(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】包装体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/02 20060101AFI20240119BHJP
B65D 81/05 20060101ALI20240119BHJP
B65D 77/26 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
B65D81/02 200
B65D81/05 200
B65D77/26 C
(21)【出願番号】P 2019137549
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】397028511
【氏名又は名称】ムルチバック・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186864
【氏名又は名称】尾関 眞里子
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【氏名又は名称】久保 司
(72)【発明者】
【氏名】秦 哲志
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/037986(WO,A1)
【文献】米国特許第04697703(US,A)
【文献】特表2018-500243(JP,A)
【文献】特開2017-218179(JP,A)
【文献】特開2014-227219(JP,A)
【文献】特開2006-296492(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0140124(US,A1)
【文献】特開2017-024753(JP,A)
【文献】特開2007-119033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/02
B65D 81/05
B65D 77/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトムフィルムを深絞りして成形されたボトムトレイと、ボトムトレイに収納された被包装物を固定する、緩衝用フィルムに凹凸を設けた緩衝体からなり、
凹凸は複数を深絞りして被包装物の上面部が押止されるように成形したものであり、ボトムトレイと緩衝体が接着されたフランジを設け、
緩衝体の上面にトップフィルムを設け、ボトムトレイと緩衝体とトップフィルムが相互に接着されたフランジを設け、包装体内の被包装物が収納された収納部は脱気されていることを特徴とする包装体。
【請求項2】
包装体は、ボトムフィルムをボトムフィルム成形金型上部側にセットし、ボトムフィルム成形金型下部の排気連通管から圧縮空気を供給し、ボトムフィルム成形金型上部の排気連通管から排気を行ない、この時ボトムフィルムはボトムフィルム成形用加熱板に押し付け加熱して軟化させ、ボトムフィルム成形金型下部の排気連通管からは排気又は真空引きを行ない軟化したボトムフィルムをボトムフィルム成形金型下部に押し付け成形し、ボトムフィルム成形金型下部内には冷却水が通水しており、成形されたボトムフィルムはただちに冷却されて固形化され、成形終了後、ボトムフィルム成形金型下部を下降させ、ボトムトレイを成形するとともに、緩衝用フィルムを、緩衝用フィルム成形金型上部側にセットし、緩衝用フィルム成形金型下部の排気連通管から圧縮空気を供給し、緩衝用フィルム成形金型上部の排気連通管から排気を行ない、この時緩衝用フィルムはボトムフィルム成形用加熱板に押し付け加熱して軟化させ、ボトムフィルム成形金型下部の排気連通管からは排気又は真空引きを行ない軟化した緩衝用フィルムを緩衝用フィルム成形金型下部に押し付け成形し、緩衝用フィルム成形金型下部内には冷却水が通水しており、成形された緩衝用フィルムはただちに冷却されて固形化され、成形終了後、緩衝用フィルム成形金型下部を下降させて
複数の凹凸を被包装物の上面部が押止されるように成形した緩衝体を形成し、ボトムトレイ内に被包装物をボトムトレイ開口部から収納し、該開口部を緩衝体で装着密閉し、
包装体の緩衝体上面をトップフィルムで装着密閉することを特徴とする包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、消費者が商品を入手する際、従来の店舗に足を運び店内で見定めて購入し消費地へと持ち運ぶ、という方法とは別に、必要な商品を電話での注文やインターネット上の商品販売サイトで選択して購入手続をとり、指定の場所に配送された商品を入手する、という方法も多用されている。
【0003】
この際、商品に欠損等の問題がなく届く、ということは出荷者及び消費者にとり最大の課題であり、流通経路が煩雑な場合は特に問題となる。
【0004】
商品の形状、大きさ、厚み、重量が、大きいものから小さいもの、厚みのあるものから薄いもの、重量のあるものから軽量のもの、と混在している中、受注し、発送する事業者は、欠損なく指定された場所に届くように、商品の包装材料、特にパッキング材に創意工夫を凝らして、それぞれの商品に合った包装をした包装体に仕立てて発送しなければならない。
【0005】
包装体の一例として、従来の組立箱は、組立てが面倒であったり、堅牢性に欠け、大量に集積したり輸送する際にときには箱が変形して包装物が損傷を受けることもあったが、
図9から
図11に示すように、下記特許文献1は、組立てが容易で堅牢な一枚の板紙からなる組立箱を開示する。
【0006】
具体的には、
