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特許7422574感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20240119BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240119BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
H01H36/00 J
G06F3/041 600
G06F3/044 140
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020050117
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021150208
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 亮
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-004136(JP,A)
【文献】国際公開第2015/041268(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面を有する可撓性の操作パネルの前記操作面とは反対側に、センサシートと、支持部材とが積層され、
前記センサシートは、基材シートと、前記基材シートに設けられた感圧センサと、を備え、
前記感圧センサは、互いの面を対向させて配置された第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置された弾性層と、を備え、
前記支持部材の前記操作面側から見たときに前記感圧センサが位置する部分には、厚さ方向に貫通する空隙部が形成され、
前記支持部材と前記センサシートとが、前記空隙部内に前記感圧センサの前記弾性層と前記第2の電極が収まるように積層されている、感圧タッチセンサモジュール。
【請求項2】
前記センサシートがさらにタッチセンサを備え、
前記タッチセンサは、前記基材シートに設けられた第3の電極を備え、前記第3の電極に導体が接触又は近接することによる前記第3の電極の静電容量の変化から、前記第3の電極への導体の接触又は近接を検知する、請求項1に記載の感圧タッチセンサモジュール。
【請求項3】
前記操作面側から見たときに、前記タッチセンサが前記感圧センサとは異なる位置に設けられている、請求項2に記載の感圧タッチセンサモジュール。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の感圧タッチセンサモジュールと、制御基板と、筐体と、を備え、
前記感圧センサが、前記操作パネルと前記制御基板又は前記筐体とで挟持されている、感圧タッチセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧タッチセンサモジュール及び感圧タッチセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用の電子機器等の様々な分野において、操作面の操作を検知するモジュールとして、操作面への指の接触や近接、操作面の押圧を静電容量の変化によって検知する感圧タッチセンサモジュールが提案されている。感圧センサとしては、例えば、弾性体が2つの電極で挟まれ、操作面の押圧によって弾性体が潰されて、電極間の距離が変化することで生じる静電容量の変化から押圧を検知するものが知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
感圧タッチセンサモジュールでは、例えば、タッチセンサや感圧センサが基材シートに設けられたセンサシートが、加飾された操作パネルの裏面に貼り合わされる。例えば、操作パネルと制御基板又は筐体とで感圧センサを挟む構成とされる。一般に、操作パネルと感圧センサとの間や、制御基板又は筐体と感圧センサとの間には所定の厚さの押圧部材(押し子)が設けられる。
【0004】
感圧センサの感度を高めるには、操作面の押圧が十分に感圧センサに伝わる必要があり、操作パネルの撓みや、モジュールの組み付け公差等を考慮した高精度の設計が要求される。また、組み付けにも高い精度が要求され、製造難易度も高くなる。タッチセンサと感圧センサを組み合わせる場合には感度調整が特に困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-114208号公報
【文献】特許第5197473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、設計が容易で簡便に製造でき、操作パネルの押圧の感度が高い感圧タッチセンサモジュール、及び前記感圧タッチセンサモジュールを備えた感圧タッチセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成を有する。
[1]操作面を有する可撓性の操作パネルの前記操作面とは反対側に、センサシートと、支持部材とが積層され、前記センサシートは、基材シートと、前記基材シートに設けられた感圧センサと、を備え、前記感圧センサは、互いの面を対向させて配置された第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置された弾性層と、を備え、前記支持部材の前記操作面側から見たときに前記感圧センサが位置する部分には、厚さ方向に貫通する空隙部が形成され、前記支持部材と前記センサシートとが、前記空隙部内に前記感圧センサが収まるように積層されている、感圧タッチセンサモジュール。
[2]前記センサシートがさらにタッチセンサを備え、前記タッチセンサは、前記基材シートに設けられた第3の電極を備え、前記第3の電極に導体が接触又は近接することによる前記第3の電極の静電容量の変化から、前記第3の電極への導体の接触又は近接を検知する、[1]に記載の感圧タッチセンサモジュール。
[3]前記操作面側から見たときに、前記タッチセンサが前記感圧センサとは異なる位置に設けられている、[2]に記載の感圧タッチセンサモジュール。
