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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/80 20180101AFI20240119BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20240119BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20240119BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240119BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20240119BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20240119BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20240119BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240119BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20240119BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20240119BHJP
【FI】
F24F11/80
F24F3/044
F24F3/14
F24F7/007 B
F24F11/46
F24F11/65
F24F11/74
F24F110:10
F24F110:12
F24F110:20
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019145884
(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公開番号】P2020165632
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2018181121
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019057585
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】兼松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】舟田 直之
(72)【発明者】
【氏名】小西 歩
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-090084(JP,A)
【文献】特開2011-174674(JP,A)
【文献】特開2014-190666(JP,A)
【文献】特開2012-083086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F24F 3/044
F24F 7/007
F24F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調室に設けられ独立して制御可能な複数の空調機と、
前記空調室の空気を前記空調室とは異なる複数の居室に搬送する、前記複数の居室毎に対応して設けられた複数の搬送ファンと、
前記複数の居室それぞれの温度を取得する居室温度センサーと、
屋外温度を取得する屋外温度センサーと、
前記空調室の温度を取得する空調室温度センサーと、
前記複数の居室それぞれの目標温度である個別目標温度の入力を受け付ける目標温度入力受付部と、
前記空調機と前記搬送ファンを制御するシステムコントローラと、を備え、
前記システムコントローラは、
前記目標温度入力受付部から取得した前記個別目標温度と前記居室温度センサーが取得した複数の居室それぞれの温度と前記空調室温度センサーが取得した空調室の温度とに基づいて個々の前記搬送ファンの送風量を決定する送風量決定部と、
前記目標温度入力受付部から取得した前記個別目標温度と前記屋外温度センサーが取得した屋外温度とに基づいて、前記複数の独立した空調機それぞれに対して冷房モードと当該冷房モード動作時の冷房設定温度または暖房モードと当該暖房モード動作時の暖房設定温度を設定するモード設定部と、
前記モード設定部による設定に基づいて空調された前記空調室の空気を、前記送風量決定部により決定された前記搬送ファンの送風量で前記居室に独立して送風するファン風量制御部と、を備え
前記モード設定部は、
複数の前記個別目標温度のうち最も低い温度を最低目標温度、最も高い温度を最高目標温度とし、屋外温度が前記最高目標温度以上に設定される第1閾値よりも低く前記最低目標温度以下に設定される第2閾値よりも高い場合には中間期と判定して複数の空調機のうちの少なくとも一つに前記暖房モードを設定し他の少なくとも一つに前記冷房モードを設定する空調システム。
【請求項2】
前記モード設定部は、前記中間期と判定した場合に、
前記暖房モードを設定した空調機の設定温度を前記最低目標温度以下とし、
前記冷房モードを設定した空調機の設定温度を前記最高目標温度以上とする、請求項に記載の空調システム。
【請求項3】
前記モード設定部は、前記中間期と判定した場合に、
前記暖房モードを設定した空調機の設定温度を前記最低目標温度より大きく複数の前記個別目標温度の平均値以下の温度に設定し、
前記冷房モードを設定した空調機の設定温度を前記最高目標温度未満であって前記平均値以上の温度に設定する請求項記載の空調システム。
【請求項4】
前記モード設定部は、前記中間期と判定した場合に、前記暖房モードを設定した空調機及び前記冷房モードを設定した空調機の設定温度を前記平均値とする請求項に記載の空調システム。
【請求項5】
前記モード設定部は、前記中間期と判定した場合に、
居室ごとに前記居室温度センサーが取得した温度と当該居室の目標温度との差の絶対値を算出し、最も絶対値の大きな居室の温度を当該居室の目標温度に到達させることのできる温度に前記空調機の設定温度を設定する請求項に記載の空調システム。
【請求項6】
前記モード設定部は、
前記最も絶対値の大きな居室の目標温度が前記空調室の温度よりも高い場合には前記暖房モードに設定した空調機に対して設定温度を前記目標温度以上に設定し、
前記最も絶対値の大きな居室の目標温度が前記空調室の温度よりも低い場合には前記冷房モードに設定した空調機に対して設定温度を前記目標温度以下に設定する、請求項に記載の空調システム。
【請求項7】
前記モード設定部は、
複数の前記個別目標温度のうち最も高い温度を最高目標温度とし、屋外温度が前記最高目標温度以上に設定される第1閾値よりも高い場合には冷房期と判定して少なくとも複数の空調機に前記冷房モードを設定する請求項1記載の空調システム。
【請求項8】
前記モード設定部は、
前記冷房モードを設定するとともに当該冷房モード動作時の冷房設定温度を複数の前記個別目標温度のうち最も低い温度である最低目標温度以下の温度とする請求項記載の空調システム。
【請求項9】
前記モード設定部は、
複数の前記個別目標温度のうち最も低い温度を最低目標温度とし、屋外温度が前記最低目標温度以下に設定される第2閾値よりも低い場合には暖房期と判定して少なくとも複数の空調機に前記暖房モードを設定する請求項1記載の空調システム。
【請求項10】
前記モード設定部は、
前記暖房モードを設定するとともに当該暖房モード動作時の暖房設定温度を複数の前記個別目標温度のうち最も高い温度である最高目標温度以上の温度とする請求項記載の空調システム。
【請求項11】
前記モード設定部は、
前記空調機に冷房モードまたは暖房モードを設定した後は所定時間が経過する間、当該設定した動作モードの変更を行わない請求項1から10のいずれかに記載の空調システム。
【請求項12】
前記モード設定部は、
前記中間期の判定を、太陽の南中時刻の前後4時間の範囲内で行う請求項記載の空調システム。
【請求項13】
前記空調室に外気を導入する外気導入ファンを備え、
前記モード設定部は、
前記中間期と判定した場合であって前記屋外温度が前記最低目標温度から前記最高目標温度の範囲内である場合には、前記屋外温度が前記最高目標温度よりも高くまたは前記最低目標温度よりも低い場合よりも前記外気導入ファンによる前記空調室への外気導入量を増加させる請求項記載の空調システム。
【請求項14】
前記空調室の湿度を取得する空調室湿度センサーと、
前記居室の目標湿度の入力を受け付ける目標湿度入力受付部と、を備え、
前記システムコントローラは、
中間期と判定され、さらに前記空調室湿度センサーが取得した空調室の湿度が前記目標湿度入力受付部から取得した前記目標湿度よりも高い場合に、
前記複数の独立した空調機のうち少なくとも1つに対して冷房モードと、前記冷房モード動作時の冷房設定温度を、前記空調室温度センサーが取得した空調室の温度と前記空調室湿度センサーが取得した空調室の湿度とに基づいて前記空調室の空気を除湿できる温度に設定し、
前記冷房モードに設定した空調機以外の他の少なくとも1つの空調機に対して暖房モードと当該暖房モード動作時の暖房設定温度を設定する請求項1記載の空調システム。
【請求項15】
空調室に設けられ独立して制御可能な複数の空調機と、
前記空調室の空気を前記空調室とは異なる複数の居室に搬送する搬送ファンと、
前記空調室の温度を取得する空調室温度センサーと、
前記空調室の湿度を取得する空調室湿度センサーと、
前記居室の目標湿度の入力を受け付ける目標湿度入力受付部と、
前記空調機を制御するシステムコントローラと、を備え、
前記システムコントローラは、
前記空調室湿度センサーが取得した空調室の湿度が前記目標湿度入力受付部から取得した前記目標湿度よりも高い場合に、
前記複数の独立した空調機のうち少なくとも1つに対して冷房モードと、前記冷房モード動作時の冷房設定温度を、前記空調室温度センサーが取得した空調室の温度と前記空調室湿度センサーが取得した空調室の湿度とに基づいて前記空調室の空気を除湿できる温度に設定し、
前記冷房モードに設定した空調機以外の他の少なくとも1つの空調機に対して暖房モードと当該暖房モード動作時の暖房設定温度を設定する、モード設定部を備えた空調システム。
【請求項16】
前記居室の目標温度の入力を受け付ける目標温度入力受付部と、
前記空調室の温度を取得する空調室温度センサーと、を備え、
前記システムコントローラは、
前記冷房モードに設定した空調機による冷却に対して、前記暖房モードに設定した空調機による加熱により前記空調室の温度を前記居室の目標温度に維持する前記暖房設定温度とする請求項15記載の空調システム。
【請求項17】
前記システムコントローラは、
前記目標湿度と前記空調室の湿度との乖離の大きさに基づいて前記冷房モードで動作する空調機の前記冷房設定温度を設定する請求項15記載の空調システム。
【請求項18】
