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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/46 20060101AFI20240119BHJP
   F02C 9/28 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
F02C9/46
F02C9/28 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020066463
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021161993
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 秀和
(72)【発明者】
【氏名】笹原 淳
(72)【発明者】
【氏名】屋納 光一朗
(72)【発明者】
【氏名】北内 洋介
(72)【発明者】
【氏名】田中 瑞彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅弘
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-177626(JP,A)
【文献】国際公開第2013/113201(WO,A1)
【文献】特開2019-120138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 9/46
F02C 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンにより発電する発電機が出力する電力の周波数が一定範囲となるように、前記ガスタービンの回転数に基づいて、前記ガスタービンへ供給する燃料の量を調整する制御装置であって、
前記発電機にかかる負荷の遮断が生じた場合、当該遮断後の当該発電機にかかる負荷の値である負荷値を取得する負荷値取得部と、
前記負荷値とバイアスとを演算して、当該負荷値とは異なる負荷の値である調整値を算出する演算部と、
前記発電機に前記調整値に相当する電力を出力させる第1信号を出力して前記燃料の量を調整する指令部と、
を備え
前記指令部は前記第1信号を出力した後、前記発電機が出力する電力が前記調整値から前記負荷値に相当する値へ経時的に変化させる信号である第2信号を出力して前記燃料の量を調整し、
前記調整値は前記負荷値より低い負荷の値であり、
前記指令部が前記第1信号を出力することにより、前記負荷値に基づく量よりも少ない前記調整値に基づく量の前記燃料が前記ガスタービンに供給され、前記負荷値に相当する値の電力よりも低い前記調整値に相当する値の電力を前記発電機が出力し、
前記指令部は、第1信号を出力した後に前記第2信号を出力することにより、前記バイアスに相当する燃料の量が徐々にゼロになり、前記ガスタービンへ供給する前記燃料の量を、前記調整値に基づく前記燃料の量から前記負荷値に基づく前記燃料の量に徐々に変化させ、前記発電機が出力する電力を前記調整値に相当する値から前記負荷値に相当する値へ経時的に変化させる制御装置。
【請求項2】
前記遮断により減少した前記発電機の負荷の値と前記バイアスとが比例するように前記バイアスを算出するバイアス算出部と、を備え、
前記演算部は、前記負荷値と算出された前記バイアスとを演算して、前記調整値を算出する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記ガスタービンの温度と、前記ガスタービンの周辺の大気温度と、前記燃料の発熱量のうち、少なくとも1つの値に基づいて、前記バイアスを補正する第1補正部と、
を備える請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ガスタービンが備える圧縮機サージと、前記燃料の安定性のうち、少なくとも1つの値に基づいて、前記バイアスを補正する第2補正部と、
を備える請求項1から請求項のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
負荷値取得部は、前記発電機にかかる外部電力系統の負荷の遮断が生じた場合、当該遮断後の当該発電機にかかる負荷の値である負荷値を取得する
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
ガスタービンにより発電する発電機が出力する電力の周波数が一定範囲となるように、前記ガスタービンの回転数に基づいて、前記ガスタービンへ供給する燃料の量を調整する制御装置において、
前記発電機にかかる負荷の遮断が生じた場合、当該遮断後の当該発電機にかかる負荷の値である負荷値を取得するステップと、
前記負荷値とバイアスとを演算して、当該負荷値とは異なる値である調整値を算出するステップと、
前記発電機に前記調整値に相当する電力を出力させる第1信号を出力して前記燃料の量を調整するステップと、
を有し、
前記調整するステップにおいて、前記第1信号を出力した後、前記発電機が出力する電力が前記調整値から前記負荷値に相当する値へ経時的に変化させる信号である第2信号を出力して前記燃料の量を調整し、
前記調整値は前記負荷値より低い負荷の値であり、
前記調整するステップにおいて、前記第1信号を出力することにより、前記負荷値に基づく量よりも少ない前記調整値に基づく量の前記燃料が前記ガスタービンに供給され、前記負荷値に相当する値の電力よりも低い前記調整値に相当する値の電力を前記発電機が出力し、
前記調整するステップにおいて、第1信号を出力した後に前記第2信号を出力することにより、前記バイアスに相当する燃料の量が徐々にゼロになり、前記ガスタービンへ供給する前記燃料の量を、前記調整値に基づく前記燃料の量から前記負荷値に基づく前記燃料の量に徐々に変化させ、前記発電機が出力する電力を前記調整値に相当する値から前記負荷値に相当する値へ経時的に変化させる
御方法。
【請求項7】
