(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】耐火積層シート
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20240119BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240119BHJP
C08K 3/32 20060101ALI20240119BHJP
C08K 5/521 20060101ALI20240119BHJP
C08L 27/06 20060101ALI20240119BHJP
C09K 21/02 20060101ALI20240119BHJP
C09K 21/04 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
B32B27/30 101
C08K3/04
C08K3/32
C08K5/521
C08L27/06
C09K21/02
C09K21/04
(21)【出願番号】P 2020100383
(22)【出願日】2020-06-09
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】小林 斗彌
(72)【発明者】
【氏名】田村 彰朗
(72)【発明者】
【氏名】野田 修康
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-128712(JP,A)
【文献】特開2019-096410(JP,A)
【文献】特開2020-040385(JP,A)
【文献】特開2018-070880(JP,A)
【文献】特開2018-035288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
C08K 3/00
C09K 21/00
H01M 10/00
H01M 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の硬質PVCシートと、軟質PVCシートと、第二の硬質PVCシートとがこの順で積層された耐火積層シートであって、
前記軟質PVCシートは、軟質用ポリ塩化ビニル組成物によって形成され、
前記第一の硬質PVCシート及び前記第二の硬質PVCシートは、硬質用ポリ塩化ビニル組成物によって形成されている、耐火積層シート。
[前記軟質用ポリ塩化ビニル組成物は、ポリ塩化ビニルと、リン酸エステル系可塑剤と、亜リン酸アルミニウムと、熱膨張性黒鉛と、を含み、前記ポリ塩化ビニルの平均重合度が1300以上4000以下であり、前記ポリ塩化ビニルの100質量部に対して前記リン酸エステル系可塑剤が5質量部以上150質量部以下で含まれ、前記ポリ塩化ビニルと前記リン酸エステル系可塑剤の合計の100質量部に対して、前記亜リン酸アルミニウムと前記熱膨張性黒鉛の合計が50質量部以上200質量部以下で含まれる、組成物である。
前記硬質用ポリ塩化ビニル組成物は、ポリ塩化ビニルと、亜リン酸アルミニウムと、を含み、前記ポリ塩化ビニルの100質量部に対して前記亜リン酸アルミニウムが
75質量部以上250質量部以下で含まれる、組成物である。]
【請求項2】
前記軟質用ポリ塩化ビニル組成物において、前記リン酸エステル系可塑剤の100質量部に対して前記熱膨張性黒鉛が60質量部以上250質量部以下で含まれる、請求項1に記載の耐火積層シート。
【請求項3】
前記硬質用ポリ塩化ビニル組成物において、前記ポリ塩化ビニルの平均重合度が500以上1300以下である、請求項1又は2に記載の耐火積層シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ塩化ビニルを含む耐火積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池などの二次電池は複数のセルを筐体内に並置して使用されることが多い。複数のセルのうち一つが異常発火すると、隣接するセルが類焼して筐体内のセルが全損する問題がある。このような類焼を防止するために、特許文献1にはセル同士の間に難燃剤を含むシートの積層体を配置することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の耐火積層体では、絶縁性熱発泡層と熱膨張層とが積層されており、絶縁性熱発泡層は400℃付近で発泡して粉体状から多孔体に変化する亜リン酸アルミニウムと樹脂とを含み、熱膨張層は200℃付近で膨張作用を起こす熱膨張性黒鉛と樹脂とを含む。この耐火積層体が火炎等により加熱されると、熱膨張層が先んじて急激に膨張するため、耐火積層体の積層構造が維持されず、絶縁性熱発泡層が発泡する前に本来あるべき配置から脱落したり、外形が大きく変形したりする問題(耐火性が低い問題)があった。
