(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
A63F7/02 315A
A63F7/02 312Z
A63F7/02 334
(21)【出願番号】P 2020066972
(22)【出願日】2020-04-02
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391010943
【氏名又は名称】株式会社藤商事
(74)【代理人】
【識別番号】110001645
【氏名又は名称】弁理士法人谷藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】服部 翼
【審査官】山田 克典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-126409(JP,A)
【文献】特開2015-131186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域に向けて遊技球を発射可能な発射手段と、
前記遊技領域内に設けられ且つ遊技球が転動可能な傾斜転動路と、
前記傾斜転動路の上流側、下流側又は途中に設けられた上向き開口状の入賞口と、
前記入賞口を開閉可能な開閉部材と、
前記入賞口に入賞した遊技球を検出する遊技球検出手段と、
前記開閉部材の開閉動作を制御する開閉制御手段とを備え、
前記開閉部材は、前記入賞口を閉鎖する閉状態では遊技球を前記傾斜転動路に沿う方向の下流側に向けて案内し、前記閉状態から開状態に変化したとき、当該開閉部材の上に存在する遊技球を前記入賞口内に落下させることが可能に構成され、
前記開閉制御手段は、所定遊技開始条件が成立した場合に、前記遊技球検出手段による遊技球の検出個数が所定上限個数に達するか、前記開閉部材における前記開状態の回数が所定上限回数に達するまで、前記開閉部材による前記開状態と前記閉状態とを交互に繰り返す連続開閉動作を実行するように構成された
遊技機において、
前記連続開閉動作中における前記閉状態の継続時間を、第1継続時間とそれよりも短い第2継続時間とに切替可能であり、
前記第2継続時間を、前記発射手段により遊技球を連続的に発射する際の発射間隔よりも短い値に設定し、
前記連続開閉動作における切替条件成立後の一又は複数回の前記閉状態の各継続時間を
前記第2継続時間とし、前記切替条件成立前の前記閉状態の各継続時間
を前記第1継続時間とした
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機では、遊技球が転動可能な傾斜転動路上にスライドアタッカー等の入賞手段を配置したものが知られている(特許文献1)。スライドアタッカーは、傾斜転動路上に設けられた上向き開口状の入賞口と、その入賞口を前後方向等のスライド移動により開閉可能な開閉部材と、入賞口に入賞した遊技球を検出する入賞検出手段とを備え、所定遊技開始条件が成立した場合(例えば小当り当選の場合)に、入賞検出手段による遊技球の検出個数が所定上限個数(例えば10個)に達するか、開閉部材における開状態の回数が所定上限回数(例えば14回)に達するまで、開閉部材による開状態と閉状態とを交互に繰り返す連続開閉動作を実行するように構成されている。
このような構成を採用することにより、開閉部材が閉状態のときにその上に乗った遊技球を、開閉部材が開状態に切り替わることによって入賞口内に落下させることができるため、小当り時等における開放時間の合計を規則上の上限開放時間内に収めつつ、遊技球を所定上限個数まで容易に入賞させることが可能であり、また遊技球が入賞可能な期間を実質的に長くすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したスライドアタッカーのように、遊技球が転動可能な傾斜転動路上に配置され、開閉部材が閉状態のときにその上に乗った遊技球を、開閉部材が開状態に切り替わることによって入賞口内に落下させるように構成された入賞手段の場合、開閉部材が閉じる際に、その開閉部材の前端と入賞口の前壁との2点、或いはそれらと入賞口下流端側の側壁との3点で遊技球を噛んでしまう場合があった。ここで、前者の2点での球噛みについては球の自重や後続の球との接触によって自然に解消される場合が殆どであるのに対し、後者の3点での球噛み(以下、3点噛みという)はより強固で、自然には解消されない場合が多い。
また、このような球噛みが実際上問題となるのは、連続開閉動作における最終の開放動作後に発生する場合である。連続開閉動作の途中で発生する球噛みについては、直後の開放動作で確実に解消されるため、特に問題はない。ここで、球噛みが問題となる最終の開放動作とは、連続開閉動作における所定上限回数目(例えば14回目)の開放動作はもちろん、所定上限個数目(例えば10個目)の遊技球が入賞したにも拘わらずその検出が遅れた場合に行われる次の開放動作(以下、余剰開放動作という)も含まれる。
なお、上述のような3点噛みに対する防止策としては、閉状態中の開閉部材上を遊技球が転動する際に抵抗となる凹凸形状等を設けることにより、その閉状態中に遊技球が入賞口の下流端側まで到達し難くすることや、入賞検出手段の個数を増やすなどして遊技球の入賞から検出までの時間を短くし、余剰開放動作が発生する可能性を低くするなどが考えられるが、何れも構造上の制約やコストアップが問題となる他、凹凸形状等を設ける場合には新たな球噛みの原因となる可能性もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、連続開閉動作の最終の開放動作後における球噛み(特に3点噛み)を効果的に防止することが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、遊技領域に向けて遊技球を発射可能な発射手段と、前記遊技領域内に設けられ且つ遊技球が転動可能な傾斜転動路と、前記傾斜転動路の上流側、下流側又は途中に設けられた上向き開口状の入賞口と、前記入賞口を開閉可能な開閉部材と、前記入賞口に入賞した遊技球を検出する遊技球検出手段と、前記開閉部材の開閉動作を制御する開閉制御手段とを備え、前記開閉部材は、前記入賞口を閉鎖する閉状態では遊技球を前記傾斜転動路に沿う方向の下流側に向けて案内し、前記閉状態から開状態に変化したとき、当該開閉部材の上に存在する遊技球を前記入賞口内に落下させることが可能に構成され、前記開閉制御手段は、所定遊技開始条件が成立した場合に、前記遊技球検出手段による遊技球の検出個数が所定上限個数に達するか、前記開閉部材における前記開状態の回数が所定上限回数に達するまで、前記開閉部材による前記開状態と前記閉状態とを交互に繰り返す連続開閉動作を実行するように構成された遊技機において、前記連続開閉動作中における前記閉状態の継続時間を、第1継続時間とそれよりも短い第2継続時間とに切替可能であり、前記第2継続時間を、前記発射手段により遊技球を連続的に発射する際の発射間隔よりも短い値に設定し、前記連続開閉動作における切替条件成立後の一又は複数回の前記閉状態の各継続時間を前記第2継続時間とし、前記切替条件成立前の前記閉状態の各継続時間を前記第1継続時間としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、連続開閉動作の最終の開放動作後における球噛み(特に3点噛み)を効果的に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ機の全体斜視図である。
【
図3】同パチンコ機の第2大入賞手段及びその近傍の正面断面図である。
【
図4】同パチンコ機の第2大入賞手段及びその近傍の平面断面図である。
【
