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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ハンギングバー
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/02 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A47G25/02 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023065038
(22)【出願日】2023-04-12
【審査請求日】2023-07-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】丸井 真貴子
(72)【発明者】
【氏名】玉木 聡
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-136140(JP,A)
【文献】特開2017-064313(JP,A)
【文献】国際公開第2010/041322(WO,A1)
【文献】特開2008-136744(JP,A)
【文献】特開2006-68465(JP,A)
【文献】実開昭58-23587(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第105615563(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/02
A47F 5/00
D06F 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物を吊り下げ可能な吊り下げ部を備えるハンギングバーであって、
前記吊り下げ部は、
吊り具を掛けることが可能な棒状の吊り下げ部本体と、
前記吊り下げ部本体の上部に当該吊り下げ部本体の長さ方向に沿って設けられ、前記吊り具と前記吊り下げ部本体とを離間させることが可能な保護部材と、を備え
前記吊り下げ部本体は、長さ方向に直交する断面が矩形状であって上面が略水平となるように配設され、前記上面と側面とが接続する角部が、前記保護部材が存在しない場合に前記吊り具が接触することとなる仮想接点となり、
前記保護部材は、前記吊り下げ部の長さ方向に直交する幅方向における側端部の上端である側端上部が、前記仮想接点よりも当該幅方向における前記吊り下げ部の中央側に位置し、前記吊り具と、前記仮想接点と、の間に前記保護部材が存在しない空間を設けるようにしたことを特徴とするハンギングバー。
【請求項2】
前記保護部材は、
前記吊り下げ部の長さ方向に直交する幅方向に沿って前記吊り具を掛け渡した際に、少なくとも前記幅方向に間隔を有する2点が前記吊り具に当接するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のハンギングバー。
【請求項3】
前記保護部材は、
板状の部材であり、板面が前記吊り下げ部本体の上面に沿うように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のハンギングバー。
【請求項4】
前記保護部材は、
前記吊り下げ部本体に対して着脱可能であり、
前記吊り下げ部本体に固定するための固定片と、
前記固定片に形成され、固定具と締結可能な締結部と、を備え、
前記吊り下げ部本体は、
矩形筒状に形成され、
前記上面から筒内に貫通し、前記固定片を挿入可能な固定片挿入部と、
前記上面から筒内に貫通し、前記固定具を挿入可能な固定具挿入部と、を備え、
前記筒内の空間は、前記固定片挿入部から挿入した前記固定片を筒内で前記上面の裏面となる内周面に当接する位置まで回転可能な広さを有し、
記吊り下げ部本体の前記上面側から前記固定片挿入部に挿入して筒内で前記上面の裏面となる内周面に当接する位置まで回転した前記保護部材の前記固定片の前記締結部に、前記吊り下げ部本体の前記上面側から前記固定具挿入部に挿入した前記固定具を締結することにより、前記吊り下げ部本体に前記保護部材を固定することが可能であることを特徴とする請求項1に記載のハンギングバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物を吊り下げ可能な吊り下げ部を備えるハンギングバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンガー等の吊り具を掛けることが可能な棒状のハンガーパイプを備えるハンギングバーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-32509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなハンギングバーにおいては、使用の過程においてハンガーパイプと吊り具とが接触することによりハンガーパイプに傷が生じてしまい、装飾性が低下してしまうという問題が生じていた。本発明の課題は、ハンギングバーにおける装飾性の低下を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、例えば図3に示すように、物を吊り下げ可能な吊り下げ部15を備えるハンギングバー1であって、
