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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】治具
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20240119BHJP
   B23D 21/02 20060101ALI20240119BHJP
   G21F 9/30 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
B23Q3/06 304G
B23D21/02 B
G21F9/30 531H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023162981
(22)【出願日】2023-09-26
【審査請求日】2023-09-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523367978
【氏名又は名称】株式会社サンエイト
(74)【代理人】
【識別番号】110003812
【氏名又は名称】弁理士法人いくみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 剛右
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-168696(JP,A)
【文献】実開平06-003534(JP,U)
【文献】実開昭61-151824(JP,U)
【文献】特開2006-150394(JP,A)
【文献】実開昭62-150034(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第113600909(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06
B23D 21/02
B26D 3/16
E04G 23/08
G21F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状部材を、前記管状部材の長手方向に沿って切断するための治具であって、
前記管状部材の一端を固定する第1固定手段と、
前記管状部材の他端を固定する第2固定手段と、
前記第1固定手段から、前記長手方向と交差する方向に延びる第1フレームと、
前記第2固定手段から、前記長手方向と交差する方向に延びる第2フレームと、
前記長手方向に延び、前記第1フレームおよび前記第2フレームを連結する連結部材とを備え、
前記第1固定手段は、前記管状部材の一端において、前記管状部材の内周面に当接可能な第1内側支持部と、前記管状部材の一端において、前記管状部材の外周面に当接可能な第1外側支持部とを備え、
前記第2固定手段は、前記管状部材の他端において、前記管状部材の内周面に当接可能な第2内側支持部と、前記管状部材の他端において、前記管状部材の外周面に当接可能な第2外側支持部とを備え
前記第1内側支持部は、前記第2固定手段に向かって延びる第1内側突出部を備え、
前記第1外側支持部は、前記第1内側突出部と間隔を隔てて並行して延び、第1固定穴を有する第1外側突出部と、前記第1固定穴に挿通される第1固定部材とを備え、
前記第1内側突出部の前記第1外側突出部に対する対向部分が、前記管状部材の内周面に当接可能であり、
前記第1固定部材を前記第1固定穴に挿通することにより、前記第1固定部材が、前記管状部材の外周面に当接可能であり、
前記第2内側支持部は、前記第1固定手段に向かって延びる第2内側突出部を備え、
前記第2外側支持部は、前記第2内側突出部と間隔を隔てて並行して延び、第2固定穴を有する第2外側突出部と、前記第2固定穴に挿通される第2固定部材とを備え、
前記第2内側突出部の前記第2外側突出部に対する対向部分が、前記管状部材の内周面に当接可能であり、
前記第2固定部材を前記第2固定穴に挿通することにより、前記第2固定部材が、前記管状部材の外周面に当接可能である、治具。
【請求項2】
前記連結部材は、前記長手方向の長さが調節可能である、請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記連結部材は、前記第1フレームに連結される第1連結部材と、前記第2フレームに連結される第2連結部材とを備え、
前記第1連結部材および前記第2連結部材は、互いにスライド可能に構成される、請求項に記載の治具。
【請求項4】
