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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】乳化外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/045 20060101AFI20240118BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240118BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20240118BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240118BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240118BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240118BHJP
   A61K 31/125 20060101ALI20240118BHJP
   A61K 31/60 20060101ALI20240118BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20240118BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20240118BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A61K31/045
A61K8/34
A61K8/35
A61K8/37
A61K8/06
A61Q19/00
A61K31/125
A61K31/60
A61K9/107
A61P17/04
A61P43/00 121
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023125025
(22)【出願日】2023-07-31
(62)【分割の表示】P 2023124919の分割
【原出願日】2023-07-31
【審査請求日】2023-08-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】升田 賢太
(72)【発明者】
【氏名】加藤 栞
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-225012(JP,A)
【文献】特開昭59-155318(JP,A)
【文献】特開昭51-044618(JP,A)
【文献】特開2022-107739(JP,A)
【文献】特開2022-146235(JP,A)
【文献】特開昭54-046819(JP,A)
【文献】特開昭62-205019(JP,A)
【文献】特開昭54-140713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61Q
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メントール1.2質量%~1.8質量%及びカンフル8.6質量%~11質量%を含有し、サリチル酸メチルの含有量が3質量%未満である、乳化外用組成物。
【請求項2】
かゆみ抑制用である、請求項1に記載の乳化外用組成物。
【請求項3】
さらに、水を30質量%以上含む、請求項1又は2に記載の乳化外用組成物。
【請求項4】
クリーム剤型である請求項1又は2に記載の乳化外用組成物。
【請求項5】
チューブ容器に収容されてなる、請求項1又は2に記載の乳化外用組成物。
【請求項6】
外用組成物に、メントール1.2質量%~1.8質量%及びカンフル8.6質量%~11質量%を共存させ、乳化物とすることで、該外用組成物に、塗布時摩擦の低減効果を付与する方法。
【請求項7】
外用組成物に、メントール1.2質量%~1.8質量%及びカンフル8.6質量%~11質量%を共存させ、乳化物とすることで、該外用組成物に、清涼感増強効果を付与する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メントール及びカンフルを含有する乳化外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
蕁麻疹、湿疹、かぶれなどの皮膚疾患、あるいは乾燥肌は、患者にとって非常に不快なものであり、日常生活に支障をきたすこともある。皮膚に掻痒などの刺激が加わると、その症状がさらに悪化し、悪循環を招くことも多い。
【0003】
皮膚の不調に対応し、抗ヒスタミン剤が配合された薬剤や、ステロイドが配合された鎮痒剤が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2023-59139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、不快感や痒みを伴う皮膚の不調や状態によって、外用剤の塗布自体が刺激となり、肌への負担が大きくなる場合がある。
そこで、本発明は、適用した際に適用部位への負担が少なく、清涼感に優れた乳化外用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に対して鋭意検討を行った結果、本発明者らは、メントール及びカンフルを組み合わせて乳化組成物とすることによって、適用した際に適用部位への負担が少なく、清涼感に優れた組成物を調製し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記に掲げる乳化外用組成物を提供する。
項1.
メントール1.2質量%~1.8質量%及びカンフル8.6質量%~11質量%を含有し、サリチル酸メチルの含有量が3質量%未満である、乳化外用組成物。
項2.
かゆみ抑制用である、項1に記載の乳化外用組成物。
項3.
さらに、水を30質量%以上含む、項1又は2に記載の乳化外用組成物。
項4.
クリーム剤型である項1~3のいずれかに記載の乳化外用組成物。
項5
チューブ容器に収容されてなる、項1~4のいずれかに記載の乳化外用組成物。
【0008】
さらに、本発明は下記に掲げる方法を提供する。
項6.
外用組成物に、メントール1.2質量%~1.8質量%及びカンフル8.6質量%~11質量%を共存させ、乳化物とすることで、該外用組成物の塗布時の摩擦を低減する方法。
項7.
