IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特許7422282生産管理装置および生産データ作成方法ならびに生産データ作成プログラム
<>
  • 特許-生産管理装置および生産データ作成方法ならびに生産データ作成プログラム 図1
  • 特許-生産管理装置および生産データ作成方法ならびに生産データ作成プログラム 図2
  • 特許-生産管理装置および生産データ作成方法ならびに生産データ作成プログラム 図3
  • 特許-生産管理装置および生産データ作成方法ならびに生産データ作成プログラム 図4
  • 特許-生産管理装置および生産データ作成方法ならびに生産データ作成プログラム 図5
  • 特許-生産管理装置および生産データ作成方法ならびに生産データ作成プログラム 図6
  • 特許-生産管理装置および生産データ作成方法ならびに生産データ作成プログラム 図7
  • 特許-生産管理装置および生産データ作成方法ならびに生産データ作成プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】生産管理装置および生産データ作成方法ならびに生産データ作成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240119BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20240119BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240119BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H05K13/04 Z
G06Q50/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020056930
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021157491
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】譚 隕林
(72)【発明者】
【氏名】横井 敬明
(72)【発明者】
【氏名】岩田 維里
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/244226(WO,A1)
【文献】特開2015-179395(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235155(WO,A1)
【文献】特許第5003694(JP,B2)
【文献】特許第3339779(JP,B2)
【文献】特開2004-186454(JP,A)
【文献】特開2015-087877(JP,A)
【文献】特開2007-199748(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03554208(EP,A1)
【文献】特開2003-243900(JP,A)
【文献】特開2002-111298(JP,A)
【文献】特許第3130066(JP,B2)
【文献】特許第6908698(JP,B2)
【文献】特許第6857198(JP,B2)
【文献】特許第4998485(JP,B2)
【文献】特許第4179060(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H05K 13/04
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する部品実装装置である生産装置でワークに生産作業をするための生産データを作成する生産管理装置であって、
前記生産データを作成するために要するデータ入力作業とデータ処理作業に対応した複数の作成指示を記憶する生産管理記憶部と、
複数の前記作成指示のうち少なくともひとつの前記作成指示を第1情報として取得する第1取得部と、
前記生産装置または前記生産管理装置が備える入出力表示部から入力された前記生産データを作成するための入力情報または処理情報である第2情報を取得する第2取得部と、
取得した前記第1情報に対応するデータ入力作業またはデータ処理作業を実行し、取得した前記第2情報に基づいて前記生産データを作成するデータ作成部と、を備え、
