(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】物流追跡および配送元特定のための方法、アプリケーションサーバ、ブロックチェーンノードおよび媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0833 20230101AFI20240119BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240119BHJP
【FI】
G06Q10/0833
G16Y10/40
(21)【出願番号】P 2020544225
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2019075773
(87)【国際公開番号】W WO2019161774
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】201810157282.4
(32)【優先日】2018-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519195453
【氏名又は名称】ヴィチェーン グローバル テクノロジー エス・アー エール・エル
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】ヤンユー チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャンリャン グ
(72)【発明者】
【氏名】ジヘン ジョウ
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/006056(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/024071(WO,A1)
【文献】特開2002-245209(JP,A)
【文献】特表2019-525303(JP,A)
【文献】特表2018-533103(JP,A)
【文献】国際公開第2018/020944(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16Y 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の物流追跡および配送元特定のためのアプリケーションサーバであって、
メモリとプロセッサとを含み、
前記メモリは、
コンピュータプログラムを格納し、
前記
プロセッサは、前記
コンピュータプログラムを実行すると、処理を実行
し、
前記処理は、
前記物品の物流工程中に
、前記アプリケーションサーバと通信接続される前記物品の前記物流工程の開始ノードが記憶要求情報を送信したことに応じて、前記開始ノードから
前記記憶要求
情報を受信することを含み、
前記記憶要求
情報は、前記物品の固有識別番号と、
前記物品の全物流工程中に変化しない前記物品の基本情報を含む前記物品の情報とを含み、
前記物品の前記固有識別番号は、Internet of Things(IoT)装置の
プロセッサにより生成されて前記IoT装置のメモリに格納され、
前記IoT装置は、前記物流工程中に前記物品と不可分であり、
前記処理は、
前記物品の前記情報に対してハッシュ演算を実行して
前記物品の前記情報のハッシュ値を取得することと、
前記物品の前記情報の前記ハッシュ値と
前記物品の前記情報とを
、前記アプリケーションサーバに結合される分散型データベースに送信
することと、
前記物品の前記固有識別番号と
前記物品の前記情報の前記ハッシュ値とを
、前記アプリケーションサーバと通信接続されるブロックチェーンプラットフォームに送信
することとをさらに含む、
アプリケーションサーバ。
【請求項2】
前記処理は、
利用者端末から、前記物品の前記固有識別番号を含む照会要求を受信することと、
前記照会要求に応答し、
前記ブロックチェーンプラットフォームに送信した前記物品の前記固有識別番号と前記物品の前記情報の前記ハッシュ値との対応リストに前記物品の前記固有識別番号
を照合し、前記ブロックチェーンプラットフォームから、前記物品の前記物流工程中で
の前記物品の前記情報の前記ハッシュ値を取得することと、
前記分散型データベースに送信した前記物品の前記情報の前記ハッシュ値と前記物品の前記情報との対応リストに前記物品の前記物流工程中で
の前記物品の前記情報の前記ハッシュ値
を照合し、前記分散型データベースから、前記物品の前記物流工程中で
の前記物品の前記情報を抽出することと、
前記物品の前記情報を前記利用者端末に送信することとをさらに含む、
請求項1に記載のアプリケーションサーバ。
【請求項3】
前記物品の前記基本情報は、前記物品の名称、数量、写真、映像、生産者および生産地の少なくとも1つを含む、
請求項
1または2に記載のアプリケーションサーバ。
【請求項4】
物品の物流追跡および配送元特定のためのアプリケーションサーバであって、
メモリとプロセッサとを含み、
前記メモリは、コンピュータプログラムを格納し、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、処理を実行し、
前記処理は、
前記物品の物流工程中に、前記アプリケーションサーバと通信接続される前記物品の前記物流工程の1つ以上の中間ノードが記憶要求情報を送信したことに応じて、前記1つ以上の中間ノードから前記記憶要求情報を受信することを含み、
前記記憶要求情報は、前記物品の固有識別番号と、前記1つ以上の中間ノードのそれぞれにおける前記物品の動的情報を含む前記物品の情報とを含み、
前記動的情報は、前記中間ノードにおける前記物品の配送に起因する情報を含み、
前記物品の前記固有識別番号は、Internet of Things(IoT)装置のプロセッサにより生成されて前記IoT装置のメモリに格納され、
前記IoT装置は、前記物流工程中に前記物品と不可分であり、
前記処理は、
前記物品の前記情報に対してハッシュ演算を実行して前記物品の前記情報のハッシュ値を取得することと、
前記物品の前記情報の前記ハッシュ値と前記物品の前記情報とを、前記アプリケーションサーバに結合される分散型データベースに送信することと、
前記物品の前記固有識別番号と前記物品の前記情報の前記ハッシュ値とを、前記アプリケーションサーバと通信接続されるブロックチェーンプラットフォームに送信することとをさらに含む、
アプリケーションサーバ。
【請求項5】
前記処理は、
