(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】検出システム、遮断器及び分電盤
(51)【国際特許分類】
H02H 3/06 20060101AFI20240119BHJP
H01H 73/00 20060101ALI20240119BHJP
H02B 1/42 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
H02H3/06 A
H01H73/00 Z
H02B1/42
(21)【出願番号】P 2021079918
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩見 英司
(72)【発明者】
【氏名】塩川 明実
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 晋治
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-213420(JP,A)
【文献】特開2020-072639(JP,A)
【文献】特開2014-178246(JP,A)
【文献】特開2021-048771(JP,A)
【文献】特開2007-124809(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0242445(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/06
H01H 73/00
H02B 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統からの電力に基づく系統電圧が印加される一次側電路、及び負荷が接続される二次側電路、の間の接点を開閉する遮断器、に用いられる検出システムであって、
前記一次側電路の近傍に、前記一次側電路と電気的に非接触の状態で配置される検出用電極と、
接地された接地電極と、
前記検出用電極と前記接地電極との間の電圧を、前記一次側電路と前記検出用電極との静電容量結合によって前記検出用電極と前記接地電極との間の電路に流れる電流に基づいて検出する電圧検出部と、
少なくとも前記電圧検出部を駆動するため電力を供給する電池とを備える、
検出システム。
【請求項2】
前記検出用電極は、前記遮断器の筐体に設けられた導電板である、
請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記一次側電路は、一次側第1電路及び一次側第2電路を含み、
前記検出用電極は、前記一次側第1電路の近傍に、前記一次側第1電路と電気的に非接触の状態で配置される第1検出用電極、及び、前記一次側第2電路の近傍に、前記一次側第2電路と電気的に非接触の状態で配置される第2検出用電極、を含み、
前記電圧検出部は、前記第1検出用電極と前記接地電極との間の第1電圧、及び前記第2検出用電極と前記接地電極との間の第2電圧、を検出する、
請求項2に記載の検出システム。
【請求項4】
前記電圧検出部の検出結果に関する電圧情報を出力する出力部を更に備える、
請求項1-3のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項5】
前記出力部は、前記電圧情報を外部の装置に送信する、
請求項4に記載の検出システム。
【請求項6】
前記電圧検出部の検出結果に基づいて前記電力系統が通電状態か停電状態かを判定し、前記停電状態から前記通電状態への変化に応じて、前記電力系統の復電を示す復電情報を前記出力部に引き渡す状態判定部を更に備え、
前記出力部は、前記復電情報を含む電圧情報を出力する、
請求項4又は5に記載の検出システム。
【請求項7】
前記一次側電路は、一次側第1電路及び一次側第2電路を含み、
前記二次側電路は、二次側第1電路及び二次側第2電路を含み、
前記検出用電極は、前記一次側第1電路の近傍に、前記一次側第1電路と電気的に非接触の状態で配置される第1検出用電極、及び、前記一次側第2電路の近傍に、前記一次側第2電路と電気的に非接触の状態で配置される第2検出用電極、の少なくとも一方を含み、
前記電圧検出部は、前記第1検出用電極と前記接地電極との間の第1電圧、及び前記第2検出用電極と前記接地電極との間の第2電圧、の少なくとも一方を検出し、
前記二次側第1電路及び前記二次側第2電路に接続され、前記二次側第1電路と前記二次側第2電路との間の第3電圧を検出する二次側電圧検出部を更に備え、
前記状態判定部は、
前記一次側第1電路及び前記二次側第1電路の間の第1接点並びに前記一次側第2電路及び前記二次側第2電路の間の第2接点が閉じられており、かつ前記第3電圧が閾値以下である場合に、前記電力系統が停電状態であると判定し、
前記第1接点並びに前記第2接点が開かれており、かつ前記第1電圧及び前記第2電圧の少なくとも一方が閾値を超える場合に、前記電力系統が通電状態であると判定する、
請求項6に記載の検出システム。
【請求項8】
請求項1-7のいずれか一項に記載の検出システムを備える、
遮断器。
【請求項9】
請求項8に記載の遮断器を備える、
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出システム、遮断器及び分電盤に関し、より詳細には、電力系統の復電を検出するための検出システム、遮断器及び分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、遮断器の二次側に設けられた変流器からの信号を基に、制御手段が復電を検出し、遮断器の切り替えを行う、電路開閉装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の電路開閉装置では、制御手段が遮断器の二次側の電流を基に動作するので、電路の接点が開いている状態で復電を検出することは困難である。
【0005】
