(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】飛沫防止具
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
G07G1/00 331Z
G07G1/00 301Z
(21)【出願番号】P 2020100561
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2022-12-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2020年5月25日に福屋八丁堀本店 地下1階食品売場に納品。
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】奥 隆三郎
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-170160(JP,A)
【文献】特開2013-255609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンドと、スタンドに支持される飛沫ガードとを備え、飛沫ガードは、POS端末操作者の顔の前方に配置されるものであり、スタンドは、ベースと伸縮自在な柱を有し、ベースは、POS端末が設置されるテーブルに載置されて固定されるものであり、柱を伸縮させることで飛沫ガードの高さを調整自在であることを特徴とする飛沫防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットやドラッグストア等において店員と客との間で互いの飛沫がかかるのを防止する飛沫防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
風邪やインフルエンザ等の感染症は、咳やくしゃみなどによって飛び散る飛沫を通じて感染することが知られており、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等での買い物の精算時に、店員と客との間でお互いに飛沫がかかるのを防止できるものが求められた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、店員と客との間で飛沫を防止する飛沫防止具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による飛沫防止具は、スタンドと、スタンドに支持される飛沫ガードとを備え、飛沫ガードは、POS端末操作者の顔の前方に配置されるものであり、スタンドは、ベースと伸縮自在な柱を有し、ベースは、POS端末が設置されるテーブルに載置されて固定されるものであり、柱を伸縮させることで飛沫ガードの高さを調整自在であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による飛沫防止具は、スタンドと、スタンドに支持される飛沫ガードとを備え、飛沫ガードは、POS端末操作者の顔の前方に配置されるものであり、スタンドは、ベースと伸縮自在な柱を有し、ベースは、POS端末が設置されるテーブルに載置されて固定されるものであり、柱を伸縮させることで飛沫ガードの高さを調整自在であるため、POS端末操作者の身長に応じて飛沫ガードの高さを調整することで、POS端末操作者(店員)と客との間で互いの飛沫を確実に防止できる。スタンドのベースを床に置かないため、通行の邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】(a)は本発明の飛沫防止具の一実施形態を示すレジカウンタ周りの側面図、(b)は同正面図、(c)は同平面図である。
【
図3】同飛沫防止具のスタンドの柱の伸縮部を示す縦断面図である。。
【
図4-1】同飛沫防止具の設置手順を示す斜視図である。
【
図4-2】同飛沫防止具の設置手順(
図4-1の続き)を示す斜視図である。
【
図4-3】同飛沫防止具の設置手順(
図4-2の続き)を示す斜視図である。
【
図4-4】同飛沫防止具の設置手順(
図4-3の続き)を示す斜視図である。
【
図4-5】同飛沫防止具の設置手順(
図4-4の続き)を示す斜視図である。
【
図5】(a)は本発明の飛沫防止具の変形例を示すレジカウンタ周りの側面図、(b)は同正面図、(c)は同平面図である。
【
図6】(a)は同飛沫防止具の飛沫ガードの側方延長部の平面図、(b)は同正面図である。
【
図7】飛沫ガードの側方延長部の取付け方を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~3は、本発明の飛沫防止具5の一実施形態を示している。