図9の形状に切り抜き、折り曲げて立体形状に加工するための折目線を付した1枚の板紙を裏返して、上面部101四周の各側面部103a~103dを折曲起立させると共に前後両側面部103c、103dの折曲片112を内側に直角に折曲げる。次に、前後両側面部103c、103d外側に設けられた連接片114をそれぞれ内側に直角に折曲げた後、
図10に示すように、左右両側面部103a、103b外側に形成された下面部105a、105bを内側に折曲げると共にその先端部両側の各挿入片108a、108bを裏面に接するまで嵌入させて箱体に形成し、同時に一方の下面部105a先端部に突出形成された舌片109は他方の下面部105b先端に設けられた切欠部110から該下面部105b裏側に挿入する。そして、最後に上面部101を上に向けて該上面部101中央部に収納物のための凹陥部121を形成すべく、
図11に示すように、各収納用片119を内側へ折曲し、同時に指掛部120を前記のようにして折曲形成し組立箱とする。
【0007】
また、CDまたはDVD用の包装体の一例として、
図12に示すように、下記特許文献2は、既知のパッケージングよりも改良された強度、および高級感のある外観を有する、CDまたはDVD用のパッケージングが開示されている。
【0008】
具体的には、ヒンジング部分208により相互連結された第1の側部204および第2の側部206を伴う、内部部分を含むパッケージング202は、本のように開けることが可能で、第1の外部部分210は側部204に取り付けられており、さらに第2の外部部分212は側部206に取り付けられている。側部204は、外部部分210に取り付けられた、下部内部要素214をさらに含み、2つは一緒に接着されている。同様に、第2の側部206は、外部部分212に接着された上部内部要素216を含んでいる。外部部分210、212は金属材料、内部部分214、216はプラスチック材料、で製造されている。上部内部要素216は、光学要素を係合手段218を用いて格納するよう適合している。係合手段218は円形をしており、外部リング220、および前記リングの中央に保持要素(図示せず)を含んでいる。外部リング220は、記憶媒体を把持するのをさらに容易にするくぼみ222を含んでいる。下部内部要素214は、縦方向補強バー224、および横方向補強バー226を含んでいる。下部内部要素214は、光学記録媒体についての情報を含む小冊子などの要素を保持する、2つの保持部材228をさらに含んでいる。下部部分204および上部部分206は、パッケージングを本のように開ける際に、ユーザが使用可能な、取扱いくぼみ230を含んでいる。記憶媒体202を開けるときには、雄ロック部材232は、雌ロック部材234を係脱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実開昭61―38019号公報(包装用組立箱)
【文献】特開2007-238185号公報(パッケージングおよび保持部材)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1の発明は、堅牢な箱体とするために、組立て工数が複雑で時間を要するという問題がある。また、被包装物ごとに板紙の設計を要するという問題がある。
【0011】
また、特許文献2の発明は、金属とプラスチックの2種類の材料を使用するため不要となった際には分別処理に手間を要し、さらに、被包装物は一定形状の記憶媒体専用であり、他の形状のものは包装できず、また、複数の記憶媒体を把持することができないという問題がある。
【0012】
実際、消費者が通信販売サイトで本と小箱入りの錠剤を注文した場合、出荷者は、本と小箱を段ボール製外箱に入れ、その上に外箱内の空洞がなくなるように、折りたたんだ紙や気泡クッション材を詰めた後、蓋をして包装体としたり、本の大きさに対して大きい底面を持つ段ボール製板紙の上に本と小箱を乗せ、これをフィルムでシュリンク包装をしたものを、段ボール製外箱の内底にグルーガンで固着した後、蓋をして包装体としている。そして、外箱の上面に宛名ラベルを添付して発送体として発送する、という方法が採用されている。
【0013】
しかし、これらの包装体では、出荷者は、保護材としての折りたたんだ紙や気泡クッション材、段ボール製板紙や、固定材としてのシュリンク包装フィルム、グルーガンと接着剤と、段ボール製外箱が必要であり、それぞれを折畳んだり、素材を組み合わせて1つの包装体として組立てる工数が必要である。
【0014】
また、少容量の被包装物に対して包装体の大きさが非常に大きくなり、これにより配送車両が1回で運ぶことのできる発送体の数を減らさざるを得なくなる。
【0015】
発送体の容積を小さくするために、包装体の中に被包装物を収納して真空にした場合、被包装体がつぶれてしまい、被包装物を変形せずに、固定・保護することができない、とうという問題がある。
【0016】
さらに、消費者は、開封する手間や、包装体を分別して処分する手間を要するという問題がある。
【0017】
本発明は、多種多用の形状、大きさ、重量等を有する被包装物を、移動や破損のないように内部に固定・保護が可能で、ワンステップで形成された、コンパクトでシンプルな包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、ボトムフィルムを深絞りして成形されたボトムトレイと、ボトムトレイに収納された被包装物を固定する、緩衝用フィルムに凹凸を設けた緩衝体からなり、凹凸は複数を深絞りして被包装物の上面部が押止されるように成形したものであり、ボトムトレイと緩衝体が接着されたフランジを設け、緩衝体の上面にトップフィルムを設け、ボトムトレイと緩衝体とトップフィルムが相互に接着されたフランジを設け、包装体内の被包装物が収納された収納部は脱気されていることを要旨とするものである。
【0019】
