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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】継手
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/08 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
E21D11/08
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019088340
(22)【出願日】2019-05-08
(65)【公開番号】P2019199795
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2018092623
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510202167
【氏名又は名称】Next Innovation合同会社
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-124523(JP,A)
【文献】特開2003-247397(JP,A)
【文献】特開2017-110424(JP,A)
【文献】特開平06-081593(JP,A)
【文献】特開平09-158684(JP,A)
【文献】特開平10-131306(JP,A)
【文献】特開平03-224991(JP,A)
【文献】特開昭57-074500(JP,A)
【文献】実開昭52-047822(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の継手部材と、第二の継手部材とを相対的にスライド移動させて互いに接合し得るように構成される継手であって、
上記第一の継手部材は、外周面に複数の第一の条状部が列設されて成る凹凸状の嵌入突出部を有し、
上記第二の継手部材は、その端面に凹状の受容部を有し、
凹状の上記受容部は、上記端面に対する直交面に形成された挿入口と、該挿入口からスライド方向に沿って延びて該受容部の内周面内に形成された複数の第二の条状部が列設されて成る凹凸状の案内規制部とを有し、
上記受容部は、上記案内規制部が上記嵌入突出部の各上記凹凸同士を嵌入させることで、該嵌入突出部の上記スライド方向に沿った移動を案内し、スライド方向と異なる方向に上記第一の条状部と上記第二の条状部とが干渉して該嵌入突出部の該スライド方向と異なる方向の相対変位を規制し、
前記受容部は、互いに別体を成す複数の部分体によって構成され、
前記部分体は、前記嵌入突出部を成すことを特徴とする継手。
【請求項2】
前記受容部は、スライド方向に平行な、互いに対向する二面を有し、
前記第二の条状部は、上記二面の一方又は両方に形成されることを特徴とする請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記受容部の前記二面は、少なくとも一方が他方に対し、前記受容部の開口から底部に向かって、間隙を拡げ得る、或いは間隙を狭め得るように傾斜部分を有することを特徴とする請求項2に記載の継手。
【請求項4】
前記受容部の前記二面の間隔は、前記スライドの向きに沿って縮小する部分を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の継手。
【請求項5】
前記受容部の前記二面の少なくとも一方、及び/又は前記嵌入突出部は、前記嵌入突出部が前記挿入口に対する前記スライド方向挿入向きの前端部の厚みが、後端部の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の継手。
【請求項6】
前記案内規制部の凹凸は、等しいピッチ或いは異なるピッチで形成され、
前記嵌入突出部の凹凸は、等しいピッチ或いは異ピッチで形成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の継手。
【請求項7】
前記案内規制部の凹凸及び前記嵌入突出部の凹凸は、断面形状が山形状、波形状、微小凹凸形状、鋸歯形状の何れかを成すことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の継手。
【請求項8】
前記受容部は、複数の前記嵌入突出部により成ることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の継手。
【請求項9】
前記受容部は、前記複数の部分体を接着、溶着、溶接、嵌合及び/又は締結により一体化されて成ることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の継手。
【請求項10】
前記部分体は、他の前記部分体との合わせ面となる表面が平面状、微小凹凸面状及び/
又は互いに嵌合可能な凹凸面状を成すことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の継手。
【請求項11】
前記第一の継手部材は、前記受容部を有し、
前記第二の継手部材は、前記嵌入突出部を有し、
前記第一の継手部材の前記受容部に前記第二の継手部材の前記嵌入突出部が嵌入し、
前記第二の継手部材の前記受容部に前記第一の継手部材の前記嵌入突出部が嵌入することを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の継手。
【請求項12】
前記第一の継手部材及び前記第二の継手部材は、アンカー部を有することを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の継手。
【請求項13】
前記部分体は、アンカーの少なくとも一部を嵌合させる嵌合溝を有し、
複数の前記部分体は、前記アンカーを挟持することを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の継手。
【請求項14】
前記受容部は、外側に補強部を具えることを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の継手。
【請求項15】
前記部分体は、前記嵌合溝の底部に突起条部を有し、
上記突起条部は、前記アンカーに当接することを特徴とする請求項13記載の継手。
【請求項16】
前記突起条部は、前記嵌合溝における、前記アンカーの長手方向に沿った一方側に配設され、
