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特許7422511見守りシステム用中継装置および見守りシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】見守りシステム用中継装置および見守りシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 47/31 20220101AFI20240119BHJP
【FI】
H04L47/31
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019190645
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021068938
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000189486
【氏名又は名称】上田日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝田 宏靖
(72)【発明者】
【氏名】宮島 淳一
(72)【発明者】
【氏名】平林 康彦
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-005869(JP,A)
【文献】特開2019-041369(JP,A)
【文献】特開2007-133689(JP,A)
【文献】国際公開第2005/079025(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 47/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
見守りシステムが備える見守りシステム用中継装置において、
前記見守りシステムは、複数の前記見守りシステム用中継装置を備え、
前記見守りシステム用中継装置は、
パケットを送受信する無線部と、
前記無線部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
無線端末から送信され、送信元アドレスとしての識別符号と、患者の状況を示すセンサ測定値とを含む通信パケットを中継するための中継リストを記憶しており、
前記通信パケットを受信する受信処理と、
前記通信パケットに含まれる識別符号が前記中継リストに含まれているときに前記通信パケットの中継を行い、前記通信パケットに含まれる識別符号が前記中継リストに含まれていないときに、前記通信パケットの中継を行わない中継処理と、
前記中継リストが更新されると共に、更新された前記中継リストに関する更新パケットを他の前記見守りシステム用中継装置に配信する更新パケット配信処理と、を前記無線部と共に実行し、
前記更新パケットは同報アドレスを含み、複数の他の前記見守りシステム用中継置を宛先とすることを特徴とする見守りシステム用中継装置。
【請求項2】
請求項1に記載の見守りシステム用中継装置において、
前記制御部は、
前記無線端末から送信された接続要求パケットを受信する接続要求受信処理を前記無線部と共に実行し
前記制御部は、さらに、
前記接続要求パケットに含まれる識別符号を前記中継リストに追加して、前記中継リストを更新する更新処理を実行することを特徴とする見守りシステム用中継装置。
【請求項3】
請求項1に記載の見守りシステム用中継装置において、
前記制御部は、
前記無線端末から送信された接続要求パケットを受信する接続要求受信処理を前記無線部と共に実行し、
前記制御部は、さらに、
前記接続要求パケットに含まれる情報をユーザに提示する提示処理と、
前記ユーザの操作に基づいて、前記接続要求パケットに含まれる識別符号を前記中継リストに追加して、前記中継リストを更新する更新処理と、
を実行することを特徴とする見守りシステム用中継装置。
【請求項4】
複数の見守りシステム用中継装置を備える見守りシステムにおいて、
前記見守りシステム用中継装置は、
パケットを送受信する無線部と、
前記無線部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
無線端末から送信され、送信元アドレスとしての識別符号と、患者の状況を示すセンサ測定値とを含む通信パケットを中継するための中継リストを記憶しており、
前記通信パケットを受信する受信処理と、
前記通信パケットに含まれる識別符号が前記中継リストに含まれているときに前記通信パケットの中継を行い、前記通信パケットに含まれる識別符号が前記中継リストに含まれていないときに、前記通信パケットの中継を行わない中継処理と、
前記中継リストが更新されると共に、更新された前記中継リストに関する更新パケットを他の前記見守りシステム用中継装置に配信する更新パケット配信処理と、を前記無線部と共に実行し、
前記更新パケットは同報アドレスを含み、複数の他の前記見守りシステム用中継装置を宛先とし、
前記見守りシステムにおいては、
複数の前記見守りシステム用中継装置のうちのいずれかによって送信された前記更新パケットを、複数の他の前記見守りシステム用中継装置が受信し、受信された前記更新パケットに基づいて、複数の他の前記見守りシステム用中継装置のそれぞれが、自らが記憶する前記中継リストを更新することを特徴とする見守りシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の見守りシステムにおいて、
複数の前記見守りシステム用中継装置と通信接続される情報処理装置を備え、
各前記見守りシステム用中継装置は、
前記通信パケットを前記中継処理によって前記情報処理装置に向けて送信し、
