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特許7422351スリーブ圧縮装置、および、スリーブ圧縮方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】スリーブ圧縮装置、および、スリーブ圧縮方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/048 20060101AFI20240119BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
H01R43/048 Z
H02G1/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019125593
(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2021012795
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000242644
【氏名又は名称】北陸電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】牧野 浩
(72)【発明者】
【氏名】垣内 聡
(72)【発明者】
【氏名】神田 義和
(72)【発明者】
【氏名】小倉 隆
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-083408(JP,U)
【文献】特開平05-193739(JP,A)
【文献】特開2000-024979(JP,A)
【文献】特開昭60-071184(JP,A)
【文献】特開平06-140121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/048
H02G 1/14
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブを第1方向に向けて押圧する第1押圧部材と、
前記スリーブを第2方向に向けて押圧する第2押圧部材と、
前記第1押圧部材を前記第2押圧部材に対して相対移動させる押圧部材駆動装置と、
前記第1押圧部材および前記第2押圧部材を支持するベース部材と、
前記ベース部材を支持するスライド部材と、
前記スライド部材を第3方向に沿って移動させるスライド部材駆動装置と
を具備し、
前記ベース部材は、前記第1方向または前記第2方向に平行な方向に、前記スライド部材に対して相対移動可能である
スリーブ圧縮装置。
【請求項2】
前記第1押圧部材および前記第2押圧部材のうちの少なくとも一方を前記スリーブから離れる方向に付勢する第1付勢部材を更に具備する
請求項1に記載のスリーブ圧縮装置。
【請求項3】
前記第1付勢部材は、前記ベース部材と前記スライド部材との間に配置されている
請求項2に記載のスリーブ圧縮装置。
【請求項4】
前記第1押圧部材から前記スリーブを分離する第1分離部材を更に具備し、
前記第1分離部材の位置は、退避位置と進出位置との間で位置変更可能であり、
前記退避位置は、前記第3方向に沿う方向に見て、前記第1分離部材が、前記第1押圧部材のスリーブ受容部から退避した位置であり、
前記進出位置は、前記第3方向に沿う方向に見て、前記第1分離部材と前記第1押圧部材の前記スリーブ受容部とが重なる位置である
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスリーブ圧縮装置。
【請求項5】
前記第2押圧部材から前記スリーブを分離する第2分離部材を更に具備し、
前記第2分離部材の位置は、退避位置と進出位置との間で位置変更可能であり、
前記退避位置は、前記第3方向に沿う方向に見て、前記第2分離部材が、前記第2押圧部材のスリーブ受容部から退避した位置であり、
前記進出位置は、前記第3方向に沿う方向に見て、前記第2分離部材と前記第2押圧部材の前記スリーブ受容部とが重なる位置である
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスリーブ圧縮装置。
【請求項6】
前記スリーブの一方側に延在する第1線材を把持する第1線材把持具と、
前記スリーブの他方側に延在する第2線材を把持する第2線材把持具と
を更に具備する
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のスリーブ圧縮装置。
【請求項7】
前記押圧部材駆動装置、および、前記スライド部材駆動装置の動作を制御する制御装置を更に具備し、
前記制御装置からの第1信号に基づいて、前記スライド部材駆動装置は、前記スライド部材を、前記スリーブの第1端部に対向する位置に移動させ、
前記制御装置からの第2信号に基づいて、前記スライド部材駆動装置は、前記スライド部材を、前記スリーブの第2端部に対向する位置に移動させ、
前記制御装置からの第3信号に基づいて、前記スライド部材駆動装置は、前記スライド部材を、前記スリーブの中間部分に対向する位置に移動させ、
前記制御装置からの駆動信号に基づいて、前記押圧部材駆動装置は、前記第1押圧部材および前記第2押圧部材のうちの少なくとも一方を駆動する
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスリーブ圧縮装置。
【請求項8】
前記スライド部材をガイドするガイド部材と、
前記ガイド部材を支持するフレーム部材と
を更に具備し、
前記フレーム部材によって枠構造が規定されるか、あるいは、前記フレーム部材と前記ガイド部材とによって枠構造が規定される
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のスリーブ圧縮装置。
【請求項9】
スリーブ圧縮装置を用いたスリーブ圧縮方法であって、
前記スリーブ圧縮装置は、
スリーブを押圧する第1押圧部材と、
前記スリーブを押圧する第2押圧部材と、
前記第1押圧部材を前記第2押圧部材に対して相対移動させる押圧部材駆動装置と、
前記第1押圧部材および前記第2押圧部材を支持するベース部材と
を具備し、
前記スリーブ圧縮方法は、
前記第1押圧部材が前記スリーブに接触するように前記第1押圧部材を第1方向に移動させる第1押圧部材移動工程と、
前記第1押圧部材が前記スリーブから受ける反力によって、前記ベース部材を前記第1方向とは反対の方向に移動させるベース部材移動工程と
を具備し、
前記ベース部材移動工程は、前記ベース部材によって支持された前記第2押圧部材が前記スリーブに接触するように、前記第2押圧部材を移動させる第2押圧部材移動工程を含む
スリーブ圧縮方法。
【請求項10】
線材に弛み部を形成する工程と、
前記弛み部において前記線材を切断することにより、第1切断端部を含む第1線材と、第2切断端部を含む第2線材とを形成する工程と、
前記第1線材の前記第1切断端部を前記スリーブに挿入する工程と、
前記第2線材の前記第2切断端部を前記スリーブに挿入する工程と
を更に具備し、
前記第1線材の前記第1切断端部を前記スリーブに挿入する工程、および、前記第2線材の前記第2切断端部を前記スリーブに挿入する工程は、前記第1押圧部材移動工程の前に実行される
請求項9に記載のスリーブ圧縮方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリーブ圧縮装置、および、スリーブ圧縮方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2本の電線を接続用スリーブ内に配置し、その後、接続用スリーブを圧縮することにより2本の電線を接続する方法が知られている。接続用スリーブの圧縮には、スリーブ圧縮装置が使用される。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、間接活線工法用圧縮装置が開示されている。特許文献1に記載の間接活線工法用圧縮装置は、スリーブ上方受け部と昇降部とからなる圧縮部を備える。特許文献1に記載の間接活線工法用圧縮装置を用いたスリーブ圧縮方法では、スリーブ上方受け部と昇降部との間に接続用スリーブが配置され、その後、昇降部を上方に移動させることにより接続用スリーブが圧縮される。特許文献1に記載の間接活線工法用圧縮装置を用いたスリーブ圧縮方法では、間接活線工法用圧縮装置の圧縮部と接続用スリーブとの間の位置合わせを手動で行う必要がある。また、圧縮部と接続用スリーブとの間の位置合わせが適切に行われない場合には、圧縮された接続用スリーブが、全体としてバナナ状に湾曲する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-157149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、スリーブ圧縮装置とスリーブとの間の位置合わせを容易に実行可能なスリーブ圧縮装置、および、スリーブ圧縮方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に示す、スリーブ圧縮装置、および、スリーブ圧縮方法に関する。
【0007】