図1は、スーパーマーケットやドラッグストア等の店舗のレジカウンタ6を示しており、同レジカウンタ6は商品を入れた買い物かごを載せるテーブル7を客の動線に沿って有し、テーブル7の長手方向中央部には店員(POS端末操作者)3が買い物かごの中の商品を手に取り、商品のバーコードを読み取って商品を登録するスキャナ(POS端末)8が設置してある。代金の精算は、客がテーブル7の下流側に設置された精算機(POS端末)9により自分で行うようになっており、店員3はスキャナ8の後に立ち、商品の登録のみを行う。テーブル7上には、店員3と客の間で互いの飛沫がかかるのを防ぐ飛沫防止具5が設置してある。
【0008】
飛沫防止具5は、
図1,2に示すように、一対の柱4,4を有しテーブル7上に設置されるスタンド1と、スタンド1にて支持される飛沫ガード2を備えている。
スタンド1は、
図2に示すように、下側部材10と上側部材11を有している。下側部材10は、ベースプレート12と、ベースプレート12上にスキャナ8の横幅とほぼ同じ間隔をあけて立設した一対の下柱4a,4aを有している。下柱4a,4aは、金属の丸パイプで形成してあり、下柱4a,4aの上端部には中間リング13が取付けてある。また、一対の下柱4a,4aの上部が繋ぎ板14で繋いである。
上側部材11は、下側が自由端となったコ字状の上柱4b,4bと、上柱4b,4b上部の連結部に取付けられた飛沫ガード取付部15とを有している。上柱4b,4bは、下柱4a,4aよりも一回り細い丸パイプで形成してあり、下部の一側面にねじ挿通孔16が上下方向に間隔をおいて複数形成してある。上柱4b,4bは、
図3に示すように、下部が下柱4a,4a内に挿入され、中間リング13に螺入したねじ17をいずれかのねじ挿通孔16に挿通し、ねじ17の先端を上柱4bの内面に当接して下柱4aに押し付けてある。このようにスタンド1の柱4は、下柱4aと上柱4bとで伸縮自在に構成され、複数のねじ挿通孔16のいずれかにねじ17を選択的に通して締め込むことで、柱4の長さを段階的に調節することができる。
飛沫ガード取付部15は、下側が開放したコ字状断面となっており、飛沫ガード取付部15に飛沫ガード2の上端部を下方より嵌め込んでねじ18で固定してある(
図4-3(f)参照)。
図2に示すように、上柱4b,4bには振れ止め具19が嵌合取付けされ、振れ止め具19に飛沫ガード2の下部をねじ20で固定して(
図4-5(i)参照)、飛沫ガード2の振れを防止している。
【0009】
スタンド1は、
図2に示すように、後述するようにスキャナ8に固定されるベース21を有し、ベース21上にスタンド1のベースプレート12を重ねて上方からのねじ22でベース21にねじ止めすることで、テーブル7上に取付けてある。また、スキャナ8の柱の上部には転倒防止金具23が取付けられ、スタンド1の柱4,4間に設けた繋ぎ板14を転倒防止金具23にねじ24で固定して、スタンド1の転倒を防止している。
【0010】
飛沫ガード2は、
図2に示すように、金属の角パイプで形成した本体フレーム25と、本体フレーム25にねじ26で固定して本体フレーム25から吊り下げたパネル27を有している。パネル27は、透明な薄い樹脂板で形成してある。飛沫ガード2は、正面部28と、平面部28と鈍角を成すように正面部28の左右両側に連接された側面部29a,29bとを有している。飛沫ガード2は、
図1(a)に示すように、店員3の身長に合わせてスタンド1の柱4の長さを調節して、店員3の顔の前方に配置される。
【0011】
次に、本飛沫防止具5の設置手順を説明する。まず、
図4-1(a)に示すように、スキャナ8下部に取付けられている樹脂皿30を取外す。次に、スキャナ8を通すためにテーブル7に開けた孔31とスキャナ8との隙間を隠すために設けられた前後二つ割りの板32a,32bがあるので、そのうちの後側の板32bを内側のねじ33を外して取外す。その後、
図4-1(b)に示すように、取外した板32bの代わりに、スタンド1取付用の雌ネジ孔34が形成されたベース21を嵌め、先ほど外したねじ33でスキャナ8下部に内側から固定する。次に、
図4-1(c)に示すように、スキャナ8上部に形成された穴35を利用して転倒防止金具23をねじ36で固定する。
次に、
図4-2(d)に示すように、下柱4a,4aの上端に中間リング13を差し込み、スタンド1の下側部材10をそのベースプレート12を先に取付けたベース21上に重ねて配置し、上方からのねじ22で固定する。また、繋ぎ板14を前方からのねじ24で転倒防止金具23に固定する。
次に、
図4-3(e)に示すように、本体フレーム25にパネル27をねじ26で取付けて飛沫ガード2を組み立てる。次に、
図4-3(f)に示すように、スタンド1の上側部材11の飛沫ガード取付部15に飛沫ガード2の上端部を下方より嵌め込み、ねじ18で固定する。次に、
図4-3(g)に示すように、パネル27に形成された穴37に通したねじ20を振れ止め具19にねじ込み、振れ止め具19をパネル27に仮止めする。
次に、
図4-4(h)に示すように、スタンド上側部材11の上柱4b,4bをスタンド下側部材10の下柱4a,4aに差し込み、飛沫ガード2が希望の高さになるように調整しながら中間リング13のねじ17を上柱4b,4bの何れかのねじ挿通孔16に合わせ、ねじ17を手回しで締め込み、高さが決まったらねじ17を工具でさらに締め込んで固定する(左右2か所)。