請求項2記載の本発明は、包装体は、ボトムフィルムをボトムフィルム成形金型上部側にセットし、ボトムフィルム成形金型下部の排気連通管から圧縮空気を供給し、ボトムフィルム成形金型上部の排気連通管から排気を行ない、この時ボトムフィルムはボトムフィルム成形用加熱板に押し付け加熱して軟化させ、ボトムフィルム成形金型下部の排気連通管からは排気又は真空引きを行ない軟化したボトムフィルムをボトムフィルム成形金型下部に押し付け成形し、ボトムフィルム成形金型下部内には冷却水が通水しており、成形されたボトムフィルムはただちに冷却されて固形化され、成形終了後、ボトムフィルム成形金型下部を下降させ、ボトムトレイを成形するとともに、緩衝用フィルムを、緩衝用フィルム成形金型上部側にセットし、緩衝用フィルム成形金型下部の排気連通管から圧縮空気を供給し、緩衝用フィルム成形金型上部の排気連通管から排気を行ない、この時緩衝用フィルムはボトムフィルム成形用加熱板に押し付け加熱して軟化させ、ボトムフィルム成形金型下部の排気連通管からは排気又は真空引きを行ない軟化した緩衝用フィルムを緩衝用フィルム成形金型下部に押し付け成形し、緩衝用フィルム成形金型下部内には冷却水が通水しており、成形された緩衝用フィルムはただちに冷却されて固形化され、成形終了後、緩衝用フィルム成形金型下部を下降させて複数の凹凸を被包装物の上面部が押止されるように成形した緩衝体を形成し、ボトムトレイ内に被包装物をボトムトレイ開口部から収納し、該開口部を緩衝体で装着密閉し、包装体の緩衝体上面をトップフィルムで装着密閉することを特徴とする包装体の製造方法を要旨とするものである。
【0020】
請求項1、請求項2記載の本発明によれば、包装体は、ボトムフィルム、緩衝用フィルムから形成されるものであり、被包装物に合わせて様々な大きさや材質の包装体を仕入れずとも、ロール状のフラットなフィルムを仕入れることで、立体形状の被包装物をコンパクトな包装体とすることができる。
【0021】
このため、包装材の仕入れの省労力化、省スペース化が可能であり、しかも包装する時点でフィルムを加熱成形するため衛生的で効率的な包装形態である。
【0022】
包装体は、深絞り包装機でワンステップで形成できるため、様々な包装材を仕入れて組立てる工数や手間を省くことができるシンプルな包装体とすることができる。
【0023】
包装材を削減可能なため、消費者は、開封する手間や、使用済みの包装材を処分するアイテムも少なく、包装体を分別して処分する手間も少なく、環境問題にも貢献することができる。
【0024】
被包装物の形状・大きさに対して必要最低限の形状・大きさの発送体トラックの荷台への収まりがよい。
【0025】
包装体は、多種多用の形状、大きさ、重量等を有する被包装物を、移動や破損のないように内部に固定・保護する緩衝体を成形し、緩衝体とボトムトレイを接着して被包装物を内部に固定・保護ができる。
【0026】
ボトムトレイにボトムトレイフランジを設けたことにより、ボトムトレイ/緩衝体シール部を有し、緩衝体との接着面を広げて、シール性を高めることができる。
【0027】
被包装物により、包装体の求められる機能が異なるが、その要求に応じて、ボトムフィルム、緩衝用フィルム、トップフィルムの材質等を設計して、過不足のない、シンプルな包装形態とし、コンパクトな発送体等とすることができる。
【0028】
緩衝体に設けた緩衝体凹部、緩衝体凸部により、被包装物の上面のみならず周囲からも固定・保護が同時にできる。
【0029】
緩衝体凹部、緩衝体凸部は、深絞り包装機により、様々な形状、大きさ、深さ、配置とすることが可能であるため、凹凸の大きさ、深さ、形状が同一のもの、形状が異なるもの、整列した配置やランダムな配置、等、緩衝用フィルム成形金型下部76に設ける凹凸の形状により任意に多種多用なものが構成できる。
【0030】
収納部が脱気されているため、緩衝体凹部、緩衝体凸部が被包装物に密着しての固定・保護ができる。
【0031】
緩衝体の上面をトップフィルムで覆うことのできるため、包装体内部に収納された被包装物の固定・保護性をさらに強め、あわせて、非透過のトップフィルムにより外観より被包装物を視認不可能とすることができる。
【0032】
凹凸は複数を深絞りして被包装物の上面部が押止されるように成形したものであるため、被包装物A90の上面部が押止されて、固定・保護できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、多種多用の形状、大きさ、重量等を有する被包装物を、(1)移動や破損のないように内部に固定・保護する緩衝体を成形し、(2)緩衝体とボトムトレイを接着して被包装物を内部に固定・保護が可能とし、さらに(3)緩衝体の上面をトップフィルムで覆うことができる。
【0034】
本発明は、ワンステップで形成された、コンパクトでシンプルな包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の包装体の第1の実施形態の第1の実施例を示す断面図である。
【
図2】本発明の包装体の第1の実施形態の第2の実施例を示す断面図である。
【
図3】本発明の包装体の第2の実施形態の第1の実施例を示す断面図である。
【
図4】本発明の包装体の第2の実施形態の第2の実施例を示す断面図である。
【
図5】本発明の包装体の第1の実施形態の第3の実施例を示す説明図である。
【
図6】本発明の包装体の第2の実施形態の第3の実施例を示す説明図である。
【
図7】本発明の包装体の第1の実施形態の製造ラインを示す説明図である。
【
図8】本発明の包装体の第2の実施形態の製造ラインを示す説明図である。
【
図10】従来例の包装体の組立途中を示す斜視図である。
【
