(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/18 20060101AFI20240119BHJP
D06F 23/04 20060101ALI20240119BHJP
D06F 39/00 20240101ALI20240119BHJP
【FI】
D06F37/18
D06F23/04
D06F39/00 A
(21)【出願番号】P 2019011793
(22)【出願日】2019-01-28
【審査請求日】2021-04-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 尚希
(72)【発明者】
【氏名】前田 有亮
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】長馬 望
【審判官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-192774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/18
D06F 23/04
D06F 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する投入口を有する天壁と、
前記天壁の後方上部を部分的に覆うカバー部材と、
洗濯機の動作内容に関する動作要求を受け付ける操作部と、
前記投入口を開閉自在に覆う蓋体と、前記蓋体を回動自在に前記天壁に支持するヒンジ構造と、を備え、
前記操作部は、前記カバー部材の前面又は上面に露出するように前記カバー部材に取り付けられており、
前記蓋体は、前記投入口を覆う主板と、前記主板の側部に設けられ前記主板から後方に突出する左側板及び右側板と、を含み、
前記操作部は、前記蓋体が閉じている状態で前記左側板と前記右側板との間に位置し、
前記ヒンジ構造は、前記蓋体の後部横幅に亘って設けられるとともに、前記操作部の下方に配設され、前記左側板の内部に配設される左ヒンジ、及び前記右側板の内部に配設される右ヒンジ、に取り付けられた状態でコの字状を構成する洗濯機。
【請求項2】
前記ヒンジ構造は、前記左側板と前記右側板との間に設けられ、
前記左側板及び前記右側板は、前記操作部が取り付けられている前記カバー部材の側部を覆う、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記左ヒンジ及び前記右ヒンジは、軸が挿入される軸受を有し、
前記蓋体は、前記ヒンジ構造の左方及び右方に設けられ、前記蓋体の開閉動作力を与えるバネ構造を有し、
前記バネ構造は、前記ヒンジ構造の左右にそれぞれ設けられる前記軸と、左右の前記軸にそれぞれ設けられる左バネ部品及び右バネ部品と、を含む、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記蓋体は、前記蓋体の開閉動作を補助するダンパ構造を有し、
前記ダンパ構造から突出するシャフトは、天壁に設けられたダンパ軸受に嵌合する、請求項1~3のいずれか1項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方に開口する衣類投入口を開閉自在に覆う蓋体を有する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1における洗濯機は、上方に開口した洗濯槽と、洗濯槽を収容する筐体と、洗濯機の動作内容に関する動作要求を受け付ける操作パネルと、を備える。筐体は、使用者に対向する前壁と、洗濯槽への衣類の投入を許容する投入口が形成された天壁を含む。天壁は、前壁と角隅部を形成する前縁と、前縁とは反対側の後縁と、を含む。操作パネルは、左右に分割された蓋体ヒンジ部により後縁に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、蓋体ヒンジ部が左右に分割されているため、各ヒンジ部に応力集中が偏るという課題があった。更に、蓋体開閉力を改善するために蓋開閉に用いるバネ構造の弾性力を増加すると、蓋体ヒンジ部がバネの弾性力に耐えられずに故障する虞があった。また、蓋体ヒンジ部が左右に分割されているためにダンパ機構の大きさも制限され、取付困難な構造になる課題があった。
【0005】
