物、ブドウ種抽出物、および/または大豆抽出物を含んでもよい。
【0055】
ペットフード組成物は、当業者に周知の様々な方法のいずれかを使用する飼料分析を受けてもよい。水分、タンパク質、繊維、炭水化物、エネルギー、ビタミン、ミネラル、エネルギー、脂肪、灰分含有量を含む、本明細書に列挙された栄養含有量のいずれかを測定するために、飼料分析を行ってもよい。
【0056】
タンパク質含有量は、当業者に周知の様々な方法のいずれかで測定され、報告されてもよい。タンパク質は、真のタンパク質含有量と非タンパク質窒素の両方を測定するために、粗タンパク質(CP)として報告されてもよい。粗タンパク質含有量は、分解性摂取タンパク質(DIP)と、非分解性摂取タンパク質(UIP)と、代謝性タンパク質(MP)との間でさらに分化されてもよい。ある特定の実施形態において、タンパク質含有量は、熱損傷したタンパク質または不溶性粗タンパク質(ICP)、調整粗タンパク質(ACP)、消化性タンパク質(DP)を含むように分化されてもよい。
【0057】
繊維含有量は、当業者に周知の様々な方法のいずれかで測定され、報告されてもよい。繊維含有量は、粗繊維(CF)、中性デタージェント繊維(NDF)、酸性デタージェント繊維(ADF)および/または酸性デタージェントリグニン(ADL)として報告されてもよい。粗繊維は、ペットフード組成物に見られる植物材料の不可消化部分を測定することが一般的に知られている。ADFは、植物細胞壁の構成成分であるセルロースおよびリグニンを測定する。NDFは、植物細胞壁に見られる総材料を測定し、またADFとして測定された繊維含有量に加えてヘミセルロースを含む。ADLは、植物細胞壁のリグニン部分のみを測定する。
【0058】
エネルギー含有量は、当業者に周知の様々な方法のいずれかで測定され、報告されてもよい。エネルギー含有量は、可消化養分総量(TDN)、正味エネルギー(NE)、代謝エネルギー(ME)、相対飼料価値(RFV)、相対飼料品質(RFQ)として報告されてもよい。
【0059】
本発明は、NDFと粗繊維の2:1の比率から成ってもよい。食物繊維は、ひき割りソバ、オート麦、ひき割り穀物、ピーカン繊維、オート麦ぬか、ビート、セルロースから成る群から選択されてもよい。ある特定の実施形態において、総食物繊維は30%超である。さらなる実施形態において、NDFは組成物の20重量%超であり、および/または粗繊維は組成物の約11重量%~約20重量%である。一部の実施形態において、ペットフード組成物は、約21%のNDFと約13%の粗繊維とを含む。
【0060】
本発明のある特定の実施形態において、ペットフード組成物は、成分の「繊維束」または「束」の添加によって、本明細書に列挙された望ましい効果のいずれかを達成しうる。ある特定の実施形態において、繊維束は、約0.1重量%~約10重量%の各成分を含む。束の成分としては、ひき割りソバ、オート麦、ピーカン繊維、オート麦ぬか、魚油、ビートパルプ、クランベリー搾りかす、根ショウガ、酵母細胞壁、ザクロ抽出物、緑茶、およびクルクミンが挙げられてもよい。
【0061】
本発明の一実施形態において、ペットフードは、少なくとも25重量%の繊維束から成る。別の実施形態において、ペットフード組成物は100%の繊維束を含む。さらに別の実施形態において、ペットフード組成物は10%~50%の繊維束を含んでもよい。
【0062】
ある特定の実施形態において、ペットフード組成物は、当業者によって周知の他のペットフードへの栄養補助成分として使用される。ペットフード組成物は、1:1~1:10の比率で別のペットフードに添加されてもよい。好ましい一実施形態において、本発明は1:4の比率で添加される。
【0063】
本発明のある特定の実施形態は、動物における肥満、または代謝性エンドトキシン血症および炎症を含むがこれに限定されない肥満関連状態を予防または治療するための方法を提供しうる。本方法は、本明細書に記載の組成物のいずれか一つを、これを必要とするコンパニオンアニマルに投与することを含んでもよい。
【0064】
一部の実施形態において、食物摂取量は、代謝性体重に正規化されたカロリーの摂取量に基づいて計算される。