前記アンカーは、前記突起条部によって、上記長手方向に沿った他方側に位置する前記嵌合溝の内壁に押し付けられることを特徴とする請求項15記載の継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの被接合体を接合する継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のセグメント同士を接合させてセグメントリングを構成するために、セグメント間に継手を設けている。このような継手としては、例えばメス継手とオス継手とからなるものがあり、一方のセグメントにメス継手を、他方のセグメントにオス継手をそれぞれ設け、セグメントを接合面方向に移動させたとき、メス型継手の爪がオス型継手によって外側に拡げられ、オス型継手の係合窓にメス型継手の爪が嵌合する継手が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-137525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の継手は、セグメント同士の接合強度に応じてメス型継手の爪の大きさと、オス型継手の係合窓の位置が決定される。具体的には、セグメントの接合方向に沿った爪の長さを長くすると共に、オス型継手の先端から係合窓までの長さを長くするように設定する。結果、接合方向に沿ったオス型継手とメス型継手の長さが長くなって継手全体が大きくなり、製造コストが大きくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、簡易な構造によって、高強度でありながら小型化可能な継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の継手は、第一の継手部材と、第二の継手部材とを相対的にスライド移動させて互いに接合し得るように構成される継手であって、第一の継手部材は、外周面に複数の第一の条状部が列設されて成る凹凸状の嵌入突出部を有し、第二の継手部材は、端面に対して凹んだ受容部を有し、受容部は、端面に対する直交面に形成された挿入口と、該挿入口からスライド方向に沿って延びて該受容部の内周面内に形成された複数の第二の条状部が列設されて成る凹凸状の案内規制部とを有し、受容部は、案内規制部が嵌入突出部の各凹凸同士を嵌入させることで、該嵌入突出部のスライド方向に沿った移動を案内し、スライド方向と異なる方向に第一の条状部と第二の条状部とが干渉して該嵌入突出部の該スライド方向と異なる方向の相対変位を規制することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の継手は、受容部がスライド方向に平行な、互いに対向する二面を有し、第二の条状部は、二面の一方又は両方に形成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の継手は、受容部の二面が少なくとも一方が他方に対し、受容部の開口から底部に向かって、間隙を拡げ得る、或いは間隙を狭め得るように傾斜部分を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の継手は、受容部の二面の間隔がスライドの向きに沿って縮小する部分を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の継手は、受容部の二面の少なくとも一方、及び/又は嵌入突出部が、嵌入突出部が挿入口に対するスライド方向挿入向きの前端部の厚みが、後端部の厚みよりも薄いことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の継手は、案内規制部の凹凸が等しいピッチ或いは異なるピッチで形成され、嵌入突出部の凹凸が等しいピッチ或いは異ピッチで形成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の継手は、案内規制部の凹凸及び嵌入突出部の凹凸が、断面形状が山形状、波形状、微小凹凸形状、鋸歯形状の何れかを成すことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の継手は、受容部が互いに別体を成す複数の部分体によって構成されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の継手は、部分体が嵌入突出部を成すことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の継手は、受容部が複数の嵌入突出部により成ることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の継手は、受容部が複数の部分体を接着、溶着、溶接、嵌合及び/又は締結により一体化されて成ることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の継手は、部分体が他の部分体との合わせ面となる表面が平面状、微小凹凸面状及び/又は互いに嵌合可能な凹凸面状を成すことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の継手は、第一の継手部材が受容部を有し、第二の継手部材が嵌入突出部を有し、第一の継手部材の受容部に第二の継手部材の嵌入突出部が嵌入し、第二の継手部材の受容部に第一の継手部材の嵌入突出部が嵌入することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の継手は、第一の継手部材及び第二の継手部材がアンカー部を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の継手は、部分体がアンカーの少なくとも一部を嵌合させる嵌合溝を有し、複数の部分体がアンカーを挟持することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の継手は、受容部が外側に補強部を具えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡易な構造によって、第一の継手部材と第二の継手部材との相互干渉部分の全面積を引抜きに抗する剪断面積に寄与することが可能となり、高強度であって小型化可能な継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第一の実施形態に係る継手を示す斜視図である。
図2】継手のシールドへの適用を説明する図である。
図3】第一の実施形態に係る継手の雌型継手部材を示す斜視図である。
図4】第一の実施形態に係る継手の雄型継手部材を示す斜視図である。
図5】雌型継手部材に対してスライドしている雄型継手部材を示す図である。
図6】第二の実施形態に係る継手の継手部材を示す斜視図である。
図7】第二の実施形態に係る継手の継手部材をセグメントに埋設した状態を示す断面図である。
図8】第二の実施形態に係る継手部材同士の組み合わせを示す斜視図である。
図9】第二実施形態に係る継手部材を組み合わせて構成された継手を示す斜視図である。
図10】複数の部分体により構成される雌型継手部材を示す図である。
図11】複数の部分体により構成される雌型継手部材を示す図である。
図12】三つの部分体で構成した継手部材を示し図である。
図13】三つの部分体で構成した継手部材を示し図である。
図14】同一の部分体からなる雌型継手部材を示す図である。
図15】部分体の他の例を示す図である。
図16】アンカーを具える雌型継手部材を示す図である。
図17】アンカーを具える雄型継手部材を示す図である。
図18】アンカーを具える他の雌型継手部材を示す図である。
図19】他の雌型継手部材を示す図である。
図20】他の雌型継手部材を示す図である。
図21】セグメントに埋設された雌型継手部材を示す図である。
図22】セグメントに埋設された雄型継手部材を示す図である。
図23】複数の部分体により構成される他の雌型継手部材を示す図である。
図24】アンカーから形成される部分体を示す図である。
図25】アンカーと一体の部分体から成る雌型継手部材を示す図である。
図26】アンカーから形成される部分体の他の例を示す図である。
図27】アンカーと一体の部分体から成る雌型継手部材の他の例を示す図である。
図28】アンカーから形成される雄型継手部材を示す図である。
図29】雌型継手部材の板部の配置例を示す図である。
図30】雌型継手部材の案内規制部の他の例を示す図である。
図31】嵌入突出部及び受容部の形状例を示す図である。
図32】嵌入突出部及び受容部の形状例を示す図である。
図33】雌型継手部材の条状部の他の例を示す図である。
図34】案内規制部の凹凸の形状例を示す図である。
