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  • 特許-ダンパ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】ダンパ装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/139 20060101AFI20240119BHJP
   F16F 15/134 20060101ALI20240119BHJP
   F16D 7/02 20060101ALI20240119BHJP
   F16D 43/21 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
F16F15/139 D
F16F15/134 A
F16D7/02 A
F16D43/21
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020103835
(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公開番号】P2021196013
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】上原 宏
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-193767(JP,A)
【文献】特開2001-173720(JP,A)
【文献】特開2015-121256(JP,A)
【文献】特開2012-077820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/139
F16F 15/134
F16D 7/02
F16D 43/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源側の部材と出力側の部材との間に設けられるダンパ装置であって、
前記出力側の部材に連結されるダンパユニットと、
前記動力源側の部材と前記ダンパユニットとの間で伝達されるトルクを制限するトルクリミッタユニットと、
を備え、
前記ダンパユニットは、
互いに軸方向に対向して配置され、それぞれ円周方向に並べて配置された複数の窓部を有する第1プレート及び第2プレートと、
前記第1プレート及び前記第2プレートと相対回転可能であり、フランジを有し、前記フランジは、前記第1プレートと前記第2プレートとの軸方向間に配置され前記複数の窓部に対応する位置に窓孔を有する、ハブフランジと、
前記第1プレート及び前記第2プレートと前記ハブフランジとを回転方向に弾性的に連結し、前記複数の窓部及び窓孔に収容される複数の弾性部材と、
前記第1プレート及び前記第2プレートと、前記ハブフランジと、の相対回転を所定の角度範囲に規制するストッパ機構と、
を有し、
前記トルクリミッタユニットは、前記第1プレートの外周部に内周部が固定部材により固定された環状プレート、
を有し、
前記第1プレートは、前記窓部の径方向外方に、前記第2プレート側に向かって延びる係合部と、前記係合部の先端から径方向外方に延び前記第2プレートに固定された固定部と、を有し、
前記ハブフランジは、隣接する前記窓孔の円周方向間の径方向外方に突起を有し、
前記ストッパ機構は、前記第1プレート及び前記第2プレートが前記ハブフランジに対して所定角度回転したときに前記突起が前記係合部に当接することによって構成され、
前記固定部材は、回転軸に沿った方向視で、隣接する前記複数の窓部の円周方向間に配置される、
ダンパ装置。
【請求項2】
前記第2プレート及び前記フランジは、前記固定部材が軸方向に貫通可能な組付用孔を有している、請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項3】
前記トルクリミッタユニットは、
前記環状プレートを挟むようにして配置され、互いに軸方向移動不能に固定された第1挟持プレート及び第2挟持プレートと、
前記環状プレートとともに前記第1挟持プレートと第2挟持プレートとの間に挟まれるようにして配置され、摩擦ディスクを付勢する付勢部材と、
を有する、
請求項1又は2に記載のダンパ装置。
【請求項4】
前記第1挟持プレート及び前記第2挟持プレートは、回転軸に沿った方向視で前記固定部と一部が重なっている、請求項3に記載のダンパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパ装置、特に、動力源側の部材と出力側の部材との間に設けられるダンパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばエンジン及び電動機を備えたハイブリッド車両では、エンジン始動時等において出力側から過大なトルクがエンジン側に伝達するのを防止するために、特許文献1に示されるようなダンパ装置が用いられている。
【0003】