前記目標湿度入力受付部は前記目標湿度を所定の湿度範囲として受け付ける請求項15記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数個の居室を備えた高断熱・高気密家屋において、少なくともひとつの空調室を独立して設け、1台の空調機で空調室内の空調を制御し、その空調室と各居室とを給気ダクトで連結して空調室内空気を個別的に分配給する全館空調型の空調システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような従来の空調システムでは、各居室の目標温度に応じて空調室の温度が設定され、これに応じて空調機の自動運転により冷房モードと暖房モードとを切り替えることで、各居室が目標温度となるように空調室内を空調している。この従来の空調システムは、専用の空調機を必要とせず、空調機のメーカを限定しない全館空調が実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-127845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の空調システムが一日を通して寒暖差が激しい季節や地域で使用されると、自動運転された空調機の動作モードが冷房モードと暖房モードとで頻繁に切り替えられ、空調機の寿命が短くなるおそれがある。また、空調機の自動運転による冷房モードと暖房モードとの切り替えは、空調機のメーカや空調機そのものに応じた動作となるため、特に冷房期でも暖房期でもない各居室の目標温度と屋外温度とがほぼ同じとなる中間期では、空調機の動作が予想できないという問題点があった。このように、上記した全館空調型の空調システムは、安定した制御を行う点で未だ改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、安定した制御を行うことが可能である空調システムを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明の他の目的は、効率よい除湿が可能である空調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の空調システムは、複数の空調機と、複数の搬送ファンと、居室温度センサーと、屋外温度センサーと、空調室温度センサーと、目標温度入力受付部と、システムコントローラと、を備える。複数の空調機は、空調室に設けられそれぞれ独立して制御可能である。複数の搬送ファンは、空調室の空気を空調室とは異なる複数の居室に搬送するもので、複数の居室毎に対応して設けられる。居室温度センサーは、複数の居室それぞれの温度を取得する。屋外温度センサーは、屋外温度を取得する。空調室温度センサーは、空調室の温度を取得する。目標温度入力受付部は、複数の居室それぞれの目標温度である個別目標温度の入力を受け付ける。システムコントローラは、空調機と搬送ファンを制御するもので、送風量決定部と、モード設定部と、ファン風量制御部と、を備える。送風量決定部は、目標温度入力受付部から取得した個別目標温度と居室温度センサーが取得した複数の居室それぞれの温度と空調室温度センサーが取得した空調室の温度とに基づいて個々の前記搬送ファンの送風量を決定する。モード設定部は、目標温
度入力受付部から取得した個別目標温度と屋外温度センサーが取得した屋外温度とに基づいて、複数の独立した空調機それぞれに対して冷房モードと当該冷房モード動作時の冷房設定温度または暖房モードと当該暖房モード動作時の暖房設定温度を設定する。ファン風量制御部は、モード設定部による設定に基づいて空調された空調室の空気を、送風量決定部により決定された搬送ファンの送風量で居室に独立して送風する。
【0009】
また、本発明の空調システムは、空調室に設けられ独立して制御可能な複数の空調機と、空調室の空気を空調室とは異なる複数の居室に搬送する搬送ファンとを備える。また、空調室の温度を取得する空調室温度センサーと、空調室の湿度を取得する空調室湿度センサーと、居室の目標湿度の入力を受け付ける目標湿度入力受付部と、空調機を制御するシステムコントローラと、を備える。そして空調室湿度センサーが取得した空調室の湿度が目標湿度入力受付部から取得した目標湿度よりも高い場合に、複数の独立した空調機のうち少なくとも1つに対して冷房モードと、冷房モード動作時の冷房設定温度を、空調室温度センサーが取得した空調室の温度と空調室湿度センサーが取得した空調室の湿度とに基づいて空調室の空気を除湿できる温度に設定し、冷房モードに設定した空調機以外の他の少なくとも1つの空調機に対して暖房モードと当該暖房モード動作時の暖房設定温度を設定するモード設定部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の空調システムによれば、目標温度入力受付部から取得した複数の居室それぞれの個別目標温度と屋外温度センサーが取得した屋外温度とに基づいて、複数の独立した空調機それぞれに対して冷房モードと当該冷房モード動作時の冷房設定温度または暖房モードと当該暖房モード動作時の暖房設定温度が、モード設定部により設定される。そして、そのモード設定部による設定に基づいて空調された空調室の空気が、送風量決定部により決定された搬送ファンの送風量で、モード風量制御部により居室に独立して送風される。これにより、複数の空調機に対して独立して冷房モードと冷房設定温度または暖房モードと暖房設定温度が設定されるので、空調機の自動運転を用いずに空調室の空調を安定して制御できる。よって、安定した制御を行うことが可能な空調システムを提供できるという効果がある。
【0011】
また、除湿器を設けることなく空調室の除湿を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る換気空調システムの接続概略図である。
図2】同換気空調システムのシステムコントローラの概略機能ブロック図である。
図3】同システムコントローラにて実行されるモード設定処理を示すフローチャートである。
図4】同システムコントローラにて実行されるモード確定処理を示すフローチャートである。
図5】同システムコントローラにて実行される送風量決定処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態に係る換気空調システムのシステムコントローラにて実行されるモード確定処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の第3実施形態に係る換気空調システムのシステムコントローラにて実行されるモード確定処理を示すフローチャートである。
図8】同システムコントローラにて実行される送風量決定処理を示すフローチャートである。
図9】本発明の第4実施形態に係る換気空調システムのシステムコントローラにて実行されるモード確定処理を示すフローチャートである。
図10】本発明の第5実施形態に係る換気空調システムのシステムコントローラにて実行されるモード確定処理を示すフローチャートである。
図11】本発明の第6実施形態に係る換気空調システムのシステムコントローラにて実行されるモード確定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。よって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。従って、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0014】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の空調システムの一実施形態である第1実施形態に係る換気空調システム20について説明する。図1は、本第1実施形態に係る換気空調システム20の接続概略図である。
【0015】
換気空調システム20は、外気導入ファン4と、複数の排気ファン5a,5b,5c,5dと、複数の搬送ファン3a,3b,3c,3dと、複数の循環ファン6a,6b,6c,6dと、屋外温度センサー7と、居室温度センサー11a,11b,11c,11dと、居室湿度センサー12a,12b,12c,12dと、空調室温度センサー14と、空調室湿度センサー15と、複数のエアコンディショナー9a,9b,9cと、加湿器16と、除湿器17と、入出力端末19と、システムコントローラ10とを備えて構成される。
【0016】
換気空調システム20は、建物の一例である一般住宅1内に設置される。一般住宅1は、複数(本実施形態では4つ)の居室2a~2dに加え、居室2a~2dと独立した少なくとも1つの空調室18を有している。ここで一般住宅1(住宅)とは、居住者がプライベートな生活を営む場として提供された住居であり、一般的な構成として居室にはリビング、ダイニング、寝室、個室、子供部屋等が含まれる。また換気空調システム20が提供する居室にトイレ、浴室、洗面所、脱衣所等を含んでもよい。
【0017】
空調室18では、外気導入ファン4により外気が空調室18内に取り込まれ、循環ファン6a~6dによって各居室2a~2dより搬送された空気と混合される。空調室18の空気は、空調室18内に設けられた複数(本実施形態では3台)のエアコンディショナー9a~9c、加湿器16及び除湿器17によって温度及び湿度が制御されることにより空調される。空調室18にて空調された空気は、搬送ファン3a~3dにより、各居室2a~2dに搬送される。つまり、換気空調システム20により、一般住宅1に対して全館空調が行われる。
【0018】
各居室2a~2dの空気は、循環ファン6a~6dにより空調室18へ搬送される他、排気ファン5a~5dによって居室2a~2d内から一般住宅1外へ外気として排出される。換気空調システム20は、排気ファン5a~5dの排気風量を制御して室内から外気を排出しつつ、その排気ファン5a~5dの排気風量と連動させながら外気導入ファン4の給気風量を制御して室内に外気を取り込むことで、第1種換気方式の換気が行われる。
【0019】
外気導入ファン4は、一般住宅1の室内に外気を取り込むファンであり、給気ファンや熱交換気扇の給気機能等が該当する。上述した通り、外気導入ファン4により取り込まれ
た外気は、空調室18内に導入される。外気導入ファン4の給気風量は、複数段階で設定可能に構成されており、その排気風量は、排気ファン5a~5dの排気風量に応じて設定される。
【0020】
排気ファン5a~5dは、対応する居室2a~2dの空気の一部を外気として排出するファンであり、天埋換気扇、壁掛換気扇、レンジフード、熱交換気扇の排気機能等が該当する。排気ファン5aは居室2aに、排気ファン5bは居室2bに、排気ファン5cは居室2cに、排気ファン5dは居室2dに設けられている。
【0021】
各排気ファン5a~5dは、それぞれ、その排気風量が複数段階で設定可能に構成されている。通常時は、予め設定された排気風量となるように各排気ファン5a~5dは制御される。そして、ユーザによる設定や、各種センサーにより取得された値に応じて、排気ファン5a~5d毎に排気風量が制御される。
【0022】