前記データ作成部は、少なくとも前記基板の情報を作成する基板情報作成工程と部品情報を含む基板上の部品の搭載情報を作成する基板確認修正工程のそれぞれで前記第1情報に対応するデータ入力作業またはデータ処理作業を実行し、オペレータから入力された情報である前記第2情報に基づいて前記生産データを作成する、
生産管理装置。
【請求項2】
前記データ作成部は、取得した前記第1情報に対応するデータ処理作業の実行において、データ処理作業に必要な前記データ入力作業を満たさない場合、前記データ処理作業を実行しない、請求項1に記載の生産管理装置。
【請求項3】
前記第1情報は、前記入出力表示部から自動的に前記第2情報を入力するための作業指示を含む、請求項1または2に記載の生産管理装置。
【請求項4】
前記生産管理装置は、少なくともひとつの前記印刷装置または前記部品実装装置を管理する、請求項1から3のいずれかに記載の生産管理装置。
【請求項5】
基板に部品を実装する部品実装装置である生産装置でワークに生産作業をするための生産データを作成する生産データ作成方法であって、
前記生産データを作成するために要するデータ入力作業とデータ処理作業に対応した複数の作成指示のうち少なくともひとつの前記作成指示を第1情報として取得する第1取得工程と、
前記生産装置または前記生産管理装置が備える入出力表示部から入力された前記生産データを作成するための入力情報または処理情報である第2情報を取得する第2取得工程と、
取得した前記第1情報に対応するデータ入力作業またはデータ処理作業を実行し、取得した前記第2情報に基づいて、前記生産データを作成するデータ作成工程と、を含
前記データ作成工程は、少なくとも前記基板の情報を作成する基板情報作成工程と部品情報を含む基板上の部品の搭載情報を作成する基板確認修正工程のそれぞれで前記第1情報に対応するデータ入力作業またはデータ処理作業を実行し、オペレータから入力された情報である前記第2情報に基づいて前記生産データを作成する、生産データ作成方法。
【請求項6】
前記データ作成工程において、取得した前記第1情報に対応するデータ処理作業の実行において、データ処理作業に必要な前記データ入力作業を満たさない場合、前記データ処理作業を実行しない、請求項5に記載の生産データ作成方法。
【請求項7】
前記第1情報は、前記入出力表示部から自動的に前記第2情報を入力するための作業指示を含む、請求項5または6に記載の生産データ作成方法。
【請求項8】
前記生産管理装置は、少なくともひとつの前記印刷装置または前記部品実装装置を管理する、請求項5から7のいずれかに記載の生産データ作成方法。
【請求項9】
請求項5から8のいずれかに記載の生産データ作成方法をコンピュータにより実行させる、生産データ作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産装置でワークに生産作業をするための生産データを作成する生産管理装置および生産データ作成方法ならびに生産データ作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板などのワークに部品搭載などの生産作業を実行して実装基板などの製品を生産する生産装置は、生産作業の各工程を数値や記号などで記述した生産データに従って生産作業を実行する。オペレータは、生産する製品に応じて支援装置に各種データを入力しながら生産データを作成する。このようなデータを作成するためのデータ入力作業には、入力作業前に予め決定されている定型的な作業や、製品毎に異なるデータの入力など個別的な作業がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の生産装置の制御では、予め実行すべき作業手順や作業に必要なデータを記述したマクロファイルを作成して、生産装置を稼働させる際にマクロファイルを実行することで生産作業中のオペレータのデータ入力作業を削減することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-178390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、製品毎に作成される生産データの作成においては、全ての入力作業を自動化することは難しく、効率的に生産データを作成するには更なる改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、生産データ作成におけるデータ入力作業の削減と利便性の向上ができる生産管理装置および生産データ作成方法ならびに生産データ作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