(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
E03D9/08 Z
(21)【出願番号】P 2022501677
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020048911
(87)【国際公開番号】W WO2021166455
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2020027711
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】廣崎 和也
(72)【発明者】
【氏名】古閑 良一
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大西 宏尚
(72)【発明者】
【氏名】國木 靖博
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-040504(JP,A)
【文献】特開2006-316623(JP,A)
【文献】特開2019-167780(JP,A)
【文献】特開2014-095196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00 - 9/16
A47K 13/00 - 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給源から供給される洗浄水を人体に供給する衛生洗浄装置であって、
前記洗浄水を吐出して人体を洗浄するノズル装置と、
前記供給源と前記ノズル装置との間に設けられ、前記供給源からの前記洗浄水を前記ノズル装置へ流通させる洗浄水流路と、
前記ノズル装置よりも上流側に設けられた水ポンプと、を備え、
前記水ポンプとしてダイヤフラムポンプを用い、
前記水ポンプを、防振部材を介して取り付け
、
前記水ポンプに装着されるポンプケースをさらに備え、かつ
前記ポンプケースに前記水ポンプからの漏水を排水する排水口が形成されている、
衛生洗浄装置。
【請求項2】
供給源から供給される洗浄水を人体に供給する衛生洗浄装置であって、
前記洗浄水を吐出して人体を洗浄するノズル装置と、
前記供給源と前記ノズル装置との間に設けられ、前記供給源からの前記洗浄水を前記ノズル装置へ流通させる洗浄水流路と、
前記ノズル装置よりも上流側に設けられた水ポンプと、を備え、
前記水ポンプとしてダイヤフラムポンプを用い、
前記水ポンプの水漏れを検出する検出手段を有
し、
前記水ポンプに装着されるポンプケースをさらに備え、かつ
前記ポンプケースに前記水ポンプからの漏水を排水する排水口が形成されている、
衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記ダイヤフラムポンプは、ポンプ室を形成するダイヤフラムを複数個形成したダイヤフラム集合体を備え、
吸入弁本体と吐出弁膜と、を形成し、前記吸入弁本体と前記吐出弁膜を前記ポンプ室に対応させた、
請求項1
または請求項2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記ポンプ室の少なくとも1つは、前記吸
入弁本体を有さない構成とした、
請求項3に記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置おいては、人体に不快感を与えないようにするため、洗浄に用いる洗浄水を適切な温度に調整する加熱装置が備えられている。
【0003】
このような加熱装置の中に瞬間式加熱装置があり、消費電力の抑制や長時間の洗浄や、トイレの連続使用等での多量の洗浄水を用いた際でも温度が安定した洗浄水を送ることができることから、瞬間式加熱装置が採用されることがある。
【0004】
瞬間式加熱装置を用いた衛生洗浄装置では、洗浄水の瞬間的な昇温が求められるため、使用者の局部に噴出する洗浄水の流量を多く使用することが難しい。それにより、高い洗浄感および洗浄力を得ることが難しい。
【0005】
この課題を解決するための手段として、従来では、給水源からの洗浄水を加圧して噴出手段へ送り出すためにピストンポンプを採用している(特許文献1参照)。ピストンポンプにより洗浄水を高圧で人体に噴出することができる。また、洗浄水に圧力変動(脈動)を与えられるので、使用者が心地よい刺激を得る事ができる。さらに、洗浄水を人体の局部に噴出するときの噴出圧の範囲が広がり、使用者の好みに応じた洗浄を実現することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたピストンポンプの構成では、回転駆動装置、減速機構、動作変換機構と構造が複雑であり、部品点数が多い問題がある。これに対し、昨今の温水洗浄便座本体は、小型化・高密度化に伴う本体内部のスペースの狭小化されており、ポンプの大きさや、ポンプ自体の動作による騒音の懸念からピストンポンプの設置が難しくなっている。
【0008】
本開示は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであり、小型化、低騒音化を図り得る衛生洗浄装置を提供する。
【0009】
本開示における衛生洗浄装置は、供給源から供給される洗浄水を人体に供給する衛生洗
浄装置であって、前記洗浄水を吐出して人体を洗浄するノズル装置と、前記供給源と前記ノズル装置との間に設けられ、前記供給源からの前記洗浄水を前記ノズル装置へ流通させる洗浄水流路と、前記ノズル装置よりも上流側に設けられた水ポンプと、を備え、前記水ポンプとしてダイヤフラムポンプを用い、前記水ポンプを、防振部材を介して取り付け、前記水ポンプに装着されるポンプケースをさらに備え、かつ前記ポンプケースに前記水ポンプからの漏水を排水する排水口が形成されている。
【0010】
本開示における衛生洗浄装置は、小型化、低騒音化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1における衛生洗浄装置の外観斜視図
【
図3】同衛生洗浄装置の本体部から前カバーと後カバーを外した状態の平面図
【
図4】同衛生洗浄装置の本体部から前カバーを外した状態の斜視図
【
図5】同衛生洗浄装置の本体部から後カバーを外した状態の斜視図
【
図12】同衛生洗浄装置のダンパ機構を示す要部斜視図
【
図13】同衛生洗浄装置のダンパ機構を示す要部斜視図
【
図14】同衛生洗浄装置のダンパ機構を示す要部断面図
【
図15】同衛生洗浄装置の着座検知部を示す要部斜視図
【
図16】同衛生洗浄装置の着座検知部を示す要部斜視図
【
図17】同衛生洗浄装置の着座検知部を示す要部斜視図
【
図18】同衛生洗浄装置の本体部の背面を示す斜視図
【
図20】同衛生洗浄装置の便蓋開放状態の要部斜視図
【
図21】同衛生洗浄装置の便蓋開放状態の要部斜視図
【
図22】同衛生洗浄装置の前カバーを外した状態の要部斜視図
【
図23】同衛生洗浄装置の袖操作部周囲を示す要部断面図
【
図30】同衛生洗浄装置の給水ユニットのバキュームブレーカの断面図
【
図31】同衛生洗浄装置の給水ユニットのバキュームブレーカの断面図
【
図33】同衛生洗浄装置の給水ユニットのバキュームブレーカの断面図
【
図34】同衛生洗浄装置の給水ユニットのバキュームブレーカの断面図
【
図36】同衛生洗浄装置の給水ユニットのバキュームブレーカの断面図
【
図37】同衛生洗浄装置の給水ユニットのバキュームブレーカの断面図
【
図39】同衛生洗浄装置の出湯ブロックを外した状態の熱交換器の斜視図
【
図42】同衛生洗浄装置の熱交換器の流量センサの斜視図
【
図43】同衛生洗浄装置の熱交換器の流量センサの断面図
