IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-冷蔵庫 図1
  • 特許-冷蔵庫 図2
  • 特許-冷蔵庫 図3
  • 特許-冷蔵庫 図4
  • 特許-冷蔵庫 図5
  • 特許-冷蔵庫 図6
  • 特許-冷蔵庫 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
F25D23/02 305A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020024547
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021127897
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘之
(72)【発明者】
【氏名】秋山 達也
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-060143(JP,A)
【文献】特開2012-237471(JP,A)
【文献】特開2000-028260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が設けられた貯蔵庫と、前記開口部に設けられた一対の断熱扉とを備え、
一対の前記断熱扉は、観音開き式扉であり、
各前記断熱扉の互いに対向している側面には、いずれも各前記断熱扉が閉じられたときに互いに密着することで前記貯蔵庫を封止するパッキンが設けられ、
各前記パッキンには、いずれも磁石が収められる磁石収容部が設けられ、
各前記磁石収容部は、いずれも互いに密着する密着面を備え、
各前記磁石収容部の少なくとも一方には、前記磁石の少なくとも一部を前記密着面から遠ざける距離調節部が設けられ
前記距離調節部は、前記貯蔵庫の庫外側に位置する前記磁石の端部が前記貯蔵庫の庫内側に位置する前記磁石の端部よりも前記密着面から遠ざかるように設けられている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記磁石収容部は、内部に前記磁石を収める収容空間が設けられ、
前記距離調節部の前記収容空間側は、前記貯蔵庫の庫外側に位置する前記磁石の端部が前記貯蔵庫の庫内側に位置する前記磁石の端部よりも前記密着面から遠ざかるように前記収容空間側に向かって突出して設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記密着面は、前記パッキンに一体に形成され、前記パッキンの長手方向全体に亘って平板状に設けられている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記距離調節部は、前記収容空間側に膨出する突起状に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、観音開き式扉を有する冷蔵庫には、左右の扉の中央に対峙するパッキンを取り付けて、パッキンに内蔵される磁石の吸着力によって、対峙する互いのパッキンを密着させ、左右の扉の中央に生じる隙間をシールするものが知られている。
このような冷蔵庫には、左右のどちらか一方の扉を開けたときに、もう片方の扉も開いてしまう共開きを抑制するために、磁石の対峙する箇所に面取り、またはラウンド形状を設け、接触面積を減らして摩擦抵抗を抑制するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-310553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の冷蔵庫のように、摩擦抵抗を抑制するだけでは、磁石の磁力によって共開きが発生する虞があった。
本発明は、扉の共開きを抑制できる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、開口部が設けられた貯蔵庫と、前記開口部に設けられた一対の断熱扉とを備え、一対の前記断熱扉は、観音開き式扉であり、各前記断熱扉の互いに対向している側面には、いずれも各前記断熱扉が閉じられたときに互いに密着することで前記貯蔵庫を封止するパッキンが設けられ、各前記パッキンには、いずれも磁石が収められる磁石収容部が設けられ、各前記磁石収容部は、いずれも互いに密着する密着面を備え、各前記磁石収容部の少なくとも一方には、前記磁石の少なくとも一部を前記密着面から遠ざける距離調節部が設けられ、前記距離調節部は、前記貯蔵庫の庫外側に位置する前記磁石の端部が前記貯蔵庫の庫内側に位置する前記磁石の端部よりも前記密着面から遠ざかるように設けられていることを特徴とする冷蔵庫である。