の生産管理装置は、生産装置でワークに生産作業をするための生産データを作成する生産管理装置であって、前記生産データを作成するために要するデータ入力作業とデータ処理作業に対応した複数の作成指示を記憶する生産管理記憶部と、複数の前記作成指示のうち少なくともひとつの前記作成指示を第1情報として取得する第1取得部と、前記生産装置または前記生産管理装置が備える入出力表示部から入力された前記生産データを作成するための入力情報または処理情報である第2情報を取得する第2取得部と、取得した前記第1情報に対応するデータ入力作業またはデータ処理作業を実行し、取得した前記第2情報に基づいて前記生産データを作成するデータ作成部と、を備える。
【0007】
本発明の生産データ作成方法は、生産装置でワークに生産作業をするための生産データを作成する生産データ作成方法であって、前記生産データを作成するために要するデータ入力作業とデータ処理作業に対応した複数の作成指示のうち少なくともひとつの前記作成指示を第1情報として取得する第1取得工程と、前記生産装置または前記生産管理装置が備える入出力表示部から入力された前記生産データを作成するための入力情報または処理情報である第2情報を取得する第2取得工程と、取得した前記第1情報に対応するデータ入力作業またはデータ処理作業を実行し、取得した前記第2情報に基づいて、前記生産データを作成するデータ作成工程と、を含む。
【0008】
本発明の生産データ作成プログラムは、請求項5から8のいずれかに記載の生産データ作成方法をコンピュータにより実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生産データ作成におけるデータ入力作業の削減と利便性の向上ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の生産管理装置の処理系の構成を示すブロック図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおいて用いられる生産データライブラリの構成説明図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおいて用いられる部品データライブラリの構成説明図
図5】本発明の一実施の形態の生産データ作成方法のフロー図
図6】(a)(b)本発明の一実施の形態の生産管理装置の入出力表示部に表示された仮想ライン設定ウィンドウの例の説明図
図7】本発明の一実施の形態のデータ作成方法のフロー図
図8】本発明の一実施の形態のデータ作成方法の他の実施例のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。まず図1を参照して、部品実装システム1の構成について説明する。部品実装システム1は基板に部品を実装して実装基板を生産する機能を有している。本実施の形態では、複数(ここでは3本)の部品実装ライン4を、通信ネットワーク2を介して生産管理装置3に接続した構成となっている。各部品実装ライン4における作業は生産管理装置3によって管理される。なお、部品実装ライン4は3本に限定されることはなく、1本、2本、または4本以上であってよい。
【0012】
生産管理装置3は、各部品実装ライン4が備える生産装置での生産作業に必要なデータを各生産装置に送信する機能を有している。また、生産管理装置3は、部品実装ライン4の生産装置で使用される動作パラメータ、部品データ、生産データなどを作成する機能を有している。なお、部品実装システム1は、部品実装ライン4毎にライン管理用のコンピュータを備え、ライン管理用のコンピュータを介して生産管理装置3と各生産装置がデータを送受信するようにしてもよい。
【0013】
図1において、部品実装ライン4は、基板供給装置M1、基板受渡装置M2、印刷装置M3、部品実装装置M4,M5、リフロー装置M6および基板回収装置M7を連結した構成となっている。基板供給装置M1によって供給された基板は基板受渡装置M2を介して印刷装置M3に搬入され、ここで基板に部品接合用のはんだをスクリーン印刷して堆積させるはんだ印刷作業が行われる。はんだ印刷後の基板は部品実装装置M4,M5に順次受け渡され、ここではんだ印刷後の基板に対して部品を実装する部品実装作業が実行される。
【0014】
