(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】走行制御方法及び走行制御装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240118BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20240118BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/01 A
B60W30/10
(21)【出願番号】P 2022564700
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 IB2020000979
(87)【国際公開番号】W WO2022112811
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】土谷 千加夫
(72)【発明者】
【氏名】武井 翔一
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-12308(JP,A)
【文献】特開2016-218539(JP,A)
【文献】特開2010-271999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/01
B60W 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行している自車線の幅方向端部に設けられた車線区分線を検出し、前記車線区分線の検出結果に基づいて前記自車両の走行制御を行うコントローラを備える車両の走行制御方法であって、
前記車線区分線が検出できている状態から検出できない状態になった時に、前記車線区分線に対する第一の所定位置を算出して記憶すると共に、前記自車両の絶対位置及び方位角を記憶し、
前記車線区分線が検出できない状態から検出できる状態になった時に、前記車線区分線に対する第二の所定位置を算出して記憶し、
前記第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際に、現在の前記自車両の絶対位置及び方位角が、前記第一の所定位置を算出して記憶した時に記憶した前記自車両の絶対位置及び姿勢と所定値以上乖離しない場合には、前記第一の所定位置と前記第二の所定位置とを結ぶ走路を走行するように前記自車両を制御する
ことを特徴とする走行制御方法。
【請求項2】
前記自車線内における車線幅方向中央位置を、前記車線区分線に対する前記第一及び第二の所定位置として算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の走行制御方法。
【請求項3】
前記第一及び第二の所定位置のそれぞれでの前記自車線に沿った方向を算出して記憶し、
前記第一の所定位置での前記自車線に沿った方向と前記第二の所定位置での前記自車線に沿った方向の両方または一方に向きが一致するように、前記第一の所定位置と前記第二の所定位置とを結ぶ走路を算出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の走行制御方法。
【請求項4】
前記第一の所定位置を算出して記憶した時の前記自車両の周囲に存在する第一の物標を検出して記憶し、
前記第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際に、前記第一の物標と対応する第二の物標を検出し、
前記第一の物標と前記第二の物標との位置のずれに基づいて、前記走路を補正する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の走行制御方法。
【請求項5】
前記第一及び第二の物標とは、車線区分線、停止線、信号機、標識、路面標示のいずれか、もしくは複数の組み合わせである
ことを特徴とする請求項4に記載の走行制御方法。
【請求項6】
前記自車両が前記第一の所定位置から前記第二の所定位置までの区間を走行する間に、前記自車両の方向指示器が作動している場合に、
前記第一及び第二の所定位置、もしくは、前記第一及び第二の所定位置を算出して記憶した時のそれぞれでの前記自車両の姿勢の間に所定値以上の乖離が存在する場合には、前記走路を算出し、
前記所定値以上の乖離が存在しない場合には、前記走路を算出しない
ことを特徴とする請求項3に記載の走行制御方法。
【請求項7】
前記第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際に、現在の前記自車両の絶対位置及び方位角が、前記第一の所定位置を算出して記憶した時に記憶した前記自車両の絶対位置及び方位角と所定値以上乖離している場合には、算出された前記走路を前記自車両の走路として設定しない
ことを特徴とする請求項3に記載の走行制御方法。
【請求項8】
自車両が走行している自車線の幅方向端部に設けられた車線区分線を検出し、前記車線区分線の検出結果に基づいて前記自車両の走行制御を行うコントローラを備える車両の走行制御装置であって、
前記コントローラは、
前記車線区分線が検出できている状態から検出できない状態になった時に、前記車線区分線に対する第一の所定位置を算出して記憶すると共に、前記自車両の絶対位置及び方位角を記憶し、