搬送ファン3a~3dは、各居室2a~2dに対応して空調室18に設けられている。空調室18の空気は、搬送ファン3aによって居室2aに搬送され、搬送ファン3bによって居室2bに搬送され、搬送ファン3cによって居室2cに搬送され、搬送ファン3dによって居室2dに搬送される。
【0023】
循環ファン6aは居室2aに、循環ファン6bは居室2bに、循環ファン6cは居室2cに、循環ファン6dは居室2dに設けられている。各居室2a~2dの空気の一部は、対応する循環ファン6a~6dによって、空調室18に搬送される。
【0024】
エアコンディショナー9a~9cは、空調機に該当するものであり、第1エアコンディショナー(以下「第1AC」と称する)9aと、第2エアコンディショナー(以下「第2AC」と称する)9bと、第3エアコンディショナー(以下「第3AC」と称する)9cとの複数のエアコンディショナーによって空調室18の空調を制御する。エアコンディショナー9a~9cは、汎用品を使用可能である。ここで汎用品とは、本願に係る空調システム専用に開発され、または動作を調整されたものではなく、当該空調システムとは切り離されて単独で販売され、それ自体のみで居室を空調することができるエアコンディショナーである。
【0025】
第1AC9a、第2AC9b及び第3AC9cはそれぞれ独立して制御可能であり、動作モードとして冷房モード又は暖房モードが個々に設定される。また、第1AC9a、第2AC9b及び第3AC9cはそれぞれ、冷房モードに設定される場合に当該冷房モード動作時の冷房設定温度が設定され、暖房モードに設定される場合に当該暖房モード動作時の暖房設定温度が設定される。
【0026】
動作モードとして冷房モードに設定されたエアコンディショナーは、空調室18が冷房設定温度となるように空調室18の空気を冷却する。また、動作モードとして暖房モードに設定されたエアコンディショナーは、空調室18が暖房設定温度となるように空調室18の空気を加熱する。
【0027】
なお、本発明において、1の空調室18に設けられるエアコンディショナーは複数台であればよく、その数は3台に限定されるものではない。
【0028】
加湿器16は、空調室18の空気の湿度が設定された目標湿度(空調室目標湿度)よりも低い場合にその湿度が空調室目標湿度となるように、空調室18の空気を加湿する。
【0029】
除湿器17は、空調室18の空気の湿度が設定された目標湿度(空調室目標湿度)より
も高い場合にその湿度が空調室目標湿度となるように、空調室18の空気を除湿する。
【0030】
屋外温度センサー7は、一般住宅1の屋外に設けられ、屋外の温度を取得してシステムコントローラ10に送信するセンサーである。
【0031】
居室温度センサー11aは、居室2aに設けられ、居室温度センサー11bは、居室2bに設けられ、居室温度センサー11cは、居室2cに設けられ、居室温度センサー11dは、居室2dに設けられている。居室温度センサー11a~11dは、対応する居室2a~2dそれぞれの室内温度を取得して、システムコントローラ10に送信するセンサーである。
【0032】
居室湿度センサー12aは、居室2aに設けられ、居室湿度センサー12bは、居室2bに設けられ、居室湿度センサー12cは、居室2cに設けられ、居室湿度センサー12dは、居室2dに設けられている。居室湿度センサー12a~12dは、対応する居室2a~2dそれぞれの室内湿度を取得して、システムコントローラ10に送信するセンサーである。
【0033】
空調室温度センサー14は、空調室18の空気の温度を取得して、システムコントローラ10に送信するセンサーである。空調室湿度センサー15は、空調室18の空気の湿度を取得して、システムコントローラ10に送信するセンサーである。
【0034】
システムコントローラ10は、換気空調システム20全体を制御するコントローラである。システムコントローラ10は、外気導入ファン4、排気ファン5a~5d、搬送ファン3a~3d、循環ファン6a~6d、屋外温度センサー7、居室温度センサー11a~11d、居室湿度センサー12a~12d、空調室温度センサー14、空調室湿度センサー15、第1AC9a、第2AC9b、第3AC9c、加湿器16及び除湿器17と、無線通信により通信可能に接続されている。
【0035】
システムコントローラ10は、排気ファン5a~5dの排気風量に応じた風量となるように、外気導入ファン4の給気風量を設定する等、外気導入ファン4と排気ファン5a~5dとを連動させて制御する。これにより、一般住宅1に対して第1種換気方式による換気が行われる。
【0036】
また、システムコントローラ10は、居室2a~2dそれぞれの目標温度である個別目標温度と、屋外温度センサー7が取得した屋外温度とに基づいて、各々の独立した第1AC9a、第2AC9b、第3AC9cそれぞれに対して、動作モードとして冷房モード又は暖房モードを設定し、あわせて冷房設定温度又は暖房設定温度を設定する。これにより、第1AC9a、第2AC9b、第3AC9cそれぞれの動作によって、空調室18の空気の温度が冷房設定温度及び/又は暖房設定温度に応じた温度となるように制御される。
【0037】
システムコントローラ10は、また、空調室湿度センサー15により取得される空調室18の空気の湿度に基づいて、空調室18の湿度が、空調室18に設定された空調室目標湿度となるように、加湿器16、除湿器17を制御する。
【0038】
さらにシステムコントローラ10は、居室温度センサー11a~11d及び居室湿度センサー12a~12dにより取得された各居室2a~2dそれぞれの室内温度及び/又は室内湿度と、居室2a~2d毎に設定された目標温度(個別目標温度)及び/又は目標湿度(個別目標湿度)と、空調室温度センサー14及び空調室湿度センサー15が取得した空調室18の空気の温度及び/又は湿度等に応じて、搬送ファン3a~3dの風量や循環ファン6a~6dの風量を設定する。
【0039】
これにより、空調室18にて空調された空気が、各搬送ファン3a~3dに設定された風量で各居室2a~2dに搬送され、また、各居室2a~2dの空気が、各循環ファン6a~6dに設定された風量で空調室18に搬送される。よって、各居室2a~2dの室内温度及び/又は室内湿度が、個別目標温度及び/又は個別目標湿度となるように制御される。
【0040】
ここで、システムコントローラ10と、外気導入ファン4、排気ファン5a~5d、搬送ファン3a~3d、循環ファン6a~6d、屋外温度センサー7、居室温度センサー11a~11d、居室湿度センサー12a~12d、空調室温度センサー14、空調室湿度センサー15、第1AC9a、第2AC9b、第3AC9c、加湿器16及び除湿器17とが、無線通信で接続されることにより、複雑な配線工事を不要とすることができる。ただし、これら全体を、又は、システムコントローラ10とこれらの一部を、有線通信により通信可能に構成してもよい。
【0041】
入出力端末19は、システムコントローラ10と無線通信により通信可能に接続され、換気空調システム20を構築するうえで必要な情報の入力を受け付けてシステムコントローラ10に記憶させたり、換気空調システム20の状態をシステムコントローラ10から取得して表示したりするものである。
【0042】
居室2a~2dそれぞれの目標温度である個別目標温度は、この入出力端末19から入力される。この入出力端末19が目標温度入力受付部及び目標湿度入力受付部に該当する。入出力端末19は、携帯電話、スマートフォン、タブレットといった携帯情報端末が例として挙げられる。
【0043】
なお、入出力端末19は、必ずしも無線通信によりシステムコントローラ10と接続される必要はなく、有線通信により通信可能にシステムコントローラ10と接続されてもよい。この場合、入出力端末19は、例えば、壁掛のリモートコントローラにより実現されるものであってもよい。
【0044】
また、入出力端末19は、独立した複数の端末により構成されてもよく、各々の端末で入力又は出力可能な情報が異なるように構成されてもよい。例えば、居室2a~2dそれぞれに壁掛のリモートコントローラを設け、各リモートコントローラで対応する居室の目標温度(個別目標温度)が設定されるようにしてもよい。
【0045】
次いで、図2を参照して、システムコントローラ10の各機能について説明する。図2は、システムコントローラ10の概略機能ブロック図である。
【0046】
システムコントローラ10は、送風量決定部31、モード設定部32、ファン風量制御部33を少なくとも有している。
【0047】
送風量決定部31は、空調室18に設けられた個々の搬送ファン3a~3dの送風量を決定する。送風量決定部31には、入出力端末19から取得した複数の居室2a~2dそれぞれの個別目標温度が入力される。また、送風量決定部31には、居室温度センサー11a~11dが取得した複数の居室2a~2dの温度が入力される。また、送風量決定部31には、空調室温度センサー14が取得した空調室18の温度が入力される。
【0048】
そして、送風量決定部31は、各居室2a~2dの温度がそれぞれに設定された個別目標温度となるように、その時の対応する居室の温度と空調室18の温度とに基づいて、各居室2a~2dに対応する搬送ファン3a~3dの送風量を個々に決定する。送風量決定
部31の詳細については、図5を参照して後述する。
【0049】
モード設定部32は、空調室18に設けられた複数の独立した第1AC9a、第2AC9b、第3AC9cそれぞれに対して、冷房モードと当該冷房モード動作時の冷房設定温度または暖房モードと当該暖房モード動作時の暖房設定温度を設定する。モード設定部32には、入出力端末19から取得した複数の居室2a~2dそれぞれの個別目標温度と、屋外温度センサー7が取得した一般住宅1外の屋外温度が入力される。
【0050】
モード設定部32は、これら入力された個別目標温度と屋外温度とに基づいて、第1AC9a、第2AC9b、第3AC9cそれぞれに動作モードと設定温度とを設定する。モード設定部32の詳細については、図3及び図4を参照して後述する。
【0051】
ファン風量制御部33は、各搬送ファン3a~3dによる送風を制御する。具体的には、ファン風量制御部33は、空調室18の空気を、送風量決定部31により決定された搬送ファン3a~3dそれぞれの送風量で各居室2a~2dに独立して送風する制御を行う。これにより、モード設定部32による設定に基づき第1AC9a、第2AC9b、第3AC9cによって空調された空調室18の空気が、各居室2a~2dに応じて決定された送風量で、それぞれの居室2a~2dに送風される。よって、換気空調システム20は、各居室2a~2dの室内温度がそれぞれに設定された個別目標温度となるように制御される。
【0052】
次いで、図3及び図4を参照して、システムコントローラ10により実行されるモード設定処理について説明する。まず、図3は、そのモード設定処理を示すフローチャートである。
【0053】
このモード設定処理は、所定時間(例えば1時間)毎にシステムコントローラ10によって実行される。加えて、ユーザにより入出力端末19から居室2a~2dのいずれかの個別目標温度が変更された場合にもモード設定処理が実行されるようにしてもよい。
【0054】
