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特許7422339人員計画システム、人員計画方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】人員計画システム、人員計画方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20240119BHJP
【FI】
G06Q10/0631
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022125867
(22)【出願日】2022-08-05
【審査請求日】2023-05-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 優太
(72)【発明者】
【氏名】平山 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】早崎 渉
(72)【発明者】
【氏名】松矢 直樹
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-032011(JP,A)
【文献】特開2005-182282(JP,A)
【文献】特開2022-151199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間に実行される複数のタスクに割り当てる人時を計画する人員計画システムであって、
前記複数のタスクには、タスクに割り当てられる人数を特定する人数情報、および前記タスクの開始時刻及び終了時刻を特定する時間情報、を含むタスク情報が対応付いており、
前記複数のタスクは、前記人数情報及び前記時間情報、のうち1つ以上が変動可能である可変タスクを含み、
前記可変タスクには、
前記可変タスクに対応付いている変動可能な範囲を制約するタスク制約、及び
他のタスクとの間での前記時間情報の関係を制約するタスク間制約、の少なくとも一方を含む制約情報が対応付いており、
前記複数のタスクの各々について、前記タスクで取り扱う物量を示す物量データを前記タスクの生産性を示す生産性データで除算した結果を基に、前記タスクの業務量に関する業務量情報を取得する業務量取得部と、
前記業務量情報と、前記可変タスクに対応付いている制約情報と、に基づいて、前記複数のタスクに対応する複数の前記タスク情報で構成される人員計画情報に対し、前記可変タスクに対応する変動範囲を変動させつつスコアを取得する処理を繰り返し実行し、前記スコアが最適化条件を満たすときの前記人員計画情報を出力する人員計画部と、を備え、
前記スコアは、
前記人員計画情報を基に、前記所定期間において前記複数のタスクの各々に割り当てられた人時を合計した総人時、を指標とするベーススコアと、
前記可変タスクの変動に起因して生じる、前記制約情報の制約に対する違反、の程度を指標とするペナルティスコアと、に基づく値である、
人員計画システム。
【請求項2】
前記ベーススコアは前記総人時が少ないほど良い値とし、
前記ペナルティスコアは前記制約情報の制約に対する違反の程度が高いほど悪い値とし、
前記スコアは、前記ベーススコアに前記ペナルティスコアを加算した加算値である、
請求項1に記載の人員計画システム。
【請求項3】
前記スコアは、前記ベーススコアに第1係数を乗算した第1乗算結果に、前記ペナルティスコアに第2係数を乗算した第2乗算結果、を加算した加重加算値である、
請求項2に記載の人員計画システム。
【請求項4】
前記タスク制約は、
前記人数情報で特定される人数が、前記タスク制約が示す最少人数以上であり、かつ前記タスク制約が示す最大人数以下であるという人数制約、及び
前記時間情報で特定される前記開始時刻が、前記タスク制約の最早開始時刻以降であり、かつ、前記可変タスクに対応付いている前記時間情報の終了時刻が、前記タスク制約の最遅終了時刻以前である、という時間制約、のうち1つ以上である、
請求項1に記載の人員計画システム。
【請求項5】
前記タスク間制約は、
前記可変タスクと、前記可変タスクに対応付いている前記制約情報の制約を与える制約タスクと、の2つのタスクの間で、前記2つのタスクに対応する2つの開始時刻が互いに一致し、かつ前記2つのタスクに対応する2つの終了時刻が互いに一致する、という制約である並行制約、
前記可変タスクの終了時刻が前記制約タスクの開始時刻よりも早い、又は前記可変タスクの開始時刻が前記制約タスクの終了時刻よりも遅い、という制約である非同時制約、
前記可変タスクの開始時刻が前記制約タスクの終了時刻と一致する、という制約である連結制約、
前記可変タスクの開始時刻が、前記制約タスクの開始時刻より遅く、かつ前記制約タスクの終了時刻より早い、という制約である並走制約、
前記可変タスクの開始時刻が、前記制約タスクの終了時刻よりも遅い、という制約である完了制約、
前記可変タスクの開始時刻は任意であり、前記可変タスクの終了時刻が、前記制約タスクの終了時刻よりも遅い、という制約である事後制約、
前記可変タスクの開始時刻が前記制約タスクの開始時刻よりも遅く、かつ前記可変タスクの終了時刻が、前記制約タスクの終了時刻よりも早い、という制約である同時制約、及び
前記可変タスクの開始時刻が、前記制約タスクの開始時刻よりも遅く、かつ前記制約タスクの終了時刻よりも早い、という制約である後続制約、のうち1つ以上である、
請求項4に記載の人員計画システム。
【請求項6】
前記ペナルティスコアは、
前記複数のタスクに含まれる1つ以上の前記可変タスクのうち、前記制約情報の制約に違反している違反タスクの数である違反タスク数、
1つ以上の前記違反タスクに対応付いた1つ以上の前記人数情報、に基づく違反人数、及び
1つ以上の前記違反タスクに対応付いた1つ以上の前記時間情報と、前記1つ以上の前記違反タスクとそれぞれ対になる1つ以上の前記制約タスクに対応付いた1つ以上の前記時間情報と、に基づく違反時間、のうち1つ以上の情報を基に算出される、
請求項5に記載の人員計画システム。
【請求項7】
前記可変タスクは、
前記人数情報及び前記時間情報が前記物量に依存して変動する業務量変動タスク、
前記人数情報が固定であり、かつ前記時間情報が他タスクとの間で前記並行制約を受けて変動する人数固定並行タスク、及び
前記人数情報及び前記時間情報が、前記物量に依存することなく、かつ他タスクとの間で前記タスク間制約を受けて変動する業務量固定タスク、を含む3つ以上のタスク詳細種別のいずれかであり、
前記可変タスクには、前記3つ以上のタスク詳細種別のいずれであるかを示す種別情報が対応付いており、
前記人員計画部は、前記可変タスクの変動可能な前記タスク情報を、前記可変タスクに対応付いた種別情報に基づいて変動させる、
請求項5に記載の人員計画システム。
【請求項8】
前記人員計画部は、前記可変タスクのタスク情報のうち変動可能な前記タスク情報が、
前記業務量変動タスクを示す場合は、前記物量に応じて前記人数情報及び前記時間情報を変動させ、
前記人数固定並行タスクを示す場合は、前記人数情報を変動させず、前記他タスクとの間で前記並行制約を満たすように前記時間情報のみを変動させ、
前記業務量固定タスクを示す場合は、前記物量によらず、前記他タスクとの間で前記タスク間制約を満たすように、前記人数情報及び前記時間情報を変動させる、
請求項7に記載の人員計画システム。
【請求項9】
前記複数のタスクは、前記時間情報及び前記人数情報のいずれも変動しないタスクである固定タスクを含み、
前記人員計画部は、前記可変タスクを、前記ペナルティスコアを取得する対象とし、前記固定タスクを、前記可変タスクに関して前記制約情報の制約を与える制約タスクとして、前記ペナルティスコアを取得する、
請求項1に記載の人員計画システム。
【請求項10】
前記人員計画部は、
前記人員計画情報を基に、前記複数のタスクの各々に割り当てられている人時を前記所定期間を複数に分割した単位期間ごとに合計し、
前記単位期間に対応する合計人数が、時間軸に沿った人数変動の発生に関する予め決められた補正条件を満たす場合に、前記人数変動が抑制されるように前記スコアを補正する補正用スコア、を取得する、
請求項1に記載の人員計画システム。
【請求項11】
前記補正条件は、隣り合う2つの単位期間に対応する2つの合計人数の間の差分である人数差が閾値以上である、という第1補正条件であり、
前記補正用スコアは、前記第1補正条件が満たされた場合に、前記スコアの値を悪化方向に補正する、
請求項10に記載の人員計画システム。
【請求項12】
前記補正用スコアは、前記人数差が大きいほど悪い値を示す、
請求項11に記載の人員計画システム。
【請求項13】
前記所定期間は、業務開始時刻から業務終了時刻までの業務期間であり、
前記補正条件は、前記業務期間の終端側にある単位期間に対応する合計人数が、直前の単位期間に対応する合計人数に対して増加している、という第2補正条件であり、
前記補正用スコアは、前記第2補正条件が満たされた場合に、前記スコアの値を悪化方向に補正する、
請求項10に記載の人員計画システム。
【請求項14】
前記業務期間は、一の日に属する期間であり、
前記第2補正条件は、前記一の日に属する各単位期間に対応する合計人数のうち、前記一の日の予め決められた基準時刻より後にある合計人数が、直前の合計人数に対して増加している、という条件である、
請求項13に記載の人員計画システム。
【請求項15】
前記補正用スコアは、前記増加の増分が大きいほど、又は前記増加の時刻が遅いほど、悪い値を示す、
請求項13に記載の人員計画システム。
【請求項16】
前記補正条件は、各単位期間に対応する合計人数のうち、先頭及び末尾のものを除く少なくとも1つの単位期間、に対応する合計人数が閾値以下である、という第3補正条件であり、
前記補正用スコアは、前記第3補正条件が満たされた場合に、前記スコアの値を前記最適化条件を満たない値とする、
請求項10に記載の人員計画システム。
【請求項17】
前記スコアは、小さい値ほど良い値であり、大きい値ほど悪い値であり、
前記スコアは、前記ベーススコアに前記ペナルティスコアと前記補正用スコアとを加算した加算値である、
請求項10に記載の人員計画システム。
【請求項18】
前記スコアは、前記ベーススコアに第1係数を乗算した第1乗算結果に、前記ペナルティスコアに第2係数を乗算した第2乗算結果と、前記補正用スコアに第3係数を乗算した第3乗算結果とを加算した加重加算値である、
請求項17に記載の人員計画システム。
【請求項19】
前記第1係数、前記第2係数及び前記第3係数のうち1つ以上の係数を変更する係数変更操作、を受け付け可能な受付部を更に備え、
前記人員計画部は、前記係数変更操作に応じて前記1つ以上の係数の変更処理を行う、
請求項18に記載の人員計画システム。
【請求項20】
前記人員計画部が出力した前記人員計画情報と、複数の人員の各々の複数の業務の各々に対するスキルに関するスキル情報とを基に、前記複数のタスクへの前記複数の人員の配置を行うための人員配置情報を取得する人員配置部を更に備える、
請求項1~19のいずれか一項に記載の人員計画システム。
【請求項21】
1つ以上のプロセッサが、所定期間に実行される複数のタスクに割り当てる人時を計画する人員計画方法であって、
前記複数のタスクには、タスクに割り当てられる人数を特定する人数情報、および前記タスクの開始時刻及び終了時刻を特定する時間情報、を含むタスク情報が対応付いており、
前記複数のタスクは、前記人数情報及び前記時間情報、のうち1つ以上が変動可能な可変タスクを含み、
前記可変タスクには、
前記可変タスクに対応付いている変動範囲を制約するタスク制約、及び
他のタスクとの間での前記時間情報の関係を制約するタスク間制約、の少なくとも一方を含む制約情報が対応付いており、
前記1つ以上のプロセッサが、
前記複数のタスクの各々について、前記タスクで取り扱う物量を示す物量データを前記タスクの生産性を示す生産性データで除算した結果を基に、前記タスクの業務量に関する業務量情報を取得
複数の前記業務量情報と、前記可変タスクに対応付いている前記制約情報と、に基づいて、前記複数のタスクに対応する複数の前記タスク情報で構成される人員計画情報に対し、前記可変タスクに対応する変動範囲を変動させつつスコアを取得する処理を繰り返し実行し、前記スコアが最適化条件を満たすときの前記人員計画情報を出力
前記スコアは、
前記人員計画情報を基に、前記所定期間において前記複数のタスクの各々に割り当てられた人時を合計した総人時、を指標とするベーススコアと、
