(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】魚処理装置
(51)【国際特許分類】
A22C 25/08 20060101AFI20240119BHJP
A22C 25/16 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
A22C25/08
A22C25/16
(21)【出願番号】P 2020145480
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】302022795
【氏名又は名称】有光 理晴
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有光 理晴
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特公昭30-005277(JP,B1)
【文献】特開昭49-061365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 25/08
A22C 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚体の処理装置であって、
本体フレームと、
魚体を、その中骨が略水平をなすように支持し、且つ頭尾方向を向く搬送方向に延在する搬送路に沿って、前記魚体を搬送すべく前記本体フレームに設けられた魚体搬送装置と、
前記魚体の背骨に対応するように、前記搬送路の上下両側に配置され、且つ各々左右方向を向く水平軸線周りに回転駆動され、互いに近接離反する方向に変位可能に前記本体フレームに設けられた上下一対の第1回転刃物と、
前記魚体の前記中骨の上面に対応するように、前記搬送路の左右両側に配置され、且つ各々垂直軸線周りに回転駆動され、前記搬送方向について、前記第1回転刃物よりも下流側に、互いに近接離反する方向に変位可能に前記本体フレームに設けられた左右一対の上側第2回転刃物と、
前記魚体の前記中骨の下面に対応するように、前記搬送路の左右両側に配置され、且つ各々対応する前記上側第2回転刃物と略同軸の垂直軸線周りに回転駆動され、互いに近接離反する方向に変位可能に前記本体フレームに設けられた左右一対の下側第2回転刃物と、
前記上下一対の第1回転刃物を上下方向に互いに近接する方向に付勢する第1付勢装置と、
前記左右一対の上側第2回転刃物及び前記左右一対の下側第2回転刃物を左右方向に互いに近接する方向に付勢する第2付勢装置と、
を有する魚処理装置。
【請求項2】
前記上側第2回転刃物と対応する前記下側第2回転刃物とは上下方向に互いに近接離反する方向に変位可能に前記本体フレームに設けられ、
更に、前記上側第2回転刃物と対応する前記下側第2回転刃物とを上下方向に互いに近接する方向に付勢する第3付勢装置を有する請求項1に記載の魚処理装置。
【請求項3】
前記本体フレームに上下方向に移動可能に設けられ、前記上下一対の第1回転刃物を個別に支持する上側第1刃物支持体及び下側第1刃物支持体と、
前記本体フレームに左右方向に移動可能に設けられた上側左可動体及び上側右可動体と、
前記本体フレームに左右方向に移動可能に設けられた下側左可動体及び下側右可動体と、
前記上側左可動体及び前記上側右可動体の各々に上下方向に移動可能に設けられ、前記左右一対の上側第2回転刃物を個別に支持する上側左第2刃物支持体及び上側右第2刃物支持体と、
前記上側左可動体及び前記上側右可動体の各々に上下方向に移動可能に設けられ、前記左右一対の下側第2回転刃物を個別に支持する下側左第2刃物支持体及び下側右第2刃物支持体とを含み、
前記第1付勢装置は前記上側第1刃物支持体と前記下側第1刃物支持体とを互い近接する方向に付勢するばねを含み、
前記第2付勢装置は上側左可動体及び下側左可動体と上側右可動体及び下側右可動体とを互い近接する方向に付勢するばねを含み、
前記第3付勢装置は前記上側左第2刃物支持体及び前記上側右第2刃物支持体と前記下側左第2刃物支持体及び前記下側右第2刃物支持体とを互いに近接する方向に付勢するばねを含む請求項2に記載の魚処理装置。
【請求項4】
前記搬送方向について前記第1回転刃物の前記魚体に対する切込み位置の下流側の隣接位置を占めるエッジを有し、前記エッジが前記第1回転刃物による前記魚体の切れ目を通って前記魚体の背骨に近接すべく前記上側第1刃物支持体及び前記下側第1刃物支持体の各々に設けられた上下一対の背骨ガイドを有する請求項3に記載の魚処理装置。
【請求項5】
前記エッジは前記魚体の背骨と当該背骨近傍の魚肉部との切り離しを行う刃部を含む請求項4に記載の魚処理装置。
【請求項6】
前記魚体の搬送方向について前記上側第2回転刃物及び前記下側第2回転刃物の前記魚体に対する切込み位置よりも下流側において、前記上側第2回転刃物及び前記下側第2回転刃物による前記魚体の切れ目に進入し、前記魚体の中骨と当該中骨近傍の魚肉部との切り離しを行う上下左右の切身用ブレードを有する請求項1~5の何れか一項に記載の魚処理装置。
【請求項7】
前記搬送方向について、前記第1回転刃物の魚体に対する切込み位置よりも上流側において、前記魚体の左右の背側及び腹側の各縁部に弾発的に当接し、前記搬送路に沿って前記魚体を上下左右方向についてガイドする魚体搬入ガイド機構を有する請求項1~6の何れか一項に記載の魚処理装置。
【請求項8】
魚体搬入ガイド機構は前記魚体の背びれ及び腹びれを上下両側から挟むべく設けられた平板状のガイドプレート及び回転ローラの少なくとも何れか一方を含む請求項6に記載の魚処理装置。
【請求項9】
前記魚体搬送装置は前記本体フレームに上下に対向して配置された上側ベルトコンベア装置及び下側ベルトコンベア装置を含み、
前記上側ベルトコンベア装置及び前記下側ベルトコンベア装置は、各々、前記魚体の搬送方向に隔置された複数のガイドローラと、前記ガイドローラのうち前記魚体の搬送方向で見て最も上流側の前記ガイドローラ及び最も下流側の前記ガイドローラ間に掛け渡された無端ベルトとを有し、
前記無端ベルトは前記第1回転刃物が通過する左右の間隔をおいて互いに平行に設けられた左右個別の左側ベルト及び右側ベルトを含み、
前記ガイドローラのうち前記第1回転刃物が通過する領域の前記ガイドローラは、前記第1回転刃物が通過する左右の間隔をおいて設けられ、前記左側ベルト及び前記右側ベルトを個別に掛け渡された左右個別の左側ローラ及び右側ローラにより構成され、前記領域以外の領域の前記ガイドローラは、前記左側ベルト及び前記右側ベルトの双方を掛け渡された左右共通のローラにより構成されている請求項1~8の何れか一項に記載の魚処理装置。
【請求項10】
前記上側ベルトコンベア装置及び前記下側ベルトコンベア装置は、前記本体フレームに互いに個別に上下方向に変位可能に設けられ、
更に、前記上側ベルトコンベア装置を前記本体フレームから吊り下げ式に支持するばねと、前記下側ベルトコンベア装置を前記本体フレームからフローティング式に支持するばねとを有する請求項9に記載の魚処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚処理装置に関し、更に詳細には、ヒラメ、カレー等の非対称魚の5枚下ろしに適した魚処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒラメ、カレー等の非対称魚を処理対象とした魚処理装置として、無頭魚体の中骨上を、その魚体の厚み方向両側から挟持して頭尾方向をほぼ水平にして搬送する一対の搬送ベルトと、前記搬送ベルトによってほぼ水平に搬送される無頭魚体の搬送経路に関して上下方向両側で各対を成し、前記搬送経路から上下方向両側方になるにつれて相互に離反するように拡開して設けられ、前記無頭魚体を背部側と腹部側とから中骨近傍まで切断する回転刃と、前記二対の回転刃の上下方向に最も近接した部分から搬送方向下流側に僅かな間隔をあけて配置される先細状の先端部を有し、前記二対の回転刃によって切断されなかった無頭魚体の未切断部分を中骨に沿って切断する上下一対の固定刃とを有し、3枚下ろしを行う魚処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の如き従来の魚処理装置において、中骨側に残る身が少ない綺麗な仕上がりのフィレ(3枚下ろしの半身)を得るためには、上下左右4個の回転刃が互いに最も近接する部分に画成される間隙及び上下の固定刃が互いに最も近接する部分に画成される間隙を無頭魚体の中骨が通るように、処理対象の無頭魚体を終始位置決め状態で搬送しなくてはならない。
【0005】