【
図44】同衛生洗浄装置の熱交換器の流量センサの断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、人体洗浄ノズルへ洗浄水を供給する水ポンプは、給水源からの洗浄水を加圧して噴出手段へ送り出すためにピストンポンプを採用していた。ピストンポンプを用いることにより、洗浄水を高圧で人体に噴出することができる。
【0013】
そうした状況下において、発明者らは、ピストンポンプは、構造が複雑であり、部品点数が多く、大型化する課題がある。これに対し、昨今の温水洗浄便座本体は、小型化・高密度化に伴う本体内部のスペースの狭小化されており、ポンプの大きさや、ポンプ自体の動作による騒音の懸念からピストンポンプの設置が難しいという課題があることに着目した。
【0014】
その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0015】
そこで、本開示は、供給源から供給される洗浄水を人体に供給する衛生洗浄装置であって、前記洗浄水を吐出して人体を洗浄するノズル装置と、前記供給源と前記ノズル装置との間に設けられ、前記供給源からの前記洗浄水を前記ノズル装置へ流通させる洗浄水流路と、前記ノズル装置よりも上流側に設けられた水ポンプと、を備え、前記水ポンプとしてダイヤフラムポンプを用い、前記水ポンプを防振部材を介して取り付け、前記水ポンプに装着されるポンプケースをさらに備え、かつ前記ポンプケースに前記水ポンプからの漏水を排水する排水口が形成されている衛生洗浄装置を提供する。
【0016】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0018】
(実施の形態1)
図1に示すように、衛生洗浄装置100は、本体部200、便座300、便蓋320を主構成部材として構成される。本体部200と便座300と便蓋320は、一体に構成され、便器110の上面に設置される。
【0019】
本体部200の右側部には、前方に突出するように袖操作部210が設けられ、衛生洗浄装置100の各機能を操作および設定する複数のスイッチと表示灯が設置される。
【0020】
なお、本実施の形態においては、衛生洗浄装置100の本体部200の設置側を後方、便座300の設置側を前方とし、前方に向かって右側を右方、前方に向かって左側を左方として各構成要素の配置を説明する。
【0021】
図3から
図5に示すように、本体部200内には、右方から、給水ユニット400、熱交換器500、水ポンプ600、ノズル装置700、局部を乾燥する乾燥装置220、排便時の臭気を脱臭する脱臭装置230等が備えられ、熱交換器500の上方位置に衛生洗浄装置100の各機能を制御する制御部等が備えられる。給水ユニット400からノズル装置700に洗浄水が流通するように、洗浄水流路(図示せず)が形成されている。給水ユニット400またはそれに接続されている水道管が、洗浄水の供給源である。
【0022】
本実施の形態においては、以下、給水ユニット400、熱交換器500、水ポンプ600、ノズル装置700、乾燥装置220、脱臭装置230、制御部を各種機能部品と称する。
【0023】
なお、各種機能部品は、必要に応じて追加、削減することができる。
【0024】
<本体部構成>
本体部200は、底面を構成するベース部250と、後部と側面の一部を構成する後ケース270と、前部と上面と側面の一部を構成する前ケース290とから構成される。
【0025】
ベース部250には、側面から背面にわたって漸次幅が狭くなる凸部251が形成される。後ケース270には、側面から背面にわたって漸次幅が狭くなる溝部271が形成される。ここで、ベース部250の凸部251および後ケース270の溝部271により、前後方向に形成される、凹凸篏合部が構成される。
【0026】
後ケース270は、ベース部250に、ベース部250の後方から前方向にスライドして装着される。後ケース270は、スライドして装着する際に、溝部271に凸部251を挿入した状態で、溝部271と凸部251の挿入部分をガイドとしてスライドさせる。
【0027】
これにより、後ケース270のベース部250への装着作業性が向上する。また、ベース部250に後ケース270を装着した状態では、溝部271と凸部251により本体部200内部と外部との隙間が蛇行状となり、本体部200内部への液体の浸入を抑制することができる。
【0028】
後ケース270の底部の一部は、ベース部250の下方位置に延設され、ベース部250底部と後ケース270の底部が重ね合わせた位置で後ケース270側からネジ固定される。
【0029】
前ケース290は、ベース部250の前方側から装着される。前ケース290をベース部250に装着した状態では、後ケース270の側面の外側に前ケース290の側面が当接し、前ケース290、後ケース270の側面に隙間が生じるのを抑制する。
【0030】
図10に示すように、ベース部250には、側面から前面にわたって漸次幅が狭くなる溝部252が形成される。前ケース290には、側面から前面にわたって漸次幅が狭くなる凸部291が形成される。
【0031】
前ケース290は、ベース部250に、ベース部250の前方から後方向にスライドして装着される。前ケース290は、スライドして装着する際に、溝部252に凸部291を挿入した状態で、溝部252と凸部291の挿入部分をガイドとしてスライドさせる。
【0032】
これにより、前ケース290のベース部250への装着作業性が向上する。また、ベース部250に前ケース290を装着した状態では、溝部252と凸部291により本体部200内部と外部との隙間が蛇行状となり、本体部200内部への液体の浸入を抑制することができる。
【0033】
図8に示すように、後ケース270の前端面270aは、前方に向かって水平方向に延設して形成される。前ケース290の後端は、後ケース270の前端面270aを挟持するコ字状の挟持部290aを有し、前ケース290を前方から挟持する。これにより、挟持部290aが後ケース270の前端面270aを挟持し、前ケース290と後ケース270との間に隙間が生じるのを抑制する。前ケース290の上面は、後ケース270背面に向かって湾曲して形成され、前ケース290を装着した状態で、前ケース290の上面が後ケース270の背面に向かってなだらかに繋がり、本体部200の後部の一部を構成する。前ケース290は、後方側から後ケース270にネジ固定される。
【0034】
これにより、前方から見て前ケース290と後ケース270との継ぎ目を目立たなくすることができ、美観性が損なわれるのを抑制することができる。また、本体部200の上面に液体が滴下した際にも、液体は、前ケース290の後ケース270との継ぎ目から浸入することなく後ケース側に滴下させることができる。
【0035】
図10に示すように、ノズル装置700の下方を構成する傾斜面240は、ノズル装置700の傾きに合わせた傾斜に構成され、前ケース290とベース部250により構成され、傾斜面240において篏合する。傾斜面240の篏合部は、便器110の便鉢内の上方位置に位置するよう構成している。
【0036】
傾斜面240は、前ケース290に形成する構成が考えられるが、この構成では、前ケース290とベース部250の篏合部が便器110の上方に位置することになり、篏合部に水が浸入した場合、便器110の上面を汚す虞がある。また、篏合部に防水構造を構成していない場合には、より便器110の上面を汚す虞が増す。
【0037】
