(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法ならびにプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240119BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
G06F3/12 326
G06F3/12 303
G06F3/12 384
G06F3/12 387
H04N1/00 127B
H04N1/00 127A
(21)【出願番号】P 2020015845
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】保田 晃宏
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-501341(JP,A)
【文献】特開2004-280162(JP,A)
【文献】特開2003-178023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷装置の情報
を記憶するサーバーシステムであって、
記憶された前記複数の印刷装置のうち一つの印刷装置の情報をデフォルト値として設定することのできる前記サーバーシステムと通信することのできる情報処理装置であって、
前記サーバーシステムにデフォルト値として
設定された前記一つの印刷装置の情報を取得する取得手段と、
前記サーバーシステムを介さずに通信することのできる複数の印刷装置のうち、一つの印刷装置の情報をデフォルト値として記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記一つの印刷装置の情報と前記取得手段により取得された前記一つの印刷装置の情報いずれをデフォルト値として利用するかをユーザー指示に基づき設定する設定手段と、
前記設定手段による設定に基づき特定される一つの印刷装置の情報をデフォルト値として表示する表示手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記取得手段により取得された前記一つの印刷装置の情報をデフォルト値として表示すると設定されていることに基づき、前記取得手段により取得された前記一つの印刷装置の情報を印刷に使用する印刷装置のデフォルト値として表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記取得手段により取得された前記一つの印刷装置の情報をデフォルト値として利用する設定がなされていないことに基づき、前記記憶手段に記憶された前記一つの印刷装置をデフォルト値として表示することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記設定手段により前記サーバーシステムに
設定された前記一つの印刷装置の情報をデフォルト値とすることが設定されたことを前記サーバーシステムに通知する通知手段と、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示手段は、印刷設定画面の表示指示に従って、前記設定手段による設定に基づき特定される一つの印刷装置の情報を前記デフォルト値として表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記印刷設定画面において設定されている印刷装置が前記取得手段により取得された印刷装置の情報である場合、前記サーバーシステムに印刷データを送信し、
前記印刷設定画面に設定されている印刷装置が前記記憶手段に記憶された印刷装置である場合、前記印刷装置に印刷データを送信する送信手段をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数の印刷装置の情報が登録されたサーバーシステムであって、登録された前記複数の印刷装置のうち一つの印刷装置の情報をデフォルト値として設定することのできる前記サーバーシステムと通信することのできる情報処理装置の制御方法であって、
前記サーバーシステムにデフォルト値として
設定された前記一つの印刷装置の情報を取得する取得工程と、
前記サーバーシステムを介さずに通信することのできる複数の印刷装置のうち、一つの印刷装置の情報をデフォルト値として記憶する記憶工程と、
前記記憶工程において記憶された前記一つの印刷装置の情報と前記取得工程において取得された前記一つの印刷装置の情報いずれをデフォルト値として利用するかをユーザー指示に基づき設定する設定工程と、
前記設定工程において設定に基づき特定される一つの印刷装置の情報をデフォルト値として表示する表示工程と、を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項8】
前記表示工程において、前記取得工程において取得された前記一つの印刷装置の情報をデフォルト値として表示すると設定されていることに基づき、前記取得工程において取得された前記一つの印刷装置の情報を印刷に使用する印刷装置のデフォルト値として表示することを特徴とする請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記表示工程において、前記取得工程において取得された前記一つの印刷装置の情報をデフォルト値として利用する設定がなされていないことに基づき、前記記憶工程において記憶された前記一つの印刷装置をデフォルト値として表示することを特徴とする請求項7または8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記設定工程において前記サーバーシステムに設定された前記一つの印刷装置の情報をデフォルト値とすることが設定されたことを前記サーバーシステムに通知する通知工程をさらに有することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記表示工程において、印刷設定画面の表示指示に従って、前記設定工程における設定に基づき特定される一つの印刷装置の情報を前記デフォルト値として表示することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記印刷設定画面において設定されている印刷装置が前記取得工程において取得された印刷装置の情報である場合、前記サーバーシステムに印刷データを送信し、
前記印刷設定画面に設定されている印刷装置が前記記憶工程において記憶された印刷装置である場合、前記印刷装置に印刷データを送信する送信工程をさらに有することを特徴とする請求項11に記載の制御方法。
【請求項13】
複数の印刷装置の情報が登録されたサーバーシステムであって、登録された前記複数の印刷装置のうち一つの印刷装置の情報をデフォルト値として設定することのできる前記サーバーシステムと通信することのできる情報処理装置により実行され、情報処理装置の制御方法を前記情報処理装置に実行させるコンピュータプログラムであって、
前記サーバーシステムにデフォルト値として設定された前記一つの印刷装置の情報を取得する取得工程と、
前記サーバーシステムを介さずに通信することのできる複数の印刷装置のうち、一つの印刷装置の情報をデフォルト値として記憶する記憶工程と、
前記記憶工程において記憶された前記一つの印刷装置の情報と前記取得工程において取得された前記一つの印刷装置の情報いずれをデフォルト値として利用するかをユーザー指示に基づき設定する設定工程と、
