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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】植物分析デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/48 20060101AFI20240119BHJP
   G01H 1/00 20060101ALI20240119BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20240119BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
G01N33/48 N
G01H1/00 Z
G01N33/483 E
A01G7/00 603
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020520019
(86)(22)【出願日】2018-10-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 IB2018057631
(87)【国際公開番号】W WO2019069219
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】102017000110668
(32)【優先日】2017-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520116757
【氏名又は名称】ピーナット エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】マンキューソ,ステファノ
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0234645(US,A1)
【文献】特開2008-263850(JP,A)
【文献】国際公開第2010/032495(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第19504628(DE,A1)
【文献】特開平06-165620(JP,A)
【文献】特開昭63-018257(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0069064(US,A1)
【文献】Tim van Emmerik,Measuring Tree Properties and Responses Using Low-Cost Accelerometers,Sensors,2017年05月11日,Vol.17,Page.1098
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48
G01H 1/00
G01N 33/483
A01G 7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木の植物状態を分析するための植物分析デバイス(1)であって、前記植物分析デバイス(1)は、
木(1a)の振動を検出するための、慣性センサである加速度計(2)及びジャイロスコープ(3)を備える検出装置(2,3)と、
前記検出装置(2,3)を前記木(1a)に固定するための固定手段(4)と、
制御盤(5)と、を備え、前記制御盤(5)は、
前記検出装置(2,3)の前記加速度計(2)が、直線加速度を測定し、直線加速度の振動周波数のスペクトルを取得し、前記木(1a)に作用する地殻から生じるサンプリング振動を測定するようにし、前記サンプリング振動は前記直線加速度の振動であり、
前記直線加速度の振動周波数のスペクトルであるサンプリングスペクトルは、前記直線加速度の振動周波数に対する前記直線加速度の振動の検出数を示し、前記制御盤(5)は、横座標上に前記直線加速度の周波数、及び縦座標上に前記直線加速度の振動周波数の検出数を示す第1のグラフを作成し、前記木(1a)の前記サンプリングスペクトルを前記サンプリング振動に応じて前記第1のグラフから判定し、続いて、
前記検出装置(2,3)の前記ジャイロスコープ(3)が、角加速度を測定し、角加速度の振動周波数のスペクトルを取得し、前記木(1a)に作用する地殻から生じる分析中振動を測定するようにし、前記分析中振動は前記角加速度の振動であり、