前記車線区分線が検出できない状態から検出できる状態になった時に、前記車線区分線に対する第二の所定位置を算出して記憶し、
前記第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際に、現在の前記自車両の絶対位置及び方位角が、前記第一の所定位置を算出して記憶した時に記憶した前記自車両の絶対位置及び姿勢と所定値以上乖離しない場合には、前記第一の所定位置と前記第二の所定位置とを結ぶ走路を走行するように前記自車両を制御する
ことを特徴とする走行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行制御方法及び走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動運転走行時の車両の走行情報と、手動運転走行時の車両の走行情報とを組み合わせることによって、車線の形状を正確に特定する道路形状検出方法が開示されている。この道路形状検出方法は、自動運転走行時の時間経過に伴う車両の現在位置の検出点(走行軌跡)を車線の中心線として特定し、特定した車線の中心線と手動運転走行時の時間経過に伴う現在位置の検出点の距離の分布に基づいて、車線の境界を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の道路形状検出方法では、カメラ等によって車線区分線や周辺の他車両等を検出して車両の自動運転支援を実行し、自動運転走行中の車両の走行軌跡を車線の中心線として特定している。このため、車線区分線が部分的に引かれていない区間、あるいは消えている又はカメラ等で認識できない程度まで車線区分線が薄くなっている区間では、車線の中心線及び車線の境界を正確に特定することが難しく、自車線内の所定位置を走行できないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、車線区分線が検出できない区間であっても、自車線内の所定位置を走行できる走行制御方法及び走行制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わる走行制御方法は、自車両が走行している自車線の幅方向端部に設けられた車線区分線を検出し、車線区分線の検出結果に基づいて自車両の走行制御を行う。車線区分線が検出できている状態から検出できない状態になった時に、車線区分線に対する第一の所定位置を算出して記憶し、車線区分線が検出できない状態から検出できる状態になった時に、車線区分線に対する第二の所定位置を算出して記憶する。そして、第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際には、第一の所定位置と第二の所定位置とを結ぶ走路を走行するように自車両を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車線区分線が検出できない区間であっても、自車線内の所定位置を走行できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る走行制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る走路の算出方法の一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る走路の算出方法の一例を説明する図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る走路の算出方法の一例を説明する図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る走路の補正方法の一例を説明する図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の実施形態に係る走行シーンの一例を説明する図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の実施形態に係る走行シーンの一例を説明する図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る走行制御装置の一動作例を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る走行制御装置の一動作例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
[走行制御装置の構成例]
図1を参照して、本実施形態に係る走行制御方法を実行する走行制御装置の構成例を説明する。
図1に示すように、走行制御装置1は、カメラ10と、車速センサ11と、角速度センサ12と、GNSS受信機13と、コントローラ20と、を備える。本実施形態に係る走行制御装置1は、車両Vに搭載され、車両Vの走行を制御する。
【0011】
走行制御装置1は、自動運転機能を有する車両に搭載されてもよく、自動運転機能を有しない車両に搭載されてもよい。また、走行制御装置1は、自動運転と手動運転とを切り替えることが可能な車両に搭載されてもよい。なお、本実施形態における自動運転とは、例えば、ブレーキ、アクセル、ステアリングなどのアクチュエータの内、少なくとも何れかのアクチュエータが乗員の操作なしに制御されている状態を指す。そのため、その他のアクチュエータが乗員の操作により作動していたとしても構わない。また、自動運転とは、加減速制御、横位置制御などのいずれかの制御が実行されている状態であればよい。また、本実施形態における手動運転とは、例えば、ブレーキ、アクセル、ステアリングを乗員が操作している状態を指す。
