(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】液体充填装置
(51)【国際特許分類】
B65B 3/04 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
B65B3/04
(21)【出願番号】P 2023069864
(22)【出願日】2023-04-21
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】593155237
【氏名又は名称】立花機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】立花 幸雄
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-328192(JP,A)
【文献】実開平03-126899(JP,U)
【文献】実開昭53-110356(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器を起立した状態で所定の搬送方向に沿って搬送する搬送ユニットと、
前記搬送ユニットの上方に設けられ、前記容器に液体を充填する充填ノズルを有する液体充填ユニットと、
前記搬送ユニット上において前記充填ノズルの鉛直下方であるノズル下方位置及び前記充填ノズルにより前記液体が充填される充填位置の間で前記容器を昇降させる昇降ユニットと、
前記昇降ユニットにより昇降される前記容器をガイドするガイドユニットと、
前記充填ノズルから前記容器への液垂れを防止する液垂れ防止ユニットとを備え、
前記ガイドユニットは、前記容器の側面に対向して前記容器の昇降をガイドするガイド部と、当該ガイド部を移動させるガイドアクチュエータとを有し、
前記ガイドアクチュエータは、前記容器をガイドするガイド位置及び前記搬送ユニットによる前記容器の移動を可能とするガイド退避位置の間で前記ガイド部を移動させるものであり、
前記液垂れ防止ユニットは、前記充填ノズルからの液垂れを受ける液垂れ受け部と、前記液垂れ受け部を移動させる受け部アクチュエータとを有し、
前記受け部アクチュエータは、前記ノズル下方位置にある前記容器及び前記充填ノズルの間に位置する仕切り位置、及び、前記昇降ユニットによる前記容器の前記充填位置への移動を可能にする仕切り退避位置の間で、前記液垂れ受け部を移動させるものであ
り、
前記受け部アクチュエータによる前記液垂れ受け部の前記仕切り位置から前記仕切り退避位置への移動と、前記ガイドアクチュエータによる前記ガイド部の前記ガイド退避位置から前記ガイド位置への移動とが同時に行われる、液体充填装置。
【請求項2】
前記液体充填ユニットは、前記搬送方向に沿って複数の前記充填ノズルを有しており、
前記昇降ユニットは、複数の前記充填ノズルに対応する複数の前記容器を前記充填位置に一括して上昇させるものであり、
前記液垂れ受け部は、複数の前記充填ノズルからの液垂れを一括して受ける単一部材から構成されている、請求項1に記載の液体充填装置。
【請求項3】
前記受け部アクチュエータは、前記搬送ユニットにより前記容器が前記ノズル下方位置に移動するまで前記液垂れ受け部を前記仕切り位置とし、前記容器が前記ノズル下方位置に移動した後に前記液垂れ受け部を前記仕切り位置から前記仕切り退避位置に移動させる、請求項1又は2に記載の液体充填装置。
【請求項4】
前記受け部アクチュエータは、前記充填ノズルにより前記液体が充填された前記容器が前記昇降ユニットより前記ノズル下方位置に下降されて前記搬送ユニットにより搬送される前に、前記液垂れ受け部を前記仕切り退避位置から前記仕切り位置に移動させる、請求項3に記載の液体充填装置。
【請求項5】
前記受け部アクチュエータによる前記液垂れ受け部の前記仕切り退避位置から前記仕切り位置への移動と、前記ガイドアクチュエータによる前記ガイド部の
前記ガイド位置から前記ガイド退避位置への移動とが同時に行われる、請求項
1に記載の液体充填装置。
【請求項6】
前記受け部アクチュエータは、前記搬送方向に直交する方向に前記液垂れ受け部を直線移動させるものである、請求項1又は2に記載の液体充填装置。
【請求項7】
