(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】ヘテロ環化合物及びこれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
C07D 405/14 20060101AFI20240119BHJP
C07D 495/04 20060101ALI20240119BHJP
C07D 491/048 20060101ALI20240119BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20240119BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20240119BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20240119BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240119BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240119BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20240119BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20240119BHJP
【FI】
C07D405/14 CSP
C07D495/04 103
C07D491/048
C07D487/04 137
C07D409/14
C07D471/04 112Z
C07D471/04 112T
C09K11/06 690
H05B33/14 B
H05B33/22 B
H05B33/22 D
(21)【出願番号】P 2022534455
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 KR2020017525
(87)【国際公開番号】W WO2021118159
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】10-2019-0167113
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】113-19, Dangha-Ro, Namsa-Myeon, Cheoin-Gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17118, korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウィ-ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ノ,ヨン-ソク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,スン-ギュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-ジュン
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-069905(JP,A)
【文献】特表2017-524707(JP,A)
【文献】特開2012-049518(JP,A)
【文献】国際公開第2016/129672(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C09K
H10K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式
6または7で表されるヘテロ環化合物:
【化1】
【化2】
前記化学式
6および7において、
Ar1は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であり、
Xは、OまたはSであり、
R11~R15は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基からなる群から選択され、
fは、0~3の整数であり、fが2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なっており、
N-Hetは、
置換もしくは非置換のトリアジン基;置換もしくは非置換のピリミジン基;置換もしくは非置換のピリジン基;置換もしくは非置換のキノリン基;置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基;置換もしくは非置換の1,7-フェナントロリン基;置換もしくは非置換のキナゾリン基;または置換もしくは非置換のベンズイミダゾール基であり、
R9およびR10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素および重水素からなる群より選択され、
R1~
R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素
;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール
基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成し、
L1は、直接結合であり、
L及びL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合
または置換もしくは非置換の
フェニレン基であり
、
a、d及びeは、
1の整数であり、
bは、0~3の整数であり、
cは、0~2の整数であり、
a~eが2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異な
り、
ここで、「置換もしくは非置換」とは、C1~C60の直鎖または分岐鎖のアルキル;C6~C60の単環または多環のアリール;およびC2~C60の単環または多環のヘテロアリールからなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、または前記例示の置換基の中から選択される2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。
【請求項2】
R9及びR10は水素である、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項3】
前記化学式
6または7は、下記化合物のいずれかで表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化3】
【請求項4】
第1の電極;前記第1の電極と対向して備えられた第2の電極;及び前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、請求項1~
3のいずれか一項に記載のヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子。
【請求項5】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項
4に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、ホスト材料を含み、前記ホスト材料は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項
4に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記有機物層は、電子注入層または電子輸送層を含み、前記電子輸送層または電子注入層は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項
4に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記有機物層は、電子ブロッキング層または正孔ブロッキング層を含み、前記電子ブロッキング層または正孔ブロッキング層は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項
4に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子ブロッキング層および正孔ブロッキング層からなる群から選択される1層または2層以上をさらに含むものである、請求項
4に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月13日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0167113号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【0002】
本明細書は、ヘテロ環化合物及びこれを含む有機発光素に関する。
【背景技術】
【0003】
有機電界発光素子は、自発光型表示素子の一種であって、視野角が広く、コントラストに優れるだけでなく、応答速度が速いという長所がある。
【0004】
有機発光素子は、2つの電極間に有機薄膜を配置させた構造を有する。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、2つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜で結合して対をなした後、消滅しながら光を発する。前記有機薄膜は、必要に応じて単層または多層から構成されることができる。
【0005】