外用組成物に、メントール1.2質量%~1.8質量%及びカンフル8.6質量%~11質量%を共存させ、乳化物とすることで、該外用組成物の清涼感を増強する方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、適用した際に適用部位への負担が少なく、特に、かゆみやかぶれ等、炎症を起こしている患部への負担が軽減される乳化外用組成物の提供、さらに清涼感に優れた乳化外用組成物の提供が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[乳化外用組成物]
本発明の乳化外用組成物は、メントール1.2質量%~1.8質量%及びカンフル8.6質量%~11質量%を含有する、乳化外用組成物である。
【0011】
(メントール)
メントールは、医薬品又は医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。天然品、合成品のいずれも利用することができ、d体、l体又はdl体のいずれでもよい。メントールとして、メントールを含有する精油を使用することもできる。このような精油としては、例えば、ハッカ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油等が挙げられる。メントールとしては、特に、l-メントール、dl-メントールが好ましい。
【0012】
本発明において、組成物の全量に対するメントールの含有量は、他の成分とのバランス等によって適宜設定される。組成物の全量に対して、メントールの含有量は、1.2質量%~1.8質量%であり、好ましくは、1.2質量%~1.5質量%であり、より好ましくは、1.25質量%~1.45質量%、さらに好ましくは1.3質量%~1.4質量%、特に好ましくは1.35質量%である。なお、メントールを含有する精油を用いる場合には、配合される精油中のメントールの含有量が上記範囲内となるように設定される。
【0013】
(カンフル)
本発明に用いられるカンフルとしては、医薬品又は医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。天然品、合成品のいずれも利用することができ、d体、l体又はdl体のいずれでもよい。カンフルとして、カンフルを含有する精油を使用することもできる。このような精油としては、例えば、樟脳油等が挙げられる。カンフルとしては、特に、dl-カンフルが好ましい。
【0014】
本発明において、組成物の全量に対するカンフルの含有量は、他の成分とのバランス等によって適宜設定される。組成物の全量に対して、カンフルの含有量は、8.6質量%~11質量%であり、好ましくは、8.6質量%~10.6質量%であり、より好ましくは9質量%~10質量%、特に好ましくは9.6質量%である。なお、カンフルを含有する精油を用いる場合には、配合される精油中のカンフルの含有量が上記範囲内となるように設定される。
【0015】
本発明において、メントールに対するカンフルの含有量の比率は、本発明の効果を高める観点から、メントール1質量部に対して、カンフルの含有量が、4.5~9.5質量部であることが好ましく、5.0~9.0質量部、5.5~8.5質量部、6.0~8.0質量部、7.0~7.5質量部であることがさらに好ましい。
【0016】
(水)
本発明の組成物は、水を含むことが好ましい。水の含有量は、限定はされないが、組成物の全量に対して、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、70質量%、80質量%以上であることが好ましい。水の含有量は、限定はされないが、組成物の全量に対して、好ましくは90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、65質量%以下であることが好ましい。
【0017】
(アミノ酸又はその誘導体、ビタミン類)
本発明の医薬組成物には、メントール及びカンフルの他に、さらに、以下の成分を含有し得る。
【0018】
含有し得る成分の例としては、アミノ酸又はその誘導体等が挙げられ、アミノ酸又はその誘導体としては、塩基性アミノ酸が好ましく、リジン、δ-ヒドロキシリジン、又はアルギニン等がより好ましく、アルギニンとしてはD体、L体、DL体のいずれであっても良いが、L体が好ましい。アミノ酸又はその誘導体等の含有量は、限定されないが、組成物の全量に対して、好ましくは0.0001質量%~1質量%、より好ましくは0.001質量%~0.5質量%、さらに好ましくは0.01質量%~0.45質量%、特に好ましくは0.1質量%~0.45質量%である。
【0019】
含有し得る成分として、別の例としては、ビタミン類が挙げられる。ビタミン類は、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンD類、ビタミンE類、ニコチン酸類、ビタミンK類、その他のビタミン類のいずれも用いることができる。
【0020】
このうち、ビタミンA類としては、レチノール、レチナール、レチノイン酸、及びこれらの薬理学的に許容される塩又は誘導体が挙げられる。具体的には、レチノール、レチナール、レチノイン酸、パルミチン酸レチノール(レチノールパルミチン酸エステル)、酢酸レチノール(レチノール酢酸エステル)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールが好ましい。
【0021】