【0012】
カメラ10は、車両Vに搭載され、車両Vの周囲を撮影する。カメラ10は、CCD(charge-coupled device)やCMOS(complementary metal oxide semiconductor)などの撮像素子を有する。カメラ10は、逐次、撮像した画像をコントローラ20に出力する。
【0013】
車速センサ11は、車両Vの走行速度(車速)を検出する。車速センサ11は、例えば車輪と共に回転し円周に突起部(ギヤパルサ)が形成されたセンサロータと、このセンサロータの突起部に対向して設けられたピックアップコイルを有する検出回路とを備える。車速センサ11は、センサロータの回転に伴う磁束密度の変化を、ピックアップコイルによって電圧信号に変換し、この電圧信号から各車輪の車輪速度を測定する。車速センサ11は、各車輪の車輪速度の平均を車速として演算する。車速センサ11は、検出された車両Vの車速をコントローラ20に出力する。
【0014】
角速度センサ12は、車両Vの角速度を検出し、検出された角速度をコントローラ20に出力する。
【0015】
GNSS受信機13は、GPS受信機等であり、複数の人工衛星からの電波を受信することにより、地上における車両Vの位置(以下、自己位置と称する場合がある)を検出する。GNSS受信機13は、検出した車両Vの位置情報をコントローラ20に出力する。なお、「GNSS」は「Global Navifation Satelite System:全地球航法衛星システム」の略称であり、「GPS」は「Global Positioning System:グローバル・ポジショニング・システム」の略称である。
【0016】
コントローラ20は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータには、走行制御装置1として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータは、走行制御装置1が備える複数の情報処理回路として機能する。なお、ここでは、ソフトウェアによって走行制御装置1が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。コントローラ20は、複数の情報処理回路として、車線区分線検出部21と、相対位置推定部22と、絶対位置推定部23と、走路算出部24と、走路蓄積部25と、走路探索部26と、走路補正部27と、車両制御部28と、を備える。
【0017】
車線区分線検出部21は、カメラ10により撮影された画像から、車両Vが走行している自車線の幅方向端部に設けられた、車両前方の車線区分線を検出する。車線区分線とは、車道を区分する走行区分線であり、路面上の白線、道路鋲、縁石などである。車線区分線検出部21は、検出した車線区分線と車両Vとの相対位置を検出する。車線区分線検出部21が検出する相対位置は、車両座標系における位置である。車両座標系は、例えば、車両Vの後輪車軸中心を原点とし、前方向をx軸の正方向、左方向をy軸の正方向とすればよい。また、カメラ10の座標系から車両座標系への変換式は予め車線区分線検出部21に設定される。
【0018】
相対位置推定部22は、車速センサ11から車両Vの車速を取得し、角速度センサ12から車両Vの角速度を取得する。相対位置推定部22は、取得した車速と角速度から車両Vの移動距離と移動方向を求める、いわゆるオドメトリによって、ある位置を原点とする相対座標系での車両Vの相対位置及び姿勢(方位角)を推定する。例えば、走行制御装置1が起動された時点や処理がリセットされた時点の車両Vの位置を原点とし、車両Vの方位角を0°として車両Vの相対位置及び方位角を推定する。なお、相対位置推定部22は、車輪の回転数と操舵角を用いてオドメトリにより車両Vの相対位置及び方位角の推定を行ってもよいし、車輪の回転速度やステアリングを用いてオドメトリにより車両Vの相対位置及び方位角の推定を行ってもよい。このように、オドメトリに用いられるパラメータは、特に限定されない。
【0019】
絶対位置推定部23は、GNSS受信機13から車両Vの自己位置を取得し、車速センサ11から車両Vの車速を取得し、角速度センサ12から車両Vの角速度を取得する。絶対位置推定部23は、取得した車両Vの自己位置と車速及び角速度とから、カルマンフィルタによって車両Vの絶対位置を推定する。GNSS受信機13から取得する自己位置は、障害物の影響などにより誤差が含まれている。GNSS受信機13から取得した自己位置を車速と角速度と組み合わせることで、絶対位置推定部23は、自己位置の誤差の影響を抑制することができる。
【0020】
走路算出部24は、車両Vが第一の地点において検出した車線区分線に対する所定位置を、第一の所定位置として算出して記憶する。そして、車両Vが第一の地点から所定区間走行した第二の地点において検出した車線区分線に対する所定位置を、第二の所定位置として算出して記憶する。走路算出部24は、例えば、第一及び第二の地点において検出した車線区分線の中央位置を、第一及び第二の所定位置として算出して記憶する。走路算出部24は、例えば、車両Vが手動運転走行中に、第一及び第二の所定位置を算出して記憶する。走路算出部24は、第一の所定位置での自車線に沿った方向と、第二の所定位置での自車線に沿った方向を算出して記憶する。