図35】補強部を具える雌型継手部材を示す図である。
図36】従来の継手に係る雌型継手部材及び雄型継手部材を示す図である。
図37】アンカー配設溝を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の第一の実施形態に係る継手について説明する。図1は第一の実施形態に係る継手1を示す斜視図である。継手1は、雌型継手部材2と雄型継手部材4との二つの継手部材を有し、雌型継手部材2と雄型継手部材4とが相対的にスライド移動して互いに係合して接合し得るように構成される。従って、各継手部材2、4は、例えばコンクリート製のセグメント(被接合体)の接合面と他のセグメントの接合面を当接させた状態で接合するための継手を構成する。
【0025】
なお継手1は、図2に示すような地中にトンネルを構築するシールド工法に適用できる。シールド工法においては、工場等で予め製造したセグメント102を周方向に接合してリング104を製作し、このリング104を軸方向に順次接続してトンネル100を構築する。図2では短い直線で記号的に示したセグメントの周方向の継手1に本発明を適用することができる。
【0026】
以下の説明においては、図1に示すXYZ直交座標系を設定し、この直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係等について説明する。X軸は、両継手部材2、4を係合させるためのスライド方向に平行となるように設定する。Z軸は、両継手部材2、4が互いに係合して向かい合う方向と平行になるように設定する。Y軸は、XZ平面に対して垂直となるように設定する。また、雌型継手部材2に雄型継手部材4を係合させるときのスライド方向を+X方向及び雌型継手部材2から雄型継手部材4を抜去する方向を-X方向に設定する。またZ軸において雌型継手部材2側を-Z方向及び雄型継手部材4側を+Z方向に設定する。またY軸は、雌型継手部材2側から雄型継手部材4側に向かう方向を+Y方向に設定する。
【0027】
図3は第一の実施形態に係る継手1の雌型継手部材2を示す斜視図である。雌型継手部材2は、XZ平面に対称であって、YZ平面に平行な断面形状が略コ字状の外形形状を有する。雌型継手部材2は、+Z方向の端面に対して凹んだ、雄型継手部材4の一部を受容し得る受容部10を具える。即ち雌型継手部材2の受容部10は、二枚の板部12と、-Z方向側で二枚の板部12を連結する連結部14とにより構成される。また受容部10は、X方向における両端が開口し、この開口が嵌入突出部20を受容部10の内周面に挿入させ得る挿入口10aとして機能する。
【0028】
板部12は、板面をXZ平面に略平行な向きに配設され、且つY方向に間隔を存して二枚配列される。板部12は、もう一方の板部12に対向する対向面において、複数の条状部13aが列設されて成る凹凸状の案内規制部13が形成される。案内規制部13の凹凸は、例えば山形状を成すものとするが、勿論これに限定するものではない。
【0029】
各条状部13aは、スライド方向(X方向)に沿って延伸し、板部12の+Z方向側の縁部からZ方向に沿って配列される。なお条状部13aは、少なくとも板部12のX方向の略全域に配置されていればよい。従って条状部13aは、X方向の略全域に亘って連続的に延びる形状であってもよく、また複数の条状部13aをX方向に沿って断続的に連なって配設してもよい。なお条状部13aの長さ、数、条状部13a同士の間隙等は適宜設定し得るものである。
【0030】
図4は第一の実施形態に係る継手1の雄型継手部材4を示す斜視図である。雄型継手部材4は、略板状に形成された部材であって、-Z方向側端部に嵌入突出部20を具える。嵌入突出部20は、Z方向の長さが受容部10の深さ(Z方向の長さ)と略同一であり、Y方向における厚みが二枚の板部12の間隙と略同等、或いは該間隙よりも若干小さく設定される。また嵌入突出部20のY方向の両面には、複数の条状部21が列設されて成る凹凸状の嵌合面20aが形成される。嵌合面20aの凹凸は、案内規制部13の凹凸に嵌まるように、凹凸のピッチや数、案内規制部13の凹凸との間隙(クリアランス)等が設定される。即ち、嵌入突出部20の形状は、受容部10により形成される空間と略同一であり、嵌入突出部20は受容部10内に完全に収容され得る。
【0031】
図5は雌型継手部材2に対してスライドしている雄型継手部材4を示す図である。図5に示すように、雄型継手部材4は、雌型継手部材2に対しスライド方向の挿入向きに移動させることで、嵌入突出部20が挿入口10aを介して受容部10内に嵌入する。即ち、嵌入突出部20を受容部10に対して+X方向に移動させて受容部10に嵌入する。なお、雌型継手部材2を雄型継手部材4に対してスライド方向の挿入向きに移動させてもよい。この場合は、受容部10を嵌入突出部20に対して-X方向側に移動させる。
【0032】
このとき嵌合面20aの凹凸が、案内規制部13の凹凸に嵌合する。即ち、嵌合面20aの凸部分が案内規制部13の凹部分に嵌まると共に、案内規制部13の凸部分が嵌合面20aの凹部分に嵌まる。従って雄型継手部材4は、案内規制部13によってX方向に沿ってスライドし得るように移動が案内される。
【0033】
また、嵌入突出部20は、嵌合面20aの凹凸が案内規制部13の凹凸に嵌合する。従って雌型継手部材2の条状部13aと雄型継手部材4の条状部21とがスライド方向と異なる方向(Z方向)に干渉し、受容部10に対する嵌入突出部20のZ方向に沿った相対変位が規制される。勿論、嵌入突出部20は、板部12間に配置されているため、Y方向に沿った位置も規制される。結果、図1に示すように、嵌入突出部20が受容部10内に収容されるように雄型継手部材4と雌型継手部材2とが組み合わされて継手1が構成される。
【0034】
以上、説明したように、本実施形態に係る継手1によれば、雌型継手部材2の受容部10に雄型継手部材4の嵌入突出部20を嵌入させたとき、案内規制部13の凹凸と嵌合面20aの凹凸とが嵌合して雌型継手部材2と雄型継手部材4とのZ方向に沿った離間を防止することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る継手1の両継手部材2、4は、特許文献1に記載の継手のような爪を係合窓に嵌合させるものに対し、爪の大きさや、係合窓の位置を確保するための設計が不要となる。従って、強度を維持しながら、従来のような爪や係合窓の構成を省くことができ、その分両継手部材の小型化、軽量化を図り、且つ継手1自体を安価に製造することができる。
【0036】
また、本実施形態に係る継手1は、案内規制部13の複数の凹凸と、係合面20aの複数の凹凸とが互いに嵌合するため、両継手部材2、4をZ方向に沿って離間させる引張荷重に対する応力を多段に分散するため、凹凸の数を増やせば、各凹凸の深さを短く設定することが可能となる。従って強度を維持しつつ、凹凸の深さ方向(Y方向)に沿った長さを短縮でき、これによっても両継手部材2、4の小型化を図ることができる。
【0037】
また、両継手部材2、4が互いに係合し合う凹凸部分におけるXZ平面におけるZ方向の相互の干渉は、両継手部材2、4をZ方向に沿って離間させる方向の外力により生じる剪断力に抗する剪断面積に寄与する。即ち両継手部材2、4の互いに係合して干渉する箇所の任意のXZ断面積全てが剪断面積となって剪断抵抗する。
【0038】
ここで、図36に従来の雌型継手部材310と雄型継手部材320からなる継手300を示す。従来の雄型継手部材320は、フランジ状にY方向両側に拡がった突出部322を有するYZ断面形状がT形状を成す。また雌型継手部材310は、Z方向に凹んで、その凹みの底部314に対向する開口端部に凹みの開口を狭める突起316を有する受容部312を有する。このような継手300は、突出部322を受容部312内に挿入させたとき、突出部322が突起316と係合する。
