(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】液受けシートを備えた液受け器具および液受け器具の設置方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/28 20060101AFI20240119BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
E04G21/28 Z
E04G21/28 B
E04B9/00 C
(21)【出願番号】P 2019223655
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】500510261
【氏名又は名称】JR東日本ビルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】坂本 一人
(72)【発明者】
【氏名】猪又 宏太郎
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-064048(JP,A)
【文献】特開2019-203283(JP,A)
【文献】特開2018-028178(JP,A)
【文献】米国特許第06308479(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/28
E04G 21/24
E04G 23/00-23/08
E04B 9/00
E04B 1/66
E04B 1/92-1/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井裏に配置される吊ボルトに取り付け可能
であって、液受けシートと支持シートとを備えたアッセンブリとして構成される液受け器具であって、
隣り合う吊ボルトの間に配置可能な少なくとも1枚の液受けシートと、
それぞれ、吊ボルトに所定の高さで設置可能であって、前記液受けシートを側面から支持する複数の支持シートとを備え、
前記液受けシートが、取り外し可能に前記複数の支持シートに接続されることを備えたことを特徴とする液受け器具。
【請求項2】
前記液受けシートが、接続ファスナーを介して前記支持シートに接続されることを特徴とする請求項1に記載の液受け器具。
【請求項3】
前記液受けシートが、側面に、前記支持シートの側面に設けられた接続務歯と噛み合う接続務歯を設けていることを特徴とする請求項2に記載の液受け器具。
【請求項4】
天井裏に配置される吊ボルトに取り付け可能な液受け器具であって、
隣り合う吊ボルトの間に配置可能な少なくとも1枚の液受けシートと、
吊ボルトに所定の高さで設置可能であって、前記液受けシートを側面から支持する複数の支持シートとを備え、
前記液受けシートが、取り外し可能に前記複数の支持シートに接続され、
前記支持シートが、一対の帯状シートと、前記一対の帯状シートを分離可能に繋げる取付ファスナーとを備えることを特徴とす
る液受け器具。
【請求項5】
前記取付ファスナーは、
前記一対の帯状シートにそれぞれ設けられ、互いに噛み合う取付務歯と、
一方または両方の帯状シートに設けられるスライダーと
を有することを特徴とする請求項4に記載の液受け器具。
【請求項6】
前記支持シートが、吊ボルトに固定された受け部材の上に載置可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液受け器具。
【請求項7】
天井裏に配置される吊ボルトに取り付けたときに隣り合う吊ボルトの間に配置可能であって、上から落ちてくる液体を受けることが可能な少なくとも1枚の液受けシートと、
それぞれ、前記吊ボルトに所定の高さで設置可能であって、前記液受けシートを側面から支持する複数の支持シートとを備え、
前記液受けシートが、長手方向に沿った両側面全体に渡って、前記支持シートの長手方向に沿った側面と接続可能であり、前記複数の支持シートから、取り外し可能であることを特徴とする液受け器具。
【請求項8】
前記液受けシートが、長手方向の両側面全体に務歯を設け、
前記支持シートが、前記液受けシートの務歯と噛み合う務歯を側面に設けていることを特徴とする請求項7に記載の液受け器具。
【請求項9】
天井裏に配置される吊ボルトに液受け器具を設置する方法であって、
シート配置エリアにあって所定方向に並ぶ吊ボルトに対し、互いに隣り合うように複数のシート支持部材を設置し、