【0021】
走路算出部24は、車両Vが第一の所定位置から第二の所定位置までの区間を走行する間の、車両Vの方向指示器の作動状態を確認する。走路算出部24は、車両Vが第一の所定位置から第二の所定位置までの区間を走行する間に車両Vの方向指示器が作動していない場合には、記憶した第一及び第二の所定位置を結ぶ走路を算出する。走路算出部24は、例えば、第一の所定位置での自車線に沿った方向と、第二の所定位置での自車線に沿った方向の両方または一方に向きが一致するように、第一及び第二の所定位置を結ぶ走路を算出する。
【0022】
走路算出部24は、車両Vが第一の所定位置から第二の所定位置までの区間を走行する間に、車両Vの方向指示器が作動していた場合には、第一及び第二の所定位置、もしくは第一及び第二の地点のそれぞれでの車両Vの方位角の間に所定値以上の乖離が存在するか否かを判断する。そして、第一及び第二の所定位置、もしくは第一及び第二の地点のそれぞれでの車両Vの方位角の間に所定値以上の乖離が存在する場合には、第一及び第二の所定位置を結ぶ走路を算出する。第一及び第二の所定位置もしくは第一及び第二の地点のそれぞれでの車両Vの方位角の間に所定値以上の乖離が存在しない場合には、走路を算出しない。走路算出部24の走路算出方法の詳細については、
図2~4を参照して後述する。
【0023】
走路蓄積部25は、第一の地点における車両Vの絶対位置及び方位角と、第一の地点において車両Vが検出した車線区分線の位置と、走路算出部24によって算出された第一及び第二の所定位置及び走路とを組にして、コントローラ20内のメモリに蓄積する。
【0024】
走路探索部26は、第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際に、走路蓄積部25に記憶された走路のなかから、現在の車両Vの絶対位置から所定範囲内の、現在の車両Vの絶対位置に最も近い走路を探索する。走路探索部26は、例えば、車両Vが自動運転走行中に、走路蓄積部25に記憶された走路のなかから、現在の車両Vの絶対位置から所定範囲内の、現在の車両Vの絶対位置に最も近い走路を探索する。走路探索部26の走路探索方法の詳細については、
図5を参照して後述する。
【0025】
走路補正部27は、現在の車両Vの位置及び方位角が、走路探索部26が探索した走路に組となって記憶されている、第一の地点における車両Vの位置及び方位角と所定値以上乖離していない場合に、走路探索部26が探索した走路を補正する。走路補正部27は、走路探索部26が探索した走路と組となって記憶されている車線区分線の位置と、現在の車両Vが検出した車線区分線の位置のずれに基づいて、走路探索部26が探索した走路を、現在の車両Vに対する相対的な走路に補正する。そして、補正した走路を、現在の車両Vの走路として設定する。走路補正部27の走路補正方法の詳細については、
図5を参照して後述する。
【0026】
車両制御部28は、走路補正部27によって補正された走路に車両Vが追従するように、車両Vのアクチュエータを制御する。なお、アクチュエータには、ブレーキアクチュエータ、アクセルアクチュエータ、ステアリングアクチュエータなどが含まれる。
【0027】
[走路算出方法]
図2~4を参照して、走路算出部24の走路算出方法の一例について説明する。
【0028】
図2は、車両Vが手動運転走行中に、交差点を通過するシーンを表している。走路算出部24は、車両Vが交差点の手前(第一の地点)において検出した車線区分線41a、42aの位置を取得する。走路算出部24は、車線区分線41a、42aの中央位置を算出し、第一の所定位置P1として記憶する。
図2に示す交差点内には車線区分線が存在していないため、車両Vが交差点内に進入し、走行軌跡51aを走行している間は、車両Vは車線区分線を検出できなくなる。そして、車両Vが交差点を通過すると、車両Vは再び車線区分線を検出できるようになる。走路算出部24は、車両Vが交差点を通過した地点(第二の地点)において検出した車線区分線43a、44aの位置を取得する。そして、車線区分線43a、44aの中央位置を算出し、第二の所定位置P2として記憶する。走路算出部24は、第一の所定位置P1での自車線に沿った方向D1と、第二の所定位置P2での自車線に沿った方向D2を算出して記憶する。
【0029】
図2のシーンにおいては、走路算出部24は、車両Vが第一の所定位置P1から第二の所定位置P2までの区間を走行する間に、車両Vの方向指示器が作動していないと判断する。そして、第一の所定位置P1での自車線に沿った方向D1と第二の所定位置P2での自車線に沿った方向D2の両方または一方に向きが一致するように、第一の所定位置P1と、第二の所定位置P2を結ぶ走路61aを算出する。
【0030】
走路蓄積部25は、例えば、第一の地点における車両Vの絶対位置A1及び方位角と、車線区分線41a、42aの位置と、第一及び第二の所定位置P1、P2及び走路61aとを組にして、コントローラ20内のメモリに蓄積する。
【0031】