【0039】
このとき、突起316と突出部322には、耐荷重に応じた厚みを設定する。例えば、耐荷重に応じた厚みがaであるとき、突起316と突出部322の各々の厚みをa以上に設定する必要がある。従って従来の継手300は、雌型継手部材310と雄型継手部材320とが係合する部分に係るZ方向に厚みを2a以上確保する必要がある。これに対して、本発明の継手1は、受容部10の内周面の条状部13aと嵌入突出部20の条状部21との干渉によって、両継手部材2、4が係合するので引き抜き強度を維持しながら、係合する部分に係るZ方向の厚みを従来の半分以下に設定することが可能となる。結果、両継手部材2、4の小型化、軽量化を図り、且つ継手1自体を安価に製造することができる。
【0040】
なお、上述した雌型継手部材2は、二枚の板部12にそれぞれ案内規制部13を設けるものとして説明したが、何れか一方のみに案内規制部13を設けるようにしてもよい。その場合、嵌入突出部20においても案内規制部13の凹凸と対向する面にのみ嵌合面20aを設けるようにする。
【0041】
次に第二の実施形態に係る継手1について説明する。第二の実施形態に係る継手1は、第一の実施形態に係る雌型継手部材2及び雄型継手部材4に対し、雄型及び雌型を兼ねる継手部材30同士を組み合わせて継手を構成する点が相違する。なお上記第一の実施形態に係る継手1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
ここで図6は第二の実施形態に係る継手の継手部材を示す斜視図、図7は第二の実施形態に係る継手の継手部材をセグメントに埋設した状態を示す断面図である。雄雌一体型の継手部材30は、同一の構造を有する他の継手部材と組み合わされて、セグメントの接合面108(図7参照)と他のセグメントの接合面を当接させた状態で接合して継手を構成するものである。
【0043】
継手部材30は、セグメント102の接合面108から突出する嵌入突出部20と、セグメント102に埋設される受容部32と、嵌入突出部20と受容部32を接続し、セグメント102に埋設されている接続部34を具える。また嵌入突出部20に対して受容部32は、他の継手部材を組み合わせる際のスライド方向の上流側に配設される。即ち受容部32は、図6において嵌入突出部20よりも-X方向側に配設される。
【0044】
嵌入突出部20は、その全体が接合面108から突出する。即ち接合面108が嵌入突出部20と接続部34との境界となっている。受容部32は、図6に示す+Z方向側の端面が露出し、且つ該端面と接合面108とが面一になるようにセグメント102に埋設される。また受容部32は、略平行に並ぶ二つの側壁36と、両側壁36の基端同士を連設する連設部38を具える。受容部32の図6の-X方向側の端部は、嵌入突出部20が挿入可能に開放された挿入口32aとなっている。また二つの側壁36、連設部38、挿入口、挿入口32aとX方向に対向する端面40(図7参照)により画定される空間は、挿入口32aから挿入された他の継手部材の嵌入突出部を受容する断面凹状の受容空間となる。
【0045】
受容空間のZ方向の長さは、嵌入突出部20のZ方向の長さと略同一である。二つの側壁36は、互いに対向する対向面において複数の条状部37aが列設されて成る凹凸状の案内規制部37を有する。なお案内規制部37の凹凸は、山形状を成すものとする。また条状部37aは、X方向に形成されており、各条状部37aは、+Z方向側の縁部からZ方向に沿って配列される。案内規制部37の凹凸は、各々がX方向に延び、且つ嵌合面20aの凹凸に嵌まるようにピッチや数、間隙(クリアランス)等が設定される。従って側壁36間には、嵌入突出部20が嵌入し得、嵌入突出部20の嵌合面20aの凹凸が、案内規制部37の凹凸に嵌まり得る。また受容部32の受容空間と嵌入突出部20の形状とは略同一であり、受容部32は嵌入突出部20を完全に収容し得る。
【0046】
受容部32の受容空間に他の継手部材の嵌入突出部が挿入された状態で、接合面の面方向に沿った引張力(Z方向に沿ってセグメント102同士を離間させる向きの力)が作用したとき、案内規制部37の凹凸が、嵌合面20aの凹凸に嵌まるため、受容部32は、他の継手部材の嵌入突出部を保持し得るように機能する。
【0047】
側壁36は、その強度を向上させるために、肉厚を厚く形成してもよいが、それ以外の方法、例えば側壁36の外側にリブやフランジ等の補強手段を設けて強度を向上させるようにしてもよい。
【0048】
接続部34は、略直方体状の部材で、セグメント102に埋設されるが、勿論これに限定されるものではない。接続部34の-X方向の端面34aには受容部32が、-Z方向の端面34bには嵌入突出部20が接続される。なお、接続部34の形状を、製造を容易にするため略直方体状としたが、嵌入突出部20と受容部32を概ね上記のような位置関係で接続し、且つ接合時に他の継手部材の嵌入突出部により押圧される際の荷重に耐えることができれば他の形状であってもよい。
【0049】
次に、図8を参照して雄雌一体型の継手部材30同士の組み合わせ方法について説明する。図8では、継手部材30のみを示しており、この継手部材30は、セグメントに埋設されている場合、セグメントの受容部32に隣接する位置には、他の継手部材の嵌入突出部を受容部32に進入させるための空間110(図7参照)が形成される。即ち空間110は、受容部32の受容空間に連続する位置に形成され、接合面108側を開放することで、嵌入突出部を挿脱可能とする形状を有するものとする。
【0050】
継手部材30同士を組み合わせる際、図8に示すように、一方の継手部材30aに対して他方の継手部材30bは、側壁36のZ方向端面を一方の側壁36に対向するようにXZ平面に沿って180度回転させた向きとする。即ち継手部材30bは、嵌入突出部20が-Z方向に延伸し、嵌入突出部20に対して受容部32が+X方向側に位置する向きとなる。
【0051】
次に図8に示す+X方向に沿って継手部材30bを移動させる。なお継手部材30がセグメントに埋設されている場合、両セグメントの接合面同士が摺接するように、継手部材30bは、継手部材30aに対するZ方向の位置合わせがなされる。これにより、継手部材30aの嵌入突出部20が継手部材30bの受容部32に、継手部材30bの嵌入突出部20は継手部材30aの受容部32にそれぞれ進入する。
【0052】
さらに継手部材30bを+X方向に移動させることで、図9に示すように継手部材30bの嵌入突出部20が継手部材30aの受容部32に収容される。また同様に、継手部材30aの嵌入突出部20が継手部材30bの受容部32に収容される。従って受容部32と嵌入突出部20とが互いに係合し、継手部材30a、30b同士の離間を防止するように機能する。このようにして継手部材30aは他の継手部材30bと組み合わされて継手1を構成する。
【0053】
継手部材30によれば、受容部32は他の継手部材の嵌入突出部を挿入可能とし、挿入された他の継手部材の嵌入突出部を収容し、受容部32に対して嵌入突出部がスライド方向に直交する方向に抜け出さないように保持することができる。また継手部材30は、嵌入突出部20が他の継手部材の受容部に挿入され、抜け出さないように保持され、更に強固な継手を構成することができる。
【0054】
