(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】フッ化カルシウム回収装置及びフッ化カルシウム回収方法
(51)【国際特許分類】
C01F 11/22 20060101AFI20240119BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20240119BHJP
B01D 61/04 20060101ALI20240119BHJP
B01D 61/08 20060101ALI20240119BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240119BHJP
C02F 1/58 20230101ALI20240119BHJP
C02F 1/52 20230101ALI20240119BHJP
【FI】
C01F11/22
B01D61/02 500
B01D61/04
B01D61/08
C02F1/44 A
C02F1/58 M
C02F1/52 J
(21)【出願番号】P 2019231722
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 徹
(72)【発明者】
【氏名】成田 裕樹
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-266076(JP,A)
【文献】特開2013-123673(JP,A)
【文献】特開2014-184413(JP,A)
【文献】特開2017-077993(JP,A)
【文献】特開2016-059886(JP,A)
【文献】特開2014-171967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 11/22
B01D 61/02、61/04、61/08
C02F 1/44、1/52、1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素含有水を、フッ化物イオンの阻止率が75%以下となる条件で、膜ろ過処理して、透過水と濃縮水とを得る膜ろ過手段と、
前記透過水の少なくとも一部とカルシウム剤とを反応させ、フッ化カルシウムを生成する反応槽と、
前記反応槽から排出されるフッ化カルシウム含有水を固液分離して、フッ化カルシウム含有汚泥と処理水とに分離する固液分離手段と、を備え
、
前記膜ろ過処理に用いられる膜が逆浸透膜又はナノろ過膜であることを特徴とするフッ化カルシウム回収装置。
【請求項2】
前記膜ろ過手段に供給される前記フッ素含有水のpHを3~5の範囲に調整するpH調整手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のフッ化カルシウム回収装置。
【請求項3】
前記膜ろ過手段に供給される前記フッ素含有水より不純物濃度が高い第2フッ素含有水と前記透過水とを混合する混合槽を備え、
前記反応槽は、前記膜ろ過手段に供給される前記フッ素含有水よりも不純物濃度が高い第2フッ素含有水と前記透過水と前記カルシウム剤とを反応させ、フッ化カルシウムを生成することを特徴とする請求項1
又は2に記載のフッ化カルシウム回収装置。
【請求項4】
前記固液分離手段から排出される前記処理水とカルシウム剤とを反応させ、フッ化カルシウムを生成する追加反応槽と、前記追加反応槽から排出されるフッ化カルシウム含有水と凝集剤とを反応させる追加凝集槽と、前記追加凝集槽から排出されるフッ化カルシウム含有水を固液分離して、フッ化カルシウム含有汚泥と処理水とに分離する追加固液分離手段と、を有することを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載のフッ化カルシウム回収装置。
【請求項5】
フッ素含有水を、フッ化物イオンの阻止率が75%以下となる条件で、膜ろ過処理して、透過水と濃縮水とを得る膜ろ過工程と、
前記透過水の少なくとも一部とカルシウム剤とを反応させ、フッ化カルシウムを生成する反応工程と、
前記反応工程から排出されるフッ化カルシウム含有水を固液分離して、フッ化カルシウム含有汚泥と処理水とに分離する固液分離工程と、を備え
、
前記膜ろ過処理に用いられる膜が逆浸透膜又はナノろ過膜であることを特徴とするフッ化カルシウム回収方法。
【請求項6】
前記フッ素含有水のpHを3~5の範囲に調整するpH調整工程を備えることを特徴とする請求項
5に記載のフッ化カルシウム回収方法。
【請求項7】
前記フッ素含有水よりフッ化物イオン濃度が低く、不純物濃度が高い第2フッ素含有水と前記透過水とを混合する混合工程を備え、
前記反応工程は、前記第2フッ素含有水と前記透過水とを含む混合液とカルシウム剤とを反応させ、フッ化カルシウムを生成することを特徴とする請求項
5又は6に記載のフッ化カルシウム回収方法。