【0006】
これによれば、磁石は、一部が密着部から遠ざけられて配置される。このため、左右のどちらか一方の扉を開けたときに、もう片方の扉も開いてしまう共開きを抑制することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、扉の共開きを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態に係る冷蔵庫の正面図
図2】一方の断熱扉の斜視図
図3】封止部材の長手方向に直交する方向に沿った断面図
図4図1のIV-IV断面図
図5】封止部材の一方の端部側を示す斜視図
図6】封止部材の長手方向に直交する方向に沿った断面図
図7】本発明の他の変形例に係る封止部材の長手方向に直交する方向に沿った断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、開口部が設けられた貯蔵庫と、前記開口部に設けられた一対の断熱扉とを備え、一対の前記断熱扉は、観音開き式扉であり、各前記断熱扉の互いに対向している側面には、いずれも各前記断熱扉が閉じられたときに互いに密着することで前記貯蔵庫を封止するパッキンが設けられ、各前記パッキンには、いずれも磁石が収められる磁石収容部が設けられ、各前記磁石収容部は、いずれも互いに密着する密着面を備え、各前記磁石収容部の少なくとも一方には、前記磁石の少なくとも一部を前記密着面から遠ざける距離調節部が設けられていることを特徴とする冷蔵庫である。
【0010】
これによれば、各磁石同士の所定箇所の距離が離間することとなり、当該箇所においては、各磁石の磁力による吸着力が弱まる。このため、各密着面は、互いに密着した状態から、互いに摺動することが容易となり、各断熱扉の共開きを抑制できる。
本実施の形態において、磁力による吸着力とは、2つの磁石が磁力によって、互いに引き付けられる力の度合いを意味する。
【0011】
第2の発明は、前記磁石収容部は、内部に前記磁石を収める収容空間が設けられ、前記距離調節部は、前記収容空間側に設けられていることを特徴とする。
【0012】
これによれば、距離調節部は、密着面を平滑面としつつ、当該密着面から各磁石の所定箇所を遠ざける。このため、密着面同士が係合する等して断熱扉の開閉を妨げることが抑制される。
【0013】
第3の発明は、前記距離調節部は、前記磁石の前記貯蔵庫の庫内側に位置する端部よりも前記貯蔵庫の庫外側に位置する端部を前記密着面から遠ざけることを特徴とする。
【0014】
これによれば、貯蔵庫の庫内側では、距離調節部によって、各磁石の磁力による吸着力が弱められることが抑制される。このため、互いに密着した密着面において、貯蔵庫の庫内側に隙間が生じることを抑制できる。
【0015】
第4の発明は、前記距離調節部は、前記収容空間側に膨出する突起状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
これによれば、距離調節部は、突起の高さを調節することで密着面と磁石との距離を調節することが可能である。このため、各磁石の磁力による吸着力を容易に調節できる。
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫1の正面図である。
冷蔵庫1は、図1に示すように、アンダーカウンター型の業務用冷蔵庫であり、当該冷蔵庫1は、貯蔵庫2と、複数の断熱扉4と、機械室5と、トップテーブル6と、を備えている。
貯蔵庫2は、断熱壁を備えた箱状部材であり、当該貯蔵庫2は、内部に貯蔵室が設けられ、前面が開口している。
【0018】
複数の断熱扉4は、貯蔵庫2の開口を閉塞する矩形状の扉部材である。本実施形態の冷蔵庫1は、一対の断熱扉4を備えており、これらの断熱扉4は、互いに一方の側面を隣接させて配置されている。また、各断熱扉4の上面及び下面には、各断熱扉4の他方の側面側に位置する箇所にヒンジ8が設けられている。これらのヒンジ8によって、一対の断熱扉4は、冷蔵庫1の左右方向に開閉可能となっている。すなわち、一対の断熱扉4は、観音開き扉となっている。