本実施の形態では、本体部200内でノズル装置700から水漏れが生じた場合、傾斜面240を伝わって便器110の便鉢内に排水される。前ケース290とベース部250の篏合部に水が浸入した場合でも、篏合部は便器110内に位置しているので、周囲を汚すことがない。篏合部は、ベース部250に形成した溝部252と前ケース290に形成した凸部291との篏合により行っているので、水が浸入しにくく、清掃性を向上できる。
【0038】
本体部200が後方に向かって傾斜して取り付けられる構成であっても、同様の効果が期待できる。
【0039】
本体部200の前方下方は、前ケース290により構成されるので、汚水が付着した場合でも、洗浄作業性を向上することが可能となる。さらに、前ケース290に付着した汚水を水切りする水切りリブを形成すると、より便器110内への排水性を向上することも可能である。
【0040】
ベース部250底面には、ノズル装置700より右方の前側端部、給水ユニット400や熱交換器500の前側位置にリブ253を上方に向かって突出形成している。ノズル装置700より右方の水回路構成部に水漏れが発生した場合に、リブ253により漏れた水を傾斜面240に案内し、便器110内に排水するよう構成している。
【0041】
傾斜面240の前方は、ノズルカバー(図示せず)により覆われるが、漏れた水は、ノズルカバーの周囲から排水され、専用の排水口を設けることなく排水することができる。ノズルカバーを設けることにより、汚水の跳ね返りが最も多い本体部200前方位置の凹凸をなくすることができ、清掃性の向上を図ることができる。
【0042】
<ダンパ機構>
本実施の形態では、便座300と便蓋320を手動で開閉する構成とし、便座300と便蓋320が緩やかに閉じるようにダンパ機構を設けている。
【0043】
図12から
図14にダンパ機構を示す。ダンパ機構241は、便座用ダンパ242と便蓋用ダンパ243を備え、便座用ダンパ242に便座300が装着され、便蓋用ダンパ243に便蓋320が装着される。
【0044】
便座用ダンパ242と便蓋用ダンパ243は、ダンパ取付部244に設けた複数の係止爪245を篏合させることにより固定される。ダンパ取付部244は、後ケース270の左方上部に固定される。
【0045】
便座用ダンパ242と便蓋用ダンパ243は、係止爪245によりダンパ取付部244に篏合させる構成としているが、長期間使用している間に、便座用ダンパ242、或いは便蓋用ダンパ243が係止爪245から外れて、ダンパ取付部244から脱落することが想定される。
【0046】
本実施の形態では、後ケース270から便座用ダンパ242と便蓋用ダンパ243に向かって便座用ダンパ242と便蓋用ダンパ243に当接する脱落防止ボス246を突設している。便座用ダンパ242、或いは便蓋用ダンパ243が係止爪245から外れた場合でも、脱落防止ボス246が便座用ダンパ242、或いは便蓋用ダンパ243に当接しているので、便座用ダンパ242、或いは便蓋用ダンパ243が脱落するのを防止することができる。
【0047】
本実施の形態では、便座用ダンパ242と便蓋用ダンパ243を係止爪245によってダンパ取付部244に固定する構成を採用して、取付作業性を向上し、ネジ等の固定部材を廃止して材料費を削減している。
【0048】
便座用ダンパ242と便蓋用ダンパ243を強固にダンパ取付部244に固定したい場合には、ネジ固定等の固定手段を用いてもよいことは勿論である。
【0049】
上記実施の形態においては、便座300と便蓋320が緩やかに閉じるようにダンパ機構を設けているが、電動機により便座300と便蓋320を開閉する構成としてもよい。
【0050】
<本体部の細部構成>
図15から
図17に示すように、後ケース270の便座支持部276には、着座検知部272が配置される。着座検知部272は、人体が便座300に座ったことを検知するものである。
【0051】
着座検知部272は、便座支持部271にて、便座300の便座軸301を受け、便座300に人が座ると、人体の重みにより、便座軸301が下方に下がることで、着座検知部272も下方に下がることを検知して、人体の着座を検知する。
【0052】
図18及び
図19に示すように、後ケース270の背面右方には、貫通孔273を形成し、貫通孔273の内部には、水道中の異物を除去するためのフィルタ274が備えられている。フィルタ274は、後ケース270背面の貫通孔273から取り外すことができ、フィルタ274に付着した異物を掃除する事が可能となる。
【0053】
図20及び
図21に示すように、後ケース270の両側面には、便蓋回動軸321近傍位置に便蓋320が開いた際に、便蓋320の開き角度を規制するストッパー275が設けられている。ストッパー275は、ほこりの付着等汚れた場合でも、ふき取りやすいように側面部から水平部まで延設して形成されており、微小な隙間が生じない構成としている。また、ストッパー275は、垂直部、水平部に対してもR形状で接続しており、清掃性に配慮した構造としている。
【0054】
図22から
図26に基づいて袖操作部210の構成と、袖操作部210を本体部200に取り付けるための取付構造を説明する。
【0055】
本体部200の右側側面には、ベース部250と前ケース290との間に取付部211が形成される。取付部211には、袖操作部210が装着される。
【0056】
袖操作部210は、下ケース212と、上ケース213と、操作基板部214と、操作銘板215とを備えている。操作基板部214は、操作基板216と操作部基板ケース217とを備え、操作基板216と本体基板(図示せず)とをリード線218により接続する。
【0057】
操作基板部214は、上ケース213にネジ締結され、操作部基板ケース217と上ケース213との間にシール材(図示せず)を配設している。操作基板部214のリード線218は、下ケース212により形成される空洞部219を通じてベース部250に配線される。なお、下ケース212には、リード線218を固定するリブ(図示せず)を配置し、組立時のリード線の噛みこみを防ぐ構成を採用している。
【0058】
上ケース213と下ケース212は、ツメ篏合(図示せず)の後に、上ケース213の上方より下ケース212にネジにて締結し、ネジを覆うように操作銘板215を貼り付けて構成する。下ケース212と上ケース213の篏合部は、下ケース212と上ケース213の合わせ面を外周側から覆うように、上ケース213に周壁225を形成する。これにより、袖操作部210に液体がかかった場合でも、液体が内部に浸入するのを抑制できる。
【0059】
下ケース212には、取付部211へ取り付けるための装着部221が下ケース212と一体に形成される。装着部221のベース部250側には、ベース部250の凸部251と篏合する溝部222が形成される。装着部221の前ケース290側には、前ケース290に形成した凸部292が篏合する溝部223が形成される。
【0060】
装着部221は、下ケース212から装着部221に向かって延設される延設部224より上下方向、前後方向に大きく形成され、延設部224よりも外周位置でベース部250及び前ケース290と篏合し、本体部200の側壁の一部を構成する。延設部224よりも外周位置で篏合するので、液体が上方からこぼれてきた場合でも、篏合部分から本体部200内に液体が浸入するのを抑制できる。延設部224と装着部221の間は、曲面に形成されており、掃除の作業性を向上した構成としている。
【0061】
取付部211に装着部221を取り付けた状態では、溝部222と凸部251との篏合、溝部223と凸部292との篏合により、内部と外部との隙間が蛇行状となり、装着部221内部への液体の浸入を抑制することができる。
【0062】