ビタミンB類としては、ビタミンB1類、ビタミンB2類、ビタミンB6類、ビタミンB12類、ニコチン酸類、パントテン酸類、葉酸、ビオチン等が挙げられる。ビタミンB1類としては、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等;ビタミンB2類としては、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等;ビタミンB6類としては、塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等;ニコチン酸類としては、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等;ビタミンB12類としては、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等;ニコチン酸類としては、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、ニコチン酸1-(4-メチルフェニル)エチル等;パントテン酸類としては、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(D-パンテノール)、D-パンテサイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等が挙げられる。
【0022】
ビタミンC類としては、アスコルビゲン-A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビル、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸ナトリウム塩、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等が挙げられる。
【0023】
ビタミンD類としては、メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等が挙げられる。
【0024】
ビタミンE類としては、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム等が挙げられる。
【0025】
ビタミンK類としては、フィロキノン、ファルノキノン等が挙げられる。
【0026】
これらのビタミン類の中では、ビタミンE類が好ましく、含有量は特に限定されないが、組成物の全量に対して、0.0001質量%~2.0質量%、0.01質量%~1.0質量%、0.1~0.5質量%が好ましい。
【0027】
このような成分の別の例としては、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルリチン酸及び又はその塩(グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)等の、グリチルレチン酸類;メフェナム酸、アラントイン、サリチル酸グリコール、及びそれらの薬学的に許容される塩等の抗炎症剤が挙げられる。その中でもグリチルレチン酸類、アラントインが好ましく、含有量は特に限定されないが、組成物の全量に対して、グリチルリチン酸類は0.0001質量%~1.0質量%、0.001質量%~0.5質量%、0.05~0.5質量%、0.1質量%~0.2質量%が好ましく、アラントインは0.0001質量%~1質量%、0.001質量%~0.5質量%、0.01質量%~0.3質量%、0.05質量%~0.1質量%が好ましい。これらの薬剤から1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することもできる。但し、抗炎症剤のうち、サリチル酸メチルは、本発明の清涼感の効果を奏する観点と、不快な臭いを発生させない観点から、組成物全体の3質量%以上含有させないことが好ましく、2.5質量%以下、2.0質量%以下、2質量%以下、1.5質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、0.3質量%以下、0.1質量%以下、0.01質量%以下、0.001質量%以下、0.0001質量%以下であることが好ましく、実質的に含まない方がさらに好ましい。
【0028】
(基剤、担体、添加物等)
本発明の組成物は、使用感の向上、安定性等の観点から、本発明の効果を妨げない限り、メントール及びカンフルの他に、基剤、担体、又は添加物等を含んでいてもよい。
【0029】
基剤、担体、又は添加物等としては、例えば、界面活性剤、高級脂肪酸、高級アルコール、炭化水素類、油脂類、ロウ類、エステル油、シリコーン油、保湿成分、多価アルコール、増粘剤、メントール又はカンフル以外の清涼化剤、精油、保存剤又は防腐剤、pH調整剤、キレート剤等が挙げられる。なお、これらの成分は1種単独で、又は2種以上を任意に配合することができる。
【0030】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のいずれでもよい。
【0031】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体(例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80(HCO-80)等);ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等);グリセリン誘導体(例えば、ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル、グリセリンアルキルエーテル);ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル等);シリコーン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等);アルキルグルコシド;等が挙げられる。
【0032】
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が例示される。