前記設定工程において設定に基づき特定される一つの印刷装置の情報をデフォルト値として表示する表示工程と、を前記情報処理装置に実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記表示工程において、前記取得工程において取得された前記一つの印刷装置の情報をデフォルト値として表示すると設定されていることに基づき、前記取得工程において取得された前記一つの印刷装置の情報を印刷に使用する印刷装置のデフォルト値として表示することを特徴とする請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記表示工程において、前記取得工程において取得された前記一つの印刷装置の情報をデフォルト値として利用する設定がなされていないことに基づき、前記記憶工程において記憶された前記一つの印刷装置をデフォルト値として表示することを特徴とする請求項13または14に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記設定工程において前記サーバーシステムに設定された前記一つの印刷装置の情報をデフォルト値とすることが設定されたことを前記サーバーシステムに通知する通知工程をさらに有することを特徴とする請求項13乃至15のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記表示工程において、印刷設定画面の表示指示に従って、前記設定工程における設定に基づき特定される一つの印刷装置の情報を前記デフォルト値として表示することを特徴とする請求項13乃至16のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記印刷設定画面において設定されている印刷装置が前記取得工程において取得された印刷装置の情報である場合、前記サーバーシステムに印刷データを送信し、
前記印刷設定画面に設定されている印刷装置が前記記憶工程において記憶された印刷装置である場合、前記印刷装置に印刷データを送信する送信工程をさらに有することを特徴とする請求項17に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
情報処理装置、情報処理装置の制御方法ならびにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
クラウドサービスに登録された文書データを印刷する際に、印刷機能を有するクラウドプリントサービスを経由して画像形成装置に印刷データを送信することが知られている。このような印刷システムでは、まず管理者が、クラウドプリントサービス上のグループへ画像形成装置を登録する。管理者は、画像形成装置を登録したグループに所属するユーザーに対して画像形成装置の使用を許可させるかを設定する。
【0003】
管理者による設定により画像形成装置の使用を許可されたユーザーは、クライアント端末からクラウドプリントサービス宛てに印刷ジョブを投入する。すると、クラウドプリントサービスは、受信した印刷ジョブを保存し管理する。そして、画像形成装置は、クラウドプリントサービスが管理する印刷ジョブを表示し、ユーザーにより選択された印刷ジョブをクラウドプリントサービスから取得して出力する(例えば、特許文献1)。
【0004】
クラウドプリントサービスの代表例として、例えばGoogleCloudPrint(登録商標)(特許文献1)、MicrosoftHybridCloudPrint(登録商標)、uniFLOW Online(登録商標)などがある。
【0005】
一方でOSには、上記のようなクラウドプリントサービスを利用しないローカルプリントの1機能として、よく利用するプリンターをデフォルトプリンターとして登録することができる。この機能を使うことでユーザーは利用するプリンターを指定せずともデフォルトとして登録されたプリンターに印刷データを送信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
クラウドプリントサービスに登録されている複数のプリンターから、ユーザーがよく使用するプリンターをデフォルトのプリンターとして設定することが考えられている。ユーザーがデフォルトプリンターを設定すると、印刷時にクラウドプリントサービスに登録されているプリンターから使用するプリンターを選択しなくても自動的にデフォルトに設定されたプリンターが選択された状態の印刷画面を表示することが可能となる。
【0008】
印刷に利用できるプリンターを表示する際に、ローカルプリントに用いられるプリンターとクラウドプリントサービスのプリンターの両方を表示する場合、いずれの印刷で用いられるプリンターをデフォルトのプリンターとして表示すべきかが明確でない。そのため、ユーザーや管理者が意図していない印刷キューがデフォルトとして表示されてしまう可能性がある。
【0009】
本発明の目的は、ローカルプリントに用いられるプリンターとクラウドプリントサービスにて用いられるプリンターの両方から、適切なデフォルトプリンターを選択することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態に記載の情報処理装置は、複数の印刷装置の情報が記憶されたサーバーシステムであって、記憶された前記複数の印刷装置のうち一つの印刷装置の情報をデフォルト値として設定することのできる前記サーバーシステムと通信することのできる情報処理装置であって、前記サーバーシステムにデフォルト値として設定された前記一つの印刷装置の情報を取得する取得手段と、前記サーバーシステムを介さずに通信することのできる複数の印刷装置のうち、一つの印刷装置の情報をデフォルト値として記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記一つの印刷装置の情報と前記取得手段により取得された前記一つの印刷装置の情報いずれをデフォルト値として利用するかをユーザー指示に基づき設定する設定手段と、前記設定手段による設定に基づき特定される一つの印刷装置の情報をデフォルト値として表示する表示手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
OSはローカルプリントのデフォルトプリンターとクラウドプリントのデフォルトプリンターの双方が合った場合でも管理者やユーザーが意図したプリンターをデフォルトプリンターとして設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態におけるクライアントコンピューター100におけるハードウェア構成の一例を示す図。
【
図2】本実施形態におけるネットワーク構成の一例を示す図。
【
図3】本実施形態におけるクラウドプリントサービス500における機能ブロックの一例を示す図。
【
図4】第1の実施形態において、クラウドプリントサービス500に登録されているデフォルトプリンターをクライアントコンピューターに登録するフローチャート。
【
図5】本実施形態におけるクラウドプリントサービス500が保持するプリンターの情報データベースの一例を示す図。
【
図6】本実施形態におけるクライアントコンピューター上のプリンター一覧を表す一例を示す図。
【
図7】本実施形態において、グループポリシー適応するためのネットワーク構成の一例を示す図。
【
図8】本実施形態において、グループポリシーの優先順位を管理するためのテーブルの一例を示す図。
【
図9】第1の実施形態において、クライアントコンピューターでデフォルトプリンターの設定を変更する処理を示すフローチャートである。
【
図10】第2の実施形態において、デフォルト設定を管理するためのテーブルの一例を示す図。
【
図11】第2の実施形態において、デフォルトプリンターの設定を適用するための処理を示すフローチャートである。