複数の前記見守りシステム用中継装置のうちのいずれかによって送信された前記更新パケットは、前記情報処理装置の中継によって、複数の他の前記見守りシステム用中継装置に送信されることを特徴とする見守りシステム。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の見守りシステムにおいて、
前記制御部は、
前記無線端末から送信された接続要求パケットを受信する接続要求受信処理を前記無線部と共に実行し、
前記制御部は、さらに、
前記接続要求パケットに含まれる識別符号を前記中継リストに追加して、前記中継リストを更新する更新処理を実行することを特徴とする見守りシステム。
【請求項7】
請求項4または5に記載の見守りシステムにおいて、
前記制御部は、
前記無線端末から送信された接続要求パケットを受信する接続要求受信処理を前記無線部と共に実行し、
前記制御部は、さらに、
前記接続要求パケットに含まれる情報をユーザに提示する提示処理と、
前記ユーザの操作に基づいて、前記接続要求パケットに含まれる識別符号を前記中継リストに追加して、前記中継リストを更新する更新処理と、
を実行することを特徴とする見守りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置および通信システムに関し、特に、無線端末から送信された通信パケットを中継する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等において、患者の様子を見守るシステムにつき研究開発が行われている。このような見守りシステムでは、無線端末が患者によって所持される。無線端末は、患者の動き、血圧や心拍数等、患者の状況を示す数値を測定するセンサを備えている。無線端末は、センサによる測定結果を、無線LAN(Local Area Network)を介して情報処理装置に送信する。
【0003】
見守りシステムについては、広い領域で患者を見守るため、無線LANと無線端末との間の中継通信を行う中継装置を配置することが提案されている。中継装置は、無線端末から送信されたパケットを受信し、無線LANの基地局に向けてパケットを無線送信する。基地局は、有線通信によってパケットを情報処理装置に送信する。情報処理装置は、基地局から送信されたパケットを受信し、患者の状況を把握するための情報を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-99865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中継装置は、複数の無線端末から送信された複数のパケットを中継する。しかし、総ての無線端末から送信されたパケットを中継したのでは、中継装置や無線LANが処理すべき情報量が多くなってしまい、各無線端末と情報処理装置との間の情報伝送速度が低下してしまう。そこで、特許文献1に記載されているように、予め登録された無線端末から送信されたパケットに対してのみ中継装置(認証スイッチ)が中継を行い、登録されていない無線端末から送信されたパケットの中継を制限するシステムが考えられている。しかし、引用文献1に記載されているような従来のシステムでは、無線端末が移動し、その無線端末に対して中継を行う中継装置が変更されたときの登録処理が複雑であるという問題がある。
【0006】
本発明は、パケットの中継を制限するために実行される処理を単純化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、見守りシステムが備える見守りシステム用中継装置において、前記見守りシステムは、複数の前記見守りシステム用中継装置を備え、前記見守りシステム用中継装置は、パケットを送受信する無線部と、前記無線部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、無線端末から送信され、送信元アドレスとしての識別符号と、患者の状況を示すセンサ測定値とを含む通信パケットを中継するための中継リストを記憶しており、前記通信パケットを受信する受信処理と、前記通信パケットに含まれる識別符号が前記中継リストに含まれているときに前記通信パケットの中継を行い、前記通信パケットに含まれる識別符号が前記中継リストに含まれていないときに、前記通信パケットの中継を行わない中継処理と、前記中継リストが更新されると共に、更新された前記中継リストに関する更新パケットを他の前記見守りシステム用中継装置に配信する更新パケット配信処理と、を前記無線部と共に実行し、前記更新パケットは同報アドレスを含み、複数の他の前記見守りシステム用中継置を宛先とすることを特徴とする。
【0008】
望ましくは、前記制御部は、前記無線端末から送信された接続要求パケットを受信する接続要求受信処理を前記無線部と共に実行し前記制御部は、さらに、前記接続要求パケットに含まれる識別符号を前記中継リストに追加して、前記中継リストを更新する更新処理を実行する。
【0009】
望ましくは、前記制御部は、前記無線端末から送信された接続要求パケットを受信する接続要求受信処理を前記無線部と共に実行し、前記制御部は、さらに、前記接続要求パケットに含まれる情報をユーザに提示する提示処理と、前記ユーザの操作に基づいて、前記接続要求パケットに含まれる識別符号を前記中継リストに追加して、前記中継リストを更新する更新処理と、を実行する。
【0010】