本開示の目的は、電路の接点が開いている状態での電力系統の復電の検出を可能とする検出システム、遮断器及び分電盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る検出システムは、遮断器に用いられる。前記遮断器は、一次側電路及び二次側電路の間の接点を開閉する。前記一次側電路には電力系統からの電力に基づく系統電圧が印加され、前記二次側電路には負荷が接続される。前記検出システムは、検出用電極と、接地電極と、電圧検出部と、電池とを備える。前記検出用電極は、前記一次側電路の近傍に、前記一次側電路と電気的に非接触の状態で配置され、前記接地電極は接地される。前記電圧検出部は、前記検出用電極と前記接地電極との間の電圧を、前記一次側電路と前記検出用電極との静電容量結合によって前記検出用電極と前記接地電極との間の電路に流れる電流に基づいて検出する。前記電池は、少なくとも前記電圧検出部を駆動するため電力を供給する。
【0007】
本開示の一態様に係る遮断器は、前記検出システムを備える。
【0008】
本開示の一態様に係る分電盤は、前記遮断器を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の検出システム、遮断器及び分電盤は、電路の接点が開いている状態での電力系統の復電の検出を可能にできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る検出システム及びそれが用いられる遮断器のブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の検出システムが備える電圧検出部の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の遮断器を備える分電盤の外観を示す正面図である。
【
図4】
図4は、同上の遮断器の内部を示す正面図である。
【
図5】
図5は、同上の検出システムが行う状態判定処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、同上の検出システムの変形例1を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、変形例1の検出システムが備える電圧検出部の構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、同上の検出システムの変形例2を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、変形例2の検出システムが行う状態判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(1)実施形態1
本開示の実施形態1は、電力系統の復電を検出する検出システムである。
【0013】
(1-1)検出システムの使用環境
本開示の実施形態1に係る検出システムは、
図1に示す遮断器に用いられる。
図1の遮断器は、本実施形態1では、
図3に示す分電盤100を構成する主幹ブレーカ101であり、以下では「遮断器101」と記す。
【0014】
(1-1-1)遮断器
遮断器101は、電路10に設けられ、電路10の接点Hを開閉する。
【0015】
遮断器101は、例えば、漏電検出回路及び開閉機構(いずれも図示しない)を有する。漏電検出回路は、二次側電路10Bに設けられ、電路10で生じる漏電を検出する。開閉機構は、接点Hの近傍に配置された引き外しコイル、及び当該引き外しコイルを駆動する駆動回路を含み、漏電検出回路が漏電を検出した場合に、駆動回路を介して引き外しコイルを駆動することにより接点Hを開く。また、開閉機構は、過電流検出回路を更に有し、過電流(過負荷電流及び短絡電流)が流れたときにも接点Hを引き外すことが好適である。
【0016】
また、開閉機構は、ユーザによって操作されるハンドルを更に含み、当該ハンドルの操作に応じて、開いた状態の接点Hを閉じる、又は閉じた状態の接点Hを開くことができる。
【0017】
また、遮断器101は、
図4に示すような筐体101aを有する。前述した漏電検出回路及び開閉機構は、筐体101aに収納される。また、後述する電路10(第1電路L1,第2電路L2及び第3電路N)が、筐体101aを貫通する。
【0018】
筐体101aは、例えば、合成樹脂製である。ただし、筐体101aは、鉄以外の金属、カーボン樹脂等の導線部材で形成されても、プラスチック等の絶縁部材で形成されてもよい。
【0019】
(1-1-1a)遮断器の変形例
本変形例における遮断器は、
図3に示す分電盤100を構成するリミッタ103であり、「遮断器103」と記す。遮断器103は、第1電路L1を流れる第1電流及び第2電路L2を流れる第2電流の合計値が、予め決められた上限値に達したこと又は当該上限値を超えたことに応じて、接点Hを開き、第1電流及び第2電流を遮断する。
【0020】
なお、以下の説明における「遮断器101」及び「遮断器101の筐体101a」は、変形例では、「遮断器103」及び「遮断器103の筐体(図示しない)」と読み替えられる。
【0021】
(1-1-2)電路
電路10は、単相3線式の電路であり、第1電路L1、第2電路L2及び第3電路Nを含む。第1電路L1、第2電路L2及び第3電路Nは、単相3線式の電路を構成するL1相の電圧側線、L2相の電圧側線、及び中性線にそれぞれ対応する。
【0022】
電路10は、接点Hを介して、一次側電路10A及び二次側電路10Bに区分される。一次側電路10Aには、電力系統からの電力に基づく系統電圧が印加される。系統電圧は、通常、100V又は200Vの交流電圧である。二次側電路10Bには、負荷が接続される。負荷は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、電子レンジ等の電気機器である。
【0023】
接点Hは、第1接点H1、第2接点H2及び第3接点HNを含む。接点Hは、手動で又は自動的に開閉される。
【0024】
第1電路L1は、第1接点H1を介して、一次側第1電路L11及び二次側第1電路L12に区分される。
【0025】
第2電路L2は、第2接点H2を介して一次側第2電路L21及び二次側第2電路L22に区分される。
【0026】
第3電路Nは、第3接点HNを介して一次側第3電路N1及び二次側第3電路N2に区分される。
【0027】
(1-2)検出システム
実施形態1の検出システムは、上記遮断器101に用いられ、遮断器101の接点Hが開いている状態での電力系統の復電の検出を可能とする。
【0028】
詳しくは、検出システムは、
図1に示すように、検出装置1、第1検出用電極11A及び接地電極12を備える。
【0029】
