(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20240119BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20240119BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240119BHJP
F24F 11/62 20180101ALI20240119BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20240119BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
F24F13/20 207
F24F13/20 205
F24F7/007 B
F24F11/62
F24F11/52
(21)【出願番号】P 2019237820
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政史郎
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-078249(JP,A)
【文献】特開2011-139392(JP,A)
【文献】特開2011-150127(JP,A)
【文献】国際公開第2015/071958(WO,A1)
【文献】特開2011-151598(JP,A)
【文献】特開2001-035073(JP,A)
【文献】特開平10-116052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 13/20
F24F 7/007
F24F 11/62
F24F 11/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転種別を選択するためのアイコンと、
前記アイコンを表示するための表示部と、
人の在・不在を検知する検知部と、
前記検知部の検知状態に基づき、前記アイコンの視認性を制御する制御部と、を備え
、
前記表示部は有機ELからなり、
前記検知部は赤外線センサーからなり、
前記制御部は計時部を含み、
前記制御部は、
前記視認性を輝度により制御し、
前記検知部が人の在状態を検知した場合、人の不在状態を検知した場合よりも前記輝度を高くし、
前記輝度が高くなった後、前記赤外線センサーが感知した赤外線の量が所定の範囲外である場合、前記計時部は、前記赤外線の量が所定の範囲外となってからの時間を計測し、
前記時間が所定時間を超えた場合、前記検知部は、人の不在状態を検知し、
前記制御部は、
前記検知部が人の不在状態を検知した場合、人の在状態を検知した場合よりも前記輝度を低くするレンジフード。
【請求項2】
運転種別を選択するためのアイコンと、
前記アイコンを表示するための表示部と、
人の在・不在を検知する検知部と、
前記検知部の検知状態に基づき、前記アイコンの視認性を制御する制御部と、を備え、
前記表示部は有機ELからなり、
前記検知部は赤外線センサーからなり、
前記制御部は計時部を含み、
前記制御部は、
前記視認性を彩度により制御し、
前記検知部が人の在状態を検知した場合、人の不在状態を検知した場合よりも前記アイ
コンの彩度と前記アイコンの背景の彩度とを遠ざけ
、
前記アイコンの彩度と前記アイコンの背景の彩度とを遠ざけた後、前記赤外線センサーが感知した赤外線の量が所定の範囲外である場合、前記計時部は、前記赤外線の量が所定の範囲外となってからの時間を計測し、
前記時間が所定時間を超えた場合、前記検知部は、人の不在状態を検知し、
前記制御部は、
前記検知部が人の不在状態を検知した場合、人の在状態を検知した場合よりも前記アイコンの彩度と前記アイコンの背景の彩度とを近づけるレンジフード。
【請求項3】
前記制御部は、
前記表示部における前記アイコンの表示位置を変更可能に表示する請求項1
または2に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記制御部は、
一の表示位置に表示された前記アイコンを、前記一の表示位置と異なる他の表示位置へ移動する請求項
3に記載のレンジフード。
【請求項5】
前記制御部は、
一の前記アイコンと他の前記アイコンの表示位置を入れ替える請求項
3に記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のレンジフードは、レンジフードの運転ON/OFFや風量調整等を行うためのスイッチ操作部を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、そのレンジフードについて
図6を参照しながら説明する。
【0004】
図6に示すように、レンジフード101は、フード102と、操作部103とを備えている。操作部103は、フード102の前面に配置される。操作部103は、レンジフード101の運転ON/OFFや風量調整等の運転種別を選択するためのスイッチを備えている。スイッチの種類としては、バネ等の弾性力を利用した機械方式や、指先と導電膜との間での静電容量変化を利用した静電容量方式などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来のレンジフードにおいて、機械方式の操作部は、フードの前面と高さの異なる凹凸を形成するため、デザイン上の美観を低下させる可能性がある。