【請求項8】
前記固液分離工程から排出される前記処理水とカルシウム剤とを反応させ、フッ化カルシウムを生成する追加反応工程と、前記追加反応工程から排出されるフッ化カルシウム含有水と凝集剤とを反応させる追加凝集工程と、前記追加凝集工程から排出されるフッ化カルシウム含有水を固液分離して、フッ化カルシウム含有汚泥と処理水とに分離する追加固液分離工程と、を有することを特徴とする請求項
5~7のいずれか1項に記載のフッ化カルシウム回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ化カルシウム回収装置及びフッ化カルシウム回収方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フッ素含有水は、カルシウム剤を添加して凝集沈殿処理によって処理される(例えば、特許文献1参照)。凝集沈殿処理により得られる汚泥には、フッ化カルシウムの他に、原水由来の有機物、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカなどの不純物が混入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、廃棄物削減の観点から、汚泥中のフッ化カルシウム純度(濃度)がある程度高ければ(概ね90%以上)、有価物として回収できるケースが増えてきている。しかし、従来の技術では、汚泥中に前述の不純物が多く混入してしまうため、有価物として回収できる程度のフッ化カルシウム純度が得られない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、汚泥中のフッ化カルシウム純度を高め、有価物として回収することを可能とするフッ化カルシウム回収装置及びフッ化カルシウム回収方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るフッ化カルシウム回収装置は、フッ素含有水を、フッ化物イオンの阻止率が75%以下となる条件で、膜ろ過処理して、透過水と濃縮水とを得る膜ろ過手段と、前記透過水の少なくとも一部とカルシウム剤とを反応させ、フッ化カルシウムを生成する反応槽と、前記反応槽から排出されるフッ化カルシウム含有水を固液分離して、フッ化カルシウム含有汚泥と処理水とに分離する固液分離手段と、を備え、前記膜ろ過処理に用いられる膜が逆浸透膜又はナノろ過膜である。
【0007】
また、前記フッ化カルシウム回収装置において、前記フッ素含有水のpHを3~5の範囲に調整するpH調整手段を備えることが好ましい。
【0009】
また、前記フッ化カルシウム回収装置において、前記フッ素含有水よりフッ化物イオン濃度が低く、不純物濃度が高い第2フッ素含有水と前記透過水とを混合する混合槽を備え、前記反応槽は、前記第2フッ素含有水と前記透過水とを含む混合液とカルシウム剤とを反応させ、フッ化カルシウムを生成することが好ましい。
【0010】
また、前記フッ化カルシウム回収装置において、前記固液分離手段から排出される前記処理水とカルシウム剤とを反応させ、フッ化カルシウムを生成する追加反応槽と、前記追加反応槽から排出されるフッ化カルシウム含有水と凝集剤とを反応させる追加凝集槽と、前記追加凝集槽から排出されるフッ化カルシウム含有水を固液分離して、フッ化カルシウム含有汚泥と処理水とに分離する追加固液分離手段と、を有することが好ましい。
【0011】
また、本発明の実施形態に係るフッ化カルシウム回収方法は、フッ素含有水を、フッ化物イオンの阻止率が75%以下となる条件で、膜ろ過処理して、透過水と濃縮水とを得る膜ろ過工程と、前記透過水の少なくとも一部とカルシウム剤とを反応させ、フッ化カルシウムを生成する反応工程と、前記反応工程から排出されるフッ化カルシウム含有水を固液分離して、フッ化カルシウム含有汚泥と処理水とに分離する固液分離工程と、を備え、前記膜ろ過処理に用いられる膜が逆浸透膜又はナノろ過膜である。
【0012】
また、前記フッ化カルシウム回収方法において、前記フッ素含有水のpHを3~5の範囲に調整するpH調整工程を備えることが好ましい。
【0014】
また、前記フッ化カルシウム回収方法において、前記フッ素含有水よりフッ化物イオン濃度が低く、不純物濃度が高い第2フッ素含有水と前記透過水とを混合する混合工程を備え、前記反応工程は、前記第2フッ素含有水と前記透過水とを含む混合液とカルシウム剤とを反応させ、フッ化カルシウムを生成することが好ましい。
【0015】