前記可変タスクの変動に起因して生じる、前記制約情報の制約に対する違反、の程度を指標とするペナルティスコアと、に基づく値である、
人員計画方法。
【請求項22】
所定期間に実行される複数のタスクに割り当てる人時を計画する人員計画方法を1つ以上のプロセッサに実行させるためのプログラムであって、
前記複数のタスクには、タスクに割り当てられる人数を特定する人数情報、および前記タスクの開始時刻及び終了時刻を特定する時間情報、を含むタスク情報が対応付いており、
前記複数のタスクは、前記人数情報及び前記時間情報、のうち1つ以上が変動可能な可変タスクを含み、
前記可変タスクには、
前記可変タスクに対応付いている変動範囲を制約するタスク制約、及び
他のタスクとの間での前記時間情報の関係を制約するタスク間制約、の少なくとも一方を含む制約情報が対応付いており、
前記プログラムは、前記1つ以上のプロセッサに、
前記複数のタスクの各々について、前記タスクで取り扱う物量を示す物量データを前記タスクの生産性を示す生産性データで除算した結果を基に、前記タスクの業務量に関する業務量情報を取得させ、
複数の前記業務量情報と、前記可変タスクに対応付いている前記制約情報と、に基づいて、前記複数のタスクに対応する複数の前記タスク情報で構成される人員計画情報に対し、前記可変タスクに対応する変動範囲を変動させつつスコアを取得する処理を繰り返し実行し、前記スコアが最適化条件を満たすときの前記人員計画情報を出力させ、
前記スコアは、
前記人員計画情報を基に、前記所定期間において前記複数のタスクの各々に割り当てられた人時を合計した総人時、を指標とするベーススコアと、
前記可変タスクの変動に起因して生じる、前記制約情報の制約に対する違反、の程度を指標とするペナルティスコアと、に基づく値である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人員計画システム、人員計画方法及びプログラムに関し、より詳細には、所定の制約の下で最適化された人員計画情報を取得する人員計画システム、人員計画方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力された条件に基づいて多目的最適化を実行することにより、人員数及び処理オーダー数を含む複数の指標の少なくとも1つを最適化する人員配置計画を複数(例えば、人員最適化案、時間最適化案、及び中間案など)求める人員配置策定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/064379号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、現場によって物量や生産性が異なる上、必要な人数も時々刻々変化する(人数の波がある)ため、現場によって又は時間帯によっては、必要な人数を超える人員が確保される場合があり、生産性を低下させる要因の1つとなっていた。
【0005】
特許文献1の人員配置策定装置では、最適化対象を異ならせた複数の計画案が提示されるにすぎず、物量及び生産性の少なくとも一方が異なる複数の現場の各々で、人数の波を抑えつつ生産性の向上を図ることは困難であった。
【0006】
本開示の目的は、物量及び生産性の少なくとも一方が異なる複数の現場の各々で、人数の波を抑えつつ生産性の向上を図ることができる、人員計画システム、人員計画方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る人員計画システムは、所定期間に実行される複数のタスクに割り当てる人時を計画する人員計画システムである。前記複数のタスクには、タスクに割り当てられる人数を特定する人数情報、および前記タスクの開始時刻及び終了時刻を特定する時間情報、を含むタスク情報が対応付いている。前記複数のタスクは、前記人数情報及び前記時間情報、のうち1つ以上が変動可能である可変タスクを含む。前記可変タスクには、前記可変タスクに対応付いている変動可能な範囲を制約するタスク制約、及び他のタスクとの間での前記時間情報の関係を制約するタスク間制約、の少なくとも一方を含む制約情報が対応付いている。前記人員計画システムは、業務量取得部と人員計画部とを備える。前記業務量取得部は、前記複数のタスクの各々について、前記タスクで取り扱う物量を示す物量データを前記タスクの生産性を示す生産性データで除算した結果を基に、前記タスクの業務量に関する業務量情報を取得する。前記人員計画部は、前記業務量情報と、前記可変タスクに対応付いている制約情報と、に基づいて、前記複数のタスクに対応する複数の前記タスク情報で構成される人員計画情報に対し、前記可変タスクに対応する変動範囲を変動させつつスコアを取得する処理を繰り返し実行し、前記スコアが最適化条件を満たすときの前記人員計画情報を出力する。前記スコアは、前記人員計画情報を基に、前記所定期間において前記複数のタスクの各々に割り当てられた人時を合計した総人時、を指標とするベーススコアと、前記可変タスクの変動に起因して生じる、前記制約情報の制約に対する違反、の程度を指標とするペナルティスコアと、に基づく値である。
【0008】
本開示の一態様に係る人員計画方法は、1つ以上のプロセッサが、所定期間に実行される複数のタスクに割り当てる人時を計画する人員計画方法である。前記複数のタスクには、タスクに割り当てられる人数を特定する人数情報、および前記タスクの開始時刻及び終了時刻を特定する時間情報、を含むタスク情報が対応付いている。前記複数のタスクは、前記人数情報及び前記時間情報、のうち1つ以上が変動可能な可変タスクを含む。前記可変タスクには、前記可変タスクに対応付いている変動範囲を制約するタスク制約、及び他のタスクとの間での前記時間情報の関係を制約するタスク間制約、の少なくとも一方を含む制約情報が対応付いている。前記1つ以上のプロセッサが、前記複数のタスクの各々について、前記タスクで取り扱う物量を示す物量データを前記タスクの生産性を示す生産性データで除算した結果を基に、前記タスクの業務量に関する業務量情報を取得し、複数の前記業務量情報と、前記可変タスクに対応付いている前記制約情報と、に基づいて、前記複数のタスクに対応する複数の前記タスク情報で構成される人員計画情報に対し、前記可変タスクに対応する変動範囲を変動させつつスコアを取得する処理を繰り返し実行し、前記スコアが最適化条件を満たすときの前記人員計画情報を出力する。前記スコアは、前記人員計画情報を基に、前記所定期間において前記複数のタスクの各々に割り当てられた人時を合計した総人時、を指標とするベーススコアと、前記可変タスクの変動に起因して生じる、前記制約情報の制約に対する違反、の程度を指標とするペナルティスコアと、に基づく値である。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、所定期間に実行される複数のタスクに割り当てる人時を計画する人員計画方法を1つ以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。前記複数のタスクには、タスクに割り当てられる人数を特定する人数情報、および前記タスクの開始時刻及び終了時刻を特定する時間情報、を含むタスク情報が対応付いている。前記複数のタスクは、前記人数情報及び前記時間情報、のうち1つ以上が変動可能な可変タスクを含む。前記可変タスクには、前記可変タスクに対応付いている変動範囲を制約するタスク制約、及び他のタスクとの間での前記時間情報の関係を制約するタスク間制約、の少なくとも一方を含む制約情報が対応付いている。前記プログラムは、前記1つ以上のプロセッサに、前記複数のタスクの各々について、前記タスクで取り扱う物量を示す物量データを前記タスクの生産性を示す生産性データで除算した結果を基に、前記タスクの業務量に関する業務量情報を取得させ、複数の前記業務量情報と、前記可変タスクに対応付いている前記制約情報と、に基づいて、前記複数のタスクに対応する複数の前記タスク情報で構成される人員計画情報に対し、前記可変タスクに対応する変動範囲を変動させつつスコアを取得する処理を繰り返し実行し、前記スコアが最適化条件を満たすときの前記人員計画情報を出力させる。前記スコアは、前記人員計画情報を基に、前記所定期間において前記複数のタスクの各々に割り当てられた人時を合計した総人時、を指標とするベーススコアと、前記可変タスクの変動に起因して生じる、前記制約情報の制約に対する違反、の程度を指標とするペナルティスコアと、に基づく値である。
【発明の効果】
【0010】
本開示の人員計画システム、人員計画方法及びプログラムは、物量及び生産性の少なくとも一方が異なる複数の現場の各々で、人数の波を抑えつつ生産性の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態に係る人員計画システムのブロック図である。
図2図2は、同上の人員計画システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図3図3は、同上の動作に含まれる人員計画処理を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、同上の人員計画処理での各種のタスク間制約を説明するためのタイミング図である。
図5図5Aは、同上のタスク間制約の一種である並行制約に対する違反の一例を示すタイミング図であり、図5Bは、同上の並行制約に対する違反の他の一例を示すタイミング図であり、図5Cは、同上の並行制約に対する違反のその他の一例を示すタイミング図であり、図5Dは、同上の並行制約に対する違反の更にその他の一例を示すタイミング図である。
図6図6Aは、同上のタスク間制約の他の一種である連結制約に対する違反の一例を示すタイミング図であり、図6Bは、同上の連結制約に対する違反の他の一例を示すタイミング図である。
図7図7は、同上の人員計画システムによる人員計画情報の出力例(第2補正条件が満たされる場合の人員計画画面)を示す図である。
図8図8Aは、同上の人員計画処理での第2補正条件を満たす合計人数列の一例を示す図であり、図8Bは、同上の合計人数列に対して第2補正条件に基づくスコア補正を行った後の合計人数列の一例を示す図である。
図9図9は、同上の人員計画システムによる人員計画情報の他の出力例(第2補正条件に基づくスコア補正後の人員計画画面)を示す図である。
図10図10Aは、同上の人員計画処理での第3補正条件を満たす合計人数列の一例を示す図であり、図10Bは、同上の第3補正条件を満たさない合計人数列の一例を示す図である。
図11図11は、同上の人員計画処理でのタスクの、可変性、物量依存性及び他タスク依存性に応じたタスク詳細種別を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)概要
最初に、図1図7及び図8A等を参照して本開示の人員計画システム100の概要を説明する。
【0013】
本開示の人員計画システム100は、総人時及び人数の時間変化に関するベーススコア、及び制約違反に対するペナルティスコア、の2種類のスコアに基づく複合スコアを用いた最適化を行うことで、物量及び生産性の少なくとも一方が異なる複数の現場の各々で、人数の波を抑えつつ生産性の向上を図るものである。
【0014】
本開示の実施形態に係る人員計画システム100は、一の期間に行われる複数のタスクの各々に割り当てる人時を、一の期間を構成する複数の単位期間ごとに所定の制約の下で計画する。
【0015】
(1-1)一の期間、単位期間、業務期間及び業務群
一の期間とは、本実施形態では、業務期間である。業務期間とは、業務開始時刻から業務終了時刻までの期間である。本実施形態における業務期間は、通常、一の日に属するが、日を跨いでもよい。
【0016】
業務開始時刻とは、複数のタスクによって実現される1つ以上の業務(業務群)、のうち最初の業務(単一の業務の場合は当該業務)の開始時刻である。業務終了時刻とは、業務群のうち最後の業務(単一の業務の場合は当該業務)の終了時刻である。
【0017】
単位期間とは、一の期間の構成要素であり、業務の最小単位である。単位期間は、通常、15分であるが、例えば、30分、1時間、1日などでもよい。なお、本実施形態では、便宜上、単位時間を1時間としている。
【0018】
(1-1-1)一の期間等の具体例