検出装置1は、例えば、プロセッサ、メモリ、ディスプレイ、スピーカ及び通信モジュール(いずれも図示しない)などを有する。メモリにはプロブラム及び各種の情報が格納され、プロセッサがメモリ内のプロブラム及び各種の情報に基づいて動作することにより、後述する状態判定部14等の機能が実現される。後述する出力部15の機能は、ディスプレイ、スピーカ及び通信モジュール等によって実現される。
【0030】
なお、状態判定部14等の機能を実現するプロセッサ及びメモリを「コンピュータ」と称してもよい。また、以下で単に「メモリ」という場合は、通常、検出装置1のメモリであるが、外部の装置のメモリでもよく、プロセッサがアクセス可能であれば、メモリの所在は問わない。
【0031】
(1-2-1)電極
第1検出用電極11Aは、一次側電路10Aを構成する一次側第1電路L11の近傍に、一次側第1電路L11と電気的に非接触の状態で配置される。
【0032】
ここでいう近傍とは、第1検出用電極11Aと一次側第1電路L11との間の絶縁が可能であり、かつ非接触での電圧計測が可能な距離である。
【0033】
本実施形態1における第1検出用電極11Aは、遮断器101の筐体101aに設けられる。第1検出用電極11Aは、例えば、
図4に示すような、遮断器101の筐体101aに埋め込まれた導電板である。
【0034】
なお、埋め込まれることは、通常、筐体101aの壁面(左側面、右側面、上側面、下側面、前面及び後面、のうちいずれか1つ又は2つ以上)に、第1検出用電極11Aがインサート成形されることである。
【0035】
ただし、埋め込まれることは、例えば、第1検出用電極11Aに対応する凹部が筐体101aの壁面に形成され、当該凹部に第1検出用電極11Aが嵌め込まれることでもよい。または、埋め込まれることは、筐体101aの壁面が二重構造を有し、当該壁面を構成する内壁と外壁の間隙に第1検出用電極11Aが介挿されることでもよいし、当該壁面と第1検出用電極11Aとが一体的に形成されることでもよく、その態様は問わない。
【0036】
導電板とは、導電性の材料で板状に形成された部材である。導電性の材料は、例えば、鉄であるが、鉄以外の金属、又は2種類以上の金属を含む合金でもよい。
【0037】
これによって、構成の単純化及び検出精度の向上を図ることができる。
【0038】
なお、
図4の第1検出用電極11Aは、厚みが筐体101aの厚みよりも小さく、全体が筐体101aに埋め込まれているが、第1検出用電極11Aの厚みは、筐体101aの厚み以上でもよい。厚みが筐体101aの厚みよりも大きい第1検出用電極11Aは、一部が筐体101aに埋め込まれ、残りの部分は筐体101aから露出する。
【0039】
図4の筐体101aでは、左側壁の近傍の上寄りに第1電路L1(一次側第1電路L11)が存在するため、第1検出用電極11Aは、当該左側壁に埋め込まれている。ただし、筐体101aにおいて、第1電路L1(一次側第1電路L11)は上側壁にも近いため、上側壁の左寄りに第1検出用電極11Aが埋め込まれてもよい。第1検出用電極11Aが設けられる場所は、第1電路L1(一次側第1電路L11)の近傍であればどこでもよい。
【0040】
また、板状の第1検出用電極11Aは、必ずしも埋め込まれなくてよく、例えば、筐体101aの表面に貼り付けられてもよい。ここでいう表面は、例えば、外面であるが、第1検出用電極11Aが第1電路L1(一次側第1電路L11)から絶縁可能であれば、内面でもよい。
【0041】
また、第1検出用電極11Aの形状は、板状に限らず、例えば、棒状、タブレット状等、どのような形状でもよい。なお、棒状の第1検出用電極11Aは、筐体101aに、第1電路L1(一次側第1電路L11)と平行に設けられることが好適である。
【0042】
さらに、第1検出用電極11Aは、必ずしも筐体101a自体に設けられなくてよく、第1電路L1(一次側第1電路L11)の近傍であれば、例えば、筐体101aの内部かつ筐体101aから離れた場所、又は筐体101aの外部、に設けられても構わない。
【0043】
接地電極12は、例えば、分電盤100のキャビネット内に設けられた接地端子台(図示しない)を介して接地される。
【0044】
(1-2-2)検出装置
実施形態1の検出装置1は、
図1に示すように、電圧検出部13と、状態判定部14と、出力部15と、電池16とを備える。なお、前述した電極は、本実施形態では、検出装置1に含まれないが、検出用電極11及び接地電極12の少なくとも一方は、検出装置1に含まれてもよい。
【0045】
電圧検出部13は、一次側電路10Aを構成する一次側第1電路L11及び一次側第3電路N1の間の電圧(以下「第1電圧」)を、第1検出用電極11Aを介して非接触で検出し、当該検出結果を示す第1電圧値を取得する。
【0046】
第1電圧は、第1検出用電極11Aと接地電極12との間の電圧と等しいため、電圧検出部13は、第1検出用電極11Aと接地電極12との間の電圧を検出することにより、一次側第1電路L11の電圧を非接触で検出可能である。
【0047】
本実施形態1における電圧検出部13は、一次側第1電路L11と第1検出用電極11Aとの静電容量結合によって第1検出用電極11Aと接地電極12との間の電路に流れる電流(以下「第1電流」)に基づいて、第1検出用電極11Aと接地電極12との間の第1電圧を検出する。
【0048】
詳しくは、電圧検出部13は、第1電流が0となるように、第1検出用電極11Aに印加する電圧(以下「第1印加電圧」)を調整し、第1電流が0となったときの第1電圧の電圧値を取得する。
【0049】
具体的には、電圧検出部13は、例えば、
図2に示すように、第1検出用電極11Aに電圧を印加する第1電圧印加回路131Aと、第1検出用電極11Aと接地電極12との間の電路に流れる第1電流を検出する第1検流計132Aと、第1検流計132Aの検出結果に基づいて第1電圧印加回路131Aの第1検出用電極11Aへの第1印加電圧を制御する第1制御回路133Aとを備える。
【0050】
電圧検出部13は、第1検流計132Aの検出結果が0となるように、第1制御回路133Aを介して第1電圧印加回路131Aを制御し、当該検出結果が0の状態で第1電圧の計測を行い、当該計測結果を示す第1電圧値を取得する。
【0051】
こうして取得された第1電圧値は、状態判定部14に引き渡される。また、取得された第1電圧値は、通常、出力部15にも引き渡される。
【0052】
状態判定部14は、電圧検出部13の検出結果(本実施形態1では、第1電圧値)に基づいて、電力系統が通電状態か停電状態かを判定し、当該判定結果を示す状態情報を取得する。