【
図12】第2の実施形態において、デフォルトプリンターの設定を変更する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】第3の実施形態において、クライアントコンピューターが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】第4の実施形態において、クライアントコンピューターが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
図1は本発明の実施形態を示す一般的なコンピューター(情報処理装置)のハードウェア構成図である。なお、特に断らない限り本発明の機能が実行されるのであれば、単体の機能であっても、複数の機器からなるシステムであっても、ネットワークを介して接続がなされて処理が行われるシステムであっても、本発明を適用できる事は言うまでもない。クライアントコンピューター100は
図1で示されるシステムで構成されている。以下に詳細な説明を記載する。
【0014】
CPU101は主記憶装置102のROM1021あるいはRAM1022あるいは補助記憶装置105に格納されたプログラムに従って装置全体の制御を行う。
【0015】
RAM1022はCPU101が各種処理を行う際のワークエリアとしても使用される。補助記憶装置105はオペレーションシステム(OS)1053やアプリケーション1051、印刷拡張アプリケーション1052等を記録する。以降の説明では、主記憶装置102と補助記憶装置105を合わせて記憶装置と記載する。
【0016】
マウス・タッチパネルなどに代表されるポインティングデバイス109やキーボード108などの入力機器は、入力I/F103を通じて接続され、ユーザーがコンピューターに対して各種指示を与えるためのデバイスである。
【0017】
出力I/F104は、データを外部に出力するためのインターフェースであり、モニター110やパネル111のような出力機器に対してデータを出力する。
【0018】
プリンター200や各システムとの接続は、通信I/F106を経由しネットワーク150を通じて接続される。また、107は共通データシステムバスで、I/Fやモジュール間でデータのやり取りを行う。加えて、CPU101が記憶装置に記憶されているプログラムに基づき処理を実行することによって、本発明の処理が実現される。
【0019】
図2は、本発明の実施形態を示すネットワーク150の環境を簡略したネットワーク構成図である。ネットワーク150にはクライアントコンピューター100とプリンター200が接続されており、同一イントラネットワークで構成され、通信可能な状態になっている。また、別のイントラネットに接続されているプリンター201、プリンター202が存在しており、インターネットを通じて接続されている。ネットワーク150には更にクラウドプリントサービス500が接続されており、クラウドプリントサービス500もインターネットを通して、クライアントコンピューター100やプリンター200、201、202等と通信可能である。
【0020】
クラウドプリントサービス500は、複数のサーバーからなるサーバーシステムであるクラウド上(すなわち、サーバーシステム上)に構築されるインターネット上のクラウドプリントサービスである。本実施形態では、其々のイントラネットに対して接続が可能であり、インターネットを通じてクライアントコンピューター100およびプリンター200やプリンター201、プリンター202との接続が可能である。クラウドプリントサービス500は、ユーザーIDとPASSWORDを利用したアカウント管理がなされており、ユーザーはこのアカウントを利用してクラウドプリントサービス500にアクセスすることができる。
【0021】
図3は、本発明の実施形態を示すクラウドプリントサービス500の機能ブロック図である。
【0022】
クラウドプリントサービス500は、インターネットを通じたクラウド上に存在するサービスであり、印刷に関連する機能を提供可能とする。本実施形態では、プリンター登録部501、印刷キュー生成部502、プリンターリスト生成部503、探索応答部504、プリンターデータベース510の機能を持つ。さらに、印刷ジョブ管理部505、印刷ジョブ生成部506、印刷ジョブ保存領域511の機能を持つ。また、これらの機能がクラウドプリントサービス500と連携する別のクラウドプリントサービスにあっても構わない。
【0023】
以下、プリンター201を例に記載しているが、クラウドプリントサービス500と接続可能なプリンター200やプリンター202でも同様の処理で実現可能である。
【0024】
プリンター登録部501は、プリンター201からプリンターの登録指示があった場合、印刷キュー生成部502を利用して印刷キューを生成させ、生成された印刷キューをプリンターデータベース510にプリンター識別情報と紐づけて登録する。このようにプリンターの印刷キューとプリンター識別情報とが紐づけて登録されていることを、プリンターが登録されていると呼ぶ。ここで登録されたプリンターに対して、様々な属性が付加される場合がある。例えば、プリンターの所在地や登録されているプリンターに誰がアクセスすることができるのかといったアカウント情報が該当する。
【0025】
プリンターリスト生成部503は、登録されたプリンターのリストを生成する。
【0026】
探索応答部504は、クライアントコンピューター100からのクラウドプリントサービス500に対してプリンター探索のイベントに対し、登録されているプリンターの情報を応答する。
【0027】
印刷ジョブ管理部505は、クライアントコンピューター100から印刷ジョブを受信し、状況に応じてプリンター201に直接印刷ジョブを送付する。もしくはいったん印刷ジョブ保存領域511に保存して、出力先のプリンターが決定したタイミングで印刷ジョブ生成部506に渡して、適切な形式に変換して印刷ジョブを送付する。
【0028】
ここで、クラウドプリントサービス500にプリンターを登録する手順を説明する。プリンターの登録はプリンターの管理者により行われる。クラウドプリントサービス500に登録されたプリンターは、管理者により使用が許可されたユーザーまたはグループに公開される。使用が許可されたユーザー、または、使用が許可されたグループに属するユーザーは管理者の登録したプリンターを用いて印刷を行うことができる。
【0029】
ここでは、プリンター200をクラウドプリントサービス500に登録する場合を例に説明する。
【0030】
本実施形態では、クライアントコンピューター100からプリンター200にアクセスし、プリンター200を操作することでクラウドプリントサービス500にプリンター200の登録要求を送信する。
【0031】
プリンター200はクラウドプリント機能(クラウドプリントサービスから印刷ジョブを受信して印刷する機能)と、クライアントコンピューター100からプリンター200を操作するためのWebUI機能をサポートしている。WebUI機能とは、UIを生成してネットワーク上に公開する機能である。クライアントコンピューター100はクラウドプリントクライアント機能(クラウドプリントサービスにファイルを送信する機能)と、WebUIを操作するためのWebUIクライアント(例えば、Webブラウザー)をサポートしている。また、クラウドプリントサービス500はインターネット上のクラウドプリントサービスを表す。
【0032】
ユーザーはまずクライアントコンピューター100のWebUIクライアントを利用して、プリンター200のWebUIを開き、当該WebUI上で、クラウドプリントサービスにプリンターを登録するためのボタンを選択する。