しかしながら、上述の如き従来の魚処理装置では、そのような位置決めが行われず、的確な位置決め状態で無頭魚体を安定して搬送することが難しい。このため、従来の魚処理装置では、中骨側に残る身が少ない綺麗な仕上がりのフィレを効率よく得ることが難しく、サイズの異なる無頭魚体の処理については、効率よく綺麗な仕上がりのフィレを得ることが更に難しくなる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ヒラメ、カレー等の非対称魚の処理において効率よく綺麗な仕上がりのフィレを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの実施形態による魚処理装置は、魚体の処理装置であって、本体フレーム(30)と、魚体(W)を、その中骨(Wb)が略水平をなすように支持し、且つ頭尾方向を向く搬送方向に延在する搬送路に沿って、前記魚体を搬送すべく前記本体フレームに設けられた魚体搬送装置(50)と、前記魚体の背骨に対応するように、前記搬送路の上下両側に配置され、且つ各々左右方向を向く水平軸線周りに回転駆動され、互いに近接離反する方向に変位可能に前記本体フレームに設けられた上下一対の第1回転刃物(12、14)と、前記魚体の前記中骨の上面に対応するように、前記搬送路の左右両側に配置され、且つ各々垂直軸線周りに回転駆動され、前記搬送方向について、前記第1回転刃物よりも下流側に、互いに近接離反する方向に変位可能に前記本体フレームに設けられた左右一対の上側第2回転刃物(16、18)と、前記魚体の前記中骨の下面に対応するように、前記搬送路の左右両側に配置され、且つ各々対応する前記上側第2回転刃物と略同軸の垂直軸線周りに回転駆動され、互いに近接離反する方向に変位可能に前記本体フレームに設けられた左右一対の下側第2回転刃物と、前記上下一対の第1回転刃物を上下方向に互いに近接する方向に付勢する第1付勢装置(160、188)と、前記左右一対の上側第2回転刃物及び前記左右一対の下側第2回転刃物を左右方向に互いに近接する方向に付勢する第2付勢装置(306、342)とを有する。
【0008】
この構成によれば、非対称魚の処理において、効率よく綺麗な仕上がりのフィレが得られる。
【0009】
上記魚処理装置において、好ましくは、前記上側第2回転刃物と対応する前記下側第2回転刃物とは上下方向に互いに近接離反する方向に変位可能に前記本体フレームに設けられ、更に、前記上側第2回転刃物と対応する前記下側第2回転刃物とを上下方向に互いに近接する方向に付勢する第3付勢装置(376、410)を有する。
【0010】
この構成によれば、非対称魚の処理において、より一層綺麗な仕上がりのフィレが得られる。
【0011】
上記魚処理装置において、好ましくは、前記本体フレームに上下方向に移動可能に設けられ、前記上下一対の第1回転刃物を個別に支持する上側第1刃物支持体(148)及び下側第1刃物支持体(176)と、前記本体フレームに左右方向に移動可能に設けられた上側左可動体(208)及び上側右可動体(212)と、前記本体フレームに左右方向に移動可能に設けられた下側左可動体(248)及び下側右可動体(266)と、前記上側左可動体及び前記上側右可動体の各々に上下方向に移動可能に設けられ、前記左右一対の上側第2回転刃物を個別に支持する上側左第2刃物支持体(218)及び上側右第2刃物支持体(232)と、前記上側左可動体及び前記上側右可動体の各々に上下方向に移動可能に設けられ、前記左右一対の下側第2回転刃物を個別に支持する下側左第2刃物支持体(254)及び下側右第2刃物支持体(272)とを含み、前記第1付勢装置は前記上側第1刃物支持体と前記下側第1刃物支持体とを互い近接する方向に付勢するばね(166、188)を含み、前記第2付勢装置は上側左可動体及び下側左可動体と上側右可動体及び下側右可動体とを互い近接する方向に付勢するばね(306、342)を含み、前記下側左第2刃物支持体と前記下側右第2刃物支持体とを互いに近接する方向に付勢するばねを含み、前記第3付勢装置は前記上側左第2刃物支持体及び前記上側右第2刃物支持体と前記下側左第2刃物支持体及び前記下側右第2刃物支持体とを互いに近接する方向に付勢するばね(376、410)を含む。
【0012】
この構成によれば、各回転刃物のばね付勢が適切に行われ、綺麗な仕上がりのフィレが得られる。
【0013】
上記魚処理装置において、好ましくは、前記搬送方向について前記第1回転刃物の前記魚体に対する切込み位置の下流側の隣接位置を占めるエッジ(434、436)を有し、前記エッジが前記第1回転刃物による前記魚体の切れ目を通って前記魚体の背骨に近接すべく前記上側第1刃物支持体及び前記下側第1刃物支持体の各々に設けられた上下一対の背骨ガイド部材(430、432)を有する。
【0014】
この構成によれば、背骨を基準として魚体の搬送が適格に行われ、綺麗な仕上がりのフィレが得られる。
【0015】
上記魚処理装置において、好ましくは、前記エッジは前記魚体の背骨と当該背骨近傍の魚肉部との切り離しを行う刃部(434A、436A)を含む。
【0016】
この構成によれば、切り残しを生じることなく綺麗な仕上がりのフィレが得られる。
【0017】
上記魚処理装置において、好ましくは、前記魚体の搬送方向について前記上側第2回転刃物及び前記下側第2回転刃物の前記魚体に対する切込み位置よりも下流側において、前記上側第2回転刃物及び前記下側第2回転刃物による前記魚体の切れ目に進入し、前記魚体の中骨と当該中骨近傍の魚肉部との切り離しを行う上下左右の切身用ブレード(442、444)を有する。
【0018】
この構成によれば、切り残しを生じることなく綺麗な仕上がりのフィレが得られる。
【0019】
上記魚処理装置において、好ましくは、前記搬送方向について、前記第1回転刃物の魚体に対する切込み位置よりも上流側において、前記魚体の左右の背側及び腹側の各縁部に弾発的に当接し、前記搬送路に沿って前記魚体を上下左右方向についてガイドする魚体搬入ガイド機構(450)を有する。
【0020】
この構成によれば、魚体の搬入が確実に行われる。
【0021】
上記魚処理装置において、好ましくは、魚体搬入ガイド機構は前記魚体の背びれ(Wd)及び腹びれ(We)を上下両側から挟むべく設けられた平板状のガイドプレート(458、460、462、464)及び回転ローラ(474、476、478、480)の少なくとも何れか一方を含む。
【0022】
この構成によれば、魚体の搬入が確実に行われる。
【0023】
上記魚処理装置において、好ましくは、前記魚体搬送装置は前記本体フレームに上下に対向して配置された上側ベルトコンベア装置(52)及び下側ベルトコンベア装置(54)を含み、前記上側ベルトコンベア装置及び前記下側ベルトコンベア装置は、各々、前記魚体の搬送方向に隔置された複数のガイドローラ(58、59、78、79)と、前記ガイドローラのうち前記魚体の搬送方向で見て最も上流側の前記ガイドローラ及び最も下流側の前記ガイドローラ間に掛け渡された無端ベルト(60、80)とを有し、前記無端ベルトは前記第1回転刃物が通過する左右の間隔をおいて互いに平行に設けられた左右個別の左側ベルト及び右側ベルト(60A、60B、80A、80B)を含み、前記ガイドローラのうち前記第1回転刃物が通過する領域の前記ガイドローラは、前記第1回転刃物が通過する左右の間隔をおいて設けられ、前記左側ベルト及び前記右側ベルトを個別に掛け渡された左右個別の左側ローラ(58A、78A)及び右側ローラ(58B、78B)により構成され、前記領域以外の領域の前記ガイドローラは、前記左側ベルト及び前記右側ベルトの双方を掛け渡された左右共通のローラにより構成されている。
【0024】
この構成によれば、無端ベルトが第1回転刃物と干渉することなく魚体の搬送が確実に行われる。
【0025】
上記魚処理装置において、好ましくは、前記上側ベルトコンベア装置及び前記下側ベルトコンベア装置は、前記本体フレームに互いに個別に上下方向に変位可能に設けられ、更に、前記上側ベルトコンベア装置を前記本体フレームから吊り下げ式に支持するばね(74)と、前記下側ベルトコンベア装置を前記本体フレームからフローティング式に支持するばね(94)とを有する。
【0026】
この構成によれば、厚さが異なる魚体の搬送が可能になり、大きさが異なる非対称魚(W)に対応することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明による魚処理装置によれば、非対称魚の処理において、効率よく綺麗な仕上がりのフィレが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明による魚処理装置の一つの実施形態における刃物の配置関係を示す斜視図
【
図2】本実施形態による魚処理装置の概要を示す側面図
【
図3】本実施形態による魚処理装置のフレーム構造及び3枚下ろし装置の正面図
【
図4】本実施形態による魚処理装置の魚体搬送装置の側面図
【
図5】同魚体搬送装置の下側ベルトコンベア装置の平面図
【
図7】本実施形態による魚処理装置のロインカット装置の正面図
【
図9】本実施形態による魚処理装置の3枚下ろし装置の上部の拡大側面図
【
図10】本実施形態による魚処理装置の3枚下ろし装置の下部の拡大側面図
【
図11】本実施形態による魚処理装置の3枚下ろし装置及び背骨ガイド機構の拡大正面図
【
図12】本実施形態による魚処理装置の魚体搬入ガイド機構の拡大平面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明による魚処理装置の一つの実施形態を、
図1~
図13を参照して説明する。本実施形態の魚処理装置10は、ヒラメ、カレー等の非対称魚Wの5枚下ろしを行う魚処理に適している。
【0030】
(刃物構成)
先ず、魚処理装置10の刃物構成を、
図1を参照して説明する。魚処理装置10は、左右方向に延在する水平軸線周りに回転する上下一対の第1回転刃物12、14と、垂直軸線周りに回転する左右一対の上側第2回転刃物16、18と、垂直軸線周りに回転する左右一対の下側第2回転刃物20、22とを有する。
【0031】