前記液垂れ受け部は、前記仕切り位置において前記ノズル下方位置にある前記容器及び前記充填ノズルの間に位置する底板部と、当該底板部の周囲に設けられた側壁部とを有するものである、請求項1又は2に記載の液体充填装置。
【請求項8】
前記搬送ユニットは、前記容器を前記ノズル下方位置に移動して、前記容器に前記液体が充填されて再び前記ノズル下方位置に下降されるまで搬送動作を停止する、請求項1又は2に記載の液体充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に液体を充填する液体充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、容器に液体を充填する液体充填装置において、容器を搬送する搬送機構の上方に給液ノズルを設けておき、搬送機構により搬送される容器を上昇させて、容器の開口部に給液ノズルを挿入して、容器に液体を充填するものがある。
【0003】
ここで、充填後の給液ノズルには液体が付着しており、給液ノズルから液が漏れてしまい、容器の外側周面に付着する恐れがある。充填後の容器はキャップ等の栓がされた後に洗浄されるため、容器の外側周面に付着した液の大部分は除去することができる。
【0004】
しかしながら、容器の外側周面においてキャップが装着されるねじ切り部分は、キャップを装着した後には洗浄することができない。そのため、ねじ切り部分に付着した液を除去することができず、キャップとねじ切り部分との間にカビが生じてしまう等のように品質に悪影響を与えてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、簡単な構成により充填ノズルから容器への液垂れを防止することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明にかかる液体充填装置は、複数の容器を起立した状態で所定の搬送方向に沿って搬送する搬送ユニットと、前記搬送ユニットの上方に設けられ、前記容器に液体を充填する充填ノズルを有する液体充填ユニットと、前記搬送ユニット上において前記充填ノズルの鉛直下方であるノズル下方位置及び前記充填ノズルにより前記液体が充填される充填位置の間で前記容器を昇降させる昇降ユニットと、前記充填ノズルから前記容器への液垂れを防止する液垂れ防止ユニットとを備え、前記液垂れ防止ユニットは、前記充填ノズルからの液垂れを受ける液垂れ受け部と、前記液垂れ受け部を移動させる受け部アクチュエータとを有し、前記受け部アクチュエータは、前記ノズル下方位置にある前記容器及び前記充填ノズルの間に位置する仕切り位置、及び、前記昇降ユニットによる前記容器の前記充填位置への移動を可能にする仕切り退避位置の間で、前記液垂れ受け部を移動させるものであることを特徴とする。
【0008】
このような液体充填装置であれば、液垂れ防止ユニットが、充填ノズルからの液垂れを受ける液垂れ受け部を、ノズル下方位置にある容器及び充填ノズルの間に位置する仕切り位置と、昇降ユニットによる容器の充填位置への移動を可能にする仕切り退避位置との間で移動させているので、充填ノズルから容器への液垂れを防止することができる。特に本発明では、容器のねじ切り部分に液が付着することを防止でき、キャップとねじ切り部分との間に液が残留しないようにできる。その結果、キャップとねじ切り部分との間にカビが生じてしまう等の問題を解決することができる。
【0009】
液体充填装置の充填効率を向上させるためには、前記液体充填ユニットは、前記搬送方向に沿って複数の前記充填ノズルを有しており、前記昇降ユニットは、複数の前記充填ノズルに対応する複数の前記容器を前記充填位置に一括して上昇させるものであることが望ましい。この構成において、複数の充填ノズルから複数の容器への液垂れを簡単な構成により一挙に防止するためには、前記液垂れ受け部は、複数の前記充填ノズルからの液垂れを一括して受ける単一部材から構成されていることが望ましい。
【0010】
前記受け部アクチュエータは、前記搬送ユニットにより前記容器が前記ノズル下方位置に移動するまで前記液垂れ受け部を前記仕切り位置とし、前記容器が前記ノズル下方位置に移動した後に前記液垂れ受け部を前記仕切り位置から前記仕切り退避位置に移動させることが望ましい。