また、各断熱扉4の前面には、いずれも互いに隣接する側面側にハンドル10が設けられている。
【0019】
機械室5は、貯蔵庫2の側方に配置されている。当該機械室5の内部には、圧縮機、凝縮器、膨張器、蒸発器等の冷凍サイクルを構成する装置が収められており、これらの装置が駆動することによって、貯蔵室の内部に冷気が送り込まれる。
また、貯蔵庫2と、機械室5との上面には、トップテーブル6が取り付けられている。
【0020】
次いで断熱扉4について詳述する。
図2は、一方の断熱扉4の斜視図である。なお、図2は、断熱扉4の背面側から視た図となっている。
図3は、一方の断熱扉4と、取付ガイド部材24と、封止部材26とを示した分解斜視図であり、図4は、封止部材26の長手方向に直交する方向に沿った断面図である。なお、図3において、軟質材料で形成された側面パッキン28と、前面ひれ部32とには、説明の便宜上ドットを付している。
以下、一方の断熱扉4について説明するが、他方の断熱扉4についても同様の構成となっている。
断熱扉4は、図2に示すように、所定の厚さを有した平板状の部材であり、当該断熱扉4の前面と、両側面と、上面と、下面と、背面の外縁とは、いずれもステンレス鋼板等の金属によって一体に形成された扉外装板12によって構成されている。また、断熱扉4の背面中央部は、硬質樹脂で形成された扉内装板14によって構成されている。この扉内装板14は、断熱扉4の背面の外縁よりも、貯蔵室の内部側に突出している。
これらの扉外装板12、及び扉内装板14によって囲まれた空間には、発泡スチロールや硬質ウレタンフォーム等の断熱材16が充填されている。
なお、扉外装板12は、金属に限らずABS樹脂等の硬質樹脂で形成されていてもよい。
【0021】
断熱扉4の背面側の外縁(外周部分)には、全周に亘って外縁パッキン取付溝18が設けられている。この外縁パッキン取付溝18には、複数の外縁パッキン20が取り付けられている。
複数の外縁パッキン20は、ゴム等の軟質樹脂で形成され、断熱扉4の外縁の各辺に対応するように、それぞれが線状に成形されている。各外縁パッキン20の前面は、当該外縁パッキン20の長手方向全体に亘って滑らかに成形されており、また、各外縁パッキン20の背面には、当該外縁パッキン20の長手方向全体に亘って凸部20Aが突出して設けられている。
この凸部20Aが外縁パッキン取付溝18に挿入されることによって、各外縁パッキン20が扉外装板12に取り付けられる。
【0022】
また、各外縁パッキン20は、内部に空間を有した中空状に形成されている。この空間内の外縁パッキン20の前面側には、長手方向全体に亘って、断面矩形状の外縁マグネット収容部20Bが設けられている。さらに、この外縁マグネット収容部20Bには、4本の棒状の外縁マグネット22が収容されている。各外縁マグネット22は、断熱扉4の背面の各辺と同程度の長さ寸法を有しており、これらの外縁マグネット22は、各辺に沿って各外縁マグネット収容部20Bに挿通されている。
なお、外縁パッキン20は、線状に限らず、一体に成型された矩形の枠体であってもよい。
【0023】
次いで、断熱扉4の側面の構成について説明する。
以下、一方の断熱扉4の側面について説明するが、他方の断熱扉4についても同様の構成となっている。
図3に示すように、各断熱扉4の他方の断熱扉4に隣接する側の側面には、取付ガイド部材24を介して封止部材26が設けられている。
【0024】
取付ガイド部材24は、硬質材料としての硬質樹脂から形成されている。この取付ガイド部材24は、図4に示すように、断熱扉4の側面と同程度の長さ寸法を備え、断面がコ字状となるように成形されたレール状の部材であり、当該取付ガイド部材24は、上下方向が断熱扉4の上下方向に沿うように取り付けられている。また、この取付ガイド部材24の幅寸法は、断熱扉4の側面の幅寸法と同程度に形成されており、当該取付ガイド部材24は、底面24Aにおいて、数個所をねじ止めされることによって、断熱扉4の側面に固定されている。このため、断熱扉4の側面、及び取付ガイド部材24の底面24Aには、それぞれ複数のねじ孔12A、24Bが設けられている。
