(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】二重キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/18 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
B65D51/18 BRL
B65D51/18 BSF
(21)【出願番号】P 2019226837
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雄貴
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-158456(JP,U)
【文献】特開2016-137898(JP,A)
【文献】実開昭52-144945(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口部に対して着脱自在に外嵌螺合する円筒状のインナーキャップと、該インナーキャップの中心軸と同軸に配置されて相互に分離自在に係合するアウターキャップとを備えた二重キャップであって、
前記インナーキャップの外周側面または前記アウターキャップの内周側面のいずれか一方が、他方に向けて突出する係合突起を備えているとともに、前記インナーキャップの外周側面または前記アウターキャップの内周側面のいずれか他方が、前記係合突起と係合する係合溝を備え、
前記係合溝が、前記インナーキャップから前記アウターキャップを抜き取るために前記係合突起を誘導すると共に前記中心軸方向に伸びる突起誘導用縦溝部分と、前記インナーキャップと前記アウターキャップとを相対的に回り止めすると共に前記中心軸方向に伸びる回り止め用縦溝部分と、前記突起誘導用縦溝部分と前記回り止め用縦溝部分とに連通して周方向に伸びる突起誘導用横溝部分とで構成され、
前記突起誘導用縦溝部分が、
前記インナーキャップの上端部または前記アウターキャップの下端部まで到達し、
前記係合突起に対して摺動抵抗を生じる膨出領域が、前記突起誘導用縦溝部分または前記回り止め用縦溝部分の少なくとも一方に設けられ
、
前記アウターキャップを前記インナーキャップから取り外す際に前記インナーキャップに対する前記アウターキャップの摺動方向が、前記容器本体に対する前記インナーキャップの装着方向と同方向であることを特徴とする二重キャップ。
【請求項2】
前記膨出領域が、前記回り止め用縦溝部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の二重キャップ。
【請求項3】
前記膨出領域が、前記突起誘導用縦溝部分に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二重キャップ。
【請求項4】
前記係合突起が、前記インナーキャップに形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項
3のいずれか1項に記載の二重キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の開口部に外嵌螺合するキャップに関するものであって、特に、円筒状のインナーキャップとこのインナーキャップの中心軸と同軸に配置されて相互に分離自在に係合する円筒状のアウターキャップとを備えた二重キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外周面に縦方向凸条および係止用凸部が形成された内キャップと、内周面に縦方向凸条が嵌合する縦方向凹溝および係止用凹所が形成され、内キャップに外嵌される外キャップとを備えた二重キャップが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この二重キャップの組み付けは、まず、外キャップの縦方向凹溝の下方の開口部を内キャップの縦方向凸条に合致させて、内キャップに外キャップを外嵌する。
そして、外キャップの下方筒部が内キャップの下方筒部の上部に到達した位置で、外キャップを強く押圧して、内キャップの係止用凸部に外キャップの下方筒部を乗り越えさせ、内キャップの係止用凸部を下方筒部の係止用凹所内に嵌入し止着する。
特許文献1に記載された二重キャップをこのように組み付けることで、内キャップと外キャップとが上下方向の抜け出し防止されると共に、内キャップと外キャップの相互の回動も防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した二重キャップでは、内キャップの係止用凸部が外キャップの係止用凹所に嵌入し止着しているため、内キャップと外キャップとの分離ができなくなっている。