【0053】
状態判定部14は、第1電圧値が閾値より大であれば、電力系統は通電状態であると判定し、第1電圧値が閾値より小であれば、電力系統は停電状態であると判定する。
【0054】
なお、閾値は、例えば“0”であるが、0より大きい値でもよい。閾値が“0”の場合、状態判定部14は、“第1電圧値>0”であれば、電力系統は通電状態であると判定し、“第1電圧値=0”であれば、電力系統は停電状態であると判定する。
【0055】
状態判定部14は、取得した状態情報をメモリに保持する。取得された状態情報は、通常、出力部15に引き渡される。
【0056】
また、状態判定部14は、停電状態から通電状態への変化に応じて復電情報を取得し、当該取得した復電情報を出力部15に引き渡す。復電情報とは、電力系統の復電を示す情報である。復電情報は、例えば“復電しました”等の文字列であるが、復電を意味するシンボルマーク等の画像でもよい。
【0057】
詳しくは、状態判定部14は、今回取得した状態情報を、前回取得した状態情報と比較し、停電状態から通電状態に変化したか否かを判断する。そして、状態判定部14は、停電状態から通電状態に変化した場合に復電情報を取得し、出力部15に引き渡す。
【0058】
(1-2-3)電圧情報
出力部15は、電圧情報を出力する。電圧情報とは、電圧検出部13の検出結果に関する情報である。電圧情報は、例えば、第1電圧値、状態情報、復電情報などであるが、これに限らない。
【0059】
出力とは、例えば、ディスプレイへの表示、スピーカからの音声出力、外部の装置への送信などであるが、これに限らない。ディスプレイは、例えば、分電盤100のカバー(図示しない)に設けられる液晶ディスプレイであるが、分電盤100の外部のモニタ等でもよく、その種類や所在は問わない。スピーカは、例えば、分電盤100の内蔵スピーカであるが、外部モニタのスピーカでもよく、その種類や所在は問わない。外部の装置とは、例えば、スマートフォン等の携帯通信端末であるが、通信機能を有する情報家電等でもよく、その種類や所在は問わない。
【0060】
出力部15は、電圧検出部13が取得した第1電圧値を含む電圧情報を出力する。こうして、第1電圧値を含む電圧情報を出力することで、電力系統の復電のユーザによる認識が可能となる。
【0061】
出力部15は、第1電圧値に加えて又は第1電圧値に代えて、状態判定部14が取得した状態情報を含む電圧情報を出力してもよい。こうして、状態情報を含む電圧情報を出力することで、電力系統の復電のユーザによる的確な認識が可能となる。
【0062】
出力部15は、状態判定部14が復電情報を取得したことに応じて、当該復電情報を含む電圧情報を出力する。復電情報を含む電圧情報には、第1電圧値が更に含まれていてもよい。こうして、停電状態から通電状態への変化に応じて、復電情報を含む電圧情報を出力することで、電力系統の復電を明示的に、ユーザに認識させることができる。
【0063】
特に、出力部15が電圧情報を外部の装置に送信することで、遮断器101から離れた場所に居るユーザにも復電を認識させることができる。
【0064】
電池16は、検出装置1を構成する電圧検出部13、状態判定部14及び出力部15を駆動するための電力を供給する。
【0065】
電池16は、通常、使い捨て式であるが、充電式でもよい。充電式の電池16は、二次側電路10Bからの電力で充電される。
【0066】
このように、検出装置1は、少なくとも一次側電路10Aから電気的に絶縁され、電池16の電力で動作するので、電路10の接点Hが開いている状態でも電力系統の復電の検出が可能であり、また、短絡等が発生しても過電流から保護される。
【0067】
(1-2-4)状態判定処理
本実施形態1における状態判定部14は、
図5に示すフローチャートに従う処理(状態判定処理)を実行する。なお、この処理は、検出装置1の電源オンに応じて開始され、検出装置1の電源オフに応じて終了される。
【0068】
状態判定部14は、電圧検出部13が検出した一次側電圧が0より大きいか否かを判断する(ステップS11)。なお、本実施形態1における一次側電圧は、第1電圧である。一次側電圧が0の場合、状態判定部14は、電力系統が停電中であると判断し、“状態”に停電中を示す状態情報をセットする(ステップS13)。
【0069】
ここで、“状態”とは、取得された状態情報を示す変数である。状態判定部14は、取得した状態情報(今回の状態情報)を“状態”にセットする際、それまで“状態”にセットされていた状態情報(前回の状態情報)をメモリに保持する。ステップS12の実行後、処理はステップS11に戻る。
【0070】
一次側電圧が0より大きい場合、状態判定部14は、“状態”に通電中を示す状態情報をセットする(ステップS13)。次に、状態判定部14は、“状態”にセットされている状態情報を、メモリ内の前回の状態情報と比較することにより、“状態”が停電中から通電中に変化したか否かを判定する(ステップS14)。
【0071】
“状態”が停電中から通電中に変化した場合、状態判定部14は、電力系統が復電したと判断し、復電情報を取得して出力部15に引き渡す(ステップS15)。その後、処理はステップS11に戻る。
【0072】
(1-3)検出システムの変形例1
本変形例1の検出システムは、
図6に示すように、検出装置1と、第1検出用電極11Aと、第2検出用電極11Bと、接地電極12とを備える。検出装置1は、上記実施形態1における検出装置1(
図1参照)と同様、電圧検出部13と、状態判定部14と、出力部15と、電池16とを備える。
【0073】
すなわち、本変形例1の検出システムは、
図1に示した実施形態1の検出システムにおいて、第2検出用電極11Bを追加したものである。なお、第2検出用電極11B以外の各構成要素の基本的な動作は、実施形態1の検出システムにおけるものと同様であり、以下では、実施形態1におけるものと異なる動作についてのみ説明する。
【0074】
(1-3-1)変形例1における電極
第2検出用電極11Bは、一次側第2電路L21の近傍に、一次側第2電路L21と電気的に非接触の状態で配置される。
【0075】
本変形例1における第2検出用電極11Bは、第1検出用電極11Aと同様、遮断器101の筐体101aに設けられる。第2検出用電極11Bは、例えば、遮断器101の筐体101aに埋め込まれた導電板である。