【0033】
プリンター200は、クラウドプリントサービス500にプリンターの登録要求を管理者ユーザーのアクセストークンと共に送信する。
【0034】
クラウドプリントサービス500は取得したアクセストークンを用いて認証を行い、認証に成功した場合、クラウドプリントサービス500にプリンターの情報を登録する。プリンターの情報とは、たとえば、プリンターの名称、プリンターの機種情報を示すHWID、IPアドレスなどである。
【0035】
上記の操作により、クラウドプリントサービスへのプリンターの登録が完了する。
【0036】
次に、管理者がクラウドプリントサービスのプリンターを管理する方法について説明する。プリンターの管理とは、たとえば、クラウドプリントサービス500に登録されているプリンターごとに利用できるユーザーやグループを設定したり、登録されているいずれのプリンターをデフォルトプリンターとするかを設定することができる。デフォルトプリンターとは、クラウドプリントサービスを利用して印刷するときに、印刷設定画面において、最初に設定されているプリンターである。また、印刷設定画面を表示せずに印刷する場合に使用されるプリンターである。
【0037】
管理者であるユーザーは、クラウドプリントサービス500にアクセスし、プリンターの管理権限があるアカウントでクラウドプリントサービスにログインする。そして、ユーザーは登録されているプリンターリストを表示する。
【0038】
管理者は、自身が管理するグループからデフォルトプリンターを設定するグループを選択する。
【0039】
クラウドプリントサービス500は、選択されたグループが使用することのできるプリンターのリストを表示する。ユーザーは表示されたプリンター一覧から当該グループのデフォルトとなるプリンターを設定する。
【0040】
なお、上記ではクラウドプリントサービス500を利用するユーザーのうち、プリンターの管理権限を有するユーザーがデフォルトプリンターを設定するとした。プリンターの管理権限を有していないユーザーであっても、当該ユーザーの利用するデフォルトプリンターを設定することができるとしてもよい。
【0041】
図5(A)は、クラウドプリントサービス500が保持するプリンターの情報のプリンターデータベース510の一例である。デバイス名は、登録時にプリンター201から取得したプリンターの名称(デバイス名)を指す。HWIDはプリンター201の機種を識別する際に用いる識別子(機種固有の識別子。即ち、画像形成装置固有の識別情報)を指す。IPアドレスは、接続先のプリンター201のIPアドレスを指す。
【0042】
図5(B)は、クラウドプリントサービス500で管理される、ユーザー情報とプリンター情報の紐付けを表すデータベースである。
【0043】
ユーザー情報には、登録されているユーザーを識別する情報、例えばユーザー名やIDが格納されている。デフォルトプリンターは、クラウドプリントサービス500で設定されたデフォルトプリンターを特定する情報が記憶される。プリンターを特定する情報とは、例えばデバイス名やデバイスのシリアル番号などである。デフォルトプリンターを、管理者またはユーザーがデフォルトプリンターを設定した場合のみ登録される。例えば、
図5(B)では、“Taro”は“iR_ADV_CCC61B1”をデフォルトプリンターとして設定している。一方で、“Rena”はデフォルトプリンターを設定していないため、デフォルトプリンターが空欄となっている。
【0044】
プリンターは各ユーザーがクラウドプリントサービスに登録されたプリンターであって、各ユーザーに利用が許可されたプリンターである。“Taro”は”iR-ADV CCCC”と“iR_ADV XXXX”、“AAAA”を利用することができる。一方で、“Hanako”は“iR_ADV XXXX”と“AAAA”を使用することができる。
【0045】
クラウドプリントサービス500はクライアントコンピューター100から登録されているプリンターの情報取得要求を受けて、
図5(B)に示すテーブルを参照する。クライアントコンピューター100にログインしているユーザーと対応するユーザーのデフォルトプリンター情報とプリンター情報を取得し、クライアントコンピューター100にプリンター情報を応答する。
【0046】
一方で、クライアントコンピューター上でもクラウドプリントサービス500を使わずに印刷を行う際のデフォルトプリンターを設定することができる。
【0047】
クライアントコンピューターがクラウドプリントサービスを介さずに通信することのできるプリンターからデフォルトとして設定するプリンターを登録する。デバイス情報には、当該クライアントコンピューターを識別する情報が記憶される。ローカルデフォルトプリンターには、クラウドプリントサービスを利用しない印刷に使われるプリンターの識別情報が記憶される。ローカルプリンターは、クライアントコンピューター100がサーバーシステムを使わずに印刷することのできるプリンターを示している。
【0048】
ユーザーがデフォルトプリンターを登録すると、
図5(C)に示す情報がクライアントコンピューターの記憶装置に書き込まれる。本実施形態ではクライアントコンピューターごとにデフォルトプリンターを設定するとするが、クライアントコンピューターにログインするユーザーごとにデフォルトプリンターが設定できてもよい。
【0049】
クラウドプリントサービス500を介した印刷と、クラウドプリントサービス500を介していない印刷の両方を実行できるクライアントコンピューターではクラウドプリントサービスのデフォルトとローカルデフォルトプリンターの両方が存在する。ユーザーの環境によってローカルデフォルトプリンターをデフォルトとして表示したい場合と、クラウドプリントサービスのデフォルトをデフォルトとして表示したい場合がある。そこで、本実施形態では、管理者がデフォルトとして表示するプリンターのグループポリシーを設定することで、適したプリンターをデフォルトとして表示するようにする。
【0050】
ここで、デフォルトプリンターの設定をグループごとに管理するためのネットワーク環境について
図7を用いて説明する。
【0051】
図7は、グループポリシー管理サーバー300とグループポリシーが適応されるクライアントコンピューターのネットワークの構成を表す。グループポリシーとは、ユーザーやコンピューターに対する設定を一元的に管理するためのActiveDirectory(商標登録)の仕組みである。当該機能は、セキュリティを強化したり、Windows(商標登録)が搭載している機能を有効/無効にしたりするといった目的で、企業内で扱うコンピューター/ユーザーを同じ設定にしたい場合に活用することができるOSの機能である。本発明の実施形態では、Microsoft社が提供しているグループポリシーを例として説明を行うが、これは実行を限定するものではなくOSの機能やアプリの機能で端末やユーザーの管理、制限ができたとしても同様のものとする。
【0052】
グループポリシー管理サーバー300には、クライアントコンピューター群がネットワークによって接続されている。Organizational Unit(OU)とは、任意のグループポリシーを適用する所属グループのことを示す。クライアントコンピューター群の管理者(非図示)は、OU毎にグループポリシーを割り当て、クライアントコンピューター群を管理することができる。
【0053】
管理者はグループポリシーの編集権限を有するアカウントで、クライアントコンピューターにログインする。管理者は、クライアントコンピューターからグループポリシー管理サーバー300にアクセスし、OUごとにポリシーを設定する。
【0054】