利用者端末から、前記物品の前記固有識別番号を含む照会要求を受信することと、
前記照会要求に応答し、前記ブロックチェーンプラットフォームに送信した前記物品の前記固有識別番号と前記物品の前記情報の前記ハッシュ値との対応リストに前記物品の前記固有識別番号を照合し、前記ブロックチェーンプラットフォームから、前記物品の前記物流工程中での前記物品の前記情報の前記ハッシュ値を取得することと、
前記分散型データベースに送信した前記物品の前記情報の前記ハッシュ値と前記物品の前記情報との対応リストに前記物品の前記物流工程中での前記物品の前記情報の前記ハッシュ値を照合し、前記分散型データベースから、前記物品の前記物流工程中での前記物品の前記情報を抽出することと、
前記物品の前記情報を前記利用者端末に送信することとをさらに含む、
請求項4に記載のアプリケーションサーバ。
【請求項6】
前記物品の前記動的情報は、前記
中間ノードの識別子
情報、前記
中間ノードにおける前記物品の到着時間
情報、前記
中間ノードからの前記物品の配送開始時間
情報、前記
中間ノードによって前記物品に対して実行される作業
の情報、および、前記
中間ノードの位置情報の少なくとも1つ
の情報を含む、
請求項
4または5に記載のアプリケーションサーバ。
【請求項7】
アプリケーションサーバのプロセッサにより実行される物品の物流追跡および配送元特定のための方法であって、
前記プロセッサが、前記物品の物流工程中に
、前記アプリケーションサーバと通信接続される前記物品の前記物流工程の開始ノードが記憶要求情報を送信したことに応じて、前記開始ノードから記憶要求
情報を受信することを
実行し、
前記記憶要求
情報は、前記物品の固有識別番号と、
前記物品の全物流工程中に変化しない前記物品の基本情報を含む前記物品の情報とを含み、
前記物品の前記固有識別番号は、Internet of Things(IoT)装置の
プロセッサにより生成されて前記IoT装置のメモリに格納され、
前記IoT装置は、前記物流工程中に前記物品と不可分であり、
前記プロセッサが、
前記物品の前記情報に対してハッシュ演算を実行して
前記物品の前記情報のハッシュ値を取得することと、
前記物品の前記情報の前記ハッシュ値と
前記物品の前記情報とを
、前記アプリケーションサーバに結合される分散型データベースに送信
することと、
前記物品の前記固有識別番号と
前記物品の前記情報の前記ハッシュ値とを
、前記アプリケーションサーバと通信接続されるブロックチェーンプラットフォームに送信
することとをさらに
実行する、
方法。
【請求項8】
前記プロセッサが、
利用者端末から、前記物品の前記固有識別番号を含む照会要求を受信することと、
前記照会要求に応答し、
前記ブロックチェーンプラットフォームに送信した前記物品の前記固有識別番号と前記物品の前記情報の前記ハッシュ値との対応リストに前記物品の前記固有識別番号
を照合し、前記ブロックチェーンプラットフォームから、前記物品の前記物流工程中で
の前記物品の前記情報の前記ハッシュ値を取得することと、
前記分散型データベースに送信した前記物品の前記情報の前記ハッシュ値と前記物品の前記情報との対応リストに前記物品の前記物流工程中で
の前記物品の前記情報の前記ハッシュ値
を照合し、前記分散型データベースから、前記物品の前記物流工程中で
の前記物品の前記情報を抽出することと、
前記物品の前記情報を前記利用者端末に送信することとをさらに
実行する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記物品の前記基本情報は、前記物品の名称、数量、写真、映像、生産者および生産地の少なくとも1つを含む、
請求項
7または8に記載の方法。
【請求項10】
アプリケーションサーバのプロセッサにより実行される物品の物流追跡および配送元特定のための方法であって、
前記プロセッサが、前記物品の物流工程中に、前記アプリケーションサーバと通信接続される前記物品の前記物流工程の1つ以上の中間ノードが記憶要求情報を送信したことに応じて、前記1つ以上の中間ノードから前記記憶要求情報を受信することを実行し、
前記記憶要求情報は、前記物品の固有識別番号と、前記1つ以上の中間ノードのそれぞれにおける前記物品の動的情報を含む前記物品の情報とを含み、
前記動的情報は、前記中間ノードにおける前記物品の配送に起因する情報を含み、
前記物品の前記固有識別番号は、Internet of Things(IoT)装置のプロセッサにより生成されて前記IoT装置のメモリに格納され、
前記IoT装置は、前記物流工程中に前記物品と不可分であり、
前記プロセッサが、
前記物品の前記情報に対してハッシュ演算を実行して前記物品の前記情報のハッシュ値を取得することと、
前記物品の前記情報の前記ハッシュ値と前記物品の前記情報とを、前記アプリケーションサーバに結合される分散型データベースに送信することと、
前記物品の前記固有識別番号と前記物品の前記情報の前記ハッシュ値とを、前記アプリケーションサーバと通信接続されるブロックチェーンプラットフォームに送信することとをさらに実行する、
方法。
【請求項11】
前記プロセッサが、
利用者端末から、前記物品の前記固有識別番号を含む照会要求を受信することと、
前記照会要求に応答し、前記ブロックチェーンプラットフォームに送信した前記物品の前記固有識別番号と前記物品の前記情報の前記ハッシュ値との対応リストに前記物品の前記固有識別番号を照合し、前記ブロックチェーンプラットフォームから、前記物品の前記物流工程中での前記物品の前記情報の前記ハッシュ値を取得することと、
前記分散型データベースに送信した前記物品の前記情報の前記ハッシュ値と前記物品の前記情報との対応リストに前記物品の前記物流工程中での前記物品の前記情報の前記ハッシュ値を照合し、前記分散型データベースから、前記物品の前記物流工程中での前記物品の前記情報を抽出することと、
前記物品の前記情報を前記利用者端末に送信することとをさらに実行する、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記物品の前記動的情報は、前記
中間ノードの識別子
情報、前記
中間ノードにおける前記物品の到着時間
情報、前記
中間ノードからの前記物品の配送開始時間
情報、前記
中間ノードによって前記物品に対して実行される作業
の情報、および、前記
中間ノードの位置情報の少なくとも1つ
の情報を含む、
請求項
10または11に記載の方法。
【請求項13】
物品の物流追跡および配送元特定のための不揮発性コンピュータ可読記憶媒体であって、
コンピュータプログラムを