前記角加速度の振動周波数のスペクトルである分析中スペクトルは、前記角加速度の振動周波数に対する前記角加速度の振動周波数の検出数を示し、前記制御盤(5)は、横座標上に前記角加速度の周波数及び縦座標上に前記角加速度の振動周波数の検出数を示す第2のグラフを作成し、前記木(1a)の前記分析中スペクトルを前記分析中振動に応じて前記第2のグラフから判定し、
前記制御盤(5)は、前記検出装置(2,3)の前記慣性センサによる測定に基づく、前記分析中スペクトルと前記サンプリングスペクトルを比較することによって、それぞれの出ピークの周波数がずれているか判断するのであって、
前記制御盤(5)は、
前記分析中スペクトルに生じる検出ピークが、前記サンプリングスペクトルに生じる検出ピークとは異なる周波数の範囲に生じるかどうかを検索し、
前記サンプリングスペクトルに発生しない前記分析中スペクトルの検出ピークの発生、及び/またはある周波数から別の周波数までの検出ピークの変位、及び/または既存の検出ピークの振幅変動として識別することによって、前記木(1a)の前記植物状態を判定することを特徴とする、植物分析デバイス(1)。
【請求項2】
前記制御盤(5)は、前記分析中スペクトルの範囲内の検出ピークを独占的に有する周波数を検出するために、前記サンプリングスペクトルと前記分析中スペクトルとの前記比較を行う、請求項1に記載の植物分析デバイス(1)。
【請求項3】
前記制御盤(5)は、1KHzよりも低い周波数において、前記分析中スペクトルを前記サンプリングスペクトルと比較することによって、前記木(1a)の前記植物状態を判定する、請求項1~2の少なくとも1項に記載の植物分析デバイス(1)。
【請求項4】
前記検出装置(2,3)は、前記木(1a)に一体的に拘束されるように適合される少なくとも1つの加速度計(2)を備える、請求項1~3の少なくとも1項に記載の植物分析デバイス(1)。
【請求項5】
前記検出装置(2,3)は、前記木(1a)に一体的に拘束されるように適合される少なくとも1つのジャイロスコープ(3)を備える、請求項1~4の少なくとも1項に記載の植物分析デバイス(1)。
【請求項6】
請求項1~5の少なくとも1項に記載の少なくとも1つの前記植物分析デバイス(1)と、前記植物分析デバイス(1)とデータ接続する制御ステーションとを備える、植物制御システム。
【請求項7】
制御ステーションとデータ接続する複数の前記植物分析デバイス(1)を備える、請求項6に記載の植物制御システム。
【請求項8】
前記植物分析デバイス(1)は異なる木に拘束されるように適合され、前記木の少なくとも1つの植物的問題に起因する前記サンプリングスペクトル及び分析中スペクトルの変化を検出するために、前記制御ステーションが前記木の前記サンプリングスペクトル及び分析中スペクトルを比較することを可能にする、請求項7に記載の植物制御システム。
【請求項9】
請求項1に記載の植物分析デバイス(1)において行われる前記木(1a)を分析するための植物分析プロセス(10)であって、
前記検出装置(2、3)の前記加速度計(2)が直線加速度を測定し、直線加速度の振動周波数のスペクトルを取得し、前記木(1a)に作用する地殻から生じる前記サンプリング振動を測定し、前記制御盤(5)が、前記第1のグラフを作成し、前記木(1a)からの前記サンプリングスペクトルを前記サンプリング振動に応じて前記第1のグラフから判定する、サンプリングステップと、
前記検出装置(2,3)の前記ジャイロスコープ(3)が角加速度を測定し、角加速度の振動周波数のスペクトルを取得し、前記木(1a)に作用する地殻から生じる前記分析中振動を測定し、前記制御盤(5)が前記第2のグラフを作成し、前記木(1a)の前記分析中スペクトルを前記分析中振動に応じて前記第2のグラフから判定する、監視ステップと、
前記木(1a)の植物状態は、前記制御盤(5)が前記分析中スペクトルを前記サンプリングスペクトルと比較することによって判定される、評価ステップであって、
前記制御盤(5)が、
前記分析中スペクトルに生じる検出ピークが、前記サンプリングスペクトルに生じる検出ピークとは異なる周波数の範囲に生じるかどうかを検索し、
前記サンプリングスペクトルに発生しない前記分析中スペクトルの検出ピークの発生、及び/またはある周波数から別の周波数までの検出ピークの変位、及び/または既存の検出ピークの振幅変動として識別することによって、前記木(1a)の植物状態を判定する前記評価ステップ
と、を含む、植物分析プロセス(10)。