また、本発明は、複数の見守りシステム用中継装置を備える見守りシステムにおいて、前記見守りシステム用中継装置は、パケットを送受信する無線部と、前記無線部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、無線端末から送信され、送信元アドレスとしての識別符号と、患者の状況を示すセンサ測定値とを含む通信パケットを中継するための中継リストを記憶しており、前記通信パケットを受信する受信処理と、前記通信パケットに含まれる識別符号が前記中継リストに含まれているときに前記通信パケットの中継を行い、前記通信パケットに含まれる識別符号が前記中継リストに含まれていないときに、前記通信パケットの中継を行わない中継処理と、前記中継リストが更新されると共に、更新された前記中継リストに関する更新パケットを他の前記見守りシステム用中継装置に配信する更新パケット配信処理と、を前記無線部と共に実行し、前記更新パケットは同報アドレスを含み、複数の他の前記見守りシステム用中継装置を宛先とし、前記見守りシステムにおいては、複数の前記見守りシステム用中継装置のうちのいずれかによって送信された前記更新パケットを、複数の他の前記見守りシステム用中継装置が受信し、受信された前記更新パケットに基づいて、複数の他の前記見守りシステム用中継装置のそれぞれが、自らが記憶する前記中継リストを更新することを特徴とする
【0011】
望ましくは、複数の前記見守りシステム用中継装置と通信接続される情報処理装置を備え、各前記見守りシステム用中継装置は、前記通信パケットを前記中継処理によって前記情報処理装置に向けて送信し、複数の前記見守りシステム用中継装置のうちのいずれかによって送信された前記更新パケットは、前記情報処理装置の中継によって、複数の他の前記見守りシステム用中継装置に送信される。望ましくは、前記制御部は、前記無線端末から送信された接続要求パケットを受信する接続要求受信処理を前記無線部と共に実行し、前記制御部は、さらに、前記接続要求パケットに含まれる識別符号を前記中継リストに追加して、前記中継リストを更新する更新処理を実行する。望ましくは、前記制御部は、前記無線端末から送信された接続要求パケットを受信する接続要求受信処理を前記無線部と共に実行し、前記制御部は、さらに、前記接続要求パケットに含まれる情報をユーザに提示する提示処理と、前記ユーザの操作に基づいて、前記接続要求パケットに含まれる識別符号を前記中継リストに追加して、前記中継リストを更新する更新処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パケットの中継を制限するために実行される処理を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図2】通信システムで実行される処理の例を示すシーケンスチャートである。
図3】通信システムで実行される処理の例を示すシーケンスチャートである。
図4】第2実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図5】通信システムで実行される処理の例を示すシーケンスチャートである。
図6】無線端末のハードウエアの例を示す図である。
図7】中継装置のハードウエアの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
各図を参照して本発明の実施形態について説明する。複数の図面に示された同一の事項については同一の符号を付して、その説明を簡略化する。
【0015】
(1)通信システムの構成および通信パケットを伝送する処理
図1には、本発明の第1実施形態に係る通信システム100の構成が示されている。通信システム100は、情報処理装置10、無線LAN12、中継装置18-1~18-M、無線端末20-1~20-Nを備えている。無線LAN12は、有線通信回線14および基地局16-1~16-Lを備えている。ここで、LおよびNは、1以上の任意の整数であり、Mは2以上の整数である。通信システム100は、N人の患者が所持する無線端末20-1~20-Nから健康状態に関する測定値を収集する見守りシステムを構成する。なお、以下の説明では、無線端末20-1~20-Nを包括的に示す符号として「20」を用いる。また、中継装置18-1~18-Mを包括的に示す符号として「18」を用い、基地局16-1~16-Lを包括的に示す符号として「16」を用いる。
【0016】
通信システム100で伝送されるパケットには、宛先アドレス、送信元アドレス、パケット種別情報および伝送情報が含まれている。宛先アドレスはパケットの宛先とする装置を示す符号である。送信元アドレスはパケットの送信元の装置を示す符号である。パケット種別情報はパケットの種類を示す情報である。パケット種別情報によってパケットの種類が各装置において識別される。伝送情報はパケットによって伝送される対象となる情報である。
【0017】
各無線端末20-1~20-Nは、患者の動き(加速度)、血圧や心拍数等、患者の健康状態を示す数値を測定するセンサを備えている。無線端末20-i(iは1~Nのうちのいずれかの整数)は、宛先アドレス、送信元アドレスとしての自らの識別符号、および、伝送情報としてのセンサの測定値(センサ測定値)を含む通信パケットを送信する。
【0018】
中継装置18-1~18-Mは、それぞれ通信エリア30-1~30-Mを形成する。通信エリアは、無線端末20-iとの間で良好な無線通信が行われる領域として定義される。良好な無線通信とは、例えば、無線端末20-iから送信され中継装置18-j(jは1~Mのうちいずれかの整数)で受信されるパケットの信号レベルが所定値以上であり、かつ、中継装置18-jから送信され無線端末20-iで受信されるパケットの信号レベルが所定値以上であるような無線通信をいう。基地局16-1~16-Lおよび中継装置18-1~18-Mは、建造物内の異なる部屋に配置されてもよい。この場合、各部屋ごとに通信エリアが形成される。中継装置18-jは、自らが形成する通信エリア30-j内にある無線端末20-iとの間でパケットの送受信を行う。
【0019】