前記吊り下げ部15は、
吊り具41を掛けることが可能な棒状の吊り下げ部本体(下枠11)と、
前記吊り下げ部本体の上部に当該吊り下げ部本体の長さ方向に沿って設けられ、前記吊り具41と前記吊り下げ部本体とを離間させることが可能な保護部材20と、を備え
前記吊り下げ部本体は、長さ方向に直交する断面が矩形状であって上面が略水平となるように配設され、前記上面と側面とが接続する角部11aが、前記保護部材が存在しない場合に前記吊り具が接触することとなる仮想接点となり、
前記保護部材20は、前記吊り下げ部15の長さ方向に直交する幅方向における側端部の上端である側端上部が、前記仮想接点よりも当該幅方向における前記吊り下げ部15の中央側に位置し、前記吊り具41と、前記仮想接点と、の間に前記保護部材20が存在しない空間を設けるようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、保護部材20により吊り具41と吊り下げ部本体(下枠11)とを離間させることが可能であるので、吊り具41が吊り下げ部本体に接触して傷が生じることを防止でき、装飾性の低下を防止することができる。
すなわち、上面と側面とが接続する角部11aは使用者の目に留まりやすく、この角部11aに吊り具41が接触して傷が生じることを防止できるので、装飾性の低下を防止することができる。
また、使用者の目に留まりやすい角部11aにあたかも吊り具41が接しているように見えるので、ハンギングバー1の装飾性を損ねることなく保護部材20を設けることが可能となる。
また、保護部材20の側端上部21が、仮想接点(角部11a)よりも、幅方向における吊り下げ部15の中央側に位置しているので、使用者からは側端上部21の方が仮想接点をなす角部11aよりも遠い位置となることで保護部材20が目立ちにくくなり、装飾性の低下を防止することができる。
また、保護部材20が目立たないので、あたかも吊り下げ部本体(下枠11)に直接吊り具41が掛けられているかのように見えるようになり、ハンギングバー1の装飾性を損ねることなく保護部材20を設けることが可能となる。
さらに、吊り具41と仮想接点(角部11a)との間に空間を設けることが可能であるので、吊り具41が吊り下げ部本体に接触して傷が生じることを防止でき、装飾性の低下を防止することができる。
また、吊り具41と仮想接点との間が空間であることで、あたかも吊り下げ部本体(下枠11)に直接吊り具41が掛けられているかのように見えるようになり、ハンギングバー1の装飾性を損ねることなく保護部材20を設けることが可能となる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、例えば図3に示すように、請求項1に記載のハンギングバーにおいて、
前記保護部材20は、
前記吊り下げ部15の長さ方向に直交する幅方向に沿って前記吊り具41を掛け渡した際に、少なくとも前記幅方向に間隔を有する2点が前記吊り具41に当接するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、幅方向に間隔を有する2点が吊り具41に当接するので、鉛直方向の軸を中心とした吊り具41の回転を防止でき、回転により吊り具41が吊り下げ部本体(下枠11)に接触して傷が生じることを防止できて装飾性の低下を防止することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、例えば図3に示すように、請求項1に記載のハンギングバーにおいて、
前記保護部材20は、
板状の部材であり、板面が前記吊り下げ部本体(下枠11)の上面に沿うように設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、保護部材20の板面が吊り下げ部本体(下枠11)の上面に沿うように設けられているので保護部材20が目立ちにくくなり、保護部材20を設けることによる装飾性の低下を防止することができる。
【0017】