【0025】
取付ガイド部材24の貯蔵庫2の庫内側には、当該取付ガイド部材24の上下方向全体に亘って、筒状のパッキンガイド溝24Cが設けられている。このパッキンガイド溝24Cは、底面24Aから他方の断熱扉4の側面に向かって突出して設けられており、また、当該パッキンガイド溝24Cは、貯蔵庫2の庫内側に位置する箇所の一部が開放されている。パッキンガイド溝24Cには、後述する側面パッキン28が備える挿通部28F1が挿通されている。
【0026】
また、パッキンガイド溝24Cの断熱扉4の前面側には、後述するヒータ36を保持するヒータ保持部24Dが設けられている。このヒータ保持部24Dは、溝状に形成され、他方の断熱扉4の側面側が開放されている。
さらに、ヒータ保持部24Dの断熱扉4の前面側には、保持部係合片24Eが設けられている。この保持部係合片24Eは、断熱扉4の前面側に突出する爪状に形成されている。この保持部係合片24Eには、後述するカバー部30が備えるカバー部係合片30Bが係合される。
【0027】
取付ガイド部材24は、断熱扉4の前面側に係止部24Fが設けられている。この係止部24Fは、パッキンガイド溝24Cと同様に、底面24Aから他方の断熱扉4の側面に向かって突出して設けられており、当該係止部24Fは、先端が爪状に湾曲している。この係止部24Fは、後述するカバー部30が備える係止溝30Cに挿通されている。
【0028】
図5は、封止部材26の一方の端部側を示す斜視図である。なお、図5において、軟質材料で形成された側面パッキン28と、前面ひれ部32とには、説明の便宜上ドットを付している。
封止部材26は、図3、及び図5に示すように、側面パッキン28と、カバー部30と、前面ひれ部32とを備え、これらが一体に成形されることで形成されている。側面パッキン28と、カバー部30と、前面ひれ部32とは、同一の樹脂材で形成されている。本実施形態では、側面パッキン28と、カバー部30と、前面ひれ部32とは、いずれもポリ塩化ビニルによって形成されている。
この封止部材26は、取付ガイド部材24と同程度の長さ寸法を備え、断面がコ字状となるように成形されたレール状の部材であり、当該封止部材26は、上下方向が断熱扉4の上下方向に沿うように取り付けられている。
【0029】
側面パッキン28は、封止部材26の貯蔵庫2の庫内側に位置する箇所を構成しており、当該側面パッキン28は、弾性変形しやすく、柔軟性を有した軟質に形成されている。
この側面パッキン28は、断面がL字状に成形され、当該L字形状の角部に相当する箇所には、断面が矩形の空間を有するように区切られた側面マグネット収容部28Aが設けられている。以下、側面マグネット収容部28Aの内部の空間を収容空間Vとする。
【0030】
この側面マグネット収容部28Aには、側面マグネット34が挿通される。この側面マグネット34は、所定の長さを有した平板状の磁性体(磁石)であり、当該側面マグネット34は、長手方向の長さ寸法が側面パッキン28の長さ寸法と略同一となっている。
側面マグネット収容部28Aに挿通された側面マグネット34は、収容空間Vに配置される。
【0031】
また、側面マグネット34が収容された側面マグネット収容部28Aの両端は、抜け止め部材35によって閉塞される。各抜け止め部材35は、断面がL字状になるように折り曲げられて形成された板状部材である。これらの抜け止め部材35は、一方の端部である差し込み部35Aが側面マグネット収容部28Aの上下方向の各端部に差し込まれることによって側面パッキン28に装着され、側面マグネット34の脱落を防いでいる。
【0032】
側面マグネット収容部28Aの貯蔵庫2の庫内側には、第1シール部28Bが設けられている。この第1シール部28Bは、外縁パッキン20側に延びており、当該第1シール部28Bの先端には、第2シール部28Cが設けられている。この第2シール部28Cは、貯蔵庫2の庫内側に突出した後、他方の断熱扉4側に屈曲して延びている。すなわち、第1シール部28Bと、第2シール部28Cは、図4に示すように断面がコ字状となるように形成されている。
また、第2シール部28Cの先端部28C1は、側面マグネット収容部28Aの他方の断熱扉4側に位置する面と同程度の位置まで延びている。