通信システム100では、無線端末20-iから情報処理装置10にセンサ測定値を送信するため、無線端末20-iが通信パケットを送信する。各中継装置18-1~18-Mは中継リストメモリ22を備えており、中継リストメモリ22には中継リストが記憶されている。中継リストには、通信パケットを中継する対象となる無線端末20-iの識別符号が含まれている。
【0020】
中継装置18-jは無線端末20-iから送信された通信パケットを受信すると、通信パケットに送信元アドレスとして含まれている識別符号が、自らが記憶する中継リストに含まれているか否かを判定する。中継装置18-jは、識別符号が中継リストに含まれていないと判定したときは、その通信パケットに対する処理を終了する。中継装置18-jは、識別符号が中継リストに含まれていると判定したときは、受信した通信パケットを中継送信する。
【0021】
各基地局16-1~16-Lは、中継装置18-1~18-Mのうち、予め行われた通信によって選択した1つである選択中継装置との間で無線通信を行う。基地局16-k(kは1~Lのうちいずれかの整数)は、選択中継装置から中継送信された通信パケットを受信すると、その通信パケットを有線通信回線14を介して情報処理装置10に送信する。
【0022】
情報処理装置10は、デスクトップコンピュータやタブレットコンピュータ等のコンピュータによって構成されてよい。情報処理装置10は、基地局16-kから送信された通信パケットを受信し、その通信パケットに宛先アドレスとして自らの識別符号が含まれる場合には、通信パケットから送信元アドレスとしての識別符号およびセンサ測定値を取得する。情報処理装置10は、識別符号とセンサ測定値とを対応付けた見守り情報を記憶してもよい。また、情報処理装置10は、見守り情報を自らが備える表示装置32に表示してもよい。
【0023】
このような処理によれば、各中継装置18-1~18-Mは、中継リストに含まれる識別符号を有する無線端末20から受信した通信パケットを中継し、中継リストに含まれない識別符号を有する無線端末20から受信した通信パケットを中継しない。これによって、通信システム100に参入していない無線端末20から送信された通信パケットが通信システム100で伝送されることが回避され、情報処理装置10、基地局16-1~16-Lおよび中継装置18-1~18-Mが処理する情報の量が少なくなる。
【0024】
ここでは、通信パケットに宛先アドレスとして情報処理装置10の識別符号が含まれる場合について説明した。通信パケットに宛先アドレスとして送信元の無線端末20-iとは異なる他の無線端末20-α(αは1~Nのうち、iを除くいずれかの整数)の識別符号が含まれてもよい。情報処理装置10は、中継リストメモリ22を備えており、中継リストメモリ22には中継リストが記憶されている。情報処理装置10は、受信した通信パケットに送信元アドレスとして含まれている識別符号が、自らが記憶する中継リストに含まれているか否かを判定する。情報処理装置10は、識別符号が中継リストに含まれていないと判定したときは、受信した通信パケットに対する処理を終了する。
【0025】
情報処理装置10は、識別符号が中継リストに含まれていると判定したときは、宛先アドレスによって指定される無線端末20-αの中継経路となる基地局16-β(βは1~Lのうちいずれかの整数)に通信パケットを送信する。ここで、基地局16-βは、宛先の無線端末20-αに通信パケットを中継する中継装置18-γ(γは1~Mのうちいずれかの整数)を選択中継装置とする基地局である。
【0026】
基地局16-βは、中継装置18-γに通信パケットを送信し、その通信パケットを受信した中継装置18-γは、その通信パケットを中継送信する。無線端末20は、中継装置18-γから送信された通信パケットを受信し、受信した通信パケットに宛先アドレスとして自らの識別符号が含まれているときは、その通信パケットに含まれる伝送情報を取得する。無線端末20は、受信した通信パケットに、宛先アドレスとして自らの識別符号が含まれていないときは、その受信した通信パケットに対する処理を終了する。このような処理によって、無線端末20-iが送信した通信パケットは無線端末20-αに向けて伝送され、無線端末20-αによって通信パケットに含まれる伝送情報が取得される。
【0027】
また、無線端末20-iを送信元とし、他の無線端末20-αを宛先とする通信パケットは、情報処理装置10が中継する代わりに、基地局16-kが中継してもよい。この場合、基地局16-kは、選択中継装置から送信された通信パケットに、無線端末20-αの識別符号が宛先アドレスとして含まれているときは、無線端末20-αの中継経路となる基地局16-βに通信パケットを送信する。基地局16-βは、中継装置18-γに通信パケットを送信し、その通信パケットを受信した中継装置18-γは、その通信パケットを中継送信する。
【0028】
(2)新規参入処理
無線端末20が通信システム100に新たに参入した場合に、通信システム100において実行される新規参入処理について説明する。無線端末20は、中継装置18-1~18-Mのうちいずれかに無線接続するための接続要求パケットを送信する。ここで、無線端末20が、中継装置18-jに無線接続された状態とは、無線端末20の識別符号が中継装置18-jが記憶する中継リストに含まれており、中継装置18-jが無線端末20に対して通信パケットの中継を行い得る状態をいう。接続要求パケットには、送信元アドレスとして送信元の無線端末20の識別符号が含まれる。すなわち、接続要求パケットの送信元の無線端末20は、送信元アドレスとして自らの識別符号を接続要求パケットに含ませる。
【0029】
中継装置18-jは、接続要求パケットを受信すると、通信状態が予め定められた条件を満たすか否かを判定する。この判定には、例えば、接続要求パケットの信号レベルが所定値以上であるか否か、現在通信を行っている無線端末20-1~20-Nの数Nが所定数未満であるか等の判定がある。現在通信を行っている無線端末20の数Nは、例えば、中継リストに含まれている識別符号の数として定義される。