【0005】
本発明は、高熱に暴露された際の耐火性及び遮熱性に優れた耐火積層シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために、次のように検討した。
絶縁性熱発泡層に積層された熱膨張層の外形の変形を和らげる(耐火性を高める)ことのみが目的であれば、熱膨張層に含まれる熱膨張性黒鉛の含有量を減らし、相対的に樹脂の量を増やすことが考えられる。しかし、そうすると熱膨張層の膨張後の遮熱性が低減してしまう。
【0007】
そこで、熱膨張層に含有させる難燃剤として、熱膨張性黒鉛だけでなく、膨張による変形が比較的少ない亜リン酸アルミニウムを充分に含有させ、かつ樹脂としてポリ塩化ビニルを採用した。ところが、難燃剤を樹脂中に分散して得た樹脂組成物の粘度や流動性が安定せず、シート状に成形することの難しさに直面した。この原因を鋭意検討したところ、ポリ塩化ビニルの平均重合度を所定の範囲とし、可塑剤を所定量で充分に添加することにより、熱膨張性黒鉛と亜リン酸アルミニウムを含む樹脂組成物をシート状に成形することが可能となった。
【0008】
上記の樹脂組成物を成形して得た軟質PVCシートの耐火性及び遮熱性を評価したところ、耐火性(外形の変形の抑制)は向上していたが、期待した程度の遮熱性(熱膨張性黒鉛を含まず、亜リン酸アルミニウムだけを含む場合よりも優れる遮熱性)が得られなかった。この原因をさらに鋭意検討したところ、ポリ塩化ビニル及び可塑剤の合計量に対する難燃剤の合計の含有量を所定の範囲にするとともに、可塑剤としてリン酸エステル系可塑剤を採用することにより、充分な遮熱性も得られることを見出した。
【0009】
さらに、軟質PVCシートの両面に、亜リン酸アルミニウムを含む硬質PVCシートを積層することにより、軟質PVCシートの膨張による変形をより一層低減できることを見出し、本発明を完成した。本発明は次の態様を有する。
【0010】
[1] 第一の硬質PVCシートと、軟質PVCシートと、第二の硬質PVCシートとがこの順で積層された耐火積層シートであって、
前記軟質PVCシートは、軟質用ポリ塩化ビニル組成物によって形成され、
前記第一の硬質PVCシート及び前記第二の硬質PVCシートは、硬質用ポリ塩化ビニル組成物によって形成されている、耐火積層シート。
[前記軟質用ポリ塩化ビニル組成物は、ポリ塩化ビニルと、リン酸エステル系可塑剤と、亜リン酸アルミニウムと、熱膨張性黒鉛と、を含み、前記ポリ塩化ビニルの平均重合度が1300以上4000以下であり、前記ポリ塩化ビニルの100質量部に対して前記リン酸エステル系可塑剤が5質量部以上150質量部以下で含まれ、前記ポリ塩化ビニルと前記リン酸エステル系可塑剤の合計の100質量部に対して、前記亜リン酸アルミニウムと前記熱膨張性黒鉛の合計が50質量部以上200質量部以下で含まれる、組成物である。
前記硬質用ポリ塩化ビニル組成物は、ポリ塩化ビニルと、亜リン酸アルミニウムと、を含み、前記ポリ塩化ビニルの100質量部に対して前記亜リン酸アルミニウムが5質量部以上250質量部以下で含まれる、組成物である。]
[2] 前記軟質用ポリ塩化ビニル組成物において、前記リン酸エステル系可塑剤の100質量部に対して前記熱膨張性黒鉛が60質量部以上250質量部以下で含まれる、[1]に記載の耐火積層シート。
[3] 前記硬質用ポリ塩化ビニル組成物において、前記ポリ塩化ビニルの平均重合度が500以上1300以下である、[1]又は[2]に記載の耐火積層シート。
【発明の効果】
【0011】
本発明の耐火積層シートは、高熱に暴露された際の耐火性及び遮熱性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪耐火積層シート≫
本発明の第一態様の耐火積層シートは、第一の硬質PVCシートと、軟質PVCシートと、第二の硬質PVCシートとがこの順で積層された耐火積層シートである。
以下、軟質PVCシートを形成する軟質用ポリ塩化ビニル組成物、及び硬質PVCシートを形成する硬質用ポリ塩化ビニル組成物を説明する。
【0013】
<軟質用ポリ塩化ビニル組成物>
本態様の軟質用ポリ塩化ビニル組成物は、ポリ塩化ビニルと、リン酸エステル系可塑剤と、亜リン酸アルミニウムと、熱膨張性黒鉛と、を含み、前記ポリ塩化ビニルの平均重合度が1300以上4000以下であり、前記ポリ塩化ビニルの100質量部に対して前記リン酸エステル系可塑剤が5質量部以上150質量部以下で含まれ、前記ポリ塩化ビニルと前記リン酸エステル系可塑剤の合計の100質量部に対して、前記亜リン酸アルミニウムと前記熱膨張性黒鉛の合計が50質量部以上200質量部以下で含まれる、組成物である。
【0014】