【請求項10】
前記評価ステップでは、前記木(1a)の前記植物状態は、前記分析中スペクトルの範囲内に検出ピークを独占的に有する周波数を検出するために、前記サンプリングスペクトル及び前記分析中スペクトルを比較することによって判定される、請求項9に記載の植物分析プロセス(10)。
【請求項11】
前記監視ステップでは、複数の前記検出装置(2,3)は異なる前記木(1a)に作用する前記分析中振動を測定し、前記評価ステップは、少なくとも1つの前記木(1a)の植物的問題を識別するために、前記木(1a)の前記サンプリングスペクトル及び分析中スペクトルの間の比較を行う、請求項10に記載の植物分析プロセス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最初の請求項の前文に規定される種類の植物分析デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
具体的には、本デバイスは、好ましくは植物体を切り落とすことによって木が落下することを防止するために、植物体または木(以下では、用語「木」と一義的に識別される)の安定性を分析することができる。
【0003】
既知であるように、現在、木の植物分析は、正常に、木の特徴及び全身状態を検査し、その木のいずれかの構造上の欠陥を強調するように適合される木の目視検査によって行われる。
【0004】
最も使用される目視検査の1つはV.T.A.(Visual Tree Assessment)である。
【0005】
この検査は、一定張力の原理、すなわち、生物学的構造が表面上の荷重の均等な分散を確実にするように発達する事実に基づくものである。したがって、V.T.A.は、木が腐食/破壊を受けるとき、その木は荷重の均等な分散を復元する損傷エリアの修理素材を作り出し、表面上の、ひいては、可視の不均一性を作り出す傾向があることを教示する。
【0006】
結論として、この検査は、組織内の変性過程の存在の外部病徴を識別することを目的とした目視調査を提供する。この調査は、葉、木質部(幹、主枝、及び一次枝)、及び木の襟に実行される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の先行技術は少しの主な欠点がある。
【0008】
第1の欠点は、これらの検査は、高レベルの注目を必要とし、ひいては、かなり長く労力を要する。
【0009】
本態様は、植物分析をそれぞれの木で定期的に行う必要がある事実によって強調される。
【0010】
したがって、別の欠点は、たくさんの人が多くの木がある森の植物分析を行うことが要求されることである。
【0011】
主な欠点は、不具合の識別、ひいては、目視調査が、それぞれの外部病徴を木の内部劣化の正確な程度と関連付けることが可能である専門スタッフが必要であることである。
【0012】
さらに、専門スタッフを利用したにもかかわらず、目視調査は、正確な植物分析を可能にしない。したがって、視覚分析は、多くの場合、器具による調査によって達成する。
【0013】
これらの器具による調査は、幹の小断片及び/または木の他の部分の除去、または代替として、放射線技術の使用を含む。
【0014】
これらの器具による調査は、植物分析を改善するが、高いコスト及びその侵襲性によって、それの調査が分析時間を長くするため不十分な適用になる。
【0015】
別の欠点は、年代を測定することが可能である調査は、高いコスト及び長時間に起因して、一連の土地の全ての植物体に適してなく、また、対象範囲のある点だけで可能になることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この状況では、上述の欠点を実質的になくすことが可能である本発明の根底を成す技術タスクは、植物分析デバイスを考案することである。
【0017】
当該技術タスクの範囲内では、本発明の主な目的は、正確及び高速な方法で植物分析を行うことを可能にする植物分析デバイスを提供することである。
【0018】
本発明の別の主な目的は、大量の人的資源または経済資源を使用することなく、リアルタイムで及び連続的に時間をかけて実行可能である植物分析デバイスを取得することである。
【0019】
技術タスク及び特定の目的は、添付の請求項1に請求される植物分析デバイスによって達成する。
【0020】
好ましい実施形態は従属請求項に記載される。
【0021】