上下の第1回転刃物12、14は、非対称魚Wの背骨Waに対応し、非対称魚Wのロインカットを行う。左右一対の上側第2回転刃物16、18及び下側第2回転刃物20、22は、非対称魚Wの中骨Wbの上面及び下面に略対応し、非対称魚Wの3枚下ろしを行う。ここでの処理対象の非対称魚Wは、図示されているように頭部及び尾びれ部を切り落とされた所謂ドレス(ヘッドレス)である。
【0032】
上下の第1回転刃物12、14は、外周縁に刃部を有する互いに同一外径の円盤状の回転刃物であり、後述の魚体搬送装置50(
図2参照)による魚体搬送方向Aについて互いに同一の位置の中心軸線を有するべく且つ互いに近接離反する方向(上下方向)に変位可能に配置されている。上側の第1回転刃物12は、
図1で見て、反時計廻り方向に回転駆動される。下側の第1回転刃物14は、
図1で見て、時計廻り方向に回転駆動される。
【0033】
左右の上側第2回転刃物16、18は、外周縁に刃部を有する互いに同一外径の円盤状の回転刃物であり、魚体搬送方向Aについて第1回転刃物12、14よりも下流側における互いに同一の位置の中心軸線を有するべく且つ互いに近接離反する方向(左右方向)に変位可能に配置されている。上側第2回転刃物16、18は、
図1で見て、ともに反時計廻り方向に回転駆動される。
【0034】
上下の第1回転刃物12、14は、非対称魚Wの背骨Waに対応し 左右の下側第2回転刃物20、22は、外周縁に刃部を有する互いに同一外径の円盤状の回転刃物であり、魚体搬送方向Aについて第1回転刃物12、14よりも下流側における互いに同一の位置の中心軸線を有するべく且つ互いに近接離反する方向(左右方向)に変位可能に配置されている。下側第2回転刃物20、22は、
図1で見て、ともに時計廻り方向に回転駆動される。
【0035】
尚、魚体搬送方向Aの下流側を前側、魚体搬送方向Aの上流側を後側とする。
【0036】
更に、左側の上側第2回転刃物16と下側第2回転刃物20とは、互いに同軸的に配置され、且つ互いに近接離反する方向(上下方向)に変位可能に配置されて互いに対向している。右側の上側第2回転刃物18と下側第2回転刃物22とは、互いに同軸的に配置され、且つ互いに近接離反する方向(上下方向)に変位可能に配置されて互いに対向している。
【0037】
上側第2回転刃物16、18及び下側第2回転刃物20、22は、第1回転刃物12、14よりも非対称魚Wに対して大きい切込み量を必要とすることから、第1回転刃物12、14よりも大きい外径を有する。
【0038】
次に、魚処理装置10の全体の詳細な構成を、
図2~
図13を参照して説明する。
(フレーム構造)
魚処理装置10は、
図2及び
図3に示されているように、本体フレーム30を有する。本体フレーム30は上下方向に延在する左右のポスト32、34と、左右のポスト32、34間に掛け渡されて各々水平方向に延在する上部ビーム36、中間ビーム38及び下部ビーム40とを含む。本体フレーム30の下部には、魚処理装置10を床上に配置するための複数の脚体42が取り付けられている。
【0039】
本体フレーム30には、各々、左右の端部を複数のボルト44によってポスト32、34に固定されてポスト32、34間に延在する平板状の上側取付板46及び下側取付板48が取り付けられている。
【0040】
以下の説明において、上側取付板46及び下側取付板48の後側に向いた面を表面、上側取付板46及び下側取付板48の前側に向いた面を裏面と称する。
【0041】
(魚体搬送装置)
魚処理装置10は、
図2~
図7に示されているように、本体フレーム30に設けられた魚体搬送装置50を有する。魚体搬送装置50は、非対称魚(魚体)Wを、その中骨Wb(
図1参照)が略水平をなすように支持し、且つ頭尾方向を向く魚体搬送方向Aに延在する略水平な搬送路に沿って非対称魚Wを搬送すべく、本体フレーム30に上下に対向して配置された上側ベルトコンベア装置52及び下側ベルトコンベア装置54を含む。
【0042】
上側ベルトコンベア装置52は、ローラ支持部材56と、魚体搬送方向Aに隔置されてローラ支持部材56に回転可能に支持された複数のガイドローラ58、59と、ガイドローラ58、59のうち魚体搬送方向Aで見て最も上流側のガイドローラ58と最も下流側のガイドローラ59との間に掛け渡された無端ベルト60とを有する。
【0043】
各ガイドローラ58、59は、非対称魚Wの膨らんだ表面に対応すべく、中央側に向かうほど外径が小さくなる左右対称のテーパ形状、つまり逆クラウン形状になっている。最も下流側のガイドローラ59は、駆動ローラであり、他のガイドローラ58、59より大径である。
【0044】
無端ベルト60は、魚体搬送方向Aで見て第1回転刃物12、14よりも上流側の位置から上側第2回転刃物16、18及び下側第2回転刃物20、22よりも下流側の位置まで略水平に延在する下側パス部61を含む。
【0045】
無端ベルト60は、第1回転刃物12との干渉を避けるべく、第1回転刃物12の通過を許容する左右の間隔をおいて互いに平行に設けられた左右個別の左側ベルト60A及び右側ベルト60B(
図3及び
図7参照)により構成されている。
【0046】
ガイドローラ58は、上側の第1回転刃物12が通過する領域のガイドローラを含み、
図7に示されているように、第1回転刃物12の通過を許容する左右の間隔をおいて設けられた個別の左側ローラ58A及び右側ローラ58Bにより構成されている。左側ローラ58A及び右側ローラ58Bには左側ベルト60A及び右側ベルト60Bが個別に掛け渡されている。
【0047】
ガイドローラ59は、全て第1回転刃物12が通過する領域以外の領域にあり、左側ベルト60A及び右側ベルト60Bの双方を掛け渡された左右共通のローラにより構成されている(
図3参照)。
【0048】
上側取付板46の裏面には,
図4に示されているように、上下方向に延在するリニアガイドレール62が取り付けられている。リニアガイドレール62にはスライダ64が上下方向にスライド可能に係合している。スライダ64には上側ブラケット66が取り付けられている。上側ブラケット66は、ローラ支持部材56に固定された下端を有し、上側ベルトコンベア装置52を本体フレーム30より上下方向に変位可能に支持している。
【0049】
上側ブラケット66にはばね取付部材68が取り付けられている。上側取付板46にはばね取付部材70が取り付けられている。ばね取付部材68と70との間には調節ねじ72を介して引張コイルばね74が取り付けられている。これにより、上側ベルトコンベア装置52は、引張コイルばね74によって本体フレーム30より吊り下げ式に支持される。尚、上側ベルトコンベア装置52はストッパ機構(不図示)により下限位置を設定される。これにより、引張コイルばね74に予荷重が与えられる。
【0050】
下側ベルトコンベア装置54は、ローラ支持部材76と、魚体搬送方向Aに隔置されてローラ支持部材76に回転可能に支持された複数のガイドローラ78、79と、ガイドローラ78、79のうち魚体搬送方向Aで見て最も上流側のガイドローラ78と最も下流側のガイドローラ79との間に掛け渡された無端ベルト80とを有する。
【0051】
各ガイドローラ78、79は、非対称魚Wの膨らんだ表面に対応すべく、中央側に向かうほど外径が小さくなる左右対称のテーパ形状、つまり逆クラウン形状になっている。ガイドローラ59のうち駆動ローラをなす上側のガイドローラ59と魚体搬送方向Aについて同じ位置にあるガイドローラ59は、駆動ローラであり、他のガイドローラ78、79より大径である。
【0052】
無端ベルト80は、魚体搬送方向Aで見て第1回転刃物12、14よりも上流側の位置から上側第2回転刃物16、18及び下側第2回転刃物20、22よりも下流側の位置まで略水平に延在する上側パス部81を含む。
【0053】
上側パス部81は、
図4に示されているように、下側パス部61よりも後方に向けて長く、魚体ローディング部81Aを含む。魚処理装置10に対する非対称魚Wのローディングは、魚体ローディング部81A上に非対称魚Wを載置することにより行われる。上側パス部81は、
図4に示されているように、下側パス部61よりも前方に向けて長い。魚処理装置10からの非対称魚Wの搬出は、前方に向けて延出した部分の上側パス部81上を非対称魚Wが通過することにより行われる。
【0054】
無端ベルト80は、第1回転刃物14との干渉を避けるべく、第1回転刃物14の通過を許容する左右の間隔をおいて互いに平行に設けられた左右個別の左側ベルト80A及び右側ベルト80B(
図3、
図5及び
図7参照)により構成されている。
【0055】
ガイドローラ78は、下側の第1回転刃物14が通過する領域のガイドローラを含み、
図5及び
図7に示されているように、第1回転刃物14の通過を許容する左右の間隔をおいて設けられた個別の左側ローラ78A及び右側ローラ78Bにより構成されている。左側ローラ78A及び右側ローラ78Bには左側ベルト80A及び右側ベルト80Bが個別に掛け渡されている。
【0056】
ガイドローラ79は、全て第1回転刃物14が通過する領域以外の領域にあり、左側ベルト80A及び右側ベルト80Bの双方を掛け渡された左右共通のローラにより構成されている(
図3及び
図5参照)。
【0057】
下側取付板48の裏面には,
図4に示されているように、上下方向に延在するリニアガイドレール82が取り付けられている。リニアガイドレール82にはスライダ84が上下方向にスライド可能に係合している。スライダ84には下側ブラケット86が取り付けられている。下側ブラケット86は、ローラ支持部材76に固定された上端を有し、下側ベルトコンベア装置54を本体フレーム30より上下方向に変位可能に支持している。