本開示は、重い蓋体を支持できるとともに、開閉動作を容易にできる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における洗濯機は、上方に開口する投入口を有する天壁と、前記天壁の後方上部を部分的に覆うカバー部材と、前記洗濯機の動作内容に関する動作要求を受け付ける操作部と、前記投入口を開閉自在に覆う蓋体と、前記蓋体を回動自在に前記天壁に支持するヒンジ構造と、を備える。前記操作部は、前記カバー部材の前面又は上面に露出するように前記カバー部材に取り付けられており、前記蓋体は、前記投入口を覆う主板と、前記主板の側部に設けられ前記主板から後方に突出する左側板及び右側板と、を含み、前記操作部は、前記蓋体が閉じている状態で前記左側板と前記右側板との間に位置し、前記ヒンジ構造は、前記蓋体の後部横幅に亘って設けられるとともに、前記操作部の下方に配設され、前記左側板の内部に配設される左ヒンジ、及び前記右側板の内部に配設される右ヒンジ、に取り付けられた状態でコの字状を構成する。
【発明の効果】
【0007】
本開示における洗濯機は、重い蓋体を支持できるとともに、開閉動作を容易にできる洗濯機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】同洗濯機の蓋体構造部の一部部品を外した平面図
【
図7】同洗濯機の天壁に取り付けられる蓋体を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態における洗濯機の外観図、
図2は、同洗濯機の蓋体が閉じた外観図、
図3は、同洗濯機の縦断面図である。
【0011】
図1、
図2、
図3において、洗濯機100は、筐体200と、洗濯槽300と、カバー部材400と、操作部500と、蓋体600と、ヒンジ構造700(
図4参照)と、給水口800とを主に備えている。
【0012】
筐体200は、前壁210と、後壁220と、左壁230と、右壁240と、天壁250とを含んでいる。
【0013】
前壁210は、洗濯機100を使用する使用者に対向しており、後壁220は、前壁210の反対側に立設されている。左壁230は、前壁210と後壁220との間で立設されており、右壁240は、左壁230の反対側で立設される。天壁250は、前壁210、後壁220、左壁230及び右壁240の上縁によって囲まれる。
【0014】
天壁250は、筐体200の上部に配設されており、前縁251と、後縁252と、左縁253と、右縁254とを含んでいる。前縁251は、天壁250と前壁210との間で形成される角隅線であってもよい。後縁252は、天壁250と後壁220との間で形成される角隅線であってもよい。左縁253は、天壁250と左壁230との間で形成される角隅線であってもよい。右縁254は、天壁250と右壁240との間で形成される角隅線であってもよい。
【0015】
洗濯槽300は、筐体200内に、筐体200の上部角隅より垂下防振支持され、水を受ける外槽310と、外槽310に回転自在に内包され、洗濯物を収容する内槽320とで構成され、内槽320に投入した洗濯物は、パルセータ330で攪拌して洗浄される。
【0016】
天壁250には、略中央部に投入口255が形成されており、衣類をこの投入口255から洗濯槽300へ投入して、洗濯を行なう。
【0017】
蓋体600は、投入口255を開閉自在に覆うもので、天壁250上で、上下に回動する。ヒンジ構造700(
図4参照)は、この蓋体600を回動可能に支持している。
【0018】
蓋体600は、左アーム板610と、右アーム板620と、前板631及び後板632からなる主板630とで構成され、左アーム板610、右アーム板620は、それぞれ内部に左ヒンジ710、右ヒンジ720を配設している。蓋体600回りの構成については、
図4以降で詳述する。
【0019】
カバー部材400は、投入口255と後縁252との間で、天壁250を部分的に覆っており、後領域410と、前領域420と、左領域430と、右領域440とを含んでいる。
【0020】
給水口800は、後領域410に形成された開口部から露出しており、蛇口に取り付けられたホース(図示せず)を給水口800へ接続することができ、給水口800に供給さ
れた水は、筐体200内の洗濯槽300へ給水される。
【0021】
前領域420は、後領域410と協働して、稜線401を形成する。後領域410は、稜線401と後縁252との間で広がり、稜線401から後縁252に向けて下方に約30°傾斜している。前領域420は、稜線401から前縁251に向けて下方に傾斜し、前領域420は、前縁251よりも後縁252の近くに形成されている。
【0022】
操作部500は、カバー部材400に配設され、蓋体600の開閉状態に関わらず正面側から操作可能で、運転コースなどを入力設定する複数のボタン510と、入力設定された内容、進行状況、異常時の通知などを表示するディスプレイ520とを含んでいる。
【0023】
図4は、本発明の実施の形態における洗濯機の蓋体構造部の分解斜視図、
図5は、同洗濯機の蓋体構造部の一部部品を外した平面図、
図6は、同洗濯機のヒンジ構造部の分解斜視図、
図7は、同洗濯機の天壁に取り付けられる蓋体を示す分解斜視図である。
【0024】
図4、
図5、
図6、