【0076】
図4の筐体101aでは、右側壁の近傍の上寄りに第2電路L2(一次側第2電路21)が存在するため、第2検出用電極11Bは、当該右側壁に埋め込まれている。ただし、筐体101aにおいて、第2電路L2(一次側第2電路21)は上側壁にも近いため、上側壁の右寄りに第2検出用電極11Bが埋め込まれてもよい。第2検出用電極11Bが設けられる場所は、第2電路L2(一次側第2電路21)の近傍であればどこでもよい。
【0077】
また、板状の第2検出用電極11Bは、必ずしも埋め込まれなくてよく、例えば、筐体101aの表面に貼り付けられてもよい。
【0078】
また、第2検出用電極11Bの形状は、板状に限らず、例えば、棒状、タブレット状等、どのような形状でもよい。なお、棒状の第2検出用電極11Bは、筐体101aに、第2電路L2(一次側第2電路21)と平行に設けられることが好適である。
【0079】
さらに、第2検出用電極11Bは、必ずしも筐体101a自体に設けられなくてよく、第2電路L2(一次側第2電路21)の近傍であれば、例えば、筐体101aの内部かつ筐体101aから離れた場所、又は筐体101aの外部、に設けられても構わない。
【0080】
(1-3-2)変形例1における検出装置
電圧検出部13は、前述したように、第1電圧を検出し、第1電圧値を取得する動作に加えて、一次側電路10A構成する一次側第2電路L21及び一次側第3電路N1の電圧(以下「第2電圧」)を、第2検出用電極11Bを介して非接触で検出し、当該検出結果を示す第2電圧値を取得する動作を更に行う。
【0081】
第2電圧は、第2検出用電極11Bと接地電極12との間の電圧と等しいため、電圧検出部13は、第2検出用電極11Bと接地電極12との間の電圧を検出することにより、第2電路L2の電圧を非接触で検出可能である。
【0082】
本変形例1における電圧検出部13は、一次側第2電路L21と第2検出用電極11Bとの静電容量結合によって第2検出用電極11Bと接地電極12との間の電路に流れる電流(以下「第2電流」)に基づいて、第2検出用電極11Bと接地電極12との間の第2電圧を検出する。
【0083】
電圧検出部13は、第2電流が0となるように、第2検出用電極11Bに印加する電圧(以下「第2印加電圧」)を調整し、第1電流が0となったときの第2電圧の電圧値を取得する。
【0084】
電圧検出部13は、例えば、
図7に示すように、第1電圧印加回路131A、第1検流計132A及び第1制御回路133Aに加えて、第2検出用電極11Bに電圧を印加する第2電圧印加回路131Bと、第2検出用電極11Bと接地電極12との間の電路に流れる第2電流を検出する第2検流計132Bと、第2検流計132Bの検出結果に基づいて第2電圧印加回路131Bの第2検出用電極11Bへの第2印加電圧を制御する第2制御回路133Bとを更に備える。
【0085】
電圧検出部13は、第2検流計132Bの検出結果が0となるように、第2制御回路133Bを介して第2電圧印加回路131Bを制御し、当該検出結果が0の状態で第2電圧の計測を行い、当該計測結果を示す第2電圧値を取得する。
【0086】
こうして取得された第2電圧値は、第1電圧値と共に、状態判定部14に引き渡される。なお、第2電圧値は、通常、第1電圧値と共に、出力部15にも引き渡される。
【0087】
状態判定部14は、第1電圧値に基づいて、系統電圧を構成する第1電圧が通電状態か停電状態かを判定し、第1電圧に関する状態情報(第1状態情報)を取得する。また、状態判定部14は、第2電圧値に基づいて、系統電圧を構成する第2電圧が通電状態か停電状態かを判定し、第2電圧に関する状態情報(第2状態情報)を取得する。
【0088】
状態判定部14は、第1電圧値が閾値より大(例えば“第1電圧値>0”)であれば、系統電圧を構成する第1電圧は通電状態であると判定する一方、第1電圧値が閾値以下(例えば“第1電圧値=0”)であれば、第1電圧は停電状態であると判定し、判定結果(“通電状態”又は“停電状態”)を示す第1状態情報を取得する。また、状態判定部14は、第2電圧値が閾値より大(例えば“第2電圧値>0”)であれば、系統電圧を構成する第2電圧は通電状態であると判定し、第2電圧値が閾値以下(例えば“第2電圧値=0”)であれば、第2電圧は停電状態であると判定し、判定結果(“通電状態”又は“停電状態”)を示す第2状態情報を取得する。こうして取得された第1状態情報及び第2状態情報は、出力部15に引き渡される。
【0089】
また、状態判定部14は、第1電圧の停電状態から通電状態への変化に応じて、第1電圧の復電を示す第1復電情報を取得し、当該取得した第1復電情報を出力部15に引き渡す。また、状態判定部14は、第2電圧の停電状態から通電状態への変化に応じて、第2電圧の復電を示す第2復電情報を取得し、当該取得した第2復電情報を出力部15に引き渡す。
【0090】
出力部15は、電圧検出部13が取得した第1電圧値及び第2電圧値を含む電圧情報を出力する。
【0091】
こうして、第2電圧値を更に含む電圧情報を出力することで、系統電圧を構成する第1電圧及び第2電圧(L1相及びL2相)の各々の復電のユーザによる認識が可能となる。
【0092】
出力部15は、電圧検出部13が取得した第1電圧値及び第2電圧値に加えて、又は当該第1電圧値及び当該第2電圧値に代えて、状態判定部14が取得した第1状態情報及び第2状態情報を含む電圧情報を出力してもよい。
【0093】
こうして、第1状態情報及び第2状態情報を含む電圧情報を出力することによっても、第1電圧及び第2電圧の各々の復電のユーザによる認識が可能となる。
【0094】
出力部15は、状態判定部14が第1復電情報及び第2復電情報の少なくとも一方の復電情報を取得したことに応じて、当該取得された1つ又は2つの復電情報を含む電圧情報を出力してもよい。1つ又は2つの復電情報を含む電圧情報には、第1電圧値及び第2電圧値が更に含まれていてもよい。
【0095】
こうして、1つ又は2つの復電情報を含む電圧情報を出力することによって、系統電圧を構成する第1電圧及び第2電圧の少なくとも一方の復電を、明示的にユーザに認識させることができる。
【0096】
例えば、2つの復電情報を含む電圧情報を出力することによって、系統電圧の全面的な復電をユーザに認識させることができる。
【0097】