格納し、
前記
コンピュータプログラムは、
コンピュータのプロセッサによって実行されると、請求項7から12のいずれか1項に記載の方法を前記
コンピュータのプロセッサに実施させ
る、
不揮発性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
物品の物流追跡および配送元特定のためのブロックチェーンノードであって、
メモリとプロセッサとを備え、
前記メモリは、
コンピュータプログラムを格納し、
前記
プロセッサは、前記
コンピュータプログラムを実行すると、処理を実行
し、
前記処理は、
前記ブロックチェーンノードと通信接続されるアプリケーションサーバから記憶要求
情報を受信することを含み、
前記記憶要求
情報は、前記物品の固有識別番号と、
前記アプリケーションサーバと通信接続される前記物品の物流工程の開始ノードにおける前記物品の情報のハッシュ値とを含み、
前記物品の前記情報は、前記物品の全物流工程中に変化しない前記物品の基本情報を含み、
前記物品の前記固有識別番号は、Internet of Things(IoT)装置の
プロセッサにより生成されて前記IoT装置のメモリに格納され、
前記IoT装置は、前記物流工程中に前記物品と不可分であり、
前記処理は、
スマートコントラクトを使用することによって、前記物品の前記固有識別番号と
前記物品の前記情報の前記ハッシュ値とを1つ以上の他のブロックチェーンノードに送信することをさらに含む、
ブロックチェーンノード。
【請求項15】
前記処理は、
前記アプリケーションサーバから、前記物品の前記固有識別番号を含む照会要求を受信することと、
前記照会要求に応答し、前記スマートコントラクトを使用することによって、前記物流工程中で
の前記物品の前記情報の前記ハッシュ値を前記アプリケーションサーバに提供することとをさらに含む、
請求項14に記載のブロックチェーンノード。
【請求項16】
前記物品の前記基本情報は、前記物品の名称、数量、写真、映像、生産者および生産地の少なくとも1つを含む、
請求項
14または15に記載のブロックチェーンノード。
【請求項17】
物品の物流追跡および配送元特定のためのブロックチェーンノードであって、
メモリとプロセッサとを備え、
前記メモリは、コンピュータプログラムを格納し、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、処理を実行し、
前記処理は、
前記ブロックチェーンノードと通信接続されるアプリケーションサーバから記憶要求情報を受信することを含み、
前記記憶要求情報は、前記物品の固有識別番号と、前記アプリケーションサーバと通信接続される前記物品の物流工程の1つ以上の中間ノードにおける前記物品の情報のハッシュ値とを含み、
前記物品の前記情報は、前記1つ以上の中間ノードのそれぞれにおける前記物品の動的情報を含み、
前記動的情報は、前記中間ノードにおける前記物品の配送に起因する情報を含み、
前記物品の前記固有識別番号は、Internet of Things(IoT)装置のプロセッサにより生成されて前記IoT装置のメモリに格納され、
前記IoT装置は、前記物流工程中に前記物品と不可分であり、
前記処理は、
スマートコントラクトを使用することによって、前記物品の前記固有識別番号と前記物品の前記情報の前記ハッシュ値とを1つ以上の他のブロックチェーンノードに送信することをさらに含む、
ブロックチェーンノード。
【請求項18】
前記処理は、
前記アプリケーションサーバから、前記物品の前記固有識別番号を含む照会要求を受信することと、
前記照会要求に応答し、前記スマートコントラクトを使用することによって、前記物流工程中での前記物品の前記情報の前記ハッシュ値を前記アプリケーションサーバに提供することとをさらに含む、
請求項17に記載のブロックチェーンノード。
【請求項19】
前記物品の動的情報は、前記
中間ノードの識別子
情報、前記
中間ノードにおける前記物品の到着時間
情報、前記
中間ノードからの前記物品の配送開始時間
情報、前記
中間ノードによって前記物品に対して実行される作業
の情報、および、前記
中間ノードの位置情報の少なくとも1つ
の情報を含む、
請求項
17または18に記載のブロックチェーンノード。
【請求項20】
ブロックチェーンノードのプロセッサにより実行される物品の物流追跡および配送元特定のための方法であって、
前記プロセッサが、前記ブロックチェーンノードと通信接続されるアプリケーションサーバから記憶要求
情報を受信することを
実行し、
前記記憶要求
情報は、前記物品の固有識別番号と、
前記アプリケーションサーバと通信接続される前記物品の物流工程の開始ノードにおける前記物品の情報のハッシュ値とを含み、
前記物品の前記情報は、前記物品の全物流工程中に変化しない前記物品の基本情報を含み、
前記物品の前記固有識別番号は、Internet of Things(IoT)装置の
プロセッサにより生成されて前記IoT装置のメモリに格納され、
前記IoT装置は、前記物流工程中に前記物品と不可分であり、
前記プロセッサが、スマートコントラクトを使用することによって、前記物品の前記固有識別番号と
前記物品の前記情報の前記ハッシュ値とを1つ以上の他のブロックチェーンノードに送信することをさらに
実行する、
方法。
【請求項21】
前記プロセッサが、
前記アプリケーションサーバから、前記物品の前記固有識別番号を含む照会要求を受信することと、
前記照会要求に応答し、前記スマートコントラクトを使用することによって、前記物流工程中で
の前記物品の前記情報の前記ハッシュ値を前記アプリケーションサーバに提供することとをさらに
実行する、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記物品の前記基本情報は、前記物品の名称、数量、写真、映像、生産者および生産地の少なくとも1つを含む、
請求項
20または21に記載の方法。
【請求項23】
ブロックチェーンノードのプロセッサにより実行される物品の物流追跡および配送元特定のための方法であって、
前記プロセッサが、前記ブロックチェーンノードと通信接続されるアプリケーションサーバから記憶要求情報を受信することを実行し、
前記記憶要求情報は、前記物品の固有識別番号と、前記アプリケーションサーバと通信接続される前記物品の物流工程の1つ以上の中間ノードにおける前記物品の情報のハッシュ値とを含み、
前記物品の前記情報は、前記1つ以上の中間ノードのそれぞれにおける前記物品の動的情報を含み、