また、前記フッ化カルシウム回収方法において、前記固液分離工程から排出される前記処理水とカルシウム剤とを反応させ、フッ化カルシウムを生成する追加反応工程と、前記追加反応工程から排出されるフッ化カルシウム含有水と凝集剤とを反応させる追加凝集工程と、前記追加凝集工程から排出されるフッ化カルシウム含有水を固液分離して、フッ化カルシウム含有汚泥と処理水とに分離する追加固液分離工程と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、汚泥中のフッ化カルシウム純度を高め、有価物として回収することを可能とするフッ化カルシウム回収装置及びフッ化カルシウム回収方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係るフッ化カルシウム回収装置の一例を示す模式図である。
【
図2】実験例のフッ素含有水のpHに対するRO膜によるフッ化物イオンの阻止率の結果を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るフッ化カルシウム回収装置の他の一例を示す模式図である。
【
図4】本実施形態に係るフッ化カルシウム回収装置の他の一例を示す模式図である。
【
図5】本実施形態に係るフッ化カルシウム回収装置の他の一例を示す模式図である。
【
図6】本実施形態に係るフッ化カルシウム回収装置の他の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態に係るフッ化カルシウム回収装置の一例を示す模式図である。
図1に示すフッ化カルシウム回収装置1は、原水槽10、逆浸透膜(以下、RO膜と称する場合がある)を備える膜ろ過モジュール12、反応槽14、高分子凝集槽16、沈殿槽18を備える。
【0020】
図1に示すフッ化カルシウム回収装置1は、カルシウム剤添加ライン20、高分子凝集剤添加ライン22を備えている。カルシウム剤添加ライン20は反応槽14に接続され、高分子凝集剤添加ライン22は高分子凝集槽16に接続されている。
【0021】
図1に示すフッ化カルシウム回収装置1は、送液ライン24a~24eを備えている。送液ライン24aは、原水槽10の入口に接続されている。送液ライン24bの一端は原水槽10の出口に接続され、他端は膜ろ過モジュール12の入口に接続されている。送液ライン24bにはポンプ32が設置されている。送液ライン24cの一端は膜ろ過モジュール12の透過水出口に接続され、他端は反応槽14の入口に接続されている。送液ライン24dの一端は反応槽14の出口に接続され、他端は高分子凝集槽16の入口に接続されている。送液ライン24eの一端は、高分子凝集槽16の出口に接続され、他端は沈殿槽18の入口に接続されている。
【0022】
図1に示すフッ化カルシウム回収装置1は、排出ライン26a~26b、汚泥回収ライン28を備えている。排出ライン26aの一端は、膜ろ過モジュール12の濃縮水出口に接続されている。なお、排出ライン26aの他端は、例えば、不図示の濃縮水用タンクに接続されている。排出ライン26bの一端は沈殿槽18の処理水出口に接続されている。なお、排出ライン26bの他端は、例えば、不図示の処理水用タンクに接続されている。汚泥回収ライン28の一端は、沈殿槽18の汚泥出口に接続されている。なお、汚泥回収ライン28の他端は、例えば、不図示の汚泥回収用タンクに接続されている。
【0023】
図1に示すフッ化カルシウム回収装置1は、pH調整装置30を備えている。
図1に示すpH調整装置30は、フッ素含有水のpHが予め設定したpH(又は予め設定したpHの範囲内)となるように、所定量のpH調整剤をフッ素含有水に供給するように構成されている。また、例えば、膜ろ過モジュール12の入口近傍にpHセンサを設置し、pH調整装置30は、pHセンサにより測定されたフッ素含有水のpH値が、予め設定したpH(又は予め設定したpHの範囲内)となるように、pH調整剤をフッ素含有水に供給するように構成されてもよい。
【0024】
図1に示すフッ化カルシウム回収装置1の動作の一例について説明する。
【0025】
フッ素含有水が、送液ライン24aを通り原水槽10に貯留される。ポンプ32を稼働させることにより、原水槽10に貯留されたフッ素含有水が、送液ライン24bから膜ろ過モジュール12に供給される。この際、pH調整装置30からpH調整剤が送液ライン24bに送液され、膜ろ過モジュール12に供給されるフッ素含有水のpHが調整される。
【0026】
図1に示すフッ化カルシウム回収装置1では、フッ化物イオンの阻止率が75%以下となる条件で、フッ素含有水をRO膜で膜ろ過処理して、透過水と濃縮水とを得る(膜ろ過工程)。ここで、本発明の発明者等は、フッ化物イオンの阻止率は、フッ素含有水中の共存物質やRO膜の性能等にもよるが、概ねpH5以下に調整することにより、RO膜によるフッ化物イオンの阻止率を75%以下にすることが可能となることを見出した。したがって、フッ化物イオンの阻止率を75%以下にする点で、フッ素含有水のpHを5以下に調整することが好ましい。但し、フッ素含有水のpHが3未満となると、HFが大量に生成して膜や装置を腐食させる場合があるため、フッ素含有水のpHを3~5の範囲に調整することがより好ましい。
