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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】吸入装置のためのリザーバ
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20240119BHJP
   A61J 1/10 20060101ALI20240119BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61J1/10 333C
B65D83/00 G
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021523378
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019080480
(87)【国際公開番号】W WO2020094761
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】62/757,965
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18205390.0
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519084526
【氏名又は名称】インヴォックス ベルジアム エヌヴイ
【氏名又は名称原語表記】invoX Belgium NV
【住所又は居所原語表記】Agoralaan building Abis, 3590 Diepenbeek Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェルト, ユーゲン
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521195(JP,A)
【文献】特表2002-527205(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0090603(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
A61J 1/10
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医学的に活性な液体(L)を貯蔵し、吸入装置のポンプユニットにそれを供給するためのカートリッジ(1)であって、
-前記吸入装置が、ハウジングと、前記カートリッジ(1)と流体接続されることができるポンプユニットと、前記カートリッジ(1)用のホルダ(2)と、前記ポンプユニットの下流に流体接続されたノズルとを備え、
-前記ポンプユニットが前記カートリッジ(1)に流体接続されている場合、前記ポンプユニットが、前記カートリッジ(1)から前記ポンプユニット内に前記医学的に活性な液体(L)を引き込むように負ゲージ圧を発生させることができ、前記液体(L)を霧化するように前記ポンプユニットから前記ノズル内におよび前記ノズルを通って前記液体(L)を押し込むように正ゲージ圧を発生させることができ、
-前記カートリッジ(1)が、折り畳み式内側バッグ(4)を囲む外側容器(3)と、前記容器(3)を閉じることができるキャップ(5)とを備え、前記キャップ(5)が、前記内側バッグ(4)への開閉可能なアクセス開口部(6)をさらに提供し、
-さらに、前記カートリッジ(1)の前記容器(3)が、少なくとも1つの圧力補償開口部(7)を有し、
前記少なくとも1つの圧力補償開口部(7)が、前記キャップ(5)によって覆われている前記容器(3)の領域(8)に位置している、カートリッジ。
【請求項2】
前記カートリッジ(1)が前記ホルダ(2)から切断された状態では、前記少なくとも1つの圧力補償開口部(7)が、前記キャップ(5)によって覆われ、前記カートリッジ(1)が前記ホルダ(2)に接続された状態では、前記圧力補償開口部(7)が開いている、請求項1に記載のカートリッジ(1)。
【請求項3】
前記カートリッジ(1)が前記ホルダ(2)から切断された状態では、前記少なくとも1つの圧力補償開口部(7)が、前記キャップ(5)によって気密に覆われる、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記キャップ(5)および/または前記外側容器(3)の少なくともキャップ接続領域が、変形可能な材料から作製され、前記キャップ(5)の内面と前記キャップ(3)に面する前記外側容器の外面との間に空隙(9)が設けられるように変形されることができる、請求項1から3のいずれか一項に記載のカートリッジ(1)。
【請求項5】
前記キャップ(5)が半径方向の圧縮力(F)によって変形可能である、請求項4に記載のカートリッジ(1)。
【請求項6】
前記キャップ(5)の外周および/または前記ホルダ(2)の内周に、前記カートリッジ(1)の接続状態において前記空隙(9)を提供するように前記キャップ(5)を変形させる少なくとも1つの突起(11)が存在する、請求項4または5に記載のカートリッジ(1)。
【請求項7】
前記キャップ(5)および/または前記ホルダ(2)が、複数の等間隔の突起(11)を有する、請求項6に記載のカートリッジ(1)。
【請求項8】
前記カートリッジ(1)の前記容器(3)が、複数の圧力補償開口部(7)を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記カートリッジ(1)の前記容器(3)が、2つの圧力補償開口部(7)を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のカートリッジ(1)と、前記カートリッジを保持するためのホルダ(2)とを備える、エアロゾルの形態の医学的に活性な液体を送達する吸入装置。
【請求項11】
請求項4から9のいずれかに定義されたカートリッジ(1)の前記外側容器(3)の前記折り畳み式内側バッグ収容内部に圧力補償を提供する方法であって、最初に、前記カートリッジ(1)がホルダ(2)に接続される前に、前記圧力補償開口部(7)が閉じられ、その後、前記カートリッジ(1)が前記ホルダ(2)に接続されると、(i)前記外側容器(3)の領域を含む圧力補償開口部および/または(ii)前記キャップ(5)の補償開口部被覆領域を機械的に変形することによって、周囲圧力による前記バッグ収容内部の圧力均等化を可能にする空隙(9)が設けられる、方法。
