(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】ロードポート及び制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2020051712
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】391032358
【氏名又は名称】平田機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(72)【発明者】
【氏名】松下 洋一
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-192496(JP,A)
【文献】特開2004-006804(JP,A)
【文献】特開2018-170358(JP,A)
【文献】特開2017-139274(JP,A)
【文献】特開2010-118385(JP,A)
【文献】特開2010-098121(JP,A)
【文献】国際公開第2015/118782(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が収容される容器が載置されるドックプレートと、
前記基板の出し入れが可能な開口部を有するポートプレートと、
前記ドックプレートを、前記ポートプレートに近接したドック位置と前記ポートプレートから離間したアンドック位置との間で移動させる移動機構と、
を備えたロードポートであって、
前記ドックプレートに設けられ、前記ドックプレートに載置される前記容器の底面に当接され、前記容器の内部に気体を供給する気体供給ノズルユニットと、
前記ドックプレートの上方に設けられ、前記ドックプレートに載置される前記容器を下方に押し付ける押さえ手段と、を備え、
前記ドックプレートには、前記ドックプレートに載置された前記容器を前記ドックプレートにロックするロック機構が設けられていて、前記押さえ手段で前記容器を下方へ押し付けた状態で前記ロック機構を作動させ、
前記押さえ手段は、
前記ドックプレートに載置される前記容器に当接される当接部材と、
前記当接部材を、前記容器から離間した第1の位置と前記容器に当接する第2の位置との間で移動させる駆動機構と、を含む、
ことを特徴とするロードポート。
【請求項2】
請求項1に記載のロードポートであって、
前記駆動機構は、回転駆動手段と、前記回転駆動手段に接続される回動軸と、を備え、
前記回動軸に前記当接部材が、アーム部材を介して支持される、
ことを特徴とするロードポート。
【請求項3】
請求項2に記載のロードポートであって、
前記当接部材は、
前記アーム部材に支持されるローラ軸に対して回転自在に設けられるローラ部材と、を備える、
ことを特徴とするロードポート。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロードポートであって、
前記気体供給ノズルユニットは、
給気孔を有したノズルと、
前記ノズルを前記容器の底面側に付勢する弾性部材と、
所定範囲内で前記ノズルが上下動自在に支持するノズル支持体と、を備える、
ことを特徴とするロードポート。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載のロードポートであって、
前記回転駆動手段は、供給する空気圧により駆動するロータリアクチュエータであり、
前記ロードポートは、
前記ロータリアクチュエータの回転方向を変更する変更手段と、
前記空気圧を制御する空気圧制御手段と、を更に備え、
前記ロータリアクチュエータに供給する空気圧を制御し、前記押さえ手段による前記容器の押付力を変更する、
ことを特徴とするロードポート。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のロードポートであって、
前記ドックプレートを回転させる回転ユニットを更に備え、
前記回転ユニットによって、前記ドックプレートに載置される前記容器を反転させる、
ことを特徴とするロードポート。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のロードポートであって、
前記ドックプレートの移動方向に離間した複数の前記当接部材を有し、
前記ドックプレートが前記ドック位置および前記アンドック位置のいずれの位置にある場合であっても、少なくとも一つの前記当接部材が前記ドックプレートに載置される前記容器の上面に当接する、
ことを特徴とするロードポート。
【請求項8】
ロードポートの制御方法であって、
前記ロードポートは、
基板が収容される容器が載置されるドックプレートと、
前記基板の出し入れが可能な開口部を有するポートプレートと、
前記ドックプレートを、前記ポートプレートに近接したドック位置と前記ポートプレートから離間したアンドック位置との間で移動させる移動機構と、
前記ドックプレートに設けられ、前記ドックプレートに載置される前記容器の底面に当接され、該容器の内部に気体を供給する気体供給ノズルユニットと、
前記ドックプレートの上方に設けられ、前記ドックプレートに載置される前記容器を下方に押し付ける押さえ手段と、を備え、
前記制御方法は、
前記アンドック位置に位置する前記ドックプレートに載置された前記容器に前記押さえ手段を当接させて前記容器を前記ドックプレートへ押し付ける第1の押し付け工程と、
前記第1の押し付け工程の後、前記ドックプレートが備えるロック機構により前記容器を前記ドックプレートに固定する工程と、
前記固定する工程の後、前記押さえ手段を前記容器から離間させる工程と、
前記離間させる工程の後、前記ドックプレートを前記移動機構によって前記アンドック位置から前記ドック位置へ移動させる工程と、