【0058】
下側ブラケット86及び下側取付板48にはばね取付部材88、90が取り付けられている。ばね取付部材88と90との間には調節ねじ92を介して引張コイルばね94が取り付けられている。これにより、下側ベルトコンベア装置54は、引張コイルばね94によって本体フレーム30よりフローティング式に支持される。尚、下側ベルトコンベア装置54はストッパ機構(不図示)により上限位置を設定される。これにより、引張コイルばね94に予荷重が与えられる。
【0059】
駆動ローラをなすガイドローラ59、79の支持軸96、98には、
図6に示されているように、駆動スプロケット100、102が取り付けられている。本体フレーム30には取付板31によって電動モータ104を含むコンベア駆動ユニット106が取り付けられている。コンベア駆動ユニット106の出力軸108にはスプロケット110が取り付けられている。取付板31はスプロケット110よりも下方に離れた位置に支持軸112によってスプロケット114を回転自在に支持している。
【0060】
スプロケット110と114との間には無端チェーン116が掛け渡されている。無端チェーン116の上下に延在する前側(
図1及び
図6で見て左側)のパス部116Aには駆動スプロケット100が噛合している。
【0061】
これにより、駆動ローラをなすガイドローラ59がコンベア駆動ユニット106によって
図6で見て時計廻り方向に回転駆動され、無端ベルト60が走行駆動される。
【0062】
駆動スプロケット100は、上側ベルトコンベア装置52の上下位置に応じてパス部116Aにおいて上下方向に存在する複数のチェーンピン間の一つに選択的に噛合する。これにより、上側ベルトコンベア装置52の上下位置が変化しても、無端ベルト60が途切れることなく走行駆動される。
【0063】
取付板31は、スプロケット114よりも下方において、支持軸118、120によって上下方向に離れた2箇所に各々スプロケット122、124を回転自在に支持している。スプロケット122と124との間には無端チェーン126が掛け渡されている。無端チェーン126の上下に延在する前側(
図1及び
図6で見て左側)のパス部126Aには駆動スプロケット102が噛合している。支持軸112及び118には互いに同一径の外歯歯車128、130が取り付けられている。外歯歯車128と130とは互いに噛合している。
【0064】
これにより、駆動ローラをなすガイドローラ89がコンベア駆動ユニット106によって
図6で見て反時計廻り方向に回転駆動され、無端ベルト80が走行駆動される。
【0065】
駆動スプロケット102は、下側ベルトコンベア装置54の上下位置に応じてパス部112Aにおいて上下方向に存在する複数のチェーンピン間の一つに選択的に噛合する。これにより、下側ベルトコンベア装置54の上下位置が変化しても、無端ベルト80が途切れることなく走行駆動される。
【0066】
尚、駆動ローラをなすガイドローラ59及び89は互いに同一径であり、駆動スプロケット100と102は互いに同一径であり、スプロケット110、114、122、及び124は互いに同一径である。これにより、無端ベルト60と80とは互いに同一速度で走行する。
【0067】
ローラ支持部材56、76には、
図3及び
図4に示されているように、スライダ134、138が取り付けられている。スライダ134、138は本体フレーム30に取り付けられて前後方向に水平に延在するリニアガイド132、136にスライド可能に係合している。
【0068】
これにより、上側ベルトコンベア装置52及び下側ベルトコンベア装置54が
図2及び
図4に示されている稼働位置よりも前方の退避位置に移動可能である。上側ベルトコンベア装置52及び下側ベルトコンベア装置54は、清掃時や保守点検時等に退避位置に移動されればよい。これにより、清掃や保守点検の作業性が向上する。
【0069】
(ロインカット装置)
魚処理装置10は、
図1、
図2、
図7及び
図8に示されているように、本体フレーム30に設けられたロインカット装置140を有する。ロインカット装置140は、上下一対の第1回転刃物12、14を含み、非対称魚Wの魚肉部Wcを背側と腹側とに切断する。
【0070】
ロインカット装置140は上側取付板46の表面にレール取付板142によって固定された各々上下方向に延在する2列のリニアガイドレール144を有する。各リニアガイドレール144にはスライダ146が上下方向にスライド可能に係合している。スライダ146には上側第1刃物支持体148が取り付けられている。上側第1刃物支持体148はブラケット150によって電動モータを含む回転駆動ユニット152を支持している。回転駆動ユニット152の出力軸154には上側の第1回転刃物12が取り付けられている。これにより、上側の第1回転刃物12は回転駆動ユニット152により
図8で見て時計廻り方向に回転駆動される。
【0071】
上側第1刃物支持体148及び上側取付板46には、
図8に示されているように、ばね取付部材155、156が取り付けられている。ばね取付部材155と156との間にはターンパックル158及び圧縮コイルばね160が直列に取り付けられている。圧縮コイルばね160は上側第1刃物支持体148と共に第1回転刃物12を下方に向けて付勢している。
【0072】
上側第1刃物支持体148にはストッパ149が取り付けられている。ストッパ149は、レール取付板142の端面に当接することにより、上側第1刃物支持体148の下限位置、つまり、第1回転刃物12の下限位置を設定する。
【0073】
圧縮コイルばね160の中心部には、下端をターンパックル158に固定された中心ロッド162が貫通している。中心ロッド162は、ばね取付部材156を貫通した上端を含み、上端に枢軸164によって長方体状のカムブロック166に回動可能に連結されていている。カムブロック166は、操作アーム168によって枢軸164を中心として90度回動されることにより、ターンパックル158を持ち上げ、第1回転刃物12を
図8に示されている稼働位置よりも上方の退避位置に移動させる。第1回転刃物12は清掃時や保守点検時等に退避位置に移動されればよい。これにより、清掃や保守点検の作業性が向上する。
【0074】
ロインカット装置140は下側取付板48の表面にレール取付板170によって固定されたリニアガイドレール172を有する。リニアガイドレール172は上下方向に延在している。リニアガイドレール172にはスライダ174が上下方向にスライド可能に係合している。スライダ174には下側第1刃物支持体176が取り付けられている。下側第1刃物支持体176はブラケット178によって電動モータを含む回転駆動ユニット180を支持している。回転駆動ユニット180の出力軸182には下側の第1回転刃物14が取り付けられている。これにより、第1回転刃物14は回転駆動ユニット180により
図8で見て反時計廻り方向に回転駆動される。
【0075】
下側第1刃物支持体176及び下側取付板48には、
図8に示されているように、ばね取付部材183、184が取り付けられている。ばね取付部材183と184との間にはターンパックル186及び圧縮コイルばね188が直列に取り付けられている。圧縮コイルばね188は下側第1刃物支持体176と共に下側の第1回転刃物14を上方に向けて付勢している。
【0076】
下側第1刃物支持体176にはストッパ177が取り付けられている。ストッパ177は、レール取付板170の端面に当接することにより、下側第1刃物支持体176の上限位置、換言すると、第1回転刃物12の上限位置を設定する。
【0077】
圧縮コイルばね160及び188は、上側第1刃物支持体148と下側第1刃物支持体176とを、換言すると、上下一対の第1回転刃物12と14とを上下方向に互いに近接する方向に付勢するばね第1付勢装置をなす。
【0078】
圧縮コイルばね188の中心部には、下端をターンパックル186に固定された中心ロッド190が貫通している。中心ロッド190は、ばね取付部材184を貫通した上端を含み、上端に枢軸192によって長方体状のカムブロック194に回動可能に連結されている。カムブロック194は、操作アーム196によって枢軸192を中心として90度回動されることにより、ターンパックル186を持ち上げ、第1回転刃物14を
図8に示されている稼働位置よりも上方の退避位置に移動させる。第1回転刃物14は清掃時や保守点検時等に退避位置に移動されればよい。これにより、清掃や保守点検の作業性が向上する。
【0079】
図8及び
図9に示されているように、ブラケット150、178には背骨ガイド支持部材422、424が取り付けられている。背骨ガイド支持部材422、424には調節ねじ426、428によって上下一対の背骨ガイド部材430、432が上下方向に移動可能に設けられている。
【0080】
背骨ガイド部材430、432は、魚体搬送方向Aについて第1回転刃物12、14の非対称魚Wに対する切込み位置の下流側の隣接位置を占めるエッジ434、436を有する。エッジ434、436は、各々、第1回転刃物12、14による非対称魚Wのロインカットの切れ目を通って非対称魚Wの背骨Waに上下から近接すべく設けられている。
【0081】