本発明の特徴及び利点は、添付図を参照すると、本発明の好ましい実施形態の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による、植物分析デバイスを示す。
図2】使用中の植物分析デバイスを示す。
図3】本発明による、植物分析デバイスの動作を図式化する。
図4】植物分析デバイスによって取得可能な推定値のグラフ表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本文書では、測定値、値、形状、及び幾何学的基準(垂直性及び平行性等)は、「約」等の用語、または「ほとんど」もしくは「実質的に」等の他の同様の用語に関連付けられるとき、生産欠陥及び/または製造欠陥に起因する測定のエラーまたは不正確性がない場合のもの、特に、関連付けられる値、測定値、形状、または幾何学的基準とのわずかな差がない場合のものとして理解される。例えば、値に関連付けられる場合、これらの用語は、好ましくは、それの自体の値の10%を超えない差を示す。
【0024】
別様に規定されない限り、以下の説明から明らかであるように、「処置」、「データ処理」、「判定」、「計算」等の用語は、コンピュータシステム及び/またはメモリのレジスタの電子サイズ等の物理量として表されるデータを、コンピュータシステム、レジスタまたは他のストレージ、伝送デバイスまたは情報表示デバイスの物理量として同様に表される他のデータになるように操作及び/または変換するコンピュータまたは同様の電子コンピューティングデバイスのアクション及び/またはプロセスを参照するために理解される。
【0025】
引用図を参照すると、本発明に従った植物分析デバイスは、全体として、数字1によって示される。
【0026】
その植物分析デバイスは、木1aの植物状態を判定することによって、好ましくは、木の落下のいずれかの危険性を報告することによって、木1aの安定性を検証(具体的には、監視)するように適合され、したがって、例えば、木を安全に切ることを可能にする。
【0027】
植物分析デバイス1は、木1aの振動、すなわち、1KHzよりも実質的に低い周波数を適切に有する木1aの振動を検出するための検出装置を備え得る。
【0028】
したがって、植物分析デバイス1は、かなり特定の周波数を特徴とする地殻から生じる振動の周波数を測定する検出装置を使用することに留意されたい。これらの周波数は、例えば、背景雑音として地震計によって検出される地表の継続する微弱振動を表す。
【0029】
検出装置は、地殻から生じる木1aの振動周波数を測定することに加えて、また、根系を含む木1aを圧迫する任意の他の機械的作用物質によって生じる周波数を測定するように適合されることにも留意される。
【0030】
検出装置は、1KHzよりも実質的に低い検出周波数を適切に有する木1aの振動を検出するように適合される1つ以上の慣性センサを備える。
【0031】
詳細には、その検出装置は、木1aに作用する力を測定するように、木1aに一体的に拘束されるように適合される少なくとも1つの加速度計2を備え得る。
【0032】
加速度計2は当該検出周波数を有し得る。
【0033】
加速度計2は、木1aの直線加速度を検出及び/または測定するように適合される。好ましくは、加速度計2は3軸あり、したがって、3つの相互に対する垂直軸に沿って木1aの直線力/直線加速度を測定することが可能である。
【0034】
検出装置は、木1aに作用するモーメントを測定するように、当該木1aに一体的に拘束されるように適合される少なくとも1つのジャイロスコープ3を備え得る。
【0035】
ジャイロスコープ3は当該検出周波数を有し得る。
【0036】
ジャイロスコープ3は、木1aの角加速度を検出及び/または測定するように適合される。好ましくは、ジャイロスコープ3は3軸あり、したがって、3つの相互に対する垂直軸に対する木1aの角度モーメント/角加速度を測定することが可能であり、詳細には、3軸の加速度計2のものと一致する。
【0037】
好ましくは、検出装置は、1つだけの加速度計2と、1つだけのジャイロスコープ3とを備える。
【0038】
検出装置が木1aに作用する物理作用を正確に検出することを可能にするために、植物分析デバイス1は、検出装置(正確に言うと、デバイス1の全体)を木1aに一体的に拘束するように適合される固定手段4を備え得る。
【0039】
植物分析デバイス1は、植物分析デバイス1の動作を制御する制御盤5を備え得る。
【0040】