前記動的情報は、前記中間ノードにおける前記物品の配送に起因する情報を含み、
前記物品の前記固有識別番号は、Internet of Things(IoT)装置のプロセッサにより生成されて前記IoT装置のメモリに格納され、
前記IoT装置は、前記物流工程中に前記物品と不可分であり、
前記プロセッサが、スマートコントラクトを使用することによって、前記物品の前記固有識別番号と前記物品の前記情報の前記ハッシュ値とを1つ以上の他のブロックチェーンノードに送信することをさらに実行する、
方法。
【請求項24】
前記プロセッサが、
前記アプリケーションサーバから、前記物品の前記固有識別番号を含む照会要求を受信することと、
前記照会要求に応答し、前記スマートコントラクトを使用することによって、前記物流工程中での前記物品の前記情報の前記ハッシュ値を前記アプリケーションサーバに提供することとをさらに実行する、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記物品の動的情報は、前記
中間ノードの識別子
情報、前記
中間ノードにおける前記物品の到着時間
情報、前記
中間ノードからの前記物品の配送開始時間
情報、前記
中間ノードによって前記物品に対して実行される作業
の情報、および、前記
中間ノードの位置情報の少なくとも1つ
の情報を含む、
請求項
23または24に記載の方法。
【請求項26】
物品の物流追跡および配送元特定のための不揮発性コンピュータ可読記憶媒体であって、
コンピュータプログラムを
格納し、
前記
コンピュータプログラムは、
コンピュータのプロセッサによって実行されると、請求項20から25のいずれか1項に記載の方法を前記
コンピュータのプロセッサに実施させ
る、
不揮発性コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、Internet of Things(IoT)の分野に関し、特に、物品の物流追跡および配送元特定のための方法、アプリケーションサーバ、ブロックチェーンノードおよびコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、物流配送ネットワークの発展に伴い、ますます多くの物品が、物流配送ネットワークを介して、数千キロメートルさらには数万キロメートル離れた異なる場所間で配送されている。一般的に、物品の配送が開始されると、物流会社は、物流配送の工程で、物品識別子として、バーコードまたは二次元コードの形式で番号を物品に割り当てる。物流会社の各中間配送ノードでは、物品の登録状況および配送状況などの物流情報が記録されるため、物品の配送先にいる利用者は、物品の配送記録を照会することによって、物品の物流情報を取得し得るか、物品の配送元を特定し得る。
【0003】
しかしながら、上記の解決策では、バーコードや二次元コードなどの数字は、容易に複製されて他の物品に添えられる。全ての物流情報は、物流会社の集中サーバに格納されるため、簡単に改竄されたり漏洩したりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施形態は、物品の物流追跡および配送元特定のための方法、アプリケーションサーバ、ブロックチェーンノードおよびコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の局面によれば、物品の物流追跡および配送元特定のためのアプリケーションサーバが提供される。前記アプリケーションサーバは、メモリとプロセッサとを含む。前記メモリは、機械実行可能命令を格納する。前記機械実行可能命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記アプリケーションサーバに処理を実行させる。前記処理は、前記物品の物流工程中に少なくとも1つのノードから記憶要求を受信することを含む。ここで、前記記憶要求は、前記物品の固有識別番号と、前記少なくとも1つのノードにおける前記物品の情報とを含む。前記物品の前記固有識別番号は、IoT装置の公開鍵であり、前記IoT装置は、前記物流工程中に前記物品と不可分である。また、前記処理は、前記情報に対してハッシュ演算を実行して前記情報のハッシュ値を取得することと、前記情報の前記ハッシュ値と前記情報とを分散型データベースに送信して記憶させることと、前記物品の前記固有識別番号と前記情報の前記ハッシュ値とをブロックチェーンプラットフォームに送信して記憶させることとを含む。
【0006】
本開示の第2の局面によれば、物品の物流追跡および配送元特定のための方法が提供される。前記方法は、前記物品の物流工程中に少なくとも1つのノードから記憶要求を受信することを含む。ここで、前記記憶要求は、前記物品の固有識別番号と、前記少なくとも1つのノードにおける前記物品の情報とを含む。前記物品の前記固有識別番号は、IoT装置の公開鍵であり、前記IoT装置は、前記物流工程中に前記物品と不可分である。また、前記方法は、前記情報に対してハッシュ演算を実行して前記情報のハッシュ値を取得することと、前記情報の前記ハッシュ値と前記情報とを分散型データベースに送信して記憶させることと、前記物品の前記固有識別番号と前記情報の前記ハッシュ値とをブロックチェーンプラットフォームに送信して記憶させることとを含む。
【0007】
本開示の第3の局面によれば、物品の物流追跡および配送元特定のための不揮発性コンピュータ可読記憶媒体が提供される。前記不揮発性コンピュータ可読記憶媒体は、機械実行可能命令を含む。前記機械実行可能命令は、機械によって実行されると、前記第2の局面で説明した方法を前記機械に実施させるように適合される。
【0008】
本開示の第4の局面によれば、物品の物流追跡および配送元特定のためのブロックチェーンノードが提供される。前記ブロックチェーンノードは、メモリとプロセッサとを含む。前記メモリは、機械実行可能命令を格納する。前記機械実行可能命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記ブロックチェーンノードに処理を実行させる。前記処理は、アプリケーションサーバから記憶要求を受信することを含む。ここで、前記記憶要求は、前記物品の固有識別番号と、前記物品の物流工程中での少なくとも1つのノードにおける前記物品の情報のハッシュ値とを含む。前記物品の前記固有識別番号は、IoT装置の公開鍵であり、前記IoT装置は、前記物流工程中に前記物品と不可分である。また、前記処理は、スマートコントラクトを使用することによって、前記物品の前記固有識別番号と前記情報の前記ハッシュ値とを1つ以上の他のブロックチェーンノードに送信することをさらに含む。