本発明の実施形態では、グループポリシー管理サーバー300に二つのOUが存在し別のグループポリシーが適応することができる図を表している。OU1にはクライアントコンピューター100、クライアントコンピューター101、クライアントコンピューター102が所属しており、OU2にはクライアントコンピューター103、クライアントコンピューター104が所属している。グループポリシーはコンピューター/ユーザーに対して複数OUを割り当てることができ、優先順位をつけることができる。本実施形態では、このグループポリシーを用いてデフォルトプリンターの決定手段を管理する。
【0055】
本発明の実施形態のOUの構成は次の通りである。OU1には2つのグループポリシーが適応されている。上述したようにOUではコンピューターやユーザーに複数グループポリシーを適応することができ、且つ、優先度の設定をすることができる。優先度は次の2つが適応されるものとする。1つ目に優先度の高いグループポリシーではクラウドプリントのデフォルトプリンターをクライアントコンピューターのデフォルトとする設定とする。二つ目に優先度の低いグループポリシーではローカルプリントプリントのデフォルトプリンターをクライアントコンピューターのデフォルトプリンターとするように設定する。
【0056】
図8は、グループポリシー管理サーバー300に記憶されるOU1のグループポリシーである。ここではひとつのOUに対応するグループポリシーであり、デフォルトプリンターの設定に関するポリシーのみを記載している。優先順位はポリシーの優先順位を示しており、数字が小さいほど優先度が高い。ポリシー内容は設定されているポリシーの内容である。
図8に示すテーブルでは、クラウドプリントサービスでデフォルトプリンターが設定されている場合は、クラウドプリントサービスの設定を優先して表示する。一方で、クラウドプリントサービスのデフォルトプリンターが設定されていない場合、ローカルデフォルトプリンターをクライアントコンピューターのデフォルトプリンターとして表示する。
【0057】
次に、本実施形態において、クライアントコンピューターが印刷に使用することのできるプリンター一覧を表示する場合の処理について
図4を用いて説明する。
【0058】
図4に記載の処理は、クライアントコンピューター100において、使用することのできるプリンターの一覧を表示するユーザー操作がなされたことに従って開始される。以下、
図4のフローチャート図を用いて説明する。本フローチャートはOSが実行する処理であり、OSがプログラムを実行することで処理が実現される。
【0059】
ユーザーはクライアントコンピューター100に対して、クラウドプリントサービス500のプリンターデータベース510に登録されているアカウントでログインを行う必要がある。S400において、ユーザーがクラウドプリントサービスのアカウントでクライアントコンピューターにログインすることで本フローチャートの処理が開始される。
【0060】
S401において、OS1053は、クラウドプリントサービス500アカウントとOSの紐付けを行う。アカウントの紐付けが行われたのち、OS1053は、ローカルに生成されている印刷キューの情報を取得し、モニター110に表示する。ここでは、
図5(B)に示すテーブルからTaroがログインしたとする。OSは、
図5(C)に示すテーブルを参照し、“BBB”から“EEE”までの4つのプリンターの印刷キューの情報を取得する。
【0061】
次に、S402において、クラウドプリントサービス500からプリンター情報を取得し、ローカルのOSに保存されているプリンター情報と結合する。
図6(B)の上段はクラウドプリントサービス500から取得したプリンター情報を指し、ここでは、
図5(B)に示すテーブルでTaroに紐づけて記憶されたプリンター情報が表示されている。
図6(B)では、クラウド上の印刷キューに加え、ローカルに生成された印刷キューに対応するプリンター情報が表示されている。これら二つのプリンター情報を結合することでクラウドプリントサービス500に登録されたプリンター情報とクライアントコンピューター100のローカルに登録されたプリンター情報を一括で扱うことができる。
【0062】
次に、S403において、OS1053はログイン情報に対して、デフォルトプリンターが登録されているかをクラウドプリントサービス500に対して確認する。もし、デフォルトプリンターの登録がされていない場合、OS1053はS406へ処理を進める。
【0063】
S406において、OS1053は前述した優先度の低いグループポリシーに従い、端末つまりクライアントコンピューター100に登録されているデフォルトプリンターをOS上のデフォルトとして登録し、S407に進む。クラウドプリントサービスにデフォルトプリンターが登録されていない場合、
図8に示すグループポリシーのうち、優先順位1のポリシーを満たすプリンターが存在しない。そこで、OSは優先順位2のポリシーに従って、デフォルトプリンターを設定する。OSは
図5(C)のテーブルを参照し、プリンター“EEE”をデフォルトとして設定する。なお、ローカルプリンターがない場合は、クラウドプリントサービスに登録されている任意のプリンターをデフォルトプリンターとして設定する。
【0064】
S403において、クラウドプリントサービス500にデフォルトプリンターの登録がされている場合、OS1053はS404に処理を進める。
【0065】
S404において、OS1053はグループポリシーとしてクラウドプリントサービス500に登録されているデフォルトプリンターを、OSのデフォルトプリンターとして扱う設定が有効であるかを確認する。OSはクラウドプリントサービス500にログインユーザーがデフォルトプリンターを設定しているか否かを問い合わせる。クラウドプリントサービス500は、
図5(B)を参照し、クライアントコンピューターにログインしているユーザーに対応するデフォルトプリンターが登録されているか否かを判定する。デフォルトプリンターが設定されている場合、デフォルトプリンターの識別情報をクライアントコンピューターに返す。デフォルトプリンターが登録されていない場合、クラウドプリントサービスはその旨をクライアントコンピューターに通知する。クラウドプリンターからデフォルトプリンターの識別情報を受信した場合、クライアントコンピューターはS405に処理を進める。クラウドプリントサービスからデフォルトプリンターが登録されていないことを示す通知を受信した場合、クライアントコンピューターは、S406に処理を進める。
【0066】
たとえば、S404において、OSはクラウドプリントサービス500に登録されているデフォルトプリンターを、デフォルトプリンターとすることがローカルプリンターをデフォルトとするポリシーより上位に設定されているかを判定する。OSは、
図8に示すテーブルを参照し、クラウドプリンターをデフォルトとするポリシーが、ローカルプリンターをデフォルトとするポリシーよりも上位であるか否かを判定する。クラウドプリントサービスのデフォルトをクライアントコンピューターのデフォルトとするポリシーが上位にある場合、OSはS405の処理を実行する。ローカルプリントサービスのデフォルトをクライアントコンピューターのデフォルトとするポリシーが上位にある場合、OSはS406に処理を進める。
【0067】
S405において、OSは、クラウドプリントサービス500に登録されているデフォルトプリンター情報を取得し、当該プリンターをクライアントコンピューターのデフォルトに設定する。S405において、クラウドプリントサービスから取得されたデフォルトプリンターの識別情報が“iR_ADV CCCC”である場合、OSは、