[4][1]~[3]のいずれかに記載の感圧タッチセンサモジュールと、制御基板と、筐体と、を備え、前記感圧センサが、前記操作パネルと前記制御基板又は前記筐体とで挟持されている、感圧タッチセンサ装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、設計が容易で簡便に製造でき、操作パネルの押圧の感度が高い感圧タッチセンサモジュール、及び前記感圧タッチセンサモジュールを備えた感圧タッチセンサ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態例の感圧タッチセンサモジュールを示した断面図である。
図2図1における弾性層を含む積層体の取り付け前の状態を示した平面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】実施形態例の感圧タッチセンサ装置を示した断面図である。
図5】他の実施形態例の感圧タッチセンサ装置を示した断面図である。
図6】他の実施形態例の感圧タッチセンサモジュールを示した断面図である。
図7】他の実施形態例の感圧タッチセンサ装置を示した断面図である。
図8】他の実施形態例の感圧タッチセンサモジュールを示した断面図である。
図9】他の実施形態例の感圧タッチセンサモジュールを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[感圧タッチセンサモジュール]
本発明の感圧タッチセンサモジュールは、操作面の押圧を検知する静電容量式の感圧タッチセンサモジュールである。以下、本発明の感圧タッチセンサモジュールの一例を示して説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0011】
本実施形態の感圧タッチセンサモジュール1(以下、単に「モジュール1」とも記す。)は、図1に示すように、操作パネル10と、センサシート20と、支持部材50と、を備えている。モジュール1では、操作パネル10の操作面10aとは反対側に、センサシート20と支持部材50とがこの順に積層されている。
【0012】
操作パネル10は、可撓性を有するパネルである。具体的には、操作パネル10の操作面10aを指で押圧したときに、押圧した部分が局所的に撓んで押し込まれるようなパネルである。このような操作パネル10としては、例えば、樹脂シートからなるパネルが挙げられる。
【0013】
樹脂シートを形成する材料は、透明材料であってもよく、不透明材料であってもよい。ここで、「透明」とは、JIS K7136に従って測定した光線透過率が50%以上であることを意味する。
樹脂シートを形成する材料としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース等の樹脂や、シリコーンゴム等のエラストマーが挙げられる。樹脂シートを形成する材料は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
【0014】
操作パネル10は、単層構成であってもよく、複層構成であってもよい。操作パネル10には、装飾、文字、図形、記号、絵柄、これらの組み合わせ、あるいはこれらと色彩とを組み合わせた任意の装飾を施してもよい。加飾された操作パネル10としては、例えば、樹脂シート上に印刷等によって加飾層が設けられたパネル、部分的又は全体的に着色された樹脂シートからなるパネル等が挙げられる。
【0015】
操作パネル10の平均厚さは、0.1~5mmが好ましく、0.5~1mmがより好ましい。操作パネル10の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、十分な機械的強度が得られやすい。操作パネル10の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、操作パネル10への押圧力が後述の感圧センサ26に伝わりやすく、押圧の検知感度が向上する。
【0016】
操作パネル10の曲げ剛性D1は、256未満が好ましく、32以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、16以下が特に好ましく、10以下が最も好ましい。操作パネル10の曲げ剛性D1が前記上限値以下であれば、操作パネル10への押圧力が後述の感圧センサ26に伝わりやすく、押圧の検知感度が向上する。
曲げ剛性D1の下限値は特に限定されず、好ましくは0.1以上である。操作パネル10の曲げ剛性D1が前記範囲の下限値以上であれば、十分な機械的強度が得られやすい。
【0017】
操作パネル10の曲げ剛性D1は、下記式(1)から算出される。
D1=(E1)×(h1)÷[12×{1-(ν1)}] ・・・(1)
ただし、式(1)中、E1は操作パネル10の曲げ弾性率(単位:N/mm)であり、h1は操作パネル10の平均厚さ(単位:mm)であり、ν1は操作パネル10のポアソン比である。操作パネル10の曲げ弾性率(ヤング率)E1は、JIS K7171:2008(ISO178:2001)の方法で、温度20℃の条件で測定される。
【0018】
センサシート20は、第1基材シート22と、保護層24と、第1の電極28と、第2の電極30と、第2基材シート32と、弾性層34と、を備えている。
第1基材シート22の第1の面22aには第1の電極28が設けられ、それを覆うように保護層24が積層されている。第1基材シート22の第2の面22bは、この例では操作パネル10側に向けられている。
【0019】
第1の電極28と第2の電極30は、それらの間に弾性層34を配置した状態で、互いの面が対向するように設けられている。第2の電極30の弾性層34が配置される側と反対側には第2基材シート32が設けられている。操作パネル10の操作面10a側から見たときに第1の電極28と第2の電極30は重なっている。第1の電極28と第2の電極30の間に弾性層34が配置されることで感圧センサ26が形成されている。
【0020】
このように、センサシート20は、第1基材シート22と、第1基材シート22に設けられた感圧センサ26とを備えている。モジュール1では、操作パネル10におけるボタン部分に感圧センサ26が直接配置される。操作パネル10が可撓性を有しているため、操作面10aのボタン部分を押圧するとその部分のみが押し込まれるが、ボタン部分に配置された感圧センサ26によってボタン部分の押圧を検知できる。操作パネル10のボタン部分以外の感圧センサ26が配置されていない部分を押圧しても、操作パネル10のボタン部分は押し込まれないためその押圧は検知されない。