ガスタービンにより発電する発電機が出力する電力の周波数が一定範囲となるように、前記ガスタービンの回転数に基づいて、前記ガスタービンへ供給する燃料の量を調整する制御装置の、コンピュータを、
前記発電機にかかる負荷の遮断が生じた場合、当該遮断後の当該発電機にかかる負荷の値である負荷値を取得するステップと、
前記負荷値とバイアスとを演算して、当該負荷値とは異なる値である調整値を算出するステップと、
前記発電機が前記調整値に相当する電力を出力させる第1信号を出力して前記燃料の量を調整するステップと、
として実行させ、
前記調整するステップにおいて、前記第1信号を出力した後、前記発電機が出力する電力が前記調整値から前記負荷値に相当する値へ経時的に変化させる信号である第2信号を出力して前記燃料の量を調整し、
前記調整値は前記負荷値より低い負荷の値であり、
前記調整するステップにおいて、前記第1信号を出力することにより、前記負荷値に基づく量よりも少ない前記調整値に基づく量の前記燃料が前記ガスタービンに供給され、前記負荷値に相当する値の電力よりも低い前記調整値に相当する値の電力を前記発電機が出力し、
前記調整するステップにおいて、第1信号を出力した後に前記第2信号を出力することにより、前記バイアスに相当する燃料の量が徐々にゼロになり、前記ガスタービンへ供給する前記燃料の量を、前記調整値に基づく前記燃料の量から前記負荷値に基づく前記燃料の量に徐々に変化させ、前記発電機が出力する電力を前記調整値に相当する値から前記負荷値に相当する値へ経時的に変化させ
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電力系統事故による発電所内単独運転の発生時に、所内負荷量に応じた発電を行うことにより当該発電所内のタービンの運転制限内に負荷量を収める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-259366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工場等の所内への電力供給と外部電力系統への受電・送電を行う所内発電設備所では、外部電力系統の遮断により所内の発電機にかかる負荷が変動して、当該発電機が出力する電力の周波数が一時的に変動し得る。周波数を安定させるため、上記遮断後に発電機にかかる所内負荷に基づいて発電機が出力する電力を調整する技術が知られている。しかし、調整が行われても、遮断される外部電力系統の負荷が所内負荷に比べて大きい場合、慣性によって周波数が大きく変動し得る。
本開示の目的は、上述した課題を解決する制御装置、制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る制御装置は、ガスタービンにより発電する発電機が出力する電力の周波数が一定範囲となるように、ガスタービンの回転数に基づいて、ガスタービンへ供給する燃料の量を調整する制御装置であって、発電機にかかる負荷の遮断が生じた場合、当該遮断後の当該発電機にかかる負荷の値である負荷値を取得する負荷値取得部と、負荷値とバイアスとを演算して、当該負荷値とは異なる負荷の値である調整値を算出する演算部と、発電機に調整値に相当する電力を出力させる第1信号を出力して燃料の量を調整する指令部を備える。
【0006】
本開示に係る制御方法は、ガスタービンにより発電する発電機が出力する電力の周波数が一定範囲となるように、ガスタービンの回転数に基づいて、ガスタービンへ供給する燃料の量を調整する制御装置において、発電機にかかる負荷の遮断が生じた場合、当該遮断後の当該発電機にかかる負荷の値である負荷値を取得するステップと、負荷値とバイアスとを演算して、当該負荷値とは異なる値である調整値を算出するステップと、発電機に調整値に相当する電力を出力させる第1信号を出力して燃料の量を調整するステップを有する。
【0007】
本開示に係るプログラムは、ガスタービンにより発電する発電機が出力する電力の周波数が一定範囲となるように、ガスタービンの回転数に基づいて、ガスタービンへ供給する燃料の量を調整する制御装置の、コンピュータを、発電機にかかる負荷の遮断が生じた場合、当該遮断後の当該発電機にかかる負荷の値である負荷値を取得するステップと、負荷値とバイアスとを演算して、当該負荷値とは異なる値である調整値を算出するステップと、発電機が調整値に相当する電力を出力させる第1信号を出力して燃料の量を調整するステップとして実行させる。
【発明の効果】
【0008】
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、発電機にかかる負荷の遮断が生じた場合、発電機が出力する電力の周波数の変動を抑えて電力の周波数を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る制御システムの構成を示す図である。
図2】一実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
図3】一実施形態に係る発電機にかかる負荷を示すグラフである。
図4】一実施形態に係る燃焼器に供給する燃料の量を示すグラフである。
図5】一実施形態に係る発電機が出力する電力を示すグラフである。
図6】一実施形態に係る発電機が出力する電力の周波数を示すグラフである。
図7】一実施形態に係る制御システムの制御を示す回路図である。
図8】一実施形態に係る制御システムの動作を示すフローチャートである。
図9】一実施形態に係る発電機が出力する電力の周波数を示すグラフである。
図10】一実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
図11】一実施形態に係る制御システムの動作を示すフローチャートである。
図12】少なくとも一実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〈第1の実施形態〉
《制御システムの構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る制御システム1の構成を示す図である。