なお、上述した各実施形態に係る継手の各継手部材は、複数の部分体で構成することができる。先ず雌型継手部材2を互いに別体に形成された複数の部分体によって構成する場合について説明する。具体的には図10に示すように、雌型継手部材2を互いに別体の二つの部分体44、46により構成する。部分体44は、図10に示す雌型継手部材2の-Y方向側半分(左半分)を形成する。即ち部分体44は、板部12a、連結部14の-Y方向側半分を有するようにその形状が設定される。一方、部分体46は、図10に示す雌型継手部材2の+Y方向側半分(右半分)を形成する。即ち部分体46は、板部12b、連結部14の+Y方向側半分を有するようにその形状が設定される。
【0055】
また部分体44は、山形状の凹凸面を成す結合面44aを具え、また部分体46も同様に凹凸面を成す結合面46aを具える。結合面44a、46aは、互いに凹凸を嵌合させ得るように凹凸面が設定される。従って部分体44、46は互いの結合面44a、46a同士を嵌合させ、雌型継手部材2を形成する。なお部分体44、46同士の結合は、例えばボルト締結により行う。即ち部分体44、46には、例えば連結部14a、14bにおいてY方向に貫通する貫通孔(不図示)が形成される。そして両貫通孔にボルトを挿通し、該ボルトにナットを締結することで、部分体44、46を結合する。また部分体44、46は同一形状を有する部材であり、部分体26は結合面46aを結合面44aに対向させるために向きを反転させたものである。
【0056】
なお部分体44、46の結合手段は、ボルト締結に限定するものではなく、部分体44、46の貫通孔にタップ加工を施して雌ねじ孔を設け、ボルトを螺合するように構成してもよい。またリベット締結や、カシメであってもよい。カシメによる結合の場合、例えば部分体44に凸部を、部分体46に凹部をそれぞれ形成し、凸部を凹部に嵌入させて凸部を塑性変形させて部分体44、46を結合させる。また部分体44、46の結合手段としては、接着、溶着、溶接、嵌合等を用いてもよく、上述した結合手段を複数組み合わせてもよい。
【0057】
また、部分体44、46の結合面44a、46aは、山形状の凹凸面状に限定するものではなく、平面状としてもよく、また鋸刃形状や、凹凸の先端面及び底面がスライド方向に対して直交し、先端面と底面とを連結する面がスライド方向に平行な面を成す形状、凹凸が湾曲面になっている波形形状等であってもよい。
【0058】
また結合面44a、46aは、ローレット等の微小凹凸又は、互いに嵌合可能な微小凹凸、粗面状等であってもよい。微小凹凸を採用すれば、結合面44a、46a間の摩擦力及び/又は嵌合力が増加するので、締結前の各結合面44a、46aが面方向に沿って摺動するのを抑止することが出来る。
【0059】
また嵌合可能な凹凸を採用すれば、締結前の各結合面44a、46aが面方向に沿って摺動するのを抑止することが出来、更に締結前の部分体44、46同士で凹凸を嵌合させ、位置合わせを容易に行うことが出来る。なお、結合面44aに一つ又は複数の凹部を設け、結合面46aに一つ又は複数の凸部を設け、凹部に凸部を嵌合させて位置合わせを行ってもよい。
【0060】
このように、雌型継手部材2を複数の部分体44、46で構成し得るようにしたので、部分体44、46がプレス加工や、鍛造等の塑性加工により製造することができる。従って各部分体44、46を一体化させるための結合手段を施しても、雌型継手部材2を鋳造等の一体成型により製作するよりも安価に製造することができる。更に各部分体44、46を大量生産可能であるため、雌型継手部材2の大量生産を容易に行うことができる。また、塑性加工によって製造された雌型継手部材2は、鋳造によって製作した場合と比較して強度が向上するので、鋳造で製造された場合の強度を維持しつつ、全体の小型化を図ることができる。また、雌型継手部材2を複数の部分体44、46で構成した場合を例に説明したが、勿論雄型継手部材4を複数の部分体で構成してもよい。
【0061】
なお、上述した雌型継手部材において、二つの部分体によって構成する場合を例に説明したが、これに限定するものではなく、三つ以上の部分体で構成してもよい。また部分体間に剪断キー等を配設して雌型継手部材を構成してもよい。例えば三つの部分体により雌型継手部材を構成する場合、連結部14をY方向に三つに分けるように各部分体を構成する。即ち図11(a)に示すように、部分体50は、板部12aと、連結部14の-Y方向における一部分を含む形状とし、部分体52は、板部12bと連結部14の+Y方向における一部分を含む形状とし、部分体54は、連結部14の中間部分であって受容部10の底面を含む形状とする。従って、部分体50、52間で部分体54を挟持するように互いを結合する。
【0062】
また剪断キーを配設する場合には、図11(b)に示すように、部分体50、52、54において連通する穴に剪断キー56が配設される。即ち、部分体54には、Y方向に貫通する剪断キー56が挿嵌し得る貫通孔を形成する。部分体50、52にはそれぞれ貫通穴に連通し得、剪断キー56が嵌まる穴を形成する。そして剪断キー56を部分体54の貫通孔、部分体50、52の穴に挿嵌させて配設する。剪断キー56を配設する場合、部分体同士を結合する際に予め部分体54の貫通穴に剪断キー56を挿嵌させることで、部分体50、52の位置合わせを容易に行うことができる。
【0063】
また、雄雌一体型の継手部材30であっても、複数の部分体で構成することができる。ここで図12は三つの部分体で構成した継手部材30を示し、(a)は継手部材を示す斜視図、(b)は部分体60を示す斜視図、(c)は部分体64を示す斜視図である。また部分体62、64の各結合面62a、64aは、XZ平面に沿うように形成される。さらに部分体60、62、64は、ボルト68と不図示のナットによって結合する。従って各部分体60、62、64には一又は複数のボルト挿通孔が形成されている。
【0064】
部分体60は、図12(b)に示すように、嵌入突出部20を含む板形状を有し、スライド方向に直交する方向の長さが嵌入突出部20よりも長く、且つ部分体62、64に挟持され得るようにZ方向の長さが設定される。即ち部分体60は、部分体62、64によって挟持され得る被挟持部分を具える。
部分体60の被挟持部分には、嵌入突出部20と同一の条状部が複数形成されている。
【0065】
部分体62は、図12(a)に示すように、側壁36aと連設部38の左半分(-Y方向側半分)を含む略板形状を有する。また部分体64は、側壁36bと連設部38の右半分(+Y方向側半分)を含む略板形状を有する。
【0066】
また部分体64は、図12(c)に示すように、結合面64aよりもY方向に凹んだ面に複数の条を列設した凹凸面66を有する。凹凸面66の条は、案内規制部37の条状部37aとして機能する。また、凹凸面66は、部分体60を配置するための空間を画成する凹状面として機能する。なお部分体62は、凹凸面66と同様の、結合面62aよりもY方向に凹んだ凹凸面を有する。
従って継手部材30を構成するときは、被挟持部分61の凹凸と、部分体62、64の各凹凸面の凹凸とを嵌合させ、図12(a)に示すように結合面62a、64a同士を重ね合わせて部分体60、62、64を結合する。
【0067】
なお、部分体60、62、64の形状は、上述のものに限定するものではなく、結合面と凹凸面とを有する形状としたが、これに限定するものではない。例えば図13(b)に示すように、部分体60が嵌入突出部20と、受容部32の底部とを含むようにL形の板形状を有してもよい。その場合部分体60には、部分体62又は部分体64と対向する面全域に複数の条状部21を配設される。
【0068】