前記ドック位置に位置する前記ドックプレート上の前記容器に前記押さえ手段を再度当接させて前記容器を前記ドックプレートへ押し付ける第2の押し付け工程と、
前記第2の押し付け工程の後、前記容器の底面に当接された前記気体供給ノズルユニットから前記容器内に気体を供給し、前記容器内を前記気体でパージする工程と、
を備えた、ことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の制御方法であって、
前記固定する工程の後、前記容器の底面に当接された前記気体供給ノズルユニットから前記容器内に気体を供給し、前記容器内を前記気体でプレパージする工程を更に備えた、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の制御方法であって、
前記ロードポートは、前記ドックプレートを回転させる回転ユニットを更に備え、
前記制御方法は、
前記離間させる工程の後、前記移動する工程の前に、前記回転ユニットによって前記ドックプレートを回転させ、前記容器の向きを反転させる工程を更に備えた、
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロードポートに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ等の基板を収容するFOUP等の容器が知られている。こうした容器は、基板搬送装置に備えられたロードポートにおいて開閉され、内部の基板の出し入れがなされる(特許文献1~3)。基板の出し入れの際、容器内に窒素ガスなどの気体を供給して容器内をパージする技術が提案されている(特許文献3)。容器内に大気圧よりも高圧の気体を供給して容器内を陽圧にすることで、例えば、基板の酸化や容器内へのパーティクルの侵入を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-6705号公報
【文献】特許第6038476号公報
【文献】特許第4328123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より短時間で容器内のパージを行う方法として、容器内に気体を供給する際の、単位時間当たりの気体の供給量を多くする、すなわち供給流速を速くするまたは供給圧力を高くする方法が考えられる。気体の供給流速を速くしたり、供給圧力を高くしたりすると、気体供給ノズルから容器のパージポートが浮き上がっての密着性が低下し、気体がパージポート内に入り込まず、容器外に漏れてしまうおそれがある。このため、気体供給ノズルユニットに設けた弾性部材の弾性力を強くし、気体供給ノズルとパージポートとの密着性を高めて気体のリークを防止することが有効である。しかし、弾性部材の弾性力が強いと、容器をドックプレートに載置した場合に、容器がドックプレートから浮き気味になる可能性がある。ドックプレートには、載置された容器をドックプレートにロックするロック機構が設けられているが、容器が浮いた状態のままロック機構を作動させると、ロック機構の係合爪が容器の係合溝に係合せず(届かず)、空振りする(ロックができない)可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、容器内に気体を供給してパージを行う際に、容器外への気体のリークを防止し、短時間でパージを行うことが可能なロードポートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
基板が収容される容器が載置されるドックプレートと、
前記基板の出し入れが可能な開口部を有するポートプレートと、
前記ドックプレートを、前記ポートプレートに近接したドック位置と前記ポートプレートから離間したアンドック位置との間で移動させる移動機構と、
を備えたロードポートであって、
前記ドックプレートに設けられ、前記ドックプレートに載置される前記容器の底面に当接され、前記容器の内部に気体を供給する気体供給ノズルユニットと、
前記ドックプレートの上方に設けられ、前記ドックプレートに載置される前記容器を下方に押し付ける押さえ手段と、を備え、
前記ドックプレートには、前記ドックプレートに載置された前記容器を前記ドックプレートにロックするロック機構が設けられていて、前記押さえ手段で前記容器を下方へ押し付けた状態で前記ロック機構を作動させ、
前記押さえ手段は、
前記ドックプレートに載置される前記容器に当接される当接部材と、
前記当接部材を、前記容器から離間した第1の位置と前記容器に当接する第2の位置との間で移動させる駆動機構と、を含む、
ことを特徴とするロードポートが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容器内に気体を供給してパージを行う際に、容器外への気体のリークを防止し、短時間でパージを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロードポートの外観図。
【
図2】
図1のロードポートの内部機構及び使用例を示す図。
【
図3】(A)乃至(C)はドックプレートの変位態様を示す図。
【
図4】(A)乃至(C)はノズルユニットの平面図、正面図、及び、側面図。
【
図6】(A)は押さえユニットの説明図、(B)は
図6(A)のB-B線断面図。
【
図7】(A)は押さえユニットの空気圧回路図、(B)は当接部材の他の形状例を示す断面図。
【
図8】(A)及び(B)は
図1のロードポートの動作説明図。
【
図9】(A)乃至(C)は
図1のロードポートの動作説明図。
【
図10】(A)乃至(C)は
図1のロードポートの動作説明図。
【
図11】(A)は押さえユニットの他の構成例の説明図、(B)は