これにより、背骨ガイド部材430、432は、魚体搬送装置50による非対称魚Wの魚体搬送方向Aの搬送が背骨Waを基準にして行われるように作用する。
【0082】
更に、各エッジ434、436は先端縁に沿って延在する刃部434A、436Aを備えている。刃部434A、436Aは、第1回転刃物12と14によるロインカットの切り残し部分の、非対称魚Wの背骨Waと当該背骨Wa近傍の魚肉部Wcとの切り離しを行う。
【0083】
背骨ガイド部材430、432は、摘み438、440によって調節ねじ426、428が回されることにより、背骨ガイド支持部材422、424に対して変位し、第1回転刃物12、14に対する上下方向の位置を上下個別に変更可能である。
【0084】
(3枚下ろし刃物構造)
魚処理装置10は、
図1~
図3、
図7~
図11に示されているように、本体フレーム30に設けられた3枚下ろし装置200を有する。3枚下ろし装置200は、左右一対の上側第2回転刃物16、18及び左右一対の下側第2回転刃物20、22とを含み、4個の刃物によって非対称魚Wを背骨Wa及び中骨Wbを含む骨部と上下の魚肉部Wcとに切断する3枚下ろしを行う。
【0085】
3枚下ろし装置200は、
図3及び
図10に示されているように、上側取付板46の裏面の左右両側に固定されて各々左右方向に延在する2列のリニアガイドレール202、204を有する。
【0086】
左側の各リニアガイドレール202にはスライダ206が左右方向にスライド可能に係合している。スライダ206には上側左可動体208が取り付けられている。
【0087】
上側左可動体208には上下方向に延在する2列のリニアガイドレール214が取り付けられている。各リニアガイドレール214にはスライダ216が上下方向にスライド可能に係合している。スライダ216には上側左第2刃物支持体218が取り付けられている。
【0088】
上側左第2刃物支持体218には、円筒形状の延長部材220が固定されている。延長部材220は、上側左第2刃物支持体218から上側左可動体208及び上側取付板46に形成された上下方向に長い開口208A、46Aを遊嵌合状態で貫通して上側取付板46よりも後方に位置する遊端220Aを有する。遊端220Aにはブラケット222によって電動モータを含む回転駆動ユニット224が取り付けられている。回転駆動ユニット224の出力軸226には上側第2回転刃物16が取り付けられている。これにより、上側第2回転刃物16は回転駆動ユニット224により回転駆動される。
【0089】
右側の各リニアガイドレール204にはスライダ210が左右方向にスライド可能に係合している。スライダ210には上側右可動体212が取り付けられている。
【0090】
上側右可動体212には上下方向に延在する2列のリニアガイドレール228が取り付けられている。各リニアガイドレール228にはスライダ230が上下方向にスライド可能に係合している。スライダ230には上側右第2刃物支持体232が取り付けられている。
【0091】
上側右第2刃物支持体232には円筒形状の延長部材234が固定されている。延長部材234は、上側右第2刃物支持体232から上側右可動体212及び上側取付板46に形成された上下方向に長い開口212A、46Bを遊嵌合状態で貫通して上側取付板46よりも後方に位置する遊端234Aを有する。遊端234Aにはブラケット236によって電動モータを含む回転駆動ユニット238が取り付けられている。回転駆動ユニット238の出力軸240には上側第2回転刃物18が取り付けられている。これにより、上側第2回転刃物18は回転駆動ユニット238により回転駆動される。
【0092】
図3に示されているように、上部ビーム36には取付板282によって左右位置調節機構284が取り付けられている。左右位置調節機構284は調節ねじ286によって上部ビーム36に対する左右方向の位置を変更可能な可動板288を含む。可動板288は枢軸290、292によってベルクランク294、296を左右対称に各々回動可能に支持している。ベルクランク294、296は枢軸298、300によって上側左可動体208、上側右可動体212に枢動可能に連結された一方の端部を有する。ベルクランク294、296の他方の端部には互いに噛合するセクタギヤ294A、296Aが形成されている。これにより、上側左可動体208と上側右可動体212とは互いに連結されて近接離反する左右方向に同期変位する。
【0093】
上部ビーム36にはばね取付部材302が取り付けられている。枢軸300とばね取付部材302との間にはターンパックル304及び圧縮コイルばね306が直列に取り付けられている。圧縮コイルばね306はベルクランク296を
図3で見て反時計廻り方向に付勢している。
【0094】
これにより、圧縮コイルばね306は、上側左可動体208と上側右可動体212とを、換言すると、左右一対の上側第2回転刃物16と18とを互いに近接する左右方向に付勢する第2付勢装置をなす。
【0095】
ベルクランク296にはストッパ片296Bが形成されている。ストッパ片292Aは、取付板282に取り付けられた調節ねじ308に当接することにより、ベルクランク296の
図3で見て反時計廻り方向の回動を規制し、左右の上側第2回転刃物16と18との最近接位置を設定する。
【0096】
圧縮コイルばね306の中心部には、左端をターンパックル304に固定された中心ロッド310が貫通している。中心ロッド310は、ばね取付部材302を貫通した上端を含み、右端に枢軸312によって長方体状のカムブロック314に回動可能に連結されていている。カムブロック314は、操作アーム316によって枢軸312を中心として90度回動されることにより、ターンパックル304を右方に引っ張り、上側左可動体208と上側右可動体212とを
図3に示されている稼働位置よりも互いに左右に離れた退避位置に移動させる。
【0097】
上側左可動体208及び上側右可動体212は清掃時や保守点検時等に退避位置に移動されればよい。これにより、上側第2回転刃物16と18とが互いに左右方向に離れ、上側第2回転刃物16及び20周りの清掃や保守点検の作業性が向上する。
【0098】
3枚下ろし装置200は、
図3及び
図11に示されているように、下側取付板48の裏面の左右両側に固定されて各々左右方向に延在する2列のリニアガイドレール242、244を有する。
【0099】
左側の各リニアガイドレール242にはスライダ246が左右方向にスライド可能に係合している。スライダ246には下側左可動体248が取り付けられている。
【0100】
下側左可動体248には上下方向に延在する2列のリニアガイドレール250が取り付けられている。各リニアガイドレール250にはスライダ252が上下方向にスライド可能に係合している。スライダ252には下側左第2刃物支持体254が取り付けられている。
【0101】
下側左第2刃物支持体254には円筒形状の延長部材256が固定されている。延長部材256は、下側左第2刃物支持体254から下側左可動体248及び下側取付板48に形成された上下方向に長い開口248A、48Aを遊嵌合状態で貫通して下側取付板48よりも後方に位置する遊端256Aを有する。遊端256Aにはブラケット258によって電動モータを含む回転駆動ユニット260が取り付けられている。回転駆動ユニット260の出力軸262には下側第2回転刃物20が取り付けられている。これにより、下側第2回転刃物20は回転駆動ユニット260により回転駆動される。
【0102】
右側の各リニアガイドレール244にはスライダ264が左右方向にスライド可能に係合している。スライダ264には下側右可動体266が取り付けられている。
【0103】
下側右可動体266には上下方向に延在する2列のリニアガイドレール268が取り付けられている。各リニアガイドレール268にはスライダ270が上下方向にスライド可能に係合している。スライダ270には下側右第2刃物支持体272が取り付けられている。
【0104】
下側右第2刃物支持体272には円筒形状の延長部材274が固定されている。延長部材274は、下側右第2刃物支持体272から下側右可動体266及び下側取付板48に形成された上下方向に長い開口266A、48Bを遊嵌合状態で貫通して下側取付板48よりも後方に位置する遊端274Aを有する。遊端274Aにはブラケット276によって電動モータを含む回転駆動ユニット278が取り付けられている。回転駆動ユニット278の出力軸280には下側第2回転刃物22が取り付けられている。これにより、下側第2回転刃物22は回転駆動ユニット278により回転駆動される。
【0105】
図3に示されているように、中間ビーム38には取付板318によって左右位置調節機構320が取り付けられている。左右位置調節機構320は調節ねじ322によって中間ビーム38に対する左右方向の位置を変更可能な可動板324を含む。可動板324は枢軸326、328によってベルクランク330、332を左右対称に各々回動可能に支持している。ベルクランク330、332は枢軸334、336によって下側左可動体248、下側右可動体266に枢動可能に連結された一方の端部を有する。ベルクランク330、332の他方の端部には互いに噛合するセクタギヤ330A、332Aが形成されている。これにより、下側左可動体248と下側右可動体266とは互いに連結されて近接離反する左右方向に同期変位する。
【0106】