図5(B)の611のように、いずれのプリンターがデフォルトプリンターであるかを示すオブジェクトを表示する。
【0068】
S407において、本フローチャートの処理を終了する。上記のように、クライアントコンピューターのデフォルトとして、クラウドプリントサービスのデフォルトプリンターを使用するのか、ローカルのデフォルトプリンターを使用するのかを判定する。そして、上記判定の結果に基づき、クラウドプリントサービスのデフォルトプリンターまたはローカルのデフォルトプリンターのいずれかをデフォルトプリンターに設定する。
【0069】
なお、上記のフローチャートでは、S402において、クラウドプリントサービス500に登録されているプリンターの情報を取得することができるとした。S402において、クラウドプリントサービス500と通信することができず、クラウドプリントサービス500からプリンターの情報を取得することができなかった場合、OSはS406に処理を進める。そして、OSはローカル上でデフォルトと設定されたプリンターをクライアントコンピューターのデフォルトプリンターとして使用する。
【0070】
また、
図4ではユーザーが印刷に使用することのできるプリンター一覧の表示指示をした場合に処理を開始するとした。文書作成アプリケーションやプレゼンテーション資料作成アプリケーション等のアプリケーションから印刷指示をした場合に上記の処理を行い、
図4に示す処理により決定されたプリンターを選択した印刷設定画面を表示するとしてもよい。
図6(C)はアプリケーションから印刷指示をした場合の印刷設定画面の一例を示す図である。領域600は選択されているプリンターの識別情報を表示する領域である。印刷設定画面の表示が開始されたときには、
図4の処理によりクライアントコンピューターのデフォルトに設定されたプリンターの識別情報が表示される。ボタン601はプリンターの一覧を表示するためのボタンである。ユーザーがボタン601を選択すると領域603が表示される。領域603には、ローカルプリンターの識別情報とクラウドプリントサービスに登録されたプリンターの識別情報がリストで表示される。604~607はローカルのプリンターの識別情報である。608~610はクラウドプリントサービスに登録されたプリンターの情報である。ユーザーが再度、ボタン601を選択すると領域603は非表示になり、印刷部数や印刷ページの指定、カラーモードなど、印刷設定を行うことができる。ボタン602は印刷開始を指示するボタンである。ユーザーがボタン602を選択すると、領域600に表示されている識別情報で識別されるプリンターへ印刷データが送信される。なお、領域600に表示されているプリンターがクラウドプリントサービスに登録されているプリンターである場合、印刷データはクラウドプリントサービス上の当該プリンターの印刷キュー宛てに送信される。領域612には印刷する画像データのプレビュー画像が表示される。
【0071】
次に、クライアントコンピューター100でデフォルト設定を変更する場合を説明する。
【0072】
プリンター情報の管理権限を有する管理者がクライアントコンピューター100を操作し、
図6(B)に示すプリンター情報の一覧の表示し、デフォルト設定を変更するとする。
【0073】
図9は、クライアントコンピューターにおいてデフォルトプリンターの変更が行われる場合の処理を示すフローチャートである。本フローチャートに記載の処理は、クライアントコンピューターのCPUがプログラムを実行することで実現される。
【0074】
S901において、OSはデフォルトプリンターの設定指示を受け付ける。たとえば、ユーザーは
図6(B)に示す画面において、デフォルトとして設定するプリンターの識別情報に紐づくアイコン上で右クリックしたときに表示されるメニューからデフォルトプリンターへの設定を選択する。右クリックでなくても、アイコンを長押しするとメニューが表示され、そこからデフォルトプリンターへの設定ができてもよい。なお、管理者はいずれのOUのデフォルトプリンターを変更するかを設定する。
【0075】
S902において、OSは選択されているプリンターがローカルプリンターであるか否かを判定する。ローカルプリンターである場合、OSはS903の処理を実行する。ローカルプリンターでない場合、OSはS908に記載の処理を実行する。
【0076】
S903において、OSは
図5(C)に示すテーブルのローカルデフォルトプリンターを選択されたプリンターの識別情報に更新する。OSはデフォルトプリンターの変更が指示されているOUのグループポリシーを参照する。そして、S904において、クラウドプリントサービスのデフォルトをクライアントコンピューターのデフォルトとするポリシーがローカルのデフォルトよりも優先される設定であるか否かを判定する。クラウドプリントサービスのデフォルトをクライアントコンピューターのデフォルトに設定するポリシーがローカルプリンターのデフォルトをクライアントコンピューターのデフォルトにするポリシーが上位にある場合、OSはS905の処理を実行する。一方で、クラウドプリントサービスのデフォルトよりもローカルプリンターのデフォルトが優先される設定がなされている場合、OSは
図9に記載の処理を終了する。
【0077】
S905において、OSはセキュリティポリシーの変更を行うか否かを問い合わせる通知を表示する。クラウドプリントサービスのデフォルトが優先される設定がなされている場合、デフォルトプリンターをローカルプリンターに設定しても、表示上デフォルトとして表示されるプリンターが変わらないためである。S906において、OSがセキュリティポリシーを変更する指示がなされたか否かを判定する。セキュリティポリシーの変更が指示された場合、OSはS907においてセキュリティポリシーの設定画面を表示させ、設定変更を受け付ける。S906において、セキュリティポリシーの設定が指示されていない場合、
図9に示す処理は終了される。
【0078】
S902において、デフォルトプリンターとして設定されたプリンターがローカルプリンターでない場合、デフォルトとして設定されたプリンターはクラウドプリントサービスに登録されたプリンターである。S908において、OSは、クラウドプリントサービスに対してプリンター識別情報、当該プリンターをデフォルトプリンターとして設定するよう指示する。なお、OSはクラウドプリントサービスにいずれのOUに対してデフォルトプリンターを変更するかを通知する。クラウドプリントサービスは、クライアントコンピューターから通知されたOUに対応するユーザーのデフォルトプリンターの情報を更新する。
【0079】
S909において、OSはグループポリシーにおいて、クラウドプリントサービスのデフォルトがローカルプリンターのデフォルトよりも優先される設定であるか否かを判定する。クラウドプリントサービスのデフォルトが優先される設定であれば、OSは
図9に示す処理を終了する。一方で、クラウドプリントサービスのデフォルトが優先される設定でない場合、OSはS905以降の処理を実行する。
【0080】
このようにすることで、クライアントコンピューターでデフォルトプリンターが変更された場合も、適したプリンターをクライアントコンピューターの表示部に表示することができる。
【0081】
また、クラウドプリントサービスに登録されたプリンターのデフォルトは
図6(B)に示す画面からだけでなく、クライアントコンピューターのwebブラウザ機能を用いて、クラウドプリントサービスにアクセスし、設定することもできる。
【0082】
以上のことから、クライアントコンピューターのローカルプリンターとクラウドサービスに登録されているデフォルトプリンターがOS上で重複しないように、そのOS上で正しくデフォルトプリンターを設定することができる。