請求項に記載の発明は、例えば図5に示すように、請求項1に記載のハンギングバーにおいて、
前記保護部材20は、
前記吊り下げ部本体(下枠11)に対して着脱可能であり、
前記吊り下げ部本体に固定するための固定片22と、
前記固定片に形成され、固定具(ねじ53)と締結可能な締結部23と、を備え、
前記吊り下げ部本体は、
矩形筒状に形成され、
前記上面から筒内に貫通し、前記固定片22を挿入可能な固定片挿入部11bと、
前記上面から筒内に貫通し、前記固定具を挿入可能な固定具挿入部11cと、を備え、
前記筒内の空間は、前記固定片挿入部11bから挿入した前記固定片22を筒内で前記上面の裏面となる内周面に当接する位置まで回転可能な広さを有し、
記吊り下げ部本体の前記上面側から前記固定片挿入部11bに挿入して筒内で前記上面の裏面となる内周面に当接する位置まで回転した前記保護部材20の前記固定片22の前記締結部23に、前記吊り下げ部本体の前記上面側から前記固定具挿入部11cに挿入した前記固定具を締結することにより、前記吊り下げ部本体に前記保護部材20を固定することが可能であることを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の発明によれば、保護部材20が吊り下げ部本体(下枠11)に対して着脱可能であるので、工場や施工現場において容易に作業を行うことができる。また、保護部材20を交換することや、主に使用される吊り具41の形状等に応じて保護部材20の種類を変更することも可能となる。
また、固定片22は下枠11の筒内で固定されるので、外観に影響を与えることがなく、高い装飾性を維持することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ハンギングバーにおける装飾性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ハンギングバーを示す斜視図である。
図2】ハンギングバーの使用状態を示す斜視図である。
図3】ハンギングバーを示す図であって、(a)ハンギングバーの正面図、(b)吊り下げ部のA-A線断面図、(c)左側枠のB-B線断面図、(d)左側枠と吊り下げ部の接続部分であるC-C部分の拡大斜視図、(e)吊り下げ部に吊り具を掛け渡した状態を説明する図である。
図4】ハンギングバーの使用状態の別例を示す正面図である。
図5】変形例1にかかるハンギングバーを示す図であって、(a)ハンギングバーの正面図、(b)吊り下げ部のD-D線断面図、(c)左側枠と吊り下げ部の接続部分における分解斜視図である。
図6】変形例2にかかるハンギングバーを示す図であって、(a)ハンギングバーの正面図、(b)吊り下げ部のE-E線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方向は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0022】
図1にはハンギングバー1の斜視図を示し、図2にはハンギングバー1の使用状態の一例を示した。
ハンギングバー1は、下枠11、上枠12、左側枠13及び右側枠14からなる矩形枠状の本体枠部10と、下枠11の上面に取り付けられた保護部材20と、を備えている。本体枠部10を構成する各枠は金属製であって角筒状に形成されている。また、本実施形態においては、本体枠部10の各枠は粉体塗装等の手法により全て同色となるように塗装されており本体枠部10の全体で統一感を持たせるようにしている。
【0023】
図2に示すようにこのハンギングバー1は、例えば部屋の天井31と壁32に接するように固定することで、部屋のうち比較的高い場所に取り付けることが可能となっている。
このうち、下枠11と、保護部材20と、は吊り下げ部15を構成するものであり、下枠11は吊り下げ部本体をなすものである。このように構成される吊り下げ部15は、下枠11の上面が略水平となるように配され、ハンガー40等が備えるフック状の吊り具41や様々な物を吊り下げることが可能となっている。
【0024】
本体枠部10が矩形枠状であるので、高窓の前に設置したとしても高窓を遮ることがないようにすることができる。
また、本体枠部10を構成する各枠は角筒状であるので天井や壁に対して面で接するようになり、丸筒のように線で接するものと比べて施工が容易であるとともに施工後も高い安定性を有する。
【0025】
図3には、ハンギングバー1の正面図と各所の断面図及び拡大図を示した。図3(a)にはハンギングバー1の正面図を示し、図3(b)には図3(a)に示す吊り下げ部15のA-A線断面図を示した。また、図3(c)には図3(a)に示す左側枠13のB-B線断面図を示し、図3(d)には図3(a)に示す左側枠13と吊り下げ部15の接続部分であるC-C部分の拡大斜視図を示し、図3(e)には吊り下げ部15に吊り具41を掛け渡した状態を説明する図を示した。