制御システム1は、所内電力系統10と、外部電力系統20と、制御装置100と、を備える。
【0011】
電力系統とは、発電機が出力した電力を受電設備に供給するための発電と、送電・受電を統合したシステムをいう。
制御システム1は、外部電力系統20にかかる負荷が遮断された場合、所内電力系統10にかかる負荷とバイアスを演算した値に係る燃料を供給するシステムである。これにより、制御システム1は、所内電力系統10が出力する電力の周波数の変動を抑えて電力の周波数を安定化することができる。
負荷とは、設備などが消費する電力をいう。
外部電力系統20にかかる負荷が遮断された場合、遮断されることにより変動する負荷を喪失負荷ともいう。
【0012】
所内電力系統10は、発電機500を備える工場設備所において発電し、所内設備600に電力を供給し、又、外部電力系統20から受電する。
外部電力系統20は、所内電力系統10から電力を受け入れ、又、所内電力系統10への電力を供給する。外部電力系統20は電線などにより所内電力系統10と接続する。
制御装置100は、発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、発電機500にかかる負荷とバイアスとを演算した値に基づいて発電機500に供給する燃料の量を調整する装置である。これにより、制御装置100は、発電機500が出力する電力の周波数の変動を抑えて電力の周波数を安定化することができる。
【0013】
《所内電力系統の構成》
以下、所内電力系統10の構成について説明する。
所内電力系統10は、ガスタービン30と、発電機500と、所内設備600と、を備える。
【0014】
ガスタービン30は、IGV(Inlet Guide Vane)31と、圧縮機32と、燃焼器33と、タービン34と、ロータ35と、燃料弁36を備える。
【0015】
IGV31は、圧縮機32の入口側に設けられ、圧縮機32に流入する空気流量を調整する。
圧縮機32は、流入した空気を圧縮して圧縮空気を生成する。
燃焼器33は、圧縮機32によって圧縮された空気と燃料を混合して、高温の燃焼ガスを生成する。上記燃料の例としては、軽油と、灯油と、天然ガスと、水素と、高炉の副生ガスと、石炭ガス化ガスと、が挙げられる。
タービン34は、燃焼ガスによりロータ35を回転し発電機500を駆動する。
ロータ35は、タービン34と発電機500を接続して、タービン34により回転することで、タービン34が生成した動力を発電機500に伝えて駆動させる。
燃料弁36は、燃焼器33に供給される燃料ガスの流量を調整する。
燃焼器33燃料弁36を介して供給された燃料を空気と混合して燃焼する事で高温高圧の燃焼ガスを生成する装置である。燃料弁36は制御装置から送信された信号を受けて燃焼器33に供給される燃料の流量を調整する弁である。
【0016】
発電機500は、ガスタービン30により生じた動力を用いて、電力を出力する装置である。発電機500は、所内設備600Aと所内設備600B、及びガスタービン30と、外部電力系統20と接続する。
所内設備600は、所内電力系統10が存在する工場設備所において、発電機500が出力した電力の供給により作動する機械設備である。
【0017】
所内電力系統10において電力を出力する設備は発電機500である。所内電力系統10において、電力を消費する設備は所内設備600Aと、所内設備600Bである。所内設備600Aの負荷を負荷L1という。所内設備600Bの負荷を負荷L2という。
【0018】
《外部電力系統》
外部電力系統20は、所内電力系統10の発電機500が出力した電力の供給を受けて負荷L3の電力を消費する設備と、所内電力系統10などに電力を供給する発電機(図示しない)を備える系統である。
【0019】
《制御装置の構成》
以下、制御装置100の構成について説明する。
図2は、制御装置100の構成を示す概略ブロック図である。
制御装置100は、回転数取得部110と、判定部120と、負荷値取得部130と、演算部140と、指令部150と、を備える。
【0020】
回転数取得部110は、ガスタービン30が備えるタービン34の回転数を取得する。
判定部120は、外部電力系統20の負荷の遮断が生じているか否かを判定する。例えば、判定部120は、所内電力系統10と外部電力系統20との間に設けられた遮断機(図示しない)と接続して、遮断機から遮断を示す信号を受け入れた場合、外部電力系統20の負荷の遮断が生じていると判定する。判定部120は、遮断機から遮断を示す信号を受けていない場合、外部電力系統20の負荷の遮断が生じていないと判定する。
【0021】
負荷値取得部130は、判定部120が外部電力系統20の負荷の遮断が生じていると判定した場合、負荷値を取得する。負荷値とは、外部電力系統20の負荷の遮断が生じている場合、発電機500にかかる負荷の値である。
【0022】
外部電力系統20の負荷の遮断が生じていない場合、発電機500にかかる負荷の値は、外部電力系統20の負荷の値と、所内電力系統10の負荷の値とを加算した値になる。すなわち、外部電力系統20の負荷の遮断が生じていない場合、発電機500にかかる負荷の値は、負荷L1と負荷L2と負荷L3とを加算した値である。
他方、外部電力系統20の負荷の遮断が生じている場合、発電機500にかかる負荷の値は、所内電力系統10の負荷の値となる。すなわち、外部電力系統20の負荷の遮断が生じている場合、発電機500にかかる負荷の値は、負荷L1とL2を加算した値となる。以下において、負荷L1と負荷L2を加算した値を所内負荷と称する。
【0023】
負荷値取得部130は、所内設備600Aと所内設備600Bと接続して、負荷L1の値と負荷L2の値を受け入れる。その後、負荷値取得部130は、負荷L1の値と負荷L2の値を加算することにより負荷値を取得する。すなわち、負荷値の値は所内負荷と同じ値になる。
【0024】
