(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】駆動ユニット、及び電動自転車
(51)【国際特許分類】
B62M 7/12 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
B62M7/12
(21)【出願番号】P 2019187173
(22)【出願日】2019-10-10
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹治 佑介
(72)【発明者】
【氏名】田村 秀樹
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0303961(US,A1)
【文献】特開平07-125677(JP,A)
【文献】特開2001-106162(JP,A)
【文献】特開2019-073125(JP,A)
【文献】特開2015-003608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動自転車の駆動ユニットであって、
当該電動自転車を前進させるための駆動力を発生するモータと、
少なくとも1つの半導体スイッチング素子を有して、前記モータを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路及び前記モータの少なくとも1つを放熱させる放熱部と、
前記少なくとも1つの半導体スイッチング素子と接触する平面を有する熱伝達部と、を備え、
前記モータ、前記駆動回路、及び放熱部は、前記電動自転車のフレームを構成して前部に挿通孔が形成された中空の筒状部材に、前記筒状部材の断面の投影面内に収まるように配置され、
前記放熱部は、凹凸形状であり、
前記挿通孔と対向するように位置し、
前記熱伝達部は、前記筒状部材の内部に位置し、
前記熱伝達部と前記放熱部とは一体
物で構成され、
前記少なくとも1つの半導体スイッチング素子は、前記放熱部に熱的に結合する
駆動ユニット。
【請求項2】
前記放熱部は、前記駆動回路及び前記モータの少なくとも1つの前部に位置する
請求項1の駆動ユニット。
【請求項3】
前記駆動回路及び前記モータの少なくとも1つは、熱伝導性部材を介して前記放熱部に熱的に結合する
請求項1又は2の駆動ユニット。
【請求項4】
前記筒状部材は、長尺形状であり、
前記放熱部は、前記筒状部材の長手方向に沿って延びる
請求項1乃至3のいずれか一項の駆動ユニット。
【請求項5】
前記筒状部材は、長尺形状であり、
前記放熱部は、前記筒状部材の短手方向に沿って延びる
請求項1乃至3のいずれか一項の駆動ユニット。
【請求項6】
前記筒状部材は、前記電動自転車のダウンチューブである
請求項1乃至5のいずれか一項の駆動ユニット。
【請求項7】
前記筒状部材は、前記電動自転車のシートチューブである
請求項1乃至5のいずれか一項の駆動ユニット。
【請求項8】
電動自転車の駆動ユニットであって、
当該電動自転車を前進させるための駆動力を発生するモータと、
前記モータを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路及び前記モータの少なくとも1つを放熱させる放熱部と、を備え、
前記モータ、前記駆動回路、及び放熱部は、前記電動自転車のフレームを構成して前部に挿通孔が形成された中空の筒状部材に、前記筒状部材の断面の投影面内に収まるように配置され、
前記放熱部は、凹凸形状であり、
前記放熱部は、前記駆動回路及び前記モータの少なくとも1つに対して前記挿通孔が形成された側に
前記挿通孔と対向するように位置し、
前記駆動回路及び前記モータの少なくとも1つは、熱伝導性部材を介して前記放熱部に熱的に結合し、
前記中空の筒状部材の一部が開閉自在に構成されて
おり、
前記挿通孔は、前記電動自転車の走行時に空気を前記フレーム内に流れ込ませる
駆動ユニット。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項の駆動ユニットと、
前記駆動ユニットが取り付けられる前記筒状部材と、を備える
電動自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に駆動ユニット、及び電動自転車に関する。より詳細に、本開示は、電動自転車用の駆動ユニット、及び当該駆動ユニットを備える電動自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1で開示されている電動自転車は、フレーム体の前後に2つの車輪をそれぞれ軸架している。また、フレーム体は、フロントフォーク側のメインパイプと、メインパイプから上方に設けられた立パイプ等により構成され、立パイプの上端には、使用者が着座するサドルが設けられている。また、メインパイプの下側には、クランク軸を備えたパワーユニットが装着され、このクランク軸に取付けられたペダルアームの先端には、ペダルが軸支されている。また、同様に、メインパイプの下側で且つパワーユニットの前方には、バッテリユニットが装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電動自転車は、メインパイプの下側にパワーユニット(駆動ユニット)を装着しており、パワーユニットによって電動自転車の外観が損なわれている。また、パワーユニットの放熱性能も求められる。
【0005】
本開示は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、電動自転車の外観を向上させることができ、かつ、効率の良い放熱を実現できる駆動ユニット、及び電動自転車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る駆動ユニットは、電動自転車の駆動ユニットであって、当該電動自転車を前進させるための駆動力を発生するモータと、少なくとも1つの半導体スイッチング素子を有して、前記モータを駆動する駆動回路と、前記駆動回路及び前記モータの少なくとも1つを放熱させる放熱部と、前記少なくとも1つの半導体スイッチング素子と接触する平面を有する熱伝達部と、を備える。前記モータ、前記駆動回路、及び放熱部は、前記電動自転車のフレームを構成して前部に挿通孔が形成された中空の筒状部材に、前記筒状部材の断面の投影面内に収まるように配置される。前記放熱部は、凹凸形状であり、前記挿通孔と対向するように位置する。前記熱伝達部は、前記筒状部材の内部に位置する。前記熱伝達部と前記放熱部とは一体物で構成される。前記少なくとも1つの半導体スイッチング素子は、前記放熱部に熱的に結合する。