有機薄膜の材料は、必要に応じて発光機能を有していてもよい。例えば、有機薄膜の材料としては、それ自体が単独で発光層を構成できる化合物が使用されてもよく、またはホスト-ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割を果たす化合物が使用されてもよい。その他にも、有機薄膜の材料として、正孔注入、正孔輸送、電子ブロック、正孔ブロック、電子輸送、電子注入などの役割を果たす化合物が使用されてもよい。
【0006】
有機発光素子の性能、寿命または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が求められ続けている。
【0007】
有機発光素子において、使用可能な材料に求められる条件、例えば、適切なエネルギー準位、電気化学的安定性、及び熱的安定性などを満たすことができ、置換基によって有機発光素子において求められる様々な役割を果たす化学構造を有する化合物を含む有機発光素子についての研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願は、ヘテロ環化合物及びこれを含む有機発光素子に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願の一実施態様において、下記化学式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化1】
【0011】
前記化学式1において、
N-Hetは、置換もしくは非置換であり、Nを1個以上含む単環または多環のヘテロ環基であり、
R1~R10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’及び-NRR’からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成し、
L、L1及びL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
Arは、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;または-SiRR’R’’であり、
前記R、R’及びR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
a、d及びeは、互いに同一または異なり、それぞれ0~4の整数であり、
bは、0~3の整数であり、
cは、0~2の整数であり、
a~eが2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0012】
また、本出願の一実施態様によれば、第1の電極;前記第1の電極と対向して備えられた第2の電極;及び前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含むものである有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本明細書に記載の化合物は、有機発光素子の有機物層材料として使用することができる。前記化合物は、有機発光素子において正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料などの役割を果たすことができる。特に、前記化合物を有機発光素子の発光層材料として使用することができる。例えば、前記化合物は、単独で発光材料として使用されてもよく、前記化合物は、2種の化合物を共に発光材料として使用してもよく、発光層のホスト材料として使用されてもよい。
【0014】
特に、本出願によるヘテロ環化合物は、ジベンゾフランの一方のベンゼン環の1位及び3位に特定の置換基を有し、他方のベンゼン環にカルバゾール系置換基を有することにより、これを含む有機発光素子の場合、寿命及び効率が優れる特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【
図2】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【
図3】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本出願について詳細に説明する。
【0017】
本明細書において、「化学式または化合物の構造において置換基が表示されていない場合」は、炭素原子に水素原子が結合されたことを意味する。ただし、重水素(2H、Deuterium)は、水素の同位元素であるので、一部の水素原子は重水素であってもよい。
【0018】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物の構造において置換基が表示されていない場合」は、置換基として置換可能な位置全部が水素または重水素であることを意味することができる。すなわち、重水素の場合、水素の同位元素であって、一部の水素原子は同位元素である重水素であってもよく、この場合、重水素の含有量は0%~100%であってもよい。
【0019】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物の構造において置換基が表示されていない場合」において、重水素の含有量が0%、水素の含有量が100%などと重水素を明確に排除しない場合には、水素と重水素は化合物において混在して使用されてもよい。すなわち、「置換基Xは、水素である」と表現されている場合には、水素の含有量が100%、重水素の含有量が0%などと重水素を排除しないものであって、水素と重水素が混在している状態を意味することができる。
【0020】
本出願の一実施態様において、重水素は水素の同位元素(isotope)のうちの一つであって、陽子(proton)1個と中性子(neutron)1個からなる重陽子(deuteron)を原子核(nucleus)として有する元素であり、水素-2と表すことができ、元素記号はDまたは2Hとも書くことができる。
【0021】
本出願の一実施態様において、同位元素は原子番号(atomic number、Z)は同一であるが、質量数(mass number、A)が異なる原子を意味する同位元素は同数の陽子(proton)を有するが、中性子(neutron)の数が異なる元素としても解釈することができる。
【0022】
本出願の一実施態様において、特定の置換基の含有量T%の意味は、基本となる化合物が有し得る置換基の合計数をT1と定義し、そのうち、特定の置換基の個数をT2と定義する場合、T2/T1×100=T%と定義することができる。
【0023】
すなわち、一例において、
【化2】
で表されるフェニル基において、重水素の含有量20%というのは、フェニル基が有し得る置換基の合計数は5(式中T1)個であり、そのうちの重水素の個数が1(式中T2)である場合、20%で表示されることができる。すなわち、フェニル基において重水素の含有量20%であるというのは、下記構造式で表されることができる。
【化3】
【0024】
また、本出願の一実施態様において、「重水素の含有量が0%であるフェニル基」の場合、重水素原子を含まない、すなわち、水素原子5個を有するフェニル基を意味することができる。
【0025】
本明細書において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。
【0026】
本明細書において、前記アルキル基は、炭素数1~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキル基の炭素数は1~60、具体的には1~40、より具体的には1~20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0027】
本明細書において、前記アルケニル基は、炭素数2~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルケニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1-プロフェニル基、イソプロフェニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、前記アルキニル基は、炭素数2~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。
【0029】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環状鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されるものではないが、炭素数1~20であることが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本明細書において、前記シクロアルキル基は、炭素数3~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えばヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は3~60、具体的には3~40、より具体的には5~20であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子としてO、S、Se、NまたはSiを含み、炭素数2~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には3~20であってもよい。
【0032】
本明細書において、前記アリール基は、炭素数6~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、アリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基の炭素数は6~60、具体的には6~40、より具体的には6~25であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基、これらの縮合環基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0033】