【0027】
図1に示すフッ化カルシウム回収装置1では、pH調整装置30により、フッ素含有水のpHが調整されて、RO膜によるフッ化物イオンの阻止率を75%以下に制御している。すなわち、pH調整装置30は、フッ素含有水のpHを調整して、膜ろ過モジュール12におけるフッ化物イオンの阻止率を75%以下に制御する制御手段として機能している。pH調整装置30からフッ素含有水に添加されるpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、塩酸、硫酸などが挙げられる。
【0028】
そして、フッ化物イオンの阻止率が75%以下となる条件で、フッ素含有水をRO膜で膜ろ過処理することにより、フッ化物イオンがRO膜を透過し、透過水のフッ化物イオン濃度を高めることができる。また、フッ素含有水に、有機物、炭酸イオン、カルシウムイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、アルミニウムイオン、シリカ等の不純物(以下、多価イオンと呼ぶ場合がある)が含まれていても、これらはRO膜により阻止される。これらの不純物の阻止率は、概ね95%~99.9%である。よって、後段の反応槽でカルシウム剤が添加された場合に、難溶性の不純物が生成することを防ぐことができる。
【0029】
したがって、フッ化物イオンの阻止率が75%以下となる条件で、フッ素含有水をRO膜で膜ろ過処理することにより、膜ろ過モジュール12から排出される透過水は、フッ化物イオン濃度が高く、不純物の低い透過水となる。なお、フッ素含有水に、ナトリウム、カリウム、塩化物イオン、硝酸イオン等の一価イオンが含まれていてもよい。
【0030】
膜ろ過モジュール12から排出された透過水は、送液ライン24cを通って、反応槽14に供給される。一方、膜ろ過モジュール12から排出された濃縮水は、排出ライン26aを通って、系外に排出される。
【0031】
反応槽14内では、透過水とカルシウム剤添加ライン20から供給されたカルシウム剤とが反応し、フッ化カルシウムが生成される(反応工程)。反応槽14に撹拌機を設置し、透過水とカルシウム剤とを撹拌しながら反応させることが望ましい。反応槽14内のフッ化カルシウム含有水は、送液ライン24dを通り、高分子凝集槽16に供給される。高分子凝集槽16内では、フッ化カルシウム含有水と高分子凝集剤添加ライン22から供給された高分子凝集剤との反応により、水中のフッ化カルシウムの粒径が増大し、フロック化される。フロック化したフッ化カルシウムを含むフッ化カルシウム含有水は、送液ライン24eを通り、沈殿槽18に供給される。沈殿槽18内では、フッ化カルシウム含有水が、フッ化カルシウム含有汚泥と処理水とに沈殿分離される(固液分離工程)。沈殿槽18内の処理水(上澄み水)は、排出ライン26bから系外へ排出される。また、沈殿槽18の底部に堆積したフッ化カルシウム含有汚泥は、汚泥回収ライン28に排出され、回収される。
【0032】
前述したように、膜ろ過モジュール12により得られる透過水は、フッ化物イオン濃度が高く、不純物濃度が低いため、反応工程、凝集工程及び固液分離工程を経て得られた汚泥は、フッ化カルシウム濃度(純度)が高く、難溶性不純物濃度が低い汚泥となる。また、前述したように、透過水にはフッ化物イオンと共に他の一価イオンが含まれる場合があるが、他の一価イオンは、カルシウム剤を添加しても、カルシウム化合物の溶解度が高いため、反応工程及び凝集工程では固形物としてほとんど析出しない。そのため、反応工程、凝集工程及び固液分離工程を経て得られた汚泥には、他の一価イオン由来の固形物はほとんど含まれない。したがって、
図1に示すフッ化カルシウム回収装置1によれば、フッ化カルシウム純度の高い汚泥が得られるため、有価物として回収することができる。回収したフッ化カルシウム含有汚泥のフッ化カルシウム純度は、例えば90%以上である。
【0033】
実施形態で用いられるRO膜は、主に、海水淡水化や超純水製造などイオン成分除去に用いられる。実施形態で用いられるRO膜は、例えば、NaCl濃度500mg/L、pH6.5、温度25℃、操作圧力1.5MPaの条件下で、NaCl阻止率が93%以上である。
【0034】
膜ろ過モジュール12に用いられるろ過膜は、RO膜に限定されず、ナノろ過膜(以下NF膜と称する場合がある)でもよい。NF膜の場合、一般的に市販されているほぼ全ての膜において、フッ化物イオンの阻止率は75%以下となる。したがって、NF膜を用いることで、フッ素含有水のpHを調整することなく、フッ化物イオンの阻止率を75%以下とすることは可能であるが、RO膜と同様にフッ素含有水のpHを3~5に調整してもよい。
【0035】
