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特許7422344報知制御装置、報知装置、報知制御方法および報知制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】報知制御装置、報知装置、報知制御方法および報知制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240119BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240119BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240119BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 H
G08B21/02
H04M1/00 U
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019234446
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021103435
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 敏浩
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 亮
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-217120(JP,A)
【文献】特開2019-140424(JP,A)
【文献】特開2007-272647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/02
G08G 1/00-99/00
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯可能な報知装置の報知部を制御する報知制御装置であって、
ユーザの周囲に位置する少なくとも1つの車両により定期的に発信される、前記車両の現在位置および走行方向に関する走行状況情報を取得する車両情報取得部と、
前記ユーザの現在位置および移動方向に関するユーザ移動状況情報を取得するユーザ情報取得部と、
前記ユーザの周囲の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記走行状況情報、前記ユーザ移動状況情報および前記環境情報に基づいて判定された前記車両と前記ユーザとの衝突の危険度に基づいて、前記衝突の危険性があることまたは前記車両の接近を示す警告情報を前記報知部に報知させる報知制御部と、を備え
前記環境情報取得部は、前記ユーザの周囲に設置されている監視カメラが前記ユーザを撮影した撮影画像のシーケンスを前記環境情報として取得する、報知制御装置。
【請求項2】
前記走行状況情報は、前記車両の位置情報、および、前記車両の走行方向を示す情報を含む、請求項1に記載の報知制御装置。
【請求項3】
前記ユーザ移動状況情報は、前記報知装置の位置情報、および、前記報知装置の移動方向を示す情報を含む、請求項2に記載の報知制御装置。
【請求項4】
前記走行状況情報、前記ユーザ移動状況情報および前記環境情報に基づいて前記危険度を判定する危険性判定部をさらに備え、
前記報知制御部は、前記危険性判定部により判定された前記危険度に基づいて前記警告情報を前記報知部に報知させる、請求項3に記載の報知制御装置。
【請求項5】
前記環境情報は、前記ユーザの周囲における防護物の有無を示す情報を含み、
前記報知制御部は、前記車両が走行する道路と前記ユーザとの間に前記防護物が存在すると判定された場合、前記警告情報を前記報知部に報知させない、請求項3または4に記載の報知制御装置。
【請求項6】
前記環境情報は、前記ユーザが存在する場所の高さを示す情報を含み、
前記報知制御部は、前記車両が走行する道路と前記ユーザが存在する場所とが異なる高さで交差していると判定された場合、前記警告情報を前記報知部に報知させない、請求項3から5のいずれか1項に記載の報知制御装置。
【請求項7】
前記環境情報は、前記報知装置に設けられた撮像部により撮像された撮像画像を含む、請求項3から6のいずれか1項に記載の報知制御装置。
【請求項8】
前記環境情報は、前記報知装置の周囲の地理を示す地図情報を含む、請求項3から7のいずれか1項に記載の報知制御装置。
【請求項9】
前記ユーザ移動状況情報は、前記報知装置の高度を示す情報を含み、
前記地図情報は、前記報知装置の周囲の3次元の地理を示す、請求項8に記載の報知制御装置。
【請求項10】
報知部と、
請求項1から9のいずれか一項に記載の報知制御装置と、を備える、報知装置。
【請求項11】
コンピュータによって、ユーザが携帯可能な報知装置の報知部を制御する報知制御方法であって、