図11】従来例の包装体の組立完了を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれに限定されたものでないことは、言うまでもない。
【0037】
以下図面を用いて本発明の包装体の実施の形態を詳細に説明する。
【0038】
〔構成・構造〕
はじめに、本発明の包装体の構成・構造を記載する。
【0039】
図1は包装体A1の1実施形態の第1の実施例を示す断面図で、包装体A1は、包装体A底部5の周囲から立ち上がり側面を構成する包装体A立ち上がり部4と、包装体A立ち上がり部4の上部に包装体Aフランジ3を有し、包装体A表面部2からなる。
【0040】
包装体A1は、ボトムフィルム20から形成されたボトムトレイ30と、緩衝用フィルム40から形成された緩衝体50から構成され、ボトムトレイ30のボトムトレイ開口部37を、緩衝体50で覆うものである。
【0041】
ボトムトレイ30は、ボトムトレイ底部35の周囲から立ち上がり側面を構成するボトムトレイ立ち上がり部34と、ボトムトレイ立ち上がり部34の上部にボトムトレイフランジ33を有する。
【0042】
ボトムトレイ内面部32に設けたボトムトレイ収納部36に、被包装物A90を収納したボトムトレイ30の、ボトムトレイ外面部31のボトムトレイフランジ33と、緩衝体内面部53の緩衝体フランジ51を重ね合わせた、ボトムトレイ/緩衝体シール部38を接着することにより、包装体A1が密封される。
【0043】
図2は、包装体A1の第2の実施例を示す断面図で、ボトムトレイ収納部36に被包装物B91を収納したものである。
【0044】
ここで、
図1と
図2は、被包装物の厚みが違うものであり、被包装物A90は、画面保護フィルム、CD、薄型電池、ケーブル、冊子等の厚みのない薄ものの被包装物であり、被包装物B91は、薬、医療品、食品、衣料品、日用雑貨、本、各種部材等の厚みのある厚ものの被包装物である。
【0045】
被包装物は、薄ものの被包装物A90を重ねて厚物とした被包装物B91でもよい。また、被包装物A90、被包装物B91をそれぞれ横に、または、複数重ねて並べたものでもよい。被包装物の組み合わせは自由に採用できる。
【0046】
緩衝体50は、ボトムトレイ内面部32に設けたボトムトレイ収納部36で、被包装物A90または被包装物B91が内部で移動して破損や傷がつかないように固定・保護するためのものである。
【0047】
緩衝体50は、緩衝用フィルム40を緩衝用フィルム成形用加熱板75で加熱し、凹凸を設けた緩衝用フィルム成形金型下部76、緩衝用フィルム成形金型上部74で熱成形されたもので、緩衝用フィルム成形金型下部76に設けた凹凸の形状により、緩衝体凹部54、緩衝体凸部55が形成される。
【0048】
緩衝体凹部54、緩衝体凸部55は、様々な形状、大きさ、深さ、配置とすることが可能であり、凹凸の大きさ、深さ、形状が同一のもの、形状が異なるもの、整列した配置やランダムな配置、等、緩衝用フィルム成形金型下部76に設ける凹凸の形状により任意に多種多用なものが構成される。
【0049】
被包装物A90の場合、緩衝体50に設けられた、緩衝体凹部54の緩衝体内面部53に被包装物A90の上面部が押止されて、固定・保護される。
【0050】
被包装物B91の場合、緩衝体50に設けられた、緩衝体凹部54の緩衝体内面部53に被包装物B91の上部面および側面が囲われて、固定・保護される。
【0051】
緩衝体凹部54は、被包装物の形状に添うように柔軟に形を変え、被包装物A90、被包装物B91を固定・保護する。
【0052】
図3は、包装体B11の1実施形態の第1の実施例を示す断面図で、包装体B11は、包装体B底部15の周囲から立ち上がり側面を構成する包装体B立ち上がり部14と、包装体B立ち上がり部14の上部に包装体Bフランジ13を有し、包装体B表面部12からなる。
【0053】
包装体B11は、ボトムフィルム20から形成されたボトムトレイ30と、緩衝用フィルム40から形成された緩衝体50と、トップフィルム60から構成され、ボトムトレイ30のボトムトレイ開口部37を、緩衝体50で覆い、緩衝体50の外面部52をトップフィルム60で覆うものである。
【0054】
包装体B11は、包装体A1の緩衝体外面部52の緩衝体フランジ51と、トップフィルム60が密着するトップフィルム内面部62を重ね合わせた、緩衝体/トップフィルムシール部39を接着することにより、包装体B11が密封される。
【0055】
図4は、包装体B11の第2の実施例を示す断面図で、ボトムトレイ収納部36に被包装物B91を収納したものである。
【0056】
ボトムトレイ30の形状は、特に限定はなく、略長方形のボトムトレイ底部35備えた短手、長手を有する略長方体形状、略直方体形状、略円形状等のものでもよく、深絞り包装機70で成形、接着の工程をとることのできる形状であれば特に限定はない。
【0057】
ボトムフィルム20からボトムトレイ30を形成する際の、ボトムフィルム成形金型下部73により、強度を高めたり被包装物A90、被包装物B91の移動を防止する等の役割を有するリブを、あわせて設けることができる。
【0058】
「接着」は、接着剤を用いた接着、熱溶着等、両者を貼り合わせるものであれば特に限定はない。
【0059】
〔使用方法〕
次に本発明の包装体の使用方法を記載する。
【0060】
図5は、包装体A1を発送する際に、発送体92とした場合の実施例を示す説明図である。包装体A1がぴったりと入る外装94に封入して、宛名ラベル95を貼付し、発送体92とする。
【0061】
また、図示はしないが、包装体A1を複数体重ねたものをぴったりと入る外装に封入して宛名ラベル95を貼付し発送体とすることもできる。
【0062】
外装94は、本実施例では薄箱であるが、包装体A1を封入できるものであれば特に限定はなく、封筒であってもよい。
