(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】ドライブレコーダー、ドライブレコーダー用表示装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240119BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20240119BHJP
H04N 5/93 20060101ALI20240119BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
H04N7/18 J
H04N7/18 V
H04N5/77
H04N5/93
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2022123150
(22)【出願日】2022-08-02
(62)【分割の表示】P 2017100423の分割
【原出願日】2017-05-19
【審査請求日】2022-08-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載アドレス https://www.yupiteru.co.jp/products/biz_dr/q-01/(掲載日 平成28年12月2日) https://www.yupiteru.co.jp/products/drive_recorder/q-01/(掲載日 平成28年12月2日) https://my.yupiteru.co.jp/upload/save_image/manual/pdf/Q-01.pdf(掲載日 平成28年12月2日) https://my.yupiteru.co.jp/upload/save_image/manual/pdf/Q-01_quickguide.pdf(掲載日 平成28年12月2日)
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】依藤 勇規
(72)【発明者】
【氏名】大嶌 博昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭三
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 要
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇喜
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕子
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-280109(JP,A)
【文献】特開2015-176559(JP,A)
【文献】特開2008-009761(JP,A)
【文献】登録実用新案第3156350(JP,U)
【文献】国際公開第2012/115145(WO,A1)
【文献】特開2014-225108(JP,A)
【文献】特開2013-235395(JP,A)
【文献】特開2011-097309(JP,A)
【文献】特開2013-066163(JP,A)
【文献】特開2010-271675(JP,A)
【文献】特開2012-244193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 5/76
H04N 23/00
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のカメラは車両の前方を撮影し、他方のカメラは後方を撮影し、これら2つのカメラでそれぞれ撮影した映像をつなげた状態で一つの画面内に表示する機能を備え、
前記2つのカメラでそれぞれ撮影した映像をつなげた状態で
視点に応じた一部を切り出して表示する機能を備え、ワンタッチ操作で基準画面を表示する機能を備え、
前記基準画面として、
前記2つのカメラでそれぞれ撮影した映像をつなげた状態で真後ろではなく斜め後ろ
に対応する一部を切り出したものを備えること
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記基準画面として、再生中に登録した画面を備えること
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記2つのカメラでそれぞれ撮影した映像の所定部位を他の通常の表示部分より見えづらくするマスク機能を備え、
前記所定部位は、登録した人を認識して、その人の顔を含む部分に設定する機能を備えること
を特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
メイン表示部とサブ表示部を備え、各表示部に異なる映像を表示する機能を備え、
メイン表示部には、人物を検知した場合とそうでない場合で異なる部位の映像を表示する一方、サブ表示部には映像を継続して表示する機能を備えること
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
メイン表示部とサブ表示部を備え、各表示部に異なる映像を表示する機能を備え、
衝撃を受けた方向の映像をメイン表示部に表示し、異なる方向の外の景色、或いは車室内のドライバー・同乗者の状況をサブ表示部に表示する
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記2つのカメラで撮影した映像を、そのまま時系列で再生するのではなく、不要な映像をスキップし、映像を再生する処理を自動で行う編集再生機能を備え、
前記編集再生機能は、車両が一時停止している間は前記スキップして再び走行開始した時点から再生するようにしたこと
を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばドライブレコーダー、ドライブレコーダー用表示装置及びプログラム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、自動車等の車両の車室のフロントガラスの上部に固定されたルームミラーに隣接するように取り付けられるドライブレコーダーが開示されている。このドライブレコーダーは、第3ケース体に車内監視カメラが設けられ、第1ケース体に前方監視カメラが設けられている。
【0003】
特許文献1には、ドライブレコーダーの説明として、例えば段落[0002]に、「ドライバーの視野から自車両と周辺状況を撮像し、撮像された画像データは、一時記憶メモリに記憶される。」ことが記載され、例えば、段落[0006]に、「車両の事故発生時前後の所定時間だけを記録するのではなく、例えば、常時、周辺状況を撮像し、撮像された画像データを記録するものもある」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたドライブレコーダーは、前方監視カメラが撮影した映像の一例として、特許文献1の
図8に前方車両が表示された状態が描画されているように、画角は比較的狭く、車両前方の一定の範囲が撮影される。特許文献1の段落[0077]には、車内監視カメラは前方監視カメラより画角の狭いレンズで構成されることが示されている。このように従来のドライブレコーダーは、撮影される範囲が狭く、記録する映像の範囲が十分でなかった。
【0006】
また、本発明の目的はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。そしてこの課題を解決することも本発明の目的である。本願出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)半天球の領域よりも広い範囲を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が撮影する範囲の一部が車両の前方範囲になるように前記車両に取り付ける取付手段を備えるようにした。半天球の領域よりも広い範囲を撮影できるので、従来よりも撮影できる範囲が広がるので良い。取付手段は、ドライブレコーダーを車両に取り付け、撮影手段の撮影方向を固定する機能を備える。車両の前方範囲を含む半天球の領域よりも広い範囲が撮影されるため、例えば、事故発生時において撮影する範囲が広くなり、車両の前方側での衝突に加え、別方向に対する衝突も撮影でき、死角が少なくなるのでよい。半天球の領域よりも広い範囲は、連続した空間とするとよい。このドライブレコーダーは、前方範囲を含む半天球の領域よりも広い範囲が撮影されるため、例えば、取付手段で車両の車室内の所定位置に取り付けた場合、車室内から車外と車内を撮影した映像を出力または記録する装置となる。
【0008】
(2)前記撮影手段は複数のカメラを備え、その複数のカメラの一つは半天球或いはそ
れ以上の範囲を撮影するカメラであり、別のカメラは半天球よりも狭い範囲を撮影するカメラであり、両者の撮影領域は異なる領域を有するように構成すると良い。撮影領域は、一部重複しても良いが、異なる部分も撮れるようにすることで、半天球或いはそれ以上の範囲を撮影するカメラの撮影範囲でカバーできない範囲を別のカメラで撮影できる。異なる領域を有すれば、撮影領域が重複する部分を含んでいても良いし、撮影領域が重複しなくても良いが、重複する部分を含む方がより好ましい。半天球或いはそれ以上の範囲を撮影するカメラは、周縁に行くほど解像度が低くなるので、例えば、当該解像度が低くなる周縁の撮影領域の一部と、半天球よりも狭い範囲を撮影するカメラの撮影領域を重複させると、半天球よりも狭い範囲を撮影するカメラに基づきはっきり撮影できるので良い。このドライブレコーダーは、実施形態では、第三カメラと第四カメラを備えたドライブレコーダーに対応する。半天球或いはそれ以上の範囲を撮影するカメラは第三カメラに対応し、半天球よりも狭い範囲を撮影するカメラは第四カメラに対応する。
【0009】
また、例えば、取付手段により車両の所定位置に取り付けた状態で、半天球或いはそれ以上の範囲を撮影する一方のカメラが下方を撮影し、別のカメラが車両の前方を撮影するように構成した場合、当該一方のカメラを用いて車両の水平面の360度の全周囲を監視等し、別のカメラで通常のドライブレコーダーとして機能させると良い。例えば、一方のカメラが、全周180度の画角で半天球の範囲を撮影するものとした場合、周囲を効率よく綺麗に撮影することができる。180度以上にすると、車両の天井が撮影されるなど無駄な景色が写り込み、その分撮影された映像が小さくなって解像度が落ちるが、180度とすると係る問題は無くなる。一方、180度にすると、前方の信号機など、斜め上方にある物体が撮影できないが、前方を撮影する別のカメラで対応できるので良い。
【0010】
(3)前記撮影手段は、前記取付手段で前記車両に取り付けた状態で、下側の半天球を含む当該半天球よりも広い範囲を撮影する一つのカメラを備えるとよい。このようにすると、車両の前後左右の全方向を撮影することができるので、例えば車両の周囲の各方向から車両に接近してくる物体を撮影できるので良い。半天球よりも広い範囲を撮影するため例えば斜め上方の撮影手段の空間も撮影領域となる。よって、例えば、車両の前方を撮影する場合に、前方車両や信号機もしっかりと撮影できるので良い。
【0011】
前後左右の全方向を撮影する機能を利用することで、例えば、走行中では横方向や後方向からの車両の衝突があった場合でも、その状況を撮影する可能性が高くなり、従来のドライブレコーダーに比べて死角が少なくなる。また、例えば駐車中に動作させる場合には、セキュリティ監視を効果的に行えるので良い。
【0012】
180度の半天球よりも広い範囲は、例えば、220度から260度の範囲とすると、信号機を撮影でき、また、撮影した信号機の信号の色も確認できるので好ましい。230度から240度の範囲とすると、より確実に信号の色を確認できるように信号機を撮影できるとともに、例えば車両の前方等の前方車両その他の景色等の解像度も落とすことなく撮影できるのでより好ましい
【0013】
(4)前記撮影手段は、半天球或いはそれ以上の範囲を撮影する2つのカメラを備え、前記2つのカメラが、それぞれ反対向きを撮影するようにし、前記取付手段で車室内に取り付けた状態では、前記2つのカメラがそれぞれ撮影する映像の周縁に、前記車両のダッシュボードとピラーが映るようにするとよい。
【0014】
このようにすると、720度(水平360度+垂直360度)の全天球の映像を、1台のドライブレコーダーで撮影できる。従来のドライブレコーダーでは、車両の前方の所定の範囲内しか撮影できないため、側面や後方が死角となり、万が一の時の状況が映像に記
録されていない場合があるが、前後左右上下の全方位を撮影することで死角がなくなるの
でよい。2つのカメラは、実施形態では第一カメラ26と第二カメラ27に相当する。
【0015】
ドライブレコーダーを車室内に取り付けた状態では、2つのカメラの一方は主にドライブレコーダーの前側の領域を撮影し、他方のカメラは主にドライブレコーダーの後側の領域を撮影する。2つのカメラがそれぞれ撮影する映像の周縁にダッシュボードやピラーが映るようにしたので、ドライブレコーダーは、取付手段により運転者よりも前方に取り付けられる。一方のカメラは進行方向前方を撮影し、他方のカメラは後方・車室内を撮影するので、各カメラで撮影した画像の中央部分には、それぞれ前方景色と、車内のドライバー等が映る。2つのカメラで撮影した各映像の周縁を繋いで全天球(前後左右上下360度が連続した映像)が写るようにした場合に、前方側と後方側のつなぎ・境界部分を、運転者の横に位置させることができ、前方の景色の中や、車室内を映した映像の中央等につなぎの部分が来て見づらくなることがない。各カメラで撮影した中央の領域は、周縁の領域に比べて解像度が高く、係る解像度の高い領域で前方車両並びに前方の中央部分の景色や、車室内のドライバーや同乗者等を撮影できるので良い。本来のドライブレコーダーとして機能させる前方景色は、一方のカメラのみの映像で採ることができる。
【0016】
また、上記の例ではつなぎ目部分にダッシュボードやピラーが映り込むようにしたが、例えばつなぎ目の部分が特定の位置に固定することで、その特定の位置の部分が映りにくくそれ以外の部分を映りやすくするとよい。
【0017】
また例えば撮影手段を実装する筐体と、各種の処理を実行する処理回路や各種センサ等を実装する本体ケースを別の部材で構成し、両者を角度調整機構で連結し、角度調整機構は、水平軸周りに回転して前後方向の首振りは許容するが、垂直軸周りには回転せず、横向きに振ることが無いように構成すると良い。
【0018】
(5)前記撮影手段は、半天球或いはそれ以上の範囲を撮影する2つのカメラを備え、前記2つのカメラが、それぞれ反対向きを撮影するようにし、前記2つのカメラは、それぞれで撮影された映像の周縁を繋いで1つの映像を構成するためのものであり、前記2つのカメラでそれぞれ撮影した周辺領域のつなぎ部分が目立たなくする手段を備えるとよい。
【0019】
2つの映像をつなぎ合わせて1つの全天球の映像を作り、その全体の一部を切り出して表示し、また切り出した領域を移動させると、切り出した領域につなぎ部分が含まれることがある。つなぎ部分が目立たなく手段を備えているので、つなぎ部分が目立たなくなり、全天球の全体が違和感なく画像が繋がるのでよい。
【0020】
目立たなくする手段は、例えば、撮影時の明るさ調整手段であり、明るさ調整手段は、例えば2つのカメラが同じ明るさで撮影するようにするとよい。同じ明るさは、例えば露出制御機能で制御される露出条件を同じにすると良い。通常2つのカメラにそれぞれ露出制御機能が実装されると、それぞれのカメラで測光し、測光した結果に応じた適切の露出条件で撮影する。この場合、例えば、一方のカメラが主に車両の外側の景色を撮影する場合、被写体は明るく、他方のカメラが主に車室内を撮影する場合、被写体は暗いため、それぞれの測光結果に基づき最適な露出条件にすると、異なる明るさで撮影することになる。このように撮影すると、つなぎ部分での明るさの違いが目立ち、違和感が生じる。明るさ調整手段により、2つのカメラで同じ明るさで撮影するように制御すると、つなぎ目部分で違和感が生じないので良い。