【0009】
本開示の第5の局面によれば、物品の物流追跡および配送元特定のための方法が提供される。前記方法は、アプリケーションサーバから記憶要求を受信することを含む。ここで、前記記憶要求は、前記物品の固有識別番号と、前記物品の物流工程中での少なくとも1つのノードにおける前記物品の情報のハッシュ値とを含む。前記物品の前記固有識別番号は、IoT装置の公開鍵であり、前記IoT装置は、前記物流工程中に前記物品と不可分である。また、前記方法は、スマートコントラクトを使用することによって、前記物品の前記固有識別番号と前記情報の前記ハッシュ値とを1つ以上の他のブロックチェーンノードに送信することをさらに含む。
【0010】
本開示の第6の局面によれば、物品の物流追跡および配送元特定のための不揮発性コンピュータ可読記憶媒体が提供される。前記不揮発性コンピュータ可読記憶媒体は、機械実行可能命令を含む。前記機械実行可能命令は、機械によって実行されると、前記第5の局面で説明した方法を前記機械に実施させるように適合される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の図面と併せて示される本開示の具体的な実施形態の説明から、本開示はより良く理解され、本開示の他の目的、詳細、特徴および利点はより明らかになるのであろう。
【
図1】本開示の実施形態による物品の物流追跡および配送元特定のためのシステムの構造ブロック図を示す。
【
図2】本開示の実施形態によるアプリケーションサーバにおいて実施される物品の物流追跡および配送元特定のための方法のフローチャートを示す。
【
図3】本開示の実施形態によるブロックチェーンノードにおいて実施される物品の物流追跡および配送元特定のための方法のフローチャートを示す。
【
図4A】本開示の実施形態によるブロックチェーンプラットフォームにおける物品の情報の記憶形式を示す概略図である。
【
図4B】本開示の実施形態による分散型データベースにおける物品の情報の記憶形式を示す概略図である。
【
図5】本開示の実施形態による物品の物流追跡および配送元特定を行うためのIoT装置の構造ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本開示の実施形態を、添付の図面と併せてより詳細に説明する。本開示の実施形態は添付の図面に示されているが、本開示は、様々な方法で実施することができて本明細書に示された実施形態に限定されないことを理解されたい。その代わりとして、本明細書で提供される実施形態は、本開示をより完全にし、本開示の範囲を当業者に伝えるためのものである。
【0013】
上述のように、バーコードや二次元コードを用いて物流情報や物品の配送元を特定する用途では、バーコードや二次元コードなどの数字は容易に複製されて他の物品に添えられる。このため、受取人が所望の物品を受け取ったことを保証することができない。さらに、物流工程中のすべての情報は、物流会社の集中サーバに記憶されるため、簡単に改竄されたり漏洩したりする。
【0014】
この観点から、本開示の実施形態は以下の解決策を提案する。この解決策では、物流工程中に配送される物品と不可分であるIoT装置の公開鍵が、物品の固有識別番号として使用される。また、物品の情報が、固有識別番号と共にブロックチェーンに格納される。このため、この解決策では、物品の受取人が受け取った物品が取り換えられていないことだけではなく、物品の情報が漏洩していないことや改竄されていないことを保証することができる。
【0015】
図1は、本開示による物品の物流追跡および特定のためのシステム100の構造ブロック図を示す。
図1に示されるように、システム100は、送受信機22とプロセッサ24とメモリ26とを含むアプリケーションサーバ20を含む。一実施形態では、メモリ26はコンピュータプログラムコードを格納する。コンピュータプログラムコードは、プロセッサ24によって実行されると、
図2と併せて後述される方法200を実行する。プロセッサ24は、有線方式または無線方式の送受信機22を介して物品の物流工程中に少なくとも1つのノードと相互作用するように構成される。少なくとも1つのノードは、例えば、第1のノード10と、1つ以上の第2のノード40
1-40
N(以下、まとめて第2のノード40と呼ぶ)とを含む。第1のノード10は、例えば、物品の物流工程の配送元ノードであり得て、第2のノード40は、例えば、物品の物流工程の中間ノードであり得る。さらに、プロセッサ24はまた、有線方式または無線方式の送受信機22を介して利用者端末50と相互作用するように構成されている。利用者端末50は、例えば、物流工程の配送先ノードに配置され得る。そして、利用者は、利用者端末50を使用して物品の物流工程情報を追跡または特定し得る。
【0016】
システム100はまた、1つ以上のブロックチェーンノード32を含むブロックチェーンプラットフォーム30を含み得る。各ブロックチェーンノード32は、プロセッサ322とメモリ324とを含む。一実施形態では、メモリ324はコンピュータプログラムコードを格納する。コンピュータプログラムコードは、プロセッサ322によって実行されると、
図3と併せて後述される方法300を実行する。アプリケーションサーバ20は、有線または無線ネットワーク70を介して(例えば、図示しない)ブロックチェーンアプリケーションインタフェースを介して、ブロックチェーンプラットフォーム30の各ブロックチェーンノード32と通信し得る。
【0017】
さらに、システム100はまた、アプリケーションサーバ20に結合された分散型データベース60を含み得る。分散型データベース60は、アプリケーションサーバ20の一部であり得るか、アプリケーションサーバ20から独立して複数のネットワークノード間で分散され得る。
【0018】
図2は、本開示の実施形態によるアプリケーションサーバにおいて実施される物品の物流追跡および配送元特定のための方法200のフローチャートを示す。方法200は、
図1に示されるように、アプリケーションサーバ20において実施され得る。
【0019】
ブロック202では、アプリケーションサーバ20は、物品の物流工程中に少なくとも1つのノードから記憶要求を受信する。記憶要求は、物品の固有識別番号(ID)と、少なくとも1つのノードにおける物品の情報とを含む。
【0020】