以下、亜リン酸アルミニウムと熱膨張性黒鉛をまとめて難燃剤ということがある。また、ポリ塩化ビニルをPVCの略称で記載し、ポリ塩化ビニル組成物をPVC組成物と記載することがある。また、「~」で示す数値範囲の下限値及び上限値はその数値範囲に含まれるものとする。
【0015】
軟質用PVC組成物のPVCの平均重合度は、1300~4000であり、1700~3000が好ましく、2000~2500がより好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、軟質用PVC組成物の粘度が高まるとともに、難燃剤の分散性も向上し、シート状に成形することが容易になる。
上記範囲の上限値以下であると、軟質用PVC組成物の流動性が高まるとともに、難燃剤の分散性も向上し、シート状に成形することが容易になる。
ここで、PVCの平均重合度は、JIS K6720-2に準拠して測定される平均重合度である。平均重合度はK値から換算して求められる。K値は、JIS K7367-2(ISO1628-2)に準拠して測定された値である。
【0016】
軟質用PVC組成物のPVCは、塩化ビニルの単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。PVCに共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、マレイン酸又はそのエステル、アクリル酸又はそのエステル、メタクリル酸又はそのエステル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
軟質用PVC組成物のPVCは、塩化ビニル単独重合体であることが好ましい。
軟質用PVC組成物のPVCは、塩素化された塩素化塩化ビニル樹脂であってもよい。
【0017】
軟質用PVC組成物の総質量に対するPVCの含有量は、10~40質量%が好ましく、15~35質量%がより好ましく、20~30質量%がさらに好ましい。
上記範囲であると、軟質用PVC組成物中の難燃剤の分散性が高まり、軟質用PVC組成物をシート状に成形することがより容易になる。
【0018】
軟質用PVC組成物には、PVC以外の樹脂が含まれていてもよいが、本発明の効果を充分に得る観点から、PVC100質量部に対するPVC以外の樹脂の含有量は、50質量部以下であれば添加してもよい。
【0019】
PVC以外の樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソブチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル(EVA)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0020】
軟質用PVC組成物のリン酸エステル系可塑剤はリン酸エステル構造を有する公知の可塑剤である。ここで、リン酸エステル構造とは、リン酸(O=P(OH)3)が持つ3個の水素の全てまたは一部が有機基で置換された構造である。
好適なリン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリクレジルホスフェート(TCP)、Tetra-C12-15-alkyl (propane-2,2-diylbis(4,1-phenylene)) bis(phosphite)が挙げられる。
軟質用PVC組成物に含まれるリン酸エステル系可塑剤は1種でもよいし、2種以上でもよい。
【0021】
軟質用PVC組成物において、PVCの100質量部に対するリン酸エステル系可塑剤の含有量は、5~150質量部であり、30~120質量部が好ましく、50~100質量部がより好ましく、60~90質量部がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、軟質用PVC組成物の流動性が高まるとともに、難燃剤の分散性も向上し、シート状に成形することが容易になる。
上記範囲の上限値以下であると、軟質用PVC組成物の粘度が高まるとともに、難燃剤の分散性も向上し、シート状に成形することが容易になる。
【0022】
軟質用PVC組成物に含まれる熱膨張性黒鉛は公知の炭素材料である。熱膨張性黒鉛は200℃以上で膨張作用が起こり、火炎等の高熱に曝されると急激に膨張する性質を有することが好ましい。