図11(A)のC-C線断面図。
【
図12】(A)及び(B)は
図11(A)の押さえユニットを用いたロードポートの動作説明図。
【
図13】(A)乃至(C)は
図11(A)の押さえユニットを用いたロードポートの動作説明図。
【
図14】(A)乃至(C)は
図11(A)の押さえユニットを用いたロードポートの動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
<装置の概要>
図1は本発明の一実施形態に係るロードポート1の外観図である。
図2はロードポート1に容器を載置した際の断面模式図及び部分拡大図である。各図において矢印X及びYは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは上下方向を示す。また、X方向のうち、PPはポートプレート2の側を示している。これらの矢印の意味は他の図においても同様である。
【0011】
ロードポート1は、FOUP等の容器5を開閉する装置である。容器5は、半導体ウエハ等の基板Wを出し入れする開口部
50bを側部に有する箱状の容器本体50と、開口部
50bに着脱自在に装着され、開口部
50bを塞ぐ蓋(ドア)51と、半導体製造工場における天井搬送装置(OHT)が把持するハンドル52とを有する。なお、
図2は、ロードポート1により容器本体50から蓋51が取り外され、容器5内の基板Wに基板搬送ロボット6がアクセス可能な状態(開放状態)を示している。
【0012】
ロードポート1は、ポートプレート2と、容器5が載置される載置台3と、載置台3を支持する支持部4と、ポートプレート2の上部に支持され、支持部4の上部に設けられた押さえユニット9とを含む。ポートプレート2はZ方向に延びる板状の壁体である。ポートプレート2は、取り外された蓋51がX方向に通過可能な開口部2aを含む。ロードポート1は、基板Wの搬送を行う基板搬送ロボット6を内部に有する基板搬送装置PAに少なくとも1台取り付けられる。基板搬送ロボット6はロードポート1上に載置された容器5に対して、基板Wの搬出および搬入を行う。基板搬送ロボット6は、基板Wを保持するエンドエフェクタ60と、エンドエフェクタ60を少なくとも進退移動自在に保持する多関節アーム61と、多関節アーム61の進退移動、旋回および昇降を行う駆動ユニット62とを含む。前述した開放状態にあるとき、基板搬送ロボット6を、基板搬送装置PA側に開口した容器本体50の内部に進入させることで、基板Wの搬出および搬入が行われる。
【0013】
載置台3は、容器5が載置されるドックプレート30を備える。ドックプレート30には、容器5を位置決めしつつ支持する複数の位置決めピン(キネマティックピン)31や、容器5の在席を検知するための在席センサ(不図示)が設けられている。また、ドックプレート30には、ドックプレート30に載置された容器5をドックプレート30にロックするロック機構32が設けられている。ロック機構32は、係合爪32aと、係合爪32aを回動させる駆動機構32bとを有する。駆動機構32bはドックプレート30の下面に固定されており、モータ或いは電磁ソレノイド、エアシリンダ等を駆動源とした機構である。係合爪32aはドックプレート30に形成されたスリット30aを通ってドックプレート30上に出没したロック位置と、スリット30a内に収容された退避位置とで回動される。ロック位置において係合爪32aは、容器5の底部に形成された係合溝50aと係合して容器5をドックプレート30に固定する。
【0014】
ドックプレート30には、また、排気ノズルユニット7と、気体供給ノズルユニット8とが設けられている。本実施形態の場合、排気ノズルユニット7と、気体供給ノズルユニット8とがそれぞれ2つ設けられている。排気ノズルユニット7は、容器5に対して窒素ガス等の不活性ガスを排気するためのユニットであり、気体供給ノズルユニット8は、容器5に対して窒素ガス等の不活性ガスを給気するためのユニットである。
【0015】
排気ノズルユニット7は、エジェクタ等から構成される不図示の排気装置に接続されて気体を吸引するノズルユニットであり、容器5の底面に設けられた排気弁部(不図示)に当接し、容器5内の気体を外部に排気する。気体供給ノズルユニット8は、陽圧の気体(不活性ガス)を不図示の気体供給装置によって高圧(または高速)噴射するノズルユニットであり、容器5の底面に設けられた給気弁部(不図示)に当接し、容器5内に気体を供給する。排気ノズルユニット7と、気体供給ノズルユニット8とにより、容器5内の雰囲気を不活性ガスでパージすることができ、基板Wの酸化や容器5内へのパーティクルの侵入を抑制することができる。
【0016】
載置台3には、ドックプレート30をZ軸周りに回転させる駆動機構33と、駆動機構33と共にドックプレート30をX方向に変位させる駆動機構34が内蔵されている。駆動機構33は、例えば、モータ、ロータリアクチュエータ等の駆動源と、ドックプレート30を支持する支持ユニット35と、駆動源の駆動力により支持ユニット35を回転させるベルト伝動機構や歯車機構等の伝達機構と、を備える。駆動機構34は、エアシリンダ、電動シリンダ、モータ等の駆動源と、駆動機構33と共にドックプレート30を支持する支持ユニット35と、駆動源の駆動力により支持ユニット35をX方向に往復させるシリンダ機構、ボールねじ機構、カム機構、ベルト伝動機構等の伝達機構とを備える。
【0017】
支持部4は直方体形状の中空体である。支持部4は、蓋51を保持するポートドア41を、蓋51が開口部
50bを塞ぐ閉位置、蓋51が開口部2aを通り抜けて後退した後退位置、および蓋51が開口部2aの下縁よりも下方に退避した開位置(