図7及び図8Aに示す例では、一の期間は、業務開始時刻10:00から業務終了時刻18:00までの7時間(業務期間)である。この業務期間は、“10:00~11:00”,“11:00~12:00”・・・“16:00~17:00”の7つの単位期間(各1時間)で構成される。
【0019】
(1-1-2)業務群の具体例
上記のような業務期間に、「入庫」、「ピッキング」及び「補充」などの複数の倉庫業務(倉庫業務群)が行われる。この倉庫業務群のうち、最初の倉庫業務が入庫であり、入庫は、入庫開始時刻(=業務開始時刻)10:00から入庫終了時刻12:00までの2時間(入庫期間)に行われる。この入庫期間は、“10:00~11:00”及び“11:00~12:00”の2つの単位期間で構成される。
【0020】
入庫が終了すると、ピッキングが行われる。ピッキングは、ピッキング開始時刻12:00からピッキング終了時刻(=業務終了時刻)17:00までの5時間(ピッキング期間)に行われる。このピッキング期間は、“12:00~13:00”~“16:00~17:00”の5つの単位期間で構成される。
【0021】
また、ピッキングと並行して、補充が行われる。補充は、補充開始時刻(=ピッキング開始時刻)12:00から補充終了時刻(=ピッキング終了時刻=業務終了時刻)17:00までの5時間(補充期間=ピッキング期間)に行われる。この補充期間は、ピッキング期間と同様の5つの単位期間で構成される。
【0022】
なお、以上は例示に過ぎず、適宜変更可能である。
【0023】
(1-2)タスク情報
複数のタスクの各々には、タスク情報が対応付いている。詳しくは、複数のタスクに対応する複数のタスク情報が、メモリ(後述)に記憶されている。なお、後述する人員計画情報は、これら複数のタスク情報で構成される。
【0024】
(1-2-1)人数情報及び時間情報
タスク情報は、人数情報及び時間情報を含む。
【0025】
人数情報とは、タスクに割り当てられる人数(人員ともいう)を特定する情報である。人数情報は、通常、人数を示す情報であるが、人数を特定可能な情報であればよい。
【0026】
時間情報とは、タスクの開始時刻及び終了時刻を特定する情報である。時間情報は、通常、開始時刻及び終了時刻の組であるが、開始時刻及び時間長の組でもよく、開始時刻及び終了時刻を特定可能な情報であればよい。
【0027】
(1-3)可変タスク:人数情報及び時間情報の少なくとも一方が可変情報
複数のタスクのうち1つ以上のタスクの各々は、可変タスクである。なお、複数のタスクのうち1つ以上のタスクとは、通常、複数のタスクの一部であるが、複数のタスクの全部でもよい。
【0028】
可変タスクとは、タスクに対応付いているタスク情報に含まれる人数情報及び時間情報、のうち1つ以上が、可変情報であるようなタスクである。
【0029】
(1-3-1)可変情報
可変情報とは、変動可能な情報であり、本実施形態では、人員計画処理による最適化の対象となる情報である。可変タスクに対応付いたタスク情報を構成する人数情報及び時間情報の少なくとも一方は、最適化のために変動可能である。
【0030】
可変タスクは、通常、物量に依存するタスク(つまり、物量に応じて人数及び/又は時間が変化するタスク)である。
【0031】
(1-3-2)制約情報
1つ以上の可変タスクの各々には、制約情報が更に対応付いている。制約情報とは、タスクに関連する制約に関する情報である。制約情報は、タスク制約情報及びタスク間制約情報の少なくとも一方を含む。
【0032】
(1-3-2a)タスク制約情報
タスク制約情報とは、タスク制約に関する情報である。タスク制約は、タスクに対応付いている1つ以上の可変情報の各々の変動範囲を制約する。なお、タスク制約の詳細については後述する。
【0033】
タスク制約情報は、人数情報の変動範囲を特定する最少人数及び最大人数の組、時間情報の変動範囲を特定する最早開始時刻及び最遅終了時刻の組、などを含む。
【0034】
(1-3-2b)タスク間制約情報
タスク間制約情報とは、タスク間制約に関する情報である。タスク間制約は、他のタスクとの間での時間情報の関係を制約する。なお、タスク間制約の詳細については後述する。
【0035】
(1-3-2c)時間情報の関係
時間情報の関係とは、タスク(対象タスク:後述)に対応付いたタスク情報に含まれる開始時刻及び終了時刻、のうち少なくとも一方と、他のタスク(制約タスク:後述)に対応付いたタスク情報に含まれる開始時刻及び終了時刻、のうち少なくとも一方と、の関係(前後関係、時間差など)である。
【0036】
(1-4)人員計画システムの構成
人員計画システム100は、図1に示すように、業務量取得部121と人員計画部122とを備える。
【0037】
(1-4-1)業務量取得部
業務量取得部121は、複数のタスクの各々について、物量データを生産性データで除算した結果を基に業務量情報を取得する。
【0038】
(1-4-1a)物量データ
物量データとは、物量を示すデータである。物量とは、タスクが取り扱う物品の量である。物量データは、例えば、一の期間(業務期間)全体での物量(総物量)を示すデータでもよいし、一の期間(業務期間)を構成する複数の単位期間(1時間、30分など)に対応する複数の物量、の各々を示すデータでもよい。
【0039】
物量データは、例えば、過去の実績値に基づく予測値である。ただし、物量データは、例えば、当日の実績値でもよいし、ユーザの入力操作に基づく暫定値でもよい。物量データは、例えば、サーバ2に格納されているが、端末3からの情報を基に取得されてもよい。
【0040】
(1-4-1b)生産性データ
生産性データとは、タスクの生産性を示すデータである。本実施形態における生産性は、物量を業務量で除算した結果(生産性=物量/業務量)である。
【0041】
生産性データは、例えば、単位人数(1人)で単位時間(1時間)に処理できる物量(1人時で処理可能な物量)である。本実施形態では、複数のタスクに対応する複数の生産性データが、メモリに記憶されている。
【0042】
(1-4-1c)業務量情報
業務量情報とは、タスクが行う業務の業務量に関する情報である。業務量とは、物量を業務量で除算した結果(業務量=物量/生産性)である。業務量情報は、例えば、物量を生産性で除算した除算結果自体であるが、除算結果から計算される値でもよい。業務量情報は、例えば、人時で表現される。人時とは、一人の人間が一時間働く分の仕事量であり、n人がt時間働いた場合の業務量は“n×t”人時である。
【0043】
(1-4-2)人員計画部
人員計画部122は、複数のタスクに対応する業務量情報と、1つ以上の可変タスクに対応付いている1つ以上の制約情報と、が入力され、人員計画情報に対し、人員計画処理を繰り返し実行し、スコアが最適化条件を満たすときの人員計画情報を出力する。
【0044】
(1-4-2a)人員計画情報
人員計画情報は、複数のタスクに対応する複数のタスク情報で構成される。人員計画情報は、例えば、タスク識別子とタスク情報との対の集合でもよい。タスク識別子とは、タスクを識別する情報である。
【0045】
複数のタスク情報の各々は、前述した人数情報及び時間情報に加えて、例えば、業務識別子を含んでもよい。業務識別子は、タスクが属する業務を識別する情報であり、例えば、“入庫”,“ピッキング”,“補充”等の業務名、又は業務名に対応付いたIDなどである。
【0046】
(1-4-2b)人員計画処理
人員計画処理は、1つ以上の可変タスクに対応する1つ以上のタスク情報、の各々に含まれる1つ以上の可変情報を変動させつつスコアを取得する処理である。
【0047】
(1-4-2c)最適化条件
最適化条件は、スコアが最良値(本実施形態では、最小値)である、という条件である。最適化条件は、例えば、人員計画処理が予め決められた回数以上実行されても最良(最小)スコアが更新されないこと、であってもよい。
【0048】
(1-4-2d)最適化アルゴリズム
上記のような人員計画部122の機能は、例えば、最適化アルゴリズムにより実現される。最適化アルゴリズムは、例えば、焼きなまし法、遺伝的アルゴリズム、ガウス・ニュートン法などであるが、これに限らない。
【0049】
(1-4-2e)スコア:複合スコア
本実施形態におけるスコアは、複合スコアである。複合スコアは、ベーススコアと、ペナルティスコアと、を基に取得される。
【0050】
ここでの取得は、例えば、加算(加重加算、又は単純加算)による取得である。または、取得は、ベーススコア及びペナルティスコアの各々を変数とする多変数関数、又はそれと同等の情報(データテーブル、モデルなど)、に基づく取得でもよい。
【0051】
(1-4-2f)ベーススコア:総人時、及び人数の波に関する指標
ベーススコアとは、総人時及び人数の時間変化に応じた値を示すスコアである。
【0052】
ベーススコアは、総人時が少ないほど良い値を示す。総人時とは、人員計画情報を基に、複数のタスクの各々に割り当てられている人時を、一の期間に渡って合計した結果である。なお、本実施形態では、小さい値ほど良い値である。
【0053】
ベーススコアは、例えば、総人時それ自体でもよいし、総人時をパラメータとする増加関数(例えば、総人時×係数、総人時+定数、総人時×係数+定数、総人時の二乗など)で算出される値でもよい。または、ベーススコアは、例えば、総人時を構成する複数の合計人数の二乗和、又は二乗和の平方根などでもよい。
【0054】
(1-4-2g)ペナルティスコア:制約違反に関する指標
ペナルティスコアとは、違反度に応じた値を示すスコアである。
【0055】
ペナルティスコアは、違反度が高いほど悪い値を示す。違反度とは、制約情報による制約に対する違反の程度である。違反は、上記1つ以上の可変情報の変動に起因して生じる。
【0056】
違反度は、例えば、違反タスク数である。違反タスク数とは、違反タスクの数である。違反タスクとは、制約情報による各種の制約に違反しているタスクである。
【0057】
または、違反度は、例えば、違反タスクに対応する単位期間(これを「違反期間」と称す)の数の合計、又は当該数の二乗和などでもよい。または、違反度は、違反期間に対応する人数の合計、又は当該人数の二乗和などでもよい。または、違反度は、違反している制約の種類に応じた数値でもよいし、当該数値に基づく算出値でもよい。
【0058】
本実施形態では、大きい値ほど悪い値である。
【0059】
ペナルティスコアは、例えば、違反度それ自体でもよいし、違反度(違反タスクの数)をパラメータとする増加関数で算出される値(違反度の二乗、違反度に所定値を加算した結果の二乗、など)でもよい。
【0060】
(1-5)利点
本実施形態によれば、物量及び生産性を基に業務量を取得し、当該業務量に基づいて、タスク制約及びタスク間制約を含む制約下で可変情報を変動させつつ、一の期間に渡る総人時及び単位期間当たりの合計人数の時間変化に関するベーススコアと、制約違反に対するペナルティスコアと、に基づく複合スコアを取得し、複合スコアに基づく最適化を行うことで、物量及び生産性の少なくとも一方が異なる複数の現場の各々で、人数の波を抑えつつ生産性の向上を図ることができる。
【0061】
(2)詳細
次に、図1及び図4図11を参照して本開示の実施形態に係る人員計画システム100の詳細を説明する。なお、既出事項の説明は省略又は簡略化する。
【0062】
(2-1)良い値、及び悪い値
前述したように、本実施形態におけるスコアは、小さい値ほど「良い値」であり、大きい値ほど「悪い値」である。
【0063】
(2-2)加算値
複合スコアは、ベーススコアにペナルティスコアを加算した加算値である。加算値は、加重加算値が好適であるが、単純加算値でもよい。
【0064】
(2-2-1)加重加算値
本実施形態における複合スコアは、加重加算値である。加重加算値は、ベーススコア(BS)に第1係数(w1)を乗算した第1乗算結果(w1×BS)に、ペナルティスコア(PS)に第2係数(w2)を乗算した第2乗算結果(w2×PS)、を加算した値(w1×BS+w2×PS)である。
【0065】
このように、複合スコアとして、ベーススコアとペナルティスコアとの加重加算値を用いることで、人数の波の抑制効果と生産性の向上効果との間のバランスをとりつつ、処理量の抑制を図ることができる。
【0066】
(2-2-2)単純加算値
単純加算値とは、ベーススコア(BS)にペナルティスコア(PS)を単純加算した値(BS+PS)である。
【0067】
このように、複合スコアとして単純加算を用いることで、処理量の抑制を図ることができる。
【0068】
(2-3)タスク制約