部品実装装置M4,M5は、フィーダが供給する部品を実装ヘッドが有するノズルで真空吸着によって取り出し、部品認識カメラでノズルが保持する部品の状態を撮像し、基板の実装位置に指定された実装角度で実装する。部品実装後の基板はリフロー装置M6に搬入され、ここで所定の加熱プロファイルに従って加熱されることにより部品接合用のはんだが溶融固化する。これにより部品が基板にはんだ接合されて基板に部品を実装した実装基板が完成し、基板回収装置M7に回収される。
【0015】
このように、印刷装置M3は、基板(ワーク)にはんだを堆積させるはんだ印刷作業(生産作業)を行う生産装置である。また、部品実装装置M4,M5は、基板(ワーク)に部品を実装する部品実装作業(生産作業)を行う生産装置である。そして、生産管理装置3は、少なくともひとつの印刷装置M3または部品実装装置M4,M5を管理する生産管理装置である。
【0016】
次に図2を参照して、生産管理装置3の処理系の構成について説明する。ここでは、生産管理装置3が備える複数の機能のうち、部品実装ライン4が備える生産装置で基板(ワーク)に生産作業をするための生産データを作成する機能に関する構成について説明する。生産管理装置3は、処理装置10、記憶装置であるライブラリ記憶部14、生産管理記憶部19の他、入出力表示部22、通信部23を備えている。
【0017】
処理装置10はCPUなどのデータ処理装置であり、内部処理部として第1取得部11、第2取得部12、データ作成部13を備えている。データ作成部13は内部処理部として第1処理部13a、第2処理部13bを備えている。なお、生産管理装置3は、ひとつのコンピュータで構成する必要はなく、複数のデバイスで構成してもよい。例えば、記憶装置、処理部の全てもしくは一部を、サーバを介してクラウドに備えてもよい。また、データ作成部13は、第1処理部13aと第2処理部13bの両方を備えている必要はなく、どちらか一方のみを備えていて、他方を別のデバイスに備えていてもよい。
【0018】
図2において、入出力表示部22は、操作コマンドやデータなどを入力する入力機能と各種データやデータ入力ウィンドウなどを表示する表示機能を備えるタッチパネルなどの装置である。なお、入出力表示部22は入力機能と表示機能が一体化された装置に限定されることはない。例えば、入力機能をキーボード、タッチパネル、マウス、音声などの入力装置で実施し、表示機能を液晶パネルなどの表示装置で実施するようにしてもよい。通信部23は、通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して部品実装ライン4を構成する生産装置との間でデータの送受信を行う。
【0019】
ライブラリ記憶部14には、生産データライブラリ15、部品ライブラリ16、動作パラメータライブラリ17、プログラムライブラリ18などが記憶されている。生産データライブラリ15には、印刷装置M3、部品実装装置M4,M5などの生産装置で生産作業をするために使用される生産データが、実装基板の生産機種名毎に記憶されている。
【0020】
ここで図3を参照して、生産データライブラリ15に含まれる部品実装装置M4,M5で使用される生産データ30の例について説明する。生産データライブラリ15に含まれる複数の生産データ30には、それぞれ、1つの生産機種名の実装基板を生産するために必要なデータが規定されている。すなわち生産データ30には、当該生産機種名の実装基板に実装される部品の「部品名」31、当該部品を部品ライブラリ16の部品データと関連付けるためのユニークな部品コードである「部品n」32、当該部品の実装基板における実装位置および実装角度を示す「実装座標」33、「実装角度」34が、実装対象の各部品について規定されている。
【0021】
さらに生産データ30には、当該実装基板の生産に使用される設備側の条件、すなわち部品実装装置M4,M5における設定状態などを示す設備条件データ35が、部品名毎に規定されている。設備条件データ35には、部品実装装置M4,M5の種類を示す機種データ、当該部品が供給される位置を示す「供給位置」36、部品供給に使用されるフィーダを示す「フィーダ」37、当該部品を実装する部品実装作業を行う実装ヘッドを示す「実装ヘッド」38、当該部品の保持に使用されるノズルを示す「ノズル」39などが規定されている。なお、ここに示す例では、生産データ30に設備条件データ35を含めた構成となっているが、設備条件データ35のみを別ファイルとする形態であってもよい。
【0022】