下記にさらに詳細に説明される制御盤5は、検出装置を制御し、その慣性センサによって、木1aに作用する振動を測定し、随意に、当該振動に応じて当該木1aの当該振動の周波数スペクトルを判定するように適合される。
【0041】
用語「スペクトル」(それはサンプリングスペクトル及び/または分析中スペクトルのどちらか)は、振動周波数対係る周波数の検出数、すなわち、当該周波数が登録された回数(絶対値または%値として表される)を示すことによって、振動の代表値を識別することができる。例えば、当該スペクトルは、デカルト平面上で、横座標上に周波数(f)、縦座標上に検出数(N)を示す図4に示されるグラフであり得る。
【0042】
具体的には、制御盤5は、検出装置(正確に言うと、加速度計2及び/またはジャイロスコープ3)を制御し、木1aに作用するサンプリング振動を測定し、随意に、当該サンプリング振動に応じて木1aのサンプリングスペクトルを判定するように適合される。
【0043】
可能性があるサンプリングスペクトルは、図4の実線によって示される。
【0044】
サンプリングスペクトルを取得した後、制御盤5は、検出装置(具体的には、加速度計2及び/またはジャイロスコープ3)を制御し、木1aの分析中振動(すなわち、植物分析中の振動)を測定し、分析中振動に基づいて分析中スペクトルを測定し、最後に、分析中スペクトルをサンプリングスペクトルと比較することによって、木1aの植物状態を判定するように適合される。
【0045】
可能性がある分析中スペクトルは、図4の破線によって示される。
【0046】
具体的には、制御盤5は、サンプリングスペクトルを分析中スペクトルと比較することによって、木1aの植物状態を判定し、検出ピーク(図4にPで示される)が複数のスペクトルのうちの1つだけに(正確に言うと、分析中スペクトルの範囲内で独占的に)記録される1つ以上の周波数を検索する。
【0047】
好ましくは、木1aの植物状態は、分析中スペクトルを、1KHzよりも実質的に低い周波数帯域の範囲内のサンプリングスペクトルと比較することによって判定される。
【0048】
植物分析デバイス1は、さらに、電気エネルギーを同じ植物分析デバイス1の構成要素に提供するように適合される電力供給システム6を備え得る。
【0049】
当該電力供給システム6は、電池及び/または太陽光発電パネルを備え得る。
【0050】
植物分析デバイス1は、デバイス1または木1aの識別子を含み得る。
【0051】
当該識別子は、デバイス1または木1aの識別を可能にするように適合され、デバイス1の位置、ひいては、関連付けられる木1aの位置の識別と、デバイス1または木1aの英数字コードの識別とを可能にするように適合される少なくとも1つのジオロケータを備え得る。
【0052】
最後に、下記に説明されるように、植物分析デバイス1は、データを同じデバイスから記憶するように適合されるメモリ7を備え得る。
【0053】
随意に、植物分析デバイス1は、大気パラメータを測定するように適合される少なくとも1つの環境センサ8を備え得る。
【0054】
当該少なくとも1つの環境センサ8は、周辺温度を測定するように適合される温度計8aを備え得る。
【0055】
少なくとも1つの環境センサ8は、空気湿度を測定するように適合される湿度検出器8bを備え得る。
【0056】
好ましくは、少なくとも1つの環境センサ8は、温度計8a及び湿度検出器8bを備え得る。
【0057】
植物分析デバイス1は、複数の木1aの安定性を評価(具体的には、監視)するように適合される植物制御システムに統合されることができる。
【0058】
係る植物制御システムは、監視される木1aのそれぞれに、当該1つの植物分析デバイス1と、上記の識別子及び下記に説明される1つ以上のサンプリングスペクトル及び/または分析中スペクトルを、植物分析デバイス1が設けられる木1aのそれぞれにリンクする木のデータベースを含む制御ステーションとを備える。
【0059】
制御ステーション及び1つ以上の植物分析デバイス1は、データ接続されることができる。
【0060】
したがって、デバイス1のそれぞれは、当該データ接続を制御ステーションに提供するように適合される接続手段9を備え得る。
【0061】
明らかに、制御ステーションは、また、それ自体の接続手段を含み得る。
【0062】
