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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】握り飯用包装材
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20240119BHJP
   B65D 65/10 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
B65D85/50 140
B65D65/10 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019021246
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020128228
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】509009038
【氏名又は名称】アイワ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄一郎
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0066465(KR,A)
【文献】特開2000-279113(JP,A)
【文献】特開2018-012545(JP,A)
【文献】実開平07-028382(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0209002(US,A1)
【文献】特開2008-239179(JP,A)
【文献】特開2018-174842(JP,A)
【文献】登録実用新案第3045904(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 65/00-65/46
A23L 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙シートである略長方形状の外シートと、外シートの外周に沿って接続された内シートと、外シートと内シートの間に収納された海苔シートと、外シートの中心部に長さ方向に沿って設けられた切断部を有する2本の平行な開封線と、2本の平行な開封線の間に形成される開封用領域と、外シートの外側の面に設けられた切断部を介して空気が出入りしないように開封用領域を覆うカバーシートを有し、
2本の平行な開封線の上端部同士および下端部同士を結ぶ端部開封線と、それぞれの端部開封線の中央部から開封用領域の外側へ設けられた切り込み部を有する握り飯用包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、握り飯用の包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
握り飯用包装材として広く普及しているのは、外シートと内シートの間に海苔シートを収納し、握り飯を包装しているときに、海苔シートが握り飯に接触しないようになしたものである。内シートは2枚が中心線に沿って縁部が重ねあうように設けられ、この重なり部は接着されていないか、簡単に離れるような弱い接続となっている。一方、外シートはカットテープなどの開封補助線が中心線に沿って設けらていて、これによって開封時に外シートを左右に切断できるようになっている。たとえば、特許文献1や特許文献2などには、おにぎり用外包フィルムが記載されていて、長方形のフィルム本体に開封補助テープが取り付けられており、このおにぎり用外包フィルムで円盤状のおにぎりを包装する。食べるときには、この開封補助テープにより開封する。これ以外にも、これまで実用化されている握り飯用包装材は、プラスチックフィルムを素材としている。
【0003】
特許文献3には外フィルム1に紙又は不織布からなる表層部が設けられたにぎり飯用包装材が記載されている。さらに、特許文献4や特許文献5には、グラシン紙を用いたおにぎり用包装材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】意匠登録第1203540号公報
【文献】意匠登録第1204011号公報
【文献】特開2004-26535
【文献】特開2000-62835
【文献】特開2000-279113
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の握り飯用包装材は、すべてがプラスチックフィルムより成るものであった。しかし、プラスチック製の容器は使用後には、可燃物と分別して廃棄しなければならい。また、回収されなかったプラスチックは環境に流出し、海洋汚染の原因物質の一つともなっており、生態系への悪影響も問題化している。そこで、プラスチックの使用量が少ない握り飯用包装材が望まれる。
【0006】
特許文献3の食品包装材は、外フィルムに和紙を使用している。しかし、外フィルムの全てが紙又は不織布であるわけではなく、外フィルム基部は合成樹脂製であり、表層部だけが紙又は不織布である。したがって、使用されるプラスチックの量は減少しておらず、さらに紙又は不織布の表層部の分だけ廃棄物が増えている。
【0007】