本明細書において、フルオレニル基は置換されてもよく、隣接する置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0034】
前記フルオレニル基が置換される場合、下記の構造式等であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【化4】
【0035】
本明細書において、前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子としてS、O、Se、NまたはSiを含み、炭素数2~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロアリール基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロアリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。前記ヘテロアリール基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には3~25であってもよい。前記ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリリル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3-a]カルバゾリル基、インドロ[2,3-b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11-ジヒドロ-ジベンゾ[b,f]アゼピン基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5-c]キナゾリニル基、ピリド[1,2-b]インダゾリル基、ピリド[1,2-a]イミダゾ[1,2-e]インドリニル基、5,11-ジヒドロインデノ[1,2-b]カルバゾリル基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、前記アミン基は、モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;-NH2;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;及びアリールヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよく、炭素数は特に限定されるものではないが、1~30であることが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0037】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらはそれぞれ2価の基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。また、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらはそれぞれ2価の基であることを除けば、前述したヘテロアリール基の説明が適用可能である。
【0038】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、-P(=O)R101R102で表され、R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;及びヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。前記ホスフィンオキシド基は、具体的にはジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本明細書において、シリル基はSiを含み、前記Si原子がラジカルとして直接結合している置換基であり、-SiR104R105R106で表され、R104~R106は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;及びヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
本明細書において、「隣接する」基は、当該置換基が置換された原子と直接結合された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環においてオルト(ortho)位に置換された2つの置換基および脂肪族環において同一炭素に置換された2つの置換基は、互いに「隣接する」基として解釈されることができる。
【0041】
隣接する基が形成することができる脂肪族、芳香族炭化水素環、またはヘテロ環は、一価の基ではないことを除けば、前述のシクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基であって、例示された構造が適用され得る。
【0042】
本明細書において、前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置、すなわち置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なっていてもよい。
【0043】
本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、C1~C60の直鎖または分岐鎖のアルキル;C2~C60の直鎖または分岐鎖のアルケニル;C2~C60の直鎖または分岐鎖のアルキニル;C3~C60の単環または多環のシクロアルキル;C2~C60の単環または多環のヘテロシクロアルキル;C6~C60の単環または多環のアリール;C2~C60の単環または多環のヘテロアリール;-SiRR’R’’;-P(=O)RR’;C1~C20のアルキルアミン;C6~C60の単環または多環のアリールアミン;及びC2~C60の単環または多環のヘテロアリールアミンからなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、または前記例示の置換基の中から選択される2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味し、
前記R、R’及びR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0044】
本出願の一実施態様において、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【0045】
特に前記化学式1において、ジベンゾフランの一方のベンゼン環に置換されるカルバゾール類の置換基は、正孔輸送特性を有する置換基(Hole transport character moiety)であり、ジベンゾフランの他方のベンゼン環の1位に置換されたN-Hetは、電子輸送特性を有する置換基(Electron transport character moiety)であり、さらに3位にArの置換基を有する三置換化合物を特徴とする。すなわち、Arが置換されない場合、ジベンゾフランの3位は電子が相対的に不足するようになるところ、ジベンゾフランの3位に本出願の化学式1のようにArの置換基を形成することによって電子が豊富になり、構造の安定性が増加し、結果的にはこれを含む有機発光素子の寿命及び電流の流れ度合いが向上される特徴を有するようになる。
【0046】
本出願の一実施態様において、前記化学式1は下記化学式2~5のいずれかで表されることができる。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【0047】
前記化学式2~5において、
R1~R10、N-Het、Ar、L、L1~L2、a、b、c、d、及びeの定義は、前記化学式1における定義と同じである。
【0048】
特に前記化学式2及び3は、ジベンゾフランに置換されるカルバゾール系置換基が3位又は4位に置換される場合であって、他の場合よりもTd(95%)値が約10℃~40℃程より高い傾向を示し、これによって熱安定性が特に優れた特徴を有するようになる。すなわち、前記化学式2および3の場合、カルバゾール系置換基が3位または4位に置換され、反対側のベンゼン環の1位および3位に置換基が2個形成されることにより、分子量が増加し、構造自体の安定性が増加する特徴を有するようになる。
【0049】
本出願の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式6または7で表されることができる。
【化9】
【化10】
【0050】
前記化学式6及び7において、
R1~R10、N-Het、L、L1、L2、a、b、c、d、及びeの定義は、前記化学式1における定義と同じであり、
Ar1は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であり、
Xは、OまたはSであり、
R11~R15は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’及び-NRR’からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成し、
fは、0~3の整数であり、fが2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0051】