本開示の別の態様に係る駆動ユニットは、電動自転車の駆動ユニットであって、当該電動自転車を前進させるための駆動力を発生するモータと、前記モータを駆動する駆動回路と、前記駆動回路及び前記モータの少なくとも1つを放熱させる放熱部と、を備える。前記モータ、前記駆動回路、及び放熱部は、前記電動自転車のフレームを構成して前部に挿通孔が形成された中空の筒状部材に、前記筒状部材の断面の投影面内に収まるように配置
される。前記放熱部は、凹凸形状である。前記放熱部は、前記駆動回路及び前記モータの少なくとも1つに対して前記挿通孔が形成された側に前記挿通孔と対向するように位置する。前記駆動回路及び前記モータの少なくとも1つは、熱伝導性部材を介して前記放熱部に熱的に結合する。前記中空の筒状部材の一部が開閉自在に構成されている。前記挿通孔は、前記電動自転車の走行時に空気を前記フレーム内に流れ込ませる。
【0007】
本開示の一態様に係る電動自転車は、上述の駆動ユニットと、前記駆動ユニットが取り付けられる前記接続部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本開示は、電動自転車の外観を向上させることができ、かつ、効率の良い放熱を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の駆動ユニットを備える電動自転車を示す側面図である。
【
図2】
図2は、同上の駆動ユニットを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の駆動ユニットの回路図である。
【
図4】
図4は、同上の駆動ユニットを装着したダウンチューブの一部を示す前面図である。
【
図5】
図5は、同上の変形例1の駆動ユニットの取付構造を示す側面図である。
【
図6】
図6は、同上の変形例2の駆動ユニットを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の駆動ユニットを備える電動自転車を示す側面図である。
【
図8】
図8Aは、同上の駆動ユニットが備える駆動回路を第1実装面側から見た平面図である。
図8Bは、同上の駆動回路を第1実装面側から見た第2実装面の透視図である。
【
図10】
図10は、同上の熱伝達部の第1例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、同上の熱伝達部の第2例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、同上の熱伝達部の第3例を示す断面図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態の駆動ユニットを備える電動自転車を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る駆動ユニット、及び電動自転車について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(1)第1実施形態
(1.1)電動自転車
図1に示す電動自転車1は、電気的な動力を用いて走行可能な自転車である。電動自転車1は、運転者の踏む力(「踏力」という場合がある)を駆動ユニット4により補助する電動アシスト自転車である。なお、電動自転車1が進む方向を「前方向」とし、前方向の反対方向を「後方向」とし、前方向及び後方向を併せて「前後方向」として定義する。また、前後方向に直交し、かつ水平面に沿う互いに反対向きの2方向を併せて「左右方向」として定義する。また、「左右方向」における左方及び右方については、前方を向いた状態での左方及び右方とする。但し、これらの方向の定義は、電動自転車1、及び駆動ユニット4の使用態様を限定する趣旨ではない。
【0012】
図1に示すように、電動自転車1は、フレーム2と、前輪31及び後輪32と、駆動ユニット4と、を備える。
【0013】
フレーム2は、電動自転車1を運転する者(以下、運転者とする)を支持する。フレーム2及び運転者の荷重は、前輪31及び後輪32を介して地面に支持される。
【0014】
フレーム2は、主に中空の筒状部材で形成され、ヘッドチューブ21、トップチューブ22、ダウンチューブ23、シートチューブ24、シートステー25、チェーンステー26、及びボトムブラケットシェル(BBシェル)27を有する。フレーム2の材料は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金である。但し、フレーム2の材料は、アルミニウム合金に限らず、クロムモリブデン鋼鉄、ハイテンスチール、若しくはチタン等の金属、又はカーボン等であってもよい。
【0015】
ヘッドチューブ21は、後方に傾きながら上方向に延びる中空の筒状部材であり、ヘッドチューブ21の上端が下端に比べて少し後方に位置する。すなわち、ヘッドチューブ21は、上方に行くに従ってより後方に位置するように傾いている。ヘッドチューブ21の上面にはハンドルポスト601が挿入され、ヘッドチューブ21は、ハンドルポスト601をヘッドチューブ21の軸周りに回転可能に支える。ハンドルポスト601の上端には、ハンドルバー602が固定される。ハンドルバー602には、電動アシストのオン、オフ等を行うための手元操作部が設けられる。ハンドルポスト601の下端からは、左右方向に並ぶ一対のフロントフォーク603が下方に延びるように形成される。一対のフロントフォーク603の各下端には前輪31の回転軸が取り付けられ、一対のフロントフォーク603は前輪31を回転可能に支持する。ハンドルバー602をヘッドチューブ21の軸回りに回転させると、一対のフロントフォーク603もヘッドチューブ21と同様に回転し、前輪31の向きが変化する。