これにより、近年の環境志向の高まりによる分別廃棄に対応しにくかったり、破損や劣化、消費者の趣向の変化に対応して外キャップを適宜交換する際に、交換自在にしにくかったりするような問題があり、上述した二重キャップには更なる改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、インナーキャップとアウターキャップとを簡便かつ確実な係止構造で分離自在にしてキャップの外観形状、素材、識別性の多様化を図るとともに分別廃棄が可能であったり、破損や劣化、消費者の趣向の変化に対応してアウターキャップが交換可能であったりする二重キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、容器本体の開口部に対して着脱自在に外嵌螺合する円筒状のインナーキャップと、該インナーキャップの中心軸と同軸に配置されて相互に分離自在に係合するアウターキャップとを備えた二重キャップであって、前記インナーキャップの外周側面または前記アウターキャップの内周側面のいずれか一方が、他方に向けて突出する係合突起を備えているとともに、前記インナーキャップの外周側面または前記アウターキャップの内周側面のいずれか他方が、前記係合突起と係合する係合溝を備え、前記係合溝が、前記インナーキャップから前記アウターキャップを抜き取るために前記係合突起を誘導すると共に前記中心軸方向に伸びる突起誘導用縦溝部分と、前記インナーキャップと前記アウターキャップとを相対的に回り止めすると共に前記中心軸方向に伸びる回り止め用縦溝部分と、前記突起誘導用縦溝部分と前記回り止め用縦溝部分とに連通して周方向に伸びる突起誘導用横溝部分とで構成され、前記突起誘導用縦溝部分が、前記インナーキャップの上端部または前記アウターキャップの下端部まで到達し、前記係合突起に対して摺動抵抗を生じる膨出領域が、前記突起誘導用縦溝部分または前記回り止め用縦溝部分の少なくとも一方に設けられ、前記アウターキャップを前記インナーキャップから取り外す際に前記インナーキャップに対する前記アウターキャップの摺動方向が、前記容器本体に対する前記インナーキャップの装着方向と同方向であることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された二重キャップの構成に加えて、前記膨出領域が、前記回り止め用縦溝部分に設けられていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された二重キャップの構成に加えて、前記膨出領域が、前記突起誘導用縦溝部分に設けられていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載された二重キャップの構成に加えて、前記係合突起が、前記インナーキャップに形成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の二重キャップは、容器本体の開口部に着脱自在に外嵌螺合する円筒状のインナーキャップと、このインナーキャップの中心軸と同軸に配置されて相互に分離自在に係合するアウターキャップとを備えていることにより、消費者であっても簡単にインナーキャップとアウターキャップとが分離可能となるため、インナーキャップに対するアウターキャップの外観形状、素材が多様化し、容器相互の識別性、商品価値を高めることができるばかりでなく、破損や劣化、消費者の趣向の変化に対応してアウターキャップを交換できたり、異なる素材からなる二重キャップであっても分別廃棄に寄与することができたりするとともに、以下のような本発明に特有の効果を奏することができる。
【0013】
請求項1に係る発明の二重キャップによれば、係合溝が、インナーキャップからアウターキャップを抜き取るために係合突起を誘導すると共に中心軸方向に伸びる突起誘導用縦溝部分と、インナーキャップとアウターキャップとを相対的に回り止めすると共に中心軸方向に伸びる回り止め用縦溝部分と、突起誘導用縦溝部分と回り止め用縦溝部分とに連通して周方向に伸びる突起誘導用横溝部分とで構成され、突起誘導用縦溝部分が、インナーキャップの上端部またはアウターキャップの下端まで到達していることにより、二重キャップを容器本体の開口部に対して着脱する際には係合突起が回り止め用縦溝部分のみに係合し、その結果、インナーキャップに対してアウターキャップを確実に回り止めして一体化するため、二重キャップを容器本体の開口部に対して着脱することができる。