【0063】
図6は、包装体B11を発送する際に、発送体93とした場合の実施例を示す説明図である。包装体B11のトップフィルム60のトップフィルム外面部61に宛名ラベル95を貼付し、発送体93とする。
【0064】
また、図示はしないが、包装体B11がぴったりと入る外装に封入して、宛名ラベル95を貼付し発送体としたり、包装体B11を複数体重ねたものをぴったりと入る外装に封入して宛名ラベル95を貼付し発送体とすることもできる。
【0065】
〔製造方法〕
次に、本発明の包装体の製造方法を詳細に説明する。
【0066】
図7は、包装体A1の実施形態の製造ラインを示す説明図である。
【0067】
包装体A1は、熱成形性の良いボトムフィルム20をボトムフィルム成形用加熱板72で加熱し、ボトムフィルム成形金型上部71、ボトムフィルム成形金型下部73で熱成形することにより被包装物に合わせたくぼみを作りボトムトレイ30とする、と同時に、熱成形性の良い緩衝用フィルム40を緩衝用フィルム成形用加熱板75で加熱し、凹凸を設けた緩衝用フィルム成形金型下部76、緩衝用フィルム成形金型上部74で熱成形した緩衝体50とし、ボトムトレイ30のくぼみであるボトムトレイ収納部36に被包装物A90、被包装物B91を収納した後、緩衝体50を被せて、ボトムトレイ30と緩衝体50の間から脱気した後、第1シール金型上部77、第1シール金型下部78で、ボトムトレイ/緩衝体シール部38を接着し、その後カットして包装体A1とするものである。
【0068】
図8は、包装体B11の実施形態の製造ラインを示す説明図である。
【0069】
包装体B11は、熱成形性の良いボトムフィルム20をボトムフィルム成形用加熱板72で加熱し、ボトムフィルム成形金型上部71、ボトムフィルム成形金型下部73で熱成形することにより被包装物に合わせたくぼみを作りボトムトレイ30とする、と同時に、熱成形性の良い緩衝用フィルム40を緩衝用フィルム成形用加熱板75で加熱し、凹凸を設けた緩衝用フィルム成形金型下部76、緩衝用フィルム成形金型上部74で熱成形した緩衝体50とし、ボトムトレイ30のくぼみであるボトムトレイ収納部36に被包装物を収納した後、緩衝体50を被せて、ボトムトレイ30と緩衝体50の間から脱気した後、第1シール金型上部77、第1シール金型下部78で、ボトムトレイ/緩衝体シール部38を接着し、さらに、トップフィルム60を被せて第2シール金型上部79、第2シール金型下部80で、緩衝体/トップフィルムシール部39を接着し、その後カットして包装体B11とするものである。
【0070】
図示はしないが、ボトムトレイ30の成形工程を詳細に説明する。深絞り包装機70に、ボトムフィルム外面部21を底面になるようにセットしたボトムフィルム20を、ボトムフィルム成形金型上部71側にセットし、ボトムフィルム成形金型下部73の排気連通管から圧縮空気を供給し、ボトムフィルム成形金型上部71の排気連通管から排気を行ない、この時ボトムフィルム20はボトムフィルム成形用加熱板72に押し付け加熱して軟化させ、ボトムフィルム成形金型下部73の排気連通管からは排気又は真空引きを行ない軟化したボトムフィルム20をボトムフィルム成形金型下部73に押し付け成形し、ボトムフィルム成形金型下部73内には冷却水が通水しており、成形されたボトムフィルム20はただちに冷却されて固形化され、成形終了後、ボトムフィルム成形金型下部73を下降させ、ボトムトレイ30が形成される。
【0071】
連続して、被包装物を被包装物収納部85において、ボトムトレイ開口部37からボトムトレイ収納部36に収納し、ボトムトレイ開口部37に緩衝体50を被せて、ボトムトレイ30と緩衝体50の間から脱気し、第1シール金型上部77、第1シール金型下部78でボトムトレイ/緩衝体シール部38を接着し、その後カットすることで、包装体A1が形成される。
【0072】
被包装物や保管・輸送環境により必要性があれば、脱気とともに用途に応じたガスを封入することもできる。
【0073】
一例を挙げると、酸素に合うと腐食する素材からなる製品の場合は、脱気をするとともに、酸素不混入のガスを封入し、瞬時に、第1シール金型上部77、第1シール金型下部78でボトムトレイ/緩衝体シール部38を接着することで、被包装物である製品が空気中の酸素から隔離され、腐食を防止することができる。
【0074】
次に、図示はしないが、緩衝体50の成形工程を詳細に説明する。深絞り包装機70にセットした緩衝用フィルム40を、緩衝用フィルム成形金型上部74側にセットし、緩衝用フィルム成形金型下部76の排気連通管から圧縮空気を供給し、緩衝用フィルム成形金型上部74の排気連通管から排気を行ない、この時緩衝用フィルム40はボトムフィルム成形用加熱板72に押し付け加熱して軟化させ、ボトムフィルム成形金型下部73の排気連通管からは排気又は真空引きを行ない軟化した緩衝用フィルム40を緩衝用フィルム成形金型下部76に押し付け成形し、緩衝用フィルム成形金型下部76内には冷却水が通水しており、成形された緩衝用フィルム40はただちに冷却されて固形化され、成形終了後、緩衝用フィルム成形金型下部76を下降させると緩衝体50が形成される。
【0075】
連続して、被包装物を被包装物収納部85において、ボトムトレイ開口部37からボトムトレイ収納部36に収納し、ボトムトレイ開口部37に緩衝体50を被せて、ボトムトレイ30と緩衝体50の間から脱気した後、第1シール金型上部77、第1シール金型下部78で、ボトムトレイ/緩衝体シール部38を接着し、その上面にトップフィルム60を被せて、第2シール金型上部79、第2シール金型下部80で、緩衝体/トップフィルムシール部39を接着し、その後カットすることで、包装体B11が形成される。