【0033】
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム等);アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム等);スルホコハク酸塩(例えば、アルキルスルホコハク酸エステルナトリウム、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);アミノ酸系界面活性剤(例えば、ココイルグルタミン酸ナトリウム、N-アシルグルタミン酸塩等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、ラウロイルグルタミン酸カリウム、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);エーテルカルボン酸塩(例えばポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム等);α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0034】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジアミノエチルグリシン等のグリシン型、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型、イミダゾリン型、レシチン等のリン脂質等の界面活性剤等が挙げられる。
【0035】
本発明において、界面活性剤としては、リン脂質が好ましく、特にレシチンが好ましい。
【0036】
高級脂肪酸としては、例えば、飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数12~22の脂肪酸を用いることができ、例えば、好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸などの直鎖状飽和脂肪酸(常温で固体);オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、エイコサペンタエン酸、パクセン酸又はドコサヘキサエン酸などの不飽和脂肪酸(常温で液体);又は、イソステアリン酸又はラノリン脂肪酸などの分岐状脂肪酸、又は12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0037】
本発明において、高級脂肪酸としては、ステアリン酸が好ましい。
【0038】
高級アルコールとしては、例えば、炭素数12~22の高級アルコールやステロール類等が挙げられる。好ましくは、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、などの直鎖飽和アルコール(常温で固体);オレイルアルコール、セラキルアルコールのような不飽和アルコール(常温で液体);又は、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0039】
本発明において、高級アルコールとしては、ステアリルアルコール、セタノール、及びベヘニルアルコールからなる群より選択される1種以上が好ましい。
【0040】
炭化水素類としては、例えば、ワセリン、パラフィン、セレシン、イソパラフィン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、ポリブテン、ポリエチレン末、流動パラフィン、スクワラン、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィン及び軽質流動パラフィンのような炭化水素が挙げられる。
【0041】
油脂類としては、アボガド油、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、サフラワー油、キョウニン油、ホホバ油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、アーモンド油、サザンカ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、ククイナッツ油、ヘーゼルナッツ油、シア脂、オレンジ油、カミツレ油等の油脂類等が挙げられる。
【0042】
ロウ類としては、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、セラックロウ、ミツロウ、モクロウのようなロウ類等が挙げられる。
【0043】
エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸イソデシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ステアリン酸イヌリン、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリメリト酸トリ2-エチルヘキシル、トリメリト酸トリトリデシル、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、酢酸ラノリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル等が挙げられる。
【0044】
シリコーン油としては、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルシクロペンタシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチコノール、ジメチコノールクロスポリマー、などのシロキサン、カプリリルメチコン等のアルキル変性シリコーン、アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、及びシリコーンレジンのようなシリコーン油等が挙げられる。