本実施形態で用いられるNF膜は、数ナノメートル程度の微小空隙を有していると考えられる膜で、RO膜より阻止率が低く、主に、水中の微小粒子や分子、イオン、塩類等を阻止するために用いられる。本実施形態で用いられるNF膜は、例えば、NaCl濃度500mg/L、pH6.5、温度25℃、操作圧力1.5MPaの条件下で、NaCl阻止率が5%以上93%未満である。
【0036】
NF膜はRO膜に比べて阻止率が低いため、NF膜を用いた場合、RO膜を用いた場合に比べて、フッ化カルシウム含有汚泥中の不純物の濃度が高くなる場合がある。したがって、フッ化カルシウム含有汚泥中の不純物の濃度の増加を抑える点で、2価イオンの阻止率が90%以上であるNF膜が望ましい。
【0037】
RO膜又はNF膜の材質は、例えば、ポリアミド系、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルサルフォン(PES)、セルロースアセテート(CA)等の有機膜等が挙げられる。また、RO膜又はNF膜の形状は、特に制限されるものではなく、例えば、中空糸膜、管状膜、平膜、スパイラル等が挙げられる。また、RO膜又はNF膜の通水方式は、内圧型、外圧型等のあらゆる通水方式が適用可能である。
【0038】
また、図での説明は省略するが、RO膜を備える膜ろ過モジュールとNF膜を備える膜ろ過モジュールを併用してもよい。この場合、RO膜を備える膜ろ過モジュールの前段に、NF膜を備える膜ろ過モジュールを設置することが望ましい。RO膜を備える膜ろ過モジュールの前段に、NF膜を備える膜ろ過モジュールを設置することで、NF膜で多価イオンを阻止することができるため、後段のRO膜に多価イオンが行くことを防ぐことができ、RO膜の負荷を下げることができる。
【0039】
膜ろ過モジュール12において、フッ化物イオンの阻止率を75%以下とする方法は、フッ素含有水のpHを調整する方法、NF膜を用いる方法に限定されない。例えば、膜ろ過モジュール12にフッ素含有水を供給する際の供給圧力、濃縮水圧力、透過水圧力、膜間差圧、透過水量、濃縮水量等を適切な範囲に設定することにより、フッ化物イオンの阻止率を75%以下にすることは可能である。例えば、供給圧力は0.5MPa~4.0MPaの範囲が好ましく、濃縮水圧力は0.5MPa~4.0MPaの範囲が好ましく、透過水圧力は0.01MPa~0.40MPaの範囲が好ましく、膜間差圧は0.5MPa~2.0MPaの範囲が好ましい。これらのパラメータは一例であって、上記範囲に限定されるものではない。
【0040】
透過水に添加するカルシウム剤は、フッ化カルシウムの生成に寄与するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0041】
フッ素含有水とカルシウム剤とを反応させてフッ化カルシウムを生成する際の反応pHは、特に制限されるものではないが、例えば、フッ化カルシウムを効率的に生成することができる点で、4~12の範囲であることが好ましく、4~10の範囲であることがより好ましい。この場合、例えば、反応槽14にpH調整剤を添加する。pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、塩酸、硫酸などが挙げられる。
【0042】
カルシウム剤の添加量は、フッ素含有水中のフッ化物イオン濃度等によって適宜設定されるものであり、特に制限されるものではないが、例えば、汚泥中のフッ化カルシウム純度を高める点で、透過水中のフッ化物イオン濃度に対して当量分とするか、或いは、当量分に加えて、水中に100~200mg/L程度残留するように添加することが好ましい。
【0043】
フッ化カルシウム含有水に添加する高分子凝集剤は、公知の高分子凝集剤であれば特に制限されるものではないが、例えば、アニオン系、ノニオン系およびカチオン系の高分子凝集剤等が挙げられる。フッ化カルシウム高分子凝集剤の添加量は、例えば、0.5ppm~5ppmの範囲である。高分子凝集槽16内での反応pHは、例えば、6~11の範囲が好ましく、6~8の範囲がより好ましい。この場合、例えば、高分子凝集槽16にpH調整剤を添加する。pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、塩酸、硫酸などが挙げられる。
【0044】
フッ化カルシウムを凝集してフロック化させるために、高分子凝集剤と共に無機凝集剤を添加するのが一般的であるが、本実施形態においては、汚泥中のフッ化カルシウムの純度を上げるため、無機凝集剤を添加しないことが好ましい。ここで、無機凝集剤を添加しないとは、全く添加しないこと、或いはフッ化カルシウム含有汚泥を有価物として回収することができなくなるまで添加しないことを言い、例えば、無機凝集剤の添加量を300ppm以下とすることが望ましい。
【0045】