前記コンピュータが、
ユーザの周囲に位置する少なくとも1つの車両により定期的に発信される、前記車両の現在位置および走行方向に関する走行状況情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記ユーザの現在位置および移動方向に関するユーザ移動状況情報を取得するユーザ情報取得ステップと、
前記ユーザの周囲の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記走行状況情報、前記ユーザ移動状況情報および前記環境情報に基づいて判定された前記車両と前記ユーザとの衝突の危険度に基づいて、前記衝突の危険性があることまたは前記車両の接近を示す警告情報を前記報知部に報知させる報知制御ステップと、を実行し
前記環境情報取得ステップでは、前記ユーザの周囲に設置されている監視カメラが前記ユーザを撮影した撮影画像のシーケンスを前記環境情報として取得する、報知制御方法。
【請求項12】
コンピュータに、ユーザが携帯可能な報知装置の報知部を制御させる報知制御プログラムであって、
前記コンピュータに、
ユーザの周囲に位置する少なくとも1つの車両により定期的に発信される、前記車両の現在位置および走行方向に関する走行状況情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記ユーザの現在位置および移動方向に関するユーザ移動状況情報を取得するユーザ情報取得ステップと、
前記ユーザの周囲の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記走行状況情報、前記ユーザ移動状況情報および前記環境情報に基づいて判定された前記車両と前記ユーザとの衝突の危険度に基づいて、前記衝突の危険性があることまたは前記車両の接近を示す警告情報を前記報知部に報知させる報知制御ステップと、を実行させ
前記環境情報取得ステップでは、前記ユーザの周囲に設置されている監視カメラが前記ユーザを撮影した撮影画像のシーケンスを前記環境情報として取得する、報知制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、報知制御装置、報知装置、報知制御方法および報知制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行者に対して車両が衝突する危険性があることを報知する携帯電話が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の技術では、歩行者が歩行中の場合に限り、車載通信装置からITS通信により情報を受信し、当該情報受信時の電界強度が閾値よりも大きい場合、車両と衝突する危険性があることを報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-131143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような構成では、歩行者と車両との間に防護柵が存在する場合など、実際には、物理的に歩行者が車両と衝突する危険性がない場合にも、危険性が報知されてしまう。このことから、ユーザが車両と衝突する危険性をより適切に報知できる技術が望まれていた。
【0005】
本開示は、ユーザが車両と衝突する危険性をより適切に報知できる報知制御装置、報知装置、報知制御方法および報知制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の報知制御装置は、ユーザが携帯可能な報知装置の報知部を制御する報知制御装置であって、ユーザの周囲に位置する少なくとも1つの車両により定期的に発信される、前記車両の現在位置および走行方向に関する走行状況情報を取得する車両情報取得部と、前記ユーザの現在位置および移動方向に関するユーザ移動状況情報を取得するユーザ情報取得部と、前記ユーザの周囲の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、前記走行状況情報、前記ユーザ移動状況情報および前記環境情報に基づいて判定された前記車両と前記ユーザとの衝突の危険度に基づいて、前記衝突の危険性があることまたは前記車両の接近を示す警告情報を前記報知部に報知させる報知制御部と、を備え、前記環境情報取得部は、前記ユーザの周囲に設置されている監視カメラが前記ユーザを撮影した撮影画像のシーケンスを前記環境情報として取得する。
【0007】
本開示の報知装置は、報知部と、上述の報知制御装置と、を備える。
【0008】