(1)スリーブを第1方向に向けて押圧する第1押圧部材と、
前記スリーブを第2方向に向けて押圧する第2押圧部材と、
前記第1押圧部材を前記第2押圧部材に対して相対移動させる押圧部材駆動装置と、
前記第1押圧部材および前記第2押圧部材を支持するベース部材と、
前記ベース部材を支持するスライド部材と、
前記スライド部材を第3方向に沿って移動させるスライド部材駆動装置と
を具備し、
前記ベース部材は、前記第1方向または前記第2方向に平行な方向に、前記スライド部材に対して相対移動可能である
スリーブ圧縮装置。
(2)前記第1押圧部材および前記第2押圧部材のうちの少なくとも一方を前記スリーブから離れる方向に付勢する第1付勢部材を更に具備する
上記(1)に記載のスリーブ圧縮装置。
(3)前記第1付勢部材は、前記ベース部材と前記スライド部材との間に配置されている
上記(2)に記載のスリーブ圧縮装置。
(4)前記第1押圧部材から前記スリーブを分離する第1分離部材を更に具備し、
前記第1分離部材の位置は、退避位置と進出位置との間で位置変更可能であり、
前記退避位置は、前記第3方向に沿う方向に見て、前記第1分離部材が、前記第1押圧部材のスリーブ受容部から退避した位置であり、
前記進出位置は、前記第3方向に沿う方向に見て、前記第1分離部材と前記第1押圧部材の前記スリーブ受容部とが重なる位置である
上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のスリーブ圧縮装置。
(5)前記第2押圧部材から前記スリーブを分離する第2分離部材を更に具備し、
前記第2分離部材の位置は、退避位置と進出位置との間で位置変更可能であり、
前記退避位置は、前記第3方向に沿う方向に見て、前記第2分離部材が、前記第2押圧部材のスリーブ受容部から退避した位置であり、
前記進出位置は、前記第3方向に沿う方向に見て、前記第2分離部材と前記第2押圧部材の前記スリーブ受容部とが重なる位置である
上記(1)乃至(4)のいずれか一つに記載のスリーブ圧縮装置。
(6)前記スリーブの一方側に延在する第1線材を把持する第1線材把持具と、
前記スリーブの他方側に延在する第2線材を把持する第2線材把持具と
を更に具備する
上記(1)乃至(5)のいずれか一つに記載のスリーブ圧縮装置。
(7)前記押圧部材駆動装置、および、前記スライド部材駆動装置の動作を制御する制御装置を更に具備し、
前記制御装置からの第1信号に基づいて、前記スライド部材駆動装置は、前記スライド部材を、前記スリーブの第1端部に対向する位置に移動させ、
前記制御装置からの第2信号に基づいて、前記スライド部材駆動装置は、前記スライド部材を、前記スリーブの第2端部に対向する位置に移動させ、
前記制御装置からの第3信号に基づいて、前記スライド部材駆動装置は、前記スライド部材を、前記スリーブの中間部分に対向する位置に移動させ、
前記制御装置からの駆動信号に基づいて、前記押圧部材駆動装置は、前記第1押圧部材および前記第2押圧部材のうちの少なくとも一方を駆動する
上記(1)乃至(6)のいずれか一つに記載のスリーブ圧縮装置。
(8)前記スライド部材をガイドするガイド部材と、
前記ガイド部材を支持するフレーム部材と
を更に具備し、
前記フレーム部材によって枠構造が規定されるか、あるいは、前記フレーム部材と前記ガイド部材とによって枠構造が規定される
上記(1)乃至(7)のいずれか一つに記載のスリーブ圧縮装置。
(9)スリーブ圧縮装置を用いたスリーブ圧縮方法であって、
前記スリーブ圧縮装置は、
スリーブを押圧する第1押圧部材と、
前記スリーブを押圧する第2押圧部材と、
前記第1押圧部材を前記第2押圧部材に対して相対移動させる押圧部材駆動装置と、
前記第1押圧部材および前記第2押圧部材を支持するベース部材と
を具備し、
前記スリーブ圧縮方法は、
前記第1押圧部材が前記スリーブに接触するように前記第1押圧部材を第1方向に移動させる第1押圧部材移動工程と、
前記第1押圧部材が前記スリーブから受ける反力によって、前記ベース部材を前記第1方向とは反対の方向に移動させるベース部材移動工程と
を具備し、
前記ベース部材移動工程は、前記ベース部材によって支持された前記第2押圧部材が前記スリーブに接触するように、前記第2押圧部材を移動させる第2押圧部材移動工程を含む
スリーブ圧縮方法。
(10)線材に弛み部を形成する工程と、
前記弛み部において前記線材を切断することにより、第1切断端部を含む第1線材と、第2切断端部を含む第2線材とを形成する工程と、
前記第1線材の前記第1切断端部を前記スリーブに挿入する工程と、
前記第2線材の前記第2切断端部を前記スリーブに挿入する工程と
を更に具備し、
前記第1線材の前記第1切断端部を前記スリーブに挿入する工程、および、前記第2線材の前記第2切断端部を前記スリーブに挿入する工程は、前記第1押圧部材移動工程の前に実行される
上記(9)に記載のスリーブ圧縮方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、スリーブ圧縮装置とスリーブとの間の位置合わせを容易に実行可能なスリーブ圧縮装置、および、スリーブ圧縮方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態におけるスリーブ圧縮装置を模式的に示す概略断面図である。
図2図2は、第1の実施形態におけるスリーブ圧縮装置を模式的に示す概略正面図である。
図3図3は、第1の実施形態におけるスリーブ圧縮方法の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、第1の実施形態におけるスリーブ圧縮方法の各工程を模式的に示す図である。
図5図5は、第1の実施形態におけるスリーブ圧縮方法の一工程を模式的に示す図である。
図6図6は、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置を模式的に示す概略断面図である。
図7図7は、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置を模式的に示す概略2面図である。
図8図8は、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置を模式的に示す概略断面図である。
図9図9は、第2の実施形態の変形例におけるスリーブ圧縮装置を模式的に示す概略正面図である。
図10図10は、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮方法の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮方法の各工程を模式的に示す図である。
図12図12は、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮方法の各工程を模式的に示す図である。
図13図13は、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮方法の一工程を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施形態におけるスリーブ圧縮装置1、および、スリーブ圧縮方法について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0011】
実施形態におけるスリーブ圧縮装置1は、スリーブSVを圧縮する装置である。スリーブSVは、例えば、電線等の線材を接続する接続用スリーブである。この場合、スリーブSVの内部には、2本の線材W1、W2(例えば、2本の電線)が配置される。そして、スリーブSVがスリーブ圧縮装置1によって圧縮されることにより、2本の線材W1、W2が、スリーブSVを介して接続される。
【0012】
(第1の実施形態)
図1乃至図5を参照して、第1の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1A、および、スリーブ圧縮方法について説明する。図1は、第1の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Aを模式的に示す概略断面図である。なお、図1は、図2におけるA-A矢視断面図である。図2は、第1の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Aを模式的に示す概略正面図である。図3は、第1の実施形態におけるスリーブ圧縮方法の一例を示すフローチャートである。図4は、第1の実施形態におけるスリーブ圧縮方法の各工程を模式的に示す図である。図5は、第1の実施形態におけるスリーブ圧縮方法の一工程を模式的に示す図である。
【0013】
第1の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Aは、第1押圧部材11と、第2押圧部材12と、押圧部材駆動装置20と、ベース部材30と、スライド部材40と、ガイド部材50と、スライド部材駆動装置60とを有する。
【0014】