特許文献1のダンパ装置は、1対のプレート及び複数のトーションスプリングを有するダンパ部を有しており、このダンパ部の外周側にトルクリミッタが設けられている。トルクリミッタとダンパ部とは、リベットによって連結されている。そして、トルクリミッタのプレートが、リベットによって上記プレートに固定されている。
【0004】
ここでは、ダンパ部とフライホイールとの間で伝達されるトルクがトルクリミッタによって制限され、両者の間で過大なトルクが伝達されるのが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-214818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のダンパ装置は、ダンパ部の外周側にトルクリミッタが配置されている。より詳細には、ダンパ部は、入力側の回転体として1対の円板状の第1プレート及び第2プレートを有しており、またトルクリミッタは、両側面に摩擦材が固定された接続プレートを有している。そして、第1プレートの外周部に、接続プレートの内周部がリベットにより固定されている。
【0007】
このような従来のダンパ装置では、トルクリミッタを配置した場合、径方向寸法が大きくなり、装置の小型化に妨げになっている。
【0008】
本発明の課題は、トルクリミッタ機能を有するダンパ装置において、径方向の寸法を抑え、装置の小型化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係るダンパ装置は、動力源側の部材と出力側の部材との間に設けられる。ダンパ装置は、ダンパユニットと、トルクリミッタユニットと、を備える。ダンパユニットは、出力側の部材に連結される。トルクリミッタユニットは、動力源側の部材とダンパユニットとの間で伝達されるトルクを制限する。ダンパユニットは、第1プレート及び第2プレートと、ハブフランジと、複数の弾性部材と、ストッパ機構と、を有する。第1プレート及び第2プレートは、互いに軸方向に対向して配置される。第1プレート及び第2プレートは、それぞれ円周方向に並べて配置された複数の窓部を有する。ハブフランジは、第1プレート及び第2プレートと相対回転可能である。ハブフランジは、フランジを有する。フランジは、第1プレートと第2プレートとの軸方向間に配置され複数の窓部に対応する位置に窓孔を有する。複数の弾性部材は、第1プレート及び第2プレートとハブフランジとを回転方向に弾性的に連結する。複数の弾性部材は、複数の窓部及び窓孔に収容される。ストッパ機構は、第1プレート及び第2プレートと、ハブフランジと、の相対回転を所定の角度範囲に規制する。トルクリミッタユニットは、第1プレートの外周部に内周部が固定部材により固定された環状プレートを有する。第1プレートは、係合部と、固定部と、を有する。係合部は、窓部の径方向外方に、第2プレート側に向かって延びる。固定部は、係合部の先端から径方向外方に延び、第2プレートに固定されている。ハブフランジは、隣接する窓孔の円周方向間の径方向外方に突起を有する。ストッパ機構は、第1プレート及び第2プレートがハブフランジに対して所定角度回転したときに、突起が係合部に当接することによって構成されている。固定部材は、回転軸に沿った方向視で、隣接する複数の窓部の円周方向間に配置される。
【0010】
この装置では、ダンパユニットと、動力源側の部材と、の間で伝達されるトルクが、トルクリミッタユニットによって制限される。したがって、本装置を、例えばハイブリッド車両に搭載した場合、エンジン始動時等において出力側から過大なトルクがエンジン側に伝達されるのを防止できる。
【0011】
ここでは、トルクリミッタユニットを構成する環状プレートは、隣接する複数の窓部の円周方向間において、固定部材によってダンパユニットの第1プレートに固定されている。すなわち、トルクリミッタユニットの内周部と、ダンパユニットの外周部とは、回転軸に沿った方向視でオーバラップして連結されている。このため、本装置では、従来のダンパ装置に比較して、径方向の寸法を抑えることができる。
【0012】
(2)好ましくは、第2プレート及びフランジは、固定部材が軸方向に貫通可能な組付用孔を有している。
【0013】
(3)好ましくは、トルクリミッタユニットは、第1挟持プレート及び第2挟持プレートと、付勢部材と、を有する。第1挟持プレート及び第2挟持プレートは、環状プレートを挟むようにして配置される。第1挟持プレート及び第2挟持プレートは、互いに軸方向移動不能に固定されている。付勢部材は、環状プレートとともに第1挟持プレートと第2挟持プレートとの間に挟まれるようにして配置される。付勢部材は、摩擦ディスクを付勢する。
【0014】
(4)好ましくは、第1挟持プレート及び第2挟持プレートは、回転軸に沿った方向視で固定部と一部が重なっている。
【発明の効果】
【0015】
以上のような本発明では、トルクリミッタ機能を有するダンパ装置において、径方向の寸法を抑え、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態によるダンパ装置の断面図。