演算部140は、負荷値取得部130が取得した負荷値と、予め設定されたバイアスとを演算して調整値を算出する。調整値とは負荷値とは異なる負荷の値をいう。バイアスの例としては負の実数が挙げられる。すなわち、演算部140により所内負荷の値より低い値である調整値が算出される。調整値に相当する電力は所内負荷の値が示す電力より低い。演算部140による負荷値とバイアスとの演算の例としては、負荷値とバイアスとを加算して得られる値と、負荷値とバイアスとを乗算した値と、が挙げられる。
【0025】
指令部150は発電機500が出力する電力の周波数が一定範囲となるように、信号を燃料弁36に出力して燃焼器33に供給される燃料の量を調整する。上記一定範囲の例としては、49.5Hz以上且つ50.5Hz以下が挙げられる。
以下、指令部150の動作を具体的に説明する。
【0026】
指令部150は、発電機500が出力する電力の周波数が一定範囲となるように、回転数取得部110が取得したタービンの回転数に基づいて、信号を燃料弁36に出力して燃料の量を調整する。例えば、指令部150は、回転数取得部110が取得したタービンの回転数が一定範囲を超える場合、燃料の量を少なくする旨の信号を燃料弁36に出力する。これにより、燃料弁36が燃焼器33に供給する燃料の量は少なくなる。そのため、タービン34の回転数は低くなる。すなわち、指令部150はタービン34の回転数が一定範囲を超えた場合、回転数を一定範囲にすることができる。発電機500が出力する電力の周波数は、タービン34の回転数により変動する。そのため、指令部150の動作により、制御システム1は発電機500が出力する電力の周波数を一定範囲にすることができる。
【0027】
指令部150は、回転数取得部110が取得したタービン34の回転数が、予め設定された一定範囲より低い場合、燃料の量を多くする旨の信号を燃料弁36に出力する。これにより、燃料弁36が燃焼器33に供給する燃料の量は多くなる。そのため、タービン34の回転数は高くなる。すなわち、指令部150は、タービン34の回転数が一定範囲より低い場合、回転数を一定範囲とすることができる。そのため、指令部150の動作により、制御システム1は発電機500が出力する電力の周波数を一定範囲にすることができる。
【0028】
また、指令部150は、外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合、発電機500に調整値に相当する電力を出力させる第1信号を燃料弁36に出力して燃焼器33に供給される燃料の量を調整する。
以下において、指令部150が第1信号を出力することにより燃料の量を調整する場合の制御システム1の動作を説明する。
【0029】
外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合、判定部120は外部電力系統20の負荷の遮断が生じていると判定する。その後、負荷値取得部130は負荷値を取得する。演算部140は、負荷値取得部130が取得した負荷値とバイアスに基づいて調整値を算出する。指令部150は、発電機500が調整値に相当する電力を出力するように、第1信号を燃料弁36に出力して燃焼器33に供給される燃料の量を調整する。
【0030】
外部電力系統20の負荷の遮断が生じていない場合、発電機500が出力する電力は、所内負荷と負荷L3の値を加算した値に相当する。他方、外部電力系統20の負荷の遮断が生じている場合、指令部150から第1信号を燃料弁36は、燃料指令値として受け入れて燃焼器33に供給する燃料の量を調整する。これにより、発電機500が出力する電力は、所内負荷に相当することになる。
【0031】
図3は、外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合、発電機500にかかる負荷の変動を示すグラフである。図3のグラフの縦軸は発電機500にかかる負荷を示す。図3のグラフの横軸は時刻を示す。図3の時刻Cは外部電力系統20の負荷の遮断が生じた時刻を示す。
図3に示すように発電機500にかかる負荷は時刻Cから低くなる。時刻Cの前に発電機500にかかる負荷は所内負荷と負荷L3の値を加算した値である。他方、時刻Cにおいて負荷L3が遮断されると喪失負荷が生じて、発電機500にかかる負荷は低くなる。すなわち、時刻Cの後において、発電機500にかかる負荷は所内負荷の値になる。
【0032】
図4は外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合、燃料弁36は燃料指令値により燃焼器33に供給される燃料の量を示すグラフである。図4のグラフの縦軸は燃料弁36により燃焼器33に供給される燃料の量を示す。図4のグラフの横軸は時刻を示す。図4のグラフの実線は制御システム1の燃焼器33に供給される燃料の量を示す。図4のグラフの点線は制御システム1以外のシステム(以下、他のシステムと称する)により燃料の量を調整した場合、他のシステムの燃焼器に供給する燃料の量を示す。他のシステムは、調整値に基づいて燃料の量を調整する制御システム1と異なり、負荷値に基づいて燃焼器に供給する燃料の量を調整する。他のシステムと制御システム1は、上記説明の燃料の量の調整以外にかかる構成は同様である。
【0033】
図3に示すように、時刻Cにおいて発電機500にかかる負荷は喪失負荷の分だけ低くなる。そのため、負荷値取得部130は所内負荷の値を負荷値として取得する。演算部140は取得した負荷値とバイアスを演算して調整値を算出する。指令部150は調整値に基づいて、燃料の量を示す第1信号を燃料弁36に出力する。図4に示すように、第1信号を燃料弁36は燃料指令値として受け入れて、燃焼器33に供給する燃料の量を少なくする。
【0034】
他のシステムの燃料弁も、時刻Cにおいて燃焼器に供給する燃料の量を少なくする。しかし、調整値ではなく負荷値に基づいて燃料の量を調整する他のシステムは、制御システム1より多くの燃料の量を時刻C以降に燃焼器に供給する。制御システム1は調整値に基づいて燃料の量を燃焼器33に供給するため、負荷値に基づいて燃料の量を調整する他のシステムよりも、バイアスに相当する分だけ少ない燃料を燃焼器33に供給することになる。
【0035】
