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特許7422489セルロースナノフィラメントを含むマルチ密度紙製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】セルロースナノフィラメントを含むマルチ密度紙製品
(51)【国際特許分類】
   D21H 17/25 20060101AFI20240119BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20240119BHJP
   D21H 11/18 20060101ALI20240119BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
D21H17/25
A47K10/16 A
A47K10/16 D
D21H11/18
D21H27/00 G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018569044
(86)(22)【出願日】2017-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 US2017040463
(87)【国際公開番号】W WO2018006061
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】62/357,457
(32)【優先日】2016-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518460509
【氏名又は名称】マーサー インターナショナル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジーゲンベイン,トビアス
【合議体】
【審判長】山崎 勝司
【審判官】久保 克彦
【審判官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-526657(JP,A)
【文献】特表2016-503465(JP,A)
【文献】特表平11-513083(JP,A)
【文献】特開2008-88612(JP,A)
【文献】国際公開第2016/049475(WO,A1)
【文献】特表2005-513295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H 17/25 , A47K 10/16 , D21H 11/18 , D21H 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度差のある吸収タオルペーパーウェブ製品の乾燥繊維ベースの0.05重量パーセント~20.0重量パーセントの30nm~500nmの平均幅および200~5000のアスペクト比を有するセルロースナノフィラメントを含むことを特徴とし、前記セルロースナノフィラメントが、高アスペクト比セルロースナノフィラメントおよび少なくとも約5重量%のセルロース極細繊維を含むことをさらに特徴とする、密度差のある吸収タオルペーパーウェブ製品。
【請求項2】
密度差のある吸収タオルペーパーウェブ製品の乾燥繊維ベースの0.5重量%~5.0重量%の湿潤強度ポリマを含むことをさらに特徴とする、請求項1に記載の密度差のある吸収タオルペーパーウェブ製品。
【請求項3】
前記セルロースナノフィラメントが、ミクロおよびナノサイズのセルロースフィラメントのブレンドであることをさらに特徴とする、請求項1または2に記載の密度差のある吸収タオルペーパーウェブ製品。
【請求項4】
ミクロおよびナノサイズのセルロースフィラメントの前記ブレンドが:
a)少なくとも50%の前記セルロースナノフィラメント;および
b)少なくとも10%の無傷のフィブリル化繊維、前記無傷のフィブリル化繊維は、前記繊維本体から解放されるが、前記繊維に一端で結合されたままである個々のセルロースフィラメントまたはその束を含む、
をさらに特徴とする、請求項3に記載の密度差のある吸収タオルペーパーウェブ製品。
【請求項5】
前記密度差のある吸収性タオルペーパーウェブ製品が、スルーエア乾燥(TAD)吸収性タオルペーパーウェブ製品、新ティッシュ技術(NTT)吸収性タオルペーパーウェブ製品、先進ティッシュ成型システム(ATMOS)吸収性タオルペーパーウェブ製品、およびクレープ加工なしスルーエア乾燥(UCTAD)吸収性タオルペーパーウェブ製品から成る群から選択されることをさらに特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の密度差のある吸収タオルペーパーウェブ製品。
【請求項6】
前記密度差のある吸収タオルペーパーウェブ製品の乾燥繊維ベースの20重量%超過~89.9重量%の軟材繊維を含むことをさらに特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の密度差のある吸収タオルペーパーウェブ製品。
【請求項7】
密度差のあるソフトサニタリーティッシュペーパーウェブ製品の乾燥繊維ベースの0.05重量パーセント~20.0重量パーセントの30nm~500nmの平均幅および200~5000のアスペクト比を有するセルロースナノフィラメントを含むことを特徴とし、前記セルロースナノフィラメントが、高アスペクト比セルロースナノフィラメントおよび少なくとも約5重量%のセルロース極細繊維を含むことをさらに特徴とする、密度差のあるソフトサニタリーティッシュペーパーウェブ製品。
【請求項8】
密度差のあるソフトサニタリーティッシュペーパーウェブ製品の乾燥繊維ベースの0重量%超過~56.4重量%の軟材繊維を含むことをさらに特徴とする、請求項7に記載の密度差のあるソフトサニタリーティッシュペーパーウェブ製品。
【請求項9】
密度差のあるソフトサニタリーティッシュペーパーウェブ製品の乾燥繊維ベースの0.5重量%~3.0重量%の湿潤強度ポリマを含むことをさらに特徴とする、請求項7または8に記載の密度差のあるソフトサニタリーティッシュペーパーウェブ製品。
【請求項10】
前記セルロースナノフィラメントがミクロおよびナノサイズのセルロースフィラメントのブレンドであることをさらに特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載の密度差のあるソフトサニタリーティッシュペーパーウェブ製品。
【請求項11】
ミクロおよびナノサイズのセルロースフィラメントの前記ブレンドが:
a)少なくとも50%のセルロースナノフィラメント;および
b)少なくとも10%の無傷のフィブリル化繊維、前記無傷のフィブリル化繊維は、前記繊維本体から解放されるが、前記繊維に一端で結合されたままである個々のセルロースフィラメントまたはその束を含む、
をさらに特徴とする、請求項10に記載の密度差のあるソフトサニタリティッシュペーパーウェブ製品。
【請求項12】
密度差のあるソフトサニタリーティッシュペーパーウェブ製品が、スルーエア乾燥(TAD)ソフトサニタリーティッシュペーパーウェブ製品、新ティッシュ技術(NTT)ソフトサニタリーティッシュペーパーウェブ製品、先進ティッシュ成型システム(ATMOS)ソフトサニタリーティッシュペーパーウェブ製品、およびクレープ加工なしスルーエア乾燥(UCTAD)ソフトサニタリーティッシュペーパーウェブ製品から成る群から選択されることをさらに特徴とする、請求項7~11のいずれか一項に記載の密度差のあるソフトサニタリーティッシュペーパーウェブ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年7月1日に出願された米国仮特許出願第62/357,457号の出願日の恩典を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、セルロースナノフィラメントを含むペーパーウェブ製品、より特定的には、セルロースナノフィラメントを含むマルチ密度タオルまたはティッシュペーパーウェブ構造物に関する。
【背景技術】
【0003】
化粧紙、ペーパータオル、バスティッシュ、ナプキンおよび他の同様の製品などの紙製品は、いくつかの重要な特性を含むように設計されている。例えば、製品は良好な嵩、良好な吸収性、柔らかな手触りを有するべきであり、かつ、良好な強度および耐久性を有するべきである。不運なことに、製品の1つの特性を増加させる工程が取られる場合、製品の他の特性はしばしば悪影響を受ける。
【0004】
フォーミュレータは、何年もの間、それらの構造物の十分な、または改善された強度を得るために、同時に、一般に、より高いレベルの軟材繊維に起因する柔らかさ、耐久性または吸収性への悪影響を最小に抑えようとしながら、それらの紙構造物中のより高いレベルの軟材繊維のバランスをとるように試みてきた。問題は、フォーミュレータが乾燥繊維ベースで20重量%未満の軟材繊維を含む、所望のレベルの強度および/または信頼性を達成する(製造および/または加工中のシート破損を回避する)ために、軟材繊維を過度にリファイニングする、および/または過剰の化学強度剤を添加する必要がない、許容される繊維状構造物、とりわけスルーエア乾燥(「TAD」)サニタリ繊維状ティッシュ構造物を確実に製造することができなかったことである。
【0005】
例えば、特にペーパータオル地、ナプキンおよびハンカチのために使用される多用途繊維シートでは、増加した軟材含量、増加したリファイニングおよびカチオン性/アニオン性ポリマ添加が、耐久性要件に要求される強度標的を達成するのに必要とされる。しかしながら、これらの作用は全て、シート手触りおよび製品吸収性に悪影響を与える可能性がある。
【0006】
したがって、柔らかさ、吸収性および抄紙信頼性を犠牲にせずに、湿潤および乾燥強度を増加させるティッシュ製品の物理的製品性能をさらに最適化する新規繊維紙構造物が必要とされ続けている。そのような構造物はとりわけ、マルチ密度抄紙構造物にとって価値があり、そのような構造物の非限定的な例はスルーエア乾燥、NTT、ATMOSおよびUCTADプロセスである。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、密度差を繊維ウェブ内に導入し、ペーパーウェブ製品の乾燥繊維ベースの約0.05重量パーセント~約20.0重量パーセントのセルロースナノフィラメントを含む、抄紙プロセスにより生成される吸収性ティッシュタオルペーパーウェブ製品に関する。
【0008】
本発明はまた、密度差を繊維ウェブ内に導入し、ペーパーウェブ製品の乾燥繊維ベースの約0.05重量パーセント~約20.0重量パーセントのセルロースナノフィラメントを含む、抄紙プロセスにより生成されるソフトサニタリティッシュペーパーウェブ製品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示において使用するためのマルチ密度吸収性ティッシュまたはタオルウェブ製品を製造するための、スルーエア乾燥プロセスの概略図である。
図2】本開示において使用するためのマルチ密度吸収性ティッシュまたはタオルウェブ製品を製造するための、別の「新ティッシュ技術」(「NTT」)プロセスの概略図である。
図3】本開示において使用するためのマルチ密度吸収性ティッシュまたはタオルウェブ製品を製造するための、先進ティッシュ成型システム「ATMOS」プロセスの概略図である。
図4】本開示において使用するためのマルチ密度吸収性ティッシュまたはタオルウェブ製品を製造するためのクレープ加工なしスルーエア乾燥技術「UCTAD」プロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、吸収性タオルまたはティッシュペーパーウェブを製造するためのプロセスに関する。本発明のプロセスは、天然パルプ繊維および、増強された特性および/または抄紙機実行可能性、シート強度および/または他の所望のシート属性に悪影響を与えることなく、軟材含量を大幅に低減させる能力を可能にするセルロースフィラメントを含む繊維状構造物を生成させる。より特定的には、本発明は、長および短天然繊維を含む繊維状構造物を製造するプロセスに関し、これにより、セルロースナノフィラメントが、シートの約0.05重量%~20.0重量%のパーセンテージで軟材流にリファイニング前後のいずれかで添加される。好ましい実施形態では、高アスペクト比セルロースナノフィラメントが軟材流に添加され、一時的または永久的湿潤強度ポリマのいずれかと組み合わされ、混合水性軟材繊維流が形成される。
【0011】
非層状製品では、この混合水性軟材流は、他の天然繊維流を含む他の水性流と混合され、所望の繊維完成紙料を構成し、これが、ペーパーウェブの生成のために抄紙機に送られる。層状製品では、軟材繊維/セルロースフィラメント流が、シートの硬材または表面層とは分離されたヘッドボックスの1つまたは複数の層に送られる。層状水性繊維シートはその後、ペーパーウェブの生成のために抄紙機上で、脱水され、乾燥される。
【0012】
定義
本明細書では、「紙製品」は、伝統的にセルロース繊維を含むが、必ずしもそうではない、任意の形成された、繊維状構造物製品を示す。1つの実施形態では、本発明の紙製品は吸収性タオル製品を含む。他の実施形態では、本発明の紙製品はソフトサニタリティッシュ製品を含む。
【0013】
「ティッシュ」または「タオル」紙製品は、一般にペーパーティッシュまたはペーパータオル技術を含む製品を示し、従来のフェルトプレス、または従来のウェットプレスティッシュペーパー、パターン高密度化ティッシュペーパー、クレープ加工ありまたはクレープ加工なしに関係なくスルーエア乾燥ペーパーが挙げられるが、それらに限定はされない。例えば、本開示の抄紙プロセスは、接着剤クレーピング、ウェットクレーピング、ダブルクレーピング、エンボス加工、ウィ-プレス加工(we-pressing)、エアプレス加工、スルーエア乾燥、クレープ加工ありスルーエア乾燥、クレープ加工なしスルーエア乾燥、ならびにペーパーウェブの形成における他の工程を利用することができる。そのような技術のいくつかの例は、米国特許第4529480号、5,048,589号、5,399,412号、5,129,988号、5,494,554号、5,607,511号、6,398,916号、7,744,726号および8,388,803号で開示される。多層ティッシュ製品を形成する場合、別個のプライは、同じプロセスから、または異なるプロセスから要望通り製造することができる。
【0014】
例えば、1つの実施形態では、ティッシュウェブは、当技術分野で知られたプロセスを用いて形成されたクレープ加工ありスルーエア乾燥ウェブとしてもよい。そのようなウェブを形成するために、ロールにより好適に支持され、駆動されるエンドレス移動フォーミングファブリックは、へッドボックスから流れてくる層状抄紙ストックを受理する。真空箱が、フォーミングファブリックの真下に配置され、ウェブの形成を助けるために、繊維完成紙料から水を除去するように適合される。フォーミングファブリックから、形成されたウェブは、第2のファブリックにトランスファーされ、それはワイヤーまたはフェルトのいずれかであってもよい。ファブリックは、複数のガイドロールにより、連続パス周りの移動のために支持される。ファブリックからファブリックへのウェブのトランスファーを促進するように設計されたピックアップロールが、ウェブをトランスファーさせるために含められてもよい。
【0015】
好ましくは、形成されたウェブは、好ましくは加熱空気を形成されたウェブに通して吹き付けることにより、その後、回転可能な加熱ドライヤードラム、例えば、ヤンキードライヤーの表面にトランスファーすることにより、乾燥される。乾燥シリンダーには、樹脂製接着剤コーティング組成物の真下に樹脂製保護コーティング層が任意で提供される。樹脂製接着剤コーティング組成物は好ましくは再湿潤性である。プロセスは、乾燥中にウェブを固定するために、接着剤コーティングが、ウェブの乾燥サイクルへのトランスファー時に十分なウェットタック強度を提供するように維持されるように実行される。接着剤樹脂コーティング組成物はまた、乾燥された時に接着剤コーティング組成物が柔軟であるように維持され、そのため、ウェブは乾燥が達成された時に有意のシートダメージなしに乾燥シリンダーから除去され得る。ウェブは、直接スルー乾燥ファブリックからヤンキーにトランスファーされてもよく、または好ましくは、インプレッションファブリックにトランスファーされ、それはその後、ウェブをヤンキードライヤーにトランスファーさせるのに使用される。ウェブはその後、クレーピングブレードによりドライヤードラムから除去される。形成されたままのウェブのクレーピングはさらにウェブ内の内部ボンディングを低減させ、柔らかさおよび吸収性を増加させる。