前記第1連結部材および前記第2連結部材のうち、いずれか一方は、前記長手方向に延びる溝を備え、他方は、前記溝に嵌まる固定部を備える、請求項に記載の治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治具に関し、詳しくは、管状部材を、その長手方向に沿って切断するための治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力施設(例えば、原子力発電所)の廃炉作業では、原子炉に使用される配管は、その内部に対して、放射性物質による汚染を検査してから廃棄される。
【0003】
具体的には、まず、予め、配管を任意の長さに切断した後、配管を縦切り(詳しくは、配管の長手方向に沿って切断)して、その内部を検査する。
【0004】
配管を縦切りするための装置として、例えば、カッターを備えるパイプ縦切り開き装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このようなパイプ縦切り開き装置では、まず、プレスベースの上に、パイプを載置し、パイプの両端をパイプ保持部材で挟み込むように保持した後、カッターによって、パイプを縦切りする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭61-151824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、特許文献1のパイプ縦切り開き装置では、パイプの両端をパイプ保持部材で挟み込むように保持しているため、パイプの両端の端縁が、パイプの長手方向に対して直交する平坦面を有していなければ、パイプを固定することができない。そのため、配管を任意の長さに切断する際に、その切り口の端縁がパイプの長手方向に対して直交する平坦面を有するように整える必要があり、作業が煩雑になるという不具合がある。
【0007】
本発明は、管状部材の両端の端縁の形状に関わらず、管状部材を固定して、管状部材を、その長手方向に沿って切断することができる治具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明[1]は、管状部材を、前記管状部材の長手方向に沿って切断するための治具であって、前記管状部材の一端を固定する第1固定手段と、前記管状部材の他端を固定する第2固定手段と、前記第1固定手段から、前記長手方向と交差する方向に延びる第1フレームと、前記第2固定手段から、前記長手方向と交差する方向に延びる第2フレームと、前記長手方向に延び、前記第1フレームおよび前記第2フレームを連結する連結部材とを備え、前記第1固定手段は、前記管状部材の一端において、前記管状部材の内周面に当接可能な第1内側支持部と、前記管状部材の一端において、前記管状部材の外周面に当接可能な第1外側支持部とを備え、前記第2固定手段は、前記管状部材の他端において、前記管状部材の内周面に当接可能な第2内側支持部と、前記管状部材の他端において、前記管状部材の外周面に当接可能な第2外側支持部とを備える、治具である。
【0009】
このような構成によれば、管状部材の一端では、管状部材の内周面に第1内側支持部が当接するとともに、管状部材の外周面に第1外側支持部が当接し、管状部材の他端では、管状部材の内周面に第2内側支持部が当接するとともに、管状部材の外周面に第2外側支持部が当接する。これにより、管状部材の両端の端縁の形状に関わらず、管状部材を固定して、管状部材を、その長手方向に沿って切断することができる。
【0010】
本発明[2]は、前記第1内側支持部は、前記第2固定手段に向かって延びる第1内側突出部を備え、前記第1外側支持部は、前記第1内側突出部と間隔を隔てて並行して延び、第1固定穴を有する第1外側突出部と、前記第1固定穴に挿通される第1固定部材とを備え、前記第1内側突出部の前記第1外側突出部に対する対向部分が、前記管状部材の内周面に当接可能であり、前記第1固定部材を前記第1固定穴に挿通することにより、前記第1固定部材が、前記管状部材の外周面に当接可能であり、前記第2内側支持部は、前記第1固定手段に向かって延びる第2内側突出部を備え、前記第2外側支持部は、前記第2内側突出部と間隔を隔てて並行して延び、第2固定穴を有する第2外側突出部と、前記第2固定穴に挿通される第2固定部材とを備え、前記第2内側突出部の前記第2外側突出部に対する対向部分が、前記管状部材の内周面に当接可能であり、前記第2固定部材を前記第2固定穴に挿通することにより、前記第2固定部材が、前記管状部材の外周面に当接可能である、上記[1]に記載の治具を含んでいる。
【0011】
このような構成によれば、管状部材の両端の端縁の形状に関わらず、管状部材をより確実に固定して、管状部材を、その長手方向に沿って切断することができる。
【0012】