本開示では、物品の固有識別番号はIoT装置の公開鍵であり、IoT装置は物品の物流工程中に物品と不可分である。物流配送の開始時において、IoT装置は、配送される物品と不可分に結合される。この結合は、通常、物理的によるものである。このため、物流工程中において、乱暴に扱わなければ、IoT装置を物品から分離させることができない。物流工程の終了時において、物品の受取人は、IoT装置および物品の整合性を確認することによって、配送された物品が取り換えられているかどうかを判定し得る。IoT装置は、公開鍵と秘密鍵との対で構成される。公開鍵は、物流工程中に物品の固有識別番号として直接使用され、秘密鍵は、各ノードの同一性認証を行うために使用される。IoT装置に関する詳細については、
図4のIoT装置80を参照して後述する。
【0021】
一実施形態では、少なくとも1つのノードは第1のノード10を含む。第1のノード10は、例えば、物品の物流工程の配送元ノードまたは開始ノード(物品の差出人など)であり得る。第1のノード10における物品の情報は物品の基本情報を含む。物品の基本情報は、物品の全物流工程中に変化しない。例えば、物品の基本情報は、物品の名称、数量、写真、映像、生産者および生産地などの少なくとも1つを含む。この情報は、差出人が送った物品自体の情報を示す。そして、利用者/受取人は、この情報を使用して、配送された物品が配送先に到着した後に間違っていないかどうかを確認する(例えば、利用者による以前の注文と照らし合わせる)ことができる。
【0022】
別の実施形態では、少なくとも1つのノードは1つ以上の第2のノード40を含む。第2のノード40は、例えば、物品の物流工程の中間ノードであり得て、第2のノード40それぞれにおける物品の動的情報を記録し得る。動的情報は、各第2のノード40における物品の作業情報と、作業情報に対応するタイムスタンプ(時刻情報)とを含む。例えば、動的情報は、第2のノード40の識別子、第2のノード40における物品到着時間、第2のノード40からの物品配送開始時間、第2のノード40によって物品に対して実行される作業、および、第2のノード40の位置情報の少なくとも1つを含み得る。この情報は、様々な物流中間ノードにおける物品配送に起因する情報を示し、動的情報は異なる第2のノード40毎に異なる。
【0023】
実際の実施形態では、アプリケーションサーバ20は、物流工程を経て、第1のノード10および第2のノード40から、対応する基本情報および動的情報を時間順に受信する。
【0024】
アプリケーションサーバ20がノードから受信した各ノードにおける物品の情報をIoT装置の秘密鍵を用いて暗号化可能であることが理解されよう。
【0025】
次に、ブロック204において、アプリケーションサーバ20は、記憶要求に含まれる情報に対してハッシュ演算を行い、情報のハッシュ値を取得する。ハッシュ演算は暗号化演算の一種である。暗号化演算は、異なる長さのデータを等しい長さのデータに変換することができ、データの管理とデータの呼び出しを容易にする。本明細書で説明されるハッシュ演算は、当技術分野で公知であるハッシュ演算のいずれか、または、将来的に開発されるハッシュ演算のいずれかであり得る。そして、本開示は、ハッシュ演算の種類を限定するように意図されていない。
【0026】
ブロック206において、アプリケーションサーバ20は、情報のハッシュ値および情報を分散型データベース60に送信して記憶させる。そして、ブロック208において、アプリケーションサーバ20は、物品の固有識別番号および情報のハッシュ値をブロックチェーンプラットフォーム30に送信して記憶させる。図示される順序と本明細書で説明される順序とに限定されずに他の順序(例えば、同時に実行される、または、ブロック206がブロック208中に実行されるなど)でブロック206および208が実行され得ることが理解されよう。
【0027】
本開示の実施形態によれば、ノードから受信された情報は、様々な方法および/または形式で格納され得る。
図4Aは、本開示の実施形態によるブロックチェーンプラットフォーム30における物品の情報の記憶形式を示す概略図である。
図4Bは、本開示の実施形態による分散型データベース60における物品の情報の記憶形式を示す概略図である。
【0028】
図4Aに示されるように、ブロックチェーンプラットフォーム30には、物品の固有識別番号(ID)402と、1つのノードにおける物品の情報のハッシュ値404との対応リストが格納される。
図4Aに示されるように同一物品における複数の項目がブロックチェーンプラットフォーム30に格納され得ることが理解されよう。なお、各項目は、物品の固有ID402と、1つのノードにおける物品の情報のハッシュ値404とを含む。あるいは、ブロックチェーンプラットフォーム30はまた、
図4Aに示されるように1つの項目のみを格納し得る。ここで、項目は、索引として物品の固有ID402と、複数のノードにおける物品の情報のハッシュ値404とのリストを含む。複数のノードにおける物品の情報のハッシュ値404は、例えば、まず第1のノード10における情報のハッシュ値404、次に複数の第2のノード40における情報のハッシュ値404の順序で配列され得る。複数の第2のノード40における情報のハッシュ値404は、情報に含まれるタイムスタンプの順序で配列され得る。本開示はこれらに限定されず、各ハッシュ値404はまた、本開示の範囲に影響を及ぼすことがなければ他の順序で配置され得る。
【0029】
図4Bに示されるように、分散型データベース60には、1つのノードにおける物品の情報406と、ノードにおける物品の情報406のハッシュ値404との対応リストが格納される。
図4Bに示されるように同一物品における複数の項目が、分散型データベース60に格納され得る。なお、各項目は、索引として1つのノードにおける物品の情報のハッシュ値404と、情報406自体とを含む。あるいは、分散型データベース60はまた、
図4Bに示されるように1つの項目のみを格納し得る。ここで、項目は、索引として複数のノードにおける物品の情報のハッシュ値404と、複数のノードにおける物品の情報406とのリストを含む。同様に、複数のノードにおける物品の情報406は、まず第1のノード10における情報406、次に複数の第2のノード40における情報406の順序で配列され得る。複数の第2のノード40における情報406は、情報に含まれるタイムスタンプの順序で配列され得る。本開示はこれらに限定されず、各情報406はまた、本開示の範囲に影響を及ぼすことがなければ他の順序で配置され得る。
【0030】
アプリケーションサーバ20が受信する情報は、比較的データ量が大きいものであり得る。このため、単にブロックチェーンプラットフォームに情報のハッシュ値を格納して分散型データベースに情報自体を格納することで、安全な記憶を実現すると同時に記憶装置にかかる費用を削減することができる。