【0016】
他の実施形態では、ベースウェブはクレープ加工なしスルーエア乾燥プロセスにより形成される。関連するクレープ加工なしスルーエア乾燥ティッシュプロセスは、例えば、米国特許第5,656,132号および6,017,417号において記載される。
【0017】
本発明による繊維状構造物はスルーエア乾燥繊維状構造物、密度差繊維状構造物、目付差繊維状構造物、湿式繊維状構造物、エアレイド繊維状構造物、クレープ加工ありもしくはクレープ加工なし繊維状構造物、パターン-高密度化もしくは非パターン-高密度化繊維状構造物、圧縮または非圧縮繊維状構造物、ダブル再クレープ加工繊維状構造物(当技術分野でよく知られており、米国特許第3,301,746号、3,974,025号、4,191,609号、4,637,859号、6398,906号および8388,803号において例示されている)の形態であってもよい。
【0018】
本明細書では、「抄紙完成紙料」という句は、セルロースまたは非セルロース繊維のいずれか、抄紙機能助剤(強度、吸収性または柔らかさ改善)、フィラーおよび抄紙ウェブを形成するために使用される他の抄紙プロセス材料の水性混合物を示す。
【0019】
本明細書では、「乾燥繊維ベースの重量パーセント(%)」という句は、全ての水および他の揮発性材料が抄紙ウェブから除去された、完全に乾燥された、「絶乾」繊維および他の材料を基準とするパーセンテージ関連材料を示す。
【0020】
「繊維」は、本明細書では、見かけの長さがその見かけの直径を大きく超える、すなわち少なくとも約10かつ200未満の長さ対直径比を有する細長い物理的構造を意味する。非円形断面および/または管形状を有する繊維が一般的であり;この場合の「直径」は、繊維の断面積と等しい断面積を有する円の直径であると考えることができる。より特定的には、本明細書では、「繊維」は、繊維状構造物を作る繊維を示す。本発明は、様々な繊維状構造物を作る繊維、例えば、例として、天然繊維、例えばセルロースナノフィラメントおよび/または木材パルプ繊維、非木質繊維または任意の好適な繊維およびそれらの任意の組み合わせの使用を企図する。
【0021】
しばしば木材パルプと呼ばれる木質繊維は、クラフト(硫酸塩)、亜硫酸塩、ポリスルフィド、ソーダパルプ化、などを含む当技術分野における経験豊かなものによく知られた多くの化学パルプ化プロセスのいずれか一つにより、それらの起源から遊離される。さらに、繊維はメカニカルおよびセミケミカルプロセスを使用して、それらの起源から遊離させることができ、例えば、丸太、サーモメカニカルパルプ、ケモメカニカルパルプ(CMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、アルカリ性過酸化物機械パルプ(APMP)、中性セミケミカル亜硫酸パルプ(NSCS)が、挙げられ、それらも企図される。パルプは、所望であれば、二酸化塩素、酸素、アルカリ性過酸化物、などの使用を含む、当技術分野における経験豊かなものによく知られたいずれか一つのプロセスまたはその組み合わせにより白化させることができる。しかしながら、化学パルプが好ましい可能性がある。というのも、それらは優れた手触りおよび/または所望のティッシュシート特性を付与するからである。落葉樹(以後、「硬材と呼ばれる」)および針葉樹(以後、「軟材」とも呼ばれる)の両方由来のパルプが使用されてもよく、および/または非木質植物由来の繊維が人工繊維と共に使用されてもよい。硬材、軟材、および/または非木質繊維はブレンドすることができ、またはその代わりに、堆積させて層とすることができ、重層化および/または層状ウェブが提供され得る。米国特許第4,300,981号および3,994,771号は、軟材および硬材繊維の層化を開示する。再生紙由来の繊維、ならびに他の非繊維状材料、例えば元の抄紙および紙加工を促進するために使用される接着剤もまた本発明に適用可能である。
【0022】
木材パルプ繊維は短く(硬材繊維に特有)または長くてもよい(軟材繊維およびいくらかの非木質繊維に特有)。クラフトプロセス由来の、およびより北の気候を起源とする軟材繊維が好ましい可能性がある。これらはしばしば北部軟材さらしクラフト(NBSK)パルプと呼ばれる。軟材は典型的にはペーパーウェブに、所望の製品および製品特徴に依存する様々なレベルで含められる。例えば、フォーミュレータは、軟材繊維を吸収性タオル製品中にタオル製品の乾燥繊維ベースの約20重量%~約89.9重量%、好ましくは約30重量%~約70重量%、より好ましくは約40重量%~約60重量%のレベルで包含させる。さらに、フォーミュレータは軟材繊維をソフトサニタリティッシュ製品中に、ティッシュ製品の乾燥繊維ベースの56.4重量%未満、好ましくは約2重量%~約45重量%、より好ましくは約10重量%~約35重量%、さらにいっそう好ましくは約20重量%~約30重量%のレベルで包含させる。
【0023】
短い硬材繊維の非限定的な例としては、アカシア、ユーカリ、カエデ、オーク、ヤマナラシ、カバノキ、ヒロハハコヤナギ、ハンノキ、トネリコ、サクランボ、ニレ、ヒッコリー、ポプラ、ゴム、クルミ、ニセアカシア、アメリカスズカケノキ、ブナ、キササゲ、サッサフラス、グメリン(Gmelin)、ネムノキ属、およびモクレンからなる群より選択される繊維源由来の繊維が挙げられる。軟材繊維の非限定的な例としては、マツ、エゾマツ、モミ、カラマツ(Tamarak)、ヘムロック、イトスギ、およびヒマラヤスギから取り出された繊維が挙げられる。フォーミュレータは硬材繊維を吸収性タオル製品中に、タオル製品の乾燥繊維ベースの約10重量%~約55重量%、好ましくは約20重量%~約50重量%、より好ましくは約30重量%~約40重量%のレベルで包含させてもよい。さらに、フォーミュレータは硬材繊維をソフトサニタリティッシュ製品中に、ティッシュ製品の乾燥繊維ベースの約43.5重量%~約99.9重量%、好ましくは約50重量%~約80重量%、より好ましくは約60重量%~約70重量%のレベルで包含させる。
【0024】
この発明内で企図される別の抄紙材料は、特許US8298374号で教示される微細藻類の包含物である。ティッシュおよびタオルでは、微細藻類は海洋または淡水微細藻類とすることができる。微細藻類は、非運動性単細胞藻類、鞭毛虫、珪藻およびラン藻から選択することができるが、それらに限定されない。微細藻類は、ドナリエラ、クロレラ、テトラセルミス、ボトリオコッカス、ヘマトコッカス、フェオダクチラム、スケルトネマ、キートケロス、イソクリシス(lsochrysis)、ナンノクロロプシス、ナノクロリス、パブロバ、ニッチア、プリュウロクリシス、クラミドマス(Chlamydomas)またはシネコシスティスのファミリーから選択することができるが、それらに限定されない。微細藻類は望ましくは、約500μm未満、好ましくは300μm未満、さらにいっそう好ましくは200μm未満の最長寸法のサイズを有する。セルロースナノフィラメントの高保持特性と合体させた微細藻類の小さなサイズは特有の相乗効果および抄紙適用物/構造物を作り出す。
【0025】
リサイクル繊維は完成紙料に任意の量で添加され得る。任意の好適なリサイクル繊維が使用され得るが、比較的低いレベルの砕木パルプを有するリサイクル繊維が多くの場合好ましく、例えば、15重量%未満のリグニン含量、または10重量%未満のリグニン含量を有するリサイクル繊維が、使用される完成紙料混合物および用途によって好ましい場合がある。
【0026】
おそらく紙製品で使用され、この発明で企図される「フィブリル化人工非セルロース繊維」は、当業者により知られている複数の溶媒を介して調製されたセルロースドープを使用することにより形成される。このドープは繊維に紡糸され、それは使用され、またはさらにフィブリル化され、吸収性シートに組み込まれ得る。理論に限定されないが、リヨセルなどの合成セルロースが、リファイニングおよびより小さな繊維および繊維セグメントを作製するための他の方法によりサイズが低減された改良リヨセルと共に考えられる。米国特許7,718,036号は様々な考えられる溶媒ならびにティッシュおよびタオル構造物中のフィブリル化ローゼル(losel)の包含物を示す。フィブリル化人工非セルロース繊維は任意で、タオルまたはティッシュペーパーウェブ中に、約20%までのレベルまで、好ましくは約10%までのレベルまで、より好ましくは約5%までのレベルまで、より好ましくは約2.5%までのレベルまで包含させることができる。
【0027】
「非木質、天然繊維状」構造物を作る繊維もまた、本発明において有用となり得、動物繊維、鉱物繊維、植物繊維、人工紡糸繊維、および加工繊維状要素、例えばセルロースナノフィラメントを含むことができる。動物繊維は、例えば、羊毛、絹、およびそれらの混合物からなる群より選択され得る。植物繊維は、例えば、木材、綿、コットンリンター、亜麻、サイザル麻、アバカ、ヘンプ、ヘスペラロエ、ジュート、竹、バガス、アフリカハネガヤ、わら、ジュート、ヘンプ、トウワタ綿毛、クズ、トウモロコシ、ソルガム、ヒョウタン、リュウゼツラン、トリコーム、ヘチマおよびそれらの混合物からなる群より選択される植物由来とすることができる。非木質、天然繊維は任意で、タオルまたはティッシュペーパーウェブ中に約20%までのレベルまで、好ましくは約10%までのレベルまで、より好ましくは約5%までのレベルまで、より好ましくは約2.5%までのレベルまで包含させることができる。
【0028】
本開示はまた、より大きなレベルの非木質、天然繊維、例えば、ペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約10重量%超、好ましくは約20重量%超、より好ましくは約50重量%超、さらにいっそう好ましくは約75重量%超の非木質繊維から構成される、本プロセスから製造されたペーパーウェブ製品を企図する。結果として、ペーパーウェブは、ウェブを効率的に生成させる、および消費者製品要件を満たすために、他の繊維成分および/または必要な化学製品と混合された、主として非木質繊維から構成することができる。企図される非木質繊維は短い9(すなわち約1.2ミリメートル未満の長さ)または長い(すなわち1.2ミリメートル超の長さ)のいずれかとすることができ、または、異なる長さの繊維の組み合わせで使用することができ、所望の製品が達成される。これらの構造物においては、セルロース非フィラメントは、要望通り長繊維または短繊維セグメントのいずれかに添加することができ、標的製品特性が達成される。
【0029】
本明細書では、「非セルロース繊維」という句は、セルロース以外の材料から構成される天然または人工繊維のいずれかから構成される抄紙繊維の群を意味する。非セルロース繊維としては人工紡糸繊維、動物起源、および/または微細藻類由来の繊維が挙げられるが、それらに限定されない。加えて、本発明の製品を形成する繊維はポリマ溶融組成物から、好適な紡糸動作、例えばメルトブローイングおよび/またはスピンボンディングを介して紡糸されてもよく、および/またはそれらは天然源から入手してもよい。そのような繊維は単成分および/または多成分であってもよい。例えば、繊維状要素は複合繊維および/またはフィラメントを含んでもよい。複合繊維および/またはフィラメントは任意の形態、例えばサイドバイサイド、芯鞘、海島などであってもよい。フィラメントの非限定的な例としては、メルトブローおよび/またはスパンボンドフィラメントが挙げられる。フィラメントに紡糸することができるポリマの非限定的な例としては、天然ポリマ、例えばデンプン、デンプン誘導体、セルロース、例えばレーヨンおよび/またはリヨセル、およびセルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ならびに、合成ポリマ、例えば、限定はされないが熱可塑性ポリマフィラメント、例えばポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン、例えばポリプロピレンフィラメント、ポリエチレンフィラメント、および生分解性熱可塑性繊維、例えばポリ乳酸フィラメント、ポリヒドロキシアルカノエートフィラメント、ポリエステルアミドフィラメントおよびポリカプロラクトンフィラメントが挙げられる。繊維の非限定的な例としては、パルプ繊維、例えば木材パルプ繊維、および合成ステープルファイバ、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、そのコポリマ、レーヨン、ガラス繊維およびポリビニルアルコール繊維が挙げられる。ステープルファイバは、フィラメントトウを紡糸し、次いでその2つを5.08cm(2in.)未満のセグメントに切断し、繊維を生成させることにより生成され得る。非セルロース繊維は任意で、タオルまたはティッシュペーパーウェブ中に約20%までのレベルまで、好ましくは約10%までのレベルまで、より好ましくは約5%までのレベルまで、より好ましくは約2.5%までのレベルまで包含させることができる。
【0030】
「合成ポリマ繊維」および同様の専門用語はまた、合成ポリマ、例えばポリエステル、ナイロンおよびポリオレフィンなどから生成された非セルロース繊維を示す。ポリエステルは、一般に、公知の重合技術により脂肪族または芳香族ジカルボン酸と飽和脂肪族または芳香族ジオールから得られる。好ましい芳香族二酸モノマは、低級アルキルエステル、例えばテレフタル酸またはイソフタル酸のジメチルエステルである。典型的な脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。好ましい芳香族ジカルボン酸またはそのエステルもしくは無水物は、飽和脂肪族または芳香族ジオールにより、エステル化またはエステル交換され、および重縮合される。典型的な飽和脂肪族ジオールとしては、好ましくは低級アルカン-ジオール、例えばエチレングリコールが挙げられる。典型的な脂環式ジオールとしては、1,4-シクロヘキサンジオールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。典型的な芳香族ジオールとしては、ヒドロキノン、レゾルシノールおよびナフタレンジオールの異性体(1,5-;2,6-;および2,7-)などの芳香族ジオールが挙げられる。脂肪族および芳香族ジカルボン酸ならびに飽和脂肪族および芳香族ジオールの様々な混合物もまた使用され得る。最も典型的には、芳香族ジカルボン酸は脂肪族ジオールと重合され、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸+エチレングリコール)が生成される。加えて、芳香族ジカルボン酸は、芳香族ジオールと重合させることができ、全芳香族ポリエステル、例えばポリフェニレンテレフタレート(テレフタル酸+ヒドロキノン)が生成される。ポリエステルの例としては下記が挙げられる;ポリエチレンテレフタレート;ポリ(1,4-ブチレン)テレフタレート;および1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート/イソフタレートコポリマおよび、芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ビ安息香酸(bibenzoic acid)、ナフタレン-ジカルボン酸、例えば1,5-;2,6-;および2,7-ナフタレン-ジカルボン酸;4,4,-ジフェニレン-ジカルボン酸;ビス(p-カルボキシフェニル)メタン酸;エチレン-ビス-p-安息香酸;1,4-テトラメチレンビス(p-オキシ安息香酸);エチレンビス(p-テトラメチレン酸;1,3-トリメチレンビス(p-オキシ安息香酸);および1,4-テトラメチレンビス(p-オキシ安息香酸)、ならびに2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール;シクロヘキサンジメタノールおよび一般式HO(CH2)OHの脂肪族グリコール(ここで、nは2~10の整数である)、例えば、エチレングリコール;1,4-テトラメチレングリコール;1,6-ヘキサメチレングリコール;1,8-オクタメチレングリコール;1,10-デカメチレングリコール;および1,3-プロピレングリコールからなる群より選択されるジオール;ならびに一般式HO(CH2CH2O)Hのポリエチレングリコール(ここで、nは2~10,000の整数である)、および芳香族ジオール、例えばヒドロキノン、レゾルシノールおよびナフタレンジオールの異性体(1,5-;2,6-;および2,7)由来の他の直鎖ホモポリマエステル。1つ以上の脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸もまた存在することができる。
【0031】
好適なポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1,4-メチルペント-1-エン、などのオレフィンを従来様式で重合することにより生成される材料が挙げられる。繊維に有用なポリオレフィンは高密度ポリエチレン(HDPE)およびポリプロピレンである。他のポリオレフィンホモポリマおよびエチレンのコポリマはこの発明の実施において使用することができる。そのような他のポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)およびポリブチレン(PB)が挙げられる。しかしながら、これらの他のポリオレフィンは、他のポリオレフィン、例えばポリプロピレンまたは高密度ポリエチレン(HDPE)とブレンドすることができる。
【0032】
発明の実施において有用なナイロンまたはポリアミド樹脂は当技術分野でよく知られており、半結晶およびアモルファス樹脂を含み、それらは、例えば、等モル量の、4~12の炭素原子を含む飽和ジカルボン酸のジアミンとの縮合重合により、ラクタムの開環重合により、またはポリアミドの、例えば、ポリエーテルポリアミドブロックコポリマを形成するための他の成分との共重合により生成され得る。ポリアミドの例としては、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンアゼラアミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロン612)、ポリドデカメチレンドデカノアミド(ナイロン1212)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリラウリンラクタム、ポリ-11-アミノウンデカン酸、ならびにアジピン酸、イソフタル酸、およびヘキサメチレンジアミンのコポリマが挙げられる。
【0033】
合成ポリマ繊維は、セルロースと比べて一般に疎水性を有し、湿潤強力樹脂にボンディングするためのアニオン性部位またはパルプ由来繊維に効果的に水素結合するために十分なヒドロキシル基を欠く。この発明と関連して使用される好適な繊維としては、溶融紡糸繊維、メルトブロー繊維、複数のセグメントを有する分割性繊維およびとりわけ、ディスクリファイナーにおけるリファイニングによりそれらのセグメントに分割可能である分割型複合繊維が挙げられる。Fiber Innovation Technologyから入手可能な1つの好適な繊維は、以下で記載される、0.125デニールの特性繊度を有する、16-セグメント、2-デニールナイロン/ポリエステル複合繊維である。
【0034】
分割性繊維を製造するための分割型繊維調製は熱可塑性繊維との関連で一般に知られおり、ここで、繊維は、異なるポリマで形成されたセグメントを有する。例えば、Pikeらの米国特許第5,759,926号、ならびにSasseらの米国特許第5,895,710号、およびPolancoらの米国特許出願公開第2003/0203695号(米国特許出願第10/135,650号)を参照されたい。
【0035】
この発明と関連して生成され、利用される分割性繊維は、分割型パイ形状、海島配置、サイドバイサイド配置、中空配置などを有し得る。Murakamiらの米国特許第4,735,849号、図6A-6D、ならびに米国特許出願公開第US2002/0168912号(米国特許出願第09/852,888号)、図2-9を参照されたい。分割性繊維は、以下で記載されるように完成紙料中への組み込み前に、好適に崩壊させられる。
【0036】
抄紙動作のための繊維の調製中、軟材繊維およびいくらかの硬材繊維パルプは機械的または化学的加工に供せられ、これにより繊維は、圧縮され、高せん断に供せられ、および/または化学的に処理され、繊維はより柔軟なものされ、繊維フィブリル化、繊維膨潤および増加した繊維柔軟性により繊維対繊維ボンディング面積が増加される。当業者であれば、パルプ繊維をリファイニングする3つの優位な製品は下記であることを認識するであろう;1)あるパーセンテージの繊維は、リファイニング強度および濃度によって、全く影響されない、2)かなりのパーセンテージの繊維がフィブリル化され、これにより、繊維細胞壁が層剥離され、元の繊維に結合されたままのミクロフィブリルが露出し、ならびに3)あるパーセンテージの繊維およびミクロフィブリルは切断され、または非常に小さな小片(<200ミクロンの長さ)に機械的に破壊され、この画分は極細繊維画分と呼ばれる。これらの極細繊維は一次的(天然木材源中に存在するもの)または二次的(リファイニングの作用中に作製されるもの)であり得る。発見されたものは、リファイニング強度、濃度および他の加工条件を変更することにより、本明細書で「セルロースナノフィラメント」と呼ばれる新しい繊維構成要素を作製することができること、加工段階および単位動作を最適化することにより、40%超の個別化セルロースナノフィラメントを含む終局パルプ繊維流が生成され得ることである。
【0037】
本発明で使用される「セルロースナノフィラメント」は軟材および/または硬材由来とすることができ、そのようなものとして、軟材または硬材の繊維状要素を含み得る。セルロースナノフィラメントは、抄紙完成紙料のリファイニングされたパルプ繊維混合物に加えて、吸収性タオルまたはソフトサニタリティッシュを製造するプロセスにおいて使用される。セルロースナノフィラメントは、所望のペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.05重量%~約20.0重量%、好ましくは約0.1重量%~約10.0重量%、より好ましくは約0.2重量%~約5重量%、さらにいっそう好ましくは約0.5~約2重量%のレベルで添加される。
【0038】
本発明で企図されるプロセスでは、セルロースナノフィラメントは、好ましくはリファイニングされた軟材パルプ繊維混合物に軟材パルプ繊維および強化添加物と共に添加される。1つの実施形態では、セルロースナノフィラメントは軟材パルプ繊維混合物に、強化添加物前に添加される。別の実施形態では、セルロースナノフィラメントは軟材パルプ繊維混合物に、強化添加物後に添加される。
【0039】
セルロースナノフィラメントサイズおよび高アスペクト比により、この材料は特有の繊維クラスのものとして区別され、軟材または硬材材料のいずれかとして特徴づけられない。高アスペクト比により、繊維幅で割った繊維長さが少なくとも200~約5000、好ましくは約600超~約1000であることが意味される。セルロースナノフィラメントはナノメートル範囲の平均幅、例えば約30nm~約500nmの平均幅、およびマイクロメートル範囲またはそれ以上の平均長、例えば、約100μm、好ましくは約200μm~約2mmの平均長を有する。セルロースナノフィラメントは約20nm~約60nm、好ましくは約30nm~約50nm、より好ましくは約35nm~約45nmの平均厚さを有する。そのようなセルロースナノフィラメントは、例えば、機械的手段のみを使用するプロセス、例えば、2012年1月19日に出願された米国特許出願公開第2013/0017394号において開示される方法から得ることができる。加えて、セルロースナノフィラメントは、特定の幾何学的形状が維持される限り、様々なプロセスから製造することができる。セルロースナノフィラメントを作製するために使用されるプロセスとしては改良リファイニング機器、ホモジナイザー、超音波繊維処理、および酵素繊維改質を含む化学繊維処理が挙げられるが、それらに限定されない。
【0040】
論文“Nanocellulose Patent Trends: A Comprehensive Review on Patents on Cellulose Nanocrystals, Microfibrillated and Bacterial Cellulose”, Charreau et al, Nanotechnology, 2013 7, 56-80において、著者は長年にわたってミクロフィブリル化セルロース(MFC)に言及するために様々な用語についてレビューしており、「セルロースナノフィラメント」はこれらの一般用語に当てはまり得る。本開示の「セルロースナノフィラメント」材料は特定的には、“Cellulose nanofilaments and method for their production”と題する、Hua, X.らの公開US20130017394A1号において開示されるプロセスの結果物である。このプロセスにより生成される材料は、開示されるプロセスが、前に開示された材料よりも著しく高いアスペクト比(長さ/幅)を有するセルロースナノフィラメントを生成するという点で独特である。
【0041】
この発明の基礎となるセルロースナノフィラメントは、木材パルプ繊維の機械的分解のための他の方法を使用して調製したミクロフィブリル化セルロース(MFC)またはナノフィブリル化セルロース(NFC)などの他のセルロース繊維とは、それらがフィブリル化セルロース材料のフィラメントの少なくとも40重量%、好ましくは75重量%、より好ましくは90重量%を有し、300-350μmまでのフィラメント長さおよびおよそ100-500nmの直径を有するという点で、構造的に非常に異なっている。MFC中のフィブリル化セルロース材料は典型的には100μmより短い長さを有し、一方、NFC中のフィブリル化セルロース材料は典型的には1μmより短い長さを有する。しかしながら、セルロースナノフィラメント材料の生成では、機械的手段を用いて生成される他のフィブリル化セルロース材料ように、1つの一次元値を有する均質材料ではないことが、当業者により認識されるべきである。好ましい実施形態におけるセルロースナノフィラメントは300-350μmまでの長さおよびおよそ100-500nmの直径を有し、木材または植物繊維の多段階、高濃度リファイニングにより生成され、そのセルロースナノフィラメントの50重量%以上が300-350μmまでの長さおよびおよそ100-500nmの直径を有する。300-350μmまでの長さおよびおよそ100-500nmの直径を有するセルロースナノフィラメント材料の正確なパーセンテージは、総エネルギー入力、リファイニングパスの数、リファイニング強度および他のリファイニング動作条件に依存する。上記で記載されるセルロースナノフィラメント材料およびリファイニングされたパルプ流中に>50%セルロースナノフィラメントを含むリファイニングされたパルプ流の好ましいブレンドがこの発明の基礎である。
【0042】
この発明で企図されるセルロースナノフィラメントの別の想定される適用は、抄紙場所に輸送される前での、少パーセンテージの純粋セルロースナノフィラメントおよび/またはセルロースナノフィラメントおよび他のリファイニング製品の混合物のいずれかのバージンまたは再生パルプ流への包含である。このように、バージン繊維源はセルロースナノフィラメント添加により増強させることができ、それから、セルロースナノフィラメントは新規繊維投与流を導入することなしに、抄紙プロセスに添加することができる。セルロースにセルロースナノフィラメントをパルプ生成施設で投与することにより、セルロースナノフィラメント包含によってのみ可能になる特性を有する「スーパーパルプ」と呼ばれるものを生成させることができるであろう。そのため、セルロースモノフィラメント添加のための多くの異なる方法が本発明では考慮され、これらとしては、セルロースナノフィラメントおよび他のリファイニング副産物(>50%の好ましいナノセルロース含量を有する)の混合物を含む、直接純粋セルロースナノフィラメント包含が挙げられるが、それに限定されず、セルロースナノフィラメントは、製紙工場での包含前でのバージンまたはサイクル繊維中の包含により添加される。
【0043】
本明細書で記載される抄紙プロセス、およびそれらのプロセスにより製造される紙製品の他の実施形態では、ナノフィラメントは、プロセスに、これにより紙に、ミクロおよびナノサイズのセルロースフィラメントのドライブレンドで供給される。ブレンドはセルロースナノフィラメント、無傷のフィブリル化繊維およびセルロース極細繊維のブレンドを含んでもよい。
【0044】
「無傷のフィブリル化セルロース繊維」または「無傷のフィブリル化繊維」という句は、本明細書では、機械的または化学的処理を受けたセルロース繊維であり、その処理中、個々のセルロースフィラメントまたはその束は、繊維本体から遊離されるが、繊維に一端で接合したままであり、より大きなボンディング面積および増加した繊維-繊維接触を生成させる。処理の程度は繊維から放出されたセルロースナノフィラメントの数を決定する。
【0045】
本明細書では、「セルロース極細繊維」という句は、200ミクロン超の長さを有する繊維材料のクラスを意味する。これらの材料は木中の一次、または天然起源の材料を含むことができ、またはそれらは二次物、パルプ化および/またはパルプ繊維のハンドリングのいずれかにより作製されるものとして分類することができ、そのため、繊維セクションおよび/またはセルロースナノフィラメントセクションを含むことができる。極細繊維は均質材料ではなく、規定された長さ制限を有する材料のクラスを表すために使用されるにすぎない。
【0046】
ミクロおよびナノサイズのセルロースフィラメントのブレンドが使用される場合、ブレンドは少なくとも約40重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約75重量%のセルロースナノフィラメントのブレンド;少なくとも約10重量%、好ましくは少なくとも約20重量%、より好ましくは少なくとも約30重量%の無傷のフィブリル化繊維のブレンド;および少なくとも約5重量%、好ましくは少なくとも約10重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%のセルロース極細繊維のブレンドを含み得る。
【0047】
本発明の繊維状構造物は均質であっても、または層状であってもよい。層状である場合、繊維状構造物は、少なくとも2および/または少なくとも3および/または少なくとも4および/または少なくとも5つの層を含み得る。
【0048】
「目付」は、本明細書では、lbs/3000ftまたはg/mで報告される試料の単位面積あたりの重量である。本発明の繊維状タオル構造物および/またはサニタリティッシュ製品は10g/m2~約120g/m2および/または約14g/m2~約80g/m2および/または約20g/m2~約60g/m2の目付を表してもよい。
【0049】
目付は、ある一定の面積(m)の1つ以上の試料を調製し、本発明による繊維状構造物および/またはそのような繊維状構造物を含む紙製品の試料(複数可)を0.01gの最小分解能を有するトップローディングはかり上で量ることにより測定される。はかりは気流および他の障害からドラフトシールドを用いて防護される。はかりの読取り値が一定になった時に重量を記録する。平均重量(g)および試料の平均面積(m)が計算される。目付(g/m)は平均重量(g)を試料の平均面積(m)で割ることにより計算される。
【0050】
「ソフトサニタリティッシュ製品」は、本明細書では、排尿および排便後クリーニング(トイレットペーパー)、耳鼻咽喉科学的放出(化粧紙)、および多機能吸収性およびクリーニング用途(吸収性タオル)のための拭き道具として有用なソフト低密度(すなわち<約0.15g/cm3)ウェブを意味する。本開示により調製されるサニタリティッシュ製品は、任意の好適な後処理、例えば、限定はされないが印刷、エンボス加工、カレンダー仕上げ、スリッティング、折り畳み、他の繊維状構造物との組み合わせおよび/または巻取、などに供せられ得る。