タスク制約は、詳しくは、人数制約及び時間制約のうち1つ以上である。本実施形態におけるタスク制約は、人数制約及び時間制約の2つであるが、いずれか1つのみでもよい。
【0069】
(2-3-1)人数制約
人数制約は、可変タスクに対応付いている人数情報で特定される人数が、当該可変タスクに対応付いているタスク制約情報が示す最少人数以上であり、かつ当該タスク制約情報が示す最大人数以下である、という制約である。
【0070】
(2-3-2)時間制約
時間制約は、可変タスクに対応付いている時間情報で特定される開始時刻が、当該可変タスクに対応付いているタスク制約情報の最早開始時刻以降であり、かつ、当該可変タスクに対応付いている時間情報の終了時刻が、タスク制約情報の最遅終了時刻以前である、という制約である。
【0071】
これによって、各種のタスク制約に対する違反に応じたペナルティスコアを取得できる。
【0072】
(2-4)タスク間制約
タスク間制約は、前述したように、対象タスクと制約タスクとの間での時間情報の関係を制約する。
【0073】
(2-4-1)対象タスク及び制約タスク
対象タスクとは、複数のタスクのうち、制約情報が対応付いたタスクである。つまり、対象タスクは、1つ以上の可変タスクの各々である。制約タスクとは、複数のタスクのうち、対象タスクに対応付いている制約情報の制約を与えるタスクである。
【0074】
(2-4-2)各種のタスク間制約
タスク間制約は、詳しくは、図4に示したような、並行制約、非同時制約、連結制約、並走制約、完了制約、事後制約、同時制約及び後続制約、の8つの制約のうち1つ以上である。
【0075】
本実施形態におけるタスク間制約は、上記8つの制約の全てである。ただし、タスク間制約は、上記8つの制約から同時制約及び後続制約を除いた残り6つでもよいし、並行制約及び連結制約の2つでもよいし、いずれか1つのみでも構わない。
【0076】
(2-4-2a)並行制約
並行制約は、対象タスクと制約タスクとの2つのタスクの間で、当該2つのタスクに対応する2つの開始時刻(ts1,ts2)が互いに一致し(ts1=ts2)、かつ当該2つのタスクに対応する2つの終了時刻(te1,te2)が互いに一致する(te1=te2)、という制約である。
【0077】
つまり、並行制約の下にある対象タスクは、制約タスクの開始と同時に開始し、制約タスクの終了と同時に終了することが求められる。
【0078】
なお、並行制約の対象となる対象タスク及び制約タスクは、例えば、図7に示される人員計画画面(後述)内の「ピッキング」及び「補充」である。この例での対象タスクである「補充」は、制約タスクである「ピッキング」の開始と同時に開始し、「ピッキング」の終了と同時に終了することが求められる。
【0079】
(2-4-2b)非同時制約
非同時制約は、対象タスクの終了時刻te2が制約タスクの開始時刻ts1よりも早い(te2<ts1)、又は対象タスクの開始時刻ts2が制約タスクの終了時刻te1よりも遅い(te1<ts2)、という制約である。
【0080】
つまり、非同時制約の下にある対象タスクは、制約タスクの実行中は実行しないことが求められる。
【0081】
(2-4-2c)連結制約
連結制約は、対象タスクの開始時刻ts2が制約タスクの終了時刻te1と一致する、という制約である。
【0082】
つまり、連結制約の下にある対象タスクは、制約タスクの終了と同時に開始することが求められる。
【0083】
なお、連結制約の対象となる対象タスク及び制約タスクは、例えば、図7に示される人員計画画面(後述)内の「入庫」及び「ピッキング」である。この例での対象タスクである「ピッキング」は、制約タスクである「入庫」の終了と同時に開始することが求められる。
【0084】
(2-4-2d)並走制約
並走制約は、対象タスクの開始時刻が、制約タスクの開始時刻ts1より遅く、かつ制約タスクの終了時刻te1より早い、という制約である。
【0085】
つまり、並走制約の下にある対象タスクは、制約タスクの実行中に開始し、制約タスクの終了後に終了することが求められる。
【0086】
(2-4-2e)完了制約
完了制約は、対象タスクの開始時刻ts2が、制約タスクの終了時刻te1よりも遅い(te1<ts2)、という制約である。
【0087】
つまり、完了制約の下にある対象タスクは、制約タスクの終了後に開始することが求められる。
【0088】
(2-4-2f)事後制約
事後制約は、対象タスクの開始時刻ts2は任意であり、対象タスクの終了時刻te2が、制約タスクの終了時刻te1よりも遅い(te1<ts2)、という制約である。
【0089】
つまり、事後制約の下にある対象タスクは、いつでも開始でき、制約タスクの終了後の終了することが求められる。
【0090】
(2-4-2g)同時制約
同時制約は、対象タスクの開始時刻ts2が制約タスクの開始時刻t1よりも遅く(t1<ts2)、かつ対象タスクの終了時刻te2が、制約タスクの終了時刻te1よりも早い(te2<te1)、という制約である。
【0091】
つまり、同時制約の下にある対象タスクは、制約タスクの実行中に開始及び終了することが求められる。
【0092】
(2-4-2h)後続制約
後続制約は、対象タスクの開始時刻ts2が、制約タスクの開始時刻ts1よりも遅く(ts1<ts2)、かつ制約タスクの終了時刻(te1)よりも早い(ts2<te1)、という制約である。
【0093】
つまり、後続制約の下にある対象タスクは、制約タスクの実行中に開始することが求められる。
【0094】
これにより、各種のタスク間制約に対する違反に応じたペナルティスコアを取得できる。
【0095】
(2-5)違反度
違反度は、違反タスク数、違反人数、及び違反時間、のうち1つ以上の情報を基に算出される。
【0096】
違反度は、例えば、違反タスク数でもよいし、違反タスク数を基に算出される値でもよいし、違反タスク数と違反人数及び違反時間のいずれか一方又は両方とを基に算出される値でもよいし、違反人数及び違反時間のいずれか一方又は両方を基に算出される値でもよい。
【0097】
(2-5-1)違反タスク数
違反タスク数とは、違反タスクの数である。
【0098】
(2-5-1a)違反タスク
違反タスクとは、1つ以上の可変タスクのうち、制約情報の制約に違反しているタスクである。
【0099】
(2-5-1b)違反タスクの例
例えば、図4の最上段に示した並行制約に対する違反タスクは、図5A図5Dに示したいずれかの対象タスクである。
【0100】
図5Aの対象タスクは、終了時刻te2が制約タスクの終了時刻te1と同じ(te2=te1)である一方、開始時刻ts2が制約タスクの開始時刻ts1より早い(ts2<ts1)ため、違反タスクである。
【0101】
図5Bの対象タスクは、終了時刻te2が制約タスクの終了時刻te1と同じ(te2=te1)である一方、開始時刻ts2が制約タスクの開始時刻ts1より遅い(ts1<ts2)ため、違反タスクである。
【0102】
図5Cの対象タスクは、開始時刻ts2が制約タスクの開始時刻ts1と同じ(ts2=ts1)である一方、終了時刻te2が制約タスクの終了時刻te1より早い(te2<te1)ため、違反タスクである。
【0103】
図5Dの対象タスクは、開始時刻ts2が制約タスクの開始時刻ts1と同じ(ts2=ts1)である一方、終了時刻te2が制約タスクの終了時刻te1より遅い(te1<te2)ため、違反タスクである。
【0104】
また、図4の上から2段目に示した並行制約に対する違反タスクは、図6A及び図6Bに示したいずれかの対象タスクである。
【0105】
図6Aの対象タスクは、開始時刻ts2が制約タスクの終了時刻te1よりも早い(te2<te1)であるため、違反タスクである。
【0106】
図6Bの対象タスクは、開始時刻ts2が制約タスクの終了時刻te1よりも遅い(te2>te1)であるため、違反タスクである。
【0107】
(2-5-1c)違反タスク数の例
例えば、並行制約に対する違反タスク数は、図5A図5Dのいずれかの対象タスクに該当する可変タスク、の数である。また、連結制約に対する違反タスク数は、図6A及び図6Bのいずれかの対象タスクに該当する可変タスク、の数である。
【0108】
(2-5-2)違反人数
違反人数は、1つ以上の違反タスクに対応付いた1つ以上の人数情報、に基づく人数である。
【0109】
(2-5-2a)違反人数の例
例えば、図5Aの対象タスクに対応する一の違反タスクが存在する場合における違反人数は、当該一の違反タスクに対応する人数情報である。また、図5Aの対象タスク~図5Dの対象タスクに対応する4つの違反タスクが存在する場合における違反人数は、当該4つの違反タスクに対応する4つの人数情報、の合計である。同様に、図6Aの対象タスク及び図6Bの対象タスクに対応する2つの違反タスクが存在する場合における違反人数は、当該2つの違反タスクに対応する2つの人数情報、の合計である。
【0110】
(2-5-3)違反時間
違反時間は、1つ以上の違反タスクに対応付いた1つ以上の時間情報と、1つ以上の違反タスクとそれぞれ対になる1つ以上の制約タスクに対応付いた1つ以上の時間情報と、に基づく時間である。
【0111】
例えば、一の違反タスクが存在する場合における違反時間は、当該一の違反タスクに対応付いた時間情報と、当該一の違反タスクと対になる制約タスクに対応付いた時間情報と、の間の時間差(詳しくは、開始時刻間同士の時間差、終了時刻同士の時間差、一方の開始時刻と他方の終了時刻との時間差、一方の終了時刻と他方の開始時刻との時間差)である。
【0112】
(2-5-3a)違反時間の例
例えば、図5Aの対象タスクに対応する一の違反タスクが存在する場合における違反時間は、制約タスクの開始時刻ts1から対象タスクの開始時刻ts2を減算した結果(Δt=ts1-ts2)である。また、図5Aの対象タスク、図5Bの対象タスク、図5Cの対象タスク、及び図5Dの対象タスクに対応する4つの違反タスクが存在する場合における違反時間は、当該4つの違反タスクに対応する4つの違反時間(Δt=ts1-ts2,Δt=ts2-ts1,Δt=te1-te2,及びΔt=te2-te1)の合計である。
【0113】
同様に、図6Aの対象タスク及び図6Bの対象タスクに対応する2つの違反タスクが存在する場合における違反時間は、当該2つの違反タスクに対応する2つの違反時間(Δt=te1-ts2,及びΔt=ts2-te1)の合計である。ただし、図6Bの例に対応する違反時間は、Δt=ts2-te1に代えて、Δt=te2-te1でもよい。
【0114】
(2-5-4)違反度の算出
違反度の算出は、例えば、上記1つ以上の情報をパラメータとする増加関数又はそれと同等の情報(データテーブル、モデル等)を用いた算出である。
【0115】
増加関数は、例えば、上記1つ以上の情報の加算値(単純加算値又は加重加算値)を求める関数でもよいし、上記1つ以上の情報の二乗和を求める関数、又は二乗和を用いる関数などでも構わない。
【0116】
このように、違反タスク数、違反人数、違反時間、のうち1種類以上の情報に基づく違反度によって、ペナルティスコアの精度向上を図ることができる。
【0117】
(2-6)タスク種別及びタスク詳細種別
複数のタスクは、例えば、図11に示すように、人数情報及び時間情報の各々の可変性に基づいて、前述した可変タスクと、固定タスクとに分別される。
【0118】
本実施形態では、タスクの可変性に基づく分類(可変タスク及び固定タスク)を「タスク種別」と称する。また、タスクの物量依存性及び他タスク依存性に基づく分類を「タスク詳細種別」と称する。
【0119】
(2-6-1)固定タスク、及び固定タスクに関するタスク詳細種別
本実施形態における固定タスクは、時間情報及び人数情報のいずれも変動しないタスクである。
【0120】
固定タスクに関するタスク詳細種別は、全固定タスクを含む。全固定タスクは、物量にも他タスクにも依存しないタスクである。なお、固定タスクは、通常、全固定タスクのみである。
【0121】
(2-6-2)可変タスクのタスク詳細種別
可変タスクは、例えば、図11に示すような3つ以上のタスク詳細種別のいずれかである。3つ以上のタスク詳細種別は、業務量変動タスク、人数固定並行タスク及び業務量固定タスクを含む。業務量変動タスクは、人数情報及び時間情報が物量に依存して変動するタスクである。人数固定並行タスクは、人数情報が固定であり、かつ時間情報が他タスクとの間で並行制約を受けて変動するタスクである。業務量固定タスクは、人数情報及び時間情報が、物量に依存することなく、かつ他タスクとの間でタスク間制約を受けて変動するタスクである。