加えて、インナーキャップからアウターキャップを抜き取る際には係合突起が突起誘導用縦溝部分のみを摺動するため、インナーキャップからアウターキャップを確実に抜き取ることができる。
さらに、係合突起に対して摺動抵抗を生じる膨出領域が、突起誘導用縦溝部分または回り止め用縦溝部分の少なくとも一方に設けられていることにより、係合突起が膨出領域を乗り越える際に摺動抵抗を生じ、係合突起が回り止め用縦溝部分に確実に係合するためアウターキャップのインナーキャップに対する着脱動作を誤ることなく確実に達成することができる。
さらに、アウターキャップをインナーキャップから取り外す際にインナーキャップに対するアウターキャップの摺動方向が、容器本体に対するインナーキャップの装着方向と同方向であることにより、アウターキャップをインナーキャップから取り外す際にインナーキャップが容器本体に締め付けられるため、アウターキャップをインナーキャップから取り外す際にインナーキャップが容器本体から外れてしまうことを確実に防ぎ、アウターキャップを取り外している最中に容器本体の内容物が不意にこぼれてしまうことを防ぐことができる。
【0014】
請求項2に係る発明の二重キャップによれば、請求項1に係る発明の二重キャップが奏する効果に加えて、膨出領域が、回り止め用縦溝部分に設けられていることにより、係合突起と回り止め用縦溝部分とを係合させている状態から容器本体とアウターキャップとを相対的に上下方向に移動させる際に膨出領域が係合突起に摺動抵抗を与えるため、アウターキャップを容器本体から引き上げた段階ですぐに抵抗感が付与され、使用者はアウターキャップがインナーキャップに対して着脱自在であることを感知することができる。
【0015】
請求項3に係る発明の二重キャップによれば、請求項1または請求項2に係る発明の二重キャップが奏する効果に加えて、膨出領域が、突起誘導用縦溝部分に設けられていることにより、係合突起と回り止め用縦溝部分との係合状態が解除され、係合突起が突起誘導用横溝部分を摺動して突起誘導用縦溝部分に到達したとしても、突起誘導用縦溝部分に形成された膨出領域が係合突起に摺動抵抗を与えるため、アウターキャップがインナーキャップから脱落してしまう可能性を低減することができる。
【0017】
請求項4に係る発明の二重キャップによれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに係る発明の二重キャップが奏する効果に加えて、係合突起が、インナーキャップに形成されていることにより、アウターキャップに係合溝が形成されることになるため、木材のような加工が難しい材料からなるアウターキャップを容易に作製することができる。
また、係合突起がアウターキャップに形成されていると、係合溝がインナーキャップに形成されることになるが、インナーキャップには容器本体の開口部と螺合するための螺合溝も形成され、インナーキャップが薄肉となってしまい、インナーキャップの強度が低下してしまうことになるため、係合突起が、インナーキャップに形成されていることにより、インナーキャップの強度を増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施例である二重キャップを容器本体に組み付けた状態を示す斜視図。
【
図3A】
図1に示す二重キャップを構成するインナーキャップの平面図。
【
図4A】
図1に示す二重キャップを構成するアウターキャップの底面図。
【
図5A】アウターキャップをインナーキャップから引き上げた状態を示す斜視図。
【
図6A】アウターキャップをインナーキャップに対して回動させた状態を示す斜視図。
【
図7】本発明の変形例の二重キャップの側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、容器本体の開口部に対して着脱自在に外嵌螺合する円筒状のインナーキャップと、このインナーキャップの中心軸と同軸に配置されて相互に分離自在に係合するアウターキャップとを備えた二重キャップであって、インナーキャップの外周側面またはアウターキャップの内周側面のいずれか一方が、他方に向けて突出する係合突起を備えているとともに、インナーキャップの外周側面またはアウターキャップの内周側面のいずれか他方が、係合突起と係合する係合溝を備え、係合溝が、インナーキャップからアウターキャップを抜き取るために係合突起を誘導すると共に中心軸方向に伸びる突起誘導用縦溝部分と、インナーキャップとアウターキャップとを相対的に回り止めすると