この構成であれば、搬送ユニットにより容器がノズル下方位置に移動するまでは、液垂れ受け部が仕切り位置にあり、充填ノズルから液垂れが生じても、その垂れた液は液垂れ受け部に受け止められる。また、垂れ受け部が仕切り退避位置にある状態では、容器がノズル下方位置にあり、充填ノズルから液垂れが生じても、その垂れた液は容器に入ることになり、容器のねじ切り部分等の外側周面に付着することを防止できる。
【0011】
前記受け部アクチュエータは、前記充填ノズルにより前記液体が充填された前記容器が前記昇降ユニットにより前記ノズル下方位置に下降されて前記搬送ユニットにより搬送される前に、前記液垂れ受け部を前記仕切り退避位置から前記仕切り位置に移動させることが望ましい。
この構成であれば、液体が充填された後において、液垂れ受け部が仕切り退避位置にある状態では、充填ノズルの真下に容器が位置しているので、充填ノズルから液垂れが生じても、その垂れた液は容器に入ることになり、容器のねじ切り部分等の外側周面に付着することを防止できる。
【0012】
本発明の液体充填装置は、前記昇降ユニットにより昇降される前記容器をガイドするガイドユニットを更に備え、前記ガイドユニットは、前記容器の側面に対向して前記容器の昇降をガイドするガイド部と、当該ガイド部を移動させるガイドアクチュエータとを有し、前記ガイドアクチュエータは、前記容器をガイドするガイド位置及び前記搬送ユニットによる前記容器の移動を可能とするガイド退避位置の間で前記ガイド部を移動させるものであることが望ましい。
この構成であれば、ガイドユニットにより昇降される容器がガイドされるので、充填ノズルに対する容器の位置ずれを防止でき、確実に充填ノズルから容器に液体を充填できるようになる。また、容器の昇降移動中に、充填ノズルから液垂れが生じても、その垂れた液は容器に入ることになり、容器のねじ切り部分等の外側周面に付着することを防止できる。
【0013】
液垂れ防止ユニット及びガイドユニットを設けることによる液体充填装置の充填効率の低下を防止するためには、前記受け部アクチュエータによる前記液垂れ受け部の前記仕切り位置から前記仕切り退避位置への移動と、前記ガイドアクチュエータによる前記ガイド部の前記ガイド退避位置から前記ガイド位置への移動とが同時に行われることが望ましい。なお、液垂れ防止ユニット及びガイドユニットそれぞれの動作を同時ではなく別々に行うとその分時間がかかってしまい、充填効率の低下を招いてしまう。
【0014】
また、液垂れ防止ユニット及びガイドユニットを設けることによる液体充填装置の充填効率の低下を防止するためには、前記受け部アクチュエータによる前記液垂れ受け部の前記仕切り退避位置から前記仕切り位置への移動と、前記ガイドアクチュエータによる前記ガイド部のガイド位置から前記ガイド退避位置への移動とが同時に行われることが望ましい。
【0015】
受け部アクチュエータの具体的な実施の態様としては、前記受け部アクチュエータは、前記搬送方向に直交する方向に前記液垂れ受け部を移動させるものであることが望ましい。
この構成であれば、液体充填ユニットが搬送方向に沿って複数の充填ノズルを有する構成であれば、それら複数の充填ノズルからの液垂れを一挙に防止する構成を簡単に実現することができる。
【0016】
前記液垂れ受け部は、前記仕切り位置において前記ノズル下方位置にある前記容器及び前記充填ノズルの間に位置する底板部と、当該底板部の周囲に設けられた側壁部とを有するものであることが望ましい。
この構成であれば、底板部の周囲に側壁部を設けているので、液垂れ受け部にある液体が漏れ出ることを防止できる。
【0017】
容器に液体を充填させる動作(ノズル下方位置から容器を上昇させて容器に液体を充填し、その後、ノズル下方位置に下降させる動作)において搬送ユニットの搬送動作を継続するとその振動により充填ノズルから液垂れが発生しやすくなってしまう。そのため、前記搬送ユニットは、前記容器を前記ノズル下方位置に移動して、前記容器に前記液体が充填されて再び前記ノズル下方位置に下降されるまで搬送動作を停止することが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