図2の開放状態の位置)との間で移動させる機構40を備える。ポートドア41は例えば吸着機構を備え、これによりポートドア41は蓋51を吸着保持することができる。また、ポートドア41には蓋51が備えるロック機構の開閉を操作する操作機構(ラッチキー)が設けられ、これにより容器本体50と蓋51との取り外し、取り付けが可能である。
【0018】
ポートドア41はZ方向に延びる連結部材42に支持されている。連結部材42は、ステージ部材43にX方向にスライド自在に支持されており、ボールねじや電動シリンダ等のアクチュエータ44によってX方向に移動される。また、ステージ部材43には、上下方向に延びるボールねじ軸45と係合するボールナット48が固定されている。ボールねじ軸45をモータ47で回転させることで、ポートドア41、連結部材42及びステージ部材43が一体的に昇降する。
【0019】
以上の構成により、ポートドア41をX方向とZ方向に移動させることができ、これにより蓋51は、閉位置、後退位置、および開位置との間で移動される。なお、ポートドア41を移動させる機構はこれに限られず、種々の機構を採用可能である。
【0020】
押さえユニット9は、ドックプレート30の上方に設けられ、ドックプレート30に載置される容器5を下方へ押し付ける機構である。
【0021】
ロードポート1には、制御部1aが設けられている。制御部1aは、例えば、CPUに代表される処理部、RAM、ROM等の記憶部、外部デバイスと処理部との間の入出力インターフェース、通信回線を介してホストコンピュータ等のコンピュータや周辺装置(基板搬送装置PA、基板搬送ロボット6等)との通信を行う通信インターフェースを含む。押さえユニット9、ロック機構32、駆動機構33及び34等のロードポート1の各機構は制御部1aにより制御される。
【0022】
<ドックプレートの変位態様>
図3(A)~
図3(C)は駆動機構33及び34によるドックプレート30の変位態様を示す図であり、ロードポート2の平面図である。本実施形態では、駆動機構33及び34により、ドックプレート30のZ方向の軸回りの回転とX方向の移動とが可能である。
【0023】
図3(A)はドックプレート30がポートプレート2に対してX方向PP側に最も近接した位置(以下、ドック位置ともいう。)にある状態を示している。容器5の開閉はこのドック位置において行う。
図3(B)はドックプレート30がポートプレート2から最も離間した位置(以下、受渡位置ともいう。)にある状態を示している。複数の容器5をストックしている容器倉庫(ストッカー)とロードポート2との間で、不図示の容器搬送ロボットを用いて、容器5の自動受渡しを行う場合には、この受渡位置で行う。また、作業者がドックプレート30上に手作業で容器5を載置する場合、或いは、載置されている容器5を手作業で搬出する場合についてもこの受渡位置で行う。
【0024】
図3(C)はドックプレート30を回転させている途中の状態を示している。本実施形態では、ドックプレート30はX方向の任意の位置でZ軸周りに回転可能である。ここで、受渡位置において、X方向PPとは反対の側(
図3(B)中では下側)に位置する容器搬送ロボット(または作業者)が、蓋51を容器搬送ロボット(または作業者)側に向けた状態でドックプレート30に容器5を載せることがある。このとき、回転ユニット82によってドックプレート30を回転させることで、ドックプレート30の向き、すなわち容器5の向きを反転させることができる。これにより蓋51がポートプレート2側(X方向PP側)に向いた状態となる。その後、
図3(A)のドック位置にドックプレート30を移動させる。以下の説明においては、ドックプレート30の回転位置のうち、
図2に示すように蓋51がポートプレート2側に向いた位置を稼働位置、反対向きの位置を準備位置と呼ぶ。稼働位置においては、
図1や
図2に示すように、ドックプレート30の、排気ノズルユニット7がポートプレート2の近くに位置する。準備位置においては、これとは逆に、気体供給ノズルユニット8がポートプレート2の近くに位置する。
【0025】
<気体供給ノズルユニット>
気体供給ノズルユニット8の構造について、
図4(A)~
図4(C)及び
図5を参照して説明する。
図4(A)~
図4(C)は気体供給ノズルユニット8の平面図、正面図及び側面図である。
図5は
図4(C)のA-A線断面図である。なお、特に説明しないが、排気ノズルユニット7も気体供給ノズルユニット8と同様の構造を有している。
【0026】
気体供給ノズルユニット8は、ノズル支持体80と、ノズル81と、ブッシュ82と、弾性部材83と、カバー84とを含む。ノズル支持体80は、気体供給ノズルユニット8をドックプレート30に固定する部材であり、かつ、ノズル81を上下動自在に支持する枠体である。ノズル支持体80は、ドックプレート30に固定されるベースプレート80bと、ベースプレート80bから立設された二本の支柱80cと、二本の支柱80cの上端部に固定された支持プレート80aとを有する。弾性部材83は、後述する理由により、弾性力が強い部材を採用している。気体供給ノズルユニット8は、弾性部材83の弾性力によって歪みが生じない様に、支持プレート80aとベースプレート80bの様な板状部材ではなく、強度のある二本の支柱80cによって、支持プレート80aとベースプレート80bを連結した構造としている。
【0027】
ベースプレート80bには、圧縮気体を供給する配管86が通る開口部80eが形成されている。なお、ドックプレート30にも配管86が通る開口部(不図示)が形成されている。支柱80cはZ方向に延びる円筒体であり、その下端部がベースプレート80bにねじにより固定され、その上端部が支持プレート80aにねじにより固定される。支持プレート80aは、ノズル81が通過している開口部80dが形成されている。開口部80dには、ノズル81と支持プレート80aとの間に介在するブッシュ82が嵌め込まれている。