また、一の復電情報を含む電圧情報を出力することによって、系統電圧の部分的な復電をユーザに認識させることができる。その場合、復電した方の電路を特定する電路特定情報を、電圧情報に更に含めることが好適である。電路特定情報は、例えば、当該電路の名称、当該電路に接続されている負荷の名称、又は当該負荷が設置されている場所の名称などであるが、電路を特定可能な情報であれば何でもよい。これによって、どちらの電路が復電したかをユーザに認識させることができる。
【0098】
(1-3-3)変形例1における状態判定処理
変形例1の状態判定部14は、電路ごとに、
図5のフローチャートに従う状態判定処理を実行する。
【0099】
すなわち、第1電路L1について、電圧検出部13が第1検出用電極11Aを介して第1電圧を検出し、状態判定部14は、当該第1電圧をステップS11の一次側電圧として、
図5の状態判定処理を実行する。
【0100】
また、第2電路L2について、電圧検出部13が第2検出用電極11Bを介して第2電圧を検出し、状態判定部14は、当該第2電圧をステップS11の一次側電圧として、
図5の状態判定処理を実行する。
【0101】
なお、上記2つの状態判定処理は、一のプロセッサによって時分割で実行されても、2つのプロセッサによって並列に実行されてもよい。
【0102】
変形例1によれば、一次側第1電路L11及び一次側第2電路L21に第1検出用電極11A及び第2検出用電極11Bをそれぞれ配置することで、電路L1,L2ごとに一次側の電圧を検出できる。
【0103】
(1-4)検出システムの変形例2
本変形例2の検出システムは、
図8に示すように、検出装置1と、第1検出用電極11Aと、接地電極12と、二次側電圧検出部17とを備える。検出装置1は、実施形態1における検出装置1(
図1参照)と同様、電圧検出部13と、状態判定部14と、出力部15と、電池16とを備える。
【0104】
すなわち、本変形例2の検出システムは、
図1に示した実施形態1の検出システムにおいて、二次側電圧検出部17を追加したものである。
【0105】
(1-4-1)二次側電圧の検出
二次側電圧検出部17は、二次側電路10Bの電圧(二次側電圧)を検出する。本変形例2の二次側電圧は、二次側第1電路L12と二次側第2電路L22との間の電圧(以下「第3電圧」)である。
【0106】
すなわち、二次側電圧検出部17は、二次側第1電路L12及び二次側第2電路L22に接続され、第3電圧を検出する。
【0107】
(1-4-2)変形例2における検出装置
変形例2の検出装置1を構成する各要素の動作は、以下を除いて、実施形態1の検出システムにおけるものと同様である。
【0108】
状態判定部14は、ハンドルがNOの場合は二次側電路10Bの電圧(以下「二次側電圧」)に基づいて、ハンドルがOFFの場合は一次側電路10Aの電圧(以下「一次側電圧」)に基づいて、電力系統が通電状態にあるか停電状態にあるかを判定する。
【0109】
ハンドルがNOの場合とは、通常、一次側第1電路L11及び二次側第1電路L12の間の第1接点H1、一次側第2電路L21及び二次側第2電路L22の間の第2接点H2、並びに一次側第3電路N1及び二次側第3電路N2の間の第3接点HN、が全て閉じられている場合であるが、第3接点HNは開いていてもよい。
【0110】
ハンドルがOFFの場合とは、通常、第1接点H1、第2接点H2及び第3接点HNが全て開かれている場合であるが、第3接点HNは閉じていてもよい。
【0111】
二次側電圧とは、通常、二次側第1電路L12と二次側第2電路L22との間の電圧(以下「第3電圧」)である。ただし、二次側電圧は、例えば、二次側第1電路L12と二次側第3電路N2との間の電圧でもよいし、二次側第2電路L22と二次側第3電路N2との間の電圧でも構わない。
【0112】
ハンドルがON又はOFFされたことに応じて、ハンドルから状態判定部14に“ON”又は“OFF”を示す信号が送信される。
【0113】
状態判定部14は、上記信号を基にハンドルがONであるかOFFであるかを判定し、ハンドルがON(例えば、第1接点H1及び第2接点H2が閉じた状態)である場合、二次側電圧(例えば、第3電圧)が閾値より大であるか否かを更に判定する。そして、状態判定部14は、二次側電圧が閾値より大(例えば“第3電圧>0”)である場合、系統電圧が通電状態であると判定し、二次側電圧が閾値以下(例えば“第3電圧=0”)である場合には、電力系統が停電状態であると判定する。
【0114】
ハンドルがOFF(例えば、第1接点H1及び第2接点H2が開いた状態)である場合、状態判定部14は、一次側電圧(例えば、第1電圧)が閾値より大であるか否かを更に判定する。そして、一次側電圧が閾値より大(例えば“第1電圧>0”)である場合、状態判定部14は、電力系統が通電状態であると判定する。一方、一次側電圧が閾値以下(例えば“第1電圧=0”)である場合、状態判定部14は、電力系統が停電状態であると判定する。
【0115】
(1-4-3)変形例2における状態判定処理
変形例2の状態判定部14は、
図9に示すフローチャートに従う処理(状態判定処理)を実行する。なお、
図9のフローチャートは、
図5のフローチャートに対し、次の2つのステップS10a及びS10bを追加したものである。
【0116】
状態判定部14は、ハンドルがON(第1接点H1,第2接点H2及び第3接点HNが閉じている)であるか否かを判定する(ステップS10a)。ハンドルがOFFである場合、処理はステップS11に進む。
【0117】
ハンドルがONである場合、状態判定部14は、二次側電圧検出部17が検出した二次側電圧(第3電圧)が0より大きいか否かを判定する(ステップS10b)。二次側電圧(第3電圧)が0である場合、処理はステップS12に進む。二次側電圧(第3電圧)が0より大きい場合、処理はステップS13に進む。
【0118】
変形例2によれば、ハンドルのON/OFF、並びに一次側電圧(第1電圧)及び2次側電圧(第3電圧)に基づいて、通電状態か停電状態かを的確に判定できる。
【0119】
(1-5)検出システムの変形例3
本変形例3の検出システム(図示しない)は、上記変形例2の検出システム(
図8参照)において、第1検出用電極11Aに代えて、変形例1で説明した第2検出用電極11B(
図6参照)を備える。
【0120】
電圧検出部13は、第1検出用電極11Aを介して第1電圧を検出する代わりに、第2検出用電極11Bを介して第2電圧を検出する。ハンドルがOFFの場合に状態判定部14が参照する一次側電圧は、第2電圧である。