【0045】
保湿成分としては、例えば、ヒアルロン酸(加水分解ヒアルロン酸、低分子ヒアルロン酸等を含む);ヒアルロン酸の塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸亜鉛、低分子ヒアルロン酸亜鉛等);ヒアルロン酸誘導体(アセチル化ヒアルロン酸又はその塩(例えば、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸亜鉛等)、架橋型ヒアルロン酸誘導体(ヒアルロン酸クロスポリマーNa等)、カルボキシメチルヒアルロン酸Na、不飽和ヒアルロン酸又はその塩、加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル、カチオン化ヒアルロン酸誘導体(ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム等)、ヒアルロン酸ジメチルシラノール等);コンドロイチン硫酸又はその塩(コンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸カリウム、デルマタン硫酸ナトリウム、デルマタン硫酸カリウム等);ヘパリン類似物質、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニン、アルギニンなどのアミノ酸及びその誘導体;多価アルコール;PPG-17ブテス-17、PPG-25ソルビトール、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリオキシアルキレンジグリセリルなどのアルキレンオキシド;グリコシルトレハロース、トレハロース;セラミド、グルコシルセラミド、コレステロール、フィトステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体、;2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等の2-メタクロイルオキシホスホリルコリン含有重合体;乳酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、尿素などのNMF由来成分;コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサン等とそれらの加水分解物;ヒドロキシエチルウレア;植物(たとえば、アロエ、海藻、カッコン、クロレラ、レモングラス、カミツレ、ハマメリス、チャ、シソ、グレープフルーツ、アマチャヅルなど)に由来する成分、等が挙げられる。
【0046】
多価アルコールとしては、ヒドロキシ基を2個以上有する低分子が挙げられ、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、1、3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトールが挙げられる。
【0047】
増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系増粘剤、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系増粘剤、グァーガム、スクレロチウムガム、タマリンドガム、キサンタンガム、デキストラン、ペクチン、プルラン、ゼラチン、ローカストビーンガム、カラギーナン、寒天、ビオサッカリドガム、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、塩化トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルグァーガム、塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー等が挙げられる。
【0048】
メントール及びカンフル以外の清涼化剤としては、例えば、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノール等のテルペン類(これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。)が挙げられる。
【0049】
精油としては、例えば、ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油、テレビン油、ラベンダー油等が挙げられる。但し、ユーカリ油は、本発明の組成物の清涼感増強の効果をより顕著に奏する観点から、組成物全体の1.5質量%未満とすることが好ましく、1.45質量%以下がより好ましく、1.4質量%以下がさらに好ましく、1.35質量%以下がさらにより好ましく、特に1.3質量%以下が特に好ましい。含有する場合、組成物全体の0.0001質量%以上、0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上が特に好ましい。
ユーカリ油は、含有されていなくても良い。
【0050】
保存剤又は防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、メチルイソチアゾリン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、クロロブタノール、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、又は、1,2-オクタンジオール等が挙げられる。
【0051】