図2において、部品ライブラリ16には、部品の種類と、部品実装装置M4,M5において当該部品を実装する各種の作業を精細に制御するための動作パラメータを関連付けた複数の部品データが記憶されている。部品データは、部品コードによって生産データ30に関連付けられている。すなわち、部品ライブラリ16には、同じ部品名の部品であっても、生産される実装基板の生産機種名の実装位置に対応した異なる部品データが記憶されている。なお、生産機種名や実装位置が異なっても動作パラメータが同一である場合は、共通の部品データが使用される。
【0023】
ここで図4を参照して、部品ライブラリ16に含まれる部品データ40の例について説明する。部品データ40は、部品データ40に含まれる「部品コード」41と生産データ30に含まれる「部品n」32によって、生産データ30に関連付けされる。
【0024】
部品データ40は、形状図42、サイズデータ43、部品パラメータ44、動作パラメータ47より構成される。各項目の空欄部分には、画像、数値および、用語等が入力されている。なお、ここで用いる「数値」とは数値データには限定されず、有り/無し、安価/高価、高速/中速/低速・・など、定量・定性的に表された選択肢の選択結果なども含む。形状図42は対象となる部品の外形を図示する。サイズデータ43は、当該部品のサイズ情報、すなわち、外形寸法、リード数、リードピッチ、リード長さ、リード幅、部品高さなどを数値データで示す。
【0025】
部品パラメータ44は当該部品についての属性情報であり、部品自体に関する情報である部品情報45および当該部品をフィーダにより供給するためのキャリアテープに関する情報であるテープ情報46を含んでいる。部品情報45では、部品の極性、極性マーク、マーク位置、部品種別、形状種別、および価格情報が示されている。テープ情報46には、キャリアテープのテープ素材、キャリアテープの幅寸法を示すテープ幅、テープ送りピッチを示す送り間隔、キャリアテープを画像認識の対象とする際の特性と関連した情報である色・材質情報が含まれている。
【0026】
図4において、動作パラメータ47は、当該部品を部品実装装置M4,M5による部品実装作業の対象とする際の動作態様を規定するマシンパラメータである。ここに示す例では、当該部品実装装置M4,M5の種類を示す機種47a、使用されるノズルの種類を示すノズル設定47bが含まれている。さらに、動作パラメータ47には、スピードパラメータ47c、認識47d、ギャップ47e、吸着47f、装着47gなどが含まれている。
【0027】
スピードパラメータ47cには、ノズルによって部品を吸着する際の吸着速度、実装ヘッドによって部品を移送する際の実装速度、フィーダによってキャリアテープを送る際のテープ送り速度が含まれている。認識47dは部品認識の態様を規定するパラメータであり、使用される部品認識カメラの種類を示すカメラ種別、撮像時の照明形態を示す照明モード、撮像時のノズルの移動速度である認識速度が含まれている。
【0028】
ギャップ47eには、ノズルによって部品を吸着する際の吸着ギャップ、保持した部品を基板に搭載する際の実装ギャップが含まれる。吸着47fは、ノズルによる部品の吸着時のオフセット量を示す吸着位置オフセットや、吸着角度を規定する。装着47gは、ノズルに保持した部品を基板に装着する際の押圧荷重を規定する。
【0029】
図2において、動作パラメータライブラリ17には、部品データ40の動作パラメータ47として設定される複数のパラメータの集合である動作パラメータセットが複数記憶されている。プログラムライブラリ18には、オペレータが入出力表示部22を使用しながら生産データ30、部品データ40、動作パラメータ47などを作成する作業や、各データを関連付ける作業を実行するための各種データ作成プログラムが記憶されている。
【0030】
ここで図5のフローを参照しながら、プログラムライブラリ18に記憶されている複数のデータ作成プログラムを順に使用しながら生産データ30を作成する生産データ作成方法(生産データ作成プログラム)について説明する。まず、オペレータは所定のデータ作成プログラムを使用して、作成する生産データ30のファイル名を仮想的な部品実装ライン4である仮想ラインに関連づける(ST1:仮想選択工程)。次いでオペレータは所定のデータ作成プログラムを使用して、基板のCADデータなど指定して、生産データ30の部品名31、実装座標33、実装角度34を含む基板情報を作成する(ST2:基板情報作成工程)。
【0031】