【0021】
第1基材シート22の平面視形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。第1基材シート22の寸法も特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。
基材シートとしては、透明な樹脂製の絶縁フィルムを使用できる。「絶縁」とは、電気抵抗値が1MΩ以上、好ましくは10MΩ以上であることを意味する。
【0022】
第1基材シート22及び第2基材シート32を形成する材料としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース等が挙げられる。基材シートを形成する材料は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0023】
第1基材シート22及び第2基材シート32の平均厚さは、10~250μmが好ましく、25~188μmがより好ましい。基材シートの平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な強度及び剛性を確保しやすい。基材シートの平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、センサシートを容易に薄型化できる。
【0024】
保護層24は、第1基材シート22の第1の面22a側に積層されている。保護層24の形状及び寸法は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。
保護層24としては、特に限定されず、例えば、基材シートで挙げたものと同じ透明な樹脂製の絶縁フィルムを例示できる。
【0025】
保護層24の平均厚さは、10~250μmが好ましく、10~188μmがより好ましい。保護層24の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な強度及び剛性を確保しやすい。保護層24の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、センサシートを容易に薄型化できる。
【0026】
第1の電極28及び第2の電極30は、それぞれ配線によって図示しない接続端子部と接続されており、さらに接続端子部を介して静電容量検知部と電気的に接続される。このように、第1の電極28及び第2の電極30は静電容量検知部と電気的に接続できるようになっている。
【0027】
第1の電極28及び第2の電極30の平面視形状は、適宜設定でき、例えば、矩形が挙げられる。第1の電極28及び第2の電極30の寸法も特に限定されず、例えば、縦10mm×横10mm程度とすることができる。第1の電極28及び第2の電極30が大きいほど、押圧力の検知面積が拡大する。
【0028】
第2の電極30の大きさは、操作面に近い側の第1の電極28よりも小さくしてもよい。これにより、操作面10a側から見たときに、第2の電極30が操作面10aに近い側の第1の電極28からはみ出しにくくなるため、第2の電極30での誤検知を抑制しやすくなる。
【0029】
第1の電極28は、接地されてもよい。これにより、感圧センサ26に指が接近しても、接地した第1の電極28がシールドとなって静電容量が変化することを抑制できる。これにより、第1の電極28及び第2の電極30の静電容量の変化から、操作パネル10の操作面10aに触れようとする指が感圧センサ26に近づくことによる影響を排除し、押圧力の影響による変化に限定できるため、押圧の誤検知をさらに抑制できる。
【0030】
第1の電極28及び第2の電極30は、公知の態様の感圧電極を採用でき、自己容量方式であってもよく、相互容量方式であってもよい。
第1の電極28及び第2の電極30の態様としては、自己容量方式の場合、第1の電極28及び第2の電極30がそれぞれ独立に静電容量の変化を検知する検知電極である態様、いずれか一方の電極が検知電極であり、他方の電極がGND電極(接地されたベタ電極)である態様が挙げられる。また、相互容量方式の場合、第1の電極28及び第2の電極30をいずれもベタ電極とし、それらのいずれか一方をTx電極、他方をRx電極にする態様、いずれか一方をGND電極とし、他方をTx電極とRx電極とが櫛歯状に配置された櫛歯電極にする態様が挙げられる。
【0031】
第1の電極28及び第2の電極30の態様としては、第1の電極28及び第2の電極30がそれぞれ独立に静電容量の変化を検知する検知電極である自己容量方式が好ましい。この態様は、第1の電極28と第2の電極30からのそれぞれの信号に基づいて、導体の接触又は近接と押圧とを区別して検知することが容易である。
【0032】
第1の電極28及び第2の電極30は、特に限定されないが、後述のように操作パネル10の感圧センサ26が配置されているボタン部分を照光する場合に効率良く照光できる点から、透明電極とすることが好ましい。透明電極とは、JIS K7361に従って測定した光線透過率が50%以上である電極を意味する。第1の電極28及び第2の電極30としては、例えば透明導電膜を使用できる。ここで、「導電」とは、電気抵抗値が1MΩ未満であることを意味する。
【0033】
透明導電膜としては、例えば、導電性高分子(インジウムドープ酸化錫(ITO)等)を含む膜、導電性ナノワイヤー(銀ナノワイヤー、金ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等)を含む膜又はメッシュ、金属粒子(銀粒子、銅粒子、金粒子等)又は導電性金属酸化物粒子(ITO粒子等)を含む膜、カーボン(カーボンブラック、グラファイト等)を含む膜、金属蒸着膜、金属メッシュ等が挙げられる。
【0034】
第1の電極28の平均厚さは、0.01~25μmが好ましく、0.1~15μmがより好ましい。
第2の電極30の厚さは、材料に応じて適宜設定すればよい。導電性高分子を含む電極の平均厚さは、0.1~5.0μmが好ましく、0.1~2.0μmがより好ましい。