この第2シール部28Cの上下方向における長さ寸法は、側面パッキン28の上下方向における長さ寸法よりも短く、扉内装板14の上下方向における長さ寸法と同程度の長さ寸法となっている。
【0033】
また、第1シール部28Bの外縁パッキン20側には、背面ひれ部28Dが設けられている。この背面ひれ部28Dは、外縁パッキン20側に延びる可撓性を有した薄板状に形成され、先端側が自由端となっている。背面ひれ部28Dの先端は、当該外縁パッキン20に当接されている。
【0034】
側面マグネット収容部28Aの断熱扉4の前面側には、連結部28Eが設けられている。この連結部28Eは、断熱扉4の前面側に延びる可撓性を有した薄板状に形成されており、当該連結部28Eの先端は、カバー部30の底面30Aに結合されている。
【0035】
側面マグネット収容部28Aの断熱扉4の側面側には、伸長部28Fが設けられている。この伸長部28Fは、側面マグネット収容部28Aの断熱扉4の側面側から、断熱扉4の側面に向かって延びた後、断熱扉4の前面に向かって延びている。すなわち、伸長部28Fは、断面がL字状に形成されている。また、伸長部28Fの先端には、断面がT字状に形成された挿通部28F1が設けられている。この挿通部28F1は、硬質材料で形成されている。この挿通部28F1は、上述の通り、パッキンガイド溝24Cに挿通される。
【0036】
カバー部30は、全体が所定以上の硬さを有した硬質に形成されている。すなわち、カバー部30は、側面パッキン28よりも弾性変形しづらく、柔軟性が低い硬度を有している。
硬質に形成されていることによって、カバー部30は、取付ガイド部材24に容易に取り付けられ、また、冷蔵庫1の意匠性が向上する。
このカバー部30は、断面がコ字状に形成されており、当該カバー部30の底面30Aの貯蔵庫2の庫内側に位置する端部には、上述の通り、側面パッキン28の連結部28Eが結合されている。
【0037】
また、カバー部30の底面30Aの貯蔵庫2の庫内側に位置する端部には、カバー部係合片30Bが設けられている。このカバー部係合片30Bは、断熱扉4の側面に向かって突出しており、当該カバー部係合片30Bの先端は、爪状に形成されている。上述の通り、カバー部係合片30Bは、保持部係合片24Eに係合されている。
さらに、カバー部係合片30Bには、リブ30B1が設けられている。リブ30B1は、貯蔵庫2の庫内側に向かって突出しており、当該リブ30B1は、ヒータ36が保持されたヒータ保持部24Dの開放された箇所を閉塞している。
【0038】
カバー部30の底面30Aにおいて、断熱扉4の前面側に位置する端部には、係止溝30Cが設けられている。この係止溝30Cは、断熱扉4の側面に向かって突出しており、当該係止溝30Cは、断熱扉4の側面側に位置する箇所が開放されている。係止溝30Cには、上述の通り、係止部24Fが挿通されている。
【0039】
係止溝30Cの断熱扉4の前面側に位置する先端には、前面ひれ部32が一体に設けられている。この前面ひれ部32は、側面パッキン28と同様に、軟質に形成され、可撓性を有した薄板状に形成されている。
また、前面ひれ部32は、断熱扉4の側面に向かって延びており、当該前面ひれ部32の先端は、断熱扉4の側面に当接されている。
【0040】
また、取付ガイド部材24と、封止部材26との間には、線状のヒータ36が挟み込まれている。このヒータ36は、封止部材26を加熱して結露や凍結が生じることを抑制するものであり、当該ヒータ36は、断熱扉4の側面の上下方向全体に亘って、ループ状に配置されている。また、ヒータ36は、上述の通り、ヒータ保持部24Dに挟み込まれ、さらに、当該ヒータ保持部24Dの開放箇所がリブ30B1によって閉塞されることで、取付ガイド部材24と、封止部材26との間に固定されている。
【0041】
取付ガイド部材24と、封止部材26との上下方向における両端は、いずれもキャップ38によって閉塞されている。キャップ38は、上面視でL字状に形成された平板部材であり、当該キャップ38の一方の端部は、断熱扉4の側面の短手方向に沿って延びている。また、キャップ38の他方の端部は、断熱扉4の背面の外縁側に回り込み、当該外縁、及び外縁パッキン20の上面に沿って延びている。
【0042】
キャップ38の裏面には、下方に向かって突出する一対の差し込み部38Aが設けられている。差し込み部38Aは、取付ガイド部材24と、封止部材26とで囲まれた空間内に差し込まれている。