図5】同パチンコ機の第2大入賞手段及びその近傍の側面断面図である。
【
図6】同パチンコ機の第2大入賞手段で球噛み(3点噛み)が発生した状態を示す平面断面図である。
【
図8】同パチンコ機の第1特別図柄における大当り/小当り態様の種類毎の選択率、大当り/小当り開放パターン及び時短回数の設定例を示す図である。
【
図9】同パチンコ機の第2特別図柄における大当り/小当り態様の種類毎の選択率、大当り/小当り開放パターン及び時短回数の設定例を示す図である。
【
図10】同パチンコ機の小当り開放パターン毎の第2大入賞手段の開閉動作を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1~
図10は本発明をいわゆる1種2種混合タイプのパチンコ機に採用した一実施形態を例示している。
図1において、遊技機本体1は、正面視矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に左右一側、例えば左側のヒンジ3により開閉自在に枢着された前枠4とを備えている。前枠4の前側には、ガラス扉5と前面板6とが上下に隣接するように配置され、夫々ヒンジ3と同じ側のヒンジ7により前枠4に開閉自在に枢支されている。もちろん、ガラス扉5と前面板6とを一つの扉体として一体に開閉可能としてもよい。
【0009】
前面板6の前側には、払い出し手段(図示省略)から払い出された遊技球を貯留して発射手段(図示省略)に供給する上皿8が上部側に配置され、またその上皿8の下側には、例えば上皿8が満杯のときにその余剰球を貯留する下皿9が左端側に、発射ハンドル10が右端側に夫々配置されている。発射ハンドル10は、発射手段を作動させるためのもので、遊技者がこの発射ハンドル10を把持して回転操作することによってその操作量に応じた発射強度となるように発射手段が作動し、上皿8から供給される遊技球が所定の発射間隔(例えば0.6秒)で遊技領域18に向けて連続的に発射される。また、上皿8等を前側から覆う上皿カバー11上には、演出用の操作ボタン12,13、球貸し操作部14等が配置されている。
【0010】
前枠4には、ガラス扉5の後側に対応して遊技盤15(
図2)が例えば前側から着脱自在に装着されている。遊技盤15は、ベニヤ板等のベース板16を備え、そのベース板16の前側に、発射手段により発射された遊技球を案内するガイドレール17が環状に配置されると共に、そのガイドレール17の内側の遊技領域18に、中央表示枠ユニット21、始動入賞ユニット22、大入賞ユニット23、普通入賞ユニット24等のユニット部品の他、多数の遊技釘(図示省略)が配置されている。
【0011】
遊技盤15の複数のユニット部品21~24上には、普通図柄始動手段31、第1特別図柄始動手段32、第2特別図柄始動手段33、第1大入賞手段34、第2大入賞手段35、普通入賞手段36、普通図柄表示手段37、普通保留個数表示手段38、第1特別図柄表示手段39、第2特別図柄表示手段40等が設けられている。またベース板16の後側には、液晶表示手段(画像表示手段の一例)41、可動演出手段42等が配置されている。
【0012】
中央表示枠ユニット21は、液晶表示手段41及び可動演出手段42の表示枠を構成するもので、後側の液晶表示手段41に対応する開口窓43が略中央に形成されており、ベース板16に形成された前後方向貫通状の装着孔(図示省略)に対して前側から着脱自在に装着されている。この中央表示枠ユニット21は、
図2に示すように、ベース板16の前面に沿って装着孔の外側に配置され且つその前側を遊技球が通過可能な前面装着板44と、液晶表示手段41の前側における左右両側から上部側にわたる正面視略門形状に配置され且つ前面装着板44の内周側で前向きに突設された装飾枠45と、その装飾枠45の左右の下端部間に配置されるステージ46とを備えている。発射手段により発射され、遊技領域18の上部側に進入した遊技球は、装飾枠45の頂部で左右に振り分けられ、中央表示枠ユニット21の左側の左流下経路47aと右側の右流下経路47bとの何れかを流下する。
【0013】
中央表示枠ユニット21には、左流下経路47a側と右流下経路47b側との少なくとも一方側、例えば左流下経路47a側に、遊技球が流入可能なワープ入口48が設けられている。左流下経路47aを流下中にワープ入口48に流入した遊技球は、ステージ46上で左右方向に自由に転動した後、遊技領域18の左右方向中央に対応して設けられた中央落下部49とそれ以外の部分との何れかから前側に落下する。
【0014】
可動演出手段42は、任意の立体形状に形成された可動体42aを備えている。可動体42aは、図示しない駆動手段の駆動により、所定の原点位置を起点として液晶表示手段41の前側を移動可能に構成されている。
【0015】
中央表示枠ユニット21の下側には、ガイドレール17の内側に沿って左右方向の中央に始動入賞ユニット22が、右側に大入賞ユニット23が、左側に普通入賞ユニット24が夫々配置されている。
【0016】
普通図柄始動手段31は、普通図柄表示手段37による普通図柄の変動表示を開始させるためのもので、遊技球が通過可能な通過ゲート等により構成され、遊技球の通過を検出する遊技球検出手段50を備えており、右流下経路47b上に配置されている。
【0017】
普通図柄表示手段37は、普通図柄を変動表示するためのもので、例えば2個のLEDで構成されており、普通図柄始動手段31が遊技球を検出すること、即ち遊技球が普通図柄始動手段31を通過し、遊技球検出手段50がその遊技球を検出することを条件に、普通図柄を構成する2個のLEDが普通変動中発光パターンで発光した後、普通図柄始動手段31による遊技球検出時に取得された普通乱数情報に含まれる当り判定乱数値が予め定められた当り判定値と一致する場合には当り態様で、それ以外の場合にははずれ態様で変動を停止する。なお、普通図柄を構成する2個のLEDは、それらの発光態様(例えば点灯/消灯)の組み合わせにより一又は複数の当り態様と一又は複数のはずれ態様とを表示可能である。
【0018】
また、普通図柄表示手段37の図柄変動中と後述する普通利益状態中とを含む普通保留期間中に普通図柄始動手段31が遊技球を検出した場合には、それによって取得された普通乱数情報が予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として保留記憶され、普通保留期間が終了する毎に1個ずつ消化されて普通図柄の変動が行われる。普通乱数情報の記憶個数(普通保留個数)は、普通保留個数表示手段38等によって遊技者に報知される。
【0019】
第1特別図柄始動手段32は、第1特別図柄表示手段39による図柄変動を開始させるためのもので、開閉手段を有しない非作動式入賞手段により構成され、入賞した遊技球を検出する遊技球検出手段51を備えている。この第1特別図柄始動手段32は、例えば始動入賞ユニット22に設けられ、ステージ46の中央落下部49に対応してその下側に上向き開口状に配置されており、左流下経路47a側のワープ入口48からステージ46を経て入賞するルートが存在すること等により、右流下経路47bを流下してきた遊技球よりも左流下経路47aを流下してきた遊技球の方が高い確率で入賞可能となっている。なお、この第1特別図柄始動手段32に遊技球が入賞すると、1入賞当り所定個数(例えば4個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0020】
第2特別図柄始動手段33は、第2特別図柄表示手段40による図柄変動を開始させるためのもので、可動部52の作動によって遊技球が入賞口33aに入賞可能な第1状態と入賞不可能(又は開状態よりも入賞困難)な第2状態とに変化可能な作動式入賞手段により構成され、入賞口33aに入賞した遊技球を検出する遊技球検出手段53を備えており、普通図柄表示手段37の変動後の停止図柄が当り態様となって普通利益状態が発生した場合に、所定の作動パターンに従って可動部52が所定時間第2状態から第1状態に変化するようになっている。