次いでオペレータは所定のデータ作成プログラムを使用して、部品データ40の形状図42、サイズデータ43を含む部品外形を部品データ40毎に設定する(ST3:部品外形設定工程)。次いでオペレータは所定のデータ作成プログラムを使用して、生産データ30の設備条件データ35のフィーダ37、実装ヘッド38、ノズル39を含む実装条件を部品名31毎に設定する(ST4:実装条件設定工程)。次いでオペレータは所定のデータ作成プログラムを使用して、部品データ40のテープ情報46を含む部品供給タイプを部品データ40毎に設定する(ST5:部品供給タイプ設定工程)。
【0032】
次いでオペレータは所定のデータ作成プログラムを使用して、部品データ40の部品情報45を含む基板上の部品の搭載情報を作成、確認、修正する(ST6:基板確認修正工程)。次いでオペレータは所定のデータ作成プログラムを使用して、部品データ40の動作パラメータ47を含む生産条件を決定する(ST7:生産条件決定部)。最後にオペレータは所定のデータ作成プログラムを使用して、実装基板を担当する部品実装ライン4の生産装置に作成された生産データ30を転送する(ST8:生産データ転送工程)。
【0033】
各工程で作成、修正されたデータは、適宜、生産データライブラリ15、部品ライブラリ16、動作パラメータライブラリ17に記憶される。なお、各種データの作成順序、各工程で作成するデータの種類(データ作成プログラムの構成)は図5の生産データ作成方法のフローに限定されることはなく、適宜変更することができる。
【0034】
ここで図6を参照して、生産データ作成方法においてプログラムライブラリ18に含まれるデータ作成プログラムによって入出力表示部22に表示されるデータ入力ウィンドウと、データ入力ウィンドウを使用するデータ入力手順の例を説明する。図6(a)は、仮想選択工程(ST1)において、生産データ30のファイル名を仮想ラインに関連付ける処理を実行するデータ作成プログラムによって入出力表示部22に表示されたライン構成入力ウィンドウ50である。
【0035】
ライン構成入力ウィンドウ50には、データ構成を表示するディレクトリ表示51と、仮想ライン名を指定する仮想ライン名入力枠52と、ポインタ53が表示されている。実線で示すポインタ53は、ライン構成入力ウィンドウ50が表示された際に表示されるポインタ53の初期位置である。オペレータは、入出力表示部22を操作してポインタ53を点線で示す仮想ライン名入力枠52の位置まで移動させ(矢印a)、仮想ライン名入力枠52を選択して仮想ライン名(ライン1)を入力する。
【0036】
図6(b)は、仮想ライン名入力後にデータ作成プログラムによって入出力表示部22に表示された生産データ指定ウィンドウ54である。生産データ指定ウィンドウ54には、生産データを保存する保存ホルダをディレクトリ形式で表示するディレクトリ表示55、保存ホルダ内に保存されているファイルを表示するファイルリスト56、ファイル名指定枠57が表示されている。
【0037】
実線で示すポインタ58は、生産データ指定ウィンドウ54が表示された際に表示されるポインタ58の初期位置である。オペレータは、入出力表示部22を操作してポインタ58を点線で示すファイル名指定枠57の位置まで移動させ(矢印b)、ファイル名指定枠57を選択して生産データ名(Pro1_data)を入力する。生産データ30の作成では、オペレータは生産データ作成方法の各工程においてデータ作成プログラムの起動、データやファイル名を入力する位置の指定、データやファイル名の入力を繰り返し実行する。
【0038】
図2において、生産管理記憶部19には、作成指示情報20、生産データ情報21などが記憶されている。作成指示情報20には、プログラムライブラリ18に記憶されているデータ作成プログラムにより生産データ30を作成するために要するデータ入力作業とデータ処理作業に対応した複数の作成指示などが記憶されている。すなわち、作成指示情報20には、実装基板を生産する生産データ30を作成するための上述した複数の工程に対応する複数の作成指示が記憶されている。
【0039】
作成指示情報20に記憶される生産指示には、作業で使用するデータ作成プログラムを特定する情報と、データ入力作業において入力するデータの情報が含まれる。入力するデータの情報には、入力先を引数で指定する形式(引数形式)の他、入力先をオペレータの入出力表示部22における操作で指定する形式(操作形式)が含まれている。例えば図6(a)に示すライン構成入力ウィンドウ50における操作形式の情報では、ポインタ53の初期位置からの移動量(矢印a)、その後の操作(仮想ライン名入力枠52の選択動作)などを含む作業指示が記憶される。生産データ情報21は、生産データ30と実装基板を担当する部品実装ライン4を関連付けた情報などが記憶されている。