【0122】
(2-6-3)種別情報
1つ以上の可変タスクの各々には、種別情報が対応付いている。種別情報とは、可変タスクが上記3つ以上のタスク詳細種別のいずれであるかを示す情報である。
【0123】
(2-6-4)種別情報に基づく可変情報の変動
人員計画部122は、1つ以上の可変タスクの各々の可変情報を、可変タスクに対応付いた種別情報に基づいて変動させてもよい。
【0124】
これによって、1つ以上の可変タスクの各々(以下、各可変タスク)の人数情報及び時間情報を、タスク詳細種別によって異なる方法で変動させることが可能となる。
【0125】
詳しくは、人員計画部122は、可変情報が業務量変動タスクを示す場合は、物量に応じて人数情報及び時間情報を変動させる。また、人員計画部122は、可変情報が人数固定並行タスクを示す場合は、人数情報を変動させず、他タスクとの間で並行制約を満たすように時間情報のみを変動させる。さらに、人員計画部122は、可変情報が業務量固定タスクを示す場合は、物量によらず、他タスクとの間でタスク間制約を満たすように、人数情報及び時間情報を変動させる。
【0126】
こうして、各可変タスクの人数及び時間を、タスク詳細種別に対応した方法で変動させることで、人数の波をより効果的に抑えつつ、生産性の更なる向上を図ることができる。例えば、業務量変動タスクについて、人数及び時間を物量に応じて変動させることは、生産性の向上に寄与し得る。
【0127】
(2-6-5)固定タスクの利用方法
前述した複数のタスクは、通常、1つ以上の可変タスクに加えて、1つ以上の固定タスクを更に含む。
【0128】
人員計画部122は、1つ以上の可変タスクの各々を、違反度を取得する対象である対象タスクとし、1つ以上の固定タスクの各々を、対象タスクに関して制約情報の制約を与える制約タスクとして、ペナルティスコアを取得してもよい。
【0129】
このように、人数及び時間の少なくとも一方が変動する可変タスクを違反度の取得対象である対象タスクとし、人数及び時間のいずれも変動しない固定タスクを、対象タスクに関して制約を与える制約タスクとすることで、生産性には寄与しない固定タスクを利用して、人数の波の抑制を図ることができる。
【0130】
(2-7)スコア補正
人員計画部122は、人員計画処理の対象となっている人員計画情報を基に、複数のタスクの各々に割り当てられている人時を複数の単位期間ごとに合計する。そして、人員計画部122は、合計人数列が予め決められた補正条件を満たす場合に補正用スコアを更に取得する。
【0131】
(2-7-1)合計人数列
合計人数列とは、例えば、図8A等に示すような、一の期間を構成する複数の単位期間に対応する複数の合計人数、の時間軸に沿った配列、又はそのような配列と同等の情報である。なお、配列と同等の情報とは、例えば、開始時刻と合計人数との対の集合である。開始時刻と合計人数との対の集合は、例えば“(10時,5人),(11時,5人)・・・(16時,6人)”などである。
【0132】
合計人数列を構成する複数の合計人数を、一の期間に渡って総計することで、総人時が取得される。例えば、図8Aに示す合計人数列からは、総人時“45人”が取得される。
【0133】
従って、合計人数列によれば、一の期間に渡る総人時、及び単位期間あたりの合計人数の時間変化、が取得される。
【0134】
(2-7-2)補正条件及び補正用スコア
補正条件とは、合計人数列における局所的な人数変動の発生に関する条件である。
【0135】
補正用スコアは、合計人数列が補正条件を満たした場合に、人数変動が抑制されるように複合スコアを補正する。抑制とは、連続する単位期間の間での人数差が閾値以下となることである。
【0136】
このように、補正条件を満たす場合に取得される補正用スコアによって、人数の波の抑制を図ることが可能となる。
【0137】
(2-7-2a)第1補正条件及び補正用スコア:人数の波の抑制
補正条件は、例えば、第1補正条件である。第1補正条件とは、合計人数列において、隣り合う2つの単位期間に対応する2つの合計人数の間の差分である人数差が閾値以上である、という条件である。
【0138】
人数差に関する閾値は、例えば、1人でもよいし、人員の総数に応じた値でもよい。なお、人数差に関する閾値は、変更可能であってもよい。
【0139】
補正用スコアは、合計人数列が第1補正条件を満たす場合に、複合スコアの値を悪化方向に補正する。悪化方向は、本実施形態では増加方向である。
【0140】
補正は、人数差に応じた補正用スコアの複合スコアへの加算である。加算される補正用スコアの値は、人数差に応じた値(例えば、人数差と等しい値、人数差の2乗、人数差に所定値を加算した加算結果の2乗など)である。
【0141】
このように、隣接期間での人数差が閾値以上であるという旨の第1補正条件、を満たす場合に取得される補正用スコアが、複合スコアの値を悪化させることで、人数の波の抑制が可能となる。
【0142】
なお、第1補正条件に対応する好ましい補正用スコアは、人数差が大きいほど悪い値を示す。悪い値は、例えば、人数差と等しい値でもよいし、人数差の2乗でも、人数差に所定値を加算した加算結果の2乗でもよい。
【0143】
こうして、補正用スコアが、隣接期間での人数差が大きいほど複合スコアを悪化させることで、人数の波の効果的な抑制が可能となる。
【0144】
(2-7-2b)第2補正条件及び補正用スコア:業務終盤での尻下がりの実現
補正条件は、第2補正条件であってもよい。第2補正条件とは、合計人数列を構成する複数の合計人数のうち、業務期間の終端側にある合計人数が、直前の合計人数に対して増加している、という条件である。
【0145】
補正用スコアは、合計人数列が第2補正条件を満たす場合に、複合スコアの値を悪化方向に補正する。
【0146】
第2補正条件を満たす合計人数列の一例が、図8Aに示される。この例での基準時刻は、12:00である。
【0147】
図8Aの合計人数列は、図7に示す人員計画画面内の7つの単位期間“10:00~11:00”,“11:00~12:00”,“12:00~13:00”,“13:00~14:00”,“14:00~15:00”,“15:00~16:00”,“16:00~17:00”に対応する7つの合計人数“5”,“5”,“8”,“9”,“9”,“4”及び“6”で構成される。
【0148】
図8Aの合計人数列では、単位期間“11:00~12:00”とその直後の単位期間“12:00~13:00”との間(第1境界)で、合計人数が“8人”から“9人”に増加している。また、単位期間“15:00~16:00”とその直後の単位期間“16:00~17:00”との間(第2境界)で、合計人数が“4人”から“6人”に増加している。
【0149】
なお、第1境界での増分は1人、基準時刻と第1境界との時間差は0であるのに対し、第2境界での増分は2人、基準時刻と第2境界との時間差は4時間であることから、第2境界に関するスコア補正の方が、第1境界に関するスコア補正と比べて、複合スコアの悪化が顕著となる。このため、例えば、第1境界でのみ人数増加が生じた合計人数列と、第2境界でのみ人数増加が生じた合計人数列とでは、後者の合計人数列の方がスコア悪化が顕著となり、最適化の候補から排除されやすい。
【0150】
図8Aの合計人数列に対して、第2補正条件に基づくスコア補正(補正用スコアの加算)を行った後の合計人数列の一例が、図8Bに示される。図8Bの合計人数列は、図9に示す人員計画画面内の合計人数“5”,“5”,“9”,“9”,“9”,“5”及び“3”に対応している。
【0151】
図8Bの合計人数列では、図8Aの合計人数列に対し、単位期間“12:00~13:00”の合計人数が“8人”から“9人”に、単位期間“15:00~16:00”の合計人数が“4人”から“5人”に、単位期間“16:00~17:00”の合計人数が“6人”から“3人”に、それぞれ変化している。
【0152】
これにより、単位期間“12:00~13:00”とその直後の単位期間“13:00~14:00”との間、及び単位期間“15:00~16:00”とその直後の単位期間“16:00~17:00”との間、の各々で生じていた人数増加が解消される結果となっている。
【0153】
このように、業務期間の終端側で人数の増加が生じているという旨の第2補正条件、を満たす場合に取得される補正用スコアが、複合スコアの値を悪化させることで、終端側での人数増加が抑制される結果、業務期間の終端に近づくにつれて人数が単調に減っていく「尻下り」の実現を図ることが可能となる。
【0154】
なお、前述したように、本実施形態における業務期間は、通常、一の日に属する。このような業務期間の場合、第2補正条件は、合計人数列を構成する複数の合計人数のうち、当該一の日の予め決められた基準時刻より後にある合計人数が、直前の合計人数に対して増加している、という条件であってもよい。
【0155】
基準時刻は、例えば、12:00(正午)であるが、午後3時など適宜な時刻でよいであり、基準時刻より後とは、例えば、午後、午後の休憩後などである。なお、基準時刻は、変更可能でもよい。
【0156】
これにより、一の日の基準時刻以後(例えば、午後)に人数が単調に減っていく「尻下り」の実現を図ることが可能となる。
【0157】
なお、第2補正条件に対応する好ましい補正用スコアは、直前の合計人数に対する増加の増分が大きいほど、又は当該増加の時刻が遅いほど、悪い値を示す。
【0158】
前述したように、本実施形態では、大きい値ほど悪い値であり、補正用スコアは、例えば、増分と等しい値、増分の2乗、増分に所定値を加算した加算結果の2乗などである。または、補正用スコアは、基準時刻との時間差、時間差の2乗、時間差に所定値を加算した加算結果の2乗などでもよい。
【0159】
このように、補正用スコアが、人数の増分が大きいほど、又は人数増加が生じた時刻が遅いほど、複合スコアを悪化させることで、人数の尻下がりの実現を効果的に図ることが可能となる。
【0160】
(2-7-2c)第3補正条件及び補正用スコア:中途に0人期間を含む計画の排除
補正条件は、第3補正条件であってもよい。第3補正条件は、合計人数列を構成する複数の合計人数のうち、先頭及び末尾のものを除く合計人数が閾値以下である、という条件である。
【0161】
合計人数に関する閾値は、例えば0人である。つまり、第3補正条件は、例えば、合計人数列を構成する複数の合計人数のうち、先頭及び末尾のものを除く合計人数が0人である、という条件である。なお、合計人数に関する閾値は、変更可能であってもよい。
【0162】
補正用スコアは、合計人数列が第3補正条件を満たす場合に、複合スコアの値を最適化条件を満たし得ないほど大きく悪化させる。
【0163】
本実施形態における悪化は増大である。最適化条件を満たし得ないほどの増大は、例えば、複合スコアに対し、その10倍や100倍といったオーダーの値を加算することでもよい。
【0164】
第3補正条件を満たす合計数列の一例が図10Aに、第3補正条件を満たさない合計数列の一例が図10Bに、それぞれ示される。図10Aの合計人数列では、一の期間の中途の単位期間“13:00~14:00”の合計人数が“0人”であるため、第3補正条件が満たされ、第3補正条件に基づくスコア補正が行われる。その結果、図10Aの合計人数列に対応する人員計画情報は、最適化候補から排除される。
【0165】
これに対して、図10Bの合計人数列では、合計人数が“0人”の単位期間は、一の期間の先頭の単位期間“10:00~11:00”(又は末尾の単位期間“16:00~17:00”)であるため、第3補正条件は満たされず、第3補正条件に基づくスコア補正は行われない。このため、図10Aの合計人数列に対応する人員計画情報が最適化候補から排除されることはない。
【0166】
これによって、合計人数の両端以外に0人が含まれる(すなわち、一の期間の途中に人数情報が0人を示す単位期間(0人期間)がある、という旨の第3補正条件、を満たす場合に取得される補正用スコアが、複合スコアの値を大きく悪化させることで、一の期間の途中に0人期間を含む人員計画情報の排除を図ることが可能となる。
【0167】
(2-7-2d)スコア補正を行う場合のスコア:第2加重加算値又は第2単純加算値
前述したように、本実施形態では小さい値ほど良い値であり、大きい値ほど悪い値である。
【0168】