【0030】
中継装置18-jは、通信状態が予め定められた条件を満たさないと判定したときは、接続要求パケットに対する処理を終了する。一方、中継装置18-jは、通信状態が予め定められた条件を満たすと判定したときは、接続要求パケットに含まれている識別符号を、自らが記憶する中継リストに追加し、中継リストを更新する。中継装置18-jは、さらに、接続許可パケットを無線端末20に送信する。無線端末20は、接続許可パケットを受信し、中継装置18-jと無線接続されたことを認識する。
【0031】
中継装置18-jは、更新された中継リストの内容を伝送情報として含む中継リスト更新パケットを生成し、中継装置18-jを選択中継装置とする基地局16-kに送信する。中継装置18-jは、中継リスト更新パケットを生成する際には、宛先アドレスとして、同報アドレスを中継リスト更新パケットに含ませる。同報アドレスは、情報処理装置10および中継装置18-1~18-Mに対して共通に割り当てられたアドレスである。
【0032】
基地局16-kは、中継リスト更新パケットを受信する。基地局16-kは、中継リスト更新パケットに、宛先アドレスとして同報アドレスが含まれていることを認識すると、中継リスト更新パケットを情報処理装置10および他の基地局16に送信する。情報処理装置10は、中継リスト更新パケットを受信する。情報処理装置10は、中継リスト更新パケットに含まれている伝送情報に基づいて、自らが記憶する中継リストを更新する。
【0033】
基地局16-kとは異なる他の基地局16は、中継リスト更新パケットを受信し、選択中継装置に中継リスト更新パケットを送信する。中継リスト更新パケットを受信した中継装置18は、中継リスト更新パケットに含まれている伝送情報に基づいて、自らが記憶する中継リストを更新する。
【0034】
このような処理によって、中継装置18-jが送信した中継リスト更新パケットは、情報処理装置10および各中継装置18-1~18-Mに送信される。情報処理装置10および各中継装置18-1~18-Mは、中継リスト更新パケットに含まれる伝送情報に基づいて、自らが記憶する中継リストを更新する。これによって、情報処理装置10および各中継装置18-1~18-Mが記憶する中継リストには、通信システム100に新たに参入した無線端末20の識別符号が追加される。
【0035】
上記では、中継装置18-jから送信された中継リスト更新パケットを、基地局16-kが情報処理装置10および他の基地局16に中継する処理について説明した。このような処理の他、情報処理装置10が、中継リスト更新パケットを中継する処理が実行されてもよい。この場合、中継装置18-jを選択中継装置とする基地局16-kは、中継リスト更新パケットを受信すると、その中継リスト更新パケットを有線通信回線14を介して情報処理装置10に送信する。
【0036】
情報処理装置10は、基地局16-kから送信された中継リスト更新パケットを受信し、中継リスト更新パケットに含まれる伝送情報に基づいて、自らが記憶する中継リストを更新する。情報処理装置10は、中継リスト更新パケットに宛先アドレスとして同報アドレスが含まれていることを認識すると、有線通信回線14を介して各基地局16に中継リスト更新パケットを送信する。各基地局16は、自らの選択中継装置となっている中継装置18に中継リスト更新パケットを送信する。中継リスト更新パケットを受信した中継装置18(中継装置18-jを除く)は、中継リスト更新パケットに含まれる伝送情報に基づいて、自らが記憶する中継リストを更新する。
【0037】
このような新規参入処理によれば、共通の中継リストが中継装置18-1~18-Mに記憶される。したがって、新規参入処理が実行された後に無線端末20が移動し、最初に無線端末20が位置していた通信エリアから他の通信エリアに無線端末20が移動したとしても、再び新規参入処理が実行されなくてもよい。これによって、無線端末20が位置する通信エリアが変更されたときにおいて、中継装置18におけるパケットの中継を制限するための処理が単純化される。
【0038】
(3)通信システムで実行される処理の例
図2には、通信システム100で実行される処理の例を示すシーケンスチャートが示されている。無線端末20は接続要求パケットを送信し、中継装置18-1は接続要求パケットを受信する(S1)。通信状態が予め定められた条件を満たしているときは、中継装置18-1は、接続許可パケットを送信すると共に(S2)、自らが記憶する中継リストを更新する。無線端末20は、接続許可パケットを受信し(S2)、中継装置18-1と無線接続されたことを認識する。
【0039】
中継装置18-1は、中継リスト更新パケットを送信する(S3)。基地局16-1は中継リスト更新パケットを受信し(S3)、中継送信する(S4)。情報処理装置10は中継リスト更新パケットを受信し(S4)、中継送信すると共に(S5)、自らが記憶する中継リストを更新する。基地局16-2は中継リスト更新パケットを受信し(S5)、中継送信する(S6)。中継装置18-2は中継リスト更新パケットを受信し(S6)、自らが記憶する中継リストを更新する。
【0040】
ステップS1~S6に示される新規参入処理によれば、情報処理装置10、中継装置18-1および中継装置18-2のそれぞれが記憶する中継リストに無線端末20の識別符号が追加される。すなわち、情報処理装置10、中継装置18-1および中継装置18-2のそれぞれが記憶する中継リストが更新される。
【0041】