フッ化カルシウム含有水に無機凝集剤を添加する場合、例えば、高分子凝集槽16の前段に無機凝集槽を設置する。無機凝集剤は、公知の無機凝集剤であれば特に制限されるものではなく、例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄(ポリ鉄)、塩化第二鉄等が挙げられる。無機凝集槽内での反応pHは、例えば、6~11の範囲が好ましく、6~8の範囲がより好ましい。
【0046】
図1に示すフッ化カルシウム回収装置1では、固液分離手段として沈殿槽18を用いているが、フッ化カルシウム含有水をフッ化カルシウム含有汚泥と処理水とに固液分離することができるものであればよく、例えば、膜ろ過装置、浮上分離装置、遠心分離装置等が挙げられる。これらの中では、フッ化カルシウム含有汚泥の回収率を向上させる点で、沈殿槽や膜ろ過装置が好ましい。膜ろ過装置に使用されるろ過膜は、例えば、限外ろ過膜(UF膜)又は精密ろ過膜(MF膜)等が挙げられる。フッ化カルシウム含有水を膜ろ過装置により膜ろ過処理することにより、フッ化カルシウム含有汚泥を含む濃縮水を回収することができる。また、ろ過膜を逆洗することにより、ろ過膜上に堆積したフッ化カルシウム含有汚泥を含む逆洗排水を回収することができる。濃縮水及び逆洗排水中のフッ化カルシウム含有汚泥は、フッ化カルシウム純度の高い汚泥であるので、有価物として回収できる。
【0047】
以下に、フッ化カルシウム回収装置の他の実施形態について説明する。
【0048】
図3は、本実施形態に係るフッ化カルシウム回収装置の他の一例を示す模式図である。
図3に示すフッ化カルシウム回収装置2は、膜ろ過モジュール12、混合槽13、反応槽14、無機凝集槽15、高分子凝集槽16、沈殿槽18を備える。
【0049】
図3に示すフッ化カルシウム回収装置2は、カルシウム剤添加ライン20、無機凝集剤添加ライン21、高分子凝集剤添加ライン22を備えている。カルシウム剤添加ライン20は反応槽14に接続され、無機凝集剤添加ライン21は、無機凝集槽15に接続され、高分子凝集剤添加ライン22は高分子凝集槽16に接続されている。
【0050】
図3に示すフッ化カルシウム回収装置2は、送液ライン24a~24gを備えている。送液ライン24aは、膜ろ過モジュール12の入口に接続されている。送液ライン24bは、混合槽13の第1入口に接続されている。また、送液ライン24cの一端は、膜ろ過モジュール12の透過水出口に接続され、他端は混合槽13の第2入口に接続されている。送液ライン24dの一端は混合槽13の出口に接続され、他端は反応槽14の入口に接続されている。送液ライン24dにはポンプ32が設置されている。送液ライン24eの一端は反応槽14の出口に接続され、他端は無機凝集槽15の入口に接続されている。送液ライン24fの一端は、無機凝集槽15の出口に接続され、他端は高分子凝集槽16の入口に接続されている。送液ライン24gの一端は、高分子凝集槽16の出口に接続され、他端は沈殿槽18の入口に接続されている。
【0051】
図3に示すフッ化カルシウム回収装置2は、排出ライン26a~26b、汚泥回収ライン28を備えている。排出ライン26aの一端は、膜ろ過モジュール12の濃縮水出口に接続されている。排出ライン26bの一端は沈殿槽18の処理水出口に接続されている。汚泥回収ライン28の一端は、沈殿槽18の汚泥出口に接続されている。
【0052】
図3に示すフッ化カルシウム回収装置2は、pH調整装置30を備えている。pH調整装置30は、前述したように、フッ素含有水のpHが予め設定したpH(又は予め設定したpHの範囲内)となるように、所定量のpH調整剤をフッ素含有水に供給するように構成されている。また、例えば、膜ろ過モジュール12の入口近傍にpHセンサを設置し、pH調整装置30は、pHセンサにより測定されたフッ素含有水のpH値が、予め設定したpH(又は予め設定したpHの範囲内)となるように、pH調整剤をフッ素含有水に供給するように構成されてもよい。
【0053】
図3に示すフッ化カルシウム回収装置2の動作の一例について説明する。
【0054】
図3に示すフッ化カルシウム回収装置2では、複数の排水系統から排出された複数のフッ素含有水を合わせて処理する。具体的には、第1フッ素含有水は、送液ライン24aを通り、フッ化物イオンの阻止率が75%以下となるように、pH調整装置30からpH調整剤が添加され、膜ろ過モジュール12で膜ろ過処理される。膜ろ過モジュール12から排出される透過水は、送液ライン24cを通り、混合槽13に供給される。また、第1フッ素含有水とは別の排水系統から排出され、第1フッ素含有水より不純物濃度が高い第2フッ素含有水が、送液ライン24bを通り混合槽13に供給される。不純物濃度は、一価イオンおよび多価イオン、有機物、シリカ等の濃度であるが、好適にはカルシウム剤と難溶性不純物を生成する物質の濃度が高い第2フッ素含有水である。
【0055】