時刻C以降、制御システム1の指令部150は、発電機500が出力する電力が調整値から負荷値に相当する値へ経時的に変化させる信号である第2信号を出力して燃料の量を調整する。これにより、信号を燃料指令値として受け入れた燃料弁36は燃焼器33に供給する燃料の量を調整する。すなわち、バイアスに相当する燃料の分が徐々にゼロになる。
同様に、時刻C以降、他のシステムの指令部も、発電機が出力する電力の周波数が一定範囲となるように、燃料弁に信号を出力する。これにより、信号を受け入れた燃料弁は燃焼器に供給する燃料の量を調整する。
時刻Cにおいて、制御システム1の燃料弁36と、他のシステムの燃料弁が供給する燃料の量は相違する。しかし、時刻C以降における所内負荷は同様であるため、制御システム1の燃料弁36、他のシステムの燃料弁が供給する燃料の量は同様になる。
【0036】
図5は、外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合、発電機500が出力する電力を示すグラフである。図5のグラフの縦軸は発電機500が出力する電力を示す。図5のグラフの横軸は時刻を示す。図5のグラフの実線は制御システム1の発電機500が出力する電力を示す。図5のグラフの点線は他のシステムの発電機が出力する電力を示す。
【0037】
時刻C以前において、発電機500が出力する電力は所内負荷の値に負荷L3の値を加算した値に相当する。他方、時刻Cにおいて喪失負荷の分の負荷が遮断されると、発電機500が出力する電力は調整値に相当するようになる。時刻Cから一定時間が経過すると、指令部150が出力する信号により、発電機500が出力する電力は所内負荷に相当するようになる。
他方、他のシステムの発電機が時刻C以降に出力する電力は所内負荷に相当する。すなわち、他のシステムの発電機が時刻C以降に出力する電力は制御システム1の発電機500が時刻C以降に出力する電力よりバイアスに相当する分多い。時刻Cから一定時間が経過すると、制御システム1の発電機500と他のシステムの発電機が出力する電力は同様になる。
【0038】
図6は、外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合、発電機500が出力する電力の周波数を示すグラフである。図6のグラフの縦軸は発電機500が出力する電力の周波数を示す。図6のグラフの横軸は時刻を示す。図6のグラフの実線は制御システム1の発電機500が出力する電力の周波数を示す。図6のグラフの点線は他のシステムの発電機が出力する電力の周波数を示す。
時刻C以前において発電機500が出力する電力の周波数は、指令部150が出力する信号により一定範囲に保たれる。時刻Cの直後、発電機500が出力する電力の周波数は一時的に大きくなる。発電機500にかかる負荷は、図3に示すように時刻Cから喪失負荷の分低くなるが、発電機500が出力する電力は図5に示すように時刻Cから一定時間をかけて徐々に低くなる。そのため、時刻Cの直後、発電機500が出力する電力に余剰分が発生し、当該余剰分による慣性などにより、発電機500が出力する電力の周波数は一時的に大きくなる。
【0039】
図5に示すように、時刻Cから一定時間の経過まで、制御システム1の発電機500が出力する電力は、他のシステムの発電機が出力する電力より低い。これにより、時刻Cから一定時間の経過まで、制御システム1の発電機500が出力する電力の余剰分は、他のシステムの発電機が出力する電力の余剰分より少ない。そのため、時刻Cから一定時間の経過まで、制御システム1の発電機500が出力する電力の周波数の変動は、他のシステムの発電機が出力する電力の周波数の変動より小さい。すなわち、外部電力系統20の負荷が遮断された場合、制御システム1は他のシステムに比べて、発電機500が出力する電力の周波数の変動を抑えて電力の周波数を安定化することができる。
【0040】
図7は、制御システム1の制御を示す回路図である。
制御システム1が通常運転の場合、制御システム1はタービンの回転数に基づいて燃料指令を発令する。これにより、制御システム1は発電機500が出力する電力の周波数が一定範囲となるように調整する。
他方、外部電力系統20の負荷の遮断が発生した場合、制御システム1は、所内負荷とバイアスとに基づいて燃料指令を発令する。
【0041】
《制御システムの動作》
以下、外部電力系統20の負荷が遮断された場合の制御システム1の動作について説明する。
図8は、外部電力系統20の負荷が遮断された場合の制御システム1の動作を示すフローチャートである。
【0042】
外部電力系統20の負荷が遮断される。その後、判定部120は遮断機から遮断を示す信号を受け入れて、外部電力系統20の負荷の遮断が生じていると判定する(ステップS1)。
負荷値取得部130は所内設備600Aと所内設備600Bから負荷値を取得する(ステップS2)。すなわち、負荷値取得部130は発電機500にかかる負荷の値を取得することにより負荷値を取得する。
【0043】
演算部140は、ステップS2で負荷値取得部130が取得した負荷値と、予め設定されたバイアスとを演算して調整値を算出する(ステップS3)。
指令部150は、ステップS3で算出された調整値に基づいて第1信号を燃料弁36に出力する(ステップS4)。
【0044】
ステップS4の信号を受け入れた燃料弁36は、燃焼器33に供給する燃料の量を調整する(ステップS5)。すなわち、燃料弁36はステップS4で出力された信号を燃料指令値として受け入れて燃焼器33に供給する燃料の量を少なくする。
ステップS5において燃焼器33に供給する燃料の量が少なったため、発電機500が出力する電力が低くなる(ステップS6)。ステップS6により、発電機500が出力する電力は所内負荷からバイアスを減算した値に相当するようになる。
【0045】
指令部150は、発電機500が出力する電力が所内負荷に相当するように信号を出力する(ステップS7)。これにより、ステップS6から一定時間が経過すると、発電機500が出力する電力が負荷値に相当するようになる。
【0046】