【0021】
この第2特別図柄始動手段33は、右流下経路47b上で且つ普通図柄始動手段31の下流側に配置され、右流下経路47bを流下してきた遊技球が入賞可能となっている。なお、第2特別図柄始動手段33では、入賞口33aが横向き開口状に形成され、その上流側近傍に可動部52が前後方向にスライド可能な状態で配置されており、第1状態のときには可動部52が遊技盤15の盤面よりも前側に突出することにより、右流下経路47bを流下してきた遊技球を受けて入賞口33a側に案内し、第2状態のときには可動部52が遊技盤15の盤面よりも後側に退避して遊技球を右流下経路47bの下流側に流下させるようになっている。この第2特別図柄始動手段33の入賞口33aに遊技球が入賞すると、1入賞当り所定個数(例えば2個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0022】
なお、本パチンコ機の第2特別図柄始動手段33は、可動部52により入賞口33aを開閉するものではないが、以下の説明では、便宜上、可動部52のスライド動作を開閉動作、入賞口33aへの入賞が容易な第1状態を開状態、入賞不可能(又は開状態よりも入賞困難)な第2状態を閉状態、可動部52の作動パターンを開閉パターンと称するものとする。
【0023】
第1特別図柄表示手段39は、1個又は複数個、例えば1個の第1特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、第1特別図柄始動手段32が遊技球を検出すること、即ち遊技球が第1特別図柄始動手段32に入賞し、遊技球検出手段51がその遊技球を検出することを条件に第1特別図柄を所定時間変動表示して、第1特別図柄始動手段32への入賞時に取得された第1特別乱数情報に含まれる大当り判定乱数値が予め定められた大当り判定値と一致する場合には大当り態様で、小当り判定値と一致する場合には小当り態様で、それ以外の場合にははずれ態様で夫々停止するようになっている。第1特別図柄表示手段39の変動後の停止図柄が大当り態様となった場合には大当り状態が発生し、小当り状態となった場合には小当り状態が発生する。
【0024】
なお本実施形態では、第1特別図柄表示手段39に関しては大当り態様として
図8(a)に示すA1~A3の3種類が、小当り態様として
図8(b)に示すa1の1種類が夫々設けられており、大当り判定乱数値が大当り判定値と一致した場合には、例えば大当り判定乱数値と共に取得された大当り図柄乱数値に基づいて大当り態様A1~A3のうちの何れかが
図8(a)に示す選択率で選択され、大当り判定乱数値が小当り判定値と一致した場合には100%の確率で小当り態様a1が選択されるようになっている。
【0025】
第2特別図柄表示手段40は、1個又は複数個、例えば1個の第2特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、第2特別図柄始動手段33が遊技球を検出すること、即ち遊技球が第2特別図柄始動手段33に入賞し、遊技球検出手段53がその遊技球を検出することを条件に第2特別図柄を所定時間変動表示して、第2特別図柄始動手段33への入賞時に取得された第2特別乱数情報に含まれる大当り判定乱数値が予め定められた大当り判定値と一致する場合には大当り態様で、小当り判定値と一致する場合には小当り態様で、それ以外の場合にははずれ態様で夫々停止するようになっている。第2特別図柄表示手段40の変動後の停止図柄が大当り態様となった場合には大当り状態が発生し、小当り状態となった場合には小当り状態が発生する。
【0026】
なお本実施形態では、第2特別図柄表示手段40に関しては大当り態様として
図9(a)に示すB1,B2の2種類が、小当り態様として
図9(b)に示すb1の1種類が夫々設けられており、大当り判定乱数値が大当り判定値と一致した場合には、例えば大当り判定乱数値と共に取得された大当り図柄乱数値に基づいて大当り態様B1,B2のうちの何れかが
図9(a)に示す選択率で選択され、大当り判定乱数値が小当り判定値と一致した場合には100%の確率で小当り態様b1が選択されるようになっている。第2特別図柄表示手段40に関しては、停止図柄が例えば大当り態様と小当り態様との何れかとなり、はずれ態様にはならないように構成してもよい。
【0027】
また、第1特別図柄表示手段39の図柄変動中、第2特別図柄表示手段40の図柄変動中、後述する小当り状態中及び後述する大当り状態中を含む特別保留期間中に第1,第2特別図柄始動手段32,33が遊技球を検出した場合には、それによって取得された第1,第2特別乱数情報が夫々予め定められた上限保留個数、例えば各4個を限度として保留記憶される。そして、特別保留期間が終了した時点で第2特別図柄側の保留記憶が1以上の場合にはその第2特別図柄の保留記憶を1個消化して第2特別図柄の変動を行い、第1特別図柄側の保留記憶のみが1以上の場合にはその第1特別図柄の保留記憶を1個消化して第1特別図柄の変動を行う。このように本実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄とが共に変動中になることはなく、また第1特別図柄側と第2特別図柄側との両方に保留記憶がある場合には、第2特別図柄の変動を優先的に行うようになっている。なお、第1,第2特別乱数情報の記憶個数(第1,第2特別保留個数)は液晶表示手段41等によって遊技者に報知される。
【0028】
本実施形態の場合、遊技者は後述する特別遊技状態中以外の通常遊技状態中は第1特別図柄始動手段32を狙って左打ちをし、特別遊技状態中(時短状態中)は普通図柄始動手段31及び第2特別図柄始動手段33を狙って右打ちをするため、通常遊技状態中は主として第1特別図柄が変動し、特別遊技状態中(時短状態中)は主として第2特別図柄が変動する。なお、第1,第2特別図柄には数字図柄等を用いてもよいし、遊技者が停止図柄態様の種類を容易に区別できないように、任意の線や点の組み合わせのような特別な意味を持たない図柄を用いてもよい。
【0029】
第1大入賞手段34は、開閉部材54の作動によって遊技球が第1大入賞口34aに入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに変化可能な作動式入賞手段であって、第1大入賞口34aに入賞した遊技球を検出する遊技球検出手段55を備えており、第1,第2特別図柄表示手段39,40の変動後の停止図柄が大当り態様となるか、後述するV入賞によって大当り状態が発生した場合に、開閉部材54が一又は複数種類の大当り開放パターンの何れかに従って開放するようになっている。この第1大入賞手段34に遊技球が入賞すると、1入賞当り所定個数(例えば14個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0030】
この第1大入賞手段34は、例えば右流下経路47b側で且つ普通図柄始動手段31及び第2特別図柄始動手段33の下流側に設けられた第1傾斜転動路56の途中に配置されている。第1傾斜転動路56は、左右方向のうち、遊技領域18の内側、即ち左側に向けて傾斜する左下がりの傾斜状に形成されている。第1大入賞手段34の第1大入賞口34aは、第1傾斜転動路56に沿う細長状で、第1傾斜転動路56の底壁56aに上向き開口状に形成されている。開閉部材54は、第1傾斜転動路56に沿う左下がりの傾斜状に形成された略板状体で、図示しないソレノイド等の開閉駆動手段の駆動により前後方向にスライド移動可能となっており、閉状態のときには遊技盤15の盤面よりも前側に突出して第1大入賞口34aを閉鎖するとともに上流側から流下してきた遊技球を第1傾斜転動路56の下流側(ここでは左側)に向けて案内し、開状態のときには遊技盤15の盤面よりも後側に退避して第1大入賞口34aを開放するようになっている。