本開示の報知制御方法は、コンピュータによって、ユーザが携帯可能な報知装置の報知部を制御する報知制御方法であって、前記コンピュータが、ユーザの周囲に位置する少なくとも1つの車両により定期的に発信される、前記車両の現在位置および走行方向に関する走行状況情報を取得する車両情報取得ステップと、前記ユーザの現在位置および移動方向に関するユーザ移動状況情報を取得するユーザ情報取得ステップと、前記ユーザの周囲の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得ステップと、前記走行状況情報、前記ユーザ移動状況情報および前記環境情報に基づいて判定された前記車両と前記ユーザとの衝突の危険度に基づいて、前記衝突の危険性があることまたは前記車両の接近を示す警告情報を前記報知部に報知させる報知制御ステップと、を実行し、前記環境情報取得ステップでは、前記ユーザの周囲に設置されている監視カメラが前記ユーザを撮影した撮影画像のシーケンスを前記環境情報として取得する。
【0009】
本開示の報知制御プログラムは、コンピュータに、ユーザが携帯可能な報知装置の報知部を制御させる報知制御プログラムであって、前記コンピュータに、ユーザの周囲に位置する少なくとも1つの車両により定期的に発信される、前記車両の現在位置および走行方向に関する走行状況情報を取得する車両情報取得ステップと、前記ユーザの現在位置および移動方向に関するユーザ移動状況情報を取得するユーザ情報取得ステップと、前記ユーザの周囲の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得ステップと、前記走行状況情報、前記ユーザ移動状況情報および前記環境情報に基づいて判定された前記車両と前記ユーザとの衝突の危険度に基づいて、前記衝突の危険性があることまたは前記車両の接近を示す警告情報を前記報知部に報知させる報知制御ステップと、を実行させ、前記環境情報取得ステップでは、前記ユーザの周囲に設置されている監視カメラが前記ユーザを撮影した撮影画像のシーケンスを前記環境情報として取得する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の報知制御装置、報知装置、報知制御方法および報知制御プログラムによれば、ユーザが車両と衝突する危険性をより適切に報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施の形態に係る報知システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本開示の一実施の形態に係る端末装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】本開示の一実施の形態に係る端末装置が行う報知制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態]
以下、本開示の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
<報知システムの構成>
まず、報知システムの構成について説明する。図1は、報知システムの概略構成を示すブロック図である。図2は、端末装置の概略構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示す報知システム1は、ユーザに車両が衝突する危険性があるときに、その旨をユーザに報知する。報知システム1は、車両に設けられた車載装置2と、ユーザが携帯可能な端末装置3と、を備える。なお、図1では、車載装置2および端末装置3をそれぞれ1台ずつしか図示していないが、実際は、それぞれ多数ずつの車載装置2および端末装置3によって報知システム1が構成されている。ここで、ユーザは地上(例えば歩道など)に位置し得る。例えば、ユーザは、歩行者、あるいは、自転車または車いす等に乗っている人物などである。以下では、ユーザが、歩行者である例を中心として説明する。
【0015】
車載装置2は、車両情報送信装置の一例である。車載装置2は、通信部21と、走行状況検出部22と、記憶部23と、車両情報送信装置24と、を備える。
【0016】
通信部21は、ネットワークを介して、端末装置3に各種情報を送信する。
【0017】
走行状況検出部22は、自車の走行状況を検出する。走行状況検出部22は、車両現在位置検出部221と、走行速度検出部222と、走行方向検出部223と、を備える。車両現在位置検出部221は、自車の現在位置を検出して、その検出結果を車両情報送信装置24に出力する。車両現在位置検出部221は、現在位置として水平方向の位置(平面的な位置)を検出する。走行速度検出部222は、自車の走行速度を検出して、その検出結果を車両情報送信装置24に出力する。走行方向検出部223は、自車の走行方向を検出して、その検出結果を車両情報送信装置24に出力する。走行方向検出部223は、水平方向に加えて高さ方向も検出可能であってもよい。なお、車両現在位置検出部221、走行速度検出部222および走行方向検出部223に、上述の自車の各種状況を検出可能な周知のセンサを利用することができる。
【0018】