本出願の一実施態様において、L、L1及びL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0052】
また他の一実施態様において、L、L1及びL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C40のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0053】
また他の一実施態様において、L、L1及びL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換のC6~C40の単環または多環のアリーレン基であってもよい。
【0054】
また他の一実施態様において、L、L1及びL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換のC6~C20の単環のアリーレン基であってもよい。
【0055】
また他の一実施態様において、L、L1及びL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;またはC6~C20の単環のアリーレン基であってもよい。
【0056】
また他の一実施態様において、L、L1及びL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;またはフェニレン基であってもよい。
【0057】
本出願の一実施態様において、R1~R10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’及び-NRR’からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成することができる。
【0058】
また他の一実施態様において、R1~R10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’および-NRR’からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成してもよい。
【0059】
また他の一実施態様において、R1~R10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基か;及び置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C40の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C40の芳香族ヘテロ環を形成してもよい。
【0060】
また他の一実施態様において、R1~R10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C6~C40のアリール基;及びC6~C40のアリール基で置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合してC1~C10のアルキル基またはC6~C40のアリール基で置換もしくは非置換のC6~C40の芳香族炭化水素環またはC6~C40のアリール基で置換もしくは非置換のC2~C40の芳香族ヘテロ環を形成してもよい。
【0061】
また他の一実施形態において、R1~R10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C6~C20のアリール基;及びC6~C20のアリール基で置換もしくは非置換のC2~C20のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合してC1~C10のアルキル基またはC6~C20のアリール基で置換もしくは非置換のC6~C20の芳香族炭化水素環またはC6~C20のアリール基で置換もしくは非置換のC2~C20の芳香族ヘテロ環を形成してもよい。
【0062】
また他の一実施態様において、R1~R10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;フェニル基;フェニル基で置換もしくは非置換のカルバゾール基;ジベンゾフラン基;及びジベンゾチオフェン基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合してベンゼン環;ベンゾチオフェン環;ベンゾフラン環;フェニル基で置換もしくは非置換のインドール環;またはメチル基またはフェニル基で置換もしくは非置換のインデン環を形成してもよい。
【0063】
本出願の一実施態様において、R9及びR10は、水素であってもよい。
【0064】
本出願の一実施態様において、Arは、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;または-SiRR’R’’であってもよい。
【0065】
また他の一実施態様において、Arは、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0066】
また他の一実施態様において、Arは、置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0067】
また他の一実施態様において、Arは、C6~C40の単環または多環のアリール基;またはC6~C40のアリール基およびC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0068】
また他の一実施態様において、Arは、フェニル基;ビフェニル基;ナフタレニル基;フェニル基及びジベンゾフラン基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;またはジベンゾフラン基であってもよい。
【0069】
本出願の一実施態様において、N-Hetは、置換もしくは非置換であり、Nを1個以上含む単環または多環のヘテロ環基であってもよい。
【0070】
また他の一実施態様において、N-Hetは、置換もしくは非置換であり、Nを1個以上3以下含む単環または多環のC2~C60のヘテロ環基であってもよい。
【0071】
また他の一実施態様において、N-Hetは、置換もしくは非置換であり、Nを1個以上3以下含む単環または多環のC2~C40のヘテロ環基であってもよい。
【0072】
また他の一実施態様において、N-Hetは、C6~C40のアリール基 で置換もしくは非置換であり、Nを1個以上3以下含む単環または多環のC2~C40のヘテロ環基であってもよい。
【0073】
また他の一実施態様において、N-Hetは、置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基;置換もしくは非置換のピリミジン基;置換もしくは非置換のピリジン基;置換もしくは非置換のキノリン基;置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基;置換もしくは非置換の1,7-フェナントロリン基;置換もしくは非置換のキナゾリン基;または置換もしくは非置換のベンズイミダゾール基であってもよい。
【0074】
また他の一実施態様において、N-Hetは、フェニル基、ビフェニル基及びナフチル基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基;フェニル基、ビフェニル基、及びナフチル基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリミジン基;フェニル基、ビフェニル基、及びナフチル基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリジン基;フェニル基で置換もしくは非置換のキノリン基;フェニル基で置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基;フェニル基で置換もしくは非置換の1,7-フェナントロリン基;フェニル基またはビフェニル基で置換もしくは非置換のキナゾリン基;またはフェニル基またはビフェニル基で置換もしくは非置換のベンズイミダゾル基であってもよい。
【0075】
本出願の一実施態様において、前記1,10-フェナントロリン基は、下記化学式1-1で表されることができ、前記1,7-フェナントロリン基は、下記化学式1-2で表されることができる。
【化11】
【化12】
【0076】
本出願の一実施態様において、R、R’及びR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0077】
また他の一実施態様において、R、R’及びR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0078】
また他の一実施態様において、R、R’及びR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60の単環または多環のアリール基であってもよい。
【0079】
また他の一実施態様において、R、R’及びR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C40の単環のアリール基であってもよい。
【0080】
また他の一実施態様において、R、R’及びR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C6~C20の単環のアリール基であってもよい。
【0081】
また他の一実施態様において、R、R’及びR’’は、フェニル基であってもよい。
【0082】
本出願の一実施態様において、Ar1は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0083】