導電性ナノワイヤーを含む電極の平均厚さは、20~1000nmが好ましく、50~300nmがより好ましい。
金属粒子、ITO等の導電性金属酸化物粒子、又はカーボンを含む電極の平均厚さは、0.01~25μmが好ましく、0.1~15μmがより好ましい。
金属蒸着膜からなる電極の平均厚さは、0.01~1.0μmが好ましく、0.05~0.3μmがより好ましい。
銀ペースト又はカーボンペーストからなる電極の平均厚さは、1~25μmが好ましい。
電極の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、ピンホールによる断線を抑制しやすい。電極の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、薄型化が容易になる。
【0035】
電極の厚さを測定する方法としては、厚さのレンジによって異なる。例えば、μmオーダーの膜厚の場合には、マイクロメーター、デジマティックインジケーターやレーザー変位計測によって厚さを測定できる。また、μmオーダーよりも薄い膜厚の場合には、走査型電子顕微鏡を用いた断面観察や蛍光X線分析装置によって厚さを測定できる。
平均厚さは、電極において平面視の中心付近で測定した厚さの平均値である。
【0036】
第1基材シート22の面方向における第1の電極28及び第2の電極30の配置は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。第1の電極28及び第2の電極30の数も、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。
【0037】
第1の電極28及び第2の電極30に接続する配線の材料は、例えば、第1の電極28及び第2の電極30の材料と同じものを例示でき、銀ペーストが好ましい。配線の平均厚さの好ましい範囲は、第1の電極28及び第2の電極30の平均厚さの好ましい範囲と同様である。
【0038】
弾性層34は、弾性体を含む層であり、押圧によって圧縮変形する。感圧センサ26が厚さ方向に押圧されたときには、弾性層34が厚さ方向に圧縮変形し、第1の電極28と第2の電極30との距離が近づくことで静電容量が変化する。この静電容量の変化を検知することで操作面10aの押圧が認識される。
【0039】
この例の弾性層34は、図2及び図3に示すように、一対の第1シート部34a及び第2シート部34bと、それら第1シート部34aと第2シート部34bに挟持された複数の柱部34cとを備えるゴム状弾性体である。第1シート部34a、第2シート部34b及び複数の柱部34cは一体化されている。弾性層34は、各々の柱部34cの周囲の部分に空間部34dを有している。
第1シート部34aと第2シート部34bの間における柱部34c以外の空間部34dには、スポンジ等の弾性部材を配置してもよい。
【0040】
第1シート部34a、第2シート部34b及び複数の柱部34cを形成する材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。弾性層34のうち、弾性体からなる必要があるのは、圧縮変形する柱部34cのみである。第1シート部34a及び第2シート部34bは、弾性材料によって形成されていてもよく、非弾性の硬質材料によって形成されていてもよい。硬質材料としては、例えば、エラストマー以外の樹脂、ガラス、金属、セラミックス、木材等が挙げられる。
【0041】
弾性層34の弾性体を形成する弾性材料としては、押圧による厚さ方向の圧縮変形の程度が適当であり、押し心地が良好であるものを使用することが好ましい。弾性材料としては、例えば、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム等の熱硬化性エラストマー;ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系又はフッ素系等の熱可塑性エラストマー;或いはそれらの複合物等が挙げられる。これらの中でも、後述のように操作パネル10の感圧センサ26が配置されているボタン部分を照光する場合に光を通しやすい点、繰り返しの押圧に対する寸法変化が小さい、即ち圧縮永久歪が小さい点から、シリコーンゴムが好ましい。前記弾性材料は、内部に気泡を含む発泡材料でもよく、実質的な気泡を含まない非発泡材料でもよい。
【0042】
弾性層34を形成する弾性体の厚さ(高さ)を1cmとしてJIS K 6253に従って測定した際のタイプAデュロメータ硬さは、85以下が好ましい。前記タイプAデュロメータ硬さが85以下であれば、押圧された際に容易に弾性変形する。ただし、過度に軟らかいと、弾性変形後の回復が遅くなるため、前記タイプAデュロメータ硬さは10以上が好ましい。
【0043】
第1シート部34aの平均厚さは、5~100μmが好ましく、10~100μmがより好ましい。第1シート部34aの平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、柱部30cとの接合強度を強くできる。第1シート部34aの平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、操作面を押圧していない状態における第1の電極28と第2の電極30との距離を近づけやすく、押圧の検知精度をより高くすることができる。
第2シート部34bの厚さの好ましい範囲は、第1シート部34aの厚さの好ましい範囲と同じである。第1シート部34aの厚さと第2シート部34bの厚さは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0044】
柱部34cの形状は、特に限定されず、例えば、円柱状、円錐台状、角柱状等の柱状が挙げられる。なかでも、耐久性に優れる点から、円柱状、円錐台状が好ましい。複数の柱部34cの形状は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0045】