膜ろ過モジュール12に不純物濃度の低い第1フッ素含有水を供給することにより、膜ろ過モジュール12の負荷が抑えられ、長い時間の膜ろ過処理が可能となる。反対に、膜ろ過モジュール12に不純物濃度の高い第2フッ素含有水を供給してしまうと、膜の目詰まり等が起こり易く、膜ろ過処理ができる時間が短くなる虞がある。
【0056】
第2フッ素含有水のフッ化物イオン濃度は、第1フッ素含有水のフッ化物イオン濃度より高くても低くてもよい。
【0057】
混合槽13内の膜ろ過モジュール12の透過水と第2フッ素含有水とを含む混合液は、送液ライン24dを通って、反応槽14に供給される。反応槽14、無機凝集槽15、高分子凝集槽16及び沈殿槽18での反応は前述の通りであり省略する。なお、無機凝集槽15に供給される無機凝集剤の添加量は、フッ化カルシウム含有汚泥を有価物として回収するために、300ppm以下であることが好ましい。
【0058】
そして、
図3に示すフッ化カルシウム回収装置2によっても、第1フッ素含有水に含有される多価イオンをRO膜で阻止することができるため、フッ化カルシウム純度の高いフッ化カルシウム含有汚泥が得られ、当該汚泥を有価物として回収することができる。
【0059】
図4は、本実施形態に係るフッ化カルシウム回収装置の他の一例を示す模式図である。
図4に示すフッ化カルシウム回収装置3において、
図3に示すフッ化カルシウム回収装置2と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4に示すフッ化カルシウム回収装置3のように、膜ろ過モジュール12から排出される透過水を直接反応槽14に供給すると共に、原水槽10に貯留された第2フッ素含有水を反応槽14に供給してもよい。
【0060】
図5は、本実施形態に係るフッ化カルシウム回収装置の他の一例を示す模式図である。
図5に示すフッ化カルシウム回収装置4において、
図1に示すフッ化カルシウム回収装置1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図5に示すフッ化カルシウム回収装置4は、沈殿槽18の後段に配置される、追加反応槽40、追加無機凝集槽42、追加高分子凝集槽44、追加沈殿槽46を備える。
【0061】
図5に示すフッ化カルシウム回収装置4は、カルシウム剤添加ライン48、無機凝集剤添加ライン50、高分子凝集剤添加ライン52を備えている。カルシウム剤添加ライン48は追加反応槽40に接続され、無機凝集剤添加ライン50は、追加無機凝集槽42に接続され、高分子凝集剤添加ライン52は追加高分子凝集槽44に接続されている。
【0062】
図5に示すフッ化カルシウム回収装置4は、送液ライン24f~24iを備えている。送液ライン24fの一端は沈殿槽18の処理水出口に接続され、他端は追加反応槽40の入口に接続されている。送液ライン24gの一端は追加反応槽40の出口に接続され、他端は追加無機凝集槽42の入口に接続されている。送液ライン24hの一端は、追加無機凝集槽42の出口に接続され、他端は追加高分子凝集槽44の入口に接続されている。送液ライン24iの一端は、追加高分子凝集槽44の出口に接続され、他端は追加沈殿槽46の入口に接続されている。なお、
図5に示すフッ化カルシウム回収装置4において、膜ろ過モジュール12に接続されている排出ライン26bの他端は、追加反応槽40の入口に接続されていてもよい。
【0063】
図5に示すフッ化カルシウム回収装置4は、汚泥排出ライン54を備えている。汚泥排出ライン54は追加沈殿槽46の汚泥出口に接続されている。
【0064】
沈殿槽18から排出される処理水(上澄み水)に、フッ化カルシウムの微小粒子が含まれる場合、沈殿槽18の後段に、追加反応槽40、追加凝集槽(追加無機凝集槽42及び追加高分子凝集槽44のうちの少なくともいずれか一方)、及び追加沈殿槽46を設けることにより、フッ化カルシウムの微小粒子をフロック化させ、汚泥として除去できる。したがって、追加沈殿槽46からフッ化物イオン濃度の低い処理水(上澄み水)を排出できる。また、膜ろ過モジュール12から排出された濃縮水を排出ライン26bから追加反応槽40及び追加凝集槽に供給することで、濃縮水中の不純物をフロック化することができるため、追加沈殿槽46で汚泥として除去することができる。
【0065】
図6は、本実施形態に係るフッ化カルシウム回収装置の他の一例を示す模式図である。
図6に示すフッ化カルシウム回収装置5において、
図5に示すフッ化カルシウム回収装置4と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図6に示すフッ化カルシウム回収装置5は、晶析装置60を備えている。また、送液ライン24j~24kを備えており、送液ライン24jは、晶析装置60の排水入口に接続され、また、送液ライン24kの一端は、晶析装置60の処理水出口に接続され、他端は、反応槽14の入口に接続されている。
