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  • 特許-碍子吊り用のワイヤロープのガイド装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】碍子吊り用のワイヤロープのガイド装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20240119BHJP
   B66D 3/04 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
H02G1/02
B66D3/04 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020062475
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021164237
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年1月1日電気現場2020年1月号Vol.59第98頁から第101頁にて公表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年9月25日九建ビルで行われた2019年度改善改革事例発表会にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】505268677
【氏名又は名称】株式会社九建
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】藤本 眞二
(72)【発明者】
【氏名】川崎 伯晃
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寛之
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-078813(JP,U)
【文献】特開昭48-098551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
B66D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
碍子が吊られる腕金の上方において鉄塔に取り付けられた吊り上げ滑車に掛けられたワイヤロープにより、地上のウィンチの操作で碍子の吊り上げ、吊り下ろしを行う工事において、当該碍子を吊る前記ワイヤロープの途上を所望の垂下位置に案内するように、前記鉄塔の腕金に取り付けられるワイヤロープのガイド装置であって、
前記鉄塔の腕金を構成する山形鋼材からなる水平主材を把持する固定部と、当該固定部から水平左右に旋回自在に延出するアーム部と、当該アーム部の先端部に吊られ前記ワイヤロープの延長途上が掛けられ当該ワイヤロープ垂下位置を定めるガイド金車と、当該ガイド金車により前記ワイヤロープの途上を任意の垂下位置に牽引して固定するために前記アーム部を前記水平主材に対して任意の延出角度位置において前記水平主材に固定するための一対のレバーブロック(登録商標)とを具備し、
前記固定部は、前記水平主材の山側面に当接する支持部材と、当該支持部材との間に前記水平主材を挟んで谷側面に当接しボルトにて前記支持部材と結合される挟持部材とを具備し、
前記アーム部は、基端側において前記支持部材に水平回転自在に支持され前記水平主材から水平に延出するアーム本体と、当該アーム本体の先端側の左右側面に設けられる2つの引き手金具と、先端側の下部に設けられる吊り金具を具備し、
前記ガイド金車は前記吊り金具に吊られ、
前記レバーブロック(登録商標)の下フックは、それぞれ前記引き手金具に係止され、上フックはアーム本体の左右両側方において前記水平主材に係止されることを特徴とする碍子吊り用ワイヤロープのガイド装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記水平主材の山側面である背面に所定長さにわたり当接する第1の当接板部と、底面に所定長さにわたり当接する第2の当接板部と、当該第2の当接板部の下面から下方へ垂直に突出する軸筒部とを具備し、