【0007】
静電容量方式の操作部は、フード前面と高さを同一とすることができる。しかし、運転種別を選択するためのスイッチをフードに表示するためには、シルク印刷やホットスタンプなどの印刷技術を用いて、文字列やピクトグラムなどをフードの表面に印刷する必要がある。このため、印刷された文字列やピクトグラムなどが、外観デザインの統一感に対するノイズとなる可能性がある。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、運転種別を選択するためのスイッチが外観デザインの統一感に対するノイズとなることを低減するレンジフードの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために、本発明に係るレンジフードは、運転種別を選択するためのアイコンと、前記アイコンを表示するための表示部と、人の在・不在を検知する検知部と、前記検知部の検知状態に基づき、前記アイコンの視認性を制御する制御部と、を備えたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、運転種別を選択するためのスイッチが外観デザインの統一感に対するノイズとなることを低減するという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るレンジフードの構成を示す斜視図
【
図2】表示部及び表示部に表示されたアイコンを示す正面図
【
図3】表示部に表示されたアイコンの表示位置の変更を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1を用いて、本発明に係るレンジフード1の構成の概要を説明する。
【0014】
レンジフード1は、加熱調理器等の上方に設置され、調理過程で発生する油煙や臭い等を含む空気を屋内から屋外へと排出する換気装置の一種である。レンジフード1は、ファンボックス2と、フード3と、整流板4とを備える。ファンボックス2、フード3、整流板4は、板金の打ち抜き加工や曲げ加工といった機械加工により成形される金属部品である。
【0015】
ファンボックス2は、フード3の上方に配置されており、図示しない排気送風機9と、排気口とを備えている。
【0016】
排気送風機9は、例えば遠心羽根車のようなファンと、ファンを回動するモーターと、吸込口と、吹出口とを備え、ファンボックス2に内包されている。排気送風機9は、モーターによりファンを回転させることで、吸込口より空気を吸込み、吸込んだ空気を排気口へ吹き出す。
【0017】
排気口は、一端を排気送風機9の吹出口と接続し、他端を図示しないダクトと接続している。また、排気口は、接続されたダクトを介して屋外と連通している。
【0018】
フード3は、図示しない吸気口と、照明部6と、人感センサー7と、表示部8とを備えている。
【0019】
吸気口は、フード3の下面に配置され、屋内の空気を排気送風機9の吸込口へ導く役割を果たしている。排気送風機9を運転すると、屋内の空気は吸気口へ吸込まれる。吸気口へ吸込まれた空気は、排気送風機9の吸込口から吹出口を経てから排気口へ導かれ、排気口に接続されたダクトを介して屋外へと排出される。
【0020】
照明部6は、人がレンジフード1を操作する場合に対向するフード3の前面であって、前面に対する左右方向の中心から対称となるようにフード3の前面下部に二個配置されている。照明部6は、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を利用した照明具である。照明部6は、照明部6より下方の空間に向けて光を照射する。これにより、照明部6の下方に配置される調理器具や、調理されている食材に光を当てることができるので、使用者は照明部6がない場合と比べて、調理の進捗状況を容易に把握することができる。
【0021】
人感センサー7は、人の在・不在を感知する感知部として、照明部6の中心となるようにフード3の前面下部に配置されている。なお、人の在とは、人感センサー7の感知範囲内に人が存在すること、人の不在とは、人感センサー7の感知範囲内に人が存在しないこと、を指す。人感センサー7は、例えば、人や動物などから放射されている赤外線を感知する赤外線センサーである。
【0022】
物体が放射している赤外線の量は、物体の温度が高くなるほど大きくなる。この性質を利用して、例えば人体が放射する赤外線の量の範囲を、後述する制御部5に記憶させておけば、制御部5は人感センサー7の感知範囲内に存在する物体が人であるか否か、つまり人の在・不在を判断することができる。
【0023】
人感センサー7の感知範囲は、距離成分と角度成分に分けられる。距離成分は、人感センサー7から約1mである。角度成分は、人感センサー7から垂直下方を基準線として、フード3の前面方向へ約90°、また人感センサー7からフード3の前面方向を基準線として左右方向に約60°である。
【0024】