【0121】
すなわち、
図9のステップS11では、第2電圧が閾値より大(第2電圧>0)であるか否かが判定される。そして、第2電圧が閾値より大である場合、電力系統が通電状態であると判定され、一次側電圧が閾値以下(第2電圧=0)である場合、電力系統が停電状態であると判定される。
【0122】
変形例3によれば、ハンドルのON/OFF、並びに一次側電圧(第2電圧)及び2次側電圧(第3電圧)に基づいて、通電状態か停電状態かを的確に判定できる。
【0123】
(1-6)検出システムの変形例4
本変形例4の検出システムは、上記変形例2の検出システム(
図8参照)において、第2検出用電極11Bを更に備える。電圧検出部13は、第1電圧に加えて、第2の第2電圧を更に検出する。ハンドルがOFFの場合に状態判定部14が参照する一次側電圧は、第1電圧及び第2電圧である。
【0124】
すなわち、
図9のステップS11では、まず、第1電圧が閾値より大(第1電圧>0)であるか否かが判定される。そして、第1電圧が閾値より大である場合、系統電圧を構成するL1相は通電状態であると判定され、第1電圧が閾値以下(第1電圧=0)である場合、L1相は停電状態であると判定される。
【0125】
次に、第2電圧が閾値より大(第2電圧>0)であるか否かが判定される。そして、第2電圧が閾値より大である場合、系統電圧を構成するL2相は通電状態であると判定され、第2電圧が閾値以下(第2電圧=0)である場合、L2相は停電状態であると判定される。
【0126】
こうして、系統電圧を構成するL1及びL2の相ごとに、停電状態か通電状態かが判定され、判定結果を示す状態情報が取得される。出力部15は、こうして取得された2つの状態情報(すなわち、L1相に関する第1状態情報、及びL2相に関する第2状態情報)を含む電圧情報を出力する。
【0127】
また、状態判定部14は、L1及びL2の相ごとに、停電状態から通電状態に変化したか否かを判定し、停電状態から通電状態への変化に応じて、復電情報を含む電圧情報を取得する。出力部15は、L1相に関する第1復電情報が取得された場合、当該第1復電情報含む電圧情報を出力し、L2相に関する第2復電情報が取得された場合、当該第3復電情報含む電圧情報を出力する。
【0128】
変形例4によれば、電力系統の復電を、L1及びL2の相ごとに、ユーザに認識させることが可能となる。
【0129】
以上のように、実施形態1によれば、電池16で駆動される電圧検出部13が、一次側電路10A(一次側第1電路L11,一次側第2電路L21)の電圧を非接触の検出用電極11(第1検出用電極11A,第2検出用電極11B)で検出するので、電路10の接点Hが開いている状態(例えば、感震によるハンドルトリップ状態)での電力系統の復電の検出を可能にできる、検出システムが実現される。
【0130】
なお、仮に、特許文献1の電路開閉装置を、遮断器の一次側の電流を基に動作するように構成したとすると、短絡や漏電等の発生時に制御手段を過電流から保護することは容易でない。
【0131】
これに対して、本実施形態1の検出システムは、一次側電路10Aから電気的に絶縁されているので、短絡等の発生時に過電流から保護される。
【0132】
(2)実施形態2
本開示の実施形態2は、
図1に示すような、実施形態1の検出システムを備える遮断器101である。この遮断器101は、
図2に示す分電盤100を構成する主幹ブレーカ101である。
【0133】
ただし、実施形態2は、「遮断器の変形例」で説明した遮断器103でもよい。この遮断器103は、分電盤100を構成するリミッタ103である。
【0134】
なお、
図1の遮断器101(103)は、単相3線式の電路10を対象としているが、実施形態2は、単相2線式の電路(図示しない)を対象とする遮断器(図示しない)でもよい。単相2線式の電路は、電路10において、第2電路L2を除外したものである。単相2線式の電路を対象とする遮断器は、第1電路L1に介在する第1接点H1、及び第3電路Nに介在する第3接点HN、の開閉を行う。
【0135】
実施形態2によれば、電路10の接点Hが開いている状態での電力系統の復電の検出を可能化し、かつ短絡等の発生時に過電流から保護される、遮断器(主幹ブレーカ101,リミッタ103)が実現される。
【0136】
(3)実施形態3
本開示の実施形態3は、
図3に示すような、実施形態2の遮断器101に対応する主幹ブレーカ101を備える分電盤100である。この分電盤100は、複数の分岐ブレーカ102、及びリミッタ103を更に含む。なお、分岐ブレーカ102の数は、1つでもよい。また、分電盤100は、リミッタ103を備えなくてもよい。
【0137】
ただし、
図3の分電盤100において、主幹ブレーカ101は実施形態2の遮断器101に対応せず、リミッタ103が、「遮断器の変形例」で説明した遮断器103に対応してもよい。
【0138】
実施形態3によれば、電路10の接点Hが開いている状態での電力系統の復電の検出を可能化し、かつ短絡等の発生時に過電流から保護される、分電盤100が実現される。
【0139】
(4)まとめ
本開示の第1の態様に係る検出システムは、遮断器(101)に用いられる。前記遮断器(101)は、一次側電路(10A:一次側第1電路L11,一次側第2電路L21)及び二次側電路(10B:二次側第1電路L12,二次側第2電路L22)の間の接点(H:第1接点H1,第2接点H2)を開閉する。前記一次側電路(10A:L11,L21)には電力系統からの電力に基づく系統電圧が印加され、前記二次側電路(10B:L21,L22)には負荷が接続される。
【0140】
前記検出システムは、検出用電極(11:11A,11B)と、接地電極(12)と、電圧検出部(13)と、電池(16)とを備える。前記検出用電極(11:11A,11B)は、一次側電路(10A:L11,L21)の近傍に、一次側電路(10A:L11,L21)と電気的に非接触の状態で配置される。前記接地電極(12)は、接地される。前記電圧検出部(13)は、前記検出用電極(11:11A,11B)と前記接地電極(12)との間の電圧を、前記一次側電路(10A:L11,L21)と前記検出用電極(11A,11B)との静電容量結合によって前記検出用電極(11:11A,11B)と前記接地電極(12)との間の電路に流れる電流に基づいて検出する。前記電池(16)は、少なくとも前記電圧検出部(13)を駆動するため電力を供給する。