【0021】
2つのカメラで同じ明るさで撮影した映像の周縁をつなげて一つの映像を作成し表示した場合に、つなぎ部分が目立たない。2つのカメラが別々に明るさを調整した場合、通常
は、例えば、外の明るい景色と、比較的暗い車内をそれぞれ綺麗に写るように制御する。
例えば映像を回していき前方を撮影するカメラの映像から後方を撮影するカメラの映像に変わる部分で明るさが異なると、そのつなぎの部分が目立ち違和感が出る。暗く見にくい車内は、見にくいまま撮影することで、見たままの状態を再生できるので良い。
【0022】
全体を同じ明るさにする場合、例えば、前方を撮影する一方のカメラの測光結果に基づいて行うと、前方景色がはっきりと撮影できるので好ましいが、後方を撮影する他方のカメラの測光結果も加味して行うと、車室内が真っ暗で見にくくなることが抑制できるのでより好ましい。また、各カメラにおける測光は、見たい映像が画像の中央部分にあるので、中央部重点測光をベースに行うと良く、さらに、画像の下側はダッシュボードや床・シートなどが撮影されるので、中央部分の特に上側領域に対して重点測光すると良い。さらにまた、つなぎ目を含む2枚分の全体に対して分割測光すると、暗すぎたり白飛びなど生じたりすることなく全体を撮影できるので良い。また、動いている部分を抽出し、その部分をスポット測光し、その測光結果に基づいて明るさ調整を行うと良い。例えばピラーやダッシュボードは動いておらず、外の景色や、車室内の人は動きがある。そこで動きがある部分を測光することで、見たいところを見やすく撮影することができるのでよい。
【0023】
また、明るさ調整手段は、全体を同じにしても良いし、中央部分は個別に調整し周縁部の明るさを同じにしても良い。その場合には、中央部分の個別に調整した明るさと、周辺部分の明るさが相違することがあるので、中央部分と周縁との中間部分でグラデーション等の補正をかけるようにすると良い。画面全体に対してそれぞれ同じ明るさで撮影すると、撮影手段・カメラ側での制御が簡単で、また、撮影した2枚の画像をつなげる処理を行う場合も簡単であるのでより好ましい。
【0024】
(6)前記撮影手段は、半天球或いはそれ以上の範囲を撮影する2つのカメラを備え、その2つのカメラで撮影する領域が、周縁部分で重なるように当該2つのカメラを配置し、前記取付手段で前記車両に取り付けた状態で、その重なる領域が、車室内の所定位置を撮影するように構成するとよい。
【0025】
重複する領域に存在する物体は、2つのカメラのそれぞれで撮影される。そして、2つのカメラの映像をつなぎ合わせる場合に、同一物体が2つに分かれて異なる位置に表示されることがあるが、重なる領域を車室内の所定位置の付近にすると、その車室内の所定位置に隠れてそもそも撮影されなかったり、仮に撮影されて異なる位置に表示されたりしても当該車室内の所定位置が目立ち、2つに分かれて表示されていることが目立たなくなり、違和感がなくなる。
【0026】
(7)前記所定位置は、前記車両のピラー、ダッシュボードの少なくとも一つとすると良い。ピラー・ダッシュボードは、車室内に設置したカメラとの距離が1乃至3m程度と車外に存在する物体に比べると比較的近く、2つのカメラの映像を繋いだ場合にズレが少ないので、仮にズレていても目立たない。また、ダッシュボードは、全体的に同じような色合いで、全体的に暗い色の場合が多いので、係る点に鑑みてもズレていてもそれが目立たないので良い。また、ダッシュボードやピラーは、元々注目して見るものでもないので、ズレていても気にならない。さらにピラーは、その後ろ側に車外の人物その他の物体が位置するが、一部または全部がピラーに隠れるので、ずれが目立たないので良い。
【0027】
(8)前記2つのカメラは、半天球以上の範囲を撮影するものであって、その2つのカメラは一つの筐体に実装され、前記筐体の外形状は球体であり、前記2つのカメラのそれぞれのレンズは、前記球体の直径方向の反対側の表面にそれぞれ露出した状態で配置するとよい。
【0028】
カメラを実装する筐体が球体のため、全天球を撮影するカメラであることがイメージし
やすいので良い。球体の表面にレンズが露出・突出するように配置したので、半天球以上の範囲を撮影するカメラでも、筐体がカメラに写り込みにくくなるので良い。球体にすると、見た目も小さく見え、全天球ドライブレコーダーらしさをかもしだすので良い。
【0029】
(9)制御部を実装する本体ケースを備え、前記2つのカメラを実装する筐体は、前記取付手段で取り付けた状態で、前記本体ケースの下側に配置し、前記本体ケースは前記カメラに写り込みにくくする形状を備えるとよい。本体ケースがカメラが撮影する映像に写り込みにくくなるので、車外の景色や、車室内の様子を見やすく採ることができる。写り込みにくい形状は、カメラの撮影範囲に存在する部分をできるだけ少なくする形状にすると良く、例えば、本体ケースの所定の角をとりテーパー面にしたり、本体ケースの寸法形状をできるだけ小さくしたり、カメラの死角は円錐形になるので、本体ケースをその円錐形に近い形状にしたりするとよい。
【0030】
(10)制御部、録音手段を実装する本体ケースを備え、前記2つのカメラを実装する筐体は、前記本体ケースと別に配置し、前記筐体にスイッチを設けるとよい。録音手段は例えば周囲の音を集音するものであり、例えば、事故発生時では衝突したときの音や、ブレーキ操作に伴う音や、ドライバーや同乗者の音声などを集音し、録音するためのものである。これにより、例えば事故発生後に当該事故の解析を行うことなどに役に立つ。スイッチの操作に伴い、操作音が筐体内で反響し、そのまま録音し後で再生すると耳障りであり、事故の解析等に煩わしさを感じることがあるが、録音手段は筐体とは別の本体ケースに実装されているため、当該反響した操作音であっても本体ケースには伝わらず、操作音が記録されないので良い。録音手段は、実施形態では、例えばマイクに対応する。スイッチは、例えば、例えばスイッチの操作に伴いカメラで撮影した映像に基づく情報を記録するための指示を与えるものなどとすると良い。
【0031】
(11)制御部、録音手段を実装する本体ケースを備え、前記取付手段で車室内に取り付けた状態で、前記2つのカメラを実装する筐体は、前記本体ケースの下側に位置し、前記筐体の下面側にスイッチを設けるとよい。筐体を本体ケースの下に配置し、筐体の下面側にスイッチが配置される。当該スイッチがドライバーの近くにあり押しやすい。さらに上述した(8)のように筐体を球体にした場合には、球体を上下から握るようにして持ちながらスイッチを押すことができ、押しやすく、本体ケース側に力が加わりにくいので良い。
【0032】
(12)前記筐体は、前記取付手段で車室内に取り付けた状態における前記本体ケースの下面側に連結機構を介して回転可能に取り付けられ、前記連結機構は、前記取り付けた状態における車両の前後方向の回転を許容し、左右方向の首振りができないようにすると良い。
【0033】
(13)2つのカメラでそれぞれ撮影した映像をつなげた状態で一つの画面内に表示する機能を備えたドライブレコーダー用表示装置とするとよい。例えば画角を広くし、反対向きで表示することで、中央にドライバー・同乗者等の車内が表示されるとともに、周縁に左右の外の景色が流れるように表示され、車両の外側に仮想の視点があり、車両が透明になったような感じで遠まきに見た感じの表示となり、人間では見られない斬新な景色が見られ、面白みがあるので良い。
【0034】
(14)2つのカメラでそれぞれ撮影した映像をつなげた状態で表示し、視点を変える機能を備え、ワンタッチ操作で基準画面を表示する機能を備えたドライブレコーダー用表示装置とするとよい。
【0035】
視点を変えて見ているときに、どのような向きにあってもすぐに基準画面に戻すことが
できるので良い。例えば、全天球の画面の一部を切り出すとともに、その切り出す位置を移動したり、サイズを変更したりしていくと、どの方向を向いているかがわからなくなることがあるが、係る事態になっても、一度基準画面に戻すことで、状況がわかるので良い。また、現在見ている方向がわかっていても、元の基準画面に戻したい場合に、一気に戻すことができるので好ましい。基準画面は、例えば正面や、ドライバー(真後ろではなく斜め後ろ)などがあり、実施形態で、前方、後、左右等といった特定の画面や、さらには、再生中に登録したブックマーク等がある。
【0036】
(15)2つのカメラでそれぞれ撮影した映像の所定部位を他の通常の表示部分より見えづらくするマスク機能を備えたドライブレコーダー用表示装置とするとよい。このようにすると、例えば、ドライバーの少なくとも顔が表示されている部分を見えづらくすることで、ドライバー自身は写りたくない・恥ずかしいなどと言う要求に応えられるのでよい。見えづらくするとは、例えば、綺麗に映らないようにしたり、マスク部材で覆い完全に見えなくしたり、モザイク処理したり、薄く表示するなどがある。マスクする領域の指定は、自動で設定や、マニュアル指定などがある。自動で設定は、例えば、運転席等の特定の場所、登録した人(自分・家族等)を認識して、その人の顔を含む部分等を設定すると良い。
【0037】
(16)メイン表示部とサブ表示部を備え、各表示部に異なる映像を表示する機能を備えたドライブレコーダー用表示装置とするとよい。異なる映像を同時に見ることができるので、好ましい。例えば、メイン表示部には、前方の景色を表示し、サブ表示部には車室内の状況を表示すると、景色を見たときの様子が関連づけて理解できるので好ましい。また、駐停車中では、水平360度の部分を円形或いはパノラマの映像をメイン表示部に表示し、人物の接近を検知した場合には、その人物を拡大した映像をメイン表示部に表示し、全体をサブ表示部に継続して表示する。衝突時などは、衝撃を受けた方向の映像をメイン表示部に表示し、異なる方向の外の景色、或いは車室内のドライバー・同乗者の状況をサブ表示部に表示すると、事故の解析がより正確に行えるので良い。運転状況・事情に応じてメイン表示部と切り替えて表示する機能を備えると良い。そのようにすると、例えば運転の状況等に応じて、必要な映像が再生されるので良い。
【0038】
(17)特定の方向を、画面の所定位置に向くように表示する機能を備えたドライブレコーダー用表示装置とするとよい。例えば特定の方向が、画面内の所定位置に向くように表示されるので、ユーザは、画面を見ると、方向との関係で再生猿映像を認識・理解できるので良い。例えば、特定の方向が「北」で、所定位置が「画面の上」とすると、地図と見比べて理解するのが直感的に行えるので良い。
【0039】
(18)前記2つのカメラで撮影した映像を、そのまま時系列で再生するのではなく、不要な映像をスキップし、映像を再生する処理を自動で行う編集再生機能を備えたドライブレコーダー用表示装置とするとよい。例えば興味がわかなかったり、見たくなかったりするような映像が再生し続けられることがなく、興味がわく映像が再生されるので、ユーザは、撮影した映像を後で見たいという要求が出て好ましい。
【0040】
上述した各ドライブレコーダー用表示装置は、例えばコンピュータに実装されるビューア、ドライブレコーダーに接続或いは実装した表示装置、ドライブレコーダーに連係される車載機器の表示装置などがある。車載機器は、例えば、カーナビゲーション装置などがある。
【0041】
(19)コンピュータに、(13)から(18)のいずれかに記載のドライブレコーダー用表示装置としての機能を実現させることを特徴とするプログラムとするとよい。
【0042】
(20)(4)から(12)のいずれかに記載のドライブレコーダにおいて、(13)~(17)のいずれかに記載のドライブレコーダ用表示装置の機能を備えるドライブレコーダーとするとよい。
【0043】
上述した(1)から(12)、(20)の発明は、任意に組み合わせることができる。例えば(1)の全部または一部を備えずに他の(2)から(12)、(20)の少なくともいずれか1つの構成を備えたものとしても良い。但し特に、(1)の構成の全部または一部を備えて、(2)から(12)、(20)の少なくともいずれか1つの構成と組み合わせを備えると良い。また(1)から(12)、(20)の少なくとも1つから任意の構成要素を抽出し、組み合わせても良い。また、(13)から(18)の発明は、任意に組み合わせることができる。また(13)から(18)の少なくとも1つから任意の構成要素を抽出し、組み合わせても良い。本願出願人は、これらのような構成についても、補正・分割出願・意匠登録出願への変更出願等により特許権・意匠権等を取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、従来よりも撮影できる範囲が広がるので良い。また例えば本明細書において「~できる」と記載している効果を奏する物など、本明細書に記載の物などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明に係るドライブレコーダーの好適な一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】そのドライブレコーダーのフロントガラスへの取り付け手順を説明する図である。
【
図3】(a),(b)は、ドライブレコーダーの本体ケースの一部を示す斜視図であり、(c)はドライブレコーダーの底面図である。
【
図4】本形態のドライブレコーダーの本体ケースの一部を省略した斜視図である。
【
図6】ドライブレコーダーを車両に取り付けた状態等を示す図である。
【
図7】ドライブレコーダーの本体ケースの一部・筐体・回路基板等を省略した斜視図である。
【
図8】カメラ部の視野・画角等を説明する図である。
【
図9】スイッチ部のランプの点滅状態を説明する図である。
【
図10】第一カメラと第二カメラで撮影する映像を説明する図である。
【
図11】(a)は撮影した映像の表示例を説明する図であり、(b)は露出制御機能を説明する図である。
【
図21】ドライブレコーダーの一例を示す六面図である。
【
図22】ドライブレコーダーの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明
が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成や形状等は単なる説明例であり、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0047】
図1~
図8、
図21、
図22等は、本発明に係るドライブレコーダーの好適な一実施形態の外観図等を示している。本形態のドライブレコーダー10は、水平平面の360度と垂直平面の360度の全方位を撮影して得られた全天球映像を、記録可能とし、出力する機能を備えている。ドライブレコーダー10は、各種の処理を実行する本体部11と、車両への設置状態における本体部11の下方に配置されるカメラ部12とを備える。
【0048】
本体部11は、扁平な矩形状の本体ケース13を有し、その本体ケース13内に各種の回路基板・機器を実装する。本体ケース13は、第一ケース14と第二ケース15と連結することで構成される。第一ケース14と第二ケース15は、互いの対向面が開放した箱状であり、互いの先端面同士を付き合わせた状態で、連結手段で連結する。連結手段は、例えば、第一ケース14と第二ケース15の一方に設けた突起と、他方に設けた当該突起と連係する凹部からなり、それら突起と凹部を嵌め合わせる構成とすると良い。
【0049】
第一ケース14は、底浅で、開口面の周縁は、略長方形で4角がR取りされた形状となり、深さは全体にわたりほぼ均一である。ドライブレコーダー10を車両に設置した状態では、この第一ケース14が車両の前方側に位置する。よって、第一ケース14の開口面と反対側の表面は、本体ケース13の前面13aとなる。この前面13aに、ジョイントレール16を備える。ジョイントレール16は、第一ケース14の長手方向に沿って所定の間隔をおいて上下に2本設ける。この2本のジョイントレール16間に、ブラケット17を着脱自在に装着する。
【0050】