図3は、車両Vが手動運転走行中に、交差点を右折するシーンを表している。走路算出部24は、車両Vが交差点の手前(第一の地点)において検出した車線区分線41b、42bの位置を取得する。走路算出部24は、車線区分線41b、42bの中央位置を算出し、第一の所定位置P1として記憶する。その後、車両Vが交差点内に進入し、走行軌跡51bを走行して交差点を右折している間は、車両Vは車線区分線を検出できなくなる。そして、車両Vが交差点を右折すると、車両Vは再び車線区分線を検出できるようになる。走路算出部24は、車両Vが交差点を右折した地点(第二の地点)において検出した車線区分線43b、44bの位置を取得する。そして、車線区分線43b、44bの中央位置を算出し、第二の所定位置P2として記憶する。走路算出部24は、第一の所定位置での自車線に沿った方向D1と、第二の所定位置での自車線に沿った方向D2を算出して記憶する。
【0032】
図3のシーンにおいては、走路算出部24は、車両Vが第一の所定位置P1から第二の所定位置P2までの区間を走行する間に、車両Vの方向指示器が作動していると判断する。そして、走路算出部24は、第一及び第二の所定位置P1、P2もしくは、第一及び第二の地点のそれぞれでの車両Vの方位角との間に所定位置以上の乖離が存在すると判断する。そして、第一の所定位置P1と、第二の所定位置P2とを結ぶ、第一の所定位置P1での自車線に沿った方向D1と、第二の所定位置P2での自車線に沿った方向D2の両方または一方に向きが一致するような滑らかな曲線を、走路61bとして算出する。走路算出部24は、例えば、クロソイド曲線やスプライン曲線により、走路61bを算出する。
【0033】
走路蓄積部25は、第一の地点における車両Vの絶対位置A1及び方位角と、車線区分線41b、42bの位置と、第一及び第二の所定位置P1、P2及び走路61bとを組にして、コントローラ20内のメモリに蓄積する。
【0034】
図4は、車両Vが手動運転走行中に車線変更するシーンを表している。走路算出部24は、車両Vが車線変更する前の地点(第一の地点)において検出した車線区分線41c、42cの位置を取得する。走路算出部24は、車線区分線41c、42cの中央位置を算出し、第一の所定位置P1として記憶する。その後、車両Vが走行軌跡51cを走行して車線変更を開始したあとの地点(第二の地点)において検出した車線区分線43c、44cの位置を取得する。そして、車線区分線43c、44cの中央位置を算出し、第二の所定位置P2として記憶する。走路算出部24は、第一の所定位置P1での自車線に沿った方向D1と、第二の所定位置P2での自車線に沿った方向D2を算出して記憶する。
【0035】
図4のシーンにおいては、走路算出部24は、車両Vが第一の所定位置P1から第二の所定位置P2まで走行する間に車両Vの方向指示器が作動していると判断する。そして、走路算出部24は、第一及び第二の所定位置P1、P2もしくは、第一及び第二の地点のそれぞれでの車両Vの方位角との間に所定位置以上の乖離が存在しないと判断する。この場合、走路算出部24は走路を算出せずに処理を終了する。
【0036】
なお、第一及び第二の所定位置P1、P2及び走路61a、61bは、車両Vが第一の地点にいる時の車両Vの絶対位置A1を原点とする、相対座標系の相対位置で記述される。車両Vが第一の地点にいる時に、絶対位置推定部23は、車両Vの絶対位置A1を推定する。そして、車両Vが第二の地点にいる時に、相対位置推定部22は、絶対位置A1を原点とする、車両Vの相対位置Rを推定する。走路算出部24は、これらの絶対位置A1、相対位置Rに基づいて、第一及び第二の所定位置P1、P2及び走路61a、61bの相対位置を算出する。走路算出方法については、車両Vが交差点を直進する場合、車両Vが交差点を右折する場合、車両Vが車線変更する場合を例に設明したが、車両Vが交差点を左折する場合や、直線道路またはカーブを走行する場合などにも適用され、これに限定するものではない。
【0037】
[走路探索方法及び走路補正方法]
次に、走路探索部26の走路探索方法及び走路補正部27の走路補正方法の一例を、
図5を用いて説明する。
【0038】
図5は、車両Vが、過去に走行した
図2に示す交差点を再び走行しようとしているシーンを表している。走路探索部26は、走路蓄積部25に記憶された走路のなかから、現在の車両Vの絶対位置A2から所定範囲内の、車両Vの絶対位置A2に最も近い走路を探索する。走路探索部26は、現在の車両Vの絶対位置A2から所定範囲内の、車両Vの絶対位置A2に最も近い走路61aを抽出する。そして、走路61aと組となって記憶されている車両Vの絶対位置A1及び方位角、車線区分線41a、42aの位置を抽出する。
【0039】
走路補正部27は、現在の車両Vの絶対位置A2及び方位角が、走路探索部26が抽出した車両Vの絶対位置A1及び方位角と所定値以上乖離しているか否かを判断する。
図5のシーンにおいては、走路補正部27は、現在の車両Vの絶対位置A2及び方位角が、走路探索部26が抽出した車両Vの絶対位置A1及び方位角と所定値以上乖離していないと判断する。そして、走路補正部27は、現在の車両Vが絶対位置A2において検出した車線区分線71a、72aの位置を取得する。そして、走路探索部26が抽出した車線区分線41a、42aの位置を、車線区分線71a、72aの位置と対応付ける。そして、車線区分線41a、42aの位置が車線区分線71a、72aの位置とできるだけ一致するような座標変換(並進・回転)Tを算出する。
【0040】