【請求項12】
前記機械的変形が、前記ホルダ(2)から前記キャップ(5)に半径方向の圧縮力(F)を加えることによって、前記カートリッジ(1)を前記ホルダ(2)に接続する際に行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
その後に前記カートリッジ(1)を前記ホルダ(2)から取り外すと、前記空隙(9)が閉じられ且つ前記補償開口部(7)が再び前記キャップ(5)によって気密に覆われるように、前記機械的変形が逆になる、請求項11から12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学的に活性な液体のための吸入装置の分野に関する。特に、本発明は、そのような吸入装置用の前記液体を収容するカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
液体用のネブライザまたは他のエアロゾル発生器は、古くから当該技術分野において知られている。とりわけ、そのような装置は、医学および治療において使用される。そこでは、エアロゾル、すなわちガスに埋め込まれた小さな液滴の形態の活性成分を適用するための吸入装置として機能する。そのような吸入装置は、例えば欧州特許第0 627 230号明細書から知られている。この吸入装置の典型的な構成要素は、操作者の手に保持されることができるハウジングと、エアロゾル化される液体が収容されるリザーバと、前記カートリッジを保持するためのホルダと、噴霧するのに十分に高い圧力を発生させるためのこのリザーバの下流のポンプユニットと、このポンプユニットに接続されているばねなどの位置エネルギーを貯蔵する手段と、1つまたは複数のノズルの形態のこのポンプユニットの下流の霧化装置である。
【0003】
ポンプユニットによって、液体は、リザーバから離散量で、すなわち連続的ではなく引き出され、ノズルに供給される。ポンプユニットは、推進剤なしで作動し、前述のばねによって駆動されることによって、好ましくは機械的に圧力を発生させる。
【0004】
そのような吸入装置の改善は、本発明と同じ出願人によって出願された特許出願PCT/EP2018/061056号に開示されており、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0005】
この吸入装置は、中空シリンダによって形成されたポンプチャンバを有するポンプユニットを利用し、中空シリンダには、前記チャンバの内部容積を減少させ、したがって前記チャンバおよびピストンの内部の双方の圧力を増加させ、最終的にノズルからの液体の霧化をもたらすために、可動の中空ピストンが挿入されることができる。続いてピストンをチャンバから抽出することによって、その内部容積が増加し、結果として生じる圧力低下は、新たな霧化サイクルが開始することができるように、リザーバからチャンバ内に液体を引き込むことにつながる。
【0006】
折り畳み式バッグとして設計されることが多いリザーバを損傷から保護し、空のリザーバを新しいものと交換することを容易にするために、リザーバは、剛性カートリッジに組み込まれる。カートリッジは、ハウジングの内部に挿入され、ハウジングの内部から抽出されることができ、カートリッジを機械的に固定し、且つ下流に配置された構成要素にそれを接続するための適切な流体機械的インターフェースを提供する。
【0007】
折り畳み式バッグが適切に機能するためには、バッグの内側および外側の圧力が実質的に同一でなければならない。ポンプチャンバを満たすためにバッグから液体が引き込まれると、それに応じてバッグの容積が減少する。カートリッジ内にますます強い負圧が蓄積するのを避けるために、カートリッジは、前述の容積減少を補償することを可能にしなければならない。これは、バッグが収縮したときに周囲空気がカートリッジに流入することを可能にする少なくとも1つの通気孔を設けることによって達成される。
【0008】
一方、製造および充填後、カートリッジの最初の使用前にかなり長い時間が経過する可能性がある。実際、貯蔵寿命は、典型的には1年以上にもなる。この期間中、前述の通気孔は、カートリッジの内側と外側との間のガスの交換をもたらす。バッグを通って蒸発する可能性がある液体成分が外部に到達する可能性があり、流入する空気がこの望ましくない蒸発のプロセスを増加させるため、前記交換は望ましくない。
【0009】
独国特許出願公開第199 40 713号明細書には、カートリッジの底部に位置する通気孔を最初に閉じる膜をカートリッジに設けることによって、これらの矛盾する要件を回避する「液体用カートリッジ」が開示されている。カートリッジをハウジングに挿入すると、膜は針によって穿刺され、したがって永久的に開かれる。一旦穿刺されると、カートリッジは、一定期間内に使い切らなければならない。
【0010】
この解決策の欠点は、前記期間がかなり短くなり得ることである。したがって、装置がより長い時間使用されない場合、バッグがまだ空になっていなくても、カートリッジは、処分されて交換されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】欧州特許第0 627 230号明細書
【文献】独国特許出願公開第199 40 713号明細書
【発明の概要】
【0012】
第1の態様では、本発明は、医学的に活性な液体(L)を貯蔵し、吸入装置のポンプユニットにそれを供給するためのカートリッジ(1)であって、
-前記吸入装置が、ハウジングと、前記カートリッジ(1)と流体接続されることができるポンプユニットと、前記カートリッジ(1)用のホルダ(2)と、前記ポンプユニットの下流に流体接続されたノズルとを備え、
-ポンプユニットがカートリッジ(1)に流体接続されている場合、ポンプユニットが、カートリッジ(1)からポンプユニット内に医学的に活性な液体(L)を引き込むように負ゲージ圧を発生させることができ、前記液体(L)を霧化するように前記ポンプユニットからノズル内におよびノズルを通って前記液体(L)を押し込むように正ゲージ圧を発生させることができ、