第1押圧部材11は、スリーブSVを第1方向DR1に向けて押圧する部材である。図1に記載の例では、第1方向DR1は水平方向であるが、第1方向DR1は水平方向に限定されない。第1方向DR1は、鉛直方向であってもよい。第1押圧部材11は、1個の部材によって構成されていてもよいし、複数の部材を組み合わせることによって構成されていてもよい。第1押圧部材11は、スリーブSVを押圧するスリーブ押圧部11aを有する。第1押圧部材11の全体または一部は、圧縮対象のスリーブSVのサイズ(例えば、スリーブSVの直径)に応じて、交換可能であってもよい。例えば、押圧部材11を、押圧部材駆動装置20に対して着脱可能とすることにより、押圧部材11が交換可能とされてもよい。代替的に、押圧部材11の基端部に対して、押圧部材11の先端部(スリーブ押圧部11aを含む部分)が着脱可能に構成されていてもよい。
【0015】
第2押圧部材12は、スリーブを第2方向DR2に向けて押圧する部材である。図1に記載の例では、第2方向DR2は、第1方向DR1と反対の方向である。第2押圧部材12は、1個の部材によって構成されていてもよいし、複数の部材を組み合わせることによって構成されていてもよい。第2押圧部材12は、スリーブSVを押圧するスリーブ押圧部12aを有する。第2押圧部材12の全体または一部は、圧縮対象のスリーブSVのサイズ(例えば、スリーブSVの直径)に応じて、交換可能であってもよい。例えば、第2押圧部材12を、ベース部材30に対して着脱可能とすることにより、第2押圧部材12が交換可能とされてもよい。代替的に、第2押圧部材12の基端部に対して、第2押圧部材12の先端部(スリーブ押圧部12aを含む部分)が着脱可能に構成されていてもよい。
【0016】
図1に記載の例では、スリーブ圧縮装置1Aは、2個の押圧部材(より具体的には、第1押圧部材11および第2押圧部材12)を有する。代替的に、スリーブ圧縮装置1Aは、3個以上の押圧部材を有していてもよい。この場合、3個以上の押圧部材が、スリーブSVの周囲に所定角度毎に配置されるようにしてもよい。
【0017】
押圧部材駆動装置20は、第1押圧部材11を第2押圧部材12に対して相対移動させることにより、スリーブSVを圧縮する装置である。図1に記載の例では、押圧部材駆動装置20は、第1押圧部材11を第1方向DR1に沿って移動させるアクチュエータ20aである。代替的に、あるいは、付加的に、押圧部材駆動装置20は、第2押圧部材12を第2方向DR2に沿って移動させるアクチュエータであってもよい。アクチュエータ20aは、例えば、油圧アクチュエータ、または、電動アクチュエータである。
【0018】
ベース部材30は、第1押圧部材11および第2押圧部材12を支持する部材である。図1に記載の例では、ベース部材30は、第1押圧部材11を、押圧部材駆動装置20を介して支持している。換言すれば、ベース部材30は、押圧部材駆動装置20に連結されている。また、図1に記載の例では、ベース部材30は、第2押圧部材12を直接的に支持している。換言すれば、ベース部材30は、第2押圧部材12に連結されている。ベース部材30は、1個の部材によって構成されていてもよいし、複数の部材を組み合わせることによって構成されていてもよい。例えば、ベース部材30は、押圧部材駆動装置20と第2押圧部材12とを連結するアーム部30aと、スライド部材40に対して摺動する摺動部30b(例えば、摺動ブロック)とを有していてもよい。
【0019】
図1に記載の例において、第1押圧部材11と、第2押圧部材12と、押圧部材駆動装置20と、ベース部材30とは、スリーブSVを圧縮する圧縮ユニット2を構成する。換言すれば、スリーブ圧縮装置1Aの圧縮ユニット2は、第1押圧部材11と、第2押圧部材12と、押圧部材駆動装置20と、ベース部材30とを含む。そして、当該圧縮ユニット2は、スライド部材40によって支持される。
【0020】
スライド部材40は、圧縮ユニット2(より具体的には、ベース部材30)を支持する部材である。図1に記載の例では、スライド部材40は、第3方向DR3(より具体的には、スリーブSVの長手方向に平行な方向)に沿ってスライド移動可能である。なお、本明細書において、「ベース部材30」のことを「第1ベース部材30」と呼び、「スライド部材40」のことを「第2ベース部材40」と呼んでもよい。
【0021】
ガイド部材50は、スライド部材40が第3方向DR3に沿って移動可能なようにスライド部材40を支持する。図1に記載の例では、ガイド部材50は、第3方向DR3に沿って延在するレール部材50a、50bである。図1に記載の例では、レール部材(50a、50b)の数が2個であるが、レール部材の数は、1個または3個以上であってもよい。
【0022】
スライド部材駆動装置60は、スライド部材40をガイド部材50に対してスライド移動させる装置である。スライド部材駆動装置60は、ボールねじ等の機械的直動装置を含んでいてもよい。図2に記載の例では、スライド部材駆動装置60は、モータ61と、ネジ棒62とを含む。他方、スライド部材40は、ネジ棒62と噛み合うナット部を含む。
【0023】
図2に記載の例では、モータ61からの駆動力により、ネジ棒62が、ネジ棒62の長手方向中心軸まわりを回転する。また、ネジ棒62が回転すると、スライド部材40が、第3方向DR3に平行な方向に沿って移動する。
【0024】
図1に記載の例では、ベース部材30が、第1方向DR1または第2方向DR2に平行な方向に沿って、スライド部材40に対して相対移動可能である。より具体的には、図1および図2に示されるように、スライド部材40は、第1方向DR1または第2方向DR2に平行な方向に沿って延在するガイド部41を備え、ベース部材30は、ガイド部41によって案内される被ガイド部38を備える。図1に記載の例では、ガイド部41は、第1方向DR1または第2方向DR2に平行な方向に延在するガイドレールである。他方、被ガイド部38は、当該ガイドレールに対してスライド移動可能に係合する係合部である。係合部は、ガイドレールの凸部に係合する凹部、または、ガイドレールの凹部に係合する凸部を有していてもよい。
【0025】
第1の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Aでは、ベース部材30が、第1方向DR1または第2方向DR2に平行な方向に、スライド部材40に対して相対移動可能である。このため、スリーブ圧縮装置1A(より具体的には、スリーブ圧縮装置1Aの第1押圧部材11および第2押圧部材12)とスリーブSVとの間の位置合わせを容易に実行可能である。押圧部材(11、12)とスリーブSVとが位置合わせされるメカニズムについては、後述される。
【0026】
(スリーブ圧縮方法)
続いて、第1の実施形態におけるスリーブ圧縮方法について説明する。押圧部材(11、12)とスリーブSVとが位置合わせされるメカニズムについても説明する。
【0027】
第1の実施形態におけるスリーブ圧縮方法は、スリーブ圧縮装置1を用いたスリーブ圧縮方法である。第1の実施形態におけるスリーブ圧縮方法において用いられるスリーブ圧縮装置は、上述のスリーブ圧縮装置1Aであってもよいし、その他のスリーブ圧縮装置であってもよい。
【0028】
第1ステップST1において、スリーブ圧縮装置1(より具体的には、第1押圧部材11および第2押圧部材12)が、スリーブSVに対向するように配置される。第1ステップST1は、スリーブ圧縮装置1を配置する配置工程である。図4(a)には、配置工程実行後の状態が示されている。
【0029】
第2ステップST2において、第1押圧部材11が移動される。第2ステップST2は、第1押圧部材移動工程である。第2ステップST2では、第1押圧部材11がスリーブSVに接触するように、第1押圧部材11が第1方向DR1に移動される。当該移動は、例えば、押圧部材駆動装置20が、第1押圧部材11を駆動することにより実行される。図4(b)には、第1押圧部材移動工程実行後の状態が示されている。
【0030】
第3ステップST3において、ベース部材30が移動される。第3ステップST3は、ベース部材移動工程である。第3ステップST3では、第1押圧部材11がスリーブSVから受ける反力によって、ベース部材30が第1方向DR1とは反対の方向に移動される。当該移動は、例えば、押圧部材駆動装置20が、第1押圧部材11を駆動することにより実行される。押圧部材駆動装置20によって駆動された第1押圧部材11は、スリーブSVから反力を受ける。この場合、第1押圧部材11の移動がスリーブSVによって制限されるため、第1押圧部材11を駆動する押圧部材駆動装置20が、第1方向DR1とは反対の方向(図4(b)に記載の例では、第1方向DR1とは反対の方向は、第2方向DR2と一致する。)に移動することとなる。図4(b)に記載の例では、押圧部材駆動装置20とベース部材30とが連結されているため、押圧部材駆動装置20が、第1方向DR1とは反対の方向に移動すると、ベース部材30も第1方向DR1とは反対の方向に移動する。
【0031】
ベース部材移動工程は、ベース部材30によって支持された第2押圧部材12がスリーブSVに接触するように、第2押圧部材12を移動させる第2押圧部材移動工程を含む。図4(c)に記載の例では、ベース部材30と第2押圧部材12とが連結されているため、ベース部材30が第1方向DR1とは反対の方向に移動すると、第2押圧部材12も第1方向DR1とは反対の方向に移動する。その結果、第2押圧部材12は、スリーブSVに接触する。図4(c)には、ベース部材移動工程および第2押圧部材移動工程を実行した後の状態が示されている。