単一の柱部34cの高さ方向に垂直な方向の平均断面積は、特に限定されず、例えば、0.005~4mmが挙げられ、0.02~0.8mmが好ましい。前記柱部34cの平均断面積が前記範囲の下限値以上であれば、押圧力が加わった際に高さ方向に圧縮変形することが容易になり、柱部30cが圧縮せずに屈曲することを防止しやすい。柱部34cの平均断面積が前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の適度な押圧力で容易に圧縮変形させることができる。
ここで、柱部の断面積は、柱部の1/2の高さの位置で高さ方向に直交する断面の面積を意味する。柱部の断面積は、光学顕微鏡測定機等の公知の微細構造観察手段により測定できる。
【0046】
弾性層34が有する全ての柱部34cの合計の断面積は、弾性材料の物性と、設定する押し心地に応じて適宜設定できる。第1シート部34a又は第2シート部34bの面積を100%としたとき、前記合計の断面積は、0.1~30%が好ましく、0.5~20%がより好ましく、1~20%がさらに好ましい。前記合計の断面積が前記範囲内であれば、指で押す程度の適度な押圧力で容易に圧縮変形させることができる。
具体的には、例えば、前記合計の断面積を1~100mmとすることができる。
【0047】
柱部34cの平均高さは、1~3000μmが好ましく、50~2000μmがより好ましく、200~1000μmがさらに好ましく、300~1000μmが特に好ましい。柱部34cの平均高さが前記範囲の上限値以下であれば、操作面を押圧していない状態における第1の電極28と第2の電極30との距離を近づけやすく、押圧力の検知精度をより高くできる。また、操作面を押圧した際に操作面がへこむ感覚が抑制されやすく、通常のタッチパネルのように硬い面に触れているのと同じ感覚で操作しやすくなる。
ここで、柱部34cの高さには、第1シート部34aの厚さ及び第2シート部34bの厚さは含まれない。柱部34cの高さは、光学顕微鏡測定機等の公知の微細構造観察手段により測定できる。
【0048】
柱部34cは、第1シート部34a及び第2シート部34bと接続され、弾性層34の厚さを支える部材である。弾性層34の厚さが部位によらず同じであれば、複数の柱部34cの高さは実質的に同じである。
【0049】
この例の複数の柱部34cの平面視での配置パターンは、矩形状の第1シート部34a及び第2シート部34bの平面方向において、縦方向と横方向に5×5の25本の柱部34cが間隔をあけて整列したパターンである。なお、複数の柱部34cの配置パターンは、このパターンには限定されず、例えば、複数の柱部34cが千鳥状に配列したパターンであってもよい。
【0050】
弾性層34が有する柱部34cの個数は、複数でもよく、1個でもよい。例えば、第1シート部34a及び第2シート部34bの平面方向の中央領域に1個の平面視矩形の柱部34cが設けられた態様であってもよい。この態様の場合、柱部34cを形成する弾性体は、内部に気泡を含む発泡体であることが好ましい。
【0051】
弾性層34が有する柱部34cの平均個数は、1~1000個が好ましく、3~100個がより好ましく、4~50個がさらに好ましい。前記平均個数が前記範囲の下限値以上であれば、操作面を指で押す程度の適度な押圧力で弾性層34を圧縮変形させることができる。前記平均個数が前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の押圧の検出精度を向上させることができる。
【0052】
隣り合う柱部34c同士の平均ピッチは、0.1~6mmが好ましく、0.5~4mmがより好ましい。前記平均ピッチが前記範囲の下限値以上であれば、操作面を指で押す程度の適度な押圧力で弾性層34を圧縮変形させることができる。前記平均ピッチが前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の押圧の検出精度を向上させることができる。
【0053】
この例の弾性層34は、図1に示すように、第1基材フィルム36と第2基材フィルム38に挟持された状態で、第1の電極28と第2の電極30の間に配置され、接着層40,42を介して保護層24及び第2の電極30と接着されている。第1の電極28と第2の電極30の間に配置する前においては、図3に示すように、接着層40,42の表面に剥離紙44,46が積層されている。
【0054】
接着層40,42は、それぞれ第1基材フィルム36及び第2基材フィルム38の保護層24や第2の電極30との密着面の一部のみに設けられていてもよく、密着面の全面に設けられていてもよい。弾性層34に対する押圧力を面方向に均一化することが容易な点から、前記密着面の全体に接着層40,42が設けられていることが好ましい。
【0055】
接着層40,42の材料としては、それぞれ独立に、例えば、公知の硬化型接着剤(接着前は液状の接着剤)、又は粘着剤(接着前はゲル状の感圧性接着剤)が挙げられる。また、各接着層は、基材層の両面に接着剤又は粘着剤が配置された基材型接着層であってもよい。基材型接着層としては、例えば公知の両面テープが挙げられる。
前記接着剤、粘着剤としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。前記硬化型接着剤は、硬化時に揮発する溶剤を含む溶剤型であってもよく、ホットメルト型であってもよい。
【0056】
接着層40,42の厚さとしては、それぞれ独立に、例えば1~75μmが挙げられる。前記硬化型接着剤を用いた接着層40,42の厚さは、1~20μmが好ましい。前記粘着剤を用いた接着層40,42の厚さは、10~75μmが好ましい。
【0057】
第1基材フィルム36及び第2基材フィルム38を形成する材料としては、絶縁性の樹脂材料を使用でき、それぞれ独立に、例えば、PET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ウレタン等が挙げられる。第1基材フィルム36及び第2基材フィルム38を形成する樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0058】