外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合、制御システム1は、発電機500が出力する電力を調整値に相当するように調整する。これにより、外部電力系統20の負荷の遮断の直後における、発電機500が出力する電力の余剰分は少なくなる。そのため、制御システム1は、発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、発電機500が出力する電力の周波数の変動を抑えて電力の周波数を安定化することができる。
【0047】
制御システム1において、制御装置100はガスタービン30に設けられる構成であっても良い。この場合においても、制御装置100の指令部150は、発電機500に調整値に相当する電力を出力させる第1信号を、燃料弁36に対して出力することにより、燃焼器33に供給される燃料の量を調整する。
【0048】
《変形例》
指令部150は第1信号を出力した後、発電機500が負荷値に相当する電力を出力するように複数回の信号を出力して燃料の量を調整しても良い。
図9は変形例に係る制御システム1の発電機500が担う単独運転系統の周波数を示すグラフである。
例えば、図9に示すように、指令部150は時刻Cにおいて第1信号を送信した後、3回の信号を、時刻T1と時刻T2と時刻T3に出力して発電機500が担う単独運転系統の周波数は段階的に調整しても良い。
【0049】
《作用・効果》
本開示に係る制御装置100は、ガスタービン30により発電する発電機500が出力する電力の周波数が一定範囲となるように、ガスタービン30の回転数に基づいて、ガスタービン30へ供給する燃料の量を調整する制御装置100であって、発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、当該遮断後の当該発電機500にかかる負荷の値である負荷値を取得する負荷値取得部130と、負荷値とバイアスとを演算して、当該負荷値とは異なる負荷の値である調整値を算出する演算部140と、発電機500に調整値に相当する電力を出力させる第1信号を出力して燃料の量を調整する指令部150を備える。
【0050】
発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、制御装置100は、発電機500が出力する電力を調整値に相当するように調整する。これにより、発電機500にかかる負荷の遮断の直後における、発電機500が出力する電力の余剰分は少なくなる。そのため、制御装置100は、発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、発電機500が出力する電力の周波数の変動を抑えて電力の周波数を安定化することができる。
【0051】
本開示に係る制御装置100の指令部150は第1信号を出力した後、発電機500が出力する電力が調整値から負荷値に相当する値へ経時的に変化させる信号である第2信号を出力して燃料の量を調整する。
これにより、制御装置100は、外部電力系統の負荷の遮断が生じた場合、当該遮断前後における発電機500が出力する電力の周波数の変動を少なくすることができる。
【0052】
また、制御装置100の負荷値取得部130は、発電機500にかかる外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合、当該遮断後の当該発電機500にかかる負荷の値である負荷値を取得する。
【0053】
外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合、制御装置100は、発電機500が出力する電力を調整値に相当するように調整する。これにより、外部電力系統20の負荷の遮断の直後における、発電機500が出力する電力の余剰分は少なくなる。そのため、制御装置100は、外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合、発電機500が出力する電力の周波数の変動を抑えて電力の周波数を安定化することができる。
【0054】
〈第2の実施形態〉
《制御システムの構成》
以下、第2の実施形態に係る制御システム1について説明する。
第2の実施形態に係る制御システム1は、外部電力系統20の負荷の遮断により減少した発電機500の負荷の値と、バイアスとが比例するようにバイアスを算出する。制御システム1は、算出されたバイアスに基づいて調整値を演算して、発電機500が調整値に相当する電力を出力するように第1信号を燃料弁36に送信するシステムである。
【0055】
第2の実施形態に係る制御システム1の制御装置100の構成は、第1の実施形態に係る制御システム1の制御装置100の構成に加えて、バイアス算出部160と、を備える構成である。
図10は、第2の実施形態に係る制御装置100の構成を示す概略ブロック図である。
【0056】
バイアス算出部160は、外部電力系統20の負荷の遮断により減少した発電機500の負荷の値(以下、減少値と称する)とバイアスとが比例するように、バイアスを算出する。例えば、バイアス算出部160は制御装置100が備える記憶装置(図示しない)が記憶している負荷L1と負荷L2と負荷L3と加算した値から、負荷値を減算することにより、減少値を求める。外部電力系統20の負荷の遮断による減少値は負荷L3と同じ値である。その後、バイアス算出部160は、求められた減少値に、予め設定された係数を乗算することにより、バイアスを算出する。上記係数の例としては、1以上の実数が挙げられる。このようにバイアスを算出することにより、バイアス算出部160が算出したバイアスは、減少値と比例することになる。
バイアス算出部160は乗算以外の演算によりバイアスを算出しても良い。
【0057】
《制御システムの動作》
以下、外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合の制御システム1の動作について説明する。
図11は、外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合の制御システム1の動作を示すフローチャートである。