また部分体62、64は平板形状を有するものとする。即ち部分体62は、図13(a)に示すように側壁36aを含む略板形状を有し、部分体64は、側壁36bを含む略板形状を有する。また部分体62、64は、部分体60に対向する面全域に複数の条状部が配設されるものとする。即ち部分体64には、図13(c)に示すように、部分体60、62に対向する面全域に複数の条状部37aが配設される。なお部分体62においても、部分体64と同様に複数の条状部37aが配設される。このような部分体60、62、64によって継手部材30を構成する場合、部分体60の嵌合面20aと、部分体62、64の案内規制部37とを嵌合させ、部分体60、62、64が結合される。
【0069】
以上説明したように、雄雌一体型の継手部材30を複数の部分体により構成することができる。継手部材30は、受容部32の受容空間を有するため一体成型以外の方法、例えば鍛造で製造することができないが、受容部32の各部を分けるように部分体の形状を設定し、各部分体を鍛造可能な形状にすることができる。従って部分体を鍛造やプレス加工等の塑性加工で製造すれば、継手部材30を安価に大量生産することができる。また塑性加工で製造した部分体で継手部材30を製造するので、鋳造したものと比較して強度を向上させることができる。そのため鋳造したものと同じ強度を維持しつつ、継手部材30を小型化することが可能となり、更に小型化による継手部材30自体の軽量化や製造コストの減少を図ることができる。
【0070】
また継手部材30同士が係合し合う凹凸部分におけるXZ平面におけるZ方向の相互の干渉は、継手部材30同士をZ方向に離間させる方向の外力により生じる剪断力に抗する剪断面積に寄与する。即ち継手部材30の互いに係合する干渉する箇所の任意のXZ断面積全てが剪断面積となって剪断抵抗する。従って継手部材30からなる継手1も、上記第一の実施形態に係る継手1と同様に、従来の継手に対して、係合する部分に係るZ方向の厚みを半分以下に設定することが可能となる。結果、継手部材30の小型化、軽量化を図り、且つ継手1自体を安価に製造することができる。
【0071】
なお、上述の雌型継手部材2を構成する為の部分体は各々形状が異なるものであったが、同一形状の部分体を組み合わせて雌型継手部材2を構成してもよい。例えば図14に示すように、部分体70は、Y方向の厚みが縮小した縮幅部分72と、Y方向の厚みが拡がった拡幅部分74とを有する略T形を成すものとする。
【0072】
部分体70は、XZ平面に平行な面が、複数の条状部76を列設することで凹凸状の面を成すように形成される。また縮幅部分72の凹凸は、両端面において左右対称に形成される。即ち一方の面で凸部(凹部)となっている箇所に対しては、反対側の面においても凸部(凹部)となる。これに対して、拡幅部分74においては、両側で凹凸が互い違いとなるように、凹凸の位置を異ならせて形成する。即ち一方の面で凸部(凹部)となっている箇所に対して、反対側の面では凹部(凸部)となる。
【0073】
このような部分体70をY方向に隣接させれば、拡幅部分74において互いの凹凸が嵌合され、拡幅部分74の+Z方向端面と対向する二つの縮幅部分72によって受容部10を成すように雌型継手部材2を構成することができる。また、このとき二つの縮幅部分72の間隙を、縮幅部分72のY方向の厚みと同等に設定し、更に部分体70を雄型継手部材4として適用してもよい。即ち二つの縮幅部分72の間隙を、部分体70の縮幅部分72が嵌入可能な大きさに設定すれば、部分体70を雄型継手部材4として適用することができる。従って図14(b)に示すように、Y方向に並列する二つの部分体70によって雌型継手部材2を構成する。また雄型継手部材4としての部分体70は、縮幅部分72を拡幅部分74に対して-Z方向に位置する向きにし、縮幅部分72が雌型継手部材2を成す部分体70の縮幅部分72間に嵌入させる。従って雄型継手部材4としての部分体70の縮幅部分72は、嵌入突出部20として機能する。
このように、三つの部分体70によって継手1を構成することが可能となるため、上述の複数の部分体によって雌型継手部材2を構成した場合の効果に加え、更に部分体が雄型継手部材として利用可能とすることによって継手の製造コストを低減させることができる。
【0074】
なお、上記部分体70により雌型継手部材4を構成する際、部分体70の向きによっては、拡幅部分74の凸部同士が接触することがある。そこで図15に示す部分体80に示すように、拡幅部分84の条状部85の位置がX方向の中途部分で切り替わるように構成する。即ち中途部分から-X方向の端部までの条状部85の位置と、中途部分から+X方向の端部までの条状部85の位置とが異なるように構成する。従って拡幅部分84は、中途部分から+X方向に沿って凸部を成している箇所が、当該中途部分から-X方向に沿う範囲では凹部を成すように、中途部分を境界に凹凸が切り替わるように形成される。このようにすれば、部分体80の向きに関わらず、部分体80同士がY方向の何れの面同士でも互いに嵌合して雌型継手部材2を確実に構成することができる。
【0075】
また、各実施形態に係る継手1をセグメントに適用する等、被接合部材がコンクリート製部材等の流動体を固化させて製造される部材である場合、雌型継手部材2、雄型継手部材4は、アンカーを具えることが好ましい。勿論、雄雌型の継手部材30がアンカーを具えてもよいことはいうまでもない。
【0076】
この場合のアンカーは、雌型継手部材2、雄型継手部材4に対して一体化されていても、別体であってもよい。アンカーとしては、例えば直線状、U字形、L字形等の適宜の形状の異形棒鋼等を用いることができる。
【0077】
アンカーは、雌型継手部材2又は雄型継手部材4の被接合部材に対する相対位置を維持し得るように径と長さが設定される。即ちアンカーの長さや径は、雌型継手部材2又は雄型継手部材4が被接合部材から分離しないように、想定される軸方向の荷重に耐え得るように設定される。アンカーを固定する場合、溶接の他、アンカーの端部に雄ねじ、更に雌型継手部材2又は雄型継手部材4に雌ねじ孔を設けて互いを螺合することによってアンカーを固定してもよい。
【0078】
ここで、図16はアンカーを具える雌型継手部材2を示す図、図17はアンカーを具える雄型継手部材4を示す図である。図16に示すように雌型継手部材2が具えるアンカー90は、受容部10に反対側の端部から外側に延在するように配設される。また図17に示すように雄型継手部材4が具えるアンカー90は、嵌入突出部20の反対側の端部から外側に延在するように配設される。ここではアンカー90を異形棒鋼とするが、これは素材や形状を限定するものではなく、勿論、ねじ節鉄筋や丸棒等であっても良い。
【0079】
また、雌型継手部材2、雄型継手部材4が具えるアンカー90は、一つに限定するものではなく、複数であってもよい。例えば雌型継手部材2が二つのアンカー90を具える場合に、図18に示すようにアンカー90をスライド方向に沿って配列してもよい。なお複数のアンカー90の配列は、スライド方向の沿った方向に限定するものではなく、勿論スライド方向に直交する方向等、適宜設定可能である。また雄型継手部材4においてもアンカー90の配列は、上記の雌型継手部材2の場合と同様に適宜設定する。
【0080】
また、雌型継手部材2が部分体44、46によって構成されている場合、結合面44a、46aにアンカー90を配設するためのアンカー配設溝92を形成してもよい。具体的には部分体44の結合面44aにおいて、アンカー配設溝92は、図19に示すように、アンカー90の外形の凹凸に相当する凹凸を含む溝形状、即ちアンカー90の表面のリブ或いは筋等の突起を嵌合させて係合し得る形状の溝を有する。なお部分体46は、部分体44と同様のアンカー配設溝92を有する。従って部分体44、46を結合させることで、アンカー90は、各々のアンカー配設溝92に嵌まり、部分体44、46によって挟持されて保持される。なお、アンカー90としてU字アンカーを用いる場合には、図20に示すように、アンカー配設溝92は、U字状に湾曲して延びる溝形状とする。