キャップ38の他方の端部側に位置する先端には、ねじ止め孔38Cが設けられており、は、ねじ孔12Bが設けられている。キャップ38は、ねじ止め孔38Cを介して、断熱扉4の背面の外縁にねじ部材によってねじ止めされることで、断熱扉4に固定される。
【0043】
次いで、側面マグネット収容部28Aについて説明する。
図6は、封止部材26の長手方向に直交する方向に沿った断面図である。
図6に示すように、側面マグネット収容部28Aは、他方の断熱扉4側に位置する壁面を構成する密着部40を備えている。密着部40は、側面パッキン28の長手方向全体に亘って設けられた平板状の部材であり、また、当該密着部40は、側面パッキン28に一体に形成されている。
密着部40は、他方の断熱扉4側に一対の断熱扉4が閉止されたときに、互いに密着する密着面28A1を有している。各密着面28A1は、いずれも平滑面に形成されている。
また、密着部40の長手方向に直交する方向における一方の端部には、連結部28Eの一方の端部が結合されている。
【0044】
密着部40の密着面28A1の背面28A2は、側面マグネット収容部28Aの内部に設けられた収容空間Vに面している。この背面28A2には、収容空間Vに向かって突出する距離調節部50が設けられている。この距離調節部50は、封止部材26の長手方向に直交する方向に沿った断面視で突起状に形成されている。
本実施形態の距離調節部50は、背面28A2において、貯蔵庫2の庫内側から遠ざかった位置、すなわち貯蔵庫2の庫外側に設けられている。
【0045】
本実施形態の距離調節部50は、側面パッキン28の長手方向全体に亘って設けられている。
なお、距離調節部50は、側面パッキン28の長手方向において、一部に設けられていてもよい。また、距離調節部50は、側面パッキン28の長手方向において、短い突起状に形成されたものが複数設けられていてもよい。
【0046】
上述の通り、側面マグネット収容部28Aには、側面マグネット34が挿通される。上述の通り、側面マグネット34は、平板状の部材であり、側面マグネット34は、収容空間Vにおいて、当該側面マグネット34の幅方向が密着部40の幅方向に沿うように配置される。
収容空間Vに収められた側面マグネット34の幅方向を構成する側面34Aにおいて、当該側面34Aの庫内側に位置する箇所が背面28A2に当接し、当該側面34Aの庫外側に位置する箇所が距離調節部50に当接する。
これによって、収容空間Vに収められた側面マグネット34は、庫内側に位置する端部側が密着面28A1に接近し、庫外側に位置する端部側が密着面28A1から遠ざかるように配置される。すなわち、側面マグネット34は、密着部40の密着面28A1に対して、幅方向を構成する側面34Aが斜めになるように側面マグネット収容部28Aに収められる。
【0047】
なお、収容空間Vに収められた側面マグネット34は、距離調節部50と、側面マグネット収容部28Aの内周面とによって支持され、その位置が固定されている。
このため、断熱扉4が開閉された場合や、密着部40の密着面28A1同士が密着した場合であっても、側面マグネット34は、収容空間Vで位置ずれを起こすことが抑制される。すなわち、側面マグネット34は、距離調節部50と、側面マグネット収容部28Aの内周面とによって、密着部40の密着面28A1に対して、幅方向を構成する側面34Aが斜めになるように位置決めされた状態で側面マグネット収容部28Aの収容空間Vに収められている。
【0048】
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、封止部材26を取付ガイド部材24に取り付ける手順について説明する。
まず、ヒータ36がヒータ保持部24Dに挟み込まれる。次いで、封止部材26の一方の端部を取付ガイド部材24の一方の端部に上下方向にスライドさせながら挿通させることで、封止部材26は、取付ガイド部材24に固定される。すなわち、取付ガイド部材24とカバー部30とは、側面パッキン28の「固定部」として機能する。
【0049】
冷蔵庫1の一対の断熱扉4が閉止されると、外縁マグネット22が貯蔵庫2に磁力で引き付けられ、外縁パッキン20の内、断熱扉4のヒンジ8側の側面と、断熱扉4の上面及び下面に沿った箇所が貯蔵庫2に密着する。