本実施の形態では、袖操作部210により各種機能を操作する構成としたが、リモートコントロール装置により操作する構成としてもよい。この構成は、取付部211に受信部と最小限の操作スイッチを備えた取付板を装着部221の取付構成と同じ取付構成により取り付けることができる。これにより、複数の機種に対応することができる。
【0063】
<ベース部構成>
ベース部250には、衛生洗浄装置100の各機能を行う各種機能部品が装着される。ベース部250には、各種機能部品を装着する取付部254が設けられる。
【0064】
図27に取付部の一例として、熱交換器500の取付部254を示す。熱交換器500の取付部254は、一例であり、他の構成であってもよいことは勿論である。
【0065】
取付部254は、ベース部250から立設する係止片255と、熱交換器500の側面に形成される係合爪256により形成される。
【0066】
各種機能部品は、形状、重心高さなどが相違するため、取付部254は、各種機能部品によって形状等を適宜選択することができる。
【0067】
各種機能部品は、ベルトコンベア上を運ばれて、自動機械によりベース部250に装着され、係止片255と係合爪256とが係合され、固定、或いは仮止めされて位置ずれを防止する。
【0068】
製造する際には、ベース部250は、ベルトコンベア上のパレット上に載置されて移動し、各種機能部品が自動機械により、ベース部250の各種機能部品の取付部254によって固定、或いは仮止めされる。ベース部250上に各種機能部品が載置されると、パレット上のベース部250は、所定の位置に移動し、必要に応じて自動機械によりベース部250に各種機能部品がねじ固定される。
【0069】
ベース部250は、平板状に形成され、ベース部250を覆う部材が存在しないため、各種機能部品の装着やねじ止め作業を自動機械により容易に行うことが可能となる。
【0070】
各種機能部品は、ベース部250上の取付部254に固定、或いは、仮止めされて、各種機能部品の移動が阻止されるので、ベルトコンベアによる移動時の振動に影響されることがなく、自動機械によるねじ固定を可能にできる。
【0071】
本実施の形態において、ベース部250に自動機械により装着される各種機能部品として、袖操作部210、給水ユニット400、熱交換器500、ノズル装置700、乾燥装置220、脱臭装置230等が挙げられる。
【0072】
本実施の形態では、各種機能部品として、本体部200の右側から、袖操作部210、給水ユニット400、熱交換器500、ノズル装置700、乾燥装置220、脱臭装置230が設けられ、袖操作部210、給水ユニット400、熱交換器500、ノズル装置700、乾燥装置220、脱臭装置230の順に固定される。
【0073】
なお、上記実施の形態においては、係止片255は、ベース部250から上方に向かって垂直に立設している。
【0074】
しかしながら、各種機能部品の構造や形状に応じて、係止片255は、ベース部250に対して傾斜した状態で上方に向かって立設する構成でもよい。この構成であれば、自動機械によって組立する際には、各種機能部品の取付時に、ベース部250が載置されるパレットを傾斜させる構成とすることが好ましい。
【0075】
また、取付部254として、ベース部250に係止片255を形成し、各種機能部品に係合爪256を形成したが、ベース部250に係合爪256を形成し、各種機能部品に係合爪256を形成してもよい。
【0076】
取付部254は、ベース部250に各種機能部品を固定、或いは、仮固定できる構成であればよく、係止片255と係合爪256以外の構成を選択することも可能である。
【0077】
また、各種機能部品は、組立の妨げとならないよう、リード線を保持する保持部を有する。リード線は、組立作業前に保持部に保持することにより、組立の妨げとならないようにしている。
【0078】
また、ノズル装置700の右方に制御部(図示せず)、左方に乾燥装置220、脱臭装置230を配置している中で、ノズル装置700の駆動部にリード線が接触しないよう、リード線をノズル装置700の上方位置に支持する配線部材(図示せず)を備える。配線部材は、制御部のケースと乾燥装置220に固定されている。これにより、ノズル装置700が駆動中にリード線に接触することなく、容易な組立が実現できる。
【0079】
<給水ユニット>
ベース部250には、最も右側位置に給水ユニット400が配設される。給水ユニット400は、本体部200の外部でホース(図示せず)を介して水道に接続される。
【0080】
図28から
図31に示す給水ユニットは、水ポンプ600を備え、開放水路405Aを有するものであり、給水ユニット400Aとして以下に説明する。
【0081】
給水ユニット400Aは、ストレーナ401Aと、定流量弁402Aと、止水電磁弁403Aと、バキュームブレーカ404Aと、開放水路405Aと、を備える。
【0082】
水道配管(図示せず)を流れる浄水が、洗浄水としてストレーナ401Aに供給される。ストレーナ401Aにより洗浄水に含まれるごみや不純物等が除去される。
【0083】
ストレーナ401Aによりゴミや不純物等が除去された洗浄水は、止水電磁弁403Aに供給される。止水電磁弁403Aは、洗浄水の下流側への供給状態を切り替える。止水電磁弁403Aの動作は、制御部(図示せず)により制御される。止水電磁弁403Aから定流量弁402Aに洗浄水が供給されると、洗浄水は、バキュームブレーカ404Aに供給される。定流量弁402Aは、給水ユニット400A内を流れる洗浄水の流量を一定に制御する。
【0084】
バキュームブレーカ404Aは、バキュームアダプタ406Aと、バキュームアダプタ406Aを覆うバキューム蓋407Aと、バキュームアダプタ406Aとバキューム蓋407Aとの間で支持されるバキュームブレーカ弁408Aと、を備える。
【0085】
バキュームアダプタ406Aは、定流量弁402Aからの洗浄水が流入する流入口409Aと、メイン水路への流出口410Aと、開放水路405Aへの流出口411Aと、を有する。バキューム蓋407Aは、吸気口412Aを備える。
【0086】
給水ユニット400は、流入口409Aから供給される洗浄水をメイン水路への流出口410Aと、開放水路405Aへの流出口411Aに流す。メイン水路への流出口410Aに供給される洗浄水は、下流側に配置される水ポンプ600の出力により下流側へ流れる。流出口410Aに供給されなかった洗浄水は、流出口411Aから開放水路405Aへ導かれ、便器内へ排水される。
【0087】
メイン水路の水ポンプ600上流側には、流量センサ570や熱交換器500などが配置される。流量センサ570や熱交換器500などは、流路抵抗が大きい。そのため、水ポンプ600だけの出力により洗浄水を下流側へ流す構成では、水ポンプ600に対する負荷が大きい。
【0088】
本実施の形態では、開放水路側に固定オリフィス413Cを設けることで、メイン水路への流出口410Aに流量センサ570や熱交換器500などの流路抵抗に相当する水圧を印加することができ、水ポンプ600への負荷を抑制することができる。
【0089】
また、使用者が設定する洗浄流量が少ないほど固定オリフィス413Cを通る流量が多くなり、メイン水路への流出口410にかかる水圧が大きく、水ポンプ600入口にかかる水圧も大きくなるため、ノズル装置700から出る洗浄水の脈動を打ち消し、より優しい洗浄水を提供することができる。逆に、使用者が設定する洗浄流量が多いほど固定オリフィス413Cを通る流量は少なくなり、メイン水路への流出口410にかかる水圧が小さく、水ポンプ600入口にかかる水圧も小さくなるため、ノズル装置700から出る洗浄水の脈動を殺さず、より強い洗浄水を提供することができる。
【0090】