アンカー配設溝92は、雌型継手部材2に配設されるアンカー90のガタツキを抑制可能な形状とすることが好ましい。そのようなアンカー配設溝92の形状としては、例えばアンカー90に密着する溝形状の他、図37(a)に示すような、アンカー配設溝92の底部に突起条部93を配設させた形状がある。突起条部93は、アンカー配設溝92の底部から開口側に突出する断面凸形状を有し、X方向に沿って連続的に延伸する形状を有する。このような突起条部93をアンカー90に当接させれば、雌型継手部材2を構成したとき、部分体44、46の各突起条部93がアンカー90を挟持し、雌型継手部材2に対するアンカー90のガタツキを抑制することができる。
突起条部93は、部分体44、46の何れか一方のみに形成してもよい。また突起条部93は、少なくとも雌型継手部材2を構成した際に確実にアンカー90に当接するように突出する長さを設定する。従って、両部分体44、46に突起条部93を形成した場合には、両突起条部93の間の間隙がアンカー90の径以下に設定する。なお、間隙をアンカー90の径未満に設定すれば、雌型継手部材2を構成したとき、突起条部93及び/又はアンカー90を強制的に弾性変形又は塑性変形させつつ、突起条部93によりアンカー90を挟持することができる。
なお、突起条部93の断面形状は、先突の山形状や、先端曲面の山形状、先端面が平面状の断面台形状の山形状等、適宜設定し得る。また突起条部93の配設位置や延伸方向は、特に限定されるものではないが、配設位置をアンカー配設溝92の板部12aに近い側(+Z向きの端部側)に設定すれば、突起条部93によってアンカー90をアンカー90の長手方向に沿った一方側(-Z向き)に押し付けることができる。即ち、アンカー90を端面92a側に押し付けることができる。より具体的には、突起条部93がアンカー配設溝92内で+Z向きに偏った位置からアンカー90を押圧するので、アンカー90には-Z向きのベクトルが作用し、アンカー配設溝92の-Z方向側の端面92aにアンカー90を押し付け、更にアンカー90のガタツキを抑制することができる。
また、アンカー配設溝92は、アンカー90のU字の屈曲部分の略全体が嵌るように形成、即ち、図37(b)に示すようにアンカー配設溝92の-Z方向側の端面92aを半円形状とないように形成することが好ましい。これによってアンカー90の内曲げ部分の略全面に端面92aが当接するので、雌型継手部材2とアンカー90とがより強固に係合し、雌型継手部材2とアンカー90とが互いに逆向きの引張力を受けた場合における破壊強度を向上させることができる。また、アンカー配設溝92の端面92aの+Z向きで対向する端面92bは、必ずしも曲面である必要はなく、図37(c)に示す平面状であってもよい。
また、突起条部93は、X方向に沿って連続的に延伸したものに限定されるものではなく、例えば、延伸するX方向の長さが短尺の突起条を断続的に複数配置して構成したものであってもよい。
【0081】
なお、雌型継手部材2及び雄型継手部材4は、アンカーを具える代わりに、セグメント(被接合部材)に埋設される部分の外周面がセグメントから分離しない形状を有してもよい。例えば、雌型継手部材2において、図21に示すようにセグメント102に埋設されている埋設部分の外周面94を、その幅がセグメント102の内部側から接合面108側に向って漸次縮小するように、断面台形状等に形成する。或いは外周面94の外形の大きさが、セグメント102内の接合面108からの深さによって変化、即ち接合面108側に近い程、外形が縮小し、接合面108から離れる程、外形が拡大するように形成する。勿論、雄型継手部材4が同様の形状を有してもよい。
【0082】
また、雄型継手部材4においては、図22に示すようにセグメントに埋設される埋設部分96の外周面にリブや節等の突起97を単数或いは複数形成してもよい。この突起97は、特に形状を限定するものではないが、例えば無端状、螺旋状、又は断続的にループを成すように形成してもよいが、少なくともセグメント102から分離する向きに対して直交する方向に沿って延伸させることが好ましい。また複数の突起97により、埋設部分96の外周面が凹凸状(微小凹凸状も含む)を成すようにしてもよい。勿論、雌型継手部材が同様の形状を有してもよい。
【0083】
また、埋設部分96に孔を設け、該孔に棒材等を挿通させることでアンカーとして機能させてもよい。勿論セグメント102がコンクリート製部材等の流動体を固化させて製造される部材の場合には、埋設部分96の孔に流動体を流れ込ませることでも、セグメント102に対して雄型継手部材4を強固に固定することができ、棒材が不要となる。また埋設部分96には貫通する孔の代わりに凹状の穴を形成するようにしてもよく、穴の数や大きさは適宜設定する。
【0084】
雄型継手部材4の埋設部分96がアンカーの機能に相当する機能を有する場合には、この雄型継手部材4を一部分体とし、他の部分体と組み合わせることで雌型継手部材2を構成してもよい。例えば図23(a)に示す雄型継手部材4は、埋設部分96に孔98が形成されており、部分体54として適用する。この場合雌型継手部材2を構成する他の部分体50、52は、図23(b)に示すように、部分体54に当接する面が、雄型継手部材4の嵌合面20aの凹凸に嵌まる凹凸を有するものとする。このように雄型継手部材4を部分体54として適用すれば、部分体54をアンカーとして機能させることができる為、アンカーを具える場合と比較して継手の製造コストを削除することができる。また製造する部分体の種類を削減することができるので、結果、雌型継手部材2の製造コストを削減することができる。
【0085】
また、雌型継手部材2及び雄型継手部材4は、アンカーと一体化されたものであってもよい。具体的にはアンカーの一部を鍛造等の塑性変形により雌型継手部材2の一部を成す部分体又は、雄型継手部材4を形成する。即ち、雌型継手部材2の部分体を形成する場合、図24(a)に示す一本のアンカー200の一端部から鍛造加工(熱間鍛造、温感鍛造又は冷間鍛造)により、図24(b)に示す部分体210の大凡の外形を形成する。次に、別の型を用いた鍛造加工により、大凡の外形を成した部分体210に図24(c)に示すように結合面212、案内規制部13等の部位を形成する。このようにしてアンカー200から部分体210を形成する。
【0086】
部分体210を用いて雌型継手部材2を構成する場合、例えば図25(a)に示すように、他の部分体210に結合させてもよく、また図25(b)に示すように部分体44(又は部分体46)等のようなアンカー200を含まない部分体と結合させてもよい。
【0087】
なお、部分体210に対するアンカー200の位置は、部分体210の端面の中央部であることが好ましいが、これに限定するものではなく、図26に示すように端面中央部よりもスライド方向に片寄った位置であってもよい。この場合の雌型継手部材2は、図27に示すように、同様の部分体210同士で結合することが好ましく、これによってアンカー200の軸方向の荷重が作用したときに雌型継手部材2において荷重が偏ることを抑止することができる。
【0088】
雄型継手部材4の場合は、図28(a)に示す一本のアンカー200の一端部から鍛造加工により、図28(b)に示す雄型継手部材4の大凡の外形を形成する。次に別の型を用いた鍛造加工により、大凡の外形を成した雄型継手部材4に図28(c)に示すように嵌入突出部20等の部位を形成する。このようにしてアンカー200から雄型継手部材4を形成する。
【0089】