【0031】
上記の方法のブロック202から208では、アプリケーションサーバ20が様々な物流ノードから物品関連情報を受信すると共に物品の物流工程中にブロックチェーンにこの情報を格納する工程が説明されている。情報は、物品の配送元情報(基本情報)および物流追跡情報を示す。この情報をブロックチェーンに格納することによって、この情報が改竄されないことが保証される。また、手動介入がなくても物流工程においてこの情報を記憶させることができるため、手作業による不確実性を回避することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、方法200は、物品が配送先に到着するとアプリケーションサーバ20を介してこのような情報を利用者が取得する工程を、任意に含み得る。
【0033】
例えば、ブロック210において、アプリケーションサーバ20は、利用者端末50から照会要求を受信する。照会要求は物品の固有識別番号を含む。利用者端末50は、例えば、物品の受取人が使用する端末であり得る。物品がその配送先に到着すると、その受取人は、利用者端末50を使用し、物品に結合されたIoT装置からIoT装置の公開鍵(すなわち、物品の固有識別番号)を読み取ると共に、物流工程中での各中間ノード40における物品の基本情報および/または動的情報についての照会要求を、アプリケーションサーバ20に送信することができる。
【0034】
利用者端末50からの照会要求に応答して、ブロック212において、アプリケーションサーバ20は、物品の固有識別番号に基づいて、ブロックチェーンプラットフォーム30から、物流工程での少なくとも1つのノードにおける物品の情報のハッシュ値を取得する。例えば、アプリケーションサーバ20は、索引として物品の固有識別番号402を使用して、
図4Aに示されるように、ブロックチェーンプラットフォーム30に格納された対応リストから、少なくとも1つのノードにおける物品の情報のハッシュ値404を直接取得し得る。あるいは、アプリケーションサーバ20は、ブロックチェーンプラットフォーム30のブロックチェーンノード32に照会要求を送信し得る。ブロックチェーンノード32は、例えばスマートコントラクトを使用して、
図4Aに示されるようにブロックチェーンプラットフォーム30に格納された対応リスト(索引として物品の固有識別番号402を含む)から、物流工程中での少なくとも1つのノードにおける物品の情報のハッシュ値を取得する。
【0035】
上述したように、照会要求は、基本情報のみ、動的情報のみ、または、その両方についてのものであり得る。照会要求が「第1のノード10における基本情報のみについてのもの」または「1つ以上の第2のノード40における動的情報のみについてのもの」である場合、照会要求はまた、第1のノード10の識別子または1つ以上の第2のノード40の識別子を含み得る。
【0036】
ブロック214において、アプリケーションサーバ20は、ブロックチェーンプラットフォーム30から取得された少なくとも1つのノードにおける物品の情報のハッシュ値404に基づいて、分散型データベース60から物品の情報406を抽出する。例えば、アプリケーションサーバ20は、
図4Bに示されるように分散型データベース60に格納された対応リスト(索引としてハッシュ値404を含む)から、少なくとも1つのノードにおける物品の情報406を取得し得る。
【0037】
次に、ブロック216において、アプリケーションサーバ20は、抽出した物品の情報406を利用者端末50に送信する。
【0038】
このようにして、物品の受取人は、アプリケーションサーバ20を介して、物流工程中での少なくとも1つのノードにおける物品の情報(物品の基本情報と、各中間ノードにおける物品の動的情報とを含む)を取得することができる。
【0039】
図3は、本開示の実施形態によるブロックチェーンノードにおいて実施される物品の物流追跡および配送元特定のための方法300のフローチャートを示す。方法300は、例えば、
図1に示されるようにブロックチェーンプラットフォーム30におけるブロックチェーンノード32によって実行され得る。
【0040】
ブロック302において、ブロックチェーンプラットフォーム30におけるブロックチェーンノード32は、アプリケーションサーバ20から記憶要求を受信する。記憶要求は、物品の固有識別番号と、物流工程中での少なくとも1つのノードにおける物品の情報のハッシュ値とを含む。
【0041】
ブロック304で、ブロックチェーンノード32は、スマートコントラクトを使用することによって、物品の固有識別番号と情報のハッシュ値とを、ブロックチェーンプラットフォーム30における他のブロックチェーンノード32に送信する。ここで、各ブロックチェーンノード32は、スマートコントラクトのホストであり、本開示ではスマートコントラクト主体(エンティティ)とも呼ばれる。スマートコントラクトは、システム100の開発者または他の提供者によって開発され得て、ブロックチェーンプラットフォーム30における全てのブロックチェーンノード32または一部のブロックチェーンノード32に送信され得る。ブロックチェーンプラットフォーム30におけるスマートコントラクトによる情報連鎖が実施されることで、第三者セキュリティ保証は安全で信頼できるものになる。
【0042】
一実施形態では、上述のように、少なくとも1つのノードは第1のノード10を含む。この場合、スマートコントラクトは第1のスマートコントラクトであり得る。第1のスマートコントラクトは、物品の基本情報をブロックチェーンプラットフォーム30における他のブロックチェーンノード32に送信する専用のものである。
【0043】
別の実施形態では、上述のように、少なくとも1つのノードは1つ以上の第2のノード40を含む。この場合、スマートコントラクトは第2のスマートコントラクトであり得る。第2のスマートコントラクトは、第2のノード40からの物品の動的情報をブロックチェーンプラットフォーム30における他のブロックチェーンノード32に送信する専用のものである。
【0044】
さらに別の実装形態では、1つのスマートコントラクト(図示せず)だけを使用して上述の第1のスマートコントラクトの機能および第2のスマートコントラクトの機能を実施することも可能である。
【0045】
例えば、ブロック306において、ブロックチェーンノード32は、物品の固有識別番号を含む照会要求を、アプリケーションサーバ20から受信する。