第二ケース15は、第一ケース14よりも深い箱形であり、開口面の周縁は、第一ケース14と同様に略長方形で4角がR取りされた形状となる。ドライブレコーダー10を車両に設置した状態では、この第二ケース15が車両の後方側に位置する。よって、第二ケース15の開口面と反対側の表面は、本体ケース13の後面13bとなる。後面13bは、長方形の一対の長辺の一方に隣接する部分は平坦面13b′で、本体ケース13の前面13aと平行な平面となり、一対の長辺の他方に隣接する部分は、傾斜面13b″となる。傾斜面13b″は、短辺の中間側から外側の長辺に向かうにつれて、徐々に第二ケース15の開口面に近づくように形成される。よって、第二ケース15の深さは、平坦面13b′を含む第一領域では均一で、傾斜面13b″を含む第二領域では長辺側に行くに従って徐々に浅くなるように形成される。傾斜面13b″を備えることで、本体ケース13の外観形状は、直方体をベースにして、一つの長辺部分を面取りしたような形状となる。面取りする一つの長辺は、ドライブレコーダー10を車両に設置した状態で、後上方である。第一ケース14と第二ケース15を連結した状態では、第一ケース14側の前面13aと、第二ケース15側の平坦面13b′は、平行となる。
【0051】
ブラケット17は、平板状のプレート17aを有し、その長辺の一対の側面に、長手方向に沿って溝17bが形成される。この溝17bは、ジョイントレール16と符合し合うように構成される。ユーザは、この溝17bとジョイントレール16を合わせ、ブラケット17と本体ケース13を相対的にスライドさせることで、ブラケット17を本体ケース13に装着したり、離脱させたりする(
図2等参照)。
【0052】
ブラケット17を本体ケース13に装着した状態におけるプレート17aの本体ケース13に対向する面には、突起部17cを有する(
図2(a)(b)等参照)。この突起部
17cは、ブラケット17をジョイントレール16間に装着した際に、第一ケース14の
板バネ部14aに設けた孔部14bに嵌まり、離脱するのを抑止する。ブラケット17の本体ケース13に対向する面と反対側の表面には、両面テープ19等の接着部材が貼付けられる。ドライブレコーダー10を車両に取り付ける場合、本体ケース13からブラケット17を取り外し、その取り外したブラケット17を、両面テープ19を介して自動車のフロントガラス2に貼付けて固定する(
図2(b)等参照)。このとき、ブラケット17は、横長の状態にし、一対の長辺が水平になるようにする。係る状態でフロントガラス2に貼付けたブラケット17に対し、本体ケース13を装着することで(
図2(c)等参照)、ドライブレコーダー10は、車両の所定位置に取付固定される。この取り付けた状態では、本体ケース13の前面13aと平坦面13b′は、フロントガラス2の取付面と平行に配置され、本体ケース13の長辺は水平平面内に位置し、本体ケース13の短辺側の側面は垂直平面内に位置する。よって、本体ケース13は、横長の状態でフロントガラス2に貼り付けられた状態で固定され、カメラ部12は、本体ケース13の底面側に釣り下げられた状態で配置する。
【0053】
図1(a),
図3等に示すように、第一ケース14の一方の短辺側には、切欠き窓部14cが形成され、その切欠き窓部14cを塞ぐカバー部材20が取り付けられる。カバー部材20は、切欠き窓部14cを閉塞するように配置した状態で、ネジ21で締結して固定する。カバー部材20を取り外した状態では、切欠き窓部14cを介して本体ケース13内に実装されるメモリカードスロット22が露出する。このメモリカードスロット22にメモリカード23を着脱自在に装着する。
【0054】
切欠き窓部14cを設けた側と反対側の側面には、第一ケース14の第二ケース15に跨ぐように開口する窓孔13cを設け、その窓孔13cの奥に、DCジャック24を配置する。このDCジャック24に電源ケーブルの一端に設けたコネクタを装着し、外部からの電源供給を受けるようにしている。外部からの電源供給は、例えば、車両のバッテリーから行う。例えばDCジャック24に装着した電源ケーブルの他端を、車両のシガーソケットに装着したり、車両のバッテリーの電源ラインに直結したりすることで行う。また、車両のバッテリーとは別の電源装置を用意し、ドライブレコーダーは、その電源装置から電力供給を受けるようにしても良い。この電源装置は、車両が駐車中等の車両のバッテリーからの電力供給がされない状態でも内蔵バッテリーから電源供給可能な装置である。内蔵バッテリーは、例えば充電池とすると良く、この電源装置を車両に設置した場合、電源ラインにおいて、車両のバッテリーと、ドライブレコーダーの間に電源装置を配置する。車両の走行中等の車両のバッテリーからの電源供給が可能な状態では、車両のバッテリーから電源装置を経由してドライブレコーダー10に電源供給する。この状態では、電源装置の内蔵バッテリーは、車両のバッテリーからの電源供給を受けて充電する。車両のバッテリーからの電源供給がOFFの状態では、ドライブレコーダー10は電源装置からの電源供給を受けて動作する。
【0055】
第一ケース14の傾斜面13b″の所定位置に孔部13dを設ける。この孔部13d付近の本体ケース13内に、マイク18を配置する。マイク18は、周囲の音を収集する。第一ケース14の平坦面13b′の所定位置に複数の孔部13eを設ける。この孔部13e付近の本体ケース13内に、スピーカー29を配置する。
【0056】
本体ケース13内には、各種の処理回路や電源回路等を実装する。
図4等に示すように、それら処理回路と電源回路等は、メイン回路基板40とサブ回路基板41に実装される。メイン回路基板40とサブ回路基板41は、両基板にそれぞれ取り付けられたコネクタ42同士を相互に連結することで、機構的に一体化するとともに各回路基板に形成した信号線並びに電源線を接続する。メイン回路基板40とサブ回路基板41は、平行で重ねた状態で連結し、その状態で本体ケース13内に実装する。当該実装した状態では、メイン
回路基板40は第二ケース15側に位置し、サブ回路基板41が第一ケース14内に位置
する。サブ回路基板41のメイン回路基板40との非対向面には、GPSアンテナ部43、バッテリー44を備える。メモリカードスロット22は、サブ回路基板41のメイン回路基板40との対向面側に実装する。メイン回路基板40には、各種の制御を司るCPUや、上述したDCジャック24、スピーカー29などを実装する。図示省略するが、本体ケース13内には、加速度センサも内蔵する。
【0057】
図5等に示すように、カメラ部12は、筐体25と、その筐体25内に実装する第一カメラ26及び第二カメラ27と、スイッチ部28を備える。筐体25は、その全体形状は球体であり、二分割される半球状の第一カメラケース30と第二カメラケース31を付き合わせた状態で連結して構成される。第一カメラケース30と第二カメラケース31との固定は、上述した第一ケース14と第二ケース15の固定と同様に、一方、例えば第一カメラケース30に設けた突起30aと、他方、例えば第二カメラケース31に設けた凹部31aの嵌め合いを用いると良い。
【0058】
第一カメラ26と第二カメラ27は、背中合わせに配置され、それぞれが反対向きを撮影するように固定・連結されてカメラユニット35を構成する。カメラユニット35は、扁平な矩形状のホルダー36を起立させ、その前面に第一カメラ26を固定し、その後面に第二カメラ27を固定して一体化する。その固定は、例えばネジにより行う。
【0059】
第一カメラ26は、第一回路基板26a上に第一レンズ部26bを配置して構成される。第一回路基板26aには、撮像素子や、撮影のための処理回路が実装される。第二カメラ27は、第二回路基板27a上に第二レンズ部27bを配置して構成される。第二回路基板27aには、撮像素子や、撮影のための処理回路が実装される。第一カメラ26と第二カメラ27は、同じ仕様・性能のものを用いる。同じ状態・性能は、例えば、画角や先端のレンズから撮像素子に至る光学系等や、撮像素子のセンササイズ等が同じであり、例えば、同一の撮影対象に対し、露出条件など撮影条件が同じ状態で撮影した場合には、撮影した映像は、同じになる。本実施形態では、物理的な絞りはなく、シャッター速度を変えて露光時間を変えることで撮影の明るさを調整する。
【0060】
図5等に示すように、第一カメラ26と第二カメラ27をホルダー36に取り付けた状態では、第一レンズ部26bと第二レンズ部27bの光軸Lが同一直線上に位置するように設定する。これにより、第一カメラ26と第二カメラ27は、それぞれ反対向きを撮影する。第一カメラケース30の中央には、円形の窓孔30bを設け、第二カメラケース31の中央に円形の窓孔31bを設ける。筐体25内にカメラユニット35を実装した状態では、第一カメラ26の第一レンズ部26bの先端と、第二カメラ27の第二レンズ部27bの先端がそれぞれ窓孔30b,31b内に位置し、外部に露出する。
【0061】
カメラ部12の筐体25は、角度調整機構50を介して本体ケース13に連結される。角度調整機構50は、本体ケース13の底面の前側に、長辺に沿って設けた回転軸周りのみに筐体25を回転させることで、前後方向の首振りは許容するが(
図6参照)、横向きに振ることはないようにするもので、例えば以下のように構成する。
図5に示すように
筐体25側には、第一カメラケース30の上側に突出する第一軸受け片51と、第二カメラケース31の上側に突出する第二軸受け片52を備える。第一軸受け片51は、上方に向けて延びる壁部51aと、その壁部51aの後面に、後方に向けて突出するように形成した2つの第一軸受け部51bを備える。第二軸受け片52は、第一軸受け片51の壁部51aに対向する壁部52aと、その壁部52aの左右両側に配置される第二軸受け部52bを備える。それら4つの軸受け部51b,52bは、同一径の貫通孔を有し、第一カメラケース30と第二カメラケース31を連結した状態では、それら4つの貫通孔が同心上に配置される。
【0062】
本体ケース13の第二ケース15の底面所定位置に凹部15dを備える。凹部15dは、第二ケース15の底面の前側の長辺の中央部分に形成され、その長辺に直交する一対の内側面に貫通孔15eを有する。その一対の内側面に形成する貫通孔15eは、同軸上に形成され、その内径は、一方はボルト53の軸部よりも大きくボルト53のねじ部に装着するナット54の外径よりも小さくし、そのナット54の外径よりも小さい貫通孔15eを設けた内側面の第二ケース15の内部側には、ナット54を装着する小部屋55を設け、当該小部屋にナットをセットする。他方の貫通孔15eの内径はボルト53の頭部の外径よりも大きくする。その他方の貫通孔15eは、第二ケース15の側面15fの開口部15gに繋がる。
【0063】
上記のボルト53は、第一軸受け片51と第二軸受け片52を凹部15d内に挿入配置した状態で、ねじ部を先頭にした状態で開口部15g側から挿入し、ボルト53の軸部を第一軸受け部51b,第二軸受け部52bを貫通した状態でボルト53のねじ部を一方の貫通孔15e内を挿入して小部屋に位置させる。六角レンチ等の締結用工具を用いてボルト53を回し、ねじ部とナットを締結する。この状態では、凹部15dの一方の側面は、ナットと第二軸受け片52の一方の第二軸受け部52bで挟み込まれ、ボルト53,筐体25の離脱が抑制され、ボルト53を強固に締め付けると、ボルト53の頭部が他方の第二軸受け部52bを付勢し、回転が抑止され、ボルト53を緩めると筐体25がボルト53を回転中心とし、所定角度範囲内で回転する。
【0064】
ボルト53は、第二ケース15ひいては本体ケース13の長辺と平行に配置している。そしてフロントガラス2に貼付けて固定した本体ケース13の長辺は、水平平面に位置しているため、ボルト53と第一軸受け片51・第二軸受け片52等で構成される角度調整機構50は、水平軸周りの回転を許容し、垂直軸周りの回転ができないようになり、カメラ部12は、前後方向の首振り動作のみが許容される。
【0065】
ドライブレコーダー10の使用に際しては、上述したようにフロントガラス2に貼付けて固定した状態で、筐体25ひいてはカメラ部12を前後に首振りさせて所望の姿勢にした状態でナットを締め、カメラ部12の向きを固定した状態にする。所望の姿勢は、第一カメラ26が前方を向き、第二カメラ27が後方を向くようにし、第一レンズ部26bと第二レンズ部27bの光軸Lが、車両の進行方向と平行になるような姿勢である。係る姿勢では、
図6(a)等に示すように、第一カメラケース30と第二カメラケース31の接合面Mが、垂直平面内であって、車両の進行方向と直交する平面内に位置する。
【0066】
図8等に示すように、第一カメラ26と第二カメラ27は、それぞれレンズと平行な平面方向に360度で、当該平面に対して垂直方向の画角θを180度よりも大きい所定角度にし、周囲一面をそのまま撮影することができるカメラである。所定角度は、第一カメラ26と第二カメラ27で同じ角度である。第一カメラ26と第二カメラ27は、反対向きに背中あわせで配置しているため、第一レンズ部26bの先端と第二レンズ部27bの先端間には、所定の間隔があく。例えば両カメラの画角を180度にすると、それら両レンズ部の間の所定の間隔の幅分の全周囲に渡り帯状の未撮影領域が発生する。画角θを180度より大きくすることで、レンズ部の先端位置における光軸に直交する平面よりも、後方の領域も撮影範囲となり、例えば
図8等に示すように、両カメラで撮影可能な領域に重複する部分が発生し(
図8中ハッチング部分参照)、720度(水平360度+垂直360度)全天球映像を、1台のドライブレコーダー10で撮影可能となる(
図8(d)等参照)。
【0067】
第一カメラ26と第二カメラ27でそれぞれ撮影される映像は、例えば
図8(b),(c)に示すように円形となり、レンズと平行な方向に360度でその平行な方向に対して
直交する方向の画角180度以内のレンズ部の前方側の半天球部分が撮影される第一領域
R1と、と以外直交する方向の画角180度以上のレンズ部よりも後方側が撮影される第二領域R2とがある。
【0068】
所定角度以上の領域は、各カメラで撮影できず死角となる領域となる。よって、
図8中ハッチングで示す2つのカメラの撮影領域が重複する位置からカメラ部12付近の領域は、いずれのカメラでも撮影できない死角領域R3となる。所定角度が180度に近いほど、撮影領域が重複し始める地点はカメラ部12から離れ、死角領域R3が大きくなる。一方、所定角度を大きくするほど、死角領域R3は小さくなるが、レンズ部を基準とした前方の半天球の部分を撮影した第一領域R1が小さくなるため、第一領域R1で撮影される映像の解像度が低下し、見づらくなるという問題を生じる。そこで、本形態では、所定角度を210度とし、死角領域R3を適宜小さくしつつ第一領域R1で撮影される車両の前方景色や、車内の解像度を高く保てるようにした。
【0069】
スイッチ部28は、カメラユニット35の下方に取付け、一体化している。第一カメラケース30と第二カメラケース31の接合端縁の下方には、半円状の切欠き部30c,31cを設ける。切欠き部30c,31cの半径は等しく、第一カメラケース30と第二カメラケース31を接合した状態では、両切欠き部30c,31cが繋がり円形の孔部を構成する。そして、その円形の孔部内にスイッチ部28が位置し、スイッチ部28が外部に露出する。
【0070】
スイッチ部28は、カメラ部12用の筐体25内に実装され、スピーカー29を内蔵する本体部11とは別の筐体内に収納される。スイッチ部28は、押しボタン式であり、当該スイッチ部28を押下すると操作音がなるが、マイク18は、筐体25とは別の本体ケース13に内蔵されているため、仮に当該操作音が、筐体25内で反響したとしても、本体ケース13内には操作音が伝わらず、マイク18で集音されず、録音されないので良い。これに対し、例えば本体ケース13側にスイッチ部を設けると、そのスイッチ部を押したときの操作音がマイク18で集音され録音されてしまい、当該操作音が大きなノイズとなるという課題が生じるが、本実施形態では、係る課題が生じないので良い。また、マイクとスイッチ部が同じ基板に実装されると、スイッチ部の操作時に基板が振動してしまい、その振動による音もノイズとして録音されるおそれがあるが、本形態では、実装基板も別となるので係る事態も生じないので良い。
【0071】