【0083】
<第2の実施形態>
上記の実施形態では、管理者がグループポリシーとしてクラウドプリントサービスに登録されたデフォルトプリンターをOSのデフォルトプリンターとして表示するか否かの設定に基づき、デフォルトプリンターの表示を行った。
【0084】
第2の実施形態では、ユーザーがクラウドプリントサービスで設定されたデフォルトプリンターを優先して使用するか否かをクラウドプリントサービス上で設定することができるとする。また、第1の実施形態では管理者がOUごとにデフォルトプリンターを設定するとしたが、ユーザーごとにデフォルトプリンターを設定することができるとする。
【0085】
ユーザーはクラウドプリントサービス500にログインする。ユーザーはクラウドプリントサービスが使用することのできるプリンターからデフォルトとして使用するプリンターを選択する。さらに、クラウドプリントサービスのデフォルトプリンターをローカルのデフォルトプリンターよりも優先してデフォルトとするか否かを設定する。クラウドプリントサービスを優先して使用する設定がなされている場合、ユーザーがいずれのクライアントコンピューターを使用する場合も、クラウドプリントサービスで登録されたデフォルトプリンターがデフォルトのプリンターとして表示される。
【0086】
第2の実施形態では、クラウドプリントサービス500に
図10に示すテーブルが登録されている。
図10に示すテーブルは第1の実施形態の
図5(B)に示すテーブルと同等のものである。第2の実施形態では
図5(B)のテーブルに加え、クラウドのデフォルトを優先するか否かを示すフラグ1000が記憶される。
図10では、Taroはクラウドプリントサービスのデフォルトを優先し、Kenjiはクラウドプリントサービスのデフォルトを優先していないとする。なお、第2の実施形態では、クラウドプリントサービスで設定されたデフォルトプリンターをクライアントコンピューターのデフォルトとする設定がなされているか否かをクラウドプリントサービスで設定するとした。クライアントコンピューターに対して、クラウドプリントサービスのデフォルトプリンターを優先して使用するか否かを設定するとしてもよい。この場合、クライアントコンピューターはユーザーごとにクラウドプリントサービスのデフォルトプリンターをクライアントコンピューターのデフォルトコンピューターとするか否かを示す情報を記憶する。
【0087】
第2の実施形態における、クライアントコンピューターの処理について
図11を用いて説明する。
図11に記載の処理はユーザーによりプリンターの一覧を表示する指示がなされた場合、CPOUがプログラムを実行することで実現される。
【0088】
S1100において、OSはクラウドプリントサービス500から、クラウドプリントサービスに登録されているプリンターの情報を取得する。OSはログイン中のユーザーに紐づくクラウドプリントサービス500へのアクセストークンがクライアントコンピューターに記憶されていれば当該アクセストークンを使ってクラウドプリントサービスにアクセスする。一方で、クラウドプリントサービスへのアクセストークンがない場合、モニターにクラウドプリントサービス500のログイン画面を表示し、クラウドプリントサービスへのログイン処理をし、アクセストークンを取得する。
【0089】
S1101において、OSはクラウドプリントサービスから取得したプリンター情報と記憶装置に記憶されているローカルプリンターの情報を統合し、プリンターの一覧として表示する。これにより、
図6(B)に示す画面のように、ローカルプリンターとクラウドプリンターを一つの画面に表示することができる。
【0090】
S1102において、クラウドプリントサービスにおいて、デフォルトプリンターが設定されているか否かを判定する(S1102)。デフォルトプリンターが設定されている場合、OSはS1103に処理を進める。デフォルトプリンターが設定されていない場合、OSはS1105に処理を進める。
【0091】
S1103において、OSはログイン中のユーザーに対して、クラウドプリントサービスのデフォルトを優先する設定がなされているか否かを判定する。OSは、
図10の1000を参照し、クラウドプリントサービスのデフォルトプリンターをクライアントコンピューターのデフォルトとするか否かを判定する。
【0092】
S1104において、OSはクラウドプリントサービスにて、デフォルトプリンターとして設定されているプリンターをデフォルトとして表示する。
図6(B)の611のようにデフォルトプリンターを示すオブジェクトを表示する。
【0093】
S1105において、OSはローカルデフォルトプリンターが設定されているか否かを判定する。ローカルデフォルトプリンターが設定されている場合、OSはS1106の処理を実行する。一方で、ローカルデフォルトプリンターが設定されていない場合、S1107に記載の処理を実行する。
【0094】
S1106において、OSはローカルデフォルトプリンターをクライアントコンピューターのデフォルトとして表示する。
図6(B)に示すオブジェクト611をローカルのデフォルトプリンターに付加して表示する。S1107においてOSは、S1101で生成したプリンター情報の一覧に対して任意のプリンターをデフォルトとして表示する。任意のプリンターとは、印刷キューの生成日時が最も古い、または、最も新しい、又は名称の昇順、降順で先頭となるプリンターのプリンター情報などである。
【0095】
第2の実施形態において、デフォルトプリンターを変更する処理を説明する。デフォルトプリンターを設定するためのユーザー操作は第1の実施形態と同様である。
図12はクライアントコンピューターのCPUがプログラムを実行することで実現される。
【0096】
S1200において、OSは、デフォルトに設定するプリンターの選択を受け付ける。S1201において、選択されたプリンターがローカルプリンターであるか否かを判定する。ローカルプリンターが選択された場合、S1202において、OSは、
図5(C)で示すテーブルのデフォルトプリンターの情報を更新する。そして、OSは。クラウドプリントサービスに登録されたプリンターとローカルに登録されているプリンターのいずれのプリンターをクライアントのデフォルトとするかの設定変更をするか否かをユーザーに問い合わせる。設定の変更が行われない場合、OSはS1206に処理を進める。変更をする指示がなされた場合、S1204において、OSはユーザーによる設定に合わせてクラウドプリントサービスのクラウド優先フラグの更新を通知する。S1206において、OSは現在のクラウドプリントサービスに登録されているクラウド優先フラグ情報に基づき、クライアントコンピューターでのデフォルトプリンターを設定し、表示する。これにより、ユーザーがデフォルトプリンターの設定を変更した後に、クライアントコンピューターにおいてデフォルトとして表示されるプリンターの情報を確認することができる。
【0097】
S1201において選択されたデバイスがローカルのプリンターでない場合、S1205においてOSはクラウドプリントサービスにアクセスし、ログインしているユーザーのデフォルトプリンターの変更を通知する。クラウドプリントサービスは、クライアントコンピューターから取得した通知に基づき、クラウドプリントサービスのデフォルトプリンターの情報を更新する。
【0098】
以上が第2の実施形態において、デフォルトプリンターを更新する方法である。
【0099】
上記のようにすることで、ユーザーごとにクラウドプリントサービスのデフォルトプリンターとローカルのデフォルトプリンターのいずれのプリンターをクライアント端末のデフォルトプリンターとして表示するかを変えることができる。