【0058】
ステップS1からステップS2まで、及び、ステップS3からステップS9までにおける動作は、第1の実施形態に係る制御システム1のステップS1からステップS2まで、及び、ステップS3からステップS9までにおける動作と同様である。
【0059】
バイアス算出部160は、ステップS2で特定された負荷値と、記憶装置が記憶している負荷L1と負荷L2と負荷L3と加算した値に基づいて減少値を求める。また、バイアス算出部160は、求められた減少値に予め設定された係数を乗算することによりバイアスを算出する(ステップS21)。
ステップS3において演算部140が調整値を算出する場合に用いられるバイアスは、ステップS21で算出されたバイアスである。
【0060】
制御システム1は、外部電力系統20の負荷の遮断による減少値に基づいて算出されたバイアスに基づいて調整値を算出する。また、制御システム1は発電機500が算出する電力が調整値に相当するように燃料弁36に第1信号を出力する。これにより、制御システムは、外部電力系統20の負荷の遮断による減少の値に応じて、発電機500が出力する電力を調整することができ、より当該電力の周波数を安定化することができる。
【0061】
《作用・効果》
本開示に係る制御装置100は、遮断により減少した発電機500の負荷の値とバイアスとが比例するようにバイアスを算出するバイアス算出部160と、を備え、演算部140は、負荷値と算出されたバイアスとを演算して、調整値を算出する。
【0062】
制御装置100は、外部電力系統20の負荷の遮断による減少値に基づいて算出されたバイアスに基づいて調整値を算出する。また、制御装置100は発電機500が算出する電力が調整値に相当するように燃料弁36に第1信号を出力する。これにより、制御装置100は、外部電力系統20の負荷の遮断による減少の値に応じて、発電機500が出力する電力を調整することができ、より当該電力の周波数を安定化することができる。
【0063】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
【0064】
制御装置100は、発電機500と、ガスタービン30の少なくとも1つに係る運転条件に基づいてバイアスを算出しても良い。運転条件の例としては、大気温度と、発電機500の温度と、ガスタービン30の温度と、燃料発熱量と、が挙げられる。例えば、制御装置100は、ガスタービンの温度と、ガスタービンの周辺の大気温度と、燃料の発熱量のうち、少なくとも1つの値に基づいて、バイアスを補正する第1補正部と、を備えても良い。
制御装置100は、上記のようにバイアスを算出することにより、運転条件に適した調整値に基づいて発電機500が出力する電力を調整することができ、当該電力の周波数を安定化できる。
【0065】
また、制御装置100は、圧縮機32のサージや燃焼器33の燃焼安定性などのガスタービン30の制約条件に基づいてバイアスを算出しても良い。例えば、制御装置100は、ガスタービンが備える圧縮機サージと、燃料の安定性のうち、少なくとも1つの値に基づいて、バイアスを補正する第2補正部を備えても良い。
制御装置100は、上記のようにバイアスを算出することにより、ガスタービン30の制約条件に適した調整値に基づいて発電機500が出力する電力を調整することができ、当該電力の周波数を安定化できる。
【0066】
〈コンピュータ構成〉
図12は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ1100は、プロセッサ1110、メインメモリ1120、ストレージ1130、インタフェース1140を備える。
上述の制御システム1は、コンピュータ1100に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0067】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0068】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース1140または通信回線を介してコンピュータに接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ1130は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0069】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0070】
〈付記〉
各実施形態に記載の制御装置100は、例えば以下のように把握される。
【0071】
(1)本開示に係る制御装置100は、ガスタービン30により発電する発電機500が出力する電力の周波数が一定範囲となるように、ガスタービン30の回転数に基づいて、ガスタービン30へ供給する燃料の量を調整する制御装置100であって、発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、当該遮断後の当該発電機500にかかる負荷の値である負荷値を取得する負荷値取得部130と、負荷値とバイアスとを演算して、当該負荷値とは異なる負荷の値である調整値を算出する演算部140と、発電機500に調整値に相当する電力を出力させる第1信号を出力して燃料の量を調整する指令部150を備える。
【0072】
発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、制御装置100は、発電機500が出力する電力を調整値に相当するように調整する。これにより、発電機500にかかる負荷の遮断の直後における、発電機500が出力する電力の余剰分は少なくなる。そのため、制御装置100は、発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、発電機500が出力する電力の周波数の変動を抑えて電力の周波数を安定化することができる。
【0073】