【0051】
本発明のソフトティッシュ製品の1つの例では、繊維状構造物は、約2%~56.5%(重量パーセント)のリファイニングされた軟材パルプ繊維混合物を含む。リファイニングされた軟材繊維混合物は、ソフトティッシュ製品の乾燥繊維ベースの約0%~約56.4重量%の軟材パルプを含む。軟材パルプは、強化添加物と合わせる前に、任意でリファイニングされ、またはリファイニングされない。強化添加物は水性流に、ティッシュ製品の乾燥繊維ベースの約0.05重量%~約1.5重量%の強化添加物が抄紙完成紙料に添加されることが可能になるように、添加される。長繊維木材パルプおよびカチオン性ポリマを合わせた後、ティッシュペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.05重量%~約20.0重量%のセルロースナノフィラメントが、流れ中にブレンドされる。発明の1つの実施形態では、この流れはその後、ティッシュ製品の乾燥繊維ベースの約43.5重量%~約99.9重量%の、硬材繊維およびセルロースナノフィラメントの両方を含む硬材パルプ繊維混合物とブレンドされ、以上で記載される任意のプロセスにより繊維シートに形成される。本発明の別の実施形態では、長繊維流は、抄紙系の1つまたは複数の別個の層中に送り込まれ、硬材パルプ繊維流から分離される。このプロセス実施形態によりソフトサニタリティッシュ製品が生成される。
【0052】
「吸収性タオル製品」は本明細書では、ソフトな手触りと共に、液体吸収および湿式洗浄に対する消費者の要求を満たすように設計され、製造された抄紙製品のクラスである。吸収性製品はサニタリティッシュおよび化粧紙と同じ抄紙技術で製造されるが、原料、抄紙プロセス設定、目付および他の原料は所望の消費者属性を与えるように最適化される。
【0053】
別の例、本発明の吸収性タオル製品を製造するためのプロセスでは、繊維状構造物は、約45%~90%(重量パーセント)の、リファイニングされた軟材パルプ繊維混合物を含む。長繊維軟材パルプ繊維混合物は、タオル製品の乾燥繊維ベースの約20重量%~約89.9重量%の長繊維軟材パルプを含み、ここで、長繊維軟材パルプは、強化添加物と合わせる前に、任意でリファイニングされ、またはリファイニングされない。強化添加物は水性流に、吸収性タオルの乾燥繊維ベースの約0.05重量%~約5.0重量%の強化添加物が抄紙完成紙料に添加されることが可能になるように添加される。軟材パルプおよびカチオン性ポリマが合わされた後、ティッシュペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.05重量%~約20重量%のセルロースナノフィラメントが、流れ中にブレンドされる。発明のこの実施形態では、軟材繊維、セルロースナノフィラメントおよびカチオン流がそれから、タオル製品の乾燥繊維ベースの10重量%~55重量%の硬材パルプ繊維混合物とブレンドされ、以上で記載されるプロセスのいずれかにより繊維シートに形成される。本発明の別の実施形態では、長繊維流は抄紙系の1つまたは複数の別個の層中に送り込まれ、10~55重量%の硬材パルプ繊維流から分離される。このプロセス実施形態により、より高い強度の吸収性ティッシュウェブ製品が生成される。
【0054】
任意的な材料成分-化学抄紙添加物:
所望であれば、様々な化学添加組成物が、消費者所望の利点、例えば柔らかさ、少ない糸くず、吸収性、シート柔軟性、および一時的および/または永久的湿潤強化添加物をさらに増強させるために任意で使用され得る。化学添加物は剥離剤(debonder)、ケイ素軟化添加物、非ケイ素軟化添加物、強化添加物、吸収性添加物および美的添加物からなる群より選択される。
【0055】
剥離剤
化学剥離剤はまた、ウェブを軟化させるために適用することができる。特定的には、化学剥離剤はウェブの1つ以上の層内の水素結合の量を低減させることができ、これによりよりソフトな製品が得られる。得られるティッシュ製品の所望の特性によって、剥離剤は、ペーパーウェブの乾燥繊維ベースの0重量%~約3.0重量%、好ましくは約0.1~約2.0重量%、より好ましくは約0.5~約1.0重量%の量で適用することができる。剥離剤は単層または多層ティッシュウェブの任意の層に組み入れることができる。
【0056】
本発明において軟化剤添加物として使用するのに好適な剥離剤はカチオン性および非カチオン性界面活性剤の両方を含み、カチオン性界面活性剤が好ましい。非カチオン性界面活性剤としては、アニオン性、非イオン性、両性、および双性イオン性界面活性剤が挙げられる。好ましくは、界面活性剤は、ティッシュペーパーが製造された後、ティッシュペーパーの特性の製造後変化(そうでなければ界面活性剤の包含により起こり得る)を実質的に除去するために、インサイチューで実質的に非移動性である。これは、例えば、発明のティッシュペーパー製品実施形態の貯蔵、輸送、販売、および使用中に普通に遭遇する温度を超える溶融温度を有する界面活性剤の使用により達成され得る:例えば、約50℃以上の溶融温度。
【0057】
前記柔らかさ/引張利点を提供するためにティッシュペーパーウェブに適用される非カチオン性界面活性剤のレベルは、最終生成物についての一定引張ベースでそのような利点を付与するのに必要とされる最小有効レベルから約2%の範囲であり:好ましくは約0.01%~約2%の非カチオン性界面活性剤がウェブにより保持され;より好ましくは、約0.05%~約1.0%;最も好ましくは、約0.05%~約0.3%である。界面活性剤は好ましくは、8以上の炭素原子を有するアルキル鎖を有する。例示的なアニオン性界面活性剤は直鎖スルホン酸アルキル、およびアルキルベンゼンスルホン酸塩である。例示的な非イオン性界面活性剤は、アルキルグリコシドであり、例えば、アルキルグリコシドエステル、例えばCRODESTA(登録商標)SL-40(Croda, Inc. (New York, N.Y.)から入手可能である);1977年3月8日にW. K. Langdonに発行された米国特許第4,011,389号に記載されるアルキルグリコシドエーテル;アルキルポリエトキシル化エステル、例えばGlyco Chemicals, Inc. (Greenwich, Conn.)から入手可能なPEGOSPERSE(登録商標)200ML;アルキルポリエトキシル化エーテルおよびエステル、例えばShell Chemical Coから入手可能なNEODOLR25-12;ソルビタンエステル、例えばICI America, Inc製のSPAN60、エトキシル化ソルビタンエステル、プロポキシル化ソルビタンエステル、混合エトキシル化プロポキシル化ソルビタンエステル、およびポリエトキシル化ソルビタンアルコール、例えばTWEEN60(これもICI America, Inc.製)である。アルキルポリグリコシドが、本発明における使用には特に好ましい。例示的な界面活性剤の上記リストは本質的に例示的なものにすぎないことが意図され、本発明の範囲を制限することを意味しない。
【0058】
ケイ素
主として滑らかな手触りを付与することにより機能する化学軟化剤が所望である場合、ポリシロキサンまたは「ケイ素」が使用され得る。得られるティッシュ製品の所望の特性によって、ケイ素はペーパーウェブの乾燥繊維ベースの0重量%~約3.0重量%、好ましくは約0.1~約2.0重量%、より好ましくは約0.5~約1.0重量%の量で適用することができる。ケイ素は、単層または多層ティッシュウェブの任意の層に組み入れることができる。本発明において使用するのに好適なケイ素化合物は下記で詳細に記載される。
【0059】
ポリシロキサン化合物は好ましくは、下記構造のモノマシロキサン単位を有し:
【化1】
式中、R1およびR2は、各独立したシロキサンモノマ単位について、それぞれ独立して、水素または任意のアルキル、アリール、アルケニル、アルカリル、アラキル(arakyl)、シクロアルキル、ハロゲン化炭化水素、または他のラジカルとすることができる。そのようなラジカルのいずれも置換することができ、または非置換とすることができる。任意の特定のモノマ単位のR1およびR2ラジカルは、次の隣接しているモノマ単位の対応する官能基と異なっていてもよい。加えて、ポリシロキサンは直鎖、分枝鎖であってもよく、環状構造をとることもできる。ラジカルR1およびR2は、加えて独立して、他のケイ素(silaceous)官能基、例えば、限定はされないがシロキサン、ポリシロキサン、シラン、およびポリシランとすることができる。ラジカルR1およびR2は、例えば、アルコール、カルボン酸、アルデヒド、ケトンおよびアミン、アミド官能基を含む、様々な有機官能基のいずれかを包含してもよく、アミノ官能性シリコーン化合物が好ましい。例示的なアルキルラジカルはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、オクタデシル、などである。例示的なアルケニルラジカルはビニル、アリル、などである。例示的なアリールラジカルはフェニル、ジフェニル、ナフチル、などである。例示的なアルカリルラジカルはトイル(toyl)、キシリル、エチルフェニル、などである。例示的なアラキル(arakyl)ラジカルはベンジル、α-フェニルエチル、β-フェニルエチル、α-フェニルブチル、などである。例示的なシクロアルキルラジカルはシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、などである。例示的なハロゲン化炭化水素ラジカルはクロロメチル、ブロモエチル、テトラフルオロエチル、フルオロエチル、トリフルロエチル、トリフルオロトイル、ヘキサフルオロキシリル、などである。ポリシロキサンを開示する参考文献としては、1958年3月11にGeenに発行された米国特許第2,826,551号;1976年6月22日にDrakoffに発行された米国特許第3,964,500号;1982年12月21日に、Paderに発行された米国特許第4,364,837号、1991年10月22日にAmpulskiらに発行された米国特許第5,059,282号;および1960年9月28日に公開されたWoolstonの英国特許第849,433号が挙げられる。また、Petrarch Systems, Inc.により1984年に分配されたSilicon Compounds,pp181-217は、一般にポリシロキサンの広範なリストおよび記載を含む。
【0060】
強化添加物-本出願のプロセスはまた、強化添加物の抄紙完成紙料への添加を含む。一般に、強化添加物は、ウェブの所望の特性によって、様々な量で適用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、添加される総湿潤強度剤は約0.5~50kg/T、いくつかの実施形態では、2~約15kg/T、いくつかの実施形態では、約3~約5kg/Tとすることができる。強度ポリマは、多層ティッシュウェブの任意の層に組み入れることができる。
【0061】
この発明で有用な強化添加物としては、限定はされないがカチオン性水溶性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は湿潤強度を紙シートに付与し、抄紙技術分野ではよく知られている。そのような樹脂としては、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ジアルデヒドデンプン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0062】
いくつかの実施形態では、ティッシュ製品の強度をさらに増強させるために他の強度剤を使用することができる。本明細書では、「湿潤強度剤」は、パルプ繊維に添加されると、約0.1を超える湿潤幾何学的引張強さ対乾燥幾何学的引張強さ比(ration)を有する、結果として得られるウェブまたはシートを提供することができる任意の材料である。典型的には、これらは「永久的」湿潤強度剤または「一時的」湿潤強度剤と呼ばれる。当技術分野でよく知られているように、一時的および永久的湿潤強度剤はまた、時として、乾燥時のティッシュ製品の強度を増強させる乾燥強度剤として機能し得る。任意的な化学材料成分のリストは本質的にほとんど例示的にすぎないことが意図され、本発明の範囲を制限することを意味しない。他の材料もまた、本発明の利点を妨害せず、または弱めない限り包含され得る。
【0063】
湿潤強度剤は、ウェブの所望の特性によって、様々な量で適用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、添加される総湿潤強度剤は約0.5~50kg/T、いくつかの実施形態では、2~約15kg/Tとすることができ、いくつかの実施形態では、約3~約5kg/Tの強度剤は、多層ティッシュウェブの任意の層に組み入れることができる。この発明で有用なカチオン性湿潤強力樹脂としては、限定はされないがカチオン性水溶性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は紙シートに湿潤強度を付与し、抄紙技術分野においてよく知られている。この樹脂は、一時的または永久的湿潤強度のいずれかを繊維シートに付与することができる。そのような樹脂としては、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ジアルデヒドデンプン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0064】
強度添加物は永久的湿潤強力樹脂、一時的湿潤強力樹脂、乾燥強度添加物、およびそれらの混合物からなる群より選択され得る。永久的湿潤強度が所望である場合、化学抄紙添加物は下記化学薬品の群から選択することができる:ポリアミドピクロロヒドリン、ポリアクリルアミド、不溶化ポリビニルアルコール;ウレアロムアルデヒド(ureaormaldehyde);ポリエチレンイミン;およびキトサンポリマ。ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂はカチオン性湿潤強力樹脂であり、特に有用性があることが見出されている。そのような樹脂の好適な型は、1972年10月24日に発行された米国特許第3,700,623号、および1973年11月13日に発行された3,772,076号(どちらもKeimに発行された)において記載される。有用なポリアミドエピクロロヒドリン樹脂の1つの商業的供給源は、Wilmington, Del.のHercules, Inc.であり、これはそのような樹脂を商標名KYMENE(登録商標)557H下で市場に出している。
【0065】
ポリアクリルアミド樹脂もまた、湿潤強力樹脂として有用性があることが見出されている。これらの樹脂は、1971年1月19日に、Cosciaらに発行された米国特許第3,556,932号および1971年1月19日に、Williamsらに発行された3,556,933号において記載される。ポリアクリルアミド樹脂の1つの商業的供給源は、Stanford, Conn.のAmerican Cyanamid Co.であり、これは1つのそのような樹脂をマークPAREZ(登録商標)631NC下で市場に出している。
【0066】
この発明において有用性を見出すさらに他の水溶性カチオン性樹脂は尿素ホルムアルデヒドおよびメラミンホルムアルデヒド樹脂である。これらの多官能性樹脂のより一般的な官能基は窒素含有基、例えばアミノ基および窒素に付着されたメチロール基である。ポリエチレンイミン型樹脂もまた、本発明において有用性を見出すことができる。
【0067】