中間ビーム38にはばね取付部材338が取り付けられている。枢軸334とばね取付部材338との間にはターンパックル340及び圧縮コイルばね342が直列に取り付けられている。圧縮コイルばね342はベルクランク330を
図3で見て反時計廻り方向に付勢している。
【0107】
これにより、圧縮コイルばね342は、下側左可動体248と下側右可動体266とを、換言すると、左右一対の下側第2回転刃物20と22とを互いに近接する左右方向に付勢する第2付勢装置を圧縮コイルばね306と共になす。
【0108】
ベルクランク330にはストッパ片330Bが形成されている。ストッパ片330Bは、取付板318に取り付けられた調節ねじ344に当接することにより、ベルクランク330の
図3で見て反時計廻り方向の回動を規制し、左右の下側第2回転刃物20と22との最近接位置を設定する。
【0109】
圧縮コイルばね342の中心部には、右端をターンパックル340に固定された中心ロッド346が貫通している。中心ロッド346は、ばね取付部材338を貫通した左端を含み、左端に枢軸348によって長方体状のカムブロック350に回動可能に連結されていている。カムブロック350は、操作アーム352によって枢軸348を中心として90度回動されることにより、ターンパックル340を左方に引っ張り、下側左可動体248と下側右可動体266とを
図3に示されている稼働位置よりも互いに左右に離れた退避位置に移動させる。
【0110】
下側左可動体248及び下側右可動体266は清掃時や保守点検時等に退避位置に移動されればよい。これにより、下側第2回転刃物20と22とが互いに左右方向に離れ、下側第2回転刃物20及び22周りの清掃や保守点検の作業性が向上する。
【0111】
図3に示されているように、ポスト32には取付板353によって左右位置調節機構354が取り付けられている。左右位置調節機構354は調節ねじ356によってポスト32に対する上下方向の位置を変更可能な可動板358を含む。可動板358は枢軸360、362によってベルクランク364、366を左右対称に各々回動可能に支持している。ベルクランク364、366は枢軸368、370によって上側左第2刃物支持体218、下側左第2刃物支持体254に枢動可能に連結された一方の端部を有する。ベルクランク364、366の他方の端部には互いに噛合するセクタギヤ364A、366Aが形成されている。これにより、上側左第2刃物支持体218と下側左第2刃物支持体254とは互いに連結されて近接離反する上下方向に同期変位する。
【0112】
ポスト32にはばね取付部材372が取り付けられている。枢軸368とばね取付部材372との間にはターンパックル374及び圧縮コイルばね376が直列に取り付けられている。圧縮コイルばね376はベルクランク364を
図3で見て反時計廻り方向に付勢している。
【0113】
これにより、圧縮コイルばね376は、上側左第2刃物支持体218と下側左第2刃物支持体254とを、換言すると、上側第2回転刃物16と下側第2回転刃物20とを互いに近接する上下方向に付勢する第3付勢装置をなす。
【0114】
ベルクランク364にはストッパ片364Bが形成されている。ストッパ片330Bは、取付板353に取り付けられた調節ねじ378に当接することにより、ベルクランク364の
図3で見て反時計廻り方向の回動を規制し、上側左第2刃物支持体218と下側左第2刃物支持体254との最近接位置を設定する。
【0115】
圧縮コイルばね376の中心部には、下端をターンパックル374に固定された中心ロッド380が貫通している。中心ロッド380は、ばね取付部材372を貫通した上端を含み、上端に枢軸382によって長方体状のカムブロック384に回動可能に連結されている。カムブロック384は、操作アーム386によって枢軸382を中心として90度回動されることにより、ターンパックル374を上方に引っ張り、上側左第2刃物支持体218と下側左第2刃物支持体254とを
図3に示されている稼働位置よりも互いに上下に離れた退避位置に移動させる。
【0116】
上側左第2刃物支持体218及び下側左第2刃物支持体254は清掃時や保守点検時等に退避位置に移動されればよい。これにより、上側第2回転刃物16と下側第2回転刃物20とが互いに上下方向に離れ、上側第2回転刃物16及び下側第2回転刃物20周りの清掃や保守点検の作業性が向上する。
【0117】
図3に示されているように、ポスト32には取付板353によって左右位置調節機構354が取り付けられている。左右位置調節機構354は調節ねじ356によってポスト32に対する上下方向の位置を変更可能な可動板358を含む。可動板358は枢軸360、362によってベルクランク364、366を左右対称に各々回動可能に支持している。ベルクランク364、366は枢軸368、370によって上側左第2刃物支持体218、下側左第2刃物支持体254に枢動可能に連結された一方の端部を有する。ベルクランク364、366の他方の端部には互いに噛合するセクタギヤ364A、366Aが形成されている。これにより、上側左第2刃物支持体218と下側左第2刃物支持体254とは互いに連結されて近接離反する上下方向に同期変位する。
【0118】
ポスト32にはばね取付部材372が取り付けられている。枢軸368とばね取付部材372との間にはターンパックル374及び圧縮コイルばね376が直列に取り付けられている。圧縮コイルばね376はベルクランク364を
図3で見て反時計廻り方向に付勢している。
【0119】
これにより、圧縮コイルばね376は、上側左第2刃物支持体218と下側左第2刃物支持体254とを、換言すると、上側第2回転刃物16と下側第2回転刃物20とを互いに近接する上下方向に付勢する第3付勢装置をなす。
【0120】
ベルクランク364にはストッパ片364Bが形成されている。ストッパ片330Bは、取付板353に取り付けられた調節ねじ378に当接することにより、ベルクランク364の
図3で見て反時計廻り方向の回動を規制し、上側左第2刃物支持体218と下側左第2刃物支持体254との最近接位置を設定する。
【0121】
圧縮コイルばね376の中心部には、下端をターンパックル374に固定された中心ロッド380が貫通している。中心ロッド380は、ばね取付部材372を貫通した上端を含み、上端に枢軸382によって長方体状のカムブロック384に回動可能に連結されている。カムブロック384は、操作アーム386によって枢軸382を中心として90度回動されることにより、ターンパックル374を上方に引っ張り、上側左第2刃物支持体218と下側左第2刃物支持体254とを
図3に示されている稼働位置よりも互いに上下に離れた退避位置に移動させる。上側左第2刃物支持体218と下側左第2刃物支持体254は清掃時や保守点検時等に退避位置に移動されればよい。これにより、上側第2回転刃物16と下側第2回転刃物20とが上下方向に離れ、上側第2回転刃物16及び下側第2回転刃物20周りの清掃や保守点検の作業性が向上する。
【0122】
図3に示されているように、ポスト34には取付板388によって左右位置調節機構390が取り付けられている。左右位置調節機構390は調節ねじ392によってポスト34に対する上下方向の位置を変更可能な可動板394を含む。可動板394は枢軸396、398によってベルクランク400、402を左右対称に各々回動可能に支持している。ベルクランク400、402は枢軸404、406によって上側右第2刃物支持体232、下側右第2刃物支持体272に枢動可能に連結された一方の端部を有する。ベルクランク400、402の他方の端部には互いに噛合するセクタギヤ400A、402Aが形成されている。これにより、上側右第2刃物支持体232と下側右第2刃物支持体272とは互いに連結されて近接離反する上下方向に同期変位する。
【0123】
ポスト34にはばね取付部材407が取り付けられている。枢軸406とばね取付部材407との間にはターンパックル408及び圧縮コイルばね410が直列に取り付けられている。圧縮コイルばね410はベルクランク402を
図3で見て反時計廻り方向に付勢している。
【0124】
これにより、圧縮コイルばね410は、上側左第2刃物支持体218と下側左第2刃物支持体254とを、換言すると、上側右第2刃物支持体232と下側右第2刃物支持体272とを互いに近接する上下方向に付勢する第3付勢装置を圧縮コイルばね376と共になす。
【0125】
ベルクランク402にはストッパ片402Bが形成されている。ストッパ片402Bは、取付板388に取り付けられた調節ねじ412に当接することにより、ベルクランク402の
図3で見て反時計廻り方向の回動を規制し、上側右第2刃物支持体232と下側右第2刃物支持体272との最近接位置を設定する。
【0126】
圧縮コイルばね410の中心部には、下端をターンパックル408に固定された中心ロッド414が貫通している。中心ロッド414は、ばね取付部材407を貫通した下端を含み、下端に枢軸416によって長方体状のカムブロック418に回動可能に連結されている。カムブロック418は、操作アーム420によって枢軸416を中心として90度回動されることにより、ターンパックル408を下方に押し下げ、上側右第2刃物支持体232と下側右第2刃物支持体272とを
図3に示されている稼働位置よりも互いに上下に離れた退避位置に移動させる。
【0127】