【0040】
図2において、第1取得部11は、作成指示情報20に記憶されている複数の作成指示のうち、少なくともひとつの作成指示を第1情報として取得する。第2取得部12は、生産装置または生産管理装置3が備える入出力表示部22から入力された、生産データ30を作成するための入力情報または処理情報である第2情報を取得する。データ作成部13は、第1取得部11が取得した第1情報に対応するデータ入力作業またはデータ処理作業を実行し、第2取得部12が取得した第2情報に基づいて生産データ30を作成する。
【0041】
ここで図7のフローに沿って、データ作成部13の第1処理部13aによって実行される生産装置でワーク(基板)に生産作業をするための生産データ30を作成するためのデータ作成方法(データ作成プログラム)について説明する。ここで説明する生産データ30を作成するための部品データ40や動作パラメータ47を含む各種データの作成は、図5に示す生産データ作成方法の工程毎に、もしくは複数の工程をまとめて実行される。
【0042】
図7において、まず、第1取得部11は、生産管理記憶部19に記憶されている作成指示情報20から、作成するデータの作成で使用するデータ作成プログラムを特定する情報を含む作成指示を第1情報として取得する(ST11:第1情報取得工程)。複数のデータをまとめて作成する場合やデータ作成開始前にデータ入力作業で入力するデータの情報を取得する場合は(ST12においてNo)、第1情報取得工程(ST11)が繰り返される。すなわち、生産データ30を作成するために要するデータ入力作業とデータ処理作業に対応した複数の作成指示が取得される。ここでは、入力するデータの情報として、入力先を引数で指定する形式(引数形式)の情報が取得される。
【0043】
データ作成に必要な第1情報が取得されると(ST12においてYes)、第1処理部13aは、プログラムライブラリ18から第1情報(作業指示)で指定されたデータ作成プログラムを取得して実行させて、引数形式の情報に基づくデータ入力作業またはデータ処理作業を実行する(ST13:第1処理工程)。
【0044】
図7において、次いでデータ作成部13は、所望のデータが作成されたか否かを判断する(ST14:データ作成判断工程)。所望のデータが作成できた場合は(ST14においてYes)、作成されたデータをライブラリ記憶部14または生産管理記憶部19に記憶させてデータ作成を終了する。すなわち、オペレータによる詳細なデータ入力作業を省略して、所望のデータを作成することができる。これによって、生産データ作成におけるデータ入力作業の削減と利便性の向上ができる。
【0045】
なお、データ作成部13は、第1情報(作業指示)に基づく所望のデータが作成されたか否かの判断(ST14)において、プログラムライブラリ18から第1情報(作業指示)で指定されたデータ作成プログラム毎に取得して実行させて、引数形式の情報に基づくデータ入力作業またはデータ処理作業を実行できるかを判断する。そして、すべてのデータ作成プログラムでデータ入力作業又はデータ処理作業が実行できる場合、データ作成部13は第1情報(作業指示)に基づく所望のデータが作成されたか否かの判断において、プログラムライブラリ18に記憶されている複数のデータ作成プログラムを生産データの作成順に使用しながら生産データ30の作成が実行できるかを判断する。
【0046】
所望のデータが作成できなかった場合(ST14においてNo)であって、第1情報取得工程(ST11)で取得された第1情報に誤りが含まれていた場合は(ST15においてYes)、取得された第1情報に誤りがある旨が入出力表示部22に報知される(ST18:異常報知工程)。例えば、入力するファイル名や入力先に間違いがある場合に、その旨が報知される。すなわち、実行中のデータ作成プログラムにおいて第1情報が取得できなくても異常報知しない。
【0047】
図7において、第1情報取得工程(ST11)で取得された第1情報に誤りは含まれておらず(ST15においてNo)、実行中のデータ作成プログラムにおいて入力する情報が不足している場合は、入出力表示部22から生産データ30を作成するための入力情報または処理情報である第2情報が取得される(ST16:第2取得工程)。すなわち、入出力表示部22にデータ入力用のウインドウ(図6参照)が表示され、オペレータが必要な情報を入力する。
【0048】