【0028】
ノズル81は、上側のノズル本体810と、下側の通路形成部材822とを有する。ノズル本体810は、全体として円筒形状を有しており、円筒形状の胴部811cと、胴部811cの上部において径方向に突出したフランジ部811bとを含む。ノズル本体810の中央部には給気孔810aが形成されている。気体供給ノズルユニット8に供給される気体は、給気孔810aから上方へ噴射される。ノズル本体81の上面は、容器5の底面に設けられた給気弁部(不図示)に当接し、給気孔810aから容器5内へ気体が噴射される。
【0029】
通路形成部材822は、ノズル本体810の下端部に固定されたL字型の部材であり、給気孔810aに連通した気体の通路811aを形成する。この通路811aは、コネクタ85を介して通路形成部材822に接続される配管86と連通している。通路形成部材822には、ブッシュ82の内周壁に摺接するリング形状の摺接部材87が設けられている。ノズル81は、ノズル支持体80に固定されてはおらず、摺接部材87及びブッシュ82を介してノズル支持体80に対してZ方向に移動可能に支持されている。
【0030】
弾性部材83は、本実施形態の場合、胴部811cが挿入されたコイルバネであり、フランジ部811bと支持プレート80aとの間に設けられている。カバー84は弾性部材83の周囲を囲む円筒体である。弾性部材83はノズル81を上方向に常時付勢する。つまり、弾性部材83の付勢力によってノズル本体81の上面が容器5の底面に設けられた給気弁部(不図示)に押し付けられる。弾性部材83を設けたことで、容器5の底面に対するノズル81の接触追従性を向上でき、また、気体供給時における気体のリークを防止することができる。
【0031】
ノズル81はZ方向の所定範囲内で上下動可能である。
図5はノズル81が上限位置に位置している状態を示している。ノズル81の下限位置はフランジ部811bがカバー84に当接する位置である。本実施形態では弾性部材83としてコイルバネを用いたが、ゴム等、他の弾性部材であってもよい。
【0032】
<押さえユニット>
押さえユニット9の構造について
図6(A)及び
図6(B)を参照して説明する。
図6(A)は押さえユニット9の説明図であり、平面図に相当する。
図6(B)は
図6(A)のB-B線断面図である。押さえユニット9は、回転駆動ユニット93を駆動源とした駆動機構により、当接部材98を容器5から離間した位置と容器5に当接する位置との間で移動させるユニットである。
【0033】
押さえユニット9は、Y方向に離間した一対のフレーム91を備える。各フレーム91はX方向に延び、その周囲はカバー90で囲まれている。また、一対のフレーム91のX方向PP側の各端部は、Y方向に延びる連結部材92により連結され、更に連結部材92は、ポートプレート2に固定されている。
【0034】
一対のフレーム91のX方向PPとは反対の側(
図6(A)中では下側)の間には、回動軸95が回転自在に支持されている。回動軸95はY方向に延びる断面円形のロッド部材である。対向するフレーム91、91の、一方のフレーム91の対向側の面に回転駆動ユニット93が支持されている。回転駆動ユニット93は、本実施形態の場合、空気圧式ロータリアクチュエータであり、一対の給排気ポート93bの一方に対する空気の供給により、出力軸93aが所定の角度、例えば90°回転する。
【0035】
回転駆動ユニット93の回転は伝動機構94を介して回動軸95に伝達される。すなわち、伝動機構94は回動駆動ユニット93の出力を回動軸95に伝動する機構であり、本実施形態ではベルト伝動機構であるが、歯車機構等の他の伝動機構であってもよい。伝動機構94は、出力軸93aに取り付けられたプーリー94aと回動軸95の周面に取り付けられたプーリー94bと、これらのプーリー94a、94bに巻き回されたタイミングベルト94cとを備える。伝動機構94によって、出力軸93aの回転が回動軸95に伝動され、回動軸95が回動される。
【0036】
回動軸95には、一対のアーム部材96を介して一つ又は複数の当接部材98が支持されている。一対のアーム部材96は、回動軸95の周面に、Y方向に離間して二つ設けられる。各アーム部材96の基部側が回動軸95に対して固定され、各アーム部材96の先端側にローラ軸97が固定される。このローラ軸97の周面に一つ又は複数の当接部材98が設けられる。本実施形態の場合、当接部材98はローラ軸97の周面に回転自在に設けられたローラ部材であり、Y方向に離間して二つ設けられている。
【0037】
回動軸95の回動によって、一対のアーム部材96が、略水平状態から略垂直方向下向きの状態の間で90°旋回し、これによってローラ軸97及び当接部材98が揺動する。当接部材98は
図6(B)において実線で示す退避位置(略水平状態)と、二点鎖線で示す押圧位置(略垂直方向下向きの状態)との間で揺動する。
図2等に示すように押圧位置において当接部材98は、ドックプレート30に載置された容器5の上面に当接して、容器5を下方へ向けて押圧する。本実施形態の場合、当接部材98は、容器5の上面のハンドル52に当接させているが、容器本体50の上面の他の部位や、容器5の上面以外の部位、例えば両側面に当接させてもよい。
【0038】
本実施形態では、アーム部材96の長さの分、より厳密には回動軸95とローラ軸97との軸間距離の分、当接部材98は回動軸95から距離を置いて支持されている。このため、回動軸95を回動させる際、当接部材98が前述の軸間距離の分だけ回動軸95から離れているため、当接部材98による力のモーメントは大きくなる。その結果、比較的低出力な回転駆動ユニット93を用いたとしても、当接部材98は十分な力で容器5を押さえることができる。