バキュームブレーカ404は、通常時は洗浄水がバキュームブレーカ弁408を水圧によって押し上げているため、吸気口412への流路は閉じられているが、上流側が負圧になった場合には、バキュームブレーカ弁408が下がり、吸気口412から外気を取り入れて上流側の負圧を解除して、ノズル装置700または開放水路から汚水が逆流する危険を防止することができる。
【0091】
上記給水ユニットの実施の形態において、水ポンプ600をなくす構成とすることが考えられる。
【0092】
図32から
図34に示す給水ユニットは、水ポンプ600をなくしたものであり、給水ユニット400Bとして以下に説明する。
【0093】
給水ユニット400Bは、ストレーナ401Bと、止水電磁弁403Bと、減圧弁402B、バキュームブレーカ404Bと、開放水路405Bと、を備える。
【0094】
水道配管(図示せず)を流れる浄水が、洗浄水としてストレーナ401Bに供給される。ストレーナ401Bにより洗浄水に含まれるごみや不純物等が除去される。
【0095】
ストレーナ401Bによりゴミや不純物等が除去された洗浄水は、止水電磁弁403Bに供給される。止水電磁弁403Bは、洗浄水の下流側への供給状態を切り替える。止水電磁弁403Bの動作は、制御部(図示せず)により制御される。止水電磁弁403Bから減圧弁402Bに洗浄水が供給されると、減圧弁402Bにより給水ユニット400B内を流れる洗浄水の圧力が一定圧力に減圧される。
【0096】
バキュームブレーカ404Bは、バキュームアダプタ406Bと、バキュームアダプタ406Bを覆うバキューム蓋407Bと、バキュームアダプタ406Bとバキューム蓋407Bとの間で支持されるバキュームブレーカ弁408Bと、を備える。
【0097】
バキュームアダプタ406Bは、減圧弁402Bからの洗浄水が流入する流入口409Bと、メイン水路への流出口410Bと、開放水路への流出口411Bと、を有する。バキューム蓋407Bは、吸気口412Bを備える。
【0098】
バキュームブレーカ404Bは、減圧弁402Bの下流側に配置され、減圧弁402Bにより一定圧力に減圧された洗浄水が、流入口409Bからバキュームブレーカ404B内に供給され、流出口410Bに流れる。
【0099】
バキュームブレーカ404Bは、通常時は洗浄水が水圧によってバキュームブレーカ弁408Bを押し上げているため、吸気口412Bへの流路は閉じられる。上流側が負圧になった場合には、バキュームブレーカ弁408Bが下がり、吸気口412Bから外気を取り入れて上流側の負圧を解除して、ノズル装置700または開放水路から汚水が逆流する危険を防止することができる。
【0100】
上記給水ユニットの実施の形態において、ポンプと減圧弁を追加する構成とすることが考えられる。
【0101】
図35から
図37に示す給水ユニットは、水ポンプ600と減圧弁402Cを追加したものであり、給水ユニット400Cとして以下に説明する。
【0102】
給水ユニット400Cは、ストレーナ401Cと、止水電磁弁403Cと、減圧弁402C、バキュームブレーカ404Cと、開放水路405Cと、を備える。
【0103】
水道配管(図示せず)を流れる浄水が、洗浄水としてストレーナ401Cに供給される。ストレーナ401Cにより洗浄水に含まれるごみや不純物等が除去される。
【0104】
ストレーナ401Cによりゴミや不純物等が除去された洗浄水は、止水電磁弁403Cに供給される。止水電磁弁403Cは、洗浄水の下流側への供給状態を切り替える。止水電磁弁403Cの動作は、制御部(図示せず)により制御される。止水電磁弁403Cから減圧弁402Cに洗浄水が供給されると、減圧弁402Cにより給水ユニット400C内を流れる洗浄水の圧力が一定圧力に減圧される。
【0105】
バキュームブレーカ404Cは、バキュームアダプタ406Cと、バキュームアダプタ406Cを覆うバキューム蓋407Cと、バキュームアダプタ406Cとバキューム蓋407Cとの間で支持されるバキュームブレーカ弁408Cと、を備える。
【0106】
バキュームアダプタ406Cは、減圧弁402Cからの洗浄水が流入する流入口409Cと、メイン水路への流出口410Cと、開放水路への流出口411Cと、を有する。バキューム蓋407Cは、吸気口412Cを備える。
【0107】
バキュームブレーカ404Cは、減圧弁402Cの下流側に配置される。洗浄水は、減圧弁402Cにより一定圧力に減圧され、流入口409Cからバキュームブレーカ404C内に供給され、固定オリフィス413Cを通過することでさらに減圧され、流出口410Cに流れる。
【0108】
使用者が設定する洗浄流量が少ないほど固定オリフィス413Cを通る流量が少なくなり、流出口410Cにかかる水圧が大きく、水ポンプ600入口にかかる水圧も大きくなるため、ノズル装置700から出る洗浄水の脈動を打ち消し、より優しい洗浄水を提供することができる。逆に、使用者が設定する洗浄流量が多いほど固定オリフィス413Cを通る流量は多くなり、流出口410Cにかかる水圧が小さく、水ポンプ600入口にかかる水圧も小さくなるため、ノズル装置700から出る洗浄水の脈動を殺さず、より強い洗浄水を提供することができる。
【0109】
バキュームブレーカ404Cは、通常時は洗浄水が水圧によってバキュームブレーカ弁408Cを押し上げているため、吸気口412Cへの流路は閉じられる。上流側が負圧になった場合には、バキュームブレーカ弁408Cが下がり、吸気口412Cから外気を取り入れて上流側の負圧を解除して、ノズル装置700または開放水路から汚水が逆流する危険を防止することができる。
【0110】
万一、ノズル装置700から汚水が逆流しようとした場合でも、流出口410Cから流入する汚水を固定オリフィス413Cによって流路を減縮するため、汚水の逆流を抑制することができる。
【0111】
<熱交換器>
ベース部250の給水ユニット400左側位置には、熱交換器500が配設される。給水ユニット400の流出口410と熱交換器500は、可撓性を有するホース(図示せず)にて接続される。
【0112】
【0113】
熱交換器500は、高さの低い直方体形状に形成され、面積の広い面をベース部250上に載置して固定される。
【0114】
熱交換器500は、耐熱樹脂からなる下ケース510と上ケース520と前部構成体530とを備える。下ケース510と上ケース520は、溶着等により一体に構成され、その前部に前部構成体530が溶着等により一体に構成される。
【0115】
前部構成体530には、上面の右側位置に、熱交換器500の内部空間への洗浄水の入口531が設けられる入口筒部532が上方に向かって垂直に突出形成される。前部構成体530には、上面の左側位置に、熱交換器500の内部空間からの洗浄水の出口533が設けられる出口筒部534が上方に向かって垂直に突出形成される。
【0116】
入口筒部532は、熱交換器500の右側位置に配設することにより、給水ユニット400との間隔を短くすることができ、給水ユニット400と入口筒部532を接続する配管を短くでき、配管作業性を向上することができる。
【0117】
上ケース520上面には、熱交換器500の空焚きを検出する温度検出手段の取付部である温度検出手段取付部521がリブによって区画形成される。温度検出手段は、本実施の形態では、温度ヒューズ522を用いており、温度検出手段取付部521には、温度ヒューズ522と温度ヒューズ522への配線523が配設される。熱交換器500のヒータ構成体580は、入口531側が出口533側よりも温度を高く設定しているため、温度ヒューズ522は、入口531側の流路に対応する位置に取り付けられる。温度検出手段取付部521の温度ヒューズ522が取り付けられる部分は、肉厚を薄くして、熱交換器500の空焚きをより確実に検出するよう構成している。温度検出手段取付部521は、上ケース520に固定される温度検知手段カバー540により覆われる。温度ヒューズ522は、熱交換器500への電力供給のみを遮断する回路構成としている。