また他の一実施態様において、Ar1は、置換もしくは非置換C6~C40の単環または多環のアリール基であってもよい。
【0084】
また他の一実施態様において、Ar1は、C6~C40の単環または多環のアリール基であってもよい。
【0085】
また他の一実施態様において、Ar1は、C6~C40の単環のアリール基であってもよい。
【0086】
また他の一実施態様において、Ar1は、C6~C40の多環のアリール基であってもよい。
【0087】
また他の一実施態様において、Ar1は、フェニル基;ビフェニル基;またはナフチル基であってもよい。
【0088】
本出願の一実施形態において、R11~R15は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’および-NRR’からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成してもよい。
【0089】
また他の一実施態様において、R11~R15は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;及び置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基からなる群から選択されることができる。
【0090】
また他の一実施態様において、R11~R15は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;及び置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択されることができる。
【0091】
また他の一実施態様において、R11~R15は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C6~C40のアリール基;及びC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択されることができる。
【0092】
また他の一実施態様において、R11~R15は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C6~C20のアリール基;及びC2~C20のヘテロアリール基からなる群から選択されることができる。
【0093】
また他の一実施態様において、R11~R15は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;フェニル基;ジベンゾフラン基;またはジベンゾチオフェン基であってもよい。
【0094】
また他の一実施態様において、R15は、水素であってもよい。
【0095】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1は、以下の化合物のいずれかで表されることができるが、これのみに限定されるものではない。
【化13】
【0096】
また、前記化学式1の構造に多様な置換基を導入することにより、導入された置換基固有の特性を有する化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時、用いられる正孔注入層材料、正孔輸送用材料、発光層材料、電子輸送層材料および電荷発生層材料に主に用いられる置換基を前記コア構造に導入することにより、各有機物層にて要求される条件を満たす材料を合成することができる。
【0097】
また、前記化学式1の構造に様々な置換基を導入することにより、エネルギーバンドギャップを微細に調整が可能であり、一方で有機物間の界面での特性を向上させ、材料の用途を多様にすることができる。
【0098】
また、本出願の一実施態様において、第1の電極;前記第1の電極と対向して備えられた第2の電極;及び前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記化学式1によるヘテロ環化合物を含むものである有機発光素子を提供する。
【0099】
また他の一実施態様において、第1の電極;前記第1の電極と対向して備えられた第2の電極;及び第1の電極と第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記化学式1によるヘテロ環化合物のいずれかを含むものである有機発光素子を提供する。
【0100】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物に対する具体的な内容は、前述したとおりである。
【0101】
本出願の一実施態様において、前記第1の電極は陽極であってもよく、前記第2の電極は陰極であってもよい。
【0102】
また他の一実施態様において、前記第1の電極は陰極であってもよく、前記第2の電極は陽極であってもよい。
【0103】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は青色有機発光素子であってもよく、前記化学式1によるヘテロ環化合物は前記青色有機発光素子の材料として使用されてもよい。例えば、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、青色有機発光素子の青色発光層のホスト材料に含まれることができる。
【0104】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は緑色有機発光素子であってもよく、前記化学式1によるヘテロ環化合物は前記緑色有機発光素子の材料として使用されてもよい。例えば、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、緑色有機発光素子の緑色発光層のホスト材料に含まれることができる。
【0105】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は、赤色有機発光素子であってもよく、前記化学式1によるヘテロ環化合物は前記赤色有機発光素子の材料として使用されてもよい。例えば、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、赤色有機発光素子の赤色発光層のホスト材料に含まれることができる。
【0106】
本発明の有機発光素子は、前述のヘテロ環化合物を用いて1層以上の有機物層を形成したことを除けば、通常の有機発光素子の製造方法及び材料によって製造することができる。
【0107】
前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子の製造時に真空蒸着法だけでなく、溶液塗布法によって有機物層に形成することができる。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらのみに限定されるものではない。
【0108】
本発明の有機発光素子の有機物層は単層構造からなることもできるが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなることができる。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造はこれらに限定されず、より少ない数の有機物層を含むことができる。
【0109】
本発明の有機発光素子において、前記有機物層は発光層を含むことができ、前記発光層は前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0110】
また他の有機発光素子において、前記有機物層は発光層を含み、前記発光層はホスト材料を含み、前記ホスト材料は前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0111】
もう一つの例として、前記ヘテロ環化合物を含む有機物層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物をホストとして含み、イリジウム系ドーパントと共に使用することができる。
【0112】
本発明の有機発光素子において、前記有機物層は電子注入層または電子輸送層を含み、前記電子輸送層または電子注入層は前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0113】
また他の有機発光素子において、前記有機物層は電子ブロッキング層または正孔ブロッキング層を含み、前記電子ブロッキング層または正孔ブロッキング層は前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0114】
本発明の有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子ブロッキング層および正孔ブロッキング層からなる群から選択される1層または2層以上をさらに含むことができる。
【0115】
図1~3に、本出願の一実施態様による有機発光素子の電極と有機物層の積層順序を例示した。しかし、これらの図面によって本出願の範囲が限定されることを意図したものではなく、当技術分野にて知られている有機発光素子の構造は、本出願にも適用可能である。
【0116】
図1によれば、基板100上に陽極200、有機物層300及び陰極400が順次積層された有機発光素子が示されている。しかし、このような構造のみに限定されるものではなく、
図2のように、基板上に陰極、有機物層及び陽極が順次積層された有機発光素子を具現することもできる。
【0117】
図3は、有機物層が多層である場合を例示したものである。
図3による有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、正孔ブロッキング層304、電子輸送層305及び電子注入層306を含む。しかし、このような積層構造によって本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて発光層を除いた残りの層は省略することもでき、必要な他の機能層をさらに追加することができる。