【0039】
図7(A)は回転駆動ユニット93を駆動する空気圧回路
10の例を示す回路図である。不図示の圧縮機からの空気は配管14を介して減圧弁13で圧力が調整されて電磁弁12へ供給される。電磁弁12は空気の供給経路を切り替える方向切替弁であり、その各給排気ポートが、スピードコントローラ11を介して一対の給排気ポート93bに接続されている。スピードコントローラ11は流量制御弁である。
【0040】
電磁弁12によって、一対の給排気ポート93bのうち、空気を供給するポートを切り替えることで出力軸93aの回転方向が変更される。電磁弁12の切替制御は制御部1aにより行われる。また、減圧弁13により回転駆動ユニット93に対する空気圧を調節して、その出力トルクを調節することができる。つまり、当接部材98による容器5の下方への押圧力を調節することができる。
【0041】
なお、当接部材98は、断面が円形のローラ部材の他、
図7(B)に例示するように断面が半円形のローラ部材であってもよく、その外周の角度範囲は、360°(円形)、180°(半円形)以外の角度範囲であってもよい。また、当接部材98はローラ軸97に対して回転不能に固定されてもよい。更に、当接部材98はローラ部材以外に、球体、半球体であってもよく、容器5に点で接触する形態でも線で接触する形態であってもよい。
【0042】
<制御例>
制御部1aによるロードポート1の制御例について
図8(A)~
図10(C)を参照して説明する。
図8(A)~
図10(C)は、容器5の搬入から蓋51の開放直前までのロードポート1の動作例を示す。
図8(A)は容器5の搬入前の準備状態を示している。当接部材98は退避位置に位置している。ドックプレート30は、X方向PPとは反対の側の、アンドック位置に位置しており、回転方向では準備位置に位置している。
【0043】
図8(B)は容器5がドックプレート30上に載置された状態を示している。これは、蓋51がX方向PPとは反対の側に向いた状態で容器5が載置された例である。容器5は位置決めピン31上に係合して載置されることで、そのXYZ方向の位置決めがなされる。また、このとき、気体供給ノズルユニット8および排気ノズルユニット7が容器5の底面の各パージポートに当接される。
【0044】
この状態で、まず、押さえユニット9の当接部材98が押圧位置に揺動される。
図9(A)に示すように当接部材98が容器5のハンドル52に当接し、容器5が下方へ(ドックプレート30へ)押し付けられる。続いて、
図9(B)に示すようにロック機構32を駆動することで、係合爪32aがロック位置に回動する。これにより、容器5をドックプレート30に固定することができる。
【0045】
ここで、気体供給ノズルユニット8にて容器5内に気体を噴射し、パージ(プレパージ)を行う場合がある。このとき、気体供給ノズルユニット8と容器5との間からの気体のリークを抑制するために、気体供給ノズルユニット8を容器5に対して付勢する弾性部材83として、弾性力が強い(ノズル81を上方へ付勢する力が強い)部材を採用することがある。しかし、弾性部材83の弾性力を単に強くするだけでは、容器5をドックプレート30に載置したときに、容器5が位置決めピン31から浮き気味になることがある。この浮いた状態のまま、ロック機構32を作動させると、係合爪32aが係合溝50aに係合せず、空振りする可能性がある。本実施形態では、押さえユニット9で容器5を下方へ押し付けた状態でロック機構32を作動させることにより、係合爪32aが空振りするおそれが無い。その結果、係合爪32aが確実に係合溝50aに係合され、確実に容器5をロックすることができる。
【0046】
なお、プレパージにおける気体の供給流速または供給圧力によっては、押さえユニット9による容器5の押さえ付けを行わなくとも、ロック機構32と弾性部材83により、気体供給ノズルユニット8のノズル81を容器5の底面のパージポートに当接させる作用のみで、気体供給ノズルユニット8と容器5との間からの気体のリークを抑制することが可能である。この場合、プレパージの際に押さえユニット9を駆動させなくてもよい。
【0047】
プレパージを行うタイミングは、容器5がロックされた直後を起点として、容器5がアンドック位置からドック位置に移動し、ドック位置においてメインパージが開始する直前までの間のいずれかの期間で実施しても良く、また、容器5がロックされた直後を起点として、容器5がアンドック位置からドック位置に移動し、ドック位置においてメインパージが開始する直前までの全期間において実施しても良い。プレパージを行うことにより、容器5内に不活性ガスを予め供給することができるので、メインパージに掛かる時間を短縮することができる。
【0048】
次に、
図9(C)に示すように、押さえユニット9の当接部材98が退避位置に揺動され、当接部材98がハンドル52から離間される。これにより、容器5に対する下方への押し付けが一旦解除される。その後、
図10(A)に示すように、駆動機構33が駆動され、ドックプレート30が稼働位置に回転される。これによって、容器5はその向きが反転し、蓋51がポートプレート2(X方向PP)側に向いた姿勢となる。続いて駆動機構34が駆動され、
図10(B)に示すようにドックプレート30がドック位置に移動される。
【0049】
そして、
図10(C)に示すように、押さえユニット9の当接部材98が再び押圧位置に揺動される。当接部材98が容器5のハンドル52に再び当接し、容器5が下方へ(ドックプレート30へ)押し付けられる。この後、ポートドア41により蓋部51が開放される。そして、気体供給ノズルユニット8から容器5内へ気体を供給し、排気ノズルユニット7から容器5内の気体を排気することで、容器5内の雰囲気をパージ(メインパージ)する。
【0050】