公知の熱膨張性黒鉛としては、例えば、グラファイトの粉末を無機酸と強酸化剤とで処理することにより、グラファイト層間化合物を生成させたものが挙げられる。ここで、グラファイトとしては、例えば、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等が挙げられる。無機酸としては、例えば、濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。強酸化剤としては、例えば、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。上記処理で得られた熱膨張性黒鉛は、アンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等でさらに中和されていてもよい。市販品の熱膨張性黒鉛を使用することができる。
【0023】
軟質用PVC組成物の総質量に対する熱膨張性黒鉛の含有量は、10~40質量%が好ましく、15~35質量%がより好ましく、20~30質量%がさらに好ましい。
上記範囲であると、軟質用PVC組成物をシート状に成形することがより容易になり、得られた軟質PVCシートの耐火性及び遮熱性が高まる。
【0024】
軟質用PVC組成物において、PVCの100質量部に対する熱膨張性黒鉛の含有量は、5~200質量部が好ましく、50~150質量部がより好ましく、75~125質量部がさらに好ましい。
上記範囲であると、軟質用PVC組成物をシート状に成形することがより容易になり、得られた軟質PVCシートの耐火性及び遮熱性のバランスが優れる。
【0025】
軟質用PVC組成物において、リン酸エステル系可塑剤の100質量部に対する熱膨張性黒鉛の含有量は、60~250質量部が好ましく、80~200質量部がより好ましく、100~150質量部がさらに好ましい。
上記範囲であると、軟質用PVC組成物をシート状に成形することがより容易になり、得られた軟質PVCシートの耐火性及び遮熱性のバランスが優れる。
【0026】
軟質用PVC組成物に含まれる亜リン酸アルミニウムは公知の化合物である。亜リン酸アルミニウムは400℃付近で組成変化が起こり、発泡して粉体状から多孔体に変化する性質を有することが好ましい。市販品の亜リン酸アルミニウムを使用することができる。
【0027】
軟質用PVC組成物の総質量に対する亜リン酸アルミニウムの含有量は、10~40質量%が好ましく、15~35質量%がより好ましく、20~30質量%がさらに好ましい。
上記範囲であると、軟質用PVC組成物をシート状に成形することがより容易になり、得られた軟質PVCシートの耐火性及び遮熱性が高まる。
【0028】
軟質用PVC組成物において、PVCの100質量部に対する亜リン酸アルミニウムの含有量は、5~200質量部が好ましく、50~150質量部がより好ましく、75~125質量部がさらに好ましい。
上記範囲であると、軟質用PVC組成物をシート状に成形することがより容易になり、得られた軟質PVCシートの耐火性及び遮熱性のバランスが優れる。
【0029】
軟質用PVC組成物において、ポリ塩化ビニルとリン酸エステル系可塑剤の合計の含有量を100質量部としたとき、この100質量部に対する、亜リン酸アルミニウムと熱膨張性黒鉛の合計の含有量は、50~200質量部であり、60~180質量部が好ましく、70~160質量部がより好ましく、80~140質量部がさらに好ましく、90~120質量部が特に好ましい。
上記範囲であると、軟質用PVC組成物をシート状に成形することが容易になるとともに、得られた軟質PVCシートの耐火性及び遮熱性のバランスが優れる。
【0030】
軟質用PVC組成物において、亜リン酸アルミニウムの含有量100質量部に対して、熱膨張性黒鉛の含有量は、50~200質量部が好ましく、70~150質量部がより好ましく、80~100質量部がさらに好ましい。
上記範囲であると、軟質用PVC組成物から得られた軟質PVCシートの耐火性及び遮熱性のバランスが優れる。
【0031】
<その他の任意成分>
軟質用PVC組成物には、必要に応じて、PVC、リン酸エステル系可塑剤、亜リン酸アルミニウム及び熱膨張性黒鉛以外の任意成分を含有していてもよい。
【0032】
また、PVC樹脂に一般に使用される、安定剤、滑剤、改質剤、充填剤、着色剤等を、本発明の目的を損なわない範囲で添加混合することができる。
安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、鉛白、鉛のラウレートまたはステアレート等の鉛系安定剤;ブチル錫マレエート、オクチル錫マレエート、ジ-n-アルキル錫メルカプチド、ジ-n-アルキル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ラウリルメルカプチド、ジ-オクチル錫-S, S’-ビス-(イソオクチル-メルカプトアセテート) 、ジブチル錫ビス-イソオクチルチオグリコレート、ジ-(n-オクチル)錫マレエートポリマー、ジブチル錫メルカプトプロピオナート等の錫系安定剤;カルシウム、カドミウム、バリウムまたは亜鉛のラウレートまたはステアレート等の有機金属塩系安定剤および金属石けん系安定剤;アンチモンメルカプトカルボン酸塩またはエステル塩のようなアンチモン系安定剤;ホスフェート系安定剤;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化油系安定剤;が挙げられ、これらは単独または2種以上の組み合わせで使用される。