【0032】
第1の実施形態におけるスリーブ圧縮方法では、ベース部材30が第1押圧部材11および第2押圧部材12を支持しており、かつ、ベース部材30がスリーブSVに対して相対移動可能である。このため、第1押圧部材11および第2押圧部材12と、スリーブSVとの間の位置合わせが自動的に行われる。
【0033】
特に、第1押圧部材11がスリーブSVから受ける反力によってベース部材30が移動される場合には、スリーブSVの位置が維持された状態で、スリーブSVが第1押圧部材11および第2押圧部材12によって挟持される(図4(a)乃至図4(c)において、一点鎖線で示されるスリーブSVの位置を参照。)。よって、第1押圧部材11および第2押圧部材12と、スリーブSVとの間の位置合わせがより正確に行われる。
【0034】
第4ステップST4において、スリーブSVが圧縮される。第4ステップST4は、スリーブ圧縮工程である。第4ステップST4では、第1押圧部材11および第2押圧部材12がスリーブSVに接触した状態で、第1押圧部材11と第2押圧部材12との間の間隔が縮小される。図4(c)および図4(d)に記載の例では、押圧部材駆動装置20からの第1押圧部材11の突出量が増加するように、押圧部材駆動装置20が第1押圧部材11を駆動する。その結果、第1押圧部材11と第2押圧部材12との間の間隔が縮小され、第1押圧部材11および第2押圧部材12によってスリーブSVが圧縮される。
【0035】
スリーブ圧縮工程の実行中、ベース部材30は、スライド部材40に対して相対移動する。図4(c)および図4(d)に記載の例では、ベース部材30は、スライド部材40に対して、第1方向DR1とは反対の方向に移動する。その結果、スリーブSVの位置が維持された状態で、スリーブSVが圧縮されることとなる。図4(d)には、スリーブ圧縮工程実行後の状態が示されている。
【0036】
第5ステップST5において、第1押圧部材11と第2押圧部材12との間の間隔が拡大され、第1押圧部材11および第2押圧部材12からスリーブSVが取り外される。第5ステップST5は、スリーブ取り外し工程である。図4(d)および図4(e)に記載の例では、押圧部材駆動装置20からの第1押圧部材11の突出量が減少するように、押圧部材駆動装置20が第1押圧部材11を駆動する。その結果、第1押圧部材11と第2押圧部材12との間の間隔が拡大される。
【0037】
なお、図4(f)に示されるように、スリーブ圧縮装置1は、第1押圧部材11および第2押圧部材12のうちの少なくとも一方をスリーブSVから離れる方向に付勢する第1付勢部材35を備えていてもよい。
【0038】
図4(f)に記載の例では、第1付勢部材35は、第2押圧部材12がスリーブSVから離れる方向に、第2押圧部材12を付勢する。また、図4(f)に記載の例では、第1付勢部材35は、ベース部材30とスライド部材40との間に配置されている。図4(f)に記載の例では、第1付勢部材35は、弾性部材(より具体的には、バネ)であるが、第1付勢部材35は、バネ等の弾性部材に限定されない。第1付勢部材35は、カウンタウエイト、または、磁石であってもよい。
【0039】
スリーブ圧縮装置1が第1付勢部材35を備える場合には、スリーブ取り外し工程が実行されることにより、スライド部材40に対するベース部材30の相対位置が、自動的に、原点位置(ホームポジション)に戻る。この場合、第1押圧部材11および第2押圧部材12からのスリーブSVの取り外しが、より確実に実行される。また、後述のスライド部材移動工程を円滑に実行することが可能となる。
【0040】
第6ステップST6において、スライド部材40が、ガイド部材50に対して相対移動される。第6ステップST6は、スライド部材移動工程である。図5には、スライド部材移動工程実行後の状態が示されている。
【0041】
スライド部材移動工程は、例えば、スライド部材駆動装置60が、第3方向DR3に平行な方向に、スライド部材40を駆動することにより実行される。図4に記載の例では、スライド部材駆動装置60のモータ61によって、ネジ棒62が回転駆動される。また、ネジ棒62が回転すると、ネジ棒62に螺合するスライド部材40が第3方向DR3に平行な方向に移動する。
【0042】
スライド部材移動工程は、第1押圧部材11および第2押圧部材12がスリーブSVから離間された状態で実行されることが好ましい。スリーブSVと、第1押圧部材11および第2押圧部材12との間の離間状態は、例えば、上述の第1付勢部材35(図4(f)を参照。)によって維持される。ただし、スライド部材移動工程は、第1押圧部材11および第2押圧部材12のうちの一方がスリーブSVに接触した状態で実行されてもよい。より具体的には、第1押圧部材11のスリーブ押圧部11aおよび/または第2押圧部材12のスリーブ押圧部12aが十分に滑らかである場合には、第1押圧部材11および第2押圧部材12のうちの一方がスリーブSVに接触した状態で、スライド部材40をガイド部材50に対して相対移動させてもよい。
【0043】
上述の第2ステップST2乃至第6ステップST6は、例えば、2回以上繰り返し実行される。上述の第2ステップST2乃至第6ステップST6がK回(「K」は、「1」以上の任意の自然数)実行されると、スリーブSVは、K箇所で圧縮されることとなる。図5に記載の例では、スリーブ圧縮装置1が、スライド部材40、および、スライド部材駆動装置60を備える。このため、スリーブSVを複数箇所で圧縮する作業を効率的に実行することができる。また、各圧縮工程において、第1押圧部材11および第2押圧部材12と、スリーブSVとの間の位置合わせが自動的に行われるため、複数箇所で圧縮された後のスリーブSVの形状が、概ね直線形状となる(スリーブSVの形状がバナナ形状となることが抑制される。)。
【0044】
(第2の実施形態)
図6乃至図13を参照して、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1B、および、スリーブ圧縮方法について説明する。図6は、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Bを模式的に示す概略断面図である。なお、図6には、第1押圧部材11および第2押圧部材12と、スリーブSVとが離間している状態が示されている。図7は、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Bを模式的に示す概略2面図である。図7の左側には、概略正面図が記載され、図7の右側には概略側面図が記載されている。図8は、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Bを模式的に示す概略断面図である。なお、図8には、第1押圧部材11および第2押圧部材12によって、スリーブSVが圧縮された状態が示されている。図9は、第2の実施形態の変形例におけるスリーブ圧縮装置1Bを模式的に示す概略正面図である。図10は、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮方法の一例を示すフローチャートである。図11および図12は、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮方法の各工程を模式的に示す図である。図13は、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮方法の一工程を模式的に示す図である。
【0045】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0046】
第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Bは、第1押圧部材11と、第2押圧部材12と、押圧部材駆動装置20と、ベース部材30と、スライド部材40と、ガイド部材50と、スライド部材駆動装置60(図7を参照。)とを有する。
【0047】
(第1押圧部材11)
第1押圧部材11は、スリーブSVを第1方向DR1に向けて押圧する部材である。図6に記載の例では、第1方向DR1は、上方向である。代替的に、第1方向DR1は、下方向であってもよいし、その他の方向であってもよい。
【0048】
第1押圧部材11は、スリーブSVの一部(例えば、スリーブSVの下半分)を受け入れるスリーブ受容部111を有する。図6に記載の例では、側面視において、スリーブ受容部111の幅は、スリーブ受容部111の深さの約2倍である。
【0049】
(第2押圧部材12)
第2押圧部材12は、スリーブSVを第2方向DR2に向けて押圧する部材である。図6に記載の例では、第2方向DR2は、下方向である。代替的に、第2方向DR2は、上方向であってもよいし、その他の方向であってもよい。
【0050】