前記アーム部は、前記軸筒部に水平回転自在に嵌合する軸受筒部を具備し、当該軸受筒部から前記アーム本体が水平に延出することを特徴とする請求項1に記載の碍子吊り用のワイヤロープのガイド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄塔の腕金に吊られる碍子の取り付け、取り外しの工事において、碍子を吊って鉄塔上方の金車を介して地上のウィンチに巻かれるワイヤロープを、下方の腕金等との干渉を避ける位置に案内するためのワイヤロープのガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送電線鉄塔の腕金へ碍子を引止める際に用いられる碍子吊り上げ装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この碍子吊り上げ装置においては、鉄塔腕金の2本の水平主材の一方に、それぞれターンバックル構造の伸縮調整可能な2本のブームの下端を枢着する。ブームの上端はブームヘッドで結合し、腕金の斜め主材を介して他方の水平主材へ引き止めたワイヤをチェーンブロックで牽引して起伏させる。ブームの上端に滑車装置を吊り、地上のウィンチの操作で碍子を吊り上げる。左右2本のブームの長さ調整により吊り上げ位置を左右に位置決めする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-86418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の碍子吊り上げ装置は、ターンバックル構造のため、旋回がしにくく、旋回できる範囲が狭い。また、部品点数が多く、取付け、取外しに時間がかかる等の難点がある。
したがって、発明は、腕金より上方位置で鉄塔に係止された単一の滑車を用いて下方の複数の腕金への碍子の吊り上げ、吊り下ろしを行う方式を採用し、その際に、下方の腕金との干渉を安全容易に回避することができる、構造簡易な吊り下げ用ワイヤロープのガイド装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明のワイヤロープガイド装置1は、碍子Gが吊られる腕金C1の上方において鉄塔Tに取り付けられた吊り上げ滑車Pに掛けられたワイヤロープRにより、地上のウィンチWの操作で碍子Gの吊り上げ、吊り下ろしを行う工事において、碍子Gを吊るワイヤロープRの途上を所望の垂下位置に案内するように、鉄塔Tの腕金C1に取り付けられるワイヤロープのガイド装置であり、鉄塔Tの腕金C1を構成する山形鋼材からなる水平主材Aを把持する固定部2と、当該固定部2から水平旋回自在に延出するアーム部3と、当該アーム部3の先端部に吊られワイヤロープRの途上が掛けられるガイド金車4と、アーム部3を水平主材Aに対して任意の延出角度位置において水平主材Aに固定するための一対のレバーブロック(登録商標)5とを具備する。固定部2は、水平主材Aの山側面に当接する支持部材6と、当該支持部材6との間に水平主材Aを挟んで谷側面に当接しボルト8にて支持部材6と結合される挟持部材7とを具備する。アーム部3は、基端側において支持部材6に水平左右に旋回自在に支持され、当該支持部材6から水平に延出するアーム本体3bと、当該アーム本体3bの先端側の左右側面に設けられる2つの引き手金具3cと、先端側の下部に設けられる吊り金具3dと具備する。ガイド金車4は、アーム本体3aの吊り金具3dに吊られる。このガイド金車4に、ワイヤロープRの垂下途上が掛けられる。一対のレバーブロック5の下フック5aは、引き手金具3cに係止され、上フック5bはアーム本体3aの左右両側方において水平主材Aに引き止められる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の碍子吊り用ワイヤロープのガイド装置1は、固定部2に対してアーム部3の延出角度を調整し、レバーブロック5で水平主材Aに支持することにより、ガイド金車4でワイヤロープRの途上を牽引し、碍子Gの吊り下げ位置を、下方の他の腕金C2と干渉しない位置に容易に設定することができる。これにより、従来行われていた下方の腕金C2上における人力による碍子の不干渉位置への移動作業を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1のワイヤロープのガイド装置の使用状態の説明図である。
図2図1のワイヤロープのガイド装置の正面図である。
図3図1のワイヤロープのガイド装置の平面図である。
図4図1のワイヤロープのガイド装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
ワイヤロープRのガイド装置1は、図1に示すように、碍子Gが吊られる腕金C1の上方において鉄塔Tに取り付けられた吊り上げ滑車Pに掛けられたワイヤロープRにより、地上のウィンチWの操作で碍子Gの吊り上げ、吊り下ろしを行う工事に使用される。
【0009】