このように構成した本発明によれば、簡単な構成により充填ノズルから容器への液垂れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る液体充填装置の構成(容器がノズル下方位置にある状態)を模式的に示す正面図である。
【
図2】同実施形態の液体充填装置の構成(容器が充填位置にある状態)を模式的に示す正面図である。
【
図3】同実施形態の搬送ユニットの一部を模式的に示す平面図である。
【
図4】同実施形態の充填ノズルの(a)ノズルが閉じた状態、及び(b)ノズルが開いた状態を示す模式図である。
【
図5】同実施形態の液体充填装置の構成(空の容器がノズル下方位置にある状態等)を模式的に示す縦断面図である。
【
図6】同実施形態の液体充填装置の構成(ガイド部がガイド位置にある状態等)を模式的に示す縦断面図である。
【
図7】同実施形態の液体充填装置の構成(容器が充填位置にある状態等)を模式的に示す縦断面図である。
【
図8】同実施形態の液体充填装置の構成(充填済みの容器がノズル下方位置にある状態等)を模式的に示す縦断面図である。
【
図9】同実施形態の液体充填装置の構成(充填後に液垂れ受け部が仕切り位置にある状態等)を模式的に示す縦断面図である。
【
図10】同実施形態の(a)液垂れ防止ユニットの概略を示す斜視図、及び、(b)液垂れ受け部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明に係る液体充填装置の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0021】
<1.液体充填装置100の装置構成>
本実施形態に係る液体充填装置100は、
図1及び
図2に示すように、複数の容器Bを起立した状態で所定の搬送方向に沿って搬送する搬送ユニット2と、この搬送ユニット2の上方に設けられ、容器Bに液体を充填する充填ノズル31を有する液体充填ユニット3と、この液体充填ユニット3の下方に設けられ、搬送ユニット2及び液体充填ユニット3の間で容器Bを昇降させる昇降ユニット4と、容器Bが昇降ユニット4により昇降される容器Bをガイドするガイドユニット5と、充填ノズル31から容器Bへの液垂れを防止する液垂れ防止ユニット6とを備えている。
【0022】
以下、各部に説明する。
搬送ユニット2は、複数の容器Bを起立した状態で水平方向に沿った直線状の搬送方向に沿って搬送するものである。
【0023】
具体的に搬送ユニット2は、
図1及び
図2に示すように、基台101上に設けられ、搬送方向に延びる搬送路を構成する二条の無端ベルト21と、当該無端ベルト21を循環走行させる循環走行機構22とを備えている。
【0024】
循環走行機構22は、無端ベルト21が張り架けられた駆動ローラ221と、当該駆動ローラ221を回転させるモータ(不図示)とを有するものである。また、二条の無端ベルト21は、搬送方向に沿って互いに平行に設けられている。
【0025】
本実施形態の搬送ユニット2は、液体充填ユニット3の下方に位置する中央搬送部2aだけでなく、外部から中央搬送部2aに容器を搬入する搬入部(上流部)2bから中央搬送部2aから容器Bを搬出する搬出部(下流部)2cに亘って延び設けられている。なお、中央搬送部2a、搬入部2b及び搬出部2cはいずれも直線状をなすものであるがこれに限られず、曲線状をなすものであっても良い。
【0026】
さらに搬入部2b及び搬出部2cには、搬入出における容器Bの転倒を防止するガイドレール23が設けられている。その他、搬送ユニット2の搬入部2bには、搬入する容器Bの間隔を一定間隔にするための送り羽根等の間隔調整部24が設けられている(
図3参照)。この送り羽根24は、搬入部2bの少なくとも片側に設けられて、搬送方向に沿って自転することにより、搬送ユニット2の中央搬送部2aへの容器Bの供給及び停止を切り替えるとともに中央搬送部2aに搬入する容器Bの間隔を一定にするものである。なお、送り羽根24は、制御ユニット7によりその回転動作が制御される。
【0027】
液体充填ユニット3は、
図1、
図2及び