特許文献4や特許文献5のおにぎり用包装材は、外装シートにグラシン紙を用いている。しかし、紙はプラスチックフィルムに比べて固く、しかも方向性がないので切断しにくい。特許文献4や特許文献5では、外装シートの中央部にカットテープやカット糸が設けられているが、これではかなり力を入れないと紙を切断しにくい。握り飯用包装材としてはグラシン紙では強度が不十分であるが、よりも丈夫な紙を使用すれば開封はさらに難しくなる。
【0008】
この発明は、プラスチックの使用量を減らし、しかも開封しやすい握り飯用包装材および包装握り飯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、この発明の握り飯用包装材は、紙シートである略長方形状の外シートと、外シートの外周に沿って接続された内シートと、外シートと内シートの間に収納された海苔シートと、外シートの中心部に長さ方向に沿って設けられた開封線と、外シートの外側の面に設けられた開封線を覆うカバーシートを有する。外シートの中心部に長さ方向に沿って設けられた2本の平行な開封線と、2本の平行な開封線の間に形成される開封用領域とを形成してもよく、さらに、2本の平行な開封線に加えて、その上端部同士および下端部同士を結ぶ端部開封線と、それぞれの端部開封線の中央部から開封用領域の外側へ設けられた切り込み部を設けることができる。
【0010】
また、この発明の包装握り飯は、紙シートである長方形状の外シートと、外シートの外周に沿って接続された内シートと、外シートと内シートの間に収納された海苔シートと、外シートの中心部に長さ方向に沿って設けられた開封線と、外シートの外側の面に設けられた開封線を覆うカバーシートを有する握り飯用包装材で三角握り飯を包装されていて、三角握り飯の2つの三角形面およびその間の底面に渡って開封線およびカバーシートが設けられている。
【発明の効果】
【0011】
この発明において、外シートにはプラスチックでなく紙シートを用いており、プラスチックの使用量を大幅に減少し、環境の影響を小さくすることができる。三角握り飯の2つの三角形面およびその間の底面に渡って開封線およびカバーシートが設けられ、開封時には外シートを容易に左右に分断できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】握り飯用包装材の第1の例を示す平面図である。
図2】同背面図である。
図3】同A-A断面図である。
図4】外シートの第1の例を示す平面図である。
図5】握り飯を握り飯用包装材上に置いた状態を示す斜視図である。
図6】包装握り飯を示す斜視図である。
図7】握り飯用包装材の第2の例を示す平面図である。
図8】外シートの第2の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための形態について図面に基づいて説明する。図1は握り飯用包装材の第1の例を示す平面図、図2は同平面図、図3は同A-A断面図である。握り飯用包装材1は、紙シートである略長方形状の外シート2と、外シート2の外周に沿って接続された内シート3と、外シートと内シートの間に収納された海苔シート4とを有する。
【0014】
外シート2について説明する。図4は外シートを示す平面図である。外シート2は概ね長方形である。完全に長方形である必要はなく、たとえば、4隅には切り欠き部を設けて、握り飯を包装した際に4隅部における折り重なりが少なるようにしてもよい。そして、この発明において、外シート2は紙シートである。紙シートとしては食品を安全に包装でき、十分な強度を有するものであれば特に限定はない。また、一定の防水性と表面の滑らかさを得るために、その両面にプラスチックコーティングなどの表面処理を施すことが好ましい。
【0015】
外シート2の中心線に沿って開封線6が設けられている。本例では、中心線に沿って所定の距離で2本の平行な開封線6が設けられ、この間に挟まれた領域が開封用領域5となる。さらに、開封用領域5を形成する開封線としては、この2本の平行な開封線6に加えて、その上端部同士および下端部同士を結ぶ端部開封線7が設けられ、この2本の平行な開封線6と端部開封線7により開封用領域5を囲周する閉ループが形成される。そして、それぞれの端部開封線7の中央部から開封用領域5の外側へ設けられた切り込み部8も設けられている。ここで、開封線は、切断を容易にするための処理を成された線であり、ここでは切断部と接続部が周期的に繰り返されるミシン目を設けている。また、別の例で後述するように、長い距離に渡って切断されているような線も含む。
【0016】
次に、内シート3について説明する。内シート3は外シートと同じ外形を有する略長形状であり、薄いプラスティックフィルムよりなる。中心線に沿って左右に簡単に分離するようになっている。本例では、左右はそれぞれ別々の2枚の略長方形のシートとなっており、中心部において重なり合っている。この重なり部は弱く接着してもよいが、本例では接続していない。
【0017】
外シート2と内シート3は、両側辺に沿って相互に接続されている。また、上下辺に沿った縁部においても外シート2と内シート3を接続してもよく、本例では接続されている。そして、この外シート2と内シート3の間に、握り飯を包むための長方形の海苔シート4が入れられている。
【0018】