【0065】
ここで、以下の非限定的な実施例によって本発明の実施形態をさらに記述する。
【実施例】
【0066】
実施例1
食餌は、AAFCO(アメリカ飼料検査官協会)およびNRC(米国学術研究会議)の栄養勧告に従って処方された。出来上がったキブルは、押出成形で製造され、乾燥され、美味剤でコーティングされた。すべての食餌はイヌ科動物メンテナンス処方であった。
【0067】
図1を参照すると、対照食餌(以下、「比較例」)は、栄養勧告の構成要素のみを含有した。本発明の食餌(以下、「実施例I」)は、比較例と比較して、高いレベルのNDFおよび高いレベルの粗繊維を含有した。
【0068】
年齢、体重、肥満状態、性別に基づき、二つの群にランダム化された健康なイヌ科動物の対象を登録したIACUC承認済の臨床的食餌介入プロトコルが実施された。この研究は、約150日間にわたって実施された、二つの相(
図2を参照)から成る介護者盲検化の縦断的デザインであった。第I相は、ベースラインの測定値と、対照の食餌または発明の食餌を始めるペットとから構成された。第II相は、カロリーを制限して、前述の二つの食餌とさらなる食餌を継続するペットから構成された。
【0069】
試験内の各イヌの身体組成と後続の肥満との状態を、二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)を使用して評価した。満腹ホルモン(グレリン、膵臓ペプチド)、リポ多糖類(LPS)、サイトカイン(IL-10およびMCP-1)、代謝評価(炎症誘発性アラキドン酸代謝産物)のための採血を、DEXA分析の直前に行った。血清を凍結乾燥し、メタノール:水で抽出し、血清マトリクスから代謝産物を遊離させた。
【0070】
メタボロミクスは、相対倍率定量化を用いた液体クロマトグラフィー質量分析法(LS-MC)によって実施された。循環満腹ホルモン、LPS、サイトカインは、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)によって評価され、ミリリットルあたりのピコグラム(pg/ml)で表された。損失体重および損失脂肪の総量は、DEXA分析によって計算され、それぞれキログラム(kg)およびグラム(g)で表された。結果を
図3~9に示し、対照または発明のペットフードのいずれかを与えられた後にイヌ内で循環していた所与の代謝産物の相対レベルを図示する。
【0071】
図3に示す通り、本発明の例示的な組成物は、プロスタグランジン経路の小分子前駆体を減少させた。アラキドン酸の結合型および循環型から構成されたこの経路は、シクロオキシゲナーゼによって産生された炎症性プロスタグランジンの前駆体を含有する。摂食前のベースラインで、比較例のイヌと実施例Iのイヌの間にアラキドン酸経路に有意差はなかった(
図3Aを参照)。しかしながら、イヌが食物を摂取し始めると、本発明の例示的な組成物を与えられたイヌにおいて、研究の第II相(カロリー制限)が開始される前であっても、循環する炎症誘発性アラキドン酸経路代謝産物のレベルの減少が観察された(
図3Bを参照)。これらの利益はまた、第II相が完了した後でも容易に明らかであった(
図3Cを参照)。これらの結果は、本発明の組成物が健康な体重管理を促進することを示す。
【0072】
図4に記載のデータが示す通り、第I相において、カロリー制限の前に、本発明の例示的な組成物によって循環細菌性リポ多糖類(LPS)が減少した。顕著なことに、この利益は、体重減少後の比較組成物(第II相)と比較して、より大きい程度で依然として存在した。
【0073】
本発明を与えられたイヌは、対照を与えられたイヌよりも総体重(
図9を参照)および総脂肪(
図10を参照)を多く喪失したことに加えて、肥満関連状態が驚くほど大きく減少した。
図2に示す通り、この利益は両方の相中の試験全体を通じて生じた。本発明は、抗炎症性サイトカインIL-10の量(
図5を参照)を有意に増加させ、炎症誘発性サイトカインMCP-1の量(
図6を参照)を有意に減少させた。さらに、本発明を与えられたイヌは、より多くの満腹ホルモン(
図7を参照)、およびより少ない循環空腹ホルモン(
図8を参照)を有した。