【0031】
本パチンコ機の大当り開放パターンは、第1大入賞手段34を開放してから所定時間(例えば28秒)経過するかそれまでに所定個数(例えば9個)の遊技球が入賞することを条件に閉鎖する動作を所定ラウンド数行うようになっており、そのラウンド数の違いによって6R,10Rの2種類設けられている(
図8(a),
図9(a))。
【0032】
なお複数種類の大当り開放パターンのうちの少なくとも一つにおいて、上記のような通常ラウンドに加えて、遊技球の入賞がほとんど期待できない程度の短時間だけ開放する短時間ラウンドを一又は複数回行うように構成してもよい。この場合、通常ラウンド数と短時間ラウンド数との合計は同じでその配分が異なる複数種類の開放パターンを設けることで、仕様上は同じラウンド数であっても遊技者から見た実質的なラウンド数を異ならせることができる。また、短時間ラウンドのみを一又は複数回行う大当り開放パターンを設けてもよい。
【0033】
第2大入賞手段35は、開閉部材57の作動によって遊技球が第2大入賞口35aに入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに変化可能な作動式入賞手段であって、第2大入賞口35aに入賞した遊技球を検出する遊技球検出手段58を備えており、第1,第2特別図柄表示手段39,40の変動後の停止図柄が小当り態様となって小当り状態が発生した場合に、開閉部材57が所定の小当り開放パターン(ここでは
図10に示すα,βの何れか)に従って開放するようになっている。この第2大入賞手段35に遊技球が入賞すると、1入賞当り所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0034】
また第2大入賞手段35は、特定領域59aと、通常領域59bと、第2大入賞口35aに入賞した遊技球を特定領域59aと通常領域59bとに振り分ける可動式の振り分け手段60と、特定領域59aに流入した遊技球を検出する特定遊技球検出手段61aと、通常領域59bに流入した遊技球を検出する通常遊技球検出手段61bとを備えている。第2大入賞口35aに入賞した遊技球は、遊技球検出手段58によって検出された後、振り分け手段60によって特定領域59aと通常領域59bとの何れかに案内され、特定遊技球検出手段61aと通常遊技球検出手段61bとの何れかによって検出された後、遊技盤15の後側に案内される。第2大入賞口35aに入賞した遊技球が振り分け手段60によって特定領域59a側に案内され、特定遊技球検出手段61aがその遊技球を検出した場合(以下、V入賞という)には大当り状態が発生する。
【0035】
振り分け手段60は、所定の振り分けパターンに従って、遊技球を特定領域59a側に案内する特定案内状態と、遊技球を通常領域59b側に案内する非特定案内状態とに切り替え可能であり、その振り分けパターンは例えば第2大入賞手段35の小当り開放パターンに応じて変化するようになっている。なお、本パチンコ機の場合は第2大入賞手段35に入賞した遊技球は遊技球検出手段61a,61bの何れかによって検出されるため、遊技球検出手段58は省略してもよいが、その場合には遊技球が第2大入賞口35aに入賞してから遊技球検出手段61a,61bに検出されるまでのタイムラグが大きくなる点に注意が必要である。
【0036】
第2大入賞手段35は、第1傾斜転動路56の下流側に設けられた第2傾斜転動路62の途中に配置されている。なお、第1傾斜転動路56は、その下流端側で、右向きの第2傾斜転動路62と左向きの分岐路63とに分岐しているが、第2傾斜転動路62の上流端側は第1傾斜転動路56の下流端側に対して真っ直ぐ下向きに連通しているのに対し、分岐路63の上流端側は第1傾斜転動路56の下流端側に対して斜め方向に連通している。従って、第1傾斜転動路56を通過した遊技球は、高い確率で第2傾斜転動路62側に流下し、分岐路63側に流下することは極めて稀である。なお、分岐路63側に流下した遊技球は、第1特別図柄始動手段32等の入賞手段に入賞するか、第1特別図柄始動手段32の下側に配置された第1アウト口64を経て遊技盤15の後側に排出される。
【0037】
第2傾斜転動路62は、左右方向のうち、遊技領域18の外側、即ち右側に向けて傾斜する右下がりの傾斜状に形成されており、その下流端側は第2アウト口65に接続されている。即ち、第2傾斜転動路62を通過した遊技球は、第2アウト口65を経て遊技盤15の後側に排出される。第2傾斜転動路62は、
図3~
図5等に示すように、遊技盤15の盤面に沿って配置される背壁66と、その背壁66の前側に配置される前壁67との間に設けられており、その傾斜状の底壁68に、上向き開口状の第2大入賞口35aが形成されている。第2大入賞口35aは、幅方向よりも流下方向に長い矩形状となっている。
【0038】
第2大入賞手段35は、
図3~
図5に示すように、第2大入賞口35aに入賞した遊技球をその下側で受ける入賞ケース69と、この入賞ケース69で受けた遊技球を振り分け手段60側に案内する入賞通路70と、第2大入賞口35aを開閉可能な開閉部材57と、開閉部材57を駆動する開閉駆動手段71とを備えており、入賞通路70の上流端側に遊技球検出手段58が配置されている。
【0039】
入賞ケース69は、第2大入賞口35aの上流端側及び下流端側に対応してその下側に配置される左右一対の側壁69a,69bと、第2大入賞口35aの後縁側に対応してその下側に配置される背壁69cと、背壁69cの下縁側に沿って側壁69a,69bの下端側を左右に接続する底壁69dとを一体に備え、前側は前壁67により略閉鎖されている。背壁69cには、左右方向の所定位置、例えば左端側に遊技球が通過可能な通過口72が形成されており、底壁69dは、第2大入賞口35aに入賞した遊技球を通過口72側に案内するように左右方向及び前後方向の傾斜状に形成されている。なお、通過口72の後側に入賞通路70が連通している。
【0040】
開閉部材57は、第2大入賞口35aに対応する矩形板状で且つ第2傾斜転動路62の底壁68に対応して右下がりの傾斜状に形成された開閉板57aと、この開閉板57aの上流端側及び下流端側の縁部に沿って配置された下向き突出状の被案内部57b,57bとを一体に備えており、被案内部57b,57bが左右一対のスライド案内部73,73上を摺動することにより前後にスライド移動可能となっている。
【0041】
開閉駆動手段71は、電磁ソレノイドにより構成されており、
図4に示すように、その駆動鉄心71aと開閉部材57の後端側とが駆動連結手段74により連結されている。そして、開閉駆動手段71がOFFのときには、
図3~
図5に実線で示すように開閉部材57が遊技盤15の盤面よりも前側に突出して第2大入賞口35aを閉鎖し(閉状態)、開閉駆動手段71がONに切り替えられたとき、駆動連結手段74を介して開閉部材57が後向きにスライド移動して第2大入賞口35aを開放する(開状態)ようになっている。開閉部材57は、閉状態のときには遊技球を第2傾斜転動路62に沿う方向の下流側に向けて案内し、閉状態から開状態に変化すると、開閉部材57の上に乗っていた遊技球は高い確率で第2大入賞口35a内に落下する。
【0042】
なお、