【0118】
前記化学式1における化合物を含む有機物層は、必要に応じて他の材料をさらに含んでもよい。
【0119】
本出願の一実施態様による有機発光素子において、前記化学式1におけるヘテロ環化合物以外の材料を以下に例示するが、これらは例示のためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではなく、当技術分野にて公知の材料に代替されてもよい。
【0120】
陽極材料としては、比較的仕事関数の大きい材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属または導電性高分子などを使用することができる。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属またはこれらの合金;酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)等の金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロール及びポリアニリンなどの導電性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0121】
陰極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物または導電性高分子などを使用することができる。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、及び鉛などの金属またはそれらの合金;LiF/AlまたはLiO2/Alなどの多層構造材料などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0122】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いることもできるが、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物または文献[Advanced Material,6,p.677(1994)]に記載されているスターバースト型アミン誘導体類、例えば、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4’’-トリ[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、1,3,5-トリス[4-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m-MTDAPB)、可溶性導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonic acid)またはポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4-styrene-sulfonate))等を使用することができる。
【0123】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などを使用することができ、低分子または高分子材料を使用することもできる。
【0124】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体等を使用することができ、低分子材料だけでなく、高分子材料を使用することもできる。
【0125】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当業界で代表的に使用されるが、本出願がこれに限定されるものではない。
【0126】
発光材料としては、赤色、緑色または青色発光材料を使用することができ、必要な場合、2以上の発光材料を混合して使用することができる。このとき、2以上の発光材料を個別の供給源として蒸着して使用するか、または予備混合して1つの供給源として蒸着して使用することもできる。また、発光材料として蛍光材料を用いることもできるが、燐光材料として使用することもできる。発光材料としては、単独として陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合し、発光させる材料が使用されてもよいが、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料が使用されてもよい。
【0127】
発光材料のホストを混合して使用する場合には、同一系列のホストを混合して使用してもよく、異なる系列のホストを混合して使用してもよい。例えば、n型ホスト材料またはp型ホスト材料のいずれか2種以上を選択して発光層のホスト材料として使用することができる。
【0128】
本出願の一実施態様による有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、背面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0129】
本出願の一実施態様によるヘテロ環化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどをはじめとする有機電子素子においても、有機発光素子に適用されるのと類似する原理で作用することができる。
【実施例】
【0130】
以下、実施形態を通じて本明細書をより詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するものではない。
【0131】
【0132】
化合物1-1の製造
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に(3-フルオロ-2-メトキシフェニル)ボロン酸((3-fluoro-2-methoxyphenyl)boronic acid)(27.87g,164.01mmol)、5-ブロモ-1-クロロ-3-フルオロ-2-ヨードベンゼン(5-bromo-1-chloro-3-fluoro-2-iodobenzene)(50g,149.10mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0))(8.61g,7.46mmol)、ナトリウムヒドロキシド(Sodium hydroxide)(11.93g、298.20mmol)、1,4-ジオキサン/水(500mL/150mL)の混合物を120℃で還流した。
【0133】
ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、MgSO4で乾燥した。シリカゲルで濾過した後、濃縮して化合物1-1を得た(49.24g,99%)。
【0134】
化合物1-2の製造
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に4’-ブロモ-2’-クロロ-3,6’-ジフルオロ-2-メトキシ-1,1’-ビフェニル(4’-bromo-2’-chloro-3,6’-difluoro-2-methoxy-1,1’-biphenyl)(49.24g,147.62mmol)、メチレンクロライド(MC)(500mL)の混合物を0℃まで温度を下げ、BBr3(73.96g,295.24mmol)を滴下し、常温(25℃)に昇温して3時間攪拌した。
【0135】
蒸留水で反応を終了し、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、MgSO4で乾燥した。シリカゲルで濾過した後、濃縮して化合物1-2を得た(44.81g,95%)。
【0136】
化合物1-3の製造
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に4’-ブロモ-2’-クロロ-3,6’-ジフルオロ-[1,1’-ビフェニル]-2-オール(4’-bromo-2’-chloro-3,6’-difluoro-[1,1’-biphenyl]-2-ol)(44.81g,140.24mmol)、Cs2CO3(91.39g、280.48mmol)、ジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)(500mL)の混合物を180℃で撹拌した。冷やした後、濾過し、ろ液の溶媒を除去した後、カラム(Column)精製して化合物1-3を得た(36.54g、87%)。
【0137】
化合物1-4の製造
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に3-ブロモ-1-クロロ-6-フルオロジベンゾ[b,d]フラン(3-bromo-1-chloro-6-fluorodibenzo[b,d]furan)(36.54g,122.00mmol)、フェニルボロン酸(Phenylboronic acid)(16.36g,134.20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0))(7.05g,6.10mmol)、炭酸カリウム(Potassium carbonate)(33.72g,244mmol)、1,4-ジオキサン/水(360mL/108mL)の混合物を120℃で還流した。
【0138】
ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、MgSO4で乾燥した。カラム(Column)精製して化合物1-4を得た(28.96g、80%)。
【0139】
化合物1-5の製造