上側右第2刃物支持体232及び下側右第2刃物支持体272は清掃時や保守点検時等に退避位置に移動されればよい。これにより、上側第2回転刃物18と下側第2回転刃物22とが上下方向に離れ、上側第2回転刃物18及び下側第2回転刃物22周りの清掃や保守点検の作業性が向上する。
【0128】
上側左第2刃物支持体218、上側右第2刃物支持体232、下側左第2刃物支持体254及び下側右第2刃物支持体272の各々には、
図9及び
図12に示されているような、上下左右個別の切身用ブレード442、444、446及び448が取り付けられている。
【0129】
切身用ブレード442、444、446及び448は、魚体搬送方向Aについて上側第2回転刃物16、18及び下側第2回転刃物20、22の非対称魚Wに対する切込み位置よりも上流の隣接位置を占める先鋭なエッジ442A、444A、446A、448Aと、前記切込み位置よりも下流の隣接位置を占める先鋭なエッジ444B、444B、446B、448Bとを含む。
【0130】
切身用ブレード442、444、446及び448は、
図9に示されているように、エッジ442A、444B、444A、444B、446A、446B、448A、448Bから基端側に向けて肉厚が漸増する。
【0131】
互いに左右に対をなす切身用ブレード442、444のエッジ442A、444A及び切身用ブレード446、448のエッジ446A、448Aは、
図12に示されているように、各々、魚体搬送方向Aの前側に進むほど、互いに接近すべく平面視で円弧状をなしている。互いに左右に対をなす切身用ブレード442、444のエッジ442B、444B及び切身用ブレード446、448のエッジ446B、448Bは、
図12に示されているように、各々、非対称魚Wの背骨Waの左右幅に相当する間隔をおいて互いに平行に平面視で直線状をなしている。
【0132】
切身用ブレード442、444、446及び448は、上述の形状をもって、魚体搬送方向Aについて上側第2回転刃物16、18及び下側第2回転刃物20、22の非対称魚Wに対する切込み位置よりも下流側において、上側第2回転刃物16、18及び下側第2回転刃物20、22による非対称魚Wの三枚下ろしの切れ目に左右外側から進入し、非対称魚Wの中骨Wbと当該中骨Wb近傍の魚肉部Wcとの切り離しを行う。
【0133】
(魚体搬入ガイド機構)
魚処理装置10は、
図12に示されているように、魚体搬入ガイド機構450を有する。魚体搬入ガイド機構450は、各上側第2回転刃物16、18及び下側第2回転刃物20、22の中心軸をなす出力軸226、240、262、280の各々に回動自在に取り付けられたガイド支持部材451、452、454、456を含む。ガイド支持部材451、452、454、456の後端には、非対称魚Wの背びれWd及び腹びれWeを上下両側から挟むべく平板状のガイドプレート458、460、462、464が取り付けられている。ガイド支持部材451、452、454、456の後端には、非対称魚Wの背びれWd及び腹びれWeを上下両側から挟むべく枢軸466、468、470、472によって回転ローラ474、476、478、480が垂直軸線周りに回転可能に設けられている。
【0134】
回転駆動ユニット224、238、260、278(
図10、
図11参照)の各々には、
図12に示されているようなばね取付部材482、484、486、488が取り付けられている。ガイド支持部材451、452、454、456の後端には、ばね取付部490、492、494、496が設けられている。ばね取付部材482、484、486、488とばね取付部490、492、494、496との間には、各々、調節ねじ498、500、502、504を介して引張コイルばね506、508、510、512が取り付けられている。引張コイルばね506、508、510、512は、ガイドプレート458、460、462、464及び回転ローラ474、476、478、480を非対称魚Wの左右の背側及び腹側の縁部に向けて付勢している。
【0135】
これにより、ガイドプレート458、460、462、464及び回転ローラ474、476、478、480は引張コイルばね506、508、510、512のばね力によって非対称魚Wの左右の背側及び腹側の縁部に弾発的に当接し、非対称魚Wを魚体搬送装置50による非対称魚Wの魚体搬送方向Aに延在する搬送路に沿って非対称魚Wを上下左右方向についてガイドする。
【0136】
ガイド支持部材451、452、454、456にはストッパ片451A、452A、454A、456Aが形成されている。ストッパ片451A、452A、454A、456Aは、ガイド支持部材451、452、454、456の後端に取り付けられた調節ねじ514、516、518、520に当接することにより、ガイド支持部材451、452、454、456の回動を規制し、左右のガイドプレート458と460、462と464及び左右の回転ローラ474と476、478と480との各最近接位置を設定する。
【0137】
図12に示されているように、下側の枢軸470、472には、各々、支持アーム枢動可能に連結された一端(前端)を含む支持アーム522、524が枢動可能に連結されている。支持アーム522、524は、前記一端から後方に向けて延在し、回転駆動ユニット260、278側に固定された係合板526、528の長孔526A、528Aに係合するローラ530、532を回転可能に支持し他端(後端)を含む。
【0138】
支持アーム522、524は、略左右対称の配置であり、各々、前端と後端との間において互いに近付く方向に延在する平板状の魚体支持板536、538を含む。
【0139】
(作用、効果)
魚処理装置10に対する非対称魚Wのローディング作業は、先ず、非対称魚Wを、魚体ローディング部81A及び魚体支持板536、538上に、非対称魚Wの中骨Wbが略水平をなし、且つ尾を前側して頭尾方向が前後方向に向くように、載置する。
【0140】
次に、ガイドプレート458、460、462、464及び回転ローラ474、476、478、480の各々によって非対称魚Wの背びれWd及び腹びれWeを上下両側から挟み、これらを非対称魚Wの左右の背側及び腹側の縁部に弾発的に当接させる。これにより、背骨Waが第1回転刃物12と14との上下間隔の略中央に位置し、且つ上側第2回転刃物16と18との左右間隔及び下側第2回転刃物20と22との左右間隔の略中央に位置すべく、非対称魚Wが配置され、非対称魚Wが魚体搬送方向Aに延在する搬送路に沿って上下左右方向についてガイドされて搬送される状態になる。
【0141】
そして、魚体搬送装置50が駆動されると共に、第1回転刃物12、14、上側第2回転刃物16、18及び下側第2回転刃物20、22が回転駆動される。
【0142】
魚体搬送装置50が駆動されることにより、非対称魚Wが、上述の状態を保って、上側ベルトコンベア装置52の無端ベルト60と下側ベルトコンベア装置54の無端ベルト80とによって上下から挟まれた状態で、魚体搬送方向Aに延在する略水平な搬送路に沿って前方に向けて定速搬送される。
【0143】
上側ベルトコンベア装置52は引張コイルばね74によって吊り下げ支持されているから、引張コイルばね74のばね力に抗して上方に変位可能であり、下側ベルトコンベア装置54は引張コイルばね94によってフローティング支持されているから、引張コイルばね94のばね力に抗して下方に変位可能であるので、非対称魚Wの厚みに応じて上側ベルトコンベア装置52が上方に変位し、下側ベルトコンベア装置54が下方に変位する。
【0144】
これにより、厚さが異なる非対称魚Wの搬送が可能になり、大きさが異なる非対称魚Wに対応することができる。
確実に行われる。
【0145】
この非対称魚Wの搬送により、第1回転刃物12、14が、圧縮コイルばね160、188のばね力によって上下から背骨Waに押し付けられた状態で、背骨Waに沿って背骨Waの表面形状に倣うようにして、非対称魚Wの魚肉部Wc(両身)を背側と腹側とに切断するロインカットを、魚体搬送装置50による非対称魚Wの搬送下で行う。
【0146】
ロインカット直後に、背骨ガイド部材430、432がロインカットの切れ目に進入し、背骨ガイド部材430、432のエッジ434、436が、背骨Waを左右から挟むように、背骨Waに上下から近接する。これにより、魚体搬送装置50による魚体搬送方向Aの搬送が背骨Waを搬送基準として、第1回転刃物12、14の魚肉部Wcに対する切込みによる横ぶれ抑制作用に加えて、横ぶれの発生を抑制された状態で非対称魚Wが搬送される。
【0147】
第1回転刃物12、14によるロインカットにおいて切り残しが生じた場合には、エッジ434、436の刃部434A、436Aによって切り残し部分の切り離しが行われる。
【0148】
次に、上側第2回転刃物16、18及び下側第2回転刃物20、22が、非対称魚Wの中骨Wbの上面及び下面に略対応して、圧縮コイルばね306、342のばね力によって左右から背骨Waに押し付けられ、且つ圧縮コイルばね306、342のばね力によって上下から中骨Wbに押し付けられた状態で、中骨Wbの表面形状に倣うようにして、背骨Wa及び中骨Wbを含む骨部と上下の魚肉部Wcとに切断する3枚下ろしを、魚体搬送装置50による非対称魚Wの搬送下で行う。
【0149】
その後、上側第2回転刃物16、18及び下側第2回転刃物20、22の非対称魚Wに対する切込み位置よりも下流側において、切身用ブレード442、444、446及び448が上側第2回転刃物16、18及び下側第2回転刃物20、22による非対称魚Wの三枚下ろしの切れ目に左右外側から進入し、非対称魚Wの中骨Wbと当該中骨Wb近傍の魚肉部Wcとの切り離しを行う。