このスイッチ部28は、イベント記録を行う場合に押すためのものである。本形態のドライブレコーダー10は、エンジン始動(ACC ON)からエンジン停止(ACC OFF)までの映像をメモリカードに録画する常時録画機能と、イベント条件に合致した場合に、その合致した前後の一定時間を録画するイベント記録機能がある。イベント条件は、例えば、加速度センサが一定以上の衝撃を検知した場合や、スイッチ部28が押された場合などがある。一定以上の衝撃の検知は、事故発生時前後の映像と音声を記録する際に使用し、スイッチ部28の押下は、任意の地点を通過する一定時間の映像と音声を記録するワンタッチ記録に使用する。ドライブレコーダーの制御部は、例えば常時録画を行いながら、イベント条件に合致した場合に、イベント発生の前後一定時間の映像と音声を別データとして記録する。常時録画のデータとイベント発生時の別データは、ともにメモリカード23に記録する。また、常時録画を行わない場合、ドライブレコーダーの制御部は、常時はバッファメモリ等に一定時間の映像と音声を一時的に記録し、イベント条件に合致した場合に、一時的に記録したデータ等を使用しイベント発生の前後一定時間の映像と音声をメモリカード23に記録する。
【0072】
上述したように、本形態では、例えば車両の駐車中などイグニッションスイッチがOFFで車両のバッテリーからの電源供給が受けられない車両の電源OFFの状態でも、ドラ
イブレコーダー10は、車両とは別に用意した電源装置から電源供給を受け、動作する。
そこで、係る機能を利用し、駐車記録を行うモードを備える。駐車記録モードは、車両の駐車中等の車両の電源OFF後も設定した時間、ドライブレコーダー10に電源装置から電源が供給され、駐車中も常時録画やイベント記録を行うモードである。
【0073】
本形態では、GPSアンテナ部43を備え、位置情報・日時情報・速度情報を取得する機能を備える。そこで、上記の記録を行う際に、それらの各情報も関連づけて記録すると良い。
【0074】
本形態では、スイッチ部28は、球体からなる筐体25の下面中央に設けられる。よって、スイッチ部28は、ドライバーや助手席の同乗者にとって最も近い位置にあり、手を伸ばして簡単に操作ができ、押しやすいし、見やすいのでスイッチ部の位置を確認しやすい。本形態では、カメラ部12が本体ケース13の下側に位置しており、スイッチ操作時にユーザが誤ってレンズに触れるおそれがあるが、本形態のようにスイッチ部28を下側に配置することで、レンズに触れてしまうおそれを可及的に抑制できる。
【0075】
また、スイッチ部28を上方に向けて押すと、カメラ部12を回転させる角度調整機構50に荷重がかかり、そこで受けるのでしっかり押せて良い。なお、押したときにレンズの向きが変わらないようにするために、ボルト53・ナット54をしっかりネジ締めして固定しておく。
【0076】
筐体25が球体なので、筐体25を中心に全方位の全天球を撮影するカメラ部12であることがわかりやすくなるので良い。筐体25を球体にしたため、筐体25は第一レンズ部26bと第二レンズ部27bの死角に位置し、映像に映り込まなくなる。また、本体ケース13ができるだけ第一カメラ26と第二カメラ27で撮影する映像に映り込まないようにするため、例えば本体ケース13と筐体25を接近配置させ、筐体25の上部と本体ケース13の底面は隙間がないようにしたとしても、筐体25の左右両側に行くに従って筐体25と本体ケース13との間に空間が確保でき、筐体25を指で挟みやすくなる。すると、スイッチ部28を押す際に、例えばボールを握るように人差し指と中指で筐体の上側を触り、親指をスイッチ部28に触れた状態で握ることで、スイッチ部の押し操作ができる。この押し操作を行えば、本体ケース13や角度調整機構50に荷重がかからないか、かかりにくくなるので良い。
【0077】
さらに本形態では、スイッチ部28にランプを実装し、スイッチ部28の表面が発光するようにした。スイッチ部28が発光するので、夜でもその位置がわかりやすくなるので良い。スイッチ部28を筐体25の下側に配置したことで、下向きに発光する。よって、ドライバーは下から見上げる形になるので発光を確認しやすくなるが、車両の外からは斜め上側から見下ろす状態になることもあり、発光していることが見えないので良い。スイッチ部28を含め、発光部分はカメラの死角に位置させ、発光している状態は録画されず、外からも見えないようにするとよい。
【0078】
さらに、ランプは、異なる色、例えば赤色と青色を発光可能とした。発光可能は、例えば、三色LEDのように異なる色を発光する発光体を内蔵することで実現する。異なる色を発光可能とすることで、発光色や発光パターンを適宜変えることで、動作状態等を報知する(
図9参照)。
【0079】
上述したように、本形態では第一カメラ26と第二カメラ27は、反対向きを撮影し、画角がともに210度で、撮影した映像の周縁の領域が重複する。後述するように、第一カメラ26と第二カメラ27でそれぞれ撮影した映像を合成して、全天球の映像を生成し、記録したり、出力したりする。2つのカメラの映像を合成する際につなぎ合わせる映像
の境界が、この第一カメラケース30と第二カメラケース31の接合面を含む垂直平面と
なり、その垂直平面を含む所定幅の領域が、重複領域となる。
【0080】
ブラケット17をフロントガラス2の所望位置に貼付け、当該ブラケット17に本体ケース13を装着し、第一カメラケース30と第二カメラケース31の接合面Mが垂直面に位置するようにカメラ部12の角度・向きを調整した状態でボルト53を締めて固定する。このボルト53を締めてカメラ部12を所望の向きに調整した正規の設置・取付状態では、第一カメラ26はドライブレコーダー10の前方を垂直方向360度・水平方向210度の全周210度の範囲で撮影し、第二カメラ27はドライブレコーダー10の後方を垂直方向360度・水平方向210度の全周210度の範囲で撮影する。第一カメラ26と第二カメラ27でそれぞれ撮影する映像の周辺領域が、カメラに近い部分である車室内の所定位置を撮影するようにしている。ドライブレコーダー10を車室内の所定位置に固定した際に第一カメラ26と第二カメラ27でそれぞれ撮影した映像のつなぎ合わせる部分が、カメラに近い車室内の所定位置に来るようにする。車室内の所定位置は、例えばピラー3やダッシュボード4や天井などを含む位置である。
【0081】
本形態では、第一カメラ26と第二カメラ27は、画角θを全周210度としたため、各カメラで撮影する映像の周辺領域では、両方のカメラで周囲の同じ物体等が写る。例えば、
図10(b)に示すように、両方向のカメラに写りこむ周辺領域に物体が、P1,P2,P3のそれぞれの位置に存在したとする。このP1,P2,P3の各位置は、第二カメラ27で撮影する領域の境界K2の近くであって、カメラ部12からの距離が異なっている。このように距離が異なっても、境界K2の近くに存在すると、
図10(c)中右側に示すように、第二カメラ27で撮影した円形の画像中において同じような位置に存在する。一方、P1,P2,P3の各位置は、第一カメラ26で撮影する領域の境界K1からの距離が異なるため、
図10(c)中左側に示すように、第一カメラ26で撮影される円形の領域内での存在位置が異なる。そのため、同一の物体が映り込んだ2つの映像の境界を合成する際に、それぞれの映像中に存在する物体が別々に表示され同一の物体と認識できなくなるおそれがある。特に、P2さらにはP3というようにカメラ、すなわち、車両から離れるほどそのズレ量が多くなり、例えば物体が人間とすると、同一人物ではなく二人存在しているような感じとなるおそれがある。
【0082】
本形態では、2つのカメラの境界部分にそれぞれ映り込む物体として、ピラー3やダッシュボード4等の車内の固定物としたため、当該固定物の後側に位置する外の景色が写らず、境界部分に写っても少ない。ピラー3やダッシュボード4等の車両の部分は、カメラから1~3m程度のところにあるので、当該車両の部分が境界部分の両方に映り込んでもずれが少ない。これに対し、車外では、10m~30m或いはそれ以上と離れることが多々あり、それぞれのカメラで写り込んだ位置のズレが大きくなり、一つに合わせ込むことができない。一方、本形態では、上述したように、2つのカメラの映像のつなぎ目が同じか近い距離にある車内の物体に来るようにしたので、その後側に位置する人物その他の物体が写り込みにくくなる。さらに本形態では、近くのピラー3等で後側を単純に隠すのではなく、移動しないものがあるとその後に存在する人・物が映り込んでも紛れて違和感がなくなるという人間の認知行動をうまく利用し、仮に2つに分離されて表示されても、目立たず、人が見たときに気にならないようにした。さらに、元々、ユーザは前後か横しか見ない傾向にあるので、中間に位置するピラーなどは注目してみないもので、その後ろにある景色に対する注目度も低くなるので、より違和感がなくなるのでよい。
【0083】
なお、これに対し、たとえば、上述した正規の姿勢から、カメラ部12の筐体25を水平平面内で90度回転させた姿勢にし、第一カメラ26と第二カメラ27を、それぞれ左側の領域と右側の領域を撮るようにした場合、両カメラの撮影領域のつなぎ部分は、たとえばフロントガラスの左右の中央部分に上下方向に延びる部分に境界・継ぎ目が来ると、
2つの領域が別れ、それぞれに映り込んだものがわかり、違和感が出る映像となるので良
くない。
【0084】
[第一カメラ26と第二カメラ27は、明るさ同じで撮影]
本形態では、第一カメラ26と第二カメラ27がそれぞれ備える露出制御機能は、同じ露出条件で撮影するように制御する。また上述したように本形態の第一カメラ26と第二カメラ27は、絞りは固定でともに同じ値としているため、撮影時の明るさを調整する露出条件は、シャッター速度を調整することで行う。本形態では、露出制御機能は、シャッター速度を調整する機能である。第一カメラ26と第二カメラ27のシャッター速度を同じにすることで、第一カメラ26と第二カメラ27は同じ露出条件・明るさで撮影する。このように本形態では、2個のカメラがあたかも一つのカメラのようにとらえ、共通の明るさで撮影することを特徴とする。
【0085】
このようにすると、第一カメラ26と第二カメラ27でそれぞれ撮影した映像のつなぎの部分で、明るさが急に変わることもなく、つなぎ部分が目立たなくなり、全周に渡って違和感なく連続した映像となるので良い。例えば暗くて見づらい車内は、見づらいままの状態で撮影することで、見たままの状態を再生できるので良い。
【0086】
上述したように、正しい設置・取付状態では、第一カメラ26はドライブレコーダー10の前方を垂直360度で水平210度の半天球以上の範囲で撮影し、第二カメラ27はドライブレコーダー10の後方を垂直360度で水平210度の半天球以上の範囲で撮影する。これにより、第一カメラ26と第二カメラ27で撮影した映像をつなぎ合わせることで、ドライブレコーダー10の水平360度・垂直360度の全方位(
図8(d)等参照)を撮影した映像が構成される。係る前方位の映像を再生する場合、全方位の全てが写るように表示画面に表示したり、全方位の一部を切り出して表示画面に表示したりする。全方位の一部を切り出す態様としては、例えば、
図11(a)に示すように、第一カメラ26で撮影したドライブレコーダー10の前側の車両前方を表示したり、第二カメラ27で撮影したドライブレコーダー10の後側の車室内を表示したり、斜め上方、斜め下方、左側、右側など、任意の方向の映像を表示することができる。
【0087】
表示画面に表示する映像は、視点の方向により、第一カメラ26と第二カメラ27のいずれか一方のみで撮影した映像に基づくものと、2つのカメラで撮影した映像をつなぎ合わせた映像に基づくものがある。また、2つの映像をつなぎ合わせて合成した全方位の全天球の映像は、どの方向に対しても連続して繋がった映像となっており、後述するように、視点を徐々に変えるようにスパンして表示するエリアを徐々に移動させていくこともでき、係る場合に、移動の途中で、一方のカメラの映像のみが表示される状態と、2つのカメラの映像のつなぎ合わせた部分が表示画面に存在し異なるカメラの映像が同一の表示画面に表示される状態がある。
【0088】
第一カメラ26と第二カメラ27は、それぞれ測光機能と露出制御機能を備え、周囲の状況等に応じて、同一の露出条件、本形態では同一のシャッター速度で撮影範囲を撮影する。このとき、2つのカメラで撮影する映像の周縁をつなげて一つの映像をした場合に、つなぎ部分が目立たないですむ。これに対し、例えば2つのカメラの露出制御機能が、それぞれの備える測光機能で測光した被写体の明るさに基づき別々に露出条件を調整した場合、通常は、例えば、外の明るい景色に対してはシャッター速度を短くし明るさを抑える状態で撮影し、比較的暗い車内に対してはシャッター速度を長くして明るい状態で撮影するように制御し、それぞれの映像が綺麗に映るように異なる露出条件で撮影する。このようにして撮影した2つの映像をつなぎ合わせた場合、例えば第一カメラ26と第二カメラ27の映像のつなぎ合わせた部分が表示画面に存在し異なるカメラの映像が同一の表示画面に表示される状態では、表示される映像の明るさが異なり、つなぎ部分が目立ち、違和
感が生じるという課題がある。これに対し、本形態のように露出条件・明るさを同じ状態
で撮影することで、係る課題が生じないので良い。
【0089】
例えば、2つの映像をつなぎ合わせて全天球映像を形成し、その全天球映像を水平方向に360度回転しながら見た場合、表示内容が、外が明るく綺麗にとれている状態から室内の暗く見づらい状態になることもあるが、2つのカメラの映像のつなぎ目は気にならない。これに対し、室内も良く見えるように明るさを変えて撮影すると、上記のように360度回転した場合に、外の景色も、車内も明るくはっきり見えるようになるが、つなぎ目に違和感が生じてしまう。通常のカメラであれば、それぞれを明るく綺麗に撮影し、表示するところ、本形態では、全天球を撮影・表示するというコンセプトのため、全天球の一部の領域を切り出した画像を任意の方向に移動しながら表示するようにした場合に、720度全ての方向を見た場合に空間が繋がっているように表示できないと、違和感が生じる。そこで、本形態ではつなぎ部分で違和感が生じないようにするための一つの解決手段として、第一カメラ26と第二カメラ27で露出条件を等しくし、同じ明るさで撮影するようにした。例えば夜間の場合、外は撮影できるが、走行中の車内は室内灯も消えて暗く見にくい。暗い状態のまま撮影することで、第一カメラ26と第二カメラ27で撮影した映像の接続部分が違和感なく接続できる。実世界として外が見え、中が見えないか見えにくい状態であれば、そのままの状態で撮ることを特徴としている。
【0090】
上述したように第一カメラ26と第二カメラ27の露出制御機能は、同じシャッター速度で撮影するが、シャッター速度の決定は、以下のようにする。前方を撮影する第一カメラ26の映像を基準・優先に明るさを決定する。ドライブレコーダー10の機能の一つは、事故発生時等において車両の前方等の車外の状況を撮影し・記録するものである。本形態のように第一カメラ26で撮影する映像に基づきシャッター速度といった露出条件を決定することで、車両前方を含む領域を綺麗に撮影でき、ドライブレコーダーの上記の機能を発揮できるので良い。
【0091】
図11(b)に示すように、前方用の第一カメラ26で撮影した円形の映像の上側半分にエリアスポットR10を設け、第一カメラ26の測光機能は、そのエリアスポットR10の領域内の被写体の明るさを測光し、露出制御機能は、その被写体の明るさを基準に決定した露出条件、本形態ではシャッター速度に基づき撮影する。上側半分のうち周辺領域R11は、露出条件を決める際の領域にしないようにした。フロントガラス2を介して見える前方の景色は、エリアスポットR10の範囲内であり、下側半分はダッシュボード4等の車室内の物体が存在することが多い。また、周辺領域R11は、例えば垂直方向の画角が180度以上のレンズ部より後側の景色が入り込むため、露出条件の決定の際には影響を与えないようにした。これにより、例えば前方車両等、車両の前方側の景色を亀裂に撮影し、録画できるので良い。例えば、通常のカメラであれば中央部重点測光のように、撮影する映像の中央部分を重点的の測光するものなどがあるが、中央部分ではなく下側を除外して上半分を測光の対象としたことを特徴とする。また、マルチパターン測光のように画面全体ではなく、周辺領域R11は、測光の対象から除くことも特徴としている。