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)、ならびにそれらの塩、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、等が挙げられる。
【0052】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸(エデト酸)、エチレンジアミン4酢酸塩(ナトリウム塩(エデト酸ナトリウム:日本薬局方、EDTA-2Naなど)、カリウム塩など)、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸等が挙げられる。
【0053】
限定はされないが、本発明の外用組成物は、自然原料又は自然由来原料のみからなる組成物であることが好ましい。ここで、自然原料とは、ISO 16128で定義される自然原料と同意義であり、動物、植物、又は鉱物から得て、意図的な化学修飾を施していない原料を指す。自然由来原料とは、ISO 16128で定義される自然由来原料と同意義であり、動物、植物、又は鉱物から得て意図的な化学修飾を施した原料を指す。 あるいは、本発明の乳化外用組成物は、水を考慮して、自然由来指数が50以上、60以上、70以上、80以上、90以上であることが好ましく、95以上であることがより好ましく、100であることが最も好ましい。
【0054】
[製造方法]
本発明の医薬組成物の製造方法は特に限定されず、適宜設定できる。
【0055】
具体的には、必要に応じ各成分を加熱溶解して、混合後、水浴で冷却しながら撹拌し、その後室温で静置する方法が挙げられるが、特にこれに限定はされない。
【0056】
[製剤形態]
本発明の組成物は、例えば、医薬品又は医薬部外品に通常使用される基剤又は担体、及び必要に応じて添加物と共に混合して乳化外用組成物とする。乳化外用組成物は、水中油型乳化組成物又は油中水型乳化組成物のいずれであっても良いが、水中油型乳化組成物であることが好ましい。
【0057】
本発明の組成物の形態は特に限定されないが、乳化外用組成物の形態であることが好ましい。このような形態としては、例えば、クリーム剤、懸濁剤、乳剤、乳液、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、貼付剤等が挙げられる。これらの製剤は、第18改正日本薬局方製剤総則に記載の方法等に従い製造することができる。中でも、べたつき感が少なく、使用感が良く、さらに本願の効果を奏する観点でクリーム剤が好ましい。
【0058】
[pH]
本発明の組成物のpHは、通常pH4.0~8.0であり、pH4.5~7.5、pH5.0~7.5、pH5.5.~7.5、pH6.0~7.5 pH6.5~7.5、pH7.0~7.5を好ましい値として例示することができる。なお、このpHは、例えば、pH調整剤の使用により調整することができる。ただし、pH測定が不能又は困難な製剤形態については、この限りではない。
【0059】
[容器]
本発明の組成物は、使用目的及び用途に応じ、適宜選択した形状、材質の容器に収容し、使用することができる。具体的な容器としては、例えば、ノズル付き容器、ポンプ付き容器、ジャー容器、チューブ容器、中栓に穴の開いたタイプの容器、ヒンジキャップ付き容器、スポンジヘッド容器、ロールオン容器等を例示できる。これらのうち、特にチューブ容器が好ましい。これらの容器に収容することで、本発明の組成物を所望の患部に直接的に又は間接的に塗布することができる。ノズルやスポンジは、患部の狭い範囲又は広い範囲に塗布できるように、先細又は大きな径に設計することも可能である。患部に本実施形態に係る組成物を塗布した後に、不織布や指等により、塗り拡げて用いることも可能である。
【0060】
また、容器の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE等)、ABS樹脂、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリスチレン、ガラス、及び金属(アルミ等)等を例示できる。また、これらの材料は、強度、柔軟性、耐候性、又は成分の安定性等を考慮し、各種コーティング処理を行ったり、これらの材料を例えば混合する等して組み合わせたり、積層したりして、容器材料として用いることができる。
【0061】
[摩擦低減方法]
本発明はまた、メントール1.2質量%~1.8質量%、及びカンフル8.6質量%~11質量%を共存させ、乳化物とすることで、該外用組成物の塗布時の摩擦を低減する方法に関する。「塗布時の摩擦の低減」は、組成物を皮膚に適用する際に適用部位、特に炎症を起こした患部への負担軽減につながる。このような摩擦の低減により、さらに、薬効感および使用感が良好となり、手で塗広げる際の塗広げやすさにもつながる。ここで、各成分の含有量、比率、その他成分等の条件は、[乳化外用組成物]に記載した内容に準じる。
【0062】
[清涼感増強方法]
本発明はまた、メントール1.2質量%~1.8質量%、及びカンフル8.6質量%~11質量%を共存させ、乳化物とすることで、該外用組成物の清涼感を増強させる方法に関する。清涼感増強によって、痒み抑制効果が付与される。この為、特に本発明の組成物は、自然由来指数を高くした場合でも、痒み抑制剤として有効である。ここで、各成分の含有量、比率、その他成分等の条件は、[乳化外用組成物]に記載した内容に準じる。
【0063】
[用途]
本発明の乳化外用組成物は、特には、掻痒抑制用、赤み抑制用、又は、痒み抑制用として有効であり、症状や状態に応じて用いられる。限定はされないが、本発明の組成物は、例えば、老人性皮膚掻痒症、湿疹(頭皮湿疹や手湿疹を含む、皮膚湿疹)、皮フ炎、かゆみ、かぶれ、じんましん、ただれ、あせも、しもやけ、虫さされ、又は乾燥等が原因のかゆみ等に対して作用を有する。本発明の組成物はまた、ひりひりする、じんじんする、といった感覚や掻くと赤みが広がる痒み、繰り返し痒くなる痒みに対しても作用を有する。