図2図1のダンパ装置の正面図。
図3図1のダンパ装置のトルクリミッタユニットを抽出して示す図。
図4】トルクリミッタユニットの正面部分図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態によるダンパ装置1(以下、単に「ダンパ装置1」と記載する場合もある)の断面図である。また、図2はダンパ装置1の正面図であり、その一部は構成する部材を取り外して示している。図1においては、ダンパ装置1の左側にエンジンが配置され、右側に電動機や変速装置等を含む駆動ユニットが配置されている。
【0018】
このダンパ装置1は、フライホイールと駆動ユニットの入力軸と(いずれも図示せず)の間に設けられ、エンジンと駆動ユニットとの間で伝達されるトルクを制限するとともに、回転変動を減衰するための装置である。ダンパ装置1は、ダンパユニット10と、トルクリミッタユニット20と、を有している。
【0019】
[ダンパユニット10]
図1に示すように、ダンパユニット10は、第1プレート11及び第2プレート12と、ハブフランジ13と、複数のトーションスプリング14(弾性部材の一例)と、ストッパ機構40と、ヒス発生機構15と、を有している。
【0020】
<第1プレート11>
第1プレート11は、後述するように、トルクリミッタユニット20を構成する部材が連結されている。第1プレート11は、円板状に形成された本体部11aと、複数の係合部11bと、第1固定部11cと、を有している。本体部11aの外周部には、複数の第1窓部11dが円周方向に並べて配置されている。第1窓部11dは、軸方向に貫通する孔と、孔の外周縁及び内周縁に形成された保持部と、を有している。係合部11bは、第1プレート11の外周端部の一部を径方向外方に突出させ、さらにその部分を第2プレート12側に折り曲げて形成されている。第1固定部11cは、係合部11bの先端をさらに径方向外方に折り曲げて形成されている。また、第1プレート11の外周部には、トルクリミッタユニット20を取り付けるための複数のリベット用孔11eが形成されている。
【0021】
<第2プレート12>
第2プレート12は、第1プレート11と軸方向に間隔をあけて対向して配置されている。第2プレート12は、外周面の一部に直線部を有する円板状に形成されている。また、第2プレート12の最外径は、第1プレート11の外径と同じである。第2プレート12の外周部には、第1プレート11の第1窓部11dと対向する位置に複数の第2窓部12dが形成されている。第2窓部12dは、軸方向に貫通する孔と、孔の外周縁及び内周縁に形成された保持部と、を有している。第2プレート12において、第2窓部12dの円周方向間の外周部には、第2固定部12cが形成されている。そして、第1プレート11の第1固定部11cと、第2プレート12の第2固定部12cと、がリベット16によって固定されている。これにより、第1プレート11と第2プレート12とは、軸方向及び回転方向に互いに移動不能である。
【0022】
また、第2プレート12の外周部において、第1プレート11のリベット用孔11eに対応する位置には、複数の組付け作業用の孔12bが形成されている。
【0023】
<ハブフランジ13>
ハブフランジ13は、中心部に形成された筒状のハブ17と、ハブ17の外周面から径方向外方に延びるフランジ18と、を有している。ハブ17の内周面にはスプライン孔17aが形成されており、このスプライン孔17aに、駆動ユニットの入力軸がスプライン係合可能である。フランジ18は、円板状に形成され、第1プレート11と第2プレート12との軸方向間に配置されている。フランジ18は複数の窓孔18aを有している。各窓孔18aは、第1プレート11の第1窓部11d及び第2プレート12の第2窓部12dと対応する位置に形成されている。
【0024】
フランジ18の外周面には、径方向外方に突出する複数の突起18cが形成されている。突起18cは、隣接する窓孔18aの円周方向間の径方向外方に配置される。この突起18cの円周方向の端面に、第1プレート11の係合部11bの円周方向の端面が当接可能である。
【0025】
また、ハブフランジ13の外周部において、第1プレート11のリベット用孔11eに対応する位置には、複数の組付け作業用の孔13bが形成されている。
【0026】
<トーションスプリング14>
複数のトーションスプリング14は、ハブフランジ13の窓孔18aに収容され、第1プレート11の第1窓部11d及び第2プレート12の第2窓部12dによって軸方向及び径方向に保持されている。また、トーションスプリング14の円周方向の両端面は、それぞれ第1窓部11d、第2窓部12d及び窓孔18aの円周方向の端面に当接可能である。
【0027】
<ストッパ機構>