滑剤としては、例えば、低分子ワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、流動パラフィン等の脂肪族炭化水素系滑剤;ステアリルアルコール等の高級脂肪族アルコール系滑剤;ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸系滑剤;ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミド等の脂肪族アミド系滑剤;モノステアリン酸グリセリン、ジアミノステアリン酸エチル、ブチルステアレート等の脂肪酸エステル系滑剤;または金属石けん、シリコーンオイル等が挙げられ、これらは単独または2種以上の組み合わせで使用される。
改質剤としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレン、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリルゴム等の耐衝撃改良剤;ポリメチルメタクリレート等のゲル化促進剤;アクリロニトリル・ブタジエン・α-メチルスチレン共重合体、メチルメタクリレート・アクリル酸エステル共重合体等が挙げられ、これらは単独または2種以上の組み合わせで使用される。
【0033】
<軟質用PVC組成物の製造方法>
軟質用PVC組成物は、常法に従い、各成分を混合することにより得られる。
まず、PVC、リン酸エステル系可塑剤及び任意成分を配合したPVC配合物を得て、次に、PVC配合物に亜リン酸アルミニウム及び熱膨張性黒鉛を添加して混練すると、難燃剤の分散性が優れるので好ましい。
【0034】
<硬質用ポリ塩化ビニル組成物>
本態様の硬質用ポリ塩化ビニル組成物は、ポリ塩化ビニルと、亜リン酸アルミニウムと、を含み、前記ポリ塩化ビニルの100質量部に対して前記亜リン酸アルミニウムが5質量部以上250質量部以下で含まれる、組成物である。
【0035】
硬質用PVC組成物のPVCの平均重合度は、500~1300が好ましく、600~1000がより好ましく、700~800がさらに好ましい。
上記範囲であると、耐火性に優れた硬質シートを容易に成形することができる。
ここで、PVCの平均重合度は、軟質用PVC組成物のPVCの平均重合度と同様の方法で測定された値である。
【0036】
硬質用PVC組成物のPVCは、塩化ビニルの単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。PVCに共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、マレイン酸又はそのエステル、アクリル酸又はそのエステル、メタクリル酸又はそのエステル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
硬質用PVC組成物のPVCは、塩化ビニル単独重合体であることが好ましい。
硬質用PVC組成物のPVCは、塩素化された塩素化塩化ビニル樹脂であってもよい。
【0037】
硬質用PVC組成物の総質量に対するPVCの含有量は、10~50質量%が好ましく、20~45質量%がより好ましく、30~40質量%がさらに好ましい。
上記範囲であると、硬質PVCシートの剛性がより高まり、耐火積層シートの耐火性が向上する。
【0038】
硬質用PVC組成物には、PVC以外の樹脂が含まれていてもよいが、本発明の効果を充分に得る観点から、PVC100質量部に対するPVC以外の樹脂の含有量は、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、1質量部以下がさらに好ましく、実質的に含まれないことが最も好ましい。
【0039】
PVC以外の樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソブチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル(EVA)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0040】
硬質用PVC組成物には、リン酸エステル系可塑剤が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0041】