【0092】
また、下側半分や周辺領域R11は、その部分は車内の天井やダッシュボード等の重要で無い部分が撮影される領域のため、仮にその領域の測光が反映されずに見えなくなってもあまり影響が無いので良い。また、周辺領域R11は、ドライブレコーダー10の本体ケース13が映り込むことがあるが、係る本体ケース13は、元々写したくないため、見えなくても問題ない。係る理由からも周辺領域R11や下側半分領域を、露出条件の決定に利用しないようにすると良い
また例えば、全天球を撮影するスポーツカメラ・アクションカメラ等と称されるものは、屋外で使用されるので、その周囲が全体的に同じように明るい。よって、通常のカメラの露出制御機能のように、前・後のカメラが、個別に測光し、その測光結果に基づきそれ
ぞれが個別に露出条件・明るさを設定しても全方位にわたって綺麗に撮影でき、つなぎ部
分での違和感も生じない。これに対し、本発明のようにドライブレコーダーの設置・動作環境では、前側の前方の景色と、後側の車室内で明るさが大きく異なるため、上記の課題が発生し、係る課題を解決するのが、本実施形態である。
【0093】
[同じ明るさの変形例]
上述した実施形態では、前側の第一カメラ26の測光機能の測光結果のみに基づいてシャッター速度等の露出条件を決定するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、第二カメラ27の測光機能による測光結果も少し考慮して露出条件を決定すると良い。少し考慮するとは、例えば前側の第一カメラ26の測光結果を重視するもので、例えば重み付けをする。このように第二カメラ27の測光結果も評価することで、第二カメラ27で撮影する車室内の映像が真っ暗で人が写らなくなる事態の発生を抑止できるので良い。第二カメラ27の測光機能は、第一カメラ26と同様に中央上側のエリアスポットを設け、そのエリアスポットの領域に対して速攻すると良い。この部分が、同乗者が映り込む領域であるため、当該エリアスポットに対して測光し、それに基づいて露出条件を決定することで同乗者が綺麗に撮影できるので良い。また、下側の領域はダッシュボードや車室内の床やシート等が映り込むため、当該領域を露出条件を決定に影響を与えないようにした。重み付けは、例えば第一カメラ26側のエリアスポットを+5,第二カメラ27側のエリアスポットを+2とし、明るさを決定する。
【0094】
また、上記の変形例とは逆に、第二カメラ27の測光結果を重視して露出条件を決定するようにしても良い。このようにすると、車室内の映像が綺麗に撮影し、記録できる。例えば、タクシー・バスなど、乗客の顔等を鮮明に写す用途がある場合、この変形例のように構成すると、好ましい。但し、この変形例のように第二カメラ27の測光結果を重視すると、シャッター速度が長めになり、それを基準に前カメラの明るさも設定されるため、前方の外の景色は白く飛んでしまうことがある。そこでドライブレコーダー10の本来の機能に鑑みると、上述した実施形態や変形例のように第一カメラ26側を優先するのが良い。
【0095】
また、第一カメラ26の測光結果と第二カメラ27の測光結果を重み付けすることなく均等に扱い露出条件を決定すると良い。このようにすると、第一カメラ26優先で車室内が暗くなりすぎたり、第二カメラ27優先で前方の景色が白飛びしたりすることなどがなくなり、全方位に渡って撮影できるので良い。但し、ドライブレコーダー10の本来の機能である事故発生時前後等の車外の状況を記録しつつ、車室内も記録するためには、第一カメラ26の前方優先で第二カメラ27の測光結果も一部加味する変形例が好ましい。
【0096】
また、第一カメラ26の測光結果と、第二カメラ27の測光結果のどちらを優先するかのモード設定機能を備えると良い。このようにすると、ユーザの使用状況に応じて前方の景色優先や車室内優先などを設定できるので良い。モード設定機能は、例えば、一方の測光結果のみ利用、両方の測光結果を利用するが優先するカメラを設定するものを選択できるようにすると良く、さらに、重み付けの程度を設定できるようにするとなお良い。
【0097】
上述した実施形態並びに変形例では、1つのカメラで撮る映像は、画像処理などせずに全体が同じ設定で撮影するものを前提としているが、例えば撮影時につなぎ部分で違和感が生じないようにし、つなぎの部分だけ同じ明るさにしてもよい。但し係る場合には、どの領域から補正をし始めるかを設定する必要があり、上述した実施形態や変形例のように全体を同じ明るさで撮影するのが簡単に構成できるので良い。また、後述するPCビューア等で合成するときに明るさ調整し、つなぎ部分が目立たないようにするようにしても良い。
【0098】
[本体ケース等は、映りにくい構成]
筐体25の本体ケース13に取り付ける位置を、底面の前後方向のセンターから後面13bにずらした。角度調整機構50を、底面の後面13b側に沿って配置した。例えば
図6等に示すように、扁平矩形状の本体ケース13は、フロントガラス2に貼付けて固定することから、取り付けた状態ではフロントガラス2の傾斜に沿って斜めに配置され、本体ケース13の底面の後面13b側の端縁が最も下方に位置する。その下方の位置で角度調整機構50を介してカメラ部12の筐体25を取り付けることで、第一カメラ26と第二カメラ27に本体ケース13が映り込む領域が少なくなる。
【0099】
本体ケース13は、レンズ本体の近くに位置するように構成する。第一カメラ26と第二カメラ27のいずれにも映らない死角領域R3は、円錐形状となり、カメラ部12から離れるほど先端先細りで狭くなる。そこで、本体ケース13がレンズ部から離れるほど、第一カメラ26と第二カメラ27に本体ケース13が映り込む領域が広くなるため、接近させると良い。
【0100】
本体ケース13の形状を傾斜面13b″等を設け、できるだけカメラの死角に入るようにした。カメラ部12を球体にすることも、映り込まないので良い。カメラは全周210度の画角で撮影しており、レンズ部の近くにルームミラーがあるので、ルームミラーはカメラの死角に入り映らないようにするとよい。カメラ部12内には、GPSアンテナ部等の部品が存在しない。
【0101】
[表示装置:PCビューア]
本発明に係るドライブレコーダー用表示装置の一実施形態は、パーソナルコンピュータにより構成する。図示省略するが、ドライブレコーダー用表示装置のハードウエア構成は、演算処理部,記憶部,入力部,表示部並びにカードリーダ等を備える。記憶部は、演算処理部が実行するアプリケーションプログラムを格納する不揮発性メモリや、演算処理部が演算実行中に使用するワークメモリや、走行中等に記録した映像・音その他の情報を記録する内部或いは外部の記憶装置(ハードディスク)がある。入力部は、マウス等のポインティングデバイスやキーボードである。カードリーダは、装着したメモリカード23に対してデータの読み書きをする装置である。
【0102】
記憶部にインストールされているアプリケーションプログラム(本実施形態では、「PCビューア」と称する)を起動することで、パーソナルコンピュータがドライブレコーダー用表示装置として動作する。上述したように、ドライブレコーダー10は、走行中や駐車中等において撮影した映像や音声並びに日時情報・速度情報等の記録映像に関連する各種の情報をメモリカード23に記録する。ユーザは、メモリカード23に記録した映像等を再生する場合、メモリカードスロット22からメモリカード23を取り出し、パーソナルコンピュータのカードリーダにセットする。起動したPCビューアを実行し、走行中等において記録した映像等を表示部に表示する。PCビューアの具体的な機能は、以下の通りである。
【0103】
図12は、PCビューアを起動し、記録した映像を選択し、再生実行した状態のパーソナルコンピュータの表示部に表示した表示レイアウトの一例を示している。表示画面60の上辺側近傍には、メニューバーを有し、メニューバーの下側の大きな領域に、選択したデータの映像を表示する表示エリア62を配置する。表示エリア62の下側には、左から順に地図表示部63、関連情報表示部64、プレイリスト一覧表示部70を備える。
【0104】
メニューバーのボタン群61は、左から順に、フォルダ指定ボタン61a、静止画変換ボタン61b、印刷ボタン61c、動画変換ボタン61d、バックアップボタン61e、ログデータ変換ボタン61f、記録設定変更ボタン61gを備える。フォルダ指定ボタン
61aは、再生等するデータを指定するためのもので、フォルダ指定ボタン61aがクリ
ックされると、PCビューアは、パーソナルコンピュータにセットしたメモリカードに記録されたフォルダの一覧リストを表示する。ユーザは、表示されたフォルダの一覧リストから、再生等するデータが記録されたフォルダをクリックして選択する。
【0105】
本形態のPCビューアは、例えば表示エリア62に表示されている映像を所定のファイル形式、例えばJPEG形式の静止画に変換して保存する機能を備える。静止画変換ボタン61bがクリックされた場合、PCビューアは、表示エリア62に表示されている画面の映像を静止画に変換し、パーソナルコンピュータの所定の記憶エリアに記録する。設定に従い、PCビューアは、表示中の画像或いは表示エリア62の映像から範囲指定した時間分をコマ数指定した数で分割した静止画を作成し、記録する。
【0106】
本形態のPCビューアは、例えば表示エリア62に表示されている映像を印刷する機能を有する。印刷ボタン61cがクリックされた場合、PCビューアは、表示エリア62に表示されている画面の映像を、設定された条件に従い印刷する。設定された条件は、例えば上記の静止画変換と同様に、表示された映像を静止画像として印刷や、表示エリア62の映像から範囲指定した時間分をコマ数指定した数で分割した静止画を印刷するなどがある。
【0107】
本形態のPCビューアは、例えば記録されたデータを所定のファイル形式、例えばAVI形式の動画に変換して保存する機能を備える。ユーザ操作により動画変換したい録画データが選択して読み込まれた状態で、動画変換ボタン61dがクリックされた場合、PCビューアは、条件設定画面を表示し、その条件設定画面で設定された内容で、読み込んだ動画データを所定の形式の動画データに変換する。条件設定画面は、ファイル名や保存する場所、範囲、字幕、圧縮形式の項目を指定するための入力エリアと、[スタート]ボタンを備える。ユーザは、入力エリアを用いて条件を設定して[スタート]ボタンをクリックする。AVI形式の動画に変換することで、動画変換して保存したファイルを、各種の動画再生ソフトを利用して閲覧したり、ホームページその他のサイト等にアップ等して公開したりすることができる。
【0108】
バックアップボタン61eがクリックされた場合、PCビューアは、メモリカード23に記録された映像をパーソナルコンピュータにバックアップする。バックアップしてもメモリカードに記録した映像は削除しない。削除する場合には、別途の削除処理を実行する。ログデータ変換ボタン61fがクリックされた場合、PCビューアは、蓄積された履歴データをKMLファイルに変換し、ログデータとして記録する。記録設定変更ボタン61gがクリックされた場合、PCビューアは、記録設定画面(図示省略)を表示する。ユーザは、記録設定画面を用いて各種の記録条件等を入力し、内容確定することで、メモリカードに記録条件を格納する。この格納された記録条件は、当該メモリカードをドライブレコーダー10にセットすると、ドライブレコーダー10は記録条件に更新し、以後、更新された条件したがって動作する。
【0109】
地図表示部63は、所定エリアの地
図63aと、当該地
図63a上における自車位置を表示するものである。PCビューアは、読み込まれた映像に関連づけられた車両の位置情報に基づき、その車両が存在している周囲の地図データを取得し、設定された縮尺の地
図63aを地図表示部63に表示し、当該地
図63a上における車両の現在位置の箇所に自車位置アイコン63bを描画する(
図12(a),(c)等参照)。地図データは、例えばインターネットを介して地図が記録されたサーバから取得すると良い。インターネットから取得するようにした場合、パーソナルコンピュータがインターネットに接続されていない状態では、地図表示部63に地図を表示しない。また、設定で「地図を表示しない」を選択しておくこと、地図表示部63に地図を表示しない動作モードになる。
【0110】
さらにまた、GPS非測位で現在位置が不明な場合、例えば
図12(b)に示すように地図を表示せず、地図に変わる情報を表示するとよい。例えば、GPS非測位の時に地
図63aを表示しつつ自車位置アイコン63bを表示しない態様もとれるが、自車位置アイコン63bが表示されないと、地図上における自車位置アイコンを探してしまったり、故障と誤解してしまったりするおそれがあるが、本形態のように地
図63aを表示せずに別の画像等を表示すると、GPS非測位であることが容易に理解できるので良い。
【0111】
関連情報表示部64は、上端にタイムライン表示部74を配置し、その下側の左上に音量切替ボタン66を配置し、右上に日時情報表示部73を配置し、その下に再生ボタン表示部65を配置し、その再生ボタン表示部65の左下に上から順に走行速度表示部67、加速度表示部68、緯度経度表示部69を配置し、再生ボタン表示部65の右下に加速度センサーグラフ表示部71を配置するレイアウトを採る。タイムライン表示部74は、表示エリア62に表示した映像が、1本の録画データ中のどれくらいの再生位置であるかを示すもので、録画データの再生時間の全体のタイムラインを赤いバーで表し、再生が進むにつれてつまみ74aの位置を右側に移動する制御を行う。つまみ74aの位置がスライドされて移動した場合、その位置から再生する。常時録画中に、イベントでの記録があった場所を、黄色の縦線74bで表示する(
図12(c)等参照)。
【0112】
音量切替ボタン66は、ミュート、音量調整を行うためのボタンであり、ミュートボタン66aと、つまみ66bを有する(
図16(c)参照)。ミュートボタン66aがクリックされると、PCビューアは、再生する音声を消音し、係る消音したミュート状態の時にミュートボタン66aがクリックされるとミュートを解除する。ポインティングを操作してつまみ66bをスライドさせると、PCビューアはつまみ66bの位置に応じて音量を調整する。
【0113】
日時情報表示部73は、再生中の映像を記録した日付と時間を表示するエリアである。時刻は、ドライブレコーダー10の内部時計に基づき記録された本体時刻と、GPS測位により取得したGPS時刻がある。本形態では、再生中の映像の録画条件により換える。PCビューアは、再生中の映像の録画条件が常時録画に基づく映像の場合、日時情報表示部73には本体時刻を表示する。PCビューアは、再生中の映像の録画条件がイベント記録に基づく映像の場合、イベント発生時にGPS測位の場合にはGPS時刻を、GPS非測位の場合には本体時刻を日時情報表示部73に表示する。また録画データを再生中に本体時刻で表示している場合(
図12(b)参照)において、GPS測位をしたタイミングでGPS時刻に表示を更新する(
図12(c)参照)する。
【0114】
再生ボタン表示部65は、再生や早送りなどの操作を行うためのボタン群である。左から順に「早戻し」「前コマ」「逆再生」「停止」「再生」「次コマ」「早送り」の各ボタン部を備える。各ボタンがクリックされると、PCビューアは、そのボタンに応じた処理を実行する。「早戻し」「逆再生」「再生」「早送り」の各ボタン部が複数回クリックされた場合、PCビューアは再生スピードを変更する。例えば「再生」「逆再生」が1回クリックすると1倍速の通常速度で再生紙、2回クリックすると例えば0.5倍速等のスロー速度で「再生」または「逆再生」する。また「早戻し」「早送り」が1回クリックされ2倍速、2回クリックされると4倍速、3回クリックされると8倍速、4回クリックされると16倍速で「早送り」または「早戻し」する。「再生/逆再生」では速度が遅くなる方向の調整を行い、「早送り/早戻し」では速度が速くなる方向の調整を行うことで、高速再生から急にスロー再生に切り替え、或いはその逆の切替が簡単に行え、さらに「早送り」等の元々高速再生するボタンに速度が速くなる方向の調整機能を兼用することで、ユーザはその割り当てを直感的に理解できるので良い。