ストッパ機構40は、第1プレート11及び第2プレート12と、ハブフランジ13と、の相対回転を所定の角度範囲に規制する。ストッパ機構40は、第1プレート11の係合部11bと、フランジ18の突起18cと、によって、構成されている。詳細には、ストッパ機構40は、第1プレート11及び第2プレート12がハブフランジ13に対して所定角度回転したときにハブフランジ13の突起18cが係合部11bの円周方向の端面に当接することによって構成される。突起18cは、隣接する窓孔18aの円周方向間の径方向外方に配置されるため、突起18cが窓孔18aの径方向外方に配置される場合に比べて、部材の強度が高まる。
【0028】
<ヒス発生機構15>
ヒス発生機構15は、第1ブッシュ31と、第2ブッシュ32と、コーンスプリング33と、を有している。
【0029】
第1ブッシュ31は、第1プレート11の内周部と、ハブフランジ13のフランジ18の内周部と、との軸方向間に配置されている。第1ブッシュ31は軸方向に突出する複数の係合突起31aを有しており、この係合突起31aは第1プレート11に形成された孔11fに係合している。したがって、第1ブッシュ31は第1プレート11と相対回転不能である。
【0030】
第2ブッシュ32は、第2プレート12の内周部と、ハブフランジ13のフランジ18の内周部と、の軸方向間に配置されている。第2ブッシュ32は軸方向に突出する複数の係合突起32aを有しており、この係合突起32aは第2プレート12に形成された孔12eに係合している。したがって、第2ブッシュ32は第2プレート12と相対回転不能である。
【0031】
コーンスプリング33は、第1プレート11と第1ブッシュ31との軸方向間に配置されている。コーンスプリング33は、第1ブッシュ31をフランジ18に押圧するとともに、第1プレート11及び第1プレート11に固定された第2プレート12を介して、第2ブッシュ32をフランジ18に押圧している。
【0032】
このようなヒス発生機構15では、第1及び第2プレート11,12とハブフランジ13とが相対回転すると、第1ブッシュ31とフランジ18との間で摩擦抵抗(ヒステリシストルク)が発生し、また第2ブッシュ32とフランジ18との間で摩擦抵抗が発生する。
【0033】
[トルクリミッタユニット20]
トルクリミッタユニット20は、ダンパユニット10の外周側に配置されている。トルクリミッタユニット20は、フライホイールとダンパユニット10との間で伝達されるトルクを制限する。図3に示すように、トルクリミッタユニット20は、第1挟持プレート21及び第2挟持プレート22と、摩擦ディスク23と、プレッシャプレート24と、コーンスプリング25(付勢部材の一例)と、を有している。なお、図3図1のトルクリミッタユニット20の部分を抽出して示したものである。
【0034】
<第1及び第2挟持プレート21,22>
第1挟持プレート21は、環状の摩擦部21aと、第3固定部21bと、を有している。第3固定部21bは、摩擦部21aの外周部を、第2挟持プレート22側に軸方向にオフセットして形成されている。第2挟持プレート22は、環状の支持部22aと、第4固定部22bと、を有している。第4固定部22bは、支持部22aの外周部を、第1挟持プレート21側に軸方向にオフセットして形成されている。そして、第1挟持プレート21の第3固定部21bと、第2挟持プレート22の第4固定部22bとが、複数のリベット26(図1参照)によって互いに固定されている。第1挟持プレート21及び第2挟持プレート22は、回転軸に沿った方向視で第1固定部11cと一部が重なっている。第1挟持プレート21及び第2挟持プレート22は、互いに軸方向移動不能に固定されている。
【0035】
なお、第1挟持プレート21及び第2挟持プレート22の第3固定部21b及び第4固定部22bには、トルクリミッタユニット20をフライホイールに固定するための複数の孔21c,22c(図1参照)が形成されている。
【0036】
<摩擦ディスク23>
図3に示すように、摩擦ディスク23は、環状プレート27と、環状プレート27の両側面にリベットにより固定された1対の摩擦部材28と、を有している。図3及び図4に示すように、環状プレート27は、概略環状に形成された本体部27aと、複数の第5固定部27bと、を有している。図4はトルクリミッタユニット20の一部の正面図である。第5固定部27bは、本体部27aの内周端から径方向内方に突出し、円周方向に等角度間隔で形成されている。この第5固定部27bには、連結用孔27cが形成されている。この連結用孔27c及び第1プレート11のリベット用孔11eを通過するリベット29(固定部材の一例:図1参照)によって、環状プレート27が第1プレート11の外周部に固定されている。1対の摩擦部材28のうちのフライホイール側の摩擦部材は、第1挟持プレート21の摩擦部21aに当接している。
【0037】
<プレッシャプレート24及びコーンスプリング25>
プレッシャプレート24及びコーンスプリング25は、摩擦ディスク23と、第2挟持プレート22の支持部22aと、の間に配置されている。