システムコントローラ10は、モード設定処理を実行することによりモード設定部32(図2参照)を構成する。
【0055】
システムコントローラ10は、モード設定処理を実行すると、まず、居室2a~2dに対して設定可能な個別目標温度の範囲の最大値及び最小値である最高設定温度CRmax及び最低設定温度CRminを取得する(S11)。この最高設定温度CRmax及び最低設定温度CRminは、予めシステムコントローラ10に設けられた記憶部に記憶されたものであってもよいし、入出力端末19の記憶部に記憶されたものであってもよい。
【0056】
次いで、システムコントローラ10は、居室2a~2dそれぞれに設定された個別目標温度を、目標温度入力受付部を構成する入出力端末19から取得する(S12)。次いで、システムコントローラ10は、屋外温度センサー7が取得した現在の屋外温度Toutを取得する(S13)。
【0057】
次に、システムコントローラ10は、S12の処理により取得した居室2a~2dそれぞれの個別目標温度の最大値である最高目標温度Tmaxと、その個別目標温度の最小値である最低目標温度Tminを算出する(S14)。
【0058】
そして、システムコントローラ10は、モード確定処理を実行する(S15)。このモード確定処理では、S11の処理により取得した最高設定温度CRmax及び最低設定温度CRminと、S13の処理により取得した屋外温度Toutと、S14の処理により
算出した最高目標温度Tmax及び最低目標温度Tminとの関係から、空調室18の第1AC9a、第2AC9b、第3AC9cそれぞれに対して、動作モードと設定温度を設定する。モード確定処理の詳細については、図4を参照して後述する。
【0059】
システムコントローラ10は、S15のモード確定処理を実行した後、第1AC9a、第2AC9b、第3AC9cに対して、それぞれに設定された動作モードと設定温度を送信し(S16)、モード設定処理を終了する。これにより、第1AC9a、第2AC9b、第3AC9cは、それぞれ、最高設定温度CRmax及び最低設定温度CRminと、現在の屋外温度Toutと、各居室2a~2dに設定された個別目標温度の最高目標温度Tmax及び最低目標温度Tminとに応じて設定された動作モード及び設定温度で、空調室18の空調を行うことになる。
【0060】
ここで、図4を参照して、システムコントローラ10がモード設定処理の中で実行するモード確定処理(S15)の詳細について説明する。図4は、そのモード確定処理を示すフローチャートである。
【0061】
システムコントローラ10がモード設定処理を実行すると、まず、現在の屋外温度Toutが、最高目標温度Tmaxにα度(αは0以上の実数)を加算した第1閾値であるTmax+αより低く、最低目標温度Tminにβ度(βは0以上の実数)を減算した第2閾値であるTmin-βより高いかを判定する(S21)。パラメータαとβは、システムコントローラ10に予め記憶された値であってもよいし、入出力端末19からユーザ又は設置者によって変更可能に構成されてもよい。
【0062】
なお、S21の処理において、現在の屋外温度Toutが第1閾値Tmax+αより低いか否かに代えて、現在の屋外温度Toutが第1閾値Tmax+α以下か否かを判定してもよい。また、S21の処理において、現在の屋外温度Toutが第2閾値Tmin-βより高いか否かに代えて、現在の屋外温度Toutが第2閾値Tmin-β以上か否かを判定してもよい。
【0063】
現在の屋外温度Toutが、最高目標温度Tmax及び最低目標温度Tminのいずれかと略同一か、最高目標温度Tmax及び最低目標温度Tminの範囲内にある場合、各居室2a~2dを冷房する冷房期でも各居室2a~2dを暖房する暖房期でもない中間期であると考えられる。
【0064】
そこで、S21の処理の結果、現在の屋外温度Toutが、第1閾値より低く第2閾値より高いと判定された場合に(S21:Yes)、システムコントローラ10は中間期と判断して、空調室18に対して中間期に適した空調を行うように、S22及びS23の処理を実行する。
【0065】
具体的には、S22の処理において、システムコントローラ10は、第1AC9a及び第2AC9bの動作モードを冷房モードに設定する。また、同処理において、システムコントローラ10は、当該冷房モード動作時の冷房設定温度として、最高目標温度Tmaxに対してψ度(ψは0以上の実数)を加算した温度に設定する。
【0066】
また、続くS23の処理において、システムコントローラ10は、第3AC9cの動作モードを暖房モードに設定する。また、同処理において、システムコントローラ10は、当該暖房モード動作時の暖房設定温度として、最低目標温度Tminに対してω度(ωは0以上の実数)を減算した温度に設定する。
【0067】
なお、パラメータψ及びωは、システムコントローラ10に予め記憶された値であって
もよいし、入出力端末19からユーザ又は設置者によって変更可能に構成されてもよい。
【0068】
また、モード確定処理は、モードの判定、つまり冷房期、暖房期、中間期の判定を、例えば一日を通して外気温が一番高くなる時間前後に行うのが望ましい。外気温が一番高くなる時間は、北半球では例えば太陽が地平線よりも最も離れる南中時刻から約2~3時間程度経過した時刻とされている。なお、南半球では正確には北中時刻であるが、これも南中時刻と表現するものとする。気象状況による影響を踏まえると、モード確定処理は、南中時刻の前後4時間程度の範囲内で行うのが好ましい。これにより、例えば日本等の場合、朝の外気温が12度程度であり、昼の外気温が24度程度となる中間期において、朝にモード確定処理が行われて暖房期と判定されることを防止することができる。なお、この場合、対象時間外であれば図3において、モード設定処理中におけるモード確定処理はキャンセルされることとなる。
【0069】
S23の処理の後、システムコントローラ10は、モード確定処理を終了してモード設定処理に戻る。
【0070】
このS22及びS23の処理により、中間期において、空調室18の温度が冷房設定温度Tmax+ψよりも高ければ、第1AC9a及び第2AC9bによって空調室18の温度が冷房設定温度Tmax+ψ以下となるように冷却される。また、空調室18の温度が暖房設定温度Tmin-ωよりも低ければ、第3AC9cによって空調室18の温度が暖房設定温度Tmin-ω以上となるように加熱される。
【0071】
よって、空調室18の温度が暖房設定温度Tmin-ωから冷房設定温度Tmax+ψの間に保たれ、これにより、換気空調システム20は、中間期において、各居室2a~2dの温度を、少なくとも暖房設定温度Tmin-ωと冷房設定温度Tmax+ψとの範囲内にすることができる。よって、換気空調システム20の動作が予測可能となり、安定した制御を行うことが可能となる。
【0072】
また、屋外温度Toutが暖房設定温度Tmin-ωと冷房設定温度Tmax+ψとの範囲内にある場合、システムコントローラ10は、排気ファン5a~5dから排気を行いつつ外気導入ファン4より外気を導入する全換気とすることで、空調室18の温度を屋外温度Toutとすることができる。
【0073】
つまり、屋外温度Toutが最高目標温度Tmaxよりも高く、又は最低目標温度Tminよりも低い場合に大量の換気を行うと、エアコンディショナーの負荷が高まり、省エネルギーとはならない。これに対して、屋外温度Toutが最低目標温度Tminから最高目標温度Tmaxの範囲内である場合、全換気としても各エアコンディショナーには負荷が掛からないため、換気と温度制御とが省エネルギーで両立できる。
【0074】
このため、モード設定部32は、中間期と判定された場合であって屋外温度Toutが最低目標温度Tminから最高目標温度Tmaxの範囲内である場合には、屋外温度Toutが最高目標温度Tmaxよりも高く又は最低目標温度Tminよりも低い場合よりも外気導入ファン4による空調室18への外気導入量を増加させるのが好ましい。
【0075】
これにより、換気空調システム20は、各居室2a~2dの温度を暖房設定温度Tmin-ωと冷房設定温度Tmax+ψとの範囲内にある屋外温度Toutとすることができる。そしてこの場合、第1AC9a、第2AC9b、第3AC9cをいずれも停止状態とすることができるので、各エアコンディショナー9a~9cにおける負荷が減り、省エネルギー化やエアコンディショナー9a~9cの長寿命化を図ることができる。
【0076】
なお、S22及びS23の処理では、中間期において、第1AC9a及び第2AC9bに対して冷房モードと当該冷房モード動作時の冷房設定温度を設定し、第3AC9cに対して暖房モードと当該暖房モード動作時の暖房設定温度を設定する場合について説明した。しかしながら、複数台のエアコンディショナー9a~9cのうち、少なくとも1台に冷房モードと当該冷房モード動作時の冷房設定温度を設定し、他の少なくとも1台に暖房モードと当該暖房モード動作時の暖房設定温度を設定すれば、本第1実施形態度と同様の作用効果を得ることができる。
【0077】
ここで、S22及びS23の処理によって各エアコンディショナー9a~9cの動作モードと設定温度を設定した場合、空調室18の温度は、暖房設定温度Tmin-ωと冷房設定温度Tmax+ψとの範囲内の所定の温度となる。よって、この場合、換気空調システム20は、各居室2a~2dそれぞれに対して、その居室の温度が、広い温度範囲で設定可能な個別目標温度となるように制御することが難しい。そこで、換気空調システム20は、搬送ファン3a~3dの風量を制御し、体感温度を変化させている。その詳細については、図5を参照して後述する送風量決定処理にて説明する。
【0078】
一方、S21の処理の結果、現在の屋外温度Toutが第1閾値以上又は第2閾値以下であると判定された場合に(S21:No)、システムコントローラ10は、S24の処理を実行し、モード確定処理を終了してモード設定処理に戻る。
【0079】
S24の処理において、システムコントローラ10は、屋外温度Tout、最高設定温度CRmax、最高目標温度Tmax、最低目標温度Tmin、最低設定温度CRminの関係に基づいて、第1AC9a、第2AC9b、第3AC9cそれぞれの動作モードと設定温度を設定する。これにより、換気空調システム20は、各エアコンディショナー9a~9cの自動運転を用いずに空調室18の空調を安定して制御できる。よって、安定した制御を行うことが可能な換気空調システム20を提供できる。
【0080】
次いで、図5を参照して、システムコントローラ10により実行される送風量決定処理について説明する。図5は、その送風量決定処理を示すフローチャートである。
【0081】
この送風量決定処理は、第2の所定時間(例えば10分)毎にシステムコントローラ10によって実行される。システムコントローラ10は、送風量決定処理を実行することにより送風量決定部31(図2参照)を構成する。
【0082】