共に中心軸方向に伸びる回り止め用縦溝部分と、誘導誘導用縦溝部分と回り止め用縦溝部分とに連通して周方向に伸びる突起誘導用横溝部分とで構成され、突起誘導用縦溝部分が、インナーキャップの上端部またはアウターキャップの下端部まで到達し、係合突起に対して摺動抵抗を生じる膨出領域が、突起誘導用縦溝部分または回り止め用縦溝部分の少なくとも一方に設けられ、アウターキャップをインナーキャップから取り外す際にインナーキャップに対するアウターキャップの摺動方向が、容器本体に対するインナーキャップの装着方向と同方向であることにより、インナーキャップとアウターキャップとを簡便かつ確実な係止構造で分離自在にしてキャップの外観形状、素材、識別性の多様化を図るとともに分別廃棄が可能であったり、破損や劣化、消費者の趣向の変化に対応してアウターキャップが交換可能であったりするものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0020】
例えば、本発明の二重キャップのインナーキャップの材質は、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂、金属、木材、ガラス、紙などが挙げられるが、雌ネジの製造性や密閉性の観点からは、樹脂や金属が好ましく、特に樹脂で作製することが好ましい。
なお、インナーキャップを樹脂で作製する場合、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリコーン、ゴムなどが好ましい。
【0021】
例えば、本発明の二重キャップのアウターキャップの材質は、特に限定されるものではなく、例えば、木材、金属、石、ガラス、樹脂、紙などであってもよい。
【0022】
例えば、本発明の二重キャップのアウターキャップの形状は、インナーキャップと対向する面が円筒状であれば、外観形状は円筒状に限定されるものではない。
【0023】
例えば、本発明の二重キャップにおいて、係合突起はアウターキャップに、係合溝はインナーキャップにそれぞれ形成されていてもよいが、係合突起はインナーキャップに、係合溝はアウターキャップにそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0024】
例えば、本発明の二重キャップにおいて、膨出領域は回り止め用縦溝部分に形成されていることが好ましいが、膨出領域は突起誘導用縦溝部分に形成されていてもよいし、膨出領域が回り止め用縦溝部分と突起誘導用縦溝部分との両方に形成されていてもよい。
なお、膨出領域が、突起誘導用縦溝部分に設けられている場合、係合突起と回り止め用縦溝部分との係合状態が解除され、係合突起が突起誘導用横溝部分を摺動して突起誘導用縦溝部分に到達したとしても、突起誘導用縦溝部分に形成された膨出領域が係合突起に摺動抵抗を与えるため、アウターキャップがインナーキャップから脱落してしまう可能性を低減することができる。
【0025】
例えば、本発明の二重キャップに用いた係合突起と係合溝とについては、容器本体と容器本体に嵌合される容器カバーに適用してもよい。
具体的には、容器本体の外周側面または容器カバーの内周側面のいずれか一方が、他方に向けて突出する係合突起を備えているとともに、容器本体の外周側面または容器カバーの内周側面のいずれか他方が、係合突起と係合する係合溝を備えてもよい。
【実施例1】
【0026】
以下、
図1乃至
図6Cに基づいて、本発明の第1実施例である二重キャップについて説明する。
【0027】
<1.二重キャップの概要>
まず、
図1に基づいて、本発明の第1実施例である二重キャップ100の概要について説明する。
図1は、本発明の第1実施例である二重キャップを容器本体に組み付けた状態を示す斜視図である。
【0028】
本発明の第1実施例である二重キャップ100は、
図1に示すように円筒状であり、円筒状で二重キャップ100と同径の容器本体Bに取り付けられている。
そして、
図1に示すように、容器本体Bに対して二重キャップ100をC方向(時計回り)に回すことで二重キャップ100を容器本体Bに組み付けることができ、容器本体Bに対して二重キャップ100をO方向(反時計回り)に回すことで二重キャップ100を容器本体Bから取り外すことができる。
【0029】
<2.二重キャップの詳細構造>
次に、
図2乃至
図4Bに基づいて、本発明の第1実施例である二重キャップ100の詳細構造について説明する。
図2は
図1に示す二重キャップの側面断面図であり、
図3Aは
図1に示す二重キャップを構成するインナーキャップの平面図であり、