【0115】
図16(a)に拡大して示すように、走行速度表示部67は、GPSで記録した走行速
度を表示するエリアである。加速度表示部68は、記録されている衝撃・加速度の値を、前後(X方向:例えば赤色)、左右(Y方向:例えば黄緑色)、上下(Z方向:例えば青色)で表示するエリアである。緯度経度表示部69はGPSで記録した緯度(N)と経度(E)を表示するエリアである。それら走行速度、加速度、経度緯度は、ともに表示エリア62に表示している映像の現在位置における情報である。加速度センサーグラフ表示部71は、加速度センサーグラフを時系列で表示するエリアである。記録したデータを縦軸が加速度で横軸が時間でグラフ表示する。本形態では、X軸加速度グラフ71a、Y軸加速度グラフ71b、Z軸加速度グラフ71cをそれぞれ表示し、グラフの表示色は加速度表示部68における表示色と同系色にしている。これにより、両者の対応付けがわかりやすくなるのでよい。エリア内がクリックされると、PCビューアは、クリックした位置にカーソル71dを移動し、そのカーソル71dの位置を現在位置とした各表示部に走行速度・加速度・緯度経度を表示する。再生ボタンがクリックされると、PCビューアは、カーソル71dの位置から映像を再生する。PCビューアは、再生する映像に関連づけて記憶された各種の情報を取得し、対応する表示部に表示する。
【0116】
グラフの下側には、時刻表示部71eを配置する。時刻表示部71eは、左から順に、再生する録画データの録画開示時刻、カーソル位置の現在時刻、録画終了時刻である。基準値を超える加速度の衝撃があった場合には、その証言があった時刻をグラフ中にイベント時刻71fとして表示する。グラフの右側には、+ボタン71gと、戻りボタン71hと、-ボタン71iを用意する。+ボタン71gがクリックされた場合、PCビューアは加速度センサースケールを拡大し、-ボタン71i がクリックされた場合、PCビューアは加速度センサースケールを縮小する。戻りボタン71hがクリックされた場合、PCビューアは標準のスケールに戻す。
【0117】
プレイリスト一覧表示部70は、選択されているデータ名を表示する。
図12では、「2016/09/06 11:47:28[48分]」というデータ名を表示している。データ名は、常時録画の場合、録画開始した日時と録画時間の組み合わせである。またイベント記録の場合、データ名はイベント発生日時とイベント発生の種類である。イベント発生の種類は、加速度センサに基づく「衝撃」、「急発進/急停止」や、スイッチ部28の操作に基づく「ワンタッチ」などがある。
【0118】
表示エリア62は、録画した映像を表示するエリアである。上述したように本形態のドライブレコーダー10は、水平360度で垂直360度の720度の全方位の映像を記録する。よって、PCビューアは、例えば表示エリア62に全方位の一部の画像を表示したり、全方位の映像を一枚の画像として表示したりする機能を備える。一部の画像を表示する場合、その表示する範囲、方位等を換えることで、前後・左右・上下の任意の方向の所望の範囲の映像を表示エリア62に表示する。係る表示する範囲の変更等は、以下のように構成する。
【0119】
例えば、
図13(a)に示すように、前方の所定の範囲を表示している状態において、ユーザは、例えばマウス等ポインティングデバイス等を用い、表示エリア62の任意の位置で左ボタンのドラッグ操作を行う。PCビューアは、係る左ボタンのドラッグ操作が行われたことを検知すると、ドラッグの方向に表示する映像を移動するようにして表示エリア62に表示する。例えば
図13(a)中矢印75で示すように、表示エリア62において右方向に所定距離だけドラッグすると、PCビューアは、表示している映像を所定距離だけ右に移動し、
図13(a)において表示エリア62の左外側にあった映像が表示エリア62に描画され、
図13(a)において表示エリア62内の右側に表示していた映像は表示エリア外になり表示されない状態になる(
図13(b))。これにより、視線が左方向に回転していくように表示エリア62に表示する映像が変化し、図の例では、左前方の
景色が表示された状態になる。ドラッグする距離を長くしたり、同一方向に繰り返しドラ
ッグしたりすることで、表示する映像をドライブレコーダー10のカメラ部12の位置を中心に水平方向で左回りに回転するような映像を表示し、真横の左側からさらに後側(車室内)にいたり、右側の景色を経て前方を向いた
図13(a)に示す元の表示方向に戻る。ドラッグの方向を反対の左方向に移動することで、右回りで回転しながら見える景色等を表示エリア62に表示する。このように右方向/左方向に表示する映像をずらして移動するのは、例えば、水平方向の360度の映像をパノラマ写真のように横に引き延ばした状態で、表示エリア62を左右に移動し、表示エリア62内の映像を表示すようなイメージとなる(
図20参照)。
【0120】
ドラッグの方向は、このように水平方向に限ることはなく、上下や斜めというように表示エリア62内の任意の方向に移動することができ、PCビューアは、その移動方向に沿って表示する映像を換える。ユーザは、マウスの左ボタンをドラッグし、表示させたい部分までポインタを移動することで、所望の映像を表示させ、見ることができる。
【0121】
表示エリア62内にポインタをおいた状態でマウスの右クリックが行われた場合、PCビューアは、
図13(b)に示す画像表示エリアメニューを表示する。この画面表示エリアメニューは、例えば、表示エリア62上に重ねて描画する。この画像表示エリアメニューは、上側に現在の画像の向きを表示する「画像状態」の項目を配置し、その下に、操作項目として「標準に戻す」「反転」「拡大・縮小」の3つの項目を配置するレイアウトをとる。図では、「画像状態」は
図13(a)の状態である「正転」を表示している。
【0122】
「標準に戻す」がクリックされて選択された場合、PCビューアは、反転、拡大・縮小した画像を初期表示に戻し、その戻した映像を表示エリア62に表示する。「反転」は下位のメニューリストとして「左右反転」「上下反転」「前後反転」の3つの項目を有する。「左右反転」がクリックされると、PCビューアは、表示している画像を左右に反転する(
図13(d)参照)。「上下反転」がクリックされると、PCビューアは、表示している画像を上下に反転する(
図13(e)参照)。「前後反転」がクリックされると、PCビューアは、表示している画像から前後を反転、180度回転した画像を表示する。例えば
図13(a)に示すように前方を撮影した映像が表示された状態において、「前後反転」がクリックされると、
図13(f)に示すようにドライブレコーダーの後方の車室内の画像を表示する。「拡大・縮小」は下位のメニューリストとして「拡大」「縮小」の2つの項目を有する。「拡大」 がクリックされると、PCビューアは、表示画像の中央を基準に画像を200%拡大して表示する(
図14(a)参照)。「縮小」がクリックされると、PCビューアは、表示画面の中央を基準に画像を50%縮小して表示する(
図14(a)参照)。このように見る方向を適宜変えることで、運転中の状況を全方位から確認できる。
【0123】
録画データを再生する場合、プレイリスト一覧表示部70から所望の動画リストを選択し、実行する。本形態では、イベント記録、常時記録、履歴記録にグループ分けしており、そのグループ分けした中から再生する一つを選択する。そのため、ユーザは、イベント記録タブ70a、常時録画タブ70b、履歴記録タブ70cのいずれかをクリックする。例えば、
図15は、イベント記録タブ70aがクリックされた状態を示している。
【0124】
PCビューアは、イベント記録タブ70aがクリックされた場合、メモリカードに記録されたイベント記録のデータの一覧リストを作成し、表示する。ユーザは、見たい映像のデータ名に関連するチェックボックス70dをクリックして選択する。PCビューアは、係るチェックボックス70dがクリックされると、当該チェックボックス70dにチェックマーク「レ」を表示する。この選択は、複数データをまとめて行っても良い。読み込みボタン70eがクリックされた場合、PCビューアは、選択された録画データを読み込み
、プレイリストにデータ名を表示するとともに、映像を表示エリア62に表示する。複数
のデータを選択した場合は、プレイリストに複数のデータ名をリストアップし、最上段の映像を表示する。
【0125】
この録画再生とともに表示エリア62に表示する映像は、予め定めたメイン画像とする。メイン画像は、例えば、車両前方等の所望の方向を向いた画像であり、初期表示として設定された標準サイズの画像である(
図17(a)等参照)。標準サイズは、例えば、水平120度、垂直70度の範囲とすると良い。当該範囲であれば通常のドライブレコーダーとして採用されている画角の範囲に相当するため、当該通常のドライブレコーダーのユーザにとっても見慣れた映像であり、通常のドライブレコーダーと同等の必要な情報を得られるのでよい。このメイン画像は、フロントガラス全てが映る状態になるよい。
【0126】
本実施形態では、ドライブレコーダー10を車両に取り付けた場合、カメラ部12を所望の向きに調整した正規の設置状態では、第一カメラ26が前方に正対するようにしているので、メイン画像は例えば第一カメラ26で撮影した画像の中央が、車両の前方を正対すように撮影していると想定して所定の領域を標準サイズで切り出し、表示エリア62に表示する。
【0127】
また加速度センサによる設置角度補正時に得られる設置角度より、PCビューアで表示する時の正面位置を算出し、表示画像の標準位置を算出した正面位置と定める機能を備えると良い。これは加速度センサに対する垂直方向とカメラの正面を平行にするとする。 その上で設置時の重力方向と加速度センサの垂直方向の角度より、重力方向が真下になるような角度を求め、加速度センサの垂直方向及びカメラの正面がこの重力方向が真下になる方向に対し直交する方向を表示画像の中心とするよう決定する。これにより例えばユーザがフロントガラスではなく手違いなどによって真横につけた場合などにおいても重力方向より正面を検知して標準位置として表示することができるのでよい。
【0128】
具体的な図示は、省略するが、常時録画タブ70bがクリックされた場合、PCビューアは、メモリカードに記録された常時録画のデータの一覧リストを作成し、表示する。PCビューアは、ユーザが選択した録画データを取り込み、そのデータ名をプレイリスト一覧表示部70のプレイリストに表示するとともに、表示エリア62に映像を表示する。トリガリスト表示ボタン70fがクリックされた場合、PCビューアは、プレイリスト一覧表示部70のプレイリストに、イベントのトリガリスト70hを表示する(
図16(b)参照)。このトリガリスト70h中の項目がクリックされると、PCビューアは、記録したイベントまでジャンプし、映像を再生する。このようにすることで、イベントが発生した部分の映像を効率よく再生し、内容を確認することができる。
【0129】
また上述した再生ボタン表示部65に基づく処理や、音量切替ボタン66に基づく処理は、メニューバーの再生ボタン72aに基づいても同様の処理を実行する。例えば
図16(d)に示すように、メニューバーの再生ボタン72aがクリックされた場合、PCビューアは、図示するようなメニューリスト72bをプルダウンリスト表示する。メニューリスト72bの所望の項目がクリックされると、PCビューアは該当する項目の再生動作を実行する。また、具体的な図示を省略するが、メニューバーの「ファイル」「表示」「ツール」の各項目のボタンのクリックに基づき、上述した各処理を実行する項目のプルダウンメニューを表示し、それに基づいて同様の処理を実行する機能を備える。
【0130】
[ドライバー・同乗者の様子と車外の景色を一画面で表示し、外の景色が流れるように表示する機能]
上述したように再生開始時は、予め定めた基準画像を表示し、その後は、ユーザの操作等に従い見る方向を変えたり、拡大/縮小して画角を変えたりすることで、全方位の任意
の映像を見ることができる。例えば、縮小処理して画角を広くし、基準画像に対して前後
反転したり、見る方向を水平方向に180度変更したりするなどして、第二カメラ27で撮影した後向きの映像を表示すると良い。このような表示態様は、例えば
図17(b)に示すようになり、表示エリア62の中央部分81にドライバーや車室内が表示され、周辺部分82に、車外の景色が表示された映像が再生される。さらに縮小すると、例えば
図18に示すように全天球の映像が1つの画面として表示された状態となる。なお、
図17(b)と
図18を比較すると明らかなように、撮影した被写体は異なり、縮尺の相違に伴い表示態様のイメージを理解するための図である。
【0131】
この表示態様によれば、外の風景が中央から左右後ろに向けて流れるように表示され、通常では見られない面白い映像となるので良い。基準画像の正面を見るだけでは、元々のドライブレコーダーの機能ではあるものの、前方の景色・前方車両が見え続けて、興味がわきにくく面白みに欠けるが上記の表示態様にすると普通では見ることのできない景色を見られるので良い。例えば、最近は、テレビの旅番組等で、ダッシュボード等においたカメラでドライバーや同乗者等の車内の状況を撮影した映像を流すが、撮影され表示されるのはドライバー・同乗者等で外の風景が写らず、仮に写ったとしてもドライバー・同乗者の後ろの窓から少し見えるに過ぎない。本形態によれば、中央部分81にドライバーはもちろん助手席・後部座席の同乗者が表示されるとともに、周縁に左右の外の景色が流れるように写るので面白みがある。そして車内で芸能人等が楽しく騒いでいる絵と、外の綺麗な景色が同時にお茶の間に提供することができるのでよい。
【0132】
またこの表示態様では、周辺部分82に表示される映像は、車両の左右の景色だけではなく、第一カメラ26と第二カメラ27で撮影した車両の正面から左右両側の景色と広い範囲のものが見える。このように、前の部分と後の部分が一つの画面内に出るように表示することを特徴としている。自分の真後ろは、第二カメラ27で撮影した映像が自分の後側に映り、第一カメラ26と第二カメラ27で撮影した外の景色が横側で横滑りして流れ、後に回り込むように写る。これは、例えばあたかも車両の外に仮想のカメラがあるような景色、車両の外側に仮想の視点があり、車両が透明になったような感じで遠まきに見た感じで見えているとも言える。このように通常では見ることができない景色が見られる。
【0133】
[ビューアの合成機能]
上述したように、本形態では第一カメラ26と第二カメラ27でそれぞれ撮影した2つの映像をつなぎ合わせて全天球の映像を作成する。両カメラの画角は、正規の位置に取り付け固定した状態で水平210度とし、各カメラで撮影する周辺の領域は、同じ景色等を撮影する重複領域となる。この重複領域を重ね合わせる際に、グラデーションさせて合成する。すなわち、例えば、
図8(b),(c)に示す第二領域R2のように、重複するつなぎ部分では、表示を周縁に行くほど薄くする。例えば、第二領域R2をグラデーションの処理対象の領域とすると、例えば、周縁の0%で第一領域R1との境界部分が100%とし、中間部分の濃さは徐々に変える。周縁に行くほど解像度も低くなるため、写りにくくして表示に与える影響を少なくした。また、上述したように同じ人物等の物体が各カメラの映像で別々の物体として表示されるおそれがあるが、グラデーションをかけることで、別々の物体として表示されていてもそのことが目立ちにくくした。
【0134】
[マスク機能等]
本形態の全天球を撮影・記録するドライブレコーダー10は、
図17(b),
図18(a)、