システムコントローラ10が送風量決定処理を実行すると、まず、モード確定処理(図4参照)のS21の処理によって中間期と判断されたかを判定する(S31)。その結果、中間期と判断された場合には(S31:Yes)、次いで、システムコントローラ10は、居室2a~2dのうち1の居室に設定された個別目標温度が、空調室18の温度(空調室温度)からγ度(γは0以上の実数)減算した第3閾値より低いかを判定する(S32)。パラメータγは、システムコントローラ10に予め記憶された値であってもよいし、入出力端末19からユーザ又は設置者によって変更可能に構成されてもよい。
【0083】
なお、S32の処理において、個別目標温度が第3閾値より低いかを判定するのに代えて、個別目標温度が第3閾値以下であるかを判定してもよい。
【0084】
S32の処理の結果、1の居室に設定された個別目標温度が第3閾値より低いと判定された場合に(S32:Yes)、システムコントローラ10は、搬送ファン3a~3dのうち、その1の居室に対応する搬送ファンの送風量を「大」に設定する(S33)。
【0085】
1の居室に設定された個別目標温度が第3閾値より低い場合とは、その個別目標温度が
空調室18の温度よりも低い場合を示すが、その1の居室の温度は、空調室18の温度よりも低くすることはできない。しかしながら、S33の処理により、その1の居室の搬送ファンの送風量を「大」とすることで、居室内に大きな風の流れが生じ、体感温度を下げることができる。よって、ユーザが所望する温度を体感させることができる。
【0086】
なお、搬送ファンの送風量を「大」に設定するとは、その搬送ファンにおいて設定可能な複数段階の送風量のうち、その送風量の平均値又は中央値よりも大きい送風量を設定することを意味する。送風量の平均値又は中央値よりも大きい送風量が複数ある場合は、空調室18の温度と個別目標温度との差が大きいほど、大きい送風量が対応する搬送ファンの送風量として設定されるようにすればよい。
【0087】
一方、S32の処理の結果、1の居室に設定された個別目標温度が第3閾値以上であると判定された場合に(S32:No)、次いで、システムコントローラ10は、その1の居室に設定された個別目標温度が、空調室18の温度(空調室温度)からδ度(δは0以上の実数)加算した第4閾値より高いかを判定する(S34)。パラメータδは、システムコントローラ10に予め記憶された値であってもよいし、入出力端末19からユーザ又は設置者によって変更可能に構成されてもよい。
【0088】
なお、S34の処理において、個別目標温度が第4閾値より高いかを判定するのに代えて、個別目標温度が第4閾値以上であるかを判定してもよい。
【0089】
S34の処理の結果、1の居室に設定された個別目標温度が第4閾値より高いと判定された場合に(S34:Yes)、システムコントローラ10は、搬送ファン3a~3dのうち、その1の居室に対応する搬送ファンの送風量を「小」に設定する(S35)。
【0090】
1の居室に設定された個別目標温度が第4閾値より高い場合とは、その個別目標温度が空調室18の温度よりも高い場合を示すが、その1の居室の温度は、空調室18の温度よりも高くすることはできない。しかしながら、S35の処理により、その1の居室の搬送ファンの送風量を「小」とすることで、居室内の風の流れを抑制し、体感温度を上げることができる。よって、ユーザが所望する温度を体感させることができる。
【0091】
なお、搬送ファンの送風量を「小」に設定するとは、その搬送ファンにおいて設定可能な複数段階の送風量のうち、その送風量の平均値又は中央値よりも小さい送風量を設定することを意味する。送風量の平均値又は中央値よりも小さい送風量が複数ある場合は、空調室18の温度と個別目標温度との差が大きいほど、小さい送風量が対応する搬送ファンの送風量として設定されるようにすればよい。
【0092】
一方、S34の処理の結果、1の居室に設定された個別目標温度が第4閾値以下であると判定された場合には(S34:No)、その1の居室の個別目標温度は空調室温度と略同一である。この場合、換気空調システム20は、その1の居室の温度を個別目標温度に近づけることができるので、システムコントローラ10は、搬送ファン3a~3dのうち、その1の居室に対応する搬送ファンの送風量を「中」に設定する(S36)。これにより、換気空調システム20は、体感温度が上がったり下がったりすることを抑制し、丁度良い温度を体感させることができる。
【0093】
なお、搬送ファンの送風量を「中」に設定するとは、その搬送ファンにおいて設定可能な複数段階の送風量のうち、その送風量の平均値に近い送風量又は中央値となる送風量を設定することを意味する。
【0094】
システムコントローラ10は、S33、S35又はS36の処理を実行すると、次いで
、すべての居室2a~2dについて対応する搬送ファン3a~3dの送風量を設定したかを判定する(S37)。その結果、搬送ファン3a~3dの送風量が設定されていない居室がある場合は(S37:No)、システムコントローラ10は、S32の処理に戻る。そして、システムコントローラ10は、その搬送ファン3a~3dの送風量が設定されていない1の居室について、S32~S36の処理を実行する。
【0095】
一方、S37の処理の結果、すべての居室2a~2dについて対応する搬送ファン3a~3dの送風量を設定したと判定される場合は(S37:Yes)、システムコントローラ10は、送風量決定処理を終了する。
【0096】
また、S31の処理の結果、中間期ではないと判断された場合には(S31:No)、居室2a~2dそれぞれの個別目標温度と、居室2a~2dそれぞれの現在の温度と、空調室18の温度に基づいて、それぞれの居室2a~2dに対応する各搬送ファン3a~3dの送風量を設定する(S38)。
【0097】
例えば、1の居室において、その1の居室に設定された個別目標温度よりもその1の居室の現在の温度が高い場合、空調室18の温度が現在の温度よりも低いことを条件として、対応する搬送ファンの送風量を大きく設定する。また、その送風量は、個別目標温度と居室の現在の温度との差が大きいほど、大きくなるように設定する。一方、この場合、空調室18の温度が1の居室の現在の温度よりも高ければ、対応する搬送ファンの送風量をゼロに設定し、1の居室の温度がこれ以上高くなることを抑制する。
【0098】
また、1の居室において、その1の居室に設定された個別目標温度よりもその1の居室の現在の温度が低い場合、空調室18の温度が現在の温度よりも高いことを条件として、対応する搬送ファンの送風量を大きく設定する。また、その送風量は、個別目標温度と居室の現在の温度との差が大きいほど、大きくなるように設定する。一方、この場合、空調室18の温度が1の居室の現在の温度よりも低ければ、対応する搬送ファンの送風量をゼロに設定し、1の居室の温度がこれ以上低くなることを抑制する。
【0099】
S38の処理の後、システムコントローラ10は、送風量決定処理を終了する。
【0100】
以上、第1実施形態に係る換気空調システム20では、入出力端末19から取得した複数の居室2a~2dそれぞれの個別目標温度と、屋外温度センサー7が取得した屋外温度とに基づいて、複数の独立したエアコンディショナー9a~9cそれぞれに対して冷房モードと当該冷房モード動作時の冷房設定温度または暖房モードと当該暖房モード動作時の暖房設定温度が、モード設定部32により設定される。
【0101】
そして、そのモード設定部32による設定に基づいて空調された空調室18の空気が、送風量決定部31により決定された搬送ファン3a~3dの送風量で、ファン風量制御部33により居室2a~2dに独立して送風される。
【0102】
これにより、複数のエアコンディショナー9a~9cに対して独立して冷房モードと冷房設定温度または暖房モードと暖房設定温度が設定されるので、エアコンディショナー9a~9cの自動運転を用いずに空調室18の空調を安定して制御できる。よって、安定した制御を行うことが可能な換気空調システム20を提供できる。
【0103】
特に、第1実施形態に係る換気空調システム20では、居室2a~2dそれぞれの個別目標温度と屋外温度とに基づいて中間期であると判断した場合に、第1AC9a及び第2AC9bに対して冷房モードに設定し、当該冷房モード動作時の冷房設定温度としてTmax+ψを設定する。また、第3AC9cに対しては暖房モードに設定し、当該暖房モー
ド動作時の暖房設定温度としてTmin-ωを設定する。
【0104】
これにより、中間期では、空調室18の温度が暖房設定温度Tmin-ωと冷房設定温度Tmax+ψとの間に保たれるので、換気空調システム20は、中間期において、各居室2a~2dの温度を、少なくとも暖房設定温度Tmin-ωと冷房設定温度Tmax+ψとの範囲内にすることができる。よって、換気空調システム20の動作が予測可能となり、安定した制御を行うことが可能となる。
【0105】
また、各エアコンディショナー9a~9cの動作モードの設定を行うモード設定処理は、所定時間毎に実行されるものであるので、各エアコンディショナー9a~9cに対して冷房モードまたは暖房モードが設定された後は所定時間が経過する間、当該設定した動作モードの変更が行われない。よって、各エアコンディショナー9a~9cにおいて、頻繁に動作モードが変更されることを抑制でき、エアコンディショナー9a~9cの短寿命化を抑制できる。
【0106】
(第2実施形態)
次いで、図6を参照して、本発明の空調システムの他の実施形態である第2実施形態に係る換気空調システム20について説明する。
【0107】
第1実施形態に係る換気空調システム20では、中間期であると判断した場合に、冷房モードに設定した第1AC9a及び第2AC9bの冷房設定温度を最高目標温度Tmaxに設定し、暖房モードに設定した第3AC9cの暖房設定温度を最低目標温度Tminに設定する場合について説明した。
【0108】
これに対し、第2実施形態に係る換気空調システム20は、中間期であると判断した場合に、冷房モードに設定する第1AC9a及び第2AC9bの冷房設定温度と、暖房モードに設定する第3AC9cの暖房設定温度を、各居室2a~2dそれぞれに設定された個別目標温度の平均値である平均目標温度Taveに基づいた温度に設定する。
【0109】
以下、第2実施形態に係る換気空調システム20について、第1実施形態に係る換気空調システム20と相違する点を中心に説明する。第1実施形態に係る換気空調システム20と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0110】
図6は、第2実施形態に係る換気空調システム20のシステムコントローラ10により、モード設定処理(図3参照)のS15の処理として実行されるモード確定処理を示すフローチャートである。
【0111】
このモード確率処理が、第1実施形態に係るシステムコントローラ10により実行されるモード確率処理と相違する点は、S21の処理により中間期であると判定された場合に(S21:Yes)、S22及びS23の処理に代えて、S41~S43の処理が実行される点である。
【0112】
まずS41の処理において、システムコントローラ10は、居室2a~2dそれぞれに設定された個別目標温度の平均値である平均目標温度Taveを算出する。次に、システムコントローラ10は、S42の処理において、第1AC9a及び第2AC9bの動作モードを冷房モードに設定し、当該冷房モード動作時の冷房設定温度として、平均目標温度Taveに対してε度(εは0以上の実数)を加算した温度に設定する。ただし、冷房設定温度Tave+εは、最高目標温度Tmax未満の温度とする。