図3Bは
図3Aのインナーキャップの側面図であり、
図4Aは
図1に示す二重キャップを構成するアウターキャップの底面図であり、
図4Bは
図4Aに示すIVB-IVB線に沿った断面図である。
【0030】
二重キャップ100は、
図2に示すように、容器本体Bの上端に形成された開口部B1(
図5B参照)に対して着脱自在に外嵌螺合される円筒状のインナーキャップ110と、このインナーキャップ110の中心軸Pと同軸に配置されて相互に分離自在に係合する円筒状のアウターキャップ120とを備えている。
したがって、二重キャップ100の中心軸は、インナーキャップ110の中心軸Pおよびアウターキャップ120の中心軸と一致している。
【0031】
<2.1.インナーキャップ>
次に、
図2、
図3Aおよび
図3Bに基づいて、インナーキャップ110の詳細構造について説明する。
【0032】
図3Bに示すように、インナーキャップ110の内周側面111には、容器本体Bの開口部B1に形成された雄ネジB1a(
図5B参照)と係合する雌ネジ111aが上下方向の中央近傍に形成されている。
また、インナーキャップ110の内上面には、容器本体Bの開口部B1に嵌められた中栓B2に形成された注ぎ口B2a(
図5B参照)を塞ぐ漏れ防止構造112が形成されている。
【0033】
インナーキャップの外周側面113には、
図3Aおよび
図3Bに示すように、アウターキャップ120の内周側面121に向けて突出し、後述するアウターキャップ120の係合溝122と係合する係合突起113aが対向する位置に2つ形成されている。
この係合突起113aは、
図3Aおよび
図3Bに示すように、半径方向に突出した四角柱状の突起となっている。
【0034】
<2.2.アウターキャップ>
次に、
図2、
図4Aおよび
図4Bに基づいて、アウターキャップ120の詳細構造について説明する。
【0035】
図4Bに示すように、アウターキャップ120の内周側面121には、インナーキャップ110の係合突起113aと係合する係合溝122が対向する位置に2つ形成されている。
この係合溝122は、
図4Bに示すように、中心軸P方向に伸びる突起誘導用縦溝部分122aと、一端が突起誘導用縦溝部分122aと連結され周方向に伸びる突起誘導用横溝部分122bと、一端が突起誘導用横溝部分122bと連結されて中心軸P方向上方に向かって伸びる回り止め用縦溝部分122cとから構成されている。
【0036】
突起誘導用縦溝部分122aは、
図4Aに示すように、アウターキャップ120の下端123まで到達する矩形状の溝であり、インナーキャップ110からアウターキャップ120を抜き取るために係合突起113aを誘導する。
突起誘導用横溝部分122bは、
図4Bに示すように、突起誘導用縦溝部分122aと回り止め用縦溝部分122cとに連通する矩形状の溝である。
回り止め用縦溝部分122cは、矩形状の溝であり、インナーキャップ110とアウターキャップ120とを相対的に回り止めする。
この回り止め用縦溝部分122cには、
図2に示すように、中心軸Pに向けて突出した半円柱状の膨出領域122c1が形成されている。
この膨出領域122c1の頂点(最も中心軸Pに近い点)は、
図2に示すように回り止め用縦溝部分122cの内端122c2よりも外側に位置している。
【0037】
<3.インナーキャップに対するアウターキャップの着脱>
次に、
図2、
図5A乃至
図6Cに基づいて、このように構成された二重キャップ100におけるアウターキャップ120の着脱について説明する。
図5Aはアウターキャップをインナーキャップから引き上げた状態を示す斜視図であり、
図5Bは
図5Aの側面断面図であり、
図6Aはアウターキャップをインナーキャップに対して回動させた状態を示す斜視図であり、
図6Bは
図6Aの底面断面図であり、
図6Cは
図6Aの側面断面図である。
【0038】
まず、二重キャップ100のインナーキャップ110に形成された雌ネジ111aが、容器本体Bの上端に形成された開口部B1の外周部に形成された雄ネジB1aに対して螺合していることで、二重キャップ100が容器本体Bに装着されている。
このとき、インナーキャップ110の係合突起113aは、
図2に示すように、アウターキャップ120の係合溝122の回り止め用縦溝部分122c内に配置されているため、アウターキャップ120はインナーキャップ110に対して中心軸Pを中心として回動しないようになっている。
また、アウターキャップ120の膨出領域122c1は、