図19等に示すようにドライバーや同乗者等の姿態も撮影される。例えば、景色や車室内が撮影・記録されるのは良いが、自分は写りたくないという要求がある。本形態のPCビューアは、マスク機能を備え、マスク処理したマスク領域62bは、通常の表示領域62aに比べ見えづらい表示態様で出力する機能を備える。見えづらくするマスク領域62bの設定は、例えば、固定としても良いし、ユーザ指定に基づき設定しても良い。固
定の場合、例えば、運転席付近や助手席付近など車室内におけるおおよその位置が決まっ
ているエリアに対応する映像中の領域をマスク領域62bに設定すると良い。また、ユーザ指定に基づいて任意のマスク領域62bを設定する機能は、例えば、表示エリア62にマスク対象の人が写っている状態で静止し、領域を特定する位置をマウス等で指定する。マウスの所定ボタンがクリックされたら、PCビューアは、その位置を記憶し、当該クリックされた位置を頂点とする図形の内部をマスク領域62bに設定する。PCビューアは、映像を再生するに際し、第二カメラ27で撮影した映像における上記の記憶したクリックされた位置に対応する領域をマスク領域に設定し、該当する領域をマスク処理した状態で再生表示する。ユーザ指定によるマスク領域62bの設定機能を備える方が、任意の領域に対してマスク処理することができるのでよい。
【0135】
マスク領域62b内の表示は、例えばモザイク処理したり、解像度を落としたり、所定の色を塗る等各種の処理がある。色を塗る場合には、透明度を適宜調整し、完全にベタの色で塗りつぶすのではなく、うっすらとはわかるようにすると良い。
【0136】
マスク領域62bを自動設定する機能を備えると、より好ましい。自動設定機能は、例えば以下のようにする。例えば、ユーザなどマスク処理したい人について、事前に顔の画像等を登録しておき、画像認識等で車室内のユーザ等の登録した人を認識し、その人の顔を含む所定の範囲部分をマスク領域に設定しても良いが、例えば、画像内での移動速度・変位速度に基づき設定するとより好ましい。例えば、走行中では、車両が移動することから車外の人や物体の車両に対する相対的な移動速度は速いのに対し、車室内にいる人の移動速度は遅い。また、車室内のシートその他の設置物は移動しない。この移動速度の差から、一定の速度範囲内のものに対してマスク領域を設定すると良い。このようにすると、事前登録も不要で、画像認識することなく簡単な処理でマスクでき、登録してない人を乗せた場合も同乗者に対してマスク処理することができ、汎用性があるのでよい。
【0137】
[特定画像表示機能]
上述したように、PCビューアは、ユーザ操作に従い再生中の映像を任意の位置で一時停止したり、任意の方向を見るようにしたり、上下反転したり、拡大・縮小したりして、全方位の任意の方向を、所望の画角で表示する。再生しながら表示する方向・画角を適宜変えると、興味がわき・面白い映像が再生されるものの、途中で現在表示中の映像が、どこを向いたものであるかがわからなくなるおそれがある。そこで、ワンタッチ操作で特定の方向を表示する機能を備えると良い。例えば、
図13(b)に示す画面表示エリアメニューにおける「標準に戻す」項目がクリックされると、表示エリア62の表示を初期表示に戻すようにしたが、同様に、例えば、メニューバーや、その他の任意の場所に特定の場所に設けたボタン・項目をクリックすることで、例えば、前/後/左/右など特定の方向のものをワンタッチで表示する。係る機能を備えると、現在の表示がどの方向を向いていても、ワンタッチで所望の向きを表示できるので良い。また、特定の方向は、上述したように、ドライブレコーダーを中心とした前後左右といった方向ではなく、例えば、後方側を表示する際に、真後ろではなく、斜め後ろとすると良い。斜め後ろは、運転席側を向くようにすると良い。このようにすると、ドライバーを中心に車室内の状況が写るので良い。上述したマスク機能とは別に、自分を見たいユーザにとって、自己中心で表示されるので好ましい。
【0138】
また、上述したようにワンタッチ操作で予め定めた所定の方向を表示する機能にかぎることはなく、係る機能に加え、或いは係る機能に変えて再生中に見ている範囲をブックマーク保存のような形で登録し、その後の再生中にワンタッチ操作その他の簡単な操作により保存した同じ方向・画角の画像を表示する機能を備えると良い。
【0139】
[特定の方位等を、特定位置に来るように表示する機能]
本形態のように全天球を撮影するドライブレコーダーは、画角を広げることで
図18等
に示すように球体表示することが特徴の一つである。PCビューアは、このように球体表示した際に、円の中央が地面で、円の外周が空になるように表示した場合、例えば地磁気センサを使い方位情報も関連づけて記憶し、再生時に北が上になるように表示するようにするとよい。
【0140】
上述した実施形態等では、標準の表示は、車両のボーンネットが特定位置に来るように表示し、運転中の前方の景色が中心に来るようにしている。この表示態様に加え、上記のように特定の方位(例えば北)が特定位置(例えば上)にくるように表示する機能を備えると良い。このように例えば北を上に表示するようにした場合、地図とのマッチングが良くなるので好ましい。例えば、ノースヘッドで地図を表示中に、地図上の対応位置のドライブレコーダーで撮影したが映像を並べて表示したときに、当該映像も北を上に表示すると、映像で写っている上側部分が北であるので、映像で写っている建物等と、地図上の建物等のランドマークの対応付けが容易にできるのでよい。このように、特に特定の方位を「北」とした場合、地図と一緒に見るのに都合が良い。また、例えば事故調書を作成する際に、「南の方向から進行してきた車両と衝突」など状況報告が簡単に記載できるので良い。また、複数のドライブレコーダーで撮影した映像同士の相関も採りやすいので良い。円形表示に限らず、パノラマ写真のように帯状に展開した360度にした場合も、北側が所定の位置に来るようにするとよい。
【0141】
また、特定の方向を向かせるのは、方位に限ることはなく、例えば、目的地・特定のランドマークなどしても良いが、方位、特に「北」にすると、地図とのマッチングがとれるので好ましい。
【0142】
さらに、「北」など特定の方位を上にする場合、地図とのマッチングの良さに限らず、例えば、動画再生時に画像の流れから自車の走行方向角が容易に推測することができるのでよい。例えば、「北」を上に表示し、
図18等の全方位を一画面に表示する態様にした場合、北に進行している場合には、円の両サイドの周辺領域R11に表示される外の景色が上から下に向かって流れるように再生される。一方、南に進行している場合には、上記とは逆に下から上に向かって流れ、東西方向では、円の上側と下側の部分が横に流れるようになる。このように、画像の流れからどの方向に進んでいるかが容易に理解できるので良い。また、上に表示する方位は、「北」に限ることはなく、別の特定の方位を上に表示することで、画像の流れから車両の進行方向がわかる。
【0143】
例えば、全天球を撮影するスポーツカメラ・アクションカメラ等と称されるものは、中央に子供などの被写体が来るように表示すると良いが、ドライブレコーダーの場合、事故発生時等の記録を第一の目的とした場合、前方車両等への追突・横或いは後方からの車両の追突など、どこから危険が迫ってくるかが予測不能なため被写体も一意でなくなる。そこで、方位に着目し、特定の方位(例えば「北」)を特定の位置(例えば「上」)のように決めることで、上述したように、「映っているもの方角が一目でわかる」「動画再生時に画像の流れから自車の走行方向が容易に推測できる」「地図と並した場合のマッチングが良くなる」「複数のドライブレコーダーで撮影した映像同士や、同じ場所について過去に撮影した映像との相関が撮りやすくなる」などの各種の効果を奏するので良い。
【0144】
[球体表示の変形例]
例えば
図18等に示すように球体表示にすると、表示エリア62内に、映像が表示される円の表示領域62aの外側に映像のない領域が生じる。そこで、PCビューアは、係る映像のない領域に付加情報表示部78を設け、その付加情報表示部78に車両の走行方向を示す方位・走行中の道路名等の道路に関する情報・歩行者情報等の各種情報を表示するとよい(
図18(b)参照)。
図18(b)では、左下に付加情報表示部78を設けたが
、配置位置は任意であり、複数配置しても良い。複数配置すると、より多くの情報を表示
できるので良い。
【0145】
歩行者情報は、例えば、PCビューアは、表示する画像に対して画像認識処理を実行し、人を抽出する。人を抽出した場合、PCビューアは、「人がいた」などの人の存在を文字情報で表示する。また、あわせて表示エリア62の表示領域62a内で表示されている人の部分に矢印等のマークを描画し、存在位置をわかりやすくすると良い。このようにすると、例えば車両に人が接近していた、或いは離れていたなどを容易に確認することができるので良い。また、例えば人を認識したら全てを表示するのではなく、画像認識その他の個人認証を使用し、特定の人を検知した場合に、その検知した人を特定する情報、例えば氏名等を表示すると良い。
【0146】
この場合に、車両の外の人と車両の中の人を分けて表示すると良い。例えば、車両の外であれば、接触の恐れの有無等を判断するため、人の存在を検知したら表示し、車両の中であれば知人であるので個人を特定し、特定した情報を報知すると良い。
【0147】
[複数画面表示機能]
上述した各実施形態等では、表示エリア62には、全天球画像の全体或いはそこから一部を切り出した画像のように一つの視点に基づく画像を一つ表示するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、複数の異なる画像を同時に表示するようにすると良い。このようにすると、複数の異なる方向の画像を見ることができ、死角がなくなり、趣のある映像を見ることができるので良い。
【0148】
複数の異なる方向の画像は、例えば、
図19に示すように、第一画像表示部76に前方の風景を表示し、第二画像表示部77に車室内の映像を表示するとよい。このようにすると、例えば、前方の風景を見たときのドライバーや同乗者の様子がリンクして確認できるので良い。例えば、綺麗な景色を見た場合に、ドライバーや同乗者が感激したたり、喜んだりしている映像があると景色との相関がわかり、ドライブ旅行の行程を思い出すのに良い。また、第一画像表示部76と第二画像表示部77の大きさは、図示のように同じ大きさとしても良いが、大小差を付け、メイン画像表示部とサブ画像表示部にするとより好ましい。メインとサブのように大きさを変えることで、メイン画像表示部に表示する映像がよく見えるようになるので良い。このようにメインとサブのように分ける場合、メイン画像は、前方を写した正面画像が良く、サブ画像はドライバー等が写っている車室内の映像とすると良い。この割り当ては、ドライブレコーダーの本来の機能を発揮するのに好ましい。また、サブ画像は、例えば、車両の左側や右側のようにしても良い。このようにすると、例えば横から衝突されたような事故も確認できるので良い。
【0149】
[自動編集再生機能]
全天周映像は全体を表示した場合、
図18等に示すように円形の画像となる。PCビューアは、映像の一部を拡大して平面に投影して表示する機能がある。上述した通り、PCビューアは、映像を再生中にマウスを用いてドラッグやボタン操作等のユーザ操作に基づき、全天周映像の拡大・縮小及び表示範囲の移動等を行う。このユーザ操作が煩雑で面倒であるという課題がある。そこで、ユーザ操作無しに、全体画像のうちの適切な部分を切り出して表示する処理を自動的に行う機能を備えると良い。全天周映像中で画面に表示するアングルや画角を自動的に変えて再生をする機能を備えると良い。
【0150】
例えば車両情報と連動する形で自動的に映像中の見える範囲(ビューポート)を変える機能を備えると良い。範囲を変えるのは、例えば、ズームイン、ズームアウト、パンなどがある。
【0151】
例えば、走行中は前方に当たる部分を拡大して表示し、例えば富士山等の見るべきビュ
ーポイントが周囲に存在する場合、そのポイントの方向に自動的にビューポートをパンして再生するとよい。係る機能は、例えば、係るビューポイントの位置情報を記憶し、再生している車両の位置情報からビューポイントの方向を求め、切り出す位置を自動的に移動し当該方向へパンして再生する。
【0152】
また、例えば高速道路を走行中等では、第一カメラ26で撮影した映像は、前方車両が表示された状態が継続し、特に、高速道路の両側に防音壁等が設置されている区間やトンネル内などにおいては、景色も変わらない。そのような同じ方向の映像を見続けるのは、退屈となり、基本的に見たいものではなく、せっかく常時録画しても再生しようとする気が起きないという課題がある。そこで、そのような無駄なところはカットし、スキップして面白いことがありそうなところを再生する機能を備えると良い。例えば、地図情報から撮影した位置が高速道路の場合、スキップし、高速道路のインターチェンジ等を降りてから後を再生するようにするとよい。また、高速道路に限ることはなく、例えば自宅周辺等の登録したエリア内もスキップするようにすると良い。
【0153】
また、走行中から一時停止した場合、当該停止しているときは同じ映像を撮影し続けるため、その一時停止している間は、再生する映像は静止画像のように同じ絵が表示し続けるおそれがあり、好ましくない。そこで、高速道路のように一時停止している間は表示せずスキップして再び走行開始した時点から再生するようにしても良いが、例えば走行中から一旦停止状態になったら、天周上を左右に首をふるように自動的に回転させて表示させるようにするとよい。一時停止する場合、ドライバーは周囲の状況を確認したいことがあり、その確認動作を再現する様子となり、また、回転により一時停止したこともわかるので良い。
【0154】
このようにすると、自動的に興味がある景色等が再生されるので、記録した映像を再生しようとする動機付けになるのでよい。また、再生した映像を記録する機能を備えると良い。またこのようにビューポート等を再生した映像を、別の映像ファイルとして記録する機能を備えると良い。このようにすることで、ビューポートの情報を別ファイルに書き出し、インターネット上等にアップして公開等することができるので良い。
【0155】
また、例えば電車内の景色と、ドローン等を用いて電車の上方から俯瞰で撮影した映像や、車両内から外の景色などを切り替えながら放映するテレビ番組がある。上述したように、自分が走った映像から自動的に興味がある景色等を再生することができると、上記のテレビ番組のような映像が作成・再生され、旅に行った後など見る気になるのでよい。
【0156】
また例えば、全天球を撮影するスポーツカメラ・アクションカメラ等と称されるものは、撮影時において撮影者がカメラを手で持って操作するため、一方のレンズを撮りたいものに向けて撮影するので、撮影して記録した映像をそのまま再生しても、見たい映像であり、特にビューポートは固定で編集しなくても比較的問題ない。これに対し、ドライブレコーダーは、車両に取り付け、常時録画されているため、興味のわかない無駄な映像や、見たい方向を向いていない映像が再生されるおそれが高く、上述した問題を生じやすくなる。この問題を解決するのが、本形態である。
【0157】
[表示部付ドライブレコーダー]
ドライブレコーダーに、上述したPCビューアの各機能を備えた表示装置を備えると良い。上述した実施形態とでは、ドライブレコーダーは表示部を備えず、カメラで撮影した映像等はメモリカード23に記録し、パーソナルコンピュータのPCビューアで確認するようにしたが、本形態のように、ドライブレコーダーに表示装置を備えることで、リアルタイムで映像が見えるので良い。PCビューアが備える全天球画像の一部を切り出して表
示するエリアを移動させたり拡大/縮小等したりするなどの操作ができると良い。
【0158】
例えば、走行中に車両の横や後の映像を表示するようにすると、ドライバーは、前を向きながら表示装置の方に視線を少しずらすだけで、車両の周囲の状況がわかるので良い。また、例えば、表示装置に第二カメラ27で撮影した車室内の映像を表示すると、ドライバー等は、例えば後部座席にいる乳児・子供等の様子、乗車している人の確認等を、後ろを振り返ることなく行えるので良い。特に、運転席の後ろ側は、運転席のドライバーは直接視認して確認しづらいが、例えばドライブレコーダー10の取付位置が、フロントガラスの中央・上側にすることで、当該運転席の後ろ側の席の様子もはっきり撮影し、表示できるので良い。