【0100】
<第3の実施形態>
第1、第2の実施形態では、コンピューターのようにクラウドプリントサービスを介さない印刷の場合に用いられるプリンターの情報をあらかじめクライアントコンピューターに登録した。モバイル端末のように持ち運び可能なクライアント端末では、常に同じプリンターに接続されるとは限らない。そのため、第1、第2の実施形態のようなローカルのデフォルトプリンターが設定されていない場合がある。第3の実施形態では、ローカルのデフォルトプリンターが設定されていないクライアント端末におけるデフォルトプリンターの表示を説明する。第3の実施形態におけるクライアント端末のハードウェア構成は、
図1に示すクライアントコンピューターと同様である。
【0101】
図13は、ローカルのデフォルトプリンターが設定されていないクライアント端末において、印刷に使用するプリンターを選択する画面を表示する際の処理をしめしたフローチャートである。
【0102】
各処理は、OSが実行し、クライアント端末のCPUがプログラムを実行することで実現される。
【0103】
S1301において、OSはプリンター探索の指示を受け付けて、プリンターの探索処理を行う。OSはブロードキャストの探索パケットを送信し、クライアント端末と同一のネットワークにいるプリンターからの応答を受信する。
【0104】
S1302において、OSはクラウドプリントサービスにアクセスし、クラウドプリントサービスにログインし、ログインしたユーザーに紐づくプリンターの情報を取得する。S1303において、OSはクラウドプリントサービスにデフォルトプリンターが設定されているか否かを判定する。デフォルトプリンターが設定されている場合、S1304においてOSはクラウドプリントサービスから受信したデフォルトプリンターの情報をクライアント端末のデフォルトプリンターとして表示する。クラウドプリントサービスにデフォルトプリンターが登録されていない場合、S1305において、OSは探索によりS1301、S1302で見つかったプリンターに前回印刷に使用したプリンターが含まれているか否かを判定する。前回、印刷に使用したプリンターが探索により見つかった場合、S1306において、OSは前回見つかったプリンターをデフォルトプリンターとして表示する。前回使用したプリンターが探索により見つからなかった場合、S1307において、OSは探索により最初に応答を受信したプリンターをデフォルトプリンターとして表示する。なお、S1307においては、クラウドプリントサービスから取得されたプリンターのいずれかをデフォルトプリンターとして表示してもよい。
【0105】
以上のようにすることで、クライアント端末がローカルのデフォルトプリンターを記憶していなくても、クラウドプリントサービスに登録されたデフォルトプリンターをデフォルトとして表示することができる。
【0106】
なお、
図13の説明では、OSが処理を行うとしたが、クライアント端末にインストールされた任意のアプリケーションによって上記の処理が実行されるとしてもよい。
【0107】
<第4の実施形態>
第4の実施形態では、第3の実施形態にて説明したような持ち運び可能なクライアント端末のなかには、あらかじめよく利用するプリンターを登録しておくことのできるアプリケーションやそのようなアプリケーションがインストールされているケースがある。そのような端末では、あらかじめ登録されているプリンターであって、端末による探索で見つかったプリンターを印刷に使用することができる。第4の実施形態では上記のような機能を有するクライアント端末において、クラウドプリントサービスからプリンターの情報を取得したときのデフォルトプリンターの選択を説明する。第4の実施形態におけるクライアント端末は
図1に示すクライアントコンピューターと同様のハードウェア構成を有しているとする。
【0108】
図14は、第4の実施形態におけるクライアント端末のデフォルトプリンターを設定するための処理を示したフローチャートである。CPUがプログラムを実行することで各処理が実現される。
【0109】
S1401において、CPUはプリンターを探索する。CPUは、ブロードキャストで探索パケットを送信し、通信可能なプリンターから応答を受信する。さらに、CPUはクラウドプリントサービスにアクセスし、クラウドプリントサービスに登録されたプリンターの情報を取得する。クライアント端末がクラウドプリントサービスにアクセスするトークンを有していない場合、CPUはクライアント端末がクラウドプリントサービスにアクセスするためのトークの取得を行う。CPUはクラウドプリントサービスへのログインに必要な情報をユーザーに入力させる画面を表示し、入力された情報に基づいて、クラウドプリントサービスへのアクセストークンを取得する。
【0110】
S1402において、CPUはクラウドプリントサービスでデフォルトプリンターが設定されているか否かを判定する。デフォルトプリンターが設定されている場合、CPUがS1403で後述する処理を実行する。デフォルトプリンターが設定されていない場合、CPUはS1405に記載の処理を実行する。
【0111】
S1403において、CPUはクラウドプリントサービスのデフォルトを優先して使用する設定がなされているか否かを判定する。S1403における判定は、第1の実施形態または第2の実施形態と同様の方法である。クラウドプリントサービスのデフォルトが優先される場合、S1404において、CPUはクラウドプリントサービスにてデフォルトとして設定されているプリンターをデフォルトとして表示する。S1404においてクラウドプリントサービスのデフォルトを優先しないと判定された場合、S1405においてCPUはプリンターを探索するアプリケーションにおいてデフォルトとして登録されているプリンターが探索により見つかったか否かを判定する。
【0112】
探索によりアプリケーションにおいてデフォルトに設定されているプリンターが見つかった場合、S1406においてCPUは当該プリンターをデフォルトプリンターとして表示する。
【0113】
プリンターを探索するアプリケーションにおいてデフォルトに設定されたプリンターが見つからない場合、S1407においてCPUは登録されたプリンターであって、探索により最初に応答のあったプリンターをデフォルトとして表示する。
【0114】
上記のようにすることで、クライアント端末にインストールされたアプリケーションにデフォルトプリンターが設定されている場合、いずれのプリンターをデフォルトとして表示するかを決めることができる。
【0115】
<その他の実施形態>
第1、第2の実施形態では、ユーザーが利用することのできるプリンター情報を表示するタイミングで、クラウドプリントサービス500から当該ユーザーの使用することのできるプリンター情報を取得した。そして、クライアントコンピューターに生成された印刷キューとクラウドプリントサービス上の印刷キューを一覧で表示した。
【0116】
クラウドプリントサービス上の印刷キューと通信するための仮想的な印刷キューをクライアントコンピューター上にあらかじめ生成するとしてもよい。その場合、
図4のS401、S402や
図11のS1100、S1101においてクラウドプリントサービスからプリンターの情報を取得せず、クライアントコンピューターに記憶されている印刷キューに基づき印刷装置の一覧を表示するとしてもよい。
【0117】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのコンピュータプログラム、及び該コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。