データ接続は無線であり、ローカルネットワークWLAN(無線ローカルエリアネットワーク)、無線移動セルラーネットワーク(GSM(登録商標)、GPRS、EDGE、UMTS、HSPA、LTE、Bluetooth(登録商標)等)、または衛星ネットワークから適切に選択され得る。
【0063】
いくつかの場合、植物制御システムは、制御ステーションと1つ以上の植物分析デバイス1との間に、データ接続において介在するように適合される1つ以上のノードを含み得る。これらの場合、植物分析デバイス1は、(例えば、適切には、Bluetooth(登録商標)タイプ、好ましくは、低エネルギータイプ(Wibree)の無線接続によって)少なくとも1つのノードとデータを交換し、ノードとデバイス1との間のものと異なるまたはそれに等しいタイプであり得る無線接続によって好都合に制御ステーションによって少なくとも1つのノードとデータを交換する。
【0064】
制御ステーションは、サーバ/プロセッサ/コンピュータとして識別可能である。
【0065】
本システムは、振動デバイス1によって測定される当該サンプリングに応じてサンプリングスペクトルを判定し、分析中振動に応じて分析中スペクトルを判定し、次に、分析中スペクトルとサンプリングスペクトルと比較することによって、木1aの植物状態を確立するように適合され得る。
【0066】
構造に関して上記に説明した植物分析デバイスの動作、ひいては、植物制御システムの動作は、上記に言及した革新的な植物分析方法10を制御盤によって少なくとも部分的に制御可能であるとして定義することを可能にする。
【0067】
木1aを植物学的に分析するための植物分析工程10は、検出装置が木1aのサンプリング振動を測定し、木1aのサンプリングスペクトルが当該サンプリング振動に応じて判定されるサンプリングステップ11を含む。
【0068】
木1aの振動周波数のスペクトルは、木1aは、例えば、地殻または木1aの他の外部物質の振動によって刺激されたとき、例えば、その落下または損傷を生じさせる木1aの安定性を妨げるこの振動を生じないで耐えることができる周波数のセットを表す。
【0069】
具体的には、サンプリングステップ11は、検出装置の慣性センサ(正確に言うと、加速度計2及び/またはジャイロスコープ3)が木1aのサンプリング振動を測定する検出サブステップ111と、サンプリングスペクトルが当該サンプリング振動に従って判定される木1aをプロファイリングするためのプロファイリングサブステップ112とを含む。
【0070】
適切に、検出サブステップ111は、サンプリングスペクトルを生成するのに十分である複数のサンプリング振動をもたらすように、長期間(例えば、数日間または数週間)行われることができる。
【0071】
検出サブステップ111は、実質的に1KHzの周波数を有するサンプリング振動を検出する。
【0072】
随意に、検出サブステップ111の振動に加えて、環境センサ8は、サンプリング温度及び空気サンプリング湿度から選択された少なくとも1つ、好ましくは、サンプリング温度及びサンプリング湿度の両方を検出することができる。
【0073】
この検出サブステップ111で獲得したデータは、植物分析デバイス1のメモリ内に及び/または制御ステーションの木のデータベース内に記憶され得る。
【0074】
プロファイリングサブステップ112は、前の検出サブステップ111で判定されたサンプリング振動に応じて、木1aのサンプリングスペクトル(図4の実線)を判定する。サンプリングスペクトルの計算は、フーリエ変換(正確に言うと、高速フーリエ変換)を使用することによって実行されることができる。
【0075】
サンプリング振動に加えて、サンプリングスペクトルは、サンプリング温度及び/またはサンプリング湿度に応じて判定されることができる。
【0076】
サンプリングスペクトルは、制御ステーションの木のデータベース内に及び/また植物分析デバイス1内に記憶されることができる。
【0077】
そのサンプリングスペクトルは、1KHzよりも実質的に低い周波数を有するサンプリング振動を考慮し得る。
【0078】
プロファイリングサブステップ112は、デバイス及び/または制御ステーションによって行われることができる。
【0079】
サンプリングステップ11は、木1aの進化に合わせてサンプリングスペクトルを調節するために、定期的に(例えば、1年に1回または2回)行われることができることに留意されたい。
【0080】
いったんサンプリングスペクトルが取得されると、サンプリングステップ11は完了し、植物分析方法10は、木1aの分析中振動(すなわち、監視する時点の木1aの振動)を測定し、分析中スペクトルはその分析中振動に基づいて判定される監視ステップ12を含む。