【0016】
トップチューブ22は、ヘッドチューブ21の上部より後方に延びる中空の筒状部材であり、トップチューブ22の後端は、トップチューブ22の前端より下方に位置する。すなわち、トップチューブ22は、後方に行くに従ってより下方に位置するように傾いている。トップチューブ22の前端は、ヘッドチューブ21の後部に溶接等により固定される。トップチューブ22の後端は、シートチューブ24に前部に溶接等により固定される。
【0017】
シートチューブ24は、上下方向に延びる中空の筒状部材であり、シートチューブ24の上端が下端に比べて少し後方に位置する。すなわち、シートチューブ24は、上方に行くに従ってより後方に位置するように傾いている。シートチューブ24の上方の前部には、トップチューブ22の後端が溶接等により固定される。シートチューブ24の上端面の開口には、サドル611より下方に延びるシートポスト612が挿入される。シートポスト612がシートクランプ等によってシートチューブ24に固定されることにより、サドル611がシートチューブ24に取り付けられる。シートチューブ24の下端は、ブラケット5内でBBシェル27に溶接等により固定される。
【0018】
ダウンチューブ23は、ヘッドチューブ21の下部より斜め下方に向かって後方に延びる中空の筒状部材であり、ダウンチューブ23の後端が前端に比べて下方に位置する。すなわち、ダウンチューブ23は、後方に行くに従ってより下方に位置するように傾いている。ダウンチューブ23の前端は、ヘッドチューブ21の後部に溶接等により固定される。ダウンチューブ23の後端は、ブラケット5内でBBシェル27に溶接等により固定される。
【0019】
一対のチェーンステー26は、後輪32を挟んで左右方向に並んで位置する。一対のチェーンステー26の各後端には後輪32の回転軸が取り付けられ、一対のチェーンステー26は、後輪32を回転可能に支持する。一対のチェーンステー26の各前端は、ブラケット5内でBBシェル27に嵌合、締結又は溶接等により接続される。チェーンステー26は、ブラケット5より後方に延びる中空又は中実の部材である。
【0020】
一対のシートステー25は、後輪32を挟んで左右方向に並んで位置する。一対のシートステー25の各後端は、一対のチェーンステー26の各後端に嵌合、締結又は溶接等により取り付けられる。一対のシートステー25の各前端は、シートチューブ24の中間部分に嵌合、締結又は溶接等により接続される。シートステー25は、シートチューブ24の上端近傍より斜め下方に向かって後方に延びる中空又は中実の部材である。
【0021】
ブラケット5は、ブラケットカバー51、及び伝達機構52を有する。伝達機構52は、ブラケットカバー51に収納される。伝達機構52は、遊星ギアなどを用いた減速機を備えて、駆動ユニット4のアシスト力をクランクスプロケット634へ伝達する。
【0022】
さらに、ブラケット5内には、フレーム2のBBシェル27が位置し、BBシェル27には、シートチューブ24の下端、ダウンチューブ23の後端、及び一対のチェーンステー26の各前端が接続されている。BBシェル27には、左右方向に挿通する筒形状の挿通孔が形成され、左右方向に延びるクランク軸633を有するボトムブラケットを収納する。BBシェル27の左側及び右側では、各クランクアーム632の一端がクランク軸633にそれぞれ取り付けられ、各クランクアーム632の他端にはペダル631が取り付けられる。電動自転車1の運転者は、ペダル631を漕ぐことにより、クランク軸633に人力の回転力を伝えることができる。
【0023】
クランク軸633にはクランクスプロケット634が取り付けられ、クランクスプロケット634は、クランク軸633と同軸に回転する。さらに、後輪32のハブには後輪スプロケット636が取り付けられ、後輪スプロケット636は、後輪32と同軸に回転する。クランクスプロケット634と後輪スプロケット636との間には、チェーン635が掛け回される。電動自転車1の運転者がペダル631を漕ぐと、クランクアーム632、クランク軸633、クランクスプロケット634、チェーン635、及び後輪スプロケット636を介して後輪32に回転力が伝わり、後輪32が回転する。
【0024】
駆動ユニット4は、運転者の踏力を補助するアシスト力を発生する機能を有し、ダウンチューブ23に取り付けられる。駆動ユニット4は、クランク軸633が回転すると、クランク軸633の回転力を踏力として検出し、踏力の値に応じたアシスト力を発生する。駆動ユニット4で発生したアシスト力は、伝達機構52、クランクスプロケット634、チェーン635、及び後輪スプロケット636を介して後輪32に伝わる。
【0025】
(1.2)駆動ユニット
駆動ユニット4は、電動自転車1の外観を損なうことがないように、ダウンチューブ23に、ダウンチューブ23の断面の投影面内に収まるように配置される。すなわち、駆動ユニット4は、ダウンチューブ23の外面から突出しないように、ダウンチューブ23に対して一体に取り付けられる。
【0026】
駆動ユニット4は、
図1及び
図2に示すように、ユニットケース40と、電池41と、駆動回路42と、モータ43とを備える。
【0027】
(1.2.1)駆動ユニットの回路構成
電池41は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、又は鉛蓄電池等の二次電池であり、直流電圧を出力する。なお、電池41は、ヘッドライト、及び電動アシストのオン、オフ等を行うための手元操作部等にも電力を供給するように構成されてもよい。電池41は、複数の単電池(又はセル)を直列接続した組電池を少なくとも1つ備える。電池41が複数の組電池を備える場合、複数の組電池は並列接続される。なお、電池41は1つ以上の単電池を備える構成であればよい。
【0028】
駆動回路42は、電池41から直流電圧を受けて、モータ43へ3相の交流電圧を出力する。すなわち、駆動回路42は、直流電力を交流電力に変換する電力変換処理を行う。
【0029】
具体的に、駆動回路42は、