ガイド装置1は、碍子Gを吊るワイヤロープRの途上を側方へ牽引して所望の垂下位置に案内するように、鉄塔Tの腕金C1に取り付けられる。
【0010】
ガイド装置1は、図2図4に示すように、鉄塔の腕金C1を構成する山形鋼材からなる水平主材Aを把持する固定部2と、この固定部2から水平旋回自在に延出するアーム部3と、このアーム部3の先端部に吊られるガイド金車4と、アーム部3を水平主材Aに対して任意の延出角度位置において水平主材Aに固定するための、図2において左右一対のレバーブロック(登録商標)5とを具備する。
【0011】
固定部2は、水平主材Aの山側面に当接する支持部材6と、この支持部材6との間に水平主材Aを挟んで谷側面に当接し、ボルト8にて支持部材6と結合される挟持部材7とを具備する。
【0012】
支持部材6は、水平主材Aの山側面である背面に所定長さにわたり当接する第1の当接板部6aと、底面に所定長さにわたり当接する第2の当接板部6bと、第2の当接板部6bの下面から下方へ垂直に突出する軸筒部6cとを具備する。
【0013】
挟持部材7は、支持部材6の中央部に間隔を置いてその両側に一対設けられる。挟持部材7は、支持部材6の第1の当接板部6aと対面して水平主材Aの垂直の谷側面に所定長さにわたり当接する垂直板部7aと、第2の当接板部6bと対面して水平主材Aの水平の谷側面に所定長さにわたり当接する水平板部7bと、両板部7a,7bの両縁部において両者間を接続する概略三角形状の一対のリブ7cを具備する。
【0014】
アーム部3は、基端側において軸筒部6cに水平回転自在に嵌合する軸受筒部3aと、この軸受筒部3aから水平に延出する角筒状のアーム本体3bとを具備する。
【0015】
アーム本体3bの先端側の左右側面には、レバーブロック5を接続するためのシャックルのような引き手金具3cが設けられ、先端下部には、ガイド金車4を吊るためのシャックルのような吊り金具3dが設けられる。
【0016】
ガイド金車4には、碍子Gを吊るワイヤロープRの垂下途上が掛けられる。ガイド金車4は、ワイヤロープRにより吊り下げられる碍子Gが下方の他の腕金C2等と干渉しないように、ワイヤロープRの垂下途上を任意の側方へ牽引する。
【0017】
一対のレバーブロック5の下フック5aは、アーム本体3bの左又は右の引き手金具3cにそれぞれ係止され、上フック5bは、アーム本体3bの左右側方において水平主材Aに係止される。
【0018】
レバーブロック5の牽引により、アーム本体3bは、ワイヤロープRをガイド金車4で牽引する方向に旋回され、所望の水平延出角度位置においてレバーブロック5で水平主材Aに固定される。
【0019】
ガイド装置1を使用して碍子Gの取り外し作業を行う手順を説明する。まず、支持部材6と挟持部材7とで腕金C1の水平主材Aを把持してアーム本体3bが水平主材Aから水平に延出するように取り付ける。
【0020】
次いで、一対のレバーブロック5をアーム本体3bの引き手金具3cと水平主材Aとの間に接続する。
【0021】
次いで、ワイヤロープRの途上を通したガイド金車4をアーム本体3bの吊り金具3dに接続する。
【0022】
次いで、アーム本体3bを旋回させて、その先端を腕金C1の先端側に吊られた碍子G付近に近づける。
【0023】
次いで、碍子Gを腕金C1から外してワイヤロープRの下端に係止し、ウィンチWを操作して吊り上げる。
【0024】
次いで、2人の作業者により左右のレバーブロック5を巻き上げ又は巻き戻し操作して、アーム本体3bを旋回させることにより、碍子Gが下方の腕金C2と干渉しない位置までガイド金車4でワイヤロープRを側方へ牽引し、所定位置でアーム本体3bをレバーブロック5で水平主材Aに固定する。
【0025】
これにより、下方の腕金C2上において作業者が碍子Gを押して腕金C2をかわすような危険な作業を省略し、碍子Gの吊り下ろし作業を円滑に進めることができる。碍子Gを鉄塔Tの腕金C1へ取り付けるための吊り上げ作業の際には、上記手順と逆の手順でこのガイド装置1を使用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 吊りワイヤのガイド装置
2 固定部
3 アーム部
3a 軸受筒部
3b アーム本体
3c 引き手金具
3d 吊り金具
4 ガイド金車
5 レバーブロック
5a 下フック
5b 上フック
6 支持部材
6a 第1の当接板部
6b 第2の当接板部
6c 軸筒部
7 挟持部材
7a 垂直板部
7b 水平板部
7c リブ
8 ボルト
C1 腕金
C2 下方の腕金
T 鉄塔
A 水平主材
G 碍子
P 吊り上げ滑車
R ワイヤロープ
W ウィンチ
図1
図2
図3
図4