図4に示すように、容器Bに液体を充填する複数の充填ノズル31を有している。複数の充填ノズル31は、搬送方向に沿って等間隔に設けられている。また、複数の充填ノズル31は、中央搬送部2aの鉛直上方において所定の高さ位置に固定されている。なお、本実施形態では、各充填ノズル31は、容器Bの上端部を充填ノズル31にガイドするための円筒状のガイド筒32に収容されている。
【0028】
各充填ノズル31は、
図4に示すように、昇降ユニット4により上昇する容器Bが接触することによって液体流出口31aが開いて液体が流出するものである。具体的に充填ノズル31は、内部に液体が流れる流路(不図示)が形成され、側面に液体流出口31aが形成された直管状をなすノズル本体311と、当該ノズル本体311の外側周面にスライド可能に設けられ、液体流出口31aを開閉するスライド管312とを有している。スライド管312には、容器Bの上端が押圧接触してスライド管312を持ち上げる押圧部313が設けられている。本実施形態では、スライド管312の内部空間及びノズル本体311の流路を通じて液体が液体流出口31aから流出する。また、ノズル本体311の下端部311aは、先端に行くに連れて先細り形状をなすものであり、上昇する容器Bの上端開口部に入りやすくしている。また、ノズル本体311において液体流出口31aよりも下端部側にはOリング等のシール部材314が設けられており、スライド管312が液体流出口31aを閉じた状態で、シール部材314によりノズル本体311とスライド管312とが液密となるように構成している。
【0029】
その他、ノズル本体には、内部に空気抜き管(不図示)が設けられており、空気抜き管はノズル本体の外側周面に開口している。これにより、充填ノズル31による液体の充填時に容器B内の空気が外部に抜けるように構成されている。この空気抜き管に減圧ポンプを接続して容器B内の空気を吸引して負圧にするようにすることで、液体タンク33内の液体を容器B内に迅速に充填することもできる。
【0030】
また、各充填ノズル31は、
図1及び
図2に示すように、液体タンク33に接続されている。具体的に各充填ノズル31は、液体タンク33の底面に接続されている。この液体タンク33は、基台101から起立して設けられた一対の支持フレーム102に支持されている。なお、液体タンク33は、一対の支持フレーム102に対して上下方向に移動可能に設けられている。液体タンク33を上下方向に移動させることで、容器Bのサイズに合わせて充填ノズル31の高さ位置を調整することができる。
【0031】
昇降ユニット4は、
図2、
図5~
図9に示すように、搬送ユニット2上において充填ノズル31の鉛直下方であるノズル下方位置P(
図5参照)及び充填ノズル31により液体が充填される充填位置Q(
図7参照)の間で容器Bを昇降させるものである。本実施形態の昇降ユニット4は、複数の充填ノズル31に対応する複数の容器Bを充填位置Qに一括して上昇させるものである。
【0032】
具体的に昇降ユニット4は、
図5~
図9に示すように、搬送ユニット2における液体充填ユニット3の下側部分(搬送ユニット2の中央搬送部2a)に設けられており、2条の無端ベルト21の間から上方に移動する昇降台41と、当該昇降台41を鉛直方向に沿って昇降移動させる例えばエアシリンダ等の昇降アクチュエータ(不図示)とを備えている。なお、昇降アクチュエータは、制御ユニット7によりその昇降動作が制御される。
【0033】
この昇降ユニット4において、容器Bをノズル下方位置Pとする場合、昇降台41は、無端ベルト21の上面よりも下側の位置に移動し、搬送ユニット2による容器Bの搬送を邪魔しないように構成している(
図5等参照)。なお、充填位置Qとは、容器Bの上端部が、液体充填ユニット3のガイド筒32に挿し込まれて、容器Bが充填ノズル31のスライド管312を持ち上げて液体流出口31aを開放する位置である。
【0034】
ガイドユニット5は、昇降ユニット4により昇降される容器Bが転倒しないようにガイドするものである。また、ガイドユニット5は、昇降される容器Bを対応する充填ノズル31に位置決めする機能も有する。
【0035】
具体的にガイドユニット5は、
図3、
図5~
図9に示すように、搬送ユニット2における液体充填ユニット3の下側部分(搬送ユニット2の中央搬送部2a)に設けられており、容器Bの側面に対向して容器をガイドするガイド部51と、ガイド部51を搬送方向に直交する方向に移動させる例えばエアシリンダ等のガイドアクチュエータ52とを有している。