走路補正部27は、算出した座標変換Tを走路61aに適用して、走路61aの位置を現在の車両Vに対する相対的な走路81aに補正する。そして、補正した走路を、現在の車両Vの走路として設定する。このように、車線区分線という明確な物標に基づいて走路の位置を補正することにより、GNSSの位置誤差に起因する走路のずれを抑制することができる。走路探索方法及び走路補正方法については、車両Vが交差点を直進する場合を例に設明したが、車両Vが交差点を右左折する場合や、直線道路またはカーブを走行する場合などにも適用され、これに限定するものではない。
【0041】
なお、コントローラ20は、車両Vが連続して自車線の車線区分線を検出できる区間において、検出した車線区分線の所定位置を結ぶ走路を走行している場合には、第一の所定位置と第二の所定位置とを結ぶ走路の代わりに、車両Vの走行経路を蓄積してもよい。すなわち、第一の所定位置と第二の所定位置における車線区分線41d、42dに対する位置を車線の中央位置では無く、手動走行時における車線区分線41d、42dに対する車両Vの相対位置としても良い。例えば、
図6Aに示すように、車両Vが連続して検出した車線区分線の中央位置を結ぶ走路に沿って自車線を走行している場合、走路蓄積部25は、第一の地点における車両Vの絶対位置A1及び方位角と、第一の地点において車両Vが検出した車線区分線41d、42dの位置と、走行軌跡51dとを組にして、コントローラ20内のメモリに蓄積する。この場合、走路補正部27は、
図6Bに示すように、走路探索部26が抽出した走行軌跡51dと組となって記憶されている車線区分線41d、42dの位置と、現在の車両Vが検出した車線区分線71d、72dの位置のずれに基づいて、走路探索部26が抽出した走行軌跡51dを、現在の車両Vに対する相対的な走路81dに補正する。そして、補正した走路81dを、現在の車両Vの走路として設定する。
【0042】
次に、
図7及び
図8のフローチャートを参照し、本発明の実施形態に係る走行制御装置の動作の流れの一例を説明する。
【0043】
図7は、車両Vが手動運転走行中の走行制御装置1の動作の流れの一例を示す。
図7のステップS100において、絶対位置推定部23は、GNSS受信機13から取得した車両Vの自己位置と、車速及び角速度とに基づいて、車両Vの地図上における絶対位置を推定する。相対位置推定部22は、オドメトリによって、絶対位置推定部23が推定した車両Vの絶対位置を原点とする相対座標系での車両Vの相対位置及び方位角を推定する。
【0044】
ステップS101に進み、車線区分線検出部21は、カメラ10により撮影された画像から、車両Vが走行している自車線の幅方向端部に設けられた、車両前方の車線区分線を検出する。ステップS102に進み、車線区分線検出部21は、車線区分線の検出に成功したか否かを判定する。車線区分線の検出に成功した場合(ステップS102でYES)には、ステップS103に進む。一方、車線区分線の検出に失敗した場合(ステップS102でNO)には、
図7の処理を終了する。
【0045】
ステップS103において、走路算出部24は、車線区分線検出部21が検出した車線区分線に対する所定位置を算出して記憶する。走路算出部24は、算出した所定位置での自車線に沿った方向を算出して記憶する。
【0046】
ステップS104に進み、走路算出部24は、車両Vが前回記憶した所定位置(第一の所定位置)から、今回記憶した所定位置(第二の所定位置)までの区間を走行する間の、車両Vの方向指示器の作動状態を確認する。ステップS105に進み、車両Vが第一の所定位置から第二の所定位置までの区間を走行する間に、車両Vの方向指示器が作動していた場合(ステップS105でYES)には、ステップS106に進む。一方、車両Vが第一の所定位置から第二の所定位置までの区間を走行する間に車両Vの方向指示器が作動していない場合(ステップS105でNO)には、ステップS107に進む。
【0047】
ステップS106において、走路算出部24は、第一及び第二の所定位置、もしくは第一及び第二の地点のそれぞれでの車両Vの方位角の間に所定値以上の乖離が存在するか否かを判断する。第一及び第二の所定位置、もしくは第一及び第二の地点のそれぞれでの車両Vの方位角の間に所定値以上の乖離が存在する場合(ステップS106でYES)には、ステップS107に進む。一方、第一及び第二の所定位置、もしくは第一及び第二の地点のそれぞれでの車両Vの方位角の間に所定値以上の乖離が存在しない場合(ステップS106でNO)には、
図7の処理を終了する。
【0048】
ステップS107において、走路算出部24は、記憶した第一及び第二の所定位置を結ぶ走路を算出する。ここで、車線区分線が検出できている状態から車線区分線が検出できなくなり、その後再び車線区分線を検出した場合を考える。このような場合には、車線区分線が検出できている状態から車線区分線が検出できない状態になった地点が第一の地点となり、この第一の地点における車線区分線に対する所定の位置が第一の所定位置となる。また、車線区分線が検出できない状態から車線区分線が検出できる状態になった地点が第二の地点となり、この第二の地点における車線区分線に対する所定の位置が第二の所定位置となる。なお、本実施例においては、車線区分線が検出できている状態から車線区分線が検出できない状態になった地点を第一の地点、車線区分線が検出できない状態から車線区分線が検出できる状態になった地点を第二の地点としているがこれに限定されない。例えば、車線区分線が検出できている状態から車線区分線が検出できない状態になった時点から所定時間前の地点を第一の地点としても良い。同様に、車線区分線が検出できない状態から車線区分線が検出できる状態になった時点から所定時間後の地点を第二の地点としても良い。走路算出部24は、第一の所定位置での自車線に沿った方向と、第二の所定位置での自車線に沿った方向の両方または一方に向きが一致するように、第一及び第二の所定位置を結ぶ走路を算出する。走路蓄積部25は、第一の地点における車両Vの絶対位置及び方位角と、車両Vが第一の地点において検出した車線区分線の位置と、走路算出部24によって算出された第一及び第二の所定位置及び走路とを組にして、コントローラ20内のメモリに蓄積する。