硬質用PVC組成物には、熱膨張性黒鉛が含まれていてもよいが、硬質PVCシートの剛性や耐火性を高める観点から、PVC100質量部に対する熱膨張性黒鉛の含有量は、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、1質量部以下がさらに好ましく、実質的に含まれないことが最も好ましい。
【0042】
硬質用PVC組成物に含まれる亜リン酸アルミニウムは上述の通り公知の化合物である。
硬質用PVC組成物の総質量に対する亜リン酸アルミニウムの含有量は、30~70質量%が好ましく、40~65質量%がより好ましく、50~60質量%がさらに好ましい。
上記範囲であると、硬質用PVC組成物をシート状に成形することがより容易になり、得られた硬質PVCシートの耐火性及び遮熱性が高まる。
【0043】
硬質用PVC組成物において、PVCの100質量部に対する亜リン酸アルミニウムの含有量は、5~250質量部であり、50~200質量部が好ましく、75~150質量部がより好ましく、100~125質量部がさらに好ましい。
上記範囲であると、硬質用PVC組成物をシート状に成形することがより容易になり、得られた硬質PVCシートの耐火性及び遮熱性のバランスが優れる。
【0044】
<その他の任意成分>
硬質用PVC組成物には、必要に応じて、PVC、及び亜リン酸アルミニウムの任意成分を含有していてもよい。
任意成分としては、例えば、軟質用PVC組成物で例示したその他の任意成分が挙げられる。
【0045】
<硬質用PVC組成物の製造方法>
硬質用PVC組成物は、常法に従い、各成分を混合することにより得られる。
まず、PVC及び任意成分を配合したPVC配合物を得て、次に、PVC配合物に亜リン酸アルミニウムを添加して混練する方法が好ましい。
【0046】
<耐火積層シートの積層構成>
本態様の耐火積層シートの縦×横×厚さのサイズは特に制限されず、例えば、縦が1~100cm、横が1~100cm、厚さが1~10mmのサイズが挙げられる。
本態様の耐火積層シートにおいて、軟質PVCシートの厚さは特に制限されず、例えば、0.1~10mmの範囲で用途に応じて適宜設定される。
本態様の耐火積層シートにおいて、硬質PVCシートの厚さは特に制限されず、例えば、0.1~10mmの範囲で用途に応じて適宜設定される。
第一の硬質PVCシートの厚さh1と第二の硬質PVCシートの厚さh2は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよく、例えば、h1:h2=2:1~1:2の範囲とすることができる。
第一の硬質PVCシートの厚さh1と、軟質PVCシートの厚さh3は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよく、例えば、h1:h3=2:1~1:2の範囲とすることができる。
なお、本態様の耐火積層シートにおいて、2枚ある硬質PVCシートのうち任意の一方を第一の硬質PVCシートと考えてよい。
【0047】
本態様の耐火積層シートにおいて、第一の硬質PVCシートと軟質PVCシートとの間に別の樹脂層があっても構わないが、本態様の耐火積層シートの耐火性及び遮熱性を高める観点から、第一の硬質PVCシートと軟質PVCシートは直接に接着していることが好ましい。第二の硬質PVCシートと軟質PVCシートとの関係も同様である。
【0048】
本態様の耐火積層シートを構成する第一の硬質PVCシートと第二の硬質PVCシートとは、互いの組成が同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0049】
<耐火積層シートの製造方法>
常法に従い、軟質用PVC組成物から軟質PVCシートを形成し、硬質用PVC組成物から硬質PVCシートを形成した後、硬質PVCシートと軟質PVCシートとを積層することにより、耐火積層シートを得ることができる。硬質PVCシートに軟質PVCシートを積層する方法としては、加熱及び加圧しながら溶着する方法が好ましい。
【0050】
軟質PVCシートの製造方法としては、軟質用PVC組成物を、常法に従い、一軸押出機、二軸押出機等の押出機で溶融押出成形や、カレンダー成形・プレス成形する方法が挙げられる。
軟質用PVC組成物の溶融温度は、PVCが焼けず、熱膨張性黒鉛が膨張しない程度に低くする必要があり、130~170℃が好ましい。
硬質用PVCシートも、軟質用PVCシートと同様に製造することができる。
【0051】
<耐火積層シートの用途>
本態様の耐火積層シートの用途は特に制限されず、例えば、電池や種々の電源装置等の発火性の物品を遮蔽したり、保存したり、梱包したりする用途に好適である。
【実施例】
【0052】
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれら実施例だけに限定されるものではない。