液受けシートの両側面を、その両側面に設置されているシート支持部材に接続させることを備えたことを特徴とする液受け器具の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滴下する漏水などを受けるシート(以下、液受けシートという)、およびシートを含めた器具(アッセンブリ)に関する。
【背景技術】
【0002】
駅舎の通路などで一部天井に雨漏りや水漏れなどが発生した場合、簡易な処置方法として、養生シートを漏水部分に充てて固定する。養生シートを長期間設置すると、汚染や天井からの剥がれ落ちが生じ、取り換えや修繕が必要となる。また、見栄えも悪い。
【0003】
養生シート以外の器具としては、上下方向に伸縮可能で上部にシートを取り付けた枠体を、漏水箇所の真下に配置して引き伸ばす滴下液受け装置が知られている(特許文献1参照)。また、ビルなどの建築物では、天井裏に天井を保持するための吊ボルトが配置されているが、この吊ボルトに対し、漏水受け皿と防水パネルを取り付ける装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6382469号公報
【文献】特開昭52-25416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、鉄道の高架下、駅地下通路などの線路階下では、道床から溢れた水や躯体隙間から発生する漏水が多く、漏水箇所が予想困難であり、液受け器具を設置出来ない天井箇所から漏水する恐れがある。一方、狭い空間で多数の吊ボルトが垂下して並ぶ天井裏では、受け皿やパネルを設置することが困難である。
【0006】
したがって、天井裏において、漏水などの液を受ける器具を、所望の場所へ簡易に設置できることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液受け器具は、天井裏に配置される吊ボルトに取り付け可能な液受け器具であって、漏水などの液体を受けることが可能である。天井裏は、天井と上階床との間の空間、天井と道床の間の空間などであって、ビルやその他建築物の構造で吊ボルトが所定間隔で配置されている。
【0008】
本発明の液受け器具は、隣り合う吊ボルトの間に配置可能な少なくとも1枚の液受けシートと、吊ボルトに所定の高さで設置可能であって、液受けシートを側面から支持する複数の支持シートとを備え、液受けシートが、取り外し可能に複数の支持シートに接続される。
【0009】
液受けシートとしては、折り畳み可能で、柔軟性、伸縮性のある素材から成るシートで構成することができる。また、防水性、軽量、耐熱性などに優れたシートで構成してもよい。支持シートも、同様の性質をもつシートで構成することが可能である。液受けシートは、高低差をつけて傾斜させて配置してもよく、また、シート下部の一部にホースを接続させ、滴下した漏水などを外部へ排出するように構成してもよい。
【0010】
液受けシートの幅は、幅方向に沿って吊ボルトの隣り合うボルト間隔に応じた幅にし、また、液受けシートと長さは、長手方向に沿って、隣り合う吊ボルトの間隔の整数倍長さに応じた長さにすることができる。ただし、吊ボルト間隔と略等しくする必要がなく、液受けシートを天井に接触しないように張ることができればよい。また、下方に撓むように液受けシートを配置してもよい。
【0011】
取付の容易さ、シートの特性、雨仕舞などを考慮すれば、液受けシートをファスナー(ここでは、接続ファスナーという)を介して支持シートに接続させるように構成することができる。例えば、液受けシートが、側面に、支持シートの側面に設けられた接続務歯と噛み合う接続務歯が設けられる。
【0012】
吊ボルトに支持シートを容易に取り付け可能にすることを考慮すれば、支持シートを一対の帯状シートで構成し、ファスナー(ここでは取付ファスナー)で一対の帯状シートを分離可能に繋げる構成にすることが可能である。例えば、取付ファスナーは、一対の帯状シートにそれぞれ設けられ、互いに噛み合う取付務歯と、一方または両方の帯状シートに設けられるスライダーとを有する。
【0013】
支持シートを所定の高さで吊ボルトに取り付ける構成としては、吊ボルトに固定された受け部材の上に載置するようにすることが可能である。受け部材としては、例えばクリップで構成することができる。
【0014】