【0049】
図8は、車両Vが自動運転走行中の走行制御装置1の動作の流れの一例を示す。
図8のステップS200において、絶対位置推定部23は、GNSS受信機13から取得した車両Vの自己位置と、車速及び角速度とに基づいて、車両Vの地図上における絶対位置を推定する。相対位置推定部22は、オドメトリによって、絶対位置推定部23が推定した車両Vの絶対位置を原点とする相対座標系での車両Vの相対位置及び方位角を推定する。
【0050】
ステップS201において、走路探索部26は、走路蓄積部25に記憶された絶対位置のなかから、現在の車両Vの絶対位置から所定範囲内の、車両Vの絶対位置に最も近い走路を探索して抽出する。そして、探索した走路と組となって記憶されている車両Vの絶対位置及び方位角と、車線区分線の位置を抽出する。
【0051】
ステップS202に進み、走路補正部27は、現在の車両Vの絶対位置及び方位角が、走路探索部26が抽出した車両Vの絶対位置及び方位角と所定値以上乖離するか否かを判断する。走路算出部24は、現在の車両Vの絶対位置及び方位角が、走路探索部26が抽出した車両Vの絶対位置及び方位角と所定値以上乖離する場合(ステップS202でYES)には、
図8の処理を終了する。一方、現在の車両Vの絶対位置及び方位角が、走路探索部26が抽出した車両Vの絶対位置及び方位角と所定値以上乖離しない場合(ステップS202でNO)には、ステップS203に進む。
【0052】
ステップS203において、車線区分線検出部21は、カメラ10により撮影された画像から、車両Vが走行している自車線の幅方向端部に設けられた、車両前方の車線区分線を検出する。ステップS204に進み、車線区分線検出部21は、車線区分線の検出に成功したか否かを判定する。車線区分線の検出に成功した場合(ステップS204でYES)には、ステップS205に進む。車線区分線の検出に失敗した場合(ステップS204でNO)には、ステップS206に進む。
【0053】
ステップS205において、走路補正部27は、ステップS201において走路探索部26が探索した車線区分線の位置を、ステップS203において車線区分線検出部21が検出した車線区分線の位置と対応付ける。そして、ステップS201において走路探索部26が探索した車線区分線の位置が、ステップS203において車線区分線検出部21が検出した車線区分線の位置とできるだけ一致するような座標変換(並進・回転)Tを算出する。走路補正部27は、算出した座標変換Tを、ステップS201において走路算出部24が探索した走路に適用して、現在の車両Vに対する相対的な走路に補正する。そして、補正した走路を、現在の車両Vの走路として設定する。
【0054】
ステップS206に進み、車両制御部28は、走路補正部27によって補正された走路に車両Vが追従するように、車両Vのアクチュエータを制御して、
図8の処理を終了する。
【0055】
なお、本実施形態では、車両Vが第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際に、車両Vが第一の地点において検出した車線区分線の位置と、現在の車両Vが検出した車線区分線の位置のずれに基づいて、第一及び第二の所定位置を結ぶ走路を現在の車両Vに対する相対的な走路に補正する形態を説明した。しかしながら、第一の地点において自車両の周囲に存在する第一の物標を検出して記憶し、車両Vが第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際に、第一の物標と対応する第二の物標を検出して記憶し、第一の物標と第二の物標との位置のずれに基づいて、走路を補正してもよい。
【0056】
この場合、走路蓄積部25は、第一の地点における車両Vの絶対位置及び方位角と、第一の地点において検出された第一の物標の位置と、走路算出部24によって算出された第一及び第二の所定位置及び走路とを組にして、コントローラ20内のメモリに蓄積する。そして、走路補正部27は、走路探索部26が抽出した走路と組となって記憶されている第一の物標の位置と、現在の車両Vが検出した第一の物標に対応する第二の物標との位置のずれに基づいて、走路探索部26が抽出した走路を、現在の車両Vに対する相対的な走路に補正する。なお、第一及び第二の物標とは、車線区分線、停止線、信号機、標識、路面標示のいずれか、もしくは複数の組み合わせであってもよい。
【0057】
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本発明に係る走行制御装置は、自車両が走行している自車線の幅方向端部に設けられた車線区分線を検出し、車線区分線の検出結果に基づいて自車両の走行制御を行うコントローラを備える。車線区分線が検出できている状態から検出できない状態になった時に、車線区分線に対する第一の所定位置を算出して記憶し、車線区分線が検出できない状態から検出できる状態になった時に、車線区分線に対する第二の所定位置を算出して記憶する。そして、第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際には、第一の所定位置と第二の所定位置とを結ぶ走路を走行するように自車両を制御する。