第1基材フィルム36及び第2基材フィルム38の平均厚さは、それぞれ独立に、例えば、10~200μmが挙げられる。前述の樹脂材料を用いる場合、その平均厚さは、10~200μmが好ましく、25~150μmがより好ましく、25~100μmがさらに好ましい。平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、弾性層34に対する押圧力を面方向に均一化することが容易である。平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、操作面に対する入力の検知精度を高めることができる。
【0059】
第1基材フィルム36及び第2基材フィルム38は、それぞれ弾性層34の第1シート部34aの外表面と第2シート部34bの外表面にそれぞれ接着されている。これらは不図示の接着層によって接着されていてもよく、公知の表面処理又は加熱処理によって直に接着されていてもよい。
第1基材フィルム36及び第2基材フィルム38の接着面には、接着力を向上させる目的で、物理的又は化学的な公知の表面処理が施されていてもよい。
【0060】
第1基材フィルム36及び第2基材フィルム38は、操作面に加えられた押圧力が弾性層34に均一に伝達されるようにするために、弾性層34に対する平滑な表面を有する。仮に、第1基材フィルム36及び第2基材フィルム38が存在しないと、第1の電極28や第2の電極30が設けられた部分の凹凸が弾性層34に対する押圧を不均一にすることがある。本実施形態では第1基材フィルム36及び第2基材フィルム38が備えられているため、第1の電極28や第2の電極30が設けられた部分の凹凸が弾性層34に対する押圧を不均一にする影響を低減できる。また、第1の電極28や第2の電極30が局所的に弾性層34の柱部34cからの応力を受けて損傷することが抑制される。
【0061】
センサシート20は、例えば、第1基材シート22の第2の面22b側に接着層21を設けることで、接着層21を介して操作パネル10の操作面10aとは反対側の面(裏面)に貼り付けることができる。この場合、センサシート20における接着層21を設ける部分は、センサシート20を操作パネル10に安定して貼り付けることができる範囲で適宜設定できる。
【0062】
接着層21を形成する材料としては、特に限定されず、例えば、接着層40,42で挙げた、接着剤、粘着剤と同じものを例示できる。なかでも、固定領域を容易に制御できる点から、両面テープが好ましい。
第1基材シート22の第2の面22b側に接着層21を設ける場合、操作パネルに貼り付ける前の状態においては接着層の上に剥離紙を貼り合わせる。剥離紙としては、特に限定されず、公知の剥離紙を使用できる。
【0063】
この例の支持部材50は、センサシート20の感圧センサ26側、すなわちセンサシート20の操作パネル10とは反対側に設けられている。支持部材50には、操作パネル10の操作面10a側から見たときに感圧センサ26が位置する部分に、厚さ方向に貫通する空隙部52が形成されている。そして、センサシート20と支持部材5とは、センサシート20の感圧センサ26が支持部材50の空隙部52内に収まるように積層されている。
【0064】
センサシート20の感圧センサ26側にこのような支持部材50を設け、空隙部52内に感圧センサ26を収める構成とすることで、感圧センサ26を挟持する操作パネル10と制御基板又は筐体との距離をシンプルな構成で容易に調節できる。そのため、モジュール1が備える感圧タッチセンサ装置の設計が容易であり、かつ簡便に製造できる。また、支持部材50を設けない場合に比較して、感圧センサ26が配置されたボタン部分とそれ以外の部分との段差を解消できる。そのため、操作パネル10が可撓性を有していても操作時の違和感を減らすことができる。
【0065】
この例では、支持部材50の厚さと感圧センサ26の空隙部52内に収まっている部分の厚さが同じになっている。すなわち、支持部材50の第1基材シート22とは反対側の面50aと、感圧センサ26の第1基材シート22とは反対側の面26aとは面一になっている。これにより、制御基板や筐体の凹凸の無い面にモジュール1を取り付けたときに、感圧センサ26を挟持する操作パネル10と制御基板又は筐体との距離を容易に調節でき、安定して押圧の検知感度を高くすることができる。
【0066】
なお、支持部材50の厚さと感圧センサ26の空隙部52内に収まっている部分の厚さは異なっていてもよい。すなわち、支持部材50の第1基材シート22とは反対側の面50aと、感圧センサ26の第1基材シート22とは反対側の面26aに段差があってもよい。例えば、制御基板や筐体のモジュール1を取り付ける面の感圧センサ26が配置される部分に凹部や凸部が存在する場合には、それに合わせて支持部材50の厚さと感圧センサ26の空隙部52内に収まっている部分の厚さの差を調節することができる。
【0067】
支持部材50の平面視形状及び寸法は、特に限定されず、第1基材シート22に応じて適宜設定できる。
空隙部52の平面視形状及び寸法は、特に限定されず、感圧センサ26が収まるように適宜設定すればよい。
【0068】
支持部材50としては、感圧センサ26を挟持する操作パネル10と制御基板又は筐体との距離を安定して制御しやすい点から、非弾性体であることが好ましい。すなわち、支持部材50は、ロックウェル硬度がHRR50以上の部材であることが好ましい。支持部材50のロックウェル硬度が前記下限値以上であれば、空隙部52を除く部分が撓まないように保持することができる。
【0069】
支持部材50を形成する材料としては、例えば、ポリカーボネート等が挙げられる。支持部材50を形成する材料は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0070】
支持部材50の平均厚さは、100~2000μmが好ましく、500~1000μmがより好ましい。支持部材50の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、弾性層34の厚みを一定以上確保出来る。支持部材50の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、モジュール1を薄く、軽くすることが出来る。
【0071】
モジュール1の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。
例えば印刷等によって電極材料でパターンを形成し、第1基材シート22に第1の電極28を形成し、第2基材シート32に第2の電極30を形成する。第1の電極28を形成した後、第1基材シート22の第1の面22a側に、接着剤等で保護層24を貼り合わせて積層する。