また、各断熱扉4の封止部材26のそれぞれが備える側面マグネット34同士は、磁力によって、互いに引き付けられる。これによって、各伸長部28F、及び連結部28Eが互いに他方の断熱扉4の側面に向かって伸長する。そして、各側面マグネット収容部28Aの他方の断熱扉4側に位置する平滑面である密着面28A1同士が各側面マグネット34の磁力によって圧着される。
このように、各断熱扉4が閉止された状態において、各密着面28A1同士が側面マグネット34の磁力によって圧着されて密着することで、各断熱扉4の側面間の隙間が高い気密性で封止される。
【0050】
また、密着部40の密着面28A1同士が密着すると、各第2シール部28Cの先端部28C1同士が当接する。これによって、各第1シール部28Bと各第2シール部28Cとによって囲まれた空間S1が形成される。この空間S1内の空気が断熱空気層として作用し、側面パッキン28同士の隙間から貯蔵室の内部に熱が侵入することを抑制すると共に、貯蔵室の内部の冷気が漏出することが抑えられる。
【0051】
さらに、各断熱扉4の側面には、取付ガイド部材24と、伸長部28Fと、第1シール部28Bと、背面ひれ部28Dと、外縁パッキン20とで囲まれた空間S2が形成されている。この空間S2内の空気もまた、断熱空気層として作用する。
加えて、上述の通り、前面ひれ部32は、断熱扉4の側面に当接している。これらの断熱空気層と、前面ひれ部32とによって、断熱扉4の側面と、取付ガイド部材24との間から貯蔵室の内部に熱が侵入することを抑制すると共に、貯蔵室の内部から冷気が漏出することが抑えられる。
【0052】
封止部材26は、軟質樹脂で形成された側面パッキン28と硬質樹脂で形成されたカバー部30とが一体に形成されているため、封止部材26に所定の強度を持たせつつ、断熱扉4の側面間の隙間を封止できる。また、側面パッキン28と、カバー部30との間に埃や塵などが堆積することが抑制される。
さらに、メンテナンスや、掃除等を行うときに、ユーザが側面パッキン28とカバー部30とを個別に取り外す必要がなく、これらの側面パッキン28とカバー部30の破損や脱落が抑制される。
加えて、側面パッキン28と、カバー部30とを結合させるための構造や機構を設ける必要がなく、封止部材26を小型化することができ、断熱扉4を薄型化や軽量化させることが可能である。
【0053】
各断熱扉4が開閉されるときには、平滑面である各密着部40の密着面28A1が互いに摺動することとなる。
上述の通り、本実施形態では、各側面マグネット34は、密着部40の密着面28A1に対して、幅方向を構成する側面34Aが斜めになるように側面マグネット収容部28Aに収められている。すなわち、各側面マグネット34の一部は、密着部40の密着面28A1から所定の距離を空けた状態で配置されている。
これによって、各側面マグネット34同士の所定箇所の距離が離間することとなり、当該箇所においては、各側面マグネット34の磁力による吸着力が弱まる。
このため、各密着部40の密着面28A1は、互いに密着した状態から、互いに摺動することが容易となっている。
【0054】
例えば、冷蔵庫1の一対の断熱扉4が閉止された状態から、一方の断熱扉4を開けた場合に、一方の密着面28A1が他方の密着面28A1に対して滑りが良くなり、他方の断熱扉4が共に開く、所謂共開きが抑制される。すなわち、冷蔵庫1の一対の断熱扉4の開閉を容易にすることができる。
【0055】
また、密着部40の密着面28A1と、側面マグネット34との距離を調節することによって、当該側面マグネット34の磁力による吸着力を調節するため、当該側面マグネット34の磁力による吸着力を容易に調節できる。さらに、既存の磁石を側面マグネット34に利用することができる。
【0056】
また、本実施形態では、各側面マグネット34同士の距離が離間する箇所は、密着部40の密着面28A1の幅方向において、貯蔵庫2の庫外側の一部となっている。これによって、密着部40の密着面28A1の幅方向において、貯蔵庫2の庫内側では、各側面マグネット34の磁力による吸着力を弱めることが抑制され、このため、各断熱扉4の側面間の隙間における気密性を低下させることなく共開きを抑制することができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、冷蔵庫1は、開口部が設けられた貯蔵庫2と、開口部に設けられた一対の断熱扉4を備えている。これらの断熱扉4は、観音開き式扉であり、各断熱扉4の互いに対向している側面には、いずれも各断熱扉4が閉じられたときに互いに密着することで貯蔵庫2を封止する側面パッキン28が設けられている。