【0081】
具体的には、監視ステップ12は、検出装置の慣性センサ(正確に言うと、加速度計2及び/またはジャイロスコープ3)が木1aに作用する分析中振動を測定する測定サブステップ121と、分析中スペクトルが当該分析中振動に従って判定される分析サブステップ122とを含む。
【0082】
測定サブステップ121は、1KHzよりも実質的に低い周波数を有する分析中振動を検出する。
【0083】
随意に、測定サブステップ121の振動に加えて、環境センサ8は、現在温度及び現在の空気湿度から選択された少なくとも1つ、好ましくは、現在温度及び現在湿度の両方を検出することができる。
【0084】
分析サブステップ122は、前の測定サブステップ121で判定された分析中振動に応じて、木1aの分析中スペクトル(図4の破線)を判定する。分析中スペクトルの計算は、フーリエ変換(正確に言うと、高速フーリエ変換)を使用することによって実行されることができる。
【0085】
分析中振動に加えて、サンプリングスペクトルは、現在温度及び/または現在湿度に応じて判定されることができる。
【0086】
分析中スペクトルは、制御ステーションの木のデータベース内に及び/また植物分析デバイス1内に記憶されることができる。
【0087】
分析中スペクトルは、1KHzよりも実質的に低い周波数を有する分析中振動を考慮し得る。
【0088】
分析中スペクトル及びサンプリングスペクトルを相互に比較可能にするために、例えば、測定サブステップ121及び検出サブステップ111が同じ期間を有することを確実にすることによる、及び/または検出数を正規化する、もしくはその検出数をパーセンテージとして表すこと等による解決策を採用することが可能である。
【0089】
分析サブステップ122は、デバイス及び/または制御ステーションによって行われることができる。
【0090】
随意に、監視ステップ12は、例えばサンプリングステップ11で取得されたサンプリングスペクトルは測定サブステップ121で適切に測定された分析中周波数に基づいて更新される更新サブステップ123を含み得る。
【0091】
監視ステップ12の最後に、プロセス10は、木1aの植物状態が分析中スペクトルをサンプリングスペクトルと比較することによって判定される評価ステップ13を含む。
【0092】
評価ステップ13は、デバイス及び/また制御ステーションによって行われることができる。
【0093】
監視ステップ12及び評価ステップ13は、サンプリングステップ11のものと比較して、異なる適切により高い割合(例えば、1日1回)で行われ得る。
【0094】
評価ステップ13では、木1aの植物状態は、分析中スペクトルを、1KHzよりも実質的に低い周波数帯域の範囲内のサンプリングスペクトルと比較することによって判定されることができる。
【0095】
植物状態の判定、したがって、木1aの植物状態の危険性のある変化の存在の判定は、図4にあるように、検出のピーク(すなわち、絶対値及び/または関連のある極大値)が2つのスペクトルの1つだけに(正確に言うと、分析中スペクトルに単独で)発生する周波数(詳細には、周波数の範囲)の検索において、サンプリングスペクトル及び分析中スペクトルを比較することによって実行されることができる。言い換えれば、植物状態の判定は、分析中スペクトルにおいて、サンプリングスペクトルが検出のピーク(図4の点Pを参照)を有しない、ひいては、制限された検出数を記録している周波数における検出数の増加/ピークを検索することによって行われる。
【0096】
したがって、分析中スペクトルが、検出ピークがサンプリングスペクトルに生じるものと異なる周波数において検出ピークを有する場合、木1aの植物状態の危険性のある変化は発生する。サンプリングスペクトルと比較して分析中スペクトルの検出ピークにおける検出の増加は、植物状態の危険性のある変化を定義しないことを指摘したい。
【0097】
検出ピークのこの差は、例えば、サンプリングスペクトルに発生しないピークの分析中スペクトルの発生、及び/またはある周波数から別の周波数までのピークの変位(シフトと称される)、及び/または既存のピークの振幅変動として識別されることを分かることができる。
【0098】
植物状態の1つ以上の危険性のある変化が存在する場合、植物分析方法10は、制御ステーションが、木1aが落下する危険性があるときに信号を送信する、信号送信ステップ14を含み得る。