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に1-クロロ-6-フルオロ-3-フェニルジベンゾ[b,d]フラン(1-chloro-6-fluoro-3-phenyldibenzo[b,d]furan)(28.96g,97.60mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(Bis(pinacolato)diboron)(49.57g,195.2mmol)、Pd2(dba)3(8.94g、9.76mmol)、SPhos(8.01g,19.52mmol)、酢酸カリウム(Potassium acetate)(28.74g、29.28mmol)、1,4-ジオキサン(290mL)の混合物を140℃で還流した。
【0140】
ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、濃縮した後、シリカゲルで濾過した。濃縮後、ジクロロメタン/メタノール(Dichloromethane/Methanol)処理して化合物1-5を得た(36.38g,96%)。
【0141】
化合物1-6の製造
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に2-(6-フルオロ-3-フェニルジベンゾ[b,d]フラン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(2-(6-fluoro-3-phenyldibenzo[b,d]furan-1-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolane)(36.38g,93.70mmol)、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)(27.59g,103.07mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0))(5.41g,4.69mmol)、炭酸カリウム(Potassium carbonate)(25.73g,186.14mmol)、1,4-ジオキサン/水(930mL/279mL)の混合物を120℃で還流した。
【0142】
真空濾過(Vacuum filter)で得られた固体をジクロロベンゼン(Dichlorobenzene)に溶かし、シリカゲルで濾過した後、濃縮して化合物1-6を得た(35.15g,76%)。
【0143】
化合物1(D)の製造
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に2-(6-フルオロ-3-フェニルジベンゾ[b,d]フラン-1-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-(6-fluoro-3-phenyldibenzo[b,d]furan-1-yl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)(35.15g,71.22mmol)、9H-カルバゾール(9H-carbazole)(13.10g,78.34mmol)、Cs2CO3(46.41g,142.44mmol)、ジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)(350mL)の混合物を180℃で撹拌した。
【0144】
真空濾過(Vacuum filter)で得られた固体をジクロロベンゼン(Dichlorobenzene)に溶かし、シリカゲルで濾過した後、濃縮して化合物1(D)を得た(37.42g,82%)。
【0145】
前記製造例1において、下記[表1]の中間体A、B、Cを使用したことを除けば、前記製造例1と同様の方法で合成して目的化合物Dをそれぞれ合成した。
【0146】
【0147】
【0148】
化合物101-1の製造
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)ボロン酸((4-fluoro-2-methoxyphenyl)boronic acid)(27.87g,164.01mmol)、5-ブロモ-1-クロロ-3-フルオロ-2-ヨードベンゼン(5-bromo-1-chloro-3-fluoro-2-iodobenzene)(50g,149.10mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0))(8.61g,7.46mmol)、ナトリウムヒドロキシド(Sodium hydroxide)(11.93g,298.20mmol)、1,4-ジオキサン/水(500mL/150mL)の混合物を120℃で還流した。
【0149】
ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、MgSO4で乾燥した。シリカゲルで濾過した後、濃縮して化合物101-1を得た(43.27g,87%)。
【0150】
化合物101-2の製造
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に4-ブロモ-2-クロロ-4’6,-ジフルオロ-2’-メトキシ-1,1’-ビフェニル(4-bromo-2-chloro-4’,6-difluoro-2’-methoxy-1,1’-biphenyl)(43.27g,129.72mmol)、メチレンクロライド(MC)(430mL)の混合物を0℃に温度を下げ、BBr3(64.99g)、259.44mmol)を滴下し、常温に昇温して3時間攪拌した。
【0151】
蒸留水で反応を終了し、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、MgSO4で乾燥した。シリカゲルで濾過した後、濃縮して化合物101-2を得た(40.20g,97%)。
【0152】
化合物101-3の調製
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に4’-ブロモ-2’-クロロ-4,6’-ジフルオロ-[1,1’-ビフェニル]-2-オール(4’-bromo-2’-chloro-4,6’-difluoro-[1,1’-biphenyl]-2-ol)(40.20g,134.21mmol)、Cs2CO3(87.46g,268.42mmol)、ジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)(400mL)の混合物を180℃で撹拌した。冷やした後、濾過し、ろ液の溶媒を除去した後、カラム(Column)精製して化合物101-3を得た(36.18g,90%)。
【0153】
化合物101-4の調製
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に3-ブロモ-1-クロロ-7-フルオロジベンゾ[b,d]フラン(3-bromo-1-chloro-7-fluorodibenzo[b,d]furan)(36.18g,120.79mmol)、フェニルボロン酸(Phenylboronic acid)(16.20g,132.87mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Tetrakis(triphenylphosphine )palladium(0))(6.98g,6.04mmol)、炭酸カリウム(Potassium carbonate)(33.39g,241.58mmol)、1,4-ジオキサン/水(360mL/108mL)の混合物を120℃で還流した。
【0154】
ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、MgSO4で乾燥した。カラム(Column)精製して化合物101-4を得た(33.69g,94%)。
【0155】
化合物101-5の製造
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に1-クロロ-7-フルオロ-3-フェニルジベンゾ[b,d]フラン(1-chloro-7-fluoro-3-phenyldibenzo[b,d]furan)(33.69g,113.54mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(Bis(pinacolato)diboron)(88.16g,227.08mmol)、Pd2(dba)3(10.40g、11.35mmol)、SPho(9.32g,22.71mmol)、酢酸カリウム(Potassium acetate)(33.43g、340.62mmol)、1,4-ジオキサン(1,4-Dioxane)(340mL)の混合物を140℃で還流した。
【0156】
ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、濃縮した後、シリカゲルで濾過した。濃縮後、ジクロロメタン/メタノール処理して化合物101-5を得た(38.79g,88%)。
【0157】
化合物101-6の製造
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に2-(6-フルオロ-3-フェニルジベンゾ[b,d]フラン-1-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(2-(6-fluoro-3-phenyldibenzo[b,d]furan-1-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolane)(38.79g,99.91mmol)、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)(29.42g,109.90 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0))(5.77g、5.00mmol)、炭酸カリウム(Potassium carbonate)(27.62g,199.82mmol)、1,4-ジオキサン/水(380mL/114mL)の混合物を120℃で還流した。