【0036】
ガイド部51は、
図3、
図5~
図9に示すように、昇降台41により昇降される容器群を両側から挟むものであり、搬送ユニット2の両側に設けられている。一方のガイド部51aは、搬送ユニット2を挟んだ一方側において搬送方向に直交する方向に移動可能に設けられている。この一方のガイド部51aには、
図3に示すように、容器群の間隔を一定に保つために複数の容器Bに合わせて凹部51a1が形成されている。また、他方のガイド部51bは、搬送ユニット2を挟んだ他方側に固定して設けられている。この他方のガイド部51bは、一方のガイド部51aの凹部51a1との間で容器Bを挟むものであり、搬送ユニット2に沿った平板状をなすプレートである。
【0037】
そして、ガイドアクチュエータ52は、
図5~
図9に示すように、容器Bをガイドするガイド位置R(
図6参照)及び当該ガイド位置Rから退避したガイド退避位置S(
図5参照)の間で、一方のガイド部51aを移動させる。ここで、一方のガイド部51aをガイド位置Rとすることで、ガイド部51は容器Bが充填位置Qに上昇するまでガイドする。また、一方のガイド部51aをガイド位置Rとすることで、容器群はガイド部51に挟まれて各容器Bが各充填ノズル31に位置決めされる。さらに、ガイド退避位置Sは、搬送ユニット2による容器Bの移動を可能とする位置である。なお、ガイドアクチュエータ52は、制御ユニット7によりその動作が制御される。
【0038】
液垂れ防止ユニット6は、搬送ユニット2及び液体充填ユニット3の間に設けられ、充填ノズル31から容器Bへの液垂れを防止するものである。
【0039】
具体的に液垂れ防止ユニット6は、
図5~
図10に示すように、充填ノズル31からの液垂れを受ける液垂れ受け部61と、液垂れ受け部61を移動させる受け部アクチュエータ62とを有している。
【0040】
液垂れ受け部61は、ノズル下方位置Pにある容器B及び充填ノズル31の間に位置する仕切り位置T(
図5参照)、及び、昇降ユニット4による容器Bの充填位置Qへの移動を可能にする仕切り退避位置U(
図6参照)の間で移動可能に設けられている。
【0041】
液垂れ受け部61は、複数の充填ノズル31からの液垂れを一括して受ける単一部材から構成されている。具体的には、
図1及び
図10等に示すように、搬送方向において複数の充填ノズル31をカバーする長さ寸法を有している。また、液垂れ受け部61は、仕切り位置Tにおいて充填ノズル31だけでなくガイド筒32の下部開口を覆うように構成されている。
【0042】
液垂れ受け部61は、
図10に示すように、仕切り位置Tにおいてノズル下方位置Pの容器B及び充填ノズル31の間に位置する底板部61aと、当該底板部61aの周囲に設けられた各側壁部61b~61eとを有している。後側壁部61eには受け部アクチュエータ62が接続される。前側壁部61bは後側壁部61eよりも低く、外側に向かって傾斜している。これにより、液垂れ受け部61の前側壁部61bからの清掃を簡単にできるように構成している。
【0043】
受け部アクチュエータ62は、仕切り位置T、及び、仕切り退避位置Uの間で、液垂れ受け部61を移動させるものである。本実施形態の受け部アクチュエータ62は、搬送方向に直交する方向に液垂れ受け部61を直線移動させるものである。受け部アクチュエータ62は、例えばエアシリンダ等の直動アクチュエータを用いることができる。受け部アクチュエータ62は、一対の支持フレーム102に架け渡された支持部材103により支持されている。なお、受け部アクチュエータ62は、制御ユニット7によりその動作が制御される。
【0044】
受け部アクチュエータ62は、搬送ユニット2により容器Bがノズル下方位置Pに移動するまで液垂れ受け部61を仕切り位置Tとし、容器Bがノズル下方位置Pに移動した後に液垂れ受け部61を仕切り位置Tから仕切り退避位置Uに移動させる(
図5→
図6)。
【0045】
また、受け部アクチュエータ62は、充填ノズル31により液体が充填された容器Bが昇降ユニット4よりノズル下方位置Pに下降されて搬送ユニット2により搬送される前に、液垂れ受け部61を仕切り退避位置Uから仕切り位置Tに移動させる(