記憶部23は、例えば、不揮発性メモリで構成されている。記憶部23は、車載装置2の処理に必要な各種情報を記憶する。
【0019】
車両情報送信装置24は、プロセッサおよびメモリを含んで構成され得る。車両情報送信装置24は、プロセッサがメモリに記憶された車両情報送信プログラムを実行可能であり得る。車両情報送信装置24は、走行状況取得部241と、送信制御部242と、を備える。
【0020】
走行状況取得部241は、走行状況検出部22における検出結果、すなわち自車の現在位置、走行速度および走行方向の検出結果を定期的に取得する。
【0021】
送信制御部242は、走行状況取得部241で取得された自車の現在位置、走行速度および走行方向の検出結果を含む走行状況情報を、通信部21を制御して、例えば所定の時間間隔(例えば数十ミリ秒間隔または数百ミリ秒間隔など)で自車の周囲に定期的に送信(発信)する。この走行状況情報は、所定の路車間通信、所定の車車間通信または所定の歩車間通信(例えば、V2X(Vehicle to Everything)、V2V(Vehicle to Vehicle)、V2P(Vehicle to Pedestrian)、V2I(Vehicle to Infrastructure)など)の規格に基づいた信号であり得る。また、走行状況情報の送信には、例えばV2X、V2V、V2P、または、V2Iの技術を利用することができる。
【0022】
端末装置3は、報知装置の一例である。端末装置3は、例えばタブレット端末、スマートフォン、携帯電話などである。端末装置3は、図2に示すように、通信部31と、表示部32と、音出力部33と、振動発生部34と、操作部35と、撮像部36と、移動状況検出部37と、地図情報記憶部38と、記憶部39と、報知制御装置40と、を備える。
【0023】
通信部31は、ネットワークを介して、車載装置2から各種情報を受信する。表示部32、音出力部33および振動発生部34は、報知部41を構成する。表示部32は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やOLED(Organic Light Emitting Diode)などのディスプレイを含んで構成される。表示部32は、報知制御装置40の制御にしたがって、表示情報(画像など)を表示する。音出力部33は、例えばスピーカーを含む。音出力部33は、報知制御装置40の制御にしたがって、音を出力する。振動発生部34は、例えばバイブレータを含む。振動発生部34は、報知制御装置40の制御にしたがって、振動を発生させる。操作部35は、表示部32に設けられたタッチパネルを含んで構成されてもよいし、各種の入力デバイス(キー、スイッチ、ボタン、ダイヤルなど)を含んで構成されてもよい。撮像部36は、端末装置3の背面側(および前面側)に配置され得る。撮像部36は、撮像して、撮像画像を報知制御装置40に出力する。撮像部36は、1以上のカメラを含んで構成され得る。撮像部36が複数のカメラを含む場合(ステレオカメラ)、映像(RGB値)だけでなく、距離情報も取得することができる。
【0024】
移動状況検出部37は、端末装置3を携帯するユーザの移動状況を検出する。移動状況検出部37は、端末現在位置検出部371と、移動速度検出部372と、移動方向検出部373と、を備える。端末現在位置検出部371は、例えばGPS(Global Positioning System)、ガリレオ、みちびきなどの1種類以上の1以上の測位衛星から測位信号を受信することにより、当該測位信号に基づいてユーザの現在位置の情報(例えば緯度・経度など)を検出して、その検出結果を報知制御装置40に出力する。移動速度検出部372は、例えば加速度センサなどを含んで構成され得る。移動速度検出部372は、ユーザの移動速度を検出して、その検出結果を報知制御装置40に出力する。移動方向検出部373は、ユーザの移動方向を検出して、その検出結果を報知制御装置40に出力する。移動方向検出部373は、水平方向に加えて高さ方向も検出可能であってもよい。なお、端末現在位置検出部371、移動速度検出部372および移動方向検出部373は、上述のユーザの各種状況を検出可能な周知のセンサ(例えば加速度センサ、ジャイロスコープ、地磁気センサ、高度計など)を含んで構成することができる。
【0025】
地図情報記憶部38および記憶部39は、例えば、それぞれ不揮発性メモリ(例えばROM(Read Only Memory)や、HDD(Hard Disk Drive)など)で構成されている。地図情報記憶部38は、地図情報(例えば、任意の1以上の地域・国の2次元地図または3次元地図など)を記憶する。記憶部39は、端末装置3の処理に必要な各種情報を記憶する。なお、地図情報記憶部38および記憶部39は、1つの装置で構成されていてもよいし、それぞれ別の装置で構成されていてもよい。
【0026】