【0072】
公知の方法で第1基材フィルム36及び第2基材フィルム38に挟持された弾性層34を形成し、接着層42を介して第2基材フィルム38に第2の電極30及び第2基材シート32を貼り付ける。さらに、それらを保護層24における第1の電極28が設けられた部分に接着層40を介して貼り付け、センサシート20を製造する。センサシート20における第1基材シート22の第2の面22b側に両面テープを貼り付けるなどして接着層21を形成し、操作パネル10の操作面10aの反対側に貼り付ける。
【0073】
空隙部52を有する支持部材50を成形し、感圧センサ26が空隙部52内に収まるように、両面テープなどで支持部材50をセンサシート20の保護層12に貼り付ける。これにより、モジュール1が得られる。
【0074】
[感圧タッチセンサ装置]
本発明の感圧タッチセンサ装置は、本発明の感圧タッチセンサモジュールと、制御基板と、筐体と、を備える装置である。本発明の感圧タッチセンサ装置では、感圧センサが、操作パネルと制御基板又は筐体とで挟持される。以下、本発明の感圧タッチセンサ装置の一例として、モジュール1を備える感圧タッチセンサ装置100(以下、「センサ装置100」とも記す。)について、図4に基づいて説明する。
【0075】
センサ装置100は、モジュール1と、制御基板120と、筐体110と、を備えている。モジュール1は、支持部材50が両面テープなどによって筐体110に貼り付けられている。筐体110におけるモジュール1が配置された部分とは別の部分に制御基板120が配置されている。また、感圧センサ26の第1の電極28及び第2の電極30が、それぞれ配線によって接続端子部を介し、配線130によって制御基板120の静電容量検知部(IC)と電気的に接続されている。
【0076】
センサ装置100においては、センサシート20と支持部材50とが空隙部52に感圧センサ26が収まるように積層された状態で、感圧センサ26が操作パネル10と筐体110とによって挟持されている。これにより、感圧センサ26を挟持する操作パネル10と筐体110との距離がシンプルな構成で容易に調節できる。そのため、センサ装置100は設計が容易で、かつ簡便に製造でき、押圧の検知感度を安定して高くできる。また、モジュール1における感圧センサ26が配置されたボタン部分とそれ以外の部分との段差が解消されているため、操作時の違和感を減らすことができる。
【0077】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明の感圧タッチセンサ装置は、感圧センサが、操作パネルと制御基板とで挟持されているものであってもよい。具体的には、例えば、図5に例示した感圧タッチセンサ装置200(以下、「センサ装置200」とも記す。)であってもよい。図5における図4と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
【0078】
センサ装置200は、モジュール1の支持部材50が両面テープなどによって制御基板120に貼り付けられ、制御基板120のモジュール1と反対側が筐体110に取り付けられている以外は、センサ装置100と同様の態様である。センサ装置200も、感圧センサ26を挟持する操作パネル10と制御基板120との距離がシンプルな構成で容易に調節できるため、設計が容易で簡便に製造でき、押圧の検知感度を安定して高くできる。また、ボタン部分とそれ以外の部分との段差が解消されているため、操作時の違和感を減らすことができる。
【0079】
例えば、本発明の感圧タッチセンサモジュールは、支持部材がセンサシートの操作パネル側に積層されているものであってもよい。具体的には、例えば、図6に例示した感圧タッチセンサモジュール2(以下、「モジュール2」とも記す。)であってもよい。図6における図1と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
【0080】
モジュール2は、以下に示す構成以外はモジュール1と同様の態様である。モジュール2では、センサシート20と支持部材50とが空隙部52に感圧センサ26が収まるように積層された状態で、支持部材50がセンサシート20よりも操作パネル10側に位置するように接着層21を介して操作パネル10の裏側に貼り付けられている。モジュール2では、第1基材シート22に第2の電極30が設けられ、第2基材シート32に第1の電極28が設けられている。
【0081】
例えば、図7に示すように、モジュール2の第1基材シート22を筐体110に貼り付け、第1の電極28及び第2の電極30を配線130によって制御基板120の静電容量検知部(IC)と電気的に接続して感圧タッチセンサ装置300とすることができる。センサ装置300も、感圧センサ26を挟持する操作パネル10と筐体110との距離がシンプルな構成で容易に調節できるため、設計が容易で簡便に製造でき、押圧の検知感度を安定して高くできる。また、ボタン部分とそれ以外の部分との段差が解消されているため、操作時の違和感を減らすことができる。
【0082】
本発明の感圧タッチセンサモジュールは、センサシートが感圧センサに加えてさらにタッチセンサを備えていてもよい。タッチセンサは、センサシートの基材シートに設けられた第3の電極を備え、第3の電極に導体が接触又は近接することによる第3の電極の静電容量の変化から、第3の電極への導体の接触又は近接を検知するセンサである。センサシートがタッチセンサを備える場合、操作面側から見たときに、タッチセンサは感圧センサとは異なる位置に設けられていてもよく、同じ位置に設けられていてもよい。
【0083】
このような態様は、タッチセンサと感圧センサがどちらも同じ静電容量検出方式のため、同じICで同様に処理できるため合理的である。本発明の感圧タッチセンサモジュールは、感圧センサとタッチセンサとを組み合わせる場合でも、設計が容易で簡便に製造でき、押圧の検知感度を安定して高くできる。
【0084】