一時的湿潤強度が所望である場合、化学抄紙添加物は下記化学薬品の群から選択することができる:カチオン性ジアルデヒドデンプン系樹脂(例えば、Japan Carletにより生成されるCaldas、National Starch78-0080またはCobond1000、どちらもNational Starch and Chemical Corporationにより生成);およびジアルデヒドデンプン。加工デンプン一時的湿潤強力樹脂はまた、1987年6月23日に発行された、米国特許第4,675,394号、Solarekらに記載される。好ましい一時的湿潤強力樹脂としては、1991年1月1日にBjorkquistに発行された米国特許第4,981,557号に記載されるものが挙げられる。好ましい一時的湿潤強力樹脂の別の例はPAREZ(登録商標)750B、CyTecにより製造された市販の改良ポリアクリルアミド樹脂である。乾燥強度が所望である場合、化学抄紙添加物は下記化学薬品の群から選択することができる。ポリアクリルアミド(例えば、Wayne, N.J.のAmerican Cyanamidにより生成されるCypro514およびACCOSTRENGTH711の組み合わせ);デンプン(例えば、コーンスターチまたはジャガイモデンプン);ポリビニルアルコール(例えば、Allentown, Pa.のAir Products Incにより生成されるAIRVOL 540);グアーまたはローカストビーンガム;および/またはカルボキシメチルセルロース(例えば、Aqualon Co., Wilmington, Del.製のAQUALON CMC-T)。一般に、本発明を実施するのに好適なデンプンは、水溶性、および親水性により特徴付けられる。例示的なデンプン材料としては、コーンスターチおよびジャガイモデンプンが挙げられるが、にもかかわらず、これにより、好適なデンプン材料の範囲を制限することは意図されず;および工業的にアミオカ(amioca)デンプンとして知られているワキシーコーンスターチが特に好ましい。アミオカデンプンは一般的なコーンスターチと、それが完全にアミロペクチンであるという点で異なり、一方、一般的なコーンスターチはアミロペクチンおよびアミロースの両方を含む。アミオカデンプンの様々な特有の特性は、“Amioca - The Starch From Waxy Corn”, H. H. Schopmeyer, Food Industries, December 1945, pp. 106-108 (Vol. pp. 1476-1478)においてさらに記載される。デンプンは顆粒または分散形態とすることができ、にもかかわらず顆粒形態が好ましい。デンプンは好ましくは十分調理されており、顆粒の膨潤が誘導される。より好ましくは、デンプン顆粒は、デンプン顆粒の分散の直前にある程度加熱調理により膨潤される。そのような高膨潤デンプン顆粒は、「完全調理された」と呼ばれる。分散のための条件は、一般には、デンプン顆粒のサイズ、顆粒の結晶化度、および存在するアミロースの量によって変動し得る。例えば、完全調理されたアミオカデンプンは、約4%濃度のデンプン顆粒の水性スラリーを約190°F(約88℃)で約30~約40分間加熱することにより調製することができる。使用することができる他の例示的なデンプン材料としては、加工カチオン性デンプン、例えば、National Starch and Chemical Company(Bridgewater, N.J.)から入手可能な、窒素含有基例えばアミノ基および窒素に付着されたメチロール基を有するように加工されたものが挙げられる。そのような加工デンプン材料は今まで、湿潤および/または乾燥強度を増加させるために、主としてパルプ完成紙料添加物として使用されてきた。しかしながら、ティッシュペーパーウェブへの適用によりこの発明により適用される場合、それらは同じ加工デンプン材料のウェットエンド添加に比べて、湿潤強度への低減された効果を有し得る。そのような加工デンプン材料は未加工デンプンよりも高価であることを考慮すると、後者が一般には好ましいものであった。これらの湿潤および乾燥強力樹脂は、この発明で記載されるプロセスにより添加させるのに加えて、パルプ完成紙料に添加され得る。化学化合物、例えば上記で記載される湿潤強力および一時的湿潤強力樹脂のパルプ完成紙料への添加は任意的であり、本開発の実施に必要ではないことが理解されるべきである。
【0068】
本発明のプロセスの好ましい実施形態では、強化添加物は、完成紙料に、生成される吸収性タオルまたはサニタリティッシュ製品の乾燥繊維ベースの約0.05%~約5.0%、好ましくは約0.05重量%~約3.0重量%、より好ましくは約0.1重量%~約1.5重量%、さらにいっそう好ましくは約0.5重量%~約1.5重量%の範囲の量で添加される。一般に、吸収性タオル製品を製造するためのプロセスはより高いレベルのポリマを添加し、この場合、ポリマは約5.0%まで、好ましくは約3.0%まで、より好ましくは約1.5%まで添加される。反対に、サニタリティッシュ製品を生成するためのプロセスはわずかに低いレベルの強化ポリマを添加し、この場合、ポリマは、約3.0%まで、好ましくは約1.5%まで添加される。
【0069】
軟化添加物
化学抄紙添加物乳化界面活性剤材料以外の任意の界面活性剤は以後「界面活性剤」と呼ばれ、乳化された化学抄紙添加物の乳化成分として存在する任意の界面活性剤は以後「乳化剤」と呼ばれる。界面活性剤はティッシュペーパーに単独で、または他の化学抄紙添加物と同時に、その後に、もしくはその前に適用され得る。典型的なプロセスでは、別の添加物が存在する場合、界面活性剤はセルロース基材に他の添加物(複数可)と同時に適用される。糸くず制御のために、および/または引張強さを増加させるために、剥離剤含有ティッシュペーパーを比較的低いレベルのバインダで処理することもまた、望ましい可能性がある。
【0070】
主として滑らかな手触りを付与することにより機能する化学軟化剤が所望である場合、それは下記化学薬品の群から選択することができる。有機材料(例えば、鉱物油またはワックス、例えばパラフィン(parafin)もしくはカルナバ(carnuba)、またはラノリン);およびポリシロキサン(例えば、Ampulskiに発行された米国特許第5,059,282号に記載される化合物)。本発明での使用に好適なポリシロキサン化合物は下記で詳細に記載される。
【0071】
主として構造を可塑化することにより機能する化学軟化剤が所望である場合、それは下記化学薬品の群から選択することができる:ポリエチレングリコール(例えばPEG400);ジメチルアミン;および/またはグリセリン。
【0072】
主として剥離することにより機能するカチオン性化学軟化剤が所望である場合、それは下記化学薬品の群から選択することができる。カチオン性四級アンモニウム化合物(例えば、二水素化獣脂ジメチルアンモニウムメチルスルフェート(DTDMAMS)または二水素化獣脂ジメチルアンモニウムクロリド(DTDMAC)、どちらもGreenwich, Conn.のWitco Corporationにより生成される;Berocel579(Stennungsund, SwedenのEka Nobel製);Osbornに発行された米国特許第4,351,699号および4,447,294号において記載される材料;および/またはDTDMAMSまたはDTDMACのジエステル誘導体)。特に、下記式を有する四級アンモニウム化合物は本発明での使用に好適であり:
(R4-m-N-[R2]
mは1~3であり;
各RはC-Cアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビルもしくは置換ヒドロカルビル基、アルコキシル化基、ベンジル基、またはそれらの混合物であり;各RはC-C41アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビルもしくは置換ヒドロカルビル基、アルコキシル化基、ベンジル基、またはそれらの混合物であり;ならびにXは任意の軟化剤-適合性アニオンである。好ましくは、各RはC16-C18アルキルであり、最も好ましくは各Rは直鎖C18アルキルである。好ましくは、各Rはメチルであり、Xは塩化物またはメチルスルフェートである。任意で、R置換基は植物油源由来とすることができる。下記式を有する生分解性エステル-官能性四級アンモニウム化合物もまた、本発明で使用することができる:
(R4-m-N-[(CH-Y-R
各Y=-O-(O)C-、または-C(O)-O-;
m=1~3;好ましくは、m=2;
各n=1~4;好ましくは、n=2;
各R置換基は短鎖C-C、好ましくはC-C、アルキル基、例えば、メチル(最も好ましい)、エチル、プロピル、など、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビル基、ベンジル基またはそれらの混合物であり;各Rは長鎖、少なくとも部分不飽和(約5超~約100未満、好ましくは約10~約85のIV)、C11-C23ヒドロカルビル、もしくは置換ヒドロカルビル置換基であり、対イオン、Xは任意の軟化剤適合性アニオン、例えば、酢酸、塩化物、臭化物、メチル硫酸、ギ酸、硫酸、硝酸などである。好ましくは、Rの大半は、少なくとも90%のC18-C24鎖長を含有する脂肪アシルを含む。より好ましくは、Rの大半は、少なくとも90%のC18、C22およびそれらの混合物を含有する脂肪アシルからなる群より選択される。
【0073】
他の型の好適な四級アンモニウム化合物は、Kimberly-Clark Corporationに譲渡され、1995年12月12日に公開された欧州特許第0688901A2号において記載される。
【0074】
三級アミン軟化化合物もまた本発明で使用される。好適な三級アミン軟化剤の例は、James River Corporationに譲渡され、1995年3月21日に発行された米国特許第5,399,241号において記載される。
【0075】
吸収性添加物
増強された吸収性が所望である場合、界面活性剤が、本発明のペーパーウェブを処理するために使用され得る。界面活性剤のレベルは、使用される場合、1つの実施形態では、ティッシュウェブの乾燥繊維重量ベースにより約0.01%~約2%とすることができる。1つの実施形態では、界面活性剤は8以上の炭素原子を有するアルキル鎖を有する。あるいは、高度の不飽和(モノおよび/またはポリ)および/または分枝鎖アルキル基を有するカチオン性軟化剤活性材料成分は著しく吸収性を増強させることができる。
【0076】
吸収率を増強させる吸収性助剤が所望である場合、それは下記化学薬品の群から選択することができる:ポリエトキシレート(例えばPEG400);アルキルエトキシル化エステル(例えばLonza Inc.製のPEGOSPERSE200ML);アルキルエトキシル化アルコール(例えばNeodol);アルキルポリエトキシル化ノニルフェノール(例えば、Rhone-Poulenc/GAFにより生成されるIGEPAL CO)、エトキシレートトリメチルペンタンジオール、および/またはSpendelに発行された米国特許第4,959,125号および4,940,513号において記載される材料。界面活性剤剥離剤軟化剤が湿潤を減少させるそれらの場合には、湿潤剤、例えば、第2の界面活性剤が適用溶液に添加され得る。例えば、ソルビタンステアレートエステルは、アルキルポリエトキシル化アルコールと混合することができ、ソフト湿潤性紙が生成される。
【0077】
水溶性ポリヒドロキシ化合物もまた、吸収性助剤および/または湿潤剤として使用することができる。本発明での使用に好適な水溶性ポリヒドロキシ化合物の例としては、グリセロール、約150~約800の重量平均分子量を有するポリグリセロールならびに約200~約4000、好ましくは約200~約1000、最も好ましくは約200~約600の重量平均分子量を有するポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンが挙げられる。約200~約600の重量平均分子量を有するポリオキシエチレンがとりわけ好ましい。上記ポリヒドロキシ化合物の混合物もまた使用され得る。例えば、グリセロールおよびポリグリセロールの混合物、グリセロールおよびポリオキシエチレンの混合物、ポリグリセロールおよびポリオキシエチレンの混合物、などが本発明で有用である。特に好ましいポリヒドロキシ化合物は約400の重量平均分子量を有するポリオキシエチレンである。この材料は、Union Carbide Company of Danbury, Conn.から商標名「PEG-400」で市販されている。
【0078】
吸収率を減少させる吸収性助剤が所望である場合、それは下記化学薬品の群から選択することができる。アルキルケテン二量体(例えば、Hercules Inc., Wilmington, Del.により製造されたAQUAPELR 360XC Emulsion);フルオロカーボン(例えば、Minneapolis, Minn.の3MによるScotch Guard)疎水性シリコーン(例えば、Midland, Mich.のDow CoirningによるPDMS DC-200)、フルオロテロマー(例えば、Wilmington, Del.のDupontによるZONYL7040)、など。
【0079】
吸収性添加物は単独で、または強度添加物と組み合わせて使用することができる。デンプン系強度添加物は、本発明での使用に好ましいバインダであることが見出されている。好ましくは、ティッシュペーパーはデンプンの水溶液で処理される。完成ティッシュペーパー製品の糸くずを低減させることに加えて、低レベルのデンプンはまた、板性(boardiness)(すなわち、剛性)(高レベルのデンプンの添加に起因するであろう)を付与するすることなく、ティッシュペーパーの引張強さに適度の改善を付与する。また、これにより、引張強さを増加させる従来の方法により強化されたティッシュペーパー:例えば、パルプの増加したリファイニングにより;または他の乾燥強度添加物の添加により増加した引張強さを有するシートに比べて改善された強度/柔らかさ関係を有するティッシュペーパーが提供される。この結果はとりわけ驚きに値する。というのも、デンプンは伝統的に、柔らかさが重要な特徴ではない用途:例えば、板紙において、柔らかさを犠牲にして、強度を増加させるために使用されてきたからである。加えて、挿入句的に、デンプンは印刷用紙および筆記用紙のためのフィラーとして、表面印刷適性を改善するために使用されてきた。
【0080】
美的添加物
美的添加物が所望である場合、それは下記化学薬品の群から選択することができる:インク;染料;芳香剤;乳白剤(例えばTiO2または炭酸カルシウム)、光学的増白剤、およびそれらの混合物。紙の美学もまた、この発明で記載されるプロセスを使用して、改善することができる。インク、染料、および/または芳香剤は好ましくは、水性組成物に添加され、その後、それはティッシュペーパーウェブに適用される。美学添加物は単独で、または湿潤、軟化、および/または強度添加物と組み合わせて適用され得る。
【0081】
抄紙プロセスの詳細な説明
本発明を以下、発明の全ての実施形態ではないが、いくつかが示される添付の図面を参照して、以後より詳しく記載する。実際、これらの発明は多くの異なる形態で具体化され得、本明細書で明記される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく;むしろ、これらの実施形態は、この開示が適用可能な法的必要条件を満たすように提供される。同様の数字は全体を通して同様の要素を示す。
【0082】
スルーエア乾燥
図1では、抄紙へッドボックス1を有するツインワイヤフォーマーは、抄紙繊維の水性懸濁液の完成紙料を複数のフォーミングファブリック、例えば外側フォーミングファブリック5および内側フォーミングファブリック3上に注入または堆積させ、これにより、ウェットティッシュウェブ6が形成される。本開示の形成プロセスは、抄紙業界で知られている任意の従来の形成プロセスであってもよい。そのような形成プロセスとしては、長網、ルーフフォーマー、例えばサクションブレストロールフォーマー、およびギャップフォーマー、例えばツインワイヤフォーマーおよびクレセントフォーマーが挙げられるが、それらに限定されない。
【0083】