新規参入処理が実行された後、無線端末20は通信パケットを送信する(S7)。無線端末20が通信パケットを生成する際には、無線端末20は、通信パケットに宛先アドレスとして情報処理装置10の識別符号を含ませる。また、無線端末20は、通信パケットに送信元アドレスとして自らの識別符号を含ませる。無線端末20は、さらに、通信パケットに伝送情報としてセンサ測定値を含ませる。
【0042】
中継装置18-1は通信パケットを受信し(S7)、中継送信する(S8)。基地局16-1は通信パケットを受信し(S8)、中継送信する(S9)。情報処理装置10は通信パケットを受信し(S9)、その通信パケットに宛先アドレスとして自らの識別符号が含まれることを認識し、通信パケットから見守り情報を取得する。このような処理によって、無線端末20が送信した通信パケットは、中継装置18-1および基地局16-1の中継送信によって情報処理装置10で受信され、情報処理装置10で見守り情報が取得される。
【0043】
仮に、中継装置18-1が受信した通信パケットに含まれる送信元アドレスとしての識別符号が、中継装置18-1が記憶する中継リストに含まれていない場合には、中継装置18-1は、その通信パケットに対する中継送信を行わない。これによって、通信システム100に参入していない無線端末20から送信された通信パケットは通信システム100で伝送されず、情報処理装置10、基地局16-1~16-Lおよび各中継装置18-1~18-Mが処理する情報の量が少なくなる。
【0044】
次に、中継装置18-1が形成する通信エリア30-1から、中継装置18-2が形成する通信エリア30-2に無線端末20が移動した場合の処理について、引き続き図2を参照して説明する。無線端末20は接続要求パケットを送信し(S10)、中継装置18-2は接続要求パケットを受信する(S10)。通信状態が予め定められた条件を満たしているときは、中継装置18-2は、接続許可パケットを送信する(S11)。無線端末20の識別符号は、中継装置18-2が記憶する中継リストに既に含まれている。そのため、中継装置18-2は、ステップS3で示されているような中継リスト更新パケットの送信をしない。
【0045】
このような処理が実行された後、ステップS7の処理と同様、無線端末20は通信パケットを送信する(S12)。中継装置18-2は通信パケットを受信し(S12)、中継送信する(S13)。基地局16-2は通信パケットを受信し(S13)、中継送信する(S14)。情報処理装置10は通信パケットを受信し(S14)、通信パケットから見守り情報を取得する。このような処理によって、無線端末20が送信した通信パケットは、中継装置18-2および基地局16-2の中継によって情報処理装置10で受信され、情報処理装置10で見守り情報が取得される。
【0046】
上記では、情報処理装置10が基地局16-1から中継リスト更新パケットを受信し、情報処理装置10が基地局16-2に中継リスト更新パケットを送信する例について説明した。中継リスト更新パケットは、図3のシーケンスチャートに示されているように、基地局16-1が基地局16-2に送信してもよい。すなわち、基地局16-1は、中継装置18-1から送信された中継リスト更新パケットを受信すると、その中継リスト更新パケットを情報処理装置10に送信すると共に(S4)、基地局16-2および他の基地局16(図示せず)にも送信する(S4-2)。基地局16-2は中継リスト更新パケットを受信し(S4-2)、中継送信する(S6)。
【0047】
(4)第2実施形態
図4には、本発明の第2実施形態に係る通信システム102の構成が示されている。通信システム102は、図1に示された通信システム100に対し、無線LAN12を介さずに、各中継装置18-1~18-Mが、情報処理装置10と直接無線通信を行う点が異なる。また、中継装置18-1~18-Mのうちいずれか2つ以上の中継装置は、通信状況が良好である場合には相互に無線通信を行う。
【0048】
情報処理装置10は、各中継装置18-1~18-Mとの間で無線通信を行うための無線回路34を備えている。中継装置18-1~18-Mの相互間のパケットの伝送、および各中継装置18-1~18-Mと情報処理装置10との間のパケットの伝送には、無線によるパケット通信に関する周知のルーティング技術が用いられてよい。例えば、情報処理装置10は、通信経路上で隣接する中継装置18の識別符号を含むネクストホップリストを記憶する。同様に、各中継装置18-1~18-Mは、通信経路上で隣接する中継装置18または情報処理装置10の識別符号を含むネクストホップリストを記憶する。
【0049】
各中継装置18-1~18-Mは、送信対象のパケットにネクストホップアドレスとして、通信経路上で隣接する無線端末20、中継装置18または情報処理装置10の識別符号を宛先アドレスに応じて含ませる。パケットを受信した無線端末20、中継装置18または情報処理装置10は、パケットに含まれるネクストホップアドレスが自らの識別符号に一致するときに、そのパケットに対する処理(中継送信、伝送情報の取得等)を実行する。同様に、情報処理装置10は、送信対象のパケットにネクストホップアドレスとして、通信経路上で隣接する中継装置18の識別符号を宛先アドレスに応じて含ませる。パケットを受信した中継装置18は、パケットに含まれるネクストホップアドレスが自らの識別符号に一致するときに、そのパケットに対する処理(中継送信、伝送情報の取得等)を実行する。
【0050】
図5には、通信システム102で実行される処理の例を示すシーケンスチャートが示されている。無線端末20は接続要求パケットを送信し(S31)、中継装置18-1は接続要求パケットを受信する(S31)。通信状態が予め定められた条件を満たしているときは、中継装置18-1は、接続許可パケットを送信すると共に(S32)、自らが記憶する中継リストを更新する。
【0051】