図6は、開閉部材57が開状態から閉状態に変化する際に、その開閉部材57の前端と前壁67と下流端側の側壁69bとの3点で遊技球を噛んでしまった状態を示している。このように第2大入賞口35aの下流端側における3点での球噛みは、それより上流側の2点での球噛みと比較してより強固であり、球の自重や後続の球との接触によっては解消されない場合が多い。
【0043】
また液晶表示手段41は、例えば第1,第2特別図柄表示手段39,40による第1,第2特別図柄の変動表示と並行して演出図柄80を変動表示可能である他、第1,第2特別保留個数を示す第1,第2保留画像X1~X4,Y1~Y4,変動中保留画像Z等の各種画像を表示可能となっている。
【0044】
ここで演出図柄80は、数字図柄その他の複数個の図柄で構成される図柄列を複数(ここでは左右方向に3つ)備えており、またそれら各図柄列を構成する各図柄は、
図2に示すように、例えば1~8等の数字、その他で構成される図柄本体部80aと、この図柄本体部80aに付随するキャラクタその他の装飾部80bとの結合で構成されている。なお演出図柄80は、拡大又は縮小、表示位置の変更、装飾部80bの消去等、表示態様を任意に変化させることが可能である。
【0045】
演出図柄80は、例えば第1,第2特別図柄の変動開始と略同時に所定の変動パターンに従って図柄列毎に縦スクロール等による変動を開始すると共に、所定の有効ライン上の停止図柄が所定態様となるように例えば第1,第2特別図柄の変動停止と略同時に最終停止する。なお演出図柄80では、例えば有効ライン上の全ての停止図柄が同じ場合が大当り演出態様、それ以外が小当り演出態様又ははずれ演出態様となっており、第1,第2特別図柄が大当り態様、小当り態様、はずれ態様となる場合には第1,第2特別図柄は大当り演出態様、小当り演出態様、はずれ演出態様となる。
【0046】
また第1,第2保留画像X1~X4,Y1~Y4,変動中保留画像Zに関しては、第1,第2特別図柄始動手段32,33が遊技球を検出することに基づいて第1,第2特別保留個数が増加した場合に、第1,第2保留画像X1~,Y1~を液晶表示手段41上に1個追加表示し、また第1,第2特別図柄表示手段39,40による第1,第2特別図柄の新たな変動が開始することに基づいて第1,第2特別保留個数が減少した場合に、例えば変動中保留画像Zを消去し、第1,第2保留画像X1~,Y1~を待ち行列の前側(例えば画面右側)に向けて1個分ずつシフトすると共に、押し出された先頭の第1,第2保留画像X1,Y1を例えば所定位置まで移動させて新たな変動中保留画像Zに変化させるようになっている。
【0047】
図7は本パチンコ機の制御系のブロック図である。
図7において、81は主制御基板、82は演出制御基板で、これら各制御基板81,82は、遊技盤15に装着された中央表示枠ユニット21、その他の複数個の遊技部品を裏側から一括して覆う裏カバーの裏側等、前枠4及び遊技盤15を含む遊技機本体1の裏側の適宜箇所に着脱自在に装着された基板ケースに夫々収納されている。なお、この
図7のブロック図では、主制御基板81、演出制御基板82以外の基板については省略している。
【0048】
主制御基板81は、遊技動作を統括的に制御するもので、CPU,ROM,RAM等により構成される普通乱数作成処理手段91、普通始動口チェック処理手段92、普通乱数記憶手段93、普通図柄処理手段94、普通図柄表示制御手段95、普通利益状態発生手段96、特別乱数作成処理手段97、特別始動口チェック処理手段98、特別乱数記憶手段99、特別図柄処理手段100、特別図柄表示制御手段101、特別利益状態発生手段102、特別遊技状態発生手段103、制御コマンド送信手段104等を備えている。
【0049】
普通乱数作成処理手段91は、変動後の普通図柄を当り態様とするか否かの判定に用いる当り判定乱数等を所定時間毎に繰り返し発生するように構成されている。普通始動口チェック処理手段92は、普通図柄始動手段31による遊技球の検出に基づく処理を行うもので、普通図柄始動手段31が遊技球を検出することに基づいて、普通乱数作成処理手段91で作成された当り判定乱数値等の普通乱数情報を取得し、その普通乱数情報を予め定められた上限保留個数(例えば4個)を限度として先入れ先出し式の普通乱数記憶手段93に記憶させるように構成されている。
【0050】
普通図柄処理手段94は、普通図柄の変動表示に関する処理を行うもので、普通図柄表示手段37が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段93に1個以上の普通乱数情報が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に、普通乱数記憶手段93に記憶されている普通乱数情報の待ち行列の先頭から当り判定乱数値を取り出し、その当り判定乱数値が予め定められた当り判定値と一致するか否かに応じて当り/はずれの判定を行い、その当り/はずれの判定結果に基づいて普通図柄の変動後の停止図柄の種類を選択すると共に普通図柄の変動時間を選択するように構成されている。
【0051】
なお本実施形態では、後述する特別遊技状態中(時短状態中)の当り確率(例えば1/1.3)がそれ以外の通常遊技状態中の当り確率(例えば1/10)よりも高く設定され、また特別遊技状態中における変動時間(例えば2.7秒)が通常遊技状態中における変動時間(例えば27秒)よりも短くなるように設定されている。
【0052】
普通図柄表示制御手段95は、普通図柄処理手段94による普通図柄処理に基づいて普通図柄表示手段37の表示制御を行うもので、普通図柄表示手段37が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段93に1個以上の普通乱数情報が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に普通図柄表示手段37による普通図柄の変動を開始させ、普通図柄処理手段94で選択された変動時間が経過することに基づいて、同じく普通図柄処理手段94で選択された停止図柄で普通図柄の変動を停止させるようになっている。
【0053】
普通利益状態発生手段96は、普通図柄処理手段94による当り判定の結果が当りとなることに基づいて普通図柄表示手段37の変動後の停止図柄が当り態様となった場合に、第2特別図柄始動手段33の可動部52が例えば複数種類の開閉パターンの何れかに従って閉状態から開状態に変化する普通利益状態を発生させるようになっている。本実施形態では、通常開閉パターン(例えば0.2s×1回開放)と、この通常開閉パターンよりも開放時間が大となるように設定された延長開閉パターン(例えば2s×3回開放)の2種類の開閉パターンが設定されており、通常遊技状態中は通常開閉パターンが、特別遊技状態中は延長開閉パターンが夫々選択されるようになっている。
【0054】
特別乱数作成処理手段97は、大当り/小当り/はずれの判定に用いる大当り判定乱数、特別図柄の変動後の停止図柄等の選択に用いる図柄判定乱数、変動パターンの選択に用いる変動パターン乱数、その他の所定の乱数を繰り返し発生する特別乱数作成処理を行うように構成されている。
【0055】
特別始動口チェック処理手段98は、第1,第2特別図柄始動手段32,33への遊技球の入賞に基づく処理を行うもので、第1,第2特別図柄始動手段32,33の何れかに遊技球が入賞することに基づいて、特別乱数作成処理手段97で作成された大当り判定乱数値、大当り図柄乱数値等の第1,第2特別乱数情報を取得し、その第1,第2特別乱数情報を予め定められた上限保留個数(例えば各4個)を限度として特別乱数記憶手段99に記憶させるように構成されている。
【0056】