図8→
図9)。
【0046】
このように本実施形態の受け部アクチュエータ62は、空の容器B及び充填済みの容器Bの何れにおいても、容器Bがノズル下方位置Pで停止しているときにのみ、液垂れ受け部61を仕切り位置T及び仕切り退避位置Uの間で移動させるように構成されている。これにより、充填ノズル31からの液垂れが生じたとしても、その垂れた液は液垂れ受け部61で受け止められるか、あるいは、容器B内に入ることになり、容器Bのねじ切り部分等の外側周面に付着することを防止できる。
【0047】
<2.液体充填装置100による液体充填動作>
次に、本実施形態の液体充填装置の一連の動作について説明する。
【0048】
<2-1.搬入動作>
搬送ユニット2の搬入部2bには、図示しない外部の搬送装置等を用いて空の容器Bが供給される。この状態で液体充填装置100を起動すると、制御ユニット7は、搬送ユニット2を制御して、搬送ユニット2の中央搬送部2aに所定本数(ここでは8本)の容器B(容器群)を搬入する。このとき、容器群は、間隔調整部24により等間隔に配列されている。また、間隔調整部24は、複数の充填ノズル31に対応した間隔となるように容器を中央搬送部2aに送り出す。
【0049】
<2-2.ガイド動作及び液垂れ防止ユニットの解除動作>
中央搬送部2aに容器群が搬入されると、制御ユニット7は、一旦搬送ユニット2を停止する。この状態で、制御ユニット7は、ガイドユニット5を制御して容器群をガイド部51で挟むとともに、液垂れ防止ユニット6を制御して液垂れ受け部61を仕切り位置Tから仕切り退避位置Uに移動させる(
図5→
図6)。
【0050】
このように、受け部アクチュエータ62による液垂れ受け部61の仕切り位置Tから仕切り退避位置Uへの移動と、ガイドアクチュエータ52によるガイド部51(一方のガイド部51a)のガイド退避位置Sからガイド位置Rへの移動とが同時に行われる。ここで、それらの移動を同時に行うとは、移動開始時点及び移動終了時点が一致している必要はなく、それらの動作の一部が同時に行われていることを含む。
【0051】
<2-3.充填動作>
そして、制御ユニット7は、昇降ユニット4を制御して昇降台41により容器群をノズル下方位置Pから充填位置Qに上昇させる(
図7参照)。容器群を充填位置Qに移動させると、各容器Bがスライド管312を持ち上げて充填ノズル31の液体流出口31aを開放して各容器B内に液体が充填される。
【0052】
なお、搬送ユニット2を停止することなく、間隔調整部24により容器Bが中央搬送部2aに搬入されないようにして、上記のガイドユニット5、液垂れ防止ユニット6及び昇降ユニット4の動作を行っても良い。
【0053】
そして、容器群への液体の充填が終了すると、制御ユニット7は、昇降ユニット4を制御して昇降台41により充填済みの容器群を充填位置Qからノズル下方位置Pに下降させる(
図8参照)。これにより、充填済みの容器群は、搬送ユニット2(無端ベルト21)上に載置される。
【0054】
また、制御ユニット7は、ノズル下方位置Pにある充填済みの容器群が搬送ユニット2により搬送される前に、ガイドユニット5を制御してガイド部51(一方のガイド部51a)をガイド退避位置Sに移動させるとともに、液垂れ防止ユニット6を制御して液垂れ受け部61を仕切り退避位置Uから仕切り位置Tに移動させる(
図8→
図9)。
【0055】
このように、受け部アクチュエータ62による液垂れ受け部61の仕切り退避位置Uから仕切り位置Tへの移動と、ガイドアクチュエータ52によるガイド部51のガイド位置Rからガイド退避位置Sへの移動とが同時に行われる。ここで、それらの移動を同時に行うとは、移動開始時点及び移動終了時点が一致している必要はなく、それらの動作の一部が同時に行われていることを含む。
【0056】
<2-4.搬出動作・搬入動作>
その後、制御ユニット7は、搬送ユニット2を制御して充填済みの容器群を中央搬送部2aから搬出部2cに搬出する。これと同時に、搬入部2bから中央搬送部2aに空の容器群が搬入され、上記と同じ液体充填動作が繰り返される。本実施形態の搬送ユニット2は、容器群をノズル下方位置Pに移動して、容器群に液体が充填されて再びノズル下方位置Pに下降されるまで搬送動作が停止されている。