【0113】
また、システムコントローラ10は、続くS43の処理において、第3AC9cの動作
モードを暖房モードに設定し、当該暖房モード動作時の暖房設定温度として、平均目標温度Taveに対してζ度(ζは0以上の実数)を減算した温度に設定する。ただし、暖房設定温度Tave-ζは、最低目標温度Tminより大きい温度とする。システムコントローラ10は、S43の処理の後、モード確定処理を終了してモード設定処理に戻る。
【0114】
なお、パラメータε及びζは、システムコントローラ10に予め記憶された値であってもよいし、入出力端末19からユーザ又は設置者によって変更可能に構成されてもよい。
【0115】
以上の通り、第2実施形態に係る換気空調システム20では、居室2a~2dそれぞれの個別目標温度と屋外温度とに基づいて中間期であると判断した場合に、第1AC9a及び第2AC9bは冷房モードに設定され、当該冷房モード動作時の冷房設定温度としてTave+εが設定される。また、第3AC9cは暖房モードに設定され、当該暖房モード動作時の暖房設定温度としてTave-ζが設定される。このように、複数のエアコンディショナー9a~9cに対して独立して冷房モードと冷房設定温度または暖房モードと暖房設定温度が設定されるので、エアコンディショナー9a~9cの自動運転を用いずに空調室18の空調を安定して制御できる。よって、安定した制御を行うことが可能な換気空調システム20を提供できる。
【0116】
また、各エアコンディショナー9a~9cの設定により、空調室18の温度が冷房設定温度Tave+εよりも高ければ、第1AC9a及び第2AC9bによって空調室18の温度が冷房設定温度Tave+ε以下となるように冷却される。また、空調室18の温度が暖房設定温度Tave-ζよりも低ければ、第3AC9cによって空調室18の温度が暖房設定温度Tave-ζ以上となるように加熱される。
【0117】
よって、空調室18の温度が暖房設定温度Tave-ζから冷房設定温度Tave+εの間に保たれるので、換気空調システム20は、中間期において各居室2a~2dの温度を少なくとも平均目標温度Tave付近の温度にすることができる。よって、換気空調システム20の動作が予測可能となり、安定した制御を行うことが可能となる。
【0118】
そして、各居室2a~2dの温度が、居室2a~2dそれぞれに設定された個別目標温度の平均値である平均目標温度Tave付近となることで、それぞれの居室2a~2dにおいて設定された個別目標温度から大きくずれた温度となることを抑制できる。
【0119】
また、εとζを0ではなく正の数とすることで、暖房設定温度Tave-ζと冷房設定温度Tave+εとの間に幅を持たせることができる。各エアコンディショナー9a~9cが持つ温度センサーには検出誤差がある。これにより、仮に暖房設定温度と冷房設定温度とを同一の温度に設定すると、暖房モードに設定されたエアコンディショナーと冷房モードに設定されたエアコンディショナーとが設定温度に向けて同時に運転し、消費エネルギーが増加するおそれがある。
【0120】
これに対し、暖房設定温度Tave-ζと冷房設定温度Tave+εとの間に幅を持たせることで、温度センサーの検出誤差による暖房モードに設定されたエアコンディショナーと冷房モードに設定されたエアコンディショナーとの同時運転が抑制され、省エネルギー化を図ることができる。
【0121】
一方パラメータε及びζを0とすることで、換気空調システム20は、暖房設定温度と冷房設定温度とを同一の平均目標温度Taveとすることができる。これにより、中間期において、各居室2a~2dの温度が平均目標温度Taveとなるように照準をあわせることができる。よって、換気空調システム20は、より安定した制御を行うことが可能となる。
【0122】
なお、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、複数台のエアコンディショナー9a~9cのうち、少なくとも1台に冷房モードと当該冷房モード動作時の冷房設定温度を設定し、他の少なくとも1台に暖房モードと当該暖房モード動作時の暖房設定温度を設定すれば、本第2実施形態度と同様の作用効果を得ることができる。
【0123】
その他、第2実施形態に係る換気空調システム20は、第1実施形態に係る換気空調システム20と同様の構成によって、同一の効果を奏する。
【0124】
(第3実施形態)
次いで、図7及び図8を参照して、本発明の空調システムの他の実施形態である第3実施形態に係る換気空調システム20について説明する。
【0125】
第1及び第2実施形態に係る換気空調システム20では、中間期であると判断した場合に、冷房モードに設定した第1AC9a及び第2AC9bの冷房設定温度と、暖房モードに設定した第3AC9cの暖房設定温度を、いずれも所定の固定の温度に設定する場合について説明した。
【0126】
これに対し、第3実施形態に係る換気空調システム20は、中間期であると判断した場合に、居室2a~2dごとに居室温度センサー11a~11dが取得した温度と当該居室の個別目標温度との差の絶対値を算出し、最も絶対値の大きな居室の温度を当該居室の目標温度に到達させることのできる温度にエアコンディショナー9a~9cの設定温度を設定する。
【0127】
また、第3実施形態に係る換気空調システム20は、中間期において、搬送ファン3a~3dのうちその最も絶対値の大きな居室に対応する搬送ファンの送風量を「大」に設定する。また、第3実施形態に係る換気空調システム20は、中間期において、それ以外の搬送ファンの送風量を、対応する居室の個別目標温度と現在の温度及び空調室18の温度に基づいて設定する。
【0128】
以下、第3実施形態に係る換気空調システム20について、第1実施形態に係る換気空調システム20と相違する点を中心に説明する。第1実施形態に係る換気空調システム20と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0129】
図7は、第3実施形態に係る換気空調システム20のシステムコントローラ10により、モード設定処理(図3参照)のS15の処理として実行されるモード確定処理を示すフローチャートである。
【0130】
このモード確率処理が、第1実施形態に係るシステムコントローラ10により実行されるモード確率処理と相違する点は、S21の処理により中間期であると判定された場合に(S21:Yes)、S22及びS23の処理に代えて、S51~S56の処理が実行される点である。
【0131】
まずS51の処理において、システムコントローラ10は、第1AC9a及び第2AC9bを冷房モードに設定し、第3AC9cを暖房モードに設定する。
【0132】
次いで、システムコントローラ10は、居室2a~2dごとに居室温度センサー11a~11dが取得した温度と当該居室の個別目標温度との差Tdifの絶対値|Tdif|を算出する(S52)。
【0133】
そして、システムコントローラ10は、S52の処理により算出された各居室2a~2dの温度と個別目標温度との差の絶対値|Tdif|が最大となる居室について、その居室の個別目標温度を目標温度Tcalとして取得する(S53)。
【0134】
次に、システムコントローラ10は、S53の処理により取得された目標温度Tcalが、空調室18の温度よりも高いか否かを判断する(S54)。なお、S54の処理において、目標温度Tcalが、空調室18の温度以上か否かを判断するようにしてもよい。
【0135】
S54の処理の結果、目標温度Tcalが空調室18の温度よりも高いと判断される場合(S54:Yes)、システムコントローラ10は、S55の処理を実行する。
【0136】
S55の処理において、システムコントローラ10は、暖房モードに設定された第3AC9cの暖房設定温度として、目標温度Tcalにη度(ηは0以上の実数)を加算した値に設定する。また、S55の処理において、システムコントローラ10は、冷房モードに設定された第1AC9a及び第2AC9bの冷房設定温度として、最高目標温度Tmaxを設定する。システムコントローラ10は、S55の処理の後、モード確定処理を終了し、モード設定処理に戻る。
【0137】
一方、S54の処理の結果、目標温度Tcalが空調室18の温度以下と判断される場合(S54:No)、システムコントローラ10は、S56の処理を実行する。
【0138】
S56の処理において、システムコントローラ10は、冷房モードに設定された第1AC9a及び第2AC9bの冷房設定温度として、目標温度Tcalからθ度(θは0以上の実数)を減算した値に設定する。また、S56の処理において、システムコントローラ10は、暖房モードに設定された第3AC9cの暖房設定温度として、最低目標温度Tminを設定する。システムコントローラ10は、S56の処理の後、モード確定処理を終了し、モード設定処理に戻る。
【0139】
このように、中間期において、居室の温度と個別目標温度との差の絶対値|Tdif|が最大となる居室の個別目標温度Tcalが、空調室18の温度よりも高い場合、S55の処理によって、暖房モードに設定された第3AC9cの暖房設定温度が、その居室の個別目標温度Tcal以上に設定される。これにより、空調室18の温度が、その差の絶対値|Tdif|が最大となる居室の個別目標温度Tcal以上となるように第3AC9cによって加熱される。よって、換気空調システム20は、居室の温度と個別目標温度との差の絶対値|Tdif|が最大となる居室をまず個別目標温度とするように制御できる。
【0140】
また、中間期において、居室の温度と個別目標温度との差の絶対値|Tdif|が最大となる居室の個別目標温度Tcalが、空調室18の温度以下である場合、S56の処理によって、冷房モードに設定された第1AC9a及び第2AC9bの冷房設定温度が、その居室の個別目標温度Tcal以下に設定される。これにより、空調室18の温度が、その差の絶対値|Tdif|が最大となる居室の個別目標温度Tcal以下となるように第1AC9a及び第2AC9bによって冷却される。よって、換気空調システム20は、居室の温度と個別目標温度との差の絶対値|Tdif|が最大となる居室をまず個別目標温度とするように制御できる。
【0141】
従って、換気空調システム20は、中間期において、居室の温度が個別目標温度と最も大きく乖離した居室をまず個別目標温度となるように制御することができる。
【0142】
また、このモード確定処理は所定時間毎に実行されるモード設定処理の一処理である。つまり、個別目標温度と大きく乖離していた居室の温度が個別目標温度に近くなると、今
度は残りの居室について、個別目標温度と大きく温度が乖離している居室をその個別目標温度に近づける制御が行われる。よって、換気空調システム20は、居室の温度が個別目標温度と乖離している居室の順に、その温度を個別目標温度に近づけることができる。
【0143】