本実施形態では、スコア補正を行う場合のスコアもまた、加重加算値である。ただし、この場合の加重加算値は、ベーススコア(BS)に第1係数(w1)を乗算した第1乗算結果(w1×BS)に、ペナルティスコア(PS)に第2係数(w2)を乗算した第2乗算結果(w2×PS)と、補正用スコア(CS)に第3係数(w3)を乗算した第3乗算結果(w3×CS)と、を加算した値(w1×BS+w2×PS+w3×CS)である。
【0169】
つまり、スコア補正を行う場合のスコアは、前述したようなベーススコアとペナルティスコアとの加重加算値である複合値に、補正用スコア(CS)に第3係数(w3)を乗算した第3乗算結果(w3×CS)を更に加算した第2加重加算値である。
【0170】
このように、スコア補正を行う場合も加重加算値(第2単純加算値)を用いることで、人数の波の抑制効果と生産性の向上効果との間のバランスをとりつつ、処理量の抑制を図ることができる。
【0171】
ただし、スコア補正を行う場合のスコアは、単純加算値でもよい。この場合の単純加算値は、ベーススコア(BS)にペナルティスコア(PS)と補正用スコア(CS)とを加算した値(BS+PS+CS)である。
【0172】
つまり、スコア補正を行う場合のスコアは、前述したような、ベーススコアとペナルティスコアとの単純加算値である複合値に、補正用スコアを更に単純加算した第2加算値であってもよい。
【0173】
このように、スコア補正を行う場合も単純加算値(第2単純加算値)を用いることで、処理量の抑制を図ることができる。
【0174】
(2-8)受付部
人員計画システム100は、受付部11を更に備える。受付部11は、例えば、係数変更操作を受け付け可能である。
【0175】
(2-8-1)係数変更操作とそれに応じた係数変更
係数変更操作は、第1係数、第2係数及び第3係数のうち1つ以上の係数、を変更する操作である。
【0176】
人員計画部122は、受付部11が受け付けた係数変更操作に応じて、上記1つ以上の係数の変更処理を行う。
【0177】
このように、各種の重み付け係数の手動変更を可能としたことで、人数の波の抑制効果と生産性の向上効果との間のバランスをとることについて、複数の現場でのカスタマイズの容易化が図られる。
【0178】
なお、受付部11は、第2補正条件における基準時刻を変更する時刻変更操作、を受け付けてもよい。例えば、受付部11が、上記基準時刻を変更する時刻変更操作を受け付け、人員計画部122は、当該受け付けられた時刻変更操作に応じた基準時刻の変更処理を行ってもよい。
【0179】
また、受付部11は、例えば、第1補正条件における人数差に関する閾値、及び第3補正条件における合計人数に関する閾値、などの各種の閾値を変更する閾値変更操作も受け付け、人員計画部122は、当該受け付けられた閾値変更操作に応じた閾値の変更処理を行ってもよい。
【0180】
(2-9)人員配置部
人員計画システム100は、人員配置部123を更に備える。出力部13は、人員計画部122が出力した人員計画情報と、スキル情報とを基に、人員配置情報を取得する。
【0181】
(2-9-1)スキル情報
スキル情報とは、複数の人員の各々の複数の業務の各々に対するスキルに関する情報である。スキル情報は、例えば、人員を識別する人員識別子と、業務を識別する業務識別子と、スキルを示すスキル値(例えば、1~3の3段階)と、の組の集合である。スキル情報は、予めメモリに記憶されている。
【0182】
なお、スキル情報等の情報が記憶されるメモリは、例えば、人員計画装置1(後述)のメモリであるが、サーバ2(後述)のメモリでもよい。メモリは、人員計画システム100(例えば、人員計画装置1)のプロセッサがアクセス可能なメモリであれば、その所在は問わない。
【0183】
人員配置情報は、複数のタスクへの複数の人員の配置を行うための情報である。人員配置情報は、例えば、人員識別子とタスク識別子との対の集合である。人員配置情報は、メモリに記憶される。
【0184】
こうして、最適化された人員計画を基に、スキル情報を用いた人員配置を行うことで、更なる効率化を図ることができる。
【0185】
(3)具体例
次に、図1図3及び図7図9を参照して人員計画システム100の具体例を説明する。なお、既出事項についての説明は、省略又は簡略化する。
【0186】
本例の人員計画システム100は、図1に示すように、人員計画装置1と、サーバ2と、1つ以上(図1では1つ)の端末3と、を備える。人員計画装置1は、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワーク200を介して、サーバ2及び1つ以上の端末3の各々と通信可能に接続される。
【0187】
(3-1)人員計画装置
人員計画装置1は、図1に示すように、受付部11と、処理部12と、出力部13とを備える。
【0188】
受付部11は、各種の操作を受け付ける。各種の操作は、例えば、係数変更操作、時刻変更操作、閾値変更操作、及び出力操作などである。出力操作とは、人員計画情報等の情報を出力させるための操作である。
【0189】
受付部11による受け付けは、通常、端末3の入力デバイスを介した受け付け(ネットワーク200を介した受信)であるが、人員計画装置1自身の入力デバイスを介した受け付けでもよい。
【0190】
処理部12は、各種の処理を行う。各種の処理とは、例えば、業務量取得部121の業務量処理、人員計画部122の人員計画処理、及び人員配置部123の人員配置処理などである。また、処理部12は、フローチャートで説明する各種の判断なども行う。
【0191】
出力部13は、各種の情報を出力する。各種の情報は、例えば、人員計画情報、人員配置情報などである。出力部13による出力は、通常、端末3の出力デバイスを介した各種の情報の出力(例えば、端末3のディスプレイを介した人員計画情報等の情報の表示)である。
【0192】
(3-2)サーバ及び端末
サーバ2は、物量データ、生産性データ、及びスキル情報などの各種の情報を格納しており、格納している情報を人員計画装置1に提供(ネットワーク200を介して送信)する。
【0193】
端末3は、タッチパネル等の入力デバイスを介して各種の操作を受け付け、受け付けた操作に応じた操作信号をネットワーク200を介して人員計画装置1に送信する。また、端末3は、人員計画装置1からネットワーク200を介して送信された人員計画情報等の情報を、通信モジュールを介して受信し、ディスプレイに表示する。
【0194】
(3-3)実現手段
人員計画装置1、サーバ2及び端末3の各々は、プロセッサ及びメモリと、ネットワーク通信を実現する通信モジュールとを有する。また、端末3は、上記各種の操作を受け付けるための入力デバイス(例えば、タッチパネル、操作ボタン等)、及び人員計画情報等の情報を出力するための出力デバイス(ディスプレイやスピーカ等)を更に有する。
【0195】
なお、人員計画装置1及びサーバ2の各々も、入力デバイス及び出力デバイスを有していてもよい。
【0196】
人員計画装置1のメモリにプログラム及び各種の情報が格納され、プロセッサがメモリ内の情報に基づいて動作(更に通信モジュールと協働)することにより、図1に示した各部の機能が実現される。
【0197】
また、サーバ2のメモリにプログラム及び各種の情報が格納され、プロセッサがメモリ内の情報に基づいて動作(更に通信モジュールと協働)することにより、サーバ2の機能が実現される。
【0198】
さらに、端末3のメモリにプログラム及び各種の情報が格納され、プロセッサがメモリ内の情報に基づいて動作(更に、通信モジュール、入力デバイス及び出力デバイスと協働)することにより、端末3の機能が実現される。
【0199】
(3-4)人員計画装置の動作例
(3-4-1)全体動作
人員計画装置1は、例えば、図2及び図3のフローチャートに従って動作する。なお、図2のフローチャートに従う処理は、人員計画装置1の起動に応じて開始される。
【0200】
本例におけるスコアは、ベーススコア(BS)、ペナルティスコア(PS)及び補正用スコア(CS)の加重加算値(w1×BS+w2×PS+w3×CS)である。人員計画装置1のメモリには、人員計画情報及び制約情報などが記憶されている。
【0201】
人員計画装置1が起動されると、人員計画装置1を構成する処理部12が、初期処理を行う(ステップS1)。初期処理では、例えば、物量データ、生産性データ及びスキル情報等の情報のサーバ2からの取得、受付部11を介した閾値変更操作等の操作の受け付け、などが行われる。
【0202】
次に、処理部12を構成する業務量取得部121が、ステップS1で取得された物量データ及び生産性データを基に、業務量情報を取得する業務量取得処理を実行する(ステップS2)。
【0203】
次に、人員計画部122が、ステップS2で取得された業務量情報を基に、メモリに記憶されている制約情報の制約下で、メモリに記憶されている人員計画情報に対して、人員計画処理を実行する(ステップS3)。なお、人員計画処理については、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0204】
次に、人員配置部123が、ステップS1で取得されたスキル情報、及びステップS3の人員計画処理によって最適化された人員計画情報を基に、人員計画処理を行い、人員計画情報を取得する(ステップS4)。取得された人員配置情報は、メモリに記憶される。その後、処理は終了される。
【0205】
(3-4-2)人員計画情報等の出力
なお、図2のフローチャートでは省略しているが、メモリに記憶されている人員計画情報及び人員配置情報の各々は、受付部11による出力操作の受け付け(例えば、端末3からの操作信号の受信)に応じて、出力部13によって出力(例えば、端末3のディスプレイに表示)される。
【0206】
(3-4-3)最適化の前後での人員計画画面
例えば、ステップS3の人員計画処理の開始前に、人員計画情報を対象とする出力操作が行われると、後述するステップS301で初期解がセットされた人員計画情報(最適化前の人員計画情報)に基づいて、図7に示したような人員計画画面が表示される。
【0207】
図7の人員計画画面では、合計人数列(図8A参照)が第2補正条件を満たしており、総人時は“46人”である。
【0208】
また、ステップS3の人員計画処理の実行後に、人員計画情報を対象とする出力操作が行われると、後述するステップS313の更新処理の繰り返しを経てステップS314で最適化条件を満たした人員計画情報(最適化後の人員計画情報)を基に、図9に示したような人員計画画面が表示される。
【0209】
図9の人員計画画面では、第2補正条件に基づくスコア補正の結果、基準時刻12:00以降での合計人数の「尻下がり」(図8B参照)が実現され、総人時は“45人”に減少している。
【0210】
なお、図7および図9の人員計画画面では、単に「ピッキング」と表示しているが、ピッキングには、例えば、「飲料のピッキング」、「生鮮食品のピッキング」、「日用品のピッキング」といった、各種のピッキング(タスク)がある。これら各種のピッキングそれぞれに単位時間当たりの人数が割り当てられており、人員計画画面では、各種のピッキングごとに、単位時間当たりの人数を表示してもよい。
【0211】
(3-4-4)人員計画処理の詳細
上記ステップS3の人員計画処理は、詳しくは図3のフローチャートに従って実行される。
【0212】
人員計画部122は、1つ以上の可変タスクの各々について、可変情報に関する初期解を取得し、人員計画情報にセットする(ステップS301)。なお、セットされる初期解は、例えば、計算により新たに取得された1つ以上の最適値の集合(最適値群)でもよいし、メモリに記憶されている前回の最適値群でもよい。
【0213】
次に、人員計画部122は、可変タスクに対応付いている種別情報を基に、1つ以上の可変タスクに対応する1つ以上の可変情報のうち一の可変情報を変動させる(ステップS302)。変動の対象となる一の可変情報は、例えば、乱数を用いてランダムに選択される。可変情報の変動は、当該一の可変情報に対応する可変タスクに対応付いた種別情報を基に行われてもよい。
【0214】
次に、人員計画部122は、ベーススコアを算出し、変数BSにセットする(ステップS303)。
【0215】
次に、人員計画部122は、制約違反の有無を判断し(ステップS304)、制約違反なしと判断した場合、変数PSに“0”をセットする(ステップS305)。その後、処理はステップS307に進む。
【0216】