特別図柄処理手段100は、第1,第2特別図柄及び演出図柄80の変動表示に関する処理を行うもので、第1,第2特別図柄表示手段39,40が変動表示可能な状態となったときに、第2特別保留個数が1以上であれば第2特別乱数情報の待ち行列から、第1特別保留個数のみが1以上であれば第1特別乱数情報の待ち行列から、先頭の大当り判定乱数値を取り出し、その大当り判定乱数値が予め定められた大当り判定値、小当り判定値と一致するか否かに応じて大当り/小当り/はずれの判定(大当り判定)を行うと共に、その大当り判定結果に応じて、第1,第2特別図柄の停止図柄態様、演出図柄80の変動パターン等を決定するようになっている。
【0057】
なお、本パチンコ機には設定変更機能が搭載されており、電源投入時にホール担当者が所定の設定変更操作を行うことにより、大当り確率、即ち第1,第2特別図柄が大当り態様となる確率を複数段階(ここでは設定1~6の6段階)に変更可能となっている。本パチンコ機では、設定1~設定6に対応する大当り確率は1/319~1/199となっている。また小当り確率は、大当り確率の設定に拘わらず、例えば通常遊技状態中は1/30、特別遊技状態中(時短状態中)は1/8.46となっている。
【0058】
第1,第2特別図柄の停止図柄態様は、大当り判定結果が大当り、小当りの場合には、例えば第1,第2特別乱数情報に含まれる大当り図柄乱数値に基づいて第1,第2大当り態様A1~A3(
図8(a)),B1,B2(
図9(a))、第1,第2小当り態様a1(
図8(b)),b1(
図9(b))の中から選択され、大当り判定結果がはずれの場合には、例えば新たに取得されたはずれ図柄乱数値に基づいて1又は複数の第1,第2はずれ態様の中から選択される。なお本実施形態では、
図8(a),
図9(a)に示すように、大当りの場合には、選択された第1,第2大当り態様に対応して、大当り状態における第1大入賞手段34の開放パターンと、その後に発生する特別遊技状態(時短状態)における終了条件(時短回数)とが決まるようになっている。
【0059】
特別図柄表示制御手段101は、第1,第2特別図柄表示手段39,40の表示制御を行うもので、特別図柄処理手段100による特別図柄処理に基づいて、第1特別図柄表示手段39による第1特別図柄の変動又は第2特別図柄表示手段40による第2特別図柄の変動を開始させると共に、選択された変動パターンに対応する変動時間が経過することに基づいて、選択された停止図柄で第1,第2特別図柄の変動を停止させるようになっている。
【0060】
特別利益状態発生手段102は、遊技者に有利な特別利益状態を発生させるためのもので、特別図柄処理手段100による大当り判定結果が大当りとなり、第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄が大当り態様となった場合には、大当り状態発生手段102aにより、第1大入賞手段34を所定の大当り開放パターン(
図8(a),
図9(a))の何れかに従って開放する大当り状態を発生させ、特別図柄処理手段100による大当り判定結果が小当りとなり、第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄が小当り態様となった場合(所定遊技開始条件が成立した場合)には、小当り状態発生手段(開閉制御手段)102bにより、第2大入賞手段35を所定の小当り開放パターン(
図8(b),
図9(b))の何れかに従って開放する小当り状態を発生させるように構成されている。
【0061】
本パチンコ機の大当り開放パターンは、第1大入賞手段34を開放してから所定時間(例えば28秒)経過するかそれまでに所定個数(例えば9個)の遊技球が入賞することを条件に閉鎖する動作を所定ラウンド数行うように構成されており、第1特別図柄が大当り態様となった場合の大当り状態では、
図8(a)に示すように6Rの大当り開放パターンが用いられ、第2特別図柄が大当り態様となった場合の大当り状態では、
図9(a)に示すように10Rの大当り開放パターンが用いられるようになっている。
【0062】
また本パチンコ機の小当り開放パターンは、α、βの2種類設けられており、第1特別図柄表示手段39が小当り態様a1となった場合の小当り状態では、
図8(b)に示すように小当り開放パターンαが用いられ、第2特別図柄表示手段40が小当り態様b1となった場合の小当り状態では、
図9(b)に示すように小当り開放パターンβが用いられるようになっている。
【0063】
図10は、小当り開放パターンα,βにおける開閉部材57の開閉動作を示したものである。
図10(a)に示す小当り開放パターンαでは、開閉部材57が1回開放し、その開放時間は1.5sとなっている。遊技機規則では、小当り状態における大入賞口の開放時間は最大1.8sに制限されており、その1.8sの開放時間には、開閉駆動手段71がOFFになってから開閉部材57が実際に閉鎖するまでの時間も含まれるため、その分を考慮して、開放時間を1.8sよりも短い1.5sとしている。なお、この小当り開放パターンαによる第2大入賞手段35の開放中、振り分け手段60はその殆どの期間で非特定案内状態となり、仮に入賞しても特定領域59a側に案内される可能性は実質0となるように設定されている。
【0064】
一方、
図10(b)に示す小当り開放パターンβでは、入賞個数が10個(所定上限個数の一例)に達するまで、開閉部材57の50ms(開状態の継続時間の一例)の開放を500ms間隔で10回、更に開閉部材57の50msの開放を200ms間隔で4回の計14回(所定上限回数の一例)の連続開閉動作を実行するようになっている。この場合の開放時間の合計は最大0.7sで、遊技規則の制限値である1.8sよりも短いが、これも開閉駆動手段71がOFFになってから開閉部材57が実際に閉鎖するまでの時間を考慮したものである。なお、この小当り開放パターンβによる第2大入賞手段35の開放中、振り分け手段60はその殆どの期間で特定案内状態となり、入賞した遊技球はほぼ確実に特定領域59a側に案内されるように設定されている。
【0065】
ここで、この小当り開放パターンβにおいて、閉状態の継続時間を、開放回数10回まで(切替条件成立前)とそれ以降(切替条件成立後)とで異ならせ、後者(200ms)を前者(500ms)よりも短くしたのは、最終の開放動作後における3点での球噛みの発生を防止するためである。即ち、最終の開放動作となる可能性が高い11回目以降の開放動作についてはその直前の閉状態の継続時間を短くすることにより、最終の開放動作の直前に開閉部材57上に到達した遊技球が、最終の開放動作の開始時までに開閉部材57の下流端側に達する可能性を低くすることができ、連続開閉動作の最終の開放動作後における、開閉部材57の前端、第2大入賞口35aの前壁67、第2大入賞口35aの側壁69bの3点での球噛みの発生を効果的に防止することが可能である。
【0066】
なお、開放回数10回まで(切替条件成立前)の閉状態の継続時間を500msとしたのは、開閉部材57が1回開放する毎に平均1個の遊技球が入賞するように設定するためである。即ち、開閉部材57が1回開放する毎に平均1個の遊技球を入賞させるためには、その直前の閉状態中に平均1個の遊技球が開閉部材57の上に乗るようにする必要があるから、その閉状態の継続時間を発射手段による発射間隔である0.6sに近い500msとしたものである。
【0067】
もちろん、開放回数10回まで(切替条件成立前)の閉状態の継続時間は、発射間隔に合わせて600msに設定してもよいし、それに近い他の値に設定してもよい。また、発射間隔が異なればそれに応じた値とすることが望ましい。ここで、閉状態の継続時間が短すぎると空振り(開閉部材57の上に球が乗らず、その直後の開放時に1個も入賞しない)が増えるため、開放回数を増やす必要があるが、上述したように遊技機規則により開放時間の上限が決められているため、余裕は少ない。従って本実施形態では、例えば全ての閉状態の継続時間を一律200msとはせず、開放回数10回まで(切替条件成立前)の閉状態の継続時間は空振りの少ない500msとしている。また逆に、閉状態の継続時間が長すぎると、入賞を逃す無駄球が増えたり、オーバー入賞(所定上限個数である10個を超える入賞)が増えたりといった問題が生じる可能性がある。