【0076】
緩衝体凹部54、緩衝体凸部55は、様々な形状、大きさ、深さ、配置とすることが可能であり、凹凸の大きさ、深さ、形状が同一のもの、形状が異なるもの、整列した配置やランダムな配置、等、緩衝用フィルム成形金型下部76に設ける凹凸の形状により任意に多種多用なものが構成される。
【0077】
図示はしないが、使用するフィルムの材質により、フィルム成形用加熱板がフィルム成形金型下部側にあるプレヒーティングタイプとすることもできる。
【0078】
〔材料・材質〕
次に本発明の包装体の材料・材質を記載する。
【0079】
包装体A1、包装体B11は、ボトムフィルム20、緩衝用フィルム40を使用し、さらに包装体B11は、トップフィルム60をあわせて使用する。各フィルムはそれぞれの要求機能により種々の積層がなされ、種類、材質、厚みを選択することができる。特に限定はないが、以下に、好ましい例を示す。
【0080】
ボトムフィルム20は、包装体A1、包装体B11のボトムトレイ30を形成するため、被包装物A90、被包装物B91を収納・保持して、外部環境から保護できる強度、硬質性が要求されるとともに、成形性を要求される。
【0081】
さらに、ボトムトレイ30のボトムトレイフランジ33のボトムトレイ内面部32(ボトムフィルム内面部22)側には、緩衝体50の緩衝体フランジ51の緩衝体内面部53(緩衝用フィルム内面部42)側と接着するため、シール性が要求される。
【0082】
また、包装体A1、包装体B11のボトムトレイ収納部36にガスを封入して、その環境をガス抜けせず保持するする場合は、ボトムフィルム20、緩衝用フィルム40にガスバリア性が要求される。
【0083】
これらを実現するボトムフィルム20の材質は、大きく分けて表面層とシール層の2層以上からなり、ボトムフィルム外面部21側の表面層には、非結晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、発泡スチレンシート(PSP)、ポリプロピレン(PP)等の強度を有するフィルムを使用し、ボトムフィルム内面部22側のシール層には、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の熱シール性を有するフィルムで、熱成形性を有する未延伸フィルムを用いることが好ましい。
【0084】
特に酸素バリア性を付与する場合は、表面とシール層の間に中間層を設け、中間層には、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなるフィルムを積層することが好ましい。
【0085】
したがって、ボトムフィルム20は、非結晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)またはポリエチレンテレフタレート(PET/PE(ポリエチレン)またはポリプロピレン(PP)の積層フィルムや、ポリスチレン(PS)または発泡スチレンシート(PSP)/PE(ポリエチレン)またはポリプロピレン(PP)の積層フィルムが、酸素バリア性を付与する場合は、ボトムフィルム20は、非結晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)またはポリエチレンテレフタレート(PET/EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)/PE(ポリエチレン)またはポリプロピレン(PP)との積層フィルムや、ポリスチレン(PS)または発泡スチレンシート(PSP)/EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)/PE(ポリエチレン)またはポリプロピレン(PP)の積層フィルムが考えられる。
【0086】
さらに、ボトムフィルム20は、外観より視認不可能とする非透過性を具備するため、発泡スチレンシート(PSP)や不透明性を有する色素を混入したフィルムを積層できる。
【0087】
緩衝用フィルム40は、包装体A1、包装体B11の緩衝体50を形成するため、被包装物A90、被包装物B91を固定・保持できる緩衝性が要求される。
【0088】
また、包装体A1、包装体B11のボトムトレイ収納部36にガスを封入する場合は、ガスバリア性が要求される。
【0089】
包装体A1の緩衝体50の、緩衝体フランジ51の緩衝体内面部53(緩衝用フィルム内面部42)側と、ボトムトレイ30のボトムトレイフランジ33のボトムトレイ内面部32(ボトムフィルム内面部22)側と接着するための、シール性が要求される。
【0090】
包装体B11の緩衝体50の、緩衝体外面部52(緩衝用フィルム外面部41)側には、トップフィルム60のトップフィルム内面部62と接着するため、シール性が要求される。
【0091】
さらに、緩衝用フィルム40は、緩衝作用を有する緩衝体凹部54と緩衝体凸部55を形成するために、熱形成性が要求される。
【0092】
これらを実現する包装体A1の緩衝体50を形成するための緩衝用フィルム40は、大きく分けて表面層と中間層とシール層の3層以上からなり、緩衝用フィルム外面部41側の表面層には、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の耐熱性を有するフィルムを使用し、緩衝用フィルムの中間層には、ポリアミド(Ny)等の強度を有するフィルムを使用し、緩衝用フィルム内面部42側のシール層には、ポリエチレン(PE)等の低融点を有するフィルムで、熱成形性を有する未延伸フィルムを使用した積層フィルムが好ましい。
【0093】
したがって、包装体A1の緩衝用フィルム40は、ポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリアミド(Ny)/ポリエチレン(PE)の積層フィルムが考えられる。