本発明[3]は、前記連結部材は、前記長手方向の長さが調節可能である、上記[1]または[2]に記載の治具を含んでいる。
【0013】
このような構成によれば、管状部材の長手方向の長さに合わせて、管状部材を固定することができる。
【0014】
本発明[4]は、前記連結部材は、前記第1フレームに連結される第1連結部材と、前記第2フレームに連結される第2連結部材とを備え、前記第1連結部材および前記第2連結部材は、互いにスライド可能に構成される、上記[3]に記載の治具を含んでいる。
【0015】
このような構成によれば、管状部材の長手方向の長さに合わせて、管状部材を固定することができる。
【0016】
本発明[5]は、前記第1連結部材および前記第2連結部材のうち、いずれか一方は、前記長手方向に延びる溝を備え、他方は、前記溝に嵌まる固定部を備える、上記[4]に記載の治具を含んでいる。
【0017】
このような構成によれば、管状部材の長手方向の長さに合わせて、管状部材を固定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の治具によれば、管状部材の両端の端縁の形状に関わらず、管状部材を固定して、管状部材を、その長手方向に沿って切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の治具の一実施形態の概略図を示す。
図2図2は、図1の治具の第1固定ユニットの拡大図を示す。
図3図3は、図1の治具の連結部材の拡大図を示す。
図4図4A図4Dは、図1の治具の使用方法の一実施形態を示す。図4Aは、治具を準備する第1工程を示す。図4Bは、連結部材の長手方向の長さを調節して、管状部材の一端において、管状部材の内周面に、第1内側支持部を当接させるとともに、管状部材の他端において、管状部材の内周面に、第2内側支持部を当接させる第2工程を示す。図4Cは、管状部材の一端において、管状部材の外周面に、第1外側支持部を当接させるとともに、管状部材の他端において、管状部材の外周面に、第2外側支持部を当接させる第3工程を示す。図4Dは、管状部材を、その長手方向に沿って切断する第4工程を示す。
図5図5Aおよび図5Bは、管状部材(両端の端縁が長手方向と直交する平坦面を有しない管状部材)の固定方法を説明する模式図を示す。図5Aは、従来技術であるパイプ縦切り開き装置を用いて、管状部材の固定方法を説明する模式図を示す。図5Bは、図1の治具を用いて、管状部材の固定方法を説明する模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照して、本発明の治具の一実施形態を説明する。
【0021】
図1において、紙面上下方向は、上下方向(管状部材の短手方向(以下、第1方向と称する場合がある。))であって、紙面上側が、上側(第1方向一方側)、紙面下側が、下側(第1方向他方側)である。また、紙面左右方向は、上下方向に直交する方向であって、左右方向(管状部材の長手方向(以下、第2方向と称する場合がある。))である。紙面右側が、右側(第2方向一方側)、紙面左側が、左側(第2方向他方側)である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。また、奥行き方向は、上下方向および左右方向に直交する方向(以下、第3方向と称する場合がある。)である。紙面手前側が、手前側(第3方向一方側)、紙面奥側が、奥側(第3方向他方側)である。
【0022】
<治具>
治具1は、管状部材10を、管状部材10の長手方向に沿って切断するための治具である。
【0023】
管状部材10は、管状を有する部材であれば特に限定されない。つまり、管状部材10の断面形状は、特に限定されない。断面形状として、例えば、矩形状、正方形状、円状、および、楕円状が挙げられる。
【0024】
また、管状部材10の両端の端縁の形状は、特に限定されない。詳しくは、管状部材10の端縁の形状としては、例えば、平坦面、凹凸面が挙げられる。また、これらの面は、管状部材10の長手方向に対して直交しても、管状部材10の長手方向に対して傾斜してもよい。また、管状部材10の一端11の形状と他端12の形状とが、同一または互いに相異なってもよい。なお、図1では、管状部材10の両端の端縁は、長手方向に対して直交する平坦面を有する。
【0025】
また、詳しくは後述するが、治具1によれば、管状部材10の両端の端縁の形状に関わらず、管状部材10を固定して、管状部材10を、その長手方向に沿って切断することができる。
【0026】
また、管状部材10を構成する材料は、特に限定されず、例えば、金属および樹脂が挙げられる。金属としては、例えば、鉄、銅、および、アルミニウムが挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0027】