図2に示すように、インナーキャップ110の係合突起113aより下方に配置されていることから、アウターキャップ120を把持して持ち上げたとしても、インナーキャップ110の係合突起113aとアウターキャップ120の膨出領域122c1との係合により、インナーキャップ110および容器本体Bが上下方向に移動しなくなっている。
【0039】
この状態から、
図5Aに示すように、容器本体Bを把持した状態で、アウターキャップ120をインナーキャップ110に対して引き上げる。
このとき、アウターキャップ120を引き上げたことにより、インナーキャップ110の係合突起113aとアウターキャップ120の膨出領域122c1との係合が解除され、アウターキャップ120の膨出領域122c1がインナーキャップ110の係合突起113aより上方に位置することになる。
これにより、インナーキャップ110の係合突起113aは、アウターキャップ120の係合溝122の回り止め用縦溝部分122c内を上下方向の移動自在となる。
そして、インナーキャップ110の係合突起113aの上端113a1が、少なくともアウターキャップ120の係合溝122の突起誘導用横溝部分122bの上面122b1(
図4B参照)よりも下方に位置するまでアウターキャップ120を引き上げる。
【0040】
この状態からアウターキャップ120を時計回り(すなわち、容器本体Bに対するインナーキャップ110の装着方向)に約90度摺動回転させると、インナーキャップ110の係合突起113aがアウターキャップ120の係合溝122の突起誘導用横溝部分122b内を摺動して、インナーキャップ110の係合突起113aがアウターキャップ120の係合溝122の突起誘導用縦溝部分122aの側壁122a1(
図4B参照)に当接して
図6A乃至
図6Cの状態になる。
このアウターキャップ120の回転は、
図5A、
図6Aに記した印Sを参照することにより確認できる。
【0041】
図6A乃至
図6Cの状態になると、インナーキャップ110の係合突起113aがアウターキャップ120の係合溝122の突起誘導用縦溝部分122a内に位置し、係合溝122の突起誘導用縦溝部分122a内を上下方向に移動自在となる。
したがって、アウターキャップ120を引き上げることでアウターキャップ120をインナーキャップ110から取り外すことができる。
【0042】
<4.本実施例の効果>
本実施例の二重キャップ100は、係合溝122が、インナーキャップ110からアウターキャップ120を抜き取るために係合突起113aを誘導すると共に中心軸P方向に伸びる突起誘導用縦溝部分122aと、インナーキャップ110とアウターキャップ120とを相対的に回り止めすると共に中心軸P方向に伸びる回り止め用縦溝部分122cと、突起誘導用縦溝部分122aと回り止め用縦溝部分122cとに連通して周方向に伸びる突起誘導用横溝部分122bとで構成され、突起誘導用縦溝部分122aが、アウターキャップ120の下端123まで到達していることにより、二重キャップ100を容器本体Bの開口部B1に対して着脱する際には係合突起113aが回り止め用縦溝部分122cのみに係合し、その結果、インナーキャップ110に対してアウターキャップ120を確実に回り止めして一体化するため、二重キャップ100を容器本体Bの開口部B1に対して着脱することができる。
加えて、インナーキャップ110からアウターキャップ120を抜き取る際には係合突起113aが突起誘導用縦溝部分122aのみを摺動するため、インナーキャップ110からアウターキャップ120を確実に抜き取ることができる。
さらに、係合突起113aに対して摺動抵抗を生じる膨出領域121c1が、突起誘導用縦溝部分または回り止め用縦溝部分の少なくとも一方に設けられていることにより、係合突起が膨出領域121c1を乗り越える際に摺動抵抗を生じ、係合突起が回り止め用縦溝部分に確実に係合するため、アウターキャップ120のインナーキャップ110に対する着脱動作を誤ることなく確実に達成することができる。
さらに、回り止め用縦溝部分122cが中心軸P方向上方に伸びていることにより、インナーキャップ110をアウターキャップ120と係合させた際に、インナーキャップ110とアウターキャップ120とが中心軸P方向で近接するため、回り止め用縦溝部分222cが中心軸P方向下方に伸びている場合に比べて、二重キャップ100の高さを抑えられると共に容器本体Bとアウターキャップ120との隙間を小さくすることができるため好ましい。
【0043】