【0094】
これらを実現する包装体B11の緩衝体50を形成するための緩衝用フィルム40は、
大きく分けてシール層と中間層とシール層の3層以上からなり、緩衝用フィルム外面部41側のシール層には、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)またはポリプロピレン(PP)等の高融点性を有するフィルムを使用し、緩衝用フィルム中間層には、ポリアミド(Ny)等強度を有するフィルムを使用し、緩衝用フィルム内面部42側のシール層には、ポリエチレン(PE)等の低融点を有するフィルムで、熱成形性を有する未延伸フィルムを使用した積層フィルムが好ましい。
【0095】
したがって、包装体B11の緩衝用フィルム40は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)/ポリアミド(Ny)/ポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)/ポリアミド(Ny)/ポリエチレン(PE)の積層フィルムが考えられる。
【0096】
トップフィルム60は、包装体B11の包装体B表面部12を形成するため、被包装物90、91を外部環境から保護できる強度が要求される。
【0097】
トップフィルム60は、包装体B11の包装体B表面部12を形成するため、被包装物90、91を外部の視線から保護できる非透過性が要求される場合がある。
【0098】
さらに、トップフィルム60のトップフィルム内面部62側には、緩衝体50の緩衝体フランジ51の緩衝体外面部52(緩衝用フィルム外面部41)側と接着するため、シール性が要求される。
【0099】
これらを実現するトップフィルム60は、大きく分けて表面層とシール層の2層以上からなり、中間層を設けてもよい。
【0100】
トップフィルム外面部61側の表面層には、延伸ポリアミド(ONy)等の耐熱性を有するフィルムを、トップフィルム内面部62側のシール層にはポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のシール性を有するフィルムを使用した積層フィルムが好ましい。
【0101】
したがって、トップフィルム60は、延伸ポリアミド(ONy)/ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)の積層フィルムが考えられる。
【0102】
さらに、トップフィルム60は、外観より視認不可能とする非透過性を具備するため、不透明性を有する色素を混入したフィルムや紙を積層できる。
【0103】
その他、フィルムに付加する性能としては、鮮度を保持するガスバリア性、香り移りの無い保香性、湿度を一定に保ち乾燥や湿気から守る密封性、必要な強度で熱溶着でき手指で開封可能な開封性、基本的な食品を守る安全性、内部に付着する結露を防止する防曇性、衝撃に強く壊れにくい耐久性が要求される場合がある。
【0104】
ポリアミド(Ny)フィルム13は、柔軟で強度が強く、耐摩耗性や耐熱性、耐寒性にすぐれ、ポリエチレン樹脂フィルムとのラミネートフィルムは冷凍食品の包装に最適である。また耐衝撃性、耐ピンホール性に優れているので水物や重量物の包装に適している。フィルム用として利用されるNyは、主に6ナイロンを原料に、無延伸(CNまたはCNy)フィルムは耐熱性が高く、二軸延伸(ONまたはONy)フィルムは耐寒性に優れる。
【0105】
ポリエチレン(PE)樹脂フィルムは、比較的安価な材料であり、耐水性、耐衝撃強度にすぐれ、シール性に優れるなど加工も容易であり、体や包装用フィルムに利用される。HDPEフィルムは耐熱性を有するため包装したままの高温殺菌も可能となる。ポリエチレンには低密度ポリエチレン(LDPE)、中・高密度ポリエチレン(MDPE、HDPE)があり、さらに、LDPEには、一般LDPE、L‐LDPE、ポリ酢酸ビニルと共重合させたEVA、アイオノマーPE、EAA、EMAAなど多くの種類がある。一軸延伸したHDPE(OPE)は透明で、片方にだけ裂けやすく、ひねり包装に使用される。LDPEは非常にやわらかく、手で引っ張ると小さな力でもよく伸びる。袋詰包装食品に使用されているラミネートフィルムのシール層に使用される。様々な用途で広く使用される。
【0106】
延伸フィルムは、一軸方向または二軸方向に引っ張る加工をしたフィルムであり、引っ張り強度を持ち強度耐薬品性や透明性の向上も図れる。延伸する際にかけた温度を超える熱量がかかると、延伸フィルムは収縮する。
【0107】
一方、未延伸フィルムはしなやかで、被包装物にフィットしやすく、深絞り包装にも適している。
【0108】
一例としては、ON/PE、ON/EVA、ON/L-LDPEによるフィルムは、耐熱耐寒性・耐ピンホール性・耐衝撃性を有する。また、ON/CPPは、耐熱耐寒性・耐ピンホール性・耐衝撃性・透明性を有する。
【0109】
〔効果〕
最後に本発明の包装体の効果を記載する。
【0110】
包装体A1、包装体B11は、ボトムフィルム20、緩衝用フィルム40を使用し、さらに包装体B11は、トップフィルム60から形成されるものであり、被包装物に合わせて様々な大きさや材質の包装体を仕入れずとも、ロール状のフラットなフィルムを仕入れることで、立体形状の被包装物A90、被包装物B91等をコンパクトな包装体とすることができ、これらをそのまま、または、外装94に封入して宛名ラベル95を貼付して、発送体A92、発送体B93等とすることができる。
【0111】
このため、包装材の仕入れの省労力化、省スペース化が可能であり、しかも包装する時点でフィルムを加熱成形するため衛生的で効率的な包装形態である。