第2押圧部材12は、スリーブSVの一部(例えば、スリーブSVの上半分)を受け入れるスリーブ受容部121を有する。図6に記載の例では、側面視において、スリーブ受容部121の幅は、スリーブ受容部121の深さ(上向き深さ)の約2倍である。
【0051】
図6に記載の例では、第1押圧部材11のスリーブ受容部111と第2押圧部材12のスリーブ受容部121とが互いに接近すると、スリーブ受容部111およびスリーブ受容部121によって、側面視で、多角形形状(より具体的には、六角形形状)の受容空間が形成される。ただし、スリーブ受容部111とスリーブ受容部121とによって形成される受容空間の形状は、多角形形状に限定されない。
【0052】
(押圧部材駆動装置20)
押圧部材駆動装置20は、第1押圧部材11を第2押圧部材12に対して相対移動させることにより、スリーブSVを圧縮する装置である。図6に記載の例では、押圧部材駆動装置20は、第1押圧部材11の下方に配置されている。
【0053】
図6に記載の例では、押圧部材駆動装置20は、第1押圧部材11および第2押圧部材12の下方に配置されている。押圧部材駆動装置20は、相対的に質量が大きい。このため、押圧部材駆動装置20が第1押圧部材11および第2押圧部材12の下方に配置されている場合には、スリーブ圧縮装置1Bが上方に持ち上げられたときに、スリーブ圧縮装置1Bの姿勢が安定する。
【0054】
押圧部材駆動装置20は、例えば、油圧アクチュエータである。押圧部材駆動装置20が油圧シリンダを構成し、第1押圧部材11が油圧シリンダによって駆動されるプランジャを構成していてもよい。油圧アクチュエータは、例えば、電力駆動式の油圧アクチュエータである。油圧アクチュエータを電力によって駆動する場合、油圧アクチュエータの外部から油圧アクチュエータに向けて油を供給する必要がない。よって、油漏れのリスクが無いか、油漏れのリスクが低減される。また、スリーブ圧縮装置1Bの外部に露出する油管路(例えば、油供給ホース)が不要となるため、油管路がスリーブ圧縮作業の邪魔にならない。
【0055】
ただし、第2の実施形態において、押圧部材駆動装置20を構成する油圧アクチュエータに、外部から油が供給される態様は排除されない。例えば、車両に設けられた油供給装置と、押圧部材駆動装置20とが、油管路(例えば、油供給ホース)を介して連結されてもよい。
【0056】
更に代替的に、押圧部材駆動装置20は、電動アクチュエータ(高出力の電動アクチュエータ)であってもよい。
【0057】
図6に記載の例では、押圧部材駆動装置20は、第1押圧部材11を駆動する装置であるが、押圧部材駆動装置20は、第2押圧部材12を駆動する装置であってもよい。更に代替的に、押圧部材駆動装置20は、第1押圧部材11および第2押圧部材12の両方を駆動する装置であってもよい。
【0058】
(ベース部材30)
ベース部材30は、第1押圧部材11および第2押圧部材12を支持する部材である。
【0059】
図6に記載の例では、ベース部材30は、第1押圧部材11を、押圧部材駆動装置20を介して支持している。図6に記載の例では、ベース部材30は、押圧部材駆動装置20を固定する第1固定部30cを備える。図6に記載の例では、第1固定部30cは、押圧部材駆動装置20の周囲を囲むように配置される環状の固定部である。
【0060】
ベース部材30と押圧部材駆動装置20とが互いに固定される場合には、ベース部材30と押圧部材駆動装置20とは、スライド部材40に対して、一体的に相対移動することとなる。
【0061】
図6に記載の例では、ベース部材30は、第2押圧部材12を直接的に支持している。図6に記載の例では、ベース部材30は、第2押圧部材12を固定する第2固定部30dを備える。ベース部材30に第2押圧部材12が固定される場合には、ベース部材30と第2押圧部材12とは、スライド部材40に対して、一体的に相対移動することとなる。なお、図6に記載の例では、第2固定部30dがアーム部30aに設けられている。
【0062】
ベース部材30は、アーム部30aを備えていてもよい。図6に記載の例では、押圧部材駆動装置20と第2押圧部材12とが、アーム部30aを介して連結されている。
【0063】
図6に記載の例では、ベース部材30は、スライド部材40に対して摺動する摺動部30bを備える。摺動部30bとスライド部材40との間の摺動機構は、例えば、レールRとレールRに沿って摺動可能なスライダーSRとを含む。レールRの延在方向は、例えば、第1方向DR1に平行な方向である。
【0064】
図6に記載の例では、ベース部材30は、第1固定部30c、第2固定部30d、アーム部30a、および、摺動部30bを含むアセンブリ(部品の集合体)である。
【0065】
また、図6に記載の例において、第1押圧部材11と、第2押圧部材12と、押圧部材駆動装置20と、ベース部材30とは、スリーブSVを圧縮する圧縮ユニット2を構成する。当該圧縮ユニット2は、スライド部材40によって支持される。
【0066】
(スライド部材40)
スライド部材40は、圧縮ユニット2を支持し、第3方向DR3(図6に記載の例では、略水平方向)に沿って、移動する部材である。図6に記載の例では、ガイド部材50に対するスライド部材40の移動方向(第3方向DR3)は、スライド部材40に対する圧縮ユニット2の移動方向(第1方向DR1に平行な方向)と垂直である。
【0067】
(第1付勢部材35)
図6に示されるように、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Bは、第1押圧部材11および第2押圧部材12のうちの少なくとも一方をスリーブSVから離れる方向に付勢する第1付勢部材35を有していてもよい。第1付勢部材35は、例えば、コイルバネ等のバネ、カウンタウエイト、または、磁石である。
【0068】
図6に記載の例では、第1付勢部材35は、第2押圧部材12がスリーブSVから離れる方向に、第2押圧部材12を付勢する。より具体的には、第1付勢部材35は、ベース部材30とスライド部材40との間に配置されており、第1付勢部材35は、ベース部材30を介して、第2押圧部材12をスリーブSVから離れる方向(第2方向DR2とは反対の方向)に付勢する。
【0069】
(ガイド部材50)
図7に記載の例では、ガイド部材50は、第3方向DR3に沿って延在する細長部材である。ガイド部材50は、例えば、内部に空洞を有するチャンネル材によって構成される。
【0070】
(スライド部材駆動装置60)
スライド部材駆動装置60は、スライド部材40をガイド部材50に対してスライド移動させる装置である。スライド部材駆動装置60としては、スライド部材を直線的に移動させることが可能な任意の装置を採用することができる。スライド部材駆動装置60は、機械的にスライド部材40を駆動するモータを含んでいてもよいし、流体圧アクチュエータを含んでいてもよい。代替的に、スライド部材駆動装置60は、電磁気的にスライド部材40を駆動するリニアモータを含んでいてもよい。
【0071】
なお、スライド部材駆動装置60および押圧部材駆動装置20の両方が、電力によって駆動される駆動装置である場合には、スライド部材駆動装置60に電力を供給する電源と、押圧部材駆動装置20に電力を供給する電源とを共通化することができる。また、スリーブ圧縮装置1Bと外部電源とを電力ケーブルで連結することにより、電力ケーブルを介して、スライド部材駆動装置60および押圧部材駆動装置20に電力を供給することが可能である。
【0072】
図7に記載の例では、押圧部材駆動装置20に電力を供給する電力ケーブルの一部は、可撓性の電線ガイド91(例えば、電力ケーブル支持チェーン)によって支持されている。
【0073】
なお、図7に記載の例では、ガイド部材50に、1個のスライド部材40が配置され、当該スライド部材40に1個の圧縮ユニット2(なお、圧縮ユニット2は、第1押圧部材11と、第2押圧部材12と、押圧部材駆動装置20と、ベース部材30とを含む。)が配置されている。代替的に、1個のスライド部材40に、2個の圧縮ユニット2が配置されてもよい。この場合、2個の圧縮ユニット2を用いて、スリーブSVの2箇所を同時に圧縮することが可能となる。よって、スリーブ圧縮に要する時間が短縮される。代替的に、1個のスライド部材40に、3個以上の圧縮ユニット2が配置されてもよい。更に代替的に、ガイド部材50に、複数のスライド部材40が配置され、当該複数のスライド部材40の各々に1個の圧縮ユニット2が配置されてもよい。この場合も、複数の圧縮ユニット2を用いて、スリーブSVの複数箇所を同時に圧縮することが可能となる。
【0074】
図7に記載の例では、スライド部材駆動装置60が、スライド部材40の外部に設けられている。代替的に、スライド部材40がスライド部材駆動装置60(例えば、モータ)を内蔵していてもよい。この場合、スライド部材40は、ガイド部材50を自走するように構成される。なお、ガイド部材50に、スライド部材駆動装置60を内蔵したスライド部材40が複数配置されてもよい。この場合、複数個のスライド部材(圧縮ユニット2が配置された複数個のスライド部材)がガイド部材50を自走可能となる。よって、複数のスライド部材40にそれぞれ配置された複数の圧縮ユニット2を用いて、スリーブSVの複数箇所を同時に圧縮することが可能となる。