従って、換気空調システム20は、温度が個別目標温度と乖離した居室の存在を素早く解消できる。
【0144】
なお、S55の処理において、第1AC9a及び第2AC9bの冷房設定温度を最高目標温度Tmaxに設定しているが、この場合、空調室18の温度を目標温度Tcalまで上昇させる場面であるため、実質的に第1AC9a及び第2AC9bは動作しない。そこで、システムコントローラ10は、S55の処理において、第1AC9a及び第2AC9bの冷房設定温度を目標温度Tcal以上に設定してもよい。また、この場合、システムコントローラ10は、第1AC9a及び第2AC9bの運転そのものをオフに設定するようにしてもよく、また、第1AC9a及び第2AC9bの動作モードを暖房モードに設定して、暖房設定温度を第3AC9cの暖房設定温度と同一の温度Tcal+ηを設定してもよい。
【0145】
同様に、S56の処理において、第3AC9cの暖房設定温度を最低目標温度Tminに設定しているが、この場合、空調室18の温度を目標温度Tcalまで降下させる場面であるため、実質的に第3AC9cは動作しない。そこで、システムコントローラ10は、S56の処理において、第3AC9cの暖房設定温度を目標温度Tcal以下に設定してもよい。また、この場合、システムコントローラ10は、第3AC9cの運転そのものをオフに設定するようにしてもよく、また、第3AC9cの動作モードを冷房モードに設定して、冷房設定温度を第1AC9a及び第2AC9bの冷房設定温度と同一の温度Tcal-θを設定してもよい。
【0146】
また、第3実施形態においても第1及び第2実施形態と同様に、複数台のエアコンディショナー9a~9cのうち、少なくとも1台に冷房モードと当該冷房モード動作時の冷房設定温度を設定し、他の少なくとも1台に暖房モードと当該暖房モード動作時の暖房設定温度を設定すれば、本第3実施形態度と同様の作用効果を得ることができる。
【0147】
次いで、図8を参照して、第3実施形態に係る換気空調システム20のシステムコントローラ10により実行される送風量決定処理について説明する。図8は、その送風量決定処理を示すフローチャートである。
【0148】
このモード確率処理が、第1実施形態に係るシステムコントローラ10により実行される送風量決定処理と相違する点は、S31の処理により中間期であると判定された場合に(S31:Yes)、S32~S37の処理に代えて、S61及びS62の処理が実行される点である。
【0149】
まずS61の処理において、システムコントローラ10は、搬送ファン3a~3dのうち、モード確定処理のS53の処理にて判断された、居室の温度と個別目標温度との差の絶対値|Tdif|が最大となる居室に対応する搬送ファンの送風量を最大に設定する。ここで、搬送ファンの送風量を最大に設定するとは、その搬送ファンにおいて設定可能な複数段階の送風量のうち、最大の送風量を設定することを意味する。
【0150】
上述した通り、システムコントローラ10は、中間期において、居室の温度と個別目標温度との差の絶対値|Tdif|が最大となる居室をまず個別目標温度とするように空調室18の空調を制御している。加えて、システムコントローラ10は、この送風量決定処理によって、居室の温度と個別目標温度との差の絶対値|Tdif|が最大となる居室に
対応する搬送ファンの送風量を最大に設定している。よって、換気空調システム20は、中間期において、居室の温度が個別目標温度と最も大きく乖離した居室をより早く個別目標温度となるように制御できる。
【0151】
続くS62の処理において、システムコントローラ10は、その他の居室に対応する搬送ファンの送風量を、S38と同様に、居室2a~2dそれぞれの個別目標温度と、居室2a~2dそれぞれの現在の温度と、空調室18の温度に基づいて設定する。これにより、他の居室については、適切に空調室18の空気を送風でき、居室の温度と個別目標温度との差の絶対値|Tdif|が最大となる居室に合わせて制御される空調室18の空気により、かえって居室の温度が個別目標温度から乖離することを抑制できる。
【0152】
以上、第3実施形態に係る換気空調システム20では、中間期であると判断した場合に、居室の温度と当該居室の個別目標温度との差の絶対値|Tdif|が最大となる居室に対して、当該居室の目標温度に到達させることのできる温度にエアコンディショナー9a~9cの設定温度が設定される。これにより、換気空調システム20は、中間期において、温度が個別目標温度と乖離した居室の存在を素早く解消できる。
【0153】
その他、第3実施形態に係る換気空調システム20は、第1及び第2実施形態に係る換気空調システム20と同様の構成によって、同一の効果を奏する。
【0154】
(第4実施形態)
次いで、図9を参照して、本発明の空調システムの他の実施形態である第4実施形態に係る換気空調システム20について説明する。
【0155】
第1~第3実施形態に係る換気空調システム20では、中間期であると判断した場合の各エアコンディショナー9a~9cの動作モードと設定温度の設定について説明した。これに対し、第4実施形態に係る換気空調システム20は、冷房期であると判断した場合における各エアコンディショナー9a~9cの動作モードと設定温度の設定の一実施形態を示す。
【0156】
以下、第4実施形態に係る換気空調システム20について、第1実施形態に係る換気空調システム20と相違する点を中心に説明する。第1実施形態に係る換気空調システム20と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0157】
図9は、第3実施形態に係る換気空調システム20のシステムコントローラ10により、モード設定処理(図3参照)のS15の処理として実行されるモード確定処理を示すフローチャートである。
【0158】
システムコントローラ10は、このモード確定処理を実行すると、まず、現在の屋外温度Toutが、最高目標温度Tmaxにα度(αは0以上の実数)を加算した第1閾値であるTmax+αより高いかを判定する(S71)。パラメータαは、システムコントローラ10に予め記憶された値であってもよいし、入出力端末19からユーザ又は設置者によって変更可能に構成されてもよい。
【0159】
なお、S71の処理において、現在の屋外温度Toutが第1閾値Tmax+αより高いかの判定に代えて、現在の屋外温度Toutが第1閾値Tmax+α以上かを判定してもよい。
【0160】
現在の屋外温度Toutが、最高目標温度Tmax以上の第1閾値よりも高い場合、各居室2a~2dを冷房する冷房期であると考えられる。そこで、S71の処理の結果、現
在の屋外温度Toutが、第1閾値より高いと判定された場合に(S71:Yes)、システムコントローラ10は冷房期であると判断して、空調室18に対して冷房期に適した空調を行うように、S72の処理を実行する。
【0161】
具体的には、S72の処理において、システムコントローラ10は、第1AC9a、第2AC9b、第3AC9cのすべてにおいて、その動作モードを冷房モードに設定する。また、同処理において、システムコントローラ10は、これらのエアコンディショナー9a~9cに対し、当該冷房モード動作時の冷房設定温度として最低目標温度Tminからι度(ιは0以上の実数)を減算した温度に設定する。なお、パラメータιは、システムコントローラ10に予め記憶された値であってもよいし、入出力端末19からユーザ又は設置者によって変更可能に構成されてもよい。
【0162】
これにより、換気空調システム20は、冷房期である場合に、全てのエアコンディショナー9a~9cの運転によって、空調室18の温度が居室2a~2dそれぞれに設定された個別目標温度の最低目標温度Tmin以下となるように制御される。よって、換気空調システム20は、各居室2a~2dをそれぞれ個別目標温度に確実に近づけることができる。そして、換気空調システム20は、この制御を、各エアコンディショナー9a~9cの自動運転を用いずに空調室18の空調を安定して制御できる。また、この場合、空調室18に設けられた複数のエアコンディショナー9a~9cを全て同じ動作モードと設定温度に設定されるので、そのうちの1台が故障しても、空調室18の空調を継続して行うことができる。よって、安定した制御を行うことが可能な換気空調システム20を提供できる。
【0163】
一方、S71の処理の結果、現在の屋外温度Toutが第1閾値以下であると判定された場合に(S71:No)、システムコントローラ10は、第1実施形態に係るシステムコントローラ10にて実行されるモード確定処理(図4参照)のS24と同一の処理を実行する。これにより、換気空調システム20は、各エアコンディショナー9a~9cの自動運転を用いずに空調室18の空調を安定して制御できる。よって、安定した制御を行うことが可能な換気空調システム20を提供できる。
【0164】
以上、第4実施形態に係る換気空調システム20では、冷房期であると判断した場合に空調室18に設けられたすべてのエアコンディショナー9a~9cに対して冷房モードを設定し、また冷房設定温度として最低目標温度Tmin以下を設定するので、安定して各居室2a~2dの温度を制御できる。
【0165】
(第5実施形態)
次いで、図10を参照して、本発明の空調システムの他の実施形態である第5実施形態に係る換気空調システム20について説明する。この第5実施形態に係る換気空調システム20は、暖房期であると判断した場合における各エアコンディショナー9a~9cの動作モードと設定温度の設定の一実施形態を示す。
【0166】
以下、第5実施形態に係る換気空調システム20について、第1実施形態に係る換気空調システム20と相違する点を中心に説明する。第1実施形態に係る換気空調システム20と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0167】
図10は、第5実施形態に係る換気空調システム20のシステムコントローラ10により、モード設定処理(図3参照)のS15の処理として実行されるモード確定処理を示すフローチャートである。
【0168】
システムコントローラ10は、このモード確定処理を実行すると、まず、現在の屋外温
度Toutが、最低目標温度Tminからβ度(βは0以上の実数)を減算した第2閾値であるTmin-βより低いかを判定する(S81)。パラメータβは、システムコントローラ10に予め記憶された値であってもよいし、入出力端末19からユーザ又は設置者によって変更可能に構成されてもよい。
【0169】
なお、S81の処理において、現在の屋外温度Toutが第2閾値Tmin-βより低いかの判定に代えて、現在の屋外温度Toutが第2閾値Tmin-β以下かを判定してもよい。
【0170】
現在の屋外温度Toutが、最低目標温度Tmin以下の第2閾値よりも低い場合、各居室2a~2dを暖房する暖房期であると考えられる。そこで、S81の処理の結果、現在の屋外温度Toutが、第2閾値より低いと判定された場合に(S81:Yes)、システムコントローラ10は暖房期であると判断して、空調室18に対して暖房期に適した空調を行うように、S82の処理を実行する。
【0171】