報知制御装置40は、プロセッサおよびメモリを含んで構成され得る。報知制御装置40は、プロセッサがメモリに記憶された報知制御プログラムを実行可能である。報知制御装置40は、車両情報取得部401と、ユーザ情報取得部402と、環境情報取得部403と、危険性判定部404と、報知制御部405と、を備える。
【0027】
車両情報取得部401は、車載装置2から、車両の現在位置および走行方向に関する走行状況情報を、通信部31を介して取得する。
【0028】
ユーザ情報取得部402は、移動状況検出部37による検出結果、すなわちユーザの現在位置、移動速度および移動方向の検出結果を、ユーザ移動状況情報として移動状況検出部37から取得する。
【0029】
環境情報取得部403は、例えばカメラ、赤外線センサ、デプスセンサ(ステレオカメラまたはTOF(Time Of Flight)センサ、温度計などを含んで構成され得る。環境情報取得部403は、ユーザの周囲の環境に関する環境情報を取得する。例えば、環境情報取得部403は、ユーザの周囲の2次元画像または3次元画像を撮像し、この撮像結果を環境情報の一部として取得してもよい。さらに、環境情報取得部403は、地図情報記憶部38に記憶されている地図情報と、移動状況検出部37により検出された、ユーザの現在位置および移動方向などとに基づいて、ユーザの周囲の地理情報(周囲に存在する建物や、道路情報など)を特定し、この特定した結果を環境情報の一部として取得してもよい。あるいは、例えば、ユーザの周囲に設置されている監視カメラが、端末装置3を所持しているユーザを追従して撮影した場合、環境情報取得部403は、この撮像画像のシーケンスを例えば監視カメラから受信し、そして、このシーケンスを環境情報の一部として取得してもよい。なお、監視カメラは、当該ユーザが持っている端末装置3から発せられる電波(例えば、Bluetooth(登録商標)の規格に沿った電波など)を受信することにより、当該ユーザが持っている端末装置3を特定し、特定した端末装置3に関連付けて顔画像が登録されている人物を、該当のユーザとして特定してもよい。あるいは、監視カメラは、当該ユーザが持っている(ビーコンなどの)発信機から発せられる電波を受信することにより、監視カメラは、当該発信機に関連付けて顔画像が登録されている人物を、該当のユーザとして特定してもよい。
【0030】
危険性判定部404は、走行状況情報、ユーザ移動状況情報および環境情報に基づいて、車両がユーザに衝突する危険性を判定する。例えば、危険性判定部404は、走行状況情報、ユーザ移動状況情報および環境情報に基づいて、車両がユーザに衝突する危険性の有無や危険レベル(例えば3段階など)、衝突する確率、衝突が発生し得るまでの時間などを判定(または推定)する。
【0031】
報知制御部405は、危険性判定部404による判定結果に対応する警告情報(画像、音、および/または、振動)を報知部41に報知させる。例えば、車両がユーザに衝突する危険性があると判定された場合、報知制御部405は、所定の警告情報(例えば、所定の警告画像、所定の警告音(ブザーなど)や所定の振動など)を報知部41に報知させる。車両がユーザに衝突する危険性がないと判定された場合、報知制御部405は、この所定の警告情報を報知部41に報知させない。別の実施例では、(危険性判定部404により判定された)危険レベルが大きいほど、警告度合いがより大きい警告情報(換言すると、ユーザーに対してより強い警告を与え得る警告情報)を報知部41に報知させてもよい。ここで、警告情報の警告度合いがより大きいほど、警告画像の輝度がより大きくなってもよいし、警告画像のサイズがより大きくなってもよいし、警告音の音量がより大きくなってもよいし、(警告用の)振動の大きさがより大きくなってもよい。別の実施例では、(危険性判定部404により判定された)衝突する確率がより高いほど、警告度合いがより大きい警告情報を報知部41に報知させる。または、危険性判定部404により判定された、衝突が発生し得るまでの時間の長さが小さくなるにつれて、現在報知中の警告情報よりも、警告度合いがより大きい警告情報を報知部41が報知するように報知部41を制御してもよい。
【0032】
<報知システムの動作>
次に、報知システム1の動作について説明する。図3は、端末装置が行う報知制御処理のフローチャートである。
【0033】
〔車載装置の動作〕
まず、車載装置2の動作について説明する。車両の走行中、車載装置2の走行状況検出部22は、自車の走行状況を定期的に検出して、検出結果を車両情報送信装置24に出力する。車両情報送信装置24は、前記検出結果に基づく走行状況情報を、自車の周囲に定期的に送信(発信)する。
【0034】
〔端末装置の動作〕
次に、端末装置3の動作について説明する。ユーザが端末装置3の操作部35を操作して報知制御プログラムを起動すると、端末装置3を構成する報知制御装置40の車両情報取得部401は、図3に示すように、通信部31を介して車両から走行状況情報を取得したか否かを判定する(ステップS1)。車両情報取得部401で走行状況情報を取得していないと判定された場合(ステップS1:No)、報知制御部405は、衝突する危険の報知を行わずに(危険報知をOFFして)(ステップS2)、報知制御処理を終了する。