-カートリッジ(1)が、折り畳み式内側バッグ(4)を囲む外側容器(3)と、容器(3)を閉じることができるキャップ(5)とを備え、キャップ(5)が、内側バッグ(4)への開閉可能なアクセス開口部(6)をさらに提供し、
-さらに、カートリッジ(1)の容器(3)が、少なくとも1つの圧力補償開口部(7)を有し、
前記圧力補償開口部(7)が、キャップ(5)によって覆われている容器(3)の領域(8)に位置している、カートリッジを提供する。
【0013】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様のカートリッジ(1)用のホルダ(2)であって、そのキャップ(5)をクランプすることによってカートリッジ(1)に解放可能に接続するように適合されたホルダ(2)を提供する。
【0014】
第3の態様では、本発明は、エアロゾルの形態の医学的に活性な液体を送達するための吸入装置であって、前記吸入装置が、本発明の第1の態様にかかるカートリッジ(1)と、前記カートリッジ用の本発明の第2の態様にかかるホルダ(2)とを備える、吸入装置を提供する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、エアロゾル化形態の医学的に活性な液体を、それを必要とする患者に吸入投与することによって肺疾患または状態を処置、安定化または予防する方法であって、エアロゾル化形態の医学的に活性な液体が生成され、本発明の第3の態様にかかる吸入装置によって前記患者に投与される方法、ならびに本発明の第1の態様にかかるカートリッジ(1)の外側容器(3)の折り畳み式内側バッグ収容内部に圧力補償を提供する方法を提供する。
本発明の目的
【0016】
本発明の目的は、公知の技術の欠点を回避する吸入装置用のカートリッジを提供することである。特に、本発明にかかるカートリッジは、使用されていないときに既に穿刺加工されたカートリッジのより長い貯蔵時間を可能にすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】切断状態における本発明にかかるカートリッジの概略断面図を示している。
図2】接続状態におけるこのカートリッジを示している。
図3】キャップが容器から取り外されたカートリッジの一実施形態を示している。
図4】双方の構成要素が取り付けられたこの実施形態を示している。
図5】ホルダから取り外されたカートリッジを示している。
図6図5にかかるカートリッジの詳細の切断図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この目的は、医学的に活性な液体を貯蔵し、吸入装置のポンプユニットにそれを供給するためのカートリッジであって、
-前記吸入装置が、ハウジングと、前記カートリッジと流体接続されることができるポンプユニットと、前記カートリッジ用のホルダと、前記ポンプユニットの下流に流体接続されたノズルとを備え、
-ポンプユニットがカートリッジに流体接続されている場合、ポンプユニットが、カートリッジからポンプユニット内に医学的に活性な液体を引き込むように負ゲージ圧を発生させることができ、前記液体を霧化するように前記ポンプユニットからノズル内におよびノズルを通って前記液体を押し込むように正ゲージ圧を発生させることができ、
-カートリッジが、折り畳み式内側バッグを囲む外側容器と、容器を閉じることができるキャップとを備え、キャップが、内側バッグへの開閉可能なアクセス開口部をさらに提供し、
-さらに、カートリッジの容器が、少なくとも1つの圧力補償開口部を有し、
前記圧力補償開口部が、キャップによって覆われている容器の領域に位置している、カートリッジによって解決される。
【0019】
さらにまた、この目的は、上述したカートリッジと、前記カートリッジ用のホルダとを備える吸入装置であって、ホルダが、そのキャップをクランプすることによってカートリッジに解放可能に接続するように適合された、吸入装置によって解決される。
【0020】
本発明の態様の特定のおよび/または有利な実施形態は、それぞれの従属請求項、後続の詳細な説明、ならびに添付の図面に記載されている。
【0021】
文脈が明らかにそうでないことを指示または要求しない限り、「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、および「備える(comprising)」という用語および類似の表現は、本明細書ならびに特許請求の範囲において「含むが、これに限定されない」として、オープン且つ包括的な意味で解釈されるべきである。
【0022】
本発明の第1の態様にかかるカートリッジは、医学的に活性な液体の貯蔵および上述した吸入装置、すなわち、ハウジングと、前記カートリッジと流体接続されることができる、または流体接続されるポンプユニットと、前記カートリッジをハウジング内に保持するためのホルダと、前記ポンプユニットの下流に(ポンプユニットと)流体接続される少なくとも1つのノズルとを備える吸入装置のポンプユニットへの医学的に活性な液体の供給に役立つ。
【0023】
前記ポンプユニットは、カートリッジに流体接続されているか、または流体接続されることができ、ポンプユニットは、カートリッジからポンプユニット内に医学的に活性な液体を引き込むように負ゲージ圧を発生させることができ、前記液体を霧化(または噴霧)するように前記ポンプユニットから少なくとも1つのノズル内におよびそれを通って前記液体を押し込むように正ゲージ圧を発生させることができる。
【0024】
カートリッジは、折り畳み式内側バッグを囲む外側容器と、容器を閉じることができるキャップとを備える。特定の実施形態では、キャップは、容器を気密に閉じることができる。キャップは、内側バッグへの開閉可能なアクセス開口部、すなわちバッグの内側とポンプユニット、より正確にはポンプユニットのポンプチャンバとの流体接続または結合を可能にする開口部をさらに提供する。典型的には、前記キャップおよびアクセス開口部は、典型的にはカートリッジの「上部」と呼ばれるカートリッジの下流端に配置され、典型的にはカートリッジの上流端または「底部」の反対側に配置される。しかしながら、吸入装置は、任意の向きで使用されることができるため、全ての空間的表示が限定的に意味されるわけではないことは明らかである。しかしながら、明確にするために、以下では、カートリッジが吸入装置の直立ハウジングの底部に挿入され、少なくとも1つのノズルが装置の上部領域に配置されるものとする。
【0025】