このメインパージを行う際、より短時間でパージを完了させるべく、プレパージのときよりも、単位時間当たりの気体の供給量を多くする、すなわち供給流速を速くするまたは供給圧力を高くすることがある。このとき、ロック機構32と弾性部材83により、気体供給ノズルユニット8のノズル81を容器5の底面のパージポートに当接させる作用のみでは、気体供給ノズルユニット8から容器5が大きく浮き上がってしまい、パージの際の気体のリークを抑制することができないことがある。この容器5の浮き上がりを防止するために、押さえユニット9で容器5を下方へ(ドックプレート30へ)確実に押し付けることにより、この浮き上がりを無くし、パージの際の気体のリークを抑制することができる。
【0051】
また、ドック位置においてメインパージを行っていない場合においても、弾性部材83の弾性力が強いことにより、容器5が位置決めピン31から僅かに浮き気味になる可能性がある。この僅かな浮きが許容範囲を超えると基板搬送ロボット6のエンドエフェクタ60により基板Wを適切に移載することができないといったその後の処理に支障が生じる場合がある。従って、押さえユニット9で容器5を下方へ(ドックプレート30へ)押し付け、容器5の位置決めピン31からの浮きを無くすことで前記支障の発生を防止することができる。
【0052】
以上より、ドック位置においても押さえユニット9で容器5を下方へ(ドックプレート30へ)押し付けることにより、気体供給ノズルユニット8から容器5が浮き上がること、すなわち気体がリークすることを確実に防ぐことができ、ひいては容器5内のパージをより短時間で完了させることが可能となる。また、押さえユニット9により、容器5を下方へ確実に押し付けているので、容器5の浮きを無くすことができ、基板搬送ロボット6のエンドエフェクタ60により基板Wを適切に移載することができないといった支障の発生を防止することができる。
【0053】
なお、容器5内の雰囲気をパージするタイミングは、蓋部51が完全に開放された後(
図2の開放状態の位置)に限らず、蓋部51が開口部
50bを塞ぐ閉位置であっても良く、蓋部51が閉位置と開放状態の位置との間に位置するタイミング、すなわち蓋部51が開放され始めたときから完全に開放されるまでの間のタイミングであっても良い。
【0054】
当接部材98が容器5に対して離接自在であるので、制御例のように容器5の移動中は容器5から当接部材98を離間させておくことができる。これにより、当接部材98と容器5の接触部の磨耗を軽減できると共にパーティクルの発生を抑制することができる。また、当接部材98が回転自在なローラ部材であるので、当接部材98が容器5のハンドル52に当接する際、より小さい力で、当接部材98がハンドル52を下方向に押さえ付けることができる。
【0055】
<第二実施形態>
複数の容器5をストックしている不図示の容器倉庫(ストッカー)とロードポート2との間で、容器搬送ロボットを用いて、容器5の自動受渡しを行う場合において、受渡位置が異なる場合があり、これによってドック位置-アンドック位置の移動ストロークが異なる場合がある。押さえユニット9による容器5の押さえ付けをより確実なものとするため、押さえユニット9が、X方向に離間した一つ又は複数の当接部材98を備えていてもよい。
図11(A)は本実施形態の押さえユニット9の説明図であり、平面図に相当する。
図11(B)は
図11(A)のC-C線断面図である。本実施形態の押さえユニット9は、伝動機構94、回動軸95、一対のアーム部材96、ローラ軸97及び当接部材98の組を二組有している。以下、第一実施形態の押さえユニット9と異なる構成について、本実施形態の押さえユニット9を説明する。
【0056】
押さえユニット9は、伝動機構94A、回動軸95A、一対のアーム部材96A、ローラ軸97A及び当接部材98Aの組と、伝動機構94B、回動軸95B、一対のアーム部材96B、ローラ軸97B及び当接部材98Bの組とを備えている。回動軸95Aと回動軸95BはX方向に離間して配置され、互いに平行に、一対のフレーム91に対して回転自在に支持されている。
【0057】
伝動機構94Aは回動駆動ユニット93の出力を回動軸95Aに伝動する機構であり、出力軸93aに取り付けられたプーリー94aと回動軸95Aに取り付けられたプーリー94bと、これらのプーリー94a、94bに巻き回されたタイミングベルト94cとを備える。伝動機構94Aによって、出力軸93aが回転すると、回動軸95がその軸周りに回動する。
【0058】
伝動機構94Bは回動軸95Aを介して回動駆動ユニット93の出力を回動軸95Bに伝動する機構であり、回動軸95Aに取り付けられたプーリー94aと回動軸95Bに取り付けられたプーリー94bと、これらのプーリー94a、94bに巻き回されたタイミングベルト94cとを備える。伝動機構94Bによって、出力軸93aが回転すると、回動軸95Bがその軸周りに回動する。なお、伝動機構94A及び94Bは、本実施形態ではベルト伝動機構であるが、歯車機構等の他の伝動機構であってもよい。
【0059】
回動軸95Aには、一対のアーム部材96Aを介して一つ又は複数の当接部材98Aが支持されている。一対のアーム部材96Aは、回動軸95Aの周面に、Y方向に離間して二つ設けられる。各アーム部材96Aの基部側が回動軸95Aに対して固定され、各アーム部材96Aの先端側にローラ軸97Aが固定される。このローラ軸97Aの周面に一つ又は複数の当接部材98Aが設けられる。本実施形態の場合、当接部材98Aはローラ軸97Aの周面に回転自在に設けられたローラ部材であり、Y方向に離間して二つ設けられている。回動軸95Aの回動によって、一対のアーム部材96Aが略水平状態から略垂直方向下向きの状態の間で90°旋回し、これによってローラ軸97A及び当接部材98Aが揺動する。