【0035】
これに対し、車両情報取得部401で走行状況情報を取得したと判定された場合(ステップS1:Yes)、ユーザ情報取得部402は、移動状況検出部37における検出結果をユーザ移動状況情報として取得する(ステップS3)。移動状況検出部37は、ユーザ情報取得部402の制御により検出を開始してもよいし、ユーザ情報取得部402の制御とは関係なく報知制御プログラムの起動をトリガにして検出を開始してもよいし、報知制御プログラムの起動とは関係なく常時検出を行っていてもよい。
【0036】
次に、危険性判定部404は、走行状況情報とユーザ移動状況情報とに基づき衝突可能性を算出する(ステップS4)。例えば、危険性判定部404は、車両の現在位置、走行速度および走行方向と、ユーザの現在位置、移動速度および移動方向と、に基づいて、車両の走行経路とユーザの移動経路とが交差する位置(以下、「交差位置」という)および車両とユーザとの距離が所定距離未満となる位置(以下、「接近位置」という)のうち、少なくとも一方の位置を推定する。そして、危険性判定部404は、推定した少なくとも一方の位置に車両およびユーザが到達するまでの時間を推定し、推定した時間に基づき衝突可能性を算出する。このとき、危険性判定部404は、推定した時間が短いほど衝突可能性が高くなる、つまり衝突可能性が示す値が大きくなるように演算を行う。なお、衝突可能性の算出方法としては、上述の方法に限らず、車両とユーザとが衝突する可能性を適切に反映させることができる別の方法を用いてもよい。
【0037】
その後、危険性判定部404は、ステップS4で算出した衝突可能性に基づいて、ユーザが車両に衝突する危険性があるか否かを判定する(ステップS5)。例えば、危険性判定部404は、衝突可能性を示す値が閾値以上の場合、衝突の危険性があると判定し、上記閾値未満の場合、衝突の危険性がないと判定する。なお、端末装置3が複数の車載装置2から走行状況情報を取得している場合、危険性判定部404は、各車載装置2の車両がそれぞれユーザに衝突する危険性があるか否かを判定し、少なくとも1台の車両がユーザに衝突する危険性がある場合、衝突の危険性があると判定する。
【0038】
危険性判定部404で衝突の危険性がないと判定された場合(ステップS5:No)、報知制御部405は、ステップS2の処理を行う。一方、危険性判定部404で衝突の危険性があると判定された場合(ステップS5:Yes)、環境情報取得部403は、環境情報を取得する(ステップS6)。例えば、環境情報取得部403は、撮像部36を制御してユーザの周囲を撮像させ、撮像画像を環境情報として取得する。さらに、環境情報取得部403は、地図情報記憶部38からユーザの現在位置を含む地図情報を環境情報として取得する。
【0039】
次に、環境情報取得部403は、取得した環境情報に基づいて、ユーザの周囲の環境を認識する(ステップS7)。撮像画像(および/またはデプスセンサにより検出された距離情報)を用いて行う環境の認識処理としては、以下の方法が例示できる。例えば、環境情報取得部403は、撮像画像に基づいて、ユーザの周囲に防護物が存在するか否かを認識する。以下において、ユーザの周囲に防護物が存在する環境を「第1の安全環境」という場合がある。防護物としては、ガードレール、壁、フェンス、道路の中央分離帯など、車両がユーザに衝突することを物理的に防止可能な物体が例示できる。追加的に、または、代替的に、環境情報取得部403は、撮像画像(および/または、周辺の地図情報、計測されたユーザーの高度など)に基づいて、車両が走行する道路とユーザが存在する場所とが、異なる高さの路面で交差しているか否かを認識する。道路とユーザの存在場所とが異なる高さの路面で交差している場合としては、ユーザが地下、歩道橋の上、施設内、建物内に存在する場合や、車両が高架や地下の道路を走行している場合、同じ建物内でもユーザーが位置する階(ショッピングフロアの階など)と、車両が位置する階(駐車場の階など)とが異なる場合が例示できる。以下において、車両が走行する道路とユーザの存在場所とが異なる高さで交差している環境を「第2の安全環境」という場合がある。
【0040】
地図情報を用いて行う環境の認識処理としては、以下の方法が例示できる。例えば、環境情報取得部403は、地図情報に防護物に関する情報が含まれている場合、地図情報とユーザの現在位置とに基づいて、ユーザ周囲の環境が第1の安全環境か否かを認識する。例えば、環境情報取得部403は、地図情報に地下道、歩道橋、建物、施設、高架や地下の道路に関する情報が含まれている場合、地図情報とユーザの現在位置とに基づいて、ユーザ周囲の環境が第2の安全環境か否かを認識する。例えば、環境情報取得部403は、ユーザの移動方向が斜め上方向や上方向の場合、地図情報とユーザの現在位置とに基づいて、ユーザが歩道橋の階段あるいは歩道橋に向かうエスカレータやエレベータにいること(ユーザ周囲の環境が第2の安全環境であること)を認識する。例えば、環境情報取得部403は、ユーザの移動方向が斜め下方向や下方向の場合、地図情報とユーザの現在位置とに基づいて、ユーザが地下道に向かう階段やエスカレータあるいはエレベータにいること(ユーザ周囲の環境が第2の安全環境であること)を認識する。