表示部8は、フード3の前面に配置される。表示部8は、Organic Light Emitting Diode(OLED)、日本では有機EL(Organic Electroluminescence)とも呼称される素子自体が発光することを利用したディスプレイパネルである。表示部8には、レンジフード1の運転ON/OFFや風量調整など使用者が運転種別を選択するためのアイコン10が表示される。アイコン10の詳細については後述する。また、表示部8を例えば静電容量方式のタッチパネルとすることで、機械方式のスイッチのように仮想的にアイコン10の選択操作を行うことができる。つまり、レンジフード1の運転種別の選択は、実体のある物理ボタンにより行うのではなく、OLEDを利用して仮想的に表示した仮想ボタンにより行う。
【0025】
整流板4は、フード3に備わる吸気口へ吸込まれる空気の流れを制御することを目的としている。整流板4は、フード3の下方に配置されている。整流板4は、フード3に備わる吸気口を覆うように配置されている。整流板4とフード3との間には、フード3に備わる吸気口へ空気を導くための隙間が形成されている。整流板4とフード3とにより形成される隙間に吸い込まれた気流の速度は大きくなる。これにより、加熱調理により温められて上昇してきた空気をフード3に備わる吸気口へ効率よく導くことができるので、油煙等を含む空気が屋内へ広がることを防ぐ効果が期待できる。
【0026】
【0027】
アイコン10の種別は、例えば運転アイコン10aと、風量アイコン10bと、照明アイコン10cとが挙げられる。
【0028】
運転アイコン10aは、レンジフード1の運転ON/OFFを選択するための仮想ボタンである。
【0029】
風量アイコン10bは、レンジフード1の排気風量を調整するための仮想ボタンである。
【0030】
照明アイコン10cは、照明部6のON/OFFを選択するための仮想ボタンである。
【0031】
アイコン10は、後述する制御部5によって視認性と表示位置が制御される。
【0032】
はじめに、視認性について説明する。視認性とは、ここでは輝度または彩度を指し示す。
【0033】
アイコン10の輝度とは、アイコン10を構成する発光素子の明るさである。このため、アイコン10を構成する発光素子の輝度を大きくすれば、アイコン10の視認性は高まる。逆に、アイコン10を構成する発光素子の輝度を小さくすれば、アイコン10の視認性は低くなる。
【0034】
アイコン10の彩度とは、アイコン10を構成する発光素子の色の鮮やかさである。彩度は、色空間の中央軸(無彩色軸)からの距離である。このため、アイコン10を構成する発光素子の彩度を、それ以外の発光素子の彩度から遠ざけると、アイコン10の視認性は高まる。逆に、アイコン10を構成する発光素子の彩度を、それ以外の発光素子の彩度へ近づけると、アイコン10の視認性は低くなる。
【0035】
OLEDは、素子自体が発光するので、この原理を利用することで、アイコン10を再現するOLEDの輝度または彩度を制御することができる。これにより、制御部5は、アイコン10の視認性を制御することができる。また、液晶ディスプレイは、バックライトの光をカラーフィルター(液晶)に通すことで目的の色を再現する。しかし、バックライトの光はカラーフィルターを通して漏れるため、目的の色以外の色が混ざることで色の純度が落ちる。これに対して、OLEDは自発光であることから、目的の色以外の不要な色の発光を止めることができる。これにより、色純度や色の再現性、コントラスト比は液晶ディスプレイより高くなるので、輝度や彩度の制御にはOLEDが適している。
【0036】
つぎに、アイコン10の表示位置の制御について
図3を用いて説明する。
【0037】
アイコン10の表示位置の制御とは、アイコン10の表示位置の変更を指す。アイコン10は、表示部8に仮想的に表示されている。そのため、表示位置を変更することが可能である。
【0038】
図3(a)に示すように、表示部8において、運転アイコン10aが表示される位置をA、風量アイコン10bが表示される位置をB、照明アイコン10cが表示される位置をC、アイコン10が表示されていない位置をDとする。アイコン10の表示位置の変更とは、例えば
図3(b)に示すように、運転アイコン10aの表示位置をAからDへ移動させることである。また、例えば
図3(c)に示すように、運転アイコン10aの表示位置をAからBへ移動するとともに、風量アイコン10bの表示位置BからAへ移動する、つまり運転アイコン10aと風量アイコン10bの表示位置を入れ替えることも表示位置の変更に含まれる。もちろん、風量アイコン10bと照明アイコン10cについても、同様の表示位置の変更が可能である。アイコン10の表示位置の変更方法は、運転アイコン10a、風量アイコン10b、照明アイコン10cのいずれかを指で選択しながら任意の表示位置A、B、C、Dのいずれかに移動させることにより可能である。なお、後述する制御部5は、アイコン10を任意の表示位置へ変更した状態を記憶することもできる。
【0039】
以上が、レンジフード1の構成の概要である。次に、レンジフード1の運転を制御する制御部5について
図4を用いながら説明する。
【0040】