本発明の他の態様である液受けシートは、天井裏に配置される吊ボルトに取り付けたときに隣り合う吊ボルトの間に配置可能であって、上から落ちてくる液体を受けることが可能なシートを備え、シートの長手方向の両側面に、務歯を設ける。また、本発明の他の態様である支持シートは、天井裏に配置される吊ボルトに所定の高さで設置可能であって、上記液受けシートの務歯と噛み合う務歯を側面に設けている。
【0015】
本発明の他の態様である液受け器具の設置方法は、天井裏に配置される吊ボルトに液受け器具を設置する方法であって、シート配置エリアにあって所定方向に並ぶ吊ボルトに対し、互いに隣り合うように複数のシート支持部材を設置し、液受けシートの両側面を、その両側面に設置されているシート支持部材に接続させることを備えたことを特徴とする。シート支持部材は、例えば支持シートによって構成することが可能であり、また、ファスナーで液受けシートと支持シーとを接続させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、天井裏において、漏水などの液を受ける器具を所望の場所へ簡易に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態である液受け器具の構成を示した図である。
【
図2】天井裏に設置したときの液受け器具の概略的斜視図である。
【
図3】吊ボルト側面側から見た液受け器具パーツ間の接続関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態である液受け器具の構成を示した図である。
【0020】
液受け器具10は、雨漏れによる漏水などを天井裏で受け、天井に至らないように漏水などを抽出可能な器具であり、液受けシート20、支持シート30を備えたアッセンブリとして構成される。
図1では、1枚の液受けシート20と2枚の支持シート30とを示しているが、液受けシート20を2枚以上、支持シート30を3枚以上で構成してもよい。また、液受け器具10は、保持具50、ホース60、排水金具65を備えるように構成することもできる。
【0021】
液受けシート20は、折り畳み可能で伸縮性のあるシートで構成され、ここでは、軽量、防水性の優れたポリエステル製シート(例えば白防煙シート)から成る。液受けシート20の短手方向の幅Wおよび長手方向の長さLは、後述する吊ボルトの配置間隔に応じた幅、長さに定められている。
【0022】
液受けシート20の長手方向両側面には、全体的に渡ってテープ22Tが縫合され、テープ22Tに務歯22が取りつけられている。一方、液受けシート20の短手方向両側面には、水などの液体がシートから流れ出るのを防ぐ縁部材24が取り付けられ、シート本体より硬い樹脂などで成形されている。
【0023】
支持シート30は、液受けシート20を側面から支持、保持するシートであり、支持シート30を構成する一対の帯状シート30A、30Bは、ファスナー(以下、取付ファスナーという)40によって一体的となり、また分離される。ここでは、液受けシート20と同じポリエステル製樹脂から成る。
【0024】
帯状シート30A,30Bには、それぞれ長手方向側面に務歯42、44が設けられ、側面に縫合されたテープ42T、44Tにそれぞれ取り付けられている。務歯42は、液受けシート20に設けられた務歯22Tと噛み合う。
【0025】
液受けシート20の務歯22を、支持シート30の務歯42と向かい合わせ、スライダー46を移動させることによって、液受けシート20は支持シート30に接続され、支持シート30と一体的になる。(以下では、務歯22、42を接続務歯という)。すなわち、液受けシート20と支持シート30との間には、テープ22T、42T、接続務歯22、42、スライダー46とを備えたファスナー(以下、接続ファスナーという)35が構成されている。
【0026】
一方、帯状シート30Aの接続務歯42と相対する側に設けられた務歯44は、帯状シート30Bに設けられた務歯44と噛み合い、帯状シート30Aに設けられた一対のスライダー48を移動させることによって、帯状シート30A、30Bが一体的になり、取付ファスナー40は、支持シート30の中央ラインに沿った開閉を可能にしている(以下では、務歯44を取付務歯という)。なお、帯状シート30A,30Bにそれぞれスライダー48を設けてもよい。また、複数の液受けシート20を並べたとき最外位置にある支持シート30については、一方の側面だけ務歯42を設けてもよい。
【0027】
支持シート30の接続務歯42の配置されている長さは、液受けシート20の接続務歯22の配置されている長さ、すなわち液受けシート20の長手方向長さLに対応している。一方、支持シート30の取付務歯44の配置されている長さは、支持シート30の長手方向長さL1に渡り、接続務歯42の配置されている長さより長い。