【0041】
その後、危険性判定部404は、ステップS7で環境情報取得部403が認識したユーザ周囲の環境に基づいて、ユーザが車両に衝突する危険性があるか否かを判定する(ステップS8)。危険性判定部404は、例えば、環境情報取得部403でユーザ周囲の環境が第1の安全環境である(防護物が存在する)ことと、第2の安全状況である(車両が走行する道路とユーザの存在場所とが異なる高さで交差している)こととのうち少なくとも一方が認識された場合、ユーザが車両に衝突する危険性がないと判定する。一方、危険性判定部404は、例えば、環境情報取得部403でユーザ周囲の環境が第1の安全環境でない(防護物が存在しない)ことと、第2の安全状況でない(車両が走行する道路とユーザの存在場所とが異なる高さで交差していない)こととの両方が認識された場合、ユーザが車両に衝突する危険性があると判定する。
【0042】
危険性判定部404でユーザが車両に衝突する危険性がないと判定された場合(ステップS8:No)、報知制御部405は、ステップS2の処理を行う。一方、危険性判定部404でユーザが車両に衝突する危険性があると判定された場合(ステップS8:Yes)、報知制御部405は、報知部41を制御して、衝突する危険の報知を行う(危険報知をONする)(ステップS9)。例えば、報知制御部405は、表示部32における表示、音出力部33からの音の出力、振動発生部34の駆動による端末装置3の振動のうち、少なくともいずれか1つを用いて、衝突する危険の報知を行う。その後、報知制御部405は、所定時間報知を継続した後、あるいは、ユーザによる操作部35の操作に基づいて、危険の報知を終了する。以上のステップS1~S9の処理を報知制御装置40が定期的に行うことによって、車両とユーザとが衝突する可能性がある場合、その旨が適切なタイミングでユーザに報知される。
【0043】
<実施の形態の作用効果>
報知制御装置40は、車両の走行状況情報、ユーザのユーザ移動状況情報および環境情報に基づいて、車両がユーザに衝突する危険性を判定し、判定結果を報知部41に報知させる。このように、報知制御装置40は、衝突の危険性の判定に、車両およびユーザの位置情報(例えば緯度・経度)および移動方向だけでなく、ユーザ周囲の環境情報も用いる。これによって、報知制御装置40は、ユーザが車両と衝突する危険性をより適切に報知できる。具体的には、物理的にユーザが車両と衝突する危険性がない環境の場合には、衝突する危険性の報知を行わないようにすることができる。したがって、不要な報知が行われないので、ユーザに不快感または煩わしさを与えることを防止できる。また、物理的にユーザが車両と衝突する危険性がある環境の場合には、衝突する危険性の報知を行うことができるので、衝突の危険性があることをユーザーに警告することができる。
【0044】
報知制御装置40は、環境情報に基づいて、ユーザの周囲に防護物が存在すると判定した場合、衝突する危険性の報知を行わない。また、報知制御装置40は、環境情報に基づいて、車両が走行する道路とユーザの存在場所とが異なる高さで交差していると判定した場合、物理的にユーザが車両と衝突する危険性がないことから、衝突する危険性の報知を行わない。このため、報知制御装置40は、実際に多く発生し得る状況において、ユーザが車両と衝突する危険性を適切に報知できる。
【0045】
報知制御装置40は、環境情報として撮像部36から撮像画像を取得し、この撮像画像に基づいて、ユーザ周囲の環境を認識する。このため、報知制御装置40は、実際の環境を確実に認識することができ、ユーザが車両と衝突する危険性を適切に報知できる。
【0046】
報知制御装置40は、環境情報として地図情報を取得し、この地図情報に基づいて、ユーザ周囲の環境を認識する。このため、報知制御装置40は、例えば、端末装置3が鞄の中に収納されている場合など、撮像部36がユーザ周囲の環境を撮像できない場合でも、環境を適切に認識することができ、ユーザが車両と衝突する危険性を適切に報知できる。
【0047】
[変形例]
本開示は、これまでに説明した実施の形態に示されたものに限られないことは言うまでもなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形を加えることができる。
【0048】