【0066】
第1フッ素含有水は、膜ろ過モジュール12に供給され、膜ろ過モジュール12から排出される透過水が、送液ライン24cを通り、反応槽14に供給される。また、第1フッ素含有水とは別の排水系統から排出された第2フッ素含有水が、送液ライン24jから晶析装置60に供給され、晶析法により処理される。具体的には、第2フッ素含有水とカルシウム剤と任意の酸とが撹拌されて、フッ化カルシウムを含む結晶が生成される。ここで、晶析装置60に供給される第2フッ素含有水は、第1フッ素含有水よりフッ化物イオン濃度が高いフッ素含有水とすることが好ましい。これにより、フッ化物イオン濃度が高いフッ素含有水を晶析装置により処理してフッ化カルシウム結晶を回収する一方で、回収しきれずに晶析装置から排出されるフッ化カルシウム純度の高い結晶粒子を反応槽14に供給することができるため、沈殿槽18により回収されるフッ化カルシウム含有汚泥のフッ化カルシウム純度をより高めることができる。
【0067】
本実施形態の処理対象であるフッ素含有排水は、例えば、半導体工場排水等である。半導体工場排水には、例えば、除害排水(有害ガスを含有する排水)、HF系排水等がある。
【実施例1】
【0068】
以下、実施例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0069】
<実験例>
pHが3~9であって、表1に示す水質のフッ素含有水をRO膜に供給し、表2に示す運転条件で処理を行った。
図2は、実験例のフッ素含有水のpHに対するRO膜によるフッ化物イオンの阻止率の結果を示す図である。
【0070】
【0071】
【0072】
図2に示すように、フッ素含有水のpHが低くなるほど、RO膜によるフッ化物イオンの阻止率が低下する。フッ化物イオンは、HFとして存在している分はRO膜でほとんど阻止されず、フッ化物イオンとして解離している大部分が主に荷電の反発によってRO膜で阻止される。理論上、純水中にフッ化物イオンのみが存在している場合は、pH3.7以下でフッ化物イオンの阻止率が75%以下となるが、共存のイオン類が存在する実排水においては、pH5.0付近でフッ化物イオン阻止率が75%以下となる条件があることが分かった。
【0073】
(実施例)
図3に示すフッ化カルシウム回収装置を用いて、以下の条件で、フッ素含有水からフッ化カルシウム汚泥を回収した。
【0074】
<膜ろ過モジュールに供給する第1フッ素含有水>
・フッ化物イオン濃度:1640mg/L
・不純物濃度:
SO4
2-:10mg/L
PO4
3-:1mg/L
TOC:20mg/L
Feイオン:0.2mg/L
Alイオン:0.1mg/L
イオン状SiO2:100mg/L
・膜ろ過モジュールに供給する際のpH:3.5
<混合槽に直接供給する第2フッ素含含有水>
・フッ化物イオン濃度:800mg/L
・不純物濃度:
SO4
2-:2000mg/L
PO4
3-:30mg/L
TOC:10mg/L
Feイオン:0.5mg/L
Alイオン:0.4mg/L
イオン状SiO2:40mg/L
・水量:30m3/h
<膜ろ過処理の条件>
・ろ過膜:RO膜(オルガノ株式会社製OFR-650HJ8)
・流速:0.65m/d
・供給圧力:0.84MPa
・濃縮水圧力:0.72MPa
・透過水圧力:0.10MPa
・膜間差圧:0.68MPa
・透過水量:25m3/h
・濃縮水量:15m3/h
・フッ化物イオンの阻止率:40%
【0075】
<反応槽>
カルシウム剤:水酸化カルシウム
カルシウム剤添加量:1200mg-Ca/L
<無機凝集槽>
無機凝集剤:ポリ塩化アルミニウム
無機凝集剤添加量:200mg/L
<高分子凝集槽>
高分子凝集剤:オルガノ株式会社製オルフロックON-1H
高分子凝集剤添加量:2mg/L
【0076】
沈殿槽から回収されたフッ化カルシウム含有汚泥のフッ化カルシウム純度は90%であり、有価物として回収できることが確認された。
【0077】
(比較例)
膜ろ過モジュールによる膜ろ過処理を実施しないこと、第2フッ素含有水のみを使用したこと、以外は実施例1と同様に試験した。その結果、沈殿槽から回収されたフッ化カルシウム汚泥のフッ化カルシウム純度は80%であり、実施例より低い値となった。
【符号の説明】
【0078】
1~5 フッ化カルシウム回収装置、10 原水槽、12 膜ろ過モジュール、13 混合槽、14 反応槽、15 無機凝集槽、16 高分子凝集槽、18 沈殿槽、20,48 カルシウム剤添加ライン、21,50 無機凝集剤添加ライン、22,52 高分子凝集剤添加ライン、24a~24k 送液ライン、26a~26b 排出ライン、28汚泥回収ライン、30 pH調整装置、32 ポンプ、40 追加反応槽、42 追加無機凝集槽、44 追加高分子凝集槽、46 追加沈殿槽、54 汚泥排出ライン、60 晶析装置。