【0053】
表1に記載の原材料の詳細は次の通りである。
「TK-1000」:信越化学工業社製、平均重合度1000のポリ塩化ビニル
「TK-2500HS」:信越化学工業社製、平均重合度2500のポリ塩化ビニル
「S-5000」:信越化学工業社製、平均重合度5000のポリ塩化ビニル
「レオフォス65」:味の素ファインテクノ社製、リン酸トリアリールイソプロピル化物
「DINP」:新日本理化社製、フタル酸ジイソノニル
「W-100EL」:DIC社製
「アデカスタブNPS-309」:ADEKA社製
「アデカスタブ1500」:ADEKA社製、Tetra-C12-15-alkyl (propane-2,2-diylbis(4,1-phenylene)) bis(phosphite)
「CS-6」:日東化成工業社製、ステアリン酸カルシウム
「NSF」:太平化学産業社製
「膨張黒鉛 N9950300」:西村黒鉛社製
【0054】
[軟質用PVC組成物の作成]
表1に記載の量(質量部)で各原材料を二軸式混練機で混合した軟質用PVC組成物を得た。例えば実施例1において、PVCの100質量部に対してリン酸エステル系可塑剤の75質量部とその他の添加剤約5質量部を配合し、さらに亜リン酸アルミニウム90.05質量部と、熱膨張性黒鉛90.05質量部を配合して目的の軟質用PVC組成物を得た。
【0055】
[軟質PVCシートの作成]
(実施例1)
実施例1の軟質用PVC組成物80gをラボプラストミル(東洋精機社製:型番:4C150、ローター:R30)に投入し、150℃設定で30回転/分にて7分混錬した。得られた混練物を1分以内に150℃設定の6インチロールにて3分素通して、約1mm厚の軟質PVCシートを作成した。この軟質PVCシートを10cm×5cmのサイズに裁断して試験片とした。
【0056】
(比較例1)
比較例1の軟質用PVC組成物を用い、実施例1と同様に軟質PVCシートの作成を試みたが、軟質用PVC組成物の流動性が過度に高く、シート状に成形することができなかった。
【0057】
(比較例2)
比較例2の軟質用PVC組成物を用い、実施例1と同様に軟質PVCシートの作成を試みたが、軟質用PVC組成物のまとまりが悪く、粘度が過度に高く、シート状に成形することができなかった。
【0058】
(比較例3~5)
比較例3~5の軟質用PVC組成物を用い、実施例1と同様に軟質PVCシートを作成し、試験片を得た。
【0059】
(比較例6)
比較例6の軟質用PVC組成物を用い、実施例1と同様に軟質PVCシートの作成を試みたが、軟質用PVC組成物のまとまりが悪く、辛うじて厚いシート(板)に成形できても、実施例1と同じ厚さに薄くすることができなかった。
【0060】
[軟質PVCシートの耐火性と遮熱性の評価]
各例で作成した軟質PVCシートの試験片を、水平に固定して900℃に加熱した金網に載せ、120秒間加熱した。この際の試験片の上面の温度変化をサーモグラフィーで測定した。
【0061】
(実施例1)
試験片の上面の最高温度は350℃であった。また、反りや細り(収縮)などの外形の変化は小さかった。
【0062】
(比較例3)
試験片の上面の最高温度は405℃に達し、その後で発火した。
【0063】
(比較例4)
試験片は、加熱後直ぐに外形が大きく変形したので加熱を中止した。
【0064】
(比較例5)
試験片の上面の最高温度は400℃に達した。
【0065】
【0066】
<考察1>
実施例1の軟質PVCシートは、優れた遮熱性を示し、外形の変形も少なく耐火性も優れていた。
比較例1の軟質用PVC組成物は、PVCの平均重合度が小さいため、軟質用PVC組成物がシート成形に適した状態にならなかった。
比較例2の軟質用PVC組成物は、PVCの平均重合度が大きいため、軟質用PVC組成物がシート成形に適した状態にならなかった。
比較例3の軟質PVCシートは、リン酸エステル系可塑剤を含まず、フタル酸系可塑剤を含んでいたので、遮熱性に劣り、発火した。
比較例4の軟質PVCシートは、難燃剤の総量が少ないため、加熱後直ぐに外形が激しく変形し、遮熱性を発揮することはできなかった。
比較例5の軟質PVCシートは、シート成形可能な範囲で多量の亜リン酸アルミニウムを含むが、熱膨張性黒鉛を含まないため、遮熱性が劣っていた。
比較例6の軟質用PVC組成物は、難燃剤の総量が多いため、所望の厚さのシートを得るためにプレスすることができなかった。
以上の結果から、本発明で用いる軟質用PVC組成物は、所望の厚さでシートを成形することができ、得られた軟質PVCシートは、耐火性及び遮熱性が共に優れていることが明らかである。
【0067】
表2に記載の原材料の詳細は次の通りである。
「TK-700」:信越化学工業社製、平均重合度700のポリ塩化ビニル