【0060】
回動軸95Bには、一対のアーム部材96Bを介して一つ又は複数の当接部材98Bが支持されている。一対のアーム部材96Bは、回動軸95Bの周面に、Y方向に離間して二つ設けられる。各アーム部材96Bの基部側が回動軸95Bに対して固定され、各アーム部材96Bの先端側にローラ軸97Bが固定される。このローラ軸97Bの周面に一つ又は複数の当接部材98Bが設けられる。本実施形態の場合、当接部材98Bはローラ軸97Bの周面に回転自在に設けられたローラ部材であり、Y方向に離間して二つ設けられている。回動軸95Bの回動によって、一対のアーム部材96Bが略水平状態から略垂直方向下向きの状態の間で90°旋回し、これによってローラ軸97B及び当接部材98Bが揺動する。
【0061】
当接部材98Aと当接部材98Bとは、互いにX方向に離間している。回動駆動ユニット93の駆動により、当接部材98Aと当接部材98Bとは
図11(B)において実線で示す退避位置(略水平状態)と、二点鎖線で示す押圧位置(略垂直方向下向きの状態)との間で同期的に揺動する。
図13等に示すように押圧位置において当接部材98Aと当接部材98Bは、ドックプレート30に載置された容器5の上面に当接して、容器5を下方へ向けて押圧する。本実施形態の場合、当接部材98Aと当接部材98Bは、容器5の上面のハンドル52に当接させているが、容器本体50の上面の他の部位や、容器5の上面以外の部位、例えば両側面に当接させてもよい。
【0062】
<制御例>
制御部1aによるロードポート1の制御例について
図12(A)~
図14(C)を参照して説明する。
図12(A)~
図14(C)は、
図8(A)~
図10(C)の例と同様に、容器5の搬入から蓋51の開放直前までの本実施形態のロードポート1の動作例を示す。
図12(A)は容器5の搬入前の準備状態を示している。当接部材98A及び98Bは退避位置に位置している。ドックプレート30は、X方向PPとは反対の側のアンドック位置に位置しており、回転方向では準備位置に位置している。
【0063】
図12(B)は容器5がドックプレート30上に載置された状態を示している。蓋51がX方向PPとは反対の側に向いた状態で容器5が載置された例である。容器5は位置決めピン31上に係合して載置されることで、そのXYZ方向の位置決めがなされる。また、このとき、気体供給ノズルユニット8および排気ノズルユニット7が容器5の底面の各パージポートに当接される。
【0064】
この状態で、まず、押さえユニット9の当接部材98A及び98Bが押圧位置に揺動される。
図13(A)に示すように当接部材98Bが容器5のハンドル52に当接し、容器5が下方へ(ドックプレート30へ)押し付けられる。このとき、容器5の受渡位置の違いによるドック位置-アンドック位置の移動ストロークの違いにより、当接部材98Aは容器5に当接していないが、当接部材98Bが容器5に当接しているので、容器5の下方への押し付けは十分である。続いて、
図13(B)に示すようにロック機構32を駆動することで、係合爪32aがロック位置に回動する。これにより、容器5をドックプレート30に固定することができる。
【0065】
本実施形態では、押さえユニット9に2つの当接部材98A及び98Bを設けている。これにより、複数の容器5をストックしている容器倉庫(ストッカー)とロードポート2との間で、容器搬送ロボットを用いて容器5の自動受渡しを行う際に、ドック位置-アンドック位置の移動ストロークに関係なく、当接部材98A及び98Bの少なくとも一方を、確実に容器5のハンドル52に当接させることができる。また、当接部材98A及び/又は98Bの少なくとも一方が、確実に容器5を下方へ押し付けた状態でロック機構32が作動されることにより、係合爪32aが空振りするおそれが無い。その結果、係合爪32aが確実に係合溝50aに係合され、確実に容器5をロックすることができる。
【0066】
次に、
図13(C)に示すように、押さえユニット9の当接部材98A及び98Bが退避位置に揺動され、当接部材98Aがハンドル52から離間される。これにより、容器5に対する下方への押し付けが一旦解除される。
図14(A)に示すように、駆動機構33が駆動され、ドックプレート30が稼働位置に回転される。容器5は、その向きが反転して蓋51がポートプレート2側に向いた姿勢となる。続いて駆動機構34が駆動され、
図14(B)に示すようにドックプレート30がドック位置に移動される。
【0067】
そして、
図14(C)に示すように、押さえユニット9の当接部材98A及び98Bが再び押圧位置に揺動される。当接部材98Aが容器5のハンドル52に再び当接し、容器5が下方へ(ドックプレート30へ)押し付けられる。ドック位置-アンドック位置との間の移動ストロークが大きい場合には、当接部材98Bによっては容器5を当接することができないが、当接部材98Aが容器5に当接しているので、容器5の下方への押し付けは十分である。この後、ポートドア41により蓋部51が開放される。そして、気体供給ノズルユニット8から容器5内へ気体を供給し、排気ノズルユニット7から容器5内の気体を排気することで、容器5内の雰囲気をパージすることができる。
【0068】
押さえユニット9における当接部材98A及び/又は98Bの少なくとも一方が、容器5を下方へ確実に押し付けるので、容器5の浮きを無くすことができ、基板搬送ロボット6のエンドエフェクタ60により基板Wを適切に移載することができないといった支障の発生を防止することができる。
【0069】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 ロードポート、2 ポートプレート、3 載置台、8 気体供給ノズルユニット、9 押さえユニット