具体的には、S82の処理において、システムコントローラ10は、第1AC9a、第2AC9b、第3AC9cのすべてにおいて、その動作モードを暖房モードに設定する。また、同処理において、システムコントローラ10は、これらのエアコンディショナー9a~9cに対し、当該暖房モード動作時の暖房設定温度として最高目標温度Tmaxに対しκ度(κは0以上の実数)を加算した温度に設定する。なお、パラメータκは、システムコントローラ10に予め記憶された値であってもよいし、入出力端末19からユーザ又は設置者によって変更可能に構成されてもよい。
【0172】
これにより、換気空調システム20は、暖房期である場合に、全てのエアコンディショナー9a~9cの運転によって、空調室18の温度が居室2a~2dそれぞれに設定された個別目標温度の最高目標温度Tmax以下となるように制御される。よって、換気空調システム20は、各居室2a~2dをそれぞれ個別目標温度に確実に近づけることができる。そして、換気空調システム20は、この制御を、各エアコンディショナー9a~9cの自動運転を用いずに空調室18の空調を安定して制御できる。また、この場合、空調室18に設けられた複数のエアコンディショナー9a~9cを全て同じ動作モードと設定温度に設定されるので、そのうちの1台が故障しても、空調室18の空調を継続して行うことができる。よって、安定した制御を行うことが可能な換気空調システム20を提供できる。
【0173】
一方、S81の処理の結果、現在の屋外温度Toutが第2閾値以上であると判定された場合に(S81:No)、システムコントローラ10は、第1実施形態に係るシステムコントローラ10にて実行されるモード確定処理(図4参照)のS24と同一の処理を実行する。これにより、換気空調システム20は、各エアコンディショナー9a~9cの自動運転を用いずに空調室18の空調を安定して制御できる。よって、安定した制御を行うことが可能な換気空調システム20を提供できる。
【0174】
以上、第5実施形態に係る換気空調システム20では、暖房期であると判断した場合に空調室18に設けられたすべてのエアコンディショナー9a~9cに対して暖房モードを設定し、また暖房設定温度として最高目標温度Tmax以下を設定するので、安定して各居室2a~2dの温度を制御できる。
【0175】
(第6実施形態)
次いで、図11を参照して、本発明の空調システムの他の実施形態である第6実施形態に係る換気空調システム20について説明する。この第6実施形態に係る換気空調システム20は、各エアコンディショナー9a~9cの動作モードと設定温度の設定の一実施形
態を示す。
【0176】
通常、エアコンディショナー9a~9cは、冷房モードでの動作時には除湿機能を有する。そして、例えば夏季であれば、エアコンディショナー9a~9cは冷房モードで動作するため、結果として空調室は除湿され、適正な湿度に保たれる。しかしながら例えば日本において中間期に該当する5月~6月頃は、気温は20度~26度程度ではあるが、雨期に該当するため湿度は75%程度にまで上昇してしまう。つまり、温度は快適な範囲であるが、湿度によって快適性が損なわれることになる。
【0177】
そこで本実施の形態においては、複数のエアコンディショナー9a~9cを用いた除湿処理について説明する。
【0178】
本実施の形態における構成は、実施の形態1の構成と同様であるが、さらに送風量決定部31には、空調室湿度センサー15が接続され、送風量決定部31は空調室の湿度を取得可能である。つまり図2に示した構成に加えて、送風量決定部31には、空調室湿度センサー15が接続されている。
【0179】
以下、上記構成における、送風量決定部31及びモード設定部32の処理について説明を行う。なお、システムコントローラ10は、図11に示したモード確定処理を実行することによりモード設定部32を構成する。
【0180】
システムコントローラ10が図11に示すモード確定処理(S15)を実行すると、まず、モード確定処理(図4参照)のS21の処理によって中間期と判断されたかを判定する(S31)。その結果、中間期と判断された場合には(S21:Yes)、次いで、システムコントローラ10は、空調室18の空気の湿度が設定された目標湿度(空調室目標湿度)よりも高いか否かを判定する(S91)。なお、空調室目標湿度は、入出力端末19、つまり目標湿度入力受付部より入力された湿度である。
【0181】
ここで、システムコントローラ10は、空調室18の空気の湿度が設定された空調室目標湿度よりも高い場合にその湿度が空調室目標湿度となるように、空調室18の空気を除湿する(S91:YES)。
【0182】
本実施の形態における空調室18の除湿は、以下のように行われる。すなわち、システムコントローラ10を構成するモード設定部は、第1ACを冷房モードとし、さらに冷房モードにおける冷房設定温度を、空調室18における除湿可能温度に設定する(S92)。具体的には、システムコントローラ10は、空調室温度センサー14から取得した空調室の温度と、空調室湿度センサー15から取得した空調室の湿度とに基づいて、空調室の露点温度を算出する。そして、第1ACの冷房設定温度を算出された露点温度以下に設定する。また、空調室18の空気の湿度と空調室目標湿度との乖離の大きさに基づいて、冷房設定温度を変更する。具体的には、乖離が大きいほど、冷房設定温度を低くし、つまり冷房設定温度と露点温度との差を大きくする。
【0183】
また、システムコントローラ10を構成するモード設定部は、第3ACを暖房モードとし、さらに暖房モードにおける暖房設定温度を、第1ACによる空調室18の冷却を相殺する温度とする。ここで相殺する温度とは、言い換えると、空調室18に対して除湿処理を行う前の温度を維持できる温度ということもできる。具体的には、例えば空調室18の温度が22度であり、冷房設定温度が18度と仮定する。この場合、温度差が4度であるため、暖房設定温度は空調室18の温度である22度よりも4度プラスした26度とする。これにより、第1ACによる冷却を第3ACによる加熱で相殺することができる。
【0184】
ただし、この相殺は、空調室18の広さや断熱状況、さらには外気の導入量によって異なることが考えられる。そこで、システムコントローラ10を構成するモード設定部は、除湿処理を行う前の温度を記憶し、その温度が維持できるよう、第3ACの暖房設定温度を動的に変更してもよい。
【0185】
以上の処理により、中間期であって居室の温度制御が不要である温度であっても高湿度の場合には、効率よく除湿を行うことができ、季節相応の自然な温度環境と、より快適な湿度環境とを同時に提供することが可能となる。
【0186】
しかも、本実施の形態では、除湿機を動作させるために必要となる配管が不要となり、さらに除湿能力が高い空調システム20を提供することができる。
【0187】
なお、本実施の形態では、中間期の判定を行い、中間期における実施を例として述べた。しかしながら、必ずしも実施の形態1の記載に基づく中間期の判断は必要ではなく、つまり中間期の判断を行うことなく、温度及び湿度の判断みで上述の除湿処理を行ってもよい。
【0188】
また、湿度は一定の値に安定させるのが困難である。このため、入出力端末19を介して入力される空調室目標湿度は、所定の湿度範囲として設定されてもよい。具体的には、空調室目標湿度は45%~55%の範囲として設定される。この場合、空調室目標湿度がこの範囲であれば、除湿処理を行わず、上限値である55%を超えた場合に、空調室目標湿度をこの範囲の平均値(50%)として除湿処理を実施する。これにより、制御の困難である湿度の制御を行いやすくなり、複数のエアコンディショナー9a~9cの頻繁なオンオフを回避することができる。
【0189】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部又は複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部又は複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。また、上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0190】
上記各実施形態において、システムコントローラ10を外気導入ファン4や各排気ファン5a~5dと独立して設け、システムコントローラ10がハブとなり、システムコントローラ10と外気導入ファン4、及び、システムコントローラ10と各排気ファン5a~5dとの間で通信を行う場合について説明した。これに対し、外気導入ファン4と各排気ファン5a~5dとが直接通信を行い、連動しながら制御が行われてもよい。この場合、システムコントローラ10は、外気導入ファン4に内蔵されてもよい。
【0191】
また、循環ファン6a~6d、及び搬送ファン3a~3dは、居室2a~2dと空調室18とを接続するダクトによって連通されている。しかしながら循環ファン6a~6dについては必ずしもダクトで接続する必要はなく、居室2a~2d間を結ぶ廊下等の空間をダクトとみなすことも可能である。この場合、居室2a~2d内の空気は居室2a~2dから循環ファンによって廊下に搬送される。廊下に搬送された居室2a~2d内の空気は、廊下と連通する空調室18に取り込まれる。空調室18への取り込みは、空調室の廊下に面した壁面に取込ファンを備えることで行われ、あるいは循環ファン及び/又は取込ファンを利用することなく空調室18の負圧化により取り込んでもよい。このような構成によっても、ダクトで接続するのに対して循環効率は下がることが予想されるが、湿度の均一化に寄与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明に係る換気空調システムは、戸建て住宅やマンション等の複合住宅に適用可能である。なお、複合住宅に適用する場合には、1つのシステムが世帯単位に対応するものであり、各世帯を1つの居室とするものではない。
【符号の説明】
【0193】
1 一般住宅
2a 居室
2b 居室
2c 居室
2d 居室
3a 搬送ファン
3b 搬送ファン
3c 搬送ファン
3d 搬送ファン
4 外気導入ファン
5a 排気ファン
5b 排気ファン
5c 排気ファン
5d 排気ファン
6a 循環ファン
6b 循環ファン
6c 循環ファン
6d 循環ファン
7 屋外温度センサー
9a 第1エアコンディショナー(第1AC)
9b 第2エアコンディショナー(第2AC)
9c 第3エアコンディショナー(第3AC)
10 システムコントローラ
11a 居室温度センサー
11b 居室温度センサー
11c 居室温度センサー
11d 居室温度センサー
12a 居室湿度センサー
12b 居室湿度センサー
12c 居室湿度センサー
12d 居室湿度センサー
14 空調室温度センサー
15 空調室湿度センサー
16 加湿器
17 除湿器
18 空調室
19 入出力端末
20 換気空調システム
31 送風量決定部
32 モード設定部
33 ファン風量制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11