このような管状部材10として、好ましくは、原子炉に使用される配管(パイプ)が挙げられる。
【0028】
管状部材10の長手方向の長さは、例えば、10cm~100cmである。
【0029】
管状部材10の短手方向の長さ(管状部材10の断面形状が円形である場合には、外径)は、例えば、34.0mm~89.1mmである。
【0030】
治具1の重さは、例えば、5kg以下、好ましくは、3kg以下である。また、通常、1kg以上である。
【0031】
治具1の重さが、上記上限以下であれば、携帯性に優れる。そのため、作業場に、治具1を携帯し、その場で使用することができる。
【0032】
治具1は、第1固定手段としての第1固定ユニット2と、第2固定手段としての第2固定ユニット3と、第1フレーム4と、第2フレーム5と、連結部材6とを備える。
【0033】
[第1固定ユニット]
第1固定ユニット2は、管状部材10の一端11を固定する。
【0034】
第1固定ユニット2は、第1内側支持部21と第1外側支持部22とを備える。
【0035】
第1内側支持部21は、管状部材10の一端11において、管状部材10の内周面13に当接可能である。具体的には、図2に示すように、第1内側支持部21は、第1内側突出部23を備える。
【0036】
第1内側突出部23は、棒状形状(角柱形状)を有する。第1内側突出部23は、第1フレーム4(後述)における第1方向一方側端部から、第2固定ユニット3に向かって延びる。具体的には、第1内側突出部23は、第1フレーム4(後述)の第1方向一方側端部から、第1フレーム4(後述)と第2フレーム5(後述)との対向方向(第2方向)内側に向かって、屈曲するように突出する。
【0037】
第1内側突出部23の長さ(第2方向の長さ)は、例えば、1cm~2cmである。
【0038】
第1内側突出部23の厚み(第1方向の長さ)は、管状部材10の短手方向の長さの半分よりも短く、例えば、0.5cm~1cmである。
【0039】
第1外側支持部22は、管状部材10の一端11において、管状部材10の外周面14に当接可能である。具体的には、第1外側支持部22は、第1外側突出部24と、第1固定部材25とを備える。
【0040】
第1外側突出部24は、棒状形状(角柱形状)を有する。第1外側突出部24は、第1フレーム4(後述)から第1内側突出部23と間隔を隔てて並行して延びる。具体的には、第1外側突出部24は、第1内側突出部23よりも、第1方向他方側に間隔を隔てた位置において、第1フレーム4(後述)から、第1フレーム4(後述)と第2フレーム5(後述)との対向方向(第2方向)内側に向かって、突出する。
【0041】
第1外側突出部24の長さ(第2方向の長さ)は、上記第1内側突出部23の長さよりも長い。
【0042】
第1外側突出部24は、第2方向一方側端部において、第1方向に貫通する第1固定穴26を備える。第1固定穴26の内周には、ネジ溝が設けられている。
【0043】
第1固定部材25は、第1ネジ27と、第1受け部28とを備える。
【0044】
第1ネジ27は、蝶ネジである。第1ネジ27は、第1ネジ27の頭部が第1方向他方側となり、第1ネジ27の先端部が第1方向一方側となるように、第1固定穴26に挿通され、螺着されている。
【0045】
第1受け部28は、第1台座部28Aと第1首振り部28Bとを備える。
【0046】
第1台座部28Aは、嵌合部28aと下側連結部28bとを備える。
【0047】
嵌合部28aの下面には、第1方向他方側に開放されるネジ穴が設けられている。ネジ穴には、第1ネジ27の先端部が螺着されている。
【0048】
下側連結部28bは、嵌合部28aの上面における中央部から、第1方向一方側に向かって、略球状に突出する。
【0049】
第1首振り部28Bは、上側連結部28cと当接部28dとを備える。
【0050】
上側連結部28cの下面には、第1方向他方側に開放され、下側連結部28bに対応する穴が設けられている。穴には、下側連結部28bが、摺動可能に篏合する(ユニバーサルジョイントしている。)。
【0051】
当接部28dは、上側連結部28cの上面から、Y字形状に突出する。
【0052】
そして、第1内側突出部23の第1外側突出部24に対する対向部分29が、管状部材10の内周面13に当接可能である。
【0053】
また、第1固定部材25を第1固定穴26に挿通することにより、第1固定部材25が、管状部材10の外周面14に当接可能である。具体的には、第1固定部材25における第1ネジ27を第1固定穴26に対して螺進することにより、第1受け部28が第1方向一方側に向かい、管状部材10の外周面14に当接可能である。