内側フォーミングファブリック3がフォーミングロール4周りに回転するにつれ、ウェットティッシュウェブ6が内側フォーミングファブリック3上に形成する。内側フォーミングファブリック3は、新たに形成されたウェットティッシュウェブ6をプロセスにおいて支持し、下流に運搬するように機能し、それにつれ、ウェットティッシュウェブ6が繊維の乾燥重量に基づき約10パーセントの濃度まで、部分的に脱水される。ウェットティッシュウェブ6の追加の脱水は公知の抄紙技術、例えば真空サクションボックスにより実施され得、その間、内側フォーミングファブリック3はウェットティッシュウェブ6を支持する。ウェットティッシュウェブ6は、少なくとも約20パーセント、より特定的には約20~約40パーセント、より特定的には約20~約30パーセントの濃度までさらに脱水され得る。
【0084】
フォーミングファブリック3は一般に、任意の好適な多孔性材料、例えば金属ワイヤーまたはポリマフィラメントから製造することができる。例えば、いくつかの好適なファブリックとしては下記が挙げられるが、それらに限定されない:Albany International(Albany, N.Y.)から入手可能なAlbany84Mおよび94M、Asten856、866、867、892、934、939、959、または937;Asten Synweve Design274、それらは全て、Asten Forming Fabrics, Inc.(Appleton, Wis.)から入手可能;ならびにVoith Fabrics(Appleton, Wis.)から入手可能なVoith2164。不織ベース層を含むフォーミングファブリックまたはフェルトはまた、有用となり得、押出ポリウレタンフォ一ム、例えばSpectra Seriesを用いて製造されたScapa Corporationのものが挙げられる。
【0085】
ウェットウェブ6はその後、フォーミングファブリック3からトランスファーファブリック8にトランスファーされ、その間、固体濃度は約10~約40パーセント、特に、約20~約30パーセントである。本明細書では、「トランスファーファブリック」はウェブ製造プロセスの形成セクションと乾燥セクションの間に配置されるファブリックである。
【0086】
トランスファーファブリック8へのトランスファーは、正および/または負圧の助けにより実施され得る。例えば、1つの実施形態では、真空シュー9は、フォーミングファブリック3およびトランスファーファブリック8が、真空スロットの先端で同時に合流し、分岐するように、負圧を適用することができる。典型的には、真空シュー9は約10~約25水銀柱インチのレベルで圧力を供給する。上記のように、真空トランスファーシュー9(負圧)は、ウェブを次のファブリック上に吹き飛ばすウェブの反対側からの正圧の使用により補充または置き換えることができる。いくつかの実施形態では、他の真空シューもまた、繊維ウェブ6をトランスファーファブリック8の表面上に引き出すのを助けるために使用することができる。
【0087】
典型的には、トランスファーファブリック8は、ウェブのMDおよびCDストレッチを増強させるために、フォーミングファブリック3より遅い速度で進み、それは一般に、その横(CD)または縦方向(MD)のウェブのストレッチを示す(試料破損時のパーセント伸長として表される)。例えば、2つのファブリック間の相対速度差は約1~約30パーセント、いくつかの実施形態では約5~約20パーセント、いくつかの実施形態では、約10~約15パーセントとすることができる。これは一般に「ラッシュトランスファー」と呼ばれる。「ラッシュトランスファー」中、ウェブのボンドの多くは破壊されると考えられ、これにより、シートは曲がって畳まれ、トランスファーファブリック8の表面上で凹みとなる。トランスファーファブリック8の表面の外形へのそのような成型は、ウェブのMDおよびCDストレッチを増加させる。1つのファブリックから別のものへのラッシュトランスファーは下記特許、米国特許第5,667,636号、5,830,321号、4,440,597号、4,551,199号、および4,849,054号のいずれか一つで教示される原理に従うことができる。
【0088】
ウェットティッシュウェブ6はその後、トランスファーファブリック8からスルーエア乾燥ファブリック11にトランスファーされる。典型的には、トランスファーファブリック8は、スルーエア乾燥ファブリック11とおよそ同じ速度で進む。しかしながら、今では、第2のラッシュトランスファーが、ウェブがトランスファーファブリック8からスルーエア乾燥ファブリック11にトランスファーされる時に実施され得ることが発見されている。このラッシュトランスファーは本明細書では、第2の位置で起こるものとして言及され、スルーエア乾燥ファブリック11を、トランスファーファブリック8より遅い速度で動作させることにより達成される。2つの別個の位置で、すなわち、第1および第2の位置でラッシュトランスファーを実施することにより、増加したCDストレッチを有するティッシュ製品が生成され得る。
【0089】
ウェットティッシュウェブをトランスファーファブリック8からスルーエア乾燥ファブリック11にラッシュトランスファーすることに加えて、ウェットティッシュウェブ6は、真空トランスファーロール12または真空シュー9のような真空トランスファーシューの助けにより、スルーエア乾燥ファブリック11の表面に従うように、肉眼的に再配列され得る。所望であれば、スルーエア乾燥ファブリック11は、トランスファーファブリック8の速度より遅い速度で移動することができ、さらに、得られた吸収性ティッシュ製品のMDストレッチが増強される。トランスファーは真空補助で実施され得、スルーエア乾燥ファブリック11のトポグラフィーへのウェットティッシュウェブ6の適合が確保される。
【0090】
スルーエア乾燥ファブリック11により支持される間、ウェットティッシュウェブ6は、スルーエアードライヤー13により約94パーセント以上の最終濃度まで乾燥される。ウェブ15はその後、リールドラム22とリール23の間の巻取ニップを通過し、その後の変換、例えばスリッティング、切断、折り畳み、およびパッケージングのためのティッシュのロール25に巻き取られる。
【0091】
ウェブは、最終乾燥のためのスルーエア乾燥ファブリックに、好ましくは真空の助けによりトランスファーされ、所望の嵩および外観を与えるためのウェブの肉眼的再配列が確保される。別々のトランスファーおよびスルーエア乾燥ファブリックの使用は様々な利点を与えることができる。というのも、それにより2つのファブリックを、独立して重要な製品要件に対処するように特定的に設計させることができるからである。例えば、トランスファーファブリックは一般に、高ラッシュトランスファーレベルの高MDストレッチへの効率的な変換を可能にするように最適化され、一方、スルーエア乾燥ファブリックは、嵩およびCDストレッチを届けるように設計される。そのため、中程度に粗く、中程度に3次元のトランスファーファブリックおよびスルーエア乾燥ファブリック(最適化配置ではかなり粗くおよび三次元である)を有することが有用である。結果は、比較的滑らかなシートがトランスファーセクションを出て行き、その後、肉眼的に再配列され(真空援助により)、スルーエア乾燥ファブリックの高い嵩、高いCDストレッチ表面トポロジーが与えられるというものである。シートトポロジーは完全にトランスファーからスルーエア乾燥ファブリックに変化し、繊維は肉眼的に再配列され、著しい繊維-繊維移動が含まれる。
【0092】
乾燥プロセスは、ウェットウェブの嵩または厚さを保存する傾向のある任意の非圧縮または圧縮乾燥方法とすることができ、限定はされないが、スルーエア乾燥、赤外放射、マイクロ波乾燥、プレス脱水、ヤンキー乾燥、などが挙げられる。その商業的入手性および実用性のために、スルーエア乾燥がよく知られており、この発明の目的のためのウェブを非圧縮で乾燥するための1つの一般的に使用される手段となっている。好適なスルーエア乾燥ファブリックとしては、実質的に連続な縦方向リッジを有するファブリックが挙げられるが、それらに限定されず、ここで、リッジは複数の縦糸がまとめられて形成されており、例えば米国特許第6,998,024号において開示されるものである。他の好適なスルーエア乾燥ファブリックとしては、米国特許第7,611,607号において開示されるもの、特にFred(t1207-77)、Jeston(t1207-6)およびJack(t1207-12)と呼ばれるファブリックが挙げられる。ウェブは好ましくは、スルーエア乾燥ファブリック上で最終乾燥度まで乾燥され、ヤンキードライヤーの表面にプレスされず、その後のクレープ加工はない。発明の他の実施形態は、高アスペクト比ナノフィラメントを繊維と共に使用し、マルチ密度)テクスチャード加工ティッシュ)ウェブが、限定はされないが従来の抄紙機と同様の抄紙プロセスを介して、テクスチャード加工ベルトを使用して形成され、密度差繊維ウェブが作製される。これらの技術としては、Valmet LTD’s Advance NTTプロセス、Voith ATMOSおよび他の同様の技術として記載されるものが挙げられるが、それに限定されない。
【0093】
ウェットティッシュウェブ6が非圧縮または圧縮乾燥されるとすぐに、これにより乾燥ティッシュウェブ15が形成され、巻き取り前に乾燥ティッシュウェブ15を最終製品乾燥のためのヤンキードライヤーにトランスファーする、または代替短縮法、例えば米国特許第4,919,877号で開示されるマイクロクレープ加工を使用することにより、乾燥ティッシュウェブ15をクレープ加工することが可能になる。
【0094】
巻取製品では、製品を最も柔らかい側が消費者に面するように巻き取ることがしばしば有利となり、よって、この側の柔らかさを増加させるせん断プロセスが好ましい。しかしながら、ファブリック側ではなくウェブのエア側を処理することもまた可能であり、これらの実施形態では、エア側の柔らかさを、ファブリック側よりも高いレベルまで増加させることが可能であろう。
【0095】
本開示のプロセスは多層ティッシュ製品を形成させるのによく適している。多層ティッシュ製品は2プライ、3プライ、またはそれより大きな数のプライを含むことができる。1つの特定の実施形態では、2プライロールティッシュ製品が本開示により形成され、この場合、どちらのプライも同じ抄紙プロセス、例えば、例として、クレープ加工なしスルーエア乾燥により形成される。しかしながら、他の実施形態では、プライは2つの異なるプロセスにより形成されてもよい。一般に、ロールで巻取される前に、第1のプライおよび第2のプライが共に付着される。ウェブを一緒に積層させる任意の好適な方法が使用され得る。例えば、プロセスはクリンピング装置を含み、これはプライを繊維交絡により機械的に共に付着させる。しかしながら、他の実施形態では、プライを共に付着させるのに接着剤が使用され得る。
【0096】
加えて、本開示により調製されるウェブは任意の好適な後処理、例えば、限定はされないが、印刷、エンボス加工、カレンダー仕上げ、スリッティング、折り畳み、他の繊維状構造物との組み合わせ、などに供してもよい。
【0097】
新ティッシュ技術NTT
抄紙機10が図2に示される。抄紙機はウェットセクションまたは形成セクション20、プレスセクション30および乾燥セクション50を含む。ウェットセクション20はへッドボックス22、フォーミングロール23、エンドレス内側布24、およびフォーミングワイヤーからなるエンドレス外側布25を含む。内側および外側布24および25は、それぞれ、いくつかのガイドロール26および27周りの別個のループで動く。
【0098】
乾燥セクション50は加熱乾燥シリンダー52を含み、これはフード54により覆われている。乾燥シリンダーおよびフードは集合的にヤンキードライヤーを構成することができる。乾燥セクションの出口側には、クレーピングドクター56が配列され、乾燥シリンダー52から出る繊維ウェブがクレープ加工される。適用装置58が、乾燥シリンダー52の外皮表面上で好適な接着剤または他の組成物を適用するために提供される。得られたクレープウェブはその後、要望通りの最終製品形態へのその後の変換のためにペアレントロール(図示せず)にローリングされる。
【0099】
プレスセクション30は少なくとも1つのプレスを含み、これは2つの協同する第1および第2のプレス部材31および32を有し、そのプレス部材は一緒に、プレスニップを規定する。さらに、プレスセクションは、第1のプレス部材31およびガイドロール34周りのループで動くエンドレスプレスフェルト33、ならびにエンドレス不透過性トランスファーベルト35を含む。トランスファーベルト35は、第2のプレス部材32および複数のガイドロール36周りのループで動く。サクションロール(番号付けされていない)はまた、図1において、フェルト33のループ内で、フェルト33が内側布24と、プレスニップの上流で重なる位置で示されている。このサクションロールは、プレスニップ前に、フェルト33およびペーパーウェブを脱水する。例えば、サクションロールは約40kPaの真空で動作することができ、これにより、プレスニップに入るペーパーウェブは約15%~20%の乾燥固体含量を有することができる。
【0100】
図2で示される実施形態では、プレスはシュープレスであり、この場合、第1のプレス部材はシュープレスロール31を含み、第2のプレス部材は対向ロール32を含む。シュープレスロールおよび対向ロールはそれらの間に延びるプレスニップを規定する。他の型のプレスをシュープレスの代わりに使用することができる。
【0101】
抄紙機は、トランスファーベルト35から最終ファブリック37へのペーパーウェブのトランスファーのための、トランスファーポイント40を規定するための、トランスファーベルト35に隣接して配置されたサクショントランスファー装置38周りのロープで動くように配列された透過性最終ファブリック37をさらに含む。トランスファーポイント40は、トランスファーベルト35により横断される経路に沿って測定される、プレスニップから距離Dに配置される。サクショントランスファー装置38は、最終ファブリック37を通して吸引を実行し、ペーパーウェブをトランスファーベルト35から最終ファブリック37上にトランスファーさせるように動作することができる、サクションゾーン41を形成する。構造化ティッシュウェブを製造する場合、最終ファブリックは、構造化表面を有する構造化ファブリック(または「テクスチャライジングファブリック」)を含み、サクショントランスファー装置38により実行される吸引は、さらに、湿ティッシュウェブをファブリックの構造化表面に成型するように機能する。「構造化ファブリック」は約25以下の縦方向-配向ナックルまたは他の隆起表面特徴/平方センチメートルを有することができる。ファブリック37は、ティッシュウェブのファブリック37から乾燥シリンダー52上へのトランスファーのための、非圧縮ニップを乾燥シリンダー52と共に規定するトランスファーロール39周りに動く。
【0102】
図1で示される実施形態では、サクショントランスファー装置38は、あらかじめ決められたセクター角度を包含するサクションゾーン41を有するサクションロールである。トランスファーベルト35は、吸引装置38の湾曲外面を部分的に覆うように配列される。ロールの代わりとして、サクショントランスファー装置は別の型の吸引装置、例えば湾曲外面を有するサクションシュー、または規定された長さLの非湾曲吸引表面を有するサクションボックスとすることができる。
【0103】
トランスファーベルト35の特性および構造化ファブリック37およびサクショントランスファー装置38との関連でのトランスファーベルト35の配列は、低目付ティッシュウェブ、例えば約20グラム/平方メートル(gsm)以下、より特定的には約10~約20gsm、さらにより特定的には約10~約15gsmの目付を有するティッシュウェブの製造の場合、特に重要である。本明細書では、「目付」は、ティッシュ製造プロセス中に乾燥シリンダー52上に配置されている間での、ウェブ中の絶乾繊維の量を示す。これは、ウェブを縦方向に短縮させるクレープひだの存在により影響を受ける可能性がある「完成」目付とは区別されるべきである。しかしながら、ドライヤー上のティッシュウェブの目付は、完成目付から、縦方向短縮の全てを取り出した後にティッシュウェブの目付を測定することにより、厳密に推定することができる。そのような低目付を有するティッシュウェブは、抄紙機で取り扱うのが特に困難である。というのも、ウェットティッシュウェブは事実上引張強さを有さないからである。結果として、ティッシュウェブをトランスファーベルト35から分離し、それを構造化ファブリック37上にトランスファーするプロセスは、ウェブの非常に低い強度により複雑になる。