【0112】
包装体A1、包装体B11は、深絞り包装機70のみでワンステップで形成できるため、様々な包装材を仕入れて組立てる工数や手間を省くことができるシンプルな包装体とすることができる。
【0113】
包装材を削減可能として、消費者は、開封する手間や、使用済みの包装材を処分するアイテムも少なく、包装体を分別して処分する手間も少なく、環境問題にも貢献することができる。
【0114】
外装の厚みを3cm以下にすることが可能であるため、立体形状の被包装物を発送体として、街頭や住居のポストに投函することができる。
【0115】
被包装物の形状・大きさに対して必要最低限の形状・大きさの発送体トラックの荷台への収まりがよい。
【0116】
包装体A1、包装体B11は、多種多用の形状、大きさ、重量等を有する被包装物を、移動や破損のないように内部に固定・保護する緩衝体50を成形し、緩衝体50とボトムトレイ30を接着して被包装物を内部に固定・保護ができる。
【0117】
緩衝体50に設けた緩衝体凹部54、緩衝体凸部55により、被包装物A90、被包装物B91の上面のみならず周囲からも固定・保護が同時にできる。
【0118】
緩衝体凹部54、緩衝体凸部55を設けた緩衝体50とボトムトレイ30の間から脱気した後、ボトムトレイ/緩衝体シール部38を接着するため、緩衝体凹部54は、被包装物A90、被包装物B91の形状に添うように柔軟に形を変え、固定・保護する。
【0119】
緩衝体凹部54、緩衝体凸部55は、様々な形状、大きさ、深さ、配置とすることが可能であるため、凹凸の大きさ、深さ、形状が同一のもの、形状が異なるもの、整列した配置やランダムな配置、等、緩衝用フィルム成形金型下部76に設ける凹凸の形状により任意に多種多用なものが構成できる。
【0120】
ボトムトレイ30にボトムトレイフランジ33を設けたことにより、ボトムトレイ/緩衝体シール部38を有し、緩衝体50との接着面を広げて、シール性を高めることができる。
【0121】
さらに、緩衝体50の上面をトップフィルム60で覆うことのできるため、トップフィルム60とボトムフィルム20の材質を選択することで、包装体A1、包装体B11内部に収納された被包装物A90、被包装物B91を外観より視認不可能とすることができる。
【0122】
被包装物A90、被包装物B91等により、包装体A1、包装体B11の求められる機能が異なるが、その要求に応じて、ボトムフィルム20、緩衝用フィルム40、トップフィルム60の材質等を設計して、過不足のない、シンプルな包装形態とし、コンパクトな発送体A92、発送体B93等とすることができる。
【0123】
本発明において被包装物A90として、画面保護フィルム、CD、薄型電池、ケーブル、冊子等、被包装B91として、薬、医療品、食品、衣料品、日用雑貨、本、各種部材等が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、多種多用の形状、大きさ、重量等を有する被包装物を、(1)移動や破損のないように内部に固定・保護する緩衝体を成形し、(2)緩衝体とボトムトレイを接着して被包装物を、内部に固定・保護が可能とし、さらに(3)緩衝体の上面をトップフィルムで覆うことのできる、ワンステップで形成された、コンパクトでシンプルな包装体を提供することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 包装体A
2 包装体A表面部
3 包装体Aフランジ
4 包装体A立ち上がり部
5 包装体A底部
11 包装体B
12 包装体B表面部
13 包装体Bフランジ
14 包装体B立ち上がり部
15 包装体B底部
20 ボトムフィルム
21 ボトムフィルム外面部
22 ボトムフィルム内面部
30 ボトムトレイ
31 ボトムトレイ外面部
32 ボトムトレイ内面部
33 ボトムトレイフランジ
34 ボトムトレイ立ち上がり部
35 ボトムトレイ底部
36 ボトムトレイ収納部
37 ボトムトレイ開口部
38 ボトムトレイ/緩衝体シール部
39 緩衝体/トップフィルムシール部
40 緩衝用フィルム
41 緩衝用フィルム外面部
42 緩衝用フィルム内面部
50 緩衝体
51 緩衝体フランジ
52 緩衝体外面部
53 緩衝体内面部
54 緩衝体凹部
55 緩衝体凸部
60 トップフィルム
61 トップフィルム外面部
62 トップフィルム内面部
70 深絞り包装機
71 ボトムフィルム成形金型上部
72 ボトムフィルム成形用加熱板
73 ボトムフィルム成形金型下部
74 緩衝用フィルム成形金型上部
75 緩衝用フィルム成形用加熱板
76 緩衝用フィルム成形金型下部
77 第1シール金型上部
78 第1シール金型下部
79 第2シール金型上部
80 第2シール金型下部
85 被包装物収納部
90 被包装物A(薄もの)
91 被包装物B(厚もの)
92 発送体A
93 発送体B
94 外装
95 宛名ラベル
101 上面部
102 折目線
103 側面部
104 折目線
105 下面部
106 切れ目
107 折目線
108 挿入片
109 舌片
110 切欠部
111 折目線
112 折曲片
113 折目線
114 連接片
115 切込部
116 折目線
117 折目線
118 切れ目
119 収納用片
120 指掛部
121 凹陥部
202 パッケージング
204 第1の側部
206 第2の側部
208 ヒンジング部分
210 第1の外部部分
212 第2の外部部分
214 下部内部要素
216 上部内部要素
218 係合手段
220 外部リング
222 くぼみ
224 縦方向補強バー
226 横方向補強バー
228 保持部材
230 くぼみ
232 雄ロック部材
234 雌ロック部材