【0054】
[第2固定ユニット]
第2固定ユニット3は、管状部材10の他端12を固定する。
【0055】
第2固定ユニット3は、第2内側支持部31と第2外側支持部32とを備える。
【0056】
第2内側支持部31は、管状部材10の他端12において、管状部材10の内周面13に当接可能である。具体的には、第2内側支持部31は、第2内側突出部33を備える。
【0057】
第2内側突出部33は、棒状形状(角柱形状)を有する。第2内側突出部33は、第2フレーム5(後述)における第1方向一方側端部から、第1固定ユニット2に向かって延びる。具体的には、第2内側突出部33は、第2フレーム5(後述)の第1方向一方側端部から、第2フレーム5(後述)と第1フレーム4(後述)との対向方向(第2方向)内側に向かって、屈曲するように突出する。
【0058】
第2内側突出部33の長さ(第2方向の長さ)は、例えば、1cm~2cmである。また、第2内側突出部33の長さは、上記第1内側突出部23の長さと同じである。
【0059】
第2内側突出部33の厚み(第1方向の長さ)は、管状部材10の短手方向の長さの半分よりも短く、例えば、0.5cm~1cmである。また、第2内側突出部33の厚みは、上記第1内側突出部23の厚みと同じである。
【0060】
第2外側支持部32は、管状部材10の他端12において、管状部材10の外周面14に当接可能である。具体的には、第2外側支持部32は、第2外側突出部34と、第2固定部材35とを備える。
【0061】
第2外側突出部34は、棒状形状(角柱形状)を有する。第2外側突出部34は、第2フレーム5(後述)から第2内側突出部33と間隔を隔てて並行して延びる。具体的には、第2外側突出部34は、第2内側突出部33よりも、第1方向他方側に間隔を隔てた位置において、第2フレーム5(後述)から、第2フレーム5(後述)と第1フレーム4(後述)との対向方向(第2方向)内側に向かって、突出する。
【0062】
第2外側突出部34の長さ(第2方向の長さ)は、上記第2内側突出部33の長さよりも長い。
【0063】
第2外側突出部34は、第2方向他方側端部において、第1方向に貫通する第2固定穴36を備える。第2固定穴36の内周には、ネジ溝が設けられている。
【0064】
第2固定部材35は、第2ネジ37と、第2受け部38とを備える。
【0065】
第2ネジ37は、蝶ネジである。第2ネジ37は、第2ネジ37の頭部が第1方向他方側となり、第2ネジ37の先端部が第1方向一方側となるように、第2固定穴36に挿通され、螺着されている。
【0066】
第2受け部38は、第1受け部28と同様の部材を備える。具体的には、第2台座部(図示せず)と第2首振り部(図示せず)とを備える。
【0067】
第2台座部は、嵌合部と下側連結部とを備える。
【0068】
嵌合部の下面には、第1方向他方側に開放されるネジ穴が設けられている。ネジ穴には、第2ネジ37の先端部が螺着されている。
【0069】
下側連結部は、嵌合部の上面における中央部から、第1方向一方側に向かって、略球状に突出する。
【0070】
第2首振り部は、上側連結部と当接部とを備える。
【0071】
上側連結部の下面には、第1方向他方側に開放され、下側連結部に対応する穴が設けられている。穴には、下側連結部が、摺動可能に篏合する(ユニバーサルジョイントしている。)。
【0072】
当接部は、上側連結部の上面から、Y字形状に突出する。
【0073】
そして、第2内側突出部33の第2外側突出部34に対する対向部分39が、管状部材10の内周面13に当接可能である。
【0074】
また、第2固定部材35を第2固定穴36に挿通することにより、第2固定部材35が、管状部材10の外周面14に当接可能である。具体的には、第2固定部材35における第2ネジ37を第2固定穴36に対して螺進することにより、第2受け部38が第1方向一方側に向かい、管状部材10の外周面14に当接可能である。
【0075】
[第1フレーム]
第1フレーム4は、棒状形状(角柱形状)を有する。
【0076】
第1フレーム4は、第1固定ユニット2から、管状部材10の長手方向と交差(直交)する方向(第1方向)に延びる。
【0077】
第1フレーム4の第1方向一方側端部には、第1内側支持部21が接続されており、第1フレーム4の第1方向他方側端部には、第1連結部材41(後述)が連結されており、第1内側支持部21よりも第1方向他方側、かつ、第1連結部材41(後述)よりも第1方向一方側には、第1外側支持部22が接続されている。
【0078】
第1フレーム4の長さ(第1方向の長さ)は、例えば、20cm~30cmである。
【0079】
[第2フレーム]