各側面パッキン28には、いずれも側面マグネット34が収められる側面マグネット収容部28Aが設けられている。そして、側面マグネット収容部28Aは、いずれも互いに密着する密着部40を備え、側面マグネット34の少なくとも一部を密着部40の密着面28A1から遠ざける距離調節部50が設けられている構成とした。
これによって、各側面マグネット34同士の所定箇所の距離が離間することとなり、当該箇所においては、各側面マグネット34の磁力による吸着力が弱まる。
このため、各密着部40の密着面28A1は、互いに密着した状態から、互いに摺動することが容易となり、各断熱扉4の共開きを抑制できる。
【0058】
また、本実施形態によれば、側面マグネット収容部28Aは、内部に側面マグネット34を収める収容空間Vが設けられ、距離調節部50は、収容空間V側に設けられている構成とした。
これによって、密着面28A1を平滑面としつつ、当該密着面28A1から側面マグネット34の所定箇所を遠ざけることができる。このため、密着面28A1同士が係合する等して断熱扉4の開閉を妨げることが抑制される。
【0059】
また、本実施形態によれば、距離調節部50は、側面マグネット34の貯蔵庫2の庫内側に位置する端部よりも貯蔵庫2の庫外側に位置する端部を密着部40の密着面28A1から遠ざける構成とした。これによって、貯蔵庫2の庫内側では、各側面マグネット34の磁力による吸着力を弱めることが抑制される。このため、互いに密着した密着部40において、貯蔵庫2の庫内側に隙間が生じることを抑制できる。そして、各断熱扉4の側面間の隙間における気密性を低下させることなく共開きを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、距離調節部50は、収容空間V側に膨出する突起状に形成されている。これによって、距離調節部50は、突起の高さを調節することで密着面28A1と側面マグネット34との距離を調節することができる。このため、当該側面マグネット34の磁力による吸着力を容易に調節できる。
【0061】
上述した実施形態は、本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、図7に示すように、側面マグネット収容部28Aの密着部40は、密着面28A1に対して背面28A2が傾斜面となるように形成されていてもよい。具体的には、貯蔵庫2の庫内側から庫外側に向かうにつれて、密着面28A1と背面28A2との距離が離間するように形成されている。
この場合、密着部40の背面28A2側を構成する箇所が距離調節部として機能する。
【0062】
また例えば、距離調節部50は、収容空間Vを囲む内周面のいずれの箇所に設けられていてもよい。
【0063】
また例えば、距離調節部50は、一対の側面パッキン28の内、いずれか一方のみに設けられていてもよい。
【0064】
また例えば、封止部材26は、取付ガイド部材24を介さずに、断熱扉4の側面に設けられていてもよい。
【0065】
また例えば、本実施形態では、冷蔵庫1を2ドア式のアンダーカウンター型冷蔵庫としたが、これに限らず、4ドア式の縦型冷蔵庫といったドア数の異なる冷蔵庫であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明に係る冷蔵庫は、貯蔵庫を封止するパッキンが互いに摺動することが容易となり、共開きを抑制できる冷蔵庫に、好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 冷蔵庫
2 貯蔵庫
4 断熱扉
26 封止部材
28 側面パッキン(パッキン)
28A 側面マグネット収容部(磁石収容部)
28A1 密着面
28A2 背面
34 側面マグネット(磁石)
34A 側面
40 密着部
50 距離調節部
V 収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7