【0118】
熱交換器500には、入口筒部532に流量センサ550、出口筒部534に出湯ブロック560が、それぞれ共通のアース接続用の端子板565を介して取り付けられる。
【0119】
端子板565は、1枚の金属板からなっており、電源アースに接続するアース端子(図示せず)に接続される。端子板565は、入口531と出口533において洗浄水に常時接触する。これにより、ヒータ構成体580の基礎絶縁が破壊した場合でも、洗浄水を介して使用者や水道配管への漏電を防止することができる。
【0120】
図42から
図44に示すように、流量センサ570は、流量センサケース571と、流量センサケース蓋572と、入水温度センサ573と、入水温度センサ固定具574と、流量センサ軸575と、羽根車576と、羽根車576の回転数を検出する検出手段577と、を備える。
【0121】
流量センサケース571は、給水ユニット400からの流入口578と、熱交換器500への流出口579を備える。
【0122】
流量センサケース571と流量センサケース蓋572との間に、羽根車576を取り付けた流量センサ軸575が装着される。流入口578は、洗浄水が前方下部から羽根車576の接線方向に供給されるように配置され、羽根車576は、供給される洗浄水により流量センサ軸575を中心として回転する。検出手段577は、流量センサ570の上部に配置され、羽根車576の回転数を検出し、制御部に計測流量値を出力する。これにより、汚れやごみは下にたまりやすいため、検出手段577が羽根車576の回転数を検出できなくなるのを抑制することができる。
【0123】
流量センサケース571には、入水温度センサ573が入水温度センサ固定具574により固定される。入水温度センサ573は、金属部分を入水温度センサ固定具574で覆い、金属部分が流量センサ570の外部に露出しないように装着している。これにより、万一、周囲に配線されているリード線の絶縁が破壊した場合でも、入水温度センサ573の金属部分を介して洗浄水に漏電するのを防止できる。
【0124】
羽根車576の周囲を流れた洗浄水は、前方上部から左方へ流れ出て、入水温度センサ573を通って流出口579に流れる。
【0125】
なお、本実施の形態では、流量センサ570は、入口531に取り付けているが、出口533の下流に取り付ける構成としてもよい。この構成では、熱交換器500で温められた洗浄水が流量センサ570に供給されるため、スケールが流量センサ570内部に付着するリスクが高くなる。したがって、本実施の形態の方が品質的に優位である。
【0126】
図45から
図50に基づいて熱交換器500の内部空間の構造を説明する。なお、
図46の下側のヒータ構成体580は、180度反転させた状態を示している。
【0127】
熱交換器500の内部空間には、ヒータ構成体580が水平方向に配設され、下部シール体581と上部シール体582を介して上ケース520と下ケース510により挟持固定される。
【0128】
ヒータ構成体580は、前部構成体530側端部の中央部に端子部583を有する。端子部583は、前部構成体530を介してヒータ構成体580のヒータにリード線(図示せず)を接続する。端子部583に接続されたリード線は、前部構成体530に形成した引出通路(図示せず)を介して引き出される。ヒータ構成体580には、端子部583が設けられる端部と対向する端部側に流路の一部を構成する複数の貫通孔584が形成される。
【0129】
熱交換器500の内部空間は、ヒータ構成体580により上下方向に分割され、分割された上部空間と下部空間は、ほぼ均等な体積に形成される。上部空間及び下部空間には、それぞれシリコンゴムにて構成される上部シール体582及び下部シール体581が配設される。
【0130】
上部シール体582は、周囲シール体582aと前後方向に延設されて周囲シール体582aに接続する3本の区画シール体582b、582c、582dを有する。周囲シール体582aおよび区画シール体582b、582c、582dが上ケース520内面とヒータ構成体580上面に密接してシールし、上ケース520内面とヒータ構成体580との間に流路(上側流路)を形成する。
【0131】
上部シール体582は、左右の区画シール体582bと区画シール体582dの前部構成体530側を連結し、中央の区画シール体582cに連結する連結シール体582eを備える。連結シール体582eは、上部シール体582の他の部分よりヒータ構成体580側の面を低く形成して連結シール体582eとヒータ構成体580との間に流路(上側流路)を形成する。
【0132】
下部シール体581は、周囲シール体581aと前後方向に延設されて周囲シール体581aに接続する3本の区画シール体581b、581c、581dを有する。周囲シール体581aおよび区画シール体581b、581c、581dが下ケース510内面とヒータ構成体580上面に密接してシールし、下ケース510内面とヒータ構成体580との間に流路(下側流路)を形成する。
【0133】
下部シール体581は、前部構成体530側に、右側の周囲シール体581aと中央の区画シール体581cを連結する右連結シール体581eと、左側の周囲シール体581aと中央の区画シール体581cを連結する左連結シール体581fと、を備える。右連結シール体581eおよび左連結シール体581fは、下部シール体581の他の部分よりヒータ構成体580側の面を低く形成している。これにより、右連結シール体581eとヒータ構成体580との間、および左連結シール体581fとヒータ構成体580との間に流路(下側流路)を形成する。
【0134】
ヒータ構成体580は、ヒータ(図示せず)を備え、ヒータは、上部シール体582の周囲シール体582aおよび区画シール体581b、581c、581dから少許離間して配設している。また、ヒータは、下部シール体581の周囲シール体581aおよび区画シール体581b、581c、581dから少許離間して配設している。これにより、ヒータが局所的に過熱されるのを防止し、耐久性が低下するのを抑制している。
【0135】
ヒータは、入口531側の電力と出口533側の電力の比を、入口531側の電力が高くなるように設定している。本実施の形態では、入口531側の電力と出口533側の電力の比を3対2に設定している。
【0136】
入口531から供給される洗浄水は、上部空間の右側の区画シール体582bと周囲シール体581aとの間の流路に流れ込む。洗浄水は、ヒータ構成体580により加熱されながら後方側に向かって流れ、貫通孔584から下部空間の右側の区画シール体581bと周囲シール体581aとの間の流路に流れ込む。ヒータ構成体580により加熱されながら前方側に向かって流れ、右連結シール体581eを乗り越えて右側の区画シール体581bと中央の区画シール体581cの間の流路に流れ込む。
【0137】
洗浄水は、ヒータ構成体580により加熱されながら後方側に向かって流れ、貫通孔584から上部空間の右側の区画シール体582bと中央の区画シール体582cの間の流路に流れ込む。洗浄水は、ヒータ構成体580により加熱されながら前方側に向かって流れ、連結シール体582eを乗り越えて中央の区画シール体582cと左側の区画シール体582dの間の流路に流れ込む。洗浄水は、ヒータ構成体580により加熱されながら後方側に向かって流れ、貫通孔584から下方空間の中央の区画シール体581cと左側の連結シール体581dの間の流路に流れ込む。
【0138】