【0046】
ブロック308において、ブロックチェーンノード32は、スマートコントラクトを利用し、照会要求に応答して少なくとも1つのノードにおける物品の情報のハッシュ値をアプリケーションサーバ20に提供する。例えば、ブロックチェーンノード32は、スマートコントラクトを使用して、
図4Aに示されるようにブロックチェーンプラットフォーム30に格納された対応リスト(索引として物品の固有識別番号402を含む)から、物流工程中での少なくとも1つのノードにおける物品の情報のハッシュ値を取得し得る。
【0047】
このように、利用者(例えば、配送された物品の受取人)からの照会を受けると、アプリケーションサーバ20は、例えば、物品の固有識別番号を使用し、ブロックチェーンプラットフォーム30にアクセスすると共に、物流工程中での物品の情報のハッシュ値を取得して物流工程中での物品の情報自体をさらに取得することができる。
【0048】
図5は、本開示の実施形態による物品の物流追跡および配送元特定を行うためのIoT装置80の構造ブロック図を示す。
図5に示されるように、IoT装置80は、可読メモリ82と不可読メモリ84とを含む。IoT装置80は、公開鍵と秘密鍵の対で構成され得る。公開鍵は可読メモリ82に格納され、秘密鍵は不可読メモリ84に格納される。このようにして、IoT装置80自体のみが秘密鍵を使用することができると共に他の主体(
図1に示されるアプリケーションサーバ20、第1のノード10、第2のノード40、利用者端末50など)が可読メモリ82からIoT装置80の公開鍵を取得することが保証される。このため、公開鍵と秘密鍵との対が物流工程の各ノードまたは配送先で利用され、第1のノード10、第2のノード40および/または利用者端末50の同一性が認証される。
【0049】
IoT装置80における公開鍵と秘密鍵との対は、様々な方法で生成され得る。一実施形態では、IoT装置80はまた、
図5に示されるように、プロセッサ86を含む。この場合、プロセッサ86は、公知の鍵生成アルゴリズムに基づいて公開鍵と秘密鍵との対を生成し、生成した公開鍵を可読メモリ82に格納し、生成した秘密鍵を不可読メモリ84に格納し得る。
【0050】
別の実施形態では、公開鍵と秘密鍵との対は、アプリケーションサーバ20、または、システム100の提供者の他主体によって生成されると共に、IoT装置80に送られ、可読メモリ82および不可読メモリ84それぞれに格納され得る。この場合、公開鍵および秘密鍵の生成元(例えば、アプリケーションサーバ20)は、生成した公開鍵および秘密鍵をIoT装置80に送信した後、秘密鍵を破棄して公開鍵のみを保持しなければならない。このようにして、秘密鍵がIoT装置80自体によってのみ使用され得ることも保証される。
【0051】
IoT装置80は、例えばシステム100の提供者によって提供され得て、物品配送の前に物品と不可分に結合される。乱暴に扱われて破壊されない限り、IoT装置80を配送される物品から分離することができない。したがって、IoT装置80の公開鍵は、物流工程中に物品の固有識別番号として使用され得る。
【0052】
さらに、第1のノード10および/または各第2のノード40において、読取装置などの装置がIoT装置80と相互作用するよう使用され得て、各ノードの同一性が認証され得る。具体的には、各ノードにおいて、アプリケーションサーバ20は、乱数を取得し、例えばノードにおけるアプリケーションまたは他の方法によって、その乱数をIoT装置80に送信し得る。そして、アプリケーションサーバ20は、IoT装置80の秘密鍵で署名された乱数と、IoT装置80の公開鍵とをIoT装置80から受信し得る。アプリケーションサーバ20は、IoT装置80の公開鍵を用いて、署名された乱数を復号し、復号結果と乱数自体とを比較する。復号結果と乱数自体とは同じであると比較結果が示す場合、アプリケーションサーバ20はノードから情報を受信することができる。ノードを認証する工程は
図2に示される方法200のブロック202の前に実行され得ることが理解されよう。
【0053】
同様に、物品の受取人側において、利用者端末50などの装置がIoT装置80と相互作用するよう使用され得て、利用者端末50の同一性が認証され得る。利用者端末50の認証工程は
図2に示される方法200のブロック210の前に実行され得ることが理解されよう。
【0054】
1つまたは複数の例示的な設計では、本開示の実施形態によって説明される機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの任意の組合せで実施され得る。ソフトウェアで実施される場合、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして、機能が記憶され得るか送信され得る。
【0055】
本明細書で説明される装置の個々のユニットは、個別のハードウェア構成要素を用いて実装され得るか、プロセッサなどの単一のハードウェア構成要素に一体的に実装され得る。例えば、本開示に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュールおよび回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理装置、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア構成要素、あるいは、本明細書で説明された機能を実行するために設計されたそれらの任意の組合せで実装され得るか実行され得る。
【0056】
当業者は、本明細書における本開示の実施形態に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、プロセッサ、手段、回路およびアルゴリズムステップのいずれかが電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの組合せとして実装され得ることをさらに理解するであろう。
【0057】
本開示の実施形態の前述の説明が提供されることで、あらゆる当業者が本開示を実現または使用することが可能になる。本開示の実施形態に対する様々な修正は、当業者には自明であり、本明細書で定義される一般的な原理は、本開示の精神および範囲から逸脱しなければ他の局面に適用され得る。したがって、本開示は、本明細書で示される例および設計に限定されることを意図するものではなく、本明細書で開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。