【0028】
液受け器具10は、雨漏れによる漏水などが天井に生じた場合、天井裏となる天井と上階床や道床との間の空間(あるいはそれに準ずる空間)にパーツごとに持ち運ばれ、天井裏で設置される。
【0029】
図2は、天井裏に設置したときの液受け器具の概略的斜視図である。
図3は、吊ボルト側面側から見た液受け器具パーツ間の接続関係を示した図である。ここでは、2枚の液受けシート20と3枚の支持シート30が用いられる。
【0030】
ビル、駅舎などの建築物の天井裏スペースには、構造上、下地材である野縁受け材130が天井Cの裏面に並んで設置され、野縁100が野縁受け材130上に交差する方向に沿って設置されている。野縁100は、野縁受け材130の延びる方向に沿って所定間隔で規則的に配置されている。
【0031】
上方の基礎部から吊り下げられた吊ボルト120は、ハンガー110を介して野縁100と接続されている。吊ボルト120は、野縁100の設置箇所に合わせて並び、野縁100の延びる方向に沿って所定間隔を空けて規則的に配置されている。
【0032】
本実施形態では、液受けシート20の短手方向に沿った幅Wは、野縁100に沿って隣り合う吊ボルト120の距離間隔L2に応じた長さに定められ、また、液受け器具10が設置されたときに下方に撓むような長さに定められている。一方、液受けシート20の長手方向に沿った長さLは、野縁受け材130に沿って隣り合う吊ボルト120の距離間隔L3の2倍、すなわち隣り合う3つの吊ボルト120の距離間隔に応じた長さに定められている。
【0033】
そして、液受けシート20は、その一端が他端よりも高くなるように傾斜して設置される。これによって、液受けシート20に滴下した漏水は、シート中央側および低位置側へ流れていく。液受けシート20の低位置側には、ホース60の先端側に取り付けられた排水金具65が取り付けられ、液受けシート20の低位置側に流れる漏水は、排水金具65を通じてホース60に流れ込み、抽出される。
【0034】
以下では、天井裏での液受け器具10の設置手順について説明する。
【0035】
作業者は、液受けシート20、支持シート30を折り畳み、保持具50、ホース60も合わせて天井点検口から天井裏にパーツごとに持ち運ぶ。まず、漏水元とのなる天井裏上方の基礎部などを特定し、その下方にシート設置エリアを定める。
【0036】
シート設置エリアにある吊ボルトを特定すると、所定方向に並ぶいくつかの吊ボルト120に支持シート30を並べて設置する。ここでは、野縁受け材130の延びる方向に沿った3つの吊ボルト120ごとに1つの支持シート30を設置する。
【0037】
支持シート30を設置する場合、まず、吊ボルト120に保持具50を取り付け、固定する。保持具50は、ここではクリップによって構成され、吊ボルト120を挟むことによって固定する。
図2では、2枚の液受けシート20のシート設置エリアに合わせて、9つの保持具50が吊ボルト120に設置されている。また、紙面奥側の保持具50ほど相対的に高い位置に設置される。
【0038】
次に、一対の帯状シート30A、30Bに分かれている支持シート30を、液受けシート20の長手方向に合わせ、吊ボルト120を間に挟んで取付ファスナー40を閉じる。このとき、支持シート30が保持具50の上にある状態で取付ファスナー40を中央から外側へ向けて閉じていく(
図3参照)。その結果、支持シート30が傾斜した状態で保持具50の上に載置され、吊ボルト120に取り付けられた状態になる。
【0039】
支持シート30の取り付け後、液受けシート20を支持シート30と向かい合わせ、接続ファスナー35を高位置側から定位置側へ閉じていく。その結果、
図2に示すように、液受けシート20が支持シート30と繋がり、隣り合う吊ボルト120の間で傾斜した状態で位置決めされる。
【0040】
液受けシート20が吊ボルト120に取り付けられると、排水金具65を液受けシート20の低位置側に取りつける。そして、ホース60の一端を排水金具65に装着し、他端を容器に差し込む。
【0041】
このように本実施形態によれば、液受け器具10は、液受けシート20、支持シート30とを備え、液受けシート20は、接続ファスナー35を介して支持シート30と接続可能である。そして、天井裏のスペースに配置された吊ボルト120に対し、支持シート30が設置され、接続ファスナー35を閉じることによって、液受けシート20が両側面で支持シート30と接続し、液受け器具10が吊ボルト120に設置される。