【0058】
したがって、車線区分線が検出できている状態から検出できない状態になったときの、車線区分線に対する第一の所定位置と、車線区分線が検出できない状態から検出できる状態になったときの、第二の所定位置とを結ぶ走路を設定することができる。これにより、第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際に、交差点などの車線区分線を検出できない区間であっても、車線の所定位置を走行することができる。
【0059】
本発明に係る走行制御装置は、自車線内における車線幅方向中央位置を、車線区分線に対する第一の所定位置及び第二の所定位置として算出する。よって、車線区分線を検出できた時点での自車線内における車線幅方向中央位置を結ぶ走路を設定することができる。これにより、第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際に、交差点などの車線区分線を検出できない区間であっても、車線の中央位置を走行することができる。
【0060】
本発明に係る走行制御装置は、第一及び第二の所定位置のそれぞれでの自車線に沿った方向を算出して記憶し、第一の所定位置での自車線に沿った方向と第二の所定位置での自車線に沿った方向の両方または一方に向きが一致するように、第一の所定位置と第二の所定位置とを結ぶ走路を算出する。これにより、第一の所定位置での自車両の姿勢と第二の所定位置での自車線の方向に向きが一致する走路を設定することができる。そして、自車両が右左折する場合やカーブを走行する場合などの、第一の所定位置での自車線の向きと、第二の所定位置での自車線の向きが大きく異なる場合であっても、車線の所定位置を走行することができる。
【0061】
本発明に係る走行制御装置は、第一の所定位置を算出して記憶した時の自車両の周囲に存在する第一の物標を検出して記憶し、第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際に、第一の物標と対応する第二の物標を検出し、第一の物標と第二の物標との位置のずれに基づいて、走路を補正する。したがって、第一の所定位置を算出した際に検出した第一の物標と、第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際に検出した、第二の物標に対応する第二の物標との位置のずれを算出することができる。これにより、第一及び第二の所定位置を算出した際のロケータの位置と、第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際のロケータの位置の誤差を補正することができ、第一及び第二の所定位置を結ぶ走路の位置の誤差を抑制できる。
【0062】
また、第一及び第二の物標とは、車線区分線、停止線、信号機、標識、路面標示のいずれか、もしくは複数の組み合わせである。これにより、車両の周囲に存在する物標の中から、検出可能な物標を1つまたは複数選択することができる。これにより、第一の所定位置を算出した際の自車両の位置と、第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際の自車両の位置の誤差をより高精度に補正することができ、第一及び第二の所定位置を結ぶ走路の位置の誤差を抑制できる。
【0063】
本発明に係る走行制御装置は、自車両が第一の所定位置から第二の所定位置までの区間を走行する間に、自車両の方向指示器が作動している場合に、第一及び第二の所定位置、もしくは、第一及び第二の所定位置を算出した時のそれぞれでの自車両の姿勢の間に所定値以上の乖離が存在する場合には、走路を算出し、所定値以上の乖離が存在しない場合には、走路を算出しない。したがって、自車両が右左折する場合や、カーブを走行する場合のような、第一の所定位置と第二の所定位置が乖離する場合、もしくは第一及び第二の所定位置を算出した時のそれぞれでの自車両の姿勢が乖離する場合には、第一の所定位置と第二の所定位置を結ぶ走路を算出する。そして、自車両が車線変更する場合のような、第一及び第二の所定位置が乖離しない場合、もしくは第一及び第二の所定位置を算出した時のそれぞれでの自車両の姿勢が乖離しない場合には、第一の所定位置と第二の所定位置を結ぶ走路を算出しない。これにより、方向指示器が作動している場合に、自車両が右左折する場合と車線変更する場合とを切り分けて走路を設定でき、誤った走路の設定を抑制できる。
【0064】
本発明に係る走行制御装置は、第一及び第二の所定位置が記憶されている区間を走行する際に、自車両の位置及び姿勢が、第一の所定位置を算出して記憶した時の自車両の位置及び姿勢と所定値以上乖離している場合には、算出された走路を自車両の走路として設定しない。したがって、自車両が自車線から大きく乖離した状態で走行している場合には走路を設定しないため、精度の低い走路を設定することを抑制できる。
【符号の説明】
【0065】
1 走行制御装置
41a~41d、42a~42d、71a、71d、72a、72d 車線区分線
20 コントローラ
P1 第一の所定位置
P2 第二の所定位置
61a、61b 走路