さらに、カートリッジの容器は、前述の通気孔として機能し且つ外側容器と折り畳み式内側バッグとの間の空間を接続する少なくとも1つの圧力補償開口部を有し、折り畳み式内側バッグがカートリッジの外側容器の内腔を完全に満たさない場合に、その空間内の圧力が周囲大気の圧力に対応することを確実にする。本明細書で使用される「少なくとも1つの圧力補償開口部」という用語は、カートリッジが、ただ1つの圧力補償開口部、または2から約10、または2から8、または2から6または2から5、または2から4または2つまたは3つなど、複数の圧力補償開口部を有することを意味する。特定の実施形態では、カートリッジは、ただ1つの圧力補償開口部を有する。さらなる特定の実施形態では、カートリッジは、2つの圧力補償開口部を有する。
【0026】
特定の実施形態では、2または3または4または5、または2または3またはちょうど2つの圧力補償開口部などの複数の圧力補償開口部が存在する場合、これらの圧力補償開口部は、カートリッジの内部内の均一な圧力補償を確実にするために、カートリッジの対向するまたは均等に離間した位置に配置されてもよい。例えば、圧力補償開口部は、カートリッジの主対称軸の周りの周囲または円周に沿って、好ましくは間隔を置いてまたは等間隔に(カートリッジの上部および底部を接続するそのような対称軸)配置されてもよい。
【0027】
したがって、この開口部によって、空気をカートリッジに流入またはカートリッジから流出させることによって、カートリッジの内圧は、周囲圧力に調整されることができる。
【0028】
本発明によれば、前記圧力補償開口部は、キャップによって覆われた容器の領域に配置される。換言すれば、前記圧力補償開口部は、容器の領域または表面領域内に、好ましくは、カートリッジがホルダまたは吸入器から取り外されたときにキャップによって覆われる容器の上部または下流端にそれぞれ配置される。
【0029】
上述したような複数の圧力補償開口部が容器に設けられている場合、好ましくは、前記開口部の全ては、容器の領域または表面領域内に、好ましくは、カートリッジがホルダまたは吸入器から取り外されたときにキャップによって覆われる容器の上部または下流端にそれぞれ配置される。
【0030】
より具体的には、容器の前記領域または領域は、以下にさらに詳細に説明されるように、ホルダまたは吸入装置から取り外されたときに容器に面するキャップの表面によって覆われる。好ましくは、前記カバーは、気密に設けられる。
【0031】
換言すれば、従来技術によれば、圧力補償開口部は、カートリッジの底部に配置され、したがって、前記キャップから離間しているが、対照的に、本発明によれば、圧力補償開口部は、キャップの近く、およびカートリッジの上部領域に配置されるだけでなく、実際には前記キャップによって覆われるように配置される。
【0032】
キャップの下方の開口部の位置は、以下の説明から明らかになる重要な利点を有する。
【0033】
本発明によれば、カートリッジは、装置の残りの部分から分離されることができ、または装置の内部に設置されることができる。したがって、2つの「状態」が存在する。
【0034】
カートリッジがホルダから取り外された状態では、圧力補償開口部は、キャップによって、好ましくは気密に覆われる。カートリッジがホルダに接続された状態では、前記圧力補償開口部は、カートリッジの内腔と周囲大気との間の圧力補償または平衡を可能にするために開いているが、圧力補償開口部ならびに周囲領域は、圧力補償開口部および周囲領域の外部汚染からの保護を確実にするためにキャップによって依然として遮蔽されてもよい。
【0035】
これは、好ましくは、カートリッジが装置から、特にホルダから分離されたときに、カートリッジの内部とその外部環境との間のガス交換、または外部汚染物質によるカートリッジの内腔の他の形態の汚染が可能ではないことを意味する。これに加えて、バッグから蒸発する可能性がある液体は、カートリッジの内部から出ることができないため、既に穿刺加工されたカートリッジであっても、より長い時間無傷のままである。これは、液体の損失を防止または低減すると同時に、棚付き装置から出る可能性のある有害物質から環境を保護する。
【0036】
カートリッジを特別に設計された対応するホルダに挿入するときにのみ、圧力補償開口部が開かれ、これは、周囲大気とカートリッジの内腔との間の圧力補償を可能にすることによって装置の適切な機能に必要である。
【0037】
圧力補償開口部の所望の閉鎖を達成するために、装置がより長時間使用されない場合、カートリッジが装置から、または少なくともホルダから取り外されなければならないことは明らかである。
【0038】
特定の実施形態では、ハウジングは、例えば開口部をホルダから離間させることによって開口部が閉じられた場合であっても、カートリッジがハウジングの内側に留まることができるように設計されている。好ましくは、接続または切断の状態は、外部から、すなわちハウジングを開くことなく検出可能である。これは、ホルダに対するカートリッジの位置の検出を可能にする単純な窓、または少なくとも部分的に透明なハウジングによって達成されることができる。
【0039】
さらなる特定の実施形態では、外側容器のキャップおよび/または少なくともキャップ接続領域または領域は、変形可能な材料から作製される。さらに、キャップまたは少なくとも前記領域は、容器に面するキャップの表面とキャップに面する外側容器の表面との間に空隙が設けられて、圧力補償開口部を介したガス交換によってカートリッジの内腔または内部と周囲大気との間の空気流および圧力補償を可能にするように変形されることができる。
【0040】
換言すれば、キャップまたは前記領域に機械的な力を加え、したがって変形させることによって、最初に(分離状態または切断状態で)前記開口部を閉じる領域は、前記開口部から持ち上がり、前記空隙を提供する。間隙は、外部へのアクセスを直接的または間接的に提供しなければならないことは明らかである。換言すれば、空隙は、カートリッジの内部とその外部環境との間のガス交換を可能にする。間接的なアクセスは、例えば、それ自体が外部に通じる恒久的に存在するチャネルにバイパスが提供されるようにのみキャップを持ち上げる。そのような追加のチャネルなどが必要でない場合、直接的なアクセスが提供される。
【0041】
本明細書で使用される「内部」という表現は、この文脈において、バッグの外壁と容器の内壁との間の空間を指す。