【0068】
また、開放回数10回で切替条件成立としたのは、本実施形態の場合には開放回数11回目以降の開放動作が最終となる可能性が高いからである。即ち本実施形態の場合、14回目よりも前の開放動作が最終となり且つその直後に球噛みが発生する状況というのは、10個目が入賞したにも拘わらず、その遊技球が遊技球検出手段58に検出されるよりも前に次の開放動作が開始し、オーバー入賞となる11個目の遊技球が球噛みしてしまう場合に限られる。14回目よりも前の開放動作後に10個目までの入賞球が球噛みをした場合には、必ず次の開放動作が行われ、球噛みは解消されるからである。従って本実施形態では、10個目が入賞する可能性が高い開放動作のうち最も早い開放動作、即ち10回目の開放動作までは閉状態の継続時間を500msとし、10回目の開放動作後(切替条件成立後)は閉状態の継続時間を200msへと短縮している。なお本実施形態の場合、切替条件成立のための開放回数を11回、12回と増やせば、それだけ500ms閉鎖後の開放動作が最終となる可能性、即ち3点での球噛み発生の可能性が高くなる。もちろんこの切替条件は、各種条件が異なれば最適な値も異なってくるため、開放回数10回に限定されるものではない。
【0069】
また、開放動作の上限繰り返し数(所定上限回数)を14回としたのは、所定上限個数である10個の入賞を高い確率で達成させるべく、一定の余裕を設けたものである。従って、この所定上限回数は14回に限られるものではなく、例えば開放時間が遊技機規則の上限値内となる範囲で適度に大きな値とすることが望ましい。
【0070】
なお本実施形態の場合、10回目の開放動作後(切替条件成立後)に閉状態の継続時間を短縮することで、入賞した遊技球が遊技球検出手段58に検出されるまでの間に次の開放動作が開始される可能性が高くなり、それによってオーバー入賞の可能性も若干高くなるという問題があるが、発射間隔は一定(0.6s)であるため、オーバー入賞となる可能性はそれほど高くなく、影響は軽微である。
【0071】
特別遊技状態発生手段103は、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるためのもので、大当り状態の終了後に、特別遊技状態の一例としての時短状態を所定の確率(ここでは100%)で発生させ、次の大当り状態が発生するか、第1,第2特別図柄が所定回数変動したとき(所定の時短回数を満たしたとき)に時短状態を終了させるように構成されている。時短状態中は、普通利益状態における第2特別図柄始動手段33の開閉パターンが通常開閉パターン(例えば0.2s×1回開放)から延長開閉パターン(例えば2s×3回開放)に切り換えられる。
【0072】
本実施形態では、大当り状態終了後には100%の確率で時短状態が発生し、時短回数は大当り態様に応じて予め設定されている。例えば第1特別図柄が大当り態様となった場合、
図8(a)に示すように大当り態様A1~A3の全てに対して時短状態が発生し、時短回数は夫々1,7,90回に設定されている。ここで、第2特別図柄始動手段33への入賞は4個を上限として保留記憶されるため(第2特別保留個数)、時短回数+4回を上限として時短状態での抽選を受けることができる。従って、時短回数1回の場合は5回の抽選で、時短回数7回の場合は11回の抽選で小当りに当選すれば、ほぼ確実にV入賞させて大当り状態を発生させることができる。なお、本実施形態の時短状態中の小当り確率は1/8.46であり、時短状態中に第2特別図柄が90回変動する可能性は極めて低いため、時短回数90回の場合の時短状態は実質的に次回大当りまでとなる。
【0073】
制御コマンド送信手段104は、所定の制御コマンドを演出制御基板82等の制御基板に送信して制御指令を与えるためのもので、特別図柄処理手段100による特別図柄処理に基づいて、第1,第2特別図柄の変動開始時に、第1,第2特別保留個数の減算を指定する保留減算コマンド、第1,第2演出図柄の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド、第1,第2特別図柄の停止図柄態様を指定する停止図柄態様指定コマンドをこの順序で演出制御基板82側に送信し、第1,第2特別図柄の変動終了時に演出図柄80の変動停止を指示する変動停止指定コマンドを演出制御基板82側に送信する機能、第1,第2特別保留個数が増加したときに第1,第2特別保留個数の加算を指定する保留加算コマンドを演出制御基板82側に送信する機能、特別遊技状態発生手段103による特別遊技状態の発生時及び終了時に特別遊技状態発生コマンド、特別遊技状態終了コマンド等を演出制御基板82側に送信する機能等を備えている。
【0074】
演出制御基板82は、液晶表示手段41、音声出力手段111、電飾手段112、可動演出手段42等の各種演出手段を制御するためのもので、図柄変動演出制御手段113、特別保留個数表示制御手段114等を備えている。
【0075】
図柄変動演出制御手段113は、液晶表示手段41による演出図柄の表示制御及びそれに伴う音声出力手段111、電飾手段112、可動演出手段42等の制御を行うもので、主制御基板81から変動パターン指定コマンドを受信した場合に、指定された変動パターンに基づいて液晶表示手段41による演出図柄80の変動及びそれに伴う音声出力、電飾発光等を開始させると共に、変動停止指定コマンドを受信したときに、停止図柄態様指定コマンドと変動パターン指定コマンドとに基づいて選択された停止図柄態様で演出図柄80の変動を停止させ、またそれに伴う音声出力、電飾発光等を停止させるようになっている。
【0076】
特別保留個数表示制御手段114は、液晶表示手段41への第1,第2特別保留個数の表示制御を行うもので、第1,第2特別保留個数の増減に対応して、第1特別保留個数分(最大4個)の第1保留画像X1~X4と、第2特別保留個数分(最大4個)の第2保留画像Y1~Y4と、変動中の第1,第2特別図柄に対応する変動中保留画像Zとを液晶表示手段41に表示するように構成されている。
【0077】
続いて、本パチンコ機における遊技の流れを説明する。本パチンコ機では、特別遊技状態中(時短状態中)以外の通常遊技状態中は、普通図柄始動手段31が遊技球を検出して普通図柄表示手段37が変動し、普通図柄が当り態様となって普通利益状態が発生しても、第2特別図柄の変動を開始させるための第2特別図柄始動手段33の開放時間(通常開放時間)は僅か(例えば0.2秒)であるため、普通図柄始動手段31及び第2特別図柄始動手段33を狙って右打ちをしても第2特別図柄始動手段33への入賞の可能性は極めて低い。一方、非作動式の入賞手段である第1特別図柄始動手段32は入賞の難易度が遊技状態によって変動することがなく、通常遊技状態中であっても安定的な入賞が期待できる。従って、通常遊技状態中からいきなり右流下経路47b側の普通図柄始動手段31及び第2特別図柄始動手段33を狙って右打ちをするのではなく、第1段階としてまずは特別遊技状態(時短状態)を発生させるべく、左打ちをして左流下経路47a側から第1特別図柄始動手段32への入賞を狙うべきである。よって、通常遊技状態中には例えば液晶表示手段41に「←左を狙え」等の画像を表示する等、遊技者を左打ちに誘導するための左打ち誘導報知を行うことが望ましい。
【0078】