【0064】
皮膚への作用効果から、本発明は皮膚外用剤(外皮用の製剤)として適用される製品に使用されることが好ましい。皮膚の適用部位としては、手(手のひら、手の甲、手指)、顔、足、頭(頭皮)、首元、胸元、脇、背中、腰回り、肘の裏、膝の裏の皮膚が挙げられる。特に手、顔、足、首元用としての用途は好ましく、特に手又は顔用としての用途が好ましい。例えば、医薬品又は医薬部外品の痒み止めクリームとして好適に使用することができる。本発明の医薬組成物は、用途等に応じて1日あたり1回から数回に分けて、公知あるいは慣用されている用法・用量にて使用することができる。
【実施例
【0065】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0066】
[試験例1.摩擦試験]
実施例及び比較例の外用組成物を常法により調製した。各組成物の成分と含有量は、表1に示した通りである。なお、実施例1~3及び比較例1は乳化組成物であり、比較例2は軟膏の形態の組成物であり、実施例1~3は水中油型の乳化組成物である。
これらの組成物について、摩擦試験を実施し、メントールおよびカンフルの濃度の違いによって製剤の摩擦抵抗力に差があるか否かを検討した。摩擦試験にはポータブル触感系(TRIBOGEAR TYPE:33、新東科学社製)を用いた。装置の中心にStrat-M Membrane(Size 25mm Discs, Qty 60, Lot 0000162464)を両面テープで固定した。その後、各組成物5μlをメンブレンの中心に滴下し、メンブレン上で円を描くように人差し指を120秒間摺動させた。摺動速度は、3.3往復/secとした。
【0067】
試験開始から120秒後までの摩擦係数の平均値から、比較例1に対する摩擦係数割合を算出した。
摩擦係数割合=各試験例における摩擦係数の120秒間の平均値/比較例1の120秒間の摩擦係数の平均値。
算出した摩擦係数割合の数値に応じて、評価結果を記した(表2)。
0.86以下:◎
0.86~0.93:〇
0.93以上:×
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
この結果、実施例の乳化組成物では比較例に対して、摩擦減少効果があることが確認できた。
【0071】
[試験例2.使用感評価]
表3に示す乳化外用組成物を常法により調製した。
実施例1及び比較例3について、それぞれ使用感評価を行った。
人差し指の先から第一関節の長さ(1FTU=約0.5g)とり、普段から製剤を調製し、評価を行っている専門パネラー(プロフェッショナル)4名の左右の頬骨あたりの頬に塗布し、塗布した組成物がややテカる程度に3cm×3cm内の範囲にやさしく塗り広げた。塗布直後の「清涼感(爽快感/ス-ッと感)」を相対的に評価した。
【0072】
【表3】
【0073】
その結果を表4に合わせて示す。なお、清涼感が強いほど、かゆみ症状への薬効感は強く感じられる。
【表4】
【0074】
比較例3の組成物と比較し、実施例1の組成物では、清涼感が強く感じられることが確認できた。さらに比較例3の組成物は湿布臭のような不快な臭いがあり、使用感が良いものではなかった。
【0075】
表5に示す乳化外用組成物を常法により調製した。なお、実施例4は水中油型乳化組成物である。
実施例3及び実施例4について、それぞれ使用感評価を行った。
人差し指の先から第一関節の長さ(1FTU=約0.5g)とり、普段から製剤を調製し、評価を行っている専門パネラー(プロフェッショナル)2名の左右の頬骨あたりの頬に塗布し、塗布した組成物がややテカる程度に3cm×3cm内の範囲にやさしく塗り広げた。塗布直後の「清涼感(爽快感/ス-ッと感)」を相対的に評価した。
【0076】
【表5】
【0077】
その結果、実施例3、4ともに塗布直後の清涼感は良好であったが、実施例3の方が清涼感が強く感じられた。実施例4は実施例3と比較すると清涼感が若干弱まる傾向が見られた。
【0078】
[試験例3.かゆみ抑制評価]
l-メントール1.35質量%及びdl-カンフル9.6質量%を含み、その他に、水、シュガースクワラン、ステアリルアルコール、グリセリン、セタノール、ステアリン酸、ユーカリ油、ベヘニルアルコール、ラベンダー油、L-アルギニン、及びテレビン油を含有する実施例5の乳化組成物を調製した。なお、実施例5は水中油型乳化組成物である。この乳化組成物に関して、かゆみ抑制効果の評価を行った。かゆみ症状のある成人6名がかゆみを感じる部位に製剤を塗布し、虫刺されによるかゆみ抑制の即効感、虫刺されによるかゆみ抑制効果の持続、かぶれ等虫刺され以外のかゆみ抑制の即効感をそれぞれ1~5段階で評価した。数値が5に近づくほど顕著に効果を感じたことを示す。
【0079】
[評価]
1:全く感じない
2:やや感じる
3:感じる
4:とても感じる
5:とても強く感じる
【0080】
その結果(6人の個別評点と平均値)を表6に合わせて示す。
【表6】
【0081】
実施例5の組成物をかゆみの症状がある部位へ塗布することにより、かゆみを抑制する効果があることが確認できた。
【0082】
[製剤例]
下記表7に製剤例を示す。単位はすべて質量%である。なお、製剤例はすべてクリーム剤または乳液である。
【0083】
【表7】
【要約】
【課題】 塗布時の摩擦が低減され、清涼感が増強された乳化外用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 メントール1.2質量%~1.8質量%及びカンフル8.6質量%~11質量%を含有し、サリチル酸メチルの含有量が3質量%未満である、乳化外用組成物を調製する。
【選択図】 なし