【0075】
第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Bは、第1の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Aと同様の効果を奏する。
【0076】
(第1分離部材71)
図6に示されるように、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Bは、第1押圧部材11からスリーブSVを分離する第1分離部材71を有していてもよい。
【0077】
第1分離部材71は、退避位置と進出位置との間で位置変更可能である。当該退避位置は、第3方向DR3(より具体的には、スリーブSVの延在方向)に沿う方向に見て、第1分離部材71が、第1押圧部材11のスリーブ受容部111から退避した位置である(図8を参照。)。退避位置は、第3方向DR3に沿う方向に見て、第1分離部材71と第1押圧部材11のスリーブ受容部111とが重ならない位置と言うこともできる。他方、上述の進出位置は、第3方向DR3に沿う方向に見て、第1分離部材71と第1押圧部材11のスリーブ受容部111とが重なる位置である(図6を参照。)。
【0078】
第1分離部材71の位置が、退避位置から進出位置に位置変更されることより、第1押圧部材11のスリーブ受容部111に受け入れられているスリーブSVが、第1押圧部材11から分離される。
【0079】
図6に記載の例では、第1分離部材71は、ベース部材30に取り付けられている。また、図7に記載の例では、正面視で(換言すれば、第1方向DR1および第3方向DR3に垂直な方向から見て)、2個の第1分離部材71が、第1押圧部材11を挟むように第1押圧部材11の両側に配置されている。この場合、2個の第1分離部材71の位置が、退避位置から進出位置に位置変更されると、より確実に、スリーブSVが第1押圧部材11から分離されることとなる。
【0080】
なお、第1分離部材71の位置を、退避位置から進出位置に位置変更することは、例えば、第1押圧部材11を第1方向DR1とは反対の方向に移動させることによって行われる。
【0081】
(第2分離部材72)
図6に示されるように、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Bは、第2押圧部材12からスリーブSVを分離する第2分離部材72を有していてもよい。
【0082】
第2分離部材72は、退避位置と進出位置との間で位置変更可能である。当該退避位置は、第3方向DR3(より具体的には、スリーブSVの延在方向)に沿う方向に見て、第2分離部材72が、第2押圧部材12のスリーブ受容部121から退避した位置である(図8を参照。)。退避位置は、第3方向DR3に沿う方向に見て、第2分離部材72と第2押圧部材12のスリーブ受容部121とが重ならない位置と言うこともできる。他方、上述の進出位置は、第3方向DR3に沿う方向に見て、第2分離部材72と第2押圧部材12のスリーブ受容部121とが重なる位置である(図6を参照。)。
【0083】
第2分離部材72の位置が、退避位置から進出位置に位置変更されることより、第2押圧部材12のスリーブ受容部121に受け入れられているスリーブSVが、第2押圧部材12から分離される。
【0084】
図6に記載の例では、第2分離部材72は、ベース部材30に支持されている(より具体的には、第2分離部材72は、第2分離部材支持部材728を介して、ベース部材30のアーム部30aに支持されている。)。また、図7に記載の例では、正面視で(換言すれば、第1方向DR1および第3方向DR3に垂直な方向から見て)、2個の第2分離部材72が、第2押圧部材12を挟むように第2押圧部材12の両側に配置されている。この場合、2個の第2分離部材72の位置が、退避位置から進出位置に位置変更されると、より確実に、スリーブSVが第2押圧部材12から分離されることとなる。
【0085】
なお、図6に記載の例では、第2分離部材72は、第2付勢部材721によって第2方向DR2に付勢されている。より具体的には、第2分離部材支持部材728と第2分離部材72との間に配置された第2付勢部材721によって、第2分離部材72は、第2方向DR2に付勢されている。第2付勢部材721は、例えば、コイルバネ等のバネである。
【0086】
第2分離部材72の位置を、退避位置から進出位置に位置変更することは、例えば、圧縮状態の第2付勢部材721が、元の形状に戻ることにより行われる。第2付勢部材721が、圧縮状態から元の形状に戻ると、第2分離部材72が、第2押圧部材12に対して、第2方向DR2に相対移動する。その結果、第2分離部材72の位置が、退避位置から進出位置に位置変更され、スリーブSVが第2押圧部材12から分離される。
【0087】
(第1線材把持具81)
図7に示されるように、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Bは、第1線材把持具81を備えていてもよい。第1線材把持具81は、スリーブSVの一方側に延在する第1線材W1(例えば、第1電線)を把持する部材である。第1線材把持具81は、例えば、第1把持片811と第2把持片812とを含む。そして、第1線材W1が第1把持片811および第2把持片812によって挟持されることにより、スリーブ圧縮装置1Bが第1線材W1に固定される。
【0088】
図7に記載の例では、第1線材把持具81は、第1アーム部材810を介して、ガイド部材50(換言すれば、第3方向DR3に沿って延在する細長部材)に取り付けられている。
【0089】
(第2線材把持具82)
図7に示されるように、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Bは、第2線材把持具82を備えていてもよい。第2線材把持具82は、スリーブSVの他方側に延在する第2線材W2(例えば、第2電線)を把持する部材である。第2線材把持具82は、例えば、第1把持片821と第2把持片822とを含む。そして、第2線材W2が第1把持片821および第2把持片822によって挟持されることにより、スリーブ圧縮装置1Bが第2線材W2に固定される。
【0090】
図7に記載の例では、第2線材把持具82は、第2アーム部材820を介して、ガイド部材50(換言すれば、第3方向DR3に沿って延在する細長部材)に取り付けられている。
【0091】
スリーブ圧縮装置1Bが、スリーブSVの一方側に延在する第1線材W1を把持する第1線材把持具81、および/または、スリーブSVの他方側に延在する第2線材W2を把持する第2線材把持具82を備える場合には、スリーブ圧縮作業の実行中に、第1線材W1(または第2線材W2)とスリーブ圧縮装置1Bとの間の位置関係が維持される。その結果、スリーブ圧縮作業の実行中に、スリーブ圧縮装置1BとスリーブSVとの間で位置ずれが生じることが抑制される。
【0092】
(制御装置90)
図7に示されるように、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Bは、押圧部材駆動装置20、および/または、スライド部材駆動装置60の動作を制御する制御装置90を備えていてもよい。
【0093】
制御装置90は、例えば、CPU901および記憶装置902を備えたコンピュータである。コンピュータは、記憶装置902に記憶されたプログラムをCPU901が実行することにより制御装置90として機能する。
【0094】
制御装置90は、有線または無線によって、押圧部材駆動装置20、および/または、スライド部材駆動装置60と信号伝達可能に接続されている。
【0095】
スライド部材駆動装置60は、制御装置90から受信する第1信号に基づいて、スライド部材40を、第1作業位置(具体的には、スリーブSVの第1圧縮位置に対向する位置)に移動させる。第1圧縮位置は、例えば、スリーブSVの第1端部である。
【0096】
また、押圧部材駆動装置20は、制御装置90から受信する駆動信号に基づいて、第1押圧部材11、および/または、第2押圧部材12を駆動する。その結果、第1圧縮位置において、スリーブSVが圧縮される。押圧部材駆動装置20は、制御装置90から駆動信号を受信すると、上述の第2ステップST2乃至第5ステップST5を順番に実行するように構成されていてもよい。
【0097】
第1圧縮位置におけるスリーブSVの圧縮作業が終了すると、スライド部材駆動装置60は、制御装置90から受信する第2信号に基づいて、スライド部材40を、第2作業位置(具体的には、スリーブSVの第2圧縮位置に対向する位置)に移動させる。第2圧縮位置は、例えば、スリーブSVの第2端部である。
【0098】
その後、押圧部材駆動装置20は、制御装置90から受信する駆動信号に基づいて、第1押圧部材11、および/または、第2押圧部材12を駆動する。その結果、第2圧縮位置において、スリーブSVが圧縮される。押圧部材駆動装置20は、制御装置90から駆動信号を受信すると、上述の第2ステップST2乃至第5ステップST5を順番に実行するように構成されていてもよい。
【0099】