なお、上述した雌型継手部材2において、二枚の板部12は、Z方向に沿って配置、即ち板部12同士の間隙が略一様としているが、これに限定するものではなく図29(a)に示すように凹状になっている受容部10の底面から開口(-Z方向側から+Z方向側)にかけて徐々に間隙を拡げるように略V字状を成すように傾斜していてもよい。また図29(b)に示すように凹状になっている受容部10の底面から開口にかけて徐々に間隙を狭めるように逆V字状を成すように傾斜していてもよい。
【0090】
また、雌型継手部材2の案内規制部13の凹凸のピッチは、適宜設定可能であり、特にZ方向に沿って徐々にピッチを変化させてもよい。例えば図29(c)に示すように凹状になっている受容部10の開口から底面に向かって(+Z方向側から-Z方向側に向かって)ピッチを漸次大きくなるように変化させてもよい。また図29(d)に示すように凹状になっている受容部10の開口から底面に向かって(+Z方向側から-Z方向側に向かって)ピッチを漸次小さくなるように変化させてもよい。この場合、勿論雄型継手部材4の嵌入突出部20の外形は、案内規制部13の形状に合わせた外形を成すように形成する。
【0091】
これにより、雌型継手部材2と雄型継手部材4との凹凸のピッチ方向に沿った位置合わせを確実に行うことができる。即ち嵌入突出部20は、嵌合面20aの凹凸が案内規制部13の凹凸に対してピッチがズレている場合、挿入口10aに挿入できない。従って雄型継手部材4と雌型継手部材2との凹凸のピッチ方向に沿った位置合わせを確実に行うことができる。
【0092】
また雌型継手部材2において、各板部12の条状部13aのZ方向における位置を一致させたが、条状部13aの位置を異ならせるようにしてもよい。例えば図30に示すように一方の板部12の案内規制部13では凸部分を成すが、他方の板部12の案内規制部13では凹部分を成すように、凹凸をずらすように各板部12を形成してもよい。また雌型継手部材2と雄型継手部材4との位置合わせは、嵌合面20aの凹凸と案内規制部13の凹凸との一致によるもの以外にも、例えば嵌入突出部20の受容部10に嵌まる先端部の形状によって行うようにしてもよい。例えば図31に示すように、嵌入突出部20は、先端部が半円状を成す位置決め部230を形成してもよい。またこの場合、受容部10は、底部において位置決め部230が嵌り得る溝部232を有するものとする。
【0093】
なお、嵌入突出部20及び受容部10の形状は、適宜設定可能である。例えば嵌入突出部20のスライド方向の挿入向き(+X方向側)の前端部が後端部と比較して厚みを薄く形成してもよい。また受容部10は、挿入口10a側の開口がスライド方向の奥側の開口よりも拡がるようにすれば、雄型継手部材4を雌型継手部材2に対して相対的にスライドさせたとき、嵌入突出部20が挿入口10aに容易に進入し得る。具体的には、図32(a)に示すように、受容部10は、挿入口10a側の二枚の板部12の間隙をb1、+X方向端部における板部12の間隙をb2とするとき、b1>b2を満たすように形成される。また嵌入突出部20は、スライド方向の挿入向きの前端部のY方向の厚みをb2、後端部のY方向の厚みをb1とする。
【0094】
上記の間隙の条件を満たすための受容部10の形状は、適宜設定可能であるが、板部12をX軸に対して傾斜させてもよく、また図32(b)に示すように、板部12の厚みが、板部12のスライド方向の挿入向きの前端部を後端部よりも薄くするようにしてもよい。また、図32(c)に示すように、嵌入突出部20のスライド方向の挿入向きの前端部の厚みをその他の厚みよりも薄く、及び/又は板部12のスライド方向の挿入向きの前端部の厚みをその他の厚みよりも薄くしてもよい。なお何れの場合においても、嵌入突出部20の形状は、受容部10の受容空間に略相当するように設定、即ち板部12の間隙の嵌り得る形状に設定することが好ましい。
【0095】
なお、雌型継手部材2に対する雄型継手部材4のスライド方向は、適宜設定可能であり、セグメントの接合面に略平行な方向としてもよく、或いはスライド方向の挿入向きに沿って雌型継手部材2と雄型継手部材4とが徐々に近接し得る方向としてもよい。即ち、雌型継手部材2において、図33に示すように、条状部13aが挿入口10a側から+X方向に沿って徐々に-Z方向に傾くように設定する。
【0096】
なお、嵌合面20aの凹凸と案内規制部13の凹凸の断面形状は、山形に限定するものではなく、互いに係合する形状であれば適宜設定可能である。図34は案内規制部13の凹凸の形状例を示す図であり、案内規制部13の凹凸の断面形状は、例えば鋸歯形状であってもよい。その場合は図34(a)に示す凹部の底と凸部の先端とを連結する傾斜面とY軸に平行な面とからなる鋸歯形状や、図34(b)に示す先端を更に-Z方向に傾けた鋸歯形状等に設定してもよい。また案内規制部13の凹凸は、図34(c)に示す凸部の先端が湾曲した波形としたものであってもよく、また図34(d)に示す波形の凸部が-Z方向に傾いた形状であってもよい。また図34(e)に示すように、Z方向及びY方向に平行な面から成る凹凸形状であってもよく、図34(f)に示すように、台形状の凹凸であってもよい。
また複数の凹凸は、各々が同一の形状及び/又は相似形状であってもよく、また一部又は全てを異ならせた形状としてもよい。
【0097】
なお、雌型継手部材2において、板部12のY方向に沿った入力に対する強度を向上させるために、肉厚を厚く形成してもよいが、それ以外の方法、例えば図35に示す板部12の外側にリブやフランジ等の補強部240を設けて強度を向上させるようにしてもよい。なお補強部240は、板部12Z方向に延伸するように配設することが好ましい。また補強部240の数は、単数であってもよいが、強度を向上させるために複数設けることが好ましい。
更に補強部240を複数有する場合に、図35(b)に示すように補強部240同士を連結し得るように、他の補強部242を設けてもよく、このようにすれば更に板部12の強度を向上させることができる。
【0098】
なお、本発明の継手1の材料は、所望の強度、製造コスト、セグメントが使用される環境条件等に応じて種々のものを使用することができ、勿論、各種継手部材は金属の他、合成樹脂、木、紙、ガラス、セラミックス、ゴム或いはこれらの複合材料など適宜の材料を用いて適宜の製造方法で形成することが可能である。
【0099】
また本発明の継手は、セグメント以外の被接合体に適用することができ、適用可能な被接合体の材質としては、例えば、コンクリート、金属、合成樹脂、木材等である。被接合部材の形状としては、例えば、板状、柱状、筒状ブロック状等の同種のもの同士或いは異なる種類の部材の接合に適用することができる。また、上記に例示したシールドセグメントの他に、本棚やプレキャストによるコンクリート部材(プレキャストコンクリート部材)一般、家具一般、住宅フレーム材等を含む土木用及び/又は建設や建築用の建材、各種機械等のあらゆる物品に適用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1…継手、2…雌型継手部材、4…雄型継手部材、10,32…受容部、10a,32a…挿入口、12…板部、13,37…案内規制部、13a,37a…条状部、14…連結部、20…嵌入突出部、20a…嵌合面、21…条状部、30…継手部材、34…接続部、36…側壁、38…連設部、44,46,50,52,54,60,62,64…部分体、44a,46a…結合面、56…剪断キー、66…凹凸面、100…トンネル、102…セグメント、104…リング、108…接合面、110a,110b…空間。
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