第2フレーム5は、棒状形状(角柱形状)を有する。
【0080】
第2フレーム5は、第2固定ユニット3から、管状部材10の長手方向と交差(直交)する方向(第1方向)に延びる。詳しくは、第2フレーム5は、第1フレーム4と第2方向において互いに間隔を隔てて平行する。
【0081】
第2フレーム5の第1方向一方側端部には、第2内側支持部31が接続されており、第2フレーム5の第1方向他方側端部には、第2連結部材42(後述)が連結されており、第2内側支持部31よりも第1方向他方側、かつ、第2連結部材42(後述)よりも第1方向一方側には、第2外側支持部32が接続されている。
【0082】
第2フレーム5の長さ(第1方向の長さ)は、上記第1フレーム4の長さと同一である。
【0083】
[連結部材]
連結部材6は、第2方向に延び、第1フレーム4および第2フレーム5を連結する。
【0084】
連結部材6は、第1連結部材41と第2連結部材42とを備える。また、第1連結部材41および第2連結部材42は、互いにスライド可能に構成されている。
【0085】
第1連結部材41は、第1方向に直交する方向に広がる平板形状を有する。第1連結部材41は、第1フレーム4の第1方向他方側端部に接続される。第1連結部材41は、第1フレーム4における第1方向他方側端部から、第2方向一方側に向かって延びる。図3に示すように、第1連結部材41は、第2方向に延びる溝43を備える。溝43は、第1連結部材41の中央の大半を占める長穴である。
【0086】
第2連結部材42は、第1方向に直交する方向に広がる平板形状を有する。第2連結部材42は、第2フレーム5の第1方向他方側端部に接続される。第2連結部材42は、第2フレーム5における第1方向他方側端部から、第2方向他方側に向かって延びる。第1連結部材41の第2方向の長さと、第2連結部材42の第2方向の長さとは同じである。
【0087】
第2連結部材42は、第2方向において、固定部44を備える。
【0088】
固定部44は、雄ネジ44aと雌ネジ44bとを備える。雄ネジ44aは、第2連結部材42から第1方向一方側に突出するネジである。雌ネジ44bは、雄ネジ44aに螺着する蝶ネジである。雄ネジ44aが、第2連結部材42から第1方向一方側に突出するため、一旦、管状部材10の一方を切断した後、治具1をひっくり返して、他方を切断できる。
【0089】
また、第2連結部材42と第1連結部材41とは、第1方向一方側に向かって、重ね合わせられている。この状態において、溝43から、雄ネジ44aが、第1方向一方側に突出する。つまり、固定部44が、溝43に嵌まっている。また、雌ネジ44bが、雄ネジ44aに螺着されている。
【0090】
そして、固定部44における雌ネジ44bを緩めることによって、第1連結部材41および第2連結部材42のスライド(第2方向の移動)を可能する一方、固定部44における雌ネジ44bを締めることによって、第1連結部材41および第2連結部材42のスライド(第2方向の移動)を固定する。これにより、連結部材6は、管状部材10の長手方向の長さに合わせて、第2方向の長さを調節可能とする。
【0091】
<治具の使用方法>
図4A図4Dを参照して、治具の使用方法(具体的には、治具を用いて、管状部材を、その長手方向に沿って切断する方法)の一実施形態を説明する。
【0092】
治具の使用方法は、治具1を準備する第1工程と、連結部材6の長手方向の長さを調節して、管状部材10の一端11において、管状部材10の内周面13に、第1内側支持部21を当接させるとともに、管状部材10の他端12において、管状部材10の内周面13に、第2内側支持部31を当接させる第2工程と、管状部材10の一端11において、管状部材10の外周面14に、第1外側支持部22を当接させるとともに、管状部材10の他端12において、管状部材10の外周面14に、第2外側支持部32を当接させる第3工程と、管状部材10を、その長手方向に沿って切断する第4工程とを備える。
【0093】
[第1工程]
第1工程では、図4Aに示すように、治具1を準備する。
【0094】
[第2工程]
第2工程では、図4Bに示すように、連結部材6の長手方向の長さを調節して、管状部材10の一端11において、管状部材10の内周面13に、第1内側支持部21を当接させるとともに、管状部材10の他端12において、管状部材10の内周面13に、第2内側支持部31を当接させる。
【0095】