最後に、
図4-5(i)に示すように、パネル27に仮止めしていた振れ止め具19,19を上柱4b,4bに押し込んで嵌め、ねじ20を締め込んで固定する。
【0012】
図5~7は、本発明の飛沫防止具5の変形例を示している。
図5に示すように、レジカウンタ6は、テーブル7の下流側のテーブル7の後側に隣接して精算機9が設置され、店員3がスキャナ8により商品のバーコード読み取って商品の登録を行った後、下流側に移動して精算機9により代金の精算も行うようになっている。飛沫防止具5は、精算機9側に店員3が移動したときにも飛沫を防止できるように、飛沫ガード2の下流側の側面部29bを側方に延長してある。なお、スキャナ8による商品の登録と、精算機9による代金の精算を、二名の店員3で分担して行うこともある。
【0013】
飛沫ガード2の側方への延長部分は、
図6,7に示すように、延長用フレーム38と、延長フレーム38にねじ26で固定して吊り下げた延長用パネル39とを有し、延長用フレーム38を本体フレーム25の先に連結具40で連結して取付けてある。連結具40は、断面コ字状の長尺材となっており、本体フレーム25と延長用フレーム38とに跨るように後方から嵌合させ、本体フレーム25と延長用フレーム38とにねじ41で固定してある。飛沫ガード2本体のパネル27と延長用パネル39とは、隙間が開かないように側縁部同士を重ねてある。
【0014】
以上に述べたように本飛沫防止具5は、スタンド1と、スタンド1に支持される飛沫ガード2とを備え、飛沫ガード2は、POS端末操作者(店員)3の顔の前方に配置されるものであり、側方に延長可能であるため、POS端末(スキャナ8、精算機9等)の配置によっては飛沫ガード2を側方に延長することで、POS端末操作者3が側方に移動しても客との間で互いの飛沫を防止できる。
飛沫ガード2は、上部に設けた本体フレーム25と、本体フレーム25から吊り下げたパネル27とを有し、延長用フレーム38に延長用のパネル39を取付け、延長用フレーム38を本体フレーム25の先に連結することで飛沫ガード2を側方に延長できるようにしたので、必要に応じて飛沫ガード2を簡単に側方に延長でき、便利である。
【0015】
また、本飛沫防止具5は、スタンド1と、スタンド1に支持される飛沫ガード2とを備え、飛沫ガード2は、POS端末操作者3の顔の前方に配置されるものであり、スタンド1は、ベース21と伸縮自在な柱4を有し、ベース21は、POS端末8が設置されるテーブル7に載置されて固定されるものであり、柱4を伸縮させることで飛沫ガード2の高さを調整自在であるため、POS端末操作者3の身長に応じて飛沫ガード2の高さを調整することで、POS端末操作者(店員)3と客との間で互いの飛沫を確実に防止できる。スタンド1のベース21を床に置かないため、通行の邪魔にならない。
スタンド1は、ベース(ベースプレート)12上に一対の下柱4a,4aを立設した下側部材10と、下端が自由端となったコ字状の上柱4b,4bの上部に飛沫ガード2の取付部15を有する上側部材11とを有し、上柱4b,4bを下柱4a,4aに差し込んで固定することで柱4を伸縮自在としたので、製作や組立てが容易であり、飛沫ガード2の高さ調整も容易に行える。
【0016】
また、本飛沫防止具5は、POS端末(スキャナ)8が設置されるテーブル7上に載置されるベース21を有し、ベース21はPOS端末8に固定されるので、テーブル7に取付用の孔を加工したりすることなく、容易に設置することができる。
さらに本飛沫防止具5は、POS端末8に取付けられる転倒防止金具23を有し、転倒防止金具23にスタンド1をねじ24で固定することで、転倒を防止して安定して設置できる。
さらに本飛沫防止具5は、スタンド1に振れ止め具19が設けてあり、振れ止め具19に飛沫ガード2の下部をねじ20で固定することで、飛沫ガード2の振れを防止できる。
飛沫ガード2は、正面部28と、正面部28の左右両側に連接した側面部29a,29bを有することで、客が店員3の正面から横にずれた位置に立っているときでも飛沫がかかるのを防止できる。
【0017】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。スタンドと飛沫ガードの具体的な形状は、POS端末の形状・配置等に応じて適宜変更することができる。スタンドのベースプレート(ベース)をテーブルに直接固定することもできる。スタンドの柱を伸縮自在とするための具体的な構造は任意であり、例えば、中間リングのねじの先端を上柱に単に押し付けて任意の長さに調整可能としたものでもよい。POS端末は、スキャナに限らずあらゆるPOS端末が含まれ、例えばPOSレジ、タブレット端末等であってもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 スタンド
2 飛沫ガード
3 店員(POS端末操作者)
4 柱
5 飛沫防止具
7 テーブル
8 スキャナ(POS端末)
21 ベース