次いでデータ作成部13は、第1情報取得工程(ST11)で取得された第1情報と、第2取得工程(ST16)で取得された第2情報に基づいて、データ作成を実行する(ST17:データ作成工程)。次いでデータ作成判断工程(ST14)に戻り、所望のデータが作成されたか否かが判断される。このように、取得した第1情報に対応するデータ処理作業の実行において(ST13)、データ処理作業に必要なデータ入力作業を満たさない場合(ST15においてYes)、異常報知工程(ST18)が実行されてデータ処理工程(ST17)が実行されない。
【0049】
次に図8のフローに沿って、生産データ30を作成するためのデータ作成方法(データ作成プログラム)の他の実施例について説明する。データ作成方法の他の実施例は、第1情報取得工程(ST11)で引数形式の情報の代わりに操作形式の情報が取得されるところが図7に示すデータ作成方法と異なる。以下、図7に示すデータ作成方法と同じ工程には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0050】
図8において、まず、第1情報取得工程(ST11)において、操作形式の情報を含む第1情報が取得される。データ作成に必要な第1情報が取得されると(ST12においてYes)、第2処理部13bは、プログラムライブラリ18から第1情報(作業指示)で指定されたデータ作成プログラムを取得して実行させ、操作形式の情報に基づくデータ入力作業またはデータ処理作業を実行する(ST21:第2処理工程)。
【0051】
第2処理工程(ST21)では、生産データの作成順に第2情報取得工程(ST16)が必要になるまでデータ入力作業またはデータ処理作業が実行される。すなわち、第2処理工程(ST21)において、入出力表示部22から自動的に第2情報を入力する処理が実行される。つまり、第1情報取得工程(ST11)において取得される第1情報には、入出力表示部22から自動的に第2情報を入力するための作業指示が含まれる。
【0052】
次いで図7に示すデータ作成方法と同様に、データ作成判断工程(ST14)、第2情報取得工程(ST16)、データ作成工程(ST17)が実行され、第2処理工程(ST21)に戻る。そして、データ処理作業に必要なデータ入力作業を満たさない場合は(ST15においてYes)、異常報知工程(ST18)が実行されてデータ処理作業が実行されない。なお、データ作成工程(ST17)が実行され、第2処理工程(ST21)に戻った際に、第2処理工程(ST21)において実行するデータ入力作業またはデータ処理作業がない場合は、第2処理工程(ST21)はスキップされてデータ作成判断工程(ST14)が実行される。
【0053】
上記説明したように、本実施の形態の生産管理装置3は、生産データを作成するために要するデータ入力作業とデータ処理作業に対応した複数の作成指示を記憶する生産管理記憶部19と、複数の作成指示のうち少なくともひとつの作成指示を第1情報として取得する第1取得部11と、生産装置または生産管理装置が備える入出力表示部22から入力された生産データ30を作成するための入力情報または処理情報である第2情報を取得する第2取得部12と、取得した第1情報に対応するデータ入力作業またはデータ処理作業を実行し、取得した第2情報に基づいて生産データ30を作成するデータ作成部13と、を備え、生産装置でワーク(基板)に生産作業をするための生産データ30を作成する。これによって、生産データ作成におけるデータ入力作業の削減と利便性の向上ができる。
【0054】
なお、上記では、生産装置として基板にはんだを堆積させる印刷装置M3または基板に部品を実装する部品実装装置M5,M6を例に生産データの作成を説明したが、生産装置はこれらに限定されることはない。例えば、生産装置は半導体ウェハ(ワーク)を加工して半導体製品を製造する半導体製造装置であっても、複数の部品(ワーク)を組み合わせて電気機械器具、一般機械器具等を製造する組立装置であっても、食品(ワーク)を加工して食品加工製品を生産する食品加工装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の生産管理装置および生産データ作成方法ならびに生産データ作成プログラムは、生産データ作成におけるデータ入力作業の削減と利便性の向上ができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0056】
3 生産管理装置
M3 印刷装置(生産装置)
M4、M5 部品実装装置(生産装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8