【0026】
図3(a)に示すように保護部材20は、下枠11の長さ方向に沿って配されている。図3(b)に示すように保護部材20は金属製の板状の部材であって板面が下枠11の上面に沿うように配されている。保護部材20は、未塗装又は透明な塗装がされており、吊り具41との接触により傷が生じても目立たないようにされている。この保護部材20は、リベット留め、ねじ留め、嵌め込み、溶接又は接着等の適当な固定方法により下枠11に固定されており、下枠11の上部に突設された状態となっている。
【0027】
保護部材20は、吊り下げ部15の長さ方向に直交する方向である幅方向(図3(b)において左右方向として示す方向)における側端部の上端である側端上部21が、下枠11の上面と側面とを接続する角部11aよりも、当該幅方向における吊り下げ部15の中央側に位置している。
すなわち、保護部材20の幅方向の長さは下枠11の幅方向の長さより短く、下枠11と保護部材20の幅方向の中心が一致するように取り付けられており、保護部材20の側端上部21の方が下枠11の角部11aよりも幅方向における内側に位置している。
【0028】
また、図3(c)、(d)に示すように、保護部材20における長さ方向の長さは、下枠11の上面における長さ方向の長さと略等しくされている。
図3(c)では保護部材20と左側枠13との間にわずかな隙間が存在することが見て取れるが、この隙間の幅は主に使用される吊り具41が嵌まり込まない幅であることが好ましい。例えば主に使用されるハンガーが備えるフック状の吊り具41の太さよりも狭いことが好ましい。もちろん隙間の幅は任意に設定でき、隙間がないようにしても良い。
【0029】
図3(e)では、吊り下げ部15の長さ方向に直交する幅方向に沿って、ハンガー40が備えるフック状の吊り具41を掛け渡した場合において、保護部材20が存在しない場合の吊り具41の位置を点線で示し、保護部材20が存在する場合の吊り具41の位置を実線で示した。
保護部材20が存在しない場合は、吊り具41が下枠11の角部11aに接した状態となり、この角部11aが仮想接点となる。これに対して保護部材20が存在する場合は、吊り具41が保護部材20の側端上部21に接した状態となる。これにより、吊り具41と下枠11とを離間させることができ、特に、下枠11の仮想接点である角部11aとの間に空間を設けることができて、吊り具41が下枠11に接触しないようにすることができる。
【0030】
下枠11において仮想接点をなす角部11aは、図3(e)に点線で示すように保護部材20が存在しない場合には吊り具41が接触する部分であるため、傷が発生して装飾性が低下するおそれがある。特に、下枠11は断面が矩形状であるので、仮想接点をなす角部11aが幅方向において中心よりも側端に近い位置にあり側方に露出しているため使用者の目に留まりやすく、傷の発生による装飾性の低下の影響が大きい。また、本体枠部10は全て同色に塗装されているので、傷の発生により統一感が損なわれて大きく装飾性が低下してしまうこととなる。また、この仮想接点を覆うような保護部材を設けた場合には、当該保護部材が見えてしまうため装飾性が低下してしまう。
【0031】
そこで、保護部材20によって角部11aと、当該角部11aの鉛直上方に位置する吊り具41との間に空間を設けることで、傷の発生を効果的に防止することができ、装飾性の低下を防止することができる。
また、保護部材20の側端上部21が下枠11の角部11aよりも幅方向の内側に位置するので、使用者からは側端上部21の方が仮想接点をなす角部11aよりも遠い位置となることで保護部材20が目立ちにくくなり、装飾性の低下を防止することができる。
特に、ハンギングバー1を部屋のうち比較的高い場所に取り付けることで、使用者の目の位置よりも高い位置に吊り下げ部15が位置するようにする場合には、使用者が下から見上げることとなるので保護部材20が目に入りにくくなる。
【0032】
さらに、保護部材20は、仮想接点をなす角部11aの鉛直上方には存在しないので、角部11aについては保護部材20を設けていない場合と同様の見た目となり、使用者に対してあたかも吊り具41が下枠11に直接掛けられているかのように見せることができて、ハンギングバー1の装飾性を損ねることなく保護部材20を設けることが可能となる。
また、吊り具41は保護部材20において幅方向に所定の間隔を有する2つの側端上部21に当接することとなるので、鉛直方向の軸を中心とした吊り具41の回転を抑制でき、吊り具41の回転による下枠11への接触も防止することができる。