例えば、報知制御装置40は、ユーザ移動状況情報を取得した後に、ユーザ周囲の環境に基づいて、ユーザが車両に衝突する危険性がないと判定した場合、衝突する危険の報知を行わなくてもよい。また、報知制御装置40は、ユーザ周囲の環境に基づいて、ユーザが車両に衝突する危険性があると判定した場合、走行状況情報とユーザ移動状況情報とにより算出した衝突可能性に基づいて、ユーザが車両に衝突する危険性があるか否かを判定し、危険性があると判定した場合、衝突する危険の報知を行い、危険性がないと判定した場合、衝突する危険の報知を行わなくてもよい。具体的には、報知制御装置40は、ステップS1,S3の処理の後に、ステップS6~S8の処理を行い、ステップS8の処理において、ユーザが車両に衝突する危険性がないと判定した場合、ステップS2の処理を行う。一方、報知制御装置40は、ステップS8の処理において、ユーザが車両に衝突する危険性があると判定した場合、ステップS4~S5の処理を行う。そして、報知制御装置40は、ステップS5の処理において、ユーザが車両に衝突する危険性があると判定した場合、ステップS9の処理を行い、危険性がないと判定した場合、ステップS2の処理を行ってもよい。このような構成にすれば、報知制御装置40は、物理的にユーザが車両と衝突する危険性がない環境の場合、ステップS4~S5の処理を行うことなく、危険性の報知を行わないようにすることができる。したがって、報知制御装置40の処理負荷を低減できる。
【0049】
報知制御装置40は、ステップS6~S8の処理において、第1の安全環境または第2の安全環境に関する判定を行わず、どちらか一方のみに基づいて、ユーザが車両に衝突する危険性があるか否かを判定してもよい。報知制御部405は、ユーザが車両に衝突する危険性がない場合、その旨を報知部41に報知させてもよい。走行状況情報が車両の走行速度を含まず、かつ、ユーザ移動状況情報がユーザの移動速度を含まなくてもよい。この場合、危険性判定部404は、例えばあらかじめ設定された一般的な車両の走行速度およびユーザの移動速度と、走行状況情報の車両の現在位置および走行方向と、ユーザ移動状況情報ユーザの現在位置および移動方向と、に基づいて、車両とユーザの交差位置や接近位置を推定すればよい。
【0050】
本開示に係る報知装置は、ユーザが携帯可能な物(例えば時計、眼鏡、杖、バッグ、ランドセル、ネックレス、または服など)であり得る。
【0051】
以上、本開示に係る実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、上述した各装置の機能は、コンピュータプログラムにより実現され得る。
【0052】
上述した各装置の機能をプログラムにより実現するコンピュータは、キーボードやマウス、タッチパッドなどの入力装置、ディスプレイやスピーカーなどの出力装置、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)やUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体から情報を読み取る読取装置、ネットワークを介して通信を行うネットワークカードなどを備え、各部はバスにより接続される。
【0053】
そして、読取装置は、上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置に記憶させる。あるいは、ネットワークカードが、ネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置からダウンロードした上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記憶装置に記憶させる。
【0054】
そして、CPUが、記憶装置に記憶されたプログラムをRAMにコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAMから順次読み出して実行することにより、上記各装置の機能が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示は、報知制御装置、報知装置、報知制御方法および報知制御プログラムに適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 報知システム
2 車載装置
3 端末装置
21 通信部
22 走行状況検出部
23 記憶部
24 車両情報送信装置
31 通信部
32 表示部
33 音出力部
34 振動発生部
35 操作部
36 撮像部
37 移動状況検出部
38 地図情報記憶部
39 記憶部
40 報知制御装置
41 報知部
221 車両現在位置検出部
222 走行速度検出部
223 走行方向検出部
241 走行状況取得部
242 送信制御部
371 端末現在位置検出部
372 移動速度検出部
373 移動方向検出部
401 車両情報取得部
402 ユーザ情報取得部
403 環境情報取得部
404 危険性判定部
405 報知制御部
図1
図2
図3