外シート2の外側の面で開封用領域5の上には、開封用領域5を覆うカバーシート9が設けられている。カバーシート9は接着が容易で密封性があり、開封時の剥離も容易なプラスチックシートでもよいが、紙シートを用いることによってプラスチックの使用量を減らしてもよい。カバーシート9の一端にはつまみ部10が設けられている。外シート2とカバーシート9は密封性が高く、包装時には剥がれにくく、しかも開封時には簡単にはがせるように接続される。たとえば、カバーシート9にポリエステル系、アクリル系、ゴム系などの感圧接着剤をつまみ部10を除いて塗布し、これにより接続することができる。特に、開封用領域5の外側には表面を滑らかにするコーティングなどを行って接着性軽減処理領域を設け、開封用領域5の内側よりも接着を弱くすることが好ましい。
【0019】
次いで、上述の握り飯用包装材で包装された包装握り飯の例について説明する。図5は、握り飯を飯用包装材の上に置いた状態を示す斜視図である。内シート3のある側を上にして飯用包装材1を置き、中央部に三角形の握り飯xの底面が位置するように置く。そして、飯用包装材1を握り飯xの底面に沿って二つ折りに折り曲げながら、握り飯xの三角面を覆い、さらに上部の余った部分を折り畳んで握り飯xの背面に回して、その上にシールなどを貼って折り畳み端を固定する。この包み方は、従来の握り飯の包装方法と特に変わることはない。
【0020】
図6は飯用包装材の例を示す斜視図である。握り飯xは内シート3に隔てられた状態で海苔シートに包まれており、さらにその上から外シート2に包まれている。そして、カバーシート9は握り飯の三角面に表れ、さらに底面を通って、反対側の三角面に渡っている。カバーシート9の上端のつまみ部10は三角面の上隅部に位置している。
【0021】
包装握り飯の開封について説明する。まず、カバーシート9のつまみ部を指でつまむ。つまみ部10は外シート2に接着されていないので、簡単に摘まむことができる。これを下向きに引いて、カバーシート9を外シート2から剥がす。カバーシート9は簡単に引き剥がすことができる。ここで、外シート2の開封用領域5の部分はカバーシート9に接着されているので、カバーシート9に付着した状態で、外シート2から引き離され、開封線に沿って切り離される。こうしてカバーシート9を全て取り外した後には、握り飯の両方の三角面および底面に渡って、開封用領域5が開放状態で現れる。外シート2はそのほとんどが左右に分断されるが、握り飯の上隅部付近のみに繋がった部分が残る。しかし、これも残った飯用包装材1を左右に引くことによって分断できる。残った接続部分はわずかであり、また、端部開封線の中央部から開封用領域の外側へ向けて切り込み部8が設けられているので、この切り込み部8を始点として亀裂が進行し、固い紙であっても残り部分は簡単に分断できる。こうして、外シート2およびこれに接続された内シート3を握り飯xから取り外すことができる。海苔シート4は握り飯xの上に残り、海苔で包まれた状態の握り飯が得られる。
【0022】
握り飯用包装材の第2の例について説明する。図7は握り飯用包装材の第2の例を示す平面図、図8は外シートの第2の例を示す平面図である。この第2の例においては、開封線6は外シートの中心線上に形成された1本の線である。切断部と接続部が周期的に繰り返されるミシン目で形成することもでき、固い紙シートの開封を容易にするように、切断部を長めにしてもよい。さらには、開封線6は数ヵ所の接続部のみでつながっていてもよく、また、その区間を全て切断状態で形成してもよい。こうして、切断線6を1本の線にすることによって、製造を容易にすることができる。
【0023】
カバーシート9は、この開封線6の上に、外シートの外側の面から貼り付けられる。カバーシート9は第1の例と同じものでもよいが、1本の開封線6を覆うだけなので、図7に示すようにより細いものでもよい。
【0024】
本例においても、第1の例と同様に、開封線6は外シートの外側からカバーシート9によって完全に覆われ、密封される。したがって、開封線6に大きな切断部が設けられても、その切断部を介して空気が出入りすることはない。また、外側に設けられたカバーシート9は開封線6を保護する。握り飯用包装材や包装握り飯を手で取り扱っても、指が開封線6に触れることはなく、開封するつもりがないのに破れるという事態が防止される。
【0025】
この例の握り飯用包装材による包装は、第1の例と同様でよい。得られた包装握り飯では、三角握り飯の2つの三角形面およびその間の底面に渡って開封線およびカバーシートが位置する。開封時には、カバーシート9のつまみ部を指でつまみ下向きに引いて、カバーシート9を外シート2から剥がす。こうしてカバーシート9を全て取り外した後には、握り飯の両方の三角面および底面に渡って、開封線が現れる。外シート2を左右に引けば外シート2は開封線6に沿ってほとんどが左右に分断される。残った飯用包装材1を左右に引くことによって完全に分断され、外シート2およびこれに接続された内シート3を握り飯xから取り外すことができる。海苔シート4は握り飯xの上に残り、海苔で包まれた状態の握り飯が得られる。
【符号の説明】
【0026】
1.握り飯用包装材
2.外シート
3.内シート
4.海苔シート
5.開封用領域
6.開封線
7.端部開封線
8.切り込み部
9.カバーシート
10.つまみ部
x.握り飯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8