「S-111」:勝田化工社製
「アデカスタブ1500」:ADEKA社製
「カネエース B-564」:カネカ社製
「カネエース B-56」:カネカ社製
「メタブレンP-700」:三菱ケミカル社製
「メタブレンP-501A」:三菱ケミカル社製
「ロキシオールG-72」:Emery Oleochemicals社製
「F-3」:川研ファインケミカル社製
「ロキシオールG-70S」:Emery Oleochemicals社製
「ロキシオールG-15」:Emery Oleochemicals社製
「CS-6」:日東化成工業社製、ステアリン酸カルシウム
「W-100EL」:DIC社製
「NSF」:太平化学産業社製
【0068】
[硬質用PVC組成物の作成]
表2に記載の量(質量部)で各原材料を二軸式混練機で混合した硬質用PVC組成物を得た。例えば実施例2において、PVCの100質量部に対して各種任意成分を18.95質量部で配合し、さらに亜リン酸アルミニウム118.95質量部を配合して目的の硬質用PVC組成物を得た。
【0069】
[硬質PVCシートの作成]
(実施例2)
実施例2の硬質用PVC組成物85.9gをラボプラストミル(東洋精機社製:型番:4C150、ローター:R30)に投入し、180℃設定で30回転/分にて7分混錬した。得られた混練物を1分以内に180℃設定の6インチロールにて3分素通して、約0.5mm厚の硬質PVCシートを作成した。この硬質PVCシートを10cm×5cmのサイズに裁断して試験片とした。
【0070】
(比較例7)
比較例7の硬質用PVC組成物を用い、実施例2と同様に硬質PVCシートの作成を試みたが、硬質用PVC組成物の流動性が悪く、シート状に成形することができなかった。
【0071】
(比較例8)
比較例8の硬質用PVC組成物を用い、実施例2と同様に硬質PVCシートを作成し、試験片を得た。
【0072】
[硬質PVCシートの耐火性と遮熱性の評価]
各例で作成した軟質PVCシートの試験片を、水平に固定して900℃に加熱した金網に載せ、90秒間加熱した。この際の試験片の上面の温度変化をサーモグラフィーで測定した。
【0073】
(実施例2)
90秒加熱後の試験片の上面の温度は、521℃であった。また、反りや細り(収縮)などの外形の変化はほとんどなかった。
【0074】
(比較例8)
90秒加熱後の試験片の上面の温度は、581℃であった。
【0075】
【0076】
<考察2>
実施例2の硬質PVCシートは、比較例8に比べて優れた遮熱性を示し、外形の変形もほとんどなく耐火性も優れていた。
比較例7の硬質用PVC組成物は、亜リン酸アルミニウムの含有量が多いため、硬質用PVC組成物がシート成形に適した状態にならなかった。
比較例8の硬質PVCシートは、亜リン酸アルミニウムの含有量が少ないため、遮熱性が劣っていた。
以上の結果から、本発明で用いる硬質用PVC組成物は、所望の厚さでシートを成形することができ、得られた硬質PVCシートは、耐火性及び遮熱性が共に優れていることが明らかである。
【0077】
[耐火積層シートの作成]
(実施例3)
実施例1と同様に作成した軟質PVCシート(0.5mm厚)の表面と裏面に、実施例2で作成した硬質PVCシート(0.5mm厚)を重ねて加熱及び加圧することにより、2枚の硬質PVCシートの間に軟質PVCシートを挟んだ耐火積層シート(1.5mm厚)を作成した。この耐火積層シートを10cm×5cmのサイズに裁断して試験片とした。
【0078】
(比較例9)
実施例2で作成した硬質PVCシート(0.5mm厚)の表面と裏面に、実施例1と同様に作成した軟質PVCシート(0.5mm厚)を重ねて加熱及び加圧することにより、2枚の軟質PVCシートの間に硬質PVCシートを挟んだ耐火積層シート(1.5mm厚)を作成した。この耐火積層シートを10cm×5cmのサイズに裁断して試験片とした。
【0079】
[耐火積層シートの耐火性と遮熱性の評価]
各例で作成した耐火積層シートの試験片を、水平に固定して770℃に加熱した金網に載せ、120秒間加熱した。この際の試験片の上面の温度変化をサーモグラフィーで測定した。
【0080】
(実施例3)
試験片の上面の最高温度は300℃であった。また、反りや細り(収縮)などの外形の変化はほとんどなかった。
【0081】
(比較例9)
試験片の上面の最高温度は300℃に抑えられたが、実施例3と比べて、反りや細りなどの外形の変化が大きかった。
【0082】
以上の結果から、本発明の耐火積層シートは、耐火性及び遮熱性が共に優れていることが明らかである。
なお、実施例1及び比較例1~5は軟質PVCシート単独の評価であるから、参考試験例である。また、実施例2及び比較例7~8は硬質PVCシート単独の評価であるから、参考試験例である。