【0042】
特定の実施形態では、変形可能な材料は弾性的に変形可能である。したがって、前述の力の作用を停止した後、キャップの初期形状は、自動的に回復または復元される。しかしながら、塑性変形可能な材料を用いたさらなる実施形態も可能であり、これらの場合、キャップの元の形状を得るために、能動的に反作用する力が必要とされうる。
【0043】
好ましい実施形態では、キャップは、半径方向の圧縮力によって変形可能である。これは、例えば、キャップの周りに円周方向に配置された力ベクトルを提供することによって、前記キャップが本発明にしたがって変形されることができることを意味する。力の「リング」の実質的に均一な分布に加えて、一実施形態によれば、1つ、2つ、3つまたは4つのベクトルのセットは、通常、所望の変形をもたらすのに十分である。
【0044】
さらなる実施形態によれば、キャップは、カートリッジの接続状態において前記空隙を設けるようにキャップを変形させる少なくとも1つの突起をその外周に有する。換言すれば、これらの実施形態では、ホルダは、カートリッジが挿入されると、ホルダの内壁が前記少なくとも1つの突起を押圧するように設計されている。前記機械的接触に起因して形成される力は、前述の変形をもたらす。
【0045】
キャップの前記外側突起の代わりに(またはそれに加えて)、キャップの外側は、平面に設計されることができ、内側突起は、キャップに面するホルダの内壁に設けられることは明らかである。
【0046】
前述のベクトルに沿って所望の1つ以上の力を得るために、1つ以上の突起を設計する方法は、当業者にとってさらに明らかである。周方向に作用する力が望まれる場合、単一または複数の突出部の代わりに、周方向突出リングが使用されることができることも明らかである。一実施形態では、突起またはリングは、それぞれ、所定の接続位置でホルダの内側にカートリッジを着脱可能に固定するために使用される機械的クリップとしても機能する。
【0047】
前述のように、好ましい実施形態では、キャップおよび/またはホルダは、複数の等間隔の突起を有する。
【0048】
第2の態様では、本発明はまた、本発明の第1の態様に関連して上記定義されたカートリッジ用のホルダに関する。本発明のこの第2の態様によれば、ホルダは、そのキャップをクランプすることによって、すなわちカートリッジのキャップをクランプすることによってカートリッジに解放可能に接続するように適合される。換言すれば、ホルダは、吸入装置のハウジング内で、キャップ、したがってカートリッジ全体の一時的な固定として機能する可能性を提供する。そのようなホルダは、さらなる特徴を有することができる。しかしながら、ホルダは、少なくともカートリッジを定位置に機械的に保持するのに適していなければならない。
【0049】
キャップの特定の構造に応じて、好ましくは、ホルダは、前記変形力を提供するために前記突起との相互作用を可能にする。
【0050】
別の実施形態によれば、ホルダ自体(キャップの代わりに、またはキャップに加えて、)は、少なくとも部分的に弾性材料から作製され、カートリッジの挿入時に変形し、したがって上述したように前記空隙を提供することができる。突起などに関する機構および前述の実施形態は、当業者が問題なくホルダに適用または転嫁されることができる。
【0051】
さらに、本発明によれば、上述したようなホルダとカートリッジとの接続により、空隙が設けられることができる。特に、ホルダは、カートリッジの挿入時に、キャップの機械的変形をもたらす機械的力の形成を可能にしなければならず、これは、ひいては上述した空隙を提供するために必要である。
【0052】
一実施形態では、キャップがホルダに接続されると、ホルダは、キャップに圧縮力(または圧縮力)を加えるように構成されている。
【0053】
別の実施形態では、前記力は引張力とすることができる。そのような力もまた、特定の構造に応じて、前述の空隙を生成または「開く」ために使用されることができる。しかしながら、圧縮力は、生成がより容易であり、それと同時にキャップをクランプするために使用されることができるので有利である。
【0054】
第3の態様では、本発明は、エアロゾルの形態の医学的に活性な液体を送達する吸入装置であって、前記吸入装置が、本発明の第1の態様にかかるカートリッジを保持または受容するように適合され、前記カートリッジを保持するための本発明の第2の態様にかかるホルダを備える、吸入装置を提供する。さらにまた、この態様によれば、本発明は、エアロゾルの形態の医学的に活性な液体を送達する吸入装置であって、前記吸入装置が、本発明の第1の態様にかかるカートリッジと、前記カートリッジを保持するための本発明の第2の態様にかかるホルダとを備える、吸入装置に関する。
【0055】
この態様ならびに以下の態様に関しても、本発明の第1および/または第2の態様に関連して上述した全ての実施形態、好ましい実施形態およびそれらの組み合わせが対応して適用されることに留意されたい。
【0056】
本明細書で使用される「医学的に活性な液体」という用語は、広義に理解されるべきであり、特定の実施形態では、本発明の第1の態様にかかるカートリッジに収容されることができ、したがって、本発明の第3の態様にかかる吸入装置によって投与されることができる動物またはヒト、好ましくはヒトの状態、障害または疾患、具体的には肺の状態、障害または疾患の処置、安定化または予防に有用であり得る液体または液体組成物を意味する。
【0057】
特定の実施形態では、「医学的に活性な液体」は、化合物または化合物自体の混合物とすることができる。他の特定の実施形態では、医学的に活性な液体は、生理学的に許容される担体または液体中の成分または活性成分の溶液、懸濁液または分散液とすることができる。さらなる特定の実施形態では、生理学的に許容される担体液体は、水、または水と、エタノール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどの1つ以上のさらなる生理学的に許容される溶媒とを含む水性混合物とすることができる。
【0058】