図3に示すように、6個のスイッチング素子(半導体スイッチング素子)Q1~Q6、コンデンサC1、及び制御回路421を有する。スイッチング素子Q1~Q6のそれぞれは、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)である。なお、スイッチング素子Q1~Q6は、MOSFET以外に、例えばバイポーラトランジスタなどの他の半導体スイッチング素子であってもよい。
【0030】
コンデンサC1は、電池41の直流電圧を平滑するコンデンサである。6個のスイッチング素子Q1~Q6は、3相ブリッジ接続されており、コンデンサC1の直流電圧を3相の交流電圧に変換する。
【0031】
スイッチング素子Q1~Q6は、スイッチング素子Q1、Q2を有する第1アーム、スイッチング素子Q3、Q4を有する第2アーム、及びスイッチング素子Q5、Q6を有する第3アームを構成する。第1アームでは、スイッチング素子Q1のドレインD1は、コンデンサC1の正極に接続し、スイッチング素子Q1のソースS1は、スイッチング素子Q2のドレインD2に接続し、スイッチング素子Q2のソースS2は、コンデンサC1の負極に接続する。第2アームでは、スイッチング素子Q3のドレインD3は、コンデンサC1の正極に接続し、スイッチング素子Q3のソースS3は、スイッチング素子Q4のドレインD4に接続し、スイッチング素子Q4のソースS4は、コンデンサC1の負極に接続する。第3アームでは、スイッチング素子Q5のドレインD5は、コンデンサC1の正極に接続し、スイッチング素子Q5のソースS5は、スイッチング素子Q6のドレインD6に接続し、スイッチング素子Q6のソースS6は、コンデンサC1の負極に接続する。
【0032】
制御回路421は、スイッチング素子Q1~Q6の各ゲートG1~G6にゲート電圧を印加し、スイッチング素子Q1~Q6のそれぞれをオンオフ駆動することで、スイッチング素子Q1~Q6を3相インバータとして動作させる。制御回路421は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータなどのコンピュータを有する。この場合、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータが制御回路421の機能の少なくとも一部を実現する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、制御回路421は、コンピュータにディスクリート部品を組み合わせて構成されてもよい。
【0033】
モータ43は、ブラシレスモータなどである。モータ43の回転軸431は、駆動回路42から供給された3相の交流電圧によって回転する。モータ43の回転軸431は伝達機構52に接続している。したがって、モータ43の回転軸431が回転することで生じるアシスト力は、伝達機構52を介してクランクスプロケット634へ伝達される。
【0034】
(1.2.2)駆動ユニットの取付
ダウンチューブ23は、ヘッドチューブ21とボトムブラケットシェル27とを接続する中空の筒状部材である。ダウンチューブ23は、ヘッドチューブ21からボトムブラケットシェル27に向かって延びる長尺形状であり、ダウンチューブ23の後部231には、ダウンチューブ23の長手方向に沿って延びる凹部230が形成されている。駆動ユニット4は、凹部230に嵌るように取り付けられる。
【0035】
ユニットケース40は、駆動ユニット4の外殻を構成する中空の棒体であり、樹脂などで形成される。ユニットケース40は、電池41、駆動回路42、及びモータ43を収納する。ユニットケース40の前面には、放熱部403(
図2及び
図4参照)が形成されている。そして、ユニットケース40は、ダウンチューブ23の凹部230を塞ぐように凹部230に装着され、電池41、駆動回路42、及びモータ43は、ダウンチューブ23内に位置する。ユニットケース40は、係止機構、嵌合機構、又はねじ止め機構を有しており、係止、嵌合、又はねじ止め等によってダウンチューブ23に固定される。凹部230を覆うユニットケース40の後面は、ダウンチューブ23の外面と面一になる。あるいは、凹部230を覆うユニットケース40の後面は、ダウンチューブ23の外面よりダウンチューブ23の内側にある。また、ダウンチューブ23に装着された駆動ユニット4の放熱部403は、ダウンチューブ23の前部232に対向する。すなわち、ダウンチューブ23の軸方向から見た場合に、駆動ユニット4は、ダウンチューブ23の投影面に含まれる。なお、「駆動ユニット4が、ダウンチューブ23の投影面に含まれる」とは、駆動ユニット4の輪郭がダウンチューブ23の投影面の輪郭に一致することを含む。
【0036】
上述のように、第1実施形態の駆動ユニット4は、ダウンチューブ23の外面から突出することなく、ダウンチューブ23と一体になるようにダウンチューブ23に装着される。したがって、駆動ユニット4は、電動自転車1の外観を向上させることができる。
【0037】
また、駆動ユニット4をダウンチューブ23の後部231に装着することで、駆動ユニット4をダウンチューブ23の前部232に装着した場合に比べて、駆動ユニット4がダウンチューブ23から脱落することを抑制できる。さらに、駆動ユニット4をダウンチューブ23の後部231に装着することで、駆動ユニット4をダウンチューブ23の前部232に装着した場合に比べて、電動自転車1の走行時に跳ね石などが駆動ユニット4に衝突し難くなる。
【0038】
図2に示すように、ユニットケース40は長尺形状であり、ユニットケース40の長手方向の両端は、第1端401及び第2端402となる。ユニットケース40が凹部230に装着されると、第1端401は、第2端402よりもヘッドチューブ21に近く、第2端402は、第1端401よりもブラケット5に近くなる。
【0039】