【0099】
詳細には、植物分析デバイス1は、識別子を、木1aが落下する危険性があることをオペレータに信号を送信する制御ステーションに送信する。
【0100】
代替として、または加えて、評価ステップ13が制御ステーションによって実行されることができるため、信号送信ステップは、制御ステーションによって直接行われ得る。
【0101】
最終的に、いくつかの場合、評価ステップ13では、木1aの間の、より正確に言うと、異なる木1aの異なるデバイス1によって検出された検出/スペクトルの間の比較を行うことができることに留意されたい。異なる木1aの当該評価は、例えば、スペクトルのいずれかの変化が木1aの成長または季節的変化、または代わりに、木1aの植物的問題の発生に起因する場合かどうかを比較することができる。
【0102】
当該比較は、異なる時間に取得されたスペクトル間で、より適切には、所与の時間的順序に従って検出されたスペクトル間で(例えば、数週間後/数ヶ月後に取得されたスペクトル間で)行われることができる。
【0103】
加えて、スペクトル間の比較は、1年の同じ時期に検出された周波数に応じて判定されたスペクトルを使用することによって(例えば、秋または春の両方で検出されたサンプリングスペクトル及び分析中スペクトルを使用することによって)行われることができる。
【0104】
監視ステップ12及び/または評価ステップ13は、好ましくは、月1回及び/または年1回繰り返し得る。
【0105】
本発明は重要な利点を提供する。
【0106】
第1の利点は、植物分析デバイス1が、木1aの植物状態のかなり高速の及び正確な評価を可能にすることである。
【0107】
具体的には、この評価は全体的に自動であるため(すなわち、その評価は、オペレータの介入を必要としない)、植物分析デバイス1は、木1aの植物状態をかなり速く分析することを可能にする。
【0108】
さらに、周波数、ひいては、周波数スペクトルの革新的な使用は、さらに明白な外部病徴の存在または複雑及び高価な器具による調査の利用を必要なく、木1aの植物状態を変える内在する変性過程の存在を判定することができる。
【0109】
この利点は、周波数を使用する革新的な方法は、内在する変性過程によって生じる木1aの構造の修正が木1aの物理機械的特徴を変える様式を活用する事実に起因する。したがって、木1aは、振動(すなわち、その振動モード)に対するその反応を変化させ、それによって、検出装置によって検出されたもの(ひいては、デバイス1によって計算された振動周波数、木1aがこれらの周波数で振動する回数)を修正する。
【0110】
したがって、革新的なデバイス1及びそれによって実施されることができる植物分析工程10は、木1aの物理機械的特徴(同じである木1aに作用するアクション)を変えることによる内部構造の変化の発生が、この変化の発生前に与えられたものと異なる内部構造の変化を伴う木1aの応答を生じさせる事実を活用する。したがって、検出装置(詳細には、加速度計2及び/またはジャイロスコープ3)は、異なる直線加速度/角加速度を検出し、したがって、異なる振動周波数及び/またはこの振動周波数の異なる検出数の計算を可能にする。
【0111】
また、振動の革新的な使用は、その使用が特定周波数における周波数ピークの生成/シフトに基づくため、目的の植物分析デバイス1を可能にすることが示される。
【0112】
別の利点は、1つ以上の木の植物分析をリモートで制御及び/または視認することが可能であることである。
【0113】
実際に、制御ステーションの接続手段の存在は、オペレータが、リモートで(例えば、スマートフォンによって)制御ステーションに接続することを可能にし、したがって、木のデータベースにアクセスする、または1つ以上の分析の実行を制御することを可能にする。
【0114】
別の利点は、1つ以上のスペクトルを記憶する植物分析デバイス1のメモリ、及び/または分析を受ける全ての木1aの履歴リストを有し、ひいては、木1aの進化を検査し、その成長が木1aの植物状態にどのように影響を及ぼすかを分析することを可能にする木のデータベースである。
【0115】
本発明は、独立項の請求項に規定され、関連の技術的等価物の発明に関する概念の範囲内に収まる変形形態が可能である。この状況では、全ての詳細は、等価要素に交換可能であり、任意の種類の材料、形状、及び寸法は、存在し得る。
図1
図2
図3
図4