第2圧縮位置におけるスリーブSVの圧縮作業が終了すると、スライド部材駆動装置60は、制御装置90から受信する第3信号に基づいて、スライド部材40を、第3作業位置(具体的には、スリーブSVの第3圧縮位置に対向する位置)に移動させる。第3圧縮位置は、例えば、スリーブSVの中間部分(換言すれば、圧縮された第1端部と圧縮された第2端部との間の位置)である。
【0100】
その後、押圧部材駆動装置20は、制御装置90から受信する駆動信号に基づいて、第1押圧部材11、および/または、第2押圧部材12を駆動する。その結果、第3圧縮位置において、スリーブSVが圧縮される。押圧部材駆動装置20は、制御装置90から駆動信号を受信すると、上述の第2ステップST2乃至第5ステップST5を順番に実行するように構成されていてもよい。
【0101】
スリーブ圧縮装置1Bが、押圧部材駆動装置20、および/または、スライド部材駆動装置60の動作を制御する制御装置90を備える場合には、スリーブSVを複数箇所で圧縮する作業を自動化することができる。例えば、作業者がスタートスイッチSWを押圧することに応答して、制御装置90が、スライド部材駆動装置60によるスライド部材40の移動と、押圧部材駆動装置20による第1押圧部材11(または、第2押圧部材12)の駆動とを含むサイクルを、複数回繰り返し実行するように構成されていてもよい。この場合、作業者は、スリーブ圧縮装置1Bによるスリーブ圧縮作業を監視しつつ、別の作業を並行して行うことができる。
【0102】
また、記憶装置902が、(1)スリーブSVの第1端部に対向する位置にスライド部材40を移動させる動作、(2)第1押圧部材11および第2押圧部材12が当該第1端部を圧縮する動作、(3)スリーブSVの第2端部に対向する位置にスライド部材40を移動させる動作、(4)第1押圧部材11および第2押圧部材12が当該第2端部を圧縮する動作、(5)スリーブSVの中間部分に対向する位置にスライド部材40を移動させる動作、(6)第1押圧部材11および第2押圧部材12が当該中間部分を圧縮する動作、をこの順番に実行するプログラムを記憶しており、制御装置90が記憶装置902に記憶された当該プログラムを実行する場合には、スリーブSVの第1端部が確実に第1線材に固定され、かつ、スリーブSVの第2端部が確実に第2線材に固定された後に、スリーブSVの中間部分が圧縮されることとなる。この場合、スリーブSVを用いた第1線材と第2線材との間の接続構造の信頼性が増す。また、作業手順が自動化されている場合には、作業手順に関する人為的なミスが生じない。
【0103】
(フレーム部材100)
図9に示されるように、第2の実施形態におけるスリーブ圧縮装置1Bは、ガイド部材50を支持するフレーム部材100を備えていてもよい。
【0104】
フレーム部材100とは、所定領域を囲む枠構造の少なくとも一部を規定する部材である。図9に記載の例では、フレーム部材100が単独で、枠構造(例えば、四角枠形状の枠構造)を規定している。代替的に、略C字状のフレーム部材100と直線状のガイド部材50とによって、四角枠状の枠構造が規定されてもよい。
【0105】
スリーブ圧縮装置1Bが、ガイド部材50を支持するフレーム部材100を備える場合には、スリーブ圧縮装置1Bの全体の強度が向上する。また、フレーム部材100によって規定される枠構造の内側空間に、衝撃に弱い構成要素(スリーブ圧縮装置の構成要素)を配置することができる。この場合、衝撃に弱い構成要素が、枠構造によって保護される。
【0106】
図9に記載の例では、フレーム部材100は、フレーム部材100を支持する支持アームAMを取り付けるための取付部101を有する。この場合、取付部101に取り付けられた支持アームAMを用いて、フレーム部材100を含むスリーブ圧縮装置1Bを上方に持ち上げることができる。
【0107】
(第2の実施形態におけるスリーブ圧縮方法)
第2の実施形態におけるスリーブ圧縮方法は、スリーブ圧縮装置1を用いたスリーブ圧縮方法である。第2の実施形態におけるスリーブ圧縮方法において用いられるスリーブ圧縮装置は、上述のスリーブ圧縮装置1Aまたはスリーブ圧縮装置1Bであってもよいし、その他のスリーブ圧縮装置であってもよい。
【0108】
(準備工程)
準備工程において、まず、線材に弛み部が形成される。線材に弛み部を形成することは、例えば、線材の第1部分に、線材切分工具の第1把持具を取り付け、線材の第2部分に、当該線材切分工具の第2把持具を取り付け、更に、線材切分工具の伸縮部を収縮させることにより、第1把持具と第2把持具との間の間隔を縮小させることにより行われる。次に、線材の弛み部において、線材が切断される。当該切断は、任意の切断工具を用いて実行される。当該切断により、第1切断端部を含む第1線材W1と、第2切断端部を含む第2線材W2とが形成される。続いて、第1切断端部と第2切断端部とが十分に離間するように、第1切断端部と第2切断端部とが、振り分けられる(例えば、上下に振り分けられる)。その後、第1切断端部と第2切断端部とが離間された状態で、任意の作業または工事が実行される。作業または工事の終了後、第1線材W1の第1切断端部と第2線材W2の第2切断端部とが、スリーブSVを介して、接続される。より具体的には、第1線材W1の第1切断端部がスリーブSV内に挿入され、第2線材W2の第2切断端部がスリーブSV内に挿入され、その後、スリーブSVが圧縮される。以下、第1線材W1の第1切断端部と第2線材W2の第2切断端部とがスリーブSVに挿入された後の工程について説明する。
【0109】
第1ステップST1Bにおいて、スリーブ圧縮装置1(より具体的には、第1押圧部材11および第2押圧部材12)が、スリーブSVに対向するように配置される。第1ステップST1Bは、スリーブ圧縮装置を配置する配置工程である。
【0110】
配置工程(第1ステップST1B)は、第1線材把持具81(必要であれば、図7を参照。)を第1線材W1に取り付けることを含んでいてもよい。第1線材把持具81の第1線材W1への取り付けは、例えば、第1線材把持具81の操作部815を遠隔操作工具によって操作することにより、第1把持片811と第2把持片812との間の間隔を縮小することにより行われてもよい。また、配置工程(第1ステップST1B)は、第2線材把持具82(必要であれば、図7を参照。)を第2線材W2に取り付けることを含んでいてもよい。
【0111】
なお、図9に示されるように、スリーブ圧縮装置1が、フレーム部材100を含む場合には、配置工程(第1ステップST1B)は、支持アームAMを用いて、フレーム部材100を含むスリーブ圧縮装置1Bを上方に持ち上げる工程を含む。
【0112】
図11(a)には、第1ステップST1Bを実行した後の状態が示されている。図11(a)に記載の例では、第1押圧部材11がスリーブSVから離間しており、第2押圧部材12がスリーブSVから離間している。また、図11(a)に記載の例では、第1分離部材71は、進出位置にある。また、第2分離部材72は、進出位置にある。
【0113】
第2ステップST2Bにおいて、スライド部材40が、第1作業位置(具体的には、スリーブSVの第1圧縮位置に対向する位置)に移動される。第1圧縮位置は、例えば、スリーブSVの第1端部である。
【0114】
スライド部材40の移動は、スタートスイッチSWが押圧されることに応じて実行されてもよい。スタートスイッチSWが押圧されると、スライド部材駆動装置60は、制御装置90から受信する第1信号に基づいて、スライド部材40を、第1作業位置に移動させる。
【0115】
第3ステップST3Bにおいて、第1押圧部材11が移動される。第3ステップST3Bは、第1押圧部材移動工程である。第3ステップST3Bでは、第1押圧部材11がスリーブSVに接触するように、第1押圧部材11が第1方向DR1に移動される。第1方向DR1は、例えば、上方向である。第1押圧部材11の移動は、例えば、押圧部材駆動装置20が、第1押圧部材11を駆動することにより実行される。
【0116】
図11(b)には、第3ステップST3Bを実行した後の状態が示されている。図11(b)に記載の例では、第1押圧部材11がスリーブSVに接触しており、第2押圧部材12がスリーブSVから離間している。
【0117】
第4ステップST4Bにおいて、ベース部材30が移動される。第4ステップST4Bは、ベース部材移動工程である。第4ステップST4Bでは、第1押圧部材11がスリーブSVから受ける反力によって、ベース部材30が第1方向DR1とは反対の方向に移動される。当該移動は、例えば、押圧部材駆動装置20が、第1押圧部材11を駆動することにより実行される。
【0118】
押圧部材駆動装置20によって駆動された第1押圧部材11は、スリーブSVから反力を受ける。この場合、第1押圧部材11の移動がスリーブSVによって制限されるため、第1押圧部材11を駆動する押圧部材駆動装置20が、第1方向DR1とは反対の方向に移動する。図11(b)に記載の例では、押圧部材駆動装置20とベース部材30とが連結されているため、押圧部材駆動装置20が、第1方向DR1とは反対の方向に移動すると、ベース部材30は、第1付勢部材35の付勢力に抗して、第1方向DR1とは反対の方向に移動する。
【0119】