制御部5は、照明部6、人感センサー7、表示部8、排気送風機9に電気的に通信可能に接続され、それぞれの機能を制御するプリント回路基板(Printed Circuit Board:PCB)である。制御部5は、油煙を含む空気に暴露されることを低減するために、レンジフード1の内部に配置されている。制御部5は、入力部5aと、処理部5bと、出力部5cと、記憶部5dと、計時部5eとを備えている。
【0041】
入力部5aは、人感センサー7の感知範囲内に存在する物体が放射する赤外線の量と、アイコン10が選択された情報を受け取る。
【0042】
処理部5bは、入力部5aの情報と記憶部5dの情報を基に、出力部5cへ出力するべき情報の処理を行う。
【0043】
出力部5cは、処理部5bにより処理された情報を、照明部6、表示部8、排気送風機9のいずれかに、または同時に出力する。
【0044】
記憶部5dは、例えば排気送風機9のモーターに出力する回転数の情報、人体が放射する赤外線の量、アイコン10の形、色彩、輝度、表示位置の情報等を記憶している。
【0045】
計時部5eは、後述する人感センサー7の感知範囲において、人の不在状態の時間を計測する。
【0046】
以上が、レンジフード1を構成する各部要素の説明である。
【0047】
続いて、制御部5によるレンジフード1の制御内容について、
図5に示すフローチャートより説明する。
【0048】
レンジフード1に通電を開始すると、人感センサー7は、感知範囲において赤外線の感知を行う(ステップS1)。制御部5は、入力部5aに入力された赤外線の量が所定の範囲(人体が発する赤外線の量の範囲)であるか否かの判定を、入力部5aに入力された赤外線の量と記憶部5dに予め記憶された情報とを比較しながら処理部5bにより行う(ステップS2)。感知された赤外線の量が所定の範囲外であれば、ステップS1に戻る。感知された赤外線の量が所定の範囲内であれば、制御部5は、人感センサー7の感知範囲において人が在状態であると判断する(ステップS3)。制御部5は、ステップS3で人が在状態であると判断すると、出力部5cにより表示部8を制御して、表示部8の視認性を人が不在状態の場合と比べて高くする(ステップS4)。ステップS4に進んだとき、人は表示部8にアイコン10が表示されていることを認識する。そして、人は、表示部8に表示された運転アイコン10a、風量アイコン10b、照明アイコン10cによりレンジフード1の運転種別を選択することができる。
【0049】
運転アイコン10aが表示されている位置に指を当てると、指を当てた情報が入力部5aに入力され、制御部5は処理部5bにより入力された情報を処理し、出力部5cから排気送風機9の運転ON/OFFを制御する(ステップS5)。また、風量アイコン10bが表示されている位置に指を当てると、指を当てた情報が入力部5aに入力され、制御部5は処理部5bにより排気送風機9が運転ONの状態であるか判定を行う(ステップS6)。制御部5は、排気送風機9が運転ONであると判断した場合は、出力部5cから排気送風機9の風量調整を許可する(ステップS7)。排気送風機9の風量は、風量アイコン10bに指を当てるごとに切り替えることができる。指を当てる毎に、処理部5bは記憶部5dに記憶された風量の情報を出力部5cへ出力する。これにより制御部5は排気送風機9の風量を順次切り替えていく。例えば記憶部5dには、Q1、Q2、Q3、Q4の風量が記憶されている。それぞれの風量はQ1<Q2<Q3<Q4の関係である。風量アイコン10bに指を当てた情報が入力部5aに入力されると、制御部5は、入力された情報を処理部5bにより処理し、出力すべき風量の情報を記憶部5dから読み出し、出力部5cから排気送風機9を制御してQ1→Q2→Q3→Q4→Q1というように風量を順次切り替える。
【0050】
また、照明アイコン10cが表示されている位置に指を当てると、指を当てた情報が入力部5aに入力され、処理部5bは入力された情報を処理し、出力部5cから照明部6のON/OFFを切り替える(ステップS8)。
【0051】
また、制御部5は、アイコン10の配置を変更する(ステップS9)。指で運転アイコン10a、風量アイコン10b、照明アイコン10cのいずれかに指を当て続けることで、指がアイコン10を仮想的に保持した状態となる。そして、指をフード3の前面における左右方向へ水平移動することにより、アイコン10の配置を変更することができる。所謂、ドラッグ・アンド・ドロップによりアイコン10の位置を変更する。
【0052】
人が、レンジフード1の運転種別を選択している間も、人感センサー7は、赤外線を感知し続けており、制御部5は、感知した赤外線の量が所定の範囲内であるかを判定する(ステップS10)。制御部5は、処理部5bにより感知した赤外線の量が所定の範囲外であると判断した場合には、計時部5eにより赤外線の量が所定の範囲外となってからの時間を計測する(ステップS11)。そして、感知した赤外線の量が所定の範囲外となってから経過した時間が所定時間(例えば5分間)を超えた場合、処理部5bは人感センサー7の感知範囲に人が不在と判断する(ステップS12)。そして、制御部5は、表示部8に表示されているアイコン10の視認性を人が在の場合と比べて低くする(ステップS13)。制御部5の制御フローチャートは、ステップS13の処理を実施したあとステップS1に戻る。ステップS1からステップS13は、レンジフード1の通電が停止されるまで繰り返される。なお、ステップS1に戻った場合でも、選択されたレンジフード1の運転種別の状態は維持される。