【0038】
プレッシャプレート24は、環状に形成され、摩擦ディスク23の摩擦部材28を、第1挟持プレート21の摩擦部21aとの間に挟み込んでいる。図1に示すように、プレッシャプレート24の外周部には、複数の爪24aが形成されており、この爪24aが第2挟持プレート22に形成された複数の係合孔22dに係合している。
【0039】
コーンスプリング25は、プレッシャプレート24と第2挟持プレート22の支持部22aとの間に配置されている。コーンスプリング25は、プレッシャプレート24を介して摩擦ディスク23を第1挟持プレート21の摩擦部21aに押圧している。
【0040】
<ダンパユニット10とトルクリミッタユニット20との位置関係>
図1及び図2に示すように、摩擦ディスク23の第5固定部27bは、第1及び第2プレート11,12の第1固定部11c及び第2固定部12cの径方向内方に位置している。また、第5固定部27bは、正面視で、隣接する第1窓部11dの円周方向間に配置されている。さらに、第5固定部27bの一部と、第1窓部11dと、は径方向位置が重なっている。また、トルクリミッタユニット20の内径(第1挟持プレート21の内径)は、ダンパユニット10の第1及び第2プレート11,12の外径よりも小さい。すなわち、ダンパユニット10とトルクリミッタユニット20とは、回転軸に沿った方向視で、径方向にオーバラップして配置されている。環状プレート27を第1プレート11の外周部に固定するリベット29は、回転軸に沿った方向視で、隣接する複数の第1窓部11d及び第2窓部12dの円周方向間に配置されている。
【0041】
[動作]
エンジンからフライホイールに伝達された動力は、トルクリミッタユニット20を介してダンパユニット10に入力される。ダンパユニット10では、トルクリミッタユニット20の摩擦ディスク23が固定されている第1及び第2プレート11,12に動力が入力され、この動力は、トーションスプリング14を介してハブフランジ13に伝達される。そして、ハブフランジ13から、さらに出力側の電動機、発電機、変速機等に動力が伝達される。
【0042】
また、例えば、エンジン始動時においては、出力側の慣性量が大きいために、出力側からエンジンに過大なトルクが伝達される場合がある。このような場合は、トルクリミッタユニット20によってエンジン側に伝達されるトルクが所定値以下に制限される。
【0043】
ダンパユニット10においては、第1及び第2プレート11,12からトーションスプリング14に動力が伝達されると、トーションスプリング14が圧縮される。また、トルク変動によって、トーションスプリング14は伸縮を繰り返す。トーションスプリング14が伸縮すると、第1及び第2プレート11,12とハブフランジ13との間でねじれが生じる。このねじれによって、ヒス発生機構15が作動し、ヒステリシストルクが発生する。これにより、トルク変動が減衰される。
【0044】
トルク変動が大きく、第1プレート11及び第2プレート12と、ハブフランジ13と、の相対回転角度が大きくなると、第1プレート11の係合部11bと、フランジ18の突起18cの円周方向端面と、が近づき、互いに当接する。これにより、第1プレート11及び第2プレート12とハブフランジ13との相対回転が禁止される。
【0045】
[組み付け]
このトルクリミッタユニット20では、摩擦ディスク23、プレッシャプレート24、及びコーンスプリング25を、第1及び第2挟持プレート21,22の間に挟み込んで、サブユニット化することができる。また、ダンパユニット10も同様にして、別工程で予め組み立てておくことができる。
【0046】
そして、トルクリミッタユニット20をダンパユニット10に装着する場合は、摩擦ディスク23の第5固定部27bの連結用孔27cと、第1プレート11のリベット用孔11eと、を位置合わせし、第2プレート12の組付け作業用の孔12bを利用して、リベットかしめによって両者を固定することができる。
【0047】
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0048】
(a)ダンパユニット10及びトルクリミッタユニット20の具体的な構成については、上記実施形態に限定されない。
【0049】
(b)突起18cは、隣接する窓孔18aの円周方向間の径上に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ダンパ装置
10 ダンパユニット
11 第1プレート
11b 係合部
11c 第1固定部
11d 第1窓部
12 第2プレート
12c 第2固定部
12b 組付用孔
12d 第2窓部
13 ハブフランジ
14 トーションスプリング(弾性部材の一例)
18 フランジ
18a 窓孔
21 第1挟持プレート
22 第2挟持プレート
23 摩擦ディスク
24 プレッシャプレート
25 コーンスプリング(付勢部材の一例)
27b 第5固定部
40 ストッパ機構
図1
図2
図3
図4