【0159】
また、PCビューアのような拡大/縮小する機能を備えない場合等において、例えば第一カメラ26と第二カメラ27のいずれか一方或いは双方で撮影した映像を円形で表示するようにすると、
図18(b)に示すように、円形の外側の領域に、付加情報表示部78を設けて各種の情報を表示するとよい。
【0160】
[車室内の状況の報知機能を備えたドライブレコーダー]
第二カメラ27で撮影した映像から同乗者の状態等を判断し、報知する機能を備えると良い。例えば、後部座席で寝ている乳児・子供等が起きそうだ/ぐっすり寝ている等判断し、起きそうだったり、ぐずりそうだったりした場合には報知するとよい。このようにすると、定期的に後部座席を確認する必要か無く、運転により集中できるので良い。
【0161】
また、第二カメラ27で撮影した映像から画像認識処理等して人を抽出し、乗車人数を計数して報知する機能を備えるとよい。このようにすると、全員載っているかがすぐにわかるので好ましい。特に運転席の後ろは特に見にくいが、見落としすることなく確実かつスムーズにわかるので良い。特に、バスなどの搭乗者人数が多い車両の場合に、人数が迅速に確認できると好ましい。
【0162】
このように、車室内の人に注目してカウントしたり、状態等を認識したりし、結果を表示や音声で報知する機能を備えると良い。車内の人か否かは、例えば、車内に相当するエリアの範囲内で人の認識処理を行ったり、動きの大きさ(例えば、車両が移動している場合、移動が少ないのが車室内等)により判断したりすると簡単に車内外にいる人を区別できるので良い。
【0163】
[2つのカメラのうち一方のみが半天球の領域を撮影するカメラを備えるドライブレコーダー]
上述した実施形態は、第一カメラ26と第二カメラ27が、ともに半天球以上の範囲を撮影するカメラとしたが、本発明はこれに限ることはなく、2つのカメラのうち一方が半天球或いはそれ以上の範囲を撮影する第三カメラであり、他方の半天球よりも狭い範囲を撮影する第四カメラであり、両者の撮影領域は異なる領域を有するように構成すると良い。第三カメラは、例えば、全周180度の半天球カメラとすると良く、第四カメラは従来からある通常のドライブレコーダーに用いられる広角カメラ、例えば、水平120度、垂直70度の広角カメラとすると良い。
【0164】
第三カメラは、例えばドライブレコーダーを車両の天井に取り付け固定した際に、レンズを下向きにし、水平方向で360度垂直方向に180度の領域を撮影するようにし、第四カメラは、ドライブレコーダーを車両に取り付けた際に車両の前方を撮影するようにする。
【0165】
具体的な図示は省略するが第三カメラと第四カメラは、一つの筐体に配置するとよい。
一つの筐体に配置する場合、例えば、直方体形状の箱体の一面に半球状の部分が突出した形状の筐体であり、当該半球状の部分に第三カメラを実装し、直方体形状の部分に第四カメラを実装する。第四カメラのレンズは、半球状の部分の頂点に配置し、第三カメラのレンズは、半球状の部分に隣接する一つの側面に露出するように配置する。そして、ドライブレコーダーを、取付部材を介して車両の天井に取り付けた状態では、半球状の部分が下に位置し、第四カメラのレンズを設けた側面が、車両の前方に正対するようにする。
【0166】
例えば、第三カメラを構成する半天球カメラは、下半分の半天球の領域を撮影するが、車外周辺の遠いところの映像が小さ過ぎるため、例えば事故発生時等において、その状況がわかりにくい。また、信号機は車両の斜め上に存在することから、撮影範囲に入らないことが多いという課題がある。そこで、本形態では、前方カメラを構成する第四カメラを備えることで、車両の前方において第三カメラで撮影しにくい或いは撮影できない範囲と撮影できるようにする。
【0167】
2つのカメラの動作を事情により切り替えるようにするとよい。例えば走行中は、第三カメラと第四カメラを動作させ、車両前方と下側の半天球部分を撮影し、2つのカメラで撮影した映像をメモリカードに同時に録画する。このようにするとこで、例えば事故発生時等において、車両の前方側で衝突した場合には、従来のドライブレコーダーと同様に第四カメラで撮影した映像に基づき綺麗・鮮明な映像が記録でき、第四カメラの死角になる車両の横や後ろ側で衝突した場合には第三カメラで撮影した映像に基づき綺麗・鮮明な映像が記録できる。
【0168】
また、例えば駐車時などではセキュリティの監視モードのため、第三カメラのみを動作させる。全天球のドライブレコーダーでは、駐車時も2つのカメラを動作させたが、本形態では第三カメラのみを動作させることで、電力消費を抑え、より長時間の録画・セキュリティ監視が行えるので良い。駐車時の判定は、例えば、エンジン停止、運転席に人がいない、サイドブレーキが引かれる、速度が0km、現在位置が自宅駐車場等がある。
【0169】
また走行中は、第四カメラのみを動作させるようにしても良いが、第三カメラと第四カメラを併用するのが車両の周囲、特に横や後からの衝突にも記録対応できるので好ましい良い。両カメラの動作の切替は、例えば高速道路その他の目的地への移動中は、事故時対策として第四カメラによる前方撮影をし、目的地付近になると周辺の景色も綺麗なことが多いので、第三カメラも動作させ、景色の撮影・記録を行うようにしてもよい。
【0170】
また、第三カメラは駐車中の監視に使用し、走行中は第四カメラによる前方の撮影というように、いずれか一方のみを動作させるようにしても良い。係る利用形態は、前方に特化した映像と車周辺に特化した映像を目的によって切り替えるものである。
【0171】
どちらか一方をリアルタイム映像としてスマートフォンやサーバに送るようにすると、リアルタイムの監視ができるので良い。送るのは、いずれか一方に固定しても良いが、例えば走行中は第四カメラの映像で、駐車中は第三カメラの映像とすると良い。
【0172】
また、本形態の駐車中におけるセキュリティ監視を行うカメラを1つにして動作時間を長くする思想は、例えば、全天球を撮影するドライブレコーダーにも適用すると良い。この場合、例えば、ドライブレコーダー10のスイッチ部28に変えて、広角カメラを実装して3カメラとし、停車中は当該広角カメラのみを動作するように構成すると良い。
【0173】
[1つのカメラを備えたドライブレコーダー]
上述した各実施形態では、複数のカメラを組み合わせて半天球の領域よりも広い範囲を撮影するようにしたが、本実施形態では、1つのカメラで半天球の領域よりも広い範囲を
撮影するようにした。全周180度の半天球カメラを用い、天井に貼付け固定して下側の
半天球の範囲を撮影するようにした場合、以下に示す課題を生じる。
【0174】
解像度は、撮影して得られる円形の画像のうち、中央部分が最も良く、周縁部分が最も低くなる。従って、例えば駐車中の監視では、1つのカメラで水平方向360度が撮影できるので好ましいが、前方車両等の前方景色は、撮影して得られる円形の映像の周縁部分に位置するため、解像度が悪くなるという課題がある。さらに、例えばカメラを天井等に貼り付ければ、全周180度でも前方車両とドライバー等を撮影できるが、上記の解像度が低いことに加え、車両に対して上方に位置する信号機を撮影することができない。特に、事故時に、走行路線や周囲の信号機の色を特定するためにも信号機を撮影するのは必須であり、撮影できない問題がある。
【0175】
本形態では、例えば全周240度のカメラを用い、当該一つのカメラを下向きに設置し、下側の半天球とそれ以上の斜め上側の領域を撮影するドライブレコーダーとした。これにより、前方車両と、室内のドライバー・同乗者に加え、信号機も一つのカメラで撮影できる。
【0176】
仮に210度とすると、信号機が撮影できないおそれがあるので、下限は220度である。一方、角度が大きくなると信号機は確実に撮影できるものの、角度が大きくなるほど同じ円のなかに多くの領域が撮影されることから、撮影される物体は小さくなる。信号機はある程度の大きさで撮影されないと、信号の色が判別できず、記録する意味が無くなる。そこで判別できるための適度な大きさが確保できる260度が上限となる。より好ましい範囲は、230~240度の範囲であり、本形態では、240度とした。
【0177】
さらに本形態では、マイクロ波センサとLTEの通信機能を備える。マイクロ波センサで車両への接近を検知した場合に本体を起動させる。すなわち、車両のバッテリー消耗を抑えるために、待機時はCPU、カメラ、LTEは、スリープ状態にしておく。そしてマイクロ波センサが反応したらスリープ状態から起動させる。起動には5~10秒の時間がかかるので、マイクロ波センサで起動させておいて加速度センサやドア開センサが反応した時には、LTEを利用して画像を転送等してスマートフォンを携帯するユーザに通知する。
【0178】
マイクロ波センサは動く物すべてに反応するため、本形態では、通報は、加速度センサやドア開センサ検知に基づいて行うようにし、頻繁に通知するのを抑制する。モード設定により、リアルタイム映像をスマートフォンに送り、遠隔地にいるユーザがスマートフォンで確認できる機能を備えると良い。
【0179】
[その他の機能]
カメラ本体とGPSは別ユニットとし、カメラが破壊または盗難された場合でもGPSで追跡できる車両追跡機能を備えると良い。
【0180】
上述した各実施形態において、ドライブレコーダーは、移動型オービスの周辺等で撮影した映像をサーバに自動的にアップする機能を備えると良い。
【0181】
ドライブレコーダーをカーナビゲーション等の車載機に接続し、カメラで撮影した映像をカーナビゲーションの表示する機能を備えると良い。
【0182】
上述した各実施形態では、2つのカメラを備えたドライブレコーダーは、いずれも当該2つのカメラを一つの筐体に実装するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、別々の筐体に実装するようにしても良い。その場合に、好ましくは1つの共通の取付部材に
て車両に取り付けるようにすると良い。また、別々の筐体に設けた2つのカメラを別々に取付部材を用いて車両に取り付け、2つのカメラをケーブルに揺る有線或いは無線通信で連携するようにしても良いが、2つのカメラの向きを所望の位置関係にするためには、1つの共通の取付部材を用いて車両に取り付ける構成の方が良く、さらには、上述した実施形態のように1つの筐体に予め所望の位置関係で実装するのがより好ましい。
【0183】
[ADAS(先進運転システム)への適用]
全天球を撮影するドライブレコーダー10で撮影した映像を、或いは全天球を撮影するカメラで撮影した映像をADASの処理で使う場合に、以下に示す課題が生じる。たとえば、レーン逸脱警報に利用する場合、360度映像が2つあるので、どこが逸脱しないようにする対象のレーンかを特定する必要がある。また全天周カメラでは前方の車両や信号機だけでなく、側方や後方の車両や信号機も天周映像中に 含まれるため、対象のADAS領域、例えば前方信号はどれなのかを特定する必要がある。
【0184】
そこで例えば、写る位置が固定されるように、ドライブレコーダー10と同様にカメラを固定して向きは動かせないような構造にする。そして、カメラを車両に取り付けた場合、ADASで使いたい部分が複数カメラのつなぎ目にあたらない部分に設定する。
【0185】
また別の構成としては、カメラは固定せず方向を調整できるようにする。映像中で動く部分(オプティカルフローのある部分)とピラーのような動かない部分とから、フロントガラスと車室の領域を推定するフロントガラスの領域の中からADASで使用する領域を切り出して用いる。車室の領域からユーザの居眠り、脇見等の検出に用いる領域を切り出してもよい。
【0186】
また、ドライブレコーダーでは、解像度が最も高い箇所(例えば、中心)を前方正面に向けたが、例えば白線の方向を向くようにすると良い。
【0187】
[車外に取り付ける形態]
上述した実施形態では車室内にカメラを備えることとしたが、車室内に備えるとともに、あるいは、車室内には備えずに次のような構成を備えるとよい。車両の外側を撮影する半天球カメラ(望ましくは全周180度を超える領域を撮影可能なカメラ、特に全周210度を超えるカメラ)を備えるとよい。
【0188】
特に車両の側面側から外側に向けて設置するか、あるいは、車両の側面側から下側を向けて設置するとよい。例えばサイドミラーの下面側から下側を撮影するようサイドミラーにこのようなカメラを設置するとよい。特に車両の左右の両側の側面側にこのようなカメラを備えるとよい。
【0189】
また設置位置はこれに限らず、例えば、車両を上空から見た状態で四隅に当たる位置(前右、前左、後右、後左)の少なくともいずれか一つ(特に左前は望ましい)にこのようなカメラを設置するとよい(特に四隅にすべて設置するとよい)。特に車体の外側の前面と側面との接する(間の)部分に車両側から外側を撮影するように設置するとよい。このときカメラの中心の撮影方向を前方直進方向に対して側方外側に向け45度を超える方向とするとよい。すなわち前方よりも側方のほうが撮像された映像の面積が大きくなるように設置するとよい。
【0190】
こうしたカメラの映像によれば、縁石に乗り上げたり、側溝に落ちたりしないか、谷に落ちたりしないか、ガードレールにぶつからないかなど、従来よりも容易に確認できる。特に山道など狭い道路で対向車等を避けてすれ違いや停車等する場合や、なるべく左よりに駐車したい場合などに優れた効果を発揮する。
【0191】
特にタイヤ周りが撮影範囲に入るよう設置するとよい。従来の左サイドミラーの下に設置された小型ミラーに運転席からみて映る範囲を含むようにするとよい。こうした小型ミラーは小さく見づらく、特に夜間はほとんどみえないという問題があるが、このような問題を解決できる。
【0192】
また特に、前述の四隅のように、車両の前方先端部または後方先端部などにカメラを設置すると、片側(ないし特に両側)が壁等で囲まれている箇所から車道に出るとき、左右からくる自転車、歩行者等の状況を少ないカメラで容易に広い範囲を確認できる。
【0193】
また特に全天周カメラの表示範囲をユーザの指示で変更する機能を備えるとよい。特に表示画面に表示した全天周カメラの映像のうちタッチが検出された箇所を拡大する機能を備えるとよい。特にタッチした位置を画面の表示部の中心へと移動して描画するとよい。
【0194】
また上述した実施形態では全天周カメラは固定された状態としたが、例えば全天周カメラの撮影方向をユーザの操作にもとづいて変更する機構を備えるようにしてもよい。例えば遠隔操作可能な電動雲台等を車両に取り付けその雲台にカメラを固定して雲台を遠隔操作により撮影方向を変更可能する構成とするとよい。
【0195】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例等を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、願書に添付した特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。本願出願人は、そのような箇所・組み合わせについて、補正・分割出願・意匠登録出願への変更出願等により権利を取得する意思を有する。
【0196】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらの構成の発明についても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
【0197】
また、図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としても良いし、その部材の部分としても良い。
【符号の説明】
【0198】
2 フロントガラス
3 ピラー
4 ダッシュボード
10 ライブレコーダー
11 本体部
12 カメラ部
13 本体ケース
25 筐体
26 第一カメラ
27 第二カメラ
28 スイッチ部
50 角度調整機構
60 表示画面
62 表示エリア
62b マスク領域