遊技者が通常遊技状態中に左打ちをし、その遊技球が左流下経路47aから例えばワープ入口48、ステージ46を経て中央落下部49から第1特別図柄始動手段32に入賞するか、又はステージ46等を経ることなく遊技釘等に案内されて第1特別図柄始動手段32に入賞すると、その遊技球は遊技盤15の裏側に案内される際に遊技球検出手段51で検出され、それによって所定個数(ここでは4個)の賞球が上皿8に払い出されると共に、第1特別図柄表示手段39による第1特別図柄の変動及び液晶表示手段41による演出図柄80の変動が行われる。
【0079】
その変動後に第1特別図柄が小当り態様で停止した場合には小当り状態が発生し、第2大入賞手段35が小当り開放パターンαで開放する(
図8(b),
図10(a))。しかしながら、この小当り開放パターンαによる第2大入賞手段35の開放中、振り分け手段60はその殆どの期間で非特定案内状態となるように制御されるため、この小当り開放パターンαでの開放中(例えば1.5s)に第2大入賞手段35に遊技球が入賞しても、その遊技球が特定領域59aに案内される可能性は極めて低く、よってV入賞による大当り状態の発生は期待できない。従って、通常遊技状態中に第1特別図柄が小当り態様となって小当り状態が発生しても、遊技者を右打ちに誘導するための右打ち誘導報知は行わないことが望ましい。なおこの場合、小当り状態の終了後には、遊技者は引き続き左打ちを行う。
【0080】
一方、第1特別図柄が大当り態様となった場合には大当り状態が発生し、例えば大当り態様に拘わらず6Rの大当り開放パターン(
図8(a))に従って第1大入賞手段34が開放する。従って、この場合には液晶表示手段41に「右を狙え→」等の画像を表示する等、遊技者を右打ちに誘導するための右打ち誘導報知を行うことが望ましい。そして、遊技者が右打ちをして開放中の第1大入賞手段34に遊技球が入賞すると、入賞1個あたり所定個数(ここでは14個)の賞球が上皿8に払い出されるため、遊技者は大量の賞球を容易に得ることができる。
【0081】
その大当り状態の終了後には、
図8(a)に示すように、時短回数1回,7回,90回の時短状態が夫々85%,14.5%,0.5%の確率で発生する。時短状態中は普通図柄が極めて高い確率で当り態様となるため、遊技球が普通図柄始動手段31を通過すれば、普通図柄の変動後に高い確率で普通利益状態が発生し、第2特別図柄始動手段33が長時間(例えば2s×3)開放する。従って、時短状態中は例えば右打ち誘導報知が行われ、遊技者は右打ちをすることにより遊技球を容易に第2特別図柄始動手段33に入賞させることができる。
【0082】
遊技球が第2特別図柄始動手段33に入賞すると、その遊技球は遊技盤15の裏側に案内される際に遊技球検出手段53で検出され、それによって所定個数(ここでは2個)の賞球が上皿8に払い出されると共に、第2特別図柄表示手段40による第2特別図柄の変動及び液晶表示手段41による演出図柄80の変動が行われる。なお、時短状態中は通常遊技状態中に比べて小当り確率が高くなる(ここでは1/8.46)。また、第2特別図柄始動手段33への入賞は4個を上限として保留記憶されるため(第2特別保留個数)、時短回数+4回を上限として時短状態での抽選を受けることができる。即ち、時短回数1回の時短状態中は、実質的に5回の抽選で1/8.46の小当りを引き当てればよく、また時短回数7回の時短状態中は、実質的に11回の抽選で1/8.46の小当りを引き当てればよい。
【0083】
時短状態中に第2特別図柄が小当り態様となった場合は小当り状態が発生し、第2大入賞手段35が小当り開放パターンβで開放する(
図9(b))。この小当り開放パターンβでは、
図10(b)に示すように、入賞個数が10個(所定上限個数の一例)に達するまで、開閉部材57の50msの開放を500ms間隔で10回、更に開閉部材57の50msの開放を200ms間隔で4回の最大14回(所定上限回数の一例)の連続開閉動作を実行するようになっている。このように、小当り開放パターンβにおいては、第2大入賞手段35の開放回数が10回に達した後(切替条件成立後)の閉状態の継続時間(ここでは200ms)を、それまでの閉状態の継続時間(ここでは500ms)よりも短くしているため、上述した理由により、最終の開放動作の直前に開閉部材57上に到達した遊技球が、最終の開放動作の開始時までに開閉部材57の下流端側に達する可能性を低くすることができ、連続開閉動作の最終の開放動作後における、開閉部材57の前端、第2大入賞口35aの前壁67、第2大入賞口35aの側壁69bの3点での球噛みの発生を効果的に防止することが可能である。
【0084】
なお、この小当り開放パターンβによる第2大入賞手段35の開放中、振り分け手段60はその殆どの期間で特定案内状態となり、入賞した遊技球はほぼ確実に特定領域59a側に案内されるように設定されている。第2大入賞手段35に遊技球が入賞すると、入賞1個あたり所定個数(ここでは3個)の賞球が上皿8に払い出される。また、第2大入賞手段35に入賞した遊技球が振り分け手段60により特定領域59a側に案内されると(V入賞)、大当り状態が発生し、例えば10Rの大当り開放パターン(
図9(a))に従って第1大入賞手段34が開放する。もちろん、時短状態中に第2特別図柄が大当り態様となった場合も大当り状態が発生する。そして、その大当り状態の終了後には、
図9(a)に示すように、時短回数7回,90回の時短状態が夫々90%,10%の確率で発生する。
【0085】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば実施形態では、小当り状態の開始後の第2大入賞手段35の入賞個数が10個に達することによって切替条件成立とし、その後の閉状態の継続時間をそれまでよりも短くするように構成したが、切替条件はこれに限られるものではなく、例えば小当り状態の開始後における第2大入賞手段35への入賞個数が所定個数(例えば9個)に達することによって切替条件成立としてもよい。
【0086】
小当り開放パターンβでは、開状態の継続時間を一律50ms、切替条件成立前後の閉状態の継続時間を夫々500ms,200ms、切替条件成立までの開放回数を10回、切替条件成立後の開放回数を4回としたが、これらの各値は機種毎の各種条件に合わせて適宜変更することが可能である。
【0087】
本実施形態の第2大入賞手段35では、開閉部材57が前後にスライド移動することにより第2大入賞口35aを開閉するように構成したが、開閉部材は、入賞口を閉鎖する閉状態では遊技球を傾斜転動路の下流側に案内し、閉状態から開状態に変化したとき、開閉部材上に存在する遊技球を入賞口内に落下させることが可能な構成であればよく、例えば開閉部材がその後縁側の横軸廻りに揺動することにより入賞口を開閉する構成としてもよい。
【0088】
実施形態では、第2大入賞手段35の第2大入賞口35aを第2傾斜転動路62の途中に設けた例を示したが、第2大入賞口35aは傾斜転動路の上流側又は下流側に設けてもよい。即ち、開閉部材57が第2大入賞口35aを閉鎖したとき、その閉状態の開閉部材57と、その上流側及び/又は下流側に隣接する傾斜転動路とで共通の傾斜面を形成するように構成すればよい。
【0089】
実施形態は本発明をいわゆる1種2種混合タイプのパチンコ機に採用した例を示したが、それ以外のパチンコ機においても、またアレンジボール機、雀球遊技機等の各種の遊技機においても同様に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0090】
18 遊技領域
62 第2傾斜転動路(傾斜転動路)
35a 第2大入賞口(入賞口)
57 開閉部材
58 遊技球検出手段
102b 小当り状態発生手段(開閉制御手段)