第2工程では、まず、連結部材6の長手方向の長さを調節する。具体的には、まず、固定部44における雌ネジ44bを緩めることによって、第1連結部材41および第2連結部材42をスライドさせて、連結部材6の第2方向の長さが、管状部材10の長手方向の長さ(第2方向)と一致するように調整し、その後、固定部44における雌ネジ44bを締めることによって、第1連結部材41および第2連結部材42のスライド(第2方向の移動)を固定する。このように、連結部材6により、管状部材10の長手方向の長さ(第2方向)を調節して、管状部材10の長手方向の長さに合わせて、第1フレーム4および第2フレーム5の間の第2方向の長さを固定する。
【0096】
このとき、管状部材10の一端11において、管状部材10の内周面13に、第1内側支持部21が当接するとともに、管状部材10の他端12において、管状部材10の内周面13に、第2内側支持部31が当接する。
【0097】
[第3工程]
第3工程では、図4Cに示すように、管状部材の一端11において、管状部材10の外周面14に、第1外側支持部22を当接させるとともに、管状部材10の他端12において、管状部材10の外周面14に、第2外側支持部32を当接させる。
【0098】
具体的には、管状部材の一端11において、第1固定部材25における第1ネジ27を螺進することよって、第1固定部材25を、第1方向他方側から第1方向一方側に移動させ、第1固定部材25における第1受け部28を、管状部材10の外周面14に当接させるとともに、管状部材の他端12において、第2固定部材35における第2ネジ37を螺進することよって、第2固定部材35を、第1方向他方側から第1方向一方側に移動させ、第2固定部材35における第2受け部38を、管状部材10の外周面14に当接させる。これによって、治具1は、管状部材10の内側(内周面13)および外側(外周面14)から、管状部材10を挟持する。
【0099】
[第4工程]
第4工程では、図4Dに示すように、管状部材10を、その長手方向に沿って切断する。
【0100】
具体的には、治具1を、例えば、万力などで固定した後、バンドソーなどの切断装置を用いて、管状部材10を、その長手方向に沿って切断する。
【0101】
<作用効果>
(1)治具1によれば、管状部材10の一端11では、管状部材10の内周面13に第1内側支持部21が当接するとともに、管状部材10の外周面14に第1外側支持部22が当接し、管状部材10の他端12では、管状部材10の内周面13に第2内側支持部31が当接するとともに、管状部材10の外周面14に第2外側支持部32が当接する。これにより、管状部材10の両端の端縁の形状に関わらず、管状部材10を固定して、管状部材10を、その長手方向に沿って切断することができる。
【0102】
詳しくは、従来、原子力施設(例えば、原子力発電所)の廃炉作業では、原子炉に使用される配管は、その内部に対して、放射性物質による汚染を検査してから廃棄される。
【0103】
具体的には、まず、予め、配管を任意の長さに切断した後、配管を縦切り(詳しくは、配管の長手方向に沿って切断)して、その内部を検査する。
【0104】
配管を縦切りするための装置として、特許文献1のパイプ縦切り開き装置が提案されている。特許文献1のパイプ縦切り開き装置では、図5Aに示すように、プレスベース51の上に、管状部材10を載置し、管状部材10の両端をパイプ保持部材52で挟み込むように保持した後、カッターによって、管状部材10を縦切りする。しかし、このパイプ縦切り開き装置では、管状部材10の両端をパイプ保持部材で52挟み込むように保持しているため、管状部材10の両端の端縁が、管状部材10の長手方向に対して直交する平坦面を有していなければ(図5Aでは、管状部材10の両端の端縁が管状部材10の長手方向に対して傾斜する平坦面を有する)、管状部材10を固定することができない。そのため、管状部材10を任意の長さに切断する際に、その切り口の端縁が管状部材10の長手方向に対して直交する平坦面を有するように整える必要があり、作業が煩雑になるという不具合がある。
【0105】
一方、治具1によれば、管状部材10の一端11では、管状部材10の内周面13に第1内側支持部21が当接するとともに、管状部材10の外周面14に第1外側支持部22が当接し、管状部材10の他端12では、管状部材10の内周面13に第2内側支持部31が当接するとともに、管状部材10の外周面14に第2外側支持部32が当接する。換言すれば、治具1によれば、第1内側支持部21、第1外側支持部22、第2内側支持部31および第2外側支持部32が当接する部分において、管状部材10を支持している。そのため、図5Bに示すように、管状部材10の両端の端縁が管状部材10の長手方向に対して傾斜する平坦面を有する場合であっても、管状部材10を固定して、管状部材10を、その長手方向に沿って切断することができる。その結果、作業性が向上する。
【0106】