例えば、図8に例示した感圧タッチセンサモジュール3(以下、「モジュール3」とも記す。)であってもよい。図8における図1と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。モジュール3は、センサシート20の第1基材シート22に、感圧センサ26に加えて2つのタッチセンサ60A,60Bが設けられている以外は、モジュール1と同様の態様である。
【0085】
タッチセンサ60Aは、第1基材シート22の第2の面22bにおける、操作面10a側から見たときに感圧センサ26と重なる位置に設けられた第3の電極62Aを備えている。タッチセンサ60Bは、第1基材シート22の第1の面22aにおける、操作面10a側から見たときに感圧センサ26と異なる位置に設けられた第3の電極62Bを備えている。
【0086】
第3の電極の形状は、特に限定されず、例えば、矩形状が挙げられる。第3の電極の寸法も特に限定されず、例えば、縦10mm×横10mm程度とすることができる。
【0087】
第3の電極は、自己容量方式であってもよく、相互容量方式であってもよい。
自己容量方式の第3の電極の態様としては、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、矩形等のベタ電極や、ダイヤモンドパターン等が挙げられる。
相互容量方式の第3の電極の態様としては、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、矩形等のベタ電極や、櫛歯電極または、基材の一方の面に帯状の送信電極が形成され、他方の面に送信電極と直交する方向に延びる複数の帯状の受信電極が形成された田形電極パターン、ダイヤモンドパターン等が挙げられる。
【0088】
第3の電極の材質としては、第1の電極28及び第2の電極30と同様のものが挙げられ、透明導電膜が好ましい。
第3の電極の好ましい平均厚さは、第1の電極28及び第2の電極30の好ましい平均厚さと同じである。
第3の電極の数は、特に限定されない。第3の電極の数は、1個でもよく、2個以上でもよい。
【0089】
本発明の感圧タッチセンサモジュールは、支持部材の空隙部内に感圧センサとともに発光素子が設けられたものであってもよい。具体的には、例えば、図9に例示した感圧タッチセンサモジュール4(以下、「モジュール4」とも記す。)であってもよい。図9における図1と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
【0090】
モジュール4は、保護層24の第1基材シート22と反対側における弾性層34の横に発光素子70が設けられ、感圧センサ26とともに発光素子70が支持部材50の空隙部52内に収まっている以外は、モジュール1と同様の態様である。空隙部52内に感圧センサ26とともに発光素子70が配置されていることで、発光素子70から発せられた光が弾性層34の側面から弾性層34内に進入し、その一部が厚さ方向に拡散され、第1の電極28を通って操作パネル10へと向かう。これにより、操作パネル10における感圧センサ26が配置されたボタン部分の文字照光等が可能となる。
【0091】
また、発光素子70が支持部材50の空隙部52内に収まっていることで、発光素子70から発生られる光が周囲に拡散されにくくなり、感圧センサ26が配置されたボタン部分を効率良く照光することができる。さらに、発光素子70は弾性層34の横に配置されているため、操作パネル10における感圧センサ26が配置されているボタン部分を押圧しても、その力によって発光素子70がダメージを受けにくい。
【0092】
発光素子70としては、特に限定されず、例えば、発光ダイオード(LED)、有機ELを例示できる。発光素子70としては、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせてもよい。発光素子70の数は、特に限定されず、適宜設定できる。1つの空隙部52内に1つの発光素子70を配置してもよく、2つ以上の発光素子70を配置してもよい。
発光素子70は、例えば、低温はんだや導電接着剤によって、保護層24の第1基材シート22の反対側の面における弾性層34の横に実装できる。
【0093】
モジュール4では、弾性層34の弾性体を形成する弾性材料には、光拡散物質が含有されていることが好ましい。つまり、弾性層34は、発光素子70からの光を厚さ方向に導くライトガイド層を兼ねる層であってもよい。これにより、発光素子70から発せられ、弾性層34の側面側から弾性層34内に進入した光が拡散され、第1の電極28を通って操作パネル側へと導かれやすくなる。
【0094】
光拡散物質としては、例えば、酸化チタン、シリカ、シリカにコーティングを施したもの、シリカをポーラスにしたもの、シリカを中空にしたもの、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、ガラス、樹脂ビーズ(アクリル樹脂、スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等)を例示できる。弾性材料に含有される光拡散物質は、1種であってもよく、2種以上であってもよく、公知の方法で配合できる。
【0095】
本発明の感圧タッチセンサモジュールは、支持部材の空隙部内に感圧センサとともに振動子を配置し、操作パネルの感圧センサが配置されたボタン部分を押圧したときにボタン部分が振動するようにしてもよい。
【0096】
本発明の感圧タッチセンサモジュールにおいては、支持部材における空隙部の数は1つには限定されず、2つ以上であってもよい。支持部材の1つの空隙部内に収められる感圧センサの数は、1つには限定されず、2つ以上であってもよい。
また、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1~4…感圧タッチセンサモジュール、10…操作パネル、10a…操作面、20…センサシート、22…第1基材シート、24…保護層、26…感圧センサ、28…第1の電極、30…第2の電極、32…第2基材シート、34…弾性層、50…支持部材、52…空隙部、60A,60B…タッチセンサ、62A,62B…第3の電極、70…発光素子、100,200,300…感圧タッチセンサ装置、110…筐体、120…制御基板、130…配線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9