【0150】
ロインカットと3枚下ろしとによって5枚下ろしされた非対称魚Wは魚体搬送装置50によって魚処理装置10の前側に搬出される。
【0151】
これらの切断及び切り離しにより、背骨Wa及び中骨Wbの骨側に多くの魚肉部Wcが残ることなく綺麗な仕上がりのフィレが効率よく得られる。
【0152】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第1回転刃物12、14、上側第2回転刃物16、18及び下側第2回転刃物20、22の各方向のばね付勢は、上述の実施形態のものに限られることなく、圧縮コイルばね、引張コイルばね、その他、捩りばね等によって適宜に行われればよい。また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【符号の説明】
【0153】
10 :魚処理装置
12 :第1回転刃物
14 :第1回転刃物
16 :上側第2回転刃物
18 :上側第2回転刃物
20 :下側第2回転刃物
22 :下側第2回転刃物
30 :本体フレーム
31 :取付板
32 :ポスト
34 :ポスト
36 :上部ビーム
38 :中間ビーム
40 :下部ビーム
42 :脚体
44 :ボルト
46 :上側取付板
46A :開口
46B :開口
48 :下側取付板
48A :開口
48B :開口
50 :魚体搬送装置
52 :上側ベルトコンベア装置
54 :下側ベルトコンベア装置
56 :ローラ支持部材
58 :ガイドローラ
58A :左側ローラ
58B :右側ローラ
59 :ガイドローラ
60 :無端ベルト
60A :左側ベルト
60B :右側ベルト
61 :下側パス部
62 :リニアガイドレール
64 :スライダ
66 :上側ブラケット
68 :ばね取付部材
70 :ばね取付部材
72 :調節ねじ
74 :引張コイルばね
76 :ローラ支持部材
78 :ガイドローラ
78A :左側ローラ
78B :右側ローラ
79 :ガイドローラ
80 :無端ベルト
80A :左側ベルト
80B :右側ベルト
81 :上側パス部
81A :魚体ローディング部
82 :リニアガイドレール
84 :スライダ
86 :下側ブラケット
88 :ばね取付部材
89 :ガイドローラ
90 :ばね取付部材
92 :調節ねじ
94 :引張コイルばね
96 :支持軸
98 :支持軸
100 :駆動スプロケット
102 :駆動スプロケット
104 :電動モータ
106 :コンベア駆動ユニット
108 :出力軸
110 :スプロケット
112 :支持軸
112A :パス部
114 :スプロケット
116 :無端チェーン
116A :パス部
118 :支持軸
120 :支持軸
122 :スプロケット
124 :スプロケット
126 :無端チェーン
126A :パス部
128 :外歯歯車
130 :外歯歯車
132 :リニアガイド
134 :スライダ
136 :リニアガイド
138 :スライダ
140 :ロインカット装置
142 :レール取付板
144 :リニアガイドレール
146 :スライダ
148 :上側第1刃物支持体
149 :ストッパ
150 :ブラケット
152 :回転駆動ユニット
154 :出力軸
155 :ばね取付部材
156 :ばね取付部材
158 :ターンパックル
160 :圧縮コイルばね(第1付勢装置)
162 :中心ロッド
164 :枢軸
166 :カムブロック
168 :操作アーム
170 :レール取付板
172 :リニアガイドレール
174 :スライダ
176 :下側第1刃物支持体
177 :ストッパ
178 :ブラケット
180 :回転駆動ユニット
182 :出力軸
183 :ばね取付部材
184 :ばね取付部材
186 :ターンパックル
188 :圧縮コイルばね(第1付勢装置)
190 :中心ロッド
192 :枢軸
194 :カムブロック
196 :操作アーム
200 :3枚下ろし装置
202 :リニアガイドレール
204 :リニアガイドレール
206 :スライダ
208 :上側左可動体
208A :開口
210 :スライダ
212 :上側右可動体
212A :開口
214 :リニアガイドレール
216 :スライダ
218 :上側左第2刃物支持体
220 :延長部材
220A :遊端
222 :ブラケット
224 :回転駆動ユニット
226 :出力軸
228 :リニアガイドレール
230 :スライダ
232 :上側右第2刃物支持体
234 :延長部材
234A :遊端
236 :ブラケット
238 :回転駆動ユニット
240 :出力軸
242 :リニアガイドレール
244 :リニアガイドレール
246 :スライダ
248 :下側左可動体
248A :開口
250 :リニアガイドレール
252 :スライダ
254 :下側左第2刃物支持体
256 :延長部材
256A :遊端
258 :ブラケット
260 :回転駆動ユニット
262 :出力軸
264 :スライダ
266 :下側右可動体
266A :開口
268 :リニアガイドレール
270 :スライダ
272 :下側右第2刃物支持体
274 :延長部材
274A :遊端
276 :ブラケット
278 :回転駆動ユニット
280 :出力軸
282 :取付板
284 :左右位置調節機構
286 :調節ねじ
288 :可動板
290 :枢軸
292 :枢軸
292A :ストッパ片
294 :ベルクランク
294A :セクタギヤ
296 :ベルクランク
296A :セクタギヤ
296B :ストッパ片
298 :枢軸
300 :枢軸
302 :ばね取付部材
304 :ターンパックル
306 :圧縮コイルばね(第2付勢装置)
308 :調節ねじ
310 :中心ロッド
312 :枢軸
314 :カムブロック
316 :操作アーム
318 :取付板
320 :左右位置調節機構
322 :調節ねじ
324 :可動板
326 :枢軸
328 :枢軸
330 :ベルクランク
330A :セクタギヤ
330B :ストッパ片
332 :ベルクランク
332A :セクタギヤ
334 :枢軸
336 :枢軸
338 :ばね取付部材
340 :ターンパックル
342 :圧縮コイルばね(第2付勢装置)
344 :調節ねじ
346 :中心ロッド
348 :枢軸
350 :カムブロック
352 :操作アーム
353 :取付板
354 :左右位置調節機構
356 :調節ねじ
358 :可動板
360 :枢軸
362 :枢軸
364 :ベルクランク
364A :セクタギヤ
364B :ストッパ片
366 :ベルクランク
366A :セクタギヤ
368 :枢軸
370 :枢軸
372 :ばね取付部材
374 :ターンパックル
376 :圧縮コイルばね(第3付勢装置)
378 :調節ねじ
380 :中心ロッド
382 :枢軸
384 :カムブロック
386 :操作アーム
388 :取付板
390 :左右位置調節機構
392 :調節ねじ
394 :可動板
396 :枢軸
398 :枢軸
400 :ベルクランク
400A :セクタギヤ
402 :ベルクランク
402A :セクタギヤ
402B :ストッパ片
404 :枢軸
406 :枢軸
407 :ばね取付部材
408 :ターンパックル
410 :圧縮コイルばね(第3付勢装置)
412 :調節ねじ
414 :中心ロッド
416 :枢軸
418 :カムブロック
420 :操作アーム
422 :背骨ガイド支持部材
424 :背骨ガイド支持部材
426 :調節ねじ
428 :調節ねじ
430 :背骨ガイド部材
432 :背骨ガイド部材
434 :エッジ
434A :刃部
436 :エッジ
436A :刃部
438 :摘み
440 :摘み
442 :切身用ブレード
442A :エッジ
442B :エッジ
444 :切身用ブレード
444A :エッジ
444B :エッジ
446 :切身用ブレード
446A :エッジ
446B :エッジ
448 :切身用ブレード
448A :エッジ
448B :エッジ
450 :魚体搬入ガイド機構
451 :ガイド支持部材
451A :ストッパ片
452 :ガイド支持部材
452A :ストッパ片
454 :ガイド支持部材
454A :ストッパ片
456 :ガイド支持部材
456A :ストッパ片
458 :ガイドプレート
460 :ガイドプレート
462 :ガイドプレート
464 :ガイドプレート
466 :枢軸
468 :枢軸
470 :枢軸
472 :枢軸
474 :回転ローラ
476 :回転ローラ
478 :回転ローラ
480 :回転ローラ
482 :ばね取付部材
484 :ばね取付部材
486 :ばね取付部材
488 :ばね取付部材
490 :ばね取付部
492 :ばね取付部
494 :ばね取付部
496 :ばね取付部
498 :調節ねじ
500 :調節ねじ
502 :調節ねじ
504 :調節ねじ
506 :引張コイルばね
508 :引張コイルばね
510 :引張コイルばね
512 :引張コイルばね
514 :調節ねじ
516 :調節ねじ
518 :調節ねじ
520 :調節ねじ
522 :支持アーム
524 :支持アーム
526 :係合板
526A :長孔
528 :係合板
528A :長孔
530 :ローラ
532 :ローラ
536 :魚体支持板
538 :魚体支持板
A :魚体搬送方向
W :非対称魚
Wa :背骨
Wb :中骨
Wc :魚肉部