そして、ユニットケース40の内部には、第1端401から第2端402に向かって、電池41、駆動回路42、モータ43の順に、電池41、駆動回路42、及びモータ43が取り付けられている。すなわち、電池41はユニットケース40の第1端401側に取り付けられ、モータ43はユニットケース40の第2端402側に取り付けられる。駆動回路42は、電池41とモータ43との間に位置する。第2端402はブラケット5の近くに位置しており、モータ43は、ブラケット5内の伝達機構52に隣り合うように配置される。したがって、駆動ユニット4は、モータ43と伝達機構52との間の距離を短縮でき、アシスト力の伝達ロスを低減できる。また、電池41、駆動回路42、及びモータ43は、モータ43、駆動回路42、電池41の順にボトムブラケットシェル27の近くに位置するので、電池41、駆動回路42、及びモータ43の各間の配線長を短縮でき、電気的な損失を低減できる。
【0040】
また、ユニットケース40は、電池41が取り付けられたケース40aと、駆動回路42及びモータ43が取り付けられたケース40bとに分割されることが好ましい(
図2参照)。この場合、ケース40aは、ケース40bに着脱自在に構成され、電池41は、ケース40aに着脱自在に構成される。したがって、ユニットケース40がダウンチューブ23の凹部230に取り付けられているときには、ケース40aをケース40bから取り外し、ケース40aに装着されている電池41を取り外し、別の電池41をケース40aに装着した後、ケース40aをケース40bに再び取り付けることで、電池41を交換することができる。したがって、電池41の交換作業が容易になる。
【0041】
(1.2.3)駆動ユニットの放熱
駆動ユニット4の放熱部403(
図2及び
図4参照)は、ユニットケース40の前面に形成され、駆動ユニット4の発熱を発散させる放熱機能を有する。放熱部403は、放熱フィン404を有する。放熱フィン404は、ユニットケース40の第1端401から第2端402に向かって延びる矩形体形状の凸体である。凹部230に装着されている駆動ユニット4では、放熱フィン404は、ダウンチューブ23の前部232に対向して、ダウンチューブ23の長手方向に沿って延びる凸体である。
図2及び
図4では、2つの放熱フィン404が左右方向に並んで配置されており、放熱フィン404の先端が前を向いている。すなわち、ユニットケース40の前面は凹凸形状の放熱部403であり、ユニットケース40の前面が平面であるときに比べて、ユニットケース40の前面の表面積が大きくなり、効率の良い放熱を実現できる。
【0042】
ダウンチューブ23に装着された駆動ユニット4の放熱部403は、ダウンチューブ23の前部232に対向している。そこで、
図4に示すように、ダウンチューブ23の前部232は、放熱部403に対向する箇所に挿通孔233を備えることが好ましい。
図4では、ダウンチューブ23は、断面が円形の6つの挿通孔233を備える。そして、電動自転車1が走行(前進)すると、電動自転車1の前方から挿通孔233を通ってダウンチューブ23内に空気が流れ込む。ダウンチューブ23内に流れ込んだ空気は、ダウンチューブ23の長手方向に延びる放熱フィン404に沿って上方向又は下方向へ移動する。すなわち、挿通孔233からダウンチューブ23内に流れ込んだ空気によって駆動ユニット4が冷却され、駆動ユニット4を放熱させる能力が向上する。駆動ユニット4の発熱は、電池41の発熱、駆動回路42のスイッチング素子Q1~Q6の発熱、及びモータ43の発熱を含む。なお、放熱フィン404の数は、2つ以外であってもよく、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0043】
なお、ダウンチューブ23は、少なくとも1つの挿通孔233を備えていればよい。また、挿通孔の断面形状は、円形以外であってもよく、例えば三角形、四角形、楕円、線状、又は格子状であってもよい。
【0044】
また、電池41、駆動回路42、モータ43の少なくとも1つと、ユニットケース40との間には、シリコンシート、シリコンコンパウンドなどの熱伝導性部材が配置されてもよい。この結果、駆動ユニット4の放熱性能が更に向上する。
【0045】
また、駆動回路42のスイッチング素子Q1~Q6は、駆動ユニット4がダウンチューブ23の内部に取り付けられたときに、ダウンチューブ23の前部232に対向して位置することが好ましい。この場合、スイッチング素子Q1~Q6の放熱が効率よく行われる。
【0046】
(1.3)変形例1
図5に示すように、駆動ユニット4は、ダウンチューブ23の側部234に装着されてもよい。この場合、ダウンチューブ23の側部234には凹部235が形成されており、駆動ユニット4は、凹部235に嵌るように取り付けられる。
【0047】
本変形例の駆動ユニット4も、ダウンチューブ23の外面から突出することなく、ダウンチューブ23に対して一体に装着される。そして、駆動ユニット4をダウンチューブ23の側部234に装着することで、ダウンチューブ23に対する駆動ユニット4の着脱が容易になる。
【0048】
(1.4)変形例2
ユニットケース40の前面には、
図6に示す放熱部403Aが形成されてもよい。放熱部403Aは、ユニットケース40の前面において短手方向に沿って延びる矩形体形状の凸体を、放熱フィン404Aとして備える。すなわち、ユニットケース40の前面は凹凸形状の放熱部403Aであり、ユニットケース40の前面が平面であるときに比べて、ユニットケース40の前面の表面積が大きくなり、効率の良い放熱を実現できる。
【0049】
(2)第2実施形態
図7は、第2実施形態の電動自転車1A及び駆動ユニット4Aを示す。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0050】
電動自転車1Aのダウンチューブ23は、ヘッドチューブ21の下部より斜め下方に向かって後方に延びる中空の筒状部材であり、第1実施形態の凹部230を備えていない。
【0051】
駆動ユニット4Aは、電動自転車1Aの外観を損なうことがないように、ダウンチューブ23に、ダウンチューブ23の断面の投影面内に収まるように配置される。すなわち、駆動ユニット4Aは、ダウンチューブ23の外面から突出しないように、ダウンチューブ23に対して一体に取り付けられる。第2実施形態では、駆動ユニット4Aは、ダウンチューブ23の内部に取り付けられる。駆動ユニット4Aは、電池41と、駆動回路42と、モータ43とを備える。したがって、駆動ユニット4Aは、電動自転車1Aの外観を向上させることができる。
【0052】
(2.1)駆動回路の構成