【0033】
図2においては上枠12を天井31に固定するとともに一方の側枠を壁32に固定する例を挙げたが、これ以外の設置方法も可能である。図4には、ハンギングバー1の設置方法の別例を示した。
図4(a)に示すように、上枠12を固定具50により天井に固定するとともに左側枠13と右側枠14を固定具50により壁32に固定するようにしても良い。固定具50としては、ビス、リベット、釘又はねじなど、設置箇所に応じた任意の固定具50を使用することができる。
図4(b)に示すように、上枠12を固定具50により天井に固定し、左側枠13と右側枠14は壁32に固定しないようにしても良い。
図4(c)に示すように、左側枠13と右側枠14を固定具50により壁32に固定し、上枠12は天井31に固定しないようにしても良い。
【0034】
また、ハンギングバー1を矩形枠状の構成としたが、吊り下げ部15のみにより構成しても良く、図4(d)に示すように、吊り下げ部15の両端を固定具51により壁32に固定するようにしても良い。
図4(e)に示すように、吊り下げ部15を吊り下げ部材52により天井31から吊り下げるようにしても良い。
吊り下げ部15は、下枠11の上側に保護部材20を設けた構造であるので、重心が下枠11の軸心よりも上側にあり、保護部材20が設けられた側が下向きになる方向に回転しやすいが、下枠11が角筒状であるので保護部材20が設けられた面を上向きに維持することが容易である。
【0035】
なお、本体枠部10や保護部材20の材質を金属としたが、木材やプラスチックなどの金属以外の材質であっても良い。
また、保護部材20の材質として弾性を有する材質を用いても良い。弾性を有する材質とすれば、吊り具41の長さ方向への移動や鉛直方向の軸を中心とした回転を抑制でき、下枠11への接触を防止できる。ただし、吊り下げる物の重量を考慮して、弾性変形しても吊り具41が下枠11に接触しない材質及び厚さとすることが好ましい。
【0036】
また、本体枠部10を矩形枠状としたが、これに限られるものではなく、任意の形状とすることができる。
吊り下げ部15についても直線状に限られず、屈曲又は湾曲した形状であっても良い。また、吊り下げ部15の上面が略水平となるようにしたが、長さ方向又は幅方向に傾斜していても良い。
【0037】
また、保護部材20の形状を板状としたが、これに限られるものではなく、吊り下げ部15の長さ方向に直交する幅方向に沿って吊り具41を掛け渡した際に、少なくとも幅方向に間隔を有する2点が吊り具41に当接可能な形状であればどのようなものでも良い。
例えば、下枠11の長さ方向に沿う2以上の複数条の突出部を、下枠11の幅方向に所定の間隔をおいて配するものであっても良い。
また、保護部材20と吊り具41の接点は3点以上の複数点であっても良い。
【0038】
また、近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標達成が求められており、建築業界においても、二酸化炭素排出量を少なくする取り組みが進められている。本実施形態のハンギングバー1は、保護部材20を備えることにより装飾性の低下が防止できるため、長期にわたって使用が可能であって廃棄物の削減に貢献でき、カーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGsの目標達成に貢献できる。
【0039】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0040】
〔変形例1〕
本変形例のハンギングバー1は保護部材20の構成が異なる。
図5(a)には本変形例におけるハンギングバー1の正面図を示し、図5(b)には図5(a)に示す吊り下げ部15のD-D線断面図を示した。
図5(a)、(b)に示すように本変形例の保護部材20は、板状の保護部材20を板面が垂直となるように設けたものとなっている。
図5(a)に示すように保護部材20における長さ方向の寸法は、下枠11の上面における長さ方向の寸法と略等しくされている。また、図5(b)に示すように保護部材20は、下枠11の上部における幅方向の中心となる位置に、下枠11の長さ方向に沿うように設けられている。
【0041】
図5(c)に示すように保護部材20には、下枠11に固定するための板状の固定片22が保護部材20の板面に対して垂直となるように設けられている。この固定片22には固定具であるねじ53を締結可能な締結部23が複数形成されている。
下枠11には、外周面から筒内に貫通し、固定片22を挿入可能なスリット状の固定片挿入部11bと、外周面から筒内に貫通し、固定具であるねじ53を挿入可能な固定具挿入部11cと、が形成されている。