【0104】
より特定的には、その上にティッシュウェブを有するトランスファーベルト35が、プレス部材31、32から形成されるプレスニップから出て行く時、薄い水膜がティッシュウェブとトランスファーベルト35の表面の間に存在する。この水膜が無傷である限り、ティッシュウェブは、トランスファーベルトからウェブ破壊の著しい危険なしに分離することはできないことが理論化されている。異なる特性を有するトランスファーベルトの複数回試験から、トランスファーベルトの表面特性が、ティッシュウェブがトランスファーベルトから分離することができるかどうかを決定するのに重要な役割を果たすことが見出されている。特定的には、いくつかの型のトランスファーベルトはティッシュウェブを分離することを困難または本質的に不可能にしているが、一方、他の型のトランスファーベルトはティッシュウェブを分離させることができる(以下でさらに説明されるように、他の判断基準もまた満たされている限り)ことが見出されている。これらの試験に基づき、ウェブの分離を可能にするトランスファーベルトは、ウェブがプレスニップを出て行った後ある一定の期間が経過した後、幾分、薄い水膜を消散または破壊させることができ、一方、ウェブを破壊なしに分離させることができないトランスファーベルトは水膜を消散させることができないことが理論化されている。
【0105】
試験結果を考慮すると、低目付(先述のとおり)のティッシュウェブを製造するための抄紙機、例えば図1で図示されるものは、トランスファーベルト35が水膜を消散させる適正な表面特性を有する限り、水膜が消散するのに十分な期間(本明細書では、「滞在時間」tdと呼ばれる)が存在する限り、使用することができることが見出されている。滞在時間は、ウェブがプレスニップからトランスファーポイント40まで距離Dを進むのにかかる期間である。滞在時間(秒)は、トランスファーベルト35の速度V(m/分)に、式td=(D/V)60により関連する。このように、例えば、V=1000m/minおよびD=4mである場合、tdは0.24秒に等しい。
【0106】
トランスファーベルト35の表面特性に関しては、そのウェブ接触表面が実質的に無孔のポリマコーティングで形成されており、その表面粗さを約Ra=2~5μmの算術平均粗さまで増加させるために研磨された、またはサンディングされた表面を有し得るトランスファーベルトでは一般に、距離Dを少なくとも0.5秒の滞在時間tdを提供するように十分長くしても、ティッシュウェブはトランスファーベルトから分離されないことが見出されている。機械小型化の理由で、距離Dをできるだけ小さく維持しながら、依然としてティッシュウェブトランスファーがウェブを破壊せずに確実に実施されるようにすることが通常、望まれることに注意すべきである。このように、実施された試験に基づくと、実質的に無孔のポリマコーティングを有するトランスファーベルトは、たとえ、それらの表面粗さを増加させるためにサンディングされても使用することができないことが決定された。
【0107】
先進ティッシュ成型システムATMOS
本明細書で示される事項は例示であり、本発明の実施形態の事例的説明目的のものにすぎず、最も有用であると考えられるものならびに本発明の原理および概念的見地の容易に理解される説明を提供するために提示される。この関連で、本発明の基本的理解に必要なもの以上により詳細に、本発明の構造的細部を示す試みはなにもなされず、本発明の形態が実際にはどのように具体化され得るかについて当業者にあきらかにする説明が図面と共に記載される。
【0108】
以下、図3について説明すると、繊維ウェブW、例えば、ティッシュ、衛生ペーパーウェブ(paper wed)、などを製造するための機械TWAが示されおり、例えば、繊維ウェブWを加工するためのツインワイヤーATMOSシステムとすることができる。システムTWAは、懸濁液を、外側ワイヤー3a、内側ワイヤー3bおよびフォーミングロール2により形成されるツインワイヤフォーマーに送るへッドボックス1を含む。ツインワイヤフォーマーは任意の従来の公知の型とすることができ、好ましくは、例えば、2005年7月27日に出願された米国特許出願第11/189,884号で開示される型とすることができる。ウェブWがツインワイヤフォーマーにより形成されるとすぐに、ウェブWは内側ワイヤー3bにより構造化ファブリック4に搬送される。ウェブWは、構造化ファブリック4に内側ワイヤー3bから、ピックアップエリアに配置されたサクションボックス5を用いてトランスファーされる。ウェブWは構造化ファブリック4により、透過性引っ張りベルト12および真空ロール9から構成されるベルトプレスアセンブリ18により形成されるプレス配列へ、およびこれを通って搬送される。脱水ファブリック7もまた、真空ロール9上を、ベルトプレスアセンブリ18を通って通過する。ウェブWは、ベルトプレスアセンブリ18と真空ロール9により形成される延在ベルトプレスニップにおいて脱水され、その後、構造化ベルト4により、ヤンキーシリンダ15およびフード16配列に運搬され、プレスロール14を使用してヤンキー15にトランスファーされる。スチームボックスおよび熱風送風機配列11が透過性引っ張りベルト12内に配列され、真空ロール9のサクションゾーンZ上に配列される。1つ以上のセーブオール10が、真空ロール9から収集された水分を収集するために使用される。システムはまた、ベルト/ファブリックの各々のための多くのガイドロール、脱水ベルト7のための調整ロール19、多くのUhleボックス6aおよび6b、多くのシャワーユニット8a、8b、8cおよび8d、ならびに追加のサクションボックスまたはピックアップ13を使用する。
【0109】
非限定的例として、外側ワイヤー3aは従来のエンドレス循環ワイヤーとすることができ、および/またはDSPベルト(例えば、米国特許第6,237,644号で開示される型)とすることができる。外側ワイヤー3aはまた、任意の好適な従来のワイヤーとすることができる。
【0110】
非限定的例として、内側ワイヤー3bはエンドレス循環ベルトとすることができる。内側ワイヤー3bはまた、任意の好適な従来のワイヤーとすることができる。
【0111】
非限定的例として、フォーミングロール2は中実ロールまたはオープンロールとすることができる。ロール2はまた、任意の好適な従来のフォーミングロールとすることができる。
【0112】
非限定的例として、ベルトプレスベルト12は、例えば、2006年3月14日に出願された米国特許出願第11/276,789号で開示される型のベルトとすることができる。例として、透過性ベルト12はペーパーウェブに面する側を有することができ、ロール9の支持表面上でガイドすることができ、下記特性を有することができる:およそ20kN/m~およそ100KN/mの張力、およそ100cfm~およそ1200cfmの透過性値、張力下にない時でのおよそ0.5%~およそ90%であるペーパーウェブ側の表面接触エリアおよびおよそ1.0%~およそ85%のオープンエリア。
【0113】
例えば、透過性ベルト12は好ましくは下記特性を有することができる:ベルト12は高いMD(縦方向)張力に、長期間にわたって伸張なしで、モノフィラメントの歪みなしで抵抗しなければならない;ベルト12は、ATMOS配置であるスチームボックスからの蒸気(および超熱水蒸気)の影響に抵抗しなければならない、すなわち、それは加水分解に抵抗しなければならない;ベルト12は、紙シートに十分な体積の空気を通すことができなければならず、そのため、ベルトプレス後に十分な乾燥度(およそ32″~およそ35%またはそれ以上)が達成され、ウェブがヤンキー乾燥およびクレーピング段階で最終乾燥に移る;ベルト12は好ましくは、本明細書で記載される好適な透過性および表面接触エリア、材料、および織目を有さなければならない;ならびに、ベルト12は、ティッシュを乾燥させる効率的で経済的な様式であるシステムまたはプロセスの一部でなければならない。ベルト12はまた、2004年10月26日に出願された米国出願第10/972,408号および/または2004年10月26日に出願された米国出願第10/972,431号および/または2004年1月30日に出願された米国出願第10/768,485号で開示される型のベルトプレスベルトとすることができる。
【0114】
非限定的例として、脱水ファブリック7は、例えば、2006年4月28日に出願された米国特許出願第11/380,835号で開示される型の脱水ファブリックとすることができ、下記特徴および特性を有することができる。例として、脱水ファブリック7はペーパーウェブに面する側を有することができ、支持表面、例えば、ロール9のそれ上でガイドすることができ、下記特性を有することができる:およそ0.1mm~およそ15mmのキャリパー、およそ1cfm~およそ500cfmの透過性値、およそ0.2g/cm3~およそ1.10g/cm3の総合密度、ならびにおよそ350g/m2~およそ3000g/m2の重量。キャリパーはまた、好ましくはおよそ2mm~およそ4mmとすることができ、透過性値は好ましくはおよそ10cfm~およそ50cfmとすることができ、総合密度は好ましくはおよそ0.2g/cm3~およそ1.10g/cm3とすることができ、重量は好ましくはおよそ900g/m2~およそ1300g/m2とすることができる。脱水ファブリック7はまた、好ましくは良好な圧縮性を有するべきである。
【0115】
発明の1つの非限定的実施形態によれば、形成されたウェブWは、構造化ファブリック4に、サクションボックス5を使用してトランスファーされる。これは、構造化ファブリック4および内側ワイヤー3bが異なる速度で進む間に起こり、すなわち、ベルト3bと4の間の速度差が使用される。好ましくは、構造化ベルト4は内側ワイヤー3bより遅い速度で進む。ウェブWは縦方向Mで第1のサクションボックス5aおよび第2のサクションボックス5bを過ぎて移動する。真空箱5aおよび5bを使用して、十分な水分がウェブWから除去され得、典型的なまたは名目の20グラム/平方メートル(gsm)ウェブ移動でおよそ7%~およそ25%の固体レベルが達成される。ボックス5での真空はおよそ-0.2~およそ-0.8bar真空を提供することができ、好ましい動作レベルはおよそ-0.4~およそ-0.6barである。繊維ウェブWが縦方向Mに沿って進行するにつれ、それは脱水ファブリック7と接触する。脱水ファブリック7はエンドレス循環ベルトとすることができ、それは、複数のガイドロールによりガイドされる。ファブリック7の張力はガイドロール19を調整することにより調整することができる。脱水ベルト7は脱水ファブリックまたはフェルトとすることができる。ウェブWはその後、構造化ファブリック4と脱水ファブリック7の間の真空ロール9に向かって進む。真空ロール9は縦方向Mに沿って回転し、およそ-0.2~およそ-0.8barの真空レベルで動作させることができ、好ましい動作レベルは少なくともおよそ-0.4barであり、最も好ましくは、およそ-0.6barである。非限定的例として、ロール9の真空ロールシェルの厚さはおよそ25mm~およそ75mmの範囲にあってもよい。サクションゾーンZのエリアにおけるウェブWを通る平均気流は、大気圧および周囲温度でおよそ150m3/分/メートル機械幅とすることができる。構造化ファブリック4、ウェブWおよび脱水ファブリック7は、真空ロール9および透過性ベルト12により形成されるベルトプレス18を通してガイドされる。図に示されるように、透過性ベルト12は単一のエンドレス循環ベルトであり、これは複数のガイドロールによりガイドされ、真空ロール9にプレスし、ベルトプレス18が形成される。
【0116】
上方または構造化ファブリック4はエンドレスファブリックであり、これはウェブWを、ベルトプレスシステム18へ、およびこれから、ツインワイヤフォーマー2/3a/3bから、最終乾燥のためのヤンキーシリンダ15へ輸送する。ツインワイヤフォーマーからトランスファーされた後、ウェブWは上方ファブリック4の3次元構造で存在し、そのため、それは平坦ではなく、3次元構造を有し、これにより嵩高いウェブが生成される。下方ファブリック7もまた透過性である。下方ファブリック7のデザインは水を貯蔵することができるようになされる。下方ファブリック7はまた滑らかな表面を有することができる。下方ファブリック7は、好ましくは、バット層を有するフェルトとすることができる。下方ファブリック7のバット繊維の直径はおよそ11dtexに等しいか、それ未満であり、好ましくはおよそ4.2dtexに等しいか、それ未満、より好ましくはおよそ3.3dtexに等しいか、それ未満とすることができる。バット繊維(baft fiber)はまた、繊維のブレンドとすることができる。下方ファブリック7はまた、およそ67dtexからの繊維を含むベクタ層を包含することができ、また、さらに粗い繊維、例えば、例として、およそ100dtex、およそ140dtex、またはさらにより高いdtex数を含むことができる。これは水の良好な吸収にとって重要である。下方ファブリック7のバット層および/または下方ファブリック自体の湿潤表面は、およそ35m2/m2フェルト面積以上とすることができ、好ましくはおよそ65m2/m2フェルト面積以上とすることができ、最も好ましくはおよそ100m2/m2フェルト面積以上とすることができる。下方ファブリック7の比表面は、およそ0.04m2/gフェルト重量以上とすることができ、好ましくはおよそ0.065m2/gフェルト重量以上とすることができ、最も好ましくはおよそ0.075m2/gフェルト重量以上とすることができる。これもまた、水の良好な吸収には重要である。圧縮性に対する値としての動剛性K[N/mm]は100,000N/mm以下であれば許容することができ、好ましい圧縮性は90,000N/mm以下であり、最も好ましくは、圧縮性は70,000N/mm以下である。下方ファブリック7の圧縮性(mm/Nで表される力による厚さ変化)は考慮されるべきである。これはウェブを効率的に高い乾燥度レベルまで脱水するために重要である。硬表面はウェブWを上方ファブリック4の構造化表面の突出点間でプレスしないであろう。他方、フェルトは3次元構造内まで深くプレスされるべきではなく、嵩、そのため品質、例えば、水保持能力の損失が回避される。
【0117】
また、非限定的例として、透過性ベルト12は、高い走行張力、高圧、熱、水分濃度に耐え、抄紙プロセスにより要求される高レベルの水除去を達成することができる、単または多層織布とすることができる。ファブリック12は好ましくは高い幅安定性を有し、高い走行張力、例えば、およそ20kN/m~およそ100kN/m、好ましくはおよそ20kN/m以上かつおよそ60kN/m以下で動作することができなければならない。ファブリック12はまた好ましくは、好適な高い透過性を有さなければならず、耐加水分解および/または耐熱材料で製造することができる。透過性高張力ベルト12は、構造化ベルト4および脱水ベルト7を含む「サンドイッチ」構造の一部を形成する。これらのベルト4および7は、その間に配置されたウェブWと共に、回転ロール9上に配列された高張力ベルト12を含むプレス装置18内で圧力に供せられる。他の実施形態では、ベルトプレス18は、回転ロール9の代わりに静的延在脱水ニップを利用する装置内で使用することができる。
【0118】
図面に戻って、ベルトプレス18およびロール9により形成されるニップは、およそ30°~180°、好ましくはおよそ50°~およそ140°の接触角を有することができる。非限定的例として、ニップ長さは、およそ800mm~およそ2500mmとすることができ、好ましくはおよそ1200mm~およそ1500mmとすることができる。また、非限定的例として、サクションロール418の直径は、およそ1000mm~およそ2500mm以上とすることができ、好ましくはおよそ1400mm~およそ1700mmとすることができる。
【0119】