洗浄水は、ヒータ構成体580により加熱されながら前方側に向かって流れ、左連結シール体581fを乗り越えて周囲シール体581aと左側の連結シール体581dの間の流路に流れ込む。洗浄水は、ヒータ構成体580により加熱されながら後方に向かって流れ、貫通孔584から上方空間の周囲シール体582aと左側の区画シール体582dの間の流路に流れ込む。洗浄水は、ヒータ構成体580により加熱されながら前方に向かって流れ、出口533からホース(図示せず)を介して洗浄ノズル装置700に向かって供給される。
【0139】
入口531を上ケース520側に形成し、出口533を下ケース510側に形成して、洗浄水を上側の流路を流したのちに、下側の流路に流す構成にすることが考えられる。この構成にすると、上下方向への流れの移動量が少なくなり、流路抵抗を小さくすることができると推測される。
【0140】
しかしながら、この構成では、下ケース510の下方に出口533の配管スペースが必要となり、設置スペースが大きくなる問題がある。また、下ケース510とベース部250との隙間で出口533の配管作業を行うことになり、作業性が悪い問題がある。
【0141】
本実施の形態では、洗浄水は、上側の流路と下側の流路を交互に流れ、流路を上下にそれぞれ複数形成している。
【0142】
本実施の形態では、上下にそれぞれ4つの流路を形成している。これにより、入口531と出口533を上ケース520側に形成することができる。これにより、入口531と出口533への配管のスペースを上ケース520側にのみ形成することができ、設置スペースが大きくなる不具合を解消することができる。
【0143】
また、上下にそれぞれ4つの流路を形成しているが、2つの流路でもよく、6つ以上の流路に形成してもよい。上下の流路を複数に構成することにより、入口531と出口533を上ケース520側に形成することができる。
【0144】
上ケース520の流路を構成する内面は、凸部524を形成して凹凸形状に形成される。凸部524は、連続して山形状に形成し、上流側が急斜面で、下流側が緩やかな傾斜に形成される。
【0145】
下ケース510の流路を構成する内面は、凸部514を形成して凹凸形状に形成される。凸部514は、連続して山形状に形成し、上流側が急斜面で、下流側が緩やかな傾斜に形成される。
【0146】
図49に示すように、凸部514、524は、上流側でヒータ構成体580側に近接する形状のため、流路を流れる洗浄水は、凸部514、524は、上流側でヒータ構成体580側へ導かれ、凸部514、524の頂部を乗り越えて下流側の緩やかな傾斜に流れる。凸部514、524の頂部を乗り越えると、流路体積が広くなるため、洗浄水は、乱流となって、温度が均一化される。凸部514、524によって流路を狭めて、広げることにより、熱伝導率を向上させ、洗浄水の温度を均一化することができる。
【0147】
ヒータ構成体580の熱伝導率を向上させることにより、ヒータ構成体580の表面温度を抑制することができ、ヒータ構成体580へのスケールの付着を抑制することができる。
【0148】
ヒータ構成体580は、ヒータ(図示せず)を備え、ヒータは、上部シール体582および下部シール体581から少許離間して設けられ、ヒータが過熱されるのを防止し、ヒータ構成体580へのスケールの付着を抑制することができる。
【0149】
熱交換器500内部に気泡が侵入した際には、気泡は、
図49に示すように、凸部514、524の下流側にとどまろうとする。
【0150】
本実施の形態では、凸部514、524は、
図50に示すように、下流側を緩やかな傾斜に形成しているので、気泡は凸部514、524の傾斜に沿って下流側へ流れ、熱交換器500から排出される。
【0151】
熱交換器500の左方には、ノズル装置700が配設される。ノズル装置700の詳細構成については省略する。
【0152】
<水ポンプ>
ノズル装置700の右方には、吐水量可変手段である水ポンプ600が設置される。水ポンプ600は、本実施の形態では、ダイヤフラムポンプを用いている。
【0153】
なお、水ポンプ600を用いない構成とすることもできる。
【0154】
図51から
図55に示すように、水ポンプ600は、ポンプ機構部610とモータ部620とを備え、略円柱形状に形成される。ポンプ機構部610は、端部側の全周を覆って防振部材である弾性部材A630が装着される。モータ部620は、弾性部材A630とは逆側の端部側の全周を覆うように弾性部材B640が装着される。防振部材である弾性部材A630および弾性部材B640は、発泡樹脂等の弾性を有する材料にて形成される。
【0155】
水ポンプ600は、防振部材である弾性部材A630および弾性部材B640を装着した状態でポンプケース605の凹部605aに装着される。水ポンプ600のモータ部620は、ポンプ固定具606がポンプケース605の固定爪605bに爪部606aを係合することで固定される。
【0156】
水ポンプ600は、円筒状に形成され、一方の端面から給水口600aを有する給水筒600bおよび吐出口600cを有する吐出筒600dを端面に対して垂直に突出形成している。水ポンプ600は、給水筒600bおよび吐出筒600dを有する端面を前方に向けて水平方向に設置される。
【0157】
ポンプケース605は、弾性部材C650を介してベース部250の所定の位置に固定される。
【0158】
水ポンプ600は、弾性部材A630、弾性部材B640および弾性部材C650により広い範囲の周波数の振動が吸収され、本体部200への振動の伝達を効果的に抑制することができる。
【0159】
水ポンプ600のリード線607は、固定爪606bおよび係止爪605cにより動きを規制される。
【0160】
水ポンプ600は、ベース部250にネジ固定、或いは爪嵌合等により固定しているので、水ポンプ600は、ノズル装置700にかかわりなく取り外すことができ、メンテナンス作業性を向上することができる。また、水ポンプ600の振動が、直接、ノズル装置700に伝達されるのを抑制できる。
【0161】
また、
図55に示すようにポンプケース605には、排水口608を形成している。水ポンプ600のポンプ機構部610が破損して水漏れが生じた場合には、排水口608から排水することができる。排水口608から排水された水は、ベース部250から傾斜面240を介して便器110内に排出される。
【0162】
本実施の形態においては、排水口608から排水される水を検知する検知手段(図示せず)を備えている。検知手段は、ポンプ機構部610にて水漏れが発生したことを検知して故障を報知する。
【0163】
本実施の形態では、検知手段は、排水口608からの水を検知する構成としたが、これに限定するものではなく、ポンプ機構部610からの水漏れを検知するものであればよい。また、検知手段は、例えば、一対の端子間に水漏れにより通電が生じることを検知する構成としてもよく、その他、周知の構成を用いることができる。
【0164】
水ポンプ600の給水口600aは、熱交換器500の出口533に軟質樹脂製の接続チューブによって接続される。
【0165】
以下、水ポンプ600の構成を図面に基づき詳述する。
【0166】
図56は、本発明に係る液体用ダイヤフラムポンプを示す分解斜視図である。
図57は、要部断面図である。
【0167】
蓋体1は、薄い円筒形で,弾性部材からなるパッキン2を介して中蓋体3の表面3a側に取着される。蓋体1は、中心部に中蓋体3の煙突状の吐出孔37が挿通可能な貫通孔1cを形成している。また、蓋体1は、液体を吸入可能な吸入孔12を突設し、蓋背面1bに吸入された液体が流れる吸入路30の一部となる蓋吸入室38を設けており、蓋吸入室38は吸入孔12と連通している。