【0042】
液受けシート20を支持シート30で支持するシート構造と、接続ファスナー35、取付ファスナー40による取り外し可能な接続構造により、簡易な構成で短時間による液受け器具10の取り付け作業を可能にし、確実に漏水などを受けて抽出することが可能となる。また、液受け器具10をアッセンブリとして構成するため、吊ボルト120が設置された作業空間の狭い天井裏に対しても、持ち運び、拡張、取り回しなどが自在であり、効率よく作業できる。さらに、上下方向に延びて規則的に配置される吊ボルト120を利用するため、液受け器具10を天井から任意の場所、高さに設置することができる。
【0043】
液受けシート20の幅Wが隣り合うボルト120の距離間隔L2に対応させた長さであって、支持シート30を介して液受けシート20を何枚も繋げることが可能であり、液受け器具10のシートを張るエリアサイズを自在に設定することができる。また、支持シート30の取付務歯44の配置長さL1が支持シート30の接続務歯42の長さ(Lに相当)より短いため、隣り合う吊ボルト120の並び間隔が多少規相違するような場合でも、支持シート30全体を吊ボルト120に設置することが可能となる。
【0044】
液受けシート20の長手方向長さLは、4つ、5つ並ぶ吊ボルト120の距離間隔に定めてもよく、隣り合う吊ボルト120の距離間隔L3の整数倍に応じた長さにしてもよい。また、支持シート30の幅Wを、野縁100の方向に沿った隣り合う吊ボルト120の距離間隔L2に設置し、支持シート30を野縁100の方向に延ばす配置してもよい。
【0045】
なお、液受けシート20の幅W、長さLは、液受けシート20の撓ませ具合などに従って定めればよく、また、支持シート30の幅に合わせて調整することも可能である。厳密に吊ボルト120の距離間隔L2、L3に従って定める必要はなく、撓んだときに天井仕上げに液受けシート20が接触しない範囲で設定するように構成すればよい。また、液受けシート20を天井に接触して配置させることも可能である。
【0046】
ポリエステル製液受けシート20、支持シート30は、折り畳み自在であって、伸縮性があるため、液受けシート20を支持シート30に接続させることが容易であり、また、液受けシート20、支持シート30が引っ張られた状態でも、接続ファスナー35、取付ファスナー40の開閉も容易となる。
【0047】
接続ファスナー35は、その噛み合い部分からの漏水がほとんどなく止水性をもつため、液受けシート20に溜まった水が天井仕上げに漏れ出る恐れがない。また、スライダー46を移動させるだけで液受けシート20と支持シート30を繋げることができるため、取付作業を容易に行うことができる。支持シート30のファスナー40も同様に止水性があるため、吊ボルト120周辺からの漏水が抑えられ、簡易な雨仕舞が実現される。
【0048】
さらに、支持シート30については、取付ファスナー40の開閉によって一対の帯状シート30A、30Bを一体的にし、分離させることができる。これによって、吊ボルト120への支持シート30の設置を容易に取り付けることができる。また、異なる距離間隔で並ぶ吊ボルトに対しても、取付ファスナー40を吊ボルト120に当たるまで閉じることで、そこからの水漏れを防ぐことができる。
【0049】
支持シート30は、保持具50に載せるだけで吊ボルト120の所定高さに設置することができ、支持シート30を容易に吊ボルト120へ設置することができる。特に、保持具50がクリップで構成されるため、保持具50の設置も容易である。支持シート30は、液受けシート20と接続することで引っ張られることにより安定している。
【0050】
漏水量が少ない状況での使用を考慮すれば、支持シート30の代わりにカーテンレールなどを吊ボルトに設置し、液受けシートをカーテンレールに取り付けるようにしてもよい。また、クリップ以外で構成される保持具を用いてもよく、液受けシート20を吊り下げるなど他の保持手段を講じてもよい。液受けシート20の素材については、ポリエステル製以の折り畳み、伸縮可能な合成樹脂シートを用いてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 液受け器具
20 液受けシート
22 接続務歯
30 支持シート
35 接続ファスナー
40 取付ファスナー
42 接続務歯
44 取付務歯
50 保持具
60 ホース