好適な脱水を可能にするために、単層または多層ファブリック12は好ましくはおよそ100cfm~およそ1200cfmの透過性値を有しなければならず、最も好ましくはおよそ300cfm~およそ800cfmである。ニップはまた、好ましくは50°~130°である接触角を有することができる。単または多層ファブリックまたは透過性ベルト12はまた、すでに形成されたエンドレス織ベルト(すなわち、予め連結された、または縫い合わされたベルト)とすることができる。あるいは、ベルト12は、ピン-シームを介して一緒に連結されたその端を有し、またはその代わりに、機械上で縫い合わせることができる、織ベルトとすることができる。単または多層ファブリックあるいは透過性ベルト12はまた、好ましくは、加圧または張力下にない時でのおよそ0.5%~およそ90%の紙表面接触エリアを有することができる。ベルトの接触表面はベルトをサンディングまたは研磨に供することにより変化されるべきではない。非限定的例として、ベルト12はおよそ1.0%~およそ85%のオープンエリアを有するべきである。単または多層ファブリックまたは透過性ベルト12はまた、およそ5ヤーン/cm~およそ60ヤーン/cmの紙表面縦糸番手を有する織ベルトとすることができ、好ましくはおよそ8ヤーン/cm~およそ20ヤーン/cm、最も好ましくはおよそ10ヤーン/cm~およそ15ヤーン/cmである。さらに、織ベルト12は、およそ5ヤーン/cm~およそ60ヤーン/cmの紙表面横糸番手を有することができ、好ましくはおよそ5ヤーン/cm~およそ20ヤーン/cm、最も好ましくはおよそ8ヤーン/cm~およそ17ヤーン/cmである。
【0120】
ATMOS抄紙プロセスにおいて生成される可能性がある高い水分および熱のために、織られた単または多層ファブリックまたは透過性ベルト12は1つ以上の耐加水分解および/または耐熱材料から製造することができる。1つ以上の耐加水分解材料は好ましくはPETモノフィラメントとすることができ、理想的には、通常、ドライヤーおよびTADファブリックと関連する、すなわち、0.72IV~1.0IVの範囲の固有粘度値を有することができる。これらの材料はまた、カルボキシル末端基等価物などを含む、好適な「安定化パッケージ」を有することができる。耐加水分解性を考慮すると、カルボキシル末端基等価物(酸基は加水分解を触媒するからである)、および残留DEGまたはジエチレングリコール(これもまた、加水分解の速度を増加させる可能性がある)を考慮しなければならない。これらの因子は典型的なPETボトル樹脂から使用されるべき樹脂を分離する。加水分解では、カルボキシル等価物は、まず始めに可能な限り低くあるべきであり、12未満であるべきであることが見出されている。DEGレベルについては、0.75%未満が好ましくは使用されるべきである。この低レベルのカルボキシル末端基であったとしても、エンドキャッピング剤が添加されることが必須である。プロセスの終わりに、遊離カルボキシル基が存在しないことを確保するために、押出加工中カルボジイミドが使用されるべきである。末端基をキャップするために使用することができるいくつかのクラスの化学が存在し、例えばエポキシ、オルト-エステルおよびイソシアネートであるが、実際には、モノマカルボジイミドおよびモノマのポリマカルボジイミド(carbodiiminde)との組み合わせが最良であり、最も使用される。好ましくは、全ての末端基は、上記クラスから選択され得るエンドキャッピング剤によりキャップされ、そのため、遊離カルボキシル末端基は存在しない。
【0121】
PPSは耐熱材料用に使用することができる。他の単一ポリマ材料、例えばPEN、PBT、PEEKおよびPAもまた、安定性、清浄度および寿命などの特性を改善するために使用することができる。単一ポリマ糸ならびにコポリマ糸はどちらも使用することができる。
【0122】
高張力ベルト12のために使用される材料は必ずしもモノフィラメントから製造されなくてもよく、また、マルチフィラメントから製造することができ、芯鞘が挙げられる。他の材料、例えば非塑性材料もまた、使用することができ、例えば、金属材料である。
【0123】
透過性ベルト12は単一材料から製造される必要はなく、これはまた、2、3またはそれ以上の異なる材料から製造することができ、すなわち、ベルトは複合ベルトとすることができる。透過性ベルト12はまた、堆積により適用される、および/または加工中に架橋させることができるポリマ材料である外層、コーティング、および/または処理を用いて形成することができる。好ましくは、コーティングはファブリック安定性、耐汚染性、濾水、摩耗性、改善された耐熱および/または耐加水分解性を増強させる。コーティングが、シート離型を補助し、または駆動負荷を低減させるように、ファブリック表面張力を低減させても好ましい。処理またはコーティングはこれらの特性の1つ以上を付与するおよび/または改善するように適用することができる。
【0124】
透過性ベルト12は、優れた接触エリアを必ずしも必要とせず、すなわち、ATMOSシステムにおいて上手く動作しているベルト12の1つの非限定的例は10%未満の接触エリアを含む。理想的に、透過性ベルト12は好適な透過性および表面接触エリアを有する。ベルトの材料および織り方はそのような検討事項よりも重要ではない。
【0125】
非限定的例として、構造化ファブリック4は、例えば、2006年4月28日に出願された米国特許出願第11/380,826号で開示される型の構造化ファブリックとすることができる。例として、構造化ファブリック4はペーパーウェブに面する側を有することができ、ロール9の支持表面上でガイドすることができ、下記特性を有することができる:およそ100cfm~およそ1200cfmの透過性値、加圧および張力下にない時でのおよそ5%~およそ70%の紙表面接触エリア、およびおよそ10%~およそ90%のオープンエリア。
【0126】
また、非限定的例として、構造化ファブリック4は単または多層織布とすることができ、これは高圧、熱、水分濃度に耐えることができ、高レベルの水除去を達成することができ、また、Voith ATMOS抄紙プロセスにより必要とされるペーパーウェブの成型、もしくはエンボス加工が可能になる。ファブリック4はまた、幅安定性、好適な高透過性を有するべきである。ファブリック4はまた、好ましくは耐加水分解および/または耐熱材料耐を使用するべきである。
【0127】
ファブリック4は、少なくとも2つの他のベルトおよび/またはファブリックを含むサンドイッチ構造の一部として使用される。これらの追加のベルトは高張力ベルト12および脱水ベルト7を含む。サンドイッチ構造は回転ロール9または静的支持表面により形成される延在ニップ上で圧力および張力に供せられる。延在ニップは、およそ30°~およそ180°の接触角を有することができ、好ましくはおよそ50°~およそ130°である。ニップ長さはおよそ800mm~およそ2500mmとすることができ、好ましくはおよそ1200mm~およそ1500mmである。ニップはおよそ1000mm~およそ2500mmである、好ましくはおよそ1400mm~およそ1700mmである直径を有する回転サクションロールにより形成させることができる。
【0128】
構造化ファブリック4は紙シートまたはウェブにトポグラフィカルパターンを付与する。これを達成するために、高圧が成型ファブリック4に高張力ベルト12を介して与えられる。シートパターンのトポグラフィーは、成型ベルト4の仕様を変化させることにより、すなわち、糸直径、糸形状、糸密度、および糸タイプなどのパラメータを調節することにより操作することができる。異なるトポグラフィカルパターンをシート中で、異なる表面織りにより付与することができる。同様に、シートパターンの強度は、高張力ベルト12により付与される圧力を変化させることにより、成型ベルト4の仕様を変化させることにより変化させることができる。シートのトポグラフィカルパターンの性質および強度に影響を与えることができる他の因子としては、空気温度、空気速度、空気圧力、延在ニップにおけるベルト滞在時間、およびニップ長さが挙げられる。
【0129】
下記は構造化ファブリック4の非限定的特徴および/または特性である:好適な脱水を可能にするために、単または多層ファブリックはおよそ100cfm~およそ1200cfmの透過性値を有するべきであり、好ましくはおよそ200cfm~およそ900cfmである;2つの他のベルト、例えば、高張力ベルト12および脱水ベルト7とのサンドイッチ構造の一部であるファブリック4は圧力および張力に、回転または静的支持表面上、およそ30°~およそ180°、好ましくはおよそ50°~およそ130°の接触角で供せられる;ファブリック4は、加圧または張力下にない時でのおよそ5%~およそ70%の紙表面接触エリアを有するべきである;フォーミングファブリックはおよそ10%~およそ90%のオープンエリアを有するべきである。
【0130】
ファブリック4は好ましくは、予め連結されたおよび/または縫い合わされた連続および/またはエンドレスベルトとして、ATMOS機械上に設置することができる織布である。あるいは、フォーミングファブリック4はATMOS機械において、例えば、ピン-シーム配列を使用して連結させることができ、または、そうでなければ、機械上で縫い合わせることができる。ATMOS抄紙プロセスにより発生する高い水分および熱に抵抗するために、織られた単または多層ベルト4は、耐加水分解および/または耐熱材料のいずれかを利用し得る。耐加水分解材料は、好ましくは、0.72IV~およそ1.0IVの範囲の、通常、ドライヤーおよびTADファブリックと関連する固有粘度値を有するPETモノフィラメントを含むべきであり、また、カルボキシル末端基等価物を含む、好適な「安定化パッケージ」(というのも、酸基は加水分解を触媒するからである)および残留DEGまたはジエチレングリコール(というのも、これもまた加水分解速度を増加させるからである)を有するべきである。これらの2つの因子は典型的なPETボトル樹脂から使用することができる樹脂を分離する。加水分解では、カルボキシル等価物は、まず始めに可能な限り低くあるべきであり、およそ12未満であるべきであることが見出されている。DEGレベルはおよそ0.75%未満であるべきである。この低レベルのカルボキシル末端基であったとしても、エンドキャッピング剤が添加されることが必須であり、プロセスの終わりに、遊離カルボキシル基が存在しないことを確保するために、押出加工中カルボジイミドが使用されるべきである。末端基をキャップするために使用することができるいくつかのクラスの化学が存在し、例えばエポキシ、オルト-エステルおよびイソシアネートであるが、実際には、モノマカルボジイミドおよびモノマのポリマカルボジイミド(carbodiiminde)との組み合わせが最良であり、最も使用される。
【0131】
PPSなどの耐熱材料は、構造化ファブリック4において使用することができる。PEN、PBT、PEEKおよびPAなどの他の材料もまた、安定性、清浄度および寿命などのファブリック4の特性を改善するために使用することができる。単一ポリマ糸およびコポリマ糸のどちらも使用することができる。ベルト4のための材料は、必ずしも、モノフィラメントから製造される必要はなく、マルチフィラメント、芯鞘とすることができ、非塑性材料、すなわち、金属材料とすることもできる。同様に、ファブリック4は必ずしも、単一材料から製造されなくてもよく、2、3またはそれ以上の異なる材料から製造され得る。成形糸、すなわち、非円形糸の使用もまた、紙シートのトポグラフィーまたは特性を増強または制御するために可能である。成形糸はまた、ファブリック特徴または特性、例えば安定性、キャリパー、表面接触エリア、表面平坦性、透過性および摩耗性を改善または制御するために使用することができる。
【0132】
構造化ファブリック4はまた、例えば、堆積により適用される追加のポリマ材料で、処理および/またはコートすることができる。材料は、ファブリック安定性、耐汚染性、濾水、摩耗性を増強する、耐熱および/または耐加水分解性を改善するために、ならびに、ファブリック表面張力を低減させるために、添加し、加工中に架橋させることができる。これはシート離型を助け、および/または駆動負荷を低減させる。処理/コーティングはファブリック4のこれらの特性の1つまたはいくつかを付与する/改善するために適用することができる。前に示されるように、ペーパーウェブW中のトポグラフィカルパターンは、異なる単および多層織りの使用により変化させ、操作することができる。パターンのさらなる増強は、糸直径、糸番手、糸タイプ、糸形状、透過性、キャリパーに対する変更および処理またはコーティングの付加などによる、特定のファブリック織りへの調整により、さらに得ることができる。最後に、ファブリックまたは成型ベルト4の1つ以上の表面は、表面特性を増強させるために、サンディングおよび/または研磨に供することができる。
【0133】
前記実施例は説明の目的のために提供されたものにすぎず、決して、本発明を限定するものとして解釈されるものではないことが示されている。本発明について、例示的な実施形態を参照して記載してきたが、使用されている用語は、制限する用語ではなく、説明および例示の用語であることが理解される。ここで言明された、および補正された添付の特許請求の範囲内で、本発明の範囲および精神から逸脱せずに、その観点において、変更が可能である。発明を、特定の配列、材料および実施形態を参照して本明細書で記載してきたが、発明は本明細書で開示される事項に制限されることは意図されない。代わりに、発明は、添付の特許請求の範囲内にあるような、全ての機能的に等価な構造、方法および使用にまで拡大される。
【0134】
クレープ加工なしスルーエア乾燥UCTAD
図4を参照して、この発明を実施する方法を詳細に記載する。図4は、加熱組成物のオフライン適用に好適なクレープ加工なしスルーエア乾燥ベースシートを製造するためのプロセスを示す。抄紙繊維の水性懸濁液流をフォーミングファブリック2上に注入または堆積させる層状抄紙へッドボックス1を有するツインワイヤフォーマーが示される。ウェブはその後、ファブリック4にトランスファーされ、これは新たに形成されたウェットウェブを支持し、プロセスの下流に運搬するように機能し、その間、ウェブは約10乾燥重量パーセントの濃度まで部分的に脱水される。ウェットウェブの追加の脱水は、例えば真空吸引により実施することができ、その間、ウェットウェブはフォーミングファブリックにより支持される。
【0135】
ウェットウェブはその後、増加したMDストレッチをウェブに付与するために、フォーミングファブリックから、フォーミングファブリックより遅い速度で進むトランスファーファブリック6にトランスファーされる。ウェットウェブの圧縮を回避するために、好ましくは真空シュー5の助けにより、キストランスファーが実施される。ウェブはその後、真空トランスファーロール7または真空トランスファーシューの助けにより、トランスファーファブリックからスルーエア乾燥ファブリック8へトランスファーされる。スルーエア乾燥ファブリックは、トランスファーファブリックと比べておよそ同じ速度で、または異なる速度で進むことができる。所望であれば、スルーエア乾燥ファブリックはより遅い速度で動くことができ、MDストレッチがさらにされる。トランスファーは好ましくは真空補助で実施され、スルーエア乾燥ファブリックに従うシートの変形が確保され、これにより、所望の嵩、柔軟性、CDストレッチおよび外観が得られる。
【0136】
ウェブトランスファーのために使用される真空のレベルは約3~約15水銀柱インチ(75~約380水銀柱ミリメートル)、好ましくは約10水銀柱インチ(254ミリメートル)とすることができる。真空シュー(負圧)は、ウェブの反対側からの正圧の使用により補充し、またはこれにより置き換えることができ、それを次のファブリック上に真空により吸引することに加えてまたはその代わりとして、ウェブが次のファブリック上に吹き飛ばされる。また、1つまたは複数の真空ロールまたはロールは使用することができ、真空シュー(複数可)にとって代わる。
【0137】
スルーエア乾燥ファブリックにより支持される間、ウェブは、スルーエアードライヤー9により約94パーセント以上の濃度まで最終乾燥され、その後、上方キャリヤファブリック11にトランスファーされる。
【0138】
乾燥ベースシート13は上方と下方トランスファーファブリック、それぞれ11と12の間でリール14まで輸送され、そこで、ロール15に、加熱組成物のその後の印刷およびさらなる加工のために巻き取られる。
図1
図2
図3
図4