【0141】
この態様によれば、電池駆動の電圧検出部が、一次側電路の電圧を非接触の検出用電極で検出するので、電路の接点が開いている状態(例えば、感震によるハンドルトリップ状態)での電力系統の復電の検出を可能化し、かつ短絡等の発生時に過電流から保護される、検出システムが実現される。
【0142】
第2の態様に係る検出システムでは、第1の態様において、前記検出用電極(11:11A,11B)は、前記遮断器(101)の筐体(101a)に設けられた導電板である。
【0143】
この態様によれば、検出用電極は筐体に設けられた導電板なので、構成の単純化及び検出精度の向上を図ることができる。
【0144】
第3の態様に係る検出システムでは、第2の態様において、前記一次側電路(10A:L11,L21)は、一次側第1電路(L11)及び一次側第2電路(L21)を含む。前記検出用電極(11:11A,11B)は、第1検出用電極(11A)及び第2検出用電極(11B)を含む。前記第1検出用電極(11A)は、前記一次側第1電路(L11)の近傍に、前記一次側第1電路(L11)と電気的に非接触の状態で配置される。前記第2検出用電極(11B)は、前記一次側第2電路(L21)の近傍に、前記一次側第2電路(L21)と電気的に非接触の状態で配置される。前記電圧検出部(13)は、第1電圧及び第2電圧を検出する。前記第1電圧は、前記第1検出用電極(11A)と前記接地電極(12)との間の電圧である。前記第2電圧は、前記第2検出用電極(11B)と前記接地電極(12)との間の電圧である。
【0145】
この態様によれば、各電路の一次側に検出用電極を配置することで、電路ごとに一次側の電圧を検出できる。
【0146】
第4の態様に係る検出システムは、第1-第3のいずれかの態様において、出力部(15)を更に備える。前記出力部(15)は、前記電圧検出部(13)の検出結果に関する電圧情報を出力する。
【0147】
この態様によれば、電圧情報を出力することで、検出結果をユーザに通知できる。
【0148】
第5の態様に係る検出システムでは、第4の態様において、前記出力部(15)は、前記電圧情報を外部の装置に送信する。
【0149】
この態様によれば、電圧情報を遮断器から離れた場所に居るユーザにも通知できる。
【0150】
第6の態様に係る検出システムは、第4又は第5の態様において、状態判定部(14)を更に備える。状態判定部(14)は、前記電圧検出部(13)の検出結果に基づいて前記電力系統が通電状態か停電状態かを判定する。また、状態判定部(14)は、前記停電状態から前記通電状態への変化に応じて、前記電力系統の復電を示す復電情報を前記出力部(15)に引き渡す。前記出力部(15)は、前記復電情報を含む電圧情報を出力する。
【0151】
この態様によれば、停電状態から通電状態への変化に応じて復電情報を送信することで、復電をユーザに認識させることができる。
【0152】
第7の態様に係る検出システムでは、第6の態様において、前記一次側電路(10A:L11,L21)は、一次側第1電路(L11)及び一次側第2電路(L21)を含む。前記二次側電路(10B:L12,L22)は、二次側第1電路(L12)及び二次側第2電路(L22)を含む。前記検出用電極(11:11A,11B)は、第1検出用電極(11A)及び第2検出用電極(11B)の少なくとも一方を含む。前記第1検出用電極(11A)は、前記一次側第1電路(L11)の近傍に、前記一次側第1電路(L11)と電気的に非接触の状態で配置される。前記第2検出用電極(11B)は、前記一次側第2電路(L21)の近傍に、前記一次側第2電路(L21)と電気的に非接触の状態で配置される。前記電圧検出部(13)は、第1電圧及び第2電圧の少なくとも一方を検出する。前記第1電圧は、前記第1検出用電極(11A)と前記接地電極(12)との間の電圧であり、前記第2電圧は、前記第2検出用電極(11B)と前記接地電極(12)との間の電圧である。
【0153】
前記検出システムは、二次側電圧検出部(17)を更に備える。前記二次側電圧検出部(17)は、前記二次側第1電路(L12)及び前記二次側第2電路(L22)に接続され、第3電圧を検出する。前記第3電圧は、前記二次側第1電路(L12)と前記二次側第2電路(L22)との間の電圧である。
【0154】
前記状態判定部(14)は、前記一次側第1電路(L11)及び前記二次側第1電路(L12)の間の第1接点(H1)並びに前記一次側第2電路(L21)及び前記二次側第2電路(L22)の間の第2接点(H2)が閉じられており、かつ前記第3電圧が閾値以下である場合に、前記電力系統が停電状態であると判定する。また、前記状態判定部(14)は、前記第1接点(H1)並びに前記第2接点(H2)が開かれており、かつ前記第1電圧及び前記第2電圧の少なくとも一方が閾値を超える場合に、前記電力系統が通電状態であると判定する。
【0155】
この態様によれば、接点が閉じているか開いているか、並びに一次側電圧(第1電圧及び第2電圧の少なくとも一方)及び2次側電圧(第3電圧)に基づいて、通電状態か停電状態かを的確に判定できる。
【0156】
第8の態様に係る遮断器(101)は、第1-第7のいずれかの態様の検出システムを備える。
【0157】
この態様によれば、電路の接点が開いている状態での電力系統の復電の検出を可能化し、かつ短絡等の発生時に過電流から保護される、遮断器が実現される。
【0158】
第9の態様に係る分電盤(100)は、第8の態様の遮断器(101)を備える。
【0159】
この態様によれば、電路の接点が開いている状態での電力系統の復電の検出を可能化し、かつ短絡等の発生時に過電流から保護される、分電盤が実現される。
【符号の説明】
【0160】
1 検出装置
13 電圧検出部
14 状態判定部
15 出力部
16 電池
17 二次側電圧検出部
10 電路
L1 第1電路
L2 第2電路
N 第3電路
10A 一次側電路
L11 一次側第1電路
L21 一次側第2電路
N1 一次側第3電路
10B 二次側電路
L12 二次側第1電路
L22 二次側第2電路
N2 二次側第3電路
H 接点
H1 第1接点
H2 第2接点
HN 第3接点
11 検出用電極
11A 第1検出用電極
11B 第2検出用電極
12 接地電極
100 分電盤
101 主幹ブレーカ(遮断器)
101a 筐体
102 分岐ブレーカ
103 リミッタ(遮断器)