【0168】
中蓋体3は、樹脂製の円筒形状に形成され、表面3aの中心部に吐出孔37を突設している。中蓋体3は、背面に、液体を吐出孔37から外方へ吐出するための凹溝部(図示せず)を形成し、凹溝部を吐出孔37と連通させている。また、中蓋体3は、凹溝部の底部に弁座部34を形成している。弁座部は、吐出孔37を中心として円周方向に120度等間隔で合計3つ配設している。また、中蓋体3の表面3a側には、3つの弁座部34に対応して円形状の凹溝部の吸入室33を形成している。吸入室33は、吸入された液体が流れる吸入路30の一部を構成する。
【0169】
弁座部34は、短円筒状であり、先端壁部35の中心部に吸入弁本体4が取着可能な取付孔(図示せず)が吸入室33に貫通して形成されている。弁座部34の先端壁部35には、この取付孔の近傍に液体を吸入可能な吸入路30の吸入孔32を形成している。
【0170】
弁座部34には、ダイヤフラム集合体5の吐出弁膜52が密着分離自在に覆うように接触する。弁座部34の先端壁部35は、吸入弁本体4の弁部4aが接触離間して吸入孔32を開閉自在するように構成されている。吸入弁本体4は、弁座部34が3つ形成されているのに対し、2つ設けられ、1つの弁座部34は吸入弁本体4により覆われていない状態に構成される。
【0171】
ダイヤフラム集合体5は、3つの碗型のダイヤフラム50を、円周方向に120度間隔で等分に配設して、軸心に形成した横隔膜54によって連結している。横隔膜54の外周縁部には、パッキン縁部53を形成し、横隔膜54から外周側に吐出弁膜52を突設している。ダイヤフラム50には、ダイヤフラム50を往復運動する駆動部51を設けている。
【0172】
ダイヤフラム集合体5のパッキン縁部53は、中蓋体3とリテーナ部材6との間に挟持され、リテーナ部材6には、ダイヤフラム50の駆動部51が挿通可能な孔部を備えている。リテーナ部材6に挿通されたダイヤフラム50の駆動部51は、揺動板7の係止孔71に支持される。揺動板7は、有底円筒状の円筒箱体13内に配設され、円筒箱体13の端部は、リテーナ部材6に当接する。
【0173】
円筒箱体13の外側には、小型直流のモータ11が配設され、モータ11の出力軸11aが円筒箱体13内に延設され、出力軸11aに偏心回転体9が取着される。偏心回転体9は、出力軸11aが挿入される軸取付孔91と、軸取付孔91から偏心して配設された偏心孔92を有しており、偏心孔92に傾斜状にクランク軸8が挿通される。
【0174】
ダイヤフラムポンプは、ダイヤフラム集合体5を中蓋体3とリテーナ部材6とで挟むように介装することで、吐出弁膜52の内面側にポンプ室25を形成すると共に、吐出弁膜52の外面側に凹溝部39と横隔膜54とから成る吐出孔37を備えた共通吐出空間36を形成している。
【0175】
モータ11に円筒箱体13をネジ14で固定している。また、蓋体1と、パッキン2と、中蓋体3と、ダイヤフラム集合体5と、リテーナ部材6と、を順次、円筒箱体13に積層して長ネジ15で円筒箱体13に固定してケーシング10を形成している。
【0176】
なお、本開示では、弁座部34を3つ、吸入弁本体4を2つ設けたが、例えば、弁座部34を4つとし、吸入弁本体4を3つ設ける構成としてもよい。
【0177】
上述構成の液体用ダイヤフラムポンプの動作について説明する。
【0178】
モータ11の出力軸11aを回転させると、出力軸11aに取着された偏心回転体9が回転し、クランク軸8を介して揺動板7を揺動させ、ダイヤフラム50の駆動部51を往復運動させる。駆動部51の往復運動によって、ダイヤフラム50は膨張と圧縮を繰り返す。これにより、中蓋体3の弁座部34とダイヤフラム50によって形成されるポンプ室25が圧縮膨張する。
【0179】
ポンプ室25が膨張した際には、ポンプ室25が負圧になり、吸入弁本体4の弁部4aは吸入弁座部35aから引っ張られるように離間する。弁座部34の先端壁部35に形成した吸入路30の吸入孔32がポンプ室25に開通した状態となる。これにより、液体が吸入孔12から蓋体1の蓋吸入室38と中蓋体3の吸入室33とからなる吸入路30を流れてポンプ室25に流入する。
【0180】
また、ポンプ室25が負圧になることにより、ダイヤフラム50の吐出弁膜52は、弁座部34に密着する。これにより、吐出弁膜52の外側面と横隔膜54と中蓋体3の凹溝部39とで形成した共通吐出空間36への液体の流出、または共通吐出空間36からの逆流が防止される。
【0181】
ポンプ室25が圧縮した際には、吸入弁本体4の弁部4aが吸入弁座部35aに圧接される。弁座部34の先端壁部35に形成された吸入路30の吸入孔32は、弁部4aによって遮断状態となる。これにより、吸入弁本体4は吸入孔32からの液体の流入出を阻止する。また、ポンプ室25の圧縮によって、吐出弁膜52は拡径状となって弁座部34から離間し、ポンプ室25内の液体が共通吐出空間36へ圧送される。
【0182】
また、ポンプ室25が圧縮した際には、吐出弁膜52は、共通吐出空間36方向へ拡径状となり、共通吐出空間36内にある液体を圧迫し、吐出孔37へ液体を押し出す。これにより、吐出弁膜52の外側膜面は、液体を圧送する働きをする。
【0183】
弁部4aが配設されていない位置のポンプ室25が圧縮した際には、吸入孔32が開いたままの状態であるため、ポンプ室25が圧縮すると、ポンプ室25内の液体は、ポンプ室25から吸入路30の方向に押し戻される液体量が多くなる。吸入路30へ押し戻された液体は、弁部4aが配設されたポンプ室25に圧送される。
【0184】
一方、吐出弁膜52は、共通吐出空間36方向へ拡径状となるが、吐出弁膜52に加わる圧力が低下し、共通吐出空間36への吐出量が少量となり、衛生洗浄装置が人体の局部へ噴出する洗浄水圧は低くなる。つまり、人体の局部への噴出は一時的に途切れる、或いは、低水圧の噴出となる状態になる。
【0185】
弁部4aが配置されている位置では、通常の水量が人体の局部へ噴出する洗浄水力が発生するため、弁部4aが配置されている位置での水圧と弁部4aが配置されていない位置の水圧が変化し、洗浄水圧の脈動が発生する。
【0186】
弁部4aが配置されている位置で,吸入路30へ押し戻された液体は、弁部4aが配設されたポンプ室25に圧送され、ポンプ室25の間で作用し、アクチュエータの回転方向順次のダイヤフラムの圧縮時における洗浄水圧を発生させる。
【0187】
本開示の弁部4aを2つ配設した構成のダイヤフラムポンプと、弁部4aを3つ配設した構成のダイヤフラムポンプとを作成し、性能を比較したところ、本開示の弁部4aを2つ配設した構成のダイヤフラムポンプは、弁部4aを3つ配設した構成のダイヤフラムポンプの最大洗浄水圧の2倍程度の洗浄水圧を発生させることができた。
【0188】
ノズル装置700の左方位置には、乾燥装置220が配設される。乾燥装置220は、発生する温風により洗浄後の局部に付着した水を乾燥させる。
【0189】
乾燥装置220の左方位置には、便器110内の臭気を脱臭する脱臭装置230が配設される。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本開示の衛生洗浄装置は、ベース部への各種機能部品の取付作業性を向上することができるので、便蓋を有さない衛生洗浄装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0191】
100 衛生洗浄装置
110 便器
200 本体部
220 乾燥装置
230 脱臭装置
250 ベース部
270 後ケース
290 前ケース
300 便座
320 便蓋
400 給水ユニット
500 熱交換器
600 水ポンプ
700 ノズル装置