図7において、ヒンジ構造700は、操作部500の下方で、天壁250とカバー部材400で形成される空間に配設され、蓋体600の横幅の長さに亘って設けられており、左ヒンジ710と、右ヒンジ720と、ダンパケース730と、軸750とを含んだコの字状に全体を構成されている。
【0025】
そして、ヒンジ構造700は、左右にある軸750をそれぞれ左ヒンジ710と右ヒンジ720の軸受740に挿入し、その軸750に左バネ部品760と右バネ部品770を取付け、左バネ部品760と右バネ部品770の一端を左バネ取付穴711及び右バネ取付穴721に取り付け、他端を天壁250の左右にあるバネ取り付け穴256へ嵌着している。
【0026】
また、ヒンジ構造700は、二つのダンパケース730に各々ダンパ構造780を取り付け、ダンパ構造780のシャフト781を天壁250に備わるダンパ軸受260に嵌合している。
【0027】
また、ダンパ構造780は、ヒンジカバー640に覆われており、ヒンジカバー640を取り外すことで、ダンパ構造780のみを取り外し、交換することが可能となっている。
【0028】
そして、ヒンジ構造700は、操作部500の下方で、天壁250とカバー部材400で形成される空間に配設される構成とすることで、天壁250の左側面から右側面までコの字状で構成することを可能とし、蓋体600を支持する強度を保持している。
【0029】
ヒンジ構造700は、操作部500の下面空間を利用し、左バネ部品760と、右バネ部品770と、ダンパケース730とで構成することが可能となり、これにより蓋体600の開動作時にも、使用者が操作部500を操作可能とする空間を有するようになっている。
【0030】
以上のように、本実施の形態における洗濯機は、上方に開口する投入口255を有する天壁250と、天壁250の後方上部を部分的に覆うカバー部材400と、洗濯機の動作内容に関する動作要求を受け付ける操作部500と、投入口255を開閉自在に覆う蓋体600と、蓋体600を回動自在に天壁250に支持するヒンジ構造700と、を備える。操作部500は、カバー部材400の前面又は上面に露出するようにカバー部材400に取り付けられており、ヒンジ構造700は、蓋体600の後部横幅に亘って設けられるとともに、操作部500の下方に配設される。
【0031】
これにより、重い蓋体を支持できるとともに開閉動作を容易にできる。
【0032】
また、本実施の形態のように、ヒンジ構造700は、蓋体600の側面側に配設される左ヒンジ及び右ヒンジと、を含み、ヒンジ構造700の長手方向、左ヒンジ710、及び右ヒンジ720により、コの字状に構成されているようにしてもよい。
【0033】
これにより、樹脂部品である蓋体の強度を上げることができる。
【0034】
また、本実施の形態のように、蓋体600は、ヒンジ構造700の左方及び右方に設けられ、蓋体600の開閉動作力を与えるバネ構造を有し、バネ構造は、軸750と、左バネ部品760及び右バネ部品770と、を含み、左バネ部品760及び右バネ部品770は、前記ヒンジ構造の左右の軸にそれぞれ設けられ、一端を左バネ取付穴711及び右バネ取付穴721に、他端を天壁250の左右にあるバネ取り付け穴256に嵌着されるようにしてもよい。
【0035】
これにより、バネ構造を容易に取り付けることができるので、組立性が向上する。
【0036】
また、本実施の形態のように、蓋体600は、蓋体600の開閉動作を補助するダンパ構造780を有し、ダンパ構造780から突出するシャフト781は、天壁250に設けられたダンパ軸受260に嵌合するようにしてもよい。
【0037】
これにより、ダンパ構造の数を変更することができるので、バネ構造の弾性力の仕様を変更した場合にも適切に対処できる。
【0038】
また、本実施の形態のように、前記ヒンジ構造は、前記カバー部材を取り外すことで、左バネ部品760、右バネ部品770及びダンパ構造780が交換可能とするようにしてもよい。
【0039】
これにより、ダンパ構造に不良が生じた場合には容易にダンパ構造を交換することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明にかかる洗濯機は、蓋体のヒンジ部破壊を防ぎ、開閉動作を容易にすることが可能となるので、蓋体を有する他の電化機器の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0041】
200 筐体
250 天壁
255 投入口
256 バネ取り付け穴
260 ダンパ軸受
310 外槽
320 内槽
400 カバー部材
500 操作部
510 ボタン
520 ディスプレイ
600 蓋体
610 左アーム板
620 右アーム板
700 ヒンジ構造
710 左ヒンジ
720 右ヒンジ
730 ダンパケース
750 軸
760 左バネ部品
770 右バネ部品
780 ダンパ構造
781 シャフト