駆動回路42は、
図8A、
図8B、及び
図9に示すように矩形板状の基板420を備えて、基板420は、スイッチング素子Q1~Q6、コンデンサC1、及び制御回路421(
図3参照)を実装する。基板420は、互いに対向する矩形状の第1実装面4201及び第2実装面4202を有する。なお、
図8Aは、駆動回路42を第1実装面4201側から見た平面図である。
図8Bは、駆動回路42を第1実装面4201側から見た第2実装面4202の透視図である。
図9は、駆動回路42の側面図である。
【0053】
第1実装面4201には、スイッチング素子Q1、Q3、Q5が実装される。第1実装面4201には、銅箔などで形成された導体W1が形成されており、導体W1は、第1実装面4201の長手方向に沿って細長い矩形状に形成される。スイッチング素子Q1、Q3、Q5は、導体W1の長手方向に沿って並んで配置され、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の各ドレインD1、D3、D5は、導体W1に半田などで機械的及び電気的に接続される。
【0054】
第2実装面4202には、スイッチング素子Q2、Q4、Q6、コンデンサC1、及び制御回路421が実装される。第2実装面4202には、銅箔などで形成された導体W2が形成されており、導体W2は、第2実装面4202の長手方向に沿って細長い矩形状に形成される。スイッチング素子Q2、Q4、Q6は、導体W2の長手方向に沿って並んで配置され、スイッチング素子Q2、Q4、Q6の各ソースS2、S4、S6は、導体W2に半田などで機械的及び電気的に接続される。
【0055】
そして、スイッチング素子Q1、Q2は、基板420の厚み方向に対向して配置される。スイッチング素子Q3、Q4は、基板420の厚み方向に対向して配置される。スイッチング素子Q5、Q6は、基板420の厚み方向に対向して配置される。すなわち、基板420の厚み方向から見ると、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2の各投影面、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4の各投影面、並びにスイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q6の各投影面は、それぞれ互いに重なる。したがって、スイッチング素子Q1、Q2間の配線長、スイッチング素子Q3、Q4間の配線長、及びスイッチング素子Q5、Q6間の配線長をそれぞれ短くできる。また、スイッチング素子Q1~Q6の実装に必要なスペースを抑えることができる。
【0056】
導体W1の一端はコンデンサC1の正極に接続し、導体W2の一端はコンデンサC1の負極に接続している。すなわち、導体W1に流れる電流の向きと、導体W2に流れる電流の向きとは互いに逆方向になる。そこで、導体W1、W2は、基板420の厚み方向から見ると、導体W1、W2の各投影面が互いに重なる(又はほぼ重なる)ように引き回されている。言い換えると、導体W1、W2は、基板420の厚み方向に対向して、同一形状(又はほぼ同一形状)に形成されている。そして、導体W1を流れる電流によって生じる磁界の向きと、導体W2を流れる電流によって生じる磁界の向きとが互いに逆方向になるので、駆動回路42から発せられる電気的なノイズを抑制することができる。なお、導体W1、W2の各投影面の少なくとも一部が互いに重なっていればよい。
【0057】
(2.2)駆動回路の放熱
駆動回路42は、図
8A、図8B、及び図9に示すようにスイッチング素子Q1~Q6を備えており、スイッチング素子Q1~Q6での電力損失による発熱が生じる。そこで、
図10~
図12に示すように、中空の筒状部材であるダウンチューブ23の内部には、熱伝達部44が配置されている。熱伝達部44は、ダウンチューブ23内で駆動回路42のスイッチング素子Q1~Q6に熱的に結合し、さらには凹凸形状の放熱部を備える。すなわち、熱伝達部44は、スイッチング素子Q1~Q6に熱的に結合し、スイッチング素子Q1~Q6で生じた熱を放熱部から発散させる。この結果、駆動回路42の温度が過度に高くなることを抑制で
きる。すなわち、駆動ユニット4Aは、効率の良い放熱を実現できる。なお、熱伝達部44は、アルミニウム合金、銅、又は鉄などの金属であることが好ましい。
【0058】
図10は、熱伝達部44の第1例を示す。
図10では、ダウンチューブ23の断面形状が円環状であり、ダウンチューブ23の内部には、熱伝達部44として2つの熱伝達部441、442が収納されている。熱伝達部441は、ダウンチューブ23の内部で右側に配置され、ダウンチューブ23の長手方向に沿って延びる形状である。熱伝達部442は、ダウンチューブ23の内部で左側に配置され、ダウンチューブ23の長手方向に沿って延びる形状である。
【0059】
熱伝達部441、442は、互いに左右方向に対向する平面44a、44cをそれぞれ備える。熱伝達部441は、ダウンチューブ23の前部232から右側部に至る内面に対向する曲面44bをさらに備える。曲面44bには、凹凸形状の放熱部71が形成される。放熱部71は、曲面44bから突出する複数の放熱フィン711を有する。熱伝達部442は、ダウンチューブ23の前部232から左側部に至る内面に対向する曲面44dをさらに備える。曲面44dには、凹凸形状の放熱部72が形成される。放熱部72は、曲面44dから突出する複数の放熱フィン721を有する。放熱フィン711及び放熱フィン721は、ダウンチューブ23の長手方向に沿って延びる板状に形成される。
【0060】
駆動回路42は、平面44aと平面44cとの間に位置し、基板420の長手方向がダウンチューブ23の長手方向に沿うように、ダウンチューブ23内において前寄りに配置される。すなわち、駆動回路42は、ダウンチューブ23の後部231よりも、ダウンチューブ23の前部232に近くなる。
【0061】