【0158】
真空濾過(Vacuum filter)で得られた固体をジクロロベンゼン(Dichlorobenzene)に溶かし、シリカゲルで濾過した後、濃縮して化合物101-6を得た(45.36g、92%)。
【0159】
化合物101(E)の製造
一口丸底フラスコ(One neck r.b.f)に2-(6-フルオロ-3-フェニルジベンゾ[b,d]フラン-1-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-(6-fluoro-3-phenyldibenzo[b,d]furan-1-yl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)(45.36g,91.91mmol)、9H-カルバゾール(9H-carbazole)(16.91g,101.10mmol)、Cs2CO3(59.89g,183.82mmol)、ジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)(450mL)の混合物を180℃で撹拌した。
【0160】
真空濾過(Vacuum filter)で得られた固体をジクロロベンゼン(Dichlorobenzene)に溶かし、シリカゲルで濾過した後、濃縮して化合物101(E)を得た(46.52g、79%)。
【0161】
前記製造例2において、下記[表2]の中間体A、BおよびCを使用したことを除けば、前記製造例2と同様の方法で合成して目的化合物Eをそれぞれ合成した。
【0162】
【0163】
前記製造例1、2、[表1]及び[表2]に記載の化合物以外の前記化学式1に相当するヘテロ環化合物も、前述の製造例に記載の方法と同様に製造した。
【0164】
前記にて製造された化合物の合成確認資料は、下記[表3]及び[表4]に記載のとおりである。
【0165】
【0166】
【0167】
<実験例1>-有機発光素子の作製
1)有機発光素子の作製
1,500Åの厚さでインジウムチンオキシド(ITO)で薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波で洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄を行い乾燥させた後、UV洗浄機でUVを用いて5分間UVO処理した。その後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送した後、真空状態でITO仕事関数及び残膜除去のためプラズマ処理を行い、有機蒸着用熱蒸着装置に搬送した。
【0168】
前記ITO透明電極(陽極)上に共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)及び正孔輸送層NPB(N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)を形成した。
【0169】
その上に発光層を次のように熱真空蒸着した。発光層はホストとして下記表5に記載の化合物、緑色燐光ドーパントとしてIr(ppy)3(tris(2-phenylpyridine)iridium)を用いてホストにIr(ppy)3を7%ドーピングして400Å蒸着した。その後、正孔ブロッキング層にBCPを60Å蒸着し、その上に電子輸送層にAlq3を200Å蒸着した。最後に、電子輸送層上にリチウムフッ化物(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着し、電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1200Åの厚さに蒸着し、陰極を形成することにより有機電界発光素子を作製した。
【0170】
一方、OLED素子の作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製してOLEDの作製に使用した。
【0171】
2)有機電界発光素子の駆動電圧及び発光効率
前記のように作製された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社製の寿命測定装置(M6000)を通じて基準輝度が6,000cd/m2のとき、T90を測定した。本発明の有機電界発光素子の特性は[表5]のとおりである。
【0172】
【0173】
【0174】
前記[表5]から分かるように、本出願によるヘテロ環化合物は、ジベンゾフランの一方のベンゼン環の1位及び3位に特定の置換基を有し、他方のベンゼン環にカバゾール系置換基を有することにより、これを含む有機発光素子の場合、寿命及び効率に優れた特徴を有することが確認できた。
【0175】
本出願によるジベンゾフランの一方のベンゼン環に置換されるカルバゾール類の置換基は、正孔輸送特性を有する置換基(Hole transport character moiety)であり、ジベンゾフランの他方のベンゼン環の1位に置換されたN-Hetは、電子輸送特性を有する置換基(Electron transport character moiety)であり、さらに3位にArの置換基を有する三置換化合物を特徴とする。すなわち、Arが置換されない場合、ジベンゾフランの3位は、電子が相対的に不足するようになるところ、ジベンゾフランの3位に本出願の化学式1のようにArの置換基を形成することにより、電子が豊富になり、構造の安定性が増加し、結果としてこれを含む有機発光素子の寿命および電流の流れ度合いが改善される特徴を有することが確認できた。
【0176】
前記[表5]から分かるように、比較例1~6はジベンゾフランにカバゾール系置換基/Ar/N-Hetのうち少なくとも1つが備えられていないヘテロ環化合物を含む場合であって、この場合、ジベンゾフランに3種の置換基が結合している化合物より分子量が小さくて、Td(95%)値が低く、それによって相対的に熱安定性が劣り、寿命に良くないことが確認できた。
【0177】
特に、ジベンゾフランの酸素は、炭素より電気陰性度が大きくて隣接する炭素の電子を引きつける性質があり、このような性質によりジベンゾフランの4位は他の位置より相対的に電子が不足する。これによって、カルバゾール系置換基をジベンゾフランの1位または2位に結合するよりも、相対的に電子が不足する位置である4位に結合すれば、材料構造的にはるかに安定することが確認できた。
【0178】
また、本出願による化学式1のように、ベンゼン環の1位に置換されたN-Hetを有することを特徴とする。ジベンゾフランは共鳴現象(Resonance)によって位置毎に電子密度が異なり、ジベンゾフランの1位は共鳴現象によって2位と4位より正の電荷を帯びた。したがって、電子輸送能力を有するN-Hetをジベンゾフランで相対的に正の電荷を帯びた1位に結合すると、材料が構造的により安定することが確認できた。
【0179】
また、ジベンゾフランに置換される本出願の化学式1のようなN-カルバゾールは、共鳴現象(Resonance)によって窒素が有する孤立電子対(Lone pair electrons)をジベンゾフランコアに直接伝達することができる。したがって、N-カルバゾール置換基を有する場合がフェニル基で置換されたカルバゾール基(カルバゾールの炭素と連結)を有する場合(比較例4及び6~9)よりも電子輸送能力に優れることが確認できた。
【0180】
さらに、化合物による熱分解温度(Dissociation temperature(Td))値を比較し、下記[表6]に示した。熱重量分析装置(Thermogravimetric analysis)で測定したTd(95%)値は、下記[表6]のとおりである。
【0181】
【0182】
【0183】
前記[表6]から分かるように、本出願による化学式1におけるヘテロ環化合物のTd値が、比較例1-1及び比較例2-1の化合物を含むときより約40℃程高いことが確認できた。これは、ジベンゾフランの一方のベンゼン環に置換されるカルバゾール類の置換基は、正孔輸送特性を有する置換基(Hole transport character moiety)であり、ジベンゾフランの他方のベンゼン環の1位に置換されたN-Hetは、電子輸送特性を有する置換基(Electron transport character moiety)であり、さらに3位にArの置換基を有する三置換化合物が二置換(比較例1-1及び比較例2-1)化合物より熱安定性が格別優れていることを示す。
【0184】
特に、前記[表6]の実施例1~72の場合、本出願による前記化学式2及び3に相当する場合であって、他の場合(実施例1-1~6-1)よりTd(95%)値が約10~40℃程より高い傾向を示し、これによって熱安定性が格別優れた特徴を有するようになる。すなわち、前記化学式2及び3の場合、カルバゾール系置換基が3位または4位に置換され、他方のベンゼン環の1位および3位に置換基が2個形成されることにより、分子量が増加し、構造自体の安定性が増加する特徴を有することが確認できた。
【符号の説明】
【0185】
100 ・・・基板
200 ・・・陽極
300 ・・・有機物層
301 ・・・正孔注入層
302 ・・・正孔輸送層
303 ・・・発光層
304 ・・・正孔ブロッキング層
305 ・・・電子輸送層
306 ・・・電子注入層
400 ・・・陰極