特定の実施形態では、本明細書で使用される「医学的に活性な液体」という用語は、少なくとも1つの活性医薬成分(API)、より具体的には少なくとも1つの吸入可能な活性医薬成分を含む医薬組成物の形態の医学的に活性な液体を指すことができる。より具体的には、そのような少なくとも1つの吸入可能な活性医薬成分は、例えば、単独でまたは互いに組み合わせて、長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)、長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)および吸入可能グルココルチコイド(ICS)、ならびに鎮痛薬および抗糖尿病薬から選択されることができる。
【0059】
本明細書で言及される医学的に活性な液体に含まれることができる長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)の例は、これらに限定されるものではないが、臭化アクリジニウム、臭化グリコピロニウムなどのグリコピロニウム塩、レベフェナシン、臭化チオトロピウムなどのチオトロピウム、臭化ウメクリジニウム、臭化オキシトロピウム、臭化フルトロピウム、臭化イプラトロピウム、塩化トロスピウム、トルテロジンを含む。
【0060】
本明細書で言及される医学的に活性な液体に含まれることができる長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)の例は、これらに限定されるものではないが、アルブテロール、アルホルモテロール、バンブテロール、ビトルテロール、ブロキサテロール、カルブテロール、クレンブテロール、フェノテロール、ホルモテロール、ヘキソプレナリン、イブテロール、インダカテロール、インダクテロール、イソエタリン、イソプレナリンレボサルブタモール、マブテロールメルアドリン、メタプロテレノール、オロダテロール、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメテロール、サルメファモール、ソテレノト、スルホンテロール、チアラムド、テルブタリン、テルブテロールを含む。
【0061】
本明細書で言及される医学的に活性な液体に含まれることができる吸入可能グルココルチコイド(ICS)の例は、これらに限定されるものではないが、プレドニゾロン、プレドニゾン、ブチキソコート・プロピオネート、フルニソリド、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン、シクレソニド、ロフレポニド、デキサメタゾン、エチプレドノール-ジクロロアセテート、デフラザコート、エチプレドノール、ロテプレドノール、RPR-106541、NS-126、ST-26を含む。
【0062】
さらにまた、本明細書で言及される医学的に活性な液体に含まれることができる活性医薬成分は、オピオイド鎮痛薬(例えば、モルヒネ、フェンタニル)または非オピオイド鎮痛薬(例えば、サリチル酸誘導体、例えば、アセチルサリチル酸)またはカンナビノイド(例えば、テトラヒドロカンナビノール)などの鎮痛薬、インスリンなどの抗糖尿病薬から選択されることができる。
【0063】
本吸入装置によって噴霧形態またはエアロゾル化形態で投与されることができる医学的に活性な液体または液体医薬組成物は、上述した少なくとも1つの活性な薬学的成分を含むことができるが、吸入によって投与されることができる2つ以上の活性な薬学的成分の混合物も含むことができる。
【0064】
本発明にかかる吸入装置によって噴霧形態またはエアロゾル化形態で投与されることができ、したがって、本発明の第1の態様にかかるカートリッジに収容されることができる医学的に活性な液体または医薬組成物は、好ましくは、吸入使用に適し、適合された組成物、換言すれば、吸入のために噴霧化またはエアロゾル化されることができ、対象による吸入のために生理学的に許容されることができる組成物として製剤化される。
【0065】
本発明のこの態様にかかる吸入装置によって投与されることができる、または本発明のカートリッジに収容されることができる医学的に活性な液体または医薬組成物は、分散液の形態、例えば液体連続相および固体分散相を有する懸濁液の形態または溶液の形態とすることができる。
【0066】
さらなる実施形態では、上述した医学的に活性な液体または医薬組成物は、必要に応じて、および1つ以上の活性な医薬成分に加えて、吸入使用に適した1つ以上の生理学的に許容される賦形剤を含んでもよい。組成物において特色とされることができる賦形剤は、これらに限定されるものではないが、溶液のpH値を調節または制御するための1つ以上の緩衝剤、塩、矯味剤、界面活性剤、脂質、酸化防止剤、および共溶媒を含むことができ、溶解度、例えばエタノールまたはグリコールを増強または改善するために使用されることができる。
【0067】
特定の実施形態では、上述した医学的に活性な液体は、推進剤を本質的に含まなくてもよい。
【0068】
さらなる特定の実施形態では、上述した医学的に活性な液体は、水溶液とすることができ、その中で上述した1つ以上の活性な薬学的成分は、水を含む液体担体溶液に溶解され、可溶化される。そのような水溶液はまた、必要に応じて、上述した1つ以上の賦形剤を含んでもよい。
【0069】
さらなる態様では、本発明は、エアロゾル化形態の医学的に活性な液体の対象への吸入投与による、前記対象における肺疾患または肺状態の処置、安定化または予防のための方法であって、エアロゾル化形態の医学的に活性な液体が、生成され、本発明の第1の態様にかかるカートリッジおよび本発明の第2の態様にかかる対応するホルダを備える本発明の第3の態様にかかる吸入装置によって前記患者に投与される、方法を提供する。
【0070】
さらにまた、本発明は、それを必要とする対象へのエアロゾル化形態の医学的に活性な液体の吸入投与による肺疾患または肺状態の処置、安定化または予防であって、エアロゾル化形態の医学的に活性な液体が、生成され、本発明の第1の態様にかかるカートリッジおよび本発明の第2の態様にかかる対応するホルダを備える本発明の第3の態様にかかる吸入によって前記対象に投与される、請求項10に記載の吸入装置の使用に関する。
【0071】
上記で言及した対象は、動物、具体的には、そのような処置を必要とする哺乳動物またはヒトなどの温血動物とすることができる。
【0072】
上記言及したように処置、安定化または予防される肺疾患または肺状態の例は、これらに限定されるものではないが、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む。
【0073】