【0053】
以上が、制御部5によるレンジフード1の制御フローである。
【0054】
このような構成とすることで、表示部8が、レンジフード1の外観デザインに対するノイズとなる可能性を低減することができる。
【0055】
上述したように、レンジフードは、加熱調理器等の上方に設置され、調理過程で発生する油煙や臭い等を含む空気を屋内から屋外へと排出する換気装置の一種であり、台所において必要不可欠な設備機器のひとつである。しかし、アイランドキッチンのように、リビングなど生活空間と一体となるオープンスタイルの台所においては、レンジフードの存在がインテリアの統一感に対するノイズとなる可能性がある。そこで、近年はデザイン性に優れたレンジフードが数多く存在する。しかし、人がレンジフードの運転種別を選択するスイッチについては、機械方式であればスイッチ部分に凹凸が形成される。また、静電容量方式はスイッチ部分に凹凸を形成する必要はないが、運転種別を示す表示が印刷される。このような操作部の凹凸や運転種別を示す印刷表示は、レンジフードのデザイン性に対するノイズとなるため、インテリアの統一感に対しても好ましくない。
【0056】
そこで、本願発明に係るレンジフード1は、OLED(発光素子)を利用したパネル状の表示部8に運転種別を選択するアイコン10を表示させるが、人がアイコン10を視認できるのは、人感センサー7の感知範囲に人が入ってきた場合である。つまり、調理以外の時間帯など、レンジフード1の近傍に人が存在しない場合にあっては、人はアイコン10を視認することはない。このため、表示部8がレンジフード1のデザイン性や、リビング等のインテリアの統一感に対するノイズとなる可能性を低減することができる。
【0057】
また、調理の時間帯において、レンジフード1の前に常に人が居るとは限らない。例えば、流し台や冷蔵庫へ移動することが考えられる。その際には人感センサー7の感知範囲に対して人が不在となるが、その都度、アイコン10の視認性が変化したのでは、例えば、台所と一体となるリビングにいる人に対して不快感を与える可能性がある。そこで、本願発明に係るレンジフード1は、人感センサー7の感知範囲に対して人が不在となってから所定の時間が経過するまでは、アイコン10を視認できる状態を維持するので、前述のような課題の発生を低減することができる。なお、アイコン10の視認性の変化は、輝度または彩度、もしくはその両方を連続的に変化させる方法と、非連続的に変化させる方法等が挙げられ、制御部5により容易に制御することが可能である。
【0058】
また、アイコン10は、制御部5により、表示部8に仮想的に表示されているので、アイコン10の表示位置を任意に変更することも可能である。例えば、利き手側など、使用者にとってアイコン10を選択しやすい位置へ変更することも可能である。このため、使用者は調理中にレンジフード1の運転種別を無理なく選択できるようになる。つまり、使用者が不安定な姿勢を取らなければならない可能性を低減できるので、加熱調理等における安全性を高める効果が期待できる。
【0059】
また、アイコン10の視認性は、輝度または彩度により制御される。このため、アイコン10を、人の色覚特性や高齢者が視認しやすい輝度と彩度に調整することも容易であり、レンジフード1の運転種別の選択に対するバリアフリー化が期待できる。
【0060】
また、レンジフード1の運転種別の選択に対するバリアフリー化の手段としては、アイコン10の大きさの制御も挙げられる。
【0061】
ある目標物に対して焦点を合わせる目の調節機能は、年齢を重ねるごとに衰えていく。このため高齢者は、調理中の対象物を見ている状態からアイコン10に目の焦点を合わせようとした際に、アイコン10の表示が小さいと焦点を合わせるまでに時間がかかり、調理に対する疲労が高まる可能性がある。そこで、アイコン10の表示を大きくすることにより、アイコン10に目の焦点を合わせる時間を短縮する。これにより使用者の疲労を軽減することができるので、調理における安全性を高める効果が期待できる。
【0062】
アイコン10は表示部8に仮想的に表示されるものなので、制御部5はアイコン10の大きさも容易に変更することが可能である。
【0063】
以上、本発明に係るレンジフードについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、加熱調理器等の上方に設置され、調理過程で発生する油煙や臭い等を含む空気を屋内から屋外へと排出するレンジフード等の換気装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 レンジフード
2 ファンボックス
3 フード
4 整流板
5 制御部
5a 入力部
5b 処理部
5c 出力部
5d 記憶部
5e 計時部
6 照明部
7 人感センサー
8 表示部
9 排気送風機
10 アイコン
10a 運転アイコン
10b 風量アイコン
10c 照明アイコン