図11(b)に記載の例では、ベース部材30によって第2押圧部材12が支持されている。よって、ベース部材30が第1方向DR1とは反対の方向に移動することに応じて、第2押圧部材12が、スリーブSVに向かう方向(すなわち、第2方向DR2)に移動する。よって、ベース部材移動工程(第4ステップST4B)は、ベース部材30によって支持された第2押圧部材12がスリーブSVに接触するように、第2押圧部材12を移動させる第2押圧部材移動工程を含む。
【0120】
図12(a)には、第4ステップST4Bを実行した後の状態が示されている。図12(a)に記載の例では、第1押圧部材11がスリーブSVに接触しており、第2押圧部材12がスリーブSVに接触している。
【0121】
第5ステップST5Bにおいて、スリーブSVが圧縮される。第5ステップST5Bは、スリーブ圧縮工程である。第5ステップST5Bでは、第1押圧部材11および第2押圧部材12がスリーブSVに接触した状態で、第1押圧部材11と第2押圧部材12との間の間隔が縮小される。図12(a)に記載の例では、押圧部材駆動装置20からの第1押圧部材11の突出量が増加するように、押圧部材駆動装置20が第1押圧部材11を駆動することにより、当該間隔が縮小される。当該間隔の縮小により、第1押圧部材11および第2押圧部材12によってスリーブSVが圧縮される。
【0122】
スリーブ圧縮工程(第5ステップST5B)では、第1押圧部材11が第1方向DR1に移動し、第2押圧部材12がベース部材30とともに第2方向DR2に移動する。
【0123】
図12(b)には、第5ステップST5Bを実行した後の状態が示されている。図12(b)に記載の例では、第1分離部材71は、退避位置にある。また、第2分離部材72は、退避位置にある。第1分離部材71の退避は、第1分離部材71の上側に第1押圧部材11のスリーブ受容部111が移動することにより実現される。また、第2分離部材72の退避は、スリーブSVが、第2付勢部材721の付勢力に抗して、第2分離部材72を退避方向(第2方向DR2とは反対の方向)に押圧することにより実現される。
【0124】
第6ステップST6Bにおいて、第1押圧部材11と第2押圧部材12との間の間隔が拡大され、第1押圧部材11および第2押圧部材12からスリーブSVが取り外される。第6ステップST6Bは、スリーブ取り外し工程である。図13に記載の例では、第1押圧部材11を駆動する押圧部材駆動装置20の油圧が低下されることにより(換言すれば、第1押圧部材11を駆動する油圧が解放されることにより)、押圧部材駆動装置20からの第1押圧部材11の突出量が減少する。その結果、第1押圧部材11と第2押圧部材12との間の間隔が拡大される。なお、押圧部材駆動装置20が電動アクチュエータである場合には、押圧部材駆動装置20が第1押圧部材11を第1方向DR1とは反対の方向に駆動することにより、押圧部材駆動装置20からの第1押圧部材11の突出量が減少されてもよい。
【0125】
第1押圧部材11と第2押圧部材12との間の間隔が拡大すると、第2押圧部材12が第2方向DR2とは反対の方向に移動する。当該移動は、ベース部材30および第2押圧部材12を第2方向DR2とは反対の方向に付勢する第1付勢部材35によって促進される。また、第2分離部材72は、第2付勢部材721の付勢力によって、スリーブSVを第2方向DR2に押圧する。よって、第2押圧部材12が第2方向DR2とは反対の方向に移動することと、第2分離部材72が、スリーブSVを第2方向DR2に押圧することとにより、第2押圧部材12がスリーブSVから確実に分離される。
【0126】
第1押圧部材11と第2押圧部材12との間の間隔が拡大すると、第1分離部材71は、第1付勢部材35の付勢力によって、スリーブSVを第1方向DR1に押圧する。よって、第1押圧部材11が第1方向DR1とは反対の方向に移動することと、第1分離部材71が、スリーブSVを第1方向DR1に押圧することとにより、第1押圧部材11がスリーブSVから確実に分離される。
【0127】
図13には、第6ステップST6Bを実行した後の状態が示されている。図13に記載の例では、第1分離部材71は、進出位置にある。また、第2分離部材72は、進出位置にある。
【0128】
上述の第3ステップST3B乃至第6ステップST6Bは、押圧部材駆動装置20が、制御装置90から受信する駆動信号に基づいて、第1押圧部材11、および/または、第2押圧部材12を駆動することにより実行されてもよい。
【0129】
また、第2ステップST2Bから第3ステップST3Bへの移行は、制御装置90によって自動的に行われてもよい。この場合、スタートスイッチSWが押圧されることに応じて、スライド部材40の移動と、第1押圧部材11および第2押圧部材12によるスリーブSVの圧縮とが、自動かつ連続的に実行されることとなる。
【0130】
第7ステップST7Bにおいて、スライド部材40が、第2作業位置(具体的には、スリーブSVの第2圧縮位置に対向する位置)に移動される。第2圧縮位置は、例えば、スリーブSVの第2端部である。第7ステップST7Bにおいて、スライド部材駆動装置60は、制御装置90から第2信号を受信する。スライド部材駆動装置60は、第2信号の受信に基づいて、スライド部材40を、第2作業位置に移動させる。
【0131】
なお、第6ステップST6Bから第7ステップST7Bへの移行は、制御装置90によって自動的に行われてもよい。この場合、第1押圧部材11および第2押圧部材12によるスリーブSVの圧縮と、その後のスライド部材40の移動とが、自動かつ連続的に実行されることとなる。
【0132】
その後、第8ステップST8B乃至第11ステップST11Bが実行される、第8ステップST8B乃至第11ステップST11Bは、第3ステップST3B乃至第6ステップST6とそれぞれ同様であるため、第8ステップST8B乃至第11ステップST11Bについての繰り返しとなる説明は省略する。
【0133】
第12ステップST12Bにおいて、スライド部材40が、第3作業位置(具体的には、スリーブSVの第3圧縮位置に対向する位置)に移動される。第3圧縮位置は、例えば、スリーブSVの中間部分である。第12ステップST12Bにおいて、スライド部材駆動装置60は、制御装置90から第3信号を受信する。スライド部材駆動装置60は、第3信号の受信に基づいて、スライド部材40を、第3作業位置に移動させる。
【0134】
その後、スライド部材駆動装置60を用いて実行されるスライド部材40の移動と、押圧部材駆動装置20を用いて実行されるスリーブSVの圧縮とが複数回繰り返し実行される。その結果、スリーブSVの複数箇所(例えば、10箇所以上)での圧縮が、自動かつ連続的に実行されることとなる。
【0135】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形または変更され得ることが明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる任意の構成要素を、他の実施形態または他の変形例に組み合わせることが可能であり、また、各実施形態または各変形例において任意の構成要素を省略することも可能である。
【0136】
例えば、第2の実施形態で説明された各構成要素が、第1の実施形態において採用されてもよい。
【0137】
また、第2の実施形態では、第1押圧部材11が第2押圧部材12の下方に位置する例について説明された。代替的に、第1押圧部材11が第2押圧部材12の上方に位置していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明のスリーブ圧縮装置、および、スリーブ圧縮方法を用いると、スリーブ圧縮装置とスリーブとの間の位置合わせを容易に実行することができる。したがって、スリーブ圧縮装置を用いて作業を行う業者、および、スリーブ圧縮装置を製造する製造業者にとって有用である。
【符号の説明】
【0139】
1、1A、1B…スリーブ圧縮装置、2…圧縮ユニット、11…第1押圧部材、11a…スリーブ押圧部、12…第2押圧部材、12a…スリーブ押圧部、20…押圧部材駆動装置、20a…アクチュエータ、30…ベース部材、30a…アーム部、30b…摺動部、30c…第1固定部、30d…第2固定部、35…第1付勢部材、38…被ガイド部、40…スライド部材、41…ガイド部、50…ガイド部材、50a、50b…レール部材、60…スライド部材駆動装置、61…モータ、62…ネジ棒、71…第1分離部材、72…第2分離部材、81…第1線材把持具、82…第2線材把持具、90…制御装置、91…電線ガイド、100…フレーム部材、101…取付部、111…スリーブ受容部、121…スリーブ受容部、721…第2付勢部材、728…第2分離部材支持部材、810…第1アーム部材、811…第1把持片、812…第2把持片、815…操作部、820…第2アーム部材、821…第1把持片、822…第2把持片、901…CPU、902…記憶装置、AM…支持アーム、R…レール、SR…スライダー、SV…スリーブ、SW…スタートスイッチ、W1…第1線材、W2…第2線材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13