またさらなる態様では、本発明はまた、カートリッジ、特に本発明の第1の態様のカートリッジの外側容器の折り畳み式内側バッグ収容内部に圧力補償を提供する方法に関する。簡潔にするために、上記定義、特に、特に半径方向の圧縮力によって、好ましくは少なくとも1つの突起がキャップの外周に、および/またはホルダの内周に配置されることによって、キャップが変形可能であるカートリッジが参照される。
【0074】
本発明のこの態様によれば、最初に、カートリッジが上記定義されたホルダに接続される前に、圧力補償開口部が閉じられ、その後、カートリッジがホルダに接続されると、圧力補償開口部を介して周囲圧力とのバッグ収容内部の圧力均等化を可能にする空隙が設けられる。前記空隙は、例えば、(i)外側容器の領域を含む圧力補償開口部、および/または(ii)キャップの補償開口部被覆領域のいずれかを機械的に変形させることによって形成されることができる。
【0075】
換言すれば、一実施形態によれば、外側容器は、好ましくはキャップが容器を閉じる上部または下流端に、本発明の第1の態様のカートリッジに関連して上記でさらに詳細に説明したように圧力補償開口部が位置する領域または領域を含む。この領域が変形すると、前記領域とキャップとの間に空隙が設けられる。
【0076】
別の実施形態によれば、キャップは、前述の補償開口部を覆う領域を提供し、補償開口部は、依然として容器内に配置されている。キャップ(容器ではなく)を変形させることによって、空隙が提供される。
【0077】
もちろん、双方の代替実施形態は、互いに組み合わせられることができる。
【0078】
特定の実施形態によれば、機械的変形は、ホルダからキャップに半径方向の圧縮力を加えることによって、カートリッジをホルダに接続するともたらされる。繰り返しを避けるために、上記説明が参照される。もちろん、キャップおよび/または容器に力を加えると変形をもたらす他の方法も可能である。
【0079】
さらなる特定の実施形態によれば、その後にカートリッジをホルダから取り外すと、空隙が閉じられ且つ補償開口部が再びキャップによって、具体的には気密に覆われるように、機械的変形が逆になる。
【0080】
本発明のこの態様にかかる方法の利点は、以下のように明らかである:圧力補償開口部は、空隙が設けられているときにのみ開いており、これは、ひいてはカートリッジがホルダに挿入されているときにのみ当てはまる。したがって、使用されていないとき、カートリッジは、取り外されることができ、圧力補償開口部は閉鎖し、容器の内側と外側との間の空気の(望ましくないおよび不要な)交換が不可能になる。
【0081】
以下の番号が付けられた項目のリストは、本発明に含まれる実施形態である:
1.医学的に活性な液体(L)を貯蔵し、吸入装置のポンプユニットにそれを供給するためのカートリッジ(1)であって、
-前記吸入装置が、ハウジングと、前記カートリッジ(1)と流体接続されることができるポンプユニットと、前記カートリッジ(1)用のホルダ(2)と、前記ポンプユニットの下流に流体接続されたノズルとを備え、
-ポンプユニットがカートリッジ(1)に流体接続されている場合、ポンプユニットが、カートリッジ(1)からポンプユニット内に医学的に活性な液体(L)を引き込むように負ゲージ圧を発生させることができ、前記液体(L)を霧化するように前記ポンプユニットからノズル内におよびノズルを通って前記液体(L)を押し込むように正ゲージ圧を発生させることができ、
-カートリッジ(1)が、折り畳み式内側バッグ(4)を囲む外側容器(3)と、容器(3)を気密に閉じることができるキャップ(5)とを備え、キャップ(5)が、内側バッグ(4)への開閉可能なアクセス開口部(6)をさらに提供し、
-さらに、カートリッジ(1)の容器(3)が、圧力補償開口部(7)を有し、
前記圧力補償開口部(7)が、キャップ(5)によって覆われている容器(8)の領域に位置している、カートリッジ。
2.カートリッジ(1)がホルダ(2)から切断された状態では、圧力補償開口部(7)が、キャップ(5)によって気密に覆われ、カートリッジ(1)がホルダ(2)に接続された状態では、前記圧力補償開口部(7)が開いている、項目1に記載のカートリッジ(1)。
3.キャップ(5)および/または外側容器(3)の少なくともキャップ接続領域が、変形可能な材料から作製され、キャップ(5)の内面とキャップ(3)に面する外側容器の外面との間に空隙(9)が設けられるように変形されることができる、項目1または2に記載のカートリッジ(1)。
4.キャップ(5)が半径方向の圧縮力(F)によって変形可能である、項目3に記載のカートリッジ(1)。
5.キャップ(5)の外周および/またはホルダ(2)の内周に、カートリッジ(1)の接続状態において前記空隙(9)を提供するようにキャップ(5)を変形させる少なくとも1つの突起(11)が存在する、項目4に記載のカートリッジ(1)。
6.キャップ(5)および/またはホルダ(2)が、複数の等間隔の突起(11)を有する、項目5に記載のカートリッジ(1)。
7.ホルダ(2)が、そのキャップ(5)をクランプすることによってカートリッジ(1)に解放可能に接続するように適合されている、先行する項目のいずれかに定義されたカートリッジ(1)用のホルダ(2)。
8.請求項3から5に定義されたカートリッジ(1)とのホルダ(2)の接続によって、空隙(9)が設けられることができる、項目7に記載のホルダ(2)。
9.キャップ(5)がホルダ(2)に接続されると、ホルダ(2)がキャップ(5)に圧縮力(F)を加えるように構成されている、項目8に記載のホルダ(2)。
10.項目3から6のいずれかに定義されたカートリッジ(1)の外側容器(3)の折り畳み式内側バッグ収容内部に圧力補償を提供する方法であって、最初に、カートリッジ(1)が項目7から9のいずれかに定義されたホルダ(2)に接続される前に、圧力補償開口部(7)が閉じられ、その後、カートリッジ(1)がホルダ(2)に接続されると、(i)外側容器(3)の領域を含む圧力補償開口部および/または(ii)キャップ(5)の補償開口部被覆領域を機械的に変形することによって、周囲圧力によるバッグ収容内部の圧力均等化を可能にする空隙(9)が設けられる、方法。
11.機械的変形が、ホルダ(2)からキャップ(5)に半径方向の圧縮力(F)を加えることによって、カートリッジ(1)をホルダ(2)に接続する際に行われる、項目10に記載の方法。