【0057】
<3.本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の液体充填装置100によれば、液垂れ防止ユニット6が、充填ノズル31からの液垂れを受ける液垂れ受け部61を、ノズル下方位置Pにある容器B及び充填ノズル31の間に位置する仕切り位置Tと、昇降ユニット4による容器Bの充填位置Qへの移動を可能にする仕切り退避位置Uとの間で移動させているので、充填ノズル31から容器Bへの液垂れを防止することができる。特に本実施形態では、容器Bのねじ切り部分に液が付着することを防止でき、キャップとねじ切り部分との間に液が残留しないようにできる。その結果、キャップとねじ切り部分との間にカビが生じてしまう等の問題を解決することができる。
【0058】
<4.その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0059】
例えば、前記実施形態では、液垂れ受け部61が複数の充填ノズル31に共通の単一部材であったが、複数の充填ノズル31を複数組に分けて、複数組それぞれに液垂れ受け部61を設けても良い。また、複数の充填ノズルそれぞれに個別に液垂れ受け部61を設けても良い。
【0060】
また、間隔調整部24を制御して、中央搬送部2aに搬入する容器Bの本数及び/又は間隔を変更することもできる。例えば、複数(例えば8つ)の充填ノズル31に対して8本の容器Bを搬入することもできるし、複数(例えば8つ)の充填ノズル31に対して例えば1つ飛ばしで4本の容器Bを搬入することもできる。
【0061】
さらに、液垂れ防止ユニット6の動作タイミングと、昇降ユニット4の動作タイミングとを調整可能に構成しても良い。この動作タイミングは、充填する液体の粘性等の種類に応じて調整することが考えられる。
【0062】
昇降ユニット4が容器Bをノズル下方位置Pから充填位置Qへ上昇させる場合には、液垂れ防止ユニット6は、容器Bがノズル下方位置Pから上昇される前に、液垂れ受け部61を仕切り位置から仕切り退避位置へ移動させても良いし、容器Bがノズル下方位置Pから充填位置Qに上昇されている途中で液垂れ受け部61を仕切り位置から仕切り退避位置へ移動させても良い。
【0063】
昇降ユニット4が容器Bを充填位置Qからノズル下方位置Pへ下降させる場合には、液垂れ防止ユニット6は、容器Bがノズル下方位置Pに下降された後に、液垂れ受け部61を仕切り退避位置から仕切り位置へ移動させても良いし、容器Bが充填位置Qからノズル下方位置Pに下降されている途中で液垂れ受け部61を仕切り退避位置から仕切り位置へ移動させても良い。
【0064】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
100・・・液体充填装置
B・・・容器
2・・・搬送ユニット
31・・・充填ノズル
3・・・液体充填ユニット
P・・・ノズル下方位置
Q・・・充填位置
4・・・昇降ユニット
5・・・ガイドユニット
R・・・ガイド位置
S・・・ガイド退避位置
51・・・ガイド部
52・・・ガイドアクチュエータ
6・・・液垂れ防止ユニット
T・・・仕切り位置
U・・・仕切り退避位置
61・・・液垂れ受け部
62・・・受け部アクチュエータ
61a・・・底板部
61b~61e・・・側壁部
【要約】
【課題】簡単な構成により充填ノズルから容器への液垂れを防止する。
【解決手段】容器Bを搬送する搬送ユニット2と、容器Bに液体を充填する充填ノズル31を有する液体充填ユニット3と、充填ノズル31の鉛直下方であるノズル下方位置P及び充填ノズル31により液体が充填される充填位置Qの間で容器Bを昇降させる昇降ユニット4と、充填ノズル31から容器Bへの液垂れを防止する液垂れ防止ユニット6とを備え、液垂れ防止ユニット6は、充填ノズル31からの液垂れを受ける液垂れ受け部61と、液垂れ受け部61を移動させる受け部アクチュエータ62とを有し、受け部アクチュエータ62は、ノズル下方位置Pにある容器B及び充填ノズル31の間に位置する仕切り位置T、及び、昇降ユニット4による容器Bの充填位置Qへの移動を可能にする仕切り退避位置Uの間で、液垂れ受け部61を移動させるものである。
【選択図】
図2