【0042】
保護部材20を下枠11に取り付ける際には、下枠11の外周面側から固定片22を固定片挿入部11bに挿入し、保護部材20の板面が垂直となるように保持する。これにより、図5(b)に示すように固定片22の上面と下枠11の内面とが接した状態となる。この状態では、固定片22の締結部23と下枠11の固定具挿入部11cとが一致するようになっている。そして、下枠11の外周面側から固定具挿入部11cに挿入したねじ53を締結部23に締結することにより、下枠11に保護部材20を固定できるようになっている。また、上記と逆の手順により、保護部材20を下枠11から取り外すことができる。
図5(a)に示すように、固定片22は保護部材20の長さ方向に沿って複数設けられ、下枠11の対応する位置には固定片挿入部11b及び固定具挿入部11cが形成されている。
【0043】
このように、保護部材20を下枠11に対して着脱可能とすることで、工場や施工現場において容易に作業を行うことができる。また、保護部材20を交換することや、主に使用される吊り具41の形状等に応じて保護部材20の種類を変更することも可能となる。
また、固定片22は下枠11の筒内で固定されるので、外観に影響を与えることがなく、高い装飾性を維持することができる。
【0044】
〔変形例2〕
本変形例の保護部材20は、図5に示した変形例1と同様に板状の保護部材20を板面が垂直となるように設けたものとなっている。
図6(a)には本変形例におけるハンギングバー1の正面図を示し、図6(b)には図6(a)に示す吊り下げ部15のE-E線断面図を示した。
図6(a)に示すように保護部材20における長さ方向の寸法は、下枠11の上面における長さ方向の寸法と略等しくされている。また、図6(b)に示すように保護部材20は、下枠11の上部における幅方向の中心となる位置に、下枠11の長さ方向に沿うように設けられている。
本変形例の保護部材20は、板状の保護部材20が溶接又は接着等の適当な固定方法により下枠11に固定され、下枠11の上部に突設された状態となっている。
【0045】
以上に示した変形例1及び変形例2の保護部材20においても、吊り下げ部15の長さ方向に直交する幅方向に沿って吊り具41を掛け渡した際に、吊り具41が保護部材20の側端上部21に当接することとなって、下枠11の角部11aには接触しないようにすることができる。これにより、下枠11に吊り具41が接触することによる傷の発生を防止することができ、装飾性の低下を防止することができる。
また、変形例1及び変形例2の保護部材20においても、吊り具41は保護部材20において幅方向に所定の間隔を有する2つの側端上部21に当接することとなるので、鉛直方向の軸を中心とした吊り具41の回転を抑制でき、吊り具41の回転による下枠11の接触を防止することができる。
【0046】
また、変形例1及び変形例2の保護部材20においても、保護部材20の側端上部21が下枠11の角部11aよりも幅方向の内側に位置するので、使用者からは側端上部21の方が仮想接点をなす角部11aよりも遠い位置となることで保護部材20が目立ちにくくなり、装飾性の低下を防止することができる。
特に、ハンギングバー1を部屋のうち比較的高い場所に取り付けることで、使用者の目の位置よりも高い位置に吊り下げ部15が位置するようにする場合には、使用者が下から見上げることとなるので保護部材20が目に入りにくくなる。
さらに、保護部材20は、吊り具41と仮想接点をなす角部11aとの間には存在しないので、使用者に対してあたかも吊り具が下枠11に直接掛けられているかのように見せることができ、ハンギングバー1の装飾性を損ねることなく保護部材20を設けることが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1 ハンギングバー
11 下枠(吊り下げ部本体)
11a 角部(仮想接点)
15 吊り下げ部
20 保護部材
41 吊り具
【要約】
【課題】ハンギングバーにおける装飾性の低下を防止する。
【解決手段】物を吊り下げ可能な吊り下げ部15を備えるハンギングバーにおいて、吊り下げ部15は、吊り具41を掛けることが可能な棒状の吊り下げ部本体(下枠11)と、吊り下げ部本体の上部に当該吊り下げ部本体の長さ方向に沿って設けられ、吊り具41と吊り下げ部本体とを離間させることが可能な保護部材20と、を備える。保護部材20により吊り具41が吊り下げ部本体に接触して傷が生じることを防止することができ、ハンギングバーの装飾性の低下を防止することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6