中継装置18-1は、中継リスト更新パケットを送信する(S33,S34)。情報処理装置10および中継装置18-2は、中継リスト更新パケットを受信する(S33,S34)。情報処理装置10および中継装置18-2は、中継リスト更新パケットに基づいて、自らが記憶する中継リストを更新する。
【0052】
ステップS31~S34に示される新規参入処理によって、情報処理装置10、中継装置18-1および中継装置18-2のそれぞれが記憶する中継リストに無線端末20の識別符号が追加される。すなわち、情報処理装置10、中継装置18-1および中継装置18-2のそれぞれが記憶する中継リストが更新される。
【0053】
新規参入処理が実行された後、無線端末20は通信パケットを送信する(S35)。無線端末20が通信パケットを生成する際には、無線端末20は、通信パケットに宛先アドレスとして情報処理装置10の識別符号を含ませる。また、無線端末20は、通信パケットに送信元アドレスとして自らの識別符号を含ませる。無線端末20は、さらに、通信パケットに伝送情報としてセンサ測定値およびその他の伝送情報を含ませる。
【0054】
中継装置18-1は通信パケットを受信し(S35)、中継送信する(S36)。情報処理装置10は通信パケットを受信し(S36)、その通信パケットに宛先アドレスとして自らの識別符号が含まれることを認識し、通信パケットから見守り情報を取得する。このような処理によって、無線端末20が送信した通信パケットは、中継装置18-1の中継によって情報処理装置10で受信され、情報処理装置10は通信パケットから見守り情報を取得する。
【0055】
次に、中継装置18-1が形成する通信エリア30-1から、中継装置18-2が形成する通信エリア30-2に無線端末20が移動した場合の処理について、引き続き図5を参照して説明する。無線端末20は接続要求パケットを送信し(S37)、中継装置18-2は接続要求パケットを受信する(S37)。通信状態が予め定められた条件を満たしているときは、中継装置18-2は、接続許可パケットを送信する(S38)。無線端末20の識別符号は、中継装置18-2が記憶する中継リストに含まれている。そのため、中継装置18-2は、ステップS33で示されているような中継リスト更新パケットの送信をしない。
【0056】
このような処理が実行された後、無線端末20は通信パケットを送信する(S39)。中継装置18-2は通信パケットを受信し(S39)、中継送信する(S40)。情報処理装置10は通信パケットを受信し(S40)、通信パケットから見守り情報を取得する。このような処理によって、無線端末20が送信した通信パケットは、中継装置18-2の中継送信によって、情報処理装置10で受信され、情報処理装置10は通信パケットから見守り情報を取得する。
【0057】
第2実施形態に係る新規参入処理によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、無線端末20が位置する通信エリアが変更されたときにおいて、中継装置18におけるパケットの中継を制限するための処理が単純化される。
【0058】
(5)変形例
上記では、新規参入処理において、中継装置18が次のような処理を実行する実施形態について説明した。すなわち、無線端末20から送信された接続要求パケットを中継装置18が受信し、通信状態が予め定められた条件を満たしているか否かを中継装置18が判定し、判定結果に応じて接続許可パケットを送信すると共に、自らが記憶する中継リストを更新する実施形態について説明した。
【0059】
このように、中継装置18が、通信条件に関する判定に応じて中継リストを更新する代わりに、ユーザの操作に応じて中継リストを更新してもよい。この場合、中継装置18は、ボタン、キーボード、タッチパネル、ディスプレイ等を含むユーザインターフェースを備える。中継装置18が接続要求パケットを受信した後、ユーザインターフェースにおける操作に応じて、中継装置18が接続許可パケットを送信すると共に、自らが記憶する中継リストを更新する。この操作が行われるのに先立って、中継装置18は、接続要求パケットを受信したことや、接続要求パケットに含まれる情報をユーザインターフェースによってユーザに提示してもよい。
【0060】
また、上記では、接続要求パケットを受信し接続許可パケットを送信した中継装置18が記憶している中継リストの内容、すなわち、中継対象の無線端末20の識別符号を列挙したものを、中継リスト更新パケットが伝送情報として含む実施形態について説明した。中継リスト更新パケットは、新たに参入した無線端末20の識別符号を含むパケットであってもよい。中継リスト更新パケットを受信した中継装置18または情報処理装置10は、中継リスト更新パケットに含まれる識別符号を、自らが記憶する中継リストに追加することで、中継リストを更新する。
【0061】
また、第1実施形態における無線端末20と基地局16との間の通信は、複数の中継装置18による中継によって行われてよい。この場合、無線端末20と基地局16との間の通信経路に複数の中継装置18が配置される。複数の中継装置18が順にパケットを中継するマルチホップ通信によって、無線端末20と基地局16との間の通信が行われる。同様に、第2実施形態における無線端末20と情報処理装置10との間の通信、または中継装置18間の通信も、複数の中継装置18によるマルチホップ通信によって行われてよい。
【0062】
また、上記では、通信システム100および102が、見守りシステムを構成する実施形態について説明した。通信システム100および102は、情報処理装置10が無線端末20から情報を収集するその他のシステムを構成してもよい。例えば、通信システム100および102は、各無線端末20-1~20-NがGPS測位装置を備えることで位置情報を取得し、情報処理装置10が各無線端末20-1~20-Nの位置情報を収集するシステムを構成してもよい。また、通信システム100および102は、各無線端末20-1~20-Nが温度計および湿度計を備えることで温度情報および湿度情報を取得し、情報処理装置10が各無線端末20-1~20-Nから温度情報および湿度情報を収集するシステムを構成してもよい。