平面44aと平面44cとの間に位置する駆動回路42では、基板420の第1実装面4201は、平面44aに対向し、基板420の第2実装面4202は、平面44cに対向する。そして、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の各パッケージは平面44aに面接触し、スイッチング素子Q2、Q4、Q6の各パッケージは平面44cに面接触する。この結果、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の各発熱は、熱伝達部441に伝達され、熱伝達部441の放熱部71から発散する。また、スイッチング素子Q2、Q4、Q6の各発熱は、熱伝達部442に伝達され、熱伝達部442の放熱部72から発散する。
【0062】
図11は、熱伝達部44の第2例を示す。
図11では、ダウンチューブ23の断面形状が正四角の環状であり、ダウンチューブ23の内部には、熱伝達部44として2つの熱伝達部443、444が収納されている。熱伝達部443は、ダウンチューブ23の内部で右側に配置され、ダウンチューブ23の長手方向に沿って延びる形状である。熱伝達部444は、ダウンチューブ23の内部で左側に配置され、ダウンチューブ23の長手方向に沿って延びる形状である。
【0063】
熱伝達部443、444は、互いに左右方向に対向する平面44e、44hをそれぞれ備える。熱伝達部443は、ダウンチューブ23の前部232から右側部に至る内面に面接触する平面44f、44gをさらに備える。平面44f、44gには、凹凸形状の放熱部73が形成される。放熱部73は、平面44f、44gから突出する複数の放熱フィン731を有する。熱伝達部444は、ダウンチューブ23の前部232から左側部に至る内面に面接触する平面44i、44jをさらに備える。平面44i、44jには、凹凸形状の放熱部74が形成される。放熱部74は、平面44i、44jから突出する複数の放熱フィン741を有する。放熱フィン731及び放熱フィン741は、ダウンチューブ23の長手方向に沿って延びる板状に形成される。
【0064】
駆動回路42は、平面44eと平面44hとの間に位置し、基板420の長手方向がダウンチューブ23の長手方向に沿うように、ダウンチューブ23内において前寄りに配置される。すなわち、駆動回路42は、ダウンチューブ23の後部231よりも、ダウンチューブ23の前部232に近くなる。
【0065】
平面44eと平面44hとの間に位置する駆動回路42では、基板420の第1実装面4201は、平面44eに対向し、基板420の第2実装面4202は、平面44hに対向する。そして、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の各パッケージは平面44eに面接触し、スイッチング素子Q2、Q4、Q6の各パッケージは平面44hに面接触する。この結果、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の各発熱は、熱伝達部443に伝達され、熱伝達部443の放熱部73から発散する。また、スイッチング素子Q2、Q4、Q6の各発熱は、熱伝達部444に伝達され、熱伝達部444の放熱部74から発散する。
【0066】
図12は、熱伝達部44の第3例を示す。
図12では、ダウンチューブ23の断面形状が円環状であり、ダウンチューブ23の内部には、熱伝達部44として1つの熱伝達部445が収納されている。熱伝達部445は、後部231に対向する平面44kと、ダウンチューブ23の前部232の内面に対向する曲面44mとを備える。曲面44mには、凹凸形状の放熱部75が形成される。放熱部75は、曲面44mから突出する複数の放熱フィン751を有する。放熱フィン751は、ダウンチューブ23の長手方向に沿って延びる板状に形成される。
【0067】
駆動回路42は、平面44kより後方に位置し、基板420の長手方向がダウンチューブ23の長手方向に沿うように、ダウンチューブ23内において前寄りに配置される。すなわち、駆動回路42は、ダウンチューブ23の後部231よりも、ダウンチューブ23の前部232に近くなる。
【0068】
図12の駆動回路42では、基板420の実装面4203にスイッチング素子Q1~Q6が実装され、実装面4203は、平面44kに対向する。そして、スイッチング素子Q1~Q6の各パッケージは平面44kに面接触する。この結果、スイッチング素子Q1~Q6の各発熱は、熱伝達部445に伝達され、熱伝達部445の放熱部75から発散する。
【0069】
したがって、上述の駆動ユニット4Aは、ダウンチューブ23内に平面44a、44c、44e、44h、44kを設けているので、スイッチング素子Q1~Q6と放熱部71~75とを容易に熱的に結合させることができる。
【0070】
なお、スイッチング素子Q1~Q6と、平面44a、44c、44e、44h、44kとの間に、シリコンシート、シリコンコンパウンドなどを熱伝導性部材として配置してもよい。この結果、駆動ユニット4Aの放熱性能が更に向上する。
【0071】
(2.3)変形例3
駆動ユニット4Aが備える電池41、駆動回路42、モータ43のうち、少なくとも電池41は、ダウンチューブ23に対して着脱自在に構成されることが好ましい。この場合、少なくとも電池41の取り付け及び取り外しのために、ダウンチューブ23の一部が開閉自在に構成される。例えば、駆動ユニット4Aが備える電池41のみ、駆動ユニット4Aが備える電池41、駆動回路42、または駆動ユニット4Aが備える電池41、駆動回路42、モータ43がダウンチューブ23に対して着脱自在に構成される。
【0072】
また、駆動ユニット4Aは、駆動ユニット4Aの発熱を放熱するために放熱フィンを更に備えることが好ましい。放熱フィンは、ダウンチューブ23の長手方向または短手方向に沿って延びる形状であることが好ましい。
【0073】
また、放熱部71~75は、ダウンチューブ23の前部232に対向している。そこで、ダウンチューブ23の前部232に挿通孔を設けて、挿通孔からダウンチューブ23内に流れ込んだ空気を放熱部71~75に当てて、駆動ユニット4Aを冷却してもよい。
【0074】
(3)第3実施形態
図13は、第3実施形態の電動自転車1B及び駆動ユニット4Bを示す。なお、第1実施形態又は第2実施形態と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0075】