12.その後にカートリッジ(1)をホルダ(2)から取り外すと、空隙(9)が閉じられ且つ補償開口部(7)が再びキャップ(5)によって気密に覆われるように、機械的変形が逆になる、項目10または11に記載の方法。
13.エアロゾルの形態の医学的に活性な液体を送達する吸入装置であって、前記吸入装置が、項目1から6のいずれか一項に記載のカートリッジを保持または受容するように適合され、前記カートリッジを保持するための項目7から9のいずれか一項に記載のホルダを備える、吸入装置。
14.エアロゾルの形態の医学的に活性な液体を送達する吸入装置であって、前記吸入装置が、項目1から6のいずれか一項に記載のカートリッジ(1)と、前記カートリッジを保持するための項目7から9のいずれか一項に記載のホルダ(2)とを備える、吸入装置。
15.それを必要とする対象へのエアロゾル化形態の医学的に活性な液体の吸入投与による肺疾患または肺状態の処置、安定化または予防のための方法であって、エアロゾル化形態の医学的に活性な液体が、生成され、項目1から6のいずれか一項に記載のカートリッジ(1)と、前記カートリッジ用の項目7から9のいずれか一項に記載のホルダ(2)とを備える項目13または14に記載の吸入装置によって前記対象に投与される、方法。
16.エアロゾル化形態の医学的に活性な液体を対象に吸入投与することによる、それを必要とする前記対象における肺疾患または肺状態の処置、安定化または予防のための請求項13または14に記載の吸入装置の使用であって、エアロゾル化形態の医学的に活性な液体が、生成され、項目1から6のいずれか一項に記載のカートリッジ(1)と、前記カートリッジ用の項目7から9のいずれか一項に記載のホルダ(2)とを備える項目13または14に記載の吸入装置によって前記対象に投与される、使用。
【0082】
図1には、切断状態における本発明にかかるカートリッジ1の概略断面図が示されている。これは、カートリッジ1が吸入装置から取り外されたときの状況である。
【0083】
カートリッジ1は、容器3によって囲まれた折り畳み式内側バッグ4を備える。蓋10によって密封されたアクセス開口部6は、容器3の上部(または下流)領域に配置され、医学的に活性な液体Lが存在するバッグ4の内部への(開いたときの)アクセスを提供する。
【0084】
容器3の肩部には、2つの圧力補償開口部7が存在する。双方の圧力補償開口部7は、キャップ5によって覆われている(または覆われることができる)領域8に配置され、容器3の両側に配置されている。これらの開口部7は、容器3(バッグ4ではない)の内部と外部とを接続することができる。図1に見られるように、キャップ5は、前記開口部7を気密に閉じる。
【0085】
接続状態のカートリッジ1(ホルダは図示せず)を示す図2に見られるように、キャップ5は、半径方向に作用する圧縮力Fによって変形される。また、シール10は破壊され、その結果、液体Lは、アクセス開口部6を通過することができる。
【0086】
変形のため、キャップによる圧力補償開口部7の気密閉鎖はもはや存在せず、各開口部7に空隙9が設けられている。したがって、容器3の内部と外部との圧力補償が可能となる。内側バッグ4内の液体Lの量の減少につながる装置の継続的使用に起因してバッグ4の容積が減少する場合、結果として生じる容器3の内部空間と外部空間との圧力差が効果的に補償されることができる。
【0087】
図3は、キャップ5が容器3から取り外されたカートリッジ1の一実施形態を示している。アクセス開口部6は、キャップ5が容器3に取り付けられたときに、ほとんど見えない折り畳み式バッグ4に到達することができる長い中空管として設計されている。
【0088】
突起11は、キャップ5の外側の円周上に存在する。これらの突出部11に力が作用すると、キャップ5は、圧力補償開口部7を介して容器3の内部と外部との流体接続を可能にする空隙(見えない)が設けられるように変形する。この変形は可逆的であり、力が取り除かれると、開口部7は再び閉じられる。キャップ5による前記開口部7の閉鎖を可能にするために、開口部7は、キャップ5によって覆われた(または覆われることができる)領域8に配置される。
【0089】
図3にも見られるように、キャップ5は、クリップクロージャによって容器3に固定されている。それぞれの幾何学的特徴は、容器3の上端およびキャップ5の上端の内側に存在する。好ましくは弾性的に変形可能なキャップ5に適切な材料が選択される場合、気密および液密閉鎖を提供するために、キャップ5と容器3との界面、ならびにキャップ5の内側および圧力補償開口部7が配置されている前述の領域8のいずれに対しても、追加のシールなどは必要ない。これは、最小限の数の構成要素を必要とする単純な設定をもたらす。
【0090】
図3の取り付けられた構成要素は、図4に見ることができる。組み立てられたカートリッジ1は、ホルダ(図示せず)に容易に挿入されることができるが、後の使用のために棚にすることもできる。ホルダから取り外されると、圧力補償開口部(図示せず)は、容器3の内側と外側との間のいかなるガス交換も遮断するために閉じられる。
【0091】
図5には、ホルダ2から取り外されたカートリッジ1が示されている。図から分かるように、ホルダ2は、キャップ5によってカートリッジ1をクランプするように設計されている。突起11は、挿入されたカートリッジ1の回転を阻止し、ホルダ2がカートリッジ1を保持するときに空隙(図示せず)を提供するために前記突起11に圧縮力(図示せず)を加えるように設計された対応する凹部12に嵌合する。開口部7は、カートリッジの「首」領域に配置されている。しかしながら、図3に示すように「肩」領域に配置されることもできる。
【0092】
図6は、カートリッジ1およびホルダ2の詳細な断面図を示している。この図では、キャップ5がホルダ2に取り付けられている。力(図示せず)が突起11(図示されている)に圧力を加える。キャップ5の変形により、その内面は、容器3(図示しないバッグ4)内への圧力補償のために空隙(図示せず)が設けられるように、開口部7から部分的に離間される。
【符号の説明】
【0093】
1 カートリッジ
2 ホルダ
3 容器
4 折り畳み式内側バッグ
5 キャップ
6 アクセス開口部
7 圧力補償開口部
8 領域
9 空隙
10 蓋
11 突起
12 凹部
L 液体
F 力

図1
図2
図3
図4
図5
図6