(2)本開示に係る制御装置100の指令部150は第1信号を出力した後、発電機500が出力する電力が調整値から負荷値に相当する値へ経時的に変化させる信号である第2信号を出力して燃料の量を調整する。
これにより、制御装置100は、外部電力系統の負荷の遮断が生じた場合、当該遮断前後における発電機500が出力する電力の周波数の変動を少なくすることができる。
【0074】
(3)また、制御装置100の負荷値取得部130は、発電機500にかかる外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合、当該遮断後の当該発電機500にかかる負荷の値である負荷値を取得する。
【0075】
外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合、制御装置100は、発電機500が出力する電力を調整値に相当するように調整する。これにより、外部電力系統20の負荷の遮断の直後における、発電機500が出力する電力の余剰分は少なくなる。そのため、制御装置100は、外部電力系統20の負荷の遮断が生じた場合、発電機500が出力する電力の周波数の変動を抑えて電力の周波数を安定化することができる。
【0076】
(4)本開示に係る制御装置100は、遮断により減少した発電機500の負荷の値とバイアスとが比例するようにバイアスを算出するバイアス算出部160と、を備え、演算部140は、負荷値と算出されたバイアスとを演算して、調整値を算出する。
【0077】
制御装置100は、外部電力系統20の負荷の遮断による減少値に基づいて算出されたバイアスに基づいて調整値を算出する。また、制御装置100は発電機500が算出する電力が調整値に相当するように燃料弁36に第1信号を出力する。これにより、制御システムは、外部電力系統20の負荷の遮断による減少の値に応じて、発電機500が出力する電力を調整することができ、より当該電力の周波数を安定化することができる。
【0078】
(5)制御装置100は、ガスタービンの温度と、ガスタービンの周辺の大気温度と、燃料の発熱量のうち、少なくとも1つの値に基づいて、バイアスを補正する第1補正部と、を備える。
【0079】
これにより、制御装置100は、ガスタービンの温度や大気温度などの運転条件に基づいてバイアスを補正することができ、より発電機500が出力する電力の周波数を安定化することができる。
【0080】
(6)制御装置100は、ガスタービンが備える圧縮機サージと、燃料の安定性のうち、少なくとも1つの値に基づいて、バイアスを補正する第2補正部を備える。
これにより、制御装置100は、圧縮機サージ等のガスタービンの制約条件に基づいて、バイアスを補正することができ、より発電機500が出力する電力の周波数を安定化することができる。
【0081】
(7)本開示に係る制御方法は、ガスタービン30により発電する発電機500が出力する電力の周波数が一定範囲となるように、ガスタービン30の回転数に基づいて、ガスタービン30へ供給する燃料の量を調整する制御装置100において、発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、当該遮断後の当該発電機500にかかる負荷の値である負荷値を取得するステップと、負荷値とバイアスとを演算して、当該負荷値とは異なる値である調整値を算出するステップと、発電機500に調整値に相当する電力を出力させる第1信号を出力して燃料の量を調整するステップを有する。
【0082】
発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、制御方法のユーザは、発電機500が出力する電力を調整値に相当するように調整できる。これにより、発電機500にかかる負荷の遮断の直後における、発電機500が出力する電力の余剰分は少なくなる。そのため、制御方法のユーザは、発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、発電機500が出力する電力の周波数の変動を抑えて電力の周波数を安定化することができる。
【0083】
(8)本開示に係るプログラムは、ガスタービン30により発電する発電機500が出力する電力の周波数が一定範囲となるように、ガスタービン30の回転数に基づいて、ガスタービン30へ供給する燃料の量を調整する制御装置100の、コンピュータを、発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、当該遮断後の当該発電機500にかかる負荷の値である負荷値を取得するステップと、負荷値とバイアスとを演算して、当該負荷値とは異なる値である調整値を算出するステップと、発電機500が調整値に相当する電力を出力させる第1信号を出力して燃料の量を調整するステップとして実行させる。
【0084】
発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、プログラムのユーザは、発電機500が出力する電力を調整値に相当するように調整できる。これにより、発電機500にかかる負荷の遮断の直後における、発電機500が出力する電力の余剰分は少なくなる。そのため、プログラムのユーザは、発電機500にかかる負荷の遮断が生じた場合、発電機500が出力する電力の周波数の変動を抑えて電力の周波数を安定化することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 制御システム
10 所内電力系統
20 外部電力系統
30 ガスタービン
100 制御装置
110 回転数取得部
120 判定部
130 負荷値取得部
140 演算部
150 指令部
160 バイアス算出部
31 IGV
32 圧縮機
33 燃焼器
34 タービン
35 ロータ
36 燃料弁
500 発電機
600 所内設備
1100 コンピュータ
1110 プロセッサ
1120 メインメモリ
1130 ストレージ
1140 インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12