また、膨出領域121c1が、回り止め用縦溝部分122cに設けられていることにより、係合突起113aと回り止め用縦溝部分122cとを係合させている状態から容器本体Bとアウターキャップ120とを相対的に上下方向に移動させる際に膨出領域121c1が係合突起113aに摺動抵抗を与えるため、アウターキャップ120を容器本体Bから引き上げた段階ですぐに抵抗感が付与され、使用者はアウターキャップ120がインナーキャップ110に対して着脱自在であることを感知することができる。
【0044】
さらに、アウターキャップ120をインナーキャップ110から取り外す際にインナーキャップ110に対するアウターキャップ120の摺動方向が、容器本体Bに対するインナーキャップ110の装着方向と同方向であることにより、アウターキャップ120をインナーキャップ110から取り外す際にインナーキャップ110が容器本体Bに締め付けられるため、アウターキャップ120をインナーキャップ110から取り外す際にインナーキャップ110が容器本体Bから外れてしまうことを確実に防ぎ、アウターキャップ120を取り外している最中に容器本体Bの内容物が不意にこぼれてしまうことを防ぐことができる。
【0045】
また、係合突起113aが、インナーキャップ110に形成されていることにより、アウターキャップ120に係合溝122が形成されることになるため、木材のような加工が難しい材料からなるアウターキャップ120を容易に作製することができる。
また、係合突起113aがアウターキャップ120に形成されていると、係合溝122がインナーキャップ110に形成されることになるが、インナーキャップ110には容器本体Bの開口部B1と螺合するための螺合溝も形成され、インナーキャップ110が薄肉となってしまい、インナーキャップ110の強度が低下してしまうことになるため、係合突起113aが、インナーキャップ110に形成されていることにより、インナーキャップ110の強度を増すことができる。
【0046】
さらに、インナーキャップ110の係合突起113aとアウターキャップ120の係合溝122とが対向して2個(1対)設けられていることにより、インナーキャップ110に対してアウターキャップ120がより回動しにくくなるため、インナーキャップ110に対しするアウターキャップ120のガタつきを抑制することができる。
【0047】
<5.変形例>
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。
【0048】
例えば、本実施例の二重キャップが組み付けられる容器本体は、二重キャップと螺合する雄ネジが形成されていれば、その概形は円筒状に限られず、角筒状であってもよいし、チューブ状であってもよい。
【0049】
例えば、インナーキャップ110の係合突起113aおよびアウターキャップ120の係合溝122の位置や個数は上述した実施例に限定されるものではない。
【0050】
例えば、突起誘導用横溝部分122bは、上述した実施例では水平方向に伸びていたが、水平方向に対して上方に傾いていてもよい。
【0051】
例えば、インナーキャップ110の係合突起113aの形状やアウターキャップ120の膨出領域122c1の形状は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の変形例の二重キャップの側面断面図である
図7のようなものであってもよい。
すなわち、インナーキャップ110の係合突起113aは、
図7に示すように、半径方向に突出した三角柱状の突起であってもよい。
また、アウターキャップ120の回り止め用縦溝部分122cに形成された膨出領域122c1は、
図7に示すように、中心軸Pに向けて突出した三角柱状であってもよい。
そして、変形例においても、膨出領域122c1の頂点(最も中心軸Pに近い点)は、
図7に示すように回り止め用縦溝部分122cの内端122c2よりも外側に位置している。
【符号の説明】
【0052】
100 ・・・ 二重キャップ
110 ・・・ インナーキャップ
111 ・・・ 内周側面
111a ・・・ 雌ネジ
112 ・・・ 漏れ防止構造
113 ・・・ 外周側面
113a ・・・ 係合突起
113a1・・・ 上端
120 ・・・ アウターキャップ
121 ・・・ 内周側面
122 ・・・ 係合溝
122a ・・・ 突起誘導用縦溝部分
122a1・・・ 側壁
122b ・・・ 突起誘導用横溝部分
122b1・・・ 上面
122c ・・・ 回り止め用縦溝部分
122c1・・・ 膨出領域
122c2・・・ 内端
123 ・・・ 下端
B ・・・ 容器本体
B1 ・・・ 開口部
B1a ・・・ 雄ネジ
B2 ・・・ 中栓
B2a ・・・ 注ぎ口
P ・・・ 中心軸
S ・・・ 印