ステップS304で制約違反ありと判断した場合、人員計画部122は、ペナルティスコアを算出し、変数PSにセットする(ステップS306)。
【0217】
次に、人員計画部122は、補正条件が満たされた否かを判断し(ステップS307)、満たされていないと判断した場合、変数CSに“0”をセットする(ステップS308)。その後、処理はステップS310に進む。
【0218】
補正条件が満たされたと判断した場合、人員計画部122は、補正用スコアを算出し、変数CSにセットする(ステップS309)。
【0219】
次に、人員計画部122は、3つの変数BS,PS及びCSの加重加算値“w1×BS+w2×PS+w3×CS”を求め、スコアにセットする(ステップS310)。
【0220】
次に、人員計画部122は、スコアが最小スコアより小さいか否かを判断し(ステップS311)、スコアは最小スコアより小さくない(すなわち、最小スコア以上である)と判断した場合、この処理は、上位の処理(図2参照)にリターンする。
【0221】
スコアが最小スコアより小さいと判断した場合、人員計画部122は、最小スコアにスコアをセットする(ステップS312)。
【0222】
次に、人員計画部122は、最小スコアに対応する可変情報を用いて人員計画情報を更新する(ステップS313)。
【0223】
次に、人員計画部122は、最適化条件が満たされたか否かを判断する(ステップS314)。最適化条件は満たされていないと判断された場合、処理はステップS301に戻る。
【0224】
ステップS314で最適化条件が満たされたと判断された場合、この処理は、上位の処理(図2参照)にリターンする。
【0225】
なお、ステップS314の判断ステップは、オプション機能としてもよく、ステップS313で更新された人員計画情報を最終の人員計画情報としてそのまま出力してもよい。
【0226】
(4)変形例
人員計画システム100は、例えば、人員計画装置1単独で実現されてもよい。すなわち、人員計画装置1が、サーバ2及び端末3の機能を兼ね備えていてもよい。
【0227】
または、人員計画システム100は、例えば、人員計画装置1と1つ以上の端末3とで実現されてもよい。すなわち、1つ以上の端末3のいずれか1つが、サーバ2の機能を兼ね備えていてもよい。
【0228】
(5)人員計画方法及びプログラム
人員計画システム100と同様の機能は、人員計画方法又はプログラムによって実現さてもよい。人員計画方法は、上記各種のステップのうち、少なくともステップS2(業務量取得ステップ)及びステップS3(人員計画ステップ)を含む。
【0229】
プログラムは、人員計画方法を1つ以上のプロセッサに実行させる。1つ以上のプロセッサは、例えば、人員計画装置1のプロセッサ単独でもよいし、人員計画装置1のプロセッサ及びサーバ2のプロセッサの2つのプロセッサでもよいし、これら2つのプロセッサに1つ以上の端末3に対応する1つ以上のプロセッサを加えた3つ以上のプロセッサでもよい。
【0230】
(6)まとめ
第1の態様に係る人員計画システム(100)は、一の期間に行われる複数のタスクの各々に割り当てる人時を、前記一の期間を構成する複数の単位期間ごとに所定の制約の下で計画する。前記複数のタスクの各々には、タスク情報が対応付いている。前記タスク情報は、人数情報及び時間情報を含む。前記人数情報は、前記タスクに割り当てられる人数を特定する情報である。前記時間情報は、前記タスクの開始時刻及び終了時刻を特定する情報である。前記複数のタスクのうち1つ以上のタスクの各々は、可変タスクである。前記可変タスクは、タスクに対応付いている前記タスク情報に含まれる前記人数情報及び前記時間情報、のうち1つ以上が変動可能な可変情報であるようなタスクである。前記1つ以上の前記可変タスクの各々には、制約情報が更に対応付いている。前記制約情報は、タスク制約情報及びタスク間制約情報の少なくとも一方を含む。前記タスク制約情報は、タスク制約に関する情報である。前記タスク制約は、タスクに対応付いている前記1つ以上の前記可変情報の各々の変動範囲を制約する。前記タスク間制約情報は、タスク間制約に関する情報である。前記タスク間制約は、他のタスクとの間での前記時間情報の関係を制約する。人員計画システム(100)は、業務量取得部(121)と人員計画部(122)とを備える。業務量取得部(121)は、前記複数のタスクの各々について、物量データを生産性データで除算した結果を基に業務量情報を取得する。前記物量データは、前記タスクが取り扱う物量を示すデータである。前記生産性データは、前記タスクの生産性を示すデータである。前記業務量情報は、前記タスクが行う業務の業務量に関する情報である。人員計画部(122)は、前記複数のタスクに対応する複数の前記業務量情報と、前記1つ以上の前記可変タスクに対応付いている1つ以上の前記制約情報と、が入力され、人員計画情報に対し、人員計画処理を繰り返し実行する。前記人員計画情報は、前記複数のタスクに対応する複数の前記タスク情報で構成される。前記人員計画処理は、前記1つ以上の前記可変タスクに対応する1つ以上の前記タスク情報、の各々に含まれる前記1つ以上の前記可変情報を変動させつつスコアを取得する処理である。人員計画部(122)は、前記スコアが最適化条件を満たすときの前記人員計画情報を出力する。前記スコアは、複合スコアである。前記複合スコアは、ベーススコアと、ペナルティスコアと、を基に取得される。前記ベーススコアは、総人時が少ないほど良い値を示す。前記総人時は、前記人員計画情報を基に、前記複数のタスクの各々に割り当てられている人時を、前記一の期間に渡って合計した結果である。前記ペナルティスコアは、違反度が高いほど悪い値を示す。前記違反度は、前記制約情報の制約に対する違反の程度である。前記違反は、前記1つ以上の前記可変情報の変動に起因して生じる。
【0231】
この態様によれば、物量及び生産性を基に業務量を取得し、当該業務量に基づいて、タスク制約及びタスク間制約を含む制約下で可変情報を変動させつつ、一の期間に渡る総人時及び単位期間当たりの合計人数の時間変化に関するベーススコアと、制約違反に対するペナルティスコアと、に基づく複合スコアを取得し、複合スコアに基づく最適化を行うことで、物量及び生産性の少なくとも一方が異なる複数の現場の各々で、人数の波を抑えつつ生産性の向上を図ることができる。
【0232】
第2の態様に係る人員計画システム(100)では、第1の態様において、前記スコアは、小さい値ほど良い値であり、大きい値ほど悪い値である。前記複合スコアは、加算値である。前記加算値は、前記ベーススコアに前記ペナルティスコアを加算した値である。
【0233】
この態様によれば、加算値(単純加算でも加重加算でもよい)を用いることで、処理量の抑制を図ることができる。
【0234】
第3の態様に係る人員計画システム(100)では、第2の態様において、前記複合スコアは、加重加算値である。前記加重加算値は、前記ベーススコアに第1係数を乗算した第1乗算結果に、前記ペナルティスコアに第2係数を乗算した第2乗算結果、を加算した値である。
【0235】
この態様によれば、加重加算値を用いることで、人数の波の抑制効果と生産性の向上効果との間のバランスをとりつつ、処理量の抑制を図ることができる。
【0236】
第4の態様に係る人員計画システム(100)では、第1~第3のいずれかの態様において、前記タスク制約は、人数制約及び時間制約のうち1つ以上である。前記人数制約は、前記人数情報で特定される前記人数が、前記タスク制約情報が示す前記最少人数以上であり、かつ前記タスク制約情報が示す前記最大人数以下である、という制約である。前記時間制約は、前記時間情報で特定される前記開始時刻が、前記タスク制約情報の最早開始時刻以降であり、かつ、可変タスクに対応付いている時間情報の終了時刻が、タスク制約情報の最遅終了時刻以前である、という制約である。
【0237】
この態様によれば、各種のタスク制約に対する違反に応じたペナルティスコアを取得できる。
【0238】
第5の態様に係る人員計画システム(100)では、第4の態様において、前記タスク間制約は、並行制約、非同時制約、連結制約、並走制約、完了制約、事後制約、同時制約及び後続制約、のうち1つ以上である。前記並行制約は、前記1つ以上の可変タスクの各
々である対象タスクと、前記対象タスクに対応付いている前記制約情報の制約を与える制約タスクと、の2つのタスクの間で、前記2つのタスクに対応する2つの開始時刻が互いに一致し、かつ前記2つのタスクに対応する2つの終了時刻が互いに一致する、という制約である。前記非同時制約は、前記対象タスクの終了時刻が前記制約タスクの開始時刻よりも早い、又は前記対象タスクの開始時刻が前記制約タスクの終了時刻よりも遅い、という制約である。前記連結制約は、前記対象タスクの開始時刻が前記制約タスクの終了時刻と一致する、という制約である。前記並走制約は、前記対象タスクの開始時刻が、前記制約タスクの開始時刻より遅く、かつ前記制約タスクの終了時刻より早い、という制約である。前記完了制約は、前記対象タスクの開始時刻が、前記制約タスクの終了時刻よりも遅い、という制約である。前記事後制約は、前記対象タスクの開始時刻は任意であり、前記対象タスクの終了時刻が、前記制約タスクの終了時刻よりも遅い、という制約である。前記同時制約は、前記対象タスクの開始時刻が前記制約タスクの開始時刻よりも遅く、かつ前記対象タスクの終了時刻が、前記制約タスクの終了時刻よりも早い、という制約である。前記後続制約は、前記対象タスクの開始時刻が、前記制約タスクの開始時刻よりも遅く、かつ前記制約タスクの終了時刻よりも早い、という制約である。
【0239】
この態様によれば、各種のタスク間制約に対する違反に応じたペナルティスコアを取得できる。
【0240】
第6の態様に係る人員計画システム(100)では、第5の態様において、前記違反度は、違反タスク数、違反人数、及び違反時間、のうち1つ以上の情報を基に算出される。前記違反タスク数は、前記1つ以上の可変タスクのうち、前記制約情報の制約に違反している違反タスクの数である。前記違反人数は、1つ以上の前記違反タスクに対応付いた1つ以上の前記人数情報、に基づく人数である。前記違反時間は、1つ以上の前記違反タスクに対応付いた1つ以上の前記時間情報と、前記1つ以上の前記違反タスクとそれぞれ対になる1つ以上の制約タスクに対応付いた1つ以上の前記時間情報と、に基づく時間である。
【0241】
この態様によれば、違反タスク数、違反人数、違反時間、のうち1種類以上の情報に基づく違反度によって、ペナルティスコアの精度向上を図ることができる。
【0242】
第7の態様に係る人員計画システム(100)では、第5又は第6の態様において、前記可変タスクは、3つ以上のタスク詳細種別のいずれかである。前記3つ以上のタスク種別は、業務量変動タスク、人数固定並行タスク及び業務量固定タスクを含む。前記業務量変動タスクは、前記人数情報及び前記時間情報が前記物量に依存して変動する。前記人数固定並行タスクは、前記人数情報が固定であり、かつ前記時間情報が他タスクとの間で前記並行制約を受けて変動する。前記業務量固定タスクは、前記人数情報及び前記時間情報が、前記物量に依存することなく、かつ他タスクとの間で前記タスク間制約を受けて変動する。前記1つ以上の可変タスクの各々には、種別情報が対応付いている。前記種別情報は、前記3つ以上のタスク詳細種別のいずれであるかを示す情報である。人員計画部(122)は、前記1つ以上の可変タスクの各々の前記可変情報を、可変タスクに対応付いた種別情報に基づいて変動させる。
【0243】
この態様によれば、1つ以上の可変タスクの各々(各可変タスク)の人数情報及び時間情報を、タスク詳細種別によって異なる方法で変動させることが可能となる。
【0244】
第8の態様に係る人員計画システム(100)では、第7の態様において、人員計画部(122)は、前記可変情報が前記業務量変動タスクを示す場合は、前記物量に応じて前記人数情報及び前記時間情報を変動させる。また、人員計画部(122)は、前記可変情報が、前記人数固定並行タスクを示す場合は、前記人数情報を変動させず、前記他タスクとの間で前記並行制約を満たすように前記時間情報のみを変動させる。さらに、人員計画部(122)は、前記可変情報が前記業務量固定タスクを示す場合は、前記物量によらず、前記他タスクとの間で前記タスク間制約を満たすように、前記人数情報及び前記時間情報を変動させる。
【0245】