電動自転車1Bのシートチューブ24は中空の筒状部材である。そして、駆動ユニット4Bは、電動自転車1Bの外観を損なうことがないように、シートチューブ24に、シートチューブ24の断面の投影面内に収まるように配置される。すなわち、駆動ユニット4Bは、シートチューブ24の外面から突出しないように、シートチューブ24に対して一体に取り付けられる。第3実施形態では、駆動ユニット4Bは、シートチューブ24の長手方向に沿って延びる凹部に嵌るように取り付けられる、又はシートチューブ24の内部に取り付けられる。駆動ユニット4Bは、上述の駆動ユニット4又は駆動ユニット4Aと同様の構成を備える。
【0076】
したがって、駆動ユニット4Bは、電動自転車1Bの外観を向上させることができ、かつ、効率の良い放熱を実現できる。
【0077】
なお、上述の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、及び各変形例のそれぞれの構成を適宜組み合わせることができる。
【0078】
(4)まとめ
上述の実施形態に係る第1の態様の駆動ユニット(4、4A、4B)は、電動自転車(1、1A、1B)の駆動ユニットであって、モータ(43)と、駆動回路(42)と、放熱部(403、403A、71~75)と、を備える。モータ(43)は、電動自転車(1、1A、1B)を前進させるための駆動力を発生する。駆動回路(42)は、モータ(43)を駆動する。放熱部(403、403A、71~75)は、駆動回路(42)及びモータ(43)の少なくとも1つを放熱させる。モータ(43)、駆動回路(42)、及び放熱部(403、403A、71~75)は、電動自転車(1、1A、1B)のフレーム(2)を構成する中空の筒状部材(23、24)に、筒状部材(23、24)の断面の投影面内に収まるように配置される。放熱部(403、403A、71~75)は、凹凸形状である。
【0079】
上述の駆動ユニット(4、4A、4B)は、電動自転車(1、1A、1B)の外観を向上させることができ、かつ、効率の良い放熱を実現できる。
【0080】
また、実施形態に係る第2の態様の駆動ユニット(4、4A、4B)では、第1の態様において、放熱部(403、403A、71~75)は、駆動回路(42)及びモータ(43)の少なくとも1つの前部に位置することが好ましい。
【0081】
上述の駆動ユニット(4、4A、4B)は、放熱性能を更に向上させることができる。
【0082】
また、実施形態に係る第3の態様の駆動ユニット(4A、4B)では、第1又は第2の態様において、駆動回路(42)及びモータ(43)の少なくとも1つは、熱伝導性部材を介して放熱部(71~75)に熱的に結合することが好ましい。
【0083】
上述の駆動ユニット(4A、4B)は、放熱性能を更に向上させることができる。
【0084】
また、実施形態に係る第4の態様の駆動ユニット(4、4B)では、第1乃至第3の態様のいずれか一つにおいて、筒状部材(23、24)は、長尺形状であり、放熱部(403)は、筒状部材(23、24)の長手方向に沿って延びることが好ましい。
【0085】
上述の駆動ユニット(4、4B)は、放熱性能を更に向上させることができる。
【0086】
また、実施形態に係る第5の態様の駆動ユニット(4、4B)では、第1乃至第3の態様のいずれか一つにおいて、筒状部材(23、24)は、長尺形状であり、放熱部(403A)は、筒状部材(23、24)の短手方向に沿って延びることが好ましい。
【0087】
上述の駆動ユニット(4、4B)は、効率の良い放熱を実現できる。
【0088】
また、実施形態に係る第6の態様の駆動ユニット(4A、4B)では、第1乃至第5の態様のいずれか一つにおいて、駆動回路(42)は、少なくとも1つの半導体スイッチング素子(Q1~Q6)を備えることが好ましい。少なくとも1つの半導体スイッチング素子(Q1~Q6)は、放熱部(71~75)に熱的に結合する。
【0089】
上述の駆動ユニット(4A、4B)は、駆動回路(42)の温度が過度に高くなることを抑制できる。
【0090】
また、実施形態に係る第7の態様の駆動ユニット(4A、4B)は、第6の態様において、筒状部材(23、24)の内部に位置し、少なくとも1つの半導体スイッチング素子(Q1~Q6)と接触する平面(44a、44c、44e、44h、44k)を有する熱伝達部(44)を更に備えることが好ましい。熱伝達部(44)は、放熱部(71~75)を更に有する。
【0091】
上述の駆動ユニット(4A、4B)は、スイッチング素子(Q1~Q6)と放熱部(71~75)とを容易に熱的に結合させることができる。
【0092】
また、実施形態に係る第8の態様の駆動ユニット(4、4A)では、第1乃至第7の態様のいずれか一つにおいて、筒状部材は、電動自転車(1、1A)のダウンチューブ(23)であることが好ましい。
【0093】
上述の駆動ユニット(4、4A)は、ダウンチューブ(23)の外観を損なうことなく、効率の良い放熱を実現できる。
【0094】
また、実施形態に係る第9の態様の駆動ユニット(4B)では、第1乃至第7の態様のいずれか一つにおいて、筒状部材は、電動自転車(1B)のシートチューブ(24)であることが好ましい。
【0095】
上述の駆動ユニット(4B)は、シートチューブ(24)の外観を損なうことなく、効率の良い放熱を実現できる。
【0096】
また、実施形態に係る第10の態様の電動自転車(1、1A、1B)は、第1乃至第9のいずれか一つの駆動ユニット(4、4A、4B)と、駆動ユニット(4、4A、4B)が取り付けられる筒状部材(23、24)と、を備える。
【0097】
上述の電動自転車(1、1A、1B)は、電動自転車(1、1A、1B)の外観を向上させることができ、かつ、効率の良い放熱を実現できる。
【符号の説明】
【0098】
1、1A、1B 電動自転車
2 フレーム
23 ダウンチューブ(筒状部材)
24 シートチューブ(筒状部材)
4、4A、4B 駆動ユニット
42 駆動回路
43 モータ
44 熱伝達部
44a、44c、44e、44h、44k 平面
403、403A 放熱部
71~75 放熱部
Q1~Q6 半導体スイッチング素子