【0063】
(6)無線端末のハードウエア
図6には、無線端末20のハードウエアの例が示されている。図6に示されている例では、無線端末20は患者に所持される。無線端末20は、演算処理部40、無線部42およびセンサ44を備えている。無線部42はパケットを受信し、受信したパケットを演算処理部40に出力する。また、無線部42は、演算処理部40が出力したパケットを送信する。演算処理部40は、外部の記憶装置から読み込まれたプログラム、あるいは、自らに記憶されたプログラムを実行するプロセッサを含んでもよい。
【0064】
無線部42は、Bluetooth(登録商標)の規格に従って、中継装置18との間で無線通信を行う無線回路を備えてよい。また、無線部42は、920MHz帯小電力無線局の規格に従って中継装置18との間で無線通信を行う無線回路を備えてよい。
【0065】
センサ44は、血圧計46、心拍計48および加速度計50を備えている。血圧計46は患者の血圧を測定し、血圧測定値を演算処理部40に出力する。心拍計48は患者の所定時間当たりの心拍数を測定し、心拍数測定値を演算処理部40に出力する。加速度計50は患者の特定方向の加速度を測定し、加速度測定結果を演算処理部40に出力する。
【0066】
演算処理部40は、血圧測定値、心拍数測定値および加速度測定値を伝送情報として通信パケットに含ませる。また、演算処理部40は、送信先の装置の識別符号を宛先アドレスとして通信パケットに含ませる。演算処理部40は、さらに、自らの識別符号を送信元アドレスとして通信パケットに含ませる。演算処理部40は、通信パケットを無線部42に出力する。
【0067】
センサ44は、患者の様態に応じて、その他の健康状態を測定する測定器を備えてよい。また、無線端末20が見守りシステム以外の通信システムを構成する場合には、センサ44は、通信システムに応じた測定器を備えてよい。例えば、センサ44は、測定器としてGPS測位装置、温度計、湿度計等を含んでよい。測定器は、測定値を演算処理部40に出力し、演算処理部40はその測定値を伝送情報として通信パケットに含ませる。
【0068】
新規参入処理において、演算処理部40は接続要求パケットを生成し、無線部42に出力する。また、演算処理部40は、無線部42によって受信され、無線部42から出力された接続許可パケットを取得し、無線端末20が中継装置18に無線接続されたことを認識する。
【0069】
(7)中継装置のハードウエア
図7には、中継装置18のハードウエアの例が示されている。中継装置18は、制御部60、無線部64およびユーザインターフェース66を備えている。無線部64は、Bluetooth(登録商標)の規格に従って、無線端末20、基地局16または他の中継装置18との間で無線通信を行う無線回路を備えてよい。また、無線部64は、920MHz帯小電力無線局の規格に従って無線端末20、基地局16または他の中継装置18との間で無線通信を行う無線回路を備えてよい。
【0070】
無線部64はパケットを受信し、受信したパケットを制御部60に出力する。また、無線部64は、制御部60が出力したパケットを送信する。制御部60は、外部の記憶装置から読み込まれたプログラム、あるいは、自らに記憶されたプログラムを実行するプロセッサを含んでもよい。
【0071】
制御部60は、中継リストメモリ22を備えている。制御部60は、無線端末20から送信された通信パケットを中継するための中継リストを中継リストメモリ22に記憶している。制御部60は、通信パケットを受信する受信処理を無線部64と共に実行する。また、制御部60は、無線部64で受信された通信パケットに含まれる識別符号が中継リストに含まれているときに通信パケットの中継を行い、無線部64で受信された通信パケットに含まれる識別符号が中継リストに含まれていないときに、通信パケットの中継を行わない中継処理を無線部64と共に実行する。また、制御部60は、中継リストが更新されると共に、更新された中継リストに関する中継リスト更新パケットを他の中継装置18(無線装置)に配信する更新パケット配信処理を無線部64と共に実行する。
【0072】
制御部60は、無線端末20から送信された接続要求パケットを受信する接続要求受信処理を無線部64と共に実行する。また、制御部60は、接続要求パケットに含まれる識別符号を中継リストに追加して、中継リストを更新する更新処理を実行する。また、制御部60は、無線端末20から送信された接続要求パケットを受信する接続要求受信処理を無線部64と共に実行し、接続要求パケットに含まれる情報をユーザインターフェース66によってユーザに提示する提示処理を実行してよい。また、制御部60は、ユーザインターフェース66におけるユーザの操作に基づいて、接続要求パケットに含まれる識別符号を中継リストに追加して、中継リストを更新する更新処理を実行してよい。
【符号の説明】
【0073】
10 情報処理装置、12 無線LAN、14 有線通信回線、16,16-1~16-L 基地局、18,18-1~18-M 中継装置、20,20-1~20-N 無線端末、22 中継リストメモリ、30-1~30-M 通信エリア、32 表示装置、34 無線回路、40 演算処理部、42,64 無線部、44 センサ、46 血圧計、48 心拍計、50 加速度計、60 制御部、100,102 通信システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7