(2)治具1によれば、第1内側支持部21は、第1内側突出部23を備え、第1外側支持部22は、第1内側突出部23と間隔を隔てて並行して延び、第1固定穴26を有する第1外側突出部24と、第1固定穴26に挿通される第1固定部材25とを備え、第1内側突出部23の第1外側突出部24に対する対向部分29が、管状部材10の内周面13に当接可能であり、第1固定部材25を第1固定穴26に挿通することにより、第1固定部材25が、管状部材10の外周面14に当接可能である。また、第2内側支持部31は、第1固定ユニット2に向かって延びる第2内側突出部33を備え、第2外側支持部32は、第2内側突出部33と間隔を隔てて並行して延び、第2固定穴36を有する第2外側突出部34と、第2固定穴36に挿通される第2固定部材35とを備え、第2内側突出部33の第2外側突出部34に対する対向部分39が、管状部材10の内周面13に当接可能であり、第2固定部材35を第2固定穴36に挿通することにより、第2固定部材35が、管状部材10の外周面14に当接可能である。
【0107】
これにより、管状部材10の両端の端縁の形状に関わらず、管状部材10をより確実に固定して、管状部材10を、その長手方向に沿って切断することができる。
【0108】
(3)治具1によれば、連結部材6は、前記長手方向の長さが調節可能である。
【0109】
これにより、管状部材10の長手方向の長さに合わせて、管状部材10を固定することができる。
【0110】
(4)治具1によれば、連結部材6は、第1フレーム4に連結される第1連結部材41と、第2フレーム5に連結される第2連結部材42とを備え、第1連結部材41および第2連結部材42は、互いにスライド可能に構成される。
【0111】
これにより、管状部材10の長手方向の長さに合わせて、管状部材10を固定することができる。
【0112】
(5)治具1によれば、第2連結部材42が、溝43を備え、第1連結部材41が溝43に嵌まる固定部44を備える。
【0113】
これにより、管状部材10の長手方向の長さに合わせて、管状部材10を固定することができる。
【0114】
<変形例>
変形例において、一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、変形例は、特記する以外、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、一実施形態およびその変形例を適宜組み合わせることができる。
【0115】
上記した説明では、第2連結部材42が、溝43を備え、第1連結部材41が固定部44を備えるが、第1連結部材41が、溝43を備え、第2連結部材42が固定部44を備えることもできる。
【0116】
つまり、第1連結部材41および第2連結部材42のうち、いずれか一方が、溝43を備え、他方は、溝43に嵌まる固定部44を備える。
【0117】
上記した説明では、第1固定部材25は、第1ネジ27と、第1受け部28とを備えるが、第1固定部材25は、第1受け部28を備えず、第1ネジ27からなることもできる。このような場合には、第1ネジ27の螺進によって、第1ネジ27の先端が、管状部材10の外周面14に当接する。また、第2固定部材35についても、同様である。
【符号の説明】
【0118】
1 治具
2 第1固定ユニット
3 第2固定ユニット
4 第1フレーム
5 第2フレーム
6 連結部材
10 管状部材
11 一端
12 他端
13 内周面
14 外周面
21 第1内側支持部
22 第1外側支持部
23 第1内側突出部
24 第1外側突出部
25 第1固定部材
26 第1固定穴
31 第2内側支持部
32 第2外側支持部
33 第2内側突出部
34 第2外側突出部
35 第2固定部材
36 第2固定穴
41 第1連結部材
42 第2連結部材
43 溝
44 固定部
【要約】
【課題】管状部材の両端の端縁の形状に関わらず、管状部材を固定して、管状部材を、その長手方向に沿って切断することができる治具を提供すること。
【解決手段】治具1は、管状部材10を長手方向に沿って切断するための治具である。治具1は、第1固定ユニット2と第2固定ユニット3と第1フレーム4と第2フレーム5と連結部材6とを備える。第1固定ユニット2は、管状部材10の一端11において管状部材10の内周面13に当接可能な第1内側支持部21と、管状部材10の一端11において管状部材10の外周面14に当接可能な第1外側支持部22とを備える。第2固定ユニット3は、管状部材10の他端12において管状部材10の内周面13に当接可能な第2内側支持部31と、管状部材10の他端12において管状部材10の外周面14に当接可能な第2外側支持部32とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5