この態様によれば、各可変タスクの人数及び時間を、タスク詳細種別に対応した方法で変動させることで、人数の波をより効果的に抑えつつ、生産性の更なる向上を図ることができる。例えば、業務量変動タスクについて、人数及び時間を物量に応じて変動させることは、生産性の向上に寄与し得る。
【0246】
第9の態様に係る人員計画システム(100)では、第1~第8のいずれかの態様において、前記複数のタスクは、前記1つ以上の可変タスクに加えて、1つ以上の固定タスクを更に含む。前記固定タスクは、前記時間情報及び前記人数情報のいずれも変動しないタスクである。人員計画部(122)は、前記1つ以上の可変タスクの各々を、前記違反度を取得する対象である対象タスクとし、前記1つ以上の固定タスクの各々を、前記対象タスクに関して前記制約情報の制約を与える制約タスクとして、前記ペナルティスコアを取得する。
【0247】
この態様によれば、人数及び時間の少なくとも一方が変動する可変タスクを違反度の取得対象である対象タスクとし、人数及び時間のいずれも変動しない固定タスクを、対象タスクに関して制約を与える制約タスクとすることで、生産性には寄与しない固定タスクを利用して、人数の波の抑制を図ることができる。
【0248】
第10の態様に係る人員計画システム(100)では、第1~第9のいずれかの態様において、人員計画部(122)は、前記人員計画処理の対象となっている前記人員計画情報を基に、前記複数のタスクの各々に割り当てられている人時を前記複数の単位期間ごとに合計する。そして、人員計画部(122)は、前記複数の単位期間に対応する複数の合計人数を時間軸に沿って配列した合計人数列が、予め決められた補正条件を満たす場合に補正用スコアを更に取得する。前記補正条件は、局所的な人数変動の発生に関する条件である。前記補正用スコアは、前記人数変動が抑制されるように前記複合スコアを補正するためのスコアである。
【0249】
この態様によれば、補正条件を満たす場合に取得される補正用スコアによって、人数の波の抑制を図ることが可能となる。
【0250】
第11の態様に係る人員計画システム(100)では、第10の態様において、前記補正条件は、第1補正条件である。前記第1補正条件は、前記合計人数列において、隣り合う2つの単位期間に対応する2つの合計人数の間の差分である人数差が閾値以上である、という条件である。前記補正用スコアは、前記合計人数列が前記第1補正条件を満たす場合に、前記複合スコアの値を悪化方向に補正する。
【0251】
この態様によれば、隣接期間での人数差が閾値以上であるという第1補正条件、を満たす場合に取得される補正用スコアが、複合スコアの値を悪化させることで、人数の波の抑制が可能となる。
【0252】
第12の態様に係る人員計画システム(100)では、第11の態様において、前記補正用スコアは、前記人数差が大きいほど悪い値を示す。
【0253】
この態様によれば、補正用スコアが、隣接期間での人数差が大きいほど複合スコアを悪化させることで、人数の波の効果的な抑制が可能となる。
【0254】
第13の態様に係る人員計画システム(100)では、第10の態様において、前記一の期間は、業務期間である。前記業務期間は、業務開始時刻から業務終了時刻までの期間である。前記補正条件は、第2補正条件である。前記第2補正条件は、前記合計人数列を構成する複数の合計人数のうち、前記業務期間の終端側にある合計人数が、直前の合計人数に対して増加している、という条件である。前記補正用スコアは、前記合計人数列が前記第2補正条件を満たす場合に、前記複合スコアの値を悪化方向に補正する。
【0255】
この態様によれば、業務期間の終端側(例えば、午後)で人数の増加が生じているという第2補正条件、を満たす場合に取得される補正用スコアが、複合スコアの値を悪化させることで、終端側での人数増加が抑制される結果、業務期間の終端に近づくにつれて人数が単調に減っていく「尻下り」の実現を図ることが可能となる。
【0256】
第14の態様に係る人員計画システム(100)では、第13の態様において、前記業務期間は、一の日に属する期間である。前記第2補正条件は、前記合計人数列を構成する複数の合計人数のうち、前記一の日の予め決められた基準時刻より後にある合計人数が、直前の合計人数に対して増加している、という条件である。
【0257】
この態様によれば、一の日の基準時刻以後(例えば午後)に人数が単調に減っていく「尻下り」の実現を図ることが可能となる。
【0258】
第15の態様に係る人員計画システム(100)では、第13又は第14の態様において、前記補正用スコアは、前記増加の増分が大きいほど、又は前記増加の時刻が遅いほど、悪い値を示す。
【0259】
この態様によれば、補正用スコアが、人数の増分が大きいほど、又は人数増加が生じた時刻が遅いほど、複合スコアを悪化させることで、人数の尻下がりの実現を効果的に図ることが可能となる。
【0260】
第16の態様に係る人員計画システム(100)では、第10の態様において、前記補正条件は、第3補正条件である。前記第3補正条件は、前記合計人数列を構成する複数の合計人数のうち、先頭及び末尾のものを除く少なくとも1つの合計人数が閾値以下である、という条件である。前記補正用スコアは、前記合計人数列が前記第3補正条件を満たす場合に、前記複合スコアの値を前記最適化条件を満たし得ないほど大きく悪化させる。
【0261】
この態様によれば、合計人数の両端以外に0人が含まれる(すなわち、一の期間の途中に人数情報が0人を示す単位期間(0人期間)がある、という第3補正条件、を満たす場合に取得される補正用スコアが、複合スコアの値を大きく悪化させることで、一の期間の途中に0人期間を含む人員計画情報の排除を図ることが可能となる。
【0262】
第17の態様に係る人員計画システム(100)では、第10の態様において、前記スコアは、小さい値ほど良い値であり、大きい値ほど悪い値である。前記スコアは、加算値である。前記加算値は、前記ベーススコアに前記ペナルティスコアと前記補正用スコアとを加算した値である。
【0263】
この態様によれば、加算値(単純加算でも加重加算でもよい)を用いることで、処理量の抑制を図ることができる。
【0264】
第18の態様に係る人員計画システム(100)では、第17の態様において、前記スコアは、加重加算値である。前記加重加算値は、前記ベーススコアに第1係数を乗算した第1乗算結果に、前記ペナルティスコアに第2係数を乗算した第2乗算結果と、前記補正用スコアに第3係数を乗算した第3乗算結果と、を加算した値である。
【0265】
この態様によれば、加重加算値を用いることで、人数の波の抑制効果と生産性の向上効果との間のバランスをとりつつ、処理量の抑制を図ることができる。
【0266】
第19の態様に係る人員計画システム(100)は、第18の態様において、受付部(11)を更に備える。受付部(11)は、前記第1係数、前記第2係数及び前記第3係数のうち1つ以上の係数を変更する係数変更操作、を受け付け可能である。人員計画部(122)は、前記係数変更操作に応じて前記1つ以上の係数の変更処理を行う。
【0267】
この態様によれば、各種の重み付け係数の手動変更を可能としたことで、人数の波の抑制効果と生産性の向上効果との間のバランスをとることについて、複数の現場でのカスタマイズの容易化が図られる。
【0268】
第20の態様に係る人員計画システム(100)は、第1~第19のいずれかの態様において、人員配置部(123)を更に備える。人員配置部(123)は、人員計画部(122)が出力した前記人員計画情報と、スキル情報とを基に、前記複数のタスクへの前記複数の人員の配置を行うための人員配置情報を取得する。前記スキル情報は、複数の人員の各々の複数の業務の各々に対するスキルに関する情報である。
【0269】
この態様によれば、最適化された人員計画を基に、スキル情報を用いた人員配置を行うことで、更なる効率化を図ることができる。
【0270】
第21の態様に係る人員計画方法は、一の期間に行われる複数のタスクの各々に割り当てる人時を、前記一の期間を構成する複数の単位期間ごとに所定の制約の下で計画する。前記複数のタスクの各々には、タスク情報が対応付いている。前記タスク情報は、人数情報及び時間情報を含む。前記人数情報は、前記タスクに割り当てられる人数を特定する情報である。前記時間情報は、前記タスクの開始時刻及び終了時刻を特定する情報である。前記複数のタスクのうち1つ以上のタスクの各々は、可変タスクである。前記可変タスクは、タスクに対応付いている前記タスク情報に含まれる前記人数情報及び前記時間情報、のうち1つ以上が変動可能な可変情報であるようなタスクである。前記1つ以上の前記可変タスクの各々には、制約情報が更に対応付いている。前記制約情報は、タスク制約情報及びタスク間制約情報の少なくとも一方を含む。前記タスク制約情報は、タスク制約に関する情報である。前記タスク制約は、タスクに対応付いている前記1つ以上の前記可変情報の各々の変動範囲を制約する。前記タスク間制約情報は、タスク間制約に関する情報である。前記タスク間制約は、他のタスクとの間での前記時間情報の関係を制約する。前記人員計画方法は、業務量取得ステップ(S2)と人員計画ステップ(S3)とを含む。業務量取得ステップ(S2)では、前記複数のタスクの各々について、物量データを生産性データで除算した結果を基に、業務量情報が取得される。前記物量データは、前記タスクが取り扱う物量を示すデータである。前記生産性データは、前記タスクの生産性を示すデータである。前記業務量情報は、前記タスクが行う業務の業務量に関する情報である。人員計画ステップ(S3)では、前記複数のタスクに対応する複数の前記業務量情報と、前記1つ以上の前記可変タスクに対応付いている1つ以上の前記制約情報と、が入力され、人員計画情報に対し、人員計画処理が繰り返し実行される。前記人員計画情報は、前記複数のタスクに対応する複数の前記タスク情報で構成される。前記人員計画処理は、前記1つ以上の前記可変タスクに対応する1つ以上の前記タスク情報、の各々に含まれる前記1つ以上の前記可変情報を変動させつつスコアを取得する処理である。人員計画ステップ(S3)では、前記スコアが最適化条件を満たすときの前記人員計画情報が出力される。前記スコアは、複合スコアであり、前記複合スコアは、ベーススコアとペナルティスコアとを基に取得される。前記ベーススコアは、総人時が少ないほど良い値を示す。前記総人時は、前記人員計画情報を基に、前記複数のタスクの各々に割り当てられている人時を、前記一の期間に渡って合計した結果である。前記ペナルティスコアは、違反度が高いほど悪い値を示す。前記違反度は、前記制約情報の制約に対する違反の程度である。前記違反は、前記1つ以上の前記可変情報の変動に起因して生じる。
【0271】
この態様によれば、第1の態様と同様、物量及び生産性の少なくとも一方が異なる複数の現場の各々で、人数の波を抑えつつ生産性の向上を図ることができる。
【0272】
第22の態様に係るプログラムは、第21の態様の人員計画方法を1つ以上のプロセッサに実行させる。
【0273】
この態様によれば、第21の態様と同様、物量及び生産性の少なくとも一方が異なる複数の現場の各々で、人数の波を抑えつつ生産性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0274】
100 人員計画システム
1 人員計画装置
11 受付部
12 処理部
121 業務量取得部
122 人員計画部
123 人員配置部
13 出力部
2 サーバ
3 端末
200 ネットワーク
【要約】
【課題】物量及び生産性が異なる複数の現場で人数の波を抑えつつ生産性の向上を図る。
【解決手段】業務量取得部121は、複数のタスクの各々について、物量データ及び生産性データを基に業務量情報を取得する。人員計画部122は、複数のタスクに対応する複数の業務量情報と、1つ以上の可変タスクに対応付いている1つ以上の制約情報とが入力され、複数のタスクに対応する複数のタスク情報で構成される人員計画情報に対し、人員計画処理を繰り返し実行する。人員計画処理は、1つ以上の可変タスクに対応する1つ以上のタスク情報、の各々に含まれる1つ以上の可変情報を変動させつつスコアを取得する処理である。人員計画部122は、スコアが最適化条件を満たすときの人員計画情報を出力する。スコアは、総人時が少ないほど良い値を示すベーススコアと、前記制約情